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明細書 :新規フッ素含有型ビスホスホン酸誘導体及びその用途

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年11月30日(2017.11.30)
発明の名称または考案の名称 新規フッ素含有型ビスホスホン酸誘導体及びその用途
国際特許分類 C07F   9/6506      (2006.01)
A61K  31/675       (2006.01)
A61P  31/12        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  37/04        (2006.01)
C07F   9/38        (2006.01)
FI C07F 9/6506
A61K 31/675
A61P 31/12
A61P 35/00
A61P 37/04
C07F 9/38 E
国際予備審査の請求
全頁数 47
出願番号 特願2016-573358 (P2016-573358)
国際出願番号 PCT/JP2016/052960
国際公開番号 WO2016/125757
国際出願日 平成28年2月1日(2016.2.1)
国際公開日 平成28年8月11日(2016.8.11)
優先権出願番号 2015018260
優先日 平成27年2月2日(2015.2.2)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】田中 義正
【氏名】水田 賢志
【氏名】植田 弘師
出願人 【識別番号】504205521
【氏名又は名称】国立大学法人 長崎大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100080791、【弁理士】、【氏名又は名称】高島 一
【識別番号】100125070、【弁理士】、【氏名又は名称】土井 京子
【識別番号】100136629、【弁理士】、【氏名又は名称】鎌田 光宜
【識別番号】100121212、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 弥栄子
【識別番号】100163658、【弁理士】、【氏名又は名称】小池 順造
【識別番号】100174296、【弁理士】、【氏名又は名称】當麻 博文
【識別番号】100137729、【弁理士】、【氏名又は名称】赤井 厚子
【識別番号】100151301、【弁理士】、【氏名又は名称】戸崎 富哉
審査請求 未請求
テーマコード 4C086
4H050
Fターム 4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086DA38
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB26
4C086ZB33
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB20
4H050AB28
要約 P-C(F)-Pの炭素原子にアルキルアミン側鎖を付加した一連のフッ素含有型ビスホスホン酸、複素環基の置換したアミノ基又は窒素原子を含有する複素環基を付加した一連のフッ素含有型ビスホスホン酸、及び、それらの酸部分をPOM基やn-ブタノイルオキシメチル(BuOM)基等のアルコキシメチル基でエステル化した一連のフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体、即ち、下記一般式(I):
JP2016125757A1_000024t.gif
(式中、各記号の意味は明細書中に定義される通りである)で表されるフッ素含有型ビスホスホン酸及びフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体は、腫瘍細胞及びウイルス感染細胞に対する優れた細胞障害性を有するVγ2Vδ2型T細胞受容体を発現する末梢血γδ型T細胞を効率的に増殖誘導可能で、腫瘍細胞及びウイルス感染細胞を感作し、γδ型T細胞による細胞障害性を惹起することができる。
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(I):
【化1】
JP2016125757A1_000022t.gif
(式中、Cyはフェニル基又は複素環基であり、Yは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、ハロゲン原子若しくはアルコキシ基で置換されてもよいアリール基、又は、アラルキルオキシ基であり、Fはフッ素原子であり、Pはリン原子を表し、Rは水素原子又はアルキル基であり、R及びRは、同一又は互いに異なって、水素原子又はアルキルカルボニルオキシアルキル基であり、jは0又は1の数を表し、mは0又は1の数を表し、nは1~6の整数を表す。ただし、Cyが3-ピリジル基であり、mが1であり、nが1であり、Yが水素原子であり、R及びRが水素原子である場合を除く)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
一般式(I)において、Cyがフェニル基である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
一般式(I)において、Cyが窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1~3個の原子を含む5~10員環の複素環基である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
一般式(I)において、Cyが窒素原子及び硫黄原子から選ばれる1又は2個の原子を含む5又は6員環の複素環基である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
一般式(I)において、Cyがイミダゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、又は7-アザインドリル基である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
一般式(I)において、Yが水素原子、C1-3アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基又はフェニル基であり、R及びRが同一又は互いに異なって、水素原子又はC2-7アルキルカルボニルオキシ-C1-3アルキル基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
一般式(I)において、jが1であり、Cyがイミダゾリル基であり、Yが水素原子又はハロゲン原子であり、R及びRが同一又は互いに異なって、水素原子又はC2-7アルキルカルボニルオキシ-C1-3アルキル基である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
一般式(I)において、jが0であり、Yが水素原子又はC1-3アルキル基であり、R及びRが同一又は互いに異なって、水素原子又はC2-7アルキルカルボニルオキシ-C1-3アルキル基である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
一般式(I)において、jが0であり、Yが水素原子であり、Rが水素原子であり、R及びRが水素原子である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
一般式(I)において、jが0であり、YがC1-3アルキル基であり、RがC1-6アルキル基であり、R及びRが水素原子である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
一般式(I)において、jが1であり、Cyがイミダゾリル基であり、Yが水素原子であり、R及びRが同一又は互いに異なって、水素原子又はピバロイルオキシメチル(POM)基である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
下記式で表される化合物のいずれか1つ又はその薬学的に許容される塩:
【化2】
JP2016125757A1_000023t.gif

【請求項13】
請求項1~12のいずれかに1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む医薬組成物。
【請求項14】
抗腫瘍細胞剤である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
抗ウイルス感染細胞剤である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
リンパ球処理剤である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項17】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を生体に投与することを特徴とする体内におけるリンパ球の処理方法。
【請求項18】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を生体に投与することを特徴とするγδ型T細胞の増殖及び/又は誘導方法。
【請求項19】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を生体に投与することを特徴とする腫瘍細胞及びウイルス感染細胞の増殖抑制方法。
【請求項20】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を生体に投与することを特徴とするがんおよびウイルス感染症の治療方法。
【請求項21】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、生体外においてγδ型T細胞を含む検体に作用させることを特徴とするγδ型T細胞の増殖及び/又は誘導方法。
【請求項22】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、生体から採取したγδ型T細胞を含む検体に作用させることにより、γδ型T細胞を増殖及び/又は誘導させる工程、及び、当該γδ型T細胞を生体に戻す工程を含む腫瘍細胞およびウイルス感染細胞の増殖抑制方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規フッ素含有型ビスホスホン酸誘導体及びその用途に関する。より詳細には、本発明はフッ素含有型ビスホスホン酸、フッ素含有型ビスホスホン酸エステル誘導体及び当該誘導体を有効成分とする医薬組成物、リンパ球処理剤、抗腫瘍免疫細胞療法剤、抗ウイルス感染症免疫細胞療法剤等に関する。
【背景技術】
【0002】
ビスホスホン酸はP-C-P骨格を有する一群の化合物であり、骨組織移行性及び骨親和性が高い。また、エチドロン酸やクロドロン酸など第一世代のビスホスホン酸は、液相エンドサイトーシス作用により破骨細胞などのモノサイト系細胞に選択的に取り込まれると、ATP類縁体へ代謝変換され、ATP受容体に拮抗的に作用するようになり、細胞障害性を示す。このように、第一世代のビスホスホン酸は、破骨細胞に細胞死を誘導することにより、骨吸収作用を抑制する。これらの性質を利用し、ビスホスホン酸が種々の骨関連疾患に適用されている。具体的には、骨粗鬆症、変形性骨炎、骨形成不全症、悪性腫瘍の際の高カルシウム血症など、骨の脆弱性やカルシウム濃度変動に関わる疾患の予防や治療薬として用いられている。また、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸など第二世代に属するビスホスホン酸、および、リセドロン酸、ゾレドロン酸などの第三世代に属するビスホスホン酸は、側鎖に窒素原子を含有しており、窒素含有型ビスホスホン酸と呼ばれる。これらのビスホスホン酸は、破骨細胞などのモノサイト系細胞に選択的に取り込まれると、ファーネシル二リン酸合成酵素を特異的に阻害し、細胞障害性を示す。その性質を利用して、種々の窒素含有型ビスホスホン酸が骨粗鬆症や悪性腫瘍の際の高カルシウム血症改善薬として用いられている。また最近、閉経前エストロゲン感受性初期乳がん症例や多発性骨髄腫に対する内分泌療法や化学療法において、ゾレドロン酸をアジュバント療法薬として用いると無病生存期間が優位に延長されることが報告された(非特許文献1,2)。これは、窒素含有型ビスホスホン酸が、腫瘍細胞に対して直接、及び/あるいは免疫細胞の活性化を介した間接的細胞障害作用を有し、抗腫瘍効果を示すためと考えられている。
【0003】
例えば、生体に投与されたエチドロン酸やクロドロン酸の一部は、液相エンドサイトーシス作用により細胞内に取り込まれ、ヌクレオシド一リン酸に転移し、ヌクレオシド三リン酸類縁化合物に転換される。この代謝産物は、ヌクレオシド三リン酸の高エネルギーリン酸結合を利用した生体酵素反応を拮抗的に阻害することが示されている。取り込む細胞が破骨細胞の場合には、骨吸収が抑制され、血漿中のカルシウム濃度が低下する。腫瘍細胞の場合には、腫瘍細胞が傷害され、直接的な抗腫瘍効果が期待される。
【0004】
また、細胞内に移行した第二世代および第三世代の窒素含有型ビスホスホン酸は、コレステロールなどのイソプレノイド系代謝産物の生合成経路に関与するファーネシル二リン酸合成酵素を阻害することが示されている。かかる酵素は、イソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸からゲラニル二リン酸を合成する反応と、イソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸からファーネシル二リン酸を合成する反応を触媒する。従って、ファーネシル二リン酸合成酵素の阻害により、ゲラニル二リン酸の下流に位置する代謝経路が遮断されるとともに、酵素の基質となるイソペンテニル二リン酸が蓄積すると考えられる。ゲラニル二リン酸の下流に位置する生合成経路が遮断されると、イソプレノイド系化合物である、コレステロール、脂溶性ビタミン類、胆汁酸、リポタンパク質などが生合成されず、腫瘍細胞の増殖が抑制されると考えられる。
【0005】
通常、ファーネシル二リン酸合成酵素により生合成されるファーネシル二リン酸及びゲラニルゲラニル二リン酸の、イソプレニル基は、Ras、Rho、Rap、Rab、RacなどのいわゆるスモールGタンパク質に転移される。このように、イソプレニル基が転移したスモールGタンパク質は、イソプレニル基が細胞膜アンカーとして機能するため、スモールGタンパク質の本来の作用部位である細胞膜へと移行し、細胞の増殖、接着など、重要な生理機能を発揮する。しかし、ゾレドロン酸などの窒素含有型ビスホスホン酸がファーネシル二リン酸合成酵素を阻害すると、このイソプレニル基転移が阻害されるため、スモールGタンパク質の膜移行が阻止され、結果的に腫瘍細胞の増殖が阻害される。これが、窒素含有型ビスホスホン酸の示す直接的抗腫瘍効果を説明するメカニズムの一つである。
【0006】
さらに、ファーネシル二リン酸合成酵素が阻害されると、その基質であるイソペンテニル二リン酸の細胞内濃度が上昇する。このイソペンテニル二リン酸の細胞内濃度上昇は、ブチロフィリン3A1膜貫通型タンパク質に感知され、その変化をVγ2Vδ2型のT細胞受容体を有するγδ型T細胞が認識する(非特許文献3,4)。その結果、γδ型T細胞が脱顆粒を起こし、パーフォリン及びグランザイムBを放出し、腫瘍細胞やウイルス感染細胞にアポトーシスを誘導する。このようにして、窒素含有型ビスホスホン酸は、免疫細胞の活性化を介して、間接的に腫瘍細胞やウイルス感染細胞を効率的に障害することが示されている。
【0007】
上記のような窒素含有型ビスホスホン酸による直接的及び間接的な細胞障害性は、傷害される細胞にどの程度取り込まれるか、そして、どの程度ファーネシル二リン酸合成酵素を阻害できるかに依存する。ところが、現在臨床適応になっているビスホスホン酸はいずれも骨事象の改善を目的として合成されたため、破骨細胞の作用部位である骨への親和性と、破骨細胞に対する細胞毒性を指標に化合物合成、及び、スクリーニングが行われた。しかし、腫瘍およびウイルス感染に対する薬剤の開発においては、骨移行性の高さは、逆に、腫瘍細胞及びウイルス感染細胞への到達性を低下させる要因となる。
【0008】
従って、直接的な細胞障害性の改善を目的とする場合には、骨移行性の低減を一つの目標とする必要がある。一方、免疫エフェクターであるγδ型T細胞の活性化の改善を目的とする場合には、抗原提示細胞となるモノサイト系の細胞への取り込み、及び、γδ型T細胞の活性化能を指標として薬剤開発を行う必要がある。このように、骨吸収抑制を指標としない化合物スクリーニングを行うためには、これまでのビスホスホン酸とは異なる基本骨格を有するビスホスホン酸の系統的合成が必要となる。
【0009】
現在、上市されている低分子薬剤のうち3割程度がフッ素を基本骨格に有している。フッ素原子を含有することがなぜ薬剤の優位性に繋がるのかについては、完全には解明されていない。しかし、これまで、ビスホスホン酸の開発段階でフッ素含有型のビスホスホン酸はリセドロン酸のP-C-P骨格のCに結合する水酸基をフッ素に置換したもののみである。これは、ビスホスホン酸において、フッ素原子の導入が合成的に困難であることが起因している。従って、一連のフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体の合成経路を開拓し、系統的に合成し、その生理活性を検討することは、ビスホスホン酸の医薬開発において重要な研究展開となる。
【先行技術文献】
【0010】

【非特許文献1】N. Engl. J. Med., 360(7):679-691 February 12, 2009
【非特許文献2】Lancet 376: 1989-1999 2010
【非特許文献3】N. Engl. J. Med., 340(9):737-738 Marh 4, 1999
【非特許文献4】J. Immunol.191:1029-1042 2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、腫瘍細胞及びウイルス感染細胞に対する優れた細胞障害性を有するVγ2Vδ2型T細胞受容体を発現する末梢血γδ型T細胞を効率的に増殖誘導可能で、腫瘍細胞及びウイルス感染細胞を感作し、γδ型T細胞による細胞障害性を惹起し得る新規なフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、P-C(F)-Pの基本骨格を有する一連のフッ素含有型ビスホスホン酸がモノサイトを感作し、γδ型T細胞を増殖誘導可能なこと、および、同化合物群が、腫瘍細胞及びウイルス感染細胞を感作し、γδ型T細胞の有する細胞障害性に対する感受性を亢進させ得ることを知得し、本発明を完成するに至った。具体的には、P-C(F)-Pの炭素原子にアルキルアミン側鎖を付加した一連のフッ素含有型ビスホスホン酸、複素環基の置換したアミノ基又は窒素原子を含有する複素環基を付加した一連のフッ素含有型ビスホスホン酸、及び、それらの酸部分をピバロイルオキシメチル(POM)基やn-ブタノイルオキシメチル(BuOM)基等のアルコキシメチル基でエステル化した一連のフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体を合成し、それら新規化合物が有するγδ型T細胞増殖誘導能、および、腫瘍細胞及びウイルス感染細胞感作能の検証を行った。即ち本発明は、以下に示す通りである。
【0013】
[1]下記一般式(I):
【0014】
【化1】
JP2016125757A1_000003t.gif

【0015】
(式中、Cyはフェニル基又は複素環基であり、Yは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、ハロゲン原子若しくはアルコキシ基で置換されてもよいアリール基、又は、アラルキルオキシ基であり、Fはフッ素原子であり、Pはリン原子を表し、Rは水素原子又はアルキル基であり、R及びRは、同一又は互いに異なって、水素原子又はアルキルカルボニルオキシアルキル基であり、jは0又は1の数を表し、mは0又は1の数を表し、nは1~6の整数を表す。ただし、Cyが3-ピリジル基であり、mが1であり、nが1であり、Yが水素原子であり、R及びRが水素原子である場合を除く)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
[2]一般式(I)において、Cyがフェニル基である、上記[1]記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[3]一般式(I)において、Cyが窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1~3個の原子を含む5~10員環の複素環基である、上記[1]記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[4]一般式(I)において、Cyが窒素原子及び硫黄原子から選ばれる1又は2個の原子を含む5又は6員環の複素環基である、上記[1]記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[5]一般式(I)において、Cyがイミダゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、又は7-アザインドリル基である、上記[1]記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[6]一般式(I)において、Yが水素原子、C1-3アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基又はフェニル基であり、R及びRが同一又は互いに異なって、水素原子又はC2-7アルキルカルボニルオキシ-C1-3アルキル基である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[7]一般式(I)において、jが1であり、Cyがイミダゾリル基であり、Yが水素原子又はハロゲン原子であり、R及びRが同一又は互いに異なって、水素原子又はC2-7アルキルカルボニルオキシ-C1-3アルキル基である、上記[1]記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[8]一般式(I)において、jが0であり、Yが水素原子又はC1-3アルキル基であり、R及びRが同一又は互いに異なって、水素原子又はC2-7アルキルカルボニルオキシ-C1-3アルキル基である、上記[1]記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[9]一般式(I)において、jが0であり、Yが水素原子であり、Rが水素原子であり、R及びRが水素原子である、上記[1]記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[10]一般式(I)において、jが0であり、YがC1-3アルキル基であり、RがC1-6アルキル基であり、R及びRが水素原子である、上記[1]記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[11]一般式(I)において、jが1であり、Cyがイミダゾリル基であり、Yが水素原子であり、R及びRが同一又は互いに異なって、水素原子又はピバロイルオキシメチル(POM)基である、上記[1]記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[12]下記式で表される化合物のいずれか1つ又はその薬学的に許容される塩:
【0016】
【化2】
JP2016125757A1_000004t.gif

【0017】
[13]上記[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む医薬組成物。
[14]抗腫瘍細胞剤である、上記[13]に記載の医薬組成物。
[15]抗ウイルス感染細胞剤である、上記[13]に記載の医薬組成物。
[16]リンパ球処理剤である、上記[13]に記載の医薬組成物。
[17]上記[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を生体に投与することを特徴とする体内におけるリンパ球の処理方法。
[18]上記[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を生体に投与することを特徴とするγδ型T細胞の増殖及び/又は誘導方法。
[19]上記[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を生体に投与することを特徴とする腫瘍細胞及びウイルス感染細胞の増殖抑制方法。
[20]上記[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を生体に投与することを特徴とするがんおよびウイルス感染症の治療方法。
[21]上記[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、生体外においてγδ型T細胞を含む検体に作用させることを特徴とするγδ型T細胞の増殖及び/又は誘導方法。
[22]上記[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、生体から採取したγδ型T細胞を含む検体に作用させることにより、γδ型T細胞を増殖及び/又は誘導させる工程、及び、当該γδ型T細胞を生体に戻す工程を含む腫瘍細胞およびウイルス感染細胞の増殖抑制方法。
上記一般式(I)で表される化合物は、本明細書において、本発明化合物、あるいは本発明のフッ素含有型ビスホスホン酸及びフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体とも称する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の新規なフッ素含有型ビスホスホン酸及びフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体を末梢血単核球に作用させ、インターロイキン-2(IL-2)とともに11日間培養すると、全細胞の90%以上がVδ2陽性γδ型T細胞になる。そして、これら増殖誘導されたVδ2陽性γδ型T細胞は、種々の腫瘍細胞およびウイルス感染細胞に対して細胞傷害能を呈する。さらに、腫瘍細胞およびウイルス感染細胞に、本発明の新規なフッ素含有型ビスホスホン酸及びフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体を作用させると、Vδ2陽性γδ型T細胞による認識能が増強され、より細胞障害性を受けやすくなる。すなわち、腫瘍細胞およびウイルス感染細胞が感作され、Vδ2陽性γδ型T細胞に傷害されやすくなる。この性質を利用して、がん及びウイルス感染症に対する新規な免疫療法が可能になる。
【0019】
本発明の新規なフッ素含有型ビスホスホン酸及びフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体を末梢血単核球に作用させると、液相エンドサイトーシス能の高いモノサイトに選択的に取り込まれる。フッ素含有型ビスホスホン酸はそのまま、そして、フッ素含有型ビスホスホン酸誘導体はエステルが加水分解され、ビスホスホン酸に形成されて、ファーネシル二リン酸合成酵素を阻害する。この阻害作用により、酵素の直上流に位置する代謝産物であるイソペンテニル二リン酸が細胞内に蓄積する。イソペンテニル二リン酸は、細胞膜に存在するブチロフィリン3A1分子の細胞内領域と結合し、その細胞外領域のコンフォメーションを変化させるか、その重合度を変化させる。この変化をVδ2陽性γδ型T細胞が認識し、増殖刺激が入る。ここに、IL-2やIL-15などの細胞増殖因子が作用するとγδ型T細胞が著しく増殖する。この増殖したγδ型T細胞は、高い腫瘍細胞障害性、ウイルス感染細胞障害性を呈する。
【0020】
腫瘍細胞およびウイルス感染細胞に、本発明のフッ素含有型ビスホスホン酸及びフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体を作用させると、これらの薬剤は細胞内に取り込まれ、モノサイト内での変化と同様の現象がおこる。すなわち、フッ素含有型ビスホスホン酸はそのまま、そして、フッ素含有型ビスホスホン酸エステル誘導体はエステルが加水分解され、ビスホスホン酸に形成されて、ファーネシル二リン酸合成酵素を阻害する。この阻害作用により、酵素の直上流に位置する代謝産物であるイソペンテニル二リン酸が細胞内に蓄積する。イソペンテニル二リン酸は、細胞膜に存在するブチロフィリン3A1分子の細胞内領域と結合し、その細胞外領域のコンフォメーションを変化させるか、その重合度を変化させる。この変化をVδ2陽性γδ型T細胞が認識し、腫瘍細胞およびウイルス感染細胞を効率的に傷害する。
【0021】
本発明のフッ素含有型ビスホスホン酸及びフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体が有するこれらの作用を利用して、がんおよびウイルス感染に対する新規免疫療法の確立が可能になる。この療法には大きく分けて2つの手法がある。一方は養子免疫療法であり、他方は直接投与法である。
【0022】
養子免疫療法の場合には、がん患者あるいはウイルス感染患者の末梢血から単核球を精製し、本発明のフッ素含有型ビスホスホン酸あるいはフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体を添加する、さらに、IL-2を添加し、11日間培養すると全培養細胞の90%以上がVδ2陽性γδ型T細胞になり、増殖率は1000倍以上になる。この細胞標品をPBSで洗浄し、患者に静脈内投与する。この際、細胞投与前に本発明のフッ素含有型ビスホスホン酸あるいはフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体を投与すると、がん細胞あるいはウイルス感染細胞が感作されγδ型T細胞に対する感受性が上がる。
【0023】
直接投与法の場合には、がん患者あるいはウイルス感染患者に、本発明のフッ素含有型ビスホスホン酸あるいはフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体を静脈内投与する。この際、一部の化合物は、モノサイトに液相エンドサイトーシスで取り込まれ、フッ素含有型ビスホスホン酸はそのまま、そして、フッ素含有型ビスホスホン酸誘導体はエステルが加水分解され、ビスホスホン酸に形成されて、ファーネシル二リン酸合成酵素を阻害する。この阻害作用により、酵素の直上流に位置する代謝産物であるイソペンテニル二リン酸が細胞内に蓄積し、細胞膜に存在するブチロフィリン3A1分子の細胞内領域と結合し、その細胞外領域のコンフォメーションを変化させるか、その重合度を変化させる。この変化をVδ2陽性γδ型T細胞が認識し、増殖刺激が入る。一方、残りの化合物は、腫瘍細胞あるいはウイルス感染細胞内に取り込まれ、モノサイト内と同様の作用を引き起こし、γδ型T細胞に対する感受性が亢進する。このようにして、増殖したγδ型T細胞は、腫瘍細胞あるいは、ウイルス感染細胞を効率的に傷害し、抗腫瘍活性及び/又は抗ウイルス活性が誘導される。
【0024】
以上のように、本発明のフッ素含有型ビスホスホン酸及びフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体は、免疫細胞の一種であるγδ型T細胞を増殖誘導し、腫瘍細胞及び/又はウイルス感染細胞のγδ型T細胞に対する感受性を亢進することにより、抗腫瘍免疫細胞療法及び抗ウイルス感染症免疫療法のための低分子薬剤として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のフッ素含有型ビスホスホン酸およびフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体の具体例を示した図である。構造式にカッコ書きで付された数字は化合物番号を示している。(1)パミドロン酸の2つのリン原子が置換したメチレン炭素原子に結合する水酸基をフッ素原子に置換した化合物(PAMF)、(2)イバンドロン酸の2つのリン原子が置換したメチレン炭素原子に結合する水酸基をフッ素原子に置換した化合物(IBAF)、(3)アレンドロン酸の2つのリン原子が置換したメチレン炭素原子に結合する水酸基をフッ素原子に置換した化合物(ALEF)、(4)ゾレドロン酸の2つのリン原子が置換したメチレン炭素原子に結合する水酸基をフッ素原子に置換した化合物(ZOLF)、(5)ゾレドロン酸の2つのリン原子が置換したメチレン炭素原子に結合する水酸基をフッ素原子に置換し、リン原子に結合した4つのOHをPOM基に置換した化合物(ZOLF-POM)。
【図2】成人T細胞白血病患者(1)の末梢血単核球をフィコエリスリン(PE)標識抗ヒトCD3抗体及びフルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識抗ヒトVδ2抗体で染色し、FACS解析した結果(左図)。成人T細胞白血病患者(1)の末梢血単核球にZOLF-POMを作用させ、IL-2とともに11日間培養した後、細胞をPE標識抗ヒトCD3抗体及びFITC標識抗ヒトVδ2抗体で染色し、FACS解析した結果(右図)。
【図3】成人T細胞白血病患者(2)の末梢血単核球をPE標識抗ヒトCD3抗体及びFITC標識抗ヒトVδ2抗体で染色し、FACS解析した結果(左図)。成人T細胞白血病患者(2)の末梢血単核球にZOLF-POMを作用させ、IL-2とともに11日間培養した後、細胞をPE標識抗ヒトCD3抗体及びFITC標識抗ヒトVδ2抗体で染色し、FACS解析した結果(右図)。
【図4】成人T細胞白血病患者(3)の末梢血単核球をPE標識抗ヒトCD3抗体及びFITC標識抗ヒトVδ2抗体で染色し、FACS解析した結果(左図)。成人T細胞白血病患者(3)の末梢血単核球にZOLF-POMを作用させ、IL-2とともに11日間培養した後、細胞をPE標識抗ヒトCD3抗体及びFITC標識抗ヒトVδ2抗体で染色し、FACS解析した結果(右図)。
【図5】肺がん患者(1)の末梢血単核球をPE標識抗ヒトCD3抗体及びFITC標識抗ヒトVδ2抗体で染色し、FACS解析した結果(左図)。肺がん患者(1)の末梢血単核球にZOLF-POMを作用させ、IL-2とともに11日間培養した後、細胞をPE標識抗ヒトCD3抗体及びFITC標識抗ヒトVδ2抗体で染色し、FACS解析した結果(右図)。
【図6】肺がん患者(2)の末梢血単核球をPE標識抗ヒトCD3抗体及びFITC標識抗ヒトVδ2抗体で染色し、FACS解析した結果(左図)。肺がん患者(2)の末梢血単核球にZOLF-POMを作用させ、IL-2とともに11日間培養した後、細胞をPE標識抗ヒトCD3抗体及びFITC標識抗ヒトVδ2抗体で染色し、FACS解析した結果(右図)。
【図7】ヒト組織球系腫瘍細胞であるU937にPAMF、ALEF、ZOLF及びZOLF-POMを10~10nMで作用させ、そこに健常成人(1)由来のVδ2陽性γδ型T細胞を添加した。これをPE標識抗ヒトCD107a抗体及びFITC標識抗ヒトVδ2抗体で染色後、FACS解析し、Vδ2陽性γδ型T細胞中のCD107a陽性細胞の割合をもとめた。この割合は細胞障害性を示し、その化合物濃度依存性を図に纏めた。
【図8】ヒト組織球系腫瘍細胞であるU937にZOLF-POMを0μM、1.25μM、2.5μM、あるいは、5μMで作用させ、そこにキレート剤を添加し、細胞を洗浄後、健常成人(1)由来のVδ2陽性γδ型T細胞を添加した。その際、Vδ2陽性γδ型T細胞により障害を受けたU937細胞の割合を比細胞障害率とし、エフェクター細胞/標的細胞比(E/T比)依存性を図に纏めた。
【図9】ヒト組織球系腫瘍細胞であるU937にZOLFを0μM、100μM、300μM、あるいは、1000μMで作用させ、そこにキレート剤を添加し、細胞を洗浄後、健常成人(1)由来のVδ2陽性γδ型T細胞を添加した。その際、Vδ2陽性γδ型T細胞により障害を受けたU937細胞の割合を比細胞障害率とし、エフェクター細胞/標的細胞比(E/T比)依存性を図に纏めた。
【図10】ヒト組織球系腫瘍細胞であるU937にALEFを0μM、300μM、1000μM、あるいは、3000μMで作用させ、そこにキレート剤を添加し、細胞を洗浄後、健常成人(1)由来のVδ2陽性γδ型T細胞を添加した。その際、Vδ2陽性γδ型T細胞により障害を受けたU937細胞の割合を比細胞障害率とし、エフェクター細胞/標的細胞比(E/T比)依存性を図に纏めた。
【図11】ヒト組織球系腫瘍細胞であるU937にPAMFを0μM、300μM、1000μM、あるいは、3000μMで作用させ、そこにキレート剤を添加し、細胞を洗浄後、健常成人(1)由来のVδ2陽性γδ型T細胞を添加した。その際、Vδ2陽性γδ型T細胞により障害を受けたU937細胞の割合を比細胞障害率とし、エフェクター細胞/標的細胞比(E/T比)依存性を図に纏めた。
【図12】ヒト組織球系腫瘍細胞であるU937にIBAFを0μM、300μM、1000μM、あるいは、3000μMで作用させ、そこにキレート剤を添加し、細胞を洗浄後、健常成人(1)由来のVδ2陽性γδ型T細胞を添加した。その際、Vδ2陽性γδ型T細胞により障害を受けたU937細胞の割合を比細胞障害率とし、エフェクター細胞/標的細胞比(E/T比)依存性を図に纏めた。
【図13】ヒト組織球系腫瘍細胞であるU937にZOLFを0μM、100μM、300μM、あるいは、1000μMで作用させ、そこにキレート剤を添加し、細胞を洗浄後、健常成人(2)由来のVδ2陽性γδ型T細胞を添加した。その際、Vδ2陽性γδ型T細胞により障害を受けたU937細胞の割合を比細胞障害率とし、エフェクター細胞/標的細胞比(E/T比)依存性を図に纏めた。
【図14】ヒト組織球系腫瘍細胞であるU937に、培地(上段)、ZOLF500μM(中段)、あるいは、ZOLF-POM5μM(下段)をそれぞれ作用させ、そこにキレート剤を添加し、細胞を洗浄後、健常成人(3)由来のVδ2陽性γδ型T細胞を添加した。その際、Vδ2陽性γδ型T細胞により障害を受けたU937細胞の割合を比細胞障害率とし、エフェクター細胞/標的細胞比(E/T比)依存性を図に纏めた。
【図15】ヒト組織球系腫瘍細胞であるU937に、培地(上段)、ZOLF500μM(中段)、あるいは、ZOLF-POM5μM(下段)をそれぞれ作用させ、そこにキレート剤を添加し、細胞を洗浄後、健常成人(4)由来のVδ2陽性γδ型T細胞を添加した。その際、Vδ2陽性γδ型T細胞により障害を受けたU937細胞の割合を比細胞障害率とし、エフェクター細胞/標的細胞比(E/T比)依存性を図に纏めた。
【図16】ヒトモノサイト系腫瘍細胞P31/FUJに、培地(上段)、ZOLF500μM(中段)、あるいは、ZOLF-POM5μM(下段)をそれぞれ作用させ、そこにキレート剤を添加し、細胞を洗浄後、健常成人(3)由来のVδ2陽性γδ型T細胞を添加した。その際、Vδ2陽性γδ型T細胞により障害を受けたP31/FUJ細胞の割合を比細胞障害率とし、エフェクター細胞/標的細胞比(E/T比)依存性を図に纏めた。
【図17】成人T細胞白血病細胞株HCT-5に、培地(上段)、ZOLF1mM(中段)、あるいは、ZOLF-POM1μM(下段)をそれぞれ作用させ、そこにキレート剤を添加し、細胞を洗浄後、成人T細胞白血病患者(4)由来のVδ2陽性γδ型T細胞を添加した。その際、Vδ2陽性γδ型T細胞により障害を受けたHCT-5細胞の割合を比細胞障害率とし、エフェクター細胞/標的細胞比(E/T比)依存性を図に纏めた。
【図18】成人T細胞白血病細胞株HCT-4に、培地(上段)、ZOLF-POM1μM(中段)、あるいは、ZOLF-POM10μMをそれぞれ作用させ、そこにキレート剤を添加し、細胞を洗浄後、成人T細胞白血病患者(4)由来のVδ2陽性γδ型T細胞を添加した。その際、Vδ2陽性γδ型T細胞により障害を受けたHCT-4細胞の割合を比細胞障害率とし、エフェクター細胞/標的細胞比(E/T比)依存性を図に纏めた。
【図19】ヒト肺がん細胞株であるPC9にZOLF-POMを0μM、1.25μM、2.5μM、あるいは、5μMで作用させ、そこにキレート剤を添加し、細胞を洗浄後、肺がん患者(1)由来のVδ2陽性γδ型T細胞を添加した。その際、Vδ2陽性γδ型T細胞により障害を受けたPC9細胞の割合を比細胞障害率とし、エフェクター細胞/標的細胞比(E/T比)依存性を図に纏めた。
【図20】ヒト膀胱がん細胞株であるEJ-1にZOLF-POMを0μM、1.25μM、2.5μM、あるいは、5μMで作用させ、そこにキレート剤を添加し、細胞を洗浄後、健常成人(1)由来のVδ2陽性γδ型T細胞を添加した。その際、Vδ2陽性γδ型T細胞により障害を受けたEJ-1細胞の割合を比細胞障害率とし、エフェクター細胞/標的細胞比(E/T比)依存性を図に纏めた。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明において用いられるフッ素含有型ビスホスホン酸及びフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体の一実施態様は、下記一般式(I)により表される。

【0027】
【化3】
JP2016125757A1_000005t.gif

【0028】
(式中、Cyはフェニル基又は複素環基であり、Yは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、ハロゲン原子若しくはアルコキシ基で置換されてもよいアリール基、又は、アラルキルオキシ基であり、Fはフッ素原子であり、Pはリン原子を表し、Rは水素原子又はアルキル基であり、R及びRは、同一又は互いに異なって、水素原子又はアルキルカルボニルオキシアルキル基であり、jは0又は1の数を表し、mは0又は1の数を表し、nは1~6の整数を表す。ただし、Cyが3-ピリジル基であり、mが1であり、nが1であり、Yが水素原子であり、R及びRが水素原子である場合を除く)

【0029】
Cyはフェニル基又は複素環基であり、少なくともYが結合している。複素環基は、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1~4個含有する4~15員環の単環式複素環基又は縮合多環式複素環基である。複素環基の例としては、フリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、キノリル、イソキノリル、キナゾリル、キノキサリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾール、インドリル、インダゾリル、ピロロピラジニル、イミダゾピリジニル、イミダゾピラジニル、ピラゾロピリジニル、ピアゾロチエニル、ピラゾロトリアジニル、オキセタニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ヘキサメチレンイミニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、チアゾリニル、イミダゾリニル、ジオキソラニル、ジヒドロオキサジアゾリル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、チオピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフリル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、テトラヒドロピリミジニル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロベンゾジオキセピニル、テトラヒドロベンゾフラニル、クロメニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロフタラジニル、7-アザインドリル等が挙げられる。

【0030】
好ましくは、上記複素環基は窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1~3個含有する5~10員環の複素環基であり、より好ましくは窒素原子及び硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1又は2個含有する5又は6員環の複素環基である。かかる複素環基は、具体的にはイミダゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、又は、7-アザインドリルが好ましく、イミダゾリル又はピリミジルがより好ましく、特にイミダゾリル基が好ましい。

【0031】
上記複素環基は、置換可能な位置にYが結合している。Yは水素原子、アルキル基(例、メチル、エチル、ヘキシル、オクチル等のC1-10アルキル基)、ハロゲン原子(例、塩素原子、フッ素原子、臭素原子)、ハロゲン化アルキル基(例、1~3個のハロゲン原子(前述と同義)によって置換されたC1-3アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル)、水酸基、アリール基、又は、アラルキルオキシ基である。ここで、前記アリール基はハロゲン原子(前述と同義)若しくはアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等のC1-3アルコキシ基)で置換されていてもよい。好ましくは、Yは水素原子、C1-3アルキル基(前述と同義)、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、無置換のアリール基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基又はフェニル基であり、最も好ましくは、水素原子又は臭素原子である。

【0032】
アリール基は、単環式アリール基及び縮合多環式アリール基を包含し、具体的にはフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル及びアセナフチレニルが挙げられる。好ましくはC6-18アリール基であり、より好ましくはC6-8アリール基であり、特にフェニル基が好ましい。

【0033】
アラルキルオキシ基は、好ましくはC7-18アラルキルオキシ基であり、具体的にはベンジルオキシ、フェネチルオキシ等が挙げられるが、ベンジルオキシが好ましい。

【0034】
及びRは、同一又は互いに異なって、水素原子又はアルキルカルボニルオキシアルキル基であり、R及びRの少なくとも1つはアルキルカルボニルオキシアルキル基である。好ましくはR及びRのいずれもがアルキルカルボニルオキシアルキル基である。アルキルカルボニルオキシアルキル基としては、例えば、C2-7アルキルカルボニルオキシ-C1-3アルキル基、好ましくは、C3-4アルキルカルボニルオキシ-メチル、特にピバロイルオキシメチル及びn-ブタノイルオキシメチルが好ましい。

【0035】
jは0又は1を表す。mは0又は1、好ましくは1を表す。Cyがピロリル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ヘキサメチレンイミニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリニジル等の二級アミンの場合にはmは0を表し、当該窒素原子で-(CH-基と結合する。nは1~6の整数を表し、好ましくは1~3、特に好ましくは1を表す。

【0036】
本発明のフッ素含有型ビスホスホン酸およびフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体は、例えばビスホスホン酸(又はその誘導体)にフッ素原子を導入する場合であれば、3段階の合成ステップで効率的に製造することができる。まず、(a)出発材料となるビスホスホン酸のアミノ基等の反応性基を保護し、(b)フッ素化剤によりフッ素原子を導入し、そして(c)工程aで導入した保護基を脱保護する。工程bで用いるフッ素化剤としては、N-フルオロフェニルスルホンイミド、N-フルオロトルエンスルホンイミド、N-フルオロメタンスルホンイミド、N-フルオロトリフルオロメタンスルホンイミド等のN-フルオロスルホンイミド類、N-フルオロ-2,4,6-トリメチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホナト、N-フルオロ-2,4,6-トリメチルピリジニウムテトラフルオロボラート等のN-フルオロピリジニウム塩類、ジフルオロキセノン、フッ素ガス等が挙げられるが、入手容易さや、取り扱いやすさ、収率等から、N-フルオロスルホンイミド類が好ましい。

【0037】
あるいは、フッ素原子が導入されたビスホスホン酸(又はその誘導体)が入手できる場合には、当該化合物を出発材料として、所望の置換基を導入することによっても本発明のフッ素含有型ビスホスホン酸およびフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体を製造することができる。使用する試薬や反応条件などは、出発原料及び導入される置換基の種類に応じて、公知の手法あるいは当該手法を適宜修飾乃至改変することによって選択、決定することができる。

【0038】
本発明のフッ素含有型ビスホスホン酸およびフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体は、具体的には、後述の実施例の合成手順に従って合成することができる。

【0039】
本発明におけるフッ素含有型ビスホスホン酸およびフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体は、薬学的に許容される塩であってもよい。また本発明のフッ素含有型ビスホスホン酸およびフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体において、異性体(例えば光学異性体、幾何異性体及び互換異性体)などが存在する場合は、本発明はそれらの異性体を包含し、また溶媒和物、水和物及び種々の形状の結晶を包含するものである。

【0040】
本発明において、薬学的に許容される塩とは、薬理学的及び製剤学的に許容される一般的な塩が挙げられる。そのような塩として、具体的には以下が例示される。
塩基性付加塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;例えばアンモニウム塩;例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩;ジシクロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ブロカイン塩等の脂肪族アミン塩;例えばN,N-ジベンジルエチレンジアミン等のアラルキルアミン塩;例えばピリジン塩、ピコリン塩、キノリン塩、イソキノリン塩等の複素環芳香族アミン塩;例えばテトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、メチルトリオクチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩;アルギニン塩、リジン塩等の塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。

【0041】
酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩;例えばメタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等の酸性アミノ酸塩等を挙げることができる。

【0042】
本発明の新規なフッ素含有型ビスホスホン酸およびフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体は、ファーネシル二リン酸合成酵素阻害能を有する。その結果、コレステロール、脂溶性ビタミン、リポタンパク等、細胞の生存に必須なイソプレノイド代謝産物の産生を抑制し、優れた直接的腫瘍障害効果及びウイルス感染細胞障害効果を発揮する。従って、本発明は当該フッ素含有型ビスホスホン酸および/又はフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体を有効成分として含む直接的及び間接的抗腫瘍剤および抗ウイルス剤を提供する。

【0043】
本発明の抗腫瘍および抗ウイルス剤は、生体に投与して用いることができ、好ましくは哺乳動物(ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル等)に投与される。

【0044】
本発明の新規なフッ素含有型ビスホスホン酸およびフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体は、末梢血のような生体の血液中、又はリンパ液中に存在するVδ2陽性γδ型T細胞を特異的に刺激し、増殖及び/又は誘導するとともに、これらの細胞の抗腫瘍作用を誘導・増強することができる。従って、本発明は当該フッ素含有型ビスホスホン酸および/あるいはフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体を有効成分として含むリンパ球処理剤を提供する。

【0045】
γδ型T細胞の抗腫瘍作用としては、γδ型T細胞がそのT細胞受容体を介して、がん細胞に発現している分子、例えばMICA/BやIPP(イソペンテニルピロリン酸)を認識して細胞を傷害することが挙げられる。さらに、γδ型T細胞が産生するTNF-αやINF-γ等のサイトカインが作用して抗腫瘍活性を増強していることが挙げられる。

【0046】
本発明のリンパ球処理剤は、体内及び体外においてγδ型T細胞を増殖及び/又は誘導する作用を有するものである。よって本発明のリンパ球処理剤は、生体から採取されたγδ型T細胞を含む検体を処理したり、又は生体に直接投与したりして用いることができる。ここで生体とは哺乳動物(ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル等)を意味し、特にヒトが好ましい。

【0047】
本発明は、本発明のリンパ球処理剤を、生体から採取したγδ型T細胞を含む検体に作用させることによりγδ型T細胞の増殖及び/又は誘導させる工程、及び、当該γδ型T細胞を生体に戻す工程を含む、腫瘍細胞の増殖抑制方法にも及ぶ。

【0048】
生体から採取されたγδ型T細胞を含む検体としては、末梢血のような血液、リンパ液が例示される。本発明のリンパ球処理剤の対象としては、末梢血が好ましく、末梢血から比重遠心法により単核球画分を分離して用いることがさらに好ましい。

【0049】
本発明のリンパ球処理剤と検体とを常法に従って共に培養することにより、当該リンパ球処理剤により検体中のγδ型T細胞を刺激することが可能である。γδ型T細胞の誘導及び/又は増殖は、100pM~100μM、好ましくは100pM~20μM、さらに好ましくは100pM~5μMといった微量の範囲のフッ素含有型ビスホスホン酸および/又はフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体存在下で培養することにより可能である。

【0050】
本発明のリンパ球処理剤の有効成分であるフッ素含有型ビスホスホン酸およびフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体は、ビスホスホン酸骨格を有するので、従来のピロリン酸系リンパ球処理剤に比べてアルカリホスファターゼに対して耐性を示す(Biology Trace Element Research, 104, 131-140 (2005))。このため、γδ型T細胞を誘導及び/又は増殖するためのγδ型T細胞培養培地には、血清を含むものを使用することができ、例えば、ヒトAB血清あるいは牛胎児血清等を用いることができる。血清を含む培地を使用可能であるため、簡便かつ短時間で、がん治療に用いるのに十分な量のγδ型T細胞を提供することが可能であるという利点がある。

【0051】
本発明のリンパ球処理剤を生体外において、γδ型T細胞を増殖及び/又は誘導する目的で使用する場合の構成態様としては、有効成分であるフッ素含有型ビスホスホン酸及び/又はフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体自体のみとすることができるが、エタノール、DMSO等の溶液として製造することもできる。さらに必要に応じて、同時に他の添加物を加えることもできる。また、リンパ球処理剤を検体に作用させる際、補助因子としてインターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-15(IL-15)、インターロイキン-18(IL-18)等を0.1~150IU/mL、好ましくは1~100IU/mLあるいは0.11~1000ng/mLの濃度で加えてもよい。これらを添加することにより、γδ型T細胞の特異的誘導及び/又は増殖が顕著になる。

【0052】
リンパ球処理剤による特異的γδ型T細胞の誘導及び/又は増殖は、培養後、培養上清中に産生されたIFN-γ量及び/又はTNF-α量を測定することにより評価することができる。例えば、TNF-α産生量が、培養開始時と比較して多ければ、γδ型T細胞が誘導されたと判断できる。IFN-γ量及び/又はTNF-α量の確認は、抗IFN-γ抗体や抗TNF-α抗体等を用いて従来公知の方法により行うことができる。

【0053】
上記のようにして本発明のリンパ球処理剤によって処理されたγδ型T細胞は、医薬として患者に投与して使用することができる。例えば腫瘍を有する患者由来の単核球画分を本発明のリンパ球処理剤により処理し、γδ型T細胞の増殖及び/又は誘導が認められた単核球画分を当該患者に末梢血などとして投与することにより、抗腫瘍活性を発揮させることができる。投与方法としては、局所への注射、静脈注射、経皮吸収などの方法をとることができる。

【0054】
本発明の抗腫瘍剤、抗ウイルス剤及びリンパ球処理剤を医薬品として用いる場合、通常それ自体公知の製薬上許容される担体、賦形剤、希釈剤、増量剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、芳香剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味剤、溶解補助剤、その他添加剤、具体的には、水、植物油、アルコール(例えば、エタノール、ベンジルアルコール等)、ポリエチレングリコール、グリセロールトリアセテート、ゼラチン、炭水化物(例えば、ラクトース、でんぷん等)、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラノリン、ワセリン等と混合して、常法により錠剤、丸剤、散剤、顆粒、座剤、注射剤、点眼剤、液剤、カプセル剤、トローチ剤、エアゾール剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤などの形態とすることにより、全身的或いは局所的に、経口若しくは非経口で投与することができる。

【0055】
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法等により異なるが、通常、成人一人当たり、有効成分の量で1回に0.001mg/kg~1000mg/kg、好ましくは0.01mg/kg~100mg/kgが1日1回から数回、経口或いは静脈注射等の注射剤の形態で投与される。

【0056】
本発明は直接的及び間接的抗腫瘍剤および抗ウイルス剤を包含するものであり、良性及び悪性腫瘍、ウイルス感染細胞に対する治療効果を有する。また、本発明のリンパ球処理剤は、腫瘍の予防及び/又は治療において有用である。対象となる腫瘍としては、脳腫瘍(悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫等)、食道がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、大腸がん(結腸がん、直腸がん等)、膀胱がん、肺がん(非小細胞肺がん、小細胞肺がん、原発性及び転移性扁平上皮がん等)、腎臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、皮膚がん、神経芽細胞腫、肉腫、骨・軟部腫瘍、骨腫瘍、骨肉腫、精巣腫瘍、性腺外腫瘍、睾丸腫瘍、子宮がん(子宮頸がん、子宮体がん等)、頭頸部腫瘍(上顎がん、喉頭がん、咽頭がん、舌がん、口腔がん等)、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(最網肉腫、リンパ肉腫、ホジキン病等)、真性多血症、白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病等)、甲状腺がん、腎盂がん、尿管腫瘍、膀胱腫瘍、胆のうがん、胆管がん、絨毛がん、悪性黒色腫、小児腫瘍(ユーイング肉腫ファミリー、ウイルムス腫瘍、横紋筋肉腫、血管肉腫、睾丸胎児性がん、神経芽腫、網膜芽腫、肝芽腫、腎芽腫等)等の悪性腫瘍等が挙げられる。対象となるウイルス感染症としては、HTLV-1感染症、HIV感染症、インフルエンザ症、ヘルペス症等のウイルス感染症等が挙げられる。本発明において、膀胱がん、腎臓がん、肺がん、乳がん、白血病などの血液系の腫瘍や、HTLV-1感染症への適応が好ましい。
【実施例】
【0057】
以下、本発明のフッ素含有型ビスホスホン酸およびフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体の製造方法を具体的に説明し、以下に示す。なお、本発明の化合物の製造方法は、以下に具体的に説明されたものに限定されるものではない。
すべての反応は別に記載されない限り空気雰囲気下で行った。別に指定しない限り、各種試薬は市販品を用いた。
【実施例】
【0058】
(測定方法及び標記)
1H NMR、13C NMR及び19F NMRスペクトルは、JNM-AL-400スペクトロメーター(1H NMR at 400 MHz, 13C NMR at 100 MHz)及びVarian-500PSスペクトロメーター(1H NMR at 500 MHz, 13C NMR at 125 MHz, 19F NMR at 470 MHz)(JEOL Ltd., Akishima, Tokyo, Japan)を用いてCDCl3溶液あるいはD2O溶液で測定した。1H NMR化学シフトはテトラメチルシラン(TMS)(0.00ppm)を、13C NMR化学シフトはCDCl3(77.0ppm)を、19F NMR化学シフトはCFCl3を、それぞれ参照した。化学シフトは100万分の1(ppm)で表した。
ピークの多重性は以下のように略記する。
s, singlet; d, doublet; dt, doublet of triplets; ddd, doublet of doublet of doublets; dtt, doublet of triplet of triplets; t, triplet; tt, triplet of triplets; q, quartet; m, multiplet; br, broad; pent, pentet
マススペクトル及び高分解能マススペクトルはJEOL JMS-T100TD (JEOL Ltd.)で測定した。
薄層クロマトグラフィー(TLC)は、プレコートされたプレート(0.25 mm, silica gel plate 60F245, Merck Millipore, MA)上で行った。
カラムクロマトグラフィーはシリカゲルプレート(Kanto Chemical Co., Inc.)上で行った。
(略語一覧)
Me:メチル、
Et:エチル、
iPr:イソプロピル、
Boc:t-ブトキシカルボニル、
BocO:二炭酸ジ-tert-ブチル、
EtN:トリエチルアミン、
CHCl:ジクロロメタン、
quant.:定量的に得られた、
NFSI:N-フルオロベンゼンスルホンイミド、
n-BuLi:n-ブチルリチウム、
THF:テトラヒドロフラン、
HCl:塩酸、
NaH:水素化ナトリウム、
15-crown-5-ether:15-クラウン-5-エーテル、
MeOH:メタノール、
Ms:メタンスルホニル、
MsCl:塩化メタンスルホニル、
CO:炭酸カリウム、
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド、
KH:水素化カリウム、
18-crown-6-ether:18-クラウン-6-エーテル、
セレクトフルオル:1-クロロメチル-4-フルオロ-1,4-ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン ビス(テトラフルオロホウ酸)
【実施例】
【0059】
実施例1
3-アミノ-1-フルオロ-プロピリデン-1,1-ビスホスホン酸(PAMF)の合成)
【実施例】
【0060】
【化4】
JP2016125757A1_000006t.gif
【実施例】
【0061】
(1)tert-ブチル(3,3-ビス(ジエトキシホスホリル)プロピル)カルバメート
【実施例】
【0062】
【化5】
JP2016125757A1_000007t.gif
【実施例】
【0063】
ジクロロメタン(20 mL)に溶解したテトラエチル-3-アミノプロピリデン-1,1-ビスホスホネート[1](460 mg, 1.5 mmol)にBocO(334 μL, 1.5 mmol)およびトリエチルアミン(205 μL, 1.5 mmol)を室温で作用させた。反応混液を9時間攪拌後、減圧下で溶媒を除去し、濃縮した。その結果、無色オイル状のtert-ブチル(3,3-ビス(ジエトキシホスホリル)プロピル)カルバメート(575 mg, 収率99%)が得られた。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.35 (t, J = 7.1 Hz, 6H), 1.53 (s, 9H), 2.06-2.15 (m, 2H), 2.40 (tt, J = 6.4, 23.9 Hz, 2H), 3.30-3.37 (m, 2H), 4.17-4.22 (m, 8H), 5.06 (br. s, NH);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 16.3-16.3 (m), 27.3, 28.3, 62.6-62.7 (m), 85.1, 146.6;
HRMS (ESI) m/z Calcd for C16H35NNaO8P2[M]+454.1736, found 454.1696.
[1] K. Ogawa, T. Mukai, Y. Arano, H. Hanaoka, K. Hashimot, H. Nishimura, H. Saji, J. Label. Compd Radiopharm. 2004, 47, 753-761.
【実施例】
【0064】
(2)tert-ブチル(3,3-ビス(ジエトキシホスホリル)-3-フルオロプロピル)カルバメート
【実施例】
【0065】
【化6】
JP2016125757A1_000008t.gif
【実施例】
【0066】
THF(2.0 mL)に溶解したtert-ブチル(3,3-ビス(ジエトキシホスホリル)プロピル)カルバメート(50 mg, 0.13 mmol)にn-BuLi(90 μL, 1.6 M ヘキサン溶液, 0.14 mmol)を-78℃アルゴン雰囲気下で滴下した。10分間攪拌後、N-フルオロフェニルスルホンイミド(45 mg, 0.14 mmol)をカルバニオン溶液に加えた。そして、その反応混液を1時間かけて室温にした。7時間攪拌後、反応を飽和塩化アンモニウム(10 mL)で停止させた。水相から反応物を酢酸エチル(2 × 10 mL)で抽出し、得られた有機相を混合した。これを硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で濃縮した。反応物をアセトン/n-ヘキサン=1/1の溶媒系によりシリカゲルカラムにかけたが、目的物を高純度で得られなかったため、主成分をtert-ブチル(3,3-ビス(ジエトキシホスホリル)-3-フルオロプロピル)カルバメートとする28mgの粗生成物をさらなる精製は行わず、次の反応に供した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.36 (t, J = 8.8 Hz, 12H), 1.42 (s, 9H), 2.33-2.43 (m, 2H), 3.45-3.48 (m, 2H), 4.22-4.31 (m, 8H), 5.18 (br. s, NH).
HRMS (ESI) m/z Calcd for C16H34FNNaO8P2[M]+ 472.1641, found 472.1646.
【実施例】
【0067】
(3)3-アミノ-1-フルオロ-プロピリデン-1,1-ビスホスホン酸
【実施例】
【0068】
【化7】
JP2016125757A1_000009t.gif
【実施例】
【0069】
tert-ブチル(3,3-ビス(ジエトキシホスホリル)-3-フルオロプロピル)カルバメート(28 mg, 0.06 mmol)を1mLの6N塩酸に溶解し、加熱還流を7時間行った。反応混液を減圧下で溶媒を除去し、濃縮した。残渣を水/メタノールで再結晶し、黄色の固体を得た(14 mg, 収率45%)。
1H NMR (500 MHz, D2O) δ 2.38-2.51 (m, 2H), 3.28-3.34 (m, 2H);
19F NMR (470 MHz, D2O) δ -183.4 (tt, J = 23.1, 69.2 Hz);
HRMS (ESI) m/z Calcd for C3H9FNO6P2 [M]- 235.9889, found 235.9852.
【実施例】
【0070】
実施例2
1-フルオロ-3-(メチル(ペンチル)アミノ)プロピリデン-1,1-ビスホスホン酸(IBAF)の合成
【実施例】
【0071】
【化8】
JP2016125757A1_000010t.gif
【実施例】
【0072】
(1)テトライソプロピルモノフルオロメチレン二リン酸[2]
【実施例】
【0073】
【化9】
JP2016125757A1_000011t.gif
【実施例】
【0074】
20mLのDMFに溶解したテトライソプロピルメチレン二リン酸(2.5 g, 7.3 mmol)を氷上で0℃にした。別のフラスコに20mLのDMFに溶解したNaH(386 mg, 60% in mineral oil, 16.6 mmol)をいれ、5分間0℃で冷却した。このNaH溶液をテトライソプロピルメチレン二リン酸に滴下した。反応混液を0℃で10分間攪拌し、室温に戻した。1時間室温で攪拌後、DMFに溶解したセレクトフルオル(5.7 g, 16.6 mmol)を添加し、反応混液を、6時間室温で攪拌した。これを50mLのジクロロメタンで希釈し、50mLの飽和塩化アンモニウム溶液を添加し反応を停止させた。水相からジクロロメタン(2 × 50 mL)で抽出し、得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後ろ液を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラム(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/2から酢酸エチル100%の勾配)で精製し、モノフルオロビスホスホン酸(746 mg, 収率22%)とジフルオロビスホスホン酸(615 mg, 収率28%)を得た。
[2]V. Jo Davisson, Darrell R. Davis, Vyas M. Dixit, C. Dale Poulter, J. Org. Chem.1987, 52,1794-1801.
【実施例】
【0075】
(2)テトライソプロピル-1-フルオロ-3-ヒドロキシプロピリデン-1,1-ビスホスホン酸
【実施例】
【0076】
【化10】
JP2016125757A1_000012t.gif
【実施例】
【0077】
アルゴン雰囲気下で調製したNaH(96 mg, 60%, 2.4 mmol)のTHF(15 mL)懸濁液に、5mLのTHFに溶解したテトライソプロピルモノフルオロメチレン二リン酸(724 mg, 2.0 mmol)を0℃で添加した。30分攪拌した後、2mLのTHFに溶解した2-(2-ヨウ化エトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(615 mg, 2.4 mmol)と15-クラウン-5-エーテル(88 mg, 0.4 mmol)を添加した。反応混液を室温で24時間攪拌し、飽和塩化アンモニウム溶液により反応停止した。水相から化合物を酢酸エチル(2 × 50 mL)により抽出し、得られた有機相を混合し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過後ろ液を減圧下で濃縮した。テトライソプロピル-1-フルオロ-3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)プロピリデン-1,1-ビスホスホン酸の粗生成物を2mLの1N塩化水素メタノール溶液で処理し、10分間攪拌後、反応混液を減圧下で濃縮した。これをシリカゲルカラム(溶出液:アセトン/n-ヘキサン=1/1)で精製し、無色オイル状のテトライソプロピル-1-フルオロ-3-ヒドロキシプロピリデン-1,1-ビスホスホン酸を得た(198 mg, 収率24%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.37-1.38 (m, 24 H), 2.42 (dtt, J = 5.4, 15.2, 27.5 Hz, 2H), 3.88 (t, J = 5.1 Hz, 2H), 4.11 (br. s, OH), 4.89-4.90 (m, 4H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 23.7-23.8 (m), 24.2-24.3 (m), 36.8 (d, J = 19.2 Hz), 73.1 (t, J = 3.7 Hz), 73.2 (t, J = 3.5 Hz);
19F NMR (470 MHz, CDCl3) δ -193.8 (tt, J = 22.7, 78.0 Hz);
HRMS (ESI) m/z Calcd for C15H33FN2NaO7P2 [M]+ 429.1583, found 429.1543
【実施例】
【0078】
(3)2,2-ビス(ジイソプロピオキシホスホリル)2-フルオロエチルメタンスルホン酸
【実施例】
【0079】
【化11】
JP2016125757A1_000013t.gif
【実施例】
【0080】
5mLのジクロロメタンに溶解したテトライソプロピル-1-フルオロ-3-ヒドロキシプロピリデン-1,1-ビスホスホン酸(190 mg, 0.47 mmol)にトリエチルアミン(78 μL, 0.56 mmol)と塩化メタンスルホニル(43μL, 0.56 mmol)を室温で添加した。反応混液を7時間攪拌後、酢酸エチル(2 × 50 mL)で抽出し、得られた有機相を水で洗浄した。次に、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過後ろ液を減圧下で濃縮した。それをシリカゲルカラムで精製(溶媒:アセトン/n-ヘキサン=1/1)し、黄色オイル状の2,2-ビス(ジイソプロピオキシホスホリル)2-フルオロエチルメタンスルホン酸(209 mg, 収率92%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.36-1.38 (m, 24H), 2.53-2.66 (m, 2H), 3.01 (s, 3H), 4.54 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 4.82-4.91 (m, 4H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 23.7 (dt, J = 2.8, 12.9 Hz), 24.2 (d, J = 28.6 Hz), 32.9 (d, J = 20.1 Hz), 37.3, 65.3 (q, J = 6.9 Hz), 73.2 (t, J = 3.7 Hz), 73.5 (t, J = 3.7 Hz);
19F NMR (470 MHz, CDCl3) δ -195.0 (tt, J = 23.1, 75.1 Hz);
HRMS (ESI) m/z Calcd for C16H35FNaO9P2S[M]+ 507.1359, found 507.1353
【実施例】
【0081】
(4)テトライソプロピル-1-フルオロ-3-(メチル(ペンチル)アミノ)プロピリデン-1,1-ビスホスホン酸
【実施例】
【0082】
【化12】
JP2016125757A1_000014t.gif
【実施例】
【0083】
2.5mLのDMFに溶解した2,2-ビス(ジイソプロピオキシホスホリル)2-フルオロエチルメタンスルホン酸(150 mg, 0.31 mmol)に炭酸カリウム(129 mg, 0.93 mmol)とN-ヘキシルメチルアミン(63 mg, 0.62 mmol)溶液を添加した。反応混液を80℃で19時間攪拌後、水を添加し反応を停止させた。水相から化合物を酢酸エチル(2 × 50 mL)で抽出し、得られた有機相を塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを添加し脱水し、濾過後ろ液を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:アセトン/n-ヘキサン=1/1)により精製した結果、無色のオイル状物質として、テトライソプロピル-1-フルオロ-3-(メチル(ペンチル)アミノ)プロピリデン-1,1-ビスホスホン酸が得られた(31 mg, 収率21%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 0.90 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 1.27-1.39 (m, 28H), 1.44-1.52 (m, 2H), 2.23-2.40 (m, 7 H), 2.72-2.78 (m, 2H), 4.83-4.94 (m, 4H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 14.0, 22.6, 23.7 (dt, J = 3.0, 18.0 Hz), 24.3, (dt, J = 1.4, 32.6 Hz), 27.0, 29.7, 30.3 (d, J = 19.1 Hz), 42.0, 50.9 (q, J = 6.2 Hz), 57.3, 72.6 (t, J = 3.5 Hz), 72.9 (t, J = 3.7 Hz);
19F NMR (470 MHz, CDCl3) δ -193.6 (tt, J = 23.4, 76.2 Hz);
HRMS (ESI) m/z Calcd for C21H46FNNaO6P2 [M]+ 512.2682, found 512.2686.
【実施例】
【0084】
(5)1-フルオロ-3-(メチル(ペンチル)アミノ)プロピリデン-1,1-ビスホスホン酸
【実施例】
【0085】
【化13】
JP2016125757A1_000015t.gif
【実施例】
【0086】
テトライソプロピル-1-フルオロ-3-(メチル(ペンチル)アミノ)プロピリデン-1,1-ビスホスホン酸(30 mg, 0.06 mmol)を1mLの6N塩酸に溶解し、7時間加熱還流した。反応混液を減圧下で濃縮し、粘性あるオイルとして1-フルオロ-3-(メチル(ペンチル)アミノ)プロピリデン-1,1-ビスホスホン酸(20 mg, 収率99%)が得られた。
1H NMR (500 MHz, D2O) δ 0.79 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.21-1.29 (m, 4H), 1.57-1.72 (m, 2H), 2.42-2.53 (m, 2H), 2.79 (s, 3H), 2.99-3.04 (m, 1H), 3.11-3.17 (m, 1H), 3.26-3.33 (m, 1H), 3.46 (m, 1H);
13C NMR (125 MHz, D2O) δ 12.9, 21.4, 23.1, 27.3 (d, J = 19.9 Hz), 27.7, 39.4, 51.5-51.7 (m), 56.3;
19F NMR (470 MHz, D2O) δ -189.5 (tt, J = 21.6, 69.9 Hz);
HRMS (ESI) m/z Calcd for C9H21FNNaO6P2 [M]- 320.0828, found 320.0843.
【実施例】
【0087】
実施例3
4-アミノ-1-フルオロ-ブチリデン-1,1-ビスホスホン酸(ALEF)の合成
【実施例】
【0088】
【化14】
JP2016125757A1_000016t.gif
【実施例】
【0089】
(1)tert-ブチル(4,4-ビス(ジエトキシホスホリル)ブチル)カルバメート
【実施例】
【0090】
【化15】
JP2016125757A1_000017t.gif
【実施例】
【0091】
10mLのジクロロメタンに溶解したテトラエチル-4-アミノブチリデン-1,1-ビスホスホン酸(345 mg, 1.0 mmol)にBocO(218 μL, 1.0 mmol)とEtN(139 μL, 1.0 mmol)を室温で添加した。反応混液を20時間攪拌後、減圧下で溶媒を除去し、濃縮した。アセトンを溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、粗生成物を精製し、無色オイル状のtert-ブチル(4,4-ビス(ジエトキシホスホリル)ブチル)カルバメート(267 mg, 収率60%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.29 (t, J = 7.1 Hz, 12 H), 1.38 (s, 9H), 1.71 (pent, J = 7.1 Hz, 2H), 1.85-1.96 (m, 2H), 2.24 (tt, J = 5.9, 23.9 Hz, 2H), 3.02-3.13 (m, 2H), 4.08-4.16 (m, 8H), 4.76 (br. s, NH);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 16.2 (d, J = 2.8 Hz), 16.9 (d, J = 2.5 Hz), 22.6 (t, J = 5.1 Hz), 28.3, 28.9 (m), 30.1 (t, J = 132.6 Hz), 39.7, 62.4 (d, J = 6.5 Hz), 62.5 (d, J = 6.7 Hz), 78.8, 155.8;
HRMS (ESI) m/z Calcd for C17H37NNaO8P2 [M]+ 468.1892, found 468.1868.
【実施例】
【0092】
(2)tert-ブチル(4,4-ビス(ジエトキシホスホリル)-4-フルオロブチル)カルバメート
【実施例】
【0093】
【化16】
JP2016125757A1_000018t.gif
【実施例】
【0094】
12mLのTHFに溶解したtert-ブチル(4,4-ビス(ジエトキシホスホリル)ブチル)カルバメート(220 mg, 0.49 mmol)に-78℃アルゴン雰囲気下でn-BuLi(338 μL, 1.6 Mヘキサン溶液, 0.54 mmol)を滴下した。10分攪拌した後、N-フルオロフェニルスルホンイミドをカルバニオン溶液に添加し、1時間かけて室温に戻した。12時間攪拌後、10mLの塩化アンモニウム溶液を加え、反応を停止させた。水相から化合物を酢酸エチル(2 × 10 mL)で抽出し、有機相を混和した後硫酸マグネシウムで脱水し、濾過後ろ液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:アセトン/酢酸エチル=1/1)により粗精製した。主成分をtert-ブチル(4,4-ビス(ジエトキシホスホリル)-4-フルオロブチル)カルバメートとする粗生成物をそのまま次の合成反応に供した(184 mg, 収率<82% )。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.36 (t, J = 7.1 Hz, 12H), 1.43 (s, 9H), 1.82-1.88 (m, 2H), 2.12-2.26 (m, 2H), 3.09-3.20 (m, 2H), 4.20-4.33 (m, 8H), 4.62 (br. s, NH);
HRMS (ESI) m/z Calcd for C17H36FNNaO8P2 [M]+ 486.1798, found 486.1811.
【実施例】
【0095】
(3)4-アミノ-1-フルオロ-ブチリデン-1,1-ビスホスホン酸
【実施例】
【0096】
【化17】
JP2016125757A1_000019t.gif
【実施例】
【0097】
tert-ブチル(4,4-ビス(ジエトキシホスホリル)-4-フルオロブチル)カルバメート(100 mg, 0.22 mmol)を2mLの6N塩酸に溶解し、15時間加熱還流した。反応混液は、減圧下で濃縮し、溶媒を除去した。残渣を水/メタノールで再結晶し、白色固体状の4-アミノ-1-フルオロ-ブチリデン-1,1-ビスホスホン酸を得た(15 mg, 収率74%)。
1H NMR (500 MHz, D2O) δ 1.93-2.04 (m, 2H), 2.08-2.23 (m, 2H), 2.95-3.05 (m, 2H);
13C NMR (125 MHz, D2O) δ 21.7 (q, J = 6.0 Hz), 29.3 (d, J = 19.6 Hz), 39.5;
19F NMR (470 MHz, D2O ) δ -189.5 (tt, J =23.8, 72.5 Hz);
HRMS (ESI) m/z Calcd for C9H19FNO8P2 [M]- 250.0046, found 250.0069.
【実施例】
【0098】
実施例4
1-フルオロ-(2-イミダゾイル-1-エチリデン)-1,1-ビスホスホン酸(ZOLF)の合成
【実施例】
【0099】
【化18】
JP2016125757A1_000020t.gif
【実施例】
【0100】
テトラキスイソプロピル-1-フルオロ-(2-イミダゾイル-1-エチリデン)-1,1-ビスホスホン酸(58 mg, 0.15 mmol)を1mLの6N塩酸に溶解し、12時間加熱還流した。反応混液は、減圧下で濃縮し、溶媒を除去した。残渣を水/メタノールで再結晶し、白色固体状の1-フルオロ-(2-イミダゾイル-1-エチリデン)-1,1-ビスホスホン酸を得た(42 mg, 収率 99%)。
1H NMR (500 MHz, D2O) δ 4.72-4.81 (m, 2H), 7.28 (s, 1H), 7.37 (s, 1H), 8.62 (s, 1H);
13C NMR (125 MHz, D2O) δ 51.2 (br. d, J = 18.5 Hz), 118.7, 123.6, 135.9;
19F NMR (470 MHz, D2O) δ -189.8 (tt, J = 25.7, 67.9 Hz, 1F);
HRMS (ESI) m/z Calcd for C5H8FN2O6P2 [M]- 272.9842, found 272.9807.
【実施例】
【0101】
実施例5
テトラキスピバロイルオキシメチル-1-フルオロ-2-(1H-イミダゾイル-1-エチリデン)-1,1-ビスホスホン酸(ZOLF-POM)の合成
【実施例】
【0102】
【化19】
JP2016125757A1_000021t.gif
【実施例】
【0103】
2mLのTHFに懸濁した水素化カリウム(21 mg, 30%, 0.16 mmol)に0℃アルゴン雰囲気下でイミダゾ-ル(11 mg, 0.16 mmol)を添加した。0℃で1時間攪拌後、室温で30分間攪拌した。これを0℃に冷却し、そこに、1.5mLのテトラキスピバロイルオキシメチルビニリデン-1,1-ビスホスホン酸(100 mg, 0.16 mmol)THF溶液を添加した。これを30分間攪拌し、1.5mLの18-クラウン-6-エーテル(8.2 mg, 0.03 mmol)THF溶液を添加した。この反応混液を15分間攪拌し、セレクトフルオル(82 mg, 0.23 mmol)を添加した。反応混液を17時間攪拌し、5mLの塩化アンモニウム水溶液で反応停止した。水相から化合物を酢酸エチル(2 × 10 mL)で抽出し、有機相を混合し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過後ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:アセトン/n-ヘキサン=1/1からアセトン/メタノール=10/1)で精製した。その結果、テトラキスピバロイルオキシメチル-1-フルオロ-2-(1H-イミダゾイル-1-エチリデン)-1,1-ビスホスホン酸が得られた(30 mg, 収率26%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.23 (s, 36H), 4.67 (ddd, J = 9.1, 10.3, 25.9 Hz, 2H), 5.60-5.71 (m, 8H), 6.96 (s, 1H), 7.02 (s, 1H), 7.51 (s, 1H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 26.8, 26.8, 38.7, 28.7, 48.1 (m), 82.8 (dt, J = 3.2, 70.2 Hz), 120.7 (d, J = 1.6 Hz), 129.2, 138.5 (d, J = 1.2 Hz), 176.5, 176.6;
19F NMR (470 MHz, CDCl3) δ -191.6 (tt, J = 26.0, 71.8 Hz);
HRMS (ESI) m/z Calcd for C29H49FN2NaO14P2 [M]+ 753.2541, found 753.2502.
【実施例】
【0104】
本発明のフッ素含有型ビスホスホン酸およびフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体をリンパ球処理剤として用いる方法を試験例1~5に具体的に説明する。なお、本発明の化合物を用いるリンパ球処理方法は、以下に具体的に説明されたものに限定されるものではない。
本試験例で用いた各患者由来の末梢血は、長崎大学病院入院患者より入手されたものであり、長崎大学病院臨床研究倫理委員会により承認されている。
試験例1(図2)
成人T細胞白血病患者(1)から末梢血を10mLヘパリン採血し、10mLのPBSで希釈した。これを20mLのFicoll-Paqueに重層し、600×g、30分間室温で濃度勾配遠心した。Ficoll-Paqueの直上層を回収しPBSで3回洗浄し、末梢血単核球を得た。これを7mLのYssel培地に懸濁し、そのうちの1mLをPE標識抗ヒトCD3モノクローナル抗体およびFITC標識抗ヒトVδ2モノクローナル抗体で染色し、フローサイトメーターで解析した。その結果図2左側のパネルにあるように、Vδ2陽性γδ型T細胞はリンパ球ゲートの0.75%であった。また、Yssel培地に懸濁した末梢血単核球にZOLF-POM1μMを作用させ、IL-2とともに11日間培養し、PE標識抗ヒトCD3モノクローナル抗体およびFITC標識抗ヒトVδ2モノクローナル抗体で染色後、フローサイトメーターで解析した。その結果図2右側のパネルにあるように、Vδ2陽性γδ型T細胞はリンパ球ゲートの91.48%であった。これは、ZOLF-POMを用いて、成人T細胞白血病患者の末梢血単核球から、11日間で、精製度の高いVδ2陽性γδ型T細胞を容易にかつ大量に調製することが出きることを示している。
【実施例】
【0105】
試験例2(図3)
成人T細胞白血病患者(2)から末梢血を10mLヘパリン採血し、10mLのPBSで希釈した。これを20mLのFicoll-Paqueに重層し、600×g、30分間室温で濃度勾配遠心した。Ficoll-Paqueの直上層を回収しPBSで3回洗浄し、末梢血単核球を得た。これを7mLのYssel培地に懸濁し、そのうちの1mLをPE標識抗ヒトCD3モノクローナル抗体およびFITC標識抗ヒトVδ2モノクローナル抗体で染色し、フローサイトメーターで解析した。その結果図3左側のパネルにあるように、Vδ2陽性γδ型T細胞はリンパ球ゲートの1.58%であった。また、Yssel培地に懸濁した末梢血単核球にZOLF-POM1μMを作用させ、IL-2とともに11日間培養し、PE標識抗ヒトCD3モノクローナル抗体およびFITC標識抗ヒトVδ2モノクローナル抗体で染色後、フローサイトメーターで解析した。その結果図3右側のパネルにあるように、Vδ2陽性γδ型T細胞はリンパ球ゲートの96.83%であった。これは、ZOLF-POMを用いて、成人T細胞白血病患者の末梢血単核球から、11日間で、精製度の高いVδ2陽性γδ型T細胞を容易にかつ大量に調製することが出きることを示している。
【実施例】
【0106】
試験例3(図4)
成人T細胞白血病患者(3)から末梢血を10mLヘパリン採血し、10mLのPBSで希釈した。これを20mLのFicoll-Paqueに重層し、600×g、30分間室温で濃度勾配遠心した。Ficoll-Paqueの直上層を回収しPBSで3回洗浄し、末梢血単核球を得た。これを7mLのYssel培地に懸濁し、そのうちの1mLをPE標識抗ヒトCD3モノクローナル抗体およびFITC標識抗ヒトVδ2モノクローナル抗体で染色し、フローサイトメーターで解析した。その結果図4左側のパネルにあるように、Vδ2陽性γδ型T細胞はリンパ球ゲートの0.49%であった。また、Yssel培地に懸濁した末梢血単核球にZOLF-POM1μMを作用させ、IL-2とともに11日間培養し、PE標識抗ヒトCD3モノクローナル抗体およびFITC標識抗ヒトVδ2モノクローナル抗体で染色後、フローサイトメーターで解析した。その結果図4右側のパネルにあるように、Vδ2陽性γδ型T細胞はリンパ球ゲートの98.29%であった。これは、ZOLF-POMを用いて、成人T細胞白血病患者の末梢血単核球から、11日間で、精製度の高いVδ2陽性γδ型T細胞を容易にかつ大量に調製することが出きることを示している。
【実施例】
【0107】
試験例4(図5)
肺がん患者(1)から末梢血を10mLヘパリン採血し、10mLのPBSで希釈した。これを20mLのFicoll-Paqueに重層し、600×g、30分間室温で濃度勾配遠心した。Ficoll-Paqueの直上層を回収しPBSで3回洗浄し、末梢血単核球を得た。これを7mLのYssel培地に懸濁し、そのうちの1mLをPE標識抗ヒトCD3モノクローナル抗体およびFITC標識抗ヒトVδ2モノクローナル抗体で染色し、フローサイトメーターで解析した。その結果図5左側のパネルにあるように、Vδ2陽性γδ型T細胞はリンパ球ゲートの4.14%であった。また、Yssel培地に懸濁した末梢血単核球にZOLF-POM1μMを作用させ、IL-2とともに11日間培養し、PE標識抗ヒトCD3モノクローナル抗体およびFITC標識抗ヒトVδ2モノクローナル抗体で染色後、フローサイトメーターで解析した。その結果図5右側のパネルにあるように、Vδ2陽性γδ型T細胞はリンパ球ゲートの98.59%であった。これは、ZOLF-POMを用いて、肺がん患者の末梢血単核球から、11日間で、精製度の高いVδ2陽性γδ型T細胞を容易にかつ大量に調製することが出きることを示している。
【実施例】
【0108】
試験例5(図6)
肺がん患者(2)から末梢血を10mLヘパリン採血し、10mLのPBSで希釈した。これを20mLのFicoll-Paqueに重層し、600×g、30分間室温で濃度勾配遠心した。Ficoll-Paqueの直上層を回収しPBSで3回洗浄し、末梢血単核球を得た。これを7mLのYssel培地に懸濁し、そのうちの1mLをPE標識抗ヒトCD3モノクローナル抗体およびFITC標識抗ヒトVδ2モノクローナル抗体で染色し、フローサイトメーターで解析した。その結果図6左側のパネルにあるように、Vδ2陽性γδ型T細胞はリンパ球ゲートの1.95%であった。また、Yssel培地に懸濁した末梢血単核球にZOLF-POM1μMを作用させ、IL-2とともに11日間培養し、PE標識抗ヒトCD3モノクローナル抗体およびFITC標識抗ヒトVδ2モノクローナル抗体で染色後、フローサイトメーターで解析した。その結果図6右側のパネルにあるように、Vδ2陽性γδ型T細胞はリンパ球ゲートの95.72%であった。これは、ZOLF-POMを用いて、肺がん患者の末梢血単核球から、11日間で、精製度の高いVδ2陽性γδ型T細胞を容易にかつ大量に調製することが出きることを示している。
【実施例】
【0109】
本発明のフッ素含有型ビスホスホン酸およびフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体を抗腫瘍免疫賦活化剤として用いる方法を試験例6~19に具体的に説明する。なお、本発明の化合物を用いる抗腫瘍免疫賦活化方法は、以下に具体的に説明されたものに限定されるものではない。
本試験例では以下の腫瘍細胞株をVδ2陽性γδ型T細胞の腫瘍細胞障害性検定の標的として用いた。細胞名の後の数字は入手先を示す。
[入手先]
(1)Health Science Research Resources Bank
(2)長崎大学 中村龍文博士より供与
(3)長崎大学 中村洋一博士より供与
モノサイト系腫瘍由来のU937細胞(U937)(1)
モノサイト系腫瘍由来のP31/FUJ細胞(P31/FUJ)(1)
HTLV-1感染患者由来のHCT-4細胞(HCT-4)(2)
HTLV-1感染患者由来のHCT-5細胞(HCT-5)(2)
肺がん由来のPC9細胞(PC9)(3)
膀胱がん由来のEJ-1細胞(EJ-1)(1)
【実施例】
【0110】
試験例6(図7)
ヒト組織球系腫瘍細胞株であるU937細胞を2×10/200μLの細胞濃度でRPMI1640培地に懸濁し、96穴丸底プレートに200μLずつ播種した。600×g2分間遠心し、上清を除去した。ここで、PAMF、ALEF、ZOLFに関して、100nM、1μM、10μM、100μM、1000μMの希釈系列を作成し、ZOLF-POMに関して、1nM、10nM、100nM、1μM、10μMの希釈系列を作成した。この希釈系列の化合物溶液を、上清を除去した細胞ペレットに200μLずつ添加し、37℃で2時間インキュベートした。この細胞をRPMI1640培地で3回洗浄し、2×10/50μLの細胞濃度にした健常成人(1)由来のVδ2陽性γδ型T細胞を50μL添加した。さらにPE標識抗ヒトCD107aモノクローナル抗体を5μL添加し、37℃で2時間インキュベートした。ここにFITC標識抗ヒトVδ2モノクローナル抗体を2μL添加し、氷上で20分間インキュベートした。これを2%FCS加PBSで3回洗浄し、200μLの2%FCS加PBSに懸濁した。これをフローサイトメーターで解析し、Vδ2陽性細胞中のCD107a陽性画分の割合を計算し、その化合物濃度依存性を図7のグラフに纏めた。その結果、PAMF、ALEF、ZOLFに関しては、最大CD107a発現を惹起する化合物濃度は数百μMであったが、ZOLF-POMでは、100nM程度であった。以上のことより、フッ素含有型ビスホスホン酸およびフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体をヒト組織球系腫瘍細胞株U937に作用させると、Vδ2陽性γδ型T細胞の細胞障害活性に対して感受性が亢進することが明らかとなった。
【実施例】
【0111】
試験例7(図8)
ヒト組織球系腫瘍細胞株であるU937細胞を1×10/mLの細胞濃度でRPMI1640培地に懸濁し、15mLコニカルチューブに1mLずつ分注した。これを600×gで5分間遠心し、上清を除去した。ZOLF-POMに関して、0μM、1.25μM、2.5μM、5μMの希釈系列を作成した。この希釈系列の化合物溶液を、上清を除去した細胞ペレットに1mLずつ添加し、37℃で1時間45分インキュベートした。ここに10mMのランタノイド系金属用キレート剤を2.5μLずつ添加し、さらに15分間インキュベートした。これらのコニカルチューブを600×gで5分間遠心し、この細胞ペレットを3回RPMI1640培地で洗浄した。次に、この細胞ペレットを5mLのRPMI1640培地に懸濁し、そのうちの2mLを別のコニカルチューブに移し、さらに6mLのRPMI1640培地を添加した。この細胞懸濁液を100μLずつ96穴丸底プレートに播種した。ここで、健常成人(1)由来のVδ2陽性γδ型T細胞をエフェクター細胞/標的細胞比0:1、5:1、10:1、20:1、40:1になるように作用させ、40分間37℃でインキュベートした。プレートを600×gで2分間遠心し、25μLの培養上清を取り、200μLのユーロピウム加酢酸緩衝液で希釈した。この混合液を200μL取り、時間分解蛍光を測定した。各サンプルの値から比細胞障害率を求め、そのエフェクター細胞/標的細胞比依存性を図8にあるようにグラフ化した。この結果より、少なくとも1.25μMのZOLF-POMをヒト組織球系腫瘍細胞株U937に作用させると、Vδ2陽性γδ型T細胞の細胞障害活性に対して感受性が亢進することが明らかとなった。
【実施例】
【0112】
試験例8(図9)
ヒト組織球系腫瘍細胞株であるU937細胞を1×10/mLの細胞濃度でRPMI1640培地に懸濁し、15mLコニカルチューブに1mLずつ分注した。これを600×gで5分間遠心し、上清を除去した。ZOLFに関して、0μM、100μM、300μM、1000μMの希釈系列を作成した。この希釈系列の化合物溶液を、上清を除去した細胞ペレットに1mLずつ添加し、37℃で1時間45分インキュベートした。ここに10mMのランタノイド系金属用キレート剤を2.5μLずつ添加し、さらに15分間インキュベートした。これらのコニカルチューブを600×gで5分間遠心し、この細胞ペレットを3回RPMI1640培地で洗浄した。次に、この細胞ペレットを5mLのRPMI1640培地に懸濁し、そのうちの2mLを別のコニカルチューブに移し、さらに6mLのRPMI1640培地を添加した。この細胞懸濁液を100μLずつ96穴丸底プレートに播種した。ここで、健常成人(1)由来のVδ2陽性γδ型T細胞をエフェクター細胞/標的細胞比0:1、5:1、10:1、20:1、40:1になるように作用させ、40分間37℃でインキュベートした。プレートを600×gで2分間遠心し、25μLの培養上清を取り、200μLのユーロピウム加酢酸緩衝液で希釈した。この混合液を200μL取り、時間分解蛍光を測定した。各サンプルの値から比細胞障害率を求め、そのエフェクター細胞/標的細胞比依存性を図9にあるようにグラフ化した。この結果より、少なくとも300μMのZOLFをヒト組織球系腫瘍細胞株U937に作用させると、Vδ2陽性γδ型T細胞の細胞障害活性に対して感受性が亢進することが明らかとなった。
【実施例】
【0113】
試験例9(図10)
ヒト組織球系腫瘍細胞株であるU937細胞を1×10/mLの細胞濃度でRPMI1640培地に懸濁し、15mLコニカルチューブに1mLずつ分注した。これを600×gで5分間遠心し、上清を除去した。ALEFに関して、0μM、300μM、1000μM、3000μMの希釈系列を作成した。この希釈系列の化合物溶液を、上清を除去した細胞ペレットに1mLずつ添加し、37℃で1時間45分インキュベートした。ここに10mMのランタノイド系金属用キレート剤を2.5μLずつ添加し、さらに15分間インキュベートした。これらのコニカルチューブを600×gで5分間遠心し、この細胞ペレットを3回RPMI1640培地で洗浄した。次に、この細胞ペレットを5mLのRPMI1640培地に懸濁し、そのうちの2mLを別のコニカルチューブに移し、さらに6mLのRPMI1640培地を添加した。この細胞懸濁液を100μLずつ96穴丸底プレートに播種した。ここで、健常成人(1)由来のVδ2陽性γδ型T細胞をエフェクター細胞/標的細胞比0:1、5:1、10:1、20:1、40:1になるように作用させ、40分間37℃でインキュベートした。プレートを600×gで2分間遠心し、25μLの培養上清を取り、200μLのユーロピウム加酢酸緩衝液で希釈した。この混合液を200μL取り、時間分解蛍光を測定した。各サンプルの値から比細胞障害率を求め、そのエフェクター細胞/標的細胞比依存性を図10にあるようにグラフ化した。この結果より、少なくとも300μMのALEFをヒト組織球系腫瘍細胞株U937に作用させると、Vδ2陽性γδ型T細胞の細胞障害活性に対して感受性が亢進することが明らかとなった。
【実施例】
【0114】
試験例10(図11)
ヒト組織球系腫瘍細胞株であるU937細胞を1×10/mLの細胞濃度でRPMI1640培地に懸濁し、15mLコニカルチューブに1mLずつ分注した。これを600×gで5分間遠心し、上清を除去した。PAMFに関して、0μM、300μM、1000μM、3000μMの希釈系列を作成した。この希釈系列の化合物溶液を、上清を除去した細胞ペレットに1mLずつ添加し、37℃で1時間45分インキュベートした。ここに10mMのランタノイド系金属用キレート剤を2.5μLずつ添加し、さらに15分間インキュベートした。これらのコニカルチューブを600×gで5分間遠心し、この細胞ペレットを3回RPMI1640培地で洗浄した。次に、この細胞ペレットを5mLのRPMI1640培地に懸濁し、そのうちの2mLを別のコニカルチューブに移し、さらに6mLのRPMI1640培地を添加した。この細胞懸濁液を100μLずつ96穴丸底プレートに播種した。ここで、健常成人(1)由来のVδ2陽性γδ型T細胞をエフェクター細胞/標的細胞比0:1、5:1、10:1、20:1、40:1になるように作用させ、40分間37℃でインキュベートした。プレートを600×gで2分間遠心し、25μLの培養上清を取り、200μLのユーロピウム加酢酸緩衝液で希釈した。この混合液を200μL取り、時間分解蛍光を測定した。各サンプルの値から比細胞障害率を求め、そのエフェクター細胞/標的細胞比依存性を図11にあるようにグラフ化した。この結果より、少なくとも300μMのPAMFをヒト組織球系腫瘍細胞株U937に作用させると、Vδ2陽性γδ型T細胞の細胞障害活性に対して感受性が亢進することが明らかとなった。
【実施例】
【0115】
試験例11(図12)
ヒト組織球系腫瘍細胞株であるU937細胞を1×10/mLの細胞濃度でRPMI1640培地に懸濁し、15mLコニカルチューブに1mLずつ分注した。これを600×gで5分間遠心し、上清を除去した。IBAFに関して、0μM、300μM、1000μM、3000μMの希釈系列を作成した。この希釈系列の化合物溶液を、上清を除去した細胞ペレットに1mLずつ添加し、37℃で1時間45分インキュベートした。ここに10mMのランタノイド系金属用キレート剤を2.5μLずつ添加し、さらに15分間インキュベートした。これらのコニカルチューブを600×gで5分間遠心し、この細胞ペレットを3回RPMI1640培地で洗浄した。次に、この細胞ペレットを5mLのRPMI1640培地に懸濁し、そのうちの2mLを別のコニカルチューブに移し、さらに6mLのRPMI1640培地を添加した。この細胞懸濁液を100μLずつ96穴丸底プレートに播種した。ここで、健常成人(1)由来のVδ2陽性γδ型T細胞をエフェクター細胞/標的細胞比0:1、5:1、10:1、20:1、40:1になるように作用させ、40分間37℃でインキュベートした。プレートを600×gで2分間遠心し、25μLの培養上清を取り、200μLのユーロピウム加酢酸緩衝液で希釈した。この混合液を200μL取り、時間分解蛍光を測定した。各サンプルの値から比細胞障害率を求め、そのエフェクター細胞/標的細胞比依存性を図12にあるようにグラフ化した。この結果より、少なくとも300μMのIBAFをヒト組織球系腫瘍細胞株U937に作用させると、Vδ2陽性γδ型T細胞の細胞障害活性に対して感受性が亢進することが明らかとなった。
【実施例】
【0116】
試験例12(図13)
ヒト組織球系腫瘍細胞株であるU937細胞を1×10/mLの細胞濃度でRPMI1640培地に懸濁し、15mLコニカルチューブに1mLずつ分注した。これを600×gで5分間遠心し、上清を除去した。ZOLFに関して、0μM、100μM、300μM、1000μMの希釈系列を作成した。この希釈系列の化合物溶液を、上清を除去した細胞ペレットに1mLずつ添加し、37℃で1時間45分インキュベートした。ここに10mMのランタノイド系金属用キレート剤を2.5μLずつ添加し、さらに15分間インキュベートした。これらのコニカルチューブを600×gで5分間遠心し、この細胞ペレットを3回RPMI1640培地で洗浄した。次に、この細胞ペレットを5mLのRPMI1640培地に懸濁し、そのうちの2mLを別のコニカルチューブに移し、さらに6mLのRPMI1640培地を添加した。この細胞懸濁液を100μLずつ96穴丸底プレートに播種した。ここで、健常成人(2)由来のVδ2陽性γδ型T細胞をエフェクター細胞/標的細胞比0:1、5:1、10:1、20:1、40:1になるように作用させ、40分間37℃でインキュベートした。プレートを600×gで2分間遠心し、25μLの培養上清を取り、200μLのユーロピウム加酢酸緩衝液で希釈した。この混合液を200μL取り、時間分解蛍光を測定した。各サンプルの値から比細胞障害率を求め、そのエフェクター細胞/標的細胞比依存性を図13にあるようにグラフ化した。この結果より、少なくとも300μMのZOLFをヒト組織球系腫瘍細胞株U937に作用させると、Vδ2陽性γδ型T細胞の細胞障害活性に対して感受性が亢進することが明らかとなった。
【実施例】
【0117】
試験例13(図14)
ヒト組織球系腫瘍細胞株であるU937細胞を1×10/mLの細胞濃度でRPMI1640培地に懸濁し、15mLコニカルチューブに1mLずつ分注した。これを600×gで5分間遠心し、上清を除去した。培地、ZOLF500μM溶液、あるいは、ZOLF-POM5μM溶液を、上清を除去した細胞ペレットに1mLずつ添加し、37℃で1時間45分インキュベートした。ここに10mMのランタノイド系金属用キレート剤を2.5μLずつ添加し、さらに15分間インキュベートした。これらのコニカルチューブを600×gで5分間遠心し、この細胞ペレットを3回RPMI1640培地で洗浄した。次に、この細胞ペレットを5mLのRPMI1640培地に懸濁し、そのうちの2mLを別のコニカルチューブに移し、さらに6mLのRPMI1640培地を添加した。この細胞懸濁液を100μLずつ96穴丸底プレートに播種した。ここで、健常成人(3)由来のVδ2陽性γδ型T細胞をエフェクター細胞/標的細胞比0.625:1、1.25:1、2.5:1、5:1、10:1、20:1、40:1になるように作用させ、40分間37℃でインキュベートした。プレートを600×gで2分間遠心し、25μLの培養上清を取り、200μLのユーロピウム加酢酸緩衝液で希釈した。この混合液を200μL取り、時間分解蛍光を測定した。各サンプルの値から比細胞障害率を求め、そのエフェクター細胞/標的細胞比依存性を図14にあるようにグラフ化した。この結果より、少なくとも500μMのZOLFあるいは5μMのZOLF-POMをヒト組織球系腫瘍細胞株U937に作用させると、Vδ2陽性γδ型T細胞の細胞障害活性に対して感受性が亢進することが明らかとなった。
【実施例】
【0118】
試験例14(図15)
ヒト組織球系腫瘍細胞株であるU937細胞を1×10/mLの細胞濃度でRPMI1640培地に懸濁し、15mLコニカルチューブに1mLずつ分注した。これを600×gで5分間遠心し、上清を除去した。培地、ZOLF500μM溶液、あるいは、ZOLF-POM5μM溶液を、上清を除去した細胞ペレットに1mLずつ添加し、37℃で1時間45分インキュベートした。ここに10mMのランタノイド系金属用キレート剤を2.5μLずつ添加し、さらに15分間インキュベートした。これらのコニカルチューブを600×gで5分間遠心し、この細胞ペレットを3回RPMI1640培地で洗浄した。次に、この細胞ペレットを5mLのRPMI1640培地に懸濁し、そのうちの2mLを別のコニカルチューブに移し、さらに6mLのRPMI1640培地を添加した。この細胞懸濁液を100μLずつ96穴丸底プレートに播種した。ここで、健常成人(4)由来のVδ2陽性γδ型T細胞をエフェクター細胞/標的細胞比0.625:1、1.25:1、2.5:1、5:1、10:1、20:1、40:1になるように作用させ、40分間37℃でインキュベートした。プレートを600×gで2分間遠心し、25μLの培養上清を取り、200μLのユーロピウム加酢酸緩衝液で希釈した。この混合液を200μL取り、時間分解蛍光を測定した。各サンプルの値から比細胞障害率を求め、そのエフェクター細胞/標的細胞比依存性を図15にあるようにグラフ化した。この結果より、少なくとも500μMのZOLFあるいは5μMのZOLF-POMをヒト組織球系腫瘍細胞株U937に作用させると、Vδ2陽性γδ型T細胞の細胞障害活性に対して感受性が亢進することが明らかとなった。
【実施例】
【0119】
試験例15(図16)
ヒトモノサイト系腫瘍細胞株であるP31/FUJ細胞を1×10/mLの細胞濃度でRPMI1640培地に懸濁し、15mLコニカルチューブに1mLずつ分注した。これを600×gで5分間遠心し、上清を除去した。培地、ZOLF500μM溶液、あるいは、ZOLF-POM5μM溶液を、上清を除去した細胞ペレットに1mLずつ添加し、37℃で1時間45分インキュベートした。ここに10mMのランタノイド系金属用キレート剤を2.5μLずつ添加し、さらに15分間インキュベートした。これらのコニカルチューブを600×gで5分間遠心し、この細胞ペレットを3回RPMI1640培地で洗浄した。次に、この細胞ペレットを5mLのRPMI1640培地に懸濁し、そのうちの2mLを別のコニカルチューブに移し、さらに6mLのRPMI1640培地を添加した。この細胞懸濁液を100μLずつ96穴丸底プレートに播種した。ここで、健常成人(3)由来のVδ2陽性γδ型T細胞をエフェクター細胞/標的細胞比0.625:1、1.25:1、2.5:1、5:1、10:1、20:1、40:1になるように作用させ、40分間37℃でインキュベートした。プレートを600×gで2分間遠心し、25μLの培養上清を取り、200μLのユーロピウム加酢酸緩衝液で希釈した。この混合液を200μL取り、時間分解蛍光を測定した。各サンプルの値から比細胞障害率を求め、そのエフェクター細胞/標的細胞比依存性を図16にあるようにグラフ化した。この結果より、少なくとも500μMのZOLFあるいは5μMのZOLF-POMをヒトモノサイト系腫瘍細胞株P31/FUJに作用させると、Vδ2陽性γδ型T細胞の細胞障害活性に対して感受性が亢進することが明らかとなった。
【実施例】
【0120】
試験例16(図17)
成人T細胞白血病細胞株であるHCT-5細胞を1×10/mLの細胞濃度でRPMI1640培地に懸濁し、15mLコニカルチューブに1mLずつ分注した。これを600×gで5分間遠心し、上清を除去した。培地、ZOLF1mM溶液、あるいは、ZOLF-POM1μM溶液を、上清を除去した細胞ペレットに1mLずつ添加し、37℃で1時間45分インキュベートした。ここに10mMのランタノイド系金属用キレート剤を2.5μLずつ添加し、さらに15分間インキュベートした。これらのコニカルチューブを600×gで5分間遠心し、この細胞ペレットを3回RPMI1640培地で洗浄した。次に、この細胞ペレットを5mLのRPMI1640培地に懸濁し、そのうちの2mLを別のコニカルチューブに移し、さらに6mLのRPMI1640培地を添加した。この細胞懸濁液を100μLずつ96穴丸底プレートに播種した。ここで、成人T細胞白血病患者(4)由来のVδ2陽性γδ型T細胞をエフェクター細胞/標的細胞比1.25:1、2.5:1、5:1、10:1、20:1、40:1、80:1になるように作用させ、40分間37℃でインキュベートした。プレートを600×gで2分間遠心し、25μLの培養上清を取り、200μLのユーロピウム加酢酸緩衝液で希釈した。この混合液を200μL取り、時間分解蛍光を測定した。各サンプルの値から比細胞障害率を求め、そのエフェクター細胞/標的細胞比依存性を図17にあるようにグラフ化した。この結果より、少なくとも1mMのZOLFあるいは1μMのZOLF-POMを成人T細胞白血病細胞株HCT-5に作用させると、Vδ2陽性γδ型T細胞の細胞障害活性に対して感受性が亢進することが明らかとなった。
【実施例】
【0121】
試験例17(図18)
成人T細胞白血病細胞株であるHCT-4細胞を1×10/mLの細胞濃度でRPMI1640培地に懸濁し、15mLコニカルチューブに1mLずつ分注した。これを600×gで5分間遠心し、上清を除去した。培地、ZOLF-POM1μM溶液、あるいは、ZOLF-POM10μM溶液を、上清を除去した細胞ペレットに1mLずつ添加し、37℃で1時間45分インキュベートした。ここに10mMのランタノイド系金属用キレート剤を2.5μLずつ添加し、さらに15分間インキュベートした。これらのコニカルチューブを600×gで5分間遠心し、この細胞ペレットを3回RPMI1640培地で洗浄した。次に、この細胞ペレットを5mLのRPMI1640培地に懸濁し、そのうちの2mLを別のコニカルチューブに移し、さらに6mLのRPMI1640培地を添加した。この細胞懸濁液を100μLずつ96穴丸底プレートに播種した。ここで、成人T細胞白血病患者(4)由来のVδ2陽性γδ型T細胞をエフェクター細胞/標的細胞比1.25:1、2.5:1、5:1、10:1、20:1、40:1、80:1になるように作用させ、40分間37℃でインキュベートした。プレートを600×gで2分間遠心し、25μLの培養上清を取り、200μLのユーロピウム加酢酸緩衝液で希釈した。この混合液を200μL取り、時間分解蛍光を測定した。各サンプルの値から比細胞障害率を求め、そのエフェクター細胞/標的細胞比依存性を図18にあるようにグラフ化した。この結果より、少なくとも1μMのZOLF-POMを成人T細胞白血病細胞株HCT-4に作用させると、Vδ2陽性γδ型T細胞の細胞障害活性に対して感受性が亢進することが明らかとなった。
【実施例】
【0122】
試験例18(図19)
ヒト肺がん細胞株であるPC9細胞を1×10/mLの細胞濃度でRPMI1640培地に懸濁し、15mLコニカルチューブに1mLずつ分注した。これを600×gで5分間遠心し、上清を除去した。ZOLF-POMに関して、0μM、1.25μM、2.5μM、5μMの希釈系列を作成した。この希釈系列の化合物溶液を、上清を除去した細胞ペレットに1mLずつ添加し、37℃で1時間45分インキュベートした。ここに10mMのランタノイド系金属用キレート剤を2.5μLずつ添加し、さらに15分間インキュベートした。これらのコニカルチューブを600×gで5分間遠心し、この細胞ペレットを3回RPMI1640培地で洗浄した。次に、この細胞ペレットを5mLのRPMI1640培地に懸濁し、そのうちの2mLを別のコニカルチューブに移し、さらに6mLのRPMI1640培地を添加した。この細胞懸濁液を100μLずつ96穴丸底プレートに播種した。ここで、肺がん患者(1)由来のVδ2陽性γδ型T細胞をエフェクター細胞/標的細胞比0:1、5:1、10:1、20:1、40:1になるように作用させ、40分間37℃でインキュベートした。プレートを600×gで2分間遠心し、25μLの培養上清を取り、200μLのユーロピウム加酢酸緩衝液で希釈した。この混合液を200μL取り、時間分解蛍光を測定した。各サンプルの値から比細胞障害率を求め、そのエフェクター細胞/標的細胞比依存性を図19にあるようにグラフ化した。この結果より、少なくとも1.25μMのZOLF-POMをヒト肺がん細胞株PC9に作用させると、Vδ2陽性γδ型T細胞の細胞障害活性に対して感受性が亢進することが明らかとなった。
【実施例】
【0123】
試験例19(図20)
ヒト膀胱がん細胞株であるEJ-1細胞を1×10/mLの細胞濃度でRPMI1640培地に懸濁し、15mLコニカルチューブに1mLずつ分注した。これを600×gで5分間遠心し、上清を除去した。ZOLF-POMに関して、0μM、1.25μM、2.5μM、5μMの希釈系列を作成した。この希釈系列の化合物溶液を、上清を除去した細胞ペレットに1mLずつ添加し、37℃で1時間45分インキュベートした。ここに10mMのランタノイド系金属用キレート剤を2.5μLずつ添加し、さらに15分間インキュベートした。これらのコニカルチューブを600×gで5分間遠心し、この細胞ペレットを3回RPMI1640培地で洗浄した。次に、この細胞ペレットを5mLのRPMI1640培地に懸濁し、そのうちの2mLを別のコニカルチューブに移し、さらに6mLのRPMI1640培地を添加した。この細胞懸濁液を100μLずつ96穴丸底プレートに播種した。ここで、健常成人(1)由来のVδ2陽性γδ型T細胞をエフェクター細胞/標的細胞比0:1、5:1、10:1、20:1、40:1になるように作用させ、40分間37℃でインキュベートした。プレートを600×gで2分間遠心し、25μLの培養上清を取り、200μLのユーロピウム加酢酸緩衝液で希釈した。この混合液を200μL取り、時間分解蛍光を測定した。各サンプルの値から比細胞障害率を求め、そのエフェクター細胞/標的細胞比依存性を図20にあるようにグラフ化した。この結果より、少なくとも1.25μMのZOLF-POMをヒト膀胱がん細胞株EJ-1に作用させると、Vδ2陽性γδ型T細胞の細胞障害活性に対して感受性が亢進することが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明の新規なフッ素含有型ビスホスホン酸およびフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体は、末梢血に作用させると、優れたVδ2陽性γδ型T細胞活性化剤となる。また、腫瘍細胞やウイルス感染細胞に作用させると、Vδ2陽性γδ型T細胞の有する細胞障害作用に対する感受性を亢進させ、抗腫瘍および抗ウイルス剤として機能する。これらの知見から、本発明の新規なフッ素含有型ビスホスホン酸および/あるいはフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体を用いた抗腫瘍免疫治療法および抗ウイルス感染症治療法の確立が可能となる。具体的には、がん患者あるいはウイルス感染患者の末梢血単核球を調製し、これを本発明の新規なフッ素含有型ビスホスホン酸およびフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体とIL-2の存在下でex vivo培養し、Vδ2陽性γδ型T細胞を増殖誘導する。これを患者に静脈内投与あるいは局所投与することにより、Vδ2陽性γδ型T細胞を利用したがんおよびウイルス感染症免疫治療法が可能となる。また、本発明の新規なフッ素含有型ビスホスホン酸およびフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体を直接がん患者あるいはウイルス感染症患者に投与することにより、Vδ2陽性γδ型T細胞を利用したがんおよびウイルス感染症免疫治療法が可能となる。この場合には、まず、本発明の新規なフッ素含有型ビスホスホン酸あるいはフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体がモノサイト系の細胞に取り込まれ、フッ素含有型ビスホスホン酸はそのまま、そして、フッ素含有型ビスホスホン酸誘導体はエステルが加水分解され、フッ素含有型ビスホスホン酸に形成されて、ファーネシル二リン酸合成酵素を阻害する。この阻害作用により、酵素の直上流に位置する代謝産物であるイソペンテニル二リン酸が細胞内に蓄積する。イソペンテニル二リン酸は、細胞膜に存在するブチロフィリン3A1分子の細胞内領域と結合し、その細胞外領域のコンフォメーションを変化させるか、その重合度を変化させる。この変化をVδ2陽性γδ型T細胞が認識し、増殖刺激が入る。この増殖したγδ型T細胞は、高い腫瘍細胞障害性、ウイルス感染細胞障害性を呈する。一方、本発明の新規なフッ素含有型ビスホスホン酸あるいはフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体が腫瘍細胞内やウイルス感染細胞内に取り込まれるが、この際、モノサイト内での変化と同様の現象がおこる。すなわち、フッ素含有型ビスホスホン酸はそのまま、そして、フッ素含有型ビスホスホン酸誘導体はエステルが加水分解され、酸の形になり、ファーネシル二リン酸合成酵素を阻害する。この阻害作用により、酵素の直上流に位置する代謝産物であるイソペンテニル二リン酸が細胞内に蓄積する。イソペンテニル二リン酸は、細胞膜に存在するブチロフィリン3A1分子の細胞内領域と結合し、その細胞外領域のコンフォメーションを変化させるか、その重合度を変化させる。この変化をVδ2陽性γδ型T細胞が認識し、腫瘍細胞およびウイルス感染細胞を効率的に傷害する。このようにして、本発明の新規なフッ素含有型ビスホスホン酸あるいはフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体を用いた抗腫瘍免疫療法および抗感染症免疫治療法が可能になる。
また、オイル状の本発明化合物は、溶解性に優れ、薬剤として投与するのに好適である。
【0125】
本出願は、日本で出願された特願2015-018260(出願日2015年2月2日)を基礎としておりそれらの内容は本明細書に全て包含されるものである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
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【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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