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明細書 :六面体メッシュ生成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5678756号 (P5678756)
公開番号 特開2012-198847 (P2012-198847A)
登録日 平成27年1月16日(2015.1.16)
発行日 平成27年3月4日(2015.3.4)
公開日 平成24年10月18日(2012.10.18)
発明の名称または考案の名称 六面体メッシュ生成方法
国際特許分類 G06F  17/50        (2006.01)
FI G06F 17/50 612J
請求項の数または発明の数 3
全頁数 15
出願番号 特願2011-063986 (P2011-063986)
出願日 平成23年3月23日(2011.3.23)
審査請求日 平成26年2月18日(2014.2.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000125347
【氏名又は名称】学校法人近畿大学
発明者または考案者 【氏名】村瀬 晃平
個別代理人の代理人 【識別番号】100146020、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 善光
【識別番号】100062328、【弁理士】、【氏名又は名称】古田 剛啓
審査官 【審査官】合田 幸裕
参考文献・文献 特開2008-257591(JP,A)
特開2004-110212(JP,A)
特開2002-245098(JP,A)
米国特許出願公開第2007/0295700(US,A1)
米国特許出願公開第2008/0294402(US,A1)
調査した分野 G06F 17/50
IEEE Xplore
CiNii
JSTPlus(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
コンピュータを用いてシミュレーション対象を解析するためのメッシュデータを作成する六面体メッシュ生成方法であって、前記コンピュータが、メッシングの対象となる生体などの三次元輪郭体を入力するステップと、
前記コンピュータが、前記三次元輪郭体の輪郭内に六面体要素で構成される単純形状モデルを挿入するステップと、
前記コンピュータが、前記三次元輪郭体の輪郭内に、前記単純形状モデルを予め設定した荷重条件で一様に膨張させるステップと、
前記コンピュータが、前記単純形状モデルの表面を形成する六面体要素集合体の、少なくとも1つの面が前記三次元輪郭体の表面輪郭に接触すると、接触解析をしながら予め設定した荷重条件による膨張力で前記単純形状モデルを膨張させるステップと、
前記コンピュータが、前記単純形状モデルの表面を形成する、すべての六面体要素の面が前記三次元輪郭体の表面輪郭に接触すると、前記六面体要素の各面の面積と前記各面と対向する前記三次元輪郭体の表面輪郭の範囲の面積との比が予め設定された比率以下である場合に、該当する六面体要素側を複数に分割可能な面からなる六面体要素に置き換えるステップと、
前記コンピュータが、前記分割して増加した六面体要素を含む単純形状モデルを、接触解析をしながら予め設定した荷重条件による膨張力で膨張させるステップと、
前記コンピュータが、前記単純形状モデルの表面を形成する六面体要素の各面の面積と、前記各面と対向する前記三次元輪郭体の表面輪郭の範囲の面積との比が予め設定された比率以下である場合に、前記六面体要素の各面の面積と、前記各面と対向する前記三次元輪郭体の表面輪郭の範囲の面積との比が設定された比率超になるまで、さらに前記比率以下に該当する六面体要素側を複数に分割可能な面からなる六面体要素に置き換え、前記六面体要素を、接触解析をしながら予め設定した荷重条件による膨張力で膨張させるプロセスを繰り返して、前記三次元輪郭体内に六面体メッシュを充填させるステップと、を含むことを特徴とする六面体メッシュ生成方法。
【請求項2】
前記単純形状モデルの形状は、六面体要素を集合させて単純な形状を構築させた単純形状であることを特徴とする請求項1に記載の六面体メッシュ生成方法。
【請求項3】
前記分割する六面体要素の分割タイプが予め設定されており、六面体要素の各面の面積と、前記各面と対向する前記三次元輪郭体の表面輪郭の範囲の面積との比が、設定された比率以下の場合に、予め設定された六面体要素の中から分割数が多い六面体要素を選択して置き換えることを特徴とする請求項1又は2に記載の六面体メッシュ生成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、生体モデルの力学シミュレーションを行うための六面体メッシュ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、六面体メッシュ生成方法としては、力学シミュレーション対象の形状モデルを入力し、前記形状モデルの表面に多角形パッチを生成し、前記多角形パッチから形状モデルを格子で近似した写像モデルを生成し、前記写像モデルから解析メッシュを生成する六面体メッシュ生成方法が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この方法は、解析対象の形状モデルの表面に多角形パッチを生成し、その多角形パッチの境界線分から写像モデルの生成に必要な線分のみを抽出して編集した形状モデルから、前記形状モデルを構成する線分を直交座標軸に平行な直線分に変換し、この直線分を前記形状モデルの構成線分のつながりと等しくなるように配置し、それを格子に分割した写像モデルを生成し、前記写像モデルの直交格子を前記形状モデルに写像して六面体メッシュを生成するものである。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2002-245098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の発明は、形状モデルから写像モデルへ転換した後に、写像モデルが均一な大きさで各辺が直線からなる六面体要素の集合体として表されているが、次に六面体メッシュへ変換したときに、写像モデルと形態とが異なることから、各六面体メッシュが、各辺の線形状が曲線になったりするなど異なったり、又は不均一な大きさになるなど予測することが困難な大きさや形状の六面体メッシュを形成する。このことは六面体メッシュの各メッシュの形状や大きさを制御することが困難であることを示しており、アスペクト比(1メッシュ内の最も長い辺と最も短い辺の比を意味する。)のばらつきが大きくなり、六面体メッシュを利用したシミュレーションを狙いの解析精度にすることが困難であるという問題があった。
【0006】
また、形状モデルに座標軸を設定するステップがあるが、このステップでは形状モデル上に人が最適と判断した位置に座標軸を自由に設定するが、座標軸に平行となるように規則的なパッチが生成できるように座標軸を設定できた場合には写像モデルへの座標軸の変換がうまくいき品質のよいシミュレーション結果を得られる六面体メッシュが生成できるが、一方軸の適正な設定には熟練を要し、人が軸の設定位置を間違うと写像モデルへの変換がうまくできず、シミュレーション精度の良くない六面体メッシュが生成されるという問題があった。
【0007】
また、形状モデルの形態が例えば骨の形態などのいびつな形態である場合など、形状モデルと写像モデルのトポロジーが似ていない場合は、形状モデルから写像モデルへの変換が困難であるという問題があった。
【0008】
複雑な形状の個所のシミュレーション精度を向上させようとすると、六面体メッシュの大きさを小さくしなければならない。この六面体メッシュの大きさを小さくするには精度を向上させようとするメッシュの特定の部位のみならず、そのメッシュが存する部位の縦横高さ方向の3軸の方向のすべてのメッシュの大きさを小さくしなければならず、小さくすることによって解析時間が増加するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、事前に節点数やメッシュ数が把握できて、三次元輪郭体の表面輪郭に少ない要素で全面接触でき、表面輪郭形状の複雑さによって要素の大きさを可変できる六面体メッシュの生成を汎用的自動化によって可能とする手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明における「荷重条件」とは、単純形状モデルを変形させる条件であり、単純形状モデルの力学負荷条件と材料特性が含まれる。力学負荷とは、6つの面と8つの節点21を有する六面体要素20を変形させる荷重や応力の大きさ、及び荷重や応力の向きを意味し、材料特性とは、線膨張係数、弾性係数、ポアソン比、硬さ、密度、熱伝導率、比熱などを意味する。
【0011】
本発明における「アスペクト比」とは、要素である六面体要素を構成する12個の辺のうち、最も長い辺と最も短い辺の比であり、最も長い辺を分母とし最も短い辺を分子として算出した比であり、そのアスペクト比が1に近づくほどシミュレーション精度が良好になる。
【0012】
本発明における「メッシュ」とは、単純形状モデルが三次元輪郭体内に充填終了した後の最終形態を構成する六面体要素の集合体を意味する。
【0013】
「発明が解決しようとする課題」に記載した課題を解決するために、請求項1に記載の六面体メッシュ生成方法の発明は、コンピュータ3を用いてシミュレーション対象を解析するためのメッシュデータを作成する六面体メッシュ生成方法であって、前記コンピュータ3が、メッシングの対象となる生体などの三次元輪郭体10を入力するステップS1と、前記コンピュータ3が、前記三次元輪郭体10の輪郭内に六面体要素20で構成される単純形状モデルを挿入するステップS2と、前記コンピュータ3が、前記三次元輪郭体10の輪郭内に、前記単純形状モデルを予め設定した荷重条件で一様に膨張させるステップS3と、前記コンピュータ3が、前記単純形状モデルの表面を形成する六面体要素集合体の、少なくとも1つの面が前記三次元輪郭体10の表面輪郭に接触すると、接触解析をしながら予め設定した荷重条件による膨張力で前記単純形状モデルを膨張させるステップS4と、前記コンピュータ3が、前記単純形状モデルの表面を形成する、すべての六面体要素20の面が前記三次元輪郭体10の表面輪郭に接触すると、前記六面体要素20の各面の面積と前記各面と対向する前記三次元輪郭体10の表面輪郭の範囲の面積との比が予め設定された比率以下である場合に、該当する六面体要素側を複数に分割可能な面からなる六面体要素に置き換えるステップS5と、前記コンピュータ3が、前記分割して増加した六面体要素を含む単純形状モデルを、接触解析をしながら予め設定した荷重条件による膨張力で膨張させるステップS6と、前記コンピュータ3が、前記単純形状モデルの表面を形成する六面体要素の各面の面積と、前記各面と対向する前記三次元輪郭体10の表面輪郭の範囲の面積との比が予め設定された比率以下である場合に、前記六面体要素の各面の面積と、前記各面と対向する前記三次元輪郭体10の表面輪郭の範囲の面積との比が設定された比率超になるまで、さらに前記比率以下に該当する六面体要素側を複数に分割可能な面からなる六面体要素に置き換え、前記六面体要素を、接触解析をしながら予め設定した荷重条件による膨張力で膨張させるプロセスを繰り返して、前記三次元輪郭体10内に六面体メッシュを充填させるステップS7と、を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の六面体メッシュ生成方法の発明は、請求項1において、前記単純形状モデルの形状は、六面体要素20を集合させて単純な形状を構築させた単純形状であることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の六面体メッシュ生成方法の発明は、請求項1又は2において、前記分割する六面体要素20の分割タイプが予め設定されており、六面体要素20の各面の面積と、前記各面と対向する前記三次元輪郭体10の表面輪郭の範囲の面積との比が、設定された比率以下の場合に、予め設定された六面体要素の中から分割数が多い六面体要素を選択して置き換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明は、従来の六面体メッシュ生成方法である、三次元輪郭体10の輪郭に一致するように六面体要素を幾何学的に区切っていく方法ではなく、三次元輪郭体10の輪郭内に充填するように、予め設定した六面体要素20を集合させた単純形状モデルを、三次元輪郭体10内に挿入させて、大きさや向きを設定した力学負荷を付与することによって生ずる膨張力を利用し膨張させる方法である。この方法によって、従来の技術では生体に関しては、大腿骨部、脛骨部のような複雑な部位の六面体メッシュが自動では生成できず眼球のような簡単な形状の部位しか六面体メッシュを生成できなかったが、本発明では生体などの複雑な三次元輪郭体の表面輪郭に六面体メッシュの表面輪郭を一致させることが自動化できるという効果を奏する。
【0017】
また、挿入した六面体要素を膨張させていく方法であるので、三次元輪郭体10と、六面体要素20からなる単純形状モデルとのトポロジーが異なっても、複雑な輪郭形状を有し大変形する三次元輪郭体の輪郭に一致させた六面体メッシュを生成させることができるという効果を奏する。
【0018】
また、従来の六面体メッシュ生成方法では、複雑な形状の個所のシミュレーション精度を良好にするために、その部位の縦横高さの3軸方向のすべての六面体要素の大きさを細分化するため要素数が極めて多い数となる。これに対して本発明は、単純形状モデルを構成する六面体要素の要素数を少なくして、かつ複雑な形状の個所に限定してその個所のみの六面体要素の要素数を増加させるので、従来の方法に比べて六面体要素の要素数を1/6に減少し、これによりコンピュータ3による計算処理時間を1/10に激減させることができた。
【0019】
また、単純形状モデルを三次元輪郭体10内の大部分の空間に一様に膨張させて充填させ、三次元輪郭体10の輪郭表面を接触していない一部の六面体要素20のみを分割させる方法であるため、六面体メッシュを構成する各要素のアスペクト比の分布のバラツキ幅を狭くすることができるため、シミュレーションに要する処理時間を減じらせる六面体メッシュを生成できるという効果を奏する。
【0020】
膨張させた単純形状モデルの表面を構成する六面体要素20の1面が三次元輪郭体10と接触したとき、前記1面の面積と、前記1面に対向する三次元輪郭体10の表面輪郭の面積との比を設定できるので、三次元輪郭体10の輪郭と、膨張させた単純形状モデルの輪郭との一致度を制御することができる。これによりシミュレーション計算処理時間と計算精度とを制御できるという効果を奏する。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1の発明と同じ効果を奏する。さらに、単純形状モデルの形態を三次元輪郭体10の形態に相似させていなくとも、トポロジーが異なる単純形状モデルであっても、単純形状モデルを膨張させることによって三次元輪郭体10の輪郭と一致した輪郭を有するものに生成させることができるという効果を奏する。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の発明と同じ効果を奏する。さらに、三次元輪郭体10内に挿入した単純形状モデルの六面体要素20の要素数からの要素数の増加を最小限に抑制することができ、シミュレーションに要する処理時間が短い六面体メッシュを生成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の六面体メッシュ生成方法を実現させるための装置構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の六面体メッシュ生成方法の手順を示すフローチャートである。
【図3】(a)は弾頭型の単純形状モデルの概要図である。(b)は球型の単純形状モデルの概要図である。(c)は円柱型の単純形状モデルの概要図である。
【図4】三次元輪郭体内に単純形状モデルを挿入したときの説明図である。
【図5】三次元輪郭体内に単純形状モデルが一様に膨張する段階の説明図である。
【図6】三次元輪郭体内に単純形状モデルが一様に膨張して三次元輪郭体に接触したときに状態を示す説明図である。
【図7】単純形状モデルを構成する六面体要素の概要図である。
【図8】複数に分割可能な六面体要素の1面の概要図である。
【図9】複数に分割可能な六面体要素の1面の概要図である。
【図10】複数に分割可能な六面体要素の概要図である。
【図11】単純形状モデルが三次元輪郭体に接触したときの六面体要素の1面とそれに対向する三次元輪郭体の輪郭表面の説明図である。
【図12】単純形状モデルが三次元輪郭体に接触し、複数に分割可能な面に置き換えた後の六面体要素の1面とそれに対向する三次元輪郭体の輪郭表面の説明図である。
【図13】複数に分割された六面体要素の1面が対向する三次元輪郭体の輪郭表面に接触したときの説明図である。
【図14】単純形状モデルが三次元輪郭体の輪郭表面に向けて膨張するときの概念説明図である。
【図15】単純形状モデルが三次元輪郭体の輪郭表面上を移動する概念説明図である。
【図16】単純形状モデルの要素数を比較する説明図である。
【図17】(a)は本発明により生成された六面体メッシュの内部の状態を確認した切断面位置の概要図であり、(b)は六面体メッシュの切断面の概要図である。
【図18】六面体メッシュに衝撃を加えた後の経時的変化の概要図であって、(イ)は1ミリ秒後、(ロ)は2ミリ秒後、(ハ)は3ミリ秒後の六面体メッシュ概要図である。
【図19】四面体メッシュに衝撃を加えた後の経時的変化の概要図であって、(イ)は1ミリ秒後、(ロ)は2ミリ秒後、(ハ)は3ミリ秒後の四面体メッシュ概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の六面体メッシュ生成方法の実施形態について図を参照しながら説明する。

【0025】
図1は本発明の六面体メッシュ生成方法を実現させるための六面体メッシュ処理装置1の構成を示したブロック図である。

【0026】
本実施形態の六面体メッシュ生成方法を実行する六面体メッシュ処理装置1は、図1に示すように、処理を操作するキーボード、マウスなどの入力装置2、コンピュータ3、及び処理状況などを表示する表示装置4を有する。コンピュータ3は、記憶装置5に格納されているプログラム及びデータに従って処理を実行する中央処理装置6と、フロッピーディスク(登録商標)、CD-ROM、磁気テープなどの記憶媒体に記憶されたプログラム、データなどを読み取る記憶媒体読取装置7とを備える。

【0027】
次に、本発明の六面体メッシュ生成方法について図2乃至図16を参照にしながら説明する。図2は本発明の六面体メッシュ生成方法の手順を示すフローチャートである。

【0028】
中央処理装置6は、まず、例えば脛骨部や大腿骨部などのシミュレーション対象である三次元輪郭体10を生成する(ステップS1)。三次元輪郭体10の生成は、例えば記憶装置5に記憶されている生体のシミュレーション対象部位が含まれる部分のCT画像データを記憶媒体読取装置7で読み出して、CT画像データをもとにシミュレーション対象の部位のモデリングを行って作成する。

【0029】
作成される三次元輪郭体は、例えば図4に示す三次元輪郭体10であり、この三次元輪郭体10が表示装置4に映し出される。

【0030】
次いで、中央処理装置6は、記憶装置5に記憶されている、六面体要素20を集合した複数の形態の単純形状モデルの中から任意の単純形状モデルを選択し、三次元輪郭体10の内に選択した単純形状モデルを挿入する(ステップS2)。

【0031】
単純形状モデルは、図3(a)に示す弾頭型、図3(b)に示す球型、図3(c)に示す円柱型、又は直方型(図なし)などいかなる型でもよく、三次元輪郭体と同じトポロジーでなくともよい。また、同じトポロジーでなくても三次元輪郭体の輪郭にほぼ密着させた六面体メッシュを生成させることができる。

【0032】
例えば図4に示すように、選択した単純形状モデル12を三次元輪郭体10内に挿入する。

【0033】
また、単純形状モデル12は、図7に示すような六面体要素20の集合体であり、各六面体要素20の面の8つの頂点を節点21と表す。

【0034】
ここで、単純形状モデルを構成する六面体要素20の数を少なくしてもよい。六面体要素20を三次元輪郭体内に膨張させたときに、三次元輪郭体10に複雑な形状部があると単純形状モデルとの隙が広くなりやすいが、本発明はその部分のみを分割可能な面を有する六面体要素に置き換えることができるからである。

【0035】
輪郭体を六面体要素20の集合体になるように縦横高さの3方向に分割して切り込んでいく、従来の六面体メッシュ生成方法では、一部の六面体要素を小さいものに変更すれば、その六面体要素の縦横高さ方向に位置する六面体要素も小さくするため、要素数を増加させねばならない。要素数はシミュレーション時間に大きな影響を与えるので、要素数が多いと処理時間がかかり過ぎるという問題があったが、本発明は一部の六面体要素20のみを小さい六面体要素に分割することでシミュレーション精度を良好にさせつつシミュレーション時間の短縮を実現した。

【0036】
次に、単純形状モデルを構成する要素数について説明する。複雑な形態のメッシュ生成は、四面体メッシュを用いた生成の自動化は可能であるが、本発明以外では六面体メッシュを用いた生成の自動化は完成しておらず手動で行うので数日も要することから、生成が自動化できる四面体メッシュと本発明の六面体メッシュとを比較した。

【0037】
図16に示すような同じ形態の三次元モデル内に、四面体要素、又は3パターンの異なる要素数からなる六面体要素を充填させ、それぞれに充填させたときの各メッシュを構成している個々の要素の大きさを図16に表すとともに、充填させたときの節点数、要素数及び平均アスペクト比の比較結果を表1に示す。

【0038】
同じ形態の三次元輪郭体内に、四面体要素、及び3種の異なる要素数からなる単純形状モデルを膨張させ、それぞれに充填させたときの各メッシュを図16に表すとともに、節点数、要素数及び平均アスペクト比の比較結果を表1に示す。

【0039】
【表1】
JP0005678756B2_000002t.gif

【0040】
表1及び図16から、同じ形態の三次元輪郭体に全面接触するように六面体要素又は四面体要素を充填させた場合、1つには、本発明で生成されたいずれの六面体メッシュA、B又はCの方が四面体メッシュよりも平均アスペクト比が高く、精度の良いシミュレーション結果が期待できることが示されている。

【0041】
2つには、ほぼ同じ節点数である四面体メッシュ53と六面体メッシュB50を比較すると、要素数が四面体メッシュに比べて六面体メッシュB50の方が約1/6まで激減できることが示されており、計算処理時間も1/10に短縮できた。本発明の方が少ない要素数でよいので、シミュレーションに要する時間を大幅に短縮できることが示された。

【0042】
3つには、六面体メッシュは手動の場合は、種々の六面体メッシュの生成に手間がかかるため種々の六面体メッシュを生成させることができなかった。これに対し、本発明の六面体メッシュ生成方法では、図16に示すように六面体メッシュA51や六面体メッシュC52を容易に生成させるなど、多種類の六面体メッシュを生成させることが可能となった。

【0043】
したがって、本発明では任意の要素数を設定しても、良好なアスペクト比が得られ、かつシミュレーション時間の大幅短縮ができるので、任意の要素数からなる単純形状モデルを挿入すればよい。

【0044】
そして、中央処理装置6は、三次元輪郭体10の輪郭内に挿入した、六面体要素20の集合からなる単純形状モデル12を、予め設定した荷重条件で一様に膨張させる(ステップS3)。

【0045】
ここで、単純形状モデル12を膨張させる荷重条件は、任意に設定できるように記憶装置5に記憶しておいて、記憶媒体読取装置7によって記憶装置5から呼び出してキーボードなどの入力装置2によって設定する。荷重条件は膨張させる方向及び膨張力の大きさの設定などを意味しており、単純形状モデル12の膨張を制御し、単純形状モデル12が何らかに接触するまで一様に膨張させる。

【0046】
一様に膨張させたときの単純形状モデルの外観の変化は、例えば、図4に示す挿入時の単純形状モデル12の弾頭型の小さい形が、図5に示す単純形状モデル13の弾頭型の大きい相似形の形に膨張する。

【0047】
次に、中央処理装置6は、単純形状モデルの表面を形成する六面体要素集合体の、少なくとも1つの面が前記三次元輪郭体10の表面輪郭に接触すると、接触解析をしながら予め設定した荷重条件による膨張力で膨張させる。

【0048】
ここで、本発明は、単純形状モデルを、幾何学的に膨張させるのではなく、大きさや向きなどを設定した力学負荷からなる膨張力という力によって膨張させている。そのために、物体の接触状態を解析し接触領域と接触圧力を求めるなどの構造体間の接触問題を取り扱う接触解析という手法を記憶装置5に記憶し膨張させるときに使用している。接触解析には、一般的にマスタースレーブ法(節点拘束法ともいう)、ペナルティ法(処罰法ともいう)、スライディング・インターフェイス法又はこれら以外のすべり接触解析があるが、すべり接触解析であればいずれの接触解析でもよい。

【0049】
単純形状モデルの表面が三次元輪郭体10に接触していないときは、単純形状モデルをステップS3と同じように一様に膨張させる。このときの概念を図14に示しており、三次元輪郭体に向かって単純形状モデルが膨張していく概念を表している。

【0050】
図5と図6とを比較してステップS4を説明する。図5に示すような、挿入時の単純形状モデル12が相似的に膨張して単純形状モデル13になったときに、図5で単純形状モデル13の上部の一部が三次元輪郭体10に接触し横方向がまだ三次元輪郭体10と接触していない場合には、次に単純形状モデル13は横方向に膨張する。これによって、図6に示すように、三次元輪郭体10内に挿入された単純形状モデル13が膨張して、その大きさが単純形状モデル14の大きさとなって図6に示すように三次元輪郭体10内にほぼ充填される。

【0051】
次に、中央処理装置6は、単純形状モデルの表面を形成する、すべての六面体要素20の面が前記三次元輪郭体10に接触すると、前記六面体要素20の各面の面積と、前記各面と対向する前記三次元輪郭体10の範囲の面積との比が予め設定された比率以下である場合に、該当する六面体要素20側を複数に分割可能な面からなる六面体要素に置き換える(ステップS5)。

【0052】
単純形状モデルの表面を構成するすべての六面体要素20が三次元輪郭体10に接触すると、前記接触した六面体要素20と、前記六面体要素20に対向した三次元輪郭体10の範囲との間の隙が生じる。前記隙を、三次元輪郭体10内に充填させるように単純形状モデルを膨張させていく。

【0053】
そのために、まず、単純形状モデルの表面を構成する六面体要素20の一面の面積と、前記一面に対向する三次元輪郭体10の範囲の面積とを計算し、それらを比較した比率を求め、次に予め設定した比率に到達しているか否かを判断する。このときの比率は、個々の六面体要素20の面とその対向した三次元輪郭体10の範囲の面との比率でもよいし、単純形状モデル14の全表面と三次元輪郭体10の全輪郭表面とを算出し、その比率でもよい。予め定めた対象範囲と、単純形状モデルや三次元輪郭体10の計算する面積の対象範囲とを一致させればよい。

【0054】
図11は、単純形状モデル11を構成する六面体要素20の1面とそれに対向する三次元輪郭体10の面を表しており、線o、線p、線q及び線rは単純形状モデル11の稜線で、線u及び線wは三次元輪郭体10の稜線であり、線u、p、w及びrで囲繞された面が三次元輪郭体の表面を表し、線o、p、q及びrで囲繞された面が六面体要素の面を表している。ここで、説明しやすくするためにそれぞれの面を透明にしている。

【0055】
例えば、図11は六面体要素20の1面とそれに対向する三次元輪郭体10の面を表しており、節点a、b、c、dは六面体要素20の面と三次元輪郭体10とが接触する点である。図11に示すように、節点a、b、c、dに囲繞された六面体要素20の面と、節点a、b、c、dに囲繞された、前記面に対向する三次元輪郭体10の面との面積を算出して比率を求め、それらの比率を予め設定された比率に対して超えているか、以下であるかを計算する。

【0056】
比較した結果が、予め設定された比率を超えている場合は、六面体メッシュの生成は終了する。

【0057】
一方、比較した結果が、予め設定された比率以下である場合は、予め準備し記憶装置5の記憶させている、複数に分割可能な面に置き換える。分割可能な面を有する六面体要素20は、例えば、1辺を2つに分割したい場合には図8の辺eを有する六面体要素22に置き換え、1辺を3つに分割したい場合には図9の辺mを有する六面体要素23に置き換える。

【0058】
図12には、分割したい面の数を2つとした場合の面の例を示し、分割線を線gで示している。

【0059】
次に、中央処理装置6は、分割して要素数が増加した単純形状モデルを、接触解析をしながら予め設定した荷重条件による膨張力で膨張させる(ステップS6)。

【0060】
まず、置き換えられた六面体要素20は、三次元輪郭体10に接触していない面を有しているので、その面は三次元輪郭体10の表面に接触するまで膨張する。

【0061】
このときの概念を図14と図15に示している。図14及び図15において、三次元輪郭体の表面を線40で示し、単純形状モデルの表面を線41で示し、単純形状モデルの節点を点L1、L2及びL3で表し、三次元輪郭体の節点を◎印で表している。三次元輪郭体は輪郭表面の位置は固定と考えるので線40も固定である。

【0062】
図14では点L1の個所において単純形状モデルを表した線41と三次元輪郭体を表した線40とは離れているが、単純形状モデルは膨張するので、点L1は図14において膨張する方向である矢印Y1方向に移動する。そして、図15において、節点である点L1が線40に接触する。接触後は点L1、L2及びL3にはそれぞれ方向の異なる膨張力が働いているので、点L1、点L2及び点L3間での膨張力が釣り合うところまで、点L1は三次元離隔体を表した線40上をX1方向又はX2方向にスライドする。

【0063】
図14及び図15の概念をもとに、本発明のステップS6を図12及び図13で説明する。図12での線gは三次元輪郭体10から離れているが、単純形状モデル11が膨張し図13に示すように線gが三次元輪郭体10に接触する。これによって、節点a、c、j及びiに囲繞された範囲の六面体要素20と三次元輪郭体10との隙が狭まり、かつ節点b、d、j及びiに囲繞された範囲の六面体要素20と三次元輪郭体10との隙が狭まって、節点a、c、j及びiに囲繞された範囲又は節点b、d、j及びiに囲繞された範囲に該当するそれぞれの単純形状モデル11と三次元輪郭体10との面積比が高まっていることがわかる。

【0064】
設定された大きさや向きなどの力学負荷を付与させている単純形状モデルが、三次元輪郭体10に接触すると、各節点21には力学負荷を付与させているので、各節点21は膨張力に釣り合うように三次元輪郭体の表面に沿って移動するように記憶媒体に記憶されており、単純形状モデルの表面積と三次元輪郭体の表面積との比が向上しさらに1に近づく。

【0065】
中央処理装置6が、単純形状モデルの表面を形成する各面の面積と、前記各面と対向する前記三次元輪郭体10の表面輪郭の範囲の面積との比が予め設定された比率以下である場合に、単純形状モデルの各面の面積と、前記各面と対向する前記三次元輪郭体10の表面輪郭の範囲の面積との比が設定された比率超になるまで、さらに前記比率以下に該当する六面体要素20側を複数に分割可能な面からなる六面体要素に置き換え、前記六面体要素を、接触解析をしながら予め設定した荷重条件による膨張力で膨張させるプロセスを繰り返して、前記三次元輪郭体10内に六面体メッシュを充填させる(ステップS7)。

【0066】
ステップS7では、まず単純形状モデルの表面を形成する各面の面積と、前記各面と対向する前記三次元輪郭体10の表面積とを算出し、それらの比率を求める。そして、前記比率が、予め設定された比率を超えていた場合は、求める六面体メッシュが完成される。前記比率は例えば90%と設定できるが、求めるシミュレーション精度を考慮して任意の比率を設定する。

【0067】
一方、前記比率が、予め設定された比率以下である場合は、比率が予め設定された比率以下である六面体要素20を、さらに分割可能な面を有する六面体要素20に置き換える。

【0068】
そして、ステップS6の膨張を再実施させて、ステップS7の比率を求め、予め設定された比率と比較する。比較した結果が設定された比率を超えている場合には求めていた六面体メッシュが生成され、六面体メッシュの生成が終了する。

【0069】
一方、設定された比率以下の場合には、再々度ステップS5乃至S7を繰り返す。そして最終的に設定された比率超となった場合には、求めていた六面体メッシュが生成され、六面体メッシュの生成が終了する。

【0070】
三次元輪郭体内に単純形状モデルが膨張して充填され、生成された六面体メッシュの構造を図17に示す。図17(a)は本発明により生成された六面体メッシュ25を透明な平板27で切断して内部の状態を確認した切断面位置の概要図であり、図17(b)は(a)の六面体メッシュの切断面26の概要図である。図17(a)及び(b)から、六面体メッシュは内部も六面体要素20で充填され、それらの六面体要素20がきれいに整然と充填されていることが示されている。

【0071】
以上、本発明のステップS1からステップS7までのプロセスを六面体メッシュ処理装置1により自動で実施することができる。

【0072】
[使用例]
本発明である六面体メッシュと、比較例としての四面体メッシュとで、シミュレーション精度の比較検証を実施した。節点数が1691及び要素数3851の四面体メッシュと、節点数2725及び要素数2264の六面体メッシュとに対し、それぞれの10ミリメートル上方から質量1キログラムの錘を落下させる膝関節衝撃荷重試験と同様の荷重条件などで行った。

【0073】
図18に、六面体メッシュに衝撃を加えた後の経時的変化の概要図であって、(イ)は1ミリ秒後、(ロ)は2ミリ秒後、(ハ)は3ミリ秒後の六面体メッシュ概要図である。また、図19は、四面体メッシュに衝撃を加えた後の経時的変化の概要図であって、(イ)は1ミリ秒後、(ロ)は2ミリ秒後、(ハ)は3ミリ秒後の四面体メッシュ概要図である。

【0074】
図18及び図19から、六面体メッシュの場合と四面体メッシュの場合とも衝撃試験における計測値は近似しているが、四面体メッシュでは図19(c)に示されているように矢印の個所に不連続な応力分布がみられる。これに対して本発明で生成した六面体メッシュでは、シミュレーション完了まで応力の不連続分布は認められなかった。

【0075】
また、今回のシミュレーションの計算時間は四面体モデルで約55分、六面体モデルで約6分であり、シミュレーション時間が約1/10になるなど大幅な短縮が見られた。
【符号の説明】
【0076】
1 六面体メッシュ処理装置
2 入力装置
3 コンピュータ
4 表示装置
5 記憶装置
6 中央処理装置
7 記憶媒体読取装置
10 三次元輪郭体
11 単純形状モデル
12 単純形状モデル
13 単純形状モデル
14 単純形状モデル
15 単純形状モデル
16 単純形状モデル
17 単純形状モデル
20 六面体要素
21 節点
22 六面体要素の一面
23 六面体要素の一面
24 六面体要素
25 六面体メッシュ
26 六面体メッシュの断面
27 平板
40 線
41 線
50 六面体メッシュB
51 六面体メッシュA
52 六面体メッシュC
52 四面体メッシュ
a 節点
b 節点
c 節点
d 節点
e 線
i 節点
j 節点
m 線
n 線
o 線
p 線
q 線
r 線
u 線
w 線
L1 点
L2 点
L3 点
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18