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明細書 :酸化チタンを含む光触媒の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-171608 (P2018-171608A)
公開日 平成30年11月8日(2018.11.8)
発明の名称または考案の名称 酸化チタンを含む光触媒の製造方法
国際特許分類 B01J  37/02        (2006.01)
B01J  37/14        (2006.01)
B01J  35/02        (2006.01)
B01J  21/06        (2006.01)
FI B01J 37/02 101E
B01J 37/14
B01J 35/02 J
B01J 21/06 M
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2017-073569 (P2017-073569)
出願日 平成29年4月3日(2017.4.3)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 日本機械学会第24回機械材料・材料加工技術講演会(M&P2016)論文集
優先権出願番号 2017073195
優先日 平成29年3月31日(2017.3.31)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】魯 云
【氏名】春日 翔多
【氏名】吉田 浩之
【氏名】大谷 大輔
【氏名】西村 祐二
出願人 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
【識別番号】591014710
【氏名又は名称】千葉県
個別代理人の代理人 【識別番号】100121658、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 昌義
審査請求 未請求
テーマコード 4G169
Fターム 4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA01B
4G169BA04A
4G169BA04B
4G169BA45A
4G169BA48A
4G169BB10C
4G169BE08C
4G169FA02
4G169FB07
4G169FB14
4G169FB20
4G169FB30
4G169FB40
4G169FC04
4G169FC07
4G169HA01
4G169HB02
4G169HB03
4G169HD09
4G169HD12
4G169HE06
要約 【課題】より性能の高い光触媒を製造する方法を提供する。
【解決手段】
上記課題を径決する本発明の一観点に係る光触媒の製造方法は、チタンコーティング粒子に対し酸浴処理を行うステップ、酸化雰囲気中において酸化処理を行うステップ、を有する酸化チタンを含む。この観点において、芯球にチタンをメカニカルコーティングによってコーティングしてチタンコーティング粒子を得るステップ、を有することが好ましい。また、この観点において酸化処理は、大気中における加熱による酸化処理であることが好ましい。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
チタンコーティング粒子に対し酸浴処理を行うステップ、
酸化雰囲気中において酸化処理を行うステップ、を有する酸化チタンを含む光触媒の製造方法。
【請求項2】
芯球にチタンをメカニカルコーティングによってコーティングして前記チタンコーティング粒子を得るステップ、を有する請求項1記載の光触媒の製造方法。
【請求項3】
前記酸化処理は、大気中における加熱による酸化処理である請求項1記載の光触媒の製造方法。
【請求項4】
前記酸化処理の温度は、400℃以上800℃未満である請求項1記載の光触媒の製造方法。
【請求項5】
前記酸浴処理は、
前記チタンコーティング粒子を、50℃以上に加熱した硫酸及びシュウ酸に浸すステップ、
前記前記チタンコーティング粒子を、室温の硫酸及びシュウ酸の少なくともいずれかに漬け込むステップ、を有する請求項1記載の光触媒の製造方法。



発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化チタンを含む光触媒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化チタン(TiO)を含む光触媒は高機能、安価かつ化学的にも安定という多くの特質を兼ね備えた環境浄化機能材料である。
【0003】
そのなかでも、アナターゼ/ルチルTiO混相光触媒は多くの反応系において高い機能を有するとの報告がなされており、その製造のためにはアナターゼTiOの生成が不可欠である。
【0004】
例えば下記非特許文献1では、メカニカルコーティングを行ったチタンに大気中にて酸化処理を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】Lu.Y.ら、“Photocatalytic activety of TiO2/Ti composite coating fabricated by mechanical coating technique and subsequent heat oxidation”、Materials Science in Semiconductor Processing、Vol.16(2013)、pp1949-1956
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記非特許文献1の技術においてもいまだ光触媒性能において改善の余地が残る。すなわち、より性能の高い光触媒の実現が望まれる
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、より性能の高い光触媒を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を行ったところ、チタンコーティング粒子に対して酸浴処理を行うことでより高い光触媒を製造することができることを発見し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明の一観点に係る酸化チタンを含む光触媒の製造方法は、チタンコーティング粒子に対し酸浴処理を行うステップ、酸化雰囲気中において酸化処理を行うステップ、を有する。
【発明の効果】
【0010】
以上、本発明によって、より性能の高い光触媒を製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実験例に係る光触媒のXRDパターンを示す図である。
【図2】実験例に係る光触媒のラマンスペクトルを示す図である。
【図3】比較例に係る光触媒のXRDパターンを示す図である。
【図4】比較例に係る光触媒のラマンスペクトルを示す図である。
【図5】実験例に係る光触媒の外観を示す写真図である。
【図6】実験例に係る光触媒のSEM画像を示す図である。
【図7】比較例に係る光触媒のSEM画像を示す図である。
【図8】実験例に係る光触媒の分解活性指数Rを示す図である。
【図9】比較例に係る光触媒の分解活性指数Rを示す図である。
【図10】実験例に係る光触媒の分解活性指数Rを示す図である。
【図11】実験例に係る光触媒の分解活性指数Rを示す図である。
【図12】実験例に係る光触媒のラマンスペクトルを示す図である。
【図13】実験例に係る光触媒のラマンスペクトルを示す図である。
【図14】実験例に係る光触媒のラマンスペクトルを示す図である。
【図15】実験例に係る光触媒のXRDパターンを示す図である。
【図16】実験例に係る光触媒の分解活性指数Rを示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例における具体的な例示にのみ限定されるわけではない。
【0013】
本実施形態に係る光触媒の製造方法(以下「本方法」という。)は、(1)芯球にチタンをメカニカルコーティングによってコーティングしてチタンコーティング粒子を得るステップ、(2)チタンコーティング粒子に対し酸浴処理を行うステップ、(3)酸化雰囲気中において酸化処理を行うステップ、を有する。以下、上記各ステップに関し、具体的に説明していく。
【0014】
まず本方法では、(1)芯球にチタンをメカニカルコーティングによってコーティングしてチタンコーティング粒子を得るステップを有する。
【0015】
本ステップにおけるメカニカルコーティングとは、芯となる球(芯球)と金属粉末をポットに入れ、ボールミルにより高速で回転させることによってこれらを混合し、表面に金属膜が形成された粒子を得るコーティング方法をいう。
【0016】
本ステップにおける芯球の大きさとしては、表面に金属膜が形成された粒子を得ることができる限りにおいて限定されるわけではないが、0.5mm以上3mm以下であることが好ましい。
【0017】
また本ステップにおける芯球の材質は、表面に金属膜が安定的に形成され、当該金属膜が所望の効果を発揮できる態様となりうる限りにおいて限定されるわけではないが、例えばアルミナ、スチール、ステンレス鋼及びこれらのうち少なくともいずれかを含む合金であることが好ましい例である。
【0018】
また、本方法における芯球と混合される金属粉末は、製造される物が光触媒としての機能を発揮することができる限りにおいて限定されるわけではないが、チタン(Ti)粉末である。このようにすることでチタンコーティング粒子を得ることができる。なお、粉末の径としては、芯球の周りにチタン層を形成することができる限りにおいて限定されるわけではないが、例えば5μm以上200μm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは30μm以下である。
【0019】
また本ステップにおいて、芯球の量と、金属粉末の量の比は、金属粉末が芯球表面を十分に覆うことができる程度の量であれば特に限定されず適宜調整可能である。
【0020】
また本ステップにおいて、ボールミルの回転数、回転時間、その際の温度については適宜調整可能である。
【0021】
以上本ステップによると、芯球の表面にチタンのコーティング層(薄膜層)が設けられたチタンコーティング粒子を得ることができる。
【0022】
なお、本方法において「チタンコーティング粒子」とは、上記の実施例で示すように、芯球の表面にチタンのコーティング層を備えているものであることが効果の観点から好ましいが、チタンをそのまま粒子状にしたチタン粒子である場合も可能であり、これはチタンコーティング粒子に含まれうる。
【0023】
次に、本方法では、(2)チタンコーティング粒子に対し酸浴処理を行うステップを有する。効果については推測の範囲にあるが、本方法によると、酸浴処理を施すことによって、ルチル型の酸化チタン(以下単に「ルチル型」ともいう。)とアナターゼ型の酸化チタン(以下単に「アナターゼ型」ともいう。)をバランスよく存在させることができ、より高い性能を備える光触媒を得ることができる。
【0024】
上記の通り、本ステップでは、酸浴処理を行う点が特徴となっている。ここで「酸浴処理」とは、対象物(チタンコーティング粒子)を酸に浸す処理をいう。そして本処理において、酸は、本方法によって製造される光触媒が所定の機能を発揮することができる限りにおいて限定されるわけではないが、シュウ酸及び硫酸の少なくともいずれかを含む酸であることが好ましい。この酸浴処理による効果は推論の域にあるが、酸浴処理特に硫酸浴又はシュウ酸浴を行うことで、脱水作用により粒子表面に存在する水酸基の脱離が生じ、親水化処理が施され、この機序により光触媒機能が高まるものと考えられる。
【0025】
また、本ステップにおいて、酸浴処理の温度は、限定されるわけではないが、室温以上に加熱した状態で行うことが好ましく、例えば40℃以上沸点以下であることが好ましく、より好ましくは50℃以上100℃以下である。40℃以上とすることで、アナターゼとルチルができる。
【0026】
また本ステップでは、酸浴処理の時間は、限定されるわけではないが、上記加熱した状態において、10分以上120分以下であることが好ましい。
【0027】
また本ステップでは、上記加熱した状態の酸に浸した処理の後に、室温の酸に漬け込むステップを備えていることが好ましい。室温の酸に漬け込むことによって、よりチタンのコーティング層表面を多くのアナターゼとルチルの混成を生成させることができる。
【0028】
この漬け込むステップの時間としては、製造される光触媒が所定の機能を発揮することができる限りにおいて限定されるわけではないが、1時間以上20日以下であることが好ましく、より好ましくは1日以上10日未満である。この漬け込むステップを上記の期間含ませることでルチル型の酸化チタン量を増加させることが可能となる。一方、10日を超えるとルチル型の酸化チタン量が多すぎることとなりアナターゼ型の酸化チタン量とルチル型の酸化チタン量のバランスが崩れてしまうおそれがある。酸に漬け込む時間はアナターゼとルチルの混成と酸による腐食バランスを考慮しなければならない。酸に漬け込む時間が長すぎると腐食が進行してしまい、光触媒機能が低下する。
【0029】
また、本方法では、(3)酸化雰囲気中において酸化処理を行うステップ、を有する。
【0030】
本ステップにおいて、「酸化雰囲気」とは、酸処理された後のチタンのコーティング層を更に酸化させることのできる雰囲気をいい、具体的には酸素を含むガスであることが好ましく、より具体的には大気である。大気とすることで、ガスの濃度や圧力の特別な調整等が不要となる利点がある。
【0031】
また本ステップにおいて酸化処理は、酸処理された後のチタンのコーティング層を更に酸化させることができる限りにおいて限定されるわけではないが、加熱処理であることが好ましく、より具体的には300℃以上800℃以下であることが好ましく、より好ましくは400℃以上700℃以下である。上記の範囲とすることで、アナターゼ型とルチル型をバランスよく混在させることが可能となる。
【0032】
また本ステップにおいて、酸化処理は大気圧下において行うことが好ましい。大気圧下にて行うことで、特別な調整等が不要となり非常に方法が簡便となる。
【0033】
以上、本方法によって、より性能の高い光触媒を製造する方法を提供することができる。
【実施例】
【0034】
ここで、上記方法に従い、実際に光触媒を製造し、その効果について確認を行った。以下具体的に説明する。
【0035】
(実験例1)
(チタンコーティング粒子の作製)
まずチタンコーティング粒子をメカニカルコーティング法により作製した。具体的には、直径1mmのアルミナボールを芯球とし、これとチタン粉末(純度99.1%、平均粒径30μm)をアルミナ製ポットに入れてから蓋をし、遊星型ボールミル(フリッチュ社製、P6型)でポットの回転速度480rpmで10時間回転させ、アルミナボール表面上にチタン薄膜が形成されたチタンコーティング粒子を作製した。なおこの作製したチタンコーティング粒子の試料記号は「M10-Ti」とする。
【0036】
(酸浴処理)
次に、上記作製したチタンコーティング粒子の一部を取り出し、酸浴処理を行った。ここでは酸として硫酸を用いた。
【0037】
ここで硫酸による酸浴処理は、1Mの希硫酸溶液8mLを80℃(353K)まで加熱した溶液を用いた。そして、この溶液中で30分の酸浴処理を行った。なお、この酸浴処理後は、速やかに水冷し、紙ウエスを用いて表面の水分をふき取り、室温にて24時間乾燥した。
(酸化処理)
次に、上記酸浴処理を行ったチタンコーティング粒子に対し、アルミナ製の深皿に1層分敷き詰め、電気炉にて昇温速度10K/分の条件でそれぞれ400℃(673K)、500℃(773K)、600℃(873K)、700℃(973K)、800℃(1073K)に加熱し酸化処理を行った。なおこの保温時間は2時間とした。なお、この酸化処理の後、純粋及びアセトンにて超音波洗浄を行い、アルミマドレー内で24時間乾燥させた。また、これら作製した試料記号関係は以下の通りである。
【表1】
JP2018171608A_000003t.gif

【0038】
(比較例)
なお、比較例として、上記において酸浴処理を行わないチタンコーティング粒子をそのまま大気圧下にて酸化させて光触媒を作製した。具体的には、酸浴処理を行わなかったチタンコーティング粒子をアルミナ製の深皿に1層分敷き詰め、電気炉にて昇温速度10K/分で、それぞれ400℃(673K)、500℃(773K)、600℃(873K)、700℃(973K)、800℃(1073K)で酸化処理を行った。なおそれぞれの加熱時間は2時間とした。なお、この酸化処理の後、純粋及びアセトンにて超音波洗浄を行い、アルミマドレー内で24時間乾燥させた。また、これら作製した試料記号関係は以下の通りである。
【表2】
JP2018171608A_000004t.gif

【0039】
なお、他の比較例として酸浴処理を行う一方、酸化処理を行わなかった例についても資料として準備した。この試料記号は「SA30min」とした。
【0040】
(評価)
上記作製した酸化されたチタンコーティング粒子(光触媒)に対し、光触媒性能を確認した。
【0041】
まず、図1は、酸浴処理を行った光触媒におけるXRDパターンを示し、図2はそのラマンスペクトルを示す。また、図3は比較例に係る光触媒のXRDパターンを示し、図4はそのラマンスペクトルを示す。また図5は、ここで作製した光触媒の外観を示す写真図である。更に、図6に、実施例に係る光触媒のSEM画像を、図7には比較例に係る光触媒のSEM画像を示す。
【0042】
この結果によると、M10-Tiにはアナターゼ型の存在が殆ど確認できない一方、SA30minにおいては、アナターゼ型の存在が確認できる。すなわち、酸浴処理によりアナターゼ型が生成していることが確認できる。そして、少なくとも酸浴処理を行った光触媒において、温度が高まるにつれてルチル型のピークが強くなり、アナターゼ型とルチル型が効率的に混在していく(アナターゼ/ルチル混相となっている)ことが確認できる。なお1073Kではルチル型が優勢となっている。
【0043】
(光触媒機能)
また、ここで、上記作製した光触媒の機能について評価を行った。光触媒機能の評価は、メチレンブルー(MB)分解性能試験により行った。
【0044】
ここでMB分解性能試験は、JIS-R 1703に準拠して行った。具体的には、試験セル(内径φ40mm×高さ35mmの円筒底)の底に試料が重ならないよう1層敷き詰め、吸着用MB水溶液(濃度20μmol、35mL)を入れて暗所に18時間おき、MB水溶液を試料へ吸着させ、その後、紫外光強度が(1mW/cm)となるよう光源(FL20S・BLB、東芝ライテック社製、20W×2本、ピーク波長352nm)を配置して光照射を行い、MB水溶液の濃度を測定した。なおこの濃度の測定にはデジタル比色計(mini-foto10、SANSHIN社製)を用い、波長660nmにおけるMB水溶液の吸光度を測定し、この吸光度からBeerの法則を用いて濃度を算出した。またこの測定はそれぞれの試料において0時間(測定開始時)から3時間まで20分おきに複数回測定した。この結果得られた分解活性指数Rについて、図8、図9に示す。前者は、本実施例に関するものであり、後者は比較例に係るものである。
【0045】
この結果、SA773K2h及びSA873K2hにおいては、6を超える活性を示していることが確認でき、少なくとも500℃から800℃においては、酸浴処理を行わなかった例に比べて光触媒機能が向上していることを確認した。すなわち、本実験例により酸浴処理によるアナターゼ型の生成及び効果機能向上の可能性について確認した。
【0046】
(実験例2)
本実験例では、上記実験例1と同様であるが、室温による酸への漬け込みを行った点、その時間を変化させた点、酸浴処理における酸の濃度を変化させた点が異なる。なお、大気酸化温度を773Kとしている。
【0047】
具体的には、(1)0.1Mの硫酸による酸浴処理時間を80℃で30分行い、その後の硫酸への漬け込みを3日、5日、7日又は9日にし、500℃(773K)で2時間大気酸化処理を行った光触媒群、(2)0.5Mの硫酸による酸浴処理時間を80℃で30分、その後の漬け込みを3日、5日、7日又は9日にし、500℃(773K)で2時間大気酸化処理を行った光触媒群、(3)1Mの硫酸による酸浴処理時間を80℃で30分又は60分行い、その後の硫酸への漬け込みを3日、5日、7日又は9日にし、500℃(773K)で2時間大気酸化処理を行った光触媒群、をそれぞれ作製した。
【0048】
そして、この作製した光触媒に対し上記実験例1と同様の実験を行い、光触媒機能(分解活性指数R)について測定を行った。この結果について図10、図11に示す。また、図12に、上記(1)、(2)の光触媒のラマンスペクトルを、図13に上記(3)の光触媒のラマンスペクトルをそれぞれ示しておく。
【0049】
図10の結果によると、3日以上硫酸に漬け込んだ例では、0.1Mの硫酸の場合、いずれもRが8以上と極めて大きな数値であることを確認した。一方、0.5Mの硫酸の場合、7日以上漬け込んだ場合Rが7以上であることを確認した。また、いずれの場合においても、漬け込みを行わなかった場合に比べ、漬け込みを行った場合に光触媒機能の向上を確認することができた。
【0050】
また図11の結果によると、いずれの場合でも5以上の値を示し、特に7日ではそれぞれR=17、15.3と極めて高い値を示していることを確認した。また、いずれの場合においても、漬け込みを行わなかった場合に比べ、漬け込みを行った場合に光触媒機能の向上を確認することができた。
【0051】
また図12、13の結果によると、効果が高い光触媒においては、アナターゼ型とルチル型が効率的に混在していることも確認できた。
【0052】
すなわち、本実験例によって、酸による漬け込みが極めて有用であることが確認できた。なお、この酸浴処理については90分とした場合でも同様に光触媒の効果が達成できていることを確認した。
【0053】
(実験例3)
本実験例では上記実験例1において用いた硫酸の代わりにシュウ酸を用いた点、酸浴処理の時間を60分とした点、酸浴の温度を120℃(393K)とした点が異なる。
【0054】
具体的には、0.5Mのシュウ酸水溶液による酸浴処理を60分行い、大気中で酸化処理を500℃(773K)、600℃(873K)、又は800℃(1073K)として光触媒を作製した。
【0055】
図14に、本実験例で作製した光触媒のラマンシフトを、図15に、XRDパターンをそれぞれ示す。これらの図によると、確かにアナターゼ型とルチル型が混在していることを確認した。
【0056】
また上記実験例1と同様に、光触媒の性能について確認を行った。この結果を図16に示す。本図によると、少なくとも773K、873Kにおいて8以上又は8近くの分解活性指数Rを得ることができており、高性能な光触媒となっていることを確認した。
【0057】
以上、本実験例によると、硫酸に変えてシュウ酸とした場合でも、同様に光触媒機能の向上を図ることができるのを確認した。特に、実験例1の比較例の場合に比べても、酸浴処理によって光機能が向上していることを確認した。
【0058】
以上、本実施例によって、本発明の有用性を確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、光触媒の製造方法として産業上の利用可能性がある。


図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15