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明細書 :パルス生成装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6436426号 (P6436426)
登録日 平成30年11月22日(2018.11.22)
発行日 平成30年12月12日(2018.12.12)
発明の名称または考案の名称 パルス生成装置
国際特許分類 H01L  29/82        (2006.01)
H01L  43/08        (2006.01)
FI H01L 29/82 Z
H01L 43/08 Z
請求項の数または発明の数 7
全頁数 14
出願番号 特願2017-520688 (P2017-520688)
出願日 平成28年5月20日(2016.5.20)
国際出願番号 PCT/JP2016/065071
国際公開番号 WO2016/190255
国際公開日 平成28年12月1日(2016.12.1)
優先権出願番号 2015104335
優先日 平成27年5月22日(2015.5.22)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成29年11月17日(2017.11.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
【識別番号】500116351
【氏名又は名称】ユニヴァーシティー オブ ヨーク
【氏名又は名称】UNIVERSITY OF YORK
発明者または考案者 【氏名】廣畑 貴文
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100124291、【弁理士】、【氏名又は名称】石田 悟
【識別番号】100161425、【弁理士】、【氏名又は名称】大森 鉄平
審査官 【審査官】上田 智志
参考文献・文献 特許第5645181(JP,B2)
国際公開第2015/064663(WO,A1)
国際公開第2011/118374(WO,A1)
特開2012-49403(JP,A)
特開2005-19561(JP,A)
調査した分野 H01L 29/82,43/08
H03K 3/59
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられ、強磁性体からなるスピン注入子と、
前記基板上に設けられ、強磁性体からなり、第1軸の方向が磁化容易軸となる磁気異方性を有するスピン回転子と、
前記スピン注入子及び前記スピン回転子と直接又は絶縁層を介して接合された非磁性体からなるチャネル部と、
前記スピン回転子の磁気モーメントが前記第1軸の一方を向いた状態から前記第1軸の他方を向いた状態へ反転する際に、前記スピン回転子の前記磁気モーメントが前記第1軸と直交する第2軸に沿って向いた状態を検出することによって、パルスを生成する生成部と、
を備えるパルス生成装置。
【請求項2】
前記スピン回転子の前記基板の面内方向の断面形状は、当該形状の外郭線における前記第2軸に交差する方向に最も離間した2点間の距離よりも、当該形状の外郭線における前記第2軸の方向に最も離間した2点間の距離の方が長い、請求項1に記載のパルス生成装置。
【請求項3】
前記スピン回転子は、前記基板の面内方向の断面形状が楕円形状であり、
前記第2軸は、前記楕円形状の長軸である、請求項1又は2に記載のパルス生成装置。
【請求項4】
前記スピン注入子は、前記第1軸と平行な方向に磁化を有する、請求項1~3の何れか一項に記載のパルス生成装置。
【請求項5】
前記第1軸は、前記基板の面直方向である、請求項1~4の何れか一項に記載のパルス生成装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記スピン回転子の磁気モーメントが前記第2軸に沿って向いた状態となったときの漏洩磁場を検出する請求項1~5の何れか一項に記載のパルス生成装置。
【請求項7】
前記生成部は、
前記スピン回転子に接して設けられ、非強磁性金属又は絶縁体からなる中間層と、
前記中間層に接して設けられ、前記第2軸に沿った方向に磁気モーメントが固定された固定層と、
前記スピン回転子と前記固定層との間に流れる電流又は前記スピン回転子と前記固定層との間に生じる電圧を取得する取得部と、
を備える請求項1~5の何れか一項に記載のパルス生成装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本開示は、パルス生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、信号源からの入力信号の波形を矩形波パルスに変換するパルス生成装置が記載されている。また、パルス幅の短い矩形波パルスは、通信装置やレーダ装置などに利用されている。例えば、特許文献2には、パルス幅が極めて短いインパルス状のパルス列を用いる通信方式が記載されている。また、特許文献3には、パルス幅が短い矩形波パルスを用いる高周波デバイスを備えるレーダ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2007-013441号公報
【特許文献2】特開2013-192006号公報
【特許文献3】特開2013-083541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のパルス生成装置において、パルス幅をより短くするためには、周波数をより高くした入力信号を用いる必要がある。しかしながら、周波数が高くなるほど、波形の立ち上がり成分又は立下り成分の幅が短くなるため、波形の立ち上がり又は立ち下がりを精度良く検出することが困難となる。よって、従来のパルス生成装置では、生成可能なパルス幅の短さに限界がある。
【0005】
本技術分野では、パルス幅の短いパルスを生成可能なパルス生成装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るパルス生成装置は、基板と、基板上に設けられ、強磁性体からなるスピン注入子と、基板上に設けられ、強磁性体からなり、第1軸の方向が磁化容易軸となる磁気異方性を有するスピン回転子と、スピン注入子及びスピン回転子と直接又は絶縁層を介して接合された非磁性体からなるチャネル部と、スピン回転子の磁気モーメントが第1軸の一方を向いた状態から第1軸の他方を向いた状態へ反転する際に、スピン回転子の磁気モーメントが第1軸と直交する第2軸に沿って向いた状態を検出することによって、パルスを生成する生成部と、を備える。
【0007】
このパルス生成装置では、局所手法又は非局所手法を用いることにより、チャネル部においてスピン回転子へ向かうスピン流が生じる。例えば、スピン注入子とチャネル部とに電流又は電圧が印加されると、チャネル部にはスピン回転子へ向かうスピン流が生じる。チャネル部に流れるスピン流は、スピン回転子の磁気モーメントに対してスピントランスファートルク(Spin-Transfer Torque)として作用する。すなわち、歳差運動している磁気モーメントはスピン流からスピン角運動量を受け取ると、磁気モーメントには回転力が加えられる。これにより磁気モーメントの歳差運動が増幅され、当該歳差運動が臨界に達すると、磁気モーメントの向きが第1軸の一方の側から他方の側へ反転する。磁気モーメントは、第1軸に沿って向いている状態が最も磁気的に安定しているため、歳差運動が臨界に達した磁気モーメントは、第1軸の一方の側から他方の側へ高速で反転する。つまり、磁気モーメントは、反転過程において瞬間的に第2軸に沿って向く状態となる。このとき、生成部により、磁気モーメントが第2軸に沿って瞬間的に向いた状態が検出され、磁気モーメントが第2軸に沿って瞬間的に向いた状態のときに立ち上がるパルスが生成される。これにより、パルス幅の短いパルスを生成することができる。
【0008】
一実施形態においては、スピン回転子の基板の面内方向の断面形状は、当該形状の外郭線における第2軸に交差する方向に最も離間した2点間の距離よりも、当該形状の外郭線における第2軸方向に最も離間した2点間の距離の方が長くてもよい。あるいは、一実施形態においては、スピン回転子は、基板の面内方向の断面形状が楕円形状であり、第2軸は、楕円形状の長軸であってもよい。このように構成した場合、スピン回転子の磁気モーメントが反転するときの磁気モーメントの向きが制限される。つまり、第1軸に直交する第2軸を一方向に特定することができるので、スピン回転子の磁気モーメントが第2軸に沿って向いた状態を容易に検知することができる。
【0009】
一実施形態においては、スピン注入子は、第1軸と平行な方向に磁化を有してもよい。このように構成した場合、スピン注入子からチャネル部に流入するスピンの向きと、チャネル部からスピン回転子に流入するスピンの向きとが同一になるため、スピン注入子の磁化方向と同じ向きのスピン状態を有するスピン流がスピン回転子に流入する。スピン回転子の磁気モーメントに対して角度を有して流入したスピンが作用する場合に比べて、スピン回転子の磁気モーメントに作用するスピントランスファートルクの寄与が大きくなる。よって、スピン回転子の磁気モーメントは、効率良くスピントランスファートルクを受け取ることができる。
【0010】
一実施形態においては、第1軸は、基板の面直方向であってもよい。例えば、複数のスピン回転子を基板に配列する場合、基板の面直方向に磁気モーメントを有するスピン回転子の方が、面内方向に磁気モーメントを有するスピン回転子よりも、高密度に磁気モーメントを配列させることができる。
【0011】
一実施形態においては、生成部は、スピン回転子の磁気モーメントが第2軸に沿って向いた状態となったときの漏洩磁場を検出してもよい。この場合、例えばGMR素子、TMR素子などを生成部として採用することができる。
【0012】
一実施形態においては、生成部は、スピン回転子に接して設けられ、非強磁性金属又は絶縁体からなる中間層と、中間層に接して設けられ、第2軸に沿った方向に磁気モーメントが固定された固定層と、スピン回転子及び固定層間に流れる電流又はスピン回転子及び固定層間に生じる電圧を取得する取得部と、を備えてもよい。この場合、スピン回転子をいわゆるスピンバルブ素子のフリー層として機能させることができるので、スピン回転子中の磁気モーメントの状態を検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の側面及び種々の実施形態によれば、パルス幅の短いパルスを生成可能なパルス生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態に係るパルス生成装置の斜視図である。
【図2】一実施形態に係るパルス生成装置の部分拡大図である。
【図3】一実施形態に係るスピン生成装置の動作原理を説明する概要図である。
【図4】一実施形態に係るスピン生成装置によって生成されるパルスを説明する概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。

【0016】
本実施形態に係るパルス生成装置は、いわゆるスピンバルブ構造を応用したパルス生成装置であって、例えばナノスケールのパルス生成装置として採用される。

【0017】
図1は、一実施形態に係るパルス生成装置の斜視図である。図2は、一実施形態に係るパルス生成装置の部分拡大図である。図1及び図2に示すように、パルス生成装置10は、例えば、基板24と、チャネル部12、スピン注入子14、スピン回転制御部16、スピン回転子18及び生成部30を備えている。ここでは、基板24上に、強磁性体からなるスピン注入子14及び強磁性体からなるスピン回転子18を非磁性体からなるチャネル部12によって橋渡ししたスピンバルブ構造が形成されている。スピンバルブ構造においては、スピン注入子14及びスピン回転子18は、基板24上に互いに離間して設けられ、チャネル部12は、スピン注入子14とスピン回転子18との間に配置される。なお、パルス生成装置10は、スピン回転制御部16を備えていなくてもよい。

【0018】
基板24は、例えば半導体基板が用いられる。スピン注入子14及びスピン回転子18は、例えばFe、NiFeなどの磁性金属により形成され得る。チャネル部12は、例えばSiもしくはヒ化ガリウム(GaAs)などの半導体材料、又は、AgもしくはCuなどの非磁性金属により形成され得る。以下では、チャネル部12が半導体材料で形成された場合を説明する。

【0019】
チャネル部12は、基板24上に設けられている。チャネル部12は、線形部材であって、その軸線方向が基板24の面内方向に向くように配置されている。チャネル部12は、例えば基板24上に積層させた半導体層20をメサ状に加工することによって形成される。

【0020】
チャネル部12の線幅は、例えば10μm以下とされる。また、チャネル部12の線幅は、例えば、0.1μm以上であってもよい。なお、基板24と半導体層20との間に二次元電子ガス層22を形成した場合には、二次元電子ガス層22及び半導体層20をメサ状に加工することによってチャネル部12を形成してもよい。例えば、基板24としてGaAs基板を用い、半導体層20を基板24に電子をドーピングして形成した場合には、半導体層20と基板24との間に二次元電子ガス層22が形成される。

【0021】
スピン注入子14は、基板24上に設けられている。より具体的な一例としては、スピン注入子14は、チャネル部12の上面上に接触(直接的に接合)した状態で設けられている。スピン注入子14は、線形部材であって、略長方形状を呈している。スピン注入子14は、その軸線方向が基板24の面内方向に向くように配置されている。より具体的な一例としては、スピン注入子14は、その軸線方向がチャネル部12の軸線方向と交差するように配置されている。スピン注入子14とチャネル部12とが接触する領域がスピン注入領域(スピン注入位置)となる。また、スピン注入子14は、基板24の面直方向(後述する第1軸L1と平行な方向)に向いた磁気モーメント(自発磁化)を有している。なお、本明細書において、特に明記されない限り、磁気モーメントとは、電子の磁気モーメントを巨視的に捉えた全体的な磁気モーメントを意味する。スピン注入子14の線幅は、例えば10μm以下とされる。また、スピン注入子14の線幅は、例えば、0.1μm以上であってもよい。

【0022】
スピン回転子18は、基板24上に設けられている。より具体的な一例としては、スピン回転子18は、チャネル部12の上面上に接触(直接的に接合)した状態で設けられている。スピン回転子18は、スピン注入子14から離間して配置されている。スピン回転子18とスピン注入子14との距離(離間距離)は、例えば、スピン拡散長より短い距離である。スピン拡散長は構成される磁性材料に依存し、例えば1μm以下である。この場合、離間距離は、少なくとも1μmより短い距離となる。

【0023】
スピン回転子18は、例えば、基板24の面直方向に延びる柱状部材であって、基板24の面内方向の断面形状が楕円形状である。図2に示すように、以下では、基板24の面直方向に延びるスピン回転子18の軸線を第1軸L1(第1軸)、スピン回転子18の断面形状の楕円の長軸を第2軸L2(第2軸)として説明する。スピン回転子18は、例えば、第2軸L2がチャネル部12の軸線方向に向くように配置されてもよい(図2参照)。

【0024】
スピン回転子18の断面形状は、長軸方向(第2軸L2方向)の長さが例えば0.1μm以上であってもよい。また、スピン回転子18の断面形状は、長軸方向の長さが例えば10μm以下であってもよい。また、スピン回転子18の断面形状は、短軸方向(第2軸L2と直交する方向)の長さが、長軸方向の長さよりも短く、かつ、例えば0.1μm以上であってもよい。スピン回転子18の断面形状は、短軸方向の長さがチャネル部12の線幅より小さくなるように形成されていてもよい。

【0025】
スピン回転子18は、例えば、基板24の面直方向に延びる第1軸L1に沿って磁気モーメント(自発磁化)を有している(図2参照)。スピン回転子18は、第1軸L1の方向が磁化容易軸となる磁気異方性を有する。言い換えれば、スピン回転子18の磁気モーメントは、第1軸L1に沿って向いたときに磁気的に最も安定したエネルギー状態となる(垂直磁気異方性)。スピン回転子18は、柱状形状による形状磁気異方性によって垂直磁気異方性を実現することができる。あるいは、スピン回転子18は、結晶磁気異方性によって垂直磁気異方性を実現してもよい。この場合、スピン回転子18は、例えば、FePtなどL1結晶構造を持つ磁性金属で形成されてもよいし、(Co/Pt)多層膜やCoFeB/MgOなどの多層構造を有する柱状部材として形成されてもよい。

【0026】
さらに、基板24の面内方向のスピン回転子18の断面形状が楕円形状である場合、楕円長軸である第2軸L2方向に形状磁気異方性が生じる。このため、スピン回転子18の磁気モーメントがその反転過程において基板24の面内方向に向く場合、磁気モーメントは、基板24の面内方向の中でも第2軸L2に沿って向いた場合に磁気的に最も安定したエネルギー状態となる。つまり、第2軸L2は、基板24の面内方向における磁化容易軸である。このように、基板24の面内方向において磁化容易軸を設定することで、後述する生成部30による磁気モーメントの向きの検出を容易にすることができる。なお、第1軸L1方向の磁気異方性は、第2軸L2方向の磁気異方性よりも大きい。このため、磁気モーメントが第1軸L1方向に向いた場合の磁気的なエネルギーは、磁気モーメントが第2軸L2方向に向いた場合の磁気的なエネルギーよりも小さい。

【0027】
スピン注入子14の一端部には、電流又は電圧印加用の端子部14aが形成され、チャネル部12の一端部(両端部のうちスピン注入子14に近い端部)には、電流又は電圧印加用の端子部12aが形成されている。端子部14a及び端子部12a間に電流又は電圧が印加されることで、スピンが注入される。

【0028】
スピン回転制御部16は、例えば電圧制御部及び電圧印加用端子を備えている。スピン回転制御部16は、チャネル部12に接続されている。例えば、スピン回転制御部16は、チャネル部12の上面上の領域であって、スピン注入子14とスピン回転子18との間に位置する領域と直接接合されている。スピン回転制御部16は、チャネル部12のスピンの回転方向を制御するために、チャネル部12へ電場又は磁場を印加可能に構成されている。スピン回転制御部16は、例えば略直方体を呈し、チャネル部12の長手方向に直交する方向の幅が例えば10μm以下とされる。なお、ここでは、スピン回転制御部16は、チャネル部12の長手方向に直交する方向の幅がチャネル部12の線幅以下になるように形成されている。

【0029】
生成部30は、スピン回転子18の磁気モーメントが第1軸L1の一方を向いた状態から第1軸L1の他方を向いた状態へ反転する際に、スピン回転子18の磁気モーメントが第1軸L1と直交する第2軸L2に沿って向いた状態を検出する。生成部30は、例えば、スピン回転子18の磁気モーメントの向きによって変化する物理量又は物性値を検出する。例えば、生成部30は、巨大磁気抵抗(GMR)効果あるいはトンネル磁気抵抗(TMR)効果を用いて、磁気モーメントの向きに依存した電流値、電圧値又は抵抗値を検出する。

【0030】
具体的な一例としては、生成部30は、中間層32、固定層34及び取得部36を備えている。中間層32は、スピン回転子18に接して設けられ、非強磁性金属又は絶縁体からなる。固定層34は、中間層32に接して設けられ、第2軸L2に沿った方向に磁気モーメントが固定されている。磁気モーメントは、例えば反強磁性体からなるピン留め層との交換結合により固定されている。つまり、スピン回転子18及び固定層34が中間層32を挟み込んだ強磁性トンネル接合が構成される。このため、スピン回転子18の磁気モーメントの向きと固定層34の磁気モーメントの向きとに依存して、スピン回転子18と固定層34との間の抵抗値が変化する。

【0031】
取得部36は、スピン回転子18及び固定層34間に流れる電流又はスピン回転子18及び固定層34間に生じる電圧を取得する。生成部30は、取得部36の取得結果(電流値、電圧値又は抵抗値)に基づいて、スピン回転子18の磁気モーメントと固定層34の磁気モーメントとが、平行又は反平行となった状態を検出する。言い換えれば、生成部30は、スピン回転子18の磁気モーメントが第1軸L1の一方を向いた状態から第1軸L1の他方を向いた状態へ反転する際に、スピン回転子18の磁気モーメントが第2軸L2に沿って向いた状態(平行又は反平行となった状態)を検出することができる。例えば、生成部30は、取得部36が取得する電流値、電圧値又は抵抗値の変化点あるいは特異点を検出することにより、磁気モーメントが平行又は反平行となった状態と検出する。これにより、生成部30は、スピン回転子18の磁気モーメントが第2軸L2に沿って瞬間的に向いた状態のときに立ち上がるパルスを生成する。

【0032】
上記構成を有するパルス生成装置10は、以下のように動作する。まず、スピン注入子14の端子部14aとチャネル部12の端子部12aとの間に電流が印加される。これにより、スピン注入子14の磁化方向と同じ方向となるスピン流がチャネル部12へ注入される。チャネル部12に注入されたスピンは、チャネル部12の両端部へ拡散する。電荷を伴わないスピン流が、スピン注入子14側からスピン回転子18側へ向けて発生する。チャネル部12に流れるスピン流は、スピン回転子18の磁気モーメントにスピン角運動量を運ぶ。なお、チャネル部12にスピン流を注入する方法は、非局所手法に限定されない。

【0033】
なお、スピン回転制御部16の印加電圧によって、チャネル部12に流れるスピンの向きを制御してもよい。例えば、チャネル部12を流れるスピン流のスピンは、スピン軌道相互作用によって歳差運動しており、このスピン軌道相互作用がスピン回転制御部16によって印加された電圧による電界によって制御されてもよい。

【0034】
ここで、図3を参照して、スピン回転子18における磁気モーメントの反転について説明する。図3は、一実施形態のパルス生成装置10の動作原理を説明するための概略図である。図3の(a)から図3の(c)のそれぞれには、スピン回転子18及びスピン回転子18の磁気モーメントM(図中白矢印)が示されている。図3の(a)では、歳差運動が励起される前の磁気モーメントMの状態が示されている。図3の(b)では、磁気モーメントMの緩和過程において、第2軸L2に沿って向いた状態が示されている。図3の(c)では、反転した磁気モーメントMが再び第1軸L1に沿って向いた状態が示されている。

【0035】
スピン回転子18は、上述したように、第1軸L1が磁化容易軸であり、磁気モーメントMは、第1軸L1に沿った方向を向いている(図3の(a)参照)。スピン流の注入により、スピン角運動量が伝達され、電子の磁気モーメントの歳差運動が励起される。なお、巨視的にみても、磁気モーメントMの歳差運動が励起されるといえる。磁気モーメントMの歳差運動が励起されると、磁気モーメントMは、第1軸L1まわりに歳差運動をする。流入したスピンと磁気モーメントMとにおける角運動量保存則から、磁気モーメントMには、磁気モーメントMを反転させる方向に力が加えられる。磁気モーメントMの歳差運動が増幅し、歳差運動が臨界に達すると、スピン回転子18の磁気モーメントMが第1軸L1の一方を向いた状態から第1軸L1の他方を向いた状態へ高速で反転する。このとき、磁気モーメントMは、図3の(b)に示されるように、基板24の面内方向における磁化容易軸方向、つまり、第2軸L2に沿って向いた状態となる。このように、磁気モーメントMは、第1軸L1及び第2軸L2を含む平面S内を回転する。そして、図3の(c)に示されるように、磁気モーメントMは、再び第1軸L1に沿った状態となる。

【0036】
次に、生成部30によるスピン回転子18の磁気モーメントMの向き検出手法について詳細を説明する。図4は、一実施形態に係るスピン生成装置によって生成されるパルスを説明する概要図である。図4の(a)は、スピン回転子18における磁気モーメントMの磁化方向の時間変化を示すグラフである。図4の(a)の横軸は時間を示し、図4の(a)の縦軸は磁化の大きさを示している。図4の(a)では、基板24の面直方向上向きの磁気モーメントMの磁化を正の値、面直方向下向きの磁気モーメントの磁化を負の値として示している。つまり、図4の(a)では、測定時間T0における磁化方向の時間変化が示されている。測定時間T0は、スピン回転子18にスピンが流入し、磁気モーメントMが磁気的に安定した状態から反転し、再び磁気的に安定した状態に至るまでの時間である。測定時間T0は、例えば数n(ナノ)秒である。図4の(b)は、取得部36により取得された検出値の時間変化を示すグラフである。図4の(b)の横軸は時間を示し、図4の(b)の縦軸は取得部36により取得された検出値を示している。つまり、図4の(b)では、図4の(a)と同じ測定時間T0における検出値の時間変化が示されている。なお、検出値は、一例として電流値である。

【0037】
測定が開始されると、取得部36は、スピン回転子18の磁気モーメントMの向きを測定する。図4の(a)に示されるように、取得部36は、スピン回転子18の磁気モーメントMが第1軸L1に沿って向いた状態を検出する。このとき、スピン回転子18の磁気モーメントMは、第1軸L1に沿って向いた状態で磁気的に安定している(図3の(a)参照)。そして、スピンが注入されると、磁気モーメントMがスピン角運動量を受け取り、磁気モーメントMの歳差運動が開始される。そして、スピン注入から所定時間が経過すると、磁気モーメントMの歳差運動が増幅する。磁気モーメントMの歳差運動が増幅するにつれ、検出される第1軸L1方向の磁気モーメントMの成分が徐々に少なくなる。

【0038】
歳差運動が臨界に達すると、スピン回転子18の磁気モーメントMは、時間T1で反転し、第2軸L2に沿って向いた状態を通過し、再び第1軸L1に沿った方向に向いた状態となり磁気的に安定する(図3の(b)及び(c)参照)。反転過程において、磁気モーメントMは、第1軸L1方向の一方から他方へ高速に反転する。時間T1は例えば、数p(ピコ)秒である。このとき、図4の(b)に示されるように、取得部36により磁気モーメントMが第2軸L2に沿って向いた状態が検出される。反転過程における磁気モーメントMの反転速度は、例えば強磁性材料のダンピング定数に依存する。磁気モーメントMが第2軸L2に沿って向いた状態の時間T2は、例えば数p(ピコ)秒である。このため、取得部36が検出する検出値は、波形の立ち上がり成分又は立ち下がり成分の幅が短いパルスとなる。このように取得部36が検出する検出値には、例えば、波形の立ち上がり成分又は立ち下がり成分が含まれていればよい。本実施形態では、取得部36が検出するパルスは、略矩形波であり、略90度に立ち上がる立ち上がり成分と、略90度に立ち下がる立下り成分とを有する。よって、生成部30は、長方形又は正方形の形状の矩形波パルスを生成する。なお、取得部36が検出する検出値の波形は矩形波に限定されない。すなわち、取得部36が検出する検出値の波形は、三角波であってもよく、のこぎり波であってもよい。取得部36がスピン回転子18の磁気モーメントの向きによって変化する物理量又は物性値を検出することにより、生成部30は、スピン回転子18の磁気モーメントが第2軸L2に沿って瞬間的に向いた状態のときに立ち上がるパルスを生成することができる。

【0039】
以上、本実施形態に係るパルス生成装置10によれば、スピン注入子14とチャネル部12とに電流又は電圧が印加されると、チャネル部12にはスピン回転子18へ向かうスピン流が生じる。チャネル部12に流れるスピン流は、スピン回転子18の磁気モーメントMに対してスピントランスファートルク(Spin-Transfer Torque)として作用する。すなわち、歳差運動している磁気モーメントMはスピン流からスピン角運動量を受け取ると、磁気モーメントMには回転力が加えられる。これにより磁気モーメントMの歳差運動が増幅され、当該歳差運動が臨界に達すると、磁気モーメントMの向きが第1軸L1の一方の側から他方の側へ反転する。磁気モーメントMは、第1軸L1に沿って向いている状態が最も磁気的に安定しているため、歳差運動が臨界に達した磁気モーメントMは、第1軸L1の一方の側から他方の側へ高速で反転する。つまり、磁気モーメントMは、反転過程において瞬間的に第2軸L2に沿って向く状態となる。このとき、生成部30により、磁気モーメントMが第2軸L2に沿って瞬間的に向いた状態が検出され、磁気モーメントMが第2軸L2に沿って瞬間的に向いた状態のときに立ち上がるパルスが生成される。これにより、パルス幅の短いパルスを生成することができる。

【0040】
また、一実施形態に係るパルス生成装置10によれば、スピン回転子18が基板24の面内方向の断面形状が楕円形状であり、第2軸L2が楕円形状の長軸であるため、スピン回転子18の磁気モーメントMが反転するときの磁気モーメントMの向きが制限される。つまり、第1軸L1に直交する第2軸L2を一方向に特定することができるので、スピン回転子18の磁気モーメントMが第2軸L2に沿って向いた状態を容易に検知することができる。ただし、スピン回転子18はこれに限定されず、スピン回転子18はドット形状あるいは円柱形状であってもよい。この場合、外場で制御することにより、スピンの向きを制御し、緩和する面で検出することができる。

【0041】
また、一実施形態に係るパルス生成装置10によれば、スピン注入子14は、第1軸L1と平行な方向に磁化を有していることから、スピン注入子14からチャネル部12に流入するスピンの向きと、チャネル部12からスピン回転子18に流入するスピンの向きとが同一になるため、スピン注入子14の磁化方向と同じ向きのスピン状態を有するスピン流がスピン回転子18に流入する。スピン回転子18の磁気モーメントMに対して角度を有して流入したスピンが作用する場合に比べて、スピン回転子18の磁気モーメントMに作用するスピントランスファートルクの寄与が大きくなる。よって、スピン回転子18の磁気モーメントMは、効率良くスピントランスファートルクを受け取ることができる。

【0042】
また、一実施形態に係るパルス生成装置10によれば、基板24の面直方向に磁気モーメントMを有するスピン回転子18を備えるため、複数のスピン回転子を基板に配列する場合、基板24の面内方向に磁気モーメントを有するスピン回転子よりも、高密度に磁気モーメントを配列させることができる。

【0043】
また、一実施形態に係るパルス生成装置10によれば、生成部30は、スピン回転子18をいわゆるスピンバルブ素子のフリー層として機能させることができる。これにより、スピン回転子18中の磁気モーメントMの状態を検出することができる。

【0044】
また、一実施形態に係るパルス生成装置10によれば、チャネル部12が二次元電子ガス層22及び半導体層20で形成されているため、二次元電子ガス層22からスピンが供給される。このため、チャネル部12におけるスピン角運動量の伝搬を効率良く行うことができる。

【0045】
また、一実施形態に係るパルス生成装置10によれば、スピン回転子18は、チャネル部12の長手方向に直交する方向の幅がチャネル部12の線幅以下になるように形成されているため、チャネル部12のスピン角運動量をスピン回転子18へ効率良く伝搬させることができる。

【0046】
さらに、一実施形態に係るパルス生成装置10によれば、スピン注入子14に近いチャネル部12の端部に電流印加用の端子部12aが形成されていることから、電荷の流れを伴わないスピン流を発生させてスピン回転子18の磁気モーメントを回転させることができる。このため、ジュール熱の発生を抑えることができるため、安定動作可能なパルス生成装置10とすることができる。

【0047】
上述した実施形態は、本発明に係るパルス生成装置10の一例を示すものであり、実施形態に係るパルス生成装置10に限られるものではなく、変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。

【0048】
[変形例1]
実施形態に係るパルス生成装置10として、スピン回転子18が形状磁気異方性により垂直磁気異方性を有する例を示したが、これに限定されない。スピン回転子18は、結晶磁気異方性によって垂直磁気異方性を実現してもよい。この場合、スピン回転子18は、例えば、L1型FeNi規則合金やFePtなどL1結晶構造を持つ磁性材料をエピタキシャル成長させて形成されてもよいし、(Co/Pt)多層膜やCoFeB/MgOなどの多層構造をエピタキシャル成長させて形成されてもよい。これにより、結晶磁気異方性により生じる磁化容易軸を第1軸L1とすることができる。このような場合でも、磁気モーメントMの反転を利用してパルス幅の短いパルスを生成することができる。

【0049】
[変形例2]
実施形態に係るパルス生成装置10として、基板24の面内方向のスピン回転子18の断面形状が楕円形状である例を示したが、これに限定されない。スピン回転子18の基板の面内方向の断面形状は、当該形状の外郭線における第2軸L2に交差する方向に最も離間した2点間の距離よりも、当該形状の外郭線における第2軸L2方向に最も離間した2点間の距離の方が長くてもよい。なお、第2軸L2と交差する方向は、第2軸L2と直交する方向であってもよい。形状磁気異方性により、第2軸L2方向に磁気モーメントMが向きやすくなるため、反転過程の磁気モーメントMの向きを制御することができる。このため、第2軸L2を一方向に特定することができるので、スピン回転子18の磁気モーメントMが第2軸L2に沿って向いた状態を容易に検知することができる。

【0050】
[変形例3]
実施形態に係るパルス生成装置10として、単位体積あたりの磁気モーメントの総和である磁化として磁気モーメントMの反転を検出する場合を示したが、これに限定されない。例えば、スピン回転子18の局所的な磁気モーメントMを観測してもよい。この場合、例えば、スピン回転子18の局所磁化を用いて磁気モーメントMの反転を検出することができる。

【0051】
[変形例4]
実施形態に係るパルス生成装置10として、スピン回転子18が垂直磁気異方性を有する例を示したが、これに限定されない。例えば、スピン回転子18は、面内磁気異方性を有していてもよい。この場合、第1軸L1が基板24の面内方向となる。このとき、スピン注入子14は基板24の面内方向に向いた磁気モーメントを有している。また、スピン注入子14とスピン回転子18とが面内方向に磁化を有している場合、生成部30が備える固定層34は、面直方向と平行又は反平行に磁気モーメントが固定されている。このように構成すると、スピン回転子18の磁気モーメントの向きと固定層34の磁気モーメントの向きとに依存して、スピン回転子18と固定層34との間の抵抗値が変化する。よって、生成部30が備える取得部36は、スピン回転子18の磁気モーメントが第1軸L1の一方を向いた状態から第1軸L1の他方を向いた状態へ反転する際に、スピン回転子18の磁気モーメントが第2軸L2に沿って向いた状態を検出することができる。

【0052】
[変形例5]
実施形態に係るパルス生成装置10として、生成部30がスピン回転子18をいわゆるスピンバルブ素子のフリー層として機能させることで、磁気モーメントMの向きを検出する例を示したが、これに限定されない。例えば、生成部30は、磁気光学効果を用いて磁気モーメントMの向きを検出してもよい。あるいは、スピン回転子18の磁気モーメントMが第2軸L2に沿って向いた状態となったときの漏洩磁場を検出してもよい。例えば、生成部30は、磁気ヘッドなどに用いられる周知の漏洩磁場検出部を有し、当該検出部をスピン回転子18の周囲に配置すればよい。当該検出部は、スピン回転子18の漏洩磁場が伝達される範囲に配置されればよく、例えば、スピン回転子18から数10nm以下の範囲に配置される。

【0053】
[変形例6]
実施形態に係るパルス生成装置10は、基板24上に積層・エッチングなどを行うことにより製造されてもよい。この場合、従来の半導体技術で容易に製造可能である。また、非磁性金属のスピン拡散長は、室温において数100nm程度であるのに対して、半導体はスピン拡散長が1桁以上長い。このため、チャネル部12を半導体材料で形成することにより、スピン注入子14とスピン回転子18とを他の非磁性体を採用した場合に比べて離間させて形成することができる。したがって、他の非磁性材料を採用した場合に比べて製造工程において厳密な加工精度が要求されることがなく、容易にパルス生成装置10を作成することが可能となる。

【0054】
[変形例7]
パルス生成装置10は、例えば、発振器の一部品(発振器用の部品)として利用することもできる。パルス生成装置10は、パルスの生成を連続的に行うことで発振器の一部品として利用され得る。パルス生成装置10を用いた発振器は、例えば、2つの磁気モーメントの向きが一致したときにだけ電流が流れる磁気抵抗効果を利用してもよい。スピン回転子18と非磁性体部材を介して接触させた強磁性体の磁気モーメントの向きと、スピン回転子18の磁気モーメントとの向きとを利用した磁気抵抗効果により、スピン回転子18の回転数に応じて発振させる構造としてもよい。

【0055】
[変形例8]
実施形態に係るパルス生成装置10として、スピン注入子14、スピン回転制御部16及びスピン回転子18は、チャネル部12と直接接合されている例を示したが、スピン注入子14、スピン回転制御部16及びスピン回転子18の少なくとも1つが、チャネル部12と絶縁層を介して接合されていてもよい。このように構成した場合であっても、パルス生成装置10として機能させることができる。

【0056】
[変形例9]
実施形態に係るパルス生成装置10として、スピン注入子14及びスピン回転子18がチャネル部12よりも上方に配置される例を示したが、スピン注入子14及びスピン回転子18は、チャネル部12と少なくとも一部が接触した状態となっていれば、どのように配置されていてもよい。すなわち、スピン注入子14及びスピン回転子18は、チャネル部12の側方に配置されてもよい。また、スピン回転子18の幅はチャネル部12の線幅以上であってもよい。

【0057】
[変形例10]
実施形態に係るパルス生成装置10として、面内方向に流れるスピン流を用いて磁化反転を行う例を示したが、これに限定されない。例えば、面直方向に磁化を有する強磁性トンネル接合を構成した部材に対して面直方向に電流を流すことにより、スピントランスファートルクを用いた磁化反転を実現してもよい。

【0058】
[変形例11]
実施形態に係るパルス生成装置10として、いわゆる非局所手法によって電荷の流れを伴わないスピン流を発生させてスピン回転子18を回転させる例を示したが、これに限定されない。スピン回転子18に近いチャネル部12の端部に電流印加用の端子部12aを形成し、端子部14aから端子部12aへ流れる電流を生じさせることにより、チャネル部12にスピン流を発生させ、スピン回転子18を回転させてもよい。すなわち、いわゆる局所手法によって電荷の流れを伴うスピン流をチャネル部12に発生させてスピン回転子18の磁気モーメントを回転させてもよい。この場合、非局所手法の場合に比べて電流密度を大きくすることができるため、スピントルクを大きくすることが可能となる。よって、効率良くスピン回転子18の磁気モーメントを回転させることができる。

【0059】
[変形例12]
実施形態に係るパルス生成装置10として、一つのパルス生成装置によりパルスが生成されることを示したが、これに限定されない。例えば、パルス生成装置10を複数配列し、連続してパルス波形が生成される構成を採用してもよい。この場合、連続したパルスは、複数のパルス生成装置10が有する生成部30のそれぞれにより検出されてもよく、複数のパルス生成装置10が共通の生成部30により検出されてもよい。このように構成すると、連続するパルスを生成することができるため、電子回路の同期信号として用いることができる。

【0060】
[変形例13]
実施形態に係るパルス生成装置10として、パルス生成装置10の各構成部材の大きさがナノオーダーの部材である場合も含むように説明しているが、各構成部材の大きさをマイクロオーダーで形成し、マイクロスケールのパルス生成装置としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
パルス生成装置10は、産業上、以下のような利用可能性を有している。パルス生成装置10は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)又は、NEMS(Nano Electro Mechanical Systems)などの分野におけるパルス生成装置として利用することができる。また、パルス生成装置10は、例えば電子分野、電気分野、及び医療関係分野における機器部品として使用できる。パルス生成装置10は、半導体装置に内蔵することができる。
【符号の説明】
【0062】
10…パルス生成装置、12…チャネル部、14…スピン注入子、16…スピン回転制御部、18…スピン回転子、20…半導体層、22…二次元電子ガス層、24…基板、30…生成部、32…中間層、34…固定層、36…取得部、L1…第1軸、L2…第2軸、M…磁気モーメント。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3