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明細書 :評価システム、評価方法及びプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-021011 (P2019-021011A)
公開日 平成31年2月7日(2019.2.7)
発明の名称または考案の名称 評価システム、評価方法及びプログラム
国際特許分類 G06Q  50/10        (2012.01)
FI G06Q 50/10
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2017-138751 (P2017-138751)
出願日 平成29年7月18日(2017.7.18)
発明者または考案者 【氏名】池田 潤
【氏名】森本 行人
出願人 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100106909、【弁理士】、【氏名又は名称】棚井 澄雄
【識別番号】100188558、【弁理士】、【氏名又は名称】飯田 雅人
【識別番号】100169764、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 雄一郎
審査請求 未請求
テーマコード 5L049
Fターム 5L049CC11
要約 【課題】低コストで客観的な格付け指標を算出する学術雑誌評価システムを提供する。
【解決手段】評価システムは、論文集に掲載された論文の著者が所属する機関の情報およびその機関がどの国の機関であるかを示す情報のうち少なくとも一方に基づいて、当該論文集の多様性に対する評価値を算出する評価値算出部、を備える。評価システムは、例えば、機関の数と国の数の合計値に基づいて評価値を算出する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
論文集に掲載された論文の著者が所属する機関の情報および前記機関がどの国の機関であるかを示す情報のうち少なくとも一方に基づいて、当該論文集の多様性に対する評価値を算出する評価値算出部、
を備える評価システム。
【請求項2】
前記評価値算出部は、多様性の評価値を算出する対象となる前記論文集について、前記機関の情報を集計して得られる機関数と、前記国の情報を集計して得られる国数とに基づいて、前記評価値を算出する、
請求項1に記載の評価システム。
【請求項3】
前記評価値算出部は、αおよびβおよびnを所定の定数とした場合、以下の式によって、前記論文集の評価値を算出する、
評価値 = log(α×前記国数+β×前記機関数)
請求項2に記載の評価システム。
【請求項4】
前記評価値算出部によって、前記論文集に掲載された論文の発表を行う会議体に対する評価値を算出する、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の評価システム。
【請求項5】
論文集に掲載された論文の著者が所属する機関の情報および前記機関がどの国の機関であるかを示す情報のうち少なくとも一方に基づいて、当該論文集の多様性に対する評価値を算出するステップ、
を有する評価方法。
【請求項6】
コンピュータを、
論文集に掲載された論文の著者が所属する機関の情報および前記機関がどの国の機関であるかを示す情報のうち少なくとも一方に基づいて、当該論文集の多様性に対する評価値を算出する手段、
として機能させるためのプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、論文集の評価システム、評価方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
学術雑誌を評価する指標として、インパクト・ファクターが知られている。インパクト・ファクターは、その学術雑誌に掲載された論文の被引用数に基づいて算出される。また、THEやQSに代表される大学等のランキングの評価項目にも、その大学の研究者が書いた論文の被引用数が含まれている。
【0003】
関連する技術として、例えば特許文献1には、インパクト・ファクターを算出する際に参照される学術雑誌は、例えば英語で書かれた学術雑誌に限定されていることや、論文の選定が一部の査読者によってなされており、その選定基準から閉鎖性や偏見性を排除できないといった課題に対し、研究者が自身の論文をインターネット上の学術研究論文格付けサイトに公開し、その論文がダウンロードされた回数に基づいて、研究者や論文に対する評価値を算出する学術研究論文の格付けサイトに関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2004-5326
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
学術雑誌に掲載されている論文の被引用数は、例えば、Scopus(登録商標)等の商用データベースに登録されているデータを集計して算出する。しかし、特許文献1でも述べられているとおり、このデータベースに登録されていない学術雑誌は、評価対象とはならず、また、被引用数の高さが必ずしもその学術雑誌の質、評価を表すものではないことから、他の観点から学術雑誌を評価する指標が求められている。
【0006】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる評価システム、評価方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、論文集に掲載された論文の著者が所属する機関の情報および前記機関がどの国の機関であるかを示す情報のうち少なくとも一方に基づいて、当該論文集の多様性に対する評価値を算出する評価値算出部、を備える評価システムである。
【0008】
本発明の一態様によれば、前記評価値算出部は、多様性の評価値を算出する対象となる前記論文集について、前記機関の情報を集計して得られる機関数と、前記国の情報を集計して得られる国数とに基づいて、前記評価値を算出する。
【0009】
本発明の一態様によれば、前記評価値算出部は、αおよびβおよびnを所定の定数とした場合、以下の式によって、前記論文集の評価値を算出する。
評価値 = log(α×前記国数+β×前記機関数)
【0010】
本発明の一態様によれば、前記評価値算出部によって、前記論文集に掲載された論文の発表を行う会議体に対する評価値を算出する。
【0011】
本発明の一態様によれば、論文集に掲載された論文の著者が所属する機関の情報および前記機関がどの国の機関であるかを示す情報のうち少なくとも一方に基づいて、当該論文集の多様性に対する評価値を算出するステップ、を有する評価方法である。
【0012】
本発明の一態様は、コンピュータを、論文集に掲載された論文の著者が所属する機関の情報および前記機関がどの国の機関であるかを示す情報のうち少なくとも一方に基づいて、当該論文集の多様性に対する評価値を算出する手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、低コストで客観的に論文集の多様性を定量的に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による学術雑誌評価システムの機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による学術雑誌の評価値の算出処理を説明する第1の図である。
【図3】本発明の一実施形態による学術雑誌の評価値の算出処理を説明する第2の図である。
【図4】本発明の一実施形態による学術雑誌の評価値の算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態による学術雑誌評価システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
以下、本発明の一実施形態による学術雑誌評価システムを図1~図5を参照して説明する。本実施形態による学術雑誌評価システムは、1台または複数台のPC(personal computer)やサーバ端末装置などのコンピュータに実装される。学術雑誌評価システムは、評価対象の学術雑誌の目次等を参照して、その学術雑誌に掲載されている論文に関する書誌的な事項を入力するだけで、その学術雑誌の評価値を算出することができるシステムである。

【0016】
図1は、本発明の一実施形態による学術雑誌評価システムの機能ブロック図である。
図1に示す学術雑誌評価システム10は、データ取得部11と、評価値算出部12と、出力部13と、記憶部14と、を備えている。
データ取得部11は、評価対象の学術雑誌について、その学術雑誌の名称と、学術雑誌に掲載された論文ごとの論文の著者が所属する機関の情報(機関名)、その機関が設立された国の情報(国名)とを取得する。あるいは、データ取得部11は、評価対象の学術雑誌ごとに、その学術雑誌に掲載された論文の著者が所属する機関の数、その機関が設立された国の数の情報を取得してもよい。この他にもデータ取得部11は、評価対象の学術雑誌に掲載された論文のタイトル、著者の情報等を取得してもよい。なお、データ取得部11は、所定の期間(例えば1年間)に刊行された評価対象雑誌の各巻、各号における国や機関の情報等を取得してもよい。

【0017】
評価値算出部12は、評価対象の学術雑誌に掲載された論文の著者が所属する機関の情報およびその機関がどの国の機関であるかを示す情報のうち少なくとも一方に基づいて、当該学術雑誌の多様性に対する評価値を算出する。ここで多様性に対する評価値とは、学術雑誌に掲載された論文に関係する機関や国が、どの程度、多岐にわたっているかを示す指標であって、異なる国や機関が多く含まれているほど大きな値を示す。具体的には、評価値算出部12は、データ取得部11が取得した論文の著者が所属する機関やその機関が所属する国の情報を集計して、学術雑誌ごとの機関数、国数を算出する。そして、評価値算出部12は、算出した機関数、国数を用いて、以下の式によって多様性に関する評価値iMD(index for Measuring Diversity)を算出する。
iMD = log(α×国数+β×機関数)・・・(1)
ここで、α、βは定数であって、それぞれ国数、機関数に対する重み付け係数である。また、国数、機関数は延べ数ではなく、それぞれ実体としての国の数、機関の数である。

【0018】
出力部13は、評価値算出部12が算出した評価値を、学術雑誌評価システム10に接続された表示装置、プリンタ等に出力する。
記憶部14は、評価対象となる複数の学術雑誌についての評価値iMDなど、諸々のデータを記憶する。なお、記憶部14は、評価値算出部12が稼働するコンピュータが備える記憶装置でもよいし、外部(例えば、データセンタ等)の記憶装置であってもよい。

【0019】
なお、学術雑誌評価システム10には、マウス、キーボード、タッチパネルなどの入力装置や、液晶ディスプレイなどの表示装置が接続され、ユーザは、これらの入力装置を用いて、学術雑誌評価システム10へ各種データや指示操作の入力を行う。また、表示装置は、出力部13が出力した評価値の表示などを行う。

【0020】
図2は、本発明の一実施形態による学術雑誌の評価値の算出処理を説明する第1の図である。
図2(a)にある学術雑誌Wを示す。学術雑誌Wには、論文1(タイトル「X」、著者「A」、所属機関「a」)、論文2(タイトル「Y」、著者1「B」、著者1の所属機関「b」、著者2「C」、著者2の所属機関「c」)、論文3(タイトル「Z」、著者「D」、所属機関「c」)・・・・が掲載されている。
また、各所属機関がどの国の機関であるかを定めた表が予め用意されている。図2(b)に所属機関と国の関係を記載した表の一例を示す。図2(b)の表によれば、所属機関「a」は「d1」国の機関であり、所属機関「b」は「d2」国の機関であり、所属機関「c」も「d2」国の機関である。
ユーザは、学術雑誌Wの雑誌名と、学術雑誌Wに含まれる論文ごとの著者が所属する機関の情報と、その機関に対応する国の情報を学術雑誌評価システム10に入力する。また、ユーザは、これらの情報の他に、学術雑誌Wの掲載される論文の言語(日本語、英語、ドイツ語等)の情報、学術雑誌Wが扱う学術分野の情報、論文の著者名、論文のタイトル等の情報を学術雑誌評価システム10に入力してもよい。

【0021】
ここで論文2のように複数の著者による共著の場合、例えば、著者「B」(所属機関「b」)による論文と、著者「C」(所属機関「c」)による論文の合計2つの論文が雑誌Wに掲載されている場合と変わりなく、ユーザは、所属機関「b」および国「d2」のデータ1件と、所属機関「c」および国「d2」のデータ1件とを学術雑誌評価システム10に入力する。仮に学術雑誌Wに掲載されている論文が図2(a)に例示する論文1~論文3だけであるとするならば、この学術雑誌Wの機関数は「3」、国数は「2」となる。

【0022】
図3は、本発明の一実施形態による学術雑誌の評価値の算出処理を説明する第2の図である。
図3にユーザが学術雑誌評価システム10に入力した各データの集計値と、機関数および国数を用いて算出された評価値の例を示す。例えば、1行目に記載した学術雑誌W1は、日本語で論文を掲載する理工学分野の学術雑誌であって、例えば1年間に発行された学術雑誌W1に掲載された論文の著者数(延べ人数)は「500」人、論文数は「300」編、著者が所属する機関は「130」、それら「130」の機関が設置された国の数は「2」であることを示している。他の学術雑誌W2~W5についても同様である。各雑誌の特徴について、さらに詳細にみると、例えば、学術雑誌W1は、国数こそ少ない(国数=2)が、機関数は「130」と多く多様性に富み、学術雑誌W2は、国数の値が大きく、国際色豊かな雑誌であるといえる。

【0023】
次に評価値算出部12が算出する評価値iMDについて説明する。上述のとおりiMDは式(1)で算出される。ここで、学術雑誌W1についての評価値をiMD(W1)とし、重み付け係数を均等にした場合(α=β=1)、iMD(W1)は以下で示される。
iMD(W1) = log2(1×2+1×130)=7.04・・・
同様に学術雑誌W2の評価値iMDは以下のように算出できる。
iMD(W2) = log2(1×28+1×90)=6.88・・・
以下、同様にW3のiMD(W3)は約6.75、W4のiMD(W4)は約5.90、W5のiMD(W5)は約5.16、W6のiMD(W6)は約4.52と算出することができる。学術雑誌W1~W6に対するiMDを比較すると、国数と機関数の合計値が最も大きい学術雑誌W1のiMD(W1)は最も高い値となり、国数と機関数の合計値が最も小さい学術雑誌W6のiMD(W6)は最も低い値となる。このように本実施形態の学術雑誌評価システム10によれば、従来から使用されてきた学術雑誌の商用データベースに依存せず、評価対象の学術雑誌の情報のみで、学術雑誌に用いられている言語や学術雑誌が刊行された国を問わず、その学術雑誌が収録する論文に関する国や機関の多様性に応じた評価値を算出することができる。

【0024】
また、例えば、学術雑誌W1と学術雑誌W2を比較すると、学術雑誌W1の国数(「2」)の値は小さく、学術雑誌W2の国数(「28」)の値は大きい。このような場合、多様性の内容として、機関数よりも国数を重要視するならば、例えば、学術雑誌W2の評価値が学術雑誌W1の評価値よりも大きな値となるようなαとβを用いて評価することができる。一例として、α=2、β=1に設定した場合の評価値について、図3の「評価値(α=2、β=1)」欄に示す。この場合、学術雑誌W1のiMDは約7.06、学術雑誌W2のiMDは約7.18となる。

【0025】
また、学術雑誌W2と学術雑誌W3の機関数について比較すると、学術雑誌W2の機関数(「90」)よりも学術雑誌W3の機関数(「105」)のほうが大きい。これに対し、多様性の内容として、国数よりも機関数を重要視するならば、例えば、学術雑誌W3の評価値が学術雑誌W2の評価値よりも大きな値となるようなαとβを用いて評価することができる。一例として、α=1、β=2に設定した場合の評価値について、図3の「評価値(α=1、β=2)」欄に示す。この場合、学術雑誌W2のiMDは約7.70、学術雑誌W3のiMDは約7.73となる。このように、本実施形態の指数iMDによれば、投稿された論文に関する国数、機関数に任意の重み付けを与えて学術雑誌の多様性を評価することができる。

【0026】
なお、出願人は、従来用いられてきたインパクト・ファクターの評価対象となっている(比較的有名な)学術雑誌を含む多数の学術雑誌についてα=1、β=1としてiMDを算出した。すると、インパクト・ファクターで高い評価が与えられている学術雑誌についてのiMDの値は、おおむね高い値を示す結果となった。このことから、本実施形態のiMDを導入することで、従来行われてきた学術雑誌に対する格付け評価とも大きな齟齬をきたすことなく、これまで評価対象とされることがなかった学術雑誌についても評価を行うことができると考えられる。

【0027】
また、iMDの算出に用いる学術雑誌ごとの国数や機関数は、インパクト・ファクターの算出に用いられるScopus(登録商標)等の商用データベースに登録された情報からも容易に抽出できる情報である。従って、これらの商用データベースを利用することで、インパクト・ファクターの評価対象となっている学術雑誌については、速やかにiMDを算出することができる。
iMDは、インパクト・ファクターの代わりの指標として用いることができるだけでなく、インパクト・ファクター等の従来用いられてきた指標を補うものとして用いることができる。

【0028】
次に学術雑誌評価システム10による評価値iMDの算出処理の流れを図2、図4を参照して説明する。
図4は、本発明の一実施形態による学術雑誌の評価値の算出処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ユーザが、学術雑誌別に論文ごとの国、機関の情報を学術雑誌評価システム10に入力する。例えば、ユーザは、1年間に刊行された学術雑誌Wの各巻の全論文について、論文1のタイトル「X」,著者名「A」,機関名「a」,国名「d1」、論文2のタイトル「Y」,著者名「B」,機関名「b」,国名「d2」,著者名「C」,機関名「c」,国名「d3」等を入力する。データ取得部11は、入力された情報を取得し(ステップS11)、記憶部14に記録する。ユーザは、多様性の評価対象とする1種類または複数種類の学術雑誌について、国、機関の情報入力を行う。また、ユーザは、評価対象の学術雑誌の所定期間に刊行された各誌について、国や期間の情報を入力してもよい。

【0029】
次にユーザが、式(1)で用いる重み付け係数α、βを入力する。データ取得部11は、入力された重み付け係数α、βの値を取得し(ステップS12)、取得したα、βを記憶部14に記録する。なお、ユーザは、各学術雑誌について、国数と機関数とに均等に重きを置いた指標、国数に重きを置いた指標、機関数に重きを置いた指標の各々を得るために、例えば、αとβに同じ値を設定する第1設定情報と、α(国数)により大きな値を設定する第2設定情報と、β(機関数)により大きな値を設定する第3設定情報との3種類の重み付け係数の組み合わせを入力してもよい。

【0030】
次にユーザが、評価値の算出を指示する操作(例えば、特定のキーを押下するなど)を学術雑誌評価システム10に対して行う。すると、評価値算出部12が、雑誌ごとの評価値を算出する(ステップS13)。具体的には、評価値算出部12は、まず、ある学術雑誌Wについて、ステップS11で入力された学術雑誌Wの1年分のデータのうち、国の情報、機関の情報を集計して、学術雑誌Wの国数、機関数を算出する。次に評価値算出部12は、集計後の国数、機関数、ステップS12で入力されたα、βの値を上記の式(1)に適用して、iMD(W)を算出する。評価値算出部12は、他の学術雑誌についても同様にしてiMDの値を算出する。評価値算出部12は、学術雑誌ごとのiMDの値を記憶部14に記録する。また、出力部13は、評価値算出部12が算出したiMDの値を出力し、表示装置に表示する(ステップS14)。これにより、学術雑誌の多様性の観点からの格付け指標を、被引用数を用いることなく自動で算出することができる。

【0031】
なお、ステップS12で複数のα、βの組み合わせが入力された場合、評価値算出部12は、ステップS13で各組み合わせについてのiMDを算出する。例えば、上記の例では、国数と機関数に同程度の重み付けを付した場合のiMD、国数に重きを置いた場合のiMD、機関数に重みを置いた場合のiMD、の3種類のiMDを算出する。これにより、ユーザは1種類の学術雑誌について、異なる観点からの多様性を把握することができる。例えば、図3で例示した学術雑誌W1であれば、国数と機関数に同程度の重み付けを付した場合のiMDの大きさから機関数と国数の合計値が大きいことが分かり、機関数に重きを置いた場合のiMDの大きさから学術雑誌W1に投稿する機関数が多いことが分かる。また、国数に重きを置いた場合のiMDから、学術雑誌W1に投稿する機関が存在する国は少ないことが分かる。

【0032】
従来、学術雑誌の評価には、評価対象となる学術雑誌の被引用数が用いられることが多かった。被引用数を用いる方法の場合、正確な値を求めようとすると世界中で刊行されている全ての学術雑誌を対象として、評価対象の学術雑誌が引用されているかどうかを確認しデータベース化しなければならない。しかし、この作業は現実的に困難であり、実際、Scopus(登録商標)等の商用データベースに登録されている学術雑誌は一部のものに限られている。特に人文学分野の学術雑誌や、日本語等の英語ではない言語で編纂された学術雑誌はデータベースに登録されていないことが多く、評価の対象外となる場合が多い。これに対し、本実施形態のiMDであれば、世界中のどの学術雑誌で引用されているかなどを把握する必要がなく、単に評価対象の学術雑誌の書誌的な事項(国や機関の情報)を登録するだけで、確実に正確な評価値を得ることができる。つまり、本実施形態の学術雑誌評価方法によれば、商用データベースに登録されていない学術雑誌の格付け指標を、低コストで客観的に算出することができ、従来は評価対象外となっていた学術雑誌の質(多様な研究者による論文を掲載する学術雑誌に対して、より高いスコアを与えるという観点から見た場合の質)を定量的に評価することが可能となる。

【0033】
また、本実施形態のiMDであれば、従来の被引用数の場合に起こりがちであったデータベースへ登録されていないことによる低評価や、例えば悪い例として引用されていても評価値としては大きな値が得られてしまうこと等により生じる不公平感がなく、研究者にとって公平で客観的な評価値を得ることができる。特に世界的な学術情報データベースへの学術雑誌の登録が少なく、これまで過小評価されがちであった人文学分野、あるいは、日本文学の研究など日本語で論文を記述する機会が多い分野の学術雑誌や研究者に対して正当な評価を与えることができる。

【0034】
また、本実施形態の学術雑誌評価システム10は、国、言語に関わらず利用することができ、より多様な研究者によって論文が投稿された学術雑誌の周知度を向上させ、投稿数増加につなげる効果を得ることができる。

【0035】
また、従来の被引用数による方法に比べ、データベースの作成やメンテナンスに要する作業負担を著しく軽減することができる。本実施形態のiMDであれば、比較的少ない労力・コストで導入、運用することができ、これらの分野の学術雑誌や研究者の評価を行うことができる。

【0036】
さらに、より多くの国や機関から論文投稿があった場合、学術雑誌の編集者には大きな負担が掛かるが、これまでその負担を評価するシステムは無かった。本実施形態の学術雑誌評価システム10であれば、iMDによって、学術雑誌の編集者の負担を評価することができる。

【0037】
なお、本実施形態の学術雑誌評価システム10は、学術雑誌の格付け指標として用いる他に、例えば、ある大学の研究者による論文が掲載された学術雑誌のiMDを参考にすることで、以下のような場面で活用することができる。(1)学位授与機構における大学研究力評価の基礎データとしての利用。(2)個々の大学による研究者の人事・業績評価の基礎データとしての利用。(3)商用大学ランキングにおける大学の研究力評価の基礎データとしての利用。

【0038】
図4は、本発明の一実施形態による学術雑誌評価システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の学術雑誌評価システム10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述したデータ取得部11、評価値算出部12、出力部13の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。なお、主記憶装置902、補助記憶装置903は記憶部14に対応する。

【0039】
なお、学術雑誌評価システム10の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより評価値算出部12等による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。なお、学術雑誌評価システム10は、複数のコンピュータ900によって構成されていても良い。

【0040】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、本実施形態に係る多様性を示す指標iMD及びその算出方法を適用する論文集には、学術雑誌の他、定期または不定期の学術刊行物、大学や研究組織が発行する紀要、学会誌、機関誌、複数の著者によって編纂された学術図書、論考集などが含まれる。また、論文集には、学術会議の予稿集、要旨集、講演集が含まれる。これら予稿集等についてのiMDの値は、それ自身の評価に用いることもできるし、予稿集等に掲載された論文の発表が行われた学術会議の評価に用いることもできる。
また、実施形態では、式(1)に含まれる対数の底を2とした場合を例に説明を行ったが、底の値は2に限定されず、3、10、eなど他の値であってもよい。また、実施形態では、α、βの例として、α=β=1、α=2かつβ=1、α=1かつβ=2、の3つの例を示したが、例えば、α=1かつβ=0という設定(国数だけで評価する)や、α=0かつβ=1という設定(機関数だけで評価する)を行ってiMDを算出してもよい。なお、学術雑誌W、W1~W6は、論文集の一例である。学術会議は会議体の一例である。
【符号の説明】
【0041】
10・・・学術雑誌評価システム、11・・・データ取得部、12・・・評価値算出部、13・・・出力部、14・・・記憶部、900・・・コンピュータ、901・・・CPU、902・・・主記憶装置、903・・・補助記憶装置、904・・・入出力インタフェース、905・・・通信インタフェース
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4