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明細書 :睡眠段階推定装置、生体データ推定装置、睡眠段階推定方法、生体データ推定方法、睡眠段階推定プログラムおよび生体データ推定プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年12月28日(2017.12.28)
発明の名称または考案の名称 睡眠段階推定装置、生体データ推定装置、睡眠段階推定方法、生体データ推定方法、睡眠段階推定プログラムおよび生体データ推定プログラム
国際特許分類 A61B   5/16        (2006.01)
A61B   5/02        (2006.01)
FI A61B 5/16
A61B 5/02 310J
国際予備審査の請求
全頁数 16
出願番号 特願2017-506548 (P2017-506548)
国際出願番号 PCT/JP2016/058031
国際公開番号 WO2016/148111
国際出願日 平成28年3月14日(2016.3.14)
国際公開日 平成28年9月22日(2016.9.22)
優先権出願番号 2015055080
優先日 平成27年3月18日(2015.3.18)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】▲高▼玉 圭樹
【氏名】原田 智広
出願人 【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100107766、【弁理士】、【氏名又は名称】伊東 忠重
【識別番号】100070150、【弁理士】、【氏名又は名称】伊東 忠彦
審査請求 未請求
テーマコード 4C017
4C038
Fターム 4C017AA02
4C017AA09
4C017AC03
4C017BC11
4C017BC16
4C017FF30
4C038PP05
要約 データが存在しない時点における睡眠段階の推定を可能とする。心拍の波を示す生体データを取得する取得手段と、心拍の波の中周波成分をパラメータを用いて定義した数式に対し、前記生体データを用いて前記パラメータを推定するパラメータ推定手段と、推定された前記パラメータを適用した前記数式に基づき、任意の時点における前記中周波成分の値から睡眠段階を推定する睡眠段階推定手段とを備える。
特許請求の範囲 【請求項1】
心拍の波を示す生体データを取得する取得手段と、
心拍の波の中周波成分をパラメータを用いて定義した数式に対し、前記生体データを用いて前記パラメータを推定するパラメータ推定手段と、
推定された前記パラメータを適用した前記数式に基づき、任意の時点における前記中周波成分の値から睡眠段階を推定する睡眠段階推定手段と
を備えたことを特徴とする睡眠段階推定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の睡眠段階推定装置において、
前記パラメータ推定手段および前記睡眠段階推定手段は、前記取得手段が前記生体データを第1の所定時間にわたり取得した時点で初回の推定を行い、その後は第2の所定時間を経過した時点毎に推定を行う
ことを特徴とする睡眠段階推定装置。
【請求項3】
心拍の波を示す生体データを取得する取得手段と、
心拍の波の中周波成分をパラメータを用いて定義した数式に対し、前記生体データを用いて前記パラメータを推定するパラメータ推定手段と、
推定された前記パラメータを適用した前記数式に基づき、任意の時点における前記中周波成分の値のデータを生成するデータ生成手段と
を備えたことを特徴とする生体データ推定装置。
【請求項4】
睡眠段階推定装置が実行する方法であって、
心拍の波を示す生体データを取得する取得工程と、
心拍の波の中周波成分をパラメータを用いて定義した数式に対し、前記生体データを用いて前記パラメータを推定するパラメータ推定工程と、
推定された前記パラメータを適用した前記数式に基づき、任意の時点における前記中周波成分の値から睡眠段階を推定する睡眠段階推定工程と
を備えたことを特徴とする睡眠段階推定方法。
【請求項5】
生体データ推定装置が実行する方法であって、
心拍の波を示す生体データを取得する取得工程と、
心拍の波の中周波成分をパラメータを用いて定義した数式に対し、前記生体データを用いて前記パラメータを推定するパラメータ推定工程と、
推定された前記パラメータを適用した前記数式に基づき、任意の時点における前記中周波成分の値のデータを生成するデータ生成工程と
を備えたことを特徴とする生体データ推定方法。
【請求項6】
コンピュータを、
心拍の波を示す生体データを取得する取得手段、
心拍の波の中周波成分をパラメータを用いて定義した数式に対し、前記生体データを用いて前記パラメータを推定するパラメータ推定手段、
推定された前記パラメータを適用した前記数式に基づき、任意の時点における前記中周波成分の値から睡眠段階を推定する睡眠段階推定手段
として機能させる睡眠段階推定プログラム。
【請求項7】
コンピュータを、
心拍の波を示す生体データを取得する取得手段、
心拍の波の中周波成分をパラメータを用いて定義した数式に対し、前記生体データを用いて前記パラメータを推定するパラメータ推定手段、
推定された前記パラメータを適用した前記数式に基づき、任意の時点における前記中周波成分の値のデータを生成するデータ生成手段
として機能させる生体データ推定プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠段階を推定する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、慢性不眠を含む睡眠障害に悩む人の数が顕著となってきており、居眠りが原因の交通事故等も多発している。また、急速に進む高齢化社会に対し、老人介護の作業負担の軽減が求められるが、予測できない深夜徘徊、オムツ替えや起床の声かけのタイミングの見誤りによる抵抗等により作業負担の軽減は容易ではない。これらは、睡眠の状態を適切に判断し、適切に対処することができれば改善できる可能性がある。
【0003】
睡眠段階を推定する手法としては、Rechtschaffen & Kalesによる睡眠段階分類の国際基準に基づく睡眠ポリグラフ検査が知られている(非特許文献1)。この方法では、ベッドに寝ている被験者に特殊な器具を装着し、EEG(脳波)、EMG(筋電図)、EOG(眼球運動)のデータを取得し、医師の専門知識と経験に基づいて睡眠段階を判定する。しかし、特殊な器具の装着は対象者への負担が重く、特に、老人への一晩中の装着は非現実的である。
【0004】
そこで、対象者に直接に器具を付けずに身体のデータ(心拍、呼吸、体動)を計測し、計測されたデータから、睡眠ポリグラフ検査で得られる睡眠段階の時間的推移データと近似しうるデータを取得する手法が提案されている。例えば、渡辺らは身体のデータ(心拍、呼吸、体動)を計測できる無拘束エアマットレス型センサを開発し、得られたデータから睡眠段階を判定する手法を考案した(特許文献1、非特許文献2)。
【0005】
また、高玉らは無拘束型センサから得られた心拍のデータに適切なフィルタリングを施すことで、睡眠段階を推定する手法を考案した(非特許文献3、特許文献2、非特許文献4)。
【0006】
なお、心拍のデータから睡眠段階を推定する原理は、心拍の中周波成分と睡眠段階には強い相関があるという数々の知見に基づいている(非特許文献5、6)。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2003-079587号公報
【特許文献2】特開2014-239789号公報
【0008】

【非特許文献1】Rechtschaffen, A. and Kales, A. (Eds.): A Manual of Standardized Terminology, Techniques and Scaring System for Sleep Stage of Human Subjects, Public Health Service U.S.Government Printing Office (1968).
【非特許文献2】T.Watanabe, and K.Watanabe: “Noncontact Method for Sleep Stage Estimation”, IEEE TRANSACTION ON BIOMEDICAL ENGINEERING, No.10,Vol.51, pp.1735-1748, 2004.
【非特許文献3】Matsushima, H., Hirose, K., Hattori, K., Sato, H., and Takadama, K.: “Sleep Stage Estimation By Evolutionary Computation Using Heartbeat Data and Body-Movement”, Proceeding of The 15th Asia Pacific Symposium on Intelligent and Evolutionary Systems, pp. 103-110, 2011.
【非特許文献4】Tajima, Y., Nakata, M., and Takadama, K.: “Personalized real-time sleep stage remote monitoring system”, The Eighth International Symposium on Medical Information and Communication Technology (ISMICT 2014), 2014.
【非特許文献5】R. M. Harper, V. L.Schechman and K. A. Kluge: “Machine classification of infant sleep state using cardiorespiratory measures”, Electro encephalogr. Clini. Neurophysiol., no. 67, pp. 379-387, 1987.
【非特許文献6】K. Otsuka, Y. Ichimaru and T. Yanaga: “Studies of arrthythmias by 24-hour polygraphic records. II. relationship between heart rate and sleep stages”, Fukuoka Acta. Med., vol. 72, no. 10, pp. 589-596, 1991.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した心拍のデータから睡眠段階を推定する手法は、睡眠中(寝始めから起床まで)の全てのデータを必要とするか、少なくとも睡眠段階を推定する時点を含む所定時間分のデータを必要とする。従って、データが欠落している期間や、まだデータの発生しない近い未来における睡眠段階を推定することはできなかった。
【0010】
本発明は上記の従来の問題点に鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、データが存在しない時点における睡眠段階の推定を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明にあっては、心拍の波を示す生体データを取得する取得手段と、心拍の波の中周波成分をパラメータを用いて定義した数式に対し、前記生体データを用いて前記パラメータを推定するパラメータ推定手段と、推定された前記パラメータを適用した前記数式に基づき、任意の時点における前記中周波成分の値から睡眠段階を推定する睡眠段階推定手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明にあっては、データが存在しない時点における睡眠段階の推定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態にかかる睡眠段階推定装置の構成例を示す図である。
【図2】実施形態の処理例を示すフローチャートである。
【図3】心拍の波の定義とパラメータ推定の例を示す図である。
【図4】パラメータ推定の計算式の導出の例を示す図である。
【図5】パラメータ推定の概念図である。
【図6】睡眠段階推定の計算式の例を示す図である。
【図7】生体データの追加と睡眠段階推定の関係の例を示す図である。
【図8】睡眠段階推定の例を示す図である。
【図9A】実験結果を示す図(その1)である。
【図9B】実験結果を示す図(その2)である。
【図9C】実験結果を示す図(その3)である。
【図10A】実験結果を示す図(その4)である。
【図10B】実験結果を示す図(その5)である。
【図10C】実験結果を示す図(その6)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。

【0015】
<構成>
図1は本発明の一実施形態にかかる睡眠段階推定装置1の構成例を示す図である。

【0016】
図1において、睡眠段階推定装置1は、生体データ取得部11と生体データ記録部12とパラメータ推定部13と睡眠段階推定部14と推定結果出力部15とを備えている。

【0017】
生体データ取得部11は、対象者5が就寝するベッド2と敷き布団4の間等に設置される無拘束型センサ3等から生体データを取得する機能を有している。無拘束型センサ3は、対象者5の心拍やその他の体動の波を示す生体データを出力するものであり、シート状の圧力センサ等から構成されている。

【0018】
生体データ記録部12は、生体データ取得部11が取得した生体データを記憶領域10に記録する機能を有している。記憶領域10に記録される生体データは、取得した時刻と、その時刻における心拍等の体動の波の大きさの値とが対応付けられたものとなる。

【0019】
パラメータ推定部13は、所定のタイミングで、記憶領域10に記録された生体データに基づいて、心拍の波の中周波成分をパラメータを用いて定義した数式のパラメータを推定する機能を有している。パラメータの推定により、就寝中の任意の時点における心拍の波の中周波成分の値を推定することができる。

【0020】
睡眠段階推定部14は、パラメータ推定部13により推定されたパラメータを数式に適用することにより、任意の時点における心拍の波の中周波成分の値から睡眠段階を推定する機能を有している。なお、心拍の波の中周波成分が睡眠段階を示すことは、前述した非特許文献5、6等に示された知見が根拠となっている。

【0021】
推定結果出力部15は、睡眠段階推定部14により推定された睡眠段階を表示する等により外部に出力する機能を有している。

【0022】
<動作>
図2は上記の実施形態の処理例を示すフローチャートであり、現時点での睡眠段階をリアルタイムに推定する場合の例である。

【0023】
図2において、生体データ取得部11は、対象者5の寝始めから所定のY分間にわたり生体データを取得し、生体データ記録部12は取得した生体データを記憶領域10に記録する(ステップS11)。対象者5の寝始めは、対象者5が就寝を開始した時点であり、管理者の指示入力により判断するほか、無拘束型センサ3の信号変化や他のセンサ等により自動判断するようにしてもよい。最初に寝始めから所定のY分間にわたり生体データを取得するのは、生体データがある程度の数だけ集まらないと充分な推定が行えないからである。Y分間の経過前は充分な推定が行えないが、長時間を要するものではないため、その意味では充分なリアルタイム性を確保することができる。

【0024】
次いで、パラメータ推定部13は、心拍の波を定義した数式f(t)のパラメータc、a、bを推定する(ステップS12)。

【0025】
図3の上段には、数式f(t)の定義式の例を示しており、基本周期L(寝始めから起床までの就寝時間に対応)とそのn分の1の周期の波の合成として表している。パラメータcは定数項、パラメータaは余弦成分の係数、パラメータbは正弦成分の係数である。なお、時間tを秒を単位とした場合、基本周期Lは例えば215秒(約9時間)、nの下限値は1、nの上限値Nは例えば25として固定で与えるが、実験や運用を通して変更することができる。

【0026】
図3の下段には、パラメータc、a、bの計算式を示している。HR(t)は生体データの時間tにおける値である。mは、計算式の下に示すように、表記を簡略化するためのものである。Tは寝始めから現時点までの時間である。

【0027】
ここで、パラメータの計算式(図3の下段)の導出について説明する。図4において、心拍の波の値f(t)と、実測値である生体データの値HR(t)との差の二乗の総和を時間Tで割り、正則項を加えたものを尤度関数Jとする。正則項は生体データHR(t)の数が少ない場合のオーバーフィットを抑制するものであり、係数λは例えば1というように、実験または運用を通して適切な値を与える。

【0028】
心拍の波を定義した数式f(t)が実測値である生体データの値HR(t)と最も一致するパラメータc、a、bを求めるため、尤度関数Jをパラメータc、a、bのそれぞれで偏微分したものを0とおく。これにより、パラメータc、a、bと同数の式を得ることができ、その連立式の解の行列式がパラメータの計算式(図3の下段)となる。

【0029】
図5は上述したパラメータ推定の概念図を示しており、基本周期Lとそのn分の1の周期の波の合成として表したf(t)が実測値である生体データの値HR(t)に最も一致する際のパラメータc、a、bを求めることになる。なお、寝始めから起床までの就寝時間に対応する時間Lに対し、実際に計算を行うのは、寝始めからY分間を経過した後であり、寝始めからその時点までの期間Tの実測値である生体データの値HR(t)に基づいて時間Lの全期間に有効なf(t)を求めることになる。

【0030】
次いで、図2に戻り、睡眠段階推定部14は、パラメータ推定部13により推定されたパラメータc、a、bを数式f(t)に適用することにより、現時点から直近のX分間における心拍の波の中周波成分の値から睡眠段階を推定し、推定結果出力部15は推定された睡眠段階を出力する(ステップS13)。

【0031】
図6は睡眠段階推定部14における睡眠段階推定の計算式の例を示す図であり、数式f(t)の値の時間Lにおける平均値averageと標準偏差stdevを計算し、現時点から直近のX分間におけるf(t)の代表値(平均値等)が平均値averageから±stdev以内にあるか、±2・stdev以内にあるか、その外にあるかにより、睡眠段階sleep stage(t)を算出している。なお、Wake、Rem、Non-Rem1、Non-Rem2、Non-Rem3、Non-Rem4という表記による睡眠段階との対応は次のようになっている。

【0032】
sleep stage(t)=5 → Wake
sleep stage(t)=4 → Rem
sleep stage(t)=3 → Non-Rem1
sleep stage(t)=2 → Non-Rem2
sleep stage(t)=1 → Non-Rem3
sleep stage(t)=0 → Non-Rem4
なお、上記の睡眠段階の推定の手法に代え、従来から行われている他の手法を用いてもよい。

【0033】
次いで、図2に戻り、生体データ取得部11は、前回のデータ取得から続けてX分間にわたり生体データを取得し、生体データ記録部12は取得した生体データを記憶領域10に記録する(ステップS14)。

【0034】
次いで、パラメータ推定部13によるパラメータ推定(ステップS12)から処理を繰り返し、起床または時間Lの経過により処理を終了する。

【0035】
図7は生体データの追加と睡眠段階推定の関係の例を示す図であり、X分間の実測値HR(t)を追加取得した段階で、その間の睡眠段階sleep stage(t)を算出して出力している。なお、X分間のHR(t)が追加されたことでパラメータc、a、bの推定値が変動することで、過去に算出して出力した睡眠段階sleep stage(t)が変化することもあるが、既に出力した値を変更することは好ましくないため、過去の値の変更は行わないものとしている。ただし、最新の実測値に基づいて過去の睡眠段階sleep stage(t)を訂正して示すことが重要な場面では、過去に遡って変更してもよい。

【0036】
図8は、実測値HR(t)に対して推定されたf(t)とsleep stage(t)の関係の例を示している。

【0037】
なお、上述した例では、リアルタイムの推定を前提に、パラメータ推定を行う時間を寝始めから現時点までとしたが、現時点から就寝時間Lまでの近い未来の睡眠段階を推定して出力してもよい。

【0038】
また、上述した例では、生体データの取得時間としてX分間、Y分間と記載しているが、分単位での生体データの取得に限定しているわけではなく、実験または運用を通して適切な値を設定することができる。

【0039】
また、既に取得されている任意の期間の生体データを用い、就寝の全期間における睡眠段階の推定を行うこともできる。これにより、一部が欠落している生体データを補完することができ、就寝の全期間の生体データを用いることを前提とする従来の手法を用いて睡眠段階の推定を行うこともできる。

【0040】
また、部分的に推定の精度が異なる場合、推定の精度の高い部分の生体データを選択的に用いることにより、全体的にも部分的にも推定の精度を高めることができる。

【0041】
<実験結果>
図9A~図9Cおよび図10A~図10Cは実験結果を示す図である。

【0042】
図9A~図9Cは、睡眠段階Wakeを含み、1段階のずれを許容するという前提(1段階程度の変動は医学的な検査では意味があるが、対象者の睡眠状態を判断する上では無視できる場合が多い)のもと、リアルタイムの推定(realtime)と全期間のデータに基づく推定(fulltime)の時間経過に伴う睡眠ポリグラフ検査との一致率を確認した実験結果である。図9AはA氏についての結果、図9BはB氏についての結果、図9CはC氏についての結果である。

【0043】
図9Aでは、リアルタイムの推定について当初は一致率が低いが、時間経過とともに一致率が上昇し、全期間の推定では当初から一致率が高く、時間経過とともに一致率がやや低下していく傾向が見られた。

【0044】
図9Bでは、リアルタイムの推定については当初から一致率が高く、時間経過とともに一致率がやや低下して変動し、全期間の推定では当初から一致率が高く、時間経過とともに一致率がやや低下して変動する傾向が見られた。

【0045】
図9Cでは、リアルタイムの推定については当初から一致率が高く、時間経過とともに一致率がやや変動し、全期間の推定では当初は一致率が低く、時間経過とともに一致率が上昇していく傾向が見られた。

【0046】
図10A~図10Cは、睡眠段階Wakeを除き、1段階のずれを許容するという前提のもと、リアルタイムの推定(realtime)と全期間のデータに基づく推定(fulltime)の時間経過に伴う睡眠ポリグラフ検査との一致率を確認した実験結果である。図10AはA氏についての結果、図10BはB氏についての結果、図10CはC氏についての結果である。

【0047】
図10A~図10Cのいずれも、リアルタイムの推定および全期間の推定のいずれも、当初から一致率が高く、若干の変動はあるものの、良好な推定となっている。

【0048】
<応用>
本実施形態による睡眠段階の推定は、次のような場面で用いることができる。

【0049】
(1)快眠を導く睡眠モニタリングシステム
不眠症を含む睡眠に悩む人に対し、本技術を使って睡眠段階をリアルタイムに推定し、睡眠が浅いときは深くなるように音楽のリズムを遅くする等により快眠を導くことができる。この技術は時差ボケの解消等にも活用することができる。

【0050】
(2)介護施設入居者の睡眠モニタリング
介護士にとっておむつ交換は重労働であり、入居者にとっても不快な時間となっている。特に、「夜中」のおむつ交換は大変であるため、本技術を使って睡眠段階をリアルタイムに推定し、睡眠が深いときにおむつ交換をすることで、入居者にあまり気づかれずに交換が可能となる。

【0051】
また、起こすときも睡眠の浅いときに起こすことで、介護士も入居者もスムーズに起床を迎えることができる。

【0052】
<総括>
以上説明したように、本実施形態にあっては、データが存在しない時点における睡眠段階の推定を行うことができる。

【0053】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。

【0054】
本国際出願は、2015年3月18日に出願した日本国特許出願第2015-55080号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2015-55080号の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0055】
1 睡眠段階推定装置
10 記憶領域
11 生体データ取得部
12 生体データ記録部
13 パラメータ推定部
14 睡眠段階推定部
15 推定結果出力部
2 ベッド
3 無拘束型センサ
4 敷き布団
5 対象者
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9A】
8
【図9B】
9
【図9C】
10
【図10A】
11
【図10B】
12
【図10C】
13