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明細書 :ABW型ゼオライトの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6028190号 (P6028190)
公開番号 特開2013-237585 (P2013-237585A)
登録日 平成28年10月28日(2016.10.28)
発行日 平成28年11月16日(2016.11.16)
公開日 平成25年11月28日(2013.11.28)
発明の名称または考案の名称 ABW型ゼオライトの製造方法
国際特許分類 C01B  39/46        (2006.01)
C04B  14/04        (2006.01)
C04B  28/02        (2006.01)
FI C01B 39/46
C04B 14/04 Z
C04B 28/02
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2012-111219 (P2012-111219)
出願日 平成24年5月15日(2012.5.15)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 無機マテリアル学会第123回学術講演会講演要旨集,無機マテリアル学会,2011年11月17日 〔刊行物等〕 無機マテリアル学会第123回学術講演会,無機マテリアル学会主催,アバンセ(佐賀県立男女共同センター・佐賀県立生涯学習センター),2011年11月17日~11月18日
審査請求日 平成26年9月8日(2014.9.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】591100563
【氏名又は名称】栃木県
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】松本 泰治
【氏名】松本 健一
【氏名】水野 清
【氏名】上原 元樹
【氏名】後藤 義昭
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】小野 久子
参考文献・文献 特開2008-156144(JP,A)
特開2009-227484(JP,A)
特開2000-072511(JP,A)
特表2000-506115(JP,A)
特開2010-076999(JP,A)
松本泰治ら,Li型ABWの合成に及ぼす出発物質のNa型ゼオライト構造の影響,第27回ゼオライト研究発表会 講演予稿集,2011年12月 1日,21ページ、講演番号A16
小野嘉夫ら,1.1.4 代表的なゼオライトの構造,ゼオライトの科学と工学,2000年 7月10日
調査した分野 C01B33/20-39/54
C04B 2/00-32/02
C04B40/00-40/06
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
CAplus(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
リチウム以外の陽イオンを含むゼオライトはXを出発原料として、リチウム以外の陽イオン含有率が1質量%以下であり、かつアスペクト比が5以下の結晶粒子からなるABW型ゼオライトの製造方法であって、(M1/n 2 O・Al2 3 ・xSiO2 ・yH2 O組成(nはMの価数)のゼオライトXのうち、Mにリチウム以外の陽イオンを含み、かつ2<x≦3であるゼオライトXに、水酸化リチウム溶液を加え、200℃以下の温度で加熱することを特徴とするABW型ゼオライトの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のABW型ゼオライトの製造方法であって、モルタルを加え、コンクリートのひび割れに注入可能にしたことを特徴とするABW型ゼオライトの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ABW型ゼオライトの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、結晶性アルミノケイ酸塩であり、その組成式は、(M1/n 2 O・Al2 3 ・xSiO2 ・yH2 Oで表される。ここで、Mは陽イオン、nは陽イオンの価数、x≧2,y≧0である。ゼオライトは結晶構造による分類がなされており、ABW型ゼオライトは、3.8×3.4オングストロームの酸素8員環から構成される3次元細孔構造を有し、国際ゼオライト学会において、ABWという構造コードで命名されている(非特許文献1参照)。ABW型ゼオライトは、様々な組成のものが合成されているが(非特許文献1参照)、最も典型的なものは、Li2 O・Al2 3 ・2SiO2 ・2H2 O組成のリチウムアルミノシリケートである。
【0003】
一方、アルカリシリカ反応(ASR)は、コンクリート中の骨材の特定の鉱物とアルカリ性細孔溶液との間の化学反応によって、局所的に容積膨張が生じ、コンクリートにひび割れを生じさせるとともに、強度低下あるいは弾性の低下という物性の変化が生じる現象であり、道路・橋梁・トンネル・ビル等のコンクリート構造物の強度の低下をもたらすことから社会的な問題となっている。
【0004】
この対策としてリチウム型ゼオライトがアルカリシリカ反応抑制に有効なことが報告されている(非特許文献2参照)。かかるリチウム型ゼオライトとしてはこれまでに、ABW型ゼオライトやEDI型ゼオライトなどの合成が報告されているが、これらを製造するための原料としてアルミナゾルとシリカゾルの混合ゾル(非特許文献3参照)、天然の粘土鉱物であるカオリナイトを焼成し活性化したメタカオリン(特許文献1,非特許文献4,5,6参照)あるいは天然の粘土鉱物であるアロフェン(特許文献2参照)などが用いられている。これらの製造方法から得られたABW型ゼオライトは、いずれもアスペクト比が大きく、針状あるいは棒状の結晶形態をもっているので、セメントと混合したペースト材にすると流動性が低く、ひび割れ注入材として実用に供するには不適であった。
【0005】
従来のABW型ゼオライトは、メタカオリンなどのシリカ及びアルミナ、又はそれぞれ単独の成分を含む原料から製造されており、ゼオライト原料として汎用されている水ガラスなどナトリウムやカリウムのアルカリ成分を含む原料はほとんど用いられていない。
【0006】
ナトリウムを含む系からの合成の報告は、メタカオリンに水酸化リチウムと水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウム溶液を加え加熱する方法が報告されている(非特許文献4参照)。しかしながら、得られるABW型ゼオライトは、針状結晶の凝集体であり、流動性に劣る形態であり、また、ナトリウムの含有量の記載がない。
【0007】
また、ナトリウム型ゼオライトA10gに塩化リチウム10gを150mlの水に溶解した水溶液を加え、200℃で93時間反応するABW型ゼオライトの合成方法が報告されている(非特許文献7参照)。この方法で得られたABW型ゼオライトの組成はLi1.02Na0.004 AlSiO4 :1.1H2 Oであり、原料のナトリウムがほとんど生成物に含まれないが、形態は針状であると報告されている。しかしながら、200℃で93時間の反応は実用的ではない。また、原料に塩化物を用いており、生成物に塩化物を含有する可能性がある。塩化物はコンクリート構造物の鉄筋の錆発生を促進することから、ひび割れ注入材としては不適である。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2009-227484号公報
【特許文献2】特開2008-247640号公報
【0009】

【非特許文献1】Atlas of Zeolite Framework Types,6th ed.,2007,pp.14~15
【非特許文献2】水野清,上原元樹,佐藤隆恒,松本泰治,後藤義昭、コンクリート構造物の補修、補強,アップグレード論文報告集,pp.439-500(2011)
【非特許文献3】T.Matsumoto,T.Miyazaki,Y.Goto,J.Eur.Ceram.Soc.,26,pp.455-458(2006)
【非特許文献4】R.M.Barrer,and D.E.Mainwaring,J.Chem.Soc.Dalton Trans.,1972,pp.2534-2546(1972)
【非特許文献5】A.A.Kosorukov,L.G.Nadel,and A.S.Chirkov,Russian J.Inorg.Chem.,31,pp.503-506(1986)
【非特許文献6】上原元樹,水野清,佐藤隆恒,松本泰治,後藤義昭、粘土科学、50、pp.1-11(2011)
【非特許文献7】Verified Syntheses of Zeolitic Materials,2nd Revised Ed.2001,pp.74-75
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したように、ABW型ゼオライトをアルカリシリカ反応抑制材に供するためには、ナトリウムやカリウムといったアルカリ成分を含まない原料に限定されていた。
【0011】
また、従来のABW型ゼオライトは、その結晶構造が針状およびその凝縮体として生成されるため、セメントと混合した場合、流動性が劣り、コンクリートのひび割れ補修材としては適しておらず、実用的にはEDI型ゼオライトが使用されていた。
【0012】
本発明は、上記状況に鑑み、アスペクト比が5以下と小さく、その形態が流動性に優れた角柱形または紡錘形を有するABW型ゼオライトの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕リチウム以外の陽イオンを含むゼオライトはXを出発原料として、リチウム以外の陽イオン含有率が1質量%以下であり、かつアスペクト比が5以下の結晶粒子からなるABW型ゼオライトの製造方法であって、(M1/n 2 O・Al2 3 ・xSiO2 ・yH2 O組成(nはMの価数)のゼオライトXのうち、Mにリチウム以外の陽イオンを含み、かつ2<x≦3であるゼオライトXに、水酸化リチウム溶液を加え、200℃以下の温度で加熱することを特徴とする。
【0014】
〔2〕上記〔1〕記載のABW型ゼオライトの製造方法であって、モルタルを加え、コンクリートのひび割れに注入可能にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
【0016】
(1)アルカリ成分含有量が1質量%以下であり、流動性に優れた角柱形あるいは紡錘形を有するABW型ゼオライトの製造方法を提供することができる。
【0017】
(2)安価な汎用ゼオライトを原料とすることが可能となり、かつ100℃未満の大気圧下での合成を可能としたことで、オートクレーブ等の耐圧容器を必要としないことから、低い合成コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の参考例1における、ナトリウム型ゼオライトAを水酸化リチウム溶液と反応して得られた生成物のX線回折図である。
【図2】本発明の参考例2における、ナトリウム型ゼオライトAから得られたABW型ゼオライトのX線回折図である。
【図3】図2にX線回折図として示したABW型ゼオライトの図面代用走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の参考例3における、ナトリウム型ゼオライトAから得られたABW型ゼオライトのX線回折図である。
【図5】図4にX線回折図として示したABW型ゼオライトの図面代用走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の参考例4における、ナトリウム型ゼオライトAから得られたABW型ゼオライトのX線回折図である。
【図7】図6にX線回折図として示したABW型ゼオライトの図面代用走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】本発明の実施例における、ナトリウム型ゼオライトXから得られたABW型ゼオライトのX線回折図である。
【図9】図8にX線回折図として示したABW型ゼオライトの図面代用走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】本発明の参考における、ナトリウム型ゼオライトAから得られたABW型ゼオライトのX線回折図である。
【図11】図10にX線回折図として示したABW型ゼオライトの図面代用走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
リチウム以外の陽イオンを含むゼオライトはXを出発原料として、リチウム以外の陽イオン含有率が1質量%以下であり、かつアスペクト比が5以下の結晶粒子からなるABW型ゼオライトの製造方法であって、(M1/n 2 O・Al2 3 ・xSiO2 ・yH2 O組成(nはMの価数)のゼオライトXのうち、Mにリチウム以外の陽イオンを含み、かつ2<x≦3であるゼオライトXに、水酸化リチウム溶液を加え、200℃以下の温度で加熱する。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【実施例】
【0021】
まず、本発明において、原料として用いるゼオライトは、アルミノケイ酸塩であればよく、特に限定されるものではない。また、合成ゼオライトと天然ゼオライトのどちらでも良い。しかし、ABW型ゼオライトのSiO2 /Al2 3 モル比が約2であることから、高アルミナ組成のものが良い。特に、ゼオライトXは、洗剤用ビルダーや吸着剤として、工業的に広く利用されているため安価であり好適である。原料ゼオライトに含まれる陽イオンは、ナトリウムやカリウムなど単一の種類でも、複数の陽イオンを含んでいてもどちらでもよい。もちろんリチウムを含んでいても差し支えない。
【実施例】
【0022】
原料ゼオライトに水酸化リチウム水溶液を加え、20℃~200℃の温度で合成反応することにより、ABW型ゼオライトが生成する。ゼオライト/水酸化リチウム水溶液は、1g/5~50mlでABW型ゼオライトが得られるが、溶液量が多くなると単位容積バッチあたりの生成量が少なくなるため、1g/5~20mlが望ましい。
【実施例】
【0023】
Li2 O/Al2 3 モル比は0.5~5.0の範囲でABW型ゼオライトが生成するが、低濃度および高濃度の水酸化リチウム溶液を使用した場合、カンクリナイト型ゼオライトが共生するため、1.0より大きく3.5より小さいことが好ましい。
【実施例】
【0024】
反応温度は20℃~200℃の範囲でABW型ゼオライトが生成するが、低温では反応時間が著しく長くなり、また、100℃を超える高温ではオートクレーブ等の耐圧反応容器が必要となるため、経済的でない。したがって、反応温度は50℃以上、100℃未満が好適である。
参考例1〕
純水14.5mlに、水酸化リチウム一水和物0.26、0.39、0.52、0.65、0.78および0.91gを溶解し、水酸化リチウム溶液を調整した。この溶液と粉末状ナトリウム型ゼオライトA〔東ソー(株)製、ゼオラムA-4〕1.1gを混合し、Li2 O/Al2 3 =1.0、1.5、2.0、2.5、3.0および3.5、SiO2 /Al2 3 =2.0、H2 O/Al2 3 =275、Li2 O/Na2 O=1.0、1.5、2.0、2.5、3.0および3.5の反応混合物を得た。この反応混合物を30mlのテフロン(登録商標)製密閉容器に入れて、100℃で24時間加熱した。生成物をろ過、蒸留水で洗浄し粉末試料を得た。
【実施例】
【0025】
この生成物のX線回折図を図1に示す。すべての生成物にABW型ゼオライトが認められ、Li2 O/Al2 3 =1.5、2.0、2.5、3.0の混合物からは、不純物を含まない単相のABW型ゼオライトが得られた。一方、Li2 O/Al2 3 =1.0および3.5の混合物からは、ABW型ゼオライトとともにカンクリナイト型ゼオライトも共生した。
参考例2〕
純水14.5mlに、水酸化リチウム一水和物0.65gを溶解し、水酸化リチウム溶液を調整した。この溶液と粉末状ナトリウム型ゼオライトA〔東ソー(株)製、ゼオラムA-4〕1.1gを混合し、Li2 O/Al2 3 =2.5、SiO2 /Al2 3 =2.0、H2 O/Al2 3 =275、Li2 O/Na2 O=2.5の反応混合物を得た。この反応混合物を30mlのテフロン(登録商標)製密閉容器に入れて、90℃で24時間加熱した。生成物をろ過、蒸留水で洗浄し粉末試料を得た。
【実施例】
【0026】
この生成物のX線回折図を図2に示す。不純物を含まない単相のABW型ゼオライトが得られた。そのSEM像を図3に示す。粒子形は角柱形または紡錘形であり、アスペクト比は平均2.2であった。また、ナトリウム含有量は0.16質量%であった。
参考例3〕
純水14.5mlに、水酸化リチウム一水和物0.52gを溶解し、水酸化リチウム溶液を調整した。この溶液と粉末状ナトリウム型ゼオライトA〔東ソー(株)製、ゼオラムA-4〕1.1gを混合し、Li2 O/Al2 3 =2.0、SiO2 /Al2 3 =2.0、H2 O/Al2 3 =275、Li2 O/Na2 O=2.0の反応混合物を得た。この反応混合物を30mlのテフロン(登録商標)製密閉容器に入れて、90℃で24時間加熱した。生成物をろ過、蒸留水で洗浄し粉末試料を得た。
【実施例】
【0027】
この生成物のX線回折図を図4に示す。不純物を含まない単相のABW型ゼオライトが得られた。そのSEM像を図5に示す。粒子形は角柱形または紡錘形であり、アスペクト比は平均3.2であった。また、ナトリウム含有量は0.16質量%であった。
参考例4〕
純水14.5mlに、水酸化リチウム一水和物0.65gを溶解し、水酸化リチウム溶液を調整した。この溶液と粉末状ナトリウム型ゼオライトA〔東ソー(株)製、ゼオラムA-4〕1.1gを混合し、Li2 O/Al2 3 =2.5、SiO2 /Al2 3 =2.0、H2 O/Al2 3 =275、Li2 O/Na2 O=2.5の反応混合物を得た。この反応混合物を30mlのテフロン(登録商標)製密閉容器に入れて、80℃で24時間加熱した。生成物をろ過、蒸留水で洗浄し粉末試料を得た。
【実施例】
【0028】
この生成物のX線回折図を図6に示す。不純物を含まない単相のABW型ゼオライトが得られた。そのSEM像を図7に示す。粒子形は角柱形又は紡錘形であり、アスペクト比は平均2.2であった。また、ナトリウム含有量は0.24質量%であった。
〔実施例
純水14.3mlに、水酸化リチウム一水和物0.64gを溶解し、水酸化リチウム溶液を調整した。この溶液と粉末状ナトリウム型ゼオライトX(東ソー(株)製、ゼオラムF-9〕1.2gを混合し、Li2 O/Al2 3 =2.5、SiO2 /Al2 3 =2.5、H2 O/Al2 3 =275、Li2 O/Na2 O=2.5の反応混合物を得た。この反応混合物を30mlのテフロン(登録商標)製密閉容器に入れて、90℃で72時間加熱した。生成物をろ過、蒸留水で洗浄し粉末試料を得た。
【実施例】
【0029】
この生成物のX線回析図を図8に示す。不純物を含まない単相のABW型ゼオライトが得られた。そのSEM像を図9に示す。粒子形は角柱形または紡錘形であり、アスペクト比は平均3.6であった。
参考
粉末状ナトリウム型ゼオライトA〔東ソー(株)製、ゼオラムA-4〕に1モル濃度の塩化カリウム溶液を加え、イオン交換処理をすることによりカリウム型ゼオライトAを調整した。試料純水14.3mlに、水酸化リチウム一水和物の0.65gを溶解し、水酸化リチウム溶液を調整した。この溶液とカリウム型ゼオライトA1.2gを混合し、Li2 O/Al2 3 =2.0、SiO2 /Al2 3 =2.0、H2 O/Al2 3 =275、Li2 O/K2 O=2.0の反応混合物を得た。この反応混合物を30mlのテフロン(登録商標)製密閉容器に入れて、90℃で24時間加熱した。生成物をろ過、蒸留水で洗浄し粉末試料を得た。
【実施例】
【0030】
この生成物のX線回析図を図10に示す。不純物としてリンデFゼオライトをわずかに含むABW型ゼオライトが得られた。そのSEM像を図11に示す。粒子形は角柱形または紡錘形であり、アスペクト比は平均2.3であった。
【実施例】
【0031】
上記から明らかなように、本発明のABW型ゼオライトは、アスペクト比が5以下と小さく、その形態が流動性が優れた角柱形あるいは紡錘形の結晶形態で、かつ凝集の少ない単独粒子からなる。
【実施例】
【0032】
また、その原料として粉末状ナトリウム型ゼオライトXなどのリチウム以外の陽イオンを含み、工業的に多量に使用され、安価なゼオライトを使用しながらも、アルカリ成分含有量が1質量%以下である。ABW型ゼオライトの製造(合成)方法を提供する。
【実施例】
【0033】
具体的には、原料ゼオライトに水酸化リチウム水溶液を加え、20℃~200℃の温度で合成することにより、ABW型ゼオライトを生成する。
【実施例】
【0034】
また、本発明のABW型ゼオライトをセメントモルタルと混合しペースト材とすることで、良好なアルカリシリカ反応抑制材とすることができる。本発明のABW型ゼオライトは粒子形が角柱形または紡錘形であり、凝集の少ない単独粒子であって、本発明のアルカリシリカ反応抑制材はコンクリートのひび割れへの注入性に優れている。
【実施例】
【0035】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のABW型ゼオライトの製造方法は、リチウム以外の陽イオン含有率が1質量%以下であり、かつアスペクト比が5以下の結晶粒子からなるアルカリシリカ反応抑制材の製造方法として利用可能である。
図面
【図1】
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【図2】
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【図4】
2
【図6】
3
【図8】
4
【図10】
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【図3】
6
【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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