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明細書 :光触媒構造体および光電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年12月28日(2017.12.28)
発明の名称または考案の名称 光触媒構造体および光電池
国際特許分類 B01J  35/02        (2006.01)
C01B   3/04        (2006.01)
B01J  27/199       (2006.01)
H01G   9/20        (2006.01)
FI B01J 35/02 ZABJ
C01B 3/04 A
B01J 27/199 M
H01G 9/20 111A
H01G 9/20 307
H01G 9/20 111B
H01G 9/20 317
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 26
出願番号 特願2017-502000 (P2017-502000)
国際出願番号 PCT/JP2016/052531
国際公開番号 WO2016/136374
国際出願日 平成28年1月28日(2016.1.28)
国際公開日 平成28年9月1日(2016.9.1)
優先権出願番号 2015037227
優先日 平成27年2月26日(2015.2.26)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】ピホシュ ユーリ
【氏名】馬渡 和真
【氏名】嘉副 裕
【氏名】北森 武彦
【氏名】テウレケウイチ イワン
出願人 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
個別代理人の代理人 【識別番号】230104019、【弁護士】、【氏名又は名称】大野 聖二
【識別番号】100149076、【弁理士】、【氏名又は名称】梅田 慎介
【識別番号】100117444、【弁理士】、【氏名又は名称】片山 健一
審査請求
テーマコード 4G169
Fターム 4G169AA02
4G169BA14B
4G169BA48A
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BB14A
4G169BB14B
4G169BB20A
4G169BC18A
4G169BC25A
4G169BC25B
4G169BC26A
4G169BC35A
4G169BC42A
4G169BC43A
4G169BC54A
4G169BC54B
4G169BC55A
4G169BC56A
4G169BC58A
4G169BC59A
4G169BC60A
4G169BC60B
4G169BC66A
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BD02A
4G169BD06A
4G169CC33
4G169EA06
4G169EA08
4G169EB14X
4G169EB14Y
4G169EB15X
4G169EB15Y
4G169HA01
4G169HA02
4G169HB06
4G169HC02
4G169HC29
4G169HD12
4G169HE09
要約 本発明で採用するヘテロ接合構造(50)では、BiVOなどの光触媒は光吸収層(40)として作用し、その厚みを数十nm以下といった比較的薄いものとすることができる。この程度に薄い光触媒であれば、光吸収により発生した電子のほとんどを、電気伝導性に優れたナノロッド(30)で収集可能であるから、光生成キャリアの収集効率は格段に向上する。このように、本発明によれば、BiVOをはじめとする光触媒を用いた従来の光電池の特性を遥かに凌ぐ優れた光電池を作製することが可能となる。
特許請求の範囲 【請求項1】
表面が導電性を有する基体上に、
導電性を有する円柱状のナノロッドであって平均半径がRのナノロッドが単位面積(μm)当たりN本の密度で実質的に均一にアレイ状に設けられており、
前記ナノロッドの表面は、光触媒作用を有する光吸収体膜により、平均表面被覆率Cで80%以上が被覆されて平均半径がRのヘテロ接合ナノロッドを構成しており、
前記ナノロッドのバンドギャップEは前記光吸収体のバンドギャップEより広く(E>E)、且つ、前記ナノロッドの価電子バンドのエネルギーEは前記光吸収体の価電子バンドのエネルギーEよりも低く(E<E)、
前記ヘテロ接合ナノロッドの相互の平均間隔をLとしたときに前記平均半径RがR<L/2を満足している、光触媒構造体。
【請求項2】
前記光吸収体膜の表面はナノ粒子状の凸部を複数有しており、該複数の凸部が前記ヘテロ接合ナノロッドの平均半径Rを規定する、請求項1に記載の光触媒構造体。
【請求項3】
前記ナノロッドの表面を被覆する前記光吸収体膜の凸部を除く部分の平均厚みは、該光吸収体中における電子および正孔の拡散長よりも薄い、請求項2に記載の光触媒構造体。
【請求項4】
前記光吸収体膜は、バンドギャップが3eV以下の直接遷移型の半導体材料である、請求項1~3の何れか1項に記載の光触媒構造体。
【請求項5】
前記ナノロッドの主成分は、WO、MoO、ZnOの何れかである、請求項1~3の何れか1項に記載の光触媒構造体。
【請求項6】
前記光吸収体の主成分は、BiVO、BiFeO、BiNbO、BiTaO、SbVO、SbNbO、SbTaO、CrVO、CrNbO、CrTaO、FeVO、FeNbO、FeTaO、InVO、InNbO、InTaO、LaVO、LaNbO、LaTaO、CeVO、CeNbO、CeTaO、α-Fe、TaONの何れかである、請求項1~3の何れか1項に記載の光触媒構造体。
【請求項7】
前記ナノロッドの主成分は酸化タングステン(WO)であり、前記光吸収体の主成分は酸化ビスマスバナジウム(BiVO)である、請求項6に記載の光触媒構造体。
【請求項8】
前記光吸収体はリン酸コバルトを含む、請求項1~3の何れか1項に記載の光触媒構造体。
【請求項9】
前記ヘテロ接合ナノロッドの平均半径Rと前記ナノロッドの平均半径Rの差ΔRが25nm<ΔR<40nmの範囲にある、請求項1~3の何れか1項に記載の光触媒構造体。
【請求項10】
前記ナノロッドの平均半径Rは40nm<R<100nmの範囲にある、請求項1~3の何れか1項に記載の光触媒構造体。
【請求項11】
前記ナノロッドの高さHは500nm<H<2500nmの範囲にある、請求項1~3の何れか1項に記載の光触媒構造体。
【請求項12】
前記ヘテロ接合ナノロッドの相互の平均間隔Lは190nm<L<320nmの範囲にある、請求項1~3の何れか1項に記載の光触媒構造体。
【請求項13】
前記ナノロッドの単位面積(μm)当たりの本数Nは10<N<30の範囲にある、請求項1~3の何れか1項に記載の光触媒構造体。
【請求項14】
前記基体の表面は酸化インジウムスズ(ITO)である、請求項1~3の何れか1項に記載の光触媒構造体。
【請求項15】
前記光吸収体膜は電着膜である、請求項1~3の何れか1項に記載の光触媒構造体。
【請求項16】
請求項1~3の何れか1項に記載の光触媒構造体がアノードとして用いられている光電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はナノロッド状の光触媒がアレイ配列された光触媒構造体に関し、より詳細には、水の分解効率に優れる光触媒構造体およびそれをアノードとして備える光電池に関する。
【背景技術】
【0002】
水素は、化学工業における基幹原料であり、また、クリーンエネルギー源でもある。従来の水素製造技術の殆どは、水蒸気改質(steam reforming)技術(非特許文献1)、石炭ガス化(coal gasification)技術(非特許文献2)、バイオマス熱分解(biomass pyrolysis)技術(非特許文献3)などの従来技術を基礎とするものである。このような技術では、化石燃料が用いられ、水素(H)の製造に伴って大量の二酸化炭素(CO)が発生することになる。しかし、化石燃料については資源の枯渇という問題があり、CO排出についても地球温暖化などの環境問題がある。
【0003】
これに対し、光触媒作用を利用して太陽光エネルギーを効率的に水分解させることにより水素を得る手法は、クリーンで再生可能な燃料を製造するための最も魅力的な方法のひとつと考えられている。この水素製造技術では、化石燃料を使うことがなくCO排出もないため環境への負荷が少ない。そのため、持続可能でクリーンな、夢の水素製造技術として注目されている。
【0004】
このような光触媒作用を利用した水分解システムの最も単純な構成は、光電池と水電解槽の組み合わせである。しかし、光電池と水電解槽の双方のエネルギー損失と設置に要する高いコストが、このようなシステムの実用化の妨げとなっているのが実情である。効率的な水素製造のためのもうひとつの選択として、水素の製造に太陽光エネルギーを直接利用する光電気化学電池(PEC:photoelectrochemical cell)がある。
【0005】
典型的なPEC装置は、光吸収体としての半導体(フォトアノード)とPtなどの金属から成る対向電極を備え、これらが電解水溶液に浸漬される構成のものである。フォトアノードのバンドギャップよりも高いエネルギーの光子が照射されると、電子-正孔対が生成される。このうち、正孔は、フォトアノードと水の界面で水酸化反応に関与する。一方、電子は、フォトアノードのバックコンタクトから外部回路を通ってPt対向電極へと移動する。このようにして、太陽光エネルギーを水分解に利用した水素の製造に寄与することになる。
【0006】
酸化チタン(TiO)による水の光触媒分解現象(非特許文献4)が発見された後、この半導性酸化物は、光触媒作用の技術分野において最も研究対象とされた材料のひとつとなった。しかし、TiOのバンドギャップは3.2eVであり、その光応答は太陽スペクトルの紫外線(UV)領域に制限されるため、水分解に利用できる太陽光のエネルギーは僅かに4%程度でしかない。つまり、太陽光エネルギーにより水を分解して水素に変換する効率(solar-to-hydrogen conversion efficiency)はその広いバンドギャップにより基本的な制限を受けてしまう。このような事情から、太陽スペクトルの可視光領域の利用を可能とする光触媒作用をもつ材料とこれを利用したシステムの開発のために、多くの努力がなされてきた。
【0007】
太陽スペクトルの可視光領域の光を水分解に利用するためには、2~2.4eV程度の相対的にバンドギャップが小さな光触媒材料が求められ、そのような材料としては、BiVO、α-Fe、TaONなどを例示することができる。
【0008】
例えば、ビスマスバナジウム酸塩(BiVO)は、バンドギャップが約2.4eV程度(単斜晶型の場合)と比較的狭く、光腐食(photocorrosion)に対する安定性に優れ、しかも安価であるため、光触媒による水素製造のための最も有望視されている物質のひとつである(非特許文献5、6)。BiVOの理論的なSTH(Solar-to-Hydrogen efficiency)、つまり太陽光エネルギーにより水を分解して水素に変換する効率は、日本付近の緯度の地上における平均的なスペクトルとして用いられるエアマス(AM1.5)の疑似太陽光照射条件(100mW/cm)の下で、概ね7.5mA/cmの最大光電流で、略9.2%にもなる。
【0009】
BiVOはこのように光吸収に優れている一方、光吸収により生じた電子と正孔の再結合率が高く、結晶中でのキャリアの拡散長は70nm程度と短くその電気伝導性は低い。そのため、光照射で生じた電子と正孔の再結合による水分解の動力学を妨げるという問題がある。BiVOにMoやWをドーピングしてその電気伝導性を高める幾つかの試みもなされたが(非特許文献7、8)、その結果は何れも十分とは言えず、BiVOの低い電気伝導性の問題は依然残されたままである。
【0010】
α-Feも有望な材料であり、バンドギャップが2eV程度と小さく、太陽光スペクトルの約40%の範囲の光を吸収でき、理論的なエネルギー効率は15%程度と高い。しかし、結晶中での電子伝導度が低いことや電子と正孔の再結合率が高いなどの理由から、可視光領域の光の水分解への利用効率は大きく制限されてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【0011】

【非特許文献1】Rostrup-Nielsen, J.R.; Sehested, J.; Norskov, J.K.; Hydrogen and Syngas by Steam Reforming, Academic Press, 2002
【非特許文献2】David, A., Bell.; Brian, F., Towler.; Maohong Fan.; Coal Gasification and its Applications, Elsevier, 2010
【非特許文献3】Nowotny, J., Sorrell, C., Sheppard, L., Bak, T.; Solar-hydrogen: Environmentally safe fuel for the future. Int. J. Hydrogen Energy 30, 521-544 (2005)
【非特許文献4】Anpo, P., Kamat, P.,V.; Environmentally Benign Photocatalysts, Nanostructure Science and Technology, Springer Science+Busines Media, LLC 2010
【非特許文献5】Kudo, A., Ueda, K., Mikami, I.; Photocatalytic O2 evoluion under visible light irradiation on BiVO4 in aqueous AgNO3 solution, Catalysis Letters 53, 229-230 (1998)
【非特許文献6】Kudo, A., Omori, K. & Kato, H. Aqueous process for preparation of crystal form-controlled and highly crystalline BiVO4 powder from layered vanadates at room temperature and its photocatalytic. J. Am. Chem. Soc. 121, 11459-11467 (1999)
【非特許文献7】Pilli, S. K. et al. Cobalt-phosphate (Co-Pi) catalyst modified Mo-doped BiVO4 photoelectrodes for solar water oxidation. Energy Environ. Sci. 4, 5028-5034 (2011)
【非特許文献8】Ye, H., Park, H. & Bard, A. Screening of electrocatalysts for photoelectrochemical water oxidation on W-doped BiVO4 photocatalysts by scanning electrochemical microscopy. J. Phys. Chem. C 115, 12464-12470
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような事情を踏まえ、本発明者らは、水の分解効率を飛躍的に向上させる新規な光触媒構造体についての検討を進めてきた。本発明の目的は、可視光領域でも十分に高い光活性を有する光触媒と電気伝導性に優れる材料との組合せにより、水の分解効率に優れる光触媒構造体およびそれをアノードとして備える光電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る光触媒構造体は、表面が導電性を有する基体上に、導電性を有する円柱状のナノロッドであって平均半径がRのナノロッドが単位面積(μm)当たりN本の密度で実質的に均一にアレイ状に設けられており、前記ナノロッドの表面は、光触媒作用を有する光吸収体膜により、平均表面被覆率Cで80%以上が被覆されて平均半径がRのヘテロ接合ナノロッドを構成しており、前記ナノロッドのバンドギャップEは前記光吸収体のバンドギャップEより広く(E>E)、且つ、前記ナノロッドの価電子バンドのエネルギーEは前記光吸収体の価電子バンドのエネルギーEよりも低く(E<E)、前記ヘテロ接合ナノロッドの相互の平均間隔をLとしたときに前記平均半径RがR<L/2を満足している。
【0014】
好ましくは、前記光吸収体膜の表面はナノ粒子状の凸部を複数有しており、該複数の凸部が前記ヘテロ接合ナノロッドの平均半径Rを規定する。
【0015】
また、好ましくは、前記ナノロッドの表面を被覆する前記光吸収体膜の凸部を除く部分の平均厚みは、該光吸収体中における電子および正孔の拡散長よりも薄い。
【0016】
また、好ましくは、前記光吸収体膜は、バンドギャップが3eV以下の直接遷移型の半導体材料である。
【0017】
例えば、前記ナノロッドの主成分は、WO、MoO、ZnOの何れかである。
【0018】
また、例えば、前記光吸収体の主成分は、BiVO、BiFeO、BiNbO、BiTaO、SbVO、SbNbO、SbTaO、CrVO、CrNbO、CrTaO、FeVO、FeNbO、FeTaO、InVO、InNbO、InTaO、LaVO、LaNbO、LaTaO、CeVO、CeNbO、CeTaO、α-Fe、TaONの何れかである。
【0019】
好ましくは、前記ナノロッドの主成分は酸化タングステン(WO)であり、前記光吸収体の主成分は酸化ビスマスバナジウム(BiVO)である。
【0020】
また、好ましくは、前記光吸収体はリン酸コバルトを含む。
【0021】
好ましい態様では、前記ヘテロ接合ナノロッドの平均半径Rと前記ナノロッドの平均半径Rの差ΔRが25nm<ΔR<40nmの範囲にある。
【0022】
好ましくは、前記ナノロッドの平均半径Rは40nm<R<100nmの範囲にある。
【0023】
また、好ましくは、前記ナノロッドの高さHは500nm<H<2500nmの範囲にある。
【0024】
さらに、好ましくは、前記ヘテロ接合ナノロッドの相互の平均間隔Lは190nm<L<320nmの範囲にある。
【0025】
また、好ましくは、前記ナノロッドの単位面積(μm)当たりの本数Nは10<N<30の範囲にある。
【0026】
例えば、前記基体の表面は酸化インジウムスズ(ITO)であり、また、前記光吸収体膜は電着膜である。
【0027】
本発明に係る光電池には、上述の光触媒構造体がアノードとして用いられている。
【発明の効果】
【0028】
本発明で採用するヘテロ接合構造では、光触媒作用を有するBiVOなどの光吸収体の膜は光吸収層として作用し、その厚みを数十nm以下といった比較的薄いものとすることができる。この程度に薄い光吸収体であれば、光吸収により発生した電子のほとんどを、電気伝導性に優れたWOなどの材料から成るナノロッドで収集可能であるから、光生成キャリアの収集効率は格段に向上する。
【0029】
また、光吸収体膜の表面にナノ粒子状の凸部を複数設けることとすると、該複数の凸部の存在により光吸収体の表面積が増大するため、光吸収により発生するキャリアの数も増加する。
【0030】
このように、本発明によれば、BiVOをはじめとする光触媒を用いた従来の光電池の特性を遥かに凌ぐ優れた光電池を作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る光触媒構造体の構成例を概念的に説明するための図で、図1(A)は上面図、図1(B)は断面図、図1(C)は光吸収により発生した電子がナノロッドにより収集される様子を説明するための概念図である。
【図2】本発明に係る光触媒構造体のエネルギーバンド図の一例である。
【図3】本発明に係る光触媒構造体において、構造パラメータと光電変換効率(IPCE)との関係を概念的に示す図で、図3(A)はナノロッドの高さH、図3(B)は第2の材料(光吸収体)の平均の厚みΔR、図3(C)はヘテロ接合ナノロッドの平均半径Rをパラメータとした図である。
【図4】ナノロッドを酸化タングステン(WO)とし第2の材料(光吸収体)を酸化ビスマスバナジウム(BiVO)としてヘテロ接合ナノロッドを形成した光触媒構造体を、種々の高さHで形成してその光電流値を実測した例を示す図である。
【図5】ナノロッドを酸化タングステン(WO)とし第2の材料(光吸収体)を酸化ビスマスバナジウム(BiVO)としてヘテロ接合ナノロッドを形成した光触媒構造体において、種々の第2の材料(光吸収体)の平均の厚みΔRで形成してその光電流値を実測した例を示す図である。
【図6】ナノロッドを酸化タングステン(WO)とし第2の材料(光吸収体)を酸化ビスマスバナジウム(BiVO)としてヘテロ接合ナノロッドを形成した光触媒構造体において、ヘテロ接合ナノロッドの半径Rを種々の値で形成してその光電流値を実測した例を示す図である。
【図7】本発明に係る光触媒構造体を用いて水分解を行う際の原理を概念的に説明するための図である。
【図8】酸化タングステン(WO)からなるナノロッドを基板上にアレイ状に形成するための一手法を説明るための図である。
【図9】WOのナノロッドの表面に第2の材料(光吸収体)を被覆するための一手法を説明するための図である。
【図10】図5に、ΔR=30nmの条件において、第2の材料(光吸収体)をBiVOとリン酸コバルトの共光触媒とした場合の光電流およびIPCEのデータを付加した図である。
【図11】WOのナノロッドの表面に、光触媒としての第2の材料(光吸収体)であるBiVOとCoPiを被覆させたヘテロ接合ナノロッドを備える光触媒構造体を作製し、その特性を1Vのバイアス下で評価した結果を説明するための図である。
【図12】本発明に係る光触媒構造体をアノードとして試作したタンデム型の光電池(PVセル)の特性を評価した結果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。

【0033】
なお、以降では、導電性を有する円柱状のナノロッドがWOからなり、その表面を被覆する光触媒作用を有する光吸収体がBiVOであるものとして本発明を説明するが、これらの材料はWOとBiVOに限定されるものではない。また、以降の説明では、主として、光吸収膜を電着法で蒸着する態様を説明するが、その際の蒸着法に特別な制限はない。

【0034】
これらの材料の組合せは、ナノロッドの主成分が導電性を有するものであり、光吸収体の主成分が光触媒作用を有するものであって、ナノロッドのバンドギャップEは光吸収体のバンドギャップEより広く(E>E)、且つ、ナノロッドの価電子バンドのエネルギーEは光吸収体の価電子バンドのエネルギーEよりも低い(E<E)という条件のもとで、種々のものがあり得る。

【0035】
ナノロッドの主成分としては、WOの他に、MoOやZnOを例示することができる。また、光吸収体の主成分としては、BiVOの他に、BiFeO、BiNbO、BiTaO、SbVO、SbNbO、SbTaO、CrVO、CrNbO、CrTaO、FeVO、FeNbO、FeTaO、InVO、InNbO、InTaO、LaVO、LaNbO、LaTaO、CeVO、CeNbO、CeTaO、α-Fe、TaONなどを例示することができる。もちろん、これらの材料は酸化物に限定されるものではなく、GaNをはじめとする窒化物等であってもよい。

【0036】
本発明では、光触媒による水素製造のために有望視されながらも、その低い電気伝導性のために本来の触媒特性を充分に生かすことが困難であった光触媒作用を有する材料の弱点を補うための新規な構造を提案する。具体的には、光触媒としての材料と導電性に優れた材料とのヘテロ接合構造を備えた光触媒構造体を提案する。

【0037】
図1は、本発明に係る光触媒構造体の構成例を概念的に説明するための図で、図1(A)は上面図、図1(B)は断面図、そして、図1(C)は光吸収により発生した電子がナノロッドにより収集される様子を説明するための概念図である。

【0038】
この光構造体は、導電性に優れた第1の材料を主成分とするナノロッドの表面を、光触媒作用を有する第2の材料が被覆している。第2の材料が光を吸収して発生したキャリア(電子)は、導電性に優れたナノロッドにより効率的に収集されることとなり、導電性が劣るという第2の材料の弱点を補うことができる。なお、この図に示した例では、ナノロッドは導電性に優れるWOからなり、第2の材料は、光触媒作用に優れる酸化物として広く知られているBiVOを主成分とするものである。

【0039】
なお、上述のとおり、ナノロッドのバンドギャップEは光吸収体のバンドギャップEより広く(E>E)、且つ、ナノロッドの価電子バンドのエネルギーEは光吸収体の価電子バンドのエネルギーEよりも低い(E<E)という条件のもとで、上記第1および第2の材料の選択がなされる。

【0040】
このような光構造体で採用されるヘテロ接合構造では、光触媒作用を有する光吸収体の膜(光吸収膜)は、例えば電着法により形成された膜(電着膜)であるため、その厚みを数十nm以下といった比較的薄いものとしつつ、ナノロッドの表面を高い被覆率で被覆することができる。つまり、ナノロッドの表面を被覆する光吸収体の厚みを、該光吸収体中におけるキャリア(電子もしくは正孔)の拡散長よりも薄くすることができる。

【0041】
ナノロッドの表面を被覆する光吸収体の厚みが光吸収体中でのキャリアの拡散長よりも厚い場合には、発生したキャリアはナノロッド表面に拡散する途中で再結合により消滅してしまうが、本願発明では、ナノロッドの表面を被覆する光吸収体の厚みを、該光吸収体中におけるキャリア(電子もしくは正孔)の拡散長よりも薄くすることができる。そして、この程度に薄い光吸収体であれば、光吸収により発生したキャリアのほとんどを、導電性に優れたナノロッドで収集可能となり、光生成キャリアの収集効率は格段に向上する。

【0042】
しかも、本願発明の光吸収体膜は、例えば電着法により形成された膜であるため、ナノロッドの表面を高い被覆率で被覆することができ、その分だけ光吸収量が増え、その結果、光生成キャリア量が顕著に向上する。

【0043】
さらに、光吸収体膜を、例えば電着法により形成された膜とすると、当該電着膜の表面にナノ粒子状の凸部を複数形成することができ、このナノ粒子状の凸部の存在により光吸収体の表面積が増大するため、光吸収により発生するキャリアの数も増加する。

【0044】
なお、このようなナノ粒子状の凸部を複数形成する場合には、ナノロッドの表面を被覆する光吸収体膜の凸部を除く部分の平均厚みが、該光吸収体中における電子および正孔の拡散長よりも薄くなるように成膜することになる。

【0045】
図1に例示した光触媒構造体100では、基体としてのガラス基板10の表面に、導電性をもたせるための酸化インジウムスズの膜(ITO膜)20が形成されており、このITO膜20の上に、高さ(長さ)がHの、導電性を有する複数の円柱状のナノロッド30が、単位面積(μm)当たりN本の密度で実質的に均一にアレイ状に設けられている。この図に示した例では、ナノロッド30を導電性に優れたものとするために、その主成分は、導電性に優れた酸化タングステン(WO)とされている。なお、基板10はガラスに限定されるものではなく、その主面に形成される導電膜もITOに限定されるものではない。

【0046】
このナノロッド30の表面を、主成分がBiVOである光触媒作用を有する第2の材料から成る光吸収体40が被覆し、第1の酸化物との間でヘテロ接合を形成している。従って、この光触媒構造体100では、ITO膜20の上に、第1の材料と第2の材料のヘテロ接合が形成されたナノロッド50(ヘテロ接合ナノロッド)が、単位面積(μm)当たりN本の密度で実質的に均一にアレイ状に設けられている。

【0047】
ナノロッド30の平均半径をRとし、ヘテロ接合ナノロッド50の平均半径をRとすると、両者の差ΔRが、ナノロッド30の表面を被覆する第2の材料(光吸収体)40の平均厚みとなる。なお、上述のとおり、光吸収体40は、例えば電着法により形成された膜であり、ナノロッド30の表面を高い被覆率で被覆している。また、この図に示した態様では、光吸収体40である電着膜の表面はナノ粒子状の凸部を複数有しており、該複数の凸部がヘテロ接合ナノロッド50の平均半径Rを規定している。

【0048】
ここで、太陽スペクトルの可視光領域の利用効率を高めるため、光吸収体40は、バンドギャップが3eV以下の直接遷移型の半導体材料であることが好ましい。このような材料を選択することで、太陽スペクトルの可視光領域の光の吸収効率が高まり、その結果、光エネルギーの利用効率が高まる。

【0049】
また、ヘテロ接合ナノロッド50相互は、外部からの光がナノロッド30のガラス基板10側を被覆する第2の材料(光吸収体)40にも十分に到達できるように、離間されている。仮にこのようなヘテロ接合ナノロッド50相互の離間が妨げられると、光はヘテロ接合ナノロッド50の上部に形成された第2の材料(光吸収体)40によってのみ吸収されることとなり、それよりも下部の第2の材料(光吸収体)40は光吸収に寄与できず、光触媒作用を奏することができなくなる。

【0050】
よって、本発明に係る光触媒構造体100では、ヘテロ接合ナノロッド50の相互の平均間隔をLとしたときに、ヘテロ接合ナノロッド50の平均半径をRがR<L/2を満足するように、アレイ状のナノロッド30の形成ならびに第2の材料(光吸収体)40の被覆がなされている。なお、この第2の材料(光吸収体)40のナノロッド30の平均表面被覆率Cは、80%以上であることが好ましい。

【0051】
つまり、本発明に係る光触媒構造体の好ましい態様では、表面が導電性を有する基体上に、導電性を有する円柱状のナノロッドであって平均半径がRのナノロッドが単位面積(μm)当たりN本の密度で実質的に均一にアレイ状に設けられており、前記ナノロッドの表面は、光触媒作用を有する光吸収体膜により、平均表面被覆率Cで80%以上が被覆されて平均半径がRのヘテロ接合ナノロッドを構成しており、前記ナノロッドのバンドギャップEは前記光吸収体のバンドギャップEより広く(E>E)、且つ、前記ナノロッドの価電子バンドのエネルギーEは前記光吸収体の価電子バンドのエネルギーEよりも低く(E<E)、前記ヘテロ接合ナノロッドの相互の平均間隔をLとしたときに前記平均半径RがR<L/2を満足している。

【0052】
なお、図1(A)に図示しているように、ナノロッド30の表面を被覆する第2の材料(光吸収体)40は、厚い部分(ナノ粒子状の凸部)と薄い部分(凸部を除く部分)があるが、上述のヘテロ接合ナノロッド50の平均半径Rを算出するに際しては、厚い部分の平均的な値を採用している。尤も、薄い部分がナノロッド30の表面を被覆していないわけではないから、当該薄く被覆した第2の材料(光吸収体)40も光触媒作用を奏することは言うまでもないが、光触媒作用は主として、第2の材料(光吸収体)40の厚い部分によりもたらされる。

【0053】
上述のとおり、図1に例示した構成のヘテロ接合構造では、BiVOは光吸収層として作用し、その厚みを数十nm以下といった比較的薄いものとすることができる。この程度に薄いBiVOであれば、光吸収により発生した電子のほとんどを、電気伝導性に優れたWOを主成分とするナノロッドで収集可能であるから、光生成キャリアの収集効率は格段に向上する。このメカニズムは、上記2つの材料に限定されるものではなく、他の材料の組合せであっても同様である。

【0054】
しかも、本発明に係る光触媒構造体100では、ヘテロ接合ナノロッド50が、単位面積(μm)当たりN本の密度で実質的に均一にアレイ状に設けられており、ヘテロ接合ナノロッドの相互の平均間隔をLとしたときに、ヘテロ接合ナノロッド50の平均半径RがR<L/2を満足し、ヘテロ接合ナノロッド50相互が離間しているため、外部からの光がナノロッド30のガラス基板10側を被覆する第2の材料(光吸収体)40にも十分に到達できる。

【0055】
そして、ヘテロ接合ナノロッド50の上部から入射した光は、当該部分に形成された第2の材料(光吸収体)40によって吸収されるだけではなく、ナノロッド30の表面と当該表面を薄く被覆する第2の材料(光吸収体)40との界面で反射を繰り返し、実質的な「光学的距離」が長くなるから、なお一層、第2の材料(光吸収体)40による光吸収率を高めること、すなわち、電子-正孔対の生成効率を高めることが可能となる。

【0056】
このような光触媒構造体100を光電池のアノードとして用いた場合に光電流を最大化するためには、上記第2の材料(光吸収体)40の平均の厚み(ΔR)の最適化が必要となる。本発明者らの検討によれば、上記ΔRの最適値は、概ね、25nm<ΔR<40nmの範囲にある。

【0057】
厚みが25nm以下だと、単位面積当たりの第2の材料(光吸収体)40による光吸収効率としてあまり高い値が得られない。一方、厚みが40nm以上だと、その相対的に低い電気伝導性のために、光吸収により発生した電子をナノロッドで収集する効率が低下してしまう。

【0058】
上述した効果乃至傾向は、WOとBiVOの組合せに限らず、導電性に優れる第1の材料と光触媒作用に優れる第2の材料との組み合わせにおいても確認される効果乃至傾向であることは上述のとおりである。

【0059】
例えば、第1の材料を、WO、MoO、ZnOの群から選択し、第2の材料を、BiVOの他に、BiFeO、BiNbO、BiTaO、SbVO、SbNbO、SbTaO、CrVO、CrNbO、CrTaO、FeVO、FeNbO、FeTaO、InVO、InNbO、InTaO、LaVO、LaNbO、LaTaO、CeVO、CeNbO、CeTaO、α-Fe、TaONの群から選択し、これらの酸化物同士の組合せとしてもよい。

【0060】
図2は、本発明に係る光触媒構造体のエネルギーバンド図の一例である。ガラス基板10上に導電性を有するITO膜20が形成され、その上に主成分が酸化タングステン(WO)である円柱状のナノロッド30が単位面積(μm)当たりN本の密度で実質的に均一にアレイ状に設けられ、これらナノロッド30の表面を、主成分が酸化ビスマスバナジウム(BiVO)である光触媒作用を有する第2の材料(光吸収体)40が被覆してヘテロ接合ナノロッド50を形成している。

【0061】
ヘテロ接合ナノロッド50にエネルギhνの光が入射すると、主成分が酸化ビスマスバナジウム(BiVO)である光触媒作用を有する第2の材料(光吸収体)40中で電子-正孔対が形成される。光生成した電子は主成分が酸化タングステン(WO)である良導体のナノロッド30を介してITO膜20へと移動し、さらに、フォトアノードのバックコンタクトから外部回路を通ってPt対向電極(不図示)へと移動する。一方、光生成した正孔は、フォトアノードと水の界面で水酸化反応に関与する。このようにして、光エネルギーを水分解に利用した水素の製造に寄与することになる。

【0062】
このような構成の光触媒構造体において、光電流を最大化するパラメータ(例えば、ナノロッド30の高さH、第2の材料(光吸収体)40の平均の厚みΔR、ヘテロ接合ナノロッド50の平均半径R)には適正な範囲がある。

【0063】
図3は、これらのパラメータと光電変換効率(IPCE)との関係を概念的に示す図で、図3(A)はナノロッド30の高さH、図3(B)は第2の材料(光吸収体)40の平均の厚みΔR、図3(C)はヘテロ接合ナノロッド50の平均半径Rをパラメータとした場合の図である。

【0064】
先ず、ナノロッド30の高さHをパラメータとした場合(図3(A))、H値が大きくなるにつれて光吸収量は徐々に高くなり、一定の値で飽和する。これは、当該一定値よりもH値が大きくなっても、基板に近い部分には光が照射され難くなることによると考えられる。一方、光電変換効率(IPCE:Incident Photon to Current conversion Efficiency)は概ねこの一定値を境に徐々に減少する傾向を示す。これは、ナノロッド30(ヘテロ接合ナノロッド50)のH値が大きくなると、それだけナノロッド30中を長く電子が伝導することとなるため、当該伝導の際に電気抵抗による損失が大きくなることによると考えられる。

【0065】
つまり、ナノロッド30のH値が大きいほど光吸収量が増えてIPCEが増大する一方、ナノロッド30のH値が大きくなるほど電気抵抗による電子伝導損失が大きくなってIPCEが低下してしまう。このため、光電池としての効率を高めるためには、光電流を最大化するナノロッド30の高さHは適正範囲に設定することが必要となる。本発明では、このナノロッド30の高さHは、好ましくは500nm<H<2500nmの範囲に設定する。

【0066】
次に、第2の材料(光吸収体40の平均の厚みΔRをパラメータとした場合(図3(B))、ΔR値が大きくなるにつれて光吸収量は徐々に高くなり、一定の値で飽和する。つまり、当該一定値よりもΔR値が大きくなっても、光吸収量は増大しない。

【0067】
一方、光電変換効率(IPCE)は概ねこの一定値を境に徐々に減少する傾向を示す。これは、第2の材料(光吸収体)40が厚くなると、主成分(例えば酸化ビスマスバナジウム(BiVO))はもともと導電性が低いため、第2の材料(光吸収体)40中を伝導する際に電気抵抗による損失が大きくなることによると考えられる。

【0068】
つまり、第2の材料(光吸収体)40の平均の厚みΔRが大きいほど光吸収量が増えてIPCEが増大する一方、ΔRが大きくなるほど電気抵抗による電子伝導損失が大きくなってIPCEが低下してしまう。このため、光電池としての効率を高めるためには、光電流を最大化する第2の材料(光吸収体)40の平均の厚みΔRは適正範囲に設定することが必要となる。

【0069】
本発明では、この第2の材料(光吸収体)40の平均の厚みΔR(すなわち、ヘテロ接合ナノロッド50の平均半径Rとナノロッド30の平均半径Rの差ΔR)は、好ましくは25nm<ΔR<40nmの範囲に設定する。

【0070】
さらに、ヘテロ接合ナノロッド50の平均半径Rをパラメータとした場合(図3(C))、ヘテロ接合ナノロッド50の相互の平均間隔をLとしたときに平均半径RがR<L/2を満足しているか否かに、IPCEは大きく依存する。

【0071】
平均半径RがR<L/2を満足している範囲では、R値が大きくなるにつれて光吸収量は徐々に高くなり、最大値を示した後に減少し始める。これは、平均半径Rが大きくなるにつれて、隣接するヘテロ接合ナノロッド50との間隔が狭くなり、その結果、ヘテロ接合ナノロッド50の基板側への光入射量が減少することによるものと考えられる。

【0072】
つまり、光電池としての効率を高めるためには、平均半径RはR<L/2を満足していることが必要であり、その範囲において平均半径Rを最適化することが必要となる。

【0073】
本発明では、ヘテロ接合ナノロッド50の平均半径Rは、R<L/2を満足するように設定し、好ましくは、ナノロッド30の平均半径Rを40nm<R<100nmの範囲とし、ヘテロ接合ナノロッド50の平均半径Rとナノロッド30の平均半径Rの差ΔRを25nm<ΔR<40nmの範囲とし、さらに、ヘテロ接合ナノロッド50の相互の平均間隔Lを190nm<L<320nmの範囲に設定して、平均半径Rを設定する。

【0074】
図4は、ナノロッド30を酸化タングステン(WO)とし第2の材料(光吸収体)40を酸化ビスマスバナジウム(BiVO)としてヘテロ接合ナノロッド50を形成した光触媒構造体を、種々の高さHで形成してその光電流値を実測した例を示す図である。この図において、左軸は光電流値(mA/cm)を、右軸はIPCE(%)を示している。

【0075】
図4に示した結果によれば、光電流およびIPCEは、酸化タングステン(WO)からなるナノロッド30の高さHが大きくなるにつれて高くなるが、概ねH=2.5μm近傍で極大となり、これよりも大きなH値では減少してゆく。本発明者らは、この結果を基に、ナノロッド30の高さを、光電流として0.3mA/cmよりも大きな値が得られる500nm<H<2500nmの範囲に設定することが好ましいと判断している。

【0076】
図5は、図4に示したものと同様に、ナノロッド30を酸化タングステン(WO)とし第2の材料(光吸収体)40を酸化ビスマスバナジウム(BiVO)としてヘテロ接合ナノロッド50を形成した光触媒構造体において、種々の第2の材料(光吸収体)40の平均の厚みΔRで形成してその光電流値を実測した例を示す図である。この図において、左軸は光電流値(mA/cm)を、右軸はIPCE(%)を示している。

【0077】
図5に示した結果によれば、光電流およびIPCEは、酸化ビスマスバナジウム(BiVO)からなる第2の材料(光吸収体)40の平均の厚みΔRが大きくなるにつれて高くなるが、概ねΔR=30nm近傍で極大となり、これよりも大きなΔR値では減少してゆく。本発明者らは、この結果を基に、第2の材料(光吸収体)40の平均の厚みΔRを、光電流として4mA/cmよりも大きな値が得られる25nm<ΔR<40nmの範囲に設定することが好ましいと判断している。

【0078】
図6は、図4および図5に示したものと同様に、ナノロッド30を酸化タングステン(WO)とし第2の材料(光吸収体)40を酸化ビスマスバナジウム(BiVO)としてヘテロ接合ナノロッド50を形成した光触媒構造体において、ヘテロ接合ナノロッド50の半径Rを種々の値で形成してその光電流値を実測した例を示す図である。

【0079】
この図に示した結果から明らかなように、光電池としての効率を高めるためには、ヘテロ接合ナノロッド50の平均半径Rは、R<L/2を満足するように設定する必要がある。

【0080】
本発明者らは、ヘテロ接合ナノロッドの相互の平均間隔Lおよびナノロッドの単位面積(μm)当たりの本数Nについての条件を変更して同様の実験を繰り返し、ヘテロ接合ナノロッドの相互の平均間隔Lは190nm<L<320nmの範囲にあることが好ましく、ナノロッドの単位面積(μm)当たりの本数Nは10<N<30の範囲にあることが好ましいと結論付けるに至った。

【0081】
上述した構造の光触媒構造体を用いると、BiVOを主成分とする光吸収層の厚みを極めて薄くすることができ、例えば、ナノロッドの表面を被覆する光吸収体の厚みを、該光吸収体中における電子および正孔の拡散長よりも薄くすることができる。このため、光照射により生成した電子と正孔が効率的に水分解に寄与し、これをアノードとして用いた場合の光電池の効率を高めることができる。

【0082】
図7は、本発明に係る光触媒構造体を用いて水分解を行う際の原理を概念的に説明するための図である。この光触媒構造体は、例えばNaSOなどの電解質60(pH7程度の緩衝溶液)中で光照射され、ヘテロ接合ナノロッド50に光が入射すると、第2の材料(光吸収体)40としての酸化ビスマスバナジウム(BiVO)の表面領域で、活性な電子と正孔が形成され、これらのキャリアが極めて強い酸化還元反応を引き起こす。

【0083】
光生成した電子は、BiVOの伝導帯に注入された後、良導体である酸化タングステン(WO)からなるナノロッド30を介してITO膜20へと移動する。このITO膜20はフォトアノードのバックコンタクトから外部回路70を通ってPt対向電極(カソード)80へと移動し、水を還元して水素を発生させる。

【0084】
一方、正孔はPt対向電極80に引き寄せられて水を酸化して酸素を発生させる。つまり、BiVOへの光照射により、強い還元力をもつ電子と強い酸化力をもつ正孔が生成され、これらのキャリアが水と反応して水素と酸素を発生させる。このようにして、光エネルギーを水分解に利用した水素の製造が行われる。

【0085】
光触媒による水分解の効率は、光吸収効率、電荷分離効率、および、触媒変換効率(注入効率)によって決まる。これらの特性のうち、電荷分離効率と触媒変換効率は、バルクおよび表面での再結合過程を特徴付けるものである。

【0086】
また、水分解による光電流(J)は、電流密度として評価される光吸収効率(J)と、アノードと電解質の界面に到達する光生成した正孔の割合(Psep)と、水分解のために電解質に注入される光生成した正孔の割合(Pinj)との積(J=J×Psep×Pinj)で与えられる。

【0087】
本願発明の場合、ナノロッドの表面を被覆する光吸収体の厚みを、該光吸収体中におけるキャリア(電子もしくは正孔)の拡散長よりも薄くすることができる。例えば、光吸収体がBiVOであるとした場合の膜厚(凸部を有する態様の場合には凸部を除く部分の平均厚み)を僅か35nm程度とすることができる。

【0088】
この厚みは、BiVO中のキャリア(正孔)の拡散長(約80nm)よりも遥かに薄いから、Psep(アノードと電解質の界面に到達する光生成した正孔の割合)は略1となる。その結果、本願発明により極めて高い光電流(J)を得ることが可能となる。

【0089】
以下に、本発明に係る光触媒構造体が備えるヘテロ接合ナノロッド50の形成法を、例示により説明する。

【0090】
図8は、上述した酸化タングステン(WO)からなるナノロッド30を基板上にアレイ状に形成するための一手法を説明するための図である。

【0091】
図8(A)に図示したように、主面にITO膜20が形成されたガラス基板10を試料ホルダ200にセットし、第1の材料の供給源であるマグネトロン300から、WOのフラックスが上記ITO膜20の表面に供給される。試料ホルダ200は、面内での回転(φ)はもとより、マグネトロン300との距離およびマグネトロン300に対する視射角(α)も可変であり、これらの条件を適宜選択することにより、ナノロッド30の平均半径Rはもとより、相互の平均間隔Lや単位面積(μm)当たりの本数Nも制御することができる。なお、ガラス基板10上に設けるITO膜20もまた、上記マグネトロン堆積法で形成するようにしてもよい。

【0092】
WOの堆積中、試料ホルダ200を面内回転(φ)させながらマグネトロン300に対する視射角(α)も変化させ、シャドーイングの効果により特定方向に優先的にWOが堆積されることを回避する(図8(B))。このような条件でWOの堆積を継続し、ナノロッド30が所望の高さ(例えば2.5μm)となった時点でWOのフラックス供給を停止すると、図8(C)に図示したような、単位面積(μm)当たりN本の密度で実質的に均一にアレイ状に設けられた状態の円柱状のナノロッド30が得られる。

【0093】
なお、この堆積直後のWOのナノロッド30はアモルファス状態にあるため、結晶化の目的で、例えば大気中で、560℃程度の温度で4~5時間程度のアニールを施す。

【0094】
続いて、このようにして得られたWOのナノロッド30の表面を、主成分が酸化ビスマスバナジウム(BiVO)である光触媒作用を有する第2の材料(光吸収体)40で被覆する。

【0095】
図9は、WOのナノロッド30の表面に第2の材料(光吸収体)40を被覆するための一手法を説明するための図である。図9(A)に示したように、上述の手順で形成されたアレイ状のナノロッド30を、電着装置400内にセットする。この電着装置400内には、例えば、HNOを添加してpHが0.5とされた35mMのVOSO中に10mMのBi(NOを溶解させたものを、2Mの酢酸ソーダ溶液と微量のHNOでpHを4.7に調整した電解質が充填されている。電着は、例えば55℃の液温で一定の印加電圧0.21Vで行う。

【0096】
この電着により、図9(B)および図9(C)に示したように、WOのナノロッド30の表面が第2の材料(光吸収体)40(BiVO)により被覆され、ヘテロ接合ナノロッド50が形成される。

【0097】
なお、第2の材料(光吸収体)40による被覆は電着法以外の手法で行ってもよく、例えば、上述したマグネトロン堆積法で行うようにしてもよい。

【0098】
このような被覆直後の第2の材料(光吸収体)40(BiVO)はアモルファス状態にあるため、結晶化の目的で、例えば大気中で、500℃程度の温度で2時間程度のアニールを施す。

【0099】
この状態のBiVOの上から、さらに、光触媒作用を有するリン酸コバルト(CoPi)を蒸着するようにしてもよい。その際の蒸着法に特別な制限はないが、例えば、光アシスト電着法(PED法)などによることができる。この場合、第2の材料(光吸収体)40は、BiVOだけではなく、リン酸コバルト(CoPi)も光触媒として含むこととなる。

【0100】
図10は、図5に、ΔR=30nmの条件において、第2の材料(光吸収体)40をBiVOとリン酸コバルトの共光触媒とした場合の光電流およびIPCEのデータを付加した図である。

【0101】
図10に示した結果によれば、共光触媒としたことにより触媒作用が強まり、その結果、光電流およびIPCEが顕著に高くなっている。
【実施例】
【0102】
図11は、WOのナノロッド30の表面に、光触媒としての第2の材料(光吸収体)40であるBiVOとCoPiを被覆させたヘテロ接合ナノロッド50を備える光触媒構造体を作製し、その特性を1Vのバイアス下で評価した結果を説明するための図である。
【実施例】
【0103】
図11(a)は照射光の波長(横軸)に対するIPCE(%)を25℃と50℃で評価した結果の図である。
【実施例】
【0104】
図11(b)はI-V特性を示す図であり、25℃での評価はAM1.5Gにおける放射照度量1SUN(1000W/m)で行い、50℃での評価は放射照度量3SUN(3000W/m)で行った。
【実施例】
【0105】
図11(c)および図11(d)はそれぞれ、25℃および50℃で評価した、水素(H)および酸素(O)のガス生成率(○マーク)、ファラデー効率(faradaic efficiency:□マーク)であり、破線は理論ガス生成率を示している。また、これらの図の下部には、光電流の時間変化を示した。
【実施例】
【0106】
図11(a)の結果によれば、25℃と50℃において、概ね同様のIPCE特性(波長依存性)が得られており、波長516nm(2.4eV)で立ち上がり、短波長側のIPCEは、25℃において90%程度、50℃において92%程度である。
【実施例】
【0107】
図11(b)に示したI-V特性をみると、先ず、AM1.5Gとした際の1Vのバイアス下における25℃での光電流の理論値が6.73mAcm-2であるのに対し、実測値は6.72mAcm-2であり、極めて高い値が得られている。
【実施例】
【0108】
AM1.5Gとした際の1Vのバイアス下における50℃での光電流についても、理論値20.9mAcm-2に対し実測値は18.2mAcm-2であり、極めて高い値が得られている。
【実施例】
【0109】
次に、水素(H)のガス生成率についてみると、図11(c)に示した結果から、25℃において102μmolh-1cm-2(1SUNの光照射量の場合)、50℃において281μmolh-1cm-2(3SUNの光照射量の場合)と求まる。またファラデー効率については、光照射後の15分で既に80%に達し、概ね85%程度まで上昇する。
【実施例】
【0110】
図12は、上述の本発明に係る光触媒構造体をアノード(PECセル)として試作したタンデム型の光電池(PEC-PVセル)の特性を評価した結果を説明するための図である。
【実施例】
【0111】
図12(a)は当該PEC-PVセルの構造を示す概念図である。
【実施例】
【0112】
図12(b)は当該PEC-PVセルのI-V特性を示す図であり、PECセルのI-V特性PVセルのI-V特性の双方が示されている。なお、25℃での評価はAM1.5Gにおける放射照度量1SUN(1000W/m)で行い、50℃での評価は放射照度量3SUN(3000W/m)で行った。
【実施例】
【0113】
図12(c)にはAM1.5Gの疑似太陽光のスペクトルおよびアノードの反射スペクトルを示しており、さらに、当該PEC-PVセルのIPCEを基に算出した太陽エネルギー利用効率を光子束(photon flux)を指標として示している。
【実施例】
【0114】
図12(d)は当該PEC-PVセルの光電流プロファイルであり、25℃での評価はAM1.5Gにおける放射照度量1SUN(1000W/m)で行い、50℃での評価は放射照度量3SUN(3000W/m)で行った。
【実施例】
【0115】
図12(b)に示したI-V特性をみると、PECセルとPVセルのIV曲線の交点は、25℃では1.01Vにおいて6.6mAであり、50℃では1.02Vにおいて18.3mAである。
【実施例】
【0116】
なお、図12(a)に示したように、アノードは入射光に対して45°傾いて設けられているが、セルのI-V特性は光入射角に殆ど依存することはなかった。これは、本発明に係る光触媒構造体の触媒作用は、アレイ状に配置されたヘテロ接合ナノロッドが司ることによるものと理解している。
【実施例】
【0117】
つまり、光触媒が2次元的(平面的)に設けられている場合には、光触媒の支持基体の主面が光の入射方向から傾くほどI-V特性は低下することが予想されるが、本発明のように光触媒がヘテロ接合ナノロッドとして形成され、しかもそれがアレイ状に配置されている場合には、支持基体の主面が光の入射方向から傾いても触媒作用に寄与できる光触媒の実効量はさほど変化しないものと理解される。
【実施例】
【0118】
次に、図12(d)に示した光電流プロファイルを見ると、25℃は6.56mA、50℃では18.17mAの光電流が得られている。このうち、6.56mAという数値は、太陽光水素(STH)変換の理論効率の8.1%に相当し、BiVO:W,Mo/a-Si型の2接合タンデムセルについて従来報告されているSTH変換効率4.92%の1.6倍となる。また、18.17mAという数値は、STH変換の理論効率の7.5%に相当する。
【実施例】
【0119】
このように、本発明によれば、BiVOをはじめとする光触媒を用いた従来の光電池の特性を遥かに凌ぐ優れた光電池を作製することが可能となる。
【実施例】
【0120】
なお、既に述べたとおり、上述の説明は、第1の材料をWOとし、第2の材料がBiVOである場合についての例示に基づくが、これらの酸化物はあくまでも一例に過ぎず、本発明で採用し得る材料は、WOとBiVOの組合せに限定されるものではない。
【実施例】
【0121】
これらの材料の組合せは、ナノロッドの主成分が導電性を有するものであり、光吸収体の主成分が光触媒作用を有するものであって、ナノロッドのバンドギャップEは光吸収体のバンドギャップEより広く(E>E)、且つ、ナノロッドの価電子バンドのエネルギーEは光吸収体の価電子バンドのエネルギーEよりも低い(E<E)という条件のもとで、種々のものがあり得る。
【実施例】
【0122】
例えば、第1の材料としては、WOの他に、MoOやZnOを例示することができる。
【実施例】
【0123】
また、例えば、第2の材料としては、BiVOの他に、BiFeO、BiNbO、BiTaO、SbVO、SbNbO、SbTaO、CrVO、CrNbO、CrTaO、FeVO、FeNbO、FeTaO、InVO、InNbO、InTaO、LaVO、LaNbO、LaTaO、CeVO、CeNbO、CeTaO、α-Fe、TaONなどを例示することができる。
【実施例】
【0124】
もちろん、これらの材料は酸化物に限定されるものではなく、GaNをはじめとする窒化物等であってもよいが、水中で安定な材料であることが好ましい。
【実施例】
【0125】
上述した第1の材料と第2の材料の組合せであれば、本発明が奏する効果を得ることができる。
【実施例】
【0126】
本発明の好ましい態様では、光吸収体膜の表面はナノ粒子状の凸部を複数有しており、該複数の凸部がヘテロ接合ナノロッドの平均半径Rを規定する。つまり、図1(A)に図示した態様では、ナノロッド30の表面を被覆する第2の材料(光吸収体)40は、厚い部分(ナノ粒子状の凸部)と薄い部分(凸部を除く部分)を有しており、上述のヘテロ接合ナノロッド50の平均半径Rを算出するに際しては、厚い部分の平均的な値を採用する。
【実施例】
【0127】
そして、既に説明したように、光触媒作用は主として、第2の材料(光吸収体)40の厚い部分によりもたらされ、当該第2の材料(光吸収体)の厚い部分(ナノ粒子状の凸部)で生じたキャリアのナノロッドへの拡散は主として、第2の材料(光吸収体)の薄い部分(凸部を除く部分)で起こる。
【実施例】
【0128】
つまり、ナノ粒子状の凸部を複数有する光吸収体膜が80%以上の平均表面被覆率Cでナノロッド表面を被覆している態様では、その表面被覆率の高さに起因する効果に加え、高い光触媒作用の下で発生したキャリアを効率的にナノロッドへに拡散させ得るという効果が相俟って、極めて高い量子効率が実現される。
【実施例】
【0129】
このような態様のものの諸特性(実施例)と、ナノロッドの表面被覆率が低い態様(表面被覆率20%未満)のもの(従来構造)の諸特性(比較例)を、表1に纏めた。何れのものも、ナノロッドの主成分はWOであり、光吸収体の主成分はBiVOである。なお、表中の量子効率(IPCE:Incident to photon conversion efficiency)はいわゆる外部量子効率であり、光電流は電圧1.2VRHEにおける値である。
【実施例】
【0130】
【表1】
JP2016136374A1_000003t.gif
【実施例】
【0131】
光電流の理論限界値は7.5mA/cm2であるから、実施例のものでは理論限界値の90%に達しており、比較例のものでは理論限界値の47%であり、約2倍の光電流が得られていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は、水の分解効率に優れる光触媒構造体およびそれをアノードとして備える光電池を提供する。
【符号の説明】
【0133】
10 ガラス基板
20 ITO膜
30 ナノロッド
40 第2の材料(光吸収体)
50 ヘテロ接合ナノロッド
60 電解質
70 外部回路
80 カソード
100 光触媒構造体
200 試料ホルダ
300 マグネトロン
400 電着装置
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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