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明細書 :蛍光材料、蛍光材料の発光スペクトルを制御する方法及び蛍光システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-226742 (P2017-226742A)
公開日 平成29年12月28日(2017.12.28)
発明の名称または考案の名称 蛍光材料、蛍光材料の発光スペクトルを制御する方法及び蛍光システム
国際特許分類 C09K  11/62        (2006.01)
C09K  11/63        (2006.01)
C09K  11/64        (2006.01)
C09K  11/08        (2006.01)
H01L  33/50        (2010.01)
FI C09K 11/62 CPN
C09K 11/63 CPM
C09K 11/64 CPK
C09K 11/08 J
H01L 33/50
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2016-122896 (P2016-122896)
出願日 平成28年6月21日(2016.6.21)
発明者または考案者 【氏名】中西 貴之
【氏名】松井 貴文
【氏名】長谷川 靖哉
【氏名】北川 裕一
【氏名】伏見 公志
出願人 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100124800、【弁理士】、【氏名又は名称】諏澤 勇司
審査請求 未請求
テーマコード 4H001
5F142
Fターム 4H001CA04
4H001CA05
4H001XA05
4H001XA08
4H001XA12
4H001XA13
4H001XA20
4H001XA31
4H001XA38
4H001XA49
4H001XA56
4H001YA63
4H001YA65
5F142AA22
5F142CB13
5F142DA01
5F142DA45
5F142DA52
5F142DA53
5F142DA56
5F142DA72
5F142DA73
5F142HA01
要約 【課題】励起波長又は含有する金属の種類等に依存して変化する発光スペクトルを示す蛍光材料、蛍光材料の発光スペクトルを制御する方法及び蛍光システムを提供すること。
【解決手段】(M(M:Mで表され、Mが、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種の第2族元素であり、Mの一部が第1族元素に置き換えられていてもよく、Mが、B、Al、Ga及びInからなる群から選択される少なくとも1種の第13族元素であり、Mが、少なくとも1種の三価の希土類イオンである、蛍光材料。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
(M(M:Mで表され、
が、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種の第2族元素であり、Mの一部が第1族元素に置き換えられていてもよく、
が、B、Al、Ga及びInからなる群から選択される少なくとも1種の第13族元素であり、
が、少なくとも1種の三価の希土類イオンである、蛍光材料。
【請求項2】
が、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される2種以上の元素である、請求項1に記載の蛍光材料。
【請求項3】
が、B、Al、Ga及びInからなる群から選択される2種以上の元素である、請求項1又は2に記載の蛍光材料。
【請求項4】
が、Eu(III)及び/又はTb(III)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の蛍光材料。
【請求項5】
請求項1に記載の蛍光材料の発光スペクトルを制御する方法であって、
、M及びMの元素の組み合わせを選択すること、
として2種以上の第2族元素を選択し、それらのモル分率を調整すること、
として2種以上の第13族元素を選択し、それらのモル分率を調整すること、並びに、
として2種以上の元素を選択し、それらのモル分率を調整すること、
から選ばれる少なくとも1つを含む、方法。
【請求項6】
互いに異なる発光スペクトルを示す2以上の発光部を備え、それぞれの前記発光部が、請求項5に記載の方法によって制御された発光スペクトルを示す蛍光材料を含む、蛍光システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光材料、蛍光材料の発光スペクトルを制御する方法及び蛍光システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、希土類イオンを利用して励起光により蛍光を発する蛍光剤が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の蛍光剤は、励起光により十分な輝度で緑色に発光することができる。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2010-275371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
励起光により蛍光を発する蛍光材料は、その性質を利用して偽装防止等を目的としたセキュリティ材料として応用されることがある。しかしながら、従来のセキュリティ材料は、希土類イオンに応じた固有の発光色が発現するためカラーバリエーションが少ない等の理由からセキュリティ材料としては比較的単純なものだった。一方、近年では解読技術が進んだため、従来よりも一層複雑な性質を示すセキュリティ材料が求められている。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、励起波長又は含有する金属の種類等に依存して変化する発光スペクトルを示す蛍光材料、蛍光材料の発光スペクトルを制御する方法及び蛍光システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、蛍光材料の結晶構造における三価の希土類イオンの置換部位を制御することで、励起光に依存した発光挙動を示すことを見出した。本発明は、これらの知見に基づくものである。
【0007】
すなわち、本発明の一側面は、(M(M:Mで表され、Mが、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種の第2族元素であり、Mの一部が第1族元素に置き換えられていてもよく、Mが、B、Al、Ga及びInからなる群から選択される少なくとも1種の第13族元素であり、Mが、少なくとも1種の三価の希土類イオンである、蛍光材料に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、励起波長又は含有する金属の種類等に依存して変化する発光スペクトルを示す蛍光材料、蛍光材料の発光スペクトルを制御する方法及び蛍光システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】SrAl:Eu(III)に対し、250nm又は397nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルである。
【図2】CaAl:Eu(III)に対し、250nm、397nm又は464nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルである。
【図3】SrAl:Eu(III)及びCaAl:Eu(III)の蛍光材料に対し、250nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルである。
【図4】SrAl:Eu(III)及びCaAl:Eu(III)に対し、464nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルである。
【図5】(Sr2.5Mg0.5)Al:Eu(III)に対し、250nm、397nm又は464nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルである。
【図6】SrAl:Eu(III)及び(Sr2.5Mg0.5)Al:Eu(III)に対し、250nm、397nm又は464nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルである。
【図7】SrAl:Eu(III)、CaAl:Eu(III)及び(Sr1.5Ca1.5)Al:Eu(III)に対し、250nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルである。
【図8】Sr(Al1.9Ga0.1)O:Eu(III)に対し、250nm、397nm又は464nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルである。
【図9】SrAl:Eu(III)及びSr(Al1.9Ga0.1)O:Eu(III)に対し、250nm、397nm又は464nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルである。
【図10】Sr(Al1.9In0.1)O:Eu(III)に対し、250nm、397nm又は464nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルである。
【図11】SrAl:Eu(III)及びSr(Al1.9In0.1)O:Eu(III)に対し、250nm、397nm又は464nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。

【0011】
<蛍光材料>
本実施形態の蛍光材料は、式(M(M:Mで表される。式中、Mは少なくとも1種の第2族元素を含み、Mは少なくとも1種の第13族元素を含み、Mは少なくとも1種の三価の希土類イオンを含む。一実施形態では、Mは、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種の第2族元素であり、Mの一部が第1族元素に置き換えられていてもよく、Mは、B、Al、Ga及びInからなる群から選択される少なくとも1種の第13族元素であり、Mは、少なくとも1種の三価の希土類イオンである。

【0012】
の第2族元素は、所望する蛍光材料の発光色又は発光スペクトルに応じて、適宜選択することができる。また、Mは、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される2種以上の第2族元素であってもよい。Mの第2族元素の種類に応じて、蛍光材料の結晶中に配位する希土類イオンの場所が制御されると考えられる。そのため、Mとして2種以上の第2族元素を用いた場合、Mとして1種類の第2族元素のみを用いた蛍光材料とは異なる発光色及び発光スペクトルを得ることができる。

【0013】
として2種以上の第2族元素を用いる場合、その組み合わせは特に限定されるものではない。Mの元素として2種類以上の第2族元素を選択する場合、その組み合わせとしては、例えば、SrとMg、SrとCa、CaとMg、SrとCaとMgが挙げられる。2種類の第2族元素(第一の第2族元素及び第二の第2族元素)を組み合わせる場合、その比率(モル比、第一の第2族元素のモル数:第二の第2族元素のモル数)は、2.99:0.01~1.50:1.50であってもよく、2.5:0.5~1.5:1.5であってもよい。

【0014】
は、上記第2族元素に加え、第1族元素を含んでもよい。第1族元素としては、例えば、Li、Na、K、Rb及びCsが挙げられる。Mとして用いる第1族元素は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。Mとして、第2族元素と第1族元素を組み合わせる場合、その比率(モル比、第2族元素の合計のモル数:第1族元素の合計のモル数)は、2.99:0.01~2.0:0.1であってもよい。Mに第1族元素を含む場合、蛍光材料の電荷のバランスを調整することができるため、発光強度が更に向上する傾向がある。

【0015】
の第13族元素は、所望する蛍光材料の発光色又は発光スペクトルに応じて、適宜選択することができる。また、Mは、B、Al、Ga及びInからなる群から選択される2種以上の第13族元素であってよい。Mの第13族元素の種類に応じて、蛍光材料の結晶中における酸素と酸素に結合する原子との結合距離が変化し、希土類イオンが配位する場所の大きさも変化するため、希土類イオンの発光挙動が変化すると考えられる。そのため、Mとして2種以上の第13族元素を用いた場合、Mとして1種類の第13族元素のみを用いた蛍光材料とは異なる発光色及び発光スペクトルを得ることができる。

【0016】
として2種以上の第13族元素を用いる場合、その組み合わせは特に限定されるものではない。Mの元素として2種類以上の第13族元素を選択する場合、その組み合わせとしては、例えば、AlとGa、AlとIn、AlとBが挙げられる。2種類の第13族元素(第一の第13族元素及び第二の第13族元素)を組み合わせる場合、その比率(モル比、第一の第13族元素のモル数:第二の第13族元素のモル数)は、1.99:0.01~1:1であってもよく、1.9:0.1~1:1であってもよい。

【0017】
は、所望する蛍光材料の発光色又は発光スペクトルに応じて、適宜選択することができる。三価の希土類イオンとしては、例えば、Eu(III)イオン、Tb(III)イオン、Gd(III)イオン、Sm(III)イオン、Yb(III)イオン、Nd(III)イオン、Er(III)イオン、Y(III)イオン、Dy(III)イオン、Ce(III)イオン、Pr(III)イオンが挙げられる。なかでも、高い発光強度を得る観点から、希土類イオンはEu(III)イオン又はTb(III)イオンが好ましい。Mとして用いる希土類イオンは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。Mとして用いる希土類イオンの組み合わせとしては、例えば、Eu(III)とTb(III)、Tb(III)とSm(III)が挙げられる。2種類の希土類元素(第一の希土類元素及び第二の希土類元素)を組み合わせる場合、その比率(モル比、第一の希土類元素のモル数:第二の希土類元素のモル数)は、0.99:0.01~1:1であってもよく、0.9:0.1~1:1であってもよい。Mとして2種以上の希土類イオンを用いた場合、Mとして1種類の希土類イオンのみを用いた蛍光材料とは異なる発光色及び発光スペクトルを得ることができる。本実施形態の蛍光材料において、Mの含有割合は、Mの元素の合計のモル数に対する比率(Mの元素の合計のモル数:Mの希土類元素の合計のモル数)で、2.99:0.01~2.0:1.0であってもよい。

【0018】
本実施形態の蛍光材料は、例えば、M元素の原料である第2族元素化合物及び必要に応じて第1族元素化合物と、M元素の原料である第13族元素化合物と、M元素の原料である希土類金属化合物とを、所定のモル比で混合し、その混合物を大気条件下で焼成することによって合成することができる。大気条件下で焼成することにより、希土類金属が還元されにくく、三価の希土類イオンとして蛍光材料に担持されやすい。焼成して得られた蛍光材料の構造は、例えば、粉末X線回折パターンの測定によって同定することができる。

【0019】
焼成温度は、例えば、1100~1500℃であってもよく、1200~1350℃であってもよい。焼成時間は、例えば、2~20時間であってもよく、4~10時間であってもよい。

【0020】
本実施形態の蛍光材料は、例えば、(1)M、M及びMの元素の組み合わせを選択すること、(2)Mとして2種以上の第2族元素を選択し、それらのモル分率を調整すること、(3)Mとして2種以上の第13族元素を選択し、それらのモル分率を調整すること、並びに、(4)Mとして2種以上の元素を選択し、それらのモル分率を調整すること、から選ばれる少なくとも1つを含む方法によって発光スペクトルを制御することができる。(1)~(4)の方法によれば、蛍光材料の結晶中における希土類イオンが配位する位置を調整することができるため、蛍光材料の発光スペクトルを制御することができる。

【0021】
本実施形態の蛍光材料は、M、M及びMの元素を組み合わせたり、各元素のモル分率を調整したりすることによって、励起波長に依存して変化する発光色や発光スペクトルを示す。また、本実施形態の蛍光材料は、構成する元素を調整することで発光スペクトルが変化するため、容易に豊富なカラーバリエーションを実現することができる。更に、本実施形態の蛍光材料は、無機元素から構成されているため耐熱性及び耐久性に優れている。このような特性を有する蛍光材料は、例えば、光デバイス、カラーバーコード、セキュリティ材料として有用である。

【0022】
<蛍光システム>
本実施形態の蛍光システムは、互いに異なる発光スペクトルを示す2以上の発光部を備え、それぞれの発光部が、上記(1)~(4)の方法によって制御された発光スペクトルを示す蛍光材料を含む。このような蛍光システムであれば、異なる発光色や発光スペクトルを示す発光部を2以上備えるため、更に複雑な発光色のパターンや発光スペクトルを得ることができる。更に、蛍光システムに備えられる発光部は、いずれも本実施形態の蛍光材料を含むため、材料特性が類似しており使用条件が制限されにくい。そのため、本実施形態の蛍光システムによれば、一層優れたセキュリティ性を確保することができる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0024】
1.蛍光材料の合成
作製例1.SrAl:Eu(III)
SrCO、Al、Euの各原料を、Sr:Eu:Alのモル比が2.97:0.03:2となる比率で混合した。この混合物を大気条件下において、1200℃で4時間焼成することにより、(Sr0.99Eu0.01Alの組成比を有する蛍光材料(SrAl:Eu(III))を得た。得られた蛍光材料は、粉末X線回析パターンを測定することにより同定した。
【実施例】
【0025】
作製例2.CaAl:Eu(III)
SrCOをCaCOに変更したこと以外は、作製例1と同様の方法により、(Ca0.99Eu0.01Alの組成比を有する蛍光材料(CaAl:Eu(III))を得た。得られた蛍光材料は、粉末X線回析パターンを測定することにより同定した。
【実施例】
【0026】
作製例3.SrAl:Eu(III)-Tb(III)
SrCO、Al、Eu、Tbの各原料を、Sr:Eu:Tb:Alのモル比が2.94:0.03:0.03:2となる比率で混合した。この混合物を大気条件下において、1200℃で4時間焼成することにより、(Sr0.98Eu0.01Tb0.01Alの組成比を有する蛍光材料(SrAl:Eu(III)-Tb(III))を得た。得られた蛍光材料は、粉末X線回析パターンを測定することにより同定した。
【実施例】
【0027】
作製例4.(Sr2.5Mg0.5)Al:Eu(III)
SrCO、MgCO、Al、Euの各原料を、Sr:Mg:Eu:Alのモル比が2.475:0.495:0.03:2となる比率で混合した。この混合物を大気条件下において、1200℃で4時間焼成することにより、(Sr0.825Mg0.165Eu0.01Alの組成比を有する蛍光材料((Sr2.5Mg0.5)Al:Eu(III))を得た。得られた蛍光材料は、粉末X線回析パターンを測定することにより同定した。
【実施例】
【0028】
作製例5.(Sr1.5Ca1.5)Al:Eu(III)
SrCO、CaCO、Al、Euの各原料を、Sr:Ca:Eu:Alのモル比が1.485:1.485:0.03:2となる比率で混合した。この混合物を大気条件下において、1200℃で4時間焼成することにより、(Sr0.495Ca0.495Eu0.01Alの組成比を有する蛍光材料((Sr1.5Ca1.5)Al:Eu(III))を得た。得られた蛍光材料は、粉末X線回析パターンを測定することにより同定した。
【実施例】
【0029】
作製例6.Sr(Al1.9Ga0.1)O:Eu(III)
SrCO、Al、Ga、Euの各原料を、Sr:Eu:Al:Gaのモル比が2.97:0.03:1.9:0.1となる比率で混合した。この混合物を大気条件下において、1200℃で4時間焼成することにより、(Sr0.99Eu0.01(Al0.95Ga0.05の組成比を有する蛍光材料(Sr(Al1.9Ga0.1)O:Eu(III))を得た。得られた蛍光材料は、粉末X線回析パターンを測定することにより同定した。
【実施例】
【0030】
作製例7.Sr(Al1.9In0.1)O:Eu(III)
GaをInに変更したこと以外は、作製例6と同様の方法により、(Sr0.99Eu0.01(Al0.95In0.05の組成比を有する蛍光材料(Sr(Al1.9In0.1)O:Eu(III))を得た。得られた蛍光材料は、粉末X線回析パターンを測定することにより同定した。
【実施例】
【0031】
2.蛍光材料の発光スペクトルの測定
作製例1~7の各蛍光材料の粉末に対し、任意の波長の励起光を照射し、蛍光材料からの発光を測定した。励起光による発光特性の測定装置として、HORIBA Fluorolog-3 spectrofluorometerと光電子増倍管を用いた。
【実施例】
【0032】
(1)SrAl:Eu(III)
SrAl:Eu(III)に対し、303nmの波長の励起光を照射したところ赤色の発光が観測され、365nmの波長の励起光を照射したところ紫色の発光が観測された。図1は、SrAl:Eu(III)に対し、250nm又は397nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルを示す。これらの結果から、SrAl:Eu(III)は励起光の波長によって、発光色及び発光スペクトルが異なることが確認された。
【実施例】
【0033】
(2)CaAl:Eu(III)
図2は、CaAl:Eu(III)に対し、250nm、397nm又は464nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルを示す。CaAl:Eu(III)は、これらの波長の励起光によって同じ紫色の発光を示したが、その発光スペクトルは互いに異なった。
【実施例】
【0034】
(3)SrAl:Eu(III)とCaAl:Eu(III)の比較
SrAl:Eu(III)とCaAl:Eu(III)を比較した結果、蛍光材料の組成が異なることにより、同じ303nmの波長の励起光を照射した場合、SrAl:Eu(III)では赤色に発光し、CaAl:Eu(III)では紫色に発光した。図3は、それぞれの蛍光材料に対し、250nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルを示す。図4は、それぞれの蛍光材料に対し、464nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルを示す。この際、それぞれの蛍光材料は、同じ紫色の発光を示したが、その発光スペクトルは互いに異なった。これらの結果から、蛍光材料に含まれるMの金属(Sr又はCa)を選択することによって、発光色及び発光スペクトルを制御できることが確認された。これは、蛍光材料に含まれる金属によって、結晶構造中の希土類イオンが入る位置が変化するためと考えられる。
【実施例】
【0035】
(4)SrAl:Eu(III)-Tb(III)
SrAl:Eu(III)-Tb(III)に対し、254nmの波長の励起光を照射したところ赤色の発光が観測され、303nmの波長の励起光を照射したところ黄色の発光が観測された。この結果から、蛍光材料に用いる希土類イオンを組み合わせることにより、励起光の波長に応じて異なる発光色が得られることが確認された。
【実施例】
【0036】
(5)(Sr2.5Mg0.5)Al:Eu(III)
(Sr2.5Mg0.5)Al:Eu(III)に対し、250nmの波長の励起光を照射したところ赤色の発光が観測され、397nmの波長の励起光を照射したところオレンジ色の発光が観測された。図5は、(Sr2.5Mg0.5)Al:Eu(III)に対し、250nm、397nm又は464nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルを示す。この結果から、蛍光材料に含まれるMの金属(Sr及びMg)が2種以上である場合でも、1種類の金属を含む場合と同様に励起光に応じて異なる発光色及び発光スペクトルが得られることが確認された。
【実施例】
【0037】
図6の(a)、(b)及び(c)は、SrAl:Eu(III)及び(Sr2.5Mg0.5)Al:Eu(III)に対し、250nm、397nm又は464nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルを示す。この結果から、Mの金属のモル分率(Sr:Mg)を、3:0から2.5:0.5に変化させることでも、発光スペクトルを制御できることが確認された。
【実施例】
【0038】
(6)(Sr1.5Ca1.5)Al:Eu(III)
図7は、SrAl:Eu(III)、CaAl:Eu(III)及び(Sr1.5Ca1.5)Al:Eu(III)に対し、250nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルを示す。(Sr1.5Ca1.5)Al:Eu(III)では、Mの金属(Sr及びCa)が2種であることにより、Mの金属が1種類であるそれぞれの蛍光材料とは異なる発光スペクトルが確認された。
【実施例】
【0039】
(7)Sr(Al1.9Ga0.1)O:Eu(III)
Sr(Al1.9Ga0.1)O:Eu(III)に対し、254nmの波長の励起光を照射したところ黄色の発光が観測され、365nmの波長の励起光を照射したところ紫色の発光が観測された。図8は、Sr(Al1.9Ga0.1)O:Eu(III)に対し、250nm、397nm又は464nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルを示す。これらの結果から、蛍光材料に含まれるMの金属(Al及びGa)が2種である場合でも、Mに2種の金属を有する(Sr2.5Mg0.5)Al:Eu(III)及び(Sr1.5Ca1.5)Al:Eu(III)と同様に、励起光に応じて異なる発光色及び発光スペクトルが得られることが確認された。
【実施例】
【0040】
図9の(a)、(b)及び(c)は、SrAl:Eu(III)及びSr(Al1.9Ga0.1)O:Eu(III)に対し、250nm、397nm又は464nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルを示す。この結果から、Mの金属のモル分率(Al:Ga)を2:0から1.9:0.1に変化させることでも、発光スペクトルを制御できることが確認された。
【実施例】
【0041】
(8)Sr(Al1.9In0.1)O:Eu(III)
Sr(Al1.9In0.1)O:Eu(III)に対し、254nmの波長の励起光を照射したところ橙色の発光が観測され、365nmの波長の励起光を照射したところ紫色の発光が観測された。図10は、Sr(Al1.9In0.1)O:Eu(III)に対し、250nm、397nm又は464nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルを示す。これらの結果から、蛍光材料に含まれるMの金属としてAl及びInを用いた場合でも、Al及びGaを用いているSr(Al1.9Ga0.1)O:Eu(III)と同様に、励起光に応じて異なる発光色及び発光スペクトルが得られることが確認された。また、Inを用いたSr(Al1.9In0.1)O:Eu(III)の発光色及び発光スペクトルは、Gaを用いたSr(Al1.9Ga0.1)O:Eu(III)の発光色及び発光スペクトルとは異なっていた。
【実施例】
【0042】
図11の(a)、(b)及び(c)は、SrAl:Eu(III)及びSr(Al1.9In0.1)O:Eu(III)に対し、250nm、397nm又は464nmの波長の励起光を照射した際の発光スペクトルを示す。この結果から、Mの金属のモル分率(Al:In)を、2:0から1.9:0.1に変化させることでも、発光スペクトルを制御できることが確認された。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10