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Specification :(In Japanese)立体型櫛型電極およびその製造方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)公開特許公報(A)
Publication number P2019-045244A
Date of publication of application Mar 22, 2019
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)立体型櫛型電極およびその製造方法
IPC (International Patent Classification) G01N  27/30        (2006.01)
G01N  27/327       (2006.01)
B82Y  30/00        (2011.01)
B82Y  40/00        (2011.01)
B82Y  15/00        (2011.01)
FI (File Index) G01N 27/30 B
G01N 27/30 F
G01N 27/327
B82Y 30/00
B82Y 40/00
B82Y 15/00
Number of claims or invention 6
Filing form OL
Total pages 15
Application Number P2017-166904
Date of filing Aug 31, 2017
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】杉目 恒志
【氏名】野田 優
【氏名】大野 雄高
【氏名】牛山 拓也
Applicant (In Japanese)【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
Representative (In Japanese)【識別番号】100080089、【弁理士】、【氏名又は名称】牛木 護
【識別番号】100161665、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 知之
【識別番号】100178445、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 淳二
【識別番号】100121153、【弁理士】、【氏名又は名称】守屋 嘉高
【識別番号】100188994、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 裕介
【識別番号】100194892、【弁理士】、【氏名又は名称】齋藤 麻美
【識別番号】100146134、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 聡子
Request for examination (In Japanese)未請求
Abstract (In Japanese)【課題】櫛型金属電極上に高密度のCNT(カーボンナノチューブ)フォレストを有し、分析対象物を電気化学的に高感度で検出可能な立体型櫛型電極およびその製造方法を提供する。
【解決手段】バイオセンサに応用可能な立体型櫛型電極1において、基板上に第1櫛型金属電極2と第2櫛型金属電極3が交互に配列した構造を有し、前記第1および第2櫛型金属電極2、3の表面に対して略垂直に配列した高密度のCNTフォレストを備えた構成とした。
【選択図】図1
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
基板上に第1櫛型金属電極と第2櫛型金属電極が交互に配列した構造を有し、前記第1および第2櫛型金属電極の表面に対して略垂直に配列した高密度のCNT(カーボンナノチューブ)フォレストを備えた立体型櫛型電極。
【請求項2】
前記CNTフォレストの密度が、0.5g cm-3以上である請求項1に記載の立体型櫛型電極。
【請求項3】
前記第1櫛型金属電極および前記第2櫛型金属電極が、C、Co、Ni、Fe、Mo、W、Nb、Ti、TiN、Au、PtまたはCuのうち1以上を含む金属層を有する請求項1または2に記載の立体型櫛型電極。
【請求項4】
前記基板が、アルカリガラス、無アルカリガラスのいずれかである請求項1~3のいずれか1項に記載の立体型櫛型電極。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の立体型櫛型電極を備えたバイオセンサ。
【請求項6】
基板上に配置された櫛型金属電極上に、CVD法によりCNT(カーボンナノチューブ)フォレストを形成する立体型櫛型電極の製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、CNT(カーボンナノチューブ)フォレストを使用した立体型櫛型電極およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学に基づくラベルフリーの検出手法と、レドックスサイクルとを利用した櫛型電極は、バイオセンサへの応用を目的として多くの研究が行われている。従来、櫛型電極の材料は金属であった。これに対し、金属に代替する電極材料として、広い電位窓および高速な電子交換を特徴とするカーボン材料が検討されている。例えば非特許文献1では、レジストの熱分解カーボンを用いた櫛型電極が提案されている。一方、非特許文献2および非特許文献3では、化学気相(CVD)法により、Moを含む金属上にCNTを450℃程度の低温プロセスで直接成長させ、高密度のCNTフォレストを形成する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Niwa O., et al., Anal. Chem. 66, 285-289 (1994)
【非特許文献2】Sugime H., et al., Appl. Phys. Lett. 103, 073116 (2013)
【非特許文献3】Sugime H., et al., Appl. Mater. Interfaces, 6 15440-15447 (2014)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1ではプロセス温度が1000℃と、一般的に熱分解カーボン電極を形成するプロセスは850℃以上の高温で数時間の処理が必要であり、またカーボン材料自体の抵抗が高いため、サイクリックボルタメントリ(CV)において定常電流に達しにくく、分析対象物に対する検出感度が低いという問題がある。また、従来の金属材料の櫛型電極では、構造が平面的であり分析対象物がレドックスサイクル過程から離脱しやすく、また、一度使用すると、レドックス種が電極に付着することによるレドックスサイクルの効率低下を惹起する。この効率低下に起因して電流値が低下し、検出感度が低下するため、繰り返し使用することができないという問題があった。
【0005】
非特許文献2および非特許文献3では、金属上に直接高密度のCNTフォレストを成長させる技術が提案されている。しかし、当該技術をバイオセンサ等に使用可能な櫛型電極に応用した例はなく、その作用および効果や性能向上については全くの未知数であった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、櫛型金属電極上に高密度のCNTフォレストを有し、分析対象物を電気化学的に高感度で検出可能な立体型櫛型電極およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はかかる課題を解決するため、基板上に第1櫛型金属電極と第2櫛型金属電極が交互に配列した構造を有し、前記第1および第2櫛型金属電極の表面に対して略垂直に配列した高密度のCNT(カーボンナノチューブ)フォレストを備えた立体型櫛型電極を提供する。
【0008】
前記立体型櫛型電極は、前記CNTフォレストの密度が、0.5g cm-3以上である場合がある。
【0009】
前記立体型櫛型電極は、前記第1櫛型金属電極および前記第2櫛型金属電極が、C、Co、Ni、Fe、Mo、W、Nb、Ti、TiN、Au、PtまたはCuのうち1以上を含む金属層を有する場合がある。
【0010】
前記立体型櫛型電極は、前記基板が、アルカリガラス、無アルカリガラスのいずれかである場合がある。
【0011】
本発明は、上記立体型櫛型電極を備えたバイオセンサを提供する。
【0012】
本発明は、基板上に配置された櫛型金属電極上に、CVD法によりCNTフォレストを形成する立体型櫛型電極の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の立体型櫛型電極およびその製造方法によれば、CNTが高い導電性を有し、CNTによる三次元構造を実現して表面積を大きくするとともに分析対象物を電極間に閉じ込め、また櫛型金属電極上にCNTを直接成長させてCNTと下地との間の良好な電気的な接合(低電気抵抗)を実現することで、検出感度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る立体型櫛型電極を構成する櫛型金属電極の基本的な構造を示す概略図である。
【図2】同上、櫛型金属電極およびCNTフォレストの側方断面図および酸化還元の様子を示す概略図である。
【図3】同上、CNTフォレストを有する立体型櫛型電極の製造工程を示すフロー図である。
【図4】同上、立体型櫛型電極を備えたデバイスの斜視図である。
【図5】同上、櫛型金属電極およびCNTフォレストの側方断面のSEM写真図である。
【図6】同上、立体型櫛型電極のCV特性を示す図である。
【図7】比較例として、CNTフォレストを形成しない金属電極のみの櫛型電極のCV特性を示す図である。
【図8】実施例における、CNTフォレストの高さに対する電極間隔の比に対するリーク(ショート)の有無の特性を示す図である。
【図9】実施例および比較例における、ステップ電圧を印加した場合の応答電流値を示す図である。
【図10】実施例における、アスコルビン酸を含むドーパミンの選択的検出の際のジェネレータ電極での酸化電流値を示す図である。
【図11】図10の縦軸スケールを変更した図である。
【図12】実施例における、アスコルビン酸を含むドーパミンの選択的検出の際のコレクタ電極での還元電流値を示す図である。
【図13】図12の縦軸スケールを変更した図である。
【図14】実施例における、アスコルビン酸を含むドーパミンの選択的検出の際のコレクタ電極での還元電流値を示す図である。
【図15】検出限界(LOD)を算出するための図である。
【図16】実施例における、ジェネレータ電極の電位の掃引を10回繰り返したときのCV特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の立体型櫛型電極およびその製造方法の好ましい実施形態について説明する。

【0016】
(立体型櫛型電極)
極微量物質の検出や反応挙動を観察するため、微小電極を用いた電気化学分析が報告されている。微小電極は、絶縁性の基板上にリソグラフィ技術を用いて微小電極パターンを形成したものである。

【0017】
このような微小電極として、本実施形態の立体型櫛型電極1は、図1に示すように、複数の第1櫛型金属電極2と、該複数の第1櫛型金属電極2を連結する第1連結電極4とを備える第1電極、および、複数の第2櫛型金属電極3と、該複数の第2櫛型金属電極3を連結する第2連結電極5とを備える第2電極で構成される。第1連結電極4および第2連結電極5は、絶縁性の基板11上に互いに略平行に形成される。第1櫛型金属電極2および第2櫛型金属電極3は、それぞれ第1連結電極4および第2連結電極5から、他方の連結電極5、4に向かって延び、交互に配列される。すなわち、基板11上に第1櫛型金属電極2と第2櫛型金属電極3が交互に配列した構造を有する。第1櫛型金属電極2および第2櫛型金属電極3の本数は特に限定されない。

【0018】
これらの電極材料は、C、Co、Ni、Fe、Mo、W、Nb、Ti、TiN、Au、PtまたはCuのうち1以上を含む金属層13を有することができる。基板11は、基板11上の金属層13上にCVD法によるCNTフォレストの形成が可能であり、電極による測定に影響を及ぼさないものであれば特に限定されない。CVD法によるプロセス温度は500℃以下であるので、基板11は例えば、アルカリガラス、無アルカリガラスのいずれかから選択することができる。

【0019】
図2は、図1中、A-A’方向からみたときの断面図の概略図である。第1櫛型金属電極2および第2櫛型金属電極3の幅Weは、4μm以下であることが好ましい。隣接する第1櫛型金属電極2と第2櫛型金属電極3との間の電極間隔Wgは、5μm以下であることが好ましい。

【0020】
本実施形態の立体型櫛型電極1は、第1および第2櫛型金属電極2、3の表面に対して略垂直に配列した高密度のCNTフォレスト7を備える。「立体型櫛型電極」の「立体型」とは、従来の金属電極のみの平面的な櫛型電極に対し、CNT6を三次元的に形成したCNTフォレスト7により、櫛型電極がCNTフォレスト7の配向方向に対して立体的な構造を有することを意味する。

【0021】
(CNTフォレスト)
CNTフォレスト7は、第1櫛型金属電極2および第2櫛型金属電極3上に、その表面に垂直方向に配列される。ここで、「垂直方向に配列される」とは、第1櫛型金属電極2および第2櫛型金属電極3に対して実質的に垂直なCNT6の集合体(CNTフォレスト7)を定義するために用いられる。CNT6は5~35nmの範囲の直径を有することが好ましく、これらのCNT6が複数基板上に成長してCNTフォレスト7が形成される。垂直方向に配列したCNTフォレスト7は、異方性特性を有する高いアスペクト比を有する集合体である。該CNTフォレスト7は、CVD法によって500℃以下の低温のプロセス温度かつ数分間の短時間の処理で第1櫛型金属電極2および第2櫛型金属電極3上に成長させることができ、CNTフォレスト7の配向性の高い配列によって特徴付けられる。CNTフォレスト7の密度は高密度であることが好ましく、例えば0.5g cm-3以上であることが好ましい。

【0022】
(アスペクト比)
CNTフォレスト7の高さhに対する、第1櫛型金属電極2と第1櫛型金属電極に対向する第2櫛型金属電極3との電極間隔Wgの比(アスペクト比)は、センサの感度の観点からは、レドックスサイクルの効率が上がるので、小さい方が好ましい。一方、センサの歩留まりの観点からは、アスペクト比が1以上であると、一方の金属電極上のCNTフォレスト7のCNT6が完全に倒れたとしても隣の金属電極上のCNTフォレスト7に接触する確率が低くなる。さらに、アスペクト比が2以上であると、例えば、両方の金属電極上のCNTフォレスト7のCNT6が完全に倒れたとしても、互いに接触することがなくなるなどして、ショートする確率が低くなる。すなわち、アスペクト比が1以上、好ましくは2以上である場合がある。

【0023】
(CV測定)
立体型櫛型電極1では、隣接する第1櫛型金属電極2および第2櫛型金属電極3に異なる電位を与え、変化させて掃引することにより、電気化学的なレドックスサイクル反応が第1および第2櫛型金属電極上2、3で発生する。すなわち、隣接した電極間で、一方の電極で酸化されたレドックス種が隣の電極で還元される。このようなレドックスサイクルが発生すると、見かけ上の電流値が増大し、感度が向上する。電極サイズと電極間隔Wgが小さいほど、また、アスペクト比が小さいほど、電流の増幅定数は向上する。これにより、立体型櫛型電極1は、可逆性のある物質について、高感度で高選択的なセンサとして応用することができる。試料溶液の量が少ない場合や濃度が低い場合、電解により試料溶液が消費されてしまうが、立体型櫛型電極1では、酸化還元反応が繰り返されるので、試料溶液は枯渇することがない。

【0024】
試料溶液を立体型櫛型電極1に滴下してボルタモグラムを得ることができる。シングルモードでは、測定により電極近傍の分析対象物が消費されてしまい拡散律速の電流になることで、応答が極端に小さくなってしまう場合がある。デュアルモードでは、ジェネレータ電極での酸化電流の増大に伴い、コレクタ電極での還元電流が増大する。

【0025】
サイクリックボルタメトリにおけるシングルモードでは、立体型櫛型電極1の一方の第1櫛型金属電極2と他方の第2櫛型金属電極3に参照電極の電位を基準電位として電位を掃引する。掃引する電位は、酸化還元電位を内包する電位の範囲であればよい。シングルモードの場合は、通常の方形電極と同等のCV特性を有する。これに対し、デュアルモードでは、第2櫛型金属電極3を酸化還元電位よりも十分にマイナス側に固定し、第1櫛型金属電極2の電位を掃引すると、ジェネレータ電極としての第1櫛型金属電極2の電位が酸化還元電位よりもプラスになったときに、レドックスサイクルが発生し、第1櫛型金属電極2側には酸化電流が観測され、第2櫛型金属電極3側には還元電流が観測される。この酸化電流に対する還元電流の比が捕捉率であり、電極幅Weおよび電極間隔Wgが小さくなるほど、捕捉率は向上する。電極サイズと電極間隔Wgが小さくなると、単位時間および単位面積当たりに電極に到達する物質量が増加するためである。また、電極のアスペクト比が小さいほど、捕捉率は向上する。アスペクト比が小さくなると、レドックス種が電極間に閉じ込められるためである。レドックス種は特に限定されるものではなく、フェロシアン化カリウム、フェロセン誘導体、キノン誘導体等の有機化合物や金属錯体のいずれかを用いることができる。

【0026】
また、本実施形態では、CNTフォレスト7を三次元的に形成して表面積を大きくすることで、レドックス種の電極への吸着に対する耐性が増す。これにより、複数回CV測定を行っても、レドックス種に起因する汚染による電子交換速度の低下が小さくなり、立体型櫛型電極1を繰り返し使用し得る。

【0027】
(立体型櫛型電極の製造方法)
本実施形態では、基板11上に配置された第1および第2櫛型金属電極2、3上に、CVD法により高密度のCNTフォレスト7を形成する。以下、図3に従って、その製造方法について説明する。

【0028】
立体型櫛型電極1は、LSI製造技術を利用して作成することができる。まず、図3(A)の基板11上にスピンコートによりレジスト12を塗布する(図3(B))。次にフォトマスクを介して紫外線露光と現像を行い、立体型櫛型電極1を形成する部分のレジスト12を溶解する(図3(C))。そして蒸着またはスパッタ装置を用いてレジスト12上に電極としてのTiおよびAuと、触媒条件としてのTi、NbおよびCoとを順に堆積させる(図3(D))。ここで、堆積させる金属層13は、C、Co、Ni、Fe、Mo、W、Nb、Ti、TiN、Au、PtまたはCuのうち1以上を含む金属層を有することができる。次に有機溶媒中でレジスト12を溶解させ、レジスト12とその上に堆積された不要な金属層13をリフトオフし、立体型櫛型電極1のパターンを得る(図3(E))。SiO2等の絶縁膜15で覆う必要のない第1櫛型金属電極2および第2櫛型金属電極部分3等にレジスト14をパターニングし(図3(F))、基板11全体に絶縁膜15を堆積させた後(図3(G))、レジスト14を除去する(図3(H))。最後に第1櫛型金属電極2および第2櫛型金属電極3上に、CVD法によりCNTフォレスト7を成長させる(図3(I))。こうして得られた立体型櫛型電極1を例えば図4に示すように30個搭載し、参照電極を設けたデバイス20を作製することができる。当該デバイス20にはその他、対極CEおよび参照電極REを設けることできる。以上のような本実施形態に係る立体型櫛型電極1を備えたセンサは、例えば、化学ポテンシャル、熱あるいは光学的な変化を信号変換器で電気信号へ変換するバイオセンサとして利用することができる。

【0029】
また、高密度のCNTフォレスト7を備えた立体型櫛型電極1を作製するため、立体型櫛型電極1の櫛型金属電極2、3上に設けられたCNTフォレスト7を溶液に浸した後に乾燥させることで、CNTフォレスト7の密度を高めた立体型櫛型電極1の製造方法を利用することもできる。
【実施例】
【0030】
本明細書において言及される全ての文献はその全体が引用により本明細書に取り込まれる。ここに記述される実施例は本発明の実施形態を例示するものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0031】
本発明に係る実施例の立体型櫛型電極1を、以下の製造方法にしたがって作製した。まず、基板11上にスピンコートによりレジスト12を塗布した。次にフォトマスクを介して紫外線露光と現像を行い、立体型櫛型電極1を形成する部分のレジスト12を溶解した。そして蒸着またはスパッタ装置を用いてレジスト12上に電極としてのTiおよびAuと、触媒条件としてのTi、NbおよびCoとを順に堆積させ金属層13を形成した。次に有機溶媒中でレジスト12を溶解させ、レジスト12とその上に堆積された不要な金属層13をリフトオフし、立体型櫛型電極1のパターンを得た。SiO2で覆う必要のない第1櫛型金属電極2および第2櫛型金属電極3部分等にレジスト14をパターニングし、基板11全体にSiO215を堆積させた後、レジスト14を除去した。最後に第1櫛型金属電極2および第2櫛型金属電極3上に、CVD法によりCNTフォレスト7を成長させた。こうして得られた立体型櫛型電極1を30個搭載し、デバイス20を作製した。当該デバイス20にはその他、対極CEおよび参照電極RE(Ag/AgCl)を設けた。
【実施例】
【0032】
基板11の材料には熱酸化膜付きSi基板を使用した。金属層13について、電極としての各層の厚さは、Au/Ti(nm)=100/10とした。触媒条件としての各層の厚さは、Co/Nb/Ti(nm)=10/5/5とした。CVDの条件としては、C2H2(1%)、H2(10%)、Ar(89%)を合計500sccm供給し、465℃で150秒の処理を行った。
【実施例】
【0033】
図5は、実施例の立体型櫛型電極1の断面図を示すSEM写真図である。図中、3-2は、第1および第2櫛型金属電極2、3の電極幅Weの設計値が3μmであり、第1櫛型金属電極と第2櫛型金属電極との間の電極間隔Wgの設計値が2μmであることを意味する。Weが2μmに対しWgを2、3、4μm(2-2、2-3、2-4)、Weが3μmに対しWgを2、3、4μm(3-2、3-3、3-4)、Weが4μmに対しWgを2、3,4、5(4-2、4-3、4-4、4-5)とした立体型櫛型電極を作製し、評価を行った。CNTフォレストの高さhは、0.3~7.0μmとした。
【実施例】
【0034】
CV測定について、シングルポテンシャルサイクリックボルタメトリ(3電極)、および、デュアルポテンシャルサイクリックボルタメトリ(4電極)を行った。図6に本発明の立体型櫛型電極1の測定結果を実施例として、図7にCNTフォレストを形成しない金属電極のみの櫛型電極の測定結果を比較例として示す。
【実施例】
【0035】
シングルポテンシャルサイクリックボルタメトリでは、2つの作用電極WE1、WE2を同電位として、参照電極(Ag/AgCl)に対し電位0V~0.5Vの範囲において10mV/秒の速度で掃引した。
【実施例】
【0036】
デュアルポテンシャルサイクリックボルタメトリでは、作用電極WE2を電位-0.1Vに固定して第2櫛型金属電極3をコレクタ電極とし、作用電極WE1を参照電極(Ag/AgCl)に対し電位0V~0.5Vの範囲において10mV/秒の速度で掃引して第1櫛型金属電極2をジェネレータ電極とした。
【実施例】
【0037】
サンプル液としては、シングルポテンシャルサイクリックボルタメトリ、および、デュアルポテンシャルサイクリックボルタメトリともに、フェロシアン化カリウム(Fe(CN)64-(0.1mM)in KCl(0.1M))を使用した。
【実施例】
【0038】
デュアルポテンシャルサイクリックボルタメトリでは、シングルポテンシャルサイクリックボルタメトリよりも大きな電流値が観測された。また、本発明の立体型櫛型電極1は、比較例の金属電極のみの櫛型電極よりも拡散律速の電流値に達しやすく大きな電流値が観測された。
【実施例】
【0039】
表1に本発明に係る実施例の立体型櫛型電極1の捕捉率、表2に比較例の櫛型電極の捕捉率を示す。捕捉率は、酸化電流に対する還元電流の比であり、電極幅Weおよび電極間隔Wgが小さくなるほど、捕捉率は向上する。実施例の捕捉率は、同じ電極幅Weおよび電極間隔Wgの比較例に比較して、高い結果となった。そして実施例において、We=2μm、Wg=3μmのときに、97.5%と最も高い捕捉率となった。
【実施例】
【0040】
【表1】
JP2019045244A_000003t.gif
【実施例】
【0041】
【表2】
JP2019045244A_000004t.gif
【実施例】
【0042】
表3に本発明に係る実施例の立体型櫛型電極1の増幅定数、表4に比較例の櫛型電極の増幅定数を示す。増幅定数は、シングルモードでの最大の酸化電流に対するデュアルモードでの0.5Vにおけるジェネレータの酸化電流の比として算出した。増幅定数も、捕捉率と同様に、We=2μm、Wg=3μmのときに、18.68と最も高い捕捉率となった。
【実施例】
【0043】
【表3】
JP2019045244A_000005t.gif
【実施例】
【0044】
【表4】
JP2019045244A_000006t.gif
【実施例】
【0045】
表5は、本発明に係る実施例の立体型櫛型電極1において、CNTフォレスト7の高さh、電極幅Weおよび電極間隔Wgを種々変更し、第1櫛型金属電極2と第2櫛型金属電極3との間でショートせずに電流値を測定できたものを「○」、ショートしてリークした結果電流値を測定できなかったものを「×」としてまとめたものである。この結果に対し、CNTフォレスト7の高さhに対する電極間隔Wgのアスペクト比(Wg/h)を算出し、アスペクト比Wg/hを縦軸に、hを横軸にとったグラフを図8に示す。表5中のh=0.62μm、We=2μm、Wg=3μm(アスペクト比Wg/h=4.8)の場合に最も良い特性を示す立体型櫛型電極1が得られた。CNTフォレスト7の高さが低い場合でも、アスペクト比が比較的大きくなければ、リーク(ショート)が起こる例が観測された。一方、CNTフォレスト7の高さが高い場合でも、アスペクト比が約2以上であれば、リーク(ショート)が起こらない実施例が得られた。
【実施例】
【0046】
【表5】
JP2019045244A_000007t.gif
【実施例】
【0047】
図9に、本発明に係る実施例の立体型櫛型電極1(図中CNTF)と比較例の櫛型電極(図中Metal)において、ジェネレータ電位を0.4Vに固定し、コレクタ電位を0.4Vと0Vとの間で25秒毎に変化させたステップ電圧を印加したときの電流値(クロノアンペロメトリ)を示す。実施例の増幅定数は69.7と比較例の14.1に対し約5倍大きい結果となった。
【実施例】
【0048】
図10~図13は、100μMのアスコルビン酸(aa)が存在するドーパミンの選択的検出を示すCV特性である。図11および図13は、それぞれ図10および図12の縦軸スケールを変更したものである。アスコルビン酸が共存する中でも、ジェネレータ電極で酸化されたドーパミンがアスコルビン酸によって還元される前にコレクタ電極で検出され、ドーパミンが選択的に検出されていることが分かる。
【実施例】
【0049】
図14および図15では、アスコルビン酸(aa)のみのデータからRMSノイズNを求め、y切片を0とした近似曲線の傾きaを用いて、下記数式1により検出限界(LOD:Limit of Detection)を算出した。本実施例では、線形領域は100nM~100μMの濃度範囲で、aは0.01427、Nは1.975×10-10であった。その結果、検出限界は4.2×10-8(M)となった。
【実施例】
【0050】
【数1】
JP2019045244A_000008t.gif
【実施例】
【0051】
図16は、ジェネレータ電極の電位の掃引を10回繰り返したときのCV特性を示す。本発明の立体型櫛型電極1では、We=10μm、Wg=10μmの場合に、最大酸化電流の半分の電流が流れる電位である半波電位の変化ΔE1/2が-4.1mVと、電子交換速度の低下が極めて小さかった。
【実施例】
【0052】
これに対し、CNTフォレストを形成しない金属電極(金)のみの櫛型電極では、We=10μm、Wg=10μmの場合に、ΔE1/2が148mVであった。また、平面状にCNTを配置させた櫛型電極では、We=7.5μm、Wg=12.5μmの場合に、ΔE1/2が59mVであった。
【実施例】
【0053】
この結果から、本発明の立体型櫛型電極1は、CNTフォレスト7を三次元的に形成し、表面積を大きくすることで、吸着耐性が増し、レドックス種に起因する汚染に対して良好な耐性を示すことが分かる。
【実施例】
【0054】
以上、本発明を実施形態および実施例に基づいて説明したが、本発明は種々の変形実施をすることができる。例えば、実施例ではドーパミンの選択的検出の例を示したが、本発明の立体型櫛型電極1は、医療や、薬剤、食品、生物、化学等の分野において使用されるバイオセンサとして応用することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 立体型櫛型電極
2 第1櫛型金属電極
3 第2櫛型金属電極
7 CNT(カーボンナノチューブ)フォレスト
11 基板
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
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(In Japanese)【図4】
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(In Japanese)【図5】
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(In Japanese)【図6】
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(In Japanese)【図7】
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(In Japanese)【図8】
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(In Japanese)【図9】
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(In Japanese)【図10】
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(In Japanese)【図11】
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(In Japanese)【図12】
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(In Japanese)【図13】
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(In Japanese)【図14】
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(In Japanese)【図15】
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(In Japanese)【図16】
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