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明細書 :レビー小体型認知症のバイオマーカー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年12月14日(2017.12.14)
発明の名称または考案の名称 レビー小体型認知症のバイオマーカー
国際特許分類 G01N  33/92        (2006.01)
FI G01N 33/92 A
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 18
出願番号 特願2017-505307 (P2017-505307)
国際出願番号 PCT/JP2016/056828
国際公開番号 WO2016/143703
国際出願日 平成28年3月4日(2016.3.4)
国際公開日 平成28年9月15日(2016.9.15)
優先権出願番号 2015044353
優先日 平成27年3月6日(2015.3.6)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】池内 健
【氏名】桑野 良三
【氏名】佐藤 義明
【氏名】ベルニエ フランソワ
出願人 【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
【識別番号】506137147
【氏名又は名称】エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100128381、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 義憲
【識別番号】100126653、【弁理士】、【氏名又は名称】木元 克輔
【識別番号】100211199、【弁理士】、【氏名又は名称】原田 さやか
審査請求 未請求
テーマコード 2G045
Fターム 2G045AA13
2G045AA25
2G045AA29
2G045CA25
2G045CA26
2G045DA69
2G045FA34
2G045FB06
2G045JA06
要約 コレステロール及びデスモステロール、並びにこれらのレベルの比は、アルツハイマー病、前頭側頭葉変性症又はレビー小体型認知症の血液中バイオマーカーとして利用可能である。
特許請求の範囲 【請求項1】
レビー小体型認知症治療剤の候補物質の効果を評価する方法であって、
候補物質投与前の非ヒト動物の血液中のデスモステロール(DES)レベル及びコレステロール(CHO)レベルを測定する工程と、
候補物質投与後の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
前記候補物質投与前の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルと比較して、前記候補物質投与後の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが上昇している場合、前記候補物質がレビー小体型認知症治療に有効である可能性があるとの指標を提供する工程、
を含む、前記方法。
【請求項2】
レビー小体型認知症治療剤の候補物質の効果を評価する方法であって、
候補物質を投与されていない第一の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
候補物質を投与された第二の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
前記候補物質を投与されていない第一の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルと比較して、前記候補物質を投与された第二の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが高い場合、前記候補物質がレビー小体型認知症治療に有効である可能性があるとの指標を提供する工程、
を含む、前記方法。
【請求項3】
レビー小体型認知症治療剤の候補物質の効果を評価する方法であって、
候補物質投与前の被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
候補物質投与後の被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
前記候補物質投与前の被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルと比較して、前記候補物質投与後の被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが上昇している場合、前記候補物質がレビー小体型認知症治療に有効である可能性があるとの指標を提供する工程、
を含む、前記方法。
【請求項4】
レビー小体型認知症の診断を補助する方法であって、
被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが低い場合、レビー小体型認知症である可能性があるとの指標を提供する工程、
を含む、前記方法。
【請求項5】
レビー小体型認知症を診断する方法であって、
被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが低い場合、レビー小体型認知症であると判定する工程、
を含む、前記方法。
【請求項6】
レビー小体型認知症治療剤の候補物質の治療効果を期待できる患者を選択する方法であって、
被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが低い場合、レビー小体型認知症の候補物質を投与すべき患者であるとの指標を提供する工程、
を含む、前記方法。
【請求項7】
レビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症を区別する方法であって、
被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
(1)基準値と比較して、前記被験者の血液中のCHOレベルが低い場合、アルツハイマー型認知症及び前頭側頭葉変性症型認知症ではなく、レビー小体型認知症である可能性がある;又は
(2)基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベルが低く、且つ、CHOレベルに対するDESレベルの比(DES/CHO)に差がない場合、アルツハイマー型認知症及び前頭側頭葉変性症型認知症ではなく、レビー小体型認知症である可能性がある、
との指標を提供する工程、
を含む、前記方法。
【請求項8】
レビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症を区別する方法であって、
被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
(1)基準値と比較して、前記被験者の血液中のCHOレベルが低い場合、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症ではなく、レビー小体型認知症である可能性がある;
(2)基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベルが低い場合、前頭側頭葉変性症ではなく、レビー小体型認知症又はアルツハイマー病である可能性がある;
(3)基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベルが低く、且つ、DES/CHOに差がない場合、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症ではなく、レビー小体型認知症である可能性がある;又は
(4)基準値と比較して、前記被験者の血液中のDES/CHOが低い場合、レビー小体型認知症及び前頭側頭葉変性症ではなく、アルツハイマー病である可能性がある、との指標を提供する工程、
を含む、前記方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies:DLB)の診断に有用なバイオマーカーに関する。より詳細には、DLBの治療剤の候補物質の効果を評価する方法、DLBの診断を補助する方法、DLBを診断する方法、DLBの治療剤の候補物質の治療効果を期待できる患者を選択する方法、DLBとアルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)及び前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration:FTLD)を区別する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマーカーは疾患の診断及び病態の進行状況の把握に非常に有用であり、治療対象となる患者の選別、適切な治療の選択の支援、副作用の監視及び新薬の発見に関して重要である。
【0003】
レビー小体型認知症の病理学的特徴は、大脳皮質、扁桃体及びマイネルト基底核などの中枢神経系並びに自律神経系に広範に多数のレビー小体が出現することである。レビー小体型認知症は、進行性の認知機能の低下、注意、覚醒レベルの顕著な変動、具体的な幻視に基づく妄想、特発性のパーキンソン症状(手のふるえ、歩行障害など)、REM睡眠行動障害、抗精神病薬への過敏性、自律神経症状、抑うつなどの症状を呈する。レビー小体型認知症では、高齢健常者と比較して脳脊髄液中に酸化型α-ヘリカルAβ1-40が有意に増加すること及び血液中のα-シヌクレインが減少することが報告されている(非特許文献1及び2)。また、高齢健常者と比較して血清中のコエンザイムQ10(CoQ10)がレビー小体型認知症患者で統計的に有意に減少しているものの、CoQ10とコレステロール(CHO)の比(CoQ10/CHO)には統計的有意差はなく、さらには、CoQ10及びCoQ10/CHOと発症年齢、MMSE(Mini Mental State Examination)スコアなどとの相関はないという報告がある。また、その実験結果では、CHOには触れておらず、その考察のところで、高齢健常者と比較してレビー小体型認知症患者のCHOの数値がわずかに減少していることに言及しているが、統計的に有意であるとは述べていない(非特許文献3)。
【0004】
アルツハイマー病は、早期からの近時記憶の障害を特徴とする緩徐な発症と持続的な認知機能低下を特徴とする神経変性疾患である。脳脊髄液のアミロイドベータ(Aβ)1-42及びリン酸化タウタンパク質が、アルツハイマー病の有用なバイオマーカーと考えられている(非特許文献4及び5)。また、アルツハイマー病では、同様にコレステロール代謝の異常が起きていると考えられている。アルツハイマー病患者では高齢健常者と比較して血漿中のデスモステロール(DES)レベルは変化しないが、脳脊髄液中のデスモステロールレベルが低いことが報告されている(非特許文献6)。一方、アルツハイマー病患者の血漿中のデスモステロールレベルが高齢健常者と比較して低いという報告もある(非特許文献7及び特許文献1)。
【0005】
前頭側頭葉変性症は、前頭葉及び側頭葉に限局して進行性の変性を呈する疾患であり、臨床的に行動異常や言語障害を主徴とする非アルツハイマー型変性性認知症を含む。脳脊髄液中のバイオマーカーとして、タウタンパク質、TAR DNA binding protein of 43kD(TDP-43)が同定されている(非特許文献8)。さらに、血漿リン酸化TDP-43が脳のリン酸化TDP-43病理の重症度スコアと有意な相関があり、重症度バイオマーカーとして有用である可能性が指摘されている(非特許文献9及び10)。
しかし、レビー小体型認知症、アルツハイマー病又は前頭側頭葉変性症の区別において、上記バイオマーカーの特異性については明確になっていない。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0266589号明細書
【0007】

【非特許文献1】Bibl, M. et al., "CSF amyloid-beta-peptides in Alzheimer's disease, dementia with Lewy bodies and Parkinson's disease dementia" Brain,(2006) 129, 1177-1187
【非特許文献2】Laske, C. et al., "Decreased alpha-synuclein serum levels in patients with Lewy body dementia compared to Alzheimer's disease patients and control subjects. Dement.Geriatr.Cogn.Disord. (2011) 31, 413-416.
【非特許文献3】Molina, J.A. et al., "Serum levels of coenzyme Q in patients with Lewy body disease. J.Neural Transm. (2002) 109, 1195-1201.
【非特許文献4】Ibach,B. et al., "Cerebrospinal fluid tau and beta-amyloid in Alzheimer patients,disease controls and an age-matched random sample" Neurobiol.Aging (2006), 27(9), 1202-1211
【非特許文献5】Bouwman,F.H. et al., "CSF biomarker levels in early and late onset Alzheimer's disease", Neurobiol.Aging (2009), 30(12), 1895-1901
【非特許文献6】Koelsch,H. et al., "Alterations of cholesterol precursor levels in Alzheimer's disease", Biochim.Biophys.Acta (2010), 1801(8), 945-950
【非特許文献7】Sato,Y. et al., "Identification of a new plasma biomarker of Alzheimer's disease using metabolomics technology", J.Lipid Res. (2012), 53(3), 567-576
【非特許文献8】Hu,W.T. et al., "Novel CSF biomarkers for frontotemporal lobar degenerations", Neurology (2010), 75, 2079-2086
【非特許文献9】Foulds,P. et al., "TDP-43 protein in plasma may index TDP-43 brain pathology in Alzheimer‘s disease and frontotemporal lobar degeneration", Acta Neuropathol. (2008), 116, 141-146
【非特許文献10】Foulds,P. et al., "Plasma phosphorylated-TDP-43 protein levels correlate with brain pathology in frontotemporal lobar degeneration", Acta Neuropathol. (2009), 118, 647-658
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
レビー小体型認知症の診断に有用なバイオマーカーが求められており、また、アルツハイマー病、前頭側頭葉変性症及びレビー小体型認知症を区別するために有用なバイオマーカーが求められている。さらには、バイオマーカーの測定のために、脳脊髄液を採取することは患者への負担が大きいため、血液等を用いたより低侵襲性のバイオマーカーが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、レビー小体型認知症患者では、血液中のコレステロールレベル及びデスモステロールレベルが高齢健常者のレベルと比較してそれぞれ統計的に有意に低いことを明らかにし、血液中のコレステロールレベル及びデスモステロールレベルがレビー小体型認知症患者のバイオマーカーとして利用できることを見出した。
【0010】
レビー小体型認知症患者では、血液中のコレステロールレベルが高齢健常者のレベルと比較して統計的に有意に低く、一方、アルツハイマー病患者及び前頭側頭葉変性症患者の血液中のコレステロールレベルが高齢健常者のレベルと比較してそれぞれ統計的に差がないことに基づいて、レビー小体型認知症患者とアルツハイマー病患者又は前頭側頭葉変性症患者が区別できることを本発明者らは見出した。
【0011】
レビー小体型認知症患者及びアルツハイマー病患者では、血液中のデスモステロールレベルが高齢健常者のレベルと比較して統計的に有意に低く、一方、前頭側頭葉変性症患者の血液中のデスモステロールレベルが高齢健常者のレベルと比較して統計的に差がないことに基づいて、レビー小体型認知症患者及び前頭側頭葉変性症患者、並びに、アルツハイマー病患者及び前頭側頭葉変性症患者の区別にデスモステロールレベルが利用できることを本発明者らは見出した。
【0012】
アルツハイマー病患者では、血液中のコレステロールレベルに対するデスモステロールレベルの比が高齢健常者の比と比較して統計的に有意に低く、一方、レビー小体型認知症患者及び前頭側頭葉変性症患者の血液中のコレステロールレベルに対するデスモステロールレベルの比が高齢健常者の比と比較して統計的に差がないことに基づいて、アルツハイマー病患者及びレビー小体型認知症患者、並びに、アルツハイマー病患者及び前頭側頭葉変性症患者の区別にコレステロールレベルに対するデスモステロールレベルの比が利用できることを本発明者らは見出した。
【0013】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[8]を提供する。
[1]レビー小体型認知症治療剤の候補物質の効果を評価する方法であって、
候補物質投与前の非ヒト動物の血液中のデスモステロール(DES)レベル及びコレステロール(CHO)レベルを測定する工程と、
候補物質投与後の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
前記候補物質投与前の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルと比較して、前記候補物質投与後の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが上昇している場合、前記候補物質がレビー小体型認知症治療に有効である可能性があるとの指標を提供する工程、
を含む、前記方法。
[2]レビー小体型認知症治療剤の候補物質の効果を評価する方法であって、
候補物質を投与されていない第一の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
候補物質を投与された第二の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
前記候補物質を投与されていない第一の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルと比較して、前記候補物質を投与された第二の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが高い場合、前記候補物質がレビー小体型認知症治療に有効である可能性があるとの指標を提供する工程、
を含む、前記方法。
[3]レビー小体型認知症治療剤の候補物質の効果を評価する方法であって、
候補物質投与前の被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
候補物質投与後の被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
前記候補物質投与前の被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルと比較して、前記候補物質投与後の被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが上昇している場合、前記候補物質がレビー小体型認知症治療に有効である可能性があるとの指標を提供する工程、
を含む、前記方法。
[4]レビー小体型認知症の診断を補助する方法であって、
被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが低い場合、レビー小体型認知症である可能性があるとの指標を提供する工程、
を含む、前記方法。
[5]レビー小体型認知症を診断する方法であって、
被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが低い場合、レビー小体型認知症であると判定する工程、
を含む、前記方法。
[6]レビー小体型認知症治療剤の候補物質の治療効果を期待できる患者を選択する方法であって、
被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが低い場合、レビー小体型認知症の候補物質を投与すべき患者であるとの指標を提供する工程、
を含む、前記方法。
[7]レビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症を区別する方法であって、
被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
(1)基準値と比較して、前記被験者の血液中のCHOレベルが低い場合、アルツハイマー型認知症及び前頭側頭葉変性症型認知症ではなく、レビー小体型認知症である可能性がある;又は
(2)基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベルが低く、且つ、CHOレベルに対するDESレベルの比(DES/CHO)に差がない場合、アルツハイマー型認知症及び前頭側頭葉変性症型認知症ではなく、レビー小体型認知症である可能性がある、
との指標を提供する工程、
を含む、前記方法。
[8]レビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症を区別する方法であって、
被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
(1)基準値と比較して、前記被験者の血液中のCHOレベルが低い場合、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症ではなく、レビー小体型認知症である可能性がある;
(2)基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベルが低い場合、前頭側頭葉変性症ではなく、レビー小体型認知症又はアルツハイマー病である可能性がある;
(3)基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベルが低く、且つ、DES/CHOに差がない場合、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症ではなく、レビー小体型認知症である可能性がある;又は
(4)基準値と比較して、前記被験者の血液中のDES/CHOが低い場合、レビー小体型認知症及び前頭側頭葉変性症ではなく、アルツハイマー病である可能性がある、との指標を提供する工程、
を含む、前記方法。
【発明の効果】
【0014】
血液中のコレステロールレベル及びデスモステロールレベルは、レビー小体型認知症のバイオマーカーとなり得る。より詳細には、上記バイオマーカーは、レビー小体型認知症の診断を補助することが可能であり、レビー小体型認知症を診断することが可能であり、レビー小体型認知症の候補物質の治療効果を期待できる患者を選択することが可能であり、レビー小体型認知症の治療剤の候補物質の効果を評価することが可能である。
さらには、レビー小体型認知症患者、前頭側頭葉変性症患者及びアルツハイマー病患者の区別が可能である。
【0015】
上記バイオマーカーは、血液中のコレステロールレベル又はデスモステロールのレベルを利用するものであるため、脳脊髄液を採取する必要がなく、低侵襲性である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】高齢健常者及びレビー小体型認知症患者における、血漿中のコレステロールレベルに関する受信者動作特性曲線を表す図である。
【図2】アルツハイマー病患者及びレビー小体型認知症患者における、血漿中のコレステロールレベルに関する受信者動作特性曲線を表す図である。
【図3】前頭側頭葉変性症患者及びレビー小体型認知症患者における、血漿中のコレステロールレベルに関する受信者動作特性曲線を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る、レビー小体型認知症治療剤の候補物質の効果を評価する方法は、非ヒト動物又は被験者を対象に行う。非ヒト動物は、哺乳動物であることが好ましく、レビー小体型認知症のモデル動物であることがより好ましい。被験者は、レビー小体型認知症が疑われるヒト患者であることが好ましい。

【0018】
レビー小体型認知症のモデル動物として、アルツハイマー病のモデル動物及びパーキンソン病のモデル動物を利用できる。具体的には、アルツハイマー病のモデル動物としては、例えば、アミロイド前駆体タンパク質(APP)及びプレセリニン2等を改変することで、アミロイドベータの産生が増大している動物及びAPPを過剰発現する遺伝子改変マウスであるTg2576が挙げられる。さらに、パーキンソン病のモデル動物としては、α-シヌクレインを過剰発現するα-シヌクレイン-トランスジェニックマウスが挙げられる。

【0019】
本発明の実施形態に係る、レビー小体型認知症治療剤の候補物質の効果を評価する方法は、まず、非ヒト動物又は被験者を用いて、候補物質投与前後の同一個体の血液中のデスモステロールレベル及びコレステロールレベルを測定する。候補物質投与後の血液中のデスモステロールレベル及びコレステロールレベルの少なくとも1つが、候補物質投与前のレベルと比較して高い場合、当該候補物質がレビー小体型認知症治療に有効である可能性があるとの指標が提供される。提供された指標に基づいてレビー小体型認知症治療剤の候補物質の効果を評価することができる。

【0020】
別の実施形態では、レビー小体型認知症治療剤の候補物質の効果を評価する方法は、まず、異なる個体の非ヒト動物又は被験者を用いて、候補物質を投与されていない1又は複数の個体(候補物質非投与群)の血液中のデスモステロールレベル及びコレステロールレベルを測定し、候補物質を投与された別の1又は複数の個体(候補物質投与群)の候補物質投与後の血液中のデスモステロールレベル及びコレステロールレベルを測定する。候補物質非投与群及び候補物質投与群におけるデスモステロールレベル及びコレステロールレベルを比較する。候補物質投与群の血液中のデスモステロールレベル及びコレステロールレベルの少なくとも1つが、候補物質非投与群のレベルと比較して高い場合、候補物質がレビー小体型認知症治療に有効である可能性があるとの指標が提供される。提供された指標に基づいて候補物質の効果を評価するができる。

【0021】
本発明の実施形態に係るレビー小体型認知症治療剤の候補物質は、特に限定されないが、コレステロール代謝経路修飾物質又はAβ仮説に基づく修飾物質、好ましくはβ-セクレターゼ阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、γ-セクレターゼ修飾剤、抗Aβ抗体、抗Aβオリゴマー抗体などである。さらには、レボドーパ、ドパミン作働薬、又はモノアミノ酸化酵素B阻害薬などである。

【0022】
本発明の実施形態に係る、レビー小体型認知症の診断を補助する方法は、被験者を対象に行う。被験者は、レビー小体型認知症が疑われるヒト患者であることが好ましい。上記方法は、まず、被験者の血液中のデスモステロールレベル及びコレステロールレベルを測定し、基準値と比較することで判定を行う。被験者のデスモステロールレベル及びコレステロールレベルの少なくとも1つが、それぞれの基準値と比較して低い場合、レビー小体型認知症の可能性があるとの指標を提供する。提供された指標に基づいてレビー小体型認知症の診断を補助することができる。

【0023】
本発明の実施形態に係る、レビー小体型認知症を診断する方法は、被験者を対象に行う。被験者は、レビー小体型認知症が疑われるヒト患者であることが好ましい。上記方法は、まず、被験者の血液中のデスモステロールレベル及びコレステロールレベルを測定し、基準値と比較することで判定を行う。すなわち、被験者のデスモステロールレベル及びコレステロールレベルの少なくとも1つが、それぞれの基準値と比較して低い場合、レビー小体型認知症であると判定する。その判定に基づいて当該被験者がレビー小体型認知症であると診断することができる。

【0024】
本発明の実施形態に係る、レビー小体型認知症の治療剤の候補物質の治療効果を期待できる患者を選択する方法は、被験者を対象に行う。被験者は、レビー小体型認知症と診断されたヒト患者であることが好ましい。上記方法は、まず、被験者の血液中のデスモステロールレベル及びコレステロールレベルを測定し、基準値と比較することで判定を行う。すなわち、被験者のデスモステロールレベル及びコレステロールレベルの少なくとも1つが、それぞれの基準値と比較して低い場合、レビー小体型認知症の治療剤の候補物質を投与すべき患者であるとの指標が提供される。提供された指標に基づいて、レビー小体型認知症の治療剤の候補物質を投与すべき患者、すなわち治療効果を期待できる患者を選択することができる。

【0025】
本発明の実施形態に係る、レビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症を区別する方法は、被験者を対象に行う。被験者は、レビー小体型認知症、アルツハイマー病又は前頭側頭葉変性症が疑われるヒト患者であることが好ましい。上記方法は、まず、被験者の血液中のデスモステロールレベル及びコレステロールレベルを測定し、コレステロールレベルを基準値と比較することで判定を行う。すなわち、被験者の血液中のコレステロールレベルが基準値と比較して低い場合、当該被験者はアルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症ではなく、レビー小体型認知症である可能性があるとの指標が提供される。提供された指標に基づいて、レビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症を区別することができる。

【0026】
別の実施形態では、レビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症を区別する方法は、まず、被験者の血液中のデスモステロールレベル及びコレステロールレベルを測定し、デスモステロールレベル及びコレステロールレベルに対するデスモステロールレベルの比をそれぞれの基準値と比較することで判定を行う。すなわち、被験者の血液中のデスモステロールレベルが基準値と比較して低く、且つ、コレステロールレベルに対するデスモステロールレベルの比が、基準値と比較して差がない場合、当該被験者はアルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症ではなく、レビー小体型認知症である可能性があるとの指標が提供される。提供された指標に基づいて、レビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症を区別することができる。

【0027】
また、別の実施形態では、レビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症を区別する方法は、まず、被験者の血液中のデスモステロールレベル及びコレステロールレベルを測定し、基準値と比較することで判定を行う。すなわち、被験者の血液中のデスモステロールレベルが基準値と比較して低い場合、当該被験者は前頭側頭葉変性症ではなく、レビー小体型認知症又はアルツハイマー病である可能性があるとの指標が提供される。提供された指標に基づいて、レビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症を区別することができる。

【0028】
さらに、別の実施形態では、レビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症を区別する方法は、まず、被験者の血液中のデスモステロールレベル及びコレステロールレベルを測定し、基準値と比較することで判定を行う。すなわち、被験者の血液中のデスモステロールレベルが基準値と比較して低く、且つ、コレステロールレベルに対するデスモステロールレベルの比が基準値と比較して差がない場合、当該被験者はレビー小体型認知症及び前頭側頭葉変性症ではなく、アルツハイマー病である可能性があるとの指標が提供される。提供された指標に基づいて、レビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症を区別することができる。

【0029】
本発明の実施形態に係る、レビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症を区別する方法は、上記指標を2以上組み合わせてよい。例えば、被験者の血液中のコレステロールレベルが基準値と比較して低い場合に提供される、当該被験者はアルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症ではなく、レビー小体型認知症である可能性があるとの指標と、被験者の血液中のデスモステロールレベルが基準値と比較して低く、且つ、コレステロールレベルに対するデスモステロールレベルの比が、基準値と比較して差がない場合に提供される、当該被験者はアルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症ではなく、レビー小体型認知症である可能性があるとの指標とを組み合わせることができる。また例えば、これらの指標に加え、被験者の血液中のデスモステロールレベルが基準値と比較して低い場合に提供される、当該被験者は前頭側頭葉変性症ではなく、レビー小体型認知症又はアルツハイマー病である可能性があるとの指標と、被験者の血液中のデスモステロールレベルが基準値と比較して低く、且つ、コレステロールレベルに対するデスモステロールレベルの比が基準値と比較して差がない場合に提供される、当該被験者はレビー小体型認知症及び前頭側頭葉変性症ではなく、アルツハイマー病である可能性があるとの指標を、さらに組み合わせることもできる。

【0030】
本発明の実施形態に係る、血液中のコレステロールレベル及びデスモステロールレベルは、液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)により測定することができる。より詳細には、実施例に記載した条件で測定することができる。

【0031】
また、血液中のコレステロールレベル及びデスモステロールレベルは、Enzyme-Linked lmmunoSorbent Assay法(ELISA)やガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC-MS)でも測定することができる。

【0032】
血液中のコレステロールレベル及びデスモステロールレベルは、全血中のレベル、血清中のレベル又は血漿中のレベルであり、好ましくは血清中のレベル又は血漿中のレベルであり、より好ましくは血漿中のレベルである。

【0033】
上記方法において、血液中のコレステロールレベル及びデスモステロールレベルをバイオマーカーとして用いてもよく、コレステロールレベル及びデスモステロールレベルの相互の比をバイオマーカーとして用いてもよい。

【0034】
高齢健常者は、年齢が65歳以上であり、且つレビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症の症状を呈していない成人である。

【0035】
バイオマーカーの基準値は、高齢健常者のレベルとレビー小体型認知症、アルツハイマー病又は前頭側頭葉変性症と確定診断された患者のレベルを参照することにより導き出すことができる。

【0036】
バイオマーカーの基準値は、高齢健常者又はレビー小体型認知症、アルツハイマー病若しくは前頭側頭葉変性症と確定診断された患者の値を参照することにより導き出すことができる。バイオマーカーの基準値の具体例としては、特に限定されないが、高齢健常者又はレビー小体型認知症、アルツハイマー病若しくは前頭側頭葉変性症の患者のバイオマーカーの平均値、平均値±1標準偏差、平均値±2標準偏差、又は、平均値±3標準偏差が挙げられる。

【0037】
さらに、バイオマーカーの基準値のその他の具体例として、高齢健常者及びレビー小体型認知症、高齢健常者及びアルツハイマー病、又は、高齢健常者及び前頭側頭葉変性症に関する受信者動作特性曲線(Receiver Operating Characteristic Curve:ROCC)から求めたカットオフ値(Akobeng,A.K.,Acta Paediatr.(2007)96,644-647)などが挙げられる。

【0038】
受信者動作特性曲線は、Y軸に感度(sensitivity)、X軸に1-特異性(specificity)を使用してグラフ化する。感度を最大化すると、受信者動作特性曲線のY値が最大化する。特異性を最大化すると、対応して受信者動作特性曲線のX値が最小化する。そのため、カットオフ値の第一候補としては受信者動作特性曲線の左上隅に最も近いY上のポイントの値が適していることになる。しかしながら、カットオフ値を基準値として用いる場合も、レビー小体型認知症、アルツハイマー病又は前頭側頭葉変性症患者の見逃しを少なくするか、あるいはレビー小体型認知症、アルツハイマー病又は前頭側頭葉変性症患者の可能性の少ないものを除去するかによって基準値の設定が異なる。例えば、レビー小体型認知症、アルツハイマー病又は前頭側頭葉変性症患者の見逃しを少なくするためには、特異性よりも感度を最大にする(偽陰性を最小にする)ことが重要になり、この場合、受信者動作特性曲線上で適切なカットオフ値は左上隅付近から右上隅に移る。一方、レビー小体型認知症、アルツハイマー病又は前頭側頭葉変性症患者の可能性の少ないものを除去するためには、特異性を最大にする(偽陽性を最少にする)ことが重要になり、この場合、受信者動作特性曲線上の適切なカットオフ値は左下隅に移ることになる。

【0039】
上述したように、基準値は特に限定されないが、高齢健常者の値とアルツハイマー病、前頭側頭葉変性症又はレビー小体型認知症と確定診断された患者の値を参照することにより導き出すことができる。
【実施例】
【0040】
実施例1:高齢健常者、レビー小体型認知症、アルツハイマー病又は前頭側頭葉変性症患者における血液中のコレステロールレベル及びデスモステロールレベルの測定
(1)測定サンプル
高齢健常者30例、アルツハイマー病患者118例、前頭側頭葉変性症患者48例及びレビー小体型認知症患者12例の血漿を測定に用いた。
(2)コレステロールレベル及びデスモステロールレベルの測定
高齢健常者、レビー小体型認知症、アルツハイマー病又は前頭側頭葉変性症患者の血漿25μLに、内部標準として200μg/mLのコレステロール-d7(関東化学株式会社)を100μL及び200ng/mLのデスモステロール-d6(Avanti Polar Lipids,Inc.)を100μL添加し、さらに50%水酸化カリウム水溶液を100μL添加し、70℃にて60分インキユベー卜した。その後、液液抽出法又は固相抽出法にて、目的物を濃縮し、液体クロマトグラフィー/大気圧化学イオン化質量分析(LC/APCI-MS)を行った。液液抽出法では、インキュベート後のサンプル(溶液)にヘキサン2mLとリン酸緩衝生理食塩水(pH6.8)0.5mLを添加し、撹拌、遠心分離後、ヘキサン層を取り出した。この抽出操作を2回繰り返した。得られたヘキサン層をまとめ、窒素ガスにて溶媒を蒸発乾固後、ペレットをエタノールに溶解させた。固相抽出法では、インキュベート後のサンプル(溶液)をC18の固相抽出カートリッジに通過させた後、45%エタノールにて洗浄し、100μLのエタノールにて目的物を溶出させた。
LC/APCI-MSの装置は、オートサンプラーSIL-20AC、カラムオーブンCTO-20AC及び四電極型質量分析計LCMS-2010EVを備えたLC-20ADシステム(島津製作所製)を使用した。カラムとしてYMC-PackProC18RScolumn(内径4.6mm、長さ250mm、YMC社製)又はKinetex 2.6 XB-C18(内径3.0mm、長さ150mm、島津製作所製)を用い、カラム温度を50℃又は40℃とした。YMC-PackProC18RSによる分析の際には、移動相として水とメタノールの混合溶媒(流速1mL/分)を用いた。より詳細には、溶媒A(水:メタノール=50:50)及び溶媒B(メタノール)を使用し、0-45分を85%Bとし、45-55分を100%Bとし、55-70分を85%Bとした。Kinetex 2.6 XB-C18による分析の際には、移動相として水、アセトニトリル及びメタノールの混合溶媒(流速0.9mL/分)を用いた。より詳細には、溶媒A(水:アセトニトリル=50:50)及び溶媒B(メタノール:アセトニトリル=50:50)を使用し、0-20分を70%Bとし、20.1-22分を100%Bとし、22.1-32分を70%Bとした。
MS分析は、モニタリングイオンとして、m/z369.3(コレステロール)、376.3(コレステロール-d7)、367.3(デスモステロール)、及び373.3(デスモステロール-d6)を用いるSelective Ion Monitoring(SIM)モードで実施した。各サンプルの濃度は、測定対象物の検量線を基に算出した。
(3)統計解析
血漿中のコレステロールレベル、デスモステロールレベル又はデスモステロールレベルとコレステロールレベルの比に関して、高齢健常者の平均値に対するレビー小体型認知症、アルツハイマー病又は前頭側頭葉変性症患者の平均値について、統計的有意差をTukey's multiple comparisons testで解析した。結果を表1に示す。
(4)受信者動作特性曲線
高齢健常者、レビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症患者のコレステロールレベル、デスモステロールレベル及びデスモステロールレベルとコレステロールレベルの比に関する診断精度について、受信者動作特性曲線を用いて評価した。コレステロールレベル、デスモステロールレベル、デスモステロールレベルとコレステロールレベルの比の受信者動作特性曲線はRの基本パッケージ受信者動作特性を利用して作成した。図1に、高齢健常者及びレビー小体型認知症患者における、血漿中のコレステロールレベルに関する受信者動作特性曲線を示す。図2に、アルツハイマー病患者及びレビー小体型認知症患者における、血漿中のコレステロールレベルに関する受信者動作特性曲線を示す。また、図3に、前頭側頭葉変性症患者及びレビー小体型認知症患者における、血漿中のコレステロールレベルに関する受信者動作特性曲線を示す。
【実施例】
【0041】
【表1】
JP2016143703A1_000002t.gif
データは、平均値±標準偏差で示した。
**:高齢健常者のレベルと比較して統計的に有意差あり(P=0.01)
n.s.:高齢健常者のレベルと比較して統計的に有意差なし
AD:アルツハイマー病患者
DLB:レビー小体型認知症患者
FTLD:前頭側頭葉変性症患者
DES:デスモステロールレベル
CHO:コレステロールレベル
DES/CHO:コレステロールレベルに対するデスモステロールレベルの比
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2