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明細書 :トリフルオロメチル置換セミスクアレートの製造方法、トリフルオロメチル置換セミスクアレートを起点とするトリフルオロメチル化合物の製造方法及びトリフルオロメチル基含有化合物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年3月29日(2018.3.29)
発明の名称または考案の名称 トリフルオロメチル置換セミスクアレートの製造方法、トリフルオロメチル置換セミスクアレートを起点とするトリフルオロメチル化合物の製造方法及びトリフルオロメチル基含有化合物
国際特許分類 C07C  45/68        (2006.01)
C07C  50/32        (2006.01)
C07C  46/00        (2006.01)
C07C  49/753       (2006.01)
C07C  50/34        (2006.01)
C07C  50/28        (2006.01)
C07C  69/157       (2006.01)
C07C  69/145       (2006.01)
C07C 225/20        (2006.01)
C07C 221/00        (2006.01)
C07C  49/84        (2006.01)
C07C  69/738       (2006.01)
C07C  67/00        (2006.01)
C07C  67/14        (2006.01)
C07C  67/293       (2006.01)
C07D 307/60        (2006.01)
C07D 307/62        (2006.01)
C07D 307/86        (2006.01)
C07D 307/91        (2006.01)
C07D 333/54        (2006.01)
C07D 333/76        (2006.01)
C07D 209/88        (2006.01)
C07D 471/04        (2006.01)
C07D 455/02        (2006.01)
C07D 513/04        (2006.01)
C07D 405/04        (2006.01)
C07D 407/04        (2006.01)
C07D 409/04        (2006.01)
FI C07C 45/68
C07C 50/32 CSP
C07C 46/00
C07C 49/753 B
C07C 50/34
C07C 50/28
C07C 69/157
C07C 69/145
C07C 225/20
C07C 221/00
C07C 49/84 B
C07C 69/738 Z
C07C 67/00
C07C 67/14
C07C 67/293
C07D 307/60 Z
C07D 307/62
C07D 307/86
C07D 307/91
C07D 333/54
C07D 333/76
C07D 209/88
C07D 471/04 108E
C07D 455/02
C07D 513/04 345
C07D 405/04
C07D 407/04
C07D 409/04
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 93
出願番号 特願2017-523658 (P2017-523658)
国際出願番号 PCT/JP2016/066988
国際公開番号 WO2016/199789
国際出願日 平成28年6月8日(2016.6.8)
国際公開日 平成28年12月15日(2016.12.15)
優先権出願番号 2015116151
2015150175
優先日 平成27年6月8日(2015.6.8)
平成27年7月29日(2015.7.29)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】山本 芳彦
【氏名】黒原 崇
【氏名】澁谷 正俊
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100167689、【弁理士】、【氏名又は名称】松本 征二
審査請求 未請求
テーマコード 4C037
4C063
4C064
4C065
4C072
4C204
4H006
Fターム 4C037KA09
4C037LA10
4C037QA14
4C037SA04
4C063AA01
4C063BB01
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4C063CC94
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4H006AA02
4H006AB84
4H006BM10
4H006BM71
4H006BN20
4H006BP10
4H006BP20
4H006BR30
4H006BR70
4H006BR80
4H006BS10
4H006BU42
4H006KA14
4H006KA30
要約 多様な機能性トリフルオロメチル化合物を製造するために、トリフルオロメチル置換セミスクアレートを短工程かつ効率的に合成することを課題とする。スクアレートを出発原料として、トリフルオロメチル化反応、アリルアルコール転移反応の2工程でトリフルオロメチル置換セミスクアレートを合成する方法を開発した。さらに、トリフルオロメチル置換セミスクアレートを起点として様々な機能性トリフルオロメチル化合物の製造方法を確立した。
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物を出発原料として、
【化1】
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(式中Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基である。)
付加反応工程、
及び環拡大工程によってトリフルオロメチル基が導入された化合物を製造する方法。
【請求項2】
前記トリフルオロメチル基が導入された化合物が、
キノン化合物である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
トリフルオロメチル基が導入されたキノン化合物が、
下記一般式(4)又は(5)で表される化合物である請求項2記載の製造方法。
【化2】
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(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基、エステル基から選択され、R~Rのうち任意の2つの隣接する置換基は縮環ベンゼンを形成してもよい。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)
【化3】
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(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基から選択される。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)
【請求項4】
前記トリフルオロメチル基が導入された化合物が、
複素環縮環化合物である請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
トリフルオロメチル基が導入された複素環縮環化合物が、
下記一般式(6)又は(7)で表される化合物である請求項4記載の製造方法。
【化4】
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(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基から選択され、R、Rは結合して縮環ベンゼンを形成してもよい。XはO、S、NPであり、Pは、カルバメート、スルホンアミドである。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)
【化5】
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(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。XはCH=CH、S、NCHである。)
【請求項6】
前記トリフルオロメチル基が導入された化合物が、
ヒドロキノン化合物である請求項1記載の製造方法。
【請求項7】
トリフルオロメチル基が導入されたヒドロキノン化合物が、
下記一般式(8)~(10)のいずれかで表される化合物である請求項6記載の製造方法。
【化6】
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(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R、R10、R11、R12はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基、エステル基から選択され、R~R12のうち任意の2つの隣接する置換基は縮環ベンゼンを形成してもよい。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)
【化7】
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(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R13、R14はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基から選択される。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)
【化8】
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(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R15、R16はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基から選択され、R15、R16は結合して縮環ベンゼンを形成してもよい。XはO、S、NPであり、Pは、カルバメート、スルホンアミドである。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)
【請求項8】
前記トリフルオロメチル基が導入された化合物が、
ブテノリド化合物である請求項1記載の製造方法。
【請求項9】
トリフルオロメチル基が導入されたブテノリド化合物が、
下記一般式(10-1)、(10-2)で表される化合物である請求項8記載の製造方法。
【化9】
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(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R17、R18、R19、R20はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基、エステル基から選択され、R17~R20のうち任意の2つの隣接する置換基は縮環ベンゼンを形成してもよい。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)
【化10】
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(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R21、R22はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基から選択され、R21、R22は結合して縮環ベンゼンを形成してもよい。XはO、S、NPであり、Pは、カルバメート、スルホンアミドである。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)
【請求項10】
前記トリフルオロメチル基が導入された化合物が、
四員環化合物である請求項1記載の製造方法。
【請求項11】
トリフルオロメチル基が導入された四員環化合物が、
下記一般式(10-3c)、(10-3d)で表される化合物である請求項10記載の製造方法。
【化11】
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(式中、R23、R24はそれぞれ独立して、C1~C6直鎖状、分岐状、環状のアルキル基またはフェニル基から選択される。)
【化12】
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(式中、R25、R26はそれぞれ独立して、C1~C6直鎖状、分岐状、環状のアルキル基またはフェニル基から選択される。)
【請求項12】
前記トリフルオロメチル基が導入された化合物が、
ビシクロ環化合物である請求項1記載の製造方法。
【請求項13】
トリフルオロメチル基が導入されたビシクロ環化合物が、
下記一般式(37-1)で表される化合物である請求項12記載の製造方法。
【化13】
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(式中、R27、R28はそれぞれ独立して、C1~C6直鎖状、分岐状、環状のアルキル基またはフェニル基から選択され、R27、R28で環構造を形成してもよい。)
【請求項14】
前記トリフルオロメチル基が導入された化合物が、
アミノシクロペンテンジオン化合物である請求項1記載の製造方法。
【請求項15】
トリフルオロメチル基が導入されたアミノシクロペンテンジオン化合物が、
下記一般式(10-4)で表される化合物である請求項14記載の製造方法。
【化14】
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(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R29はC1~C8のアルキル基で、直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。R30はt-ブチル基または1,1,3,3-テトラメチルブチル基から選択される。)
【請求項16】
下記一般式(1)で表されるトリフルオロメチル置換セミスクアレートの製造方法であって、
【化15】
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下記一般式(3)で表されるスクアレートをトリフルオロメチル化する工程により、
【化16】
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下記一般式(2)で表される化合物を製造し、
【化17】
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アリルアルコール転移反応を行う工程により合成することを特徴とする製造方法。
(式中Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基であり、異なる基であっても、同一の基であってもよい。)
【請求項17】
下記一般式(1)で表されるトリフルオロメチル置換セミスクアレートの製造方法であって、
【化18】
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(式中Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基である。)
下記一般式(2)で表される化合物を
【化19】
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アリルアルコール転移反応を行なう工程により合成することを特徴とする製造方法。
(式中Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基であり、異なる基であっても、同一の基であってもよい。)
【請求項18】
請求項16又は17記載のトリフルオロメチル置換セミスクアレートの製造方法であって、
アリルアルコール転移反応を行なう工程が、
Re又はPhSiReOを触媒として用いる反応であることを特徴とする製造方法。
【請求項19】
下記一般式(2)で表される化合物の製造方法であって、
【化20】
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下記一般式(3)で表されるスクアレートを
【化21】
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トリフルオロメチル化する工程により合成することを特徴とする製造方法。
(式中Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基であり、異なる基であっても、同一の基であってもよい。)
【請求項20】
請求項16又は19記載の製造方法であって、
前記トリフルオロメチル化する工程が、
CFMeSiを有機ケイ素試薬として用いてシリルトリフルオロメチル化反応をする工程と、
脱シリル化工程からなることを特徴とする製造方法。
【請求項21】
下記一般式(1)で表される化合物。
【化22】
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(式中Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基である。)
【請求項22】
下記一般式(2)の化合物。
【化23】
JP2016199789A1_000183t.gif
(式中Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基であり、異なる基であっても、同一の基であってもよい。)
【請求項23】
下記式(12)~(52)、(17-1)、(10-3a)、(10-3b)で表されるトリフルオロメチル化合物。
【化24】
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発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
トリフルオロメチル置換セミスクアレートを合成する新規の手法、及び該化合物を起点として多様な機能性トリフルオロメチル化合物を合成する方法、及びトリフルオロメチル基含有化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
含フッ素化合物は、強固な炭素-フッ素結合のため高い化学的安定性を有することが知られており、医薬品をはじめ、機能材料、農薬などの領域において利用されている。特に、医薬品においては、1950年代にFludrocortisoneが、Cortisone と比較して10倍高い抗炎症作用を有することが見出されて以来(非特許文献1、2)、多数の化合物が合成されており、現在でも化学療法に使用されている5-フルオロウラシル等、含フッ素医薬品の開発が進んでいる(非特許文献3、4)。
【0003】
医薬品では、フッ素を導入することによって、極性効果、ミミック効果、ブロック効果、疎水性増強効果と呼ばれる効果がもたらされることが知られている(非特許文献5、6)。極性効果とは、フッ素の強い電気陰性度による影響で酸化反応などの求電子反応に耐性を持つことや、より強いタンパク質との相互作用を獲得する効果である。ミミック効果とは、フッ素原子が水素の次に半径の小さな原子であることから、生体内でこれらが識別されずに類似した挙動を示す効果である。ブロック効果とは、フッ素の電子軌道の広がりが炭素に近いため、炭素-フッ素結合が強固になるため、置換反応や還元、生体内における酸化的代謝を抑制し、安定となる効果である。また、疎水性増強効果とは親油性を獲得することで、生体内での吸収、輸送などに変動を与える効果である。さらに、これらの複合的な効果としての薬効持続効果や薬物吸収増強効果作用、選択性の向上がフッ素の効果として知られている。これら高い効果を備えることから、含フッ素医薬品は、市販されている医薬品の14%にまで増加している。
【0004】
含フッ素化合物が、上記のような効果を有することから、医薬品等の開発において、有機フッ素化合物の合成が大きな役割を果たすようになってきている。中でも、芳香族トリフルオロメチル化合物(Ar-CF)は多くの医薬品に利用されている。
【0005】
現在、トリフルオロメチル基導入は、図2に示すように大きく分けて二つの方法により行なわれている。トリフルオロ酢酸やベンゾトリフルオリド誘導体の様な、トリフルオロメチル基を有する化合物を用い、目的構造体の合成を目指すビルディングブロック法(非特許文献3、4、7~11)、及びトリフルオロメチル単位を直接分子骨格に導入する直接トリフルオロメチル化法(非特許文献12~21、特許文献1)である。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】米国特許第3408411号明細書
【0007】

【非特許文献1】J. Fried & F. E. Sabo, 1953,J. Am. Chem. Soc., Vol. 75, pp. 2273-2274.
【非特許文献2】J. Fried, & F. E. Sabo, 1954,J. Am. Chem. Soc., Vol. 76, pp. 1455-1456.
【非特許文献3】J. Wang, et al., 2014, Chem.Rev., Vol. 114, pp. 2432-2506.
【非特許文献4】S. Purser, et al., 2008, Chem.Soc. Rev., Vol. 37, pp. 320-330.
【非特許文献5】M, Shimizu, & T. Hiyama,2005, Angew. Chem. Int. Ed., Vol. 44, pp. 214-231.
【非特許文献6】北 泰行, 平岡 哲夫 編, 創薬化学 ‐有機合成からのアプローチ‐,東京化学同人, 第3刷2008年3月31日発行
【非特許文献7】J.-P. Begue, et al., 2005,Chem. Soc. Rev., Vol. 34, pp. 562-572.
【非特許文献8】M. Schlosser, 2006, Angew.Chem. Int. Ed. Vol. 45, pp. 5432-5446.
【非特許文献9】K. Uneyama, et al., 2008, Acc.Chem. Res., Vol. 41, pp. 817-829.
【非特許文献10】J. Nie, et al., 2011, Chem. Rev., Vol. 111, pp. 455-529.
【非特許文献11】C. B. Kelly, et al., 2013, Chem. Commun., Vol. 49, pp. 11133-11148.
【非特許文献12】S. Roy, et al., 2011, Tetrahedron, Vol. 67, pp. 2161-2195.
【非特許文献13】O. A. Tomaschenko, & V. V. Grushin, 2011, Chem. Rev., Vol. 111, pp.4475-4521.
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【非特許文献16】Y. Ye, and M. S. Sanford,2012, Synlett, Vol. 23, pp. 2005-2013.
【非特許文献17】T. Liang, et al., 2013,Angew. Chem. Int. Ed., Vol. 52, pp. 8214-8264.
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【非特許文献22】T. Mukaiyama, et al., 2005,Chem. Lett., Vol. 34, pp. 88-89.
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【非特許文献24】B. L. H. Taylor,et al., 2012, Angew. Chem. Int. Ed., Vol. 51, pp. 7790-7793.
【非特許文献25】W. Dohle, et al., 2001, Org.Lett., Vol. 3, pp. 2871-2873.
【非特許文献26】P. Jiao,et al., 2009, Angew. Chem. Int. Ed., Vol. 48, pp. 3333-3336.
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【非特許文献31】T. Hayashi, et al., 1981,Synthesis, pp. 1001-1003.
【非特許文献32】N. M. Betterley, et al., 2013,Organic Letters, Vol. 15, 5666-5669.
【非特許文献33】L. Sun, & L. S. Liebeskind, 1994, J. Org. Chem., Vol. 59, pp.6856-6858.
【非特許文献34】H. O. House, et al., 1969, The Journal of Organic Chemistry, Vol.34, 2324-2336.
【非特許文献35】S. Kiyooka, et al., 2010, Tetrahedron, Vol. 66, 1806-1816.
【非特許文献36】C. R. Solorio-Alvarado, etal., 2009, ARKIVOC, ii, pp. 239-257.
【非特許文献37】B. M. Trost, et al., 2003,J. Am. Chem. Soc., Vol. 125, pp. 13155-13164.
【非特許文献38】D. C. Harrowven, et al., 2005,Angew. Chem. Int. Ed., Vol. 44, pp. 1221-1222.
【非特許文献39】Y. An, et al., 2014, Eur. J. Org. Chem., pp.3715-3718.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ビルディングブロック法は、目的化合物を製造するのに多くの工程が必要であり、さらに、分離・精製操作を行なう必要がある。単純なトリフルオロメチル化合物から多くの工程を経て、目的化合物を合成することから、目的化合物が複雑であればあるほど、煩雑な合成経路となり、コストも上昇する。また、製造方法も一般性に乏しい。
【0009】
そこで、近年、目的とする化合物骨格に直接トリフルオロメチル基を導入する直接トリフルオロメチル化法の開発が進んでいる。直接トリフルオロメチル化法は、目的とする骨格を一旦構築し、最終段階でトリフルオロメチル基を導入する方法である。しかしながら、骨格構築そのものに多段階を必要とすることに加え、トリフルオロメチル化は特殊な反応であるため、一般的に高価な試薬や過酷な反応条件が必要とされる。そのため、一般性に乏しく、適用できる骨格に制限がある。
【0010】
よって、高価な試薬を必要とせず、汎用性のあるトリフルオロメチル化合物の製造方法の開発が望まれていた。また、例えば、トリフルオロメチル化された複素環化合物など、上記公知の方法によっても合成できないトリフルオロメチル化合物も多数存在する。本発明は市販のスクアレート化合物を出発原料とし、短工程で効率良くトリフルオロメチル置換セミスクアレートを合成する方法、該化合物を起点として多様な機能性トリフルオロメチル化合物の製造方法を提供することを課題とする。
【0011】
トリフルオロメチル基が置換したセミスクアレートを合成することが可能になれば、これを合成素子として利用することで、トリフルオロメチル基を導入したキノンやブテノリドを効率よく合成することが可能となる。したがって、トリフルオロメチル基で置換したセミスクアレートを合成することができれば、様々な機能性トリフルオロメチル化合物を提供することが可能となる。本発明は、トリフルオロメチル化合物を効率良く合成するだけではなく、従来法では合成することのできなかった、複素環化合物にトリフルオロメチル基を導入した化合物等、新たな化合物を合成し提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下に示すトリフルオロメチル置換セミスクアレートの製造方法、及び新規のトリフルオロメチル化合物である。
[1]下記一般式(1)で表される化合物を出発原料として、
【化1】
JP2016199789A1_000003t.gif
(式中Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基である。)
付加反応工程、及び環拡大工程によってトリフルオロメチル基が導入された化合物を製造する方法。
[2]前記トリフルオロメチル基が導入された化合物が、キノン化合物である[1]記載の製造方法。
[3]トリフルオロメチル基が導入されたキノン化合物が、下記一般式(4)又は(5)で表される化合物である[2]記載の製造方法。
【化2】
JP2016199789A1_000004t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基、エステル基から選択され、R~Rのうち任意の2つの隣接する置換基は縮環ベンゼンを形成してもよい。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)
【化3】
JP2016199789A1_000005t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基から選択される。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)
[4]前記トリフルオロメチル基が導入された化合物が、複素環縮環化合物である[1]記載の製造方法。
[5]トリフルオロメチル基が導入された複素環縮環化合物が、下記一般式(6)又は(7)で表される化合物である[4]記載の製造方法。
【化4】
JP2016199789A1_000006t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基から選択され、R、Rは結合して縮環ベンゼンを形成してもよい。XはO、S、NPであり、Pは、カルバメート、スルホンアミドである。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)
【化5】
JP2016199789A1_000007t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。XはCH=CH、S、NCHである。)
[6]前記トリフルオロメチル基が導入された化合物が、ヒドロキノン化合物である[1]記載の製造方法。
[7]トリフルオロメチル基が導入されたヒドロキノン化合物が、下記一般式(8)~(10)のいずれかで表される化合物である[6]記載の製造方法。
【化6】
JP2016199789A1_000008t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R、R10、R11、R12はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基、エステル基から選択され、R~R12のうち任意の2つの隣接する置換基は縮環ベンゼンを形成してもよい。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)
【化7】
JP2016199789A1_000009t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R13、R14はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基から選択される。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)
【化8】
JP2016199789A1_000010t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R15、R16はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基から選択され、R15、R16は結合して縮環ベンゼンを形成してもよい。XはO、S、NPであり、Pは、カルバメート、スルホンアミドである。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)
[8]前記トリフルオロメチル基が導入された化合物が、ブテノリド化合物である[1]記載の製造方法。
[9]トリフルオロメチル基が導入されたブテノリド化合物が、下記一般式(10-1)、(10-2)で表される化合物である[8]記載の製造方法。
【化9】
JP2016199789A1_000011t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R17、R18、R19、R20はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基、エステル基から選択され、R17~R20のうち任意の2つの隣接する置換基は縮環ベンゼンを形成してもよい。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)
【化10】
JP2016199789A1_000012t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R21、R22はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基から選択され、R21、R22は結合して縮環ベンゼンを形成してもよい。XはO、S、NPであり、Pは、カルバメート、スルホンアミドである。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)
[10]前記トリフルオロメチル基が導入された化合物が、四員環化合物である[1]記載の製造方法。
[11]トリフルオロメチル基が導入された四員環化合物が、下記一般式(10-3c)、(10-3d)で表される化合物である[10]記載の製造方法。
【化11】
JP2016199789A1_000013t.gif
(式中、R23、R24はそれぞれ独立して、C1~C6直鎖状、分岐状、環状のアルキル基またはフェニル基から選択される。)
【化12】
JP2016199789A1_000014t.gif
(式中、R25、R26はそれぞれ独立して、C1~C6直鎖状、分岐状、環状のアルキル基またはフェニル基から選択される。)
[12]前記トリフルオロメチル基が導入された化合物が、ビシクロ環化合物である[1]記載の製造方法。
[13]トリフルオロメチル基が導入されたビシクロ環化合物が、下記一般式(37-1)で表される化合物である[12]記載の製造方法。
【化13】
JP2016199789A1_000015t.gif
(式中、R27、R28はそれぞれ独立して、C1~C6直鎖状、分岐状、環状のアルキル基またはフェニル基から選択され、R27、R28で環構造を形成してもよい。)
[14]前記トリフルオロメチル基が導入された化合物が、アミノシクロペンテンジオン化合物である[1]記載の製造方法。
[15]トリフルオロメチル基が導入されたアミノシクロペンテンジオン化合物が、下記一般式(10-4)で表される化合物である[14]記載の製造方法。
【化14】
JP2016199789A1_000016t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R29はC1~C8のアルキル基で、直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。R30はt-ブチル基または1,1,3,3-テトラメチルブチル基から選択される。)
[16]下記一般式(1)で表されるトリフルオロメチル置換セミスクアレートの製造方法であって、
【化15】
JP2016199789A1_000017t.gif
下記一般式(3)で表されるスクアレートをトリフルオロメチル化する工程により、
JP2016199789A1_000018t.gif 下記一般式(2)で表される化合物を製造し、
JP2016199789A1_000019t.gif アリルアルコール転移反応を行う工程により合成することを特徴とする製造方法。
(式中Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基であり、異なる基であっても、同一の基であってもよい。)
[17]下記一般式(1)で表されるトリフルオロメチル置換セミスクアレートの製造方法であって、
【化16】
JP2016199789A1_000020t.gif
(式中Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基である。)
下記一般式(2)で表される化合物を
【化17】
JP2016199789A1_000021t.gif
アリルアルコール転移反応を行なう工程により合成することを特徴とする製造方法。
(式中Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基であり、異なる基であっても、同一の基であってもよい。)
[18][16]又は[17]記載のトリフルオロメチル置換セミスクアレートの製造方法であって、アリルアルコール転移反応を行なう工程が、Re又はPhSiReOを触媒として用いる反応であることを特徴とする製造方法。
[19]下記一般式(2)で表される化合物の製造方法であって、
【化18】
JP2016199789A1_000022t.gif
下記一般式(3)で表されるスクアレートを
【化19】
JP2016199789A1_000023t.gif
トリフルオロメチル化する工程により合成することを特徴とする製造方法。
(式中Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基であり、異なる基であっても、同一の基であってもよい。)
[20][16]又は[19]記載の製造方法であって、前記トリフルオロメチル化する工程が、CFMeSiを有機ケイ素試薬として用いてシリルトリフルオロメチル化反応をする工程と、脱シリル化工程からなることを特徴とする製造方法。
[21]下記一般式(1)で表される化合物。
【化20】
JP2016199789A1_000024t.gif
(式中Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基である。)
[22]下記一般式(2)の化合物。
【化21】
JP2016199789A1_000025t.gif
(式中Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基であり、異なる基であっても、同一の基であってもよい。)
[23]下記式(12)~(52)、(17-1)、(10-3a)、(10-3b)で表されるトリフルオロメチル化合物。
【化22】
JP2016199789A1_000026t.gif

【発明の効果】
【0013】
高価な試薬を必要とせず、汎用性のあるトリフルオロメチル化合物の製造方法を開発したことで、効率よくトリフルオロメチル化合物を合成することができるようになった。さらに、今まで製造することが難しかったトリフルオロメチル化合物を製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】トリフルオロメチル置換セミスクアレート法を模式的に示す図。
【図2】従来のトリフルオロメチル基の導入方法を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に、本発明のトリフルオロメチル置換セミスクアレート法を模式的に示す。化合物3のスクアレートを出発原料として、短工程で化合物1のトリフルオロメチル置換セミスクアレートを合成できる。

【0016】
図1において、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基が挙げられる。化合物3のスクアレート、及び化合物2のRとしては、上記官能基をとることができるが、2つのRは異なる基であっても同一の基であってもよい。ただし、合成の容易性から両者が同一の基であることが好ましい。

【0017】
スクアリン酸エステルは目的とする骨格へと短工程で変換できるため、四員環合成素子として有用な分子である。有機金属試薬を付加させて得られるヒドロキシシクロブテノンの環拡大反応によりキノンやブテノリドなど多様な分子が合成できる。したがって、トリフルオロメチル基の置換したセミスクアレートを合成することが可能になれば、これを合成素子として利用することで、トリフルオロメチル基を導入したキノンやブテノリドを効率よく合成することが可能となる。

【0018】
本発明のトリフルオロメチル置換セミスクアレートより合成可能なナフトキノン類及びベンゾキノン類としては、下記一般式(4)または(5)で表される化合物が挙げられる。

【0019】
【化23】
JP2016199789A1_000027t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R、R、R、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基、エステル基から選択され、R~Rのうち任意の2つの隣接する置換基は縮環ベンゼンを形成してもよい。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)

【0020】
【化24】
JP2016199789A1_000028t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基から選択される。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)

【0021】
また、トリフルオロメチル置換セミスクアレートより合成可能な複素環誘導体としては、下記一般式(6)、(7)で表される化合物が挙げられる。

【0022】
【化25】
JP2016199789A1_000029t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基から選択され、R、Rは結合して縮環ベンゼンを形成してもよい。XはO、S、NPであり、Pは、カルバメート、スルホンアミドである。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)

【0023】
【化26】
JP2016199789A1_000030t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。XはCH=CH、S、NCHである。)

【0024】
また、上記キノン類(4)、(5)、(6)に対応するヒドロキノン類として(8)、(9)、(10)が挙げられる。

【0025】
【化27】
JP2016199789A1_000031t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R、R10、R11、R12はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基、エステル基から選択され、R~R12のうち任意の2つの隣接する置換基は縮環ベンゼンを形成してもよい。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)

【0026】
【化28】
JP2016199789A1_000032t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R13、R14はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基から選択される。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)

【0027】
【化29】
JP2016199789A1_000033t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R15、R16はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基から選択され、R15、R16は結合して縮環ベンゼンを形成してもよい。XはO、S、NPであり、Pは、カルバメート、スルホンアミドである。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)

【0028】
また、トリフルオロメチル置換セミスクアレートより合成可能なブテノリド類としては、下記一般式(10-1)、(10-2)で表される化合物が挙げられる。

【0029】
【化30】
JP2016199789A1_000034t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R17、R18、R19、R20はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基、エステル基から選択され、R17~R20のうち任意の2つの隣接する置換基は縮環ベンゼンを形成してもよい。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)

【0030】
【化31】
JP2016199789A1_000035t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R21、R22はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、クロロ基、フルオロ基から選択され、R21、R22は結合して縮環ベンゼンを形成してもよい。XはO、S、NPであり、Pは、カルバメート、スルホンアミドである。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭化水素部位は、C1~C8の直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。)

【0031】
さらに、トリフルオロメチル置換セミスクアレートより、新規化合物である中間体(10-3a、10-3b)を経て、下記式(37)で表されるビシクロ環化合物の合成も可能となった。

【0032】
【化32】
JP2016199789A1_000036t.gif
【化33】
JP2016199789A1_000037t.gif

【0033】
また、10-3aで表される化合物の収率を向上させる合成方法を開発することができたため、下記一般式10-3cで表される化合物を合成することができるようになった。その結果、下記一般式10-3dで表される化合物の合成、下記一般式37-1で表される化合物の合成も可能になった。

【0034】
【化34】
JP2016199789A1_000038t.gif
(式中、R23、R24はそれぞれ独立して、C1~C6直鎖状、分岐状、環状のアルキル基またはフェニル基から選択される。)

【0035】
【化35】
JP2016199789A1_000039t.gif
(式中、R25、R26はそれぞれ独立して、C1~C6直鎖状、分岐状、環状のアルキル基またはフェニル基から選択される。)

【0036】
【化36】
JP2016199789A1_000040t.gif
(式中、R27、R28はそれぞれ独立して、C1~C6直鎖状、分岐状、環状のアルキル基またはフェニル基から選択され、R27、R28で環構造を形成してもよい。)

【0037】
また、トリフルオロメチル置換セミスクアレートより、一般式(10-4)で表されるアミノシクロペンテンジオンの合成も可能となった。

【0038】
【化37】
JP2016199789A1_000041t.gif
(式中、Rはイソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基から選択される。R29はC1~C8のアルキル基で、直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。R30はt-ブチル基または1,1,3,3-テトラメチルブチル基から選択される。)

【0039】
さらに、トリフルオロメチル置換セミスクアレートより、下記式(48)で表される開環化合物である不飽和カルボン酸の合成も可能となった。

【0040】
【化38】
JP2016199789A1_000042t.gif
以下、実施形態によりさらに本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施形態に限定されることはない。

【0041】
[実施例1]
≪トリフルオロメチル置換セミスクアレートの製造方法(1)≫
1.1 スクアリン酸エステルのトリフルオロメチル化工程
トリフルオロメチル化、アリルアルコール転移の2工程を別々に行い、トリフルオロメチル置換セミスクアレートを製造する方法を下記に示す。

【0042】
まず、向山らの開発したシリルトリフルオロメチル化法(非特許文献22)を応用して、スクアリン酸エステルをトリフルオロメチル化する工程について説明する。下記反応式で示すスクアリン酸ジイソプロピルに対するトリフルオロメチル化を例に、一般的なトリフルオロメチル化の実験操作を示す。

【0043】
【化39】
JP2016199789A1_000043t.gif

【0044】
シュレンク管に撹拌子を入れ減圧下加熱乾燥し、スクアリン酸ジイソプロピル(3-Pr)(99.9mg、0.50mmol)、酢酸ナトリウム(NaOAc)(4.2mg、0.05mmol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(BuNCl)(13.8mg、0.05mmol)、テトラヒドロフラン(THF)(1mL)を加えた。25°Cで15分撹拌し、トリフルオロメチルトリメチルシラン(MeSiCF)(111μL、0.75mmol)を加えた。20分撹拌後、原料の消失を確認し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)1M THF溶液(1mL、1mmol)を加え反応を停止させた。水(20mL)を加えEtO(20mL×3)で抽出し、得られた有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄後、MgSOで乾燥させ濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し白色固体(92.4mg、収率69%)を得た。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0045】
なお、解析は以下の方法で行った。H・13C・19FNMR測定には日本電子製 ESC-400(400Hz)を使用した。測定溶媒にはCDClを用い、NMR測定は25°Cで実施した。H・13C・19F NMRの化学シフトは全てδ値(ppm)で表記する。H NMR測定の場合にはCHClに由来するシングレット(7.26ppm)を基準ピークとし、13C NMR測定の場合にはCHClに由来するトリプレット(77.0ppm)を基準ピークとし、19F NMRの化学シフトは外部標準としてα,α,α-トリフルオロトルエンのシングレットシグナル(-63.7ppm)を基準とした。また、化学シフトの分裂パターンは次のように定義する。s:シングレット、d:ダブレット、t:トリプレット、q:カルテット、quint:クインテット、sext:セクステット、sept:セプテット、m:マルチプレット。カップリング定数はHzで表記した。赤外吸収スペクトル(IR)の測定は日本分光製 FT/IR-230を使用し、特性吸収はすべてcm-1で表記した。融点測定にはSRS製 MPA100を用いた。質量分析には、日本電子製JMS-T100LPを用い、DARTまたはESIによる高分解能質量分析を行った。

【0046】
JP2016199789A1_000044t.gif

【0047】
ここでは、スクアリン酸ジイソプロピルを出発材料とするトリフルオロメチル化の方法を詳細に説明したが、以下に示すように他のスクアリン酸エステルを用いても同様にトリフルオロメチル化を行うことができる。他のトリフルオロメチル化もシュレンク管もしくは二口ナスフラスコを用い同様の操作で行なうことができる。脱シリル化は、TBAF(2当量)またはフッ化カリウム飽和水溶液(1mL)を加え行うことができる。

【0048】
スクアリン酸ジプロピルを出発材料にトリフルオロメチル化を行い、下記式(2-1)の化合物、4-hydroxy-2,3-dipropoxy-4-(trifluoromethyl)cyclobut-2-enone(2-Pr)を合成した。収率は40%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0049】
【化40】
JP2016199789A1_000045t.gif

【0050】
JP2016199789A1_000046t.gif

【0051】
スクアリン酸ジイソブチルを出発材料にトリフルオロメチル化を行い、下記式(2-2)の化合物、4-hydroxy-2,3-diisobutoxy-4-(trifluoromethyl)cyclobut-2-enone(2-Bu)を合成した。収率は40%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0052】
【化41】
JP2016199789A1_000047t.gif

【0053】
JP2016199789A1_000048t.gif

【0054】
スクアリン酸ジsec-ブチルを出発材料にトリフルオロメチル化を行い、下記式(2-3)の化合物、2,3-di-sec-butoxy-4-hydroxy-4-(trifluoromethyl)cyclobut-2-enone(2-Bu)を合成した。収率は65%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0055】
【化42】
JP2016199789A1_000049t.gif

【0056】
JP2016199789A1_000050t.gif

【0057】
スクアリン酸ジtert-ブチルを出発材料にトリフルオロメチル化を行い、下記式(2-4)の化合物、2,3-di-tert-butoxy-4-hydroxy-4-(trifluoromethyl)cyclobut-2-en-1-one(2-Bu)を合成した。収率は90%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0058】
【化43】
JP2016199789A1_000051t.gif

【0059】
JP2016199789A1_000052t.gif

【0060】
1.2 アリルアルコール転移反応工程
次に、下記反応式で示すアリルアルコール転移反応を行なう。Re触媒を用いた水酸基転移反応による1-Pr(11)の合成を例に、一般的な水酸基転移反応の実験操作を示す。

【0061】
【化44】
JP2016199789A1_000053t.gif

【0062】
シュレンク管に撹拌子を入れ減圧下加熱乾燥の後、アルゴン置換した。2-Pr(128.5mg、0.48mmol)、Re(7.8mg,0.016mmol)を加え再度アルゴン置換を行った。ジクロロメタン(25mL)を加え、25°Cで10時間撹拌した。反応終了後、アルゴン気流下でアルミナを通してろ過をおこない、ろ液を濃縮し黄色液体(99.2mg、99%)を得た。得られた液体は長時間静置または冷却することで固化した。得られた化合物の解析結果を示す。

【0063】
JP2016199789A1_000054t.gif

【0064】
ここでは、2-Prのアリルアルコール転移反応により、トリフルオロメチル置換セミスクアレートを合成する方法を詳細に説明したが、以下に示すように他のヒドロキシシクロブテノンを用いても同様にアリルアルコール転移反応を行うことができる。他のアリルアルコール転移反応もシュレンク管もしくは二口ナスフラスコを用い同様の操作で行なうことができる。

【0065】
2-Prを出発材料にアリルアルコール転移反応を行い、下記式(11-1)の化合物、3-propoxy-4-(trifluoromethyl)cyclobut-3-ene-1,2-dioneを合成した。精製はAlを充填剤とするショートカラム(展開溶媒はジクロロメタンを用いた。)で行い、収率は62%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0066】
【化45】
JP2016199789A1_000055t.gif

【0067】
JP2016199789A1_000056t.gif

【0068】
2-Buを出発材料にアリルアルコール転移反応を行い、下記式(11-2)の化合物、3-isobutoxy-4-(trifluoromethyl)cyclobut-3-ene-1,2-dioneを合成した。精製はAlを充填剤とするショートカラム(展開溶媒はジクロロメタン)で行い、収率は50%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0069】
【化46】
JP2016199789A1_000057t.gif

【0070】
JP2016199789A1_000058t.gif

【0071】
2-Buを出発材料にアリルアルコール転移反応を行い、下記式(11-3)の化合物、3-sec-butoxy-4-(trifluoromethyl)cyclobut-3-ene-1,2-dioneを合成した。精製はAlを充填剤とするショートカラム(展開溶媒はジクロロメタンを用いた。)で行い、収率は34%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0072】
【化47】
JP2016199789A1_000059t.gif

【0073】
JP2016199789A1_000060t.gif

【0074】
2-Buを出発材料にアリルアルコール転移反応を行い、下記式(2-4)の化合物、3-tert-butoxy-4-(trifluoromethyl)cyclobut-3-ene-1,2-dioneを合成した。収率は78%であった。ただし、極めて不安定であり、精製はAl/KCOを充填剤とするショートカラム(展開溶媒はジクロロメタンを用いた。)をアルゴン下で行い、濃縮もアルゴン下で行った。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0075】
【化48】
JP2016199789A1_000061t.gif

【0076】
JP2016199789A1_000062t.gif

【0077】
[実施例2]
≪トリフルオロメチル置換セミスクアレートの製造方法(2)≫
以下の方法により連続してトリフルオロメチル置換セミスクアレートを製造することも可能である。精製は最後の工程の蒸留操作のみとなり、より簡便に効率よく反応を行うことができる。

【0078】
市販のジイソプロピルスクアレート(化合物3-Pr)3gより、下記反応式に示す2工程を連続してトリフルオロメチル置換セミスクアレート(化合物1-Pr)を合成した。収率は84%であった。以下、合成方法を詳述する。

【0079】
【化49】
JP2016199789A1_000063t.gif

【0080】
シュレンク管に撹拌子を入れ減圧下加熱乾燥し、スクアリン酸ジイソプロピル(2.98g、15mmol)、酢酸ナトリウム(61.0mg、0.74mmol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(206.2mg、0.74mmol)、THF(15mL)を加えた。25°Cで20分撹拌し、トリフルオロメチルトリメチルシラン(3.1mL、21mmol)を加えた。90分撹拌後、原料の消失を確認し、テトラブチルアンモニウムフルオリド1M THF溶液(21mL、21mmol)を加え、15分攪拌した。水(30mL)を加えEtO(30mL×3)で抽出し、得られた有機層を飽和食塩水(30mL)で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。

【0081】
次にアリルアルコール転移反応を行なう。粗生成物を100mL二口フラスコに移し、減圧下で2時間乾燥し、アルゴン置換した。Re(218mg、0.45mmol、3mol%)をグローブバック中で加え、脱水ジクロロメタン(35mL)で希釈し、10時間撹拌した。原料の消失を確認後、濃縮した後にクーゲルロール蒸留器(3hPa、70°C)を用い精製を行い、黄色固体(2.61g、収率84%)を得た。実施例1と同様の化合物を得ることができた。

【0082】
[実施例3]
≪生理活性物質類縁体の合成(1)≫
実施例1、又は2の方法によって合成された一般式(1)の化合物を起点として生理活性物質類縁体を合成する方法を次に示す。

【0083】
【化50】
JP2016199789A1_000064t.gif

【0084】
付加反応工程、環拡大反応及び酸化反応工程によって、トリフルオロメチル基が導入されているキノンを合成する。2-isopropoxy-3-(trifluoromethyl)naphthalene-1,4-dione(12)の製造を例に、詳細に製造方法を説明する。下記反応式は製造方法の概略である。

【0085】
【化51】
JP2016199789A1_000065t.gif

【0086】
まず、グリニヤール試薬溶液を調製する。PhMgBr(Aldrich社製)(1.1M THF溶液910μL又は3.0M EtO溶液333μL;1mmol)を、減圧下加熱乾燥した容器中に加えドライエーテルで希釈し、30分撹拌し、0.1MのEtO溶液とした。

【0087】
次に付加反応を行なう。減圧下加熱乾燥した50mL二口ナスフラスコに撹拌子、1-Pr(104.2mg、0.5mmol)、ジエチルエーテル(2mL)を加え、-90°Cに冷却した。温度計で系内の温度を測定し、調製したグリニヤール試薬溶液を-90°C以上の温度にならないよう注意しながら、シリンジポンプを使用し20mL/hの速度で30分かけて滴下した。さらに30分攪拌した後、NMRで原料の消失を確認し、-90°Cのまま飽和塩化アンモニウム水溶液(2mL)を加え反応を停止させ、室温に戻した。EtO(10mL×3)で抽出後、飽和食塩水(10mL)で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥させ、p-キシレン(10mL)を加えた。

【0088】
環拡大反応、及び酸化反応は次のようにして行う。EtOをロータリーエバポレーターで除去し、p-キシレン溶液(約10mL)とした。得られた溶液をアルゴン置換し140°Cで10分間攪拌した。中間生成物である4-ヒドロキシシクロブテノンの消失を確認し、室温に冷却した。フタロシアニン鉄(II)錯体 [Fe(pc)](8.4mg、0.015mmol)、酢酸(0.5mL)を加え酸素雰囲気下1時間撹拌した。ヒドロキノンの消失を確認した後、セライト濾過、濃縮し粗生成物を得た。

【0089】
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製を行い、黄色液体(103.8mg、収率73%)を得た。得られた化合物、2-isopropoxy-3-(trifluoromethyl)naphthalene-1,4-dioneの解析結果を下記に示す。

【0090】
JP2016199789A1_000066t.gif

【0091】
[実施例4]
≪生理活性物質類縁体の合成(2)≫
下記式(13)に構造式を示す2-isopropoxy-6-methyl-3-(trifluoromethyl)naphthalene-1,4-dioneは、グリニヤール試薬として、アリールブロマイドと金属マグネシウムにより、4-メチルマグネシウムブロミド(非特許文献23、24)を調製して用いた他は、実施例3と同様にして製造した。

【0092】
【化52】
JP2016199789A1_000067t.gif
収率は58%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0093】
JP2016199789A1_000068t.gif

【0094】
[実施例5]
≪生理活性物質類縁体の合成(3)≫
下記(14)に構造式を示す2-isopropoxy-6-methoxy-3-(trifluoromethyl)naphthalene-1,4-dioneは、グリニヤール試薬として、4-メトキシフェニマグネシウムブロミド(Aldrich社製)を用いた他は、実施例3と同様にして製造した。

【0095】
【化53】
JP2016199789A1_000069t.gif
収率は63%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0096】
JP2016199789A1_000070t.gif

【0097】
[実施例6]
≪生理活性物質類縁体の合成(4)≫
下記(15)に構造式を示す2-isopropoxy-5-methoxy-3-(trifluoromethyl)naphthalene-1,4-dioneは、グリニヤール試薬として、2-メトキシフェニマグネシウムブロミド(Aldrich社製)を用いた他は、実施例3と同様にして製造した。

【0098】
【化54】
JP2016199789A1_000071t.gif
収率は49%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0099】
JP2016199789A1_000072t.gif

【0100】
[実施例7]
≪生理活性物質類縁体の合成(5)≫
下記式(16)に構造式を示す6-chloro-2-isopropoxy-3-(trifluoromethyl)naphthalene-1,4-dioneは、グリニヤール試薬として、4-クロロフェニルマグネシウムブロミド(Aldrich社製)を用いた他は、実施例3と同様にして製造した。

【0101】
【化55】
JP2016199789A1_000073t.gif
収率は65%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0102】
JP2016199789A1_000074t.gif

【0103】
[実施例8]
≪生理活性物質類縁体の合成(6)≫
下記式(17)に構造式を示す6-fluoro-2-isopropoxy-3-(trifluoromethyl)naphthalene-1,4-dioneは、グリニヤール試薬として、4-フルオロフェニルマグネシウムブロミド(Aldrich社製)を用いた他は、実施例3と同様にして製造した。

【0104】
【化56】
JP2016199789A1_000075t.gif
収率は63%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0105】
JP2016199789A1_000076t.gif

【0106】
[実施例9]
≪生理活性物質類縁体の合成(7)≫
下記式(17-1)に構造式を示すethyl 6-isopropoxy-5,8-dioxo-7-(trifluoromethyl)-5,8-dihydronaphthalene-2-carboxylateは、グリニヤール試薬としてp-エトキシカルボニルフェニルマグネシウムクロリド(非特許文献25)を用いた他は、実施例3と同様にして製造した。

【0107】
【化57】
JP2016199789A1_000077t.gif
収率は58%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0108】
JP2016199789A1_000078t.gif

【0109】
[実施例10]
≪生理活性物質類縁体の合成(8)≫
下記式(18)に構造式を示す3-isopropoxy-2-(trifluoromethyl)phenanthrene-1,4-dioneは、グリニヤール試薬として、1-ナフチルマグネシウムブロミド(Aldrich社製)を用いた他は、実施例3と同様にして製造した。

【0110】
【化58】
JP2016199789A1_000079t.gif
収率は32%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0111】
JP2016199789A1_000080t.gif

【0112】
[実施例11]
≪生理活性物質類縁体の合成(9)≫
下記式(19)に構造式を示す2-isopropoxy-3-(trifluoromethyl)phenanthrene-1,4-dioneは、グリニヤール試薬として、アリールブロマイドと金属マグネシウムにより調製した、2-ナフチルマグネシウムブロミド(非特許文献23、24)を用いた他は、実施例3と同様にして製造した。

【0113】
【化59】
JP2016199789A1_000081t.gif
収率は62%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0114】
JP2016199789A1_000082t.gif

【0115】
[実施例12]
≪生理活性物質類縁体の合成(10)≫
下記式(20)に構造式を示す6-isopropoxy-5-(trifluoromethyl)benzofuran-4,7-dioneは、グリニヤール試薬として、MgBrを用いて有機リチウム試薬から調製した2-フリルマグネシウムブロミド(非特許文献26、27)を用いた他は、実施例3と同様にして製造した。

【0116】
【化60】
JP2016199789A1_000083t.gif
収率は69%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0117】
JP2016199789A1_000084t.gif

【0118】
[実施例13]
≪生理活性物質類縁体の合成(11)≫
下記式(21)に構造式を示す6-isopropoxy-5-(trifluoromethyl)benzo[b]thiophene-4,7-dioneは、グリニヤール試薬として、MgBrを用いて有機リチウム試薬から調製した、2-チエニルマグネシウムブロミド(非特許文献26、27)を用いた他は、実施例3と同様にして製造した。

【0119】
【化61】
JP2016199789A1_000085t.gif
収率は78%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0120】
JP2016199789A1_000086t.gif

【0121】
[実施例14]
≪生理活性物質類縁体の合成(12)≫
下記式(22)に構造式を示す3-isopropoxy-2-(trifluoromethyl)dibenzo[b,d]furan-1,4-dioneは、グリニヤール試薬として、MgBrを用いて有機リチウム試薬から調製した、2-ベンゾフリルマグネシウムブロミド(非特許文献26、27)を用いた他は、実施例3と同様にして製造した。

【0122】
【化62】
JP2016199789A1_000087t.gif
収率は73%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0123】
JP2016199789A1_000088t.gif

【0124】
[実施例15]
≪生理活性物質類縁体の合成(13)≫
下記(23)に構造式を示す3-isopropoxy-2-(trifluoromethyl)dibenzo[b,d]thiophene-1,4-dioneは、グリニヤール試薬として、MgBrを用いて有機リチウム試薬から調製した、ベンゾチエニルマグネシウムブロミド(非特許文献26、27)を用いた他は、実施例3と同様にして製造した。

【0125】
【化63】
JP2016199789A1_000089t.gif
収率は74%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0126】
JP2016199789A1_000090t.gif

【0127】
[実施例16]
≪生理活性物質類縁体の合成(14)≫
下記式(24)に構造式を示すtert-butyl 2-isopropoxy-1,4-dioxo-3-(trifluoromethyl)-1,4-dihydro-9H-carbazole-9-carboxylate、及び下記(25)に構造式を示すtert-butyl 2-(3-isopropoxy-5-oxo-4-(trifluoromethyl)-2,5-dihydrofuran-2-yl)-1H-indole-1-carboxylateは、グリニヤール試薬として、2-ヨードインドールより調製した、N-Boc-2-インドールマグネシウムブロミド(非特許文献28)を用い、実施例3と同様の方法で製造を行うことにより、同時に得ることができる。

【0128】
【化64】
JP2016199789A1_000091t.gif

【0129】
tert-butyl 2-isopropoxy-1,4-dioxo-3-(trifluoromethyl)-1,4-dihydro-9H-carbazole-9-carboxylate(構造式(24)で表される化合物)の収率は24%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0130】
JP2016199789A1_000092t.gif

【0131】
tert-butyl 2-(3-isopropoxy-5-oxo-4-(trifluoromethyl)-2,5-dihydrofuran-2-yl)-1H-indole-1-carboxylate(構造式(25)で表される化合物)の収率は23%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0132】
JP2016199789A1_000093t.gif

【0133】
[実施例17]
≪生理活性物質類縁体の合成(15)≫
下記(26)に構造式を示すtert-butyl 3-isopropoxy-1,4-dioxo-2-(trifluoromethyl)-1,4-dihydro-9H-carbazole-9-carboxylateは、グリニヤール試薬として、3-ヨードインドール誘導体から調製した、N-Boc-3-インドールマグネシウムブロミド(非特許文献29)を用いた他は、実施例3と同様にして製造した。

【0134】
【化65】
JP2016199789A1_000094t.gif
収率は70%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0135】
JP2016199789A1_000095t.gif

【0136】
[実施例18]
≪生理活性物質類縁体の合成(16)≫
下記式(27)に構造式を示す2-isopropoxy-5,6-dimethyl-3-(trifluoromethyl)cyclohexa-2,5-diene-1,4-dioneは、グリニヤール試薬として、1-メチル-1-プロぺニルマグネシウムブロミド(Aldrich社製)を用いた他は、実施例3と同様にして製造した。

【0137】
【化66】
JP2016199789A1_000096t.gif
収率は42%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0138】
JP2016199789A1_000097t.gif

【0139】
[実施例19]
≪生理活性物質類縁体の合成(17)≫
下記式(28)に構造式を示す3-isopropoxy-2-(trifluoromethyl)dibenzo[b,d]thiophene-1,4-diyl diacetateは、グリニヤール試薬として、MgBrを用いて有機リチウム試薬から調製したベンゾチエニルマグネシウムブロミド(非特許文献26、27)を用い、付加反応を行なった。付加反応の後に得られたp-キシレン溶液(約10ml)を二口ナスフラスコに移した。アルゴン置換し、140°Cで10分間加熱した。TLC分析で原料消失を確認し、室温に冷却した。

【0140】
無水酢酸(472μL、5mmol)、ピリジン(403μL、5mmol)をシリンジで加え、さらにN,N-ジメチルアミノピリジン(6.3mg、0.05mmol)をアルゴン気流下で加え、アセチル化を行なった。5分間撹拌後、TLC分析によりヒドロキノンの消失を確認した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、薄黄色固体(160.3mg、75%)を得た。

【0141】
【化67】
JP2016199789A1_000098t.gif

得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0142】
JP2016199789A1_000099t.gif

【0143】
[実施例20]
≪生理活性物質類縁体の合成(18)≫
下記式(29)に構造式を示す2-isopropoxy-4-oxo-3-(trifluoromethyl)-4H-quinolizin-1-yl acetateは、2‐ブロモピリジンから調製した有機リチウム試薬、2‐ピリジルリチウム(非特許文献30)を用い、付加反応を行なった後、無水酢酸(2.2当量)を加えて反応を停止した。付加反応の後に得られたp-キシレン溶液(約10ml)を二口ナスフラスコに移した。アルゴン置換し、100°Cで30分間加熱した。TLC分析で原料消失を確認し、室温に冷却した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、褐色液体(88.1mg、54%)を得た。

【0144】
【化68】
JP2016199789A1_000100t.gif
得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0145】
JP2016199789A1_000101t.gif

【0146】
[実施例21]
≪生理活性物質類縁体の合成(19)≫
下記式(30)に構造式を示す7-isopropoxy-5-oxo-6-(trifluoromethyl)-5H-thiazolo[3,2-a]pyridin-8-yl acetateは、チアゾールから調製した有機リチウム試薬、2‐チアゾリルリチウム(非特許文献30)を用いた他は、実施例20と同様にして製造した。

【0147】
【化69】
JP2016199789A1_000102t.gif
収率は48%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0148】
JP2016199789A1_000103t.gif

【0149】
[実施例22]
≪生理活性物質類縁体の合成(20)≫
下記式(31)に構造式を示す7-isopropoxy-1-methyl-5-oxo-6-(trifluoromethyl)-1,5-dihydroimidazo[1,2-a]pyridin-8-yl acetateは、N-メチルイミダゾールから調製した有機リチウム試薬、(1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)リチウム(非特許文献30)を用いた他は、実施例20と同様にして製造した。

【0150】
【化70】
JP2016199789A1_000104t.gif
収率は55%であった。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0151】
JP2016199789A1_000105t.gif

【0152】
[実施例23]
≪生理活性物質類縁体の合成(21)≫
以下の方法によりブテノリド類を合成することができる。下記式(32)に構造式を示す3-isopropoxy-5-oxo-2-phenyl-4-(trifluoromethyl)-2,5-dihydrofuran-2-yl acetateを例に、ブテノリド類の合成方法について詳述する。

【0153】
【化71】
JP2016199789A1_000106t.gif

【0154】
【化72】
JP2016199789A1_000107t.gif
PhMgBr3.0Mエーテル溶液(Aldrich社製、415μL、1.25mmol)を脱水ジエチルエーテル(12.1mL)で希釈し、約0.1Mの濃度に調製し用いた。

【0155】
乾燥させアルゴン雰囲気としたナスフラスコに、トリフルオロメチル置換セミスクアレート(1-Pr)(104.3mg、0.5mmol)、脱水ジエチルエーテル(2mL)を加え-90°Cに冷却した。調製した0.1M PhMgBrエーテル溶液(10mL、1.0mmol)を温度計で-90°C以下に維持し、20mL/hの速度で滴下した。滴下終了後、さらに30分撹拌し、-90°Cの条件下、飽和塩化アンモニウムクロリド水溶液(10mL)を加え反応を停止させた後に、室温へ昇温した。EtO(10mL×3)で抽出し、得られた有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄後、NaSOで乾燥させ濃縮し、粗生成物を得た。

【0156】
乾燥させアルゴン雰囲気としたシュレンク管に、Pb(OAc)(445.2mg、1.0mmol)、脱水toluene(2mL)を加え10分撹拌した。この溶液に、上記粗生成物の脱水toluene(1mL)溶液をカニュラーを用いて加えた。室温で一時間撹拌を続け、水(10mL)を加え反応を停止させ、この時生じた褐色沈殿物をジクロロメタンでセライト濾過し、二相の溶液を得た。水層をジクロロメタン(10mL×3)で抽出し、得られた有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄後、NaSOで乾燥させた。濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製し、無色液体(131.9mg、77%)を得た。解析結果を下記に示す。

【0157】
JP2016199789A1_000108t.gif

【0158】
[実施例24]
≪生理活性物質類縁体の合成(22)≫
下記式(33)に構造式を示す3-isopropoxy-2-(4-methoxyphenyl)-5-oxo-4-(trifluoromethyl)-2,5-dihydrofuran-2-yl acetateは、PhMgBrの代わりに、p-MeOCMgBrを用いた他は実施例23と同様にして製造した。収率は74%であった。解析結果を下記に示す。

【0159】
【化73】
JP2016199789A1_000109t.gif

【0160】
JP2016199789A1_000110t.gif

【0161】
[実施例25]
≪生理活性物質類縁体の合成(23)≫
下記式(34)に構造式を示すethyl 4-(2-acetoxy-3-isopropoxy-5-oxo-4-(trifluoromethyl)-2,5-dihydrofuran-2-yl)benzoateは、PhMgBrの代わりに、p-EtOCCMgBrを用いた他は実施例23と同様にして製造した。収率は65%であった。解析結果を下記に示す。

【0162】
【化74】
JP2016199789A1_000111t.gif

【0163】
JP2016199789A1_000112t.gif

【0164】
[実施例26]
≪生理活性物質類縁体の合成(24)≫
下記式(35)に構造式を示す2-(benzofuran-2-yl)-3-isopropoxy-5-oxo-4-(trifluoromethyl)-2,5-dihydrofuran-2-yl acetateは、PhMgBrの代わりに、2-benzofurylMgBrを用いた他は実施例23と同様にして製造した。収率は62%であった。解析結果を下記に示す。

【0165】
【化75】
JP2016199789A1_000113t.gif

【0166】
JP2016199789A1_000114t.gif

【0167】
[実施例27]
≪生理活性物質類縁体の合成(25)≫
下記式(36)に構造式を示す2-(benzo[b]thiophen-2-yl)-3-isopropoxy-5-oxo-4-(trifluoromethyl)-2,5-dihydrofuran-2-yl acetateは、PhMgBrの代わりに、2-benzothienylMgBrを用いた他は実施例23と同様にして製造した。収率は68%であった。解析結果を下記に示す。

【0168】
【化76】
JP2016199789A1_000115t.gif

【0169】
JP2016199789A1_000116t.gif

【0170】
[実施例28]
≪生理活性物質類縁体の合成(26)≫
以下の方法によりビシクロ環化合物を合成することができる。下記式(37)に構造式を示すビシクロ環化合物である2-isopropoxy-7-oxo-1-(trifluoromethyl)bicycle[3.2.0]hept-2-en-3-yl acetateは、新規の前駆体10-3a、10-3bを経て以下のようにして製造した。

【0171】
【化77】
JP2016199789A1_000117t.gif

【0172】
【化78】
JP2016199789A1_000118t.gif
アリルマグネシウムクロリド2.0M THF溶液(Aldrich社製、625μL、1.25mmol)を脱水ジエチルエーテル(11.9mL)に希釈し約0.1M溶液とし用いた。

【0173】
加熱乾燥、アルゴン置換した50mLナスフラスコに、1-Pr(104.3mg、0.5mmol)を加え脱水エーテル(2mL)を加えた。この溶液を-90°Cに冷却し、調製した約0.1MアリルマグネシウムクロリドEtO溶液(12.5mL、1.25mmol)を20mL/hの速度で滴下し、滴下後さらに1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(10ml)で反応を停止させ室温へと昇温させた。ジエチルエーテル(10mL×3)で抽出し、得られた有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄後、NaSOで乾燥させた。濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、淡黄色固体(10-3a、51.6mg、41%)を得た。

【0174】
式(10-3a)に構造式を示す前駆体化合物(196mg、0.78mmol)を30mL二口ナスに加え、脱水ジエチルエーテル(8mL)に希釈した。この溶液に、塩化アセチル(110μL、1.56mmol)およびトリエチルアミン(216μL、1.56mmol)を加え、アルゴン雰囲気下室温で30分撹拌した。HO(20mL)を加え反応を停止させエーテル(20mL×3)で抽出した。濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、無色液体(10-3b、177.7mg、78%)を得た。

【0175】
式(10-3b)に構造式を示す前駆体化合物(73.1mg、0.25mmol)をp-キシレン(5mL)に溶解した。この溶解液を120°Cで1時間撹拌した。室温に冷却し、溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:クロロホルム=1:2)で精製し、式(37)に構造式を示す化合物を無色液体(64.4mg、88%)として得た。式37で表す最終生成物の収率は88%であった。解析結果を下記に示す。

【0176】
JP2016199789A1_000119t.gif

【0177】
また、中間体化合物10-3a、10-3bの解析結果はそれぞれ下記のとおりであった。

【0178】
JP2016199789A1_000120t.gif

【0179】
JP2016199789A1_000121t.gif

【0180】
[実施例29]
≪生理活性物質類縁体の合成(27)≫
アリルグリニヤール試薬を用いて合成を行った場合には、中間体化合物10-3aの収率が低かったために、実施例28に記載の化合物2-isopropoxy-7-oxo-1-(trifluoromethyl)bicycle[3.2.0]hept-2-en-3-yl acetateに合成が限られていた。そこで、アリルケイ素化合物を用いる下記の方法を開発することにより、10-3aで表す化合物の収率を著しく向上することに成功した。

【0181】
【化79】
JP2016199789A1_000122t.gif

【0182】
加熱乾燥したシュレンク管をアルゴンで満たし、1-Pr(52.4mg、0.25mmol)を加え脱水ジクロロメタン(1.5mL)で希釈した。この溶液を-78℃に冷却し、四塩化スズの1.0Mジクロロメタン溶液(250μL、0.25mmol)を加え、さらにアリルシラン(TCI製、60μL、0.375mmol)を加え、-78℃で10分撹拌した後、氷浴で1時間撹拌した。精製水(10mL)を加え反応を停止し、室温へと昇温した後に、ジクロロメタン(10mL×3)で抽出し、得られた有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄後、NaSOで乾燥した。濃縮して得られた粗生成物に、中性シリカゲル(500mg)およびジクロロメタン(0.5mL)を加え、室温で30分撹拌しシリル基を除去した。シリルエーテル中間体の消失をTLC分析で確認したところで、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はヘキサン/酢酸エチル=4:1を用いた。)で精製し、淡黄色固体(10-3a、59.6mg、95%)を得た。

【0183】
[実施例30]
≪生理活性物質類縁体の合成(28)≫
上述のように、10-3aで表す化合物の収率が向上したことから以下の化合物を合成することが可能となった。下記式(38)に構造式を示す4-hydroxy-3-isopropoxy-4-(2-phenylallyl)-2-(trifluoromethyl)cyclobut-2-enoneは、アリルシランの代わりに、trimethyl(2-phenylallyl)silane(非特許文献31)を用いた他は実施例29と同様にして製造した。収率は94%であった。解析結果を下記に示す。

【0184】
【化80】
JP2016199789A1_000123t.gif

【0185】
JP2016199789A1_000124t.gif

【0186】
[実施例31]
≪生理活性物質類縁体の合成(29)≫
下記式(39)に構造式を示す2-isopropoxy-4-oxo-1-(2-phenylallyl)-3-(trifluoromethyl)cyclobut-2-enyl acetateは、実施例28の化合物10-3bと同様にして製造した。収率は93%であった。解析結果を下記に示す。

【0187】
【化81】
JP2016199789A1_000125t.gif

【0188】
JP2016199789A1_000126t.gif

【0189】
[実施例32]
≪生理活性物質類縁体の合成(30)≫
下記式(40)に構造式を示す2-isopropoxy-7-oxo-5-phenyl-1-(trifluoromethyl)bicyclo[3.2.0]hept-2-en-3-yl acetateは、実施例28と同様にして1時間加熱することにより製造した。収率は96%であった。解析結果を下記に示す。

【0190】
【化82】
JP2016199789A1_000127t.gif

【0191】
JP2016199789A1_000128t.gif

【0192】
[実施例33]
≪生理活性物質類縁体の合成(31)≫
下記式(41)に構造式を示す4-hydroxy-3-isopropoxy-4-(2-methyleneoctyl)-2-(trifluoromethyl)cyclobut-2-enoneは、アリルシランの代わりに、trimethyl(2-methyleneoctyl)silane(非特許文献31)を用いた他は実施例29と同様にして製造した。収率は97%であった。解析結果を下記に示す。

【0193】
【化83】
JP2016199789A1_000129t.gif

【0194】
JP2016199789A1_000130t.gif

【0195】
[実施例34]
≪生理活性物質類縁体の合成(32)≫
下記式(42)に構造式を示す2-isopropoxy-1-(2-methyleneoctyl)-4-oxo-3-(trifluoromethyl)cyclobut-2-enyl acetateは、実施例28の化合物10-3bと同様にして製造した。収率は98%であった。解析結果を下記に示す。

【0196】
【化84】
JP2016199789A1_000131t.gif

【0197】
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【0198】
[実施例35]
≪生理活性物質類縁体の合成(33)≫
下記式(43)に構造式を示す5-hexyl-2-isopropoxy-7-oxo-1-(trifluoromethyl)bicycle[3.2.0]hept-2-en-3-yl acetateは、実施例28と同様にして1時間加熱することにより製造した。収率は95%であった。解析結果を下記に示す。
【化85】
JP2016199789A1_000133t.gif

【0199】
JP2016199789A1_000134t.gif

【0200】
[実施例36]
≪生理活性物質類縁体の合成(34)≫
下記式(44)に構造式を示す2-isopropoxy-4-oxo-1-(1-phenylallyl)-3-(trifluoromethyl)cyclobut-2-enyl acetateは、実施例29と同様にして四塩化スズの代わりに四塩化チタンを、アリルシランの代わりにcinnamyltrimethylsilane(非特許文献32)を用いて、-40℃でアリル化した後、生成したアルコールを単離することなく実施例28の化合物10-3bと同様にして直接アシル化して製造した。7:3のジアステレオマー混合物として得られ、収率は二段階で38%であった。解析結果を下記に示す。

【0201】
【化86】
JP2016199789A1_000135t.gif

【0202】
JP2016199789A1_000136t.gif

【0203】
[実施例37]
≪生理活性物質類縁体の合成(35)≫
下記式(45)に構造式を示す2-isopropoxy-7-oxo-4-phenyl-1-(trifluoromethyl)bicycle[3.2.0]hept-2-en-3-yl acetateは、実施例28と同様にして3時間加熱することにより製造した。収率は75%であった。解析結果を下記に示す。

【0204】
【化87】
JP2016199789A1_000137t.gif

【0205】
JP2016199789A1_000138t.gif

【0206】
[実施例38]
≪生理活性物質類縁体の合成(36)≫
下記式(46)に構造式を示す4-acetoxy-3-isopropoxy-4a,5,6,7-tetrahydro-2a-(trifluoromethyl)-1H-cyclobuta[c]pentapentalen-2(2aH)-oneは、実施例Iと同様にしてアリルシランの代わりに(cyclopentenylmethyl)trimethylsilane(非特許文献31)を用いてアリル化した。アルコールを単離することなく実施例28の化合物10-3bと同様にしてアセチル化し、得られたエステルを単離することなく実施例28と同様にして2時間加熱して製造した。収率は三段階で42%であった。解析結果を下記に示す。

【0207】
【化88】
JP2016199789A1_000139t.gif

【0208】
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【0209】
[実施例39]
≪生理活性物質類縁体の合成(37)≫
以下の方法によりアミノシクロペンテンジオンを合成することができる。下記式(47)に構造式を示すアミノシクロペンテンジオンである2-butyl-2-(tert-butylamino)-4-isopropoxy-5-(trifluoromethyl)cyclopent-4-ene-1,3-dioneは、以下のようにして製造した。

【0210】
【化89】
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【0211】
【化90】
JP2016199789A1_000142t.gif

【0212】
イミドイルリチウム試薬は、Liebeskidらの方法をもとに調製した(非特許文献33)。tert-ブチルイソシアニド(85μL、0.75mmol)をジエチルエーテル(2.02mL)に溶解し、-15°Cに冷却した。BuLi(15w/w%、480μL)を加え、-15°Cで30分撹拌を続けた。得られた溶液を続く付加反応に使用するため-78°Cに冷却した。

【0213】
1-Pr(104.3mg、0.5mmol)の脱水ジエチルエーテル溶液(10mL)を-78°Cに冷却した。この溶液に、予め-78°Cに冷却した約0.3Mイミドイルリチウム試薬(1.7mL、0.5mmol)をシリンジで加え、30分間撹拌を続けた。飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)で反応を停止させた後、室温へ昇温した。ジエチルエーテル(10mL×3)で抽出し、得られた有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄後、NaSOで乾燥させた。濃縮して得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製し、濃赤色固体(87.2mg、50%)を得た。収率は50%であった。解析結果を下記に示す。

【0214】
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【0215】
[実施例40]
≪生理活性物質類縁体の合成(38)≫
以下の方法により開環化合物である不飽和カルボン酸を合成することができる。下記式(48)の構造式で示す(Z)-4-acetoxy-3-isopropoxy-6-phenyl-2-(trifluoromethyl)hex-3-en-5-ynoic acidは、以下のようにして製造した。

【0216】
【化91】
JP2016199789A1_000144t.gif

【0217】
【化92】
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【0218】
乾燥させたシュレンク管中で、フェニルアセチレン(120μL、1.1mmol)を脱水ジエチルエーテル(2.0mL)に溶解し、-78°Cに冷却した。BuLi(15w/w%、640μL)を加え、溶液が白濁するまで室温で二時間撹拌した。その後、脱水ジエチルエーテル(1.36mL)を加え、0.25M溶液(淡黄色)とした。

【0219】
50mL二口ナスフラスコに1-Pr(104.2mg、0.5mmol)、脱水ジエチルエーテル(2mL)を加え-90°Cに冷却した。リチウムフェニルアセチリド0.25Mエーテル溶液(2.0mL、0.5mmol)を10mL/hの速度で滴下した。滴下後1時間撹拌し、無水酢酸(105μL、1.11mmol)を加え、さらに30分撹拌を続けた。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)で反応を停止させ室温へ昇温した。ジエチルエーテル(20mL)で抽出し、得られた水層を10%HCl水溶液で中和した。中和後の水層をジエチルエーテル(20mL×3)で抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水 (20mL)で洗浄後、NaSOで乾燥させた。濃縮して得られた粗生成物を、硫酸酸性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、黄色液体(132.1 mg、71%)を得た。解析結果を下記に示す。

【0220】
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【0221】
[実施例41]
≪生理活性物質類縁体の合成(39)≫
下記式(49)に構造式を記載する4-hydroxy-3-isopropoxy-4-(2-oxo-2-phenylethyl)-2-(trifluoromethyl)cyclobut-2-enoneは、以下のようにして合成した。
【化93】
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【0222】
【化94】
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【0223】
加熱乾燥したシュレンク管をアルゴンで満たし、1-Pr(62.4mg、0.30mmol)を加え脱水ジクロロメタン(2.0mL)で希釈した。この溶液を-78℃に冷却し、四塩化スズの1.0Mジクロロメタン溶液(300μL、0.30mmol)を加え、10分撹拌した。この溶液に別途調製した(非特許文献34)trimethyl(1-phenylvinyloxy)silane(184μL、0.90mmol)を加え、-78℃で2時間攪拌した。精製水(10mL)を加え反応を停止し、室温へと昇温した後に、ジクロロメタン(10mL×3)で抽出し、得られた有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄後、NaSOで乾燥した。有機層をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 はヘキサン/酢酸エチル=4:1を用いた。)で精製し、淡黄色液体(84.7mg、86%)を得た。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0224】
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【0225】
[実施例42]
≪生理活性物質類縁体の合成(40)≫
下記式(50)に構造式を示すbenzyl 2-(1-hydroxy-2-isopropoxy-4-oxo-3-(trifluoromethyl)cyclobut-2-enyl)acetateは、実施例41と同様にして四塩化スズの代わりに四塩化チタンを、trimethyl(1-phenylvinyloxy)silaneの代わりに(1-(benzyloxy)vinyloxy)trimethylsilane(非特許文献35)を用いて製造した。収率は86%であった。解析結果を下記に示す。

【0226】
【化95】
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【0227】
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【0228】
[実施例43]
≪生理活性物質類縁体の合成(41)≫
下記式(51)に構造式を記載する4-isopropoxy-5-(2-oxo-2-phenylethylidene)-3-(trifluoromethyl)furan-2(5H)-oneは、以下のようにして合成した。
【化96】
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【0229】
【化97】
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【0230】
加熱乾燥したシュレンク管をアルゴンで満たし、Pb(OAc)(348.6mg、0.79mmol)と加熱乾燥したモレキュラーシーブス4A粉末(400.2mg)、および脱水トルエン(4.0mL)を加えた。この懸濁液に、4-hydroxy-3-isopropoxy-4-(2-oxo-2-phenylethyl)-2-(trifluoromethyl)cyclobut-2-enone(129.0mg、0.39mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。この溶液に精製水(10mL)を加え反応を停止し、不溶物を濾過した。濾液を酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、得られた有機層を飽和NaHCO(10mL)で洗浄後、NaSOで乾燥した。有機層をロータリーエバポレーターで濃縮して得られた粗生成物をTHF(8mL)に希釈し、N-methyl morpholine(48μL、0.43mmol)を加えて室温で4時間攪拌した。反応混合物をエバポレーターで濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はヘキサン/酢酸エチル=6:1を用いた。)で精製し、黄色固体(97.1mg、76%)を得た。得られた化合物の解析結果を下記に示す。

【0231】
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【0232】
[実施例44]
≪生理活性物質類縁体の合成(42)≫
下記式(52)に構造式を示すbenzyl 2-(3-isopropoxy-5-oxo-4-(trifluoromethyl)furan-2(5H)-ylidene)acetateは、実施例43と同様にして製造した。収率は84%であった。解析結果を下記に示す。

【0233】
【化98】
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【0234】
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【0235】
≪トリフルオロメチル置換セミスクアレートの応用可能性≫
本発明のトリフルオロメチル置換セミスクアレートの合成法を用いれば、生理活性が知られている以下の化合物への応用も期待できる。

【0236】
≪応用可能性(1)≫
上記式(13)で表す構造の化合物、2-isopropoxy-6-methyl-3-(trifluoromethyl)naphthalene-1,4-dioneは、細胞分裂阻害活性を示す化合物Paravaquinonの類縁体である。Paravaquinoneはアメリカムラサキウニの受精卵の細胞分裂阻害活性を示すことが報告されている。さらに、その類縁体3-ethyl-2-hydroxy-6-methylnaphthalene-1,4-dioneも同様の活性を示すことが報告されている(非特許文献36)。実施例4で合成した前記式(13)で表される化合物のトリフルオロメチル置換ナフトキノンも同様の生理活性を有するものと考えられる。

【0237】
【化99】
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【0238】
≪応用可能性(2)≫
Furaquinocin類は、HeLaS3およびB16メラノーマ細胞に対するin vitro細胞毒性や血小板凝固作用阻害活性など、幅広い生理活性を示す。それらの中で、下記に示すFraquinocin A、B、およびEが、下記に示す反応式のセミスクアレート40を用いて合成されている(非特許文献37)。したがって、トリフルオロメチル置換セミスクアレート1-Prを用いれば、Furaquinocin類のトリフルオロメチル類縁体の合成が可能となる。

【0239】
【化100】
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【0240】
≪応用可能性(3)≫
抗マラリア活性物質である(-)-Elisapterosin Bもまた、下記反応式に示すセミスクアレート41からの全合成が達成されている(非特許文献38)。したがって、トリフルオロメチル置換セミスクアレートを用いれば、トリフルオロメチル置換抗マラリア化合物への応用が考えられる。

【0241】
【化101】
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【0242】
≪応用可能性(4)≫
Carbazomycin類は抗真菌活性や抗菌活性を示し、セミスクアレート1を用いるCarbazimycin Gの合成が最近になって報告された(非特許文献39)。実施例17で合成した式(26)で表される化合物は、Carbazimycin Gを合成する際の前駆物質のトリフルオロメチル化合物である。したがって、該前駆化合物を用いてトリフルオロメチル置換Carbazimycin G類縁体を合成することが可能である。

【0243】
【化102】
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【0244】
以上、本発明の製造方法によって、種々の化合物にトリフルオロメチル基を導入することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0245】
本発明の合成方法によれば、合成が困難であった多様なトリフルオロメチル化合物が効率よく得られるようになる。
図面
【図1】
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【図2】
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