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明細書 :光学活性化合物の製造方法及びそれに触媒として用いられるトリアゾリウム塩

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年4月19日(2018.4.19)
発明の名称または考案の名称 光学活性化合物の製造方法及びそれに触媒として用いられるトリアゾリウム塩
国際特許分類 C07C 303/40        (2006.01)
C07C 311/18        (2006.01)
C07C 255/24        (2006.01)
C07C 253/30        (2006.01)
C07D 249/06        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 303/40
C07C 311/18 CSP
C07C 255/24
C07C 253/30
C07D 249/06
C07B 61/00 300
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 28
出願番号 特願2017-527462 (P2017-527462)
国際出願番号 PCT/JP2016/069888
国際公開番号 WO2017/006929
国際出願日 平成28年7月5日(2016.7.5)
国際公開日 平成29年1月12日(2017.1.12)
優先権出願番号 2015135120
優先日 平成27年7月6日(2015.7.6)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】大井 貴史
【氏名】大松 亨介
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4H006
4H039
Fターム 4H006AA01
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC54
4H006BA51
4H006BB11
4H006BB12
4H006QN08
4H006QN30
4H039CA70
4H039CF40
要約 JP2017006929A1_000041t.gif
[式中、R5及びR8~R10は同一又は異なって、置換されていてもよいアリール基を示す。R6は置換されていてもよい第一級アルキル基を示す。R7は置換されていてもよい脂肪族アルキル基、又は置換されていてもよいシクロアルキル基を示す。X1はハロゲン原子又は1価のアニオンを示す。]
で表されるトリアゾリウム塩の存在下に、
JP2017006929A1_000042t.gif
[式中、R1~R3は前記に同じである。]
で表される化合物と、シアン化金属とを反応させることで、光学活性α四置換αアミノニトリル誘導体又はその合成のための中間体を、簡便に、収率及び立体選択性よく得ることができる。
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1):
【化1】
JP2017006929A1_000031t.gif
[式中、R1及びR2は異なり、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R3は有機基を示す。]
で表される光学活性化合物の製造方法であって、
一般式(2):
【化2】
JP2017006929A1_000032t.gif
[式中、R5及びR8~R10は同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R6は置換されていてもよい第一級アルキル基を示す。R7は置換されていてもよい脂肪族アルキル基、又は置換されていてもよいシクロアルキル基を示す。X1はハロゲン原子又は1価のアニオンを示す。]
で表されるトリアゾリウム塩の存在下に、
一般式(3):
【化3】
JP2017006929A1_000033t.gif
[式中、R1~R3は前記に同じである。]
で表される化合物と、
シアン化金属とを反応させる反応工程
を備える、製造方法。
【請求項2】
前記一般式(1)及び(3)におけるR1及びR2がいずれも、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記一般式(1)及び(3)におけるR1及びR2がいずれも、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいシクロアルキル基である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記シアン化金属がシアン化カリウムである、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記一般式(2)におけるR5及びR8~R10がいずれも、置換されていてもよいアリール基である、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記一般式(2)におけるR6が、アルコキシ基で置換された第一級アルキル基である、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記一般式(2)におけるR10が、ハロゲン化アルキル基で置換されたアリール基である、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
一般式(4):
【化4】
JP2017006929A1_000034t.gif
[式中、R1~R2は前記に同じである。Xはハロゲン原子を示す。]
で表される光学活性化合物の製造方法であって、
請求項1~7のいずれかに記載の製造方法で得られた光学活性化合物における-SO2R3基をアラルキル基に置換した後に、該アラルキル基を-NH3X基に置換する工程
を備える、製造方法。
【請求項9】
一般式(5):
【化5】
JP2017006929A1_000035t.gif
[式中、R1~R2は前記に同じである。]
で表される光学活性化合物の製造方法であって、
請求項8に記載の製造方法で得られた光学活性化合物を中和する工程
を備える、製造方法。
【請求項10】
一般式(2):
【化6】
JP2017006929A1_000036t.gif
[式中、R5及びR8~R10は同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R6は置換されていてもよい第一級アルキル基を示す。R7は置換されていてもよい脂肪族アルキル基、又は置換されていてもよいシクロアルキル基を示す。X1はハロゲン原子又は1価のアニオンを示す。]
で表されるトリアゾリウム塩からなるストレッカー反応用触媒。
【請求項11】
前記一般式(2)におけるR5及びR8~R10がいずれも、置換されていてもよいアリール基である、請求項10に記載の触媒。
【請求項12】
前記ストレッカー反応は、
一般式(3):
【化7】
JP2017006929A1_000037t.gif
[式中、R1及びR2は異なり、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R3は有機基を示す。]
で表される化合物と、
シアン化金属とを反応させて、
一般式(1):
【化8】
JP2017006929A1_000038t.gif
[式中、R1~R3は前記に同じである。]
で表される光学活性化合物を得る反応である、請求項10又は11に記載の触媒。
【請求項13】
前記一般式(1)及び(3)におけるR1及びR2がいずれも、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基である、請求項12に記載の触媒。
【請求項14】
一般式(2A):
【化9】
JP2017006929A1_000039t.gif
[式中、R5及びR8~R10は同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R6Aはアルコキシ基で置換された第一級アルキル基を示す。R7は置換されていてもよい脂肪族アルキル基を示す。X1はハロゲン原子又は1価のアニオンを示す。]
で表されるトリアゾリウム塩。
【請求項15】
前記一般式(2)におけるR5及びR8~R10がいずれも、置換されていてもよいアリール基である、請求項14に記載のトリアゾリウム塩。
【請求項16】
前記R10が、ハロゲン化アルキル基で置換されたアリール基である、請求項14又は15に記載のトリアゾリウム塩。
【請求項17】
一般式(1A):
【化10】
JP2017006929A1_000040t.gif
[式中、R1及びR2は異なり、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R3Aはジアルキルフェニル基を示す。]
で表される光学活性化合物。
【請求項18】
前記一般式(1A)におけるR1及びR2がいずれも、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基である、請求項17に記載の光学活性化合物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性化合物の製造方法及びそれに触媒として用いられるトリアゾリウム塩に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性α四置換αアミノニトリル誘導体及び光学活性α四置換αアミノ酸は、医農薬品合成の中間体に広く使用されている。α四置換αアミノニトリル誘導体及び光学活性α四置換αアミノ酸の合成方法としては、例えば、ケトイミンを用いたシアノ化反応(ストレッカー反応)を行う工程を使用した方法が知られている。しかしながら、ケトイミンは反応性が低く、また、シアノ化反応(ストレッカー反応)における立体化学の触媒的な制御が困難であり、収率及び立体選択率よく合成することは困難であった。このようなα四置換αアミノニトリル誘導体及び光学活性α四置換αアミノ酸の合成方法としては、光学活性な触媒の存在下、シアン化水素又はシリルシアニドを用いて反応を進行させる工程を使用した方法も知られている(例えば、非特許文献1~2等)。しかしながら、シアン化水素は揮発性が高く取扱いが困難であり、シリルシアニドは高価であった。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 10012.
【非特許文献2】J. Am. Chem. Soc., 2003, 125, 5634.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、光学活性α四置換αアミノニトリル誘導体又はその合成のための中間体を、簡便に、収率及び立体選択性よく得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意研究を行った。その結果、特定の1,2,3-トリアゾリウム塩触媒の存在下、安価で取扱いの容易なシアン化金属をシアノ源とし、特定のケトイミン誘導体と反応させることで、ケトイミン誘導体に対して直接シアノ化を引き起こすストレッカー反応を起こさせることができることを見出した。この方法により得られる光学活性化合物を使用することで、所望のα四置換αアミノニトリル誘導体を簡便に、且つ収率及び立体選択性よく得ることができる。本発明者らは、このような知見に基づき、さらに研究を重ね、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の構成を包含する。
【0006】
項1.一般式(1):
【0007】
【化1】
JP2017006929A1_000003t.gif

【0008】
[式中、R1及びR2は異なり、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R3は有機基を示す。]
で表される光学活性化合物の製造方法であって、
一般式(2):
【0009】
【化2】
JP2017006929A1_000004t.gif

【0010】
[式中、R5及びR8~R10は同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R6は置換されていてもよい第一級アルキル基を示す。R7は置換されていてもよい脂肪族アルキル基、又は置換されていてもよいシクロアルキル基を示す。X1はハロゲン原子又は1価のアニオンを示す。]
で表されるトリアゾリウム塩の存在下に、
一般式(3):
【0011】
【化3】
JP2017006929A1_000005t.gif

【0012】
[式中、R1~R3は前記に同じである。]
で表される化合物と、
シアン化金属とを反応させる反応工程
を備える、製造方法。
【0013】
項2.前記一般式(1)及び(3)におけるR1及びR2がいずれも、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基である、項1に記載の製造方法。
【0014】
項3.前記一般式(1)及び(3)におけるR1及びR2がいずれも、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいシクロアルキル基である、項1又は2に記載の製造方法。
【0015】
項4.前記シアン化金属がシアン化カリウムである、項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【0016】
項5.前記一般式(2)におけるR5及びR8~R10がいずれも、置換されていてもよいアリール基である、項1~4のいずれかに記載の製造方法。
【0017】
項6.前記一般式(2)におけるR6が、アルコキシ基で置換された第一級アルキル基である、項1~5のいずれかに記載の製造方法。
【0018】
項7.前記一般式(2)におけるR10が、ハロゲン化アルキル基で置換されたアリール基である、項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【0019】
項8.一般式(4):
【0020】
【化4】
JP2017006929A1_000006t.gif

【0021】
[式中、R1~R2は前記に同じである。Xはハロゲン原子を示す。]
で表される光学活性化合物の製造方法であって、
項1~7のいずれかに記載の製造方法で得られた光学活性化合物における-SO2R3基をアラルキル基に置換した後に、該アラルキル基を-NH3X基に置換する工程
を備える、製造方法。
【0022】
項9.一般式(5):
【0023】
【化5】
JP2017006929A1_000007t.gif

【0024】
[式中、R1~R2は前記に同じである。]
で表される光学活性化合物の製造方法であって、
項8に記載の製造方法で得られた光学活性化合物を中和する工程
を備える、製造方法。
【0025】
項10.一般式(2):
【0026】
【化6】
JP2017006929A1_000008t.gif

【0027】
[式中、R5及びR8~R10は同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R6は置換されていてもよい第一級アルキル基を示す。R7は置換されていてもよい脂肪族アルキル基、又は置換されていてもよいシクロアルキル基を示す。X1はハロゲン原子又は1価のアニオンを示す。]
で表されるトリアゾリウム塩からなるストレッカー反応用触媒。
【0028】
項11.前記一般式(2)におけるR5及びR8~R10がいずれも、置換されていてもよいアリール基である、項10に記載の触媒。
【0029】
項12.前記ストレッカー反応は、
一般式(3):
【0030】
【化7】
JP2017006929A1_000009t.gif

【0031】
[式中、R1及びR2は異なり、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R3は有機基を示す。]
で表される化合物と、
シアン化金属とを反応させて、
一般式(1):
【0032】
【化8】
JP2017006929A1_000010t.gif

【0033】
[式中、R1~R3は前記に同じである。]
で表される光学活性化合物を得る反応である、項10又は11に記載の触媒。
【0034】
項13.前記一般式(1)及び(3)におけるR1及びR2がいずれも、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基である、項12に記載の触媒。
【0035】
項14.一般式(2A):
【0036】
【化9】
JP2017006929A1_000011t.gif

【0037】
[式中、R5及びR8~R10は同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R6Aはアルコキシ基で置換された第一級アルキル基を示す。R7は置換されていてもよい脂肪族アルキル基を示す。X1はハロゲン原子又は1価のアニオンを示す。]
で表されるトリアゾリウム塩。
【0038】
項15.前記一般式(2)におけるR5及びR8~R10がいずれも、置換されていてもよいアリール基である、項14に記載のトリアゾリウム塩。
【0039】
項16.前記R10が、ハロゲン化アルキル基で置換されたアリール基である、項14又は15に記載のトリアゾリウム塩。
【0040】
項17.一般式(1A):
【0041】
【化10】
JP2017006929A1_000012t.gif

【0042】
[式中、R1及びR2は異なり、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R3Aはジアルキルフェニル基を示す。]
で表される光学活性化合物。
【0043】
項18.前記一般式(1A)におけるR1及びR2がいずれも、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基である、項17に記載の光学活性化合物。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、特定の1,2,3-トリアゾリウム塩触媒の存在下、安価で取扱いの容易なシアン化金属をシアノ源とし、特定のケトイミン誘導体と反応させることで、ケトイミン誘導体に対して直接シアノ化を引き起こすストレッカー反応を起こさせることができる。
【0045】
この反応は、効率よく進行し、様々な光学活性化合物を、一段階で立体選択的に合成することができる。
【0046】
また、この反応により得られる光学活性化合物を中間体として、医薬中間体として有用な所望のα四置換αアミノニトリル誘導体及びα四置換αアミノ酸を簡便に合成することも可能である。
【0047】
このようにして得られるα四置換αアミノニトリル誘導体のうち一部の化合物は新規化合物である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
1.光学活性化合物の製造方法
本発明においては、特定のトリアゾリウム塩の存在下に、特定のケトイミン誘導体と、シアン化金属とを効果的に反応させて、光学活性化合物を得ることができる。

【0049】
本発明においては、種々の基質化合物(ケトイミン誘導体)に対して、基質選択性広く、シアノ基を導入することができるため、様々な光学活性化合物を得ることも可能である。

【0050】
本発明においては、通常、溶媒中、特定のトリアゾリウム塩の存在下に、特定のケトイミン誘導体と、シアン化金属とを反応させて様々な光学活性化合物を得ることができる。

【0051】
(1-1)基質化合物
反応に供される基質としての化合物としては、特に制限されないが、例えば、一般式(3):

【0052】
【化11】
JP2017006929A1_000013t.gif

【0053】
[式中、R1及びR2は異なり、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R3は有機基を示す。]
で表される化合物(以下、「化合物(3)と言うこともある」)を採用できる。

【0054】
一般式(3)において、R1及びR2で示されるアルキル基としては、特に制限はなく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等の非環式脂肪族アルキル基(好ましくは炭素数1~10、特に炭素数3~6の非環式脂肪族アルキル基)等が挙げられる。なお、非環式脂肪族アルキル基を採用する場合、直鎖非環式脂肪族アルキル基を採用することもでき、分岐鎖非環式脂肪族アルキル基を採用することもできる。これらアルキル基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、後述のアルコキシ基、後述のアルケニル基、後述のアリール基、後述のアルコキシカルボニル基、後述のアリールオキシ基等の置換基を1~6個(特に1~3個)程度有することもできる。つまり、このような置換基を有するアルキル基は、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、メチルフェネチル基、ナフチルメチル基、メチルナフチルメチル基等のアラルキル基(好ましくは炭素数7~20、特に炭素数7~14のアラルキル基)等であってもよい。

【0055】
一般式(3)において、R1及びR2で示されるシクロアルキル基としては、特に制限はなく、例えば、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基(好ましくは炭素数3~10、特に炭素数5~8のシクロアルキル基等が挙げられる。これらシクロアルキル基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、後述のアルコキシ基、後述のアルケニル基、後述のアリール基、後述のアルコキシカルボニル基、後述のアリールオキシ基等の置換基を0~3個(特に1~3個)程度有することもできる。

【0056】
一般式(3)において、R1及びR2で示されるアルケニル基としては、特に制限はなく、例えば、ビニル基、アリル基等のアルケニル基(好ましくは炭素数2~11、特に炭素数4~7のアルケニル基)等が挙げられる。これらアルケニル基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、前記のアルキル基、後述のアルコキシ基、前記のアルケニル基、後述のアリール基、後述のアルコキシカルボニル基、後述のアリールオキシ基等の置換基を1~6個(特に1~3個)程度有することもできる。

【0057】
一般式(3)において、R1及びR2で示されるアリール基としては、特に制限はなく、例えば、フェニル基、トリル基(o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基)、キシリル基(o-キシリル基、m-キシリル基、p-キシリル基)、ナフチル基等が挙げられる。これらアリール基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、前記のアルキル基、後述のアルコキシ基、後述のアルケニル基、前記のアリール基、後述のアルコキシカルボニル基、後述のアリールオキシ基等の置換基を1~6個(特に1~3個)程度有することもできる。

【0058】
これらのR1及びR2のなかでも、収率、立体選択性等の観点から、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基等が好ましく、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基等がより好ましく、非置換非環式脂肪族アルキル基、非置換シクロアルキル基等がさらに好ましい。また、一般式(3)において、R1及びR2は異なるものとする。

【0059】
一般式(3)において、R3で示される有機基としては、特に制限されず、炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基)、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基等が挙げられる。

【0060】
一般式(3)において、R3で示される有機基としてのアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基及びアリール基としては、上記説明したものを採用できる。好ましい具体例も同様である。

【0061】
一般式(3)において、R3で示されるアルコキシ基としては、特に制限はなく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の非環式脂肪族アルコキシ基(好ましくは炭素数1~10、特に炭素数3~6の非環式脂肪族アルコキシ基)等が挙げられる。なお、非環式脂肪族アルコキシ基を採用する場合、非環式直鎖脂肪族アルコキシ基を採用することもでき、非環式分岐鎖脂肪族アルコキシ基を採用することもできる。これらアルコキシ基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、前記のアルキル基、前記のシクロアルキル基、前記のアルコキシ基、前記のアルケニル基、前記のアリール基、後述のアルコキシカルボニル基、後述のアリールオキシ基等の置換基を1~6個(特に1~3個)程度有することもできる。

【0062】
一般式(3)において、R3で示される有機基としてのアルコキシカルボニル基としては、特に制限はなく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基等の脂肪族アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~11、特に炭素数4~7の脂肪族アルコキシカルボニル基)等が挙げられる。なお、脂肪族アルコキシカルボニル基を採用する場合、直鎖脂肪族アルコキシカルボニル基を採用することもでき、分岐鎖脂肪族アルコキシカルボニル基を採用することもできる。これらアルコキシカルボニル基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、前記のアルキル基、前記のアルコキシ基、前記のアルケニル基、前記のアリール基、前記のアルコキシカルボニル基、後述のアリールオキシ基等の置換基を1~6個(特に1~3個)程度有することもできる。

【0063】
一般式(3)において、R3で示される有機基としてのアリールオキシ基としては、特に制限はなく、例えば、フェノキシ基、トリルオキシ基(o-トリルオキシ基、m-トリルオキシ基、p-トリルオキシ基)、キシリルオキシ基(o-キシリルオキシ基、m-キシリルオキシ基、p-キシリルオキシ基)、ナフチルオキシ基等が挙げられる。これらアリールオキシ基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、前記のアルキル基、前記のアルコキシ基、前記のアルケニル基、前記のアリール基、前記のアルコキシカルボニル基、前記のアリールオキシ基等の置換基を1~6個(特に1~3個)程度有することもできる。

【0064】
これらのR3のなかでも、収率、立体選択性等の観点から、置換されていてもよいアリール基が好ましく、置換アリール基がより好ましく、1~3個のアルキル基で置換されたアリール基がさらに好ましい。

【0065】
このような条件を満たす基質としての化合物(3)としては、例えば、

【0066】
【化12】
JP2017006929A1_000014t.gif

【0067】
等を使用することができ、

【0068】
【化13】
JP2017006929A1_000015t.gif

【0069】
等が好ましく、

【0070】
【化14】
JP2017006929A1_000016t.gif

【0071】
等がより好ましい。

【0072】
(1-2)シアン化金属
本発明においては、上記した基質化合物(化合物(3))にシアノ基を導入するため、シアン化金属を使用する。シアン化金属としては、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム等のシアン化アルカリ金属;シアン化カルシウム、シアン化マグネシウム等のシアン化アルカリ土類金属等が挙げられる。なかでも、収率、立体選択性等の観点から、シアン化アルカリ金属が好ましく、シアン化カリウムがより好ましい。本発明においては、シアン化水素のような取扱いが困難なシアノ化剤を使用せずともシアノ化反応を進行させることができる。

【0073】
シアン化金属の使用量は、特に制限されず、収率、立体選択性等の観点から、例えば、化合物(3)1モルに対し、通常、0.5~20モル程度が好ましく、1~10モル程度がより好ましい。

【0074】
(1-3)トリアゾリウム塩
本発明において、触媒として使用されるトリアゾリウム塩は、一般式(2):

【0075】
【化15】
JP2017006929A1_000017t.gif

【0076】
[式中、R5及びR8~R10は同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R6は置換されていてもよい第一級アルキル基を示す。R7は置換されていてもよい脂肪族アルキル基、又は置換されていてもよいシクロアルキル基を示す。X1はハロゲン原子又は1価のアニオンを示す。]
で表されるトリアゾリウム塩である(以下、「トリアゾリウム塩(2)」と言うこともある)。

【0077】
一般式(2)において、R5で示されるアルキル基及びアリール基としては、上記したものを採用することができる。置換基の種類及び数も同様である。なかでも、収率、立体選択性等の観点から、置換されていてもよいアリール基が好ましく、置換アリール基がより好ましく、1~6個、特に1~3個のハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、前記アリール基等で置換されたアリール基がさらに好ましい。具体的には、収率、立体選択性等の観点から、

【0078】
【化16】
JP2017006929A1_000018t.gif

【0079】
[式中、Phはフェニル基を示す。以下同様である。]
等が好ましい。

【0080】
一般式(2)において、R6で示される第一級アルキル基としては、特に制限されず、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基等の非環式脂肪族第一級アルキル基(好ましくは炭素数1~6、特に炭素数1~4の非環式脂肪族第一級アルキル基)等が挙げられる。これら第一級アルキル基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、前記のアルコキシ基、前記のアルケニル基、前記のアリール基、前記のアルコキシカルボニル基、前記のアリールオキシ基等の置換基を1~6個(特に1~3個)程度有することもできる。つまり、このような置換基を有する第一級アルキル基は、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、メチルフェネチル基、ナフチルメチル基、メチルナフチルメチル基等のアラルキル基等の芳香族第一級アルキル基(好ましくは炭素数7~20、特に炭素数7~14のアラルキル基等の芳香族第一級アルキル基)等も挙げられる。なお、非環式脂肪族第一級アルキル基を採用する場合、直鎖非環式脂肪族第一級アルキル基を採用することもでき、分岐鎖非環式第一級脂肪族アルキル基を採用することもできる。なかでも、収率、立体選択性等の観点から、置換されていてもよい芳香族第一級アルキル基が好ましく、置換されていてもよいアラルキル基がより好ましく、置換アラルキル基がさらに好ましく、1~3個のアルコキシ基等で置換されたアラルキル基が特に好ましい。

【0081】
一般式(2)において、R7で示されるシクロアルキル基としては、上記したものを採用することができる。置換基の種類及び数も同様である。

【0082】
一般式(2)において、R7で示される脂肪族アルキル基としては、特に制限されず、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等の非環式脂肪族アルキル基(好ましくは炭素数1~6、特に炭素数1~4の非環式脂肪族アルキル基)等が挙げられる。なお、非環式脂肪族アルキル基を採用する場合、直鎖非環式脂肪族アルキル基を採用することもでき、分岐鎖非環式脂肪族アルキル基を採用することもできる。これら脂肪族アルキル基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、前記のアルコキシ基、前記のアルケニル基、前記のアリール基、前記のアルコキシカルボニル基、前記のアリールオキシ基等の置換基を1~6個(特に1~3個)程度有することもできる。

【0083】
一般式(2)において、R8及びR9で示されるアルキル基及びアリール基としては、上記したものを採用することができる。置換基の種類及び数も同様である。なかでも、収率、立体選択性等の観点から、置換されていてもよいアリール基が好ましく、非置換アリール基又は1個の前記ハロゲン原子で置換されたアリール基がより好ましく、フェニル基又はクロロフェニル基がさらに好ましい。R8とR9は同一でもよいし、異なっていてもよい。

【0084】
一般式(2)において、R10で示されるアルキル基及びアリール基としては、上記したものを採用することができる。置換基の種類及び数も同様である。なかでも、収率、立体選択性等の観点から、置換されていてもよいアリール基が好ましく、非置換アリール基又は2個の前記アルキル基(好ましくはハロゲン化アルキル基、特にパーフルオロアルキル基)、前記アルコキシ基等で置換されたアリール基がより好ましく、フェニル基、ジメトキシフェニル基、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基がさらに好ましい。

【0085】
一般式(2)において、X1で示されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を採用し得る。

【0086】
一般式(2)において、X1で示される1価のアニオンとしては、フェノキシド、カルボキシラート、テトラフルオロホウ酸イオン等を採用し得る。

【0087】
なかでも、X1としては、収率、立体選択性等の観点から、ハロゲン原子が好ましく、塩素原子、臭素原子等がより好ましく、臭素原子がさらに好ましい。

【0088】
このような条件を満たすトリアゾリウム塩(2)としては、具体的には、

【0089】
【化17】
JP2017006929A1_000019t.gif

【0090】
[式中、Bnはベンジル基を示す。以下同様である。]
等が挙げられる。

【0091】
これらトリアゾリウム塩(2)は、公知又は市販の化合物を使用することもできるし、既報(J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 1307-1309.等)に記載の方法に準じて合成することもできる。

【0092】
トリアゾリウム塩(2)の使用量は、特に制限されず、収率、立体選択性等の観点から、例えば、化合物(3)1モルに対し、通常、0.002~0.1モル程度が好ましく、0.005~0.05モル程度がより好ましい。

【0093】
このようなトリアゾリウム塩(2)は、本発明の製造方法のみに限られず、ストレッカー反応用触媒として使用することができる。また、トリアゾリウム塩(2)のうち、一般式(2A):

【0094】
【化18】
JP2017006929A1_000020t.gif

【0095】
[式中、R5、R7~R10及びX1は前記に同じである。R6Aは前記アルコキシ基で置換された前記第一級アルキル基を示す。]
で表される化合物は文献未記載の新規化合物である。

【0096】
(1-4)他の添加物及び反応条件
溶媒としては、例えば、水;トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル;酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン等が挙げられる。これらは、1種のみを用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なかでも、収率、立体選択性等の観点から、水と芳香族炭化水素類との混合溶媒が好ましい。

【0097】
本発明において、水と芳香族炭化水素類との混合溶媒を採用する場合、その含有量比は、特に制限されず、収率、立体選択性等の観点から、体積比で、水:芳香族炭化水素類が1:5~100、特に1:10~50となるように調整することが好ましい。

【0098】
なお、本発明においては、塩基を使用せずとも反応を進行させることが可能である。

【0099】
本発明は、不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下で行うことが好ましく、反応温度は、通常、-78℃~室温(25℃)程度、好ましくは-70~20℃程度、より好ましくは-60~0℃程度、さらに好ましくは-50~-20℃程度である。反応時間は、反応が十分に進行する時間とすればよく、通常、10分~72時間程度、好ましくは1~48時間程度である。

【0100】
反応終了後は、必要に応じて通常の単離及び精製工程を経て、目的化合物を得ることができる。

【0101】
(1-5)生成物
このようにして得られる光学活性化合物は、一般式(1):

【0102】
【化19】
JP2017006929A1_000021t.gif

【0103】
[式中、R1~R3は前記に同じである。]
で表される化合物である。このうち、一般式(1A):

【0104】
【化20】
JP2017006929A1_000022t.gif

【0105】
[式中、R1~R2は前記に同じである。R3Aはジアルキルフェニル基(3,5-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基等のジメチルフェニル基;ジエチルフェニル基等)を示す。]
で表される化合物はいずれも文献未記載の新規化合物である。特に、後述の実施例で得られる光学活性化合物は、いずれも文献未記載の新規化合物であり、医農薬品合成の中間体に有用である。

【0106】
2.光学活性化合物を用いた製造方法
上記した本発明の製造方法により、光学活性化合物(1)を得た後、常法にしたがって、シアノ基をカルボキシ基に変換するとともに、-SO2R3基をアミノ基又は-NH3X基(Xは塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子)に変換することで、所望のアミノ酸を得ることもできる。例えば、J. Am. Chem. Soc., 2006, 128, 2548.等に記載のスルホニル基の除去、Org. Proc. Res. Dev., 2008, 12, 298.等に記載のニトリル基の加水分解等にしたがって、光学活性化合物(1)からアミノ酸を得ることができる。

【0107】
このようにして得られるアミノ酸は、一般式(4):

【0108】
【化21】
JP2017006929A1_000023t.gif

【0109】
[式中、R1~R2は前記に同じである。Xはハロゲン原子を示す。]
で表される光学活性化合物である。

【0110】
このようにして光学活性化合物(4)を得た後、常法にしたがって、中和することで、所望のアミノ酸を得ることもできる。

【0111】
このようにして得られるアミノ酸は、一般式(5):

【0112】
【化22】
JP2017006929A1_000024t.gif

【0113】
[式中、R1~R2は前記に同じである。]
で表される光学活性化合物である。
【実施例】
【0114】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【実施例】
【0115】
[合成例1:ケトイミン誘導体の合成]
【実施例】
【0116】
【化23】
JP2017006929A1_000025t.gif
【実施例】
【0117】
[式中、Meはメチル基を示す。t-Buはtert-ブチル基を示す。Etはエチル基を示す。Arは3,5-ジメチルフェニル基を示す。以下同様である。]
3,3-ジメチルブタン-2-オン(1.5 g, 15 mmol)及び3,5-ジメチルベンゼンスルホンアミド(1.4 g, 7.5 mmol)のトルエン(75 mL)溶液に、テトラエトキシチタン(Ti(OEt)4; 4.7 mL, 22.5 mmol)を、攪拌しながら添加した。反応混合物を還流下に加熱した。20時間還流した後、黄色混合物を室温まで冷却し、NaOH水溶液(0.5 M, 75 mL)をゆっくりと添加した。チタン酸化物の白色ゲルをセライトパッドでろ過して二層のろ液を得た。有機層を分離し、水層をジエチルエーテル(Et2O)で抽出した。合わせた有機抽出物をかん水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。減圧下にろ過及び濃縮を行い、目的物を黄色固体として得た(706 mg, 3.5 mmol, 47 %収率)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.58 (2H, s), 7.20 (1 H, s), 2.55 (3H, s), 2.39 (6H, s), 1.17 (9H, s)。
【実施例】
【0118】
[合成例2:トリアゾリウム塩の合成]
合成例2-1:トリアゾリウム塩1a・Brの合成
トリアゾリウム塩1a・Br:
【実施例】
【0119】
【化24】
JP2017006929A1_000026t.gif
【実施例】
【0120】
[式中、4-OMeC6H4は4-メトキシフェニル基を示す。3,5-CF3C6H3は3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル基を示す。以下同様である。]
を、既報(J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 1307-1309.)に記載の合成方法に準じて(原料の置換基等を変更すること等以外は同様の方法で)合成した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.4 (1H, brs), 9.88 (1H, brs), 8.77 (2H, s), 7.95-7.89 (4H, m), 7.71 (1H, t, J = 7.3 Hz), 7.53-7.50 (2H, m), 7.39 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.31-7.25 (3H, m), 7.11-7.08 (3H, m), 7.03 (2H, t, J = 7.3 Hz), 6.93 (2H, d, J = 6.8 Hz), 6.94-6.85 (2H, m), 6.70 (2H, d, J = 8.7 Hz), 6.51 (2H, d, J = 8.7 Hz), 4.85 (1H, d, J = 14.6 Hz), 4.79 (1H , d, J = 14.6 Hz), 3.77 (3H, s), 1.64 (3H, d, J = 7.2 Hz); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 165.0, 160.8, 142.9, 140.4, 139.2, 138.7, 135.8, 134.5, 132.7, 132.6, 131.7, 131.7 (q, JC-F = 33.9 Hz), 131.4, 130.6, 129.7, 129.4, 128.9, 128.8, 128.8, 128.5, 128.5, 128.3, 128.1, 127.6, 127.2, 125.2, 123.2 (q, JC-F = 277 Hz), 121.8, 120.3, 114.6, 69.9, 65.7, 55.5, 54.9, 15.7; 19F NMR δ -62.3 ppm; HRMS (ESI) Calcd for C46H37F6N4O2 ([M]+) 791.2815. Found 791.2806。
【実施例】
【0121】
合成例2-2:トリアゾリウム塩1b・Brの合成
トリアゾリウム塩1b・Br:
【実施例】
【0122】
【化25】
JP2017006929A1_000027t.gif

【実施例】
【0123】
を、既報(J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 1307-1309.)に記載の合成方法に準じて(原料の置換基等を変更すること等以外は同様の方法で)合成した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.47 (1H, s), 8.27 (2H, s), 8.08 (1H, dd, J = 7.8, 1.4 Hz), 8.01 (1H, s), 7.56 (2H, d, J = 7.3 Hz), 7.43 (1H, td, J = 7.3, 1.4 Hz), 7.39-7.32 (5H, m), 7.28-7.24 (3H, m), 7.19-7.17 (3H, m), 7.04-7.01 (2H, m), 6.97 (2H, d, J = 7.8 Hz), 5.79 (1H, q, J = 7.3 Hz), 5.54 (1H, s), 1.30 (3H, d, J = 7.3 Hz); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 162.7, 146.0, 141.7, 140.4, 139.3, 136.6, 134.5, 132.4 (q, JC-F = 34.2 Hz), 130.3, 129.1, 128.9, 128.9, 128.6, 128.4, 128.4, 128.3, 128.3, 128.2, 128.2, 127.9, 127.6 (q, JC-F = 4.2 Hz), 127.2, 125.4 (sept, JC-F = 3.7 Hz), 123.0 (q, JC-F = 272 Hz), 122.3, 68.4, 63.0, 15.9, one peak for aromatic carbon was not found probably due to overlapping; 19F NMR δ -62.8 ppm; HRMS (ESI) Calcd for C38H28F6N4O ([M+H]+) 671.2240. Found 671.2233。
【実施例】
【0124】
[実施例1:ケトイミン誘導体の不斉シアノ化]
実施例1-1
【実施例】
【0125】
【化26】
JP2017006929A1_000028t.gif
【実施例】
【0126】
試験管に合成例1で得たケトイミン誘導体2(267 mg, 1 mmol)及び合成例2-1で得たトリアゾリウム塩1a・Br(0.01 mmol, 8.7 mg)を入れ、トルエン(5 mL)に溶解させ、-40℃に冷却した。続いて、シアン化カリウム(130 mg, 2 mmol)と水(250μL)とを順次投入した後、-40℃のまま9時間激しく攪拌した。水(10 mL)を入れ、分液漏斗に移した後、酢酸エチル(10 mL×3)で抽出した。乾燥後、エバポレーターで溶媒を留去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(EtOAc)= 4: 1)で精製し、生成物3を得た(274 mg, 0.93 mmol, 99 %収率, 93 %エナンチオ選択率)。この結果は、後述の表1のentry 2に相当する。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.55 (2H, s), 7.23 (1H, s), 4.85 (1H, brs), 2.39 (6H, s), 1.59 (3H, s), 1.08 (9H, s)。
【実施例】
【0127】
実施例1-2
基質化合物として種々の化合物を用い、触媒として合成例2-1~2-2で得たいずれかのトリアゾリウム塩を用いたこと以外は上記実施例1-1と同様の処理を行った。その結果、以下の表1に示す置換基を有する光学活性化合物が得られたことを確認した。結果を表1に示す。
【実施例】
【0128】
【表1】
JP2017006929A1_000029t.gif
【実施例】
【0129】
entry 1: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.54 (2H, s), 7.22 (1H, s), 4.85 (1H, brs), 2.39 (6H, s), 1.93-1.81 (4H, m), 1.73-1.65 (2H, m), 1.60-1.56 (1H, m), 1.58 (3H, s), 1.29-1.04 (5H, m)。
entry 3: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.55 (2H, s), 7.23 (1H, s), 4.98 (1H, brs), 2.39 (6H, s), 1.68-1.61 (1H, m), 1.58 (3H, s), 1.56-1.50 (1H, m), 1.39-1.25 (3H, m), 1.00 (3H, t, J = 7.3 Hz), 0.97 (3H, t, J = 7.3 Hz)。
entry 4: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.55 (2H, s), 7.22 (1H, s), 4.86 (1H, brs), 2.39 (6H, s), 2.09 (3H, br), 1.74-1.61 (12H, m), 1.56 (3H, s)。
entry 5: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.55 (2H, s), 7.23 (1H, s), 4.89 (1H, brs), 2.40 (6H, s), 1.93 (1H, dq, J = 14.1, 7.3 Hz), 1.87 (1H, dq, J = 14.1, 7.3 Hz), 1.63 (3H, s), 1.06 (3H, t, J = 7.3 Hz)。
entry 6: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.56 (2H, s), 7.21 (1H, s), 4.84 (1H, brs), 2.38 (6H, s), 2.06-1.98 (1H, m), 1.92-1.84 (1H, m), 1.83-1.76 (5H, m), 1.69-1.64 (1H, m), 1.25-1.08 (5H, m), 0.94 (3H, t, J = 7.3 Hz)。
entry 7: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.40 (2H, d, J = 7.3 Hz), 7.32 (1H, s), 7.28-7.24 (2H, m), 7.21 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.15 (1H, d, J = 7.8 Hz), 5.19 (1H, brs), 2.60 (3H, s), 2.21 (3H, s), 1.93 (3H, s)。
entry 8: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.65 (1H, dd, J = 5.5, 3.4 Hz), 7.24-7.21 (4H, m), 7.15 (1H, d, J = 7.8 Hz), 6.93 (1H, dd, J = 5.5, 3.4 Hz), 5.08 (1H, brs), 2.58 (3H, s), 2.25 (3H, s), 2.21 (3H, s), 2.14 (3H, s)。
【実施例】
【0130】
[実施例2:ケトイミン誘導体の不斉シアノ化]
【実施例】
【0131】
【化27】
JP2017006929A1_000030t.gif
【実施例】
【0132】
[式中、TFAはトリフルオロ酢酸を示す。BzClは塩化ベンゾイルを示す。DCMはジクロロメタンを示す。]
試験管に実施例1-1で得た化合物3(29.4 mg, 0.1 mmol)、トリフルオロ酢酸(0.9 mL)、チオアニソール(0.1 mL)及びメタンスルホン酸(10μL)を投入し、室温で10時間攪拌した。反応後、エバポレーターで濃縮し、粗生成物が入った試験管にジクロロメタン(0.5 mL)、水(0.5 mL)及び炭酸カリウム(55.3 mg, 0.4 mmol)を投入し、塩化ベンゾイル(20μL, 0.15 mmol)を滴下した。室温で18時間攪拌した後、水(10 mL)を加え、酢酸エチル(10 mL×3)で抽出した。乾燥後、エバポレーターで溶媒を留去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(EtOAc)= 4: 1)で精製し、生成物4を得た(16.4 mg, 0.071 mmol)。
【実施例】
【0133】
ナスフラスコに得られた化合物4(16.4 mg, 0.071 mmol)及び6 N塩酸(1 mL)を入れ、還流管を接続し、120℃のオイルバスで24時間加熱した。室温まで冷却した後、ジエチルエーテル(5 mL×2)を用いて分液し、有機化合物を水相から除去した。その後、水溶液をエバポレーターで濃縮し、生成物5を得た(12.9 mg, 0.071 mmol)。
1H NMR (400 MHz, D2O) δ 1.53 (3H, s), 1.08 (9H, s); 13C NMR (125 MHz, D2O) δ 174.8, 67.4, 36.0, 25.4, 18.5; HRMS (ESI) Calcd for C7H16NO2 ([M-Cl]+) 146.1175. Found 146.1176。