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明細書 :流体発電用回転装置および流体発電装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6378366号 (P6378366)
登録日 平成30年8月3日(2018.8.3)
発行日 平成30年8月22日(2018.8.22)
発明の名称または考案の名称 流体発電用回転装置および流体発電装置
国際特許分類 F03D   1/04        (2006.01)
F03D   1/06        (2006.01)
F03D  15/10        (2016.01)
F03B   3/04        (2006.01)
F03B   3/14        (2006.01)
F03B   3/18        (2006.01)
FI F03D 1/04 Z
F03D 1/06 Z
F03D 15/10
F03B 3/04
F03B 3/14 Z
F03B 3/18 Z
請求項の数または発明の数 9
全頁数 20
出願番号 特願2016-568339 (P2016-568339)
出願日 平成27年12月25日(2015.12.25)
国際出願番号 PCT/JP2015/086353
国際公開番号 WO2016/111209
国際公開日 平成28年7月14日(2016.7.14)
優先権出願番号 2015001885
優先日 平成27年1月7日(2015.1.7)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成29年8月28日(2017.8.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
発明者または考案者 【氏名】高橋 勉
【氏名】吉武 裕美子
【氏名】小又 直
【氏名】植木 由記子
個別代理人の代理人 【識別番号】100080089、【弁理士】、【氏名又は名称】牛木 護
【識別番号】100161665、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 知之
【識別番号】100121153、【弁理士】、【氏名又は名称】守屋 嘉高
【識別番号】100178445、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 淳二
【識別番号】100188994、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 裕介
【識別番号】100194892、【弁理士】、【氏名又は名称】齋藤 麻美
【識別番号】100207653、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 聡
審査官 【審査官】井古田 裕昭
参考文献・文献 米国特許出願公開第2009/0031639(US,A1)
特表2009-511817(JP,A)
特開2008-175070(JP,A)
特開2003-214309(JP,A)
米国特許第4366386(US,A)
調査した分野 F03D 1/04
F03B 3/04
F03B 3/14
F03B 3/18
F03D 1/06
F03D 15/10
特許請求の範囲 【請求項1】
流体の流れ方向に略平行な回転軸体と、
前記流体の流れ方向に対して略垂直に交差する回転面内で前記回転軸体を中心に回転するように配設される回転体と、
前記回転体に対して前記流体の流れ方向の下流側に離間して交差する少なくとも2つの交差部を有する後流物体とを備え、
前記回転体の前記回転面と、前記流体の流れを受ける前記後流物体の面とが略平行であることを特徴とする流体発電用回転装置。
【請求項2】
前記回転体と前記後流物体との離間隙間を流体の流速に応じて変更可能としたことを特徴とする請求項に記載の流体発電用回転装置。
【請求項3】
前記回転体が、細径の支柱部と、前記支柱部よりも太径で、前記後流物体の前記交差部と交差する本体翼部とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の流体発電用回転装置。
【請求項4】
前記後流物体がリング状または円筒形状であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の流体発電用回転装置。
【請求項5】
前記後流物体が、垂直断面形状が前記流体の流れ方向に沿って次第に流線形をなすように形成されることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の流体発電用回転装置。
【請求項6】
前記後流物体が前記回転体の回転面上の回転方向に対して連続的に形成されたものであることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の流体発電用回転装置。
【請求項7】
前記後流物体が前記回転体の回転面上の回転方向に対して断続的に形成されたものであることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の流体発電用回転装置。
【請求項8】
前記回転体の少なくとも前記後流物体の前記交差部と交差する部分が柱状体であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の流体発電用回転装置。
【請求項9】
流体の流れ方向に略平行な回転軸体と、
前記流体の流れ方向に対して略垂直に交差する回転面内で前記回転軸体を中心に回転するように配設される回転体と、
前記回転体に対して前記流体の流れ方向の下流側に離間して交差する少なくとも2つの交差部を有する後流物体とを備え、
前記回転体の前記回転面と、前記流体の流れを受ける前記後流物体の面とが略平行であり、
前記回転体が磁石を備え、前記後流物体が発電用コイルを備えることを特徴とする流体発電装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は流体発電用回転装置および流体発電装置に関し、特に風力あるいは水力等の自然エネルギを電気エネルギに変換するための装置に 好適なものである。
【背景技術】
【0002】
身近にある自然エネルギを利用した環境発電として最も実績のあるのが、流れのエネルギから電気エネルギを得る方法である。本発明の発明者らはこの方法を利用した発電装置として、 縦渦励振現象を利用する振動発電装置を提案している(例えば、特許文献1参照)。この振動発電装置は、流体の流れ方向に対し長手方向が交差するように配設された第1の柱状体と、当該第1の柱状体に対し離間して長手方向が交差するように配設された第2の柱状体とを有する。縦渦励振は、第1の柱状体と第2の柱状体との離間間隔が第1の柱状体の直径に対して所定の値になる場合に、第1の柱状体と第2の柱状体との交差部近傍から周期的に発生する縦渦により生ずるものである。
【0003】
一方、風力や水力から電気エネルギを得る一般的な方法は、風車や水車などを回転させて発電機を回す方法である。特に風力発電に着目すると、大型の風力発電装置ではプロペラ型(水平軸型)が主に用いられている。その回転力を得る原理は、プロペラ型の風車が流れの中に置かれると、翼のまわりに非対称な流れ場が形成され、流れと垂直方向に揚力が発生し、翼が回転するものである。このような大型の風力発電 装置では、高出力化を図るための翼の大型化に伴い、翼の内部に補強材を設けることで、風の抵抗や回転に伴う翼の破損や撓みを予防している(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、小型風力発電装置では、昆虫(例えばトンボ)の翅脈、植物(例えば飛翔する楓の実の)葉脈等にヒントを得て、薄肉翼に葉脈あるいは翅脈状紋様の突起を与え、翼強度を増加させると同時に翼性能を向上させる提案がなされている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2008-11669号公報
【特許文献2】特開2002-357176号公報
【特許文献3】特開2005-30317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献2および3記載の発明のような従来の風力発電装置は、翼が揚力を得る原理、すなわち電気エネルギを得るための回転力を得る原理はすべて同じである。
【0007】
これに対し、本発明の発明者らは、前記特許文献1に記載の振動発電装置の開発において縦渦励振現象の性質を調べるなかで、縦渦が周期的に形成されるだけではなく、前方の第1の柱状体が一方向に定速運動するときに、縦渦が片側のみに発生し、定常的揚力 が 発生することを見出した。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、流体の運動エネルギを電気エネルギに変換する流体発電用の回転装置において、縦渦による定常的揚力の発生という全く先例のない新たな知見に基づき、縦渦を駆動力として利用することで、流速が広範囲に変動しても縦渦が消滅することなく、広範囲にわたる流速下で効率的に発電可能な発電装置を提供することを課題とする。
【0009】
また、円柱を回転翼とすることで高強度の堅牢な翼型を有し、さらに新たな揚力発生原理を利用することで揚力を簡易に制御できる流体発電用回転装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため、本発明の流体発電用回転装置は、回転体と、 回転体に対して流体の流れ方向の下流側に離間して交差する少なくとも1つの交差部を有する後流物体を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の流体発電用回転装置によれば、縦渦による定常的揚力の発生という全く先例のない新たな知見に基づき、縦渦を駆動力として利用することで、流速が広範囲に変動しても縦渦が消滅することなく、広範囲にわたる流速下で効率的に発電可能な発電用回転装置を提供することができる。また、低速高トルクであるため過回転のおそれがなく、さらに構造が極めて単純であることから羽根の強度を大きくすることができるので、従来の風力発電等で問題になる羽根の破損による被害を減少し、安全な発電用回転装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】円柱/平板系から流出する縦渦(ネックレス渦)の模式図である。
【図2】縦渦の様子を示すものであり、(a)はトレーリング渦励振を、(b)はネックレス渦励振を示す。
【図3】流体の流速とカルマン渦励振および縦渦励振の振幅との関係を示す特性図である。
【図4】従来の縦渦励振(平行振動)発生の原理を説明する模式図であり、(a)は下方向への揚力、(b)は上方向への揚力を示す。
【図5】本発明の実施例1を示す斜視写真である。
【図6】本発明の実施例1を示す側面写真である。
【図7】本発明の実施例1の発電部を示す斜視写真である。
【図8】本発明の実施例1の柱状体の回転原理を説明する概略正面図である。
【図9】同上、概略側面図である。
【図10】本実施例の回転原理に影響を及ぼす円柱およびリング状体の幾何学的因子を示す正面図である。
【図11】同上、側面図である。
【図12】本発明の実施例1の流体の流速と柱状体の回転速度との関係を示す特性図である。
【図13】同上、無負荷状態でのリング幅と回転速度との関係を示すグラフである。
【図14】同上、離間隙間と柱状体7の直径との比と、回転速度との関係を示すグラフである。
【図15】本発明の実施例2を示す斜視写真である。
【図16】本発明の実施例2を示す側面写真である。
【図17】本発明の実施例2の弾性体たるばねによる固有振動数調整部を示す斜視写真である。
【図18】本発明の実施例2の柱状体の角振動原理を説明する概略正面図である。
【図19】本発明の実施例3の回転体を示す正面図である。
【図20】本発明の実施例4のリング状体を示す正面図である。
【図21】本発明の実施例5のリング状体を示す正面図である。
【図22】本発明の実施例5を示す側面図である。
【図23】本発明の実施例6の回転体を示す正面図である。
【図24】同上、側面図である。
【図25】同上、羽根の枚数を増加させた場合の周速比とパワー係数との関係を示すグラフである。
【図26】同上、羽根の枚数を増加させた場合の周速比とトルク係数との関係を示すグラフである。
【図27】本発明の実施例7の回転体を示す斜視図である。
【図28】本発明の実施例8の後流物体を示す正面図である。
【図29】本発明の実施例9の後流物体を示す側端面図である。
【図30】本発明の実施例10の回転体を示す斜視図である。
【図31】本発明の実施例11の後流物体を示す斜視図である。
【図32】同上、上面図である。
【図33】本発明の実施例12の発電装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る流体発電用回転装置1について説明する前に、本発明の発明者らが世界に先駆けて見出した縦渦による定常的揚力の発生原理について簡単に説明する。定常的揚力を発生させる縦渦は、回転軸体2と、回転軸体2を中心に回転するように配設された回転体3と、回転体3に対して流体の流れ方向の下流側に離間して、回転軸体2と同心となるように配設されたリング状体4とを有する装置において、所定の条件により発生する。例えば回転体3が円柱状の柱状体7である場合、柱状体7とリング状体4との離間間隔(s2)が、柱状体7の直径(d)に対して所定の値になる場合に縦渦が発生する。

【0014】
図1は、流体の流れ方向10に対し長手方向yが交差するように配設された柱状体7と、当該柱状体7に対して流体の流れ方向10の下流側に離間して長手方向zが交差するように配設された平板6とを有する装置の概略図である。図2は、当該装置における縦渦の形態を示すものである。ここで、図2(a)に示す形態をトレーリング渦と呼び、図2(b)に示す形態をネックレス渦と呼ぶことにする。尚、図1に記載の縦渦はネックレス渦NVの模式図である。トレーリング渦は、柱状体7と平板6との離間間隔(s1)が、柱状体7の直径(d)に対して小さな値となる場合に発生する。一方、ネックレス渦NVは、柱状体7と平板6との離間間隔(s1)が、柱状体7の直径(d)に対して比較的大きな値となる場合に発生する。例えば、図2(a)に示すトレーリング渦は、s1/d=0.08、レイノルズ数Re=1695の条件において観察されたものである。また、図2(b)に示すネックレス渦NVは、s1/d=0.28、レイノルズ数Re=1735の条件において観察されたものである。同図から分かるように、柱状体7と平板6との交差部近傍から周期的に縦渦が発生している。縦渦は柱状体7と平板6との離間隙間(s1)を僅かに変化させると、2種類の形態をとることが観察される。

【0015】
図2は水流における縦渦の観察結果を示す一方、縦渦は、流体が水等の液体の場合のみならず、流体が空気等の気体の場合にも発生する。図3は、三種類の装置において、空気の流速と柱状体7の振幅との関係を示す実験結果である。

【0016】
図中、(1)のデータは、柱状体7単独の装置において、通常のカルマン渦励振による流速に対する振幅の関係を示す。流速に対する振幅の変化は極めて敏感であり、共振振動数に相当する流速から僅かでも流速が変動すると、振幅は急激に減少する。

【0017】
(2)のデータは、柱状体7に対して空気の流れ方向の下流側に離間して、長手方向が交差するように別な柱状体8を配設した装置において、トレーリング渦励振による流速に対する振幅の関係を示す。トレーリング渦励振は、カルマン渦励振に比べると、流速の速い領域で発生し、流速に対する振幅の変化は鈍感である。

【0018】
(3)のデータは、柱状体7に対して空気の流れ方向10の下流側に離間して長手方向が交差するように平板6を配設した装置において、トレーリング渦励振による流速に対する振幅の関係を示す。このような柱状体7と平板6の縦渦励振は、振動する流速範囲が広く、さらに振動振幅が大きいという特徴を有する。

【0019】
このようなトレーリング渦励振に対し、前述のネックレス渦励振は、より流速の速い領域で発生することが分かっている。そして、ネックレス渦励振による流速に対する振幅の変化は極めて鈍感であり、広範囲の流速域において振幅が減衰することなく大きな値を維持する。

【0020】
これらのデータと知見から、ネックレス渦励振を風力発電や水力発電に利用することができれば、流速が広範囲に変動しても縦渦が消滅することなく、広範囲にわたる流速下で発電可能な発電装置を実現できることが分かる。

【0021】
前述の(3)の装置において、ネックレス渦励振による柱状体7の平行振動は、図4のような原理に基づくものと考えられる。すなわち、図4(a)では、柱状体7と平板6の隙間において、柱状体7の中心に対して下方の領域に縦渦21が発生し、柱状体7には下向きの力22が発生する。尚、はく離点Pの下流側においては逆流が生じ、その後方に渦領域が形成されている。その後、柱状体7と平板6の隙間において、柱状体7の中心に対して上方の領域に縦渦23が発生し、柱状体7には上向きの力24が発生する。前述の場合と同様に、はく離点Pの下流側においては逆流が生じ、その後方に渦領域が形成されている。このように縦渦21,23が柱状体の上方領域と下方領域とで交互に発生して振動力となり、縦渦励振現象が発生する。

【0022】
これに対し、柱状体7が流体の流れ方向10に対して直交方向に一定速度で運動する場合に、縦渦が柱状体の片側に安定して発生することが分かった。すなわち、図4(a)の状態から柱状体7を下方向に一定速度で移動させると、柱状体7と平板6の隙間において、柱状体7の中心に対して一方の領域に縦渦が発生する。この運動により流れ場が非対称となり、揚力係数にネガティブスロープが形成され、流れUと直交する方向に一定の力が作用する。これは不安定振動であるギャロッピング 現象と類似するものである。このように、縦渦による定常的揚力の発生原理は、移動速度に応じて縦渦が安定して柱状体7の片側に形成され、速度増加によりさらに強い力が発生するものであると考えられる。

【0023】
本発明の発明者らは、この原理を応用して、平板6をリング状のリング状体4とすることにより、縦渦(ネックレス渦)の発生条件に相当する柱状体7と平板6との隙間において、柱状体7が流れ方向10を軸として一定の回転速度で回転することを見出した。尚、柱状体7の回転を強制的に停止し、逆回転方向に軽く押すと、その方向に同じ速度で回転することも分かった。 所望の回転方向に回転させる方法として、例えば、ラチェット機構やワンウェイクラッチ等の機構により、柱状体7が片方向にのみ回転するようにする方法がある。また、回転体3たる柱状体7のリング状体4から少し離れた部分、(先端または根本に近い部分)を通常の翼型にすることで、機械的な装置を設けることなく、流体の流れの力により所望の方向に回転させることができ、回転の始動時にも、回転のきっかけ作りに有用である。
【実施例1】
【0024】
以下、本発明に係る流体による発電用回転装置1について、図面に基づいて説明する。図5は流体Uによる発電用回転装置1の実施例1を示す斜視写真であり、図6は側面写真である。図7は図5および6中の発電部11を示す斜視写真である。
【実施例1】
【0025】
本実施例は、回転軸体2と、回転軸体2を回転軸にして回転するように配設された回転体3たる柱状体7と、柱状体7に対して流体の流れ方向10の下流側に離間して、配設された後流物体8たるリング状体4と、回転軸体2の回転により発電する発電機5とを備える。ここでは、リング状体4は回転軸体2と同心となるように配設されている。
【実施例1】
【0026】
柱状体7は、例えば円形の断面形状を有し、好ましくは流体の流れ方向10に対して垂直に交差する面内で回転軸体2を中心に回転するように配設される。このように柱状体7が流体の流れ方向10に対して垂直に交差するように配設されることで、回転体3たる柱状体7を効率よく回転させることができる。
【実施例1】
【0027】
柱状体7の両端には、柱状体7の断面直径 (d)よりも大きい直径を有するエンドプレート9を設けるようにしてもよい。
【実施例1】
【0028】
後流物体8たるリング状体4は、例えばリング状の平板であり、本実施例では全周にわたって一定のリング幅(W)を有する。ただし、リング状体4は平板というよりも、厚みの大きい円筒形の形状であってもよい。回転体3が静止した状態で、リング状体4は、回転体3と図中平面視で交差する少なくとも1つの交差部を有する。交差部を有することで縦渦(ネックレス渦)が発生する。図8では、回転体3が静止した状態で、リング状体4は、回転軸体2を挟んで、2つの交差部15,16を有する。これにより、より強い回転力を得ることができる。尚、交差部15,16は回転体3の回転に伴いリング状体4上で移動する。また、例えば、交差部が1つである場合は、回転体3が一枚羽根である場合に対応する。一枚羽根である場合、回転体3の一端にはカウンタ(重り)を備えるとよい。さらに、回転体3が三枚羽根である場合には、交差部は3つとすることができる。
【実施例1】
【0029】
空気や水等の流体が流れる流路の底面に底板31を敷き、その底板31の上に発電用回転装置1を取り付ける。底板31の上には、リング状体4を支えて保持するリング状体保持部32が配設される。本実施例では、リング状体保持部32は、底板31に固定される固定板33と、固定板33から垂直に立ち上がり、流体の流れの上流側である発電用回転装置1の前方に向けて直角に曲がり、L字形状を有するリング状体支持板34とを備える。リング状体4は、リング状の形状を有する平板であり、一定のリング幅(W)を有する。リング状体4は、リング状体支持板34の前方のリング状体取付部35に支持されるように取り付けられる。回転軸体2は、リング状体4の中心を通り、発電機支持板12に回転可能に支持されている。36は回転軸体カバーである。回転軸体カバー36は、底板31に立設する支柱37によって支持されている。
【実施例1】
【0030】
柱状体7の中心には、回転軸体2の先端が、柱状体7の長手方向yとリング状体4の直径方向が平行になるように接続される。すなわち、柱状体7は、柱状体7とリング状体4との離間隙間(s2)を一定に保ちながら回転する。また、柱状体7は、リング状体4に対して前記流体の流れ方向10の上流側に離間して配設される。さらに、柱状体7とリング状体4は回転軸体2と同心となるように配設される。尚、発電用回転装置1を設置する際、回転体3たる柱状体7が流体の流れ方向10に対して垂直に交差する面内で回転軸体2を中心に回転するように設置するのが好ましい。
【実施例1】
【0031】
リング状体保持部32の固定板33は、例えば流体の流れUに平行なスリット38 を有し、当該スリット38 の所定位置において固定具39 により底板31に固定される。このスリット38 によりリング状体4を前後に移動することができ、所定の位置で固定することで、図11に示す、柱状体7とリング状体4との離間隙間(s2)を容易に変更できるようになっている。したがって、本発明に係る流体による発電用回転装置1が設置される環境における空気や水等の流体の流速に応じて、s2/dを適正な値として確実にネックレス渦励振を生じ 、または消失させることができる。
【実施例1】
【0032】
図7において、回転軸体2の終端は大ギア41に接続される。大ギア41には小ギア42が組合せられ、小ギア42が回転することにより、発電機5を回して電力を発生する。本実施例の発電機5は、リング状体4に対して流体の流れ方向10の下流側に離間して、回転軸体2の回転により発電するように配設される。このようにして、本発明の流体発電用回転装置1は流体による発電装置20を構成する。尚、発電機5として、既存の回転発電機13を使用することができる。
【実施例1】
【0033】
図8は回転体3たる柱状体7の回転原理を説明する概略正面図であり、図9は同概略側面図である。図8では、柱状体7は矢印RDの方向、すなわち反時計まわりに回転する様子を示している。図9は図8中の交差部15において揚力51が発生する様子を示している。前述のように、柱状体7とリング状体4との間には、離間間隔(s2)が柱状体7の直径(d)に対して所定の値になる場合に縦渦が発生する。この縦渦により、柱状体7には図中の上方向に揚力51が発生する。本実施例では、リング状体4が図10に示す一定のリング幅(W)を有するリング状の平板であるので、柱状体7が上方向に移動すると、その移動速度53に応じて縦渦が連続的に安定して柱状体7の片側に形成され、速度増加によりさらに強い力、すなわち定常的な揚力51が発生する。図8中の交差部15において上方向の揚力51が発生するとき、交差部16においても同様の原理で同時に下方向の定常的揚力が発生するので、より強い回転力を得ることができる。尚、反時計まわりの回転を示す図8および9と同様の原理で、時計まわりの回転も可能である。
【実施例1】
【0034】
前述のように、柱状体7が回転する条件として、柱状体7とリング状体4との離間間隔(s2)が重要である。この離間間隔(s2)は、ネックレス渦NVが発生する条件とほぼ同一であることが分かっている。そして、図12に示すように、柱状体7の回転速度は、流体の流速に比例して増加する。例えば、流体の流速が5.2m/sのとき回転速度は74rpmであり、流体の流速が10.3m/sのとき回転速度は162rpmである。この実験結果は、図10および11に示す幾何学的因子について、リング外径(Dout)が174mm、リング内径(Din)が134mm、リング幅(W)が20mm、リング厚さ(t)が3mm、柱状体7の直径(d)が20mmの装置において、離間間隔(s2)を10mmとして測定されたものである。
【実施例1】
【0035】
図13は無負荷状態でのリング幅(W)と回転速度との関係を示すグラフである。リング直径D(=(Dout+Din)/2)が155mm、柱状体7の直径(d)が21mmの装置において、離間間隔(s2)を7.3mmとして、リング幅(W)を変えて回転速度を測定した。
【実施例1】
【0036】
W/d=0.5の場合には回転しなかったが、W/dが0.75以上の場合には、リング幅(W)の増加により回転速度が増加した。リング幅の増加は、前面の高圧部の空気量を増加させる。これにより、柱状体7の背面へ流れ込む空気量が増加して駆動力を増加させ、回転速度が上がる。
【実施例1】
【0037】
図14は離間隙間(s2)と柱状体7の直径(d)との比(s2/d)と、回転速度との関係を示すグラフである。リング直径D(=(Dout+Din)/2)が155mm、柱状体7の直径(d)が21mmの装置において、流速を9m/sとして、比(s2/d)を変えて回転速度を測定した。
【実施例1】
【0038】
比(s2/d)が0.35の場合に回転速度は最大となる。比(s2/d)が0.35以上では、比(s2/d)が増加するほど回転速度が低下する。比(s2/d)が0.3より小さくなると回転は停止する。したがって、離間間隔(s2)を調整することで、回転力の制御が可能であり、広い風速範囲に対応することができる。また、風車を停止する場合にも、離間間隔(s2)を調整することで、簡単な構成で確実に停止させることができる。
【実施例2】
【0039】
図15~18は、本発明の実施例2を示し、上記実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。図15は本発明の流体による発電用回転装置1’を示す斜視写真であり、図16は側面写真である。基本構成は実施例1と同じである。実施例1とは、リング状体4と発電機5との間に、回転体3を角振動させるように配設された、図17に示す弾性体たるばねによる固有振動数調整部61を備える点で相違する。
【実施例2】
【0040】
固有振動数調整部61は、回転軸体2に固定されて回転軸体2の回転に伴い回転する回転胴体62および回転平板63と、回転軸体2の左右側に対称となる位置で底板31に立設するばね支持板64と、回転平板63に一端が接続され、他端がばね支持板64に接続されたばね65とを備える。ばね65は、底板31に対して水平な状態で、回転平板63に複数設けられた孔66と、ばね支持板64に複数設けられた孔67とに固定される。図17では、回転軸体2を挟んで左右2本ずつのばね65が固定されているが、ばね65の本数はこれに限られるものではない。
【実施例2】
【0041】
回転軸体2の回転に伴い回転平板63が所定の回転幅で回転することで、回転平板63に接続されたばね65が伸縮する。したがって、実施例1とは異なり、回転体3たる柱状体7は、ばねによる固有振動数調整部61の作用により、図18に示す所定の回転角度の範囲RD’で往復して回転する。この回転を角振動と呼んでいる。回転力発生の原理は実施例1と同様である。角振動の振動周波数は、ばねによる固有振動数調整部61のばね定数を変更することにより調整可能である。
【実施例3】
【0042】
図19は本発明の実施例3の回転体3’を示す。実施例1および2の流体による発電用回転装置1,1’において、回転体3を柱状体7単独ではなく、柱状体7の両端にプロペラ翼形状のブレードを取付けた構造としたものである。すなわち、回転体3’は、例えば断面が円形の円柱形状の柱状部71と、柱状部71の両端に形成されるプロペラ翼形状の翼型部72とを有する。こうした構造により、流体の流れによる回転体3’の回転力を大きくすることができる。尚、翼型部の形状は図19に示す形状に限られるものではない。また、リング状体4は、回転体3’に対して、柱状部71の下流で交差するようにしてもよいし、翼型部72の下流で交差するようにしてもよい。
【実施例4】
【0043】
図20は本発明の実施例4の後流物体8たるリング状体4’を示す。本実施例では、リング状体4’の回転体3に対向する面47、すなわち、流体の流れ10に略垂直に接する面47が、幅広部45と、当該幅広部45よりも幅の狭い幅狭部46とを有する。そして、リング状体4’は、幅広部45の幅広リング幅(W1)から幅狭部46の幅狭リング幅(W2)に向かって徐々に幅が狭くなっている部位を有する。このようにリング幅(W)を変更した部位を、円周方向の1/4ごとに4つ配置することで、リング状のリング状体4’を形成する。こうした構成により、自動的に一方向に回転を開始するよう回転方向を制御したり、回転体3の回転力を上げたりすることができる。ただし、上述のリング幅(W)を変更した部位の数は、4つに限られるものではなく、適宜変更可能である。また、好ましくは、当該部位は等間隔に配置される。
【実施例5】
【0044】
図21および22は本発明の実施例5の後流物体8たるリング状体4’’を示す。本実施例では、第1分割体55および第2分割体56が、実施例1のリング状の平板からなるリング状体4を、直径方向の線L1に沿って半分に分割した形状に形成されている。第1分割体55および第2分割体56は、それぞれリング状体支持板34に、分割体回転軸57周りで回転可能に取り付けられ、回転体3に対向する面58、すなわち、流体の流れ10に接する面58の角度を変更可能に設けられる。
【実施例5】
【0045】
すなわち、第1分割体55および第2分割体56は、線L1に直交する直径方向の線L2を軸にひねって配置される。図20では、第1分割体55は、その上端部と回転体3たる柱状体7との距離(s3)が、その下端部と柱状体7との距離(s4)よりも大きくなるように固定されている。また、第2分割体56は、その上端部と柱状体7との距離(s5)が、その下端部と柱状体7との距離(s6)よりも小さくなるように固定されている。好ましくは、第1分割体55および第2分割体56は、距離(s3)と距離(s6)とが等しく、距離(s4)と距離(s5)とが等しくなるように固定される。
【実施例5】
【0046】
このように、本実施例では、回転体3たる柱状体7とリング状体4’’との離間隙間が周方向で変化する機構となっている。ネックレス渦は柱状体とリングの離間隙間によってその強さが変わるので、柱状体7に作用する力が一定の方向に規定され、回転方向が特定される。したがって、実施例4の場合と同様に、自動的に一方向に回転を開始するよう回転方向を制御したり、回転体3の回転力を上げたりすることができる。例えば、図22の場合とは逆に、第1分割体55の距離(s3)が距離(s4)よりも小さくなるようにし、第2分割体56の距離(s5)が距離(s6)よりも大きくなるようにすることで、柱状体7は図22の場合とは逆方向に回転されることができる。
【実施例5】
【0047】
尚、本実施例では分割体の数は2つであるが、分割体はリング状体4’’を3つ以上に分割して形成されてもよい。また、好ましくは、分割体はリング状体4’’を等間隔に分割して形成される。
【実施例6】
【0048】
図23および24は本発明の実施例6の回転体3’’を示す。本実施例では、回転体3’’は、回転軸体2から伸びる支柱部71が細径に形成されている。そして、回転体3’’が後流物体8の交差部72と交差する本体翼部73は、支柱部71よりも太径に形成されている。このように回転体3’’が細径の支柱部71と太径の本体翼部73を有することで、太径の円柱のみで形成する場合に比べ、回転体3’’、すなわち羽根の枚数を容易に増やすことができる。 尚、支柱部71は本体翼部73を支持できる強度を有していればよく、支持部71の径は、長手方向に一様であっても、連続的あるいは不連続的に変化していてもよい。
【実施例6】
【0049】
従来の風車では、羽根が揚力と抗力の両方を負担するため、強風が羽根に作用すると羽根が折れる虞があった。また、風速に合わせた迎角を変えるためのピッチ制御装置が必要であった。これに対し、本発明の発電用回転装置は、抗力を後流物体8が受けるため、羽根(回転体3’’)に作用する抗力は小さくなる。そのため、羽根の枚数を増やしても、強風による羽根の破損の虞を小さくすることができる。また、ピッチ制御装置も不要である。
【実施例6】
【0050】
本実施例では、交流物体8をリング状体4とし、本体翼部73を円柱としている。最適設計の際には、リング状体4の幅や、円柱の直径および長さ等のパラメータを制御することで、所望の特性の風車を得ることができる。
【実施例6】
【0051】
図25は、羽根の枚数を2枚から10枚まで増やした場合の、周速比λと、パワー係数Cpとの関係を示すグラフである。パワー係数Cpは、周速比λがおよそ0.1~0.2の間でピークを有し、その後減少している。羽根の枚数を増やすほど、パワー係数Cpは増加する傾向にあるが、8枚翼と10枚翼ではほぼ同じ結果となった。
【実施例6】
【0052】
図26は、羽根の枚数を2枚から10枚まで増やした場合の、周速比λと、トルク係数Cqとの関係を示すグラフである。トルク係数Cqは、周速比λに対しほぼ線形的に減少している。羽根の枚数を増やすほど、トルク係数Cqは増加する傾向にあるが、8枚翼と10枚翼ではほぼ同じ結果となった。トルク係数Cqの最大値は、8枚翼において、周速比が0.05で約0.35と、低速高トルクを実現できることが確認された。
【実施例7】
【0053】
図27は本発明の実施例7の回転体80を示す。回転体80は、例えば実施例1に示したような柱状体を有する第1回転体81と、第1回転体81と同軸に設けられ、回転軸体2を回転軸にして回転し、プロペラ翼形状の翼型部83を有する第2回転体82とで構成される。第1回転体81は、後流物体8に対して流体の流れ方向の上流側に離間して配設され、静止状態で後流物体8と交差する少なくとも1つの交差部84を有する。
【実施例7】
【0054】
従来のプロペラ型風車において、流体の流れ方向の下流側に更なるプロペラ型風車を配設しようとした場合、上流側のプロペラ翼により流体の流れが変動することから、下流側のプロペラ翼が揚力を得るためには、上流側のプロペラ翼に近接して配設することができない。しかしながら、ネックレス渦は流体の流れ方向の下流側のプロペラ翼に影響を与えないため、第1回転体81の下流側に近接して第2回転体82を配設することができる。
【実施例7】
【0055】
このように、周速比が小さい内側部分を本発明の回転体80と後流物体8とを備える風車とし、同じ回転軸体2に従来のプロペラ型風車を接続することにより、同じ回転数で、高トルクを得ることができる。
【実施例8】
【0056】
図28は本発明の実施例8の後流物体8たるリング状体90を示す。後流物体8は実施例1等のように、回転体3の回転面上の回転方向に対して連続的に形成されたものであってもよい。これに対し、本実施例の後流物体8は、回転体3の回転面上の回転方向に対して断続的に形成されている。すなわち、後流物体8たるリング状体90は、リング部91とスリット部92 とで構成される。このように後流物体8にスリットを設けることで、流体の流れに対する抵抗を調整することができる。
【実施例9】
【0057】
図29は本発明の実施例9の後流物体8たるリング状体100の側端面 を示す。後流物体8は、垂直断面形状が流体の流れ方向に沿って次第に 流線形をなすように形成され、流体の流れに対する抵抗が減少するように構成される。例えば、図29に示されるように、リング状体100の断面形状の図中 軸方向中央部が膨出して湾曲している。すなわち、図中、垂直断面の流体の流れ方向に直交する方向の厚みが流体の流れ方向に沿って次第に変化している。このように、後流物体8の流体の流れに対する抵抗を減少することで、流体として液体が流れるパイプ内においても、問題なく使用することができる。
【実施例10】
【0058】
図30 は本発明の実施例10の回転体110を示す。回転軸体2の長手方向が後流物体8の表面111に略平行となっている。回転体110は、回転軸体2の長手方向に略直交する台座面112を有する台板113と、台座面112に立設する少なくとも1つの回転翼体114 とを備える。
【実施例10】
【0059】
流体の流れ方向10に対して、回転翼体114の後方に後流物体8が配置されているので、上記実施例と同様に、回転翼体114と後流物体8との間に縦渦が発生して、回転翼体114には定常的揚力が発生し、回転軸体2を回転中心とした回転方向RDの回転力が生じる。この回転力により、回転体110は流体の流れ方向10に垂直な回転軸体2を回転軸として回転する。 尚、同様の原理で回転方向RDと反対回りの回転も可能である。
【実施例10】
【0060】
回転翼体114は例えば円形の断面形状を有している。 また、回転翼体114は、後流物体8との交差部で縦渦を発生させるという意味で、上記実施例における回転体に相当するものであり、実施例1の回転体3のように柱状体であってもよいし、実施例6の回転体3’’のように支柱部と本体翼部とを有するものであってもよい。
【実施例11】
【0061】
図31 および32は本発明の実施例11の後流物体8を示す。回転体110は実施例10と同様の構成である。後流物体8は、回転軸体2と同軸の軸心を有し、その形状は例えば円柱や多角形柱の柱状体、円筒 形状等である。また、後流物体8は、台板113の台座面112上において、回転翼体114の内側に設けられる。
【実施例11】
【0062】
この場合、どのような流体の流れ方向10に対しても、後流物体8はすべての回転翼体114の下流側に位置する。したがって、流体がどのような方向から流れてきたとしても、交流物体8と回転翼体114との間に縦渦が発生し、回転体110は回転することができる。
【実施例12】
【0063】
図33は本発明の実施例12の発電用回転装置1’’を備えた発電装置20’を示す。回転体3には磁石121が埋め込まれている。一方、リング状の後流物体8には導体で作製された発電用コイル122が埋め込まれている。磁石121を備えた回転体3が回転し、発電用コイル122を備えた後流物体8上を移動することで、導体である発電用コイル122に対して磁束が変化して電位差が生じる。これにより、増速ギアを使用しないフリクションレスの発電装置20’を実現することができる。尚、磁石121は回転体3の表面上に貼付けられてもよい。
【実施例12】
【0064】
上記に説明したような実施例1の発電用回転装置によれば、回転体3と、前記回転体3に対して流体の流れ方向10の下流側に離間して交差する少なくとも1つの交差部を有する後流物体8たるリング状体4とを備えることから、縦渦による定常的揚力の発生という全く先例のない新たな知見に基づき、縦渦を駆動力として利用することで、流速が広範囲に変動しても縦渦が消滅することなく、広範囲にわたる流速下で効率的に発電可能な発電用回転装置1を提供することができる。また、回転体3が円柱等の柱状体7であるので、高強度の堅牢な翼型とすることができる。さらに、前記回転体3と前記リング状体4との離間隙間(s2)を流体の流速に応じて変更可能としたことで、設置場所における流速条件に最適な隙間を選択することにより、揚力を簡易に制御し、効率的な発電を行うことができる。また、既存の回転発電機13を使用した流体発電装置20を実現することができるので汎用性に優れている。
【実施例12】
【0065】
実施例2の発電用回転装置1’によれば、前記回転体3を角振動させるように配設されたばねによる固有振動数調整部61を備えたので、従来の平行振動に対して角振動を利用することで、既存の回転発電機13を利用しやすくなる。
【実施例12】
【0066】
実施例3の回転体3’によれば、回転体3’が翼型部を有するので、回転体3’の回転力を増大させることができる。
【実施例12】
【0067】
実施例4の後流物体8たるリング状体4’によれば、リング状体4’の形状、特にリング幅(W)を適切な形状にすることで、回転方向RDを制御したり、回転体3の回転力を上げたりすることができる。
【実施例12】
【0068】
実施例5の後流物体8たるリング状体4’’によれば、リング状体4を分割し、その複数の分割体55,56を軸線L2でひねって配置することで、回転方向RDを制御したり、回転体3の回転力を上げたりすることができる。
【実施例12】
【0069】
実施例6の回転体3’’によれば、回転体3’’が、細径の支柱部71と、支柱部71よりも太径で、後流物体8の交差部72と交差する本体翼部73とを備えることで、空気抵抗を気にせずに羽根の枚数を増加させ、高出力化が可能である。
【実施例12】
【0070】
実施例7の回転体80によれば、回転体80が、後流物体8に対して流体の流れ方向10の上流側に離間して交差する少なくとも1つの交差部84を有する第1回転体81と、第1回転体81と同軸に設けられ、プロペラ翼形状の翼型部83を有する第2回転体82とで構成されることで、同じ回転数で、より高いトルクを得ることができる。
【実施例12】
【0071】
実施例8の後流物体8たるリング状体90によれば、後流物体8が回転体3の回転方向に対して断続的に形成されることで、流体が後流物体8にぶつかる面積を小さくし、流体の流れに対する抵抗を調整することができる。
【実施例12】
【0072】
実施例9の後流物体8たるリング状体100によれば、後流物体8が、垂直断面形状が前記流体の流れ方向に沿って次第に流線形をなすように形成されることで、流体の流れに対する抵抗が減少するように構成することができる。
【実施例12】
【0073】
実施例10の回転体110によれば、回転軸体2の長手方向が後流物体8の表面11に略平行であり、回転体110は、回転軸体2の長手方向に略直交する台座面112を有する台板113と、台座面112に立設する少なくとも1つの回転翼体114とを備えることで、縦渦を駆動力として利用した垂直軸型風車を実現することができる。
【実施例12】
【0074】
実施例11の後流物体8によれば、後流物体8が、回転軸体2と同軸の軸心を有する柱状体または円筒 形状であり、少なくとも1つの回転翼体114の内側に設けられることで、流体がどのような方向から流れてきたとしても、回転体110は回転することができる。例えば風車として本願発明の発電用回転装置を使用する場合、風向きが変わったとしても風車の向きを変えることなく、回転体110を回転させ、発電することができる。
【実施例12】
【0075】
実施例12の流体発電装置20’によれば、回転体3が磁石121を備え、後流物体8が発電用コイル122を備えることで、増速ギアを使用しないフリクションレスの流体発電装置20’を実現することができる。
【実施例12】
【0076】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は種々の変形実施をすることができる。例えば、上記実施例においては、回転体3,3’’および回転翼体114として円形断面の例を示したが、回転体3,3’’および回転翼体114の断面形状は円形断面に限定されるものではない。四角形等の多角形の断面形状であってもよいし、楕円形等の非円形の断面形状であっても構わない。すなわち、回転体3,3’’および回転翼体114は例えば、円柱、楕円柱、四角柱や五角柱の多角柱、エッジ面取りした多角柱等とすることができる。回転体3’の柱状部71の形状についても同様である。
【実施例12】
【0077】
後流物体8の形状は四角形状等の多角形状であってもよく、その表面にパンチング等の孔を設けて流体の流れに対して抵抗を減少するようにしてもよい。
【実施例12】
【0078】
回転体3,3’は二枚羽根の例を示したが、三枚羽根やそれよりも多い羽根を有する回転体も可能であり、羽根の枚数を限定するものではない。
【実施例12】
【0079】
上記実施例3では、回転体3を柱状部71と翼型部72とのハイブリッド構造としたが、プロペラ翼形状の翼型部のみからなる構造としてもよい。
【実施例12】
【0080】
回転体3とリング状体4との離間隙間(s2)を流体の流速に応じて変更可能とする構成は、例えば電動機等によりリング状体4を移動させて、離間隙間(s2)を制御できるようにしてもよい。
【実施例12】
【0081】
本発明の発電用回転装置の大きさは特に限定されず、大型風車、中型風車および小型風車のいずれにも適用することができる。さらに、 MEMS等の微細加工によっても製作可能な形状を有しているため、中型水車や小型水車、血流対応マイクロ発電などにも応用可能である。特に小型の発電用回転装置でも低速高トルク特性を実現することができる。そして、パイプ内で使用する際にも、流体(水)の流れに対する抵抗が小さい発電用回転装置を提供することができる。
【実施例12】
【0082】
回転体3をセラミック等で作製することにより、高温環境下でも使用できる発電用回転装置を提供することができる。さらに、発砲スチロール等の発砲プラスチックや発砲ウレタンで回転体3を作製することにより、軽量で安全な発電用回転装置を提供することができる。
【実施例12】
【0083】
本実施例1~12は、それぞれを適宜組み合わせて実施することができる。例えば、実施例4,5,8,9,および12の後流物体に対し、実施例3または6の回転体を組み合わせることができる。実施例7の第1回転体81を有する風車は、他の実施例またはそれらを組み合わせた、本発明の縦渦を駆動力として利用した風車を利用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1,1’,1’’ 流体発電用回転装置
2 回転軸体
3,3’,3’’,80,110 回転体
4,4’, 4’’ リング状体
5 発電機
7 柱状体
8 後流物体
10 流体の流れ方向
13 回転発電機
15,16,72,84 交差部
20,20’ 流体発電装置
45 幅広部
46 幅狭部
47 回転体に対向する面
55 第1分割体(分割体)
56 第2分割体(分割体)
58 回転体に対向する面
61 弾性体による固有振動数調整部
71 支柱部
73 本体翼部
81 第1回転体
82 第2回転体
83 翼型部
111 後流物体の表面
112 台座面
113 台板
114 回転翼体
121 磁石
122 発電用コイル
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31
【図33】
32