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明細書 :リチウム型ゼオライトの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5594710号 (P5594710)
公開番号 特開2009-227484 (P2009-227484A)
登録日 平成26年8月15日(2014.8.15)
発行日 平成26年9月24日(2014.9.24)
公開日 平成21年10月8日(2009.10.8)
発明の名称または考案の名称 リチウム型ゼオライトの製造方法
国際特許分類 C01B  39/46        (2006.01)
FI C01B 39/46
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2008-072014 (P2008-072014)
出願日 平成20年3月19日(2008.3.19)
審査請求日 平成23年2月18日(2011.2.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】591100563
【氏名又は名称】栃木県
【識別番号】597065329
【氏名又は名称】学校法人 龍谷大学
発明者または考案者 【氏名】水野 清
【氏名】上原 元樹
【氏名】松本 泰治
【氏名】後藤 義昭
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】佐藤 哲
参考文献・文献 特開2008-247640(JP,A)
特開2006-256876(JP,A)
特開昭53-016398(JP,A)
特公昭46-008774(JP,B1)
特開2004-002132(JP,A)
特開昭52-124000(JP,A)
特表2006-521986(JP,A)
特開平07-109117(JP,A)
特開昭62-162615(JP,A)
特開平11-226429(JP,A)
調査した分野 C01B 33/20 - 39/54
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
天然の粘土鉱物であるカオリナイトを焼成し活性化したメタカオリンに水酸化リチウム水溶液を加え、20℃~50℃の低温下の反応によって、リチウム型ゼオライトを製造することを特徴とするリチウム型ゼオライトの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のリチウム型ゼオライトの製造方法において、前記メタカオリン1gあたり、1モル/Lの水酸化リチウム水溶液を10mLの比率で加えることを特徴とするリチウム型ゼオライトの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のリチウム型ゼオライトの製造方法において、前記メタカオリンに前記水酸化リチウム水溶液を加えた混合物を20℃~50℃に調整した雰囲気中で24時間から120時間保持することを特徴とするリチウム型ゼオライトの製造方法。
【請求項4】
請求項3記載のリチウム型ゼオライトの製造方法において、前記メタカオリン1gあたり、1モル/Lの水酸化リチウム水溶液を10mLの比率で加え、密閉容器に入れ、該密閉容器を20℃~50℃に調整した雰囲気中で24時間から120時間保持し、該保持時間が経過した後、得られた沈殿物を常温でろ過・洗浄・乾燥し、白色粉末からなるリチウム型ゼオライトを得ることを特徴とするリチウム型ゼオライトの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、天然カオリナイトを焼成したメタカリオンを使用した、リチウム型ゼオライトの製造方法に係り、特に、アルカリ骨材反応を抑制するコンクリート材料に適するリチウム型ゼオライトの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルカリ骨材反応とは、コンクリート中の骨材の特定の鉱物とアルカリ性細孔溶液との間の化学反応によって、局部的な容積膨張が生じ、コンクリートにひび割れを生じさせるとともに、強度低下あるいは弾性の低下という物性の変化が生じる現象であり、道路・橋梁・トンネル・ビル等のコンクリート構造物の崩壊をもたらすことから社会的な問題となっている。この対策として、リチウム型ゼオライトがアルカリ骨材反応抑制に有効なことが報告されている。
【0003】
かかるリチウム型ゼオライトはこれまでに、ABWゼオライトや、EDIゼオライトなどの合成が報告されている(下記非特許文献1~4参照)が、これらを製造するためには、アルミナゾル、シリカゾル、水酸化リチウムから調製したゲル、あるいは天然の粘土鉱物であるカオリナイトを焼成し活性化したメタカオリンあるいは天然粘土鉱物であるアロフェンに水酸化リチウム水溶液を加え、60℃~200℃程度の高温条件下で合成されている。あるいは、リチウム以外の金属を含むゼオライト(例えば、ナトリウム型ゼオライトA)を塩化リチウムなどのリチウム塩溶液中でイオン交換処理を数回繰り返した後、塩化物イオンを洗浄することにより製造されていた(下記特許文献1参照)。

【特許文献1】特開平11-226429号
【非特許文献1】「アルミナゾル、シリカゾル、水酸化リチウムからのリチウム型EDIゼオライトの合成方法」,T.Matsumoto,T.Miyazaki,and Y.Goto:J.Eur.Ceram.Soc., 26,455-458,(2006)
【非特許文献2】「メタカオリンからのLi型ABWゼオライトの合成方法」,R.Barrer,and D.E.Mainwaring:J.Chem.Soc.Dalton.,1972,2534-2546,(1972)
【非特許文献3】「カオリナイトからのLi型ABWゼオライトの合成方法」,A.A.Kosorukov,L.G.Nadel,and A.S.Chirkov,Russian J.lnorg.Chem. ,31,503,(1986)
【非特許文献4】「アロフェンからのリチウム型ABWゼオライトとリチウム型EDIゼオライトの合成方法」,興野雄亮、吉葉光雄、星佳宏、磯文夫,渡辺雄二郎、小松優、守吉佑介、無機マテリアル学会第112回学術講演会要旨集、p.8-9、(2006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のリチウム型ゼオライトの製造方法は、合成法においては高温条件下にすることが必要であり、イオン交換法においてはイオン交換操作の回数が多いため、コストが高いという問題があった。
【0005】
また、リチウム型に限らず、ゼオライトの合成温度は80℃以上の報告が殆どであり、20℃~50℃でのゼオライトの合成例は数少なく、それも極めて高いアルカリ濃度が必要か、あるいは合成時間が数カ月か数年という極めて長くかかることから、工業的には現実的でないとされていた。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みて、合成温度が20℃~50℃の範囲で、しかも水酸化リチウムのアルカリ濃度が1モル/Lと極めて希薄な濃度であり、短い合成時間で製造することができるリチウム型ゼオライトの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕リチウム型ゼオライトの製造方法において、天然の粘土鉱物であるカオリナイトを焼成し活性化したメタカオリンに水酸化リチウム水溶液を加え、20℃~50℃の低温下の反応によって、リチウム型ゼオライトを製造することを特徴とする。
【0008】
〔2〕上記〔1〕記載のリチウム型ゼオライトの製造方法において、前記メタカオリン1gあたり、1モル/Lの水酸化リチウム水溶液を10mLの比率で加えることを特徴とする。
【0009】
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載のリチウム型ゼオライトの製造方法において、前記メタカオリンに前記水酸化リチウム水溶液を加えた混合物を20℃~50℃に調整した雰囲気中で24時間から120時間保持することを特徴とする。
【0010】
〔4〕上記〔3〕記載のリチウム型ゼオライトの製造方法において、前記メタカオリン1gあたり、1モル/Lの水酸化リチウム水溶液を10mLの比率で加え、密閉容器に入れ、この密閉容器を20℃~50℃に調整した雰囲気中で24時間から120時間保持し、該保持時間が経過した後、得られた沈殿物を常温でろ過・洗浄・乾燥し、白色粉末からなるリチウム型ゼオライトを得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
【0012】
(1)20℃~50℃という極めて低温でリチウム型ゼオライトが合成できる。
【0013】
(2)メタカオリンは安価(100~150円/kg)であり、合成コストが低い。
【0014】
(3)メタカオリンは鉄等の着色不純物が極めて少ないため、白色度の高い、リチウム型ゼオライトが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のリチウム型ゼオライトの製造方法は、天然の粘土鉱物であるカオリナイトを焼成し活性化したメタカオリンに水酸化リチウム水溶液を加え、20℃~50℃の低温下の反応によって、リチウム型ゼオライトを製造する。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
本発明のリチウム型ゼオライトの製造方法は、天然の粘土鉱物であるカオリナイトを焼成し活性化したメタカオリンに水酸化リチウム水溶液を加え、20℃~50℃の低温下の反応によって、リチウム型ゼオライトを製造する。
【0018】
図1は本発明の実施例に係るリチウム型ゼオライトの製造装置を示す図、図2は本発明の実施例のリチウム型ゼオライトの製造方法を示すフローチャートである。
【0019】
図1において、1は密閉容器、2は密閉容器1内の沈殿物、3は電子制御装置、4は制御部、5は温度調整装置、6は計時装置、7は沈殿物2の排出口、7Aは電磁開閉弁、8はろ過・洗浄・乾燥処理装置、8Aは送出装置、9はろ過・洗浄・乾燥処理装置8の排出口、9はそのろ過・洗浄・乾燥処理装置8の排出口、10は排出口9から得られた白色粉末である。
【0020】
以下、リチウム型ゼオライトの製造方法について図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0021】
(1)まず、天然カオリナイトを焼成したメタカオリンに対し、1モル/Lの水酸化リチウム水溶液をmL/g重量比が10になるように加える(ステップS1)。
【0022】
(2)この密閉容器1を温度調整装置5により20℃~50℃に調整した雰囲気中で計時装置6で監視して24時間から120時間保持する(ステップS2)。
【0023】
(3)再び、天然カオリナイトを焼成したメタカオリンに対し、1モル/Lの水酸化リチウム水溶液をmL/g重量比が10になるように加え、密閉容器中で混合する(ステップS3)。
【0024】
(4)所定の時間が経過した後、得られた沈殿物2をろ過・洗浄・乾燥処理装置8において常温でろ過・洗浄・乾燥する(ステップS4)。
【0025】
(5)回収水酸化リチウム水溶液+未使用水酸化リチウム水溶液を再利用する(ステップS5)。
【0026】
(6)ステップS4により、白色粉末10が得られる(ステップS6)。
【0027】
このようにした製造された白色粉末10を、X線回折法により回折した結果、リチウム型ゼオライト(Li-EDI、Li-EDI+Li-ABW)であることを確認できた。
【0028】
かかるリチウム型ゼオライトは、アルカリイオン捕集機能を有し、リチウムイオンの効果と相まってアルカリ骨材反応を抑制する材料(例えば、コンクリート材料)として好適である。
〔実施例1〕
メタカオリン1gに対し、1モル/Lの水酸化リチウム水溶液10mlを加え、テフロン(登録商標)性の密閉容器内で、30℃、24時間反応を行った。反応後、生成物を蒸留水で洗浄し、乾燥した。得られた生成物をX線回折により調べた結果、リチウム型EDIゼオライトの生成を確認した。
〔実施例2〕
メタカオリン1gに対し、1モル/Lの水酸化リチウム水溶液10mlを加え、テフロン(登録商標)性の密閉容器内で、50℃、120時間反応を行った。反応後、生成物を蒸留水で洗浄し、乾燥した。得られた生成物をX線回折により調べた結果、リチウム型ABWゼオライトとリチウム型EDIゼオライトの混合物であることを確認した。
【0029】
これまでカオリナイトもしくはメタカオリンを原料とした、リチウム型ゼオライトの合成例において、EDIゼオライトは報告されておらず、本発明において初めてリチウム型EDIゼオライトの合成に成功した。また、その合成温度は、これまで化成原料(アルミナゾル、シリカゾル)やアロフェンからのEDIゼオライトの合成温度である60~100℃よりも極めて低い、20℃~50℃である。
【0030】
また、本発明ではリチウム型ABWゼオライトとリチウム型EDIゼオライトの混合物も得られているが、ABWゼオライトの合成温度に関しても、従来報告されている80℃~200℃と比較して低い合成温度に成功している。
【0031】
このように、本発明によれば、天然カオリナイトを焼成したメタカオリンを使用して、これまでより安価にリチウム型ゼオライトを製造する条件を見出した。また、イオン種の異なるゼオライトを使用して煩雑なイオン交換、洗浄を繰り返す必要もない。
【0032】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のリチウム型ゼオライトの製造方法は、安価にしかも容易にアルカリ骨材反応を抑制するコンクリート材料に適するリチウム型ゼオライトの製造を行うために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例に係るリチウム型ゼオライトの製造装置を示す図である。
【図2】本発明の実施例のリチウム型ゼオライトの製造方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1 密閉容器
2 密閉容器内の沈殿物
3 電子制御装置
4 制御部
5 温度調整装置
6 計時装置
7 沈殿物の排出口
7A 電磁開閉弁
8 ろ過・洗浄・乾燥処理装置
8A 送出装置
9 ろ過・洗浄・乾燥処理装置の排出口
10 白色粉末
図面
【図1】
0
【図2】
1