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明細書 :スタンパ用表面材

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5305388号 (P5305388)
公開番号 特開2010-162796 (P2010-162796A)
登録日 平成25年7月5日(2013.7.5)
発行日 平成25年10月2日(2013.10.2)
公開日 平成22年7月29日(2010.7.29)
発明の名称または考案の名称 スタンパ用表面材
国際特許分類 B29C  59/02        (2006.01)
B29C  33/38        (2006.01)
G11B   5/84        (2006.01)
G11B   7/26        (2006.01)
G11B   5/855       (2006.01)
FI B29C 59/02 B
B29C 33/38
G11B 5/84 Z
G11B 7/26 511
G11B 5/855
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2009-007926 (P2009-007926)
出願日 平成21年1月16日(2009.1.16)
審査請求日 平成24年1月12日(2012.1.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000147811
【氏名又は名称】トーメイダイヤ株式会社
【識別番号】595009763
【氏名又は名称】株式会社協同インターナショナル
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
【識別番号】591100563
【氏名又は名称】栃木県
発明者または考案者 【氏名】吉川 博道
【氏名】石塚 宏彰
【氏名】三田 正弘
【氏名】吉本 護
【氏名】竹澤 信隆
【氏名】大和 弘之
【氏名】山ノ井 翼
個別代理人の代理人 【識別番号】100095739、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 俊夫
審査官 【審査官】鏡 宣宏
参考文献・文献 特開2007-253410(JP,A)
特開2007-137066(JP,A)
特開2007-116163(JP,A)
特開2006-289684(JP,A)
特開平10-96808(JP,A)
調査した分野 B29C 59/00-59/18
B29C 33/38
G11B 5/84,5/855,7/26
H01L 21/027
特許請求の範囲 【請求項1】
表面に微細な凹凸パターンが形成された薄片形のスタンパ用表面材において、表面がダイヤモンドとされ表面のダイヤモンドの背面側に炭素を主成分とする非ダイヤモンドの層が存在する積層体からなることを特徴とするスタンパ用表面材。
【請求項2】
表面に微細な凹凸パターンが形成された薄片形のスタンパ用表面材において、表面がダイヤモンドとされ表面のダイヤモンドの背面側に炭素を主成分とする非ダイヤモンドの層とダイヤモンドの層とが存在する積層体からなることを特徴とするスタンパ用表面材。
【請求項3】
請求項1または2のスタンパ用表面材において、炭素を主成分とする非ダイヤモンドがダイヤモンドライクカーボン,テトラヘドラル,アモルファスダイヤ等の非晶質炭素からなることを特徴とするスタンパ用表面材。
【請求項4】
請求項3のスタンパ用表面材において、ダイヤモンドと炭素を主成分とする非ダイヤモンドとはダイヤモンド結晶の組成勾配をもって連続的に成膜されたものであることを特徴とするスタンパ用表面材。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットプレス法によるナノプリントに使用されるスタンパの型押面に取付けられるスタンパ用表面材に係る技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
最近、ホットプレス法によるナノプリントの対象とされる被加工物が合成樹脂材からガラス材,金属材に拡張され、表面に微細な凹凸パターンが形成され被加工物に圧接されるスタンパ用表面材に相当程度の硬度と耐摩耗性とが要求されるようになってきている。
【0003】
従来、硬度,耐摩耗性を高めることを指向したスタンパ用表面材としては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1には、表面に微細な凹凸パターンが形成されたダイヤモンドからなる薄片形のスタンパ用表面材が記載されている。
特許文献1に係るスタンパ用表面材は、材料として硬度,耐摩耗性の高いダイヤモンドを選択することで被加工物への圧接による変形を防止するものである。なお、このスタンパ用表面材は、加熱による変形を防止するために、熱膨張係数がほぼ同一で相対的に厚さのある台座に接合されて型押面に取付けられる構成が採られる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2006-289684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係るスタンパ用表面材では、薄片形であることからダイヤモンド結晶の生成過程の応力でそりが生じやすく台座に接合されてもそりが消失するわけではないため、被加工物への圧接によって割れが生じやすく、ナノプリントの精度も低くなってしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、被加工物への圧接による変形を防止する硬度,耐摩耗性を備えしかもそりが生じることのない薄片形のスタンパ用表面材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するため、本発明に係るスタンパ用表面材は、特許請求の範囲の各請求項に記載の手段を採用する。
【0008】
即ち、請求項1では、表面に微細な凹凸パターンが形成された薄片形のスタンパ用表面材において、表面がダイヤモンドとされ表面のダイヤモンドの背面側に炭素を主成分とする非ダイヤモンドの層が存在する積層体からなることを特徴とする。
【0009】
この手段では、微細な凹凸パターンが形成された表面をダイヤモンドとすることで被加工物への圧接による変形を防止する硬度,耐摩耗性を維持し、表面のダイヤモンドの背面側に炭素を主成分とする非ダイヤモンドの層が存在する積層体とすることでダイヤモンド結晶の生成過程の応力の影響を低減する。
【0010】
また、請求項2では、表面に微細な凹凸パターンが形成された薄片形のスタンパ用表面材において、表面がダイヤモンドとされ表面のダイヤモンドの背面側に炭素を主成分とする非ダイヤモンドの層とダイヤモンドの層とが存在する積層体からなることを特徴とする。
【0011】
この手段では、微細な凹凸パターンが形成された表面をダイヤモンドとすることで被加工物への圧接による変形を防止する硬度,耐摩耗性を維持し、表面のダイヤモンドの背面側に炭素を主成分とする非ダイヤモンドの層が存在する積層体とすることでダイヤモンド結晶の生成過程の応力の影響を低減する。また、表面のダイヤモンドの背面側にダイヤモンドの層を存在させることで、相対的に硬度,耐摩耗性の低い非ダイヤモンドの層を補完する。
【0012】
また、請求項3では、請求項1または2のスタンパ用表面材において、炭素を主成分とする非ダイヤモンドがダイヤモンドライクカーボン,テトラヘドラル,アモルファスダイヤ等の非晶質炭素からなることを特徴とする。
【0013】
この手段では、炭素を主成分とする非ダイヤモンドがダイヤモンドライクカーボン(DLC)等の非晶質炭素とされることで、ダイヤモンド,非ダイヤモンドが共通性のある製造法によって形成される。
【0014】
また、請求項4では、請求項3のスタンパ用表面材において、ダイヤモンドとダイヤモンドライクカーボンとはダイヤモンド結晶の組成勾配をもって連続的に成膜されたものであることを特徴とする。
【0015】
この手段では、ダイヤモンドとダイヤモンドライクカーボンとがダイヤモンド結晶の組成勾配をもって連続的に成膜されることで、ダイヤモンドと非ダイヤモンドとの間に界面が形成されなくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るスタンパ用表面材は、微細な凹凸パターンが形成された表面をダイヤモンドとすることで被加工物への圧接による変形を防止する硬度,耐摩耗性を維持し、表面のダイヤモンドの背面側に炭素を主成分とする非ダイヤモンドの層が存在する積層体とすることでダイヤモンド結晶の生成過程の応力の影響を非ダイヤモンドの層で低減するため、被加工物への圧接による変形を防止する硬度,耐摩耗性を備えしかもそりが生じることのない薄片形とすることができる効果がある。
【0017】
さらに、請求項2として、微細な凹凸パターンが形成された表面をダイヤモンドとすることで被加工物への圧接による変形を防止する硬度,耐摩耗性を維持し、表面のダイヤモンドの背面側に炭素を主成分とする非ダイヤモンドの層が存在する積層体とすることでダイヤモンド結晶の生成過程の応力の影響を非ダイヤモンドの層で低減するため、被加工物への圧接による変形を防止する硬度,耐摩耗性を備えしかもそりが生じることのない薄片形とすることができる効果がある。また、表面のダイヤモンドの背面側にもダイヤモンドの層を存在させることで、相対的に硬度,耐摩耗性の低い非ダイヤモンドの層を補完するため、全体の硬度,耐摩耗性が高められ被加工物への圧接による変形がより確実に防止される効果がある。
【0018】
さらに、請求項3として、炭素を主成分とする非ダイヤモンドがダイヤモンドライクカーボン(DLC)とされることで、ダイヤモンド,非ダイヤモンドが共通性のある製造法によって形成されるため、製造が安価,容易になる効果がある。
【0019】
さらに、請求項4として、ダイヤモンドとダイヤモンドライクカーボンとがダイヤモンド結晶の組成勾配をもって連続的に成膜されることで、ダイヤモンドとダイヤモンドライクカーボンとの間に界面が形成されなくなるため、ダイヤモンドとダイヤモンドライクカーボンとの剥離が防止される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るスタンパ用表面材を実施するための形態の第1例の取付状態の断面図である。
【図2】図1の製造例を示す断面図であり、(A)~(E)に製造工程順が示されている。
【図3】本発明に係るスタンパ用表面材を実施するための形態の第2例の取付状態の断面図である。
【図4】本発明に係るスタンパ用表面材を実施するための形態の第3例の取付状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るスタンパ用表面材を実施するための形態を図面に基づいて説明する。

【0022】
図1,図2は、本発明に係るスタンパ用表面材を実施するための形態の第1例を示すものである。

【0023】
第1例は、図1に示すように、表面に微細な凹凸パターン1が形成され薄片形とされた2層の積層体からなるものが接着剤Cで金属材等のバックアッププレートPに貼着されている。凹凸パターン1を含む表面側のある程度の厚さをもった層は、ダイヤモンド2からなる。接着剤Cに対面するダイヤモンド2の背面側の層は、炭素を主成分とする非ダイヤモンドであるダイヤモンドライクカーボン3からなる。

【0024】
第1例の製造方法については、図2に示されている。

【0025】
まず、図2(A)に示すように、マザーモールドMが製作される。マザーモールドMは、シリコン基板にリソグラフィー技術により前述の凹凸パターン1に対応(凹凸が逆の)した微細な凹凸パターンを形成したものである。即ち、光源としてステッパーを用い、レジストを使用してフォトマスクにより微細な凹凸パターンを感光,現像した後、ドライエッチング(エッチングガスCF,SF,CHF,O)する。リソグラフィー技術としては、フォトリソグラフィー,電子線リソグラフィー,X線リソグラフィーを選択することができる。

【0026】
次ぎに、図2(B)に示すように、マザーモールドMの微細な凹凸パターンの上に化学的気相成長法(CVD法)によりダイヤモンド2を成膜する。即ち、反応ガス(炭化水素を含み水素ガス等)雰囲気下の高温のチャンバの内部を減圧して、励起された炭素種をマザーモールドMの微細な凹凸パターンに衝突させる。化学的気相成長法としては、マイクロ波CVD法,プラズマCVD法,熱フィラメントCVD法を選択することができる。

【0027】
次ぎに、図2(C)に示すように、ダイヤモンド2の上に化学的気相成長法によりダイヤモンドライクカーボン3を成膜する。ダイヤモンドライクカーボン3は、ダイヤモンド構造(結晶)であるSP3結合のみからなるダイヤモンド2に対して、ダイヤモンド構造であるSP3結合とグラファイト構造であるSP3結合とが混在したアモルファス(非結晶)構造からなる。従って、化学的気相成長法において、反応ガスの濃度や温度,圧力を調整することで、ダイヤモンド2,ダイヤモンドライクカーボン3の成膜の変換が可能である。特に、共通のチャンバの内部でダイヤモンド結晶の組成勾配をもって連続的に成膜されることで、ダイヤモンド2とダイヤモンドライクカーボン3との間に界面が形成されなくなるため、ダイヤモンド2とダイヤモンドライクカーボン3との一体性が得られ剥離が防止される。このダイヤモンドライクカーボン3は、ダイヤモンド2に積層されたことになって、ダイヤモンド2のダイヤモンド結晶の生成過程の応力を低減させる機能を奏する。なお、実装上の要請から、ダイヤモンド2,ダイヤモンドライクカーボン3の成膜の合計厚さとしては0.1mm以上が好ましい。

【0028】
次ぎに、図2(D),(E)に示すように、ダイヤモンド2,ダイヤモンドライクカーボン3が成膜されたマザーモールドMを容器Bに貯溜された溶解液Wに浸漬させ、マザーモールドMを溶解させる。溶解液Wとしては、例えば、フッ酸・硝酸混合液が使用される。マザーモールドMを溶解させる手段を採ることによって、機械的な剥離手段と採る場合に比して、露出されるダイヤモンド2からなる表面の微細な凹凸パターン1を損傷を避けることができる。

【0029】
この後、バックアッププレートPに接着剤Cを介してダイヤモンドライクカーボン3側を貼着する。バックアッププレートPとしては、例えば、ステンレス鋼,ニッケル耐熱合金が使用される。接着座Cとしては、例えば、チタン活性ローが使用される。

【0030】
第1例によると、微細な凹凸パターン1が形成された表面をダイヤモンド2とすることで、被加工物への圧接による変形を防止する硬度,耐摩耗性を維持することができる。また、表面のダイヤモンド2の背面側に炭素を主成分とする非ダイヤモンドであるダイヤモンドライクカーボン3の層が存在する積層体とすることで、ダイヤモンド結晶の生成過程の応力の影響をダイヤモンドライクカーボン3で低減することができるため、薄片形であるにもかかわらずそりが生じることがなくなる。そりの発生の防止は、被加工物への圧接による割れを防止して耐久性能を高めるとともに、ナノプリントの精度を高めることになる。

【0031】
図3は、本発明に係るスタンパ用表面材を実施するための形態の第2例を示すものである。

【0032】
第2例は、ダイヤモンド2を微細な凹凸パターン1の凹凸に沿った薄性の層としてある。即ち、ダイヤモンド2を第1例のようにな凹凸パターン1を含む表面側のある程度の厚さをもった層としていない。

【0033】
第2例によると、製造(成膜)コストの掛かるダイヤモンド2を低減することができる。しかも、微細な凹凸パターン1が形成された表面がダイヤモンド2であることに変わりがないため、被加工物への圧接による変形を防止する硬度,耐摩耗性を維持することができる。

【0034】
図4は、本発明に係るスタンパ用表面材を実施するための形態の第3例を示すものである。

【0035】
第3例は、第1例のダイヤモンドライクカーボン3の層にダイヤモンド2の層を介在させている。

【0036】
第3例によると、表面のダイヤモンド2の背面側にもダイヤモンド2の層を存在させることで、相対的に硬度,耐摩耗性の低いダイヤモンドライクカーボン3の層を補完することができる。このため、全体の硬度,耐摩耗性が高められ被加工物への圧接による変形がより確実に防止されることになる。

【0037】
第3例については、第2例のダイヤモンドライクカーボン3の層にダイヤモンド2の層を介在させることも可能である。

【0038】
以上、図示した各例の外に、ダイヤモンドライクカーボン3に他の材料を加えることも可能である。

【0039】
さらに、非ダイヤモンドとしてダイヤモンドライクカーボン3に代えてテトラヘドラル,アモルファスダイヤ等の非晶質炭素を選択することも可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 微細な凹凸パターン
2 ダイヤモンド
3 ダイヤモンドライクカーボン(非ダイヤモンド)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3