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明細書 :陽極酸化ポーラスアルミナ及びその製造方法、並びに陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレン、その製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-003048 (P2018-003048A)
公開日 平成30年1月11日(2018.1.11)
発明の名称または考案の名称 陽極酸化ポーラスアルミナ及びその製造方法、並びに陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレン、その製造方法
国際特許分類 C25D  11/04        (2006.01)
C25D  11/06        (2006.01)
C25D  11/24        (2006.01)
C25D  11/12        (2006.01)
FI C25D 11/04 302
C25D 11/04 308
C25D 11/06 C
C25D 11/24 302
C25D 11/12 Z
C25D 11/04 303
請求項の数または発明の数 19
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2016-127396 (P2016-127396)
出願日 平成28年6月28日(2016.6.28)
発明者または考案者 【氏名】益田 秀樹
【氏名】柳下 崇
出願人 【識別番号】305027401
【氏名又は名称】公立大学法人首都大学東京
個別代理人の代理人 【識別番号】100150876、【弁理士】、【氏名又は名称】松山 裕一郎
審査請求 未請求
要約 【課題】細孔周期が、700nmを超えるほどに大きく、しかも大面積や曲面でも製造可能な陽極酸化ポーラスアルミナ、このような細孔周期を有し、大面積に対して適用可能であり、ロール状の地金に対しても適用可能なポーラスアルミナの製法方法を提供すること。
【解決手段】細孔の周期が720nm以上であり、規則配列した細孔が縦、横4個×4個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている陽極酸化ポーラスアルミナ及びアルミニウム材を陽極酸化する陽極酸化工程を具備し、該陽極酸化工程において、陽極酸化に用いる酸性電解液が、基本となる酸と、電解液全体中1重量%以下のリン酸またはリン酸塩とを含む陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
細孔の周期が720nm以上であり、規則配列した細孔が縦、横4個×4個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている陽極酸化ポーラスアルミナ。
【請求項2】
上記細孔が縦、横5個×5個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている請求項1記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
【請求項3】
上記細孔が縦、横6個×6個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている請求項1記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
【請求項4】
上記細孔が縦、横7個×7個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている請求項1記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
【請求項5】
膜厚が15μm以上であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナ
【請求項6】
膜厚のもっとも厚い部分と薄い部分との差が、最も厚い部分の厚みの20%以内であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナ
【請求項7】
上記の各細孔の細孔壁面に形成される横穴の個数が一つの細孔に対して5個以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
【請求項8】
銅濃度が30ppm以下であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
【請求項9】
上記銅濃度が20ppm以下であることを特徴とする請求項8記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
【請求項10】
上記銅濃度が10ppm以下であることを特徴とする請求項9記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
【請求項11】
細孔の周期が、750nm以上であることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
【請求項12】
細孔の周期が、1μm以上であることを特徴とする請求項11に記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
【請求項13】
アルミニウム材を陽極酸化する陽極酸化工程を具備し、該陽極酸化工程において、陽極酸化に用いる酸性電解液が、基本となる酸と、電解液全体中1重量%以下のリン酸、またはリン酸塩とを含むことを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
【請求項14】
上記の基本となる酸としてクエン酸、リンゴ酸および酒石酸のうち少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項13記載の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
【請求項15】
上記酸性電解液が、水と混和可能な有機溶媒を含む溶液を含有することを特徴とする請求項12~14のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
【請求項16】
上記有機溶媒が、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミンおよびジメチルスルホキシドからなる群より選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項15記載の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
【請求項17】
請求項1記載の陽極酸化ポーラスアルミナを選択的に溶解除去し、当該陽極酸化ポーラスアルミナの製造時と同一の電圧条件下で再度陽極酸化してなる、表面から細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナ。
【請求項18】
請求項1~12のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナにおける各細孔が貫通した陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレン。
【請求項19】
請求項18記載の陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレンの製造方法であって、
陽極酸化によってアルミニウム地金表面にポーラスアルミナを形成した後、電解液を濃硫酸として、所定電圧条件下で陽極酸化をおこない、皮膜底部に溶解性の高いアルミナ層を形成し、当該アルミナ層を優先的に溶解除去する除去工程
を具備することを特徴とする陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、細孔が微細かつ高い規則性をもって配列した陽極酸化ポーラスアルミナおよびその製造方法に関し、様々な機能デバイスへの応用が可能な陽極酸化ポーラスアルミナ、その製造方法、陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレン、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムを酸性浴中で陽極酸化することにより得られる陽極酸化ポーラスアルミナは、サイズの均一な細孔が配列したホールアレー構造を有するために、フィルターや触媒担体、鋳型材料等、様々な応用が期待できる機能性材料である。
陽極酸化ポーラスアルミナの特徴の一つに、適切な条件下で陽極酸化を行うと細孔が自己組織化的に規則配列を形成することがあげられる(非特許文献1)。
陽極酸化ポーラスアルミナの細孔周期は、陽極酸化電圧に依存にして変化するため、各電圧条件下で電解液の種類、濃度、浴温、陽極酸化時間等の各種条件を最適化することで35nmから500nmの範囲で細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナの作製が可能であることが明らかとなっている(非特許文献2)。
また、陽極酸化によって形成されたポーラスアルミナの細孔径は細孔周期の1/4~1/3のサイズを有しており、酸性水溶液を用いたエッチング処理により細孔壁の溶解を行えば、細孔径を拡大することも可能であるため、用途に応じて細孔周期、細孔径が制御された高規則性ポーラスアルミナの作製を行うことができる。自己組織化的な細孔の規則配列はアルミナ皮膜の成長とともに進行することから、高い細孔配列規則性を有するポーラスアルミナの作製を行うためには、最低でもアスペクト比(細孔深さ/細孔周期の値)20以上のポーラス層を形成する必要がある。500nm以上の細孔周期を有するポーラスアルミナの作製については、これまでにも、クエン酸やリンゴ酸、酒石酸等の水溶液を用いて高電圧条件下で陽極酸化を行うことで作製が可能であることが報告されている(非特許文献3~8)。
【0003】
しかしながら、これまでの検討では、アスペクト比が20を超えるポーラスアルミナの層の形成は報告されておらず、その結果として細孔が自己組織化的に規則配列したポーラスアルミナ層の形成も実現されていない。最近の報告において、菊地らがエチドロン酸を用いた陽極酸化において、細孔周期710nmのポーラスアルミナにおいてアスペクト比が20を超える皮膜形成が可能であり、その結果として自己組織化的に細孔が規則配列したポーラスアルミナが得られることが報告されている(非特許文献9)。
しかしながら、エチドロン酸を用いた陽極酸化では、細孔周期が710nmより大きなポーラスアルミナの形成は難しく、細孔周期が720nmを超える高規則性ポーラスアルミナの作製は実現されていない。
他方、陽極酸化に用いるAl材の表面にあらかじめテクスチャリング処理を施し、細孔発生の開始点として機能する窪みを形成することで、細孔が規則的に配列したポーラスアルミナを作製することもできる(非特許文献10)。
このようなテクスチャリングプロセスに基づき、細孔周期が1μmから3μmの範囲で規則的に配列したポーラスアルミナの作製が可能であることが報告されている(非特許文献11)。
テクスチャリングプロセスによれば、窪み部分から細孔発生を誘導するため、比較的容易に高規則性ポーラスアルミナの作製を行うことができるが、得られる試料のサイズが用いるモールドサイズに制限されるため大面積の試料を作製することが困難であるといった問題点がある。加えて、テクスチャリングプロセスは曲面に対して適用することが難しく、例えばロール状Alの表面にテクスチャリング処理にもとづき高規則性ポーラスアルミナを形成することは困難である等、製造上の制約も大きいという問題がある。
【先行技術文献】
【0004】
<nplcit num="1"> <text>H. Masuda and K. Fukuda, Science, 268, 1466 (1995).</text></nplcit><nplcit num="2"> <text>益田、柳下、近藤、西尾、ゼオライト、26,45(2009))。</text></nplcit><nplcit num="3"> <text>S. Ono, M. Saito, M. Ishiguro, and H. Asoh, J. Electrochem. Soc., 151, B473 (2004),</text></nplcit><nplcit num="4"> <text>A. Mozalev, I. Mozaleva, M. Sakairi, H. Takahashi, Electrochimca Acta, 50, 5065 (2005),</text></nplcit><nplcit num="5"> <text>S. Z. Chu, K. Wada, S. Inoue, M. Isogai, Y. Katsuta and A. Yasumori, J. Electrochem. Soc., 153, B384(2006),</text></nplcit><nplcit num="6"> <text>Q. Wang, Y. Long, B. Sun, J. Porous Mater., 20, 785 (2013),</text></nplcit><nplcit num="7"> <text>X. Chen, D. Yu, L. Cao, X. Zhu, Y. Song, H. Huang, L. Lu, X. Chen, Mater. Res. Bull., 57, 116 (2014),</text></nplcit><nplcit num="8"> <text>J. Bellemare, F. Sirois, and D. Menard, J. Electrochem. Soc., 161, E75 (2014)</text></nplcit><nplcit num="9"> <text>T. Kikuchi, O. Nishinaga, S. Natsui, and O. Suzuki, Electrochimica Acta, 156, 235 (2015).)</text></nplcit><nplcit num="10"> <text>H. Masuda, H. Yamada, M. Satoh, H. Asoh, M. Nakao, T. Tamamura, Appl. Phys. Lett., 71, 2770 (1997))。</text></nplcit><nplcit num="11"> <text>Q. Lin, S. Leung, K. Tsui, B. Hua and Z. Fan, Nanoscale Res. Lett., 8, 268 (2013))。</text></nplcit>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
要するに、従来提案されているポーラスアルミナは、細孔周期が、700nmを超えるほどに大きく、大面積に対して適用可能であり、ロール状の地金に対しても適用可能なポーラスアルミナの製法方法は提案されておらず、したがって、このような大きな細孔周期のポーラスアルミナも提案されていないのが現状である。
したがって、本発明の目的は、細孔周期が、700nmを超えるほどに大きく、しかも大面積や曲面でも製造可能な陽極酸化ポーラスアルミナ、および、このような細孔周期を有し、大面積に対して適用可能であり、ロール状の地金に対しても適用可能なポーラスアルミナの製法方法、並びに該ポーラスアルミナを用いたポーラスアルミナスルーホールメンブレンおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、自己組織化プロセスによれば、陽極酸化に用いる装置をスケールアップするだけで大面積化にも対応可能であり、平板だけではなく曲率を有する表面に対しても適用可能であるといった利点があることに着目し、かかる自己組織化プロセスによる陽極酸化ポーラスアルミナについて検討した結果、酸性電解液に特定の酸を添加することで上記目的を達成しうること(上記目的にある細孔周期を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得られること)を知見し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の各発明を提供するものである。
1.細孔の周期が720nm以上であり、規則配列した細孔が縦、横4個×4個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている陽極酸化ポーラスアルミナ。
2.上記細孔が縦、横5個×5個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている1記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
3.上記細孔が縦、横6個×6個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている1記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
4.上記細孔が縦、横7個×7個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている1記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
5.膜厚が15μm以上であることを特徴とする、1~4のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナ
6.膜厚のもっとも厚い部分と薄い部分との差が、最も厚い部分の厚みの20%以内であることを特徴とする1~5のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナ
7.上記の各細孔の細孔壁面に形成される横穴の個数が一つの細孔に対して5個以下であることを特徴とする1~6のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
8.銅濃度が30ppm以下であることを特徴とする1~7のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
9.上記銅濃度が20ppm以下であることを特徴とする8記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
10.上記銅濃度が10ppm以下であることを特徴とする9記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
11.細孔の周期が、750nm以上であることを特徴とする1~10のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
12.細孔の周期が、1μm以上であることを特徴とする11に記載の陽極酸化ポーラスアルミナ。
13.アルミニウム材を陽極酸化する陽極酸化工程を具備し、該陽極酸化工程において、陽極酸化に用いる酸性電解液が、基本となる酸と、電解液全体中1重量%以下のリン酸、またはリン酸塩とを含むことを特徴とする1~12のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
14.上記の基本となる酸としてクエン酸、リンゴ酸および酒石酸のうち少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする13記載の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
15.上記酸性電解液が、水と混和可能な有機溶媒を含む溶液を含有することを特徴とする12~14のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
16.上記有機溶媒が、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミンおよびジメチルスルホキシドからなる群より選択される少なくとも一つであることを特徴とする15記載の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
17.1記載の陽極酸化ポーラスアルミナを選択的に溶解除去し、当該陽極酸化ポーラスアルミナの製造時と同一の電圧条件下で再度陽極酸化してなる、表面から細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナ。
18.1~12のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナにおける各細孔が貫通した陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレン。
19.18記載の陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレンの製造方法であって、
陽極酸化によってアルミニウム地金表面にポーラスアルミナを形成した後、電解液を濃硫酸として、所定電圧条件下で陽極酸化をおこない、皮膜底部に溶解性の高いアルミナ層を形成し、当該アルミナ層を優先的に溶解除去する除去工程
を具備することを特徴とする陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の陽極酸化ポーラスアルミナは、細孔周期が700nmを超えるほどに大きく、しかも大面積や曲面でも製造可能なものである。
また、本発明の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法によれば、本発明の陽極酸化ポーラスアルミナを、大面積に対して、また、ロール状の地金等曲面に対しても適用可能である。
また、本発明の陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレンは、本発明の陽極酸化ポーラスアルミナを用いてなるので細孔周期が700nmを超えるほどに大きく、しかも大面積や曲面でも製造可能なものである。
また、本発明の陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレンの製造方法によれば、本発明の陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレンを簡便に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の陽極酸化ポーラスアルミナの要部を摸式的に示す破断斜視図である。
【図2】図2は、実施例1で得られた細孔周期750nmの高規則性な陽極酸化ポーラスアルミナの電子顕微鏡写真(図面代用写真)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
<陽極酸化ポーラスアルミナ>
本発明の陽極酸化ポーラスアルミナは、細孔の周期が720nm以上であり、テクスチャリング処理を用いることなく規則配列した細孔が縦、横4個×4個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている。
ここで、細孔の周期は、図1においてPで示すように、各細孔の中心位置同士の間隔に等しい。また、縦、横の細孔の個数は、それぞれ、図1に示す縦方向(矢印L方向)における細孔の数と横方向(矢印S方向)における細孔の数である。
また、理想三角格子状とは、図1に示すように、細孔が欠陥や配列の乱れなく、三角格子状に配列した構造であり、隣接する三角格子が実質的に等しい形状(たとえば、正三角形)を有する配列をいう。

【0010】
(細孔)
本発明における上記細孔は、細孔発生の開始点として機能するくぼみを人工的に付与することなく自己組織化的に規則配列されたものである。
細孔の周期は、上述のように720nm以上であり、好ましくは750nm以上であり、更に好ましくは800nm以上であり、より好ましくは900nm以上であり、最も好ましくは1μm以上である。また、細孔の周期の上限は特に限定されるものではないが、好ましくは2μm以下である。細孔の周期が720nm未満であると、所望の用途における有用性が低下する。
また上記細孔のアスペクト比(細孔深さ/細孔周期の値)は、20以上であるのが好ましい。すなわち、図1に示すように、細孔3は、表面に円形の開口を有し、且つこの開口から鉛直方向下方に向けて穿孔して、棒状の空隙として形成されており、この空隙の深さと細孔周期との比(アスペクト比)が上述の範囲であるのが好ましい。
また、上述のように、上記細孔は、縦、横4個×4個以上の範囲で、好ましくは横5個×5個以上の範囲で、より好ましくは横6個×6個以上の範囲で、更に好ましくは横7個×7個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている。

【0011】
また、本発明の陽極酸化ポーラスアルミナは、その膜厚(図1のD)が15μm以上であるのが好ましく、20μm以上であるのがさらに好ましく、50μm以上であるのがより好ましい。また、厚みの上限は特に制限されるものではないが、200μm以下とするのが好ましい。膜厚を15μm以上とすることにより、結果として自己組織化的に細孔が規則配列したポーラスアルミナを得ることができる。
本発明の陽極酸化ポーラスアルミナにおいては、膜厚Dにある程度の厚みの差は生じるが、そのもっとも厚い部分と薄い部分との差は、最も厚い部分の厚みの20%以内であるのが好ましく、15%以内であるのがさらに好ましい。
ポーラスアルミナの各細孔は膜厚方向に対して垂直に成長することから、膜厚むらが大きい場合には、細孔の成長方向も不均一となり規則的な細孔配列を得ることができない。そのため、上記の厚みの差を20%以内とするのが好ましく、これにより自己組織化的に細孔が規則配列したポーラスアルミナとすることができる。

【0012】
本発明の陽極酸化ポーラスアルミナは、好ましくは後述する製造方法により製造されるものであるが、形成される細孔にはその内壁面に横穴が形成されることがある。本発明においては、上記の各細孔の細孔壁面に形成される横穴の個数が一つの細孔に対して5個以下であるのが好ましく、4個以下であるのがさらに好ましい。横穴の数が上記範囲内となることで細孔配列規則性の低下がない、陽極酸化ポーラスアルミナとなる。
また、本発明の陽極酸化ポーラスアルミナは、その銅濃度が30ppm以下であるのが好ましく、20ppm以下であるのがさらに好ましく、10ppm以下であるのがより好ましい。この銅濃度の範囲とするには、アルミニウム材として上記の銅濃度の範囲内の銅濃度を有するものを用いればよい。また、銅濃度が上記の範囲内であることにより、上述のように細孔周期700nm以上のポーラスアルミナとすることができる。

【0013】
(他の構成)
また、本発明においては、陽極酸化ポーラスアルミナの表面(開口の形成された面)や裏面(その反対側の面)に他の金属層やアルミナ層を設ける、細孔の一部に金属、半導体、有機物、高分子などを充填する等してもよい。

【0014】
<陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法>
ついで、本発明の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法について説明する。
本発明の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法は、アルミニウム材を陽極酸化する陽極酸化工程を行うことにより実施でき、該陽極酸化工程においては、陽極酸化に用いる酸性電解液が、基本となる酸と、酸性電解液全体中1重量%以下のリン酸、またはリン酸塩とを含むことを特徴とする。
以下さらに詳述する。

【0015】
(前工程)
まず、上記陽極酸化工程の前処理として、原料であるアルミニウム材の鏡面化処理を行う。
用いるアルミニウム材としては、通常このようなポーラスアルミナの材料として用いられるアルミニウム材であれば、大判のものやロール状に巻き取られたもの等種々のものを特に制限なく用いることができる。
また、上記アルミニウム材は、その銅濃度が30ppm以下のアルミニウム材であるのが好ましく、20ppm以下であるのがさらに好ましく、10ppm以下であるのがより好ましい。
100V以上の電圧条件下で陽極酸化を行う場合、アルミニウム材表面に形成されるポーラスアルミナは、地金に含まれる微量の不純物元素の影響を大きく受ける。特に銅を微量含むアルミニウム材を用いると、細孔壁面に多数の横穴があいたポーラスアルミナが形成されてしまい、規則的な細孔配列形成の妨げになるので銅濃度を上述の範囲内とするのが好ましい。すなわち、本発明においては、150Vを超える高電圧条件下において陽極酸化を行っても、垂直に配向した細孔に加えて膜面と並行方向に配向した横穴が発生することを効果的に防止するために上記の銅濃度とするのが好ましい。
鏡面化処理は、常法に従って電解研磨により行うことができる。

【0016】
(陽極酸化工程)
上記陽極酸化工程は、基本となる酸とリン酸又はリン酸塩とを含む酸性電解液を用いて行うことができる。
上記の基本となる酸としては、クエン酸、リンゴ酸および酒石酸のうち少なくともいずれか一つを用いるのが好ましい。
また、上記リン酸又はリン酸塩の含有量は酸性電解液全体中1重量%以下であるが、好ましくは0.1重量%以下である。下限は特に制限されるものではないが、重量0.01%であるのが好ましい。
また、上記酸性電解液は、上記の基本となる酸とリン酸又はリン酸塩とを含む水溶液である(すなわち電解液の主溶媒は水)のが好ましく、上記の基本となる酸の含有量は酸性電解液全体中1~10重量%であるのが好ましく、2~5重量%であるのがさらに好ましい。

【0017】
また、上記酸性電解液は、その溶媒として、水と混和可能な有機溶媒を含む溶液を含有するのが好ましい。上記有機溶媒としては、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミンおよびジメチルスルホキシドからなる群より選択される少なくとも一つであるのが好ましい。上記有機溶媒を用いる場合、その使用量は、水との体積比で水:有機溶媒=5~10:1とするのが好ましい。
高電圧条件下でのアルミニウムの陽極酸化では、絶縁破壊が起こりやすく、一旦、絶縁破壊が起こってしまうと安定な陽極酸化を継続することが難しくなるが、上記有機溶媒を用いることにより、高い電圧条件下においても安定な陽極酸化を実現することができるので、このような有機溶媒を用いるのが好ましい。

【0018】
陽極酸化条件は以下の通りとするのが好ましい。
すなわち、陽極酸化温度は、-10℃~70℃とするのが好ましく、0~50℃とするのがさらに好ましく、15~50℃とするのがより好ましい。電圧は200~500Vとするのが好ましく、300~450Vとするのがさらに好ましい。また、時間は電圧や温度に応じて変更する必要があるので特に制限されるものではないが、5~200時間とするのが好ましく、より好ましくは6~30時間である。

【0019】
(後工程)
また、本発明においては陽極酸化工程の後、クロム酸リン酸等の溶液に浸漬して後処理を行うこともできる。

【0020】
<陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレン>
本発明の陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレンは、上述の本発明の陽極酸化ポーラスアルミナにおける各細孔が貫通して、貫通孔とされたものである。従って、その材質や細孔周期などは上述の陽極酸化ポーラスアルミナと同じであるが、貫通孔の形成手法によっては膜厚が本発明の陽極酸化ポーラスアルミナと相違する。すなわち単に細孔の底部を溶解させて貫通孔を形成した場合には膜厚自体は上述の陽極酸化ポーラスアルミナと同じであるが、後述する製造方法により製造した陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレンは、底部を溶解除去することにより貫通孔を形成するものであるため、膜厚が上述の陽極酸化ポーラスアルミナの膜厚よりも少し薄い膜厚となる。

【0021】
<陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレンの製造方法>
本発明の陽極酸化ポーラスアルミナスルーホールメンブレンは、残存地金をヨードメタノール溶液をはじめとするエッチャント中で選択的に溶解除去した後、ポーラスアルミナ皮膜底部に形成されたバリヤ層と呼ばれるアルミナ層を化学的あるいは物理的な手法によって除去することによって得ることができる。バリヤ層の化学溶解にはリン酸水溶液をはじめとする、各種酸性溶液を用いることができ、物理的な除去方法には、Arイオンミリングをはじめとする各種ドライエッチングが有効である。
また、陽極酸化を行った後、電解液を高濃度の硫酸水溶液に替えて、引き続き陽極酸化を行うと、皮膜底部に溶解性の高いアルミナ層が形成され、この後の処理により皮膜底部を選択的に溶解除去することが可能となるため、大周期の高規則性スルーホールメンブレンを簡便に得ることもできる。この時用いる硫酸水溶液の濃度は、10M以上であることが望ましく、濃硫酸を用いてもよい。
すなわち、特に好ましい本発明の陽極酸化スルーホールメンブレンの製造方法は、陽極酸化によってアルミニウム地金表面にポーラスアルミナを形成した(すなわち上述の陽極酸化ポーラスアルミナの製造)後、電解液を濃硫酸として、所定電圧条件下で陽極酸化を行い、皮膜底部に溶解性の高いアルミナ層を形成し、当該アルミナ層を優先的に溶解除去する除去工程を行うことにより実施することができる。
ここで、所定電圧条件は、上述の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法における電圧と同様の条件において種々選択することができる。また、温度条件や時間も同様に種々選択することができる。
また、上述の後の処理と上記の溶解除去とは同じ処理により行うことができ、例えば、クロム酸リン酸混合溶液(水溶液)中に10~60分間浸漬することにより行うことが出きる。

【0022】
(再生)
また、硫酸水溶液中で形成されるアルミナ層を1ミクロン以下まで薄くすれば、細孔配列規則性を保持した高濃度硫酸化成層を形成することができる。そのため、リン酸水溶液やクロム酸リン酸水溶液を用いたエッチングによりメンブレンの剥離を行った後、地金表面にポーラスアルミナ裏面の構造に対応した規則的なくぼみ配列の保持が可能となるため、同一の電圧条件下で再度陽極酸化を行うことで、表面から細孔が規則配列したポーラスアルミナを繰り返し作製することが可能となる。
すなわち、本発明の陽極酸化ポーラスアルミナは、上述した本発明の陽極酸化ポーラスアルミナを選択的に溶解除去し、当該陽極酸化ポーラスアルミナの製造時と同一の電圧条件下で再度陽極酸化して、再生させることにより得られたものとしてもよい。
【実施例】
【0023】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが本発明はこれらに制限されるものではない。
〔実施例1〕 細孔周期750nmの高規則性ポーラスアルミナの作製
純度99.99%、Cu濃度20ppm以下のアルミニウム板に過塩素酸、エタノール混合溶液中で電解研磨を行い、鏡面化を行った。
得られた試料を、0.2Mクエン酸と0.004Mリン酸を含む水溶液中で、浴温50度、300Vにおいて6時間陽極酸化を行った。得られた試料の膜厚は80μm(もっとも厚い部分と最も薄い部分との差、厚い部分の膜厚の15%)であり、縦、横7個×7個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている、細孔周期750nmの規則的なポーラスアルミナを得た。得られたポーラスアルミナについて電子顕微鏡により確認した。その結果を図2に示す。
また、上記の各細孔の細孔壁面に形成される横穴の個数についても電子顕微鏡により確認したところ一つの細孔に対して5個以下であることを確認した。
【実施例】
【0024】
〔実施例2〕 細孔周期800nmの高規則性ポーラスアルミナの作製
純度99.99%、Cu濃度20ppm以下のアルミニウム板に過塩素酸、エタノール混合溶液中で電解研磨を行い鏡面化を行った。
得られた試料を、0.2Mクエン酸と0.003Mリン酸を含む水溶液中で、浴温30度、320Vにおいて17.5時間陽極酸化を行った。得られた試料の膜厚は67μm(もっとも厚い部分と最も薄い部分との差、厚い部分の膜厚の15%)であり、縦、横7個×7個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている、細孔周期800nmの規則的なポーラスアルミナの作製が可能であった。
また、上記の各細孔の細孔壁面に形成される横穴の個数についても電子顕微鏡により確認したところ一つの細孔に対して5個以下であることを確認した。
【実施例】
【0025】
〔実施例3〕 細孔周期850nmの高規則性ポーラスアルミナの作製
純度99.99%、Cu濃度20ppm以下のアルミニウム板に過塩素酸、エタノール混合溶液中で電解研磨を行い鏡面化を行った。
得られた試料を、0.2Mクエン酸と0.003Mリン酸を含む水溶液中で、浴温16度、340Vにおいて14時間陽極酸化を行った。得られた試料の膜厚は105μm(もっとも厚い部分と最も薄い部分との差、厚い部分の膜厚の15%)であり、縦、横7個×7個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている、細孔周期850nmの規則的なポーラスアルミナの作製が可能であった。
また、上記の各細孔の細孔壁面に形成される横穴の個数についても電子顕微鏡により確認したところ一つの細孔に対して5個以下であることを確認した。
【実施例】
【0026】
〔実施例4〕 細孔周期900nmの高規則性ポーラスアルミナの作製
純度99.99%、Cu濃度20ppm以下のアルミニウム板に過塩素酸、エタノール混合溶液中で電解研磨を行い鏡面化を行った。
得られた試料を、0.2Mクエン酸と0.003Mリン酸を含む水溶液中で、浴温16度、360Vにおいて26時間陽極酸化を行った。得られた試料の膜厚は93μm(もっとも厚い部分と最も薄い部分との差、厚い部分の膜厚の15%)であり、縦、横7個×7個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている、細孔周期900nmの規則的なポーラスアルミナの作製が可能であった。
また、上記の各細孔の細孔壁面に形成される横穴の個数についても電子顕微鏡により確認したところ一つの細孔に対して5個以下であることを確認した。
【実施例】
【0027】
〔実施例5〕 細孔周期950nmの高規則性ポーラスアルミナの作製
純度99.99%、Cu濃度20ppm以下のアルミニウム板に過塩素酸、エタノール混合溶液中で電解研磨を行い鏡面化を行った。
得られた試料を、0.2Mクエン酸と0.002Mリン酸を含む水溶液中で、浴温16度、380Vにおいて23時間陽極酸化を行った。得られた試料の膜厚は56μm(もっとも厚い部分と最も薄い部分との差、厚い部分の膜厚の15%)であり、縦、横7個×7個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている、細孔周期950nmの規則的なポーラスアルミナの作製が可能であった。
また、上記の各細孔の細孔壁面に形成される横穴の個数についても電子顕微鏡により確認したところ一つの細孔に対して5個以下であることを確認した。
【実施例】
【0028】
〔実施例6〕 細孔周期1μmの高規則性ポーラスアルミナの作製
純度99.99%、Cu濃度20ppm以下のアルミニウム板に過塩素酸、エタノール混合溶液中で電解研磨を行い鏡面化を行った。
得られた試料を、0.2Mクエン酸と0.002Mリン酸を含む水溶液中で、浴温16度、380Vにおいて23時間陽極酸化を行った。
得られた試料の膜厚は56μm(もっとも厚い部分と最も薄い部分との差、厚い部分の膜厚の15%)であり、縦、横7個×7個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている、細孔周期950nmの規則的なポーラスアルミナの作製が可能であった。
また、上記の各細孔の細孔壁面に形成される横穴の個数についても電子顕微鏡により確認したところ一つの細孔に対して5個以下であることを確認した。
【実施例】
【0029】
〔実施例7〕 細孔周期750nmの高規則性ポーラスアルミナスルーホールメンブレンの作製
純度99.99%、Cu濃度20ppm以下のアルミニウム板に過塩素酸、エタノール混合溶液中で電解研磨を行い鏡面化を行った。
得られた試料を、0.2Mクエン酸と0.004Mリン酸を含む水溶液中で、浴温50度、300Vにおいて6時間陽極酸化を行った。
その後、電解液を濃硫酸に替え、引き続き300Vにおいて1時間陽極酸化を行った。
得られた試料をクロム酸リン酸混合溶液中に20分間浸漬することで、皮膜底部に形成した高濃度硫酸化成層を選択的に溶解除去し、縦、横7個×7個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている、細孔が自己組織化的に規則配列した750nm周期ポーラスアルミナスルーホールメンブレンの剥離を行った。膜厚は100μmであった(もっとも厚い部分と最も薄い部分との差、厚い部分の膜厚の15%)。
また、上記の各細孔の細孔壁面に形成される横穴の個数についても電子顕微鏡により確認したところ一つの細孔に対して5個以下であることを確認した。
【実施例】
【0030】
〔実施例8〕 エタノールを添加した電解液を用いた陽極酸化による細孔周期1.1μmの高規則性ポーラスアルミナの作製
純度99.99%、Cu濃度20ppm以下のアルミニウム板に過塩素酸、エタノール混合溶液中で電解研磨を、行い鏡面化を行った。
得られた試料を、0.2Mクエン酸と0.0025Mリン酸を含む水エタノール混合溶液(水とエタノールの体積比は9:1)中で、浴温0度、440Vにおいて192時間陽極酸化を行った。
その後、電解液を濃硫酸に替え、引き続き300Vにおいて1時間陽極酸化を行った。得られた試料の膜厚は100μm(もっとも厚い部分と最も薄い部分との差、厚い部分の膜厚の15%)であり、縦、横7個×7個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている、細孔周期1.1μmの規則的なポーラスアルミナの作製が可能であった。
また、上記の各細孔の細孔壁面に形成される横穴の個数についても電子顕微鏡により確認したところ一つの細孔に対して5個以下であることを確認した。
【実施例】
【0031】
〔実施例9〕 リンゴ酸を用いた陽極酸化による細孔周期750nmの高規則性ポーラスアルミナの作製
純度99.99%、Cu濃度20ppm以下のアルミニウム板に過塩素酸、エタノール混合溶液中で電解研磨を行い鏡面化を行った。
得られた試料を、0.3Mリンゴ酸と0.004Mリン酸を含む水溶液中で、浴温16度、350Vにおいて30時間陽極酸化を行った。得られた試料の地金を溶解除去した後、試料裏面から配列の確認を行ったところ、縦、横7個×7個以上の範囲で理想三角格子状に配列されている、細孔周期750nmで規則的に配列している様子が確認できた。また、膜厚は50μmであった(もっとも厚い部分と最も薄い部分との差、厚い部分の膜厚の15%)。
また、上記の各細孔の細孔壁面に形成される横穴の個数についても電子顕微鏡により確認したところ一つの細孔に対して5個以下であることを確認した。


図面
【図1】
0
【図2】
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