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明細書 :アシストウエア

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-014025 (P2019-014025A)
公開日 平成31年1月31日(2019.1.31)
発明の名称または考案の名称 アシストウエア
国際特許分類 B25J  11/00        (2006.01)
A61H   1/02        (2006.01)
FI B25J 11/00 Z
A61H 1/02 K
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2017-134279 (P2017-134279)
出願日 平成29年7月10日(2017.7.10)
発明者または考案者 【氏名】橋本 稔
【氏名】塚原 淳
出願人 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
審査請求 未請求
テーマコード 3C707
4C046
Fターム 3C707AS38
3C707HS07
3C707XK06
3C707XK16
3C707XK24
3C707XK33
3C707XK42
3C707XK86
4C046AA09
4C046AA42
4C046AA47
4C046AA49
4C046BB03
4C046CC02
4C046DD05
4C046DD08
4C046DD37
4C046DD38
4C046DD39
4C046DD41
4C046DD43
4C046DD45
要約 【課題】 良好な装着性を備えるとともに、アクティブなアシスト力を作用させることができ、効果的なアシスト性を備えるアシストウエアを提供する。
【解決手段】 本発明に係るアシストウエアは、ヒトの背部に装着される、ゲルアクチュエータが内蔵された本体部10と、本体部10を装着するための取付部30a、30b、32a、32bとを備えるアシストウエアであって、前記ゲルアクチュエータは、ゲルシートの両面に柔軟電極が設けられ、該柔軟電極間に電圧を印加することにより、腰部の屈曲動作をアシストする方向に伸縮することを特徴とする。本体部10に連結して、ヒトの腰部から臀部にかけてゲルアクチュエータが内蔵された下肢装着部20a。20bが設けられる。
【選択図】 図2
特許請求の範囲 【請求項1】
ヒトの背部に装着される、ゲルアクチュエータが内蔵された本体部と、該本体部を装着するための取付部とを備えるアシストウエアであって、
前記ゲルアクチュエータは、ゲルシートの両面に柔軟電極が設けられ、該柔軟電極間に電圧を印加することにより、腰部の屈曲動作をアシストする方向に伸縮することを特徴とするアシストウエア。
【請求項2】
前記本体部に連結して、ヒトの腰部から臀部にかけてゲルアクチュエータが内蔵された下肢装着部が設けられ、
前記下肢装着部に内蔵されたゲルアクチュエータは、ゲルシートの両面に柔軟電極が設けられ、該柔軟電極間に電圧を印加することにより、腰部の屈曲動作をアシストする方向に伸縮することを特徴とする請求項1記載のアシストウエア。
【請求項3】
前記本体部に内蔵されたゲルアクチュエータと前記下肢装着部に内蔵されたゲルアクチュエータは、
ゲルシートを積層してゲルシートの層間に柔軟電極を介在させた積層構造に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のアシストウエア。
【請求項4】
前記本体部に内蔵されたゲルアクチュエータは、ゲルシートの面をヒトの背部にならう配置として設けられ、
前記下肢装着部に内蔵されたゲルアクチュエータは、前記ゲルシートの面を腰部から臀部にかける面にならう配置として設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項記載のアシストウエア。
【請求項5】
前記本体部に内蔵されたゲルアクチュエータと前記下肢装着部に内蔵されたゲルアクチュエータは、
平面形状が長方形のシート状に形成され、ゲルアクチュエータの伸縮方向を長手方向として、前記本体部と前記下肢装着部に内蔵されていることを特徴とする請求項4記載のアシストウエア。
【請求項6】
前記本体部に内蔵されたゲルアクチュエータと前記下肢装着部に内蔵されたゲルアクチュエータは、
保護カバーにより、ゲルアクチュエータが伸縮する方向の両端部が開口して、被覆されていることを特徴とする請求項4または5記載のアシストウエア
【請求項7】
前記保護カバーの内面と前記ゲルアクチュエータの表面に設けられた柔軟電極との間に、前記柔軟電極との滑り性を阻害しない、絶縁フィルムが介装されていることを特徴とする請求項6記載のアシストウエア。
【請求項8】
前記本体部には、伸縮性を有する伸縮部が設けられ、
前記本体部に内蔵されたゲルアクチュエータは、ゲルアクチュエータの伸縮方向に、前記伸縮部を横断する配置に設けられていることを特徴とする請求項4~7のいずれか一項記載のアシストウエア。




発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アシストウエアに関し、より詳細には受動的(パッシブ)なアシスト力に加えて能動的(アクティブ)なアシスト力を利用してサポートすることができるアシストウエアに関する。
【背景技術】
【0002】
中腰で作業したり、重量物を持ち上げたりするといった動作を補助するための腰サポート用のアシスト装置が提供されている。
これらのアシスト装置の駆動方式について見ると、電動モータ等の駆動力を利用してアシストするアクティブタイプのもの(特許文献1、2、3)と、バネやゴム等の弾性的な力を利用するパッシブタイプのもの(特許文献4等)とに分けることができる。また、アシスト装置の装着性について見ると、アクティブタイプのものは電動モータや空気圧等を駆動源とするため機械的なハードな構造を備えることに対し、弾性力を利用するパッシブタイプのものはソフトであり装着性に優れるという特徴がある。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2013-173190号公報
【特許文献2】特開2016-150420号公報
【特許文献3】特開2013-75078号公報
【特許文献4】特開2011-277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したアクティブタイプのアシスト装置は、パッシブタイプのアシスト装置と比べて、動作に応じて駆動力を確実に作用させることが可能であり、アシスト能力が高いという利点はあるものの、装着してON状態にしないと動作できないという問題がある。一方、パッシブタイプのアシスト装置は、アクティブタイプに比べて軽量で取扱いが容易で、低価格で提供できるという利点はあるものの、駆動力が的確に作用しないことから、十分なアシスト性が得られない問題がある。
本発明は、パッシブタイプのアシスト装置と同程度の良好な装着性を備えるとともに、アクティブな駆動力を利用することを可能にし、装着性とアシスト性を兼ね備えるアシストウエアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るアシストウエアは、ヒトの背部に装着される、ゲルアクチュエータが内蔵された本体部と、該本体部を装着するための取付部とを備えるアシストウエアであって、前記ゲルアクチュエータは、ゲルシートの両面に柔軟電極が設けられ、該柔軟電極間に電圧を印加することにより、腰部の屈曲動作をアシストする方向に伸縮することを特徴とする。
また、本発明に係るアシストウエアは、前記本体部に連結して、ヒトの腰部から臀部にかけてゲルアクチュエータが内蔵された下肢装着部が設けられ、前記下肢装着部に内蔵されたゲルアクチュエータは、ゲルシートの両面に柔軟電極が設けられ、該柔軟電極間に電圧を印加することにより、腰部の屈曲動作をアシストする方向に伸縮することを特徴とする。
また、前記本体部に内蔵されたゲルアクチュエータと前記下肢装着部に内蔵されたゲルアクチュエータは、ゲルシートを単層としたものの他に、ゲルシートを積層してゲルシートの層間に柔軟電極を介在させた積層構造に形成されているものを使用することができる。
【0006】
また、前記本体部に内蔵されたゲルアクチュエータは、ゲルシートの面をヒトの背部にならう配置として設けられ、前記下肢装着部に内蔵されたゲルアクチュエータは、前記ゲルシートの面を腰部から臀部にかける面にならう配置として設けられていることを特徴とする。
また、前記本体部に内蔵されたゲルアクチュエータと前記下肢装着部に内蔵されたゲルアクチュエータは、平面形状が長方形のシート状に形成され、ゲルアクチュエータの伸縮方向を長手方向として、前記本体部と前記下肢装着部に内蔵されていることを特徴とする。
また、前記本体部に内蔵されたゲルアクチュエータと前記下肢装着部に内蔵されたゲルアクチュエータは、保護カバーにより、ゲルアクチュエータが伸縮する方向の両端部が開口して、被覆されていることにより、ゲルアクチュエータが電気的に短絡したり、柔軟電極が露出して損傷するといった問題を回避することができる。
また、前記保護カバーの内面と前記ゲルアクチュエータの表面に設けられた柔軟電極との間に、前記柔軟電極との滑り性を阻害しない、絶縁フィルムが介装されていることにより、柔軟電極が電気的に短絡することを抑制し、ゲルアクチュエータが伸縮することによるアシスト力を好適に利用することができる。
また、前記本体部には、伸縮性を有する伸縮部が設けられ、前記本体部に内蔵されたゲルアクチュエータは、ゲルアクチュエータの伸縮方向に、前記伸縮部を横断する配置に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るアシストウエアによれば、ゲルアクチュエータをアシスト力の駆動源として装着したことにより、アシストウエアの装着性を損なわずに、ゲルアクチュエータのアシスト力を利用して効果的なアシスト性を備えるアシストウエアとして提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】アシストウエアを装着した状態の背面写真(a)、側面写真(b)である。
【図2】アシストウエアの全体構成を示す説明図である。
【図3】アシストウエアの本体部の構成を示す説明図である。
【図4】アシストウエアに使用するゲルアクチュエータの平面図である。
【図5】保護カバーを折りたたんだ状態(a)、展開した状態(b)の平面図である。
【図6】左右の下肢取付けベルトの構成を示す平面図である。
【図7】本体部にパッドを装着した場合の力の作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(アシストウエアの装着例)
図1は本発明に係るアシストウエアの装着例を示す。図1(a)はアシストウエアを装着した状態を背面方向から見た状態、図1(b)は側面方向から見た状態を示す。
本発明に係るアシストウエアは、ヒトの背部に装着される本体部10と、腰部から太腿の後部(臀部)とにかけて装着される下肢装着部20a、20bと、本体部10と下肢装着部20a、20bを使用者に装着させるための取付部とを備える。
本実施形態のアシストウエアを構成する本体部10、下肢装着部20a、20b、取付部は、アシストウエアに装着されるゲルアクチュエータを除き布製である。

【0010】
本体部10及び下肢装着部20a、20bに装着(内臓)されるゲルアクチュエータは、アクチュエータ素子として、本体部10、下肢装着部20a、20bの大きさに合わせてシート状に形成されたゲルシートを備える。本体部10と下肢装着部20a、20bにはゲルシートを収容する収容部が設けられている。ゲルシートを本体部10と下肢装着部20a、20bに収容して装着する構成については後述する。

【0011】
アシストウエアを使用者が装着するための取付部として、図1(a)、(b)に示すように肩掛けベルト30a、30b、腰部ベルト32a、32b、下肢取付けベルト34a、34bとを備える。
肩掛けベルト30a、30bは、本体部10の上部の左右にそれぞれ連結して設けられ、肩を超えて、使用者の胸側に延出するように設けられている。
腰部ベルト32a、32bは、本体部10の下端の両側縁から両側に連結して設けられる。腰部ベルト32a、32bは使用者の腰の位置から左右に延出する。

【0012】
下肢取付けベルト34a、34bは、太腿を一回りする長さに設けられたもので、下肢装着部20a、20bに内蔵されるゲルアクチュエータの下端部を太腿に保持するようにして取り付けるためのものである。下肢取付けベルト34a、34bはそれぞれ左右の太腿を一回りさせ、軽く締め付けるようにしてベルトの端部を面ファスナーで係止して取り付ける。

【0013】
図1(a)、(b)は、肩掛けベルト30a、30bと、腰部ベルト32a、32bと、下肢取付けベルト34a、34bでアシストウエアを装着した状態である。本体部10、下肢装着部20a、20bは、使用者の身長に合わせて適当なサイズのものを使用すればよい。装着時に、肩掛けベルト30a、30bと腰部ベルト32a、32b、下肢取付けベルト34a、34bの長さや取付け位置を調節することで、身長等が若干相異する場合であっても共通に使用することができる。

【0014】
(アシストウエアの構成例)
図2はアシストウエアの全体構成を示す説明図である。上述したように、アシストウエアはシート状のゲルアクチュエータが内蔵される本体部10と、同じくシート状のゲルアクチュエータが内蔵される下肢装着部20a、20bと、アシストウエアを使用者が装着するための肩掛けベルト30a、30b、腰部ベルト32a、32b、下肢取付けベルト34a、34bとを備える。
なお、図2に示す実施形態では、双方の肩掛けベルト30a、30bを胸の前の位置で連結する連結ベルト31a、31bを設けている。

【0015】
また、図2に示すアシストウエアでは、本体部10と下肢装着部20a、20bに内蔵するゲルアクチュエータを、本体部10と下肢装着部20a、20bとで共通に使用することができるように、縦横の寸法を共通にした長方形状のゲルシートを用いたゲルアクチュエータを使用する構成としている。
図2で、本体部10にはゲルアクチュエータを収容する収容部10a、10bを左右に二分して設け、それぞれの収容部10a、10bにゲルアクチュエータを収容するようにしている。

【0016】
図3は、本体部10と、本体部10に連結された肩掛けベルト30a、30b、腰部ベルト32a、32bの構成を示す。図3において、下肢装着部20a、20bが省略されている理由は、本実施形態においては、下肢装着部20a、20bは、本体部10の下端部に別部材として連結する(取り付ける)構成としているからである。

【0017】
上述したように、本体部10には長方形状のゲルアクチュエータ素子を備えるゲルアクチュエータが内蔵される。ゲルアクチュエータを配置する方向は、図2に示すように、本体部10の上下方向がゲルアクチュエータの長手方向となる方向である。
本実施形態のアシストウエアでは、ゲルアクチュエータが平面方向に伸縮する作用をアシスト力(駆動力)として利用する。このため、本体部10はその中央部分を伸縮性を有する生地によって形成した伸縮部12とし、伸縮部12を上下方向に横断する配置にゲルアクチュエータを配置する。

【0018】
(ゲルアクチュエータ)
図4に、本実施形態のアシストウエアにおいて使用するゲルアクチュエータ50の構成を示す。ゲルアクチュエータ50は長方形状に形成したゲルシートの厚さ方向の両面に柔軟電極51を設け、ゲルシートの長手方向の両端に帯状に電極52a、52bを設けたものである。一方の電極52aはゲルシートの一方の面に設けた柔軟電極と導通し、他方の電極52bはゲルシートの他方の面に設けた柔軟電極と導通する。

【0019】
このゲルアクチュエータは一方と他方の柔軟電極を陽極と陰極として電圧の印加をONとすることにより平面方向(長手方向)に伸長し、電圧の印加をOFFとすることにより元の長さに復帰する作用をなす。柔軟電極は導電性を備えるとともに、電圧を印加した際にゲルシートが伸長する作用を妨げない材料であれば、適宜導電材料を使用することができる。柔軟電極としては、導電グリース、導電ゲル、導電エラストマー等を使用することができる。

【0020】
なお、ゲルアクチュエータは単層のゲルシートからなるものに限定されるものではなく、ゲルアクチュエータの伸縮力(発生力)を調節するために、ゲルシートを複数層に積層した積層構造としたものを使用することができる。ゲルシートを複数層に積層する場合は、ゲルシートの層間に柔軟電極を介在させ、柔軟電極が積層方向に交互に陽極と陰極になるように交互に柔軟電極を接続すればよい。

【0021】
ゲルアクチュエータを本体部10に内蔵して装着させる方法としては、ハトメ40を用いてゲルアクチュエータ50の電極52a、52bを本体部10に固定する方法を利用することができる。
図3において、伸縮性を有する生地によって形成した伸縮部12の両側の領域(上側の領域11a、下側の領域11b)は、伸びない生地によって形成されている。
図4に示すゲルアクチュエータ50は、ゲルシートの長手方向の一方の端部に設けた電極52aを本体部10の上側の領域11aにハトメ40により固定し、他方の端部に設けた電極52bを本体部10の下側の領域11bにハトメ40により固定することによって本体部10に取り付けることができる。

【0022】
図3、図4ではハトメ40によりゲルアクチュエータ50を固定支持する位置を、一つのゲルアクチュエータについて3個所とし、本体部10に並列して、2つのゲルアクチュエータをハトメ40を介して取り付けることを示している。
ハトメ40を介して本体部10に装着されたゲルアクチュエータは、電極52a、52bを陽極、陰極として電圧を印加する電源に接続される。
図3に示すように、伸縮部12を配置した領域を上下方向に横断するようにゲルアクチュエータ50を装着し、ゲルアクチュエータ50に印加する電圧をON-OFF制御することにより、ゲルアクチュエータ50が長手方向に伸縮する伸縮力をアクティブなアシスト力として利用することができる。

【0023】
本体部10に設けた伸縮部12は、ゲルアクチュエータ50を伸縮可能に装着することにより、ゲルアクチュエータ50の伸縮力をアシスト力として利用できるようにするものであるが、伸縮部12の弾性力もアシストウエアを装着して腰を屈曲させるような動作を行った際に、受動的なアシスト力として利用することができる。
伸縮部12を構成する生地は、所要の伸縮性を有するものであれば素材や織り方法等が限定されるものではない。

【0024】
(ゲルアクチュエータの保護カバー)
図5は、下肢装着部20a、20bの構成に用いる保護カバー14の構成を示す。
本実施形態においては、下肢装着部20a、20bでゲルアクチュエータ50を装着する部位については、保護カバー14によりゲルアクチュエータ50を覆った形態として形成している。
図5(b)は保護カバー14を展開した状態を示す。保護カバー14は、二つ折りにして、図4に示したゲルアクチュエータ50が内部に収容される大きさに形成したもので、保護カバー14を幅方向に二つ折りするようにしてゲルアクチュエータ50を収容し、折り返し端を閉止することにより、ゲルアクチュエータ50の長手方向の両端が開口した形態(長手方向が開口する筒状)となる。

【0025】
図5では、保護カバー14の上部にハトメ40によりゲルアクチュエータ50の電極52aを係止する位置を示す。保護カバー14の上部にゲルアクチュエータ50をハトメ40で取り付け、保護カバー14でゲルアクチュエータ50を被覆することにより、ゲルシートの表面の柔軟電極が外部に露出しないように保護され、柔軟電極が電気的に短絡したり、損傷したりするといった問題を回避することができる。保護カバー14の内面に、絶縁シートを配置して、柔軟電極51が電気的に短絡する問題をさらに確実に回避することもできる。また、絶縁シートとして、電気的な絶縁性に加えて、柔軟電極51との間の滑り性を向上させるフィルムを使用することにより、ゲルアクチュエータ50による伸縮作用が有効に作用し、ゲルアクチュエータ50のアシスト力を好適に利用することができる。

【0026】
なお、前述した本体部10にゲルアクチュエータ50を装着する方法においても、下肢装着部20a、20bと同様に、ゲルアクチュエータ50を保護カバー14であらかじめ被覆したものを装着することも可能である。ゲルアクチュエータ0の一方の電極52aについては保護カバー14とともに、伸縮部12の上側の領域11aにハトメ40を用いて取り付け、ゲルアクチュエータ50の他方の電極52bについては下側の領域11bにハトメ40で取り付ける。このとき、保護カバー14の下側部分については、ゲルアクチュエータ50の伸縮作用が阻害されないように、本体部10の下側の領域11bに取り付けず、フリー状態にする。
この場合も、保護カバー14の内面に、柔軟電極との滑り性の良い絶縁シートを配置する方法も同様に利用することができる。

【0027】
(下肢取付けベルト)
図6に下肢装着部20a、20bに装着する下肢取付けベルト34a、34bの構成例を示す。図6(a)は左側の太腿に取り付ける下肢取付けベルト34a、図6(b)は右側の太腿に取り付ける下肢取付けベルト34bの平面図である。
下肢取付けベルト34a、34bは、伸びない生地を用いて、全体形状がベルト状に形成される。ベルト部材の表側と裏側の巻き付け端の位置に、脱着係止用の面ファスナー35を設け、ベルト部材の中途に長手方向に伸縮するゴム部材36を設ける。また、ベルトの中途位置に、ゲルアクチュエータ50の幅寸法と略同幅で側方に延出する接続片部37を設ける。接続片部37はゲルアクチュエータ50の電極(図5の電極52b)をハトメ40で取り付けるための部位である。

【0028】
図2に示すように、下肢装着部20a、20bの下端部には、下肢取付けベルト34a、34bが設けられる。
左腿に取り付ける下肢装着部20aは、保護カバー14の上部にゲルアクチュエータ50の上側の電極52aをハトメ40により取り付け、ゲルアクチュエータ50の下側の電極52bを左側用の下肢取付けベルト34aの接続片部37にハトメ40により取り付け、保護カバー14を二つ折りし、ゲルアクチュエータ50を保護カバー14で覆って形成する。
右腿に取り付ける下肢装着部20bは、保護カバー14にゲルアクチュエータ50を取り付け、右側用の下肢取付けベルト34bをゲルアクチュエータ50に取り付けて形成する。

【0029】
ゲルアクチュエータ50を保護カバー14により被覆した状態で、保護カバー14の下端部は開口し、ゲルアクチュエータ50の下側の電極52bはそれぞれ下肢取付けベルト34a、34bにハトメ40により係止されているから、保護カバー14によってゲルアクチュエータ50が長手方向に伸縮する動作が阻害されることはない。

【0030】
左右の下肢装着部20a、20bを、本体部10の下端部の左右の位置にそれぞれ取り付けることにより、図2に示すアシストウエアが得られる。
本体部10の下端部に下肢装着部20a、20bを装着する方法としては、本体部10の下端部に下肢装着部20a、20bの保護カバー14の上端部を重ね合わせ、本体部10と保護カバー14とゲルアクチュエータ50とをハトメ40で合わせて取り付ける方法により装着することができる。

【0031】
本実施形態のアシストウエアは、上述したように、能動的(アクティブ)にアシスト力を作用させる駆動源として、本体部10に2つ、下肢装着部20a、20bにそれぞれ1つのゲルアクチュエータ50を内蔵する。これらのゲルアクチュエータ50は長手方向の両端に設けた電極52a、52b間に印加する電圧をON-OFFすることにより長手方向に伸縮する。したがって、本体部10と下肢装着部20a、20bにゲルアクチュエータ50を装着した状態で、これらのゲルアクチュエータ50の電極52a、52bは。それぞれ共通に導通するように配線が設けられ、電極52aと電極52bは電源部の陽極と陰極に接続される。

【0032】
電源部から共通の電極52a、52bに供給される電圧は、アシストウエアの使用者が、たとえば腰を屈曲する動作、屈曲した腰を伸長させる動作に応じてON-OFF制御される。この印加電圧のON-OFF制御は、使用者の動作を検知するセンサと、センサによる検知結果に基づいて電圧を制御する制御部によってなされる。電源部と制御部とを備える制御装置は、アタッチメントとして腰部に装着されている。

【0033】
(アシストウエアの作用)
本実施形態のアシストウエアは、図1(a)、(b)に示すように、肩掛けベルト30a、30bと腰部ベルト32a、32bを長さ調節して連結し、本体部10を背負うようにして装着する。胸の前で連結ベルト31a、31bを連結することで本体部10をしっかりと装着することができる。
下肢装着部20a、20bについては、下肢装着部20a、20bの下端部に取り付けた下肢取付けベルト34a、34bを、それぞれ左側の太腿と右側の太腿を一周させ、面ファスナー35によって係止する。下肢取付けベルト34a、34bにゴム部材36が設けられているから、下肢取付けベルト34a、34bは弾性的に取り付けることができる。

【0034】
なお、下肢装着部20a、20bを装着する際には、図1(a)、(b)に示すように、下肢装着部20a、20bがある程度弛むようにして装着する。下肢装着部20a、20bを弛ませるようにして装着する理由は、腰を屈曲させる動作が下肢装着部20a、20bによって妨げられないようにするためである。
前述したように、下肢装着部20a、20bのゲルアクチュエータ50は、本体部10の下端部(保護カバー14の上部)と下肢取付けベルト34a、34bとの間を連結するように装着されている。下肢取付けベルト34a、34bの取付け位置を腰部(本体部10の下端部)から離し過ぎてしまうと、腰部を屈曲させる動作を開始したときから、ゲルアクチュエータ50による弾性的な引っ張り作用が強く作用するおそれがある。ゲルアクチュエータ50は、アクチュエータそのものも弾性を備えており、電極52a、52b間に電圧を印加しないときでも、ある程度は伸縮性を備えているからである。

【0035】
ゲルアクチュエータ50によるアクティブなアシスト力は、ゲルアクチュエータ50に電圧を印加して、ゲルアクチュエータ50が伸長した状態から元の長さに戻るときの力に基づく。したがって、ゲルアクチュエータ50に電圧を印加してゲルアクチュエータ50がもっとも伸びた状態で使用者が屈曲状態になるようにするのがよい。
下肢装着部20a、20bを弛ませて装着している理由は、使用者が腰を最大に屈曲した状態でゲルアクチュエータ50が最大に伸びた状態になるようにするためである。

【0036】
本体部10に装着したゲルアクチュエータ50については、使用者が腰を徐々に屈曲させていくにしたがってゲルアクチュエータ50に印加する電圧を上げていき、最大に腰を屈曲させた状態でゲルアクチュエータ50が最大に伸長した状態になるように制御する。
腰を最大に屈曲させた状態から腰を伸長させる方向へ反転的に動作が開始されると、ゲルアクチュエータ50に印加する電圧がOFFとなり、ゲルアクチュエータ50は電圧を印加して伸長した状態から元の長さへ戻ろうとする。このゲルアクチュエータ50の復元力は使用者の腰を伸長させる方向へのアシスト力として作用する。

【0037】
本実施形態のアシストウエアにおいて、ゲルアクチュエータ50に印加させる電圧をON-OFFさせる作用は、能動的にゲルアクチュエータを伸縮させる作用であり、ゲルアクチュエータ50の弾性力、すなわち受動的(パッシブ的)なアシスト作用にアクティブなアシスト作用が重畳した作用となる。
ゲルアクチュエータ50によるこのアシスト作用を、使用者が腰を屈曲させた状態から腰を伸展させる状態に復帰しようとするタイミングに合わせて作用させることにより、腰を屈曲させて重量物を持ち上げるといった作業のアシストに効果的に利用することが可能である。

【0038】
本実施形態のアシストウエアは、素材そのものが柔らかい、ゲルアクチュエータ50を利用してアシスト力を作用させるから、人体に装着したときの装着性がきわめて良好である。また、ゲルアクチュエータ50は軽量であり、電極52a、52bに電圧を印加していないとき、すなわち駆動しないときでも柔軟であることから、着用したまま動作することは容易であり、必要時のみにアシスト力が作用するように駆動して使用するといった使い方ができるという利点もある。
また、電動モータといった機械的機構を備えないことから、構成が簡易であり、低価格で提供することが可能であり、アシストウエアとして手軽に使用できるという利点もある。

【0039】
(アシストウエアの他の構成)
上記実施形態のアシストウエアでは、本体部10と下肢装着部20a、20bにゲルアクチュエータ50を装着する構成としたが、本体部10のみを備える構成とし、下肢装着部20a、20bについては省く構成とすることも可能である。
また、本体部10と下肢装着部20a、20bには平面形状が長方形で、縦横寸法が同一であるゲルアクチュエータ50を共通に使用したが、たとえば本体部10については1枚のシート状のゲルアクチュエータを使用する、といったことも可能である。

【0040】
上記実施形態のように、長方形状のゲルアクチュエータ50を使用する場合には、長手方向がアシスト力を作用させる長手方向となるようにゲルアクチュエータ50の配置方向を設定することにより、ゲルアクチュエータ50の伸縮力を効果的にアシスト力として利用することができる。上記例では、本体部10と下肢装着部20a、20bに長方形状のゲルアクチュエータ50を使用したが、さらに細幅としたゲルアクチュエータを、長手方向をアシスト力を作用させる伸縮方向として複数例に配置して用いる方法も有効である。
上記実施形態のアシストウエアでは、本体部10や下肢装着部20a、20bを構成する基材として繊維状の生地材を使用したが、アシストウエアの生地材には種々の基材を使用することができる。

【0041】
図7はアシストウエアの本体部10の他の構成例を示す。前述したように、本体部10にはシート状のゲルアクチュエータ50を内蔵してゲルアクチュエータ50の収縮力をアシスト力として利用する。このゲルアクチュエータ50による発生力をアシスト力として効果的に作用させる方法として、図7に示すように本体部10の上部(肩位置からやや下がった位置)にゲルアクチュエータ50の発生力が背面に対し直交して作用するようにパッド60を介装させる方法が考えられる。図7はパッド60を装着した場合のゲルアクチュエータ50の発生力による作用を示したものである。
パッド60を装着することにより、ゲルアクチュエータ50の発生力F1が、腰位置を支持点として引き戻すときのアシスト力F2として作用し、ゲルアクチュエータ50による発生力をより効果的にアシスト力として作用させることが可能である。
アシスト力F1の場合に腰を支点するモーメントがF1・Lmであるのに対して、アシスト力F2の場合はF2・Lfになるので、Lm<Lfであることから腰回りのモーメントが増大する。

【0042】
なお、図7に示した記号は、それぞれ、O:第5腰椎(L5) と仙骨(S1)の結合点、F1:アシスト装置が発生させる力、F2:アシスト装置による張力、L1:OからF1までの腕長さ、L2:OからF2までの長さ、W:体軸の重心にかかる重力(上半身の合成荷重)、Lw:MからWまでの長さ、Fm:脊柱起立筋による筋張力、Lm:Oから脊柱起立筋までの長さ、Fa:腹圧力、La:OからFaまでの長さである。

【0043】
実施形態のアシストウエアでは、シート状のゲルアクチュエータ50を使用することにより、柔らかくて装着性の良いアシストウエアを実現した。電極に柔軟電極を用いたゲルアクチュエータは、きわめて柔軟性が高いことから、平面方向の伸縮力を利用するかわりに、このゲルアクチュエータを積層構造とし、積層方向での発生力をアシスト力として利用することも可能である。
すなわち、ゲルシートを厚さ方向に積層し、ゲルシートの層間に柔軟電極を介在させた、積層構造のゲルアクチュエータは、平面方向に伸縮すると同時に、厚さ方向にも収縮する。したがって、この厚さ方向の収縮作用により生じる発生力をアシスト力として利用することができる。
ゲルシートを厚さ方向に積層したゲルアクチュエータは、多数層に積層した積層体を厚さ方向に収縮するユニットとして構成し、たとえば、使用者の背面に腰と肩とを結ぶサポート帯を設け、このサポート帯の中間に伸縮方向に合わせて伸縮するようにユニットを配置することにより厚さ方向の伸縮力を腰サポート用のアシスト力として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 本体部
10a、10b ゲルアクチュエータの収容部
12 伸縮部
14 保護カバー
20a、20b 下肢装着部
30a、30b 肩掛けベルト
31a、31b 連結ベルト
32a、32b 腰部ベルト
34a、34b 下肢取付けベルト
35 面ファスナー
36 ゴム部材
40 ハトメ
50 ゲルアクチュエータ
51 柔軟電極
52a、52b 電極
60 パッド






図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
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【図6】
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【図7】
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