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明細書 :高密度微小チャンバーアレイおよびこれを用いた測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年3月22日(2018.3.22)
発明の名称または考案の名称 高密度微小チャンバーアレイおよびこれを用いた測定方法
国際特許分類 B81B   7/04        (2006.01)
G01N  37/00        (2006.01)
G01N  33/68        (2006.01)
B01J  19/00        (2006.01)
G01N  33/544       (2006.01)
FI B81B 7/04
G01N 37/00 102
G01N 33/68
B01J 19/00 321
G01N 33/544 A
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 32
出願番号 特願2017-523637 (P2017-523637)
国際出願番号 PCT/JP2016/066834
国際公開番号 WO2016/199741
国際出願日 平成28年6月7日(2016.6.7)
国際公開日 平成28年12月15日(2016.12.15)
優先権出願番号 2015116045
優先日 平成27年6月8日(2015.6.8)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】渡邉 力也
【氏名】野地 博行
【氏名】曽我 直樹
出願人 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
個別代理人の代理人 【識別番号】230104019、【弁護士】、【氏名又は名称】大野 聖二
【識別番号】100149076、【弁理士】、【氏名又は名称】梅田 慎介
審査請求 未請求
テーマコード 2G045
3C081
4G075
Fターム 2G045DA36
3C081AA13
3C081BA04
3C081BA23
3C081BA32
3C081BA72
3C081CA02
3C081CA14
3C081CA15
3C081DA06
3C081DA10
3C081DA22
3C081DA27
3C081EA27
3C081EA28
3C081EA29
4G075AA15
4G075AA39
4G075AA56
4G075AA63
4G075AA65
4G075BA10
4G075CA02
4G075CA13
4G075DA02
4G075DA18
4G075EA06
4G075EB50
4G075EC21
4G075FB02
4G075FB06
4G075FB11
4G075FC04
4G075FC20
要約 透光性を有する平坦な基板と、複数の微小チャンバーが設けられた疎水層と、複数の微小チャンバーの開口部に形成された脂質二重膜とを備え、それぞれの微小チャンバー内に電極が設けられており、基板において、疎水層が設けられている側を上方とするとき、下記A)およびB)の少なくともいずれか一方を満たすことにより、基板の下方から基板へと入射した光が基板を透過して微小チャンバーの内部へと進入し、かつ、微小チャンバーの内部から基板へと入射した光が基板を透過して基板の下方へと脱出するように構成されている。A)電極が、それぞれの微小チャンバーの内側面に設けられている。B)電極が、それぞれの微小チャンバーの底面に透明電極として設けられている。
特許請求の範囲 【請求項1】
透光性を有する平坦な基板と、
前記基板上に設けられ疎水性物質からなる層であって、複数の微小チャンバーの開口部が該層の主面上に規則的かつ高密度に配列するよう設けられ、前記微小チャンバーの容量が4000×10-18以下である、疎水層と、
試験用液体が満たされた状態の前記複数の微小チャンバーの開口部に前記試験用液体を封止するように形成された脂質二重膜とを備え、
それぞれの前記微小チャンバー内に電極が設けられており、
前記基板において、前記疎水層が設けられている側を上方とするとき、
下記A)およびB)の少なくともいずれか一方を満たすことにより、前記基板の下方から前記基板へと入射した光が前記基板を透過して前記微小チャンバーの内部へと進入し、かつ、前記微小チャンバーの内部から前記基板へと入射した光が前記基板を透過して前記基板の下方へと脱出するように構成されている、
高密度微小チャンバーアレイ。
A)前記電極が、それぞれの前記微小チャンバーの内側面に設けられている。
B)前記電極が、それぞれの前記微小チャンバーの底面に透明電極として設けられている。
【請求項2】
前記電極が金属であって、それぞれの前記微小チャンバーの内側面に設けられている、請求項1に記載の高密度微小チャンバーアレイ。
【請求項3】
前記金属がクロムである、請求項2に記載の高密度微小チャンバーアレイ。
【請求項4】
前記微小チャンバーの内部に、生体高分子が集積されている、請求項1ないし3のいずれかに記載の高密度微小チャンバーアレイ。
【請求項5】
さらに、前記脂質二重膜の上方に反対電極を備える、請求項1ないし4のいずれかに記載の高密度微小チャンバーアレイ。
【請求項6】
前記微小チャンバーが形成された面が底面となる液体流路を備える、
請求項1ないし5のいずれかに記載の高密度微小チャンバーアレイ。
【請求項7】
請求項5に記載の高密度微小チャンバーアレイと、
前記電極と前記反対電極との間に電圧を印加する電圧印加装置とを備える、
高密度微小チャンバーアレイシステム。
【請求項8】
請求項2または3に記載の高密度微小チャンバーアレイと、
前記電極内を前記基板と平行に電流を流すことで前記電極を発熱させる電流印加装置とを備える、
高密度微小チャンバーアレイシステム。
【請求項9】
さらに、前記脂質二重膜の上方に設けられた反対電極と、
前記電極と前記反対電極との間に電圧を印加する電圧印加装置とを備える、
請求項8に記載の高密度微小チャンバーアレイシステム。
【請求項10】
透光性を有する平坦な基板と、前記基板上に設けられた疎水性物質からなる層であって、複数の微小チャンバーの開口部が該層の主面上に規則的かつ高密度に配列するよう設けられ、前記微小チャンバーの容量が4000×10-18以下である、疎水層とを備え、それぞれの前記微小チャンバー内に電極が設けられており、前記基板において、前記疎水層が設けられている側を上方とするとき、下記A)およびB)の少なくともいずれか一方を満たすことにより、前記基板の下方から前記基板へと入射した光が前記基板を透過して前記微小チャンバーの内部へと進入し、かつ、前記微小チャンバーの内部から前記基板へと入射した光が前記基板を透過して前記基板の下方へと脱出するように構成されている、高密度微小チャンバーアレイを用意し、
前記複数の微小チャンバーの開口部に脂質二重膜を形成し、ここで前記脂質二重膜は膜タンパク質を保持するものであり、
前記電極と前記脂質二重膜の上方に設けられた反対電極との間に電圧を印加することで前記膜タンパク質の性質を変化させる、
膜タンパク質の解析方法。
A)前記電極が、それぞれの前記微小チャンバーの内側面に設けられている。
B)前記電極が、それぞれの前記微小チャンバーの底面に透明電極として設けられている。
【請求項11】
透光性を有する平坦な基板と、前記基板上に設けられた疎水性物質からなる層であって、複数の微小チャンバーの開口部が該層の主面上に規則的かつ高密度に配列するよう設けられ、前記微小チャンバーの容量が4000×10-18以下である、疎水層とを備え、それぞれの前記微小チャンバー内に電極が設けられており、前記基板において、前記疎水層が設けられている側を上方とするとき、下記A)およびB)の少なくともいずれか一方を満たすことにより、前記基板の下方から前記基板へと入射した光が前記基板を透過して前記微小チャンバーの内部へと進入し、かつ、前記微小チャンバーの内部から前記基板へと入射した光が前記基板を透過して前記基板の下方へと脱出するように構成されている、高密度微小チャンバーアレイを用意し、
前記電極に電圧を印加することで、前記複数の微小チャンバーの内部に生体高分子を集積し、その後、
前記複数の微小チャンバーの開口部に前記生体高分子を封止するように脂質二重膜を形成する、方法。
A)前記電極が、それぞれの前記微小チャンバーの内側面に設けられている。
B)前記電極が、それぞれの前記微小チャンバーの底面に透明電極として設けられている。
【請求項12】
請求項2または3に記載の高密度微小チャンバーアレイを用意し、
前記電極に電流を流すことで前記電極を発熱させることで、前記微小チャンバー内に封止された前記試験用液体の温度を制御する、方法。
【請求項13】
請求項5に記載の高密度微小チャンバーアレイを用意し、
前記電極と前記反対電極との間に電流を印加することにより前記脂質二重膜に細胞を融合させることで、前記細胞由来の膜タンパク質を前記脂質二重膜へと移行させる、方法。
【請求項14】
前記高密度微小チャンバーアレイを用意するステップは、前記脂質二重膜の上方に反対電極を設けるステップを含み、
前記膜タンパク質は、前記電極と前記反対電極との間に電流を印加することにより前記脂質二重膜に細胞を融合させることで前記脂質二重膜へと導入された、前記細胞由来の膜タンパク質である、請求項10に記載の膜タンパク質の解析方法。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度微小チャンバーアレイおよびこれを用いた測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、平坦な基板と、基板の表面に疎水性の物質により規則的に高密度に配列するよう形成された容量が4000×10-18以下の複数の微小チャンバーと、試験用水溶液が満たされた状態の複数の微小チャンバーの開口部に試験用水溶液を液封するよう形成された脂質二重膜とを備える高密度微小チャンバーアレイを開示する。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開第2015-040754号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の高密度微小チャンバーアレイを基礎として、その応用技術の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の側面にかかる高密度微小チャンバーアレイは、透光性を有する平坦な基板と、前記基板上に設けられ疎水性物質からなる層であって、複数の微小チャンバーの開口部が該層の主面上に規則的かつ高密度に配列するよう設けられ、前記微小チャンバーの容量が4000×10-18以下である、疎水層と、試験用液体が満たされた状態の前記複数の微小チャンバーの開口部に前記試験用液体を封止するように形成された脂質二重膜とを備え、それぞれの前記微小チャンバー内に電極が設けられており、前記基板において、前記疎水層が設けられている側を上方とするとき、下記A)およびB)の少なくともいずれか一方を満たすことにより、前記基板の下方から前記基板へと入射した光が前記基板を透過して前記微小チャンバーの内部へと進入し、かつ、前記微小チャンバーの内部から前記基板へと入射した光が前記基板を透過して前記基板の下方へと脱出するように構成されている。
A)前記電極が、それぞれの前記微小チャンバーの内側面に設けられている。
B)前記電極が、それぞれの前記微小チャンバーの底面に透明電極として設けられている。
【0006】
第2の側面にかかる膜タンパク質の解析方法は、透光性を有する平坦な基板と、前記基板上に設けられた疎水性物質からなる層であって、複数の微小チャンバーの開口部が該層の主面上に規則的かつ高密度に配列するよう設けられ、前記微小チャンバーの容量が4000×10-18以下である、疎水層とを備え、それぞれの前記微小チャンバー内に電極が設けられており、前記基板において、前記疎水層が設けられている側を上方とするとき、下記A)およびB)の少なくともいずれか一方を満たすことにより、前記基板の下方から前記基板へと入射した光が前記基板を透過して前記微小チャンバーの内部へと進入し、かつ、前記微小チャンバーの内部から前記基板へと入射した光が前記基板を透過して前記基板の下方へと脱出するように構成されている、高密度微小チャンバーアレイを用意し、前記複数の微小チャンバーの開口部に脂質二重膜を形成し、ここで前記脂質二重膜は膜タンパク質を保持するものであり、前記電極と前記脂質二重膜の上方に設けられた反対電極との間に電圧を印加することで前記膜タンパク質の性質を変化させる。
A)前記電極が、それぞれの前記微小チャンバーの内側面に設けられている。
B)前記電極が、それぞれの前記微小チャンバーの底面に透明電極として設けられている。
【0007】
第3の側面にかかる方法は、透光性を有する平坦な基板と、前記基板上に設けられた疎水性物質からなる層であって、複数の微小チャンバーの開口部が該層の主面上に規則的かつ高密度に配列するよう設けられ、前記微小チャンバーの容量が4000×10-18以下である、疎水層とを備え、それぞれの前記微小チャンバー内に電極が設けられており、前記基板において、前記疎水層が設けられている側を上方とするとき、下記A)およびB)の少なくともいずれか一方を満たすことにより、前記基板の下方から前記基板へと入射した光が前記基板を透過して前記微小チャンバーの内部へと進入し、かつ、前記微小チャンバーの内部から前記基板へと入射した光が前記基板を透過して前記基板の下方へと脱出するように構成されている、高密度微小チャンバーアレイを用意し、前記電極に電圧を印加することで、前記複数の微小チャンバーの内部に生体高分子を集積し、その後、前記複数の微小チャンバーの開口部に前記生体高分子を封止するように脂質二重膜を形成する。
A)前記電極が、それぞれの前記微小チャンバーの内側面に設けられている。
B)前記電極が、それぞれの前記微小チャンバーの底面に透明電極として設けられている。
【発明の効果】
【0008】
高密度微小チャンバーアレイの応用技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイの概略構成の一例を示す平面図である。
【図2】図2は、第1実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイの図1におけるA-A断面および該断面の一部を拡大して示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイシステムの一例を示す概念図である。
【図4】図4は、第1実施形態の変形例にかかる高密度微小チャンバーアレイの概略構成を示す平面図である。
【図5】図5は、第1実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイの製造方法の一例を示す工程図である。
【図6】図6は、第1実施形態における微小チャンバーデバイスの形成(工程S100)の一例を示す工程図である。
【図7】図7は、第1実施形態における脂質二重膜の形成(工程S120)の一例を示す工程図である。
【図8A】図8Aは、第1実施形態の微小チャンバーデバイスの形成において、基板を用意する工程を示す図である。
【図8B】図8Bは、第1実施形態の微小チャンバーデバイスの形成において、基板上に電極層を形成する工程を示す図である。
【図8C】図8Cは、第1実施形態の微小チャンバーデバイスの形成において、電極層上に物質膜を形成する工程を示す図である。
【図8D】図8Dは、第1実施形態の微小チャンバーデバイスの形成において、物質膜上にレジストを形成する工程を示す図である。
【図8E】図8Eは、第1実施形態の微小チャンバーデバイスの形成において、レジストをパターニングする工程を示す図である。
【図8F】図8Fは、第1実施形態の微小チャンバーデバイスの形成において、パターニングされたレジストをマスクとして物質膜をエッチングする工程を示す図である。
【図8G】図8Gは、第1実施形態の微小チャンバーデバイスの形成において、レジストを除去する工程を示す図である。
【図8H】図8Hは、第1実施形態の微小チャンバーデバイスの形成において、パターニングされた物質膜をマスクとして電極層をエッチングする工程を示す図である。
【図9A】図9Aは、第1実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイでの脂質二重膜の形成において、試験用液体で液体流路を満たす工程を示す図である。
【図9B】図9Bは、第1実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイでの脂質二重膜の形成において、脂質を含有する有機溶媒を導入する工程を示す図である。
【図9C】図9Cは、第1実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイでの脂質二重膜の形成において、膜形成用液体を導入する工程を示す図である。
【図10】図10は、第1実験例における、印加電圧(破線)と蛍光強度(実線)の変化を示す図である。
【図11】図11は、第2実験例における、蛍光強度の時間変化と膜電位との関係を示す図である。
【図12】図12は、第2実験例における、F型ATP合成酵素のプロトン輸送速度(縦軸)と膜電位の大きさ(横軸)との関係を示す図である。
【図13】図13は、第2実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイシステムの概略構成の一例を示す図である。
【図14】図14は、第3実施形態において生体高分子が集積された高密度微小チャンバーアレイの概略構成の一例を示す図である。
【図15】図15は、第3実施形態における生体高分子集積高密度微小チャンバーアレイの製造方法の一例を示す工程図である。
【図16A】図16Aは、第4実施形態の脂質二重膜へと細胞を融合させる方法において、液体流路に細胞を導入する工程を示す図である。
【図16B】図16Bは、第4実施形態の脂質二重膜へと細胞を融合させる方法において、細胞が脂質二重膜へと融合された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
脂質二重膜を介して生じる種々の生体分子反応、例えば膜輸送過程や膜透過反応、膜表面での酵素反応などでは、反応生成物の拡散に長時間かかることや、酵素活性に伴った物質濃度の変化は極めて緩やかであることなどから、脂質二重膜を介して生じる種々の生体分子反応を高感度に検出することが困難となりやすい。チャンバーの容量が大きいとチャンバー内の濃度変化が小さくなり、濃度変化としての検出が困難となる。チャンバー数が少ないと、生体分子の反応が極めて遅いために、全てのチャンバーで反応が生じない場合が生じ、検出が困難となる。したがって、脂質二重膜により液封された極めて容量が小さな多数の微小チャンバーが高密度で形成された高密度微小チャンバーアレイが必要となる。特許文献1は、かかる高密度微小チャンバーアレイを開示する。しかしながら、その応用技術については未検討の部分があった。

【0011】
発明者は、従来の高密度微小チャンバーアレイの応用技術を見出すべく、鋭意検討した。その結果、以下の知見を得た。なお、以下の知見はあくまで本発明をなすきっかけとなったものであり、本発明を限定するものではない。

【0012】
すなわち、上記高密度微小チャンバーアレイが開発されたことにより、膜タンパクによる膜横断型の物質輸送等の計測が効率的に実施可能となった。ところで、膜タンパクの活性は膜電位の影響を受ける場合がある。生体内では、イオンの能動輸送により膜電位が積極的に制御され、これにより膜タンパクの活性が調節されている場合もある。高密度微小チャンバーアレイに形成した脂質二重膜において膜電位を制御することができれば、膜タンパクの性質をより詳細に解明できる可能性がある。しかしながら、従来の高密度微小チャンバーアレイでは膜電位の制御ができなかった。

【0013】
かかる洞察に基づき、発明者は、従来の高密度微小チャンバーアレイにおいて、チャンバー内部に電極を形成することで、脂質二重膜の膜電位を制御しうることに想到した。電極を用いて膜電位を制御することで、膜タンパクの性質が膜電位によってどのように変化するかを測定することが可能となった。

【0014】
電極をチャンバー内部に設けることは、従来の高密度微小チャンバーアレイについてのさらなる応用面も切り拓くことになった。すなわち、電極に電流を印加することで発熱させれば、チャンバーの温度を制御することが可能になる。電極を用いて電場を発生させることにより、生体高分子等をチャンバー内部に誘引して集積することも可能になる。細胞表面の膜タンパクをチャンバーに張られた脂質二重膜に移行させるには、細胞融合の技術を用いることが可能である。

【0015】
基板等は透光性を有するように構成する。基板の下方から基板へと入射した光が基板を透過して微小チャンバーの内部へと進入し、かつ、微小チャンバーの内部から基板へと入射した光が基板を透過して基板の下方へと脱出するように構成することで、微小チャンバー内の反応を効果的に検出することができる。

【0016】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態はあくまで一例であり、本発明を限定するものではない。

【0017】
以下で説明する実施形態は、いずれも本発明の望ましい一具体例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、あくまで一例であり、本発明を限定するものではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より望ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状及び寸法比等については正確な表示ではない場合がある。また、製造方法においては、必要に応じて、各工程の順序等が変更されてもよいし、他の工程が追加されてもよい。

【0018】
(第1実施形態)
第1実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイは、透光性を有する平坦な基板と、基板上に設けられ疎水性物質からなる層であって、複数の微小チャンバーの開口部が該層の主面上に規則的かつ高密度に配列するよう設けられ、微小チャンバーの容量が4000×10-18以下である、疎水層と、試験用液体が満たされた状態の複数の微小チャンバーの開口部に試験用液体を封止するように形成された脂質二重膜とを備え、それぞれの微小チャンバー内に電極が設けられており、基板において、疎水層が設けられている側を上方とするとき、下記A)およびB)の少なくともいずれか一方を満たすことにより、基板の下方から基板へと入射した光が基板を透過して微小チャンバーの内部へと進入し、かつ、微小チャンバーの内部から基板へと入射した光が基板を透過して基板の下方へと脱出するように構成されている。
A)電極が、それぞれの微小チャンバーの内側面に設けられている。
B)電極が、それぞれの微小チャンバーの底面に透明電極として設けられている。

【0019】
上記高密度微小チャンバーアレイは、さらに、脂質二重膜の上方に反対電極を備えてもよい。

【0020】
上記高密度微小チャンバーアレイは、さらに、微小チャンバーが形成された面が底面となる液体流路を備えてもよい。

【0021】
上記液体流路は、疎水層の上面と、疎水層の上方に配置された天井の下面との間に形成されてもよい。天井は、ガラス板で構成されていてもよい。

【0022】
第1実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイシステムは、上記高密度微小チャンバーアレイと、電極と反対電極との間に電圧を印加する電圧印加装置とを備える。

【0023】
第1実施形態にかかる膜タンパク質の解析方法は、透光性を有する平坦な基板と、基板上に設けられた疎水性物質からなる層であって、複数の微小チャンバーの開口部が該層の主面上に規則的かつ高密度に配列するよう設けられ、微小チャンバーの容量が4000×10-18以下である、疎水層とを備え、それぞれの微小チャンバー内に電極が設けられており、基板において、疎水層が設けられている側を上方とするとき、下記A)およびB)の少なくともいずれか一方を満たすことにより、基板の下方から基板へと入射した光が基板を透過して微小チャンバーの内部へと進入し、かつ、微小チャンバーの内部から基板へと入射した光が基板を透過して基板の下方へと脱出するように構成されている、高密度微小チャンバーアレイを用意し、複数の微小チャンバーの開口部に脂質二重膜を形成し、ここで脂質二重膜は膜タンパク質を保持するものであり、電極と脂質二重膜の上方に設けられた反対電極との間に電圧を印加することで膜タンパク質の性質を変化させる。
A)電極が、それぞれの微小チャンバーの内側面に設けられている。
B)電極が、それぞれの微小チャンバーの底面に透明電極として設けられている。

【0024】
[装置構成]
図1は、第1実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイの概略構成の一例を示す平面図である。図2は、第1実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイの図1におけるA-A断面および該断面の一部を拡大して示す図である。以下、図1および図2を参照しつつ、第1実施形態の高密度微小チャンバーアレイ20の装置構成について説明する。

【0025】
図1および図2に例示されるように、高密度微小チャンバーアレイ20は、基板22と、疎水層24と、脂質二重膜30と、電極23とを備えている。

【0026】
基板22は、透光性を有し、かつ平坦である。基板22は、例えばガラス、アクリル樹脂等で構成されうる。基板22の材料、厚み、および形状等は、基板22の下方から基板22へと入射した光が基板22を透過して微小チャンバー26の内部へと進入し、かつ、微小チャンバー26の内部から基板22へと入射した光が基板22を透過して基板22の下方へと脱出可能であれば特に限定されない。具体的には例えば、厚みは、0.1mm以上5mm以下であってもよいし、0.3mm以上3mm以下であってもよいし、0.7mm以上1.5mm以下であってもよい。平面視における基板22の大きさは特に限定されない。

【0027】
疎水層24は、基板22上に設けられ疎水性物質からなる層である。疎水性物質としては、例えばフッ素樹脂などの疎水性の樹脂、およびガラスなどの樹脂以外の物質が含まれる。疎水層24の厚みは、後述する微小チャンバーの容積に応じて適宜に調整されうる。具体的には例えば、10nm以上100μm以下であってもよいし、100nm以上5μm以下であってもよいし、250nm以上1μm以下であってもよい。

【0028】
疎水層24には、複数の微小チャンバー26の開口部が、疎水層24の主面上に規則的かつ高密度に配列するよう設けられている。微小チャンバー26の容量は4000×10-18以下(4000μm以下)である。微小チャンバー26の容量は、例えば、0.1×10-18以上4000×10-18以下であってもよいし、0.5×10-18以上400×10-18以下であってもよいし、1×10-18以上40×10-18以下であってもよい。

【0029】
図1および図2に示すように、微小チャンバー26は、筒状の形状をなしてもよい。図1および図2に示すように、微小チャンバー26は、基板22が底面をなし、疎水層24(または、疎水層24および電極23)が側面をなす、筒状の形状をなしてもよい。

【0030】
微小チャンバー26の容量を4000×10-18以下としているから、第1実施形態の高密度微小チャンバーアレイ20を生体分子反応の検出に用いることにより、微小チャンバー26内の生体分子数を少なくすることができる。この結果、生体分子1個の反応によるチャンバー内の濃度変化を大きくし、濃度変化として検出する際の検出感度を高くすることができ、生体分子の反応が極めて遅くても、生体分子の反応を高感度で検出することができる。また、こうした微小な微小チャンバー26を高密度に多数形成したアレイとしているから、生体分子の反応が生じる頻度が低くても、いずれかのチャンバーで反応が生じるため、生体分子の反応を高感度で検出することができる。ここで、微小チャンバー26の容量は、試験対象の生体分子の反応速度の大きさや生体分子の含有率などにより定められるものであり、生体分子の反応速度の大きさが大きいものであれば4000×10-18以下とするのが好適であり、生体分子の反応速度の大きさが小さいとき等には、1000×10-18以下や100×10-18以下としてもよい。

【0031】
微小チャンバー26の深さは、例えば、10nm以上100μm以下であってもよいし、100nm以上5μm以下であってもよいし、250nm以上1μm以下であってもよい。

【0032】
微小チャンバー26の開口部は、例えば円形とすることができる。円形とする場合の円の直径は、例えば、0.1μm以上100μm以下であってもよいし、0.5μm以上50μm以下であってもよいし、1μm以上10μm以下であってもよい。

【0033】
規則的とは、例えば、基板の厚み方向から見て、各チャンバーが基板上に、格子状、マトリクス状、千鳥状等に配列することを言う。規則的とは、例えば、各チャンバーが複数の列をなすように一定間隔で配列されていることを意味しうる。

【0034】
高密度とは、例えば、1平方mm(1mm)あたりのチャンバーの数が、0.1×10個以上2000×10個以下であってもよいし、1×10個以上1000×10個以下であってもよいし、5×10個以上100×10個以下であってもよい。1cm(1×10-4[m])当たりに換算すると、10×10個以上200×10個以下であってもよいし、100×10個以上100×10個以下であってもよいし、0.5×10個以上10×10個であってもよい。

【0035】
高密度微小チャンバーアレイ20において、複数の微小チャンバー26は、深さが100μm以下で、円形に換算したときに直径が100μm以下となるよう形成されているものとしたり、深さが2μm以下で、円形に換算したときに直径が10μm以下となるよう形成されているものとしたり、深さが1μm以下で、円形に換算したときに直径が5μm以下となるよう形成されているものとしたりすることもできる。こうすれば、基板20の表面に疎水性物質および電極層による薄膜を形成し、薄膜に複数の微小チャンバー26を形成する手法を用いて高密度微小チャンバーアレイ20を形成することができ、高密度微小チャンバーアレイ20を比較的容易に形成することができる。

【0036】
微小チャンバー26は、それぞれ厚さが500nmを含む所定厚範囲の疎水性物質および電極層による薄膜に、円形に換算したときに直径が1μmを含む所定直径範囲となるよう形成されているものとすることもできる。試験対象の生体分子の反応速度の大きさや生体分子の含有率を考慮すると共に製造の容易さも考慮すると、微小チャンバー26の深さや直径は数百nmから数μmが好適であると考えられる。ここで、「所定厚範囲」は、例えば、500nmの0.1倍の50nm以上で500nmの10倍の5μm以下の範囲としたり、500nmの0.5倍の250nm以上で500nmの2倍の1μm以下の範囲としたりすることができる。「所定直径範囲」は、例えば、1μmの0.1倍の100nm以上で1μmの10倍の10μm以下の範囲としたり、1μmの0.5倍の500nm以上で1μmの2倍の2μm以下の範囲としたりすることができる。

【0037】
「所定厚範囲」は、特に限定されない。例えば、10nm以上500nm以下であってもよいし、20nm以上500nm以下であってもよいし、30nm以上500nm以下であってもよい。「所定厚範囲」は、例えば、10nm以上100nm以下であってもよいし、20nm以上100nm以下であってもよいし、30nm以上100nm以下であってもよい。微小チャンバーの深さを小さく(数十nm)し、微小チャンバーの容積を小さく(数百aL程度)すると、測定感度は更に向上する(Soga, N. et al., 2015, Attolitre-sized lipid bilayer chamber array for rapid detection of single transporters, Scientific Reports, 5:11025)。

【0038】
一例において、それぞれの微小チャンバー26は、厚さDが1μmの疎水層24と電極23に、直径Rが5μmとなるよう形成されている。したがって、それぞれの微小チャンバー26の容量Lは、L=π(2.5×10-6×1×10-6[m]≒19.6×10-18[m]となる。仮に微小チャンバー26を縦横2μmの間隔で配列したものとすると、1つの微小チャンバー26に必要な面積Sは一辺が7μmの正方形となり、S=(7×10-6[m]=49×10-12[m]と計算される。したがって、ガラス基板22には、1cm(1×10-4[m])当たり約2×10個(1平方mm当たり20×10個)の微小チャンバー26が形成されることになる。

【0039】
脂質二重膜30は、試験用液体が満たされた状態の複数の微小チャンバー26の開口部に試験用液体を封止するように形成されている。試験用液体は、脂質二重膜30を形成可能な液体であれば特に限定されないが、具体的には例えば水溶液とすることができる。

【0040】
脂質二重膜30は、脂質の親水基が微小チャンバー26側(図2中、下側)に向いた第1脂質膜32と、脂質の疎水基が微小チャンバー26側(図2中、下側)に向いた第2脂質膜34とが、疎水基が内側になるように重なるように形成されている。第1脂質膜32や第2脂質膜34を構成する脂質としては、大豆や大腸菌由来等の天然脂質、DOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)やDOPG(ジオレオイルホスファチジルグリセロール)等の人工脂質を用いることができる。

【0041】
脂質二重膜30は、膜タンパク質が再構成されているものとすることもできる。こうすれば、高密度微小チャンバーアレイ20を、種々の膜タンパク質を介しての生体分子反応等の検出に用いることができる。膜タンパク質を脂質二重膜30に再構成する方法については後述する。

【0042】
電極23は、それぞれの微小チャンバー26の内部に設けられている。各電極23は互いに電気的に接続されていてもよい。基板22において、疎水層24が設けられている側を上方とするとき、以下のA)およびB)の少なくともいずれか一方を満たす。A)およびB)の両方を満たしてもよい。
A)電極23が、それぞれの微小チャンバー26の内側面に設けられている。
B)電極23が、それぞれの微小チャンバー26の底面に透明電極として設けられている。

【0043】
上記A、すなわち電極が微小チャンバーの内側面に設けられている構成を採用した場合には、上記Bのように透明電極を採用した場合に比べ、底面を通過する光の減衰が少なくなり、測定感度が向上する。上記Bにおいて透明電極表面の親水性が低い場合には、微小チャンバーからの液体の抜け出しが問題となりうるが、上記Aのように電極を微小チャンバーの内側面に設ける場合には、かかる問題が軽減されうる。

【0044】
図2に示す例では、電極23が、それぞれの微小チャンバー26の内側面に設けられている。電極23は、金属で構成されていてもよい。金属としては、例えば、銅、銀、金、白金、アルミ、クロム、塩化銀等を用いることができる。電極23は、金属以外の材料で構成されていてもよい。具体的には例えば、ITO(Indium-Tin-Oxide:酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウムスズと酸化亜鉛とからなる材料)、ZnO、IGZO(インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素から構成される材料)等で構成されていてもよい。

【0045】
電極23の厚みは、例えば、10nm以上100μm以下であってもよいし、100nm以上5μm以下であってもよいし、250nm以上1μm以下であってもよい。

【0046】
かかる構成において、基板22の下方から基板22へと入射した光は、基板22を透過して微小チャンバー26の内部へと進入し、かつ、微小チャンバー26の内部から基板22へと入射した光は、基板22を透過して基板22の下方へと脱出する。

【0047】
電極23を用いて電圧を印加することで、微小チャンバー26内の反応を促進することが可能である。よって、高密度微小チャンバーアレイ20を、検査装置および培養装置等に応用することもできる。

【0048】
図3は、第1実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイシステムの一例を示す概念図である。図3に示す変形例では、高密度微小チャンバーアレイ20Aが、高密度微小チャンバーアレイ20の構成に加え、脂質二重膜30の上方に反対電極27を備えている。以下、図3を参照しつつ、第1実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイシステム100について説明する。

【0049】
図3に例示されるように、高密度微小チャンバーアレイシステム100は、基板22と、疎水層24と、脂質二重膜30と、電極23と、反対電極27と、電圧印加装置28とを備えている。基板22と、疎水層24と、脂質二重膜30と、電極23とについては、上述した通りであるので、詳細な説明を省略する。

【0050】
反対電極27は、脂質二重膜30の上方に設けられた電極である。反対電極27は、複数の微小チャンバー26に跨るように設けられていてもよい。反対電極27は、全ての微小チャンバー26に跨るように設けられていてもよい。反対電極27は、基板22の厚み方向から見た大きさおよび形状が、基板22と略一致していてもよい。反対電極27は、金属で構成されていてもよい。金属としては、例えば、銅、銀、金、アルミ、クロム等を用いることができる。基板22から反対電極27までの距離は、例えば、1μm以上10mm以下であってもよいし、2μm以上1mm以下であってもよいし、10μm以上100μm以下であってもよい。

【0051】
反対電極27は、それぞれの微小チャンバー26に対応するように設けられていてもよい。具体的には例えば、本実施形態にかかる微小チャンバーデバイス(図1、図2参照)を一対、微小チャンバーの開口部が互いに向き合うように張り合わせる場合において、一方の微小チャンバーデバイスの電極が電極23となり、他方の微小チャンバーデバイスの電極が反対電極27とされてもよい。

【0052】
電圧印加装置28は、電極23と反対電極27との間に電圧を印加する。電圧印加装置28は、例えば、直流電圧を印加するものであってもよい。電圧印加装置28としては、具体的には例えば、ファンクションジェネレーター(例えば、株式会社エヌエフ回路設計ブロック製)を用いることができる。

【0053】
電極23と反対電極27との間に電圧を印加することで、微小チャンバー26内の反応を促進することが可能である。よって、高密度微小チャンバーアレイシステム100を、検査装置および培養装置等に応用することもできる。

【0054】
[変形例]
図4は、第1実施形態の変形例にかかる高密度微小チャンバーアレイの概略構成を示す平面図である。以下、図4を参照しつつ、変形例にかかる高密度微小チャンバーアレイ20Bについて説明する。

【0055】
図4に示す例において、高密度微小チャンバーアレイ20Bは、基板22と、疎水層24と、脂質二重膜30と、電極23Tとを備えている。基板22と、疎水層24と、脂質二重膜30とについては、上述した通りであるので、詳細な説明を省略する。

【0056】
電極23Tは、それぞれの微小チャンバー26の底面に透明電極として設けられている。図4に示す例では、電極23Tは、基板22の全面を覆うように構成されている。電極23Tとしては、ITO(Indium-Tin-Oxide:酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウムスズと酸化亜鉛とからなる材料)、ZnO、IGZO(インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素から構成される材料)等で構成されうる。

【0057】
かかる構成でも、基板22の下方から基板22へと入射した光は、基板22および電極23Tを透過して微小チャンバー26の内部へと進入し、かつ、微小チャンバー26の内部から電極23Tおよび基板22へと入射した光は、電極23Tおよび基板22を透過して基板22の下方へと脱出する。

【0058】
本変形例において、電極23Tの厚さは、基板22の下方から基板22へと入射した光が基板22を透過して微小チャンバー26の内部へと進入し、かつ、微小チャンバー26の内部から基板22へと入射した光が基板22を透過して基板22の下方へと脱出可能であれば特に限定されない。

【0059】
なお、微小チャンバー26の内側面に設けられた電極と、底面に透明電極として設けられた電極とを組み合わせて1の電極として構成してもよい。具体的には例えば、図1に示す電極23と、図4に示す電極23Tとを組み合わせて1の電極としてもよい。

【0060】
[製造方法]
以下、第1実施形態の高密度微小チャンバーアレイ20の製造方法について説明する。図5は、第1実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイの製造方法の一例を示す工程図である。

【0061】
第1実施形態の高密度微小チャンバーアレイ20は、まず、脂質二重膜30により開口部が液封されていない微小チャンバーデバイスを形成し(工程S100)、形成した微小チャンバーデバイスに試験用液体を導入し(工程S110)、試験用液体が各微小チャンバー26に満たされた状態で各微小チャンバー26の開口部を液封するように脂質二重膜30を形成して(工程S120)、完成する。微小チャンバーデバイスの形成(工程S100)は、例えば図6に示す工程図により行なわれ、脂質二重膜30の形成(工程S120)は、例えば図7に示す工程図により行なわれる。以下、微小チャンバーデバイスの形成について説明し、その後、脂質二重膜30の形成について説明する。

【0062】
1.微小チャンバーデバイスの形成
微小チャンバーデバイスの形成工程は、例えば、基板22の表面に電極材料と疎水性物質の薄膜を順次形成し、薄膜表面の複数の微小チャンバー26を形成する部分以外の部分にレジストを形成し、ドライエッチングにより疎水性物質の薄膜に複数の微小チャンバー26の一部を形成し、レジストを除去し、さらに疎水性物質の層をマスクとしたウエットエッチングにより電極材料の薄膜に複数の微小チャンバー26の残部を形成するものとすることができる。こうすれば、高精度で比較的容易に高密度微小チャンバーアレイ20を製造することができる。なお、ドライエッチング以外の手法、例えばナノインプリンティングなどの手法を用いて疎水性物質の薄膜に複数の微小チャンバー26の一部を形成するものとしてもよいのは勿論である。

【0063】
図6は、第1実施形態における微小チャンバーデバイスの形成(工程S100)の一例を示す工程図(工程S200~S270)である。図8A~図8Hに微小チャンバーデバイスの形成の各工程の状態を示す。微小チャンバーデバイスの形成は、まず、ガラス基板22のガラス表面を洗浄するための表面処理として、10Mの水酸化カリウム(KOH)溶液にガラス基板22を24時間程度浸す(工程S200、図8A)。

【0064】
次に、ガラス基板22の表面に、真空蒸着装置を用いて金属を蒸着することで、電極層23aを形成する(工程S210、図8B)。金属の種類としては、例えば、銀、金、クロム等を用いることができる。厚みとしては、例えば、500nm程度とすることができる。

【0065】
次に、疎水性の物質(例えば、旭硝子株式会社製のフッ素樹脂(CYTOP))をスピンコートして物質膜24aを形成し、物質膜24aを電極層23aの表面に密着させる(工程S220、図8C)。スピンコートの条件としては、例えば、4000rps(revolution per second)で30秒を用いることができ、この場合、物質膜24aは膜厚が約500nmとなる。物質膜24aの電極層23a表面への密着は、例えば、180℃のホットプレートで1時間ベークすることにより行なうことができる。

【0066】
次に、物質膜24aの表面にレジスト25aをスピンコートにより形成し、レジスト25aを物質膜24aの表面に密着させる(工程S230、図8D)。レジスト25aとしては、AZ Electronic Materials製のAZ-4903などを用いることができる。スピンコートの条件としては、例えば、4000rps(revolution per second)で60秒を用いることができる。レジスト25aの物質膜24aの表面への密着は、例えば、110℃のホットプレートで5分間ベークして、レジスト25a内の有機溶媒を蒸発させることにより行なうことができる。

【0067】
次に、微小チャンバー26のパターンのマスクを用いてレジスト25aを露光し、レジスト専用の現像液に浸して現像して微小チャンバー26を形成する部分が除かれたレジスト25bを形成する(工程S240、図8E)。露光の条件は、例えば、SAN-EI製の露光機によりUV power 250Wで7秒照射する条件を用いることができる。現像の条件としては、例えば、AZ Electronic Materials製のAZ developerに5分浸す条件を用いることができる。

【0068】
次に、レジスト25bによりマスクされた物質膜24aをドライエッチングすることにより、物質膜24aから微小チャンバー26となる部分を取り除いた物質膜24bとし(工程S250、図8F)、レジスト25bを除去する(工程S260、図8G)。ドライエッチングは、例えば、Samco製のReactive ion etching装置で、エッチング条件として、O 50sccm, Pressure 10Pa, Power 50W, Time 30minを用いることができる。レジスト25bの除去は、アセトンに浸し、イソプロパノールで洗浄した後に純水で洗浄することにより行なうことができる。

【0069】
次に、金属層23aをウェットエッチングすることにより、微小チャンバー26を完成させる(工程S270、図8H)。ウェットエッチングは、例えば、形成途中の微小チャンバーデバイスを金属エッチング液に浸漬した後で純水で洗浄することにより行なうことができる。

【0070】
かかる方法により、ガラス基板22の表面に疎水層24と電極23とにより複数の微小チャンバー26が形成された微小チャンバーデバイスが完成されうる。

【0071】
微小チャンバー26の形状や大きさは生体分子の反応速度の大きさなどにより適宜定めればよい。例えば、深さDが10μmで直径Rが40μmとなるように微小チャンバー26を形成したり、深さDが2μmで直径Rが10μmとなるように微小チャンバー26を形成したりしてもよい。実用的で実現可能な微小チャンバー26の最小のサイズとしては深さDおよび直径Rがともに数100nm程度のものと考えられる。また、試験対象の生体分子の反応速度の大きさや生体分子の含有率を考慮すると共に製造の容易さも思慮すると、微小チャンバー26の深さや直径は数百nmから数μmが実用的に好適であると考えられる。したがって、微小チャンバー26を、深さが500nmを含む所定深さ範囲で、円形に換算したときに直径が1μmを含む所定直径範囲となるよう形成すればよい。

【0072】
「所定深さ範囲」としては、500nmを含むオーダーとして考えればよく、例えば、500nmの0.1倍の50nm以上で500nmの10倍の5μm以下の範囲を用いたり、500nmの0.5倍の250nm以上で500nmの2倍の1μm以下の範囲を用いればよい。

【0073】
「所定厚範囲」は、特に限定されない。例えば、10nm以上500nm以下であってもよいし、20nm以上500nm以下であってもよいし、30nm以上500nm以下であってもよい。「所定厚範囲」は、例えば、10nm以上100nm以下であってもよいし、20nm以上100nm以下であってもよいし、30nm以上100nm以下であってもよい。微小チャンバーの深さを小さく(数十nm)し、微小チャンバーの容積を小さく(数百aL程度)すると、測定感度は更に向上する(Soga, N. et al., 2015, Attolitre-sized lipid bilayer chamber array for rapid detection of single transporters, Scientific Reports, 5:11025)。

【0074】
「所定直径範囲」としては、1μmを含むオーダーとして考えればよく、例えば、1μmの0.1倍の100nm以上で1μmの10倍の10μm以下の範囲を用いたり、1μmの0.5倍の500nm以上で1μmの2倍の2μm以下の範囲を用いればよい。

【0075】
生体分子の反応に対する検出感度は、微小チャンバー26内の分子数に反比例するため、生体分子反応を高感度で検出するための実用的で実現可能な微小チャンバー26の最大の容量Lは4000×10-18[m]程度でよいと考えられる。例えば、深さが5μmで直径Rが30μmの微小チャンバー(容量Lが3532.5×10-18[m])を形成して実験を行なったが、良好な生体分子の反応に対する検出感度を得ることができた。この場合、隣接する微小チャンバーの間隔を4μmとすると、1つの微小チャンバーに必要な面積Sは一辺が34μmの正方形となり、S=(34×10-6[m]=1156×10-12[m]と計算される。したがって、ガラス基板には、1cm(1×10-4[m])当たり約0.86×10個の微小チャンバーが形成されることになり、生体分子の反応が生じる頻度が低くても、いずれかの微小チャンバーで反応が生じるため、生体分子の反応を高感度で検出することができるものとなる。

【0076】
2.脂質二重膜30の形成
脂質二重膜30の形成工程は、例えば、複数の微小チャンバー26が形成された面が略水平な底面を形成する液体流路48に試験用液体を流すことにより複数の微小チャンバー26に試験用液体を充填し、液体流路48に脂質二重膜30を形成する脂質を含有する脂質含有有機溶媒を流すことにより脂質の親水基が複数の微小チャンバー26の試験用液体側に向いた状態の第1脂質膜32を微小チャンバー26の開口部に形成し、液体流路48に膜形成用液体を流すことにより脂質の疎水基が第1脂質膜32側を向いた状態の第2脂質膜34を第1脂質膜32に重ねるように形成することにより脂質二重膜30を形成するものである。

【0077】
図7は、第1実施形態における脂質二重膜30の形成(工程S120)の一例を示す工程図(工程S300~S310)である。図9A~9Cに脂質二重膜30の形成の各工程の状態を示す。脂質二重膜30の形成の前段階として、微小チャンバーデバイスにスペーサ42を介在させつつ、液体導入孔46が形成されたガラス板44を載せる。これにより、微小チャンバーデバイスの微小チャンバー26が形成された面が略水平な底面となる液体流路48が形成される。液体導入孔46から試験用液体を導入して試験用液体で液体流路48を満たしておく(図9A)。ここで、試験用液体の組成としては、例えば、水溶液とすることができ、具体的には例えば、10mMのpH緩衝液(pH5~9)と、20μMの蛍光指示薬(Cal520やpHrodoなど)と、10mMの塩化ナトリウムとを含有する液体など、種々のものを用いることができる。

【0078】
試験用液体で液体流路48が満たされた状態で液体導入孔46から脂質35を含有する有機溶媒を導入する(図7の工程S300、図9B)。ここで、脂質35としては、大豆や大腸菌由来等の天然脂質、DOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)やDOPG(ジオレオイルホスファチジルグリセロール)等の人工脂質を用いることができる。有機溶媒としては、ヘキサデカンやクロロホルムを用いることができる。脂質35を含有する有機溶媒が導入されると、微小チャンバー26に試験用液体が満たされた状態で、脂質35の親水基が微小チャンバー26側に向いた状態の第1脂質膜32により微小チャンバー26の開口部が液封される。

【0079】
そして、液体導入孔46から脂質二重膜30を形成するための膜形成用液体を導入して(図7の工程S310、図9C)、脂質二重膜30を形成する。膜形成用液体の組成としては、例えば、10mMのpH緩衝液(pH5~9)と、10mMの塩化ナトリウムとを含む液体を用いることができる。なお、第1実施形態の高密度微小チャンバーアレイ20は、脂質二重膜30を形成した後に、ガラス板44とスペーサ42を取り除くことにより完成する。

【0080】
脂質二重膜30の形成工程の後に、脂質二重膜30に膜タンパク質を再構成する再構成工程を備えるものとすることもできる。こうすれば、脂質二重膜30に膜タンパク質が再構成された高密度微小チャンバーアレイ20を得ることができる。こうした脂質二重膜30に膜タンパク質が再構成された高密度微小チャンバーアレイ20は、膜タンパク質を介しての生体分子反応等の検出に用いることができる。この態様とした場合、再構成工程は、膜タンパク質を含む細胞膜断片,タンパク質を埋め込んだ脂質二重膜、水溶性タンパク質、タンパク質を取り込んだリポソーム、界面活性剤により可溶化させたタンパク質のいずれかを脂質二重膜30に導入し、脂質二重膜30にタンパク質を組み込んで膜タンパク質とする工程であってもよい。脂質二重膜にタンパク質を組み込む手法としては、リポソームの場合には膜融合などを用いることができ、界面活性剤により可溶化させたタンパク質の場合には熱揺動などを用いることができる。

【0081】
以上説明した第1実施形態の高密度微小チャンバーアレイ20の製造方法によれば、比較的容易に、脂質二重膜30により液封された極めて容量が小さな多数の微小チャンバー26を高密度に形成した高密度微小チャンバーアレイ20を製造することができる。

【0082】
第1実施形態の高密度微小チャンバーアレイ20によれば、各微小チャンバー26の容量Lが19.6×10-18[m]と極めて小さいから、第1実施形態の高密度微小チャンバーアレイ20を生体分子反応の検出に用いることにより、微小チャンバー26内の生体分子数を少なくすることができる。この結果、生体分子1個の反応による微小チャンバー26内の濃度変化の程度を大きくし、濃度変化として検出する際の検出感度を高くすることができる。生体分子の反応が極めて遅くても、生体分子の反応を高感度で検出することができる。また、微小な微小チャンバー26を1cm(1×10-4[m])当たり約2×10個と高密度に多数形成したアレイとしているから、生体分子の反応が生じる頻度が低くても、いずれかの微小チャンバー26で反応が生じるため、生体分子の反応を高感度で検出することができる。

【0083】
[膜タンパク質の解析方法]
第1実施形態の高密度微小チャンバーアレイ20は、更に、脂質二重膜30に膜タンパク質を再構成することで、膜タンパク質の解析に用いることができる。すなわち、第1実施形態にかかる膜タンパク質の解析方法は、第1実施形態の高密度微小チャンバーアレイを用意し、複数の微小チャンバーの開口部に脂質二重膜を形成する。脂質二重膜には膜タンパク質を保持させる。その上で、電極と脂質二重膜の上方に設けられた反対電極との間に電圧を印加することで膜タンパク質の性質を変化させる。

【0084】
膜タンパク質の性質としては、例えば、脂質二重膜を介した物質の輸送特性、膜タンパク質の触媒特性、膜タンパク質のコンフォメーション等が含まれうる。

【0085】
まず、脂質二重膜30に膜タンパク質を再構成する手法について説明する。脂質二重膜にタンパク質を組み込む手法としては、リポソームの場合には膜融合などを用いることができ、界面活性剤により可溶化させたタンパク質の場合には熱揺動などを用いることができる。以下、より具体的に説明する。

【0086】
膜タンパク質の再構成は、微小チャンバーデバイスにスペーサ42を介してガラス板44を乗せて液体流路48が形成された状態(図9A参照)で、ガラス板44の液体導入孔46から容量50μLのリポソームに再構成させた膜タンパク質の溶液を導入し、1時間インキュベートして、膜融合により膜タンパク質を脂質二重膜30に組み込むことにより行なうことができる。

【0087】
図9Aに示されているように、液体流路48は、疎水層24と、疎水層24の上方に配置された天井との間に形成される。液体流路48は、厚みが一定の空間であってもよい。図9Aに示す例では、天井はガラス板44の下面である。

【0088】
均一な脂質膜を効率的に形成するためには、一定の流速で水溶液および脂質溶液を流す必要がある。微小チャンバーの上方に液体流路を配置することで、全ての微小チャンバーに対して同時かつ均一に流体を供給することができる。これにより、効率的に脂質膜を形成することが可能となる。

【0089】
機能的な脂質膜を形成する場合、脂質膜を薄膜化する必要がある。薄膜化には流体によるせん断力が有効である。液体流路を配置することで、脂質膜上に水溶液を流すことができ、そのせん断力により効率的に脂質膜を薄膜化することが可能となる。

【0090】
流路の天井部に金属をパターニングすることで、反対電極27も容易に設置できる。例えば、ガラス板44の表面に反対電極27が形成されうる。反対電極27は、膜電位の制御および、その他の生体分子の操作に活用できる。

【0091】
膜タンパク質の溶液の組成としては、例えば、10nMのFoF1(膜タンパク質であるATP合成酵素)と、1mMのpH7のMOPS(3-モルホリノプロパン-1-スルホン酸)と、10mMの塩化ナトリウム(NaCl)と、2mMの塩化マグネシウム(MgCl)とを含む溶液を用いることができる。

【0092】
このように第1実施形態の高密度微小チャンバーアレイ20の脂質二重膜30に膜タンパク質を再構成したものとすれば、第1実施例の高密度微小チャンバーアレイ20を、膜タンパク質を介しての生体分子反応等の検出に用いることができる。

【0093】
なお、脂質二重膜30に膜タンパク質を再構成する手法は、リポソームを用いる方法に限定されない。例えば、界面活性剤で可溶化させた膜タンパク質や水溶性タンパク質などを導入して脂質二重膜30に再構成するものとしてもよい。例えば、界面活性剤で可溶化させた膜タンパク質を脂質二重膜30に再構成する場合、ガラス板44の液体導入孔46から容量50μLの界面活性剤で可溶化された膜タンパク質溶液を導入し、1時間インキュベートして、熱揺動により膜タンパク質を脂質二重膜30に組み込むものとすればよい。膜タンパク質溶液の組成としては、例えば、10nMのFoF1(膜タンパク質であるATP合成酵素)と、0.01~0.1%のデシルマルトシド(n-decyl-β-maltoside:界面活性剤)と、1mMのpH7のMOPS(3-モルホリノプロパン-1-スルホン酸)と、10mMの塩化ナトリウム(NaCl)と、2mMの塩化マグネシウム(MgCl)とを含む溶液を用いることができる。

【0094】
第1実施形態の高密度微小チャンバーアレイ20の脂質二重膜30に膜タンパク質を再構成する手法としては、微小チャンバーデバイスに脂質二重膜30を形成する前の段階、即ち、液体導入孔46から試験用液体を導入して試験用液体で液体流路48を満たす段階において、試験用液体として、試験用液体に少なくともタンパク質を可溶化または懸濁化した状態のタンパク質含有液体を用いてもよい。即ち、液体導入孔46から試験用液体としてタンパク質含有液体を導入してこのタンパク質含有液体で液体流路48を満たしておく。液体導入孔46から、脂質35を含有する有機溶媒と脂質二重膜30を形成するための膜形成用液体(膜形成用水溶液でもよい)とを順次導入することで、微小チャンバー26にタンパク質含有液体が満たされた状態で脂質二重膜30により微小チャンバー26の開口部を液封する。微小チャンバー26は脂質二重膜30によって液封されており、微小チャンバー26内のタンパク質含有液体中のタンパク質は、膜融合や熱揺動などにより脂質二重膜30に再構成される。なお、タンパク質含有液体におけるタンパク質としては、膜タンパク質を含む細胞膜断片、タンパク質を埋め込んだ脂質二重膜、水溶性タンパク質、タンパク質を取り込んだリポソーム、界面活性剤により可溶化させたタンパク質などを用いることができる。

【0095】
第1実施形態の高密度微小チャンバーアレイによれば、電極23と脂質二重膜30の上方に設けられた反対電極27との間に電圧を印加することで膜タンパク質の性質を変化させることができる。印加電圧は、例えば、-300mV~+300mVの間で適宜に調整しうる。

【0096】
ここで、基板22の下方から基板22へと入射した光は、基板22および電極23Tを透過して微小チャンバー26の内部へと進入し、かつ、微小チャンバー26の内部から電極23Tおよび基板22へと入射した光は、電極23Tおよび基板22を透過して基板22の下方へと脱出する。膜タンパク質の性質の変化は、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、微小チャンバー26の内部に収容されている試験用液体に含まれる蛍光物質が発する光を検出すること等により解析することができる。顕微鏡として、落射型共焦点顕微鏡が用いられてもよい。

【0097】
具体的には、図3に例示するように、レーザ光源12から射出された光L1をダイクロイックミラー14で反射させ、基板22へと入射する。基板22へ入射された光は、基板22を透過して微小チャンバー26へと進入する。微小チャンバー26内の蛍光物質は、該進入した光を受けて、異なる波長の光を放射する。該放射された光L2は、基板22へと入射し、基板22を透過して基板22の下方へと脱出する。さらに光は、ダイクロイックミラー14を透過して、カメラ10へと到達する。なお、レーザ光源12とダイクロイックミラー14との間およびダイクロイックミラー14とカメラ10との間に適宜に光学系が挿入されてもよい。

【0098】
1.第1実験例
第1実験例では、第1実施形態の高密度微小チャンバーアレイ20A(図1、図2、図3参照)と蛍光性膜電位指示薬とを用いて膜電位の検出を行った。本実験例の実験条件は、以下の通りとした。
基板22の材料:無色ガラス
基板22の厚み:0.12mm
基板22の形状:24mm×32mmの矩形
反対電極27の材料:金
反対電極27の形状:18mm×18mmの矩形
基板22から反対電極27までの距離:0.2mm
疎水層24の材料:旭硝子株式会社製のフッ素樹脂(CYTOP)
疎水層24の厚み:約500nm
電極23の材料:金
電極23の厚み:約500nm
微小チャンバ:直径約5μm、高さ約1μmの円筒形状
脂質二重膜:1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)と1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DOPG)との1:1(重量比)混合物のクロロホルム溶液を用いて形成
試験用液体:10mMのpH緩衝液(pH5~9)と、20μMの蛍光性膜電位指示薬(DiBac4)と、10mMの塩化ナトリウムとを含む水溶液
電圧印加装置:ファンクションジェネレータ(株式会社エヌエフ回路設計ブロック製)
共焦点レーザー顕微鏡:A1R(Nikon社製)
蛍光性膜電位指示薬:DiBAC4(Dojindo社製)
なお、DiBAC4は、Bis-oxonol型のアニオン性膜電位感受性色素であり、細胞膜の脱分極に伴って、細胞質中への分布が増し、蛍光増強する。

【0099】
図10は、第1実験例における、印加電圧(破線)と蛍光強度(実線)の変化を示す図である。印加電圧は、電極23を基準(0V)として、反対電極27の電位により示す(他の実験例でも同様)。図10に示すように、DiBAC4の蛍光強度は、印加電圧に追従するように変化している。蛍光強度の変化は、印加電圧の変化よりも若干遅れていることが分かる。本実験例の結果から、第1実施形態の高密度微小チャンバーアレイを用いれば、電極への電圧印加により膜電位(脱分極および過分極)を制御できることが分かる。

【0100】
2.第2実験例
第2実験例では、第1実験例と同様の高密度微小チャンバーアレイ20A(図1、図2、図3参照)において、膜タンパクとして大腸菌由来のF型ATP合成酵素(FoF1)を、リポソームを用いて脂質二重膜30に導入し、プロトンの能動輸送を検出した。

【0101】
微小チャンバー26の内側の試験用液体としては、組成が10μMのTricine緩衝液(pH8)と、10mMの塩化ナトリウム(NaCl)と、10mMの塩化カルシウム(CaCl)、2mMの塩化マグネシウム(MgCl)と、1μMのアデノシン二リン酸(ADP:Adenosine diphosphate)と、20μMの蛍光pH指示薬(RhP-M)とを含む水溶液を用いた。

【0102】
微小チャンバー26の外側の液体としては、10μMのMOPS(3-Morpholinopropanesulfonic acid)緩衝液(pH8)と、10mMの塩化ナトリウム(NaCl)と、10mMの塩化カルシウム(CaCl)と、2mMの塩化マグネシウム(MgCl)と、240μMのアデノシン三リン酸(ATP:Adenosine Triphosphate)とを含む水溶液を用いた。

【0103】
その他の装置構成については、第1実験例と同様としたので、詳細な説明を省略する。

【0104】
図11は、第2実験例における、蛍光強度の時間変化と膜電位との関係を示す図である。図12は、第2実験例における、F型ATP合成酵素のプロトン輸送速度(縦軸)と膜電位の大きさ(横軸)との関係を示す図である。

【0105】
図11に示すように、膜電位が高い程、蛍光強度の変化は速くなり、プロトン輸送速度が高くなっていることが分かる。

【0106】
(第2実施形態)
第2実施形態では、電極に電流を通流することで微小チャンバーの内部を加熱する。

【0107】
第2実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイは、第1実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイであって、さらに、電極が金属であって、それぞれの微小チャンバーの内側面に設けられている。

【0108】
上記高密度微小チャンバーアレイにおいて、金属がクロムであってもよい。

【0109】
第2実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイシステムは、上記いずれかの高密度微小チャンバーアレイと、電極内を基板と平行に電流を流すことで電極を発熱させる電流印加装置とを備える。

【0110】
上記高密度微小チャンバーアレイシステムは、さらに、脂質二重膜の上方に設けられた反対電極と、電極と反対電極との間に電圧を印加する電圧印加装置とを備えてもよい。

【0111】
第2実施形態にかかる方法は、上記いずれかの高密度微小チャンバーアレイを用意し、電極に電流を流すことで電極を発熱させることで、微小チャンバー内に封止された試験用液体の温度を制御する。

【0112】
[装置構成]
図13は、第2実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイシステムの概略構成の一例を示す図である。以下、図13を参照しつつ、第2実施形態の高密度微小チャンバーアレイシステム200の装置構成について説明する。

【0113】
図13に例示されるように、高密度微小チャンバーアレイシステム200は、基板22と、電極23と、疎水層24と、微小チャンバー26と、脂質二重膜30と、電流印加装置29とを備えている。

【0114】
基板22と、疎水層24と、微小チャンバー26と、脂質二重膜30とは、第1実施形態と同様に構成することができるので、詳細な説明を省略する。

【0115】
電極23は、発熱体として使用しうるものであればどのような材料で構成されていてもよい。具体的には例えば、電極23は、金属で構成されていてもよい。さらに具体的には例えば、電極23は、クロムで構成されていてもよい。

【0116】
あるいは電極23は、発熱体として使用でき、かつ、試験用液体による変質を受けにくい材料で構成されていてもよい。具体的には例えば、電極23は、クロムで構成されていてもよい。

【0117】
図13示す例では、複数の微小チャンバー26に対応する電極23は互いに電気的に接続されている。すなわち、図1に示す疎水層24と同様、電極23が複数の微小チャンバー26を取り囲むように連続的に構成されてもよい。かかる構成では、複数の微小チャンバー26をまとめて加熱できる。

【0118】
電流印加装置29は、電極23内を基板22と平行に電流を流すことで電極23を発熱させる。電流印加装置29としては、具体的には例えば、ファンクションジェネレータ(株式会社エヌエフ回路設計ブロック製)を用いることができる。

【0119】
[方法]
第2実施形態の方法では、電流印加装置29を用いて電極23に電流を流し、もって電極23を発熱させることで、微小チャンバー26内に封止された試験用液体、脂質二重膜30、膜タンパク等の温度を制御することができる。

【0120】
電極23を用いて試験用液体、脂質二重膜30、膜タンパク等の温度を制御することで、より多様な条件での膜タンパク質の挙動を解析できる。

【0121】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の変形が可能である。例えば、高密度微小チャンバーアレイシステム200が、電流印加装置29に加え、電圧印加装置28を備えてもよい。電圧印加装置28については、第1実施形態と同様に構成することができるので、詳細な説明を省略する。

【0122】
(第3実施形態)
第3実施形態では、脂質二重膜で封止された微小チャンバーの内部に生体高分子を集積する。

【0123】
第3実施形態にかかる高密度微小チャンバーアレイは、第1実施形態および第2実施形態の少なくともいずれか一方にかかる高密度微小チャンバーアレイであって、微小チャンバーの内部に、生体高分子が集積されている。

【0124】
第3実施形態にかかる方法は、透光性を有する平坦な基板と、基板上に設けられた疎水性物質からなる層であって、複数の微小チャンバーの開口部が該層の主面上に規則的かつ高密度に配列するよう設けられ、微小チャンバーの容量が4000×10-18以下である、疎水層とを備え、それぞれの微小チャンバー内に電極が設けられており、基板において、疎水層が設けられている側を上方とするとき、下記A)およびB)の少なくともいずれか一方を満たすことにより、基板の下方から基板へと入射した光が基板を透過して微小チャンバーの内部へと進入し、かつ、微小チャンバーの内部から基板へと入射した光が基板を透過して基板の下方へと脱出するように構成されている、高密度微小チャンバーアレイを用意し、電極に電圧を印加することで、複数の微小チャンバーの内部に生体高分子を集積し、その後、複数の微小チャンバーの開口部に生体高分子を封止するように脂質二重膜を形成する。
A)電極が、それぞれの微小チャンバーの内側面に設けられている。
B)電極が、それぞれの微小チャンバーの底面に透明電極として設けられている。

【0125】
[装置構成]
図14は、第3実施形態において生体高分子が集積された高密度微小チャンバーアレイの概略構成の一例を示す図である。以下、図14を参照しつつ、第3実施形態の高密度微小チャンバーアレイ300の装置構成について説明する。

【0126】
図14に例示されるように、高密度微小チャンバーアレイ300は、基板22と、電極23と、疎水層24と、微小チャンバー26と、脂質二重膜30とを備えている。

【0127】
基板22と、電極23と、疎水層24と、脂質二重膜30とは、第1実施形態および第2実施形態の少なくともいずれか一方と同様に構成することができるので、詳細な説明を省略する。

【0128】
微小チャンバー26の内部には、生体高分子36が集積されている。生体高分子とは、例えば、タンパク質、DNA、RNA等が含まれる。

【0129】
[製造方法]
以下、第3実施形態の高密度微小チャンバーアレイ300の製造方法について説明する。図15は、第3実施形態における生体高分子集積高密度微小チャンバーアレイの製造方法の一例を示す工程図である。

【0130】
第3実施形態の高密度微小チャンバーアレイ300は、まず、脂質二重膜30により開口部が液封されていない微小チャンバーデバイスを形成し(工程S400)、形成した微小チャンバーデバイスに試験用液体を導入し(工程S410)、各微小チャンバーに生体高分子を集積させ(工程S420)、試験用液体が各微小チャンバー26に満たされ、かつ、生体高分子が各微小チャンバー26に集積した状態で、各微小チャンバー26の開口部を液封するように脂質二重膜30を形成して(工程S430)、完成する。

【0131】
工程S400は、図5の工程S100と同様とすることができるので、詳細な説明を省略する。

【0132】
工程S410は、図5の工程S110あるいは図9Aと同様とすることができるので、詳細な説明を省略する。

【0133】
工程S430は、図5の工程S120あるいは図9B~図9Cと同様とすることができるので、詳細な説明を省略する。

【0134】
工程S420において、生体高分子36は、例えば、電極23を用いて微小チャンバー26の内部に誘引される。生体高分子36は電荷を有していてもよい。この場合、電極23を生体高分子36と反対極性に帯電させることで、生体高分子36を微小チャンバー26へと誘引できる。

【0135】
生体高分子36は、誘電泳動により微小チャンバー26に誘引されてもよい。誘電泳動では、電気的に中性な粒子であっても、不均一な電界を印加することで粒子を分極させ、移動させることができる。誘電泳動は流体と粒子の誘電率の関係、および電界の空間勾配によって生じる。誘電泳動を用いる場合には、生体高分子36が電荷を有しない場合でも、生体高分子36を微小チャンバー26へと誘引できる。本実施形態では、チャンバーの開口部に電界が集中することから、チャンバー内部へと物質を誘導できる。

【0136】
第3実施形態では、脂質二重膜30で封止された微小チャンバー26の内部に生体高分子36を集積できる。よって、生体高分子36同士の相互作用や、脂質二重膜30に保持された膜タンパクと生体高分子36との相互作用などを解析する上で有利となる。

【0137】
(第4実施形態)
第4実施形態では、細胞融合により膜タンパク質を脂質二重膜へと導入する。

【0138】
第4実施形態の方法は、反対電極を有する第1実施形態から第3実施形態の少なくともいずれかの高密度微小チャンバーアレイを用意し、電極と反対電極との間に電流を印加することにより脂質二重膜に細胞を融合させることで、細胞由来の膜タンパク質を脂質二重膜へと移行させる。

【0139】
第4実施形態の方法は、第1実施形態から第3実施形態の少なくともいずれかの方法において、脂質二重膜の上方に反対電極を設けるステップを含み、膜タンパク質が、電極と反対電極との間に電流を印加することにより脂質二重膜に細胞を融合させることで脂質二重膜へと導入された、細胞由来の膜タンパク質であってもよい。

【0140】
図16Aは、第4実施形態の脂質二重膜へと細胞を融合させる方法において、液体流路に細胞を導入する工程を示す図である。図16Bは、第4実施形態の脂質二重膜へと細胞を融合させる方法において、細胞が脂質二重膜へと融合された状態を示す図である。以下、図16Aおよび図16Bを参照しつつ、第4実施形態の方法について説明する。なお、図16Aおよび図16Bにおいて、図3と共通する構成要素については、第1実施形態と同様の構成としうることから、同一の符号および名称を付して詳細な説明を省略する。

【0141】
細胞融合技術を用いた脂質二重膜30への膜タンパク質54の導入は、例えば以下のように実行されうる。すなわち、微小チャンバーデバイスにスペーサ42を介してガラス板44を乗せて液体流路48を形成する。この状態で、ガラス板44の液体導入孔46から膜タンパク質54を有する細胞52を含む溶液を導入し(図16A)、電極23と反対電極27との間に、電流印加装置28(図示省略)を用いてパルス状の直流電流を印加することで、細胞融合により膜タンパク質54を脂質二重膜30に組み込む(図16B)。溶液の組成としては、例えば、10nMのFoF1(ATP合成酵素)と、1mMのpH7のMOPS(3-モルホリノプロパン-1-スルホン酸)と、10mMの塩化ナトリウム(NaCl)、2mMの塩化マグネシウム(MgCl)とを含む溶液を用いることができる。

【0142】
第1実施形態から第3実施形態のいずれかの高密度微小チャンバーアレイの脂質二重膜30に膜タンパク質54を再構成したものとすれば、高密度微小チャンバーアレイを、膜タンパク質を介しての生体分子反応等の検出に用いることができる。膜タンパク質54は、細胞52から脂質二重膜30へと直接導入できるため、操作を簡潔化できる。細胞52が有する膜タンパク質54をそのまま解析できることから、細胞が発現している未知の膜タンパク質を解析することも可能となる。

【0143】
細胞融合では、脂質二重膜における内(細胞質側)と外(細胞外マトリクス側)とが保存される。よって、細胞融合を利用することで、脂質二重膜30へ導入された膜タンパク質54の配向を適切に制御できる。微小チャンバー26の外部から脂質二重膜30へ細胞を融合すれば、微小チャンバー26の内部が細胞質側となる。微小チャンバー26の内部に細胞を集積し、微小チャンバー26の内部から脂質二重膜30へ細胞を融合すれば、微小チャンバー26の内部が細胞外マトリクス側となる。

【0144】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【符号の説明】
【0145】
10 カメラ
12 レーザ光源
14 ダイクロイックミラー
20 高密度微小チャンバーアレイ
22 基板
23 電極
23a 電極層
24 疎水層
24a 物質膜
24b 物質膜
25a レジスト
25b レジスト
26 微小チャンバー
27 反対電極
28 電圧印加装置
29 電流印加装置
30 脂質二重膜
32 第1脂質膜
34 第2脂質膜
35 脂質
36 生体高分子
42 スペーサ
44 ガラス板
46 液体導入孔
48 液体流路
52 細胞
54 膜タンパク質
100 高密度微小チャンバーアレイシステム
200 高密度微小チャンバーアレイシステム
300 高密度微小チャンバーアレイ

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8A】
7
【図8B】
8
【図8C】
9
【図8D】
10
【図8E】
11
【図8F】
12
【図8G】
13
【図8H】
14
【図9A】
15
【図9B】
16
【図9C】
17
【図10】
18
【図11】
19
【図12】
20
【図13】
21
【図14】
22
【図15】
23
【図16A】
24
【図16B】
25