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明細書 :静電容量式角度検出装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-031332 (P2016-031332A)
公開日 平成28年3月7日(2016.3.7)
発明の名称または考案の名称 静電容量式角度検出装置
国際特許分類 G01D   5/245       (2006.01)
FI G01D 5/245 C
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2014-154642 (P2014-154642)
出願日 平成26年7月30日(2014.7.30)
発明者または考案者 【氏名】清水 暁
【氏名】植竹 大輔
【氏名】八木澤 秀人
【氏名】高橋 邦彦
【氏名】高橋 隆一
出願人 【識別番号】591100563
【氏名又は名称】栃木県
【識別番号】598023366
【氏名又は名称】丸井計器 株式会社
個別代理人の代理人 【識別番号】100144358、【弁理士】、【氏名又は名称】藤掛 宗則
審査請求 未請求
テーマコード 2F077
Fターム 2F077AA21
2F077CC10
2F077HH02
2F077HH08
2F077HH12
2F077NN02
2F077NN14
2F077PP01
要約 【課題】アブソリュート型とインクリメント型の2つのセンサ間に生じる干渉を抑え、小型かつ高い測定精度を備えた静電容量式角度検出装置を提供する。
【解決手段】静電容量式角度検出装置は、ステータ、ロータ101、回路基板を有する。ステータは、ステータ電極が中心部、外周縁、及びこの間に形成され、ステータ電極間に形成され、90度のピッチ角度で放射状に延びる複数の第1の受信電極、ステータ電極間に形成され、8度のピッチ角度で放射状に延びる複数の第2の受信電極を有する。ロータ101は、ステータに対して平行で且つ回転自在に設けられ、ステータと対向する面上にロータ電極21~23を有する。ロータ電極21は、第1の受信電極と対向する面の面積が、ロータ電極23は、第2の受信電極と対向する面の面積が、ロータ電極22は、第1及び第2の受信電極と対向する面の面積がそれぞれロータの回転に応じて変化する形状に形成される。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
中心部に形成された第1の駆動電極と、外周縁に形成された第2の駆動電極と、当該第1の駆動電極と第2の駆動電極との間に形成された第3の駆動電極と、当該第1の駆動電極と第3の駆動電極との間に形成され、第1のピッチ角度で放射状に延びる複数の第1の受信電極と、当該第2の駆動電極と第3の電極との間に形成され、当該第1のピッチ角度よりも狭い第2のピッチ角度で放射状に延びる複数の第2の受信電極とを有する円板状の固定基板と、
前記固定基板に対して平行で且つ回転自在に設けられるとともに、当該固定基板と対向する面上に形成された、前記第1の駆動電極に入力された駆動信号を前記第1の受信電極へ伝達する第1の送信電極と、前記第2の駆動電極に入力された駆動信号を前記第2の受信電極へ伝達する第2の送信電極と、前記第3の駆動電極に入力された駆動信号を前記第1及び第2の受信電極へ伝達する第3の送信電極とを有する円板状の回転基板と、
前記受信電極それぞれから出力される信号に基づいて前記回転基板の絶対的な回転変位量を算出する処理手段と、を有し、
前記第1の送信電極は、前記第1の受信電極と対向する面の面積が当該回転基板の回転に応じて変化し、前記第2の送信電極は、前記第2の受信電極と対向する面の面積が当該回転基板の回転に応じて変化し、前記第3の送信電極は、前記第1及び第2の受信電極と対向する面の面積がそれぞれ当該回転基板の回転に応じて変化する形状にそれぞれが形成されることを特徴とする、
静電容量式角度検出装置。
【請求項2】
前記第2の受信電極は、前記第2のピッチ角度より狭いピッチ角度で放射状に延びる複数の電極から構成されており、それぞれの電極は所定の間隔で他の第2の受信電極を構成する電極と電気的に接続されることを特徴とする、
請求項1に記載の静電容量式角度検出装置。
【請求項3】
前記第1の送信電極は、前記第1の駆動電極と対向する面の面積が前記回転基板の回転に依らず一定となる形状に形成され、
前記第2の送信電極は、前記第2の駆動電極と対向する面の面積が前記回転基板の回転に依らず一定となる形状に形成され、
前記第3の送信電極は、前記第3の駆動電極と対向する面の面積が前記回転基板の回転に依らず一定となる形状に形成されることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の静電容量式角度検出装置。
【請求項4】
前記第1の送信電極は、偏心円形状に形成された電極であり、
前記第3の送信電極は、前記第1の送信電極の外周を囲む部位と、当該部位から前記回転基板の外周縁に向けて所定のピッチ角度で延出した複数の部位とを含んで形成された電極であり、
前記第2の送信電極は、前記第3の送信電極の外周を囲む部位と、当該部位から前記回転基板の中心に向けて所定のピッチ角度で延出した複数の部位とを含んで形成された電極であることを特徴とする、
請求項1、2又は3に記載の静電容量式角度検出装置。
【請求項5】
前記処理手段は、前記受信電極それぞれから出力された信号を同じタイミングで抽出し、抽出結果に基づき前記回転基板の絶対的な回転変位量を算出することを特徴とする、
請求項1乃至4いずれか一項に記載の静電容量式角度検出装置。
【請求項6】
前記処理手段が構成された回路を有する回路基板をさらに有し、
前記固定基板と前記回路基板の間に導電層を形成することを特徴とする、
請求項1乃至5いずれか一項に記載の静電容量式角度検出装置。
【請求項7】
前記第1の受信電極は、前記第1のピッチ角度より狭いピッチ角度で放射状に延びる複数の電極から構成されており、
前記第1の送信電極は、円形状に形成された部位と、当該部位から前記回転基板の外周縁に向けて所定のピッチ角度で延出した複数の部位とを含んで形成され、
前記第3の送信電極は、前記第1の送信電極の外周を囲む部位と、当該部位から前記回転基板の外周縁及び中心に向けてそれぞれ所定のピッチ角度で延出した複数の部位とを含んで形成されることを特徴とする、
請求項4、5又は6に記載の静電容量式角度検出装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、絶対角度を検出可能なデジタル角度計、ロータリーエンコーダ等の角度計測器に利用される静電容量式角度検出装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
角度センサ(角度検出装置)は、回転による角度変化を電気信号に変換し、この信号を処理することで移動物の位置や移動速度、これらの変化の様子などを検出する検出装置である。また、角度検出装置は、検出出力の形態の違いからインクリメント型とアブソリュート型に分けることができる。
【0003】
インクリメント型センサでは、変位量がパルス等に変換され出力され、このパルスをカウントすることにより回転角度を測る、というものである。しかしながら、センサの電源が切れてしまうとこれまでの角度情報が失われるため、角度測定時の原点は任意となってしまう。また、回転速度の上昇に伴い、カウントもれ等による検出誤差が発生することもある。
【0004】
一方、アブソリュート型センサでは、原点は常に固定されており、原点からの回転量を測定することができる。そのため、センサの電源が切れた場合であっても角度情報が失われないという利点がある。また、回転速度が上昇しても検出誤差が発生しないという利点がある。そのため、産業用ロボットのサーボモータなどに広く利用されている。
【0005】
また、角度検出装置は、検出方式により光学式、磁気式、静電容量式等に分類することができる。この中で、静電容量式は、消費電力が少なく、且つ、製造コストが安価であるという特徴があり、角度計等の携帯測定器のセンサに広く用いられている。
さらに、角度計やロータリーエンコーダを利用する技術分野では、絶対角度を高精度に測定でき、且つ、小型で安価な製品に対する要求がある。高精度に角度を測定するためには、測定精度の高いインクリメント型センサと、測定精度は低いが絶対角度を検出することができるアブソリュート型センサとの2種類のセンサを備えた角度検出装置が必要になる。
【0006】
例えば、特許文献1に開示された変位測定装置は、絶対位置を検出可能なリニアエンコーダに関するものであり、アブソリュート型センサとインクリメント型センサを併用し、それぞれの検出結果を加算して正しい測定値を得る、というものである。
また、特許文献2に開示された容量性移動量エンコーダは、センサ間で生じる干渉を抑えるために入力信号の周波数をセンサ毎に変えて測定精度を高める、というものである。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開平5-45108号公報
【特許文献2】特表2002-542476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、静電容量式の角度検出装置では、絶対角度を検出するためのセンサ(検出部)と、相対角度を検出するためのセンサ間の干渉を防ぐためにセンサのサイズを大きくしなければならず、装置の小型化が難しい、という問題ある。また、小型化することに伴い装置の回路構成が大幅に複雑化してしまう、などの課題が残る。
【0009】
本発明は、アブソリュート型とインクリメント型の2つのセンサ間に生じる干渉を抑え、小型かつ高い測定精度を備えた静電容量式角度検出装置を提供することを、主たる課題とする。また、センサが有する回路構成を大幅に簡素化することができる静電容量式角度検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の静電容量式角度検出装置は、中心部に形成された第1の駆動電極と、外周縁に形成された第2の駆動電極と、当該第1の駆動電極と第2の駆動電極との間に形成された第3の駆動電極と、当該第1の駆動電極と第3の駆動電極との間に形成され、第1のピッチ角度で放射状に延びる複数の第1の受信電極と、当該第2の駆動電極と第3の電極との間に形成され、当該第1のピッチ角度よりも狭い第2のピッチ角度で放射状に延びる複数の第2の受信電極とを有する円板状の固定基板と、前記固定基板に対して平行で且つ回転自在に設けられるとともに、当該固定基板と対向する面上に形成された、前記第1の駆動電極に入力された駆動信号を前記第1の受信電極へ伝達する第1の送信電極と、前記第2の駆動電極に入力された駆動信号を前記第2の受信電極へ伝達する第2の送信電極と、前記第3の駆動電極に入力された駆動信号を前記第1及び第2の受信電極へ伝達する第3の送信電極とを有する円板状の回転基板と、前記受信電極それぞれから出力される信号に基づいて前記回転基板の絶対的な回転変位量を算出する処理手段と、を有し、前記第1の送信電極は、前記第1の受信電極と対向する面の面積が当該回転基板の回転に応じて変化し、前記第2の送信電極は、前記第2の受信電極と対向する面の面積が当該回転基板の回転に応じて変化し、前記第3の送信電極は、前記第1及び第2の受信電極と対向する面の面積がそれぞれ当該回転基板の回転に応じて変化する形状にそれぞれが形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回転する回転基板の絶対角度を検出するため各電極構成と、相対角度を検出するための各電極構成とが相互に干渉してしまうことを防ぎ、高精度に角度の検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係る静電容量式角度検出装置の主たる構成を説明するための斜視図。
【図2】(a)、(b)は、ステータに形成された電極パターンを説明するための図。
【図3】(a)、(b)は、ロータに形成された電極パターンを説明するための図。
【図4】検出部からの出力を回路基板においてサンプリングする際のタイミングの一例を示すタイミングチャート。
【図5】回路基板の機能構成を説明するためのシステムブロック図。
【図6】第2実施形態に係る静電容量式角度検出装置のステータに形成された電極パターンを説明するための図。
【図7】ロータに形成された電極パターンを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態例を説明する。
ここで、本発明者らは子細に検討した結果、アブソリュート型センサとインクリメント型センサ間の干渉が主としてロータ電極間で発生する事を見出し、同時にそれらの要因発現を解明した。これらの知見に基づき、ロータ電極の電位が回転によらず一定となるような形状に各電極を形成することを見出した。以下、アブソリュート型センサとインクリメント型センサ間の干渉を抑制することができる静電容量式角度検出装置について説明する。
また、回転角度を表す情報は、電圧の振幅として各センサから出力される。そのため、本発明者らは、矩形波を入力信号とし、この入力信号をトリガとして出力信号のサンプリングを行うことにより、センサが有する制御回路を大幅に簡素化(小型化)するに至った。この点についても詳細に説明する。

【0014】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る静電容量式角度検出装置10(以下、角度センサ10と称す)の主たる構成を説明するための斜視図である。
角度センサ10は、円板状に形成された固定子(固定基板)であるステータ100、円板状に形成された回転自在な回転子(回転基板)であるロータ101、導電体(導電層)102、ロータ101の絶対的な回転変位量を算出する回路基板103、回転軸104を含んで構成される。また、ロータ101は、図1に示すように、回転軸104の周りを回転自在に構成される。なお、ロータ101の回転角度を回転角θ[deg]として説明を進める。

【0015】
ステータ100とロータ101は、所定の隙間をあけた状態で、且つ、対向するそれぞれの面が平行になるように回転軸104を介して配備される。また、ステータ100とロータ101とが対向する面上には、それぞれ後述する電極パターンが形成されている。ステータ100とロータ101に形成された各電極パターンは、そのパターンに応じた検出方法(例えば、絶対角度、あるいは相対角度)でロータ101の回転角度を検出するための検出部(センサ)として機能する。なお、角度センサ10では、回転による角度変化において絶対角度を検出する検出部(第1の検出部)と、相対角度を検出する検出部(第2の検出部)を有する。また、ステータ100と導電体102、並びに、導電体102と回路基板103それぞれの間に、導電体102との短絡を防ぐために絶縁体(不図示)を配備しても良い。

【0016】
図2は、ステータ100に形成された電極パターンを説明するための図である。
図2(a)に示すステータ100は、大別して、その中心部においてリング状に形成されるステータ電極11(第1の駆動電極)、外周縁に形成されるステータ電極12(第2の駆動電極)、これらの間においてリング状に形成されたステータ電極13(第3の駆動電極)の3つの電極を有する。ステータ電極11、12、13それぞれには、駆動用信号が入力される。なお、ステータ電極11、12には同相の駆動信号が、ステータ電極13にはこれとは逆相の駆動信号が入力される。

【0017】
ステータ100は、また、ステータ電極11とステータ電極13との間で扇型に形成された4つの受信電極111、112、113、114を有する。なお、これら4つの受信電極は、図2に示すように、それぞれ回転軸104を中心に各々90度ずらした位置に配備されている。つまり、個々の受信電極は周方向に360/4=90[deg]のピッチ角度で配備されている。なお、この第1の受信電極のピッチ角度を第1のピッチ角度と称する場合もある。
また、図2(b)に示すように、ステータ電極12とステータ電極13との間には、受信電極121、122、123、124などを含む放射状に形成された複数の受信電極が配備されている。なお、一例として、受信電極121~124などの4つの受信電極が一つのグループ(セグメント)となる受信電極を構成しているものとして説明を進める。

【0018】
例えば、グループ数m個の受信電極をステータ100上に形成する場合、1グループの周方向のピッチ角度(グループピッチ角度)は360/m[deg]となり、個々の受信電極は360/(4m)=90/m[deg]となる。また、1グループの受信電極に含まれる各受信電極121~124は、それぞれ3本おきに他の受信電極と電気的に共通接続され、全体で4つの電極群を構成している。なお、この第2の受信電極におけるグループピッチ角度を第2のピッチ角度と称する場合もある。
本実施形態においては、グループ数m=45の場合を例に挙げて説明を進める。この場合、図2(b)に示すように、1グループのピッチ角度は8[deg](8度)となり、個々の電極のピッチ角度は2[deg](2度)となる。なお、グループ数は、例えばひとつの電極を形成する際の加工精度に応じて任意に設定することができる。

【0019】
図3は、ロータ101に形成された電極パターンを説明するための図である。
図3(a)に示すロータ101では、大別して3つのロータ電極21、22、23が形成される。ロータ電極21は、ステータ電極11に入力された駆動信号を受信電極111~114に伝達する送信電極(第1の送信電極)として機能する。また、ロータ電極22は、ステータ電極13に入力された駆動信号を受信電極111~114ならびに受信電極121~124に伝達する送信電極(第3の送信電極)として機能する。ロータ電極23は、ステータ電極12に入力された駆動信号を受信電極121~124に伝達する送信電極(第2の送信電極)として機能する。

【0020】
ロータ電極21は、入力側電極であるステータ電極11と対向する面の面積がロータ101の回転に依らず一定となる形状に形成される。その一方で、受信電極111~114と対向する面の面積は、図3(a)に示すように、ロータ101の回転角θ[deg]に応じて変化する形状に形成される。例えば、ロータ電極21の形状を半径r=(a+bcosθ)1/2(a、bは共に定数)を満たす偏心円形状に形成したとする。この場合、ロータ電極21と受信電極111~114間の静電容量(C)は、正弦関数に従い変化し、次の各式(1)~(4)を用いて表すことができる。
なお、本実施形態で示す各式においてCp-qと示す場合、電極p、q間の静電容量を表すものとする。また、Ca0、Ca1は、定数a、bによって決定される定数である。

【0021】
21-111=Ca0+Ca1cos(2πθ/360)・・・式(1)

【0022】
21-112=Ca0+Ca1sin (2πθ/360)・・・式(2)

【0023】
21-113=Ca0-Ca1cos(2πθ/360)・・・式(3)

【0024】
21-114=Ca0-Ca1sin(2πθ/360)・・・式(4)

【0025】
ロータ電極22は、ロータ電極21を取り囲み、入力電極であるステータ電極13と対向する面の面積がロータ101の回転によらず一定となるような形状に形成される。その一方で、受信電極111~114と対向する面の面積は、ロータ101の回転角θ[deg]に応じて変化する形状に形成される。つまり、ロータ電極22と受信電極111~114間の静電容量(C)は、ロータ101の回転角θ[deg]に依存して変化し、このことは次の各式(5)~(8)を用いて表すことができる。

【0026】
22-111=Ca0-Ca1cos(2πθ/360)・・・式(5)

【0027】
22-112=Ca0-Ca1sin(2πθ/360)・・・式(6)

【0028】
22-113=Ca0+Ca1cos(2πθ/360)・・・式(7)

【0029】
22-114=Ca0+Ca1sin(2πθ/360)・・・式(8)

【0030】
また、ロータ電極22には、図3(b)に示すように、その幅を2[deg]とし、8 [deg]のピッチ角度で電極221が形成される。電極221は、ロータ電極21を取り囲んだ部位からロータ101の外周縁に向けて櫛歯状に45個延出している。このような形状に形成されたロータ電極22と受信電極121~124間の静電容量(C)は、次の各式(9)~(12)を用いて表すことができる。なお、Cb0、Cb1は、定数a、bによって決定される定数である。

【0031】
22-121=Cb0+Cb1cos(2πmθ/360)=Cb0+Cb1cos(2πθ/8)・・・式(9)

【0032】
22-122=Cb0 +Cb1sin(2πmθ/360)=Cb0 +Cb1sin(2πθ/8)・・・式(10)

【0033】
22-123=Cb0-Cb1cos(2πmθ/360)=Cb0-Cb1cos(2πθ/8)・・・式(11)

【0034】
22-124=Cb0-Cb1sin(2πmθ/360)=Cb0-Cb1sin(2πθ/8)・・・式(12)

【0035】
ロータ電極23は、ロータ電極22を取り囲み、入力電極であるステータ電極12と対向する面の面積がロータ101の回転によらず一定となる形状に形成される。その一方で、図3(b)に示すように、電極221を4[deg]ずらした位置、つまり隣接する電極221の各中心位置それぞれに電極231が形成される。電極231は、ロータ電極22を取り囲んでいる部位からロータ101の中心に向けて櫛歯状に45個延出している。このような形状に形成されたロータ電極23と受信電極121~124の静電容量(C)は、次の各式(13)~(17)を用いて表すことができる。

【0036】
23-121=Cb0-Cb1cos(2πmθ/360)=Cb0-Cb1cos(2πθ/8)・・・式(13)

【0037】
23-122=Cb0-Cb1sin(2πmθ/360)=Cb0-Cb1sin(2πθ/8)・・・式(14)

【0038】
23-123=Cb0+Cb1cos(2πmθ/360)=Cb0+Cb1cos(2πθ/8)・・・式(15)

【0039】
23-124=Cb0+Cb1sin(2πmθ/360)=Cb0+Cb1sin(2πθ/8)・・・式(16)

【0040】
このとき、各受信電極の電位V111~V114ならびに電位V121~V124は、次の各式(17)~(24)を用いて表すことができる。なお、Kc1V、Kc2Vは、定数a、bによって決定される定数である。

【0041】
111=Kc1Vcos(2πθ/360)sin(ωt)・・・式(17)

【0042】
112=Kc1Vsin (2πθ/360)sin(ωt)・・・式(18)

【0043】
113=-Kc1Vcos(2πθ/360)sin(ωt)・・・式(19)

【0044】
114=-Kc1Vsin (2πθ/360)sin(ωt)・・・式(20)

【0045】
121=Kc2Vcos(2πmθ/360)sin(ωt)=Kc2Vcos(2πθ/8)sin(ωt)・・・式(21)

【0046】
122=Kc2Vsin(2πmθ/360)sin(ωt)=Kc2Vsin(2πθ/8)sin(ωt)・・・式(22)

【0047】
123=-Kc2Vcos(2πmθ/360)sin(ωt)=-Kc2Vcos(2πθ/8)sin(ωt)・・・式(23)

【0048】
124=-Kc2Vsin (2πmθ/360)sin(ωt)=-Kc2Vsin(2πθ/8)sin(ωt)・・・式(24)

【0049】
ここで、ロータ電極21~23の各電位をそれぞれ電位V21~V23とした場合、これらは受信電極の電位V111~V114ならびに電位V121~V124に影響を与えることになる。また、その影響の度合いは、次の各式(25)~(27)に示すVα~Vγの線形結合を用いて表すことができる。

【0050】
Vα=C21-111111+C21-112112+C21-113113+C21-114114・・・式(25)

【0051】
Vβ=C22-111111+C22-112112+C22-113113+C22-114114+C22-121121+C22-122122+C22-123123+C22-124124・・・式(26)

【0052】
Vγ=C23-121121+C23-122122+C23-123123+C23-124124・・・式(27)

【0053】
そして、Vα~Vγの各式に対し、既に説明したC21-111~C21-114、C22-111~C22-114、C22-121~C22-124、C23-121~C23-124、V111~V114、V121~V124の各式を代入する。その結果、cosθ+sinθ=1の関係からVα~Vγは定数となる。そのため、ロータ電極の電位V21~V23は回転角θ[deg]に依らず一定となることが分かる。本実施形態に係る角度センサ10は、このように形成された電極パターンを有するものである。

【0054】
ここで、ロータ電極21~23は、それぞれが近接して配設されており、互いに静電結合している。そのため、ロータ電位が回転角θ[deg]に依存して変化する場合、その変化が受信電極111~114ならびに受信電極121~124に伝播され、角度の検出誤差が発生する要因となり得る。
角度の検出誤差の発生を抑制するためには、一般的には各センサそれぞれを形成する間隔を大きく設けるか、あるいは回路的に互いの信号を分離することなどが必要になる。しかしながら、本実施形態に係る角度センサ10のように構成すれば、そのような角度の検出誤差の発生が抑制され、センサ自体の小型化のみならず、センサの回路を簡素化することもできる。以下、この点について詳細に説明する。

【0055】
受信電極の電位V111~V114ならびに電位V121~V124は、差動増幅回路(後述する差動増幅回路130)により増幅され、増幅後の各出力は次の各式(28)~(31)で算出すことができる。

【0056】
Vcx = V111-V113=2Kc1Vcos(2πθ/360)sin(ωt)・・・式(28)

【0057】
Vcy=V112-V114=2Kc1Vsin(2πθ/360)sin(ωt)・・・式(29)

【0058】
Vfx=V121-V123=2Kc2Vcos(2πθ/8)sin(ωt)・・・式(30)

【0059】
Vfy=V122-V124=2Kc2Vsin(2πθ/8)sin(ωt)・・・式(31)

【0060】
なお、上記各式による算出結果から、ベクトル成分(Vcx、Vcy)に基づき0~360[deg]の範囲で回転角度を得ることができるが、低精度の角度しか得ることができない。その一方で、ベクトル成分(Vfx、Vfy)に基づき0~8 [deg]の範囲で回転角度を高精度に得ることができる。そのため、2つのベクトル成分(Vcx、Vcy)、(Vfx、Vfy)を組み合わせることで、0~360[deg]の範囲において高精度に絶対角度を得ることができる。

【0061】
また、差動増幅回路により増幅されたベクトル成分(Vcx、Vcy)ならびに(Vfx、Vfy)は、回転角度の情報を振幅の大きさとして出力している。そのため、入力信号が振幅変調されたものと考えることができる。また、一般的には同期検波により直流出力に変換し、演算処理により回転角θを算出する。しかしながら、この角度検出方式では、乗算回路とフィルター回路が少なくとも必要であり、そのため回路の構成が複雑になってしまう。また。回路を小型化するために同期検波をデジタル化した場合、演算処理に時間がかかってしまうことになる。そこで、本発明者らは、角度センサ10の回路基板103を以下に説明するような構成とした。

【0062】
図4は、検出部からの出力を回路基板103においてサンプリングする際のタイミングの一例を示すタイミングチャートである。図4に示すようにPWM(パルス幅変調)から矩形波(例えば、5kHz矩形波)を入力し、この矩形波をトリガとして一定時間(Δt)が経過した後、差動増幅回路により増幅された出力に対し4チャネル(Ch1~4)同時に一回サンプリング(抽出)を行う。その後、取得したサンプリング値(抽出結果)を演算処理部(後述する図5に示す主・副目盛角度演算部)に伝達する。このような制御を行うように回路基板103を構成することにより、演算処理に費やす時間を大幅に減少させることができる。

【0063】
図5は、回路基板103の機能構成を説明するためのシステムブロック図である。回路基板103は、図5に示すように、検出部であるステータ100、ステータ101からの出力を受け付ける。また、回路基板103では、差動増幅回路130とマイコン140(例えば、PICマイコン、あるいはこれに相当するマイコン)を含む簡素な回路構成で角度の算出を行うことができる。

【0064】
差動増幅回路130を介して増幅された各出力は、マイコン140に入力され4チャネル同時にサンプリングが実行される。なお、PMWモジュールが出力するタイミング信号によりサンプリングのタイミングが制御される。
例えば、本実施形態に係る回路基板103では、前述した4個の扇形電極(受信電極111、112、113、114)に対応し、0~360[deg]の範囲で角度を検出する主目盛角度演算部と、8[deg]周期で角度を検出する副目盛角度演算部とを含んで構成される。また、副目盛角度演算部は、前述した2[deg]のピッチ角度で形成された4個の信号電極(受信電極121、122、123、124など)が1つのセグメントを構成しており、セグメントは円周上に計45個配備されているものに対応する。
そのため、回路基板103では、主目盛角度演算部による演算角度から現在位置のセグメント番号を割り出し、副目盛角度演算部による位相角を合成することにより高精度に絶対角度を算出することができる。なお、演算結果(角度検出結果)は、例えばRS232Cなどのインタフェースを介して接続されたPC(パーソナルコンピュータ)あるいはデジタル表示計(不図示)などに表示して確認することができる。

【0065】
また、回路基板103は、図1に示すようにステータ100の背面側に配備される。差動増幅回路130には、受信電極111~114および受信電極121~124からの信号が入力される。また、受信電極から差動増幅回路130まで信号を伝達するための信号線は、受信電極の一部を構成することになる。そのため、例えば受信電極111からの信号線が受信電極112の背面を横切るような場合、受信電極111、112間の静電結合により電圧が誘起され、その結果、角度検出の精度の低下を招くことになる。
そこで、本実施形態の角度センサ10では、回路基板103とステータ100との間に導電体102を挿入してグラウンド層を形成し、信号線と受信電極の静電結合を防ぐ構成にしている。これにより、角度検出の精度低下を防ぐとともに、回路配置の自由度を高めることができる。

【0066】
このように、本実施形態に係る静電容量式角度検出装置10では、ロータ101に形成された電極の電位が回転によらず一定となり、絶対角度を検出するための各電極構成と、相対角度を検出するための各電極構成とが相互に干渉してしまうことを防ぐことができる。これにより、高精度に角度の検出を行うことができる。また、回路基板103の構成を大幅に簡素化することができるため、検出精度を維持しながらセンサ自体のサイズの小型化を図ることができる。

【0067】
[第2実施形態]
第1実施形態では、絶対角度を検出するための検出部(第1の検出部)を回転子の中心付近に形成し、相対角度を検出するための検出部(第2の検出部)を回転子の外周に形成した形態を例に挙げて説明した。
例えば、回転子の中心部に形成された検出部は、当該回転子の傾斜、あるいは偏心などに対する感度が高く、その影響を受けやすい。そのため、中心部に形成された検出部において回転子の傾斜、偏心等を要因とする検出誤差が生じた場合、外周部に形成された検出部の出力にも影響を与え、その結果、角度検出の精度が低下してしまうことがある。

【0068】
本実施形態では、回転子の傾斜、偏心等を要因とする検出精度の低下を抑制することができる静電容量式角度検出装置について説明する。なお、第1実施形態において既に説明した機能構成と同じものは、同一の符号を付すとともにその説明を省略する。

【0069】
図6は、本実施形態に係る静電容量式角度検出装置のステータに形成された電極パターンを説明するための図である。図7は、ロータに形成された電極パターンを説明するための図である。図6から見て取れるように、本実施形態に係る静電容量式角度検出装置のステータには、第1実施形態において説明した4つの受信電極111、112、113、114に替えて受信電極150が形成される。受信電極150は、回転子の傾斜、偏心等に対する影響の度合いが相対的に低い外周部の受信電極と同じタイプ、つまり第1実施形態において説明した受信電極121、122、123、124などの受信電極と同じタイプに形成される。

【0070】
受信電極150は、例えば、グループ数n個の受信電極がステータ上に配備されている場合、1グループのピッチ角度(グループピッチ角度)は360/n[deg]となり、個々の電極は360/4n=90/n[deg]のピッチ角度となる。
また、図7に示すように、本実施形態に係る静電容量式角度検出装置のロータは、受信電極150に対応するように、第1実施形態におけるロータ電極21、22に替えて、例えばその幅を2[deg]とし、8 [deg]のピッチ角度で電極が形成されたロータ電極160、161を有する。
そのため、第1実施形態においては0~360[deg]の範囲で回転角度を得る電極構成であったものが、本実施形態においては、受信電極150により0~360/n[deg]の範囲で回転角度を得ることができる電極構成に置き換えられたことになる。

【0071】
なお、本実施形態においてはグループ数n=22の場合を例に挙げて説明する。この場合、受信電極150は、0~360/22[deg]の範囲で回転角度を得ることができる。また、外周部に形成された検出部は第1実施形態の場合と同様にグループ数m=45であり、0~8 [deg]の範囲で回転角度を得ることができる。
このようにステータ、ロータそれぞれを形成した場合であっても、中心部、外周部の各検出部においては回転角θ[deg]によらずロータ電位が一定となる。そのため、絶対角度を検出するための各電極構成と、相対角度を検出するための各電極構成とが相互に干渉してしまうことを防ぐことができる。

【0072】
ここで、グループ数m=45とn=22は、ステータ、ロータに形成された各検出部の半径の比率と同程度に設定した値である。その理由は、中心部に形成された検出部は、外周部に形成された検出部と比較して半径が小さい。そのため、外周部に形成された検出部と同じグループ数を中心部に形成された検出部に設けるためには、外周部より微細な電極を形成しなければならない。つまり、半径の比率と同程度となるようにグループ数m、nを設定することにより、デザインルールの変更が不要となり、その結果、製造コストの上昇を抑えることができる。

【0073】
また、0~360[deg]の範囲で回転角θを算出するためには、中心部に形成された検出部と外周部に形成された検出部との位相差を利用することができる。中心部に形成された検出部からの出力をθ1、外周部に形成された検出部からの出力をθ2とした場合、回転角θは、次の式(32)、(33)で表すことができる。

【0074】
θ=(360/45)p+θ1(pは整数)・・・式(32)

【0075】
θ=(360/22)q+θ2
=(360/44)(2q+r)+mod(θ2 、360/44)
=(360/44)(2q+r)+θ3(qは整数、r=0又は1)・・・式(33)

【0076】
ここで、整数p、qは未知であるが、cosθ、sinθは次の式(34)、(35)で求めることができる。

【0077】
cosθ=cos(2π(45θ-44θ)/360)=cos(2π(45θ-44θ)/360)・・・式(34)

【0078】
sinθ=sin(2π(45θ-44θ)/360)=sin(2π(45θ-44θ)/360)・・・式(35)

【0079】
このようにして、0~360[deg]の範囲で回転角θを得ることができる。そして、中心部に形成された検出部からの出力と、外周部に形成された検出部からの出力とを合成することにより、高精度に絶対角度を算出する。

【0080】
このように、本実施形態に係る静電容量式角度センサは、回転子の傾斜、偏心等を要因とする検出精度の低下を抑制することができる。

【0081】
上記説明した実施形態は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲が、これらの例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0082】
10・・・静電容量式角度検出装置、11、12、13・・・ステータ電極(駆動電極)、21、22、23、160、161・・・ロータ電極(送信電極)、100・・・ステータ、101・・・ロータ、102・・・導電体、103・・・回路基板、104・・・回転軸、111、112、113、114、121、122、123、124、150・・・受信電極。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6