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明細書 :可変保持特性を有する直動ダンパ、下肢支援装置、下肢支援装置セット、および下肢支援装置セットの制御方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-100348 (P2019-100348A)
公開日 令和元年6月24日(2019.6.24)
発明の名称または考案の名称 可変保持特性を有する直動ダンパ、下肢支援装置、下肢支援装置セット、および下肢支援装置セットの制御方法
国際特許分類 F16F   9/53        (2006.01)
A61H   3/00        (2006.01)
F16F   9/20        (2006.01)
F16F   9/32        (2006.01)
F16F   9/54        (2006.01)
FI F16F 9/53
A61H 3/00 B
F16F 9/20
F16F 9/32 L
F16F 9/54
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 16
出願番号 特願2017-227799 (P2017-227799)
出願日 平成29年11月28日(2017.11.28)
発明者または考案者 【氏名】望山 洋
【氏名】鈴木 健嗣
【氏名】ハサン モダル
【氏名】矢木 啓介
出願人 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100106909、【弁理士】、【氏名又は名称】棚井 澄雄
【識別番号】100188558、【弁理士】、【氏名又は名称】飯田 雅人
【識別番号】100169764、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 雄一郎
審査請求 未請求
テーマコード 3J069
4C046
Fターム 3J069AA55
3J069CC13
3J069CC34
3J069DD25
3J069EE63
4C046AA09
4C046AA25
4C046AA42
4C046BB09
4C046CC01
4C046DD04
4C046DD24
4C046DD39
4C046DD41
4C046EE02
4C046EE05
4C046FF02
4C046FF12
4C046FF25
4C046FF31
要約 【課題】高い保持力を発揮することができる可変保持特性を有する直動ダンパを提供することを目的とする。
【解決手段】可変保持特性を有する直動ダンパは、筒状のシリンダと、シリンダの内周面と径方向に隙間をあけて配置され、かつシリンダ内に軸方向に移動可能に配置された柱状のボビンと、外部からボビンの軸方向の端部に連結されたロッドと、ボビンを軸方向に付勢する付勢部材と、シリンダ内に充填された磁気粘性流体と、ボビンの外周面に巻回された電磁誘導コイルと、を備え、ボビンにおける軸方向の端部には、軸方向に向けて突出するとともに、ロッドが内側に嵌合することで連結される連結筒部が形成されている。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
筒状のシリンダと、前記シリンダの内周面と径方向に隙間をあけて配置され、かつ前記シリンダ内に軸方向に移動可能に配置された柱状のボビンと、外部から前記ボビンの軸方向の端部に連結されたロッドと、前記ボビンを軸方向に付勢する付勢部材と、前記シリンダ内に充填された磁気粘性流体と、前記ボビンの外周面に巻回された電磁誘導コイルと、を備え、
前記ボビンにおける軸方向の端部には、軸方向に向けて突出するとともに、前記ロッドが内側に嵌合することで連結される連結筒部が形成されている可変保持特性を有する直動ダンパ。
【請求項2】
前記ロッドは、前記ボビンの軸方向における両端部に各別に連結されている、請求項1に記載の可変保持特性を有する直動ダンパ。
【請求項3】
前記ボビンの外周面には、径方向の内側に向けて窪む収容凹部が形成され、
前記収容凹部の外径は、前記ロッドの外径よりも大きい、請求項1又は2に記載の可変保持特性を有する直動ダンパ。
【請求項4】
前記ボビンの外周面には、径方向の内側に向けて窪む収容凹部が軸方向に間隔をあけて複数形成され、
前記電磁誘導コイルは、複数の前記収容凹部における外周面に、各別に巻回されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の可変保持特性を有する直動ダンパ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の可変保持特性を有する直動ダンパと、
障碍脚に装着される第1装着体と、
前記障碍脚の足部が載置される第1足載部と、
前記第1装着体から前記第1足載部に向けて延びる第1支柱部と、
前記第1支柱部に対して前記第1足載部を回動可能に連結する第1回転軸部と、
前記第1足載部の底部に設けられた第1接地センサと、
前記第1支柱部に対する前記第1足載部の回動動作を検出する第1角度センサと、
前記第1接地センサおよび前記第1角度センサから得られた動作情報に基づいて、前記可変保持特性を有する直動ダンパの前記電磁誘導コイルに電流を流すことで、前記可変保持特性を有する直動ダンパを制御する制御部と、
前記制御部による前記可変保持特性を有する直動ダンパの制御に際して、電力を供給する内部電源と、を備えた下肢支援装置。
【請求項6】
健常脚および健常腕のうち、少なくともいずれかに装着される第2装着体と、
前記健常脚の足部が載置される第2足載部と、
前記第2装着体から前記第2足載部に向けて延びる第2支柱部と、
前記第2支柱部に対して前記第2足載部を回動可能に連結する第2回転軸部と、
前記第2足載部の底部に設けられた第2接地センサと、
前記第2支柱部に対する前記第2足載部の回動動作を検出する第2角度センサと、
前記第2接地センサおよび前記第2角度センサから得られた動作情報を処理する処理部と、を備えた下肢支援補助装置、および請求項5に記載された下肢支援装置を有する下肢支援装置セット。
【請求項7】
筒状のシリンダと、前記シリンダの内周面と径方向に隙間をあけて配置され、かつ前記シリンダ内に軸方向に移動可能に配置された柱状のボビンと、外部から前記ボビンの軸方向の端部に連結されたロッドと、前記ボビンを軸方向に付勢する付勢部材と、前記シリンダ内に充填された磁気粘性流体と、前記ボビンの外周面に巻回された電磁誘導コイルと、を備えた可変保持特性を有する直動ダンパと、
障碍脚に装着される第1装着体と、
前記障碍脚の足部が載置される第1足載部と、
前記第1装着体から前記第1足載部に向けて延びる第1支柱部と、
前記第1支柱部に対して前記第1足載部を回動可能に連結する第1回転軸部と、
前記第1足載部の底部に設けられた第1接地センサと、
前記第1支柱部に対する前記第1足載部の回動動作を検出する第1角度センサと、
前記第1接地センサおよび前記第1角度センサから得られた動作情報に基づいて、前記可変保持特性を有する直動ダンパの前記電磁誘導コイルに電流を流すことで、前記可変保持特性を有する直動ダンパを制御する制御部と、
前記制御部による前記可変保持特性を有する直動ダンパの制御に際して、電力を供給する内部電源と、を備えた下肢支援装置、および
健常脚および健常腕のうち、少なくともいずれかに装着される第2装着体と、
前記健常脚の足部が載置される第2足載部と、
前記第2装着体から前記第2足載部に向けて延びる第2支柱部と、
前記第2支柱部に対して前記第2足載部を回動可能に連結する第2回転軸部と、
前記第2足載部の底部に設けられた第2接地センサと、
前記第2支柱部に対する前記第2足載部の回動動作を検出する第2角度センサと、
前記第2接地センサおよび前記第2角度センサから得られた動作情報を処理する処理部と、を備えた下肢支援補助装置、を有する下肢支援装置セットにおける制御方法であって、
前記第2接地センサ、および第2角度センサが検出した前記健常脚における足部の動作情報に基づいて、前記下肢支援装置の前記第1接地センサが前記障碍脚における前記第1足載部の接地を検出した際に、前記電磁誘導コイルに流す電流を制御する、下肢支援装置セットの制御方法。
【請求項8】
前記処理部は、前記第2角度センサが検出した前記健常脚における足部の動作情報を送信する送信部を備え、
前記制御部は、前記送信部から送信された前記動作情報を受信する受信部を備え、
前記第1接地センサが前記障碍脚における前記第1足載部の接地を検出した際に、前記電磁誘導コイルに流す電流値を時々刻々と変化させる、請求項7に記載の下肢支援装置セットの制御方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、可変保持特性を有する直動ダンパ、下肢支援装置、下肢支援装置セット、および下肢支援装置セットの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、身体の一部の機能に障碍を有する使用者が使用する身体支援装置として、下記非特許文献1に示すような、可変保持特性を有する直動ダンパ(以下、単に直動ダンパという)を備えた上肢支援装置が知られている。
この上肢支援装置における直動ダンパでは、筒状のシリンダの内部に、軸方向の一方側に向けて付勢部材により付勢され、かつ電磁誘導コイルが巻回されたボビンが配置されている。ボビンの軸方向の一方側の端部には、外部からロッドが連結されている。また、シリンダの内部には磁気粘性流体が充填されている。
【0003】
そして、電磁誘導コイルに電流を流すことで、ボビンとシリンダとの間の径方向の隙間に位置する磁気粘性流体に保持力を発揮させ、シリンダ内における磁気粘性流体の粘性を変化させることができる。このため、電磁誘導コイルに流す電流値を制御して、付勢部材からボビンを介してロッド部材が受ける付勢力の大きさを調整し、所望する上肢の動作に合わせて取出すことで、上肢の動作を支援することができる。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】Takahiro Ohba, Hideki Kadone and Kenji Suzuki,”An Elastic Link Mechanism Integrated with a Magnetorheological Fluid For Elbow Orthotics”,Proc.of 2012 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS2012),2789-2794, 2012.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような直動ダンパを、下肢支援装置に採用することが想定される。しかしながら、前記従来の直動ダンパでは、電磁誘導コイルに電流を流した際の磁気粘性流体の保持力を大きくすることが難しく、直動ダンパの保持力を大きくすることが困難であった。このため、このような従来の直動ダンパを備える身体支援装置を、上肢よりも大きな保持力が必要となる下肢に適用するのが困難であった。
【0006】
本発明は前述した事情に鑑みてなされたものであって、高い保持力を発揮することができる直動ダンパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、筒状のシリンダと、前記シリンダの内周面と径方向に隙間をあけて配置され、かつ前記シリンダ内に軸方向に移動可能に配置された柱状のボビンと、外部から前記ボビンの軸方向の端部に連結されたロッドと、前記ボビンを軸方向に付勢する付勢部材と、前記シリンダ内に充填された磁気粘性流体と、前記ボビンの外周面に巻回された電磁誘導コイルと、を備え、前記ボビンにおける軸方向の端部には、軸方向に向けて突出するとともに、前記ロッドが内側に嵌合することで連結される連結筒部が形成されている可変保持特性を有する直動ダンパ(以下、単に直動ダンパという)である。
【0008】
また、本発明の一態様は、前述した直動ダンパにおいて、前記ロッドは、前記ボビンの軸方向における両端部に各別に連結されている。
また、本発明の一態様は、前述した直動ダンパにおいて、前記ボビンの外周面には、径方向の内側に向けて窪む収容凹部が形成され、前記収容凹部の外径は、前記ロッドの外径よりも大きい。
また、本発明の一態様は、前述した直動ダンパにおいて、前記ボビンの外周面には、径方向の内側に向けて窪む収容凹部が軸方向に間隔をあけて複数形成され、前記電磁誘導コイルは、複数の前記収容凹部における外周面に、各別に巻回されている。
【0009】
また、本発明の一態様は、前述した直動ダンパと、障碍脚に装着される第1装着体と、前記障碍脚の足部が載置される第1足載部と、前記第1装着体から前記第1足載部に向けて延びる第1支柱部と、前記第1支柱部に対して前記第1足載部を回動可能に連結する第1回転軸部と、前記第1足載部の底部に設けられた第1接地センサと、前記第1支柱部に対する前記第1足載部の回動動作を検出する第1角度センサと、前記第1接地センサおよび前記第1角度センサから得られた動作情報に基づいて、前記直動ダンパの前記電磁誘導コイルに電流を流すことで、前記直動ダンパを制御する制御部と、前記制御部による前記直動ダンパの制御に際して、電力を供給する内部電源と、を備えた下肢支援装置である。
【0010】
また、本発明の一態様は、健常脚および健常腕のうち、少なくともいずれかに装着される第2装着体と、前記健常脚の足部が載置される第2足載部と、前記第2装着体から前記第2足載部に向けて延びる第2支柱部と、前記第2支柱部に対して前記第2足載部を回動可能に連結する第2回転軸部と、前記第2足載部の底部に設けられた第2接地センサと、前記第2支柱部に対する前記第2足載部の回動動作を検出する第2角度センサと、前記第2接地センサおよび前記第2角度センサから得られた動作情報を処理する処理部と、を備えた下肢支援補助装置、および前述した下肢支援装置を有する下肢支援装置セットである。
【0011】
また、本発明の一態様は、筒状のシリンダと、前記シリンダの内周面と径方向に隙間をあけて配置され、かつ前記シリンダ内に軸方向に移動可能に配置された柱状のボビンと、外部から前記ボビンの軸方向の端部に連結されたロッドと、前記ボビンを軸方向に付勢する付勢部材と、前記シリンダ内に充填された磁気粘性流体と、前記ボビンの外周面に巻回された電磁誘導コイルと、を備えた直動ダンパと、障碍脚に装着される第1装着体と、前記障碍脚の足部が載置される第1足載部と、前記第1装着体から前記第1足載部に向けて延びる第1支柱部と、前記第1支柱部に対して前記第1足載部を回動可能に連結する第1回転軸部と、前記第1足載部の底部に設けられた第1接地センサと、前記第1支柱部に対する前記第1足載部の回動動作を検出する第1角度センサと、前記第1接地センサおよび前記第1角度センサから得られた動作情報に基づいて、前記直動ダンパの前記電磁誘導コイルに電流を流すことで、前記直動ダンパを制御する制御部と、前記制御部による前記直動ダンパの制御に際して、電力を供給する内部電源と、を備えた下肢支援装置、および健常脚および健常腕のうち、少なくともいずれかに装着される第2装着体と、前記健常脚の足部が載置される第2足載部と、前記第2装着体から前記第2足載部に向けて延びる第2支柱部と、前記第2支柱部に対して前記第2足載部を回動可能に連結する第2回転軸部と、前記第2足載部の底部に設けられた第2接地センサと、前記第2支柱部に対する前記第2足載部の回動動作を検出する第2角度センサと、前記第2接地センサおよび前記第2角度センサから得られた動作情報を処理する処理部と、を備えた下肢支援補助装置、を有する下肢支援装置セットにおける制御方法であって、前記第2接地センサ、および前記第2角度センサが検出した前記健常脚における足部の動作情報に基づいて、前記下肢支援装置の前記第1接地センサが前記障碍脚における前記第1足載部の接地を検出した際に、前記電磁誘導コイルに流す電流を制御する、下肢支援装置セットの制御方法である。
【0012】
また、本発明の一態様は、前述した下肢支援装置セットの制御方法において、前記処理部は、前記第2角度センサが検出した前記健常脚における足部の動作情報を送信する送信部を備え、前記制御部は、前記送信部から送信された前記動作情報を受信する受信部を備え、前記第1接地センサが前記障碍脚における前記第1足載部の接地を検出した際に、前記電磁誘導コイルに流す電流値を時々刻々と変化させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高い保持力を発揮することができる直動ダンパを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る下肢支援装置の側面図である。
【図2】図1に示す下肢支援装置における直動ダンパ本体の縦断面図である。
【図3】図1に示す下肢支援装置を用いた歩行状態、接地センサの検出状態、および電磁誘導コイルに流す電流波形を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る下肢支援補助装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1から図4を参照し、本発明の一実施形態に係る可変保持特性を有する直動ダンパ(以下、単に直動ダンパという)10、下肢支援装置1、下肢支援装置セット、および下肢支援装置セットの制御方法について説明する。

【0016】
(下肢支援装置1)
まず、本実施形態に係る下肢支援装置1について説明する。本実施形態では、右脚用の下肢支援装置1を例に挙げて説明する。また、下肢支援装置1が支援する障碍とは、足部をその後端部回りに、脚部に対して回動させる動作(つま先を上下に動かす動作)を正常に行えない状態を指す。

【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る下肢支援装置1は、直動ダンパ10と、障碍脚に装着される第1装着体20と、障碍脚の足部が載置される第1足載部21と、第1装着体20から第1足載部21に向けて延びる第1支柱部22と、を備えている。
以下の説明において、第1支柱部22が延びる方向を上下方向といい、第1足載部21のつま先と踵を結ぶ方向を前後方向という。第1足載部21の左右方向を左右方向という。

【0018】
直動ダンパ10は、上下方向に沿って延びている。直動ダンパ10の上端部は第1支柱部22と連結されている。
第1装着体20は、帯状部材であり、一端部と他端部とを互いに固着して、筒状にすることで、障碍脚に装着される。第1装着体20の両端部には、面ファスナーやスナップボタン等の固着部材(図示せず)が設けられている。

【0019】
第1足載部21には、載置される足部を上方から固定する固定帯21Aが設けられている。図示の例では、固定帯21Aは前後方向に間隔をあけて複数設けられている。
第1支柱部22は、左右方向に間隔をあけて2つ設けられている。2つの第1支柱部22のうち、使用者における左右方向の外側に位置する第1支柱部22に、直動ダンパ10が連結されている。

【0020】
また、下肢支援装置1は、第1支柱部22に対して第1足載部21を回動可能に連結する第1回転軸部23と、第1足載部21の底部に設けられた第1接地センサ24と、第1支柱部22に対する第1足載部21の回動動作を検出する第1角度センサ25と、を備えている。

【0021】
第1回転軸部23は、左右方向の外側に位置する第1支柱部22に連結されている。第1回転軸部23は、第1足載部21の後端部と、第1支柱部22の下端部とを互いに連結している。
第1回転軸部23は、左右方向から見た側面視で、円形状をなしている。第1回転軸部23には、その円弧に沿って切り欠かれた扇状の切欠き部23Aが形成されている。
図示の例では、切欠き部23Aの周方向の大きさは、中心角が90°以上となっている。切欠き部23Aには、上方を向き、かつ直動ダンパ10の後述する下側ロッド14Aが押圧可能な押圧面23Bが形成されている。

【0022】
第1接地センサ24には、第1足載部21の底部のうち、前後方向におけるつま先側に位置する前側第1接地センサ24Aと、第1足載部21の底部のうち、前後方向における踵側に位置する後側第1接地センサ24Bと、がある。
第1角度センサ25は、第1回転軸部23内に設けられている。

【0023】
また、下肢支援装置1は、第1接地センサ24および第1角度センサ25から得られた動作情報に基づいて、直動ダンパ10の電磁誘導コイル17に電流を流すことで、直動ダンパ10を制御する制御部26と、制御部26に電力を供給する内部電源27と、を備えている。
制御部26および内部電源27は、直動ダンパ10における後述するブラケット11の内部に配置されている。
また、本実施形態では、制御部26は、後述する下肢支援補助装置2の送信部から送信された健常脚における足部の動作情報を受信する受信部28を備えている。

【0024】
(直動ダンパ10)
次に、本実施形態に係る直動ダンパ10について説明する。
直動ダンパ10は、左右方向の外側に位置する第1支柱部22に連結されたブラケット11と、ブラケット11の内部に配置された直動ダンパ本体10Aと、を備えている。ブラケット11は筒状部材であり、例えば金属材料等により形成されている。ブラケット11の上端部が、第1支柱部22に連結されている。

【0025】
図2に示すように、直動ダンパ本体10Aは、円筒状のシリンダ12と、シリンダ12内に軸方向に移動可能に配置された円柱状のボビン13と、外部からボビン13の軸方向の端部に連結されたロッド14と、を備えている。
以下の説明において、シリンダ12の中心軸線Oに沿う軸方向と直交する方向を径方向という。また、図示の例では、軸方向が上下方向と一致している。

【0026】
シリンダ12は磁性材料により形成されている。シリンダ12における軸方向の両端部には、径方向の外側に向けて突出する固定フランジ部12Aが形成されている。固定フランジ部12Aには、閉塞板12Bが各別に固定されている。
閉塞板12Bの軸方向から見た中央部には、閉塞板12Bを軸方向に貫く挿通孔12Cが形成されている。挿通孔12Cにロッド14が各別に挿通されている。

【0027】
挿通孔12Cの内周面には、径方向の外側に向けて窪む収容溝12Dが形成されている。収容溝12D内には、ロッド14の外周面に当接するシールリング19が収容されている。
シールリング19がロッド14の外周面に当接していることで、後述するシリンダ12内に充填された磁気粘性流体16が漏れるのを防ぐことができる。

【0028】
ボビン13は、軸方向に延びるとともに、シリンダ12の内周面と径方向に隙間をあけて、中心軸線Oと同軸に配置されている。ボビン13は磁性材料により形成されている。
本実施形態では、ボビン13の外周面には、径方向の内側に向けて窪む収容凹部13Aが軸方向に間隔をあけて複数形成されている。図示の例では、収容凹部13Aはボビン13の外周面に2つ形成されている。なお、収容凹部13Aはボビン13の外周面に3つ以上形成されてもよい。
収容凹部13Aの外周面は、中心軸線Oと同軸に配置されている。

【0029】
ボビン13の外周面のうち、収容凹部13Aを除く部分が、シリンダ12の内周面と近接する近接部13Bとなっている。図示の例では、軸方向に間隔をあけて3つの近接部13Bが形成されている。
シリンダ12の内周面と、ボビン13の近接部13Bとの間には径方向の隙間が小さくされたオリフィス部Fが各別に形成されている。図示の例では、軸方向に間隔をあけて3つのオリフィス部Fが形成されている。

【0030】
そして本実施形態では、ボビン13における軸方向の端部には、軸方向に向けて突出するとともに、ロッド14が内側に嵌合する連結筒部18が形成されている。連結筒部18は、中心軸線Oと同軸に配置され、ボビン13における軸方向のロッド14側を向く両端面に、各別に形成されている。

【0031】
ロッド14は、軸方向に延びるとともに、中心軸線Oと同軸に配置されている。本実施形態では、ロッド14はボビン13の軸方向における両端部に各別に連結されている。ロッド14は非磁性材料により形成されている。ボビン13を通るように形成される後述する磁気回路Mが乱れるのを防ぐためである。

【0032】
図1に示すように、ボビン13を軸方向に挟む一対のロッド14のうち、ボビン13から下方に向けて延びる下側ロッド14Aが、ブラケット11の下端部から下方に向けて突出している。
下側ロッド14Aの下端部には、合成樹脂材料により形成されたカバー14Cが装着されている。下側ロッド14Aのカバー14Cが、第1回転軸部23の切欠き部23Aにおける押圧面23Bに当接している。

【0033】
また本実施形態では、図2に示すように、ボビン13における収容凹部13Aの外径は、ロッド14の外径よりも大きい。図示の例では、収容凹部13Aの外径は、ボビン13における連結筒部18の外径よりも大きい。なお、このような態様に限られず、収容凹部13Aの外径は、ボビン13における連結筒部18の外径よりも小さくてもよい。

【0034】
また直動ダンパ本体10Aは、ボビン13を軸方向に付勢する付勢部材15と、シリンダ12内に充填された磁気粘性流体16と、ボビン13の外周面に巻回された電磁誘導コイル17と、を備えている。
付勢部材15は、ボビン13の上方に配置され、ボビン13を下方に向けて付勢している。

【0035】
図示の例では、付勢部材15はコイルバネであり、上側ロッド14Bを径方向の外側から囲むように、中心軸線Oと同軸に配置されている。
付勢部材15の内側には、ボビン13における一対の連結筒部18のうち、上方に位置する上側連結筒部18Aが嵌合されている。これにより、付勢部材15がボビン13に対して径方向に位置ずれするのを抑制することができる。

【0036】
磁気粘性流体16は、シリンダ12内に充満するように充填されている。磁気粘性流体16としては、例えば、絶縁性のオイルと、主に鉄系粒子と、の混合材料等を採用することができる。絶縁性のオイルとは、例えば炭化水素油等であり、鉄系粒子とは、例えばカルボニル鉄等である。なお、このような材料に限られず、他の材料により構成された磁気粘性流体を採用してもよい。

【0037】
電磁誘導コイル17は図示しない配線等により、ブラケット11内に設けられた制御部26と接続されている。本実施形態では、電磁誘導コイル17は、複数の収容凹部13Aにおける外周面に、各別に巻回されている。図示の例では、2つの電磁誘導コイル17が2つの収容凹部13Aに各別に巻回されている。

【0038】
電磁誘導コイル17と制御部26とを接続する配線は、例えば挿通孔12Cを通して引き通される。電磁誘導コイル17には、この配線を通して、内部電源27から制御部26に供給される電力が供給される。
なお、配線は、閉塞板12Bに形成された不図示の孔を通して引き通されてもよい。また、上側ロッド14Bを中空状に形成し、配線を上側ロッド14Bの内部を通して、引き通してもよい。

【0039】
次に、このように構成された直動ダンパ10の動作について説明する。
図2に示す状態から、下側ロッド14Aを上方に向けてシリンダ12内に押し込むと、下側ロッド14Aと連結されたボビン13が、付勢部材15からの付勢力に抗してシリンダ12内を上方に向けて移動する。これにより、シリンダ12内に充填された磁気粘性流体16は、シリンダ12の内周面と、ボビン13の外周面との間に形成された隙間を通過して、上方から下方に向けて移動する。
すなわち、直動ダンパ10は、磁気粘性流体16の粘性特性に基づいた粘性ダンパとして作用する。

【0040】
また、上側ロッド14Bは、下側ロッド14Aがシリンダ12内に押し込まれた体積だけ、シリンダ12の外側に押し出される。ここで、本実施形態に係る下側ロッド14Aおよび上側ロッド14Bは、互いに同一径とされている。このため、下側ロッド14Aのシリンダ12内への移動に伴うシリンダ12内の空間容積の変化を抑えることができる。

【0041】
また、例えば付勢部材15が軸方向に圧縮された状態で、ボビン13の電磁誘導コイル17に電流を流すと、電磁誘導コイル17が磁界を発生させる。そして、図2に2点鎖線で示すような、ボビン13、オリフィス部F内に位置する磁気粘性流体16、およびシリンダ12の周壁にまたがる磁気回路Mが形成される。これにより、シリンダ12内のうち、オリフィス部F内に位置する磁気粘性流体16の粘性が増加し、保持力が生じる。
このような磁気粘性流体16が発揮する保持力は、磁気粘性流体16が停止している状態においても、磁気粘性流体16が磁気回路から受ける磁場の影響で硬化することによって発揮することができる。

【0042】
このため、下側ロッド14Aからの上方に向けた押込み力を解除しても、直動ダンパ10の保持力により、付勢部材15の付勢力を保持することで、付勢部材15が復元変形することなく、シリンダ12内におけるボビン13の軸方向の位置が維持される。
そして、電磁誘導コイル17に流した電流を遮断すると、磁気粘性流体16の粘性が減少し、直動ダンパ10の保持力が低下することにより、磁気粘性流体16により保持されていた付勢部材15の付勢力が解放される。これにより、付勢部材15が復元変形することで、ボビン13が下方に向けて押圧され、下側ロッド14Aがシリンダ12、およびブラケット11から下方に向けて押し出される。

【0043】
ここで、電磁誘導コイル17に電流を流した際に発生する磁気回路Mの向きについて説明する。
図2に示すように、磁気回路Mは、ボビン13の内部において、軸方向の端部から中央部に向けて延びるとともに、シリンダ12の周壁において、軸方向の中央部から外側に向けて延びている。このため、複数のオリフィス部Fのうち、軸方向の中央に位置する中央オリフィス部F1では、2つの電磁誘導コイル17からの磁気回路が重なるように延びている。
これにより、中央オリフィス部F1内に位置する磁気粘性流体16は、他の2つのオリフィス部F内に位置する磁気粘性流体16よりも高い粘性を発揮する。

【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る直動ダンパ10によれば、ボビン13における軸方向の端部に連結筒部18が形成され、連結筒部18の内側にロッド14が嵌合することで、ボビン13と連結筒部18とが連結されている。このため、例えばボビン13の軸方向の端部に、軸方向の内側に向けて窪む凹部を形成し、この凹部に非磁性材料により形成されたロッド14を嵌合するような構成等と比較して、ボビン13の軸方向の端部における磁性材料からなる断面積(例えば図2のA-A’視における近接部13Bの面積)を大きく確保することができる。
これにより、電磁誘導コイル17に電流を流した際に、ボビン13の内部に磁気回路を形成しやすくすることが可能になり、オリフィス部F内に位置する磁気粘性流体16の粘性を大きくして、直動ダンパ10に高い保持力を発揮させることができる。

【0045】
また、本実施形態に係る直動ダンパ10によれば、ロッド14がボビン13の軸方向の両端部に各別に連結されている。このため、下側ロッド14Aのシリンダ12内への移動に伴って、シリンダ12内の空間容積が減少するのを抑えることができる。
これにより、ボビン13の軸方向の移動に伴って、磁気粘性流体16が圧縮されることを、シリンダ12にアキュムレータのような内圧調整部材を設けることなく、抑えることができる。したがって、シリンダ12内に磁気粘性流体16が充満するように充填させたとしても、簡易な構成により直動ダンパ10の粘性ダンパとしての減衰特性を安定させることができる。

【0046】
また、本実施形態に係る直動ダンパ10によれば、ボビン13における収容凹部13Aの外径が、ロッド14の外径よりも大きい。このため、ボビン13のうち、軸方向に沿って延びる部分の断面積を大きく確保することが可能になり、電磁誘導コイル17に電流を流した際に、ボビン13の内部に磁気回路Mを形成しやすくすることができる。
これにより、オリフィス部F内に位置する磁気粘性流体16の粘性を更に大きくして、直動ダンパ10に高い保持力を発揮させることができる。

【0047】
また、本実施形態に係る直動ダンパ10によれば、ボビン13の外周面に軸方向に間隔をあけて複数形成された収容凹部13Aの外周面に、電磁誘導コイル17が各別に巻回されている。このため、ボビン13の近接部13Bのうち、電磁誘導コイル17により軸方向に挟まれる近接部13Bには、複数の電磁誘導コイル17からの磁気回路が重複して形成される。
これにより、中央オリフィス部F1内に位置する磁気粘性流体16に、より大きな粘性を発揮させることが可能になり、より一層効果的に直動ダンパ10に高い保持力を発揮させることができる。

【0048】
次に、図3を用いて、このような直動ダンパ10の動作に基づいた下肢支援装置1の動作について説明する。
まず、障碍脚の踵が接地する前の状態において、直動ダンパ10の下側ロッド14Aは、第1回転軸部23の押圧部を下方に向けて押圧している状態とする。
そして、図3(a)に示すように、障碍脚の踵が接地すると、下肢支援装置1の後側第1接地センサ24Bが検知する。これにより、電磁誘導コイル17に所定の電流Iが流されると、磁気粘性流体16が一定の粘性を発揮し、直動ダンパ10が一定の力で保持される。

【0049】
この際、使用者の前方への移動に伴って、障碍脚の足部は、後端部回りにつま先が接地する向きに次第に回動してゆく。このときの足部の回動動作を、直動ダンパ10の保持力F1により支援し、回動トルクT1を与えることで緩やかに接地させることができる。
ここで、直動ダンパ10の保持力とは、付勢部材15による下方に向けた付勢力、およびボビン13の外周面と、シリンダ12の内周面と、の隙間を磁気粘性流体16が通過することによる直動ダンパ10の粘性ダンパとしての粘性力、および磁気粘性流体16が停止している状態において、磁場の影響で硬化することによって発揮する保持力により決まる力である。そして、直動ダンパ10の可変保持特性とは、直動ダンパ10の粘性ダンパとしての減衰特性、および磁気粘性流体16の保持力が、電磁誘導コイル17に流す電流値Iの大きさにより変更することで、任意に調整できる特性を意味する。

【0050】
そして、図3(b)に示すように、障碍脚のつま先が接地すると、前側第1接地センサ24Aが検知する。この際、第1足載部21が、第1回転軸部23回りに回動したことで、直動ダンパ10の下側ロッド14Aは、シリンダ12内に上方に向けて最も押し込まれた状態となっている。そして、電磁誘導コイル17に最大電流Imaxが流されると、直動ダンパ10が最大の力で保持される。

【0051】
これにより、図3(c)に示すように、付勢部材15の下方に向けた付勢力を、直動ダンパ10の保持力により保持する。その結果、脚部が足部に対して、足部の後端部回りに前方に向けて回動することで、下側ロッド14Aと押圧面23Bとの間に隙間が生じても、下側ロッド14Aのシリンダ12内における位置を維持することができる。

【0052】
そして、図3(d)に示すように、障碍脚の足部の踵が地面から離れると、これを後側第1接地センサ24Bが検知する。これにより、電磁誘導コイル17に流れていた電流を遮断することで、直動ダンパ10の保持力により保持されていた付勢部材15の付勢力が解放される。そして、付勢部材15が復元変形することで、ボビン13が下方に向けて押圧され、下側ロッド14Aがブラケット11の下方に向けて変位する。

【0053】
そして、下側ロッド14Aが第1回転軸部23の押圧面23Bを下方に向けて押圧力F2により押圧することで、第1足載部21に回動力T2を与え、第1足載部21が、後端部回りにつま先が地面から離れる向きに次第に回動してゆく。この際、直動ダンパ10の下側ロッド14Aは、下方に向けて最も押し出された状態となる。これにより、障碍脚の足部のつま先が、地面に引っかかることなく、使用者が歩行することができる。
そして、障碍脚の脚部が前方に移動することで、図3(a)に示す踵が接地する状態となり、このような一連の動作を繰り返すことで、下肢支援装置1が使用者の歩行を支援することができる。

【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る下肢支援装置1によれば、直動ダンパ10が高い保持力を発揮することができるので、直動ダンパ10の保持力により保持する付勢部材15の付勢力を高く設定することができる。このため、直動ダンパ10の下側ロッド14Aが第1回転軸部23の押圧面23Bを下方に向けて押圧する際の押圧力や、電流を流した際の応答性等を広い範囲で設定することが可能になる。
これにより、下肢支援装置1の仕様値に自由度を与えることができ、下肢支援装置1の利便性を高めることができる。

【0055】
ここで、電磁誘導コイル17に流される電流値について詳述する。図3(a)に示したような、障碍脚の足部が、後端部回りにつま先が接地する向きに回動してゆく回動動作の速度は、使用者やその歩行速度によりばらつきがあり、個別に設定する必要がある。
また、図3(d)に示したような、障碍脚の足部が、その後端部回りにつま先が地面から離れる回動動作の速度についても、同様に個別に設定する必要がある。この場合には、例えば図3(d)に破線Bで示すように、電磁誘導コイル17に流す電流を緩やかに遮断することで、直動ダンパ10における下側ロッド14Aが下方に向けて押し出される速度を管理することとなる。
そこで、健常脚を用いて足部の動作情報を把握し、電流の制御を行うことができる。このように、下肢支援装置1の使用を補助するものとして、健常脚および健常腕のうち、少なくともいずれかに装着される下肢支援補助装置2を用いることができる。以下の説明では、健常脚に装着される下肢支援補助装置2について説明する。

【0056】
(下肢支援装置セット)
次に、本実施形態に係る下肢支援装置セットについて説明する。
下肢支援装置セットは、前述した下肢支援装置1、および下肢支援補助装置2を有している。本実施形態では、左脚用の下肢支援補助装置2を例に挙げて説明する。

【0057】
下肢支援補助装置2は、健常脚に装着され、健常脚の足部の動作を検出し、その情報に基づいて下肢支援装置セットの制御を補助する補助器具である。
図4に示すように、下肢支援補助装置2は、健常脚に装着される第2装着体30と、健常脚の足部が載置される第2足載部31と、第2装着体30から第2足載部31に向けて延びる第2支柱部32と、第2支柱部32に対して第2足載部31を回動可能に連結する第2回転軸部33と、を備えている。

【0058】
第2装着体30、第2足載部31、および第2支柱部32はそれぞれ、下肢支援装置1における、第1装着体20、第1足載部21、および第1支柱部22それぞれと左右対称となるように構成されている。
第2回転軸部33は、左右方向から見た側面視で円形状をなしている。すなわち、第2回転軸部33には切欠き部が形成されていない。

【0059】
また、下肢支援補助装置2は、第2足載部31の底部に設けられた第2接地センサ34と、第2支柱部32に対する第2足載部31の回動動作を検出する第2角度センサ35と、を備えている。
第2接地センサ34には、下肢支援装置1と同様に、第2足載部31の底部のうち、前後方向におけるつま先側に位置する前側第2接地センサ34Aと、第2足載部31の底部のうち、前後方向における踵側に位置する後側第2接地センサ34Bと、がある。
第2角度センサ35は、第2回転軸部33内に設けられている。

【0060】
また、下肢支援補助装置2は、第2接地センサ34および第2角度センサ35から得られた足部の動作情報を処理する処理部36を備えている。
処理部36は、図示の例では、第2回転軸部33内に設けられているが、例えば第2足載部31内に設けてもよい。処理部36には、第2接地センサ34および第2角度センサ35により検出された動作情報が伝達される。

【0061】
ここで、足部の動作情報とは、第2角度センサ35により得られる歩行時の足部の後端部回りの回動角速度や、および第2接地センサ34により得られる踵とつま先それぞれの接地の態様等である。
また、処理部36は、第2角度センサ35が検出した健常脚における足部の動作情報を送信する送信部38を備えている。送信部38から送信された情報が、下肢支援装置1の受信部28から制御部26に伝達される。

【0062】
次に、下肢支援装置セットの制御方法について説明する。
本実施形態に係る下肢支援装置セットの制御方法は、下肢支援補助装置2における、第2角度センサ35が検出した健常脚における足部の動作情報に基づいて、下肢支援装置の第1接地センサ24が障碍脚における第1足載部21の接地を検出した際に、電磁誘導コイル17に流す電流を制御する。ここで、電流を制御するとは、電流値を設定するとともに、電流波形を決めることを意味する。

【0063】
下肢支援補助装置2による健常脚における足部の動作情報の取得は、障碍脚に下肢支援装置1を装着した状態で、健常脚に下肢支援補助装置2を装着して行ってもよい。また、健常脚における足部の動作情報の取得は、障碍脚に下肢支援装置1を装着することなく、健常脚にのみ下肢支援補助装置2を装着した状態で行ってもよい。
すなわち、健常脚における動作情報の取得、および障碍脚における下肢支援装置1の動作設定は、脚動作開始前、脚動作開始中(歩行中)の両方若しくはどちらか一方で行う(歩行前にスタティックにパラメータを設定しても、歩行中にダイナミックにパラメータを設定しても良い)。

【0064】
また、本実施形態に係る下肢支援装置セットの制御方法は、健常脚における足部の動作情報を下肢支援補助装置2における送信部38から、下肢支援装置1における受信部28に送る。そして、第1接地センサ24が障碍脚における第1足載部21の接地を検出した際に、電磁誘導コイル17に流す電流値を時々刻々と変化させる。

【0065】
この場合、使用者は両足に下肢支援装置1および下肢支援補助装置2を各別に装着した状態で歩行する。この際、使用者の標準的な歩行速度における健常脚の動作情報に基づいて、電磁誘導コイル17に流す電流値の基準値を設定しておくことができる。
そして、使用者の歩行速度に合わせて、すなわち、健常脚の足部の回動角速度の変化に合わせて、電磁誘導コイル17に流す電流値を変化させる。

【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る下肢支援セットによれば、下肢支援装置1および下肢支援補助装置2を有している。このため、健常脚の動作情報を下肢支援補助装置2により取得することで、障碍脚に装着される下肢支援装置1に所望される仕様値(例えば、電流値の大きさやその時間変化)を正確に把握することができる。

【0067】
また、本実施形態に係る下肢支援装置セットの制御方法によれば、下肢支援補助装置2を用いて、健常脚における足部の動作情報に基づいて、下肢支援装置1における電磁誘導コイル17に流す電流を制御する。このため、個人毎にばらつきのある足部の動作に基づいて、使用者にとって歩きやすい状態で下肢支援装置1を制御することができる。これにより、下肢支援装置1の利便性を向上することができる。

【0068】
また、本実施形態に係る下肢支援装置セットの制御方法によれば、下肢支援補助装置2の送信部38、および下肢支援装置1の受信部28を用いて、電磁誘導コイル17に流す電流値を時々刻々と変化させる。このため、使用者の歩行速度が変化した際に、歩行速度の変化に基づく足部の角速度変化を検出し、障碍脚の足部が最適な角速度となるように、電磁誘導コイル17に流す電流を変化させることができる。これにより、下肢支援装置1の利便性をより一層効果的に向上することができる。

【0069】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態においては、下肢支援装置セットの制御方法として、ボビン13に連結筒部18が形成された直動ダンパ10を備えた下肢支援装置1を用いた構成を示したが、このような態様に限られない。下肢支援装置セットの制御方法は、ボビン13に連結筒部18が形成されていない直動ダンパ10を用いた下肢支援装置1に対して適用してもよい。

【0070】
また、上記実施形態においては、直動ダンパ10のロッド14は、ボビン13の軸方向における両端部に各別に連結されている構成を示したが、このような態様に限られない。ロッド14は、ボビン13の軸方向における一方側の端部にのみ連結されてもよい。この場合、ロッド14は、軸方向のうち、シリンダ12内における付勢部材15が配置された側と反対側(図示の例では下側)にのみ配置される。

【0071】
また、上記実施形態においては、ボビン13の外周面には、径方向の内側に向けて窪む収容凹部13Aが形成されている構成を示したが、このような態様に限られない。ボビン13の外周面に収容凹部13Aが形成されなくてもよい。
また、上記実施形態においては、ボビン13の収容凹部13Aの外径は、ロッド14の外径よりも大きい構成を示したが、このような態様に限られない。収容凹部13Aの外径は、ロッド14の外径よりも小さくてもよい。

【0072】
また、上記実施形態においては、ボビン13の外周面に収容凹部13Aが軸方向に間隔をあけて複数形成され、電磁誘導コイル17が複数の収容凹部13Aにおける外周面に各別に巻回された構成を示したが、このような態様に限られない。収容凹部13Aがボビン13の外周面に1つだけ形成され、その収容凹部13Aに電磁誘導コイル17が巻回されてもよい。

【0073】
また、上記実施形態においては、シリンダ12が円筒状をなし、ボビン13が円柱状をなしている構成を示したが、このような態様に限られない。例えば、シリンダ12が角筒状をなし、ボビン13が角柱状をなしてもよい。

【0074】
また、上記実施形態においては、下肢支援補助装置2として、健常脚に装着される構成を示したが、このような態様に限られない。下肢支援補助装置として、健常腕に装着され、健常腕の動作を検出し、その情報に基づいて下肢支援装置セットの制御を補助する補助器具を採用してもよい。
この場合には、一般に歩行時における腕部および脚部それぞれの動作には一定の相関があることが知られており、使用者の腕部の動作に基づいて、下肢支援装置1に所望される障碍脚を支援する動作を把握することができる。また、下肢支援補助装置は、健常脚および健常腕の双方に装着してもよい。

【0075】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 下肢支援装置
2 下肢支援補助装置
10 可変保持特性を有する直動ダンパ
12 シリンダ
13 ボビン
14 ロッド
15 付勢部材
16 磁気粘性流体
17 電磁誘導コイル
18 連結筒部
20 第1装着体
21 第1足載部
22 第1支柱部
23 第1回転軸部
24 第1接地センサ
25 第1角度センサ
26 制御部
27 内部電源
28 受信部
30 第2装着体
31 第2足載部
32 第2支柱部
33 第2回転軸部
34 第2接地センサ
35 第2角度センサ
36 処理部
38 送信部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3