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明細書 :子宮癌腔内照射用アプリケータ、子宮癌の放射線治療計画方法、及び子宮癌の放射線治療計画装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-217037 (P2017-217037A)
公開日 平成29年12月14日(2017.12.14)
発明の名称または考案の名称 子宮癌腔内照射用アプリケータ、子宮癌の放射線治療計画方法、及び子宮癌の放射線治療計画装置
国際特許分類 A61N   5/10        (2006.01)
FI A61N 5/10 U
A61N 5/10 P
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2016-111350 (P2016-111350)
出願日 平成28年6月2日(2016.6.2)
発明者または考案者 【氏名】加藤 真吾
【氏名】田巻 倫明
【氏名】宮浦 和徳
【氏名】中野 隆史
出願人 【識別番号】504013775
【氏名又は名称】学校法人 埼玉医科大学
【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100107515、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 浩一
【識別番号】100107733、【弁理士】、【氏名又は名称】流 良広
【識別番号】100115347、【弁理士】、【氏名又は名称】松田 奈緒子
【識別番号】100163038、【弁理士】、【氏名又は名称】山下 武志
審査請求 未請求
テーマコード 4C082
Fターム 4C082AE05
4C082AJ11
4C082AN01
4C082AR02
要約 【課題】CTやMRIに比べて安価でかつ簡便でありながら、ノイズが少なく分解能の高い三次元超音波画像が得られると共に、CTに比べて軟部組織の分解能が高く、MRIに比べて撮影に時間や労力がかからず、CTやMRIのように撮影のために患者を検査室まで移動する必要がないので、腔内照射アプリケータのズレや外れ等が生じることがなく、正確でかつ安全性が高い子宮癌腔内照射用アプリケータ、子宮癌の放射線治療計画方法及び子宮癌の放射線治療計画装置の提供。
【解決手段】子宮癌の腔内照射に用いられ、超音波を送受波する超音波探触子41を有する子宮癌腔内照射用アプリケータ21である。子宮放射線照射子宮用アプリケータと、膣放射線照射膣用アプリケータとを有し、子宮用アプリケータが、超音波探触子付きプローブ40を内蔵する態様、超音波探触子付きプローブが、回転可能でありかつ軸方向に移動可能である態様などが好ましい。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
子宮癌の腔内照射に用いられ、超音波を送受波する超音波探触子を有することを特徴とする子宮癌腔内照射用アプリケータ。
【請求項2】
子宮に放射線を照射する子宮用アプリケータと、膣に放射線を照射する膣用アプリケータと、を有し、
前記子宮用アプリケータが、超音波探触子を有する超音波探触子付きプローブを内蔵する請求項1に記載の子宮癌腔内照射用アプリケータ。
【請求項3】
前記超音波探触子付きプローブが、回転可能でありかつ軸方向に移動可能である請求項2に記載の子宮癌腔内照射用アプリケータ。
【請求項4】
子宮腔内及び膣腔内の少なくともいずれかに、超音波を送受波する超音波探触子を有する子宮癌腔内照射用アプリケータを挿設し、前記超音波探触子により三次元超音波画像情報を得る工程と、
前記三次元超音波画像情報に基づき、患者の正常臓器及び腫瘍の位置を同定し、腔内照射の線量分布を評価して、腔内照射を行うための治療計画を作成する工程と、
を含むことを特徴とする子宮癌の放射線治療計画方法。
【請求項5】
前記子宮癌腔内照射用アプリケータが請求項1から3のいずれかに記載の子宮癌腔内照射用アプリケータであり、前記子宮癌腔内照射用アプリケータの超音波探触子により、患者の子宮、膣、腫瘍、及びこれらの周辺組織の二次元超音波画像を取得し、前記二次元超音波画像から三次元超音波画像情報を得る請求項4に記載の子宮癌の放射線治療計画方法。
【請求項6】
子宮腔内及び膣腔内の少なくともいずれかに、超音波を送受波する超音波探触子を有する子宮癌腔内照射用アプリケータを挿置し、前記超音波探触子により三次元超音波画像情報を得る手段と、
前記三次元超音波画像情報に基づき、患者の正常臓器及び腫瘍の位置を同定し、腔内照射の線量分布を評価し、腔内照射を行うための治療計画を作成する手段と、
を有することを特徴とする子宮癌の放射線治療計画装置。
【請求項7】
前記子宮癌腔内照射用アプリケータが請求項1から3のいずれかに記載の子宮癌腔内照射用アプリケータであり、前記子宮癌腔内照射用アプリケータの超音波探触子により、患者の子宮、膣、腫瘍、及びこれらの周辺組織の二次元超音波画像を取得し、前記二次元超音波画像から三次元超音波画像情報を得る請求項6に記載の子宮癌の放射線治療計画装置。
【請求項8】
請求項4から5のいずれかに記載の子宮癌の放射線治療計画方法により作成された放射線治療計画に基づき、子宮癌腔内照射用アプリケータから超音波探触子を抜去し、遠隔操作式後充填法(RALS)により、前記子宮癌腔内照射用アプリケータの内腔に小線源を留置し、腔内放射線治療を行うことを特徴とする子宮癌の放射線治療方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、子宮癌腔内照射用アプリケータ、子宮癌の放射線治療計画方法、及び子宮癌の放射線治療計画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
子宮頸癌、子宮体癌等の子宮癌は、女性の全悪性腫瘍中でも、高い罹患率を有する疾患の一つである。前記子宮癌の日本における発生率と死亡率は、衛生状態の改善や癌検診の普及などによって1980年代以降減少傾向にあったが、2000年代になって発生率は再び増加傾向にある。また、前記子宮頸癌は、発展途上国においては、発生率及び死亡率ともに最も高い疾患の一つであり、その対策が重要な課題となっている。
【0003】
前記子宮頸癌の放射線治療法としては、体外から患部に放射線を照射する外部照射と、腔内照射とがあり、主に両者を併用することが行われている。前記腔内照射は、子宮腔内及び膣腔内に、腔内照射用アプリケータを挿置し、前記腔内照射用アプリケータに小線源を直接挿入し、子宮頸部の腫瘍に集中的に大線量の照射を行う治療法である。
【0004】
前記腔内照射においては、過度の放射線照射は腫瘍以外の正常な組織に過剰なダメージを与え、放射照射量の不足は腫瘍の再発につながる恐れがある。このため、腫瘍に対してできるだけ正確に、かつできるだけ集中するように指定した線量を放射する必要がある。そこで、前記腔内照射においては、実際の治療用線源を照射する前に、正常臓器及び腫瘍の位置を同定し、腔内アプリケータの位置や線源の停留時間を調整し、適正な線量分布を呈する放射線治療計画を作成することが極めて重要となる(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0005】
前記放射線治療計画は、患者の体の外部からX線透視、CT(Computed Tomography;コンピュータ断層撮影)、MRI(Magnetic Resonance Imaging;核磁気共鳴画像法)などにより取得した画像情報に基づき作成されることが一般的である。
【0006】
しかしながら、前記MRIは、子宮病変及び子宮周囲の軟部組織を描出するのには優れている反面、導入に高額な費用がかかり、設置場所に制限があり、撮影に時間や労力がかかる上に、ペースメーカーや他の器具、又は金属製異物が体内にある患者には実施できないという制限がある。
一方、前記CTは、前記MRIに比べて、患者の制限はなく、撮影に時間や労力がかからないため、世界的にはMRIより多く利用されているが、前記CTは前記MRIに比べて軟部組織の分解能が低いため、子宮病変と子宮周囲の軟部組織の区別が困難で、腫瘍の体積を過大評価してしまうという問題がある(例えば、非特許文献1参照)。
更に、前記CT及び前記MRIでは、撮影のために患者を検査室まで移動する必要があり、この移動に伴って、子宮腔内などに挿置した腔内照射アプリケータのズレや外れ等が生じることがあり、患者に過度の負担をかけたり治療が不正確になったりするおそれがある。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開昭59-192376号公報
【特許文献2】特開2014-140431号公報
【0008】

【非特許文献1】Acta Oncologia,2013;52:1345-1352
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、CTやMRIに比べて安価でかつ簡便でありながら、ノイズが少なく分解能の高い正確な三次元超音波画像が得られると共に、前記CTに比べて軟部組織の分解能が高く、前記MRIに比べて撮影に時間や労力がかからず、前記CTや前記MRIのように撮影のために患者を検査室まで移動する必要がないので、この移動による腔内照射アプリケータのズレや外れ等が生じることがなく、より正確でかつ患者に過度の負担をかけず安全性が高い子宮癌腔内照射用アプリケータ、子宮癌の放射線治療計画方法、及び子宮癌の放射線治療計画装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段としては、以下のとおりである。即ち、
<1> 子宮癌の腔内照射に用いられ、超音波を送受波する超音波探触子を有することを特徴とする子宮癌腔内照射用アプリケータである。
<2> 子宮に放射線を照射する子宮用アプリケータと、膣に放射線を照射する膣用アプリケータと、を有し、
前記子宮用アプリケータが、超音波探触子を有する超音波探触子付きプローブを内蔵する前記<1>に記載の子宮癌腔内照射用アプリケータである。
<3> 前記超音波探触子付きプローブが、回転可能でありかつ軸方向に移動可能である前記<2>に記載の子宮癌腔内照射用アプリケータである。
<4> 子宮腔内及び膣腔内の少なくともいずれかに、超音波を送受波する超音波探触子を有する子宮癌腔内照射用アプリケータを挿設し、前記超音波探触子により三次元超音波画像情報を得る工程と、
前記三次元超音波画像情報に基づき、患者の正常臓器及び腫瘍の位置を同定し、腔内照射の線量分布を評価して、腔内照射を行うための治療計画を作成する工程と、
を含むことを特徴とする子宮癌の放射線治療計画方法である。
<5> 前記子宮癌腔内照射用アプリケータが前記<1>から<3>のいずれかに記載の子宮癌腔内照射用アプリケータであり、前記子宮癌腔内照射用アプリケータの超音波探触子により、患者の子宮、膣、腫瘍、及びこれらの周辺組織の二次元超音波画像を取得し、前記二次元超音波画像から三次元超音波画像情報を得る前記<4>に記載の子宮癌の放射線治療計画方法である。
<6> 子宮腔内及び膣腔内の少なくともいずれかに、超音波を送受波する超音波探触子を有する子宮癌腔内照射用アプリケータを挿置し、前記超音波探触子により三次元超音波画像情報を得る手段と、
前記三次元超音波画像情報に基づき、患者の正常臓器及び腫瘍の位置を同定し、腔内照射の線量分布を評価し、腔内照射を行うための治療計画を作成する手段と、
を有することを特徴とする子宮癌の放射線治療計画装置である。
<7> 前記子宮癌腔内照射用アプリケータが前記<1>から<3>のいずれかに記載の子宮癌腔内照射用アプリケータであり、前記子宮癌腔内照射用アプリケータの超音波探触子により、患者の子宮、膣、腫瘍、及びこれらの周辺組織の二次元超音波画像を取得し、前記二次元超音波画像から三次元超音波画像情報を得る前記<6>に記載の子宮癌の放射線治療計画装置である。
<8> 前記<4>及び<5>のいずれかに記載の子宮癌の放射線治療計画方法により作成された放射線治療計画に基づき、子宮癌腔内照射用アプリケータから超音波探触子を抜去し、遠隔操作式後充填法(RALS)により、前記子宮癌腔内照射用アプリケータの内腔に小線源を留置し、腔内放射線治療を行うことを特徴とする子宮癌の放射線治療方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、従来における前記問題を解決することができ、CTやMRIに比べて安価でかつ簡便でありながら、ノイズが少なく分解能の高い正確な三次元超音波画像が得られると共に、前記CTに比べて軟部組織の分解能が高く、前記MRIに比べて撮影に時間や労力がかからず、前記CTや前記MRIのように撮影のために患者を検査室まで移動する必要がないので、この移動による腔内照射アプリケータのズレや外れ等が生じることがなく、より正確でかつ患者に過度の負担をかけず安全性が高い子宮癌腔内照射用アプリケータ、子宮癌の放射線治療計画方法、及び子宮癌の放射線治療計画装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の子宮癌腔内照射用アプリケータの一例を示す概略図である。
【図2】図2は、図1のA部の一例を示す拡大図である。
【図3】図3は、図1のA部の他の一例を示す拡大図である。
【図4】図4は、本発明の子宮癌腔内照射用アプリケータを子宮腔内及び膣腔内に挿着した状態を示す概略図である。
【図5】図5は、子宮癌の腔内照射治療法の一例を示す模式図である。
【図6】図6は、実施例1におけるファントムのCT画像である。
【図7】図7は、実施例1におけるファントムのMRI画像である。
【図8】図8は、実施例1におけるファントムの三次元超音波画像である。
【図9】図9は、参考例1における子宮頸癌患者の二次元超音波画像である。
【図10】図10は、参考例1における子宮頸癌患者のCT画像である。
【図11】図11は、参考例1における子宮頸癌患者のMRI画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(子宮癌腔内照射用アプリケータ)
本発明の子宮癌腔内照射用アプリケータは、子宮癌の腔内照射に用いられ、超音波を送受波する超音波探触子を有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。

【0014】
前記子宮癌腔内照射用アプリケータは、内部に超音波探触子を有しているので、前記子宮癌腔内照射用アプリケータを子宮腔内及び膣腔内に挿置して、子宮、膣、腫瘍、及びこれらの周辺組織の至近距離から、前記超音波探触子により超音波を正確かつ適切に送受波することが可能となるので、ノイズが少なく、分解能の高い正確な三次元超音波画像を取得することができる。

【0015】
前記子宮癌腔内照射用アプリケータは、超音波を送受波する超音波探触子を有していれば、その形状、大きさ、構造などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記子宮癌腔内照射用アプリケータの材質としては、内部にある超音波探触子によって超音波画像を得る必要があるため、樹脂が好適である。前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン、ポリエチレン、エチレンビニルアセテート、ABS、テフロン(登録商標)などが挙げられる。
前記子宮癌腔内照射用アプリケータの形状、大きさ及び構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、子宮頸癌の腔内放射線治療に従来より使用されている腔内アプリケータと同様のものを使用することができる。

【0016】
前記子宮癌腔内照射用アプリケータとしては、例えば、子宮に放射線を照射する子宮用アプリケータと、膣に放射線を照射する膣用アプリケータと、を有するものが好ましい。
前記子宮用アプリケータとしては、超音波探触子を有する超音波探触子付きプローブを内蔵しているものが好ましい。
前記超音波探触子をプローブに設ける位置、数などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記超音波探触子をプローブに設ける位置としては、プローブの側面、プローブの周面、プローブの先端、プローブの先端及び側面などが挙げられる。
前記超音波探触子の数は、1個以上が好ましく、2個以上の複数が好ましく、プローブの円周に沿ってアレイ状に多数配列することがより好ましい。

【0017】
前記超音波探触子付きプローブは、回転可能でありかつ軸方向に移動可能であることが好ましい。これにより、超音波探触子から超音波が発射され、発射された超音波は子宮、膣、腫瘍、及びこれらの周辺組織から反射され、その反射信号が再び前記超音波探触子により受波される。そして、超音波探触子付きプローブが一回転すると子宮、膣、腫瘍、及び、これらの周辺組織の二次元超音波画像(断面写真;Bモード像)が得られる。このような超音波二次元画像を、前記超音波探触子付きプローブを軸方向に一定速度で移動させながら多数枚撮影し、これらの画像を順番に重ねることにより、三次元超音波画像が得られる。
また、前記超音波探触子により得られた二次元超音波画像を、三次元(3D)画像を再構成する画像処理ソフトフェアを用いて三次元再構成することにより、三次元超音波画像を得ることができる。
なお、直接三次元画像情報が得られる超音波探触子を用いることもできる。即ち、超音波探触子付きプローブの先端部に複数個の超音波探触子を配置し、そのうちの一の超音波探触子から球面波を前方に送波し、残りの全超音波探触子で受波させ、送波する超音波探触子を順番に変換することにより、直接三次元超音波画像を取得することもできる。

【0018】
<超音波探触子>
前記超音波探触子は、超音波を送受波することができ、子宮癌の腔内照射に用いる子宮癌腔内照射用アプリケータの内部に挿入することができるものであればその形状、大きさ、材質、構造などについて特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記超音波探触子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、子宮腔内及び膣腔内の挿入方向に対して垂直な面の二次元超音波画像が得られるラジアル型が好適である。
前記超音波探触子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、日立アロカメディカル株式会社(現 株式会社日立制作所)製ラジアルプローブ体腔内探触子 R41Rなどが挙げられる。

【0019】
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、照射部位と健常な周辺臓器との間を離間させるスペーサーなどが挙げられる。

【0020】
ここで、本発明の子宮癌腔内照射用アプリケータについて、図面を参照して説明する。
図1は、子宮癌腔内照射用アプリケータ3の一例を示す概略図である。この子宮癌腔内照射用アプリケータ3は、子宮(特に子宮頸部)に放射線を照射する子宮用アプリケータ(「タンデムアプリケータ」と称することもある)21と、膣(特に膣内)に放射線を照射する膣用アプリケータ(「オポイドアプリケータ」と称することもある)20、20とを有し、子宮用アプリケータ21の両側に膣用アプリケータ20、20がそれぞれ配設されている。
3つのアプリケータ20、21、20の中で子宮用アプリケータ21が突出するように、固定部材22により位置固定されている。
図1中20a、20aは、膣壁に膣用アプリケータ20が直接当たるのを防止する緩衝部材である。
3つのアプリケータ20、21、20は、放射線照射装置(不図示)と連結されており、それぞれの内部に小線源を挿入し、数分間静止させることで腔内放射線治療を行うことができる。
前記小線源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イリジウム、コバルトなどが挙げられる。

【0021】
図2は、図1の子宮癌腔内照射用アプリケータ3の子宮用アプリケータ21のA部の拡大図である。
子宮用アプリケータ21は、先端部に超音波探触子41を有する超音波探触子付きプローブ40が内蔵されている。超音波探触子付きプローブ40は、図2中の矢印に示すように回転可能でありかつ軸方向に移動可能である。
超音波探触子41から超音波が発射され、発射された超音波は、子宮、膣、腫瘍、及びこれらの周辺組織から反射され、その反射信号が再び超音波探触子41により受波される。そして、超音波探触子付きプローブ40が一回転すると、子宮、膣、腫瘍、及びこれらの周辺組織の超音波二次元画像(断面写真;Bモード像)が得られる。このような超音波二次元画像を、超音波探触子付きプローブを軸方向に一定速度で移動させながら多数枚撮影し、これらの画像を順番に重ねることにより三次元超音波画像が取得できる。

【0022】
また、図3に示すように、超音波探触子付きプローブ40の円周に沿ってアレイ状に超音波探触子42を配列させて設けることにより、より精密かつ正確な超音波二次元画像(断面写真;Bモード像)が得られる。
また、前記超音波探触子により得られた二次元超音波画像を、三次元(3D)画像を再構成する画像処理ソフトフェア(例えば、MIM Maestro ver.6.5.2、MIM Software社製、米国)を用いて三次元再構成することにより、三次元超音波画像を得ることができる。
なお、図示を省略しているが、超音波探触子付きプローブの先端部に複数個の超音波探触子を配置し、そのうちの一の超音波探触子から球面波を前方に送波し、残りの全超音波探触子で受波させ、送波する超音波探触子で順番に変換することにより、直接三次元超音波画像を得ることもできる。

【0023】
図4は、子宮癌腔内照射用アプリケータ3を子宮11及び膣30に挿設した状態を示す模式図である。膣用アプリケータ20、20は緩衝部材20a、20aを介して膣30まで、子宮用アプリケータ21は子宮11の底部まで、挿入し、配置される。膣用アプリケータ20と子宮用アプリケータ21とを、図4に示したような配置状態で挿入することによって、子宮頸部の標的とする腫瘍に対してより効果的に放射線を照射することができる。

【0024】
以上説明したように、本発明の子宮癌腔内照射用アプリケータは、内部に超音波探触子を有しているので、CTやMRIに比べて安価でかつ簡便でありながら、ノイズが少なく分解能の高い正確な三次元超音波画像が得られるので、子宮癌の腔内照射に極めて有用であり、以下に説明する本発明の子宮癌の放射線治療計画方法、及び子宮癌の放射線治療計画装置に好適に用いられる。

【0025】
(子宮癌の放射線治療計画方法、及び子宮癌の放射線治療計画装置)
本発明の子宮癌の放射線治療計画方法は、子宮腔内及び膣腔内の少なくともいずれかに、超音波を送受波する超音波探触子を有する子宮癌腔内照射用アプリケータを挿設し、前記超音波探触子により三次元超音波画像情報を得る工程(以下、「三次元超音波画像情報取得工程」と称することがある)と、
前記三次元超音波画像情報に基づき、患者の正常臓器及び腫瘍の位置を同定し、腔内照射の線量分布を評価して、腔内照射を行うための治療計画を作成する工程(以下、「治療計画作成工程」と称することがある)と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。

【0026】
本発明の子宮癌の放射線治療計画装置は、子宮腔内及び膣腔内の少なくともいずれかに、超音波を送受波する超音波探触子を有する子宮癌腔内照射用アプリケータを挿置し、前記超音波探触子により三次元超音波画像情報を得る手段(以下、「三次元超音波画像情報取得手段」と称することがある)と、
前記三次元超音波画像情報に基づき、患者の正常臓器及び腫瘍の位置を同定し、腔内照射の線量分布を評価し、腔内照射を行うための治療計画を作成する手段(以下、「治療計画作成手段」と称することがある)と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。

【0027】
<三次元超音波画像情報取得工程及び三次元超音波画像情報取得手段>
前記三次元超音波画像情報取得工程は、子宮腔内及び膣腔内の少なくともいずれかに、超音波を送受波する超音波探触子を有する子宮癌腔内照射用アプリケータを挿置し、前記超音波探触子により三次元超音波画像情報を得る工程であり、三次元超音波画像情報取得手段により実施される。

【0028】
前記超音波探触子としては、本発明の前記超音波探触子を用いることが、CTに比べて軟部組織の分解能が高く、MRIに比べて撮影に時間や労力がかからず、前記CTや前記MRIのように撮影のために患者を移動する必要がないので、移動による腔内照射アプリケータのズレや外れ等が生じることがなく、患者に負担をかけず安全であると共に、前記CTや前記MRIに比べて簡便であり、子宮癌の腔内照射に有効な正確な画像が得られる点から好ましい。
前記超音波探触子により、患者の子宮、膣、腫瘍、及びこれらの周辺組織の二次元超音波画像を取得し、前記二次元超音波画像から三次元超音波画像情報を得ることが、放射線治療計画を適切に作成することができる点から好ましい。

【0029】
<治療計画作成工程及び治療計画作成手段>
前記治療計画作成工程は、前記三次元超音波画像情報に基づき、患者の正常臓器及び腫瘍の位置を同定し、腔内照射の線量分布を評価し、腔内照射を行うための治療計画を作成する工程であり、前記治療計画作成手段により実施される。

【0030】
前記治療計画作成工程及び前記治療計画作成手段としては、特に制限はなく、子宮頸癌の腔内放射線治療に従来から使用されているものをそのまま使用することができる。

【0031】
本発明の子宮癌の放射線治療計画方法、及び子宮癌の放射線治療計画装置においては、本発明の超音波探触子を有する子宮癌腔内照射用アプリケータから取得される三次元超音波画像は、CTから得られる画像と比較すると、軟部組織分解能に優れるため、より正確に腫瘍の位置及び体積を評価することができる。

【0032】
また、前記CT及び前記MRIでは、撮影のために、患者を検査室に移動させる必要があり、この移動により腔内照射アプリケータのズレや外れ等が生じる危険性がある。本発明では、患者を検査室に移動させる必要がないので、前記危険性が生じない。

【0033】
本発明の子宮癌の放射線治療計画方法、及び子宮癌の放射線治療計画装置は、前記MRIを用いた放射線治療計画に比べて、画像の取得に時間及び労力がかからず、安全かつ簡便であるため、毎回の腔内照射時に放射線治療計画を作成することができるという優位性がある。前記MRIを用いる場合には、撮影や治療計画に時間や労力がかかるため、必ずしも毎回の腔内照射時に前記MRIを行わないのが現状である。

【0034】
以上説明したように、本発明の子宮癌の放射線治療計画方法、及び子宮癌の放射線治療計画装置によって作成された治療計画により、腫瘍に対してできるだけ正確に、かつできるだけ集中するように指定した線量を放射する腔内照射を行うことができ、本発明の子宮癌の放射線治療方法に好適に用いられる。

【0035】
(子宮癌の放射線治療方法)
本発明の子宮癌の放射線治療方法は、本発明の子宮癌の放射線治療計画方法により作成された放射線治療計画に基づき、子宮癌腔内照射用アプリケータから超音波探触子を抜去し、遠隔操作式後充填法(RALS)により、前記子宮癌腔内照射用アプリケータの内腔に小線源を留置し、腔内放射線治療を行うものである。

【0036】
ここで、前記腔内照射を行う場合には、遠隔操作式後充填法(Remote After-Loading System;RALS)が広く用いられている。前記RALSは、子宮頸癌の治療の場合には、子宮と膣の腔内に子宮癌腔内照射用アプリケータを挿入した状態で、予め放射線治療計画を立てた後、前記治療計画に従い、遠隔操作により小線源をアプリケータ内に一定時間留置し治療する方法である。
前記RALSでは、主病巣に放射線を集中的に照射し、直腸や膀胱などの健全な臓器への障害を最小に抑える必要があるため、挿入された子宮癌腔内照射用アプリケータの位置を正確に知ることが重要となる。そのため、前記RALSにおける三次元画像誘導放射線治療において、本発明の超音波三次元画像を用いた子宮癌の放射線治療計画方法、及び子宮癌の放射線治療計画装置を用いることが極めて有用である。

【0037】
ここで、前記RALSについて、図5を用いて説明する。まず、内部に超音波探触子を有する子宮癌腔内照射用アプリケータ3を、子宮11の腔内及び膣内に挿入する。次に、前記超音波探触子を有する子宮癌腔内照射用アプリケータ3を用いて子宮腔内より子宮11、病巣、大腸10、膀胱12、小腸13等の周辺組織の三次元超音波画像を取得する。得られた三次元超音波画像を基に治療計画を立案し、大腸10、膀胱12、小腸13等の周辺組織に対する線量評価を行い、治療計画の評価及び調整をする。そして、放射線源格納装置1から小線源を線源挿入用チューブ2の中を通して、子宮癌腔内照射用アプリケータ3内へ挿入し放射線治療を行う。その際、必要に応じて子宮癌腔内照射用アプリケータ3より超音波探触子部分を抜去する。挿入された前記小線源の位置はコンピュータ制御されるため、患部に集中的に照射することが可能である。
【実施例】
【0038】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0039】
(実施例1)
<ファントムの作製>
ポリエチレンチューブを挿入した鶏肉を寒天中に埋め込んだものをファントムとして使用した。
前記ポリエチレンチューブの外径と内径は、それぞれ15mmと13mmである。
次に、腔内照射における小線源治療法の状態を再現するため、膣用アプリケータ(オポイドアプリケータ)としてMRI対応卵型アプリケータを寒天中に埋め込み、ポリエチレンチューブは子宮腔内に挿入された子宮用アプリケータ(タンデムアプリケータ)とみなした。
【実施例】
【0040】
<画像の取得>
前記作製したファントムについて、1mmのスライス間隔によりCT画像、MRI画像、及び超音波画像を取得した。
前記CT画像は、Aqilion LB(東芝メディカルシステム株式会社製、日本)、135kV、250mAを用いて測定した。
前記MRI画像は、Philips Achieva dStream(Koninklijke Philips N.V.,Nederland)を用いて測定した。
前記超音波画像は、超音波画像診断装置(ARIETTA60、日立アロカメディカル株式会社製、日本)、超音波探触子としてラジアルプローブ体腔内探触子(R41Rプローブ、日立アロカメディカル株式会社製、日本)(0~10MHz)を用い、ファントムの軸方向画像は、WP1Dの検出器ホルダー(IBA線量測定用、米国)を使用して、1mmの増分でファントム内の水で満たされたポリエチレンチューブの空洞から取得した。
【実施例】
【0041】
<画像の処理>
上記の方法で得られたCT画像、MRI画像、及び超音波画像を、三次元(3D)画像を再構成する画像処理ソフトフェア(MIM Maestro ver.6.5.2、MIM Software社製、米国)にDICOMファイル形式で出力した後、それぞれ三次元再構成し、得られた三次元MRI画像及び三次元超音波画像を三次元CT画像に手動で位置を合わせ、それぞれ登録した。
次に、鶏肉を標的体積として、前記三次元CT画像、前記三次元MRI画像、及び前記三次元超音波画像の横断画像に、それぞれ輪郭を描いた。前記輪郭線は、前記三次元超音波画像から得られた断面図に対応する、前記三次元CT画像及び前記三次元MRI画像の断面図上に表示した。
【実施例】
【0042】
<評価方法>
DSC(Dice similarity coefficient)法により、前記三次元CT画像、前記三次元MRI画像、及び前記三次元超音波画像における標的体積の形状に対する空間的な重なりの程度を評価した。また、放射線治療計画の一例として前記CT画像上で作成した線量分布について前記三次元CT画像、前記三次元MRI画像、及び前記三次元超音波画像を比較した。
次に、前記三次元CT画像、前記三次元MRI画像、及び前記三次元超音波画像から、標的体積に対する50%体積線量(D50)、90%体積線量(D90)、98%体積線量(D98)、及び100%体積線量(D100)をそれぞれ求め、比較した。
【実施例】
【0043】
<結果>
標的体積に対する前記DSC法による比値が、三次元CT画像対三次元MRI画像、三次元CT画像対三次元超音波画像、及び三次元MRI画像対三次元超音波画像において、それぞれ0.966、0.965、及び0.971であった。このことから、3つの測定方法から得られたファントムの輪郭形状が、類似していることがわかった。
次に、前記三次元CT画像、前記三次元MRI画像、及び前記三次元超音波画像から算出した標的体積に対する50%体積線量(D50)、90%体積線量(D90)、98%体積線量(D98)、及び100%体積線量(D100)との差は、それぞれ1.8%、2.9%、3.7%、及び2.9%であった。
以上の結果から、前記三次元CT画像、前記三次元MRI画像、及び前記三次元超音波画像は。いずれも高い精度で取得できていることを確認できた。
【実施例】
【0044】
次に、図6から図8は、腔内照射の小線源治療計画の一例としての三次元CT画像(図6)、三次元MRI画像(図7)、及び三次元超音波画像(図8)である。
図8に示す三次元超音波画像は、筋肉組織が高い反響信号として可視化され、周囲の寒天は低い反響信号として可視化されることがわかった。
図6と図8の結果から、三次元CT画像よりも三次元超音波画像の方が、ファントムの境界部をより明確に同定でき、三次元超音波画像は三次元MRI画像と同等の分解能を有していることがわかった。
【実施例】
【0045】
(参考例1)
<画像の取得>
子宮頸癌の患者について、前記ラジアルプローブ体腔内探触子を子宮腔内に挿置し、二次元超音波画像を取得した。結果を図9に示した。
同じ患者の子宮、膣、腫瘍、及びこれらの周辺組織のCT画像を図10、MRI画像を図11に示した。
【実施例】
【0046】
<結果>
図10と図11の画像を対比することにより、CT画像は、MRI画像に比べて軟部組織の分解能が低いことがわかった。
図9から図11の画像を比較することで、超音波画像はCT画像よりも軟部組織分解能の高い正確な画像を取得できることが確認できた。更に、実施に大掛かりな装置を必要とするCTやMRIに比べて、安価でかつ簡便でありながら、ノイズが少なく分解能の高い正確な二次元超音波画像が得られることがわかった。
このことから、アプリケータ内腔から同様に超音波画像を取得することにより、実施例1と同様な画像取得から治療計画までを行うことで、実際の患者でも同様な応用が可能であると考えられる。
【符号の説明】
【0047】
1 放射線源格納装置
2 線源挿入用チューブ
3 子宮癌腔内照射用アプリケータ
10 大腸
11 子宮
12 膀胱
13 小腸
20 膣用アプリケータ(オボイドアプリケータ)
21 子宮用アプリケータ(タンデムアプリケータ)
30 膣
40 プローブ
41 超音波探触子
42 超音波探触子
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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