TOP > 国内特許検索 > 液体ジェット射出装置及び液体ジェット射出方法 > 明細書

明細書 :液体ジェット射出装置及び液体ジェット射出方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6482658号 (P6482658)
登録日 平成31年2月22日(2019.2.22)
発行日 平成31年3月13日(2019.3.13)
発明の名称または考案の名称 液体ジェット射出装置及び液体ジェット射出方法
国際特許分類 B05C   5/00        (2006.01)
B05D   1/00        (2006.01)
FI B05C 5/00 101
B05D 1/00
請求項の数または発明の数 14
全頁数 33
出願番号 特願2017-518013 (P2017-518013)
出願日 平成28年5月13日(2016.5.13)
国際出願番号 PCT/JP2016/064392
国際公開番号 WO2016/182081
国際公開日 平成28年11月17日(2016.11.17)
優先権出願番号 2015099054
2015166119
優先日 平成27年5月14日(2015.5.14)
平成27年8月25日(2015.8.25)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成30年12月6日(2018.12.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
発明者または考案者 【氏名】田川 義之
【氏名】大貫 甫
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】清水 晋治
参考文献・文献 特開2006-088090(JP,A)
特開2006-289971(JP,A)
特開2013-187365(JP,A)
特開2010-221182(JP,A)
木山景仁,野口悠斗,田川義之,,撃力による液体ジェットの生成(ジェット速度に関する実験的研究),,日本機械学会論文集,,日本,2014年,Vol.80,No.814,,P.fe0151
大貫甫,田川義之,高粘度液体ジェット噴出装置,混相流,日本,日本混相流学会,2015年12月15日,Vol.29, No.4,,P.335~P.342
大貫甫,田川義之,,先細形状の高粘度液体マイクロジェット・液滴射出装置,,ケミカルエンジニヤリング,,2015年12月 1日,Vol.60,No.12,,P.37~P.41
大貫甫,田川義之,,高粘度液滴および超音速マイクロジェット吐出装置の開発,,塗装工学,,日本,2015年12月30日,Vol.50,No.12,,P.406~P.411
大貫甫,大井雄登,田川義之,高粘度液体ジェット高速射出装置に関する研究,日本機械学会流体工学部門講演会講演論文集,日本,2015年11月 6日,Vol.93,ROMBUNNO.0320
木山景仁,野口悠斗,田川義之,撃力を用いた集束液体ジェットの増速メカニズムに関する研究,日本混相流学会混相流シンポジウム2014 講演論文集,日本,2014年,Vol.2014,ROMBUNNO.E145
調査した分野 B05B 1/00-17/08
B05C 1/00-21/00
B05D 1/00-7/26
F41B 9/00
A63H 33/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
両端が開口された筒状体であり、少なくとも内面に対する接触角が90度未満である射出液体が内部に配置された細管と、
前記細管の一端が配置された底部側に、前記射出液体に圧力を伝達可能となるように伝達媒体が配置された容器と、
前記細管内の前記射出液体の液面と前記容器内で細管外の前記伝達媒体の界面とを前記細管の軸方向に沿って位置をずらす調整機構と、
前記細管内の前記射出液体から液体ジェットが射出されるように、前記伝達媒体に圧力波を発生させる発生機構と、
を備える液体ジェット射出装置。
【請求項2】
前記伝達媒体は、前記容器内の底部側で少なくとも前記細管外に配置される伝達液体と、前記細管内又は前記細管の端部において前記伝達液体と前記射出液体の間に配置されて両者を分離させ、前記伝達液体から前記射出液体に圧力波を伝播する分離材と、を備える請求項1記載の液体ジェット射出装置。
【請求項3】
前記分離材は、前記細管内又は前記細管の端部に形成された膜体である請求項2記載の液体ジェット射出装置。
【請求項4】
前記分離材は、前記細管内に変位可能に配置され、音響インピーダンスが前記射出液体の音響インピーダンスの1倍以上1.5倍以下とされた栓体である請求項2記載の液体ジェット射出装置。
【請求項5】
前記伝達媒体は、前記射出液体である請求項1記載の液体ジェット射出装置。
【請求項6】
前記伝達媒体は、音響インピーダンスが前記射出液体の音響インピーダンスの1倍以上1.5倍以下である固体である請求項1記載の液体ジェット射出装置。
【請求項7】
前記調整機構は、前記細管内の前記射出液体の前記液面を前記細管の軸方向に沿って変位させる細管内液面変位機構である請求項4又は5記載の液体ジェット射出装置。
【請求項8】
前記調整機構は、前記容器内において前記細管外の前記伝達媒体の前記界面を前記細管の軸方向に沿って変位させる細管外界面変位機構である請求項4又は5記載の液体ジェット射出装置。
【請求項9】
前記調整機構は、前記細管内に前記射出液体を供給する射出液体供給機構である請求項3又は6記載の液体ジェット射出装置。
【請求項10】
前記発生機構は、前記細管内の前記射出液体の液面よりも前記容器の底部側で前記容器に撃力を付与する撃力付与機構である請求項1~9のいずれか1項記載の液体ジェット射出装置。
【請求項11】
前記発生機構は、前記細管内の前記射出液体の液面よりも前記容器の底部側で前記伝達媒体にレーザを照射するレーザ照射機構である請求項2~5、7、8、及び請求項3に従属する請求項9のいずれか1項に記載の液体ジェット射出装置。
【請求項12】
前記発生機構は、前記細管内の前記射出液体の液面よりも前記容器の底部側で前記伝達媒体に爆発を作用させる爆発機構である請求項1~9のいずれか1項記載の液体ジェット射出装置。
【請求項13】
前記発生機構は、前記細管内の前記射出液体の液面よりも前記容器の底部側で前記伝達媒体に超音波を作用させる超音波付与機構である請求項1~9のいずれか1項記載の液体ジェット射出装置。
【請求項14】
容器の底部側に伝達媒体を配置すると共に、両端が開口され、一端が前記容器の伝達媒体内に挿入され、他端が伝達媒体外に配置された細管内に、少なくとも内面に対する接触角が90度未満である射出液体を前記伝達媒体から圧力伝達可能となるように細管の内部に配置する第1工程と、
前記細管内の前記射出液体の液面と前記容器内で細管外の前記伝達媒体の界面とを前記細管の軸方向に沿って位置をずらした状態で、前記容器内の前記伝達媒体に圧力波を発生させて前記細管内の前記射出液体から液体ジェットが射出させる第2工程と、
を備える液体ジェット射出方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、液体ジェット射出装置及び液体ジェット射出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体ジェットは、従来からインクジェットプリンタ(例えば、「シリーズ「デジタルプリンタ技術」インクジェット,東京電気大学出版局,(2008),日本画像学会,(ISBN978-4-501-62340-1 C3072)(以下、「非特許文献1」という)参照)やマイクロ加工デバイス等の様々な分野で利用されている。このような液体ジェットの射出装置の大部分は、射出管内径と同程度以上の径の液体ジェットを射出する装置である。例えば、インクジェットプリンタで用いられるピエゾインクジェット方式やバブルジェット(登録商標)方式が該当し、いずれも液体を射出孔(ノズル)から押し出す方式である。このため、射出された液滴の径は、射出孔の径以上となる。
【0003】
これに対して、射出管の凹面形状を有する液面に、短時間で大きな加速度を与えると、射出管から射出管の内径の1/5程度の細い液体ジェットを射出することができる。このような細い液体ジェットを適用できれば、インクジェットプリンタ等の押し出し方式で問題となる目詰まりの問題を解消することができる。
【0004】
このように細い液体ジェットの生成方法として、液体を充填したマイクロ管にレーザを照射する方法がある(例えば、「Tagawa, Y., Oudalov, N., Visser, C. W., Peters, I. R., van der Meer, D., Sun, C., Prosperetti,A. and Lohse, D., Highly focused supersonic microjets, Physical Review X , Vol. 2, (2012),031002.(以下、「非特許文献2」という)参照)。
【0005】
また、他の生成方法として、液体を充填した試験管を自由落下させ、床との衝突により生じる撃力を用いるものがある(例えば、「Antkowiak, A., Bremond, N., Dizes,S. L and Villermaux, E., Short-term dynamics of a density interface following an impact, Journal of Fluid Mechanics, Vol. 577, (2007), pp. 241-250.(以下、「非特許文献3」という)や「木山景仁、野口悠斗、田川義之「撃力による液体ジェットの生成」,日本機械学会論文集,Vol.80,No.814,2014」(以下、「非特許文献4」という)参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の液体ジェットでは、射出されたジェット速度の初期速度に対する増速率が2倍程度と低く、高粘度液体を用いた液体ジェットを生成することが困難であった。したがって、増速率が高いマイクロジェットの生成方法が求められている。
【0007】
本開示は、以上のような背景に鑑みてなされたものであり、増速率が高い液体ジェット射出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、以下の態様を含む。
【0009】
[1] 両端が開口された筒状体であり、少なくとも内面に対する接触角が90度未満である射出液体が内部に配置された細管と、前記細管の一端が配置された底部側に、前記射出液体に圧力を伝達可能となるように伝達媒体が配置された容器と、前記細管内の前記射出液体の液面と前記容器内で細管外の前記伝達媒体の界面とを前記細管の軸方向に沿って位置をずらす調整機構と、前記細管内の前記射出液体から液体ジェットが射出されるように、前記伝達媒体に圧力波を発生させる発生機構と、を備える液体ジェット射出装置を提供する。
【0010】
[1]の液体ジェット射出装置によれば、細管の内面に対する射出液体の接触角が90度未満であるため、細管内の射出液体の液面は、容器の底部側と反対側に向かって凹んだ凹面形状に形成される。この状態で細管内の射出液体に対して液体ジェットを射出するように、発生機構により容器内の細管外に配置された伝達媒体に圧力波を発生させる。この結果、伝達媒体から射出液体に圧力波が伝播され、細管内の凹面形状の液面で流れが集束し、液面の中央部分から細管よりも細く長い液体ジェットが射出される。
【0011】
この際、調整機構によって細管内の液面と容器内における細管外の界面(以下、「細管外の界面」という場合がある)を細管の軸方向で位置をずらすことによって、液体ジェットの射出速度を調整することができる。例えば、細管内の液面を細管外の界面よりも容器の底部側に位置させることによって、細管の液面と細管外の界面の位置が同一位置だった場合と比較して、細管から射出される液体ジェットの速度を高くすることができる。
【0012】
[2] 前記伝達媒体は、前記容器内の底部側で少なくとも前記細管外に配置される伝達液体と、前記細管内又は前記細管の端部において前記伝達液体と前記射出液体の間に配置されて両者を分離させ、前記伝達液体から前記射出液体に圧力波を伝播する分離材と、を備える[1]の液体ジェット射出装置を提供する。
【0013】
[2]の液体ジェット射出装置によれば、伝達媒体が少なくとも容器内の細管外に配置された伝達液体と細管内に配置された射出液体が圧力波を伝播可能な分離材で分離されている。したがって、発生機構によって伝達液体に圧力波が発生した場合には、分離材を介して射出液体に圧力波が伝播され、細管内の射出液体の液面から液体ジェットが射出される。
【0014】
一方、射出液体と伝達液体とは分離材で分離されているため、伝達液体は射出液体と異なる液体を用いることができる。すなわち、射出液体の使用量を低減することができる。また、容器内の細管外に伝達媒体である伝達液体を配置しているため、容器内に伝達媒体(伝達液体)の配置が容易である。
【0015】
[3] 前記分離材は、前記細管内又は前記細管の端部に形成された膜体である[2]の液体ジェット射出装置を提供する。
【0016】
[3]の液体ジェット射出装置によれば、分離材が細管の端部又は細管の内部に形成された膜体であるため、伝達液体から伝播された圧力波を射出液体に効率的に伝播することができる。
【0017】
[4] 前記分離材は、前記細管内に変位可能に配置され、音響インピーダンスが前記射出液体の音響インピーダンスの1倍以上1.5倍以下とされた栓体である[2]の液体ジェット射出装置を提供する。
【0018】
[4]の液体ジェット射出装置によれば、分離材が細管の内部に形成された栓体であるが、音響インピーダンスが前記射出液体の音響インピーダンスの1倍以上1.5倍以下であるため、伝達液体から伝播された圧力波を射出液体に効率的に伝播することができる。
【0019】
[5] 前記伝達媒体は、前記射出液体である[1]の液体ジェット射出装置を提供する。
【0020】
[5]の液体ジェット射出装置によれば、伝達媒体が射出液体であるので、容器内の細管内、細管外を問わず、同一の射出液体を配置することができる。そこで、調整機構で細管外の液面と細管内の液面の位置を細管の軸方向でずらし、発生機構を駆動する。これにより、細管外の射出液体に圧力波が発生し、細管内の射出液体に伝播して、細管内の射出液体の液面から液体ジェットを射出することができる。
【0021】
[6] 前記伝達媒体は、前記伝達媒体は、音響インピーダンスが前記射出液体の音響インピーダンスの1倍以上1.5倍以下である固体である[1]の液体ジェット射出装置を提供する。
【0022】
[6]の液体ジェット射出装置によれば、伝達媒体は音響インピーダンスが射出液体の音響インピーダンスの1倍以上、1.5倍以下である固体である。したがって、伝達媒体と射出液体との界面で圧力波が減衰されることが抑制されて、圧力波が効率的に細管内の射出液体に伝播される。この結果、射出液体の液面から液体ジェットが射出される。
【0023】
伝達媒体が固体である場合には、伝達媒体の界面が変動しないため、細管外の界面と細管内の液面の液位差が細管内の射出液体の液量のみで調整可能となる。
【0024】
さらに、細管外の伝達媒体が固体であるため、細管から射出される液体ジェットの射出方向を下方向等、任意に設定できる。
【0025】
[7] 前記調整機構は、前記細管内の前記射出液体の前記液面を前記細管の軸方向に沿って変位させる細管内液面変位機構である[4]又は[5]記載の液体ジェット射出装置を提供する。
【0026】
[7]の液体ジェット射出装置によれば、細管内液面変位機構によって細管内の射出液体の液面を細管の軸方向に沿って移動させることにより、細管内の液面と細管外の界面が、細管の軸方向に沿って相対的に反対方向に移動する。これにより、細管内の液面と細管外の界面を細管の軸方向に沿って位置を簡単にずらすことができる。
【0027】
[8] 前記調整機構は、前記容器内において前記細管外の前記伝達媒体の前記界面を前記細管の軸方向に沿って変位させる細管外界面変位機構である[4]又は[5]の液体ジェット射出装置を提供する。
【0028】
[8]の液体ジェット射出装置によれば、細管内液面変位機構によって容器内の細管外の伝達媒体の界面を細管の軸方向に沿って移動させることにより、細管内の液面と細管外の界面が、細管軸方向に沿って相対的に反対方向に移動する。これにより、細管内の液面と細管外の界面を細管の軸方向に沿って位置を簡単にずらすことができる。
【0029】
[9] 前記調整機構は、前記細管内に前記射出液体を供給する射出液体供給機構である[3]又は[6]の液体ジェット射出装置を提供する。
【0030】
[9]の液体ジェット射出装置によれば、伝達媒体の界面が変動しないため、射出液体供給機構により細管内に供給される射出液体の液量を調整するだけで、細管内の液面と細管外の界面に液位差を任意に設定できる。
【0031】
[10] 前記発生機構は、前記細管内の前記射出液体の液面よりも前記容器の底部側で前記容器に撃力を付与する撃力付与機構である[1]~[9]のいずれか1つの液体ジェット射出装置を提供する。
【0032】
[10]の液体ジェット射出装置によれば、撃力付与機構が細管内の液面よりも容器の底部側で容器に撃力を付与することで、液体ジェットを射出されるように細管内の液体に圧力波を伝播することができる。すなわち、簡単な構成で細管内の液体に圧力波を伝播することができる。
【0033】
[11] 前記発生機構は、前記細管内の前記射出液体の液面よりも前記容器の底部側で前記伝達媒体にレーザを照射するレーザ照射機構である[2]~[5]、[7]、[8]、及び[3]に従属する[9]のいずれか1つの液体ジェット射出装置。
【0034】
[11]の液体ジェット射出装置によれば、細管内の液面よりも容器の底部側で伝達媒体、すなわち細管外の伝達液体又は射出液体にレーザ照射手段からレーザを照射することで、細管外の伝達液体又は射出液体に気泡を発生させ、この気泡の発生による圧力波が細管内の射出液体に伝播される。すなわち、簡単な構成で細管内の射出液体に圧力波を伝播することができる。
【0035】
[12] 前記発生機構は、前記細管内の前記射出液体の液面よりも前記容器の底部側で前記伝達媒体に爆発を作用させる爆発機構である[1]~[9]のいずれか1つの液体ジェット射出装置を提供する。
【0036】
[12]の液体ジェット射出装置によれば、爆発機構が細管内の液面よりも容器の底部側で伝達媒体に爆発を作用させることで、伝達媒体に圧力波を発生させ、細管内の射出液体に圧力波が伝播される。すなわち、簡単な構成で細管内の射出液体に圧力波を伝播することができる。
【0037】
[13] 前記発生機構は、前記細管内の前記射出液体の液面よりも前記容器の底部側で前記伝達媒体に超音波を作用させる超音波付与機構である[1]~[9]のいずれか1つの液体ジェット射出装置を提供する。
【0038】
[13]の液体ジェット射出装置によれば、超音波付与機構が細管内の液面よりも容器の底部側で伝達媒体に超音波を作用させることで、伝達媒体に圧力波を発生させ、細管内の射出液体に圧力波が伝播される。すなわち、簡単な構成で細管内の射出液体に圧力波を伝播することができる。
【0039】
[14] 容器の底部側に伝達媒体を配置すると共に、両端が開口され、一端が前記容器の伝達媒体内に挿入され、他端が伝達媒体外に配置された細管内に、少なくとも内面に対する接触角が90度未満である射出液体を前記伝達媒体から圧力伝達可能となるように前記細管の内部に配置する第1工程と、前記細管内の前記射出液体の液面と前記容器内で細管外の前記伝達媒体の界面とを前記細管の軸方向に沿って位置をずらした状態で、前記容器内の前記伝達媒体に圧力波を発生させて前記細管内の前記射出液体から液体ジェットが射出させる第2工程と、を備える液体ジェット射出方法を提供する。
【0040】
[14]の液体ジェット射出方法によれば、細管の内面に対する射出液体の接触角が90度未満であるため、細管内の射出液体の液面は、容器の底部側と反対側に向かって凹んだ凹面形状に形成される。
【0041】
細管内の射出液体の液面と容器内における細管外の伝達媒体の界面とを細管の軸方向で位置をずらした状態で、発生機構により容器内の細管外に配置された伝達媒体に圧力波を発生させる。
【0042】
この結果、伝達媒体から射出液体に圧力波が伝播され、細管内の凹面形状の液面で流れが集束し、液面の中央部分から細管よりも細く長い液体ジェットが射出される。
【0043】
ところで、細管内の液面と容器内における細管外の界面との位置を細管軸方向にずらすことによって、液体ジェットの射出速度を調整することができる。例えば、細管内の液面を細管外の界面よりも容器の底部側に位置させることによって、細管の液面と細管外の界面の位置が同一位置だった場合と比較して、細管から射出される液体ジェットの速度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1の実施形態に係る液体ジェット射出装置の概略構成図である。
【図2】第2の実施形態に係る液体ジェット射出装置の概略構成図である。
【図3A】第1実施の形態に係る液体ジェット射出装置において、メタルロッド衝突前の液面の状態を説明する模式図である。
【図3B】第1実施の形態に係る液体ジェット射出装置において、メタルロッド衝突時の液面の状態を説明する模式図である。
【図3C】第1実施の形態に係る液体ジェット射出装置において、メタルロッド衝突後の液面の状態を説明する模式図である。
【図4A】比較例に係る試験管のみの装置でマイクロジェットを射出する模式図と圧力力積勾配を示した図である。
【図4B】第1の実施形態に係る液体ジェット射出装置で液体ジェットを射出する模式図と圧力力積勾配を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る液体ジェット射出装置における試験管における細管外の液面と細管内の液面の第1液位差と増速率との関係を示すグラフである。
【図6】第1実施形態に係る液体ジェット射出装置における細管の初期速度とジェット速度との関係を示すグラフである。
【図7】第1実施形態に係る液体ジェット射出装置における細管内の液面と細管の下端面との第2液位差と増速率との関係を示すグラフである。
【図8】第1実施形態に係る液体ジェット射出装置における細管の初期速度とジェット速度との関係を示すグラフである。
【図9】第1実施形態に係る液体ジェット射出装置における細管の下端面と試験管の底面との第3液位差と増速率との関係を示すグラフである。
【図10】第1実施形態に係る液体ジェット射出装置における細管の初期速度とジェット速度との関係を示すグラフである。
【図11】図6、図8、図10のグラフをまとめたグラフである。
【図12】第1実施形態に係る液体ジェット射出装置において、粘度が1-1000mm/sの範囲の液体のジェット速度と細管の初期速度との関係を示すグラフである。
【図13】第1実施形態に係る液体ジェット射出装置において、粘度と増速率との関係を示すグラフである。
【図14】液面(液面)高さと増速率比との関係を示すグラフである。
【図15】第2実施形態に係る液体ジェット射出装置において、細管の初期速度とジェット速度との関係を図6上に重ねて示したグラフである。
【図16】第3の実施形態に係る液体ジェット射出装置の概略構成図である。
【図17A】第1の実施形態に係る液体ジェット射出装置において、射出前の細管内の液面状態を示す図である。
【図17B】第1の実施形態に係る液体ジェット射出装置において、射出直後の細管内の液面状態を示す図である。
【図17C】第1の実施形態に係る液体ジェット射出装置において、射出直後からさらに微小時間経過後の細管内の液面状態を示す図である。
【図18】第1の実施形態に係る液体ジェット射出装置において、細管の内径が異なる場合の、第1液位差及び第2液位差と増速率との関係を示すグラフである。
【図19】第4の実施形態に係る液体ジェット射出装置の概略構成図である。
【図20】第5の実施形態に係る液体ジェット射出装置の概略構成図である。
【図21】第6の実施形態に係る液体ジェット射出装置の概略構成図である。
【図22】第7の実施形態に係る液体ジェット射出装置の概略構成図である。
【図23】第8の実施形態に係る液体ジェット射出装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
[第1実施形態]
(装置構成)
先ず、図1を参照して本発明の第1実施形態に係る液体ジェット射出装置10について説明する。液体ジェット射出装置10は、スタンド12と、スタンド12に支持された試験管14と、試験管14の内部に配置される細管16と、試験管14に撃力を付与するコイルガン18と、細管16の内部気圧を加減圧するシリンジポンプ20とを備える。

【0046】
本実施形態では、試験管14が本開示の容器に、コイルガン18が本開示の発生機構としての撃力付与機構)に、シリンジポンプ20が本開示の調整機構にそれぞれ相当する。

【0047】
スタンド12は、基台24と、基台24から立設された支持棒26と、支持棒26に固定され試験管14を上方へ移動自在に支持する支持環28と、支持棒26の支持環28よりも上方に固定され細管16を上方に移動自在に支持する支持環30とを備える。なお、支持環30の下部には、後述する撃力によって上昇する試験管14が支持環30と衝突することにより破損することを回避するために、ショックアブソーバ32が取り付けられている。

【0048】
試験管14は、上端がキャップ34で気密に閉塞されており、内部に液体(シリコンオイル)36が入れられている。試験管14は、キャップ34が支持環28上に載置されることで、上方へ移動自在にスタンド12に支持されている。

【0049】
細管16は、試験管14よりも細く、上端と下端が開口している管体である。細管16は、濡れ性の良い(液体36との接触角が90度未満である)、例えばガラス管から形成されている。細管16は、その上端側をクランプ38で挟持されている。クランプ38が支持環30に載置されていることにより、細管16はスタンド12に上方への移動自在に支持されている。スタンド12に支持された細管16の下端は、キャップ34を貫通して試験管14の底部近傍まで到達している。この結果、細管16の下端は試験管14の液体36内に挿入されており、上端は液体36よりも上部に位置している。また、細管16の上端には、シリンジポンプ20と連通する接続管40が接続されている。なお、接続管40は可撓性を有する。

【0050】
スタンド12の基台24上には、コイルガン18が配置されている。コイルガン18は基台上に載置された円筒管42と、円筒管42の下端側外周に巻回されたコイル44と、円筒管42内を上下に移動自在に収容されている鋼材(JIS規格 SS400)からなる円柱形のメタルロッド46とを備える。円筒管42は基台24から試験管14の下端まで延在している。したがって、コイル44に通電することによりメタルロッド46が上方に発射されると、メタルロッド46が試験管14の底部に衝突するものである。

【0051】
シリンジポンプ20は、後述する試験管14における細管16外の液面LS1(以下、「細管16外の液面LS1」という場合がある)と細管16内の液面LS2が所定の第1液位差lとなるように駆動されるものである。

【0052】
なお、本実施形態では、細管16内の液体36が本開示の射出液体に、試験管14において細管16外の液体36が本開示の伝達媒体(伝達液体)に相当する。換言すれば、本実施形態では、液体36が本開示の射出液体と伝達媒体(伝達液体)とのいずれにも相当する。

【0053】
(作用)
このように構成される液体ジェット射出装置10の作用を説明する。

【0054】
先ず、試験管14及び細管16の底部側に液体36が配置した後、シリンジポンプ20を駆動して細管16内の気体部分を所定圧力まで加圧する。この結果、細管16内の気体部分の圧力が試験管14の細管16外の気体部分の圧力よりも増加し、細管16内の液面LS2が細管16外の液面LS1よりも低くなる(図3A参照)。

【0055】
この状態でコイルガン18のコイル44に通電することにより、電磁誘導によって円筒管42内のメタルロッド46が上方に射出され、試験管14の底部に激突する(図3B参照)。円筒管42上に位置していた試験管14は、この撃力により上方に飛び上がる(図3C参照)。この際、細管16の内部では、液体36の接触角が90度未満であるため凹面形状に形成されていた液面LS2が水平面形状となり、その中心部分から細管16よりも細い液体ジェットMJが吐出(射出)される。

【0056】
すなわち、液体ジェットMJは、図17A~図17Cに示すように、凹面形状に形成されていた液体36の細管16内の液面LS2の中心部分から細管16の内径よりも細く、例えば、細管16の内径の1/5程度に細く、先端部分が球状に膨らんだ形状で射出される。この射出により、液面LS2は下方に低下する一方、射出された液体ジェットMJは、さらに伸びていく。

【0057】
このように、一連の実施形態で説明する「液体ジェットMJ」とは、液面LS2(細管16の内径)よりも十分に細く、集束した細長い形状で液面LS2から射出されるものをいう。なお、液体ジェットMJは、被射出体に到達したときに細長形状であるか、先端部分から液滴が分離されているかは問わない。

【0058】
この液体ジェットMJは、後述する初期速度Uに対する後述するジェット速度Vjetの増速率β(=Vjet/U)が大きい。

【0059】
このように、増速率βの高い液体ジェットMJを射出することによって、一定のエネルギを付与された液体36から液体ジェットMJに高い割合でエネルギを集約できる(非常に速い液体ジェットMJを射出できる)。したがって、一定のエネルギが液体ジェット射出装置10の液体36に付与された場合に、従来の液体ジェットで射出できなかった高粘度の液体36も射出できる。

【0060】
(パラメータ) 以下、液体ジェット射出装置10によって射出される液体ジェットMJを解析する解析モデルや実験結果を説明する際に用いるパラメータについて説明する。

【0061】
実施例に係る解析モデルは、液体ジェット射出装置10で液体ジェットMJを射出する場合の解析モデルである。比較例に係る解析モデルは、液体ジェット射出装置10から細管16を除いた構成で、試験管14から液体ジェットMJを射出する場合の解析モデルである。

【0062】
パラメータは、以下の通りである(図3A、図4A、図4B参照)。

【0063】
l:試験管14の底面(半球状の頂部)と細管16外の液面LS1との距離(液面高さ)(mm)

【0064】
:細管16内の液面LS2と細管16外の液面LS1との距離(第1液位差)(mm)(但し、細管16内の液面LS2が低い(試験管14の底部側の)場合を正としている)

【0065】
:細管16の下端面と細管16内の液面LS2との距離(第2液位差)(mm)

【0066】
:試験管14の底面(半球状の頂部)と細管16の下端面との距離(第3液位差)(mm)

【0067】
D:試験管14の内径(mm)

【0068】
d:細管16の内径(mm)

【0069】
ν:液体36の動粘度(mm/s)(以下、単に「粘度」という場合がある)

【0070】
(解析モデル)
先ず、液体ジェット射出装置10が発生する液体ジェットMJのジェット速度Vjetに関する物理モデルについて説明する。図4Aに示すように、試験管14に細管を入れてない場合の試験管14内の液体36に与える(試験管14の)初期速度Uとジェット速度Vjetとの関係を考える。

【0071】
撃力によって液体36が急激に加速される場合、急激な変化の間の液体36の速度及び試験管14との管壁付近の境界の速度は大きくない。したがって、ナビエ・ストークス方程式の速度と空間微分だけ含む項は、他項に比べ十分に小さく無視できる。このとき、ナビエ・ストークス方程式から、液体36に与える初期速度Uは、密度ρを用いて、

【0072】
【数1】
JP0006482658B2_000002t.gif

【0073】
となる。ここで、Pは圧力力積であり、圧力p、撃力が持続する時間τを用いて次式で表される。

【0074】
【数2】
JP0006482658B2_000003t.gif

【0075】
試験管14の底部とメタルロッド46が衝突した際、試験管14の底面から液面LS1には、圧力力積勾配∂P/∂zが生じる。圧力力積勾配∂P/∂zは、管軸方向の距離zに拘らず一定である。初期速度Uを得た液面LS1は、流れの集束により集束形状のジェットして射出される。このとき、ジェット速度Vjetは、試験管14の初期速度Uに比例し、

【0076】
【数3】
JP0006482658B2_000004t.gif

【0077】
となる。ここでβは、試験管14に細管を入れてない場合の試験管14内の液体36に与えられる(試験管14の)初期速度Uに対するジェット速度Vjetの増速率である。

【0078】
次に、細管16を試験管14に挿入した場合(図4B参照)の初期速度とジェット速度との関係を考える。

【0079】
試験管14の底面での圧力力積勾配∂P/∂zは、細管16の下端面を境界として細管内で圧力力積勾配∂P’/∂z’に変化する。ここで、細管16内の圧力力積勾配∂P’/∂z’は、試験管14の底面での圧力力積勾配∂P/∂z、第1液位差l、第2液位差l用いて、

【0080】
【数4】
JP0006482658B2_000005t.gif

【0081】
となる。細管16内の液体36に与える初期速度Uは、式(1)と同様に

【0082】
【数5】
JP0006482658B2_000006t.gif

【0083】
となる。式(1)、式(4)及び式(5)より、細管16内の初期速度Uは、

【0084】
【数6】
JP0006482658B2_000007t.gif

【0085】
となる。式(6)より細管16内の液体36に与える初期速度Uは、細管16外の液体36に与える初期速度Uと比較して((l/l)+1)倍増速される。細管16で発生するジェット速度Vjetは、式(3)と同様に細管内の液体36の初期速度Uに比例し、

【0086】
【数7】
JP0006482658B2_000008t.gif

【0087】
となる。ここでβνは、細管16を試験管14に挿入した場合の細管16内の液体36に与えられる初期速度Uに対するジェット速度Vjetの増速率である。また、βは、細管16を試験管14に挿入した場合の試験管14内の液体36に与えられる(試験管14の)初期速度Uに対するジェット速度Vjetの増速率である。

【0088】
式(3)及び式(7)より、増速率β、βνが等しい場合、細管16のジェット速度Vjetは、試験管14内に細管16を挿入していない場合と比較して((l/l)+1)倍増速される。なお、図4A、図4Bにおける液体36の粘度が等しい場合には、増速率β、βνは通常等しい。

【0089】
このように、試験管14内に細管16を挿入し、細管16外の液面LS1と細管16内の液面LS2に液位差を設ける、ここでは液面LS1を液面LS2よりも高くすることによって、細管16内の液体36に与える初期速度Uを試験管14のみの初期速度Uと比較して増速させることができる。これにより、細管16で生成されるジェット速度Vjetも比較例(試験管14のみ)と比較して増速させることができる。

【0090】
すなわち、第1液位差lを増加させる、あるいは第2液位差lを減少させることでジェット速度Vjetの増速率βを高めることができる。

【0091】
なお、液体36の粘度νは、増速率βνにのみ影響を及ぼす。

【0092】
(実験)
上記作用および解析モデルに基づく考察を確認するため、以下の実験を行った。

【0093】
実施例に係る液体ジェット射出装置10は、図1に示したものと同様の構成のものを用いた。

【0094】
試験管14は、ホウケイ酸ガラス製(硬質ガラス、株式会社マルエム社、A・16.5)であり、底面が半球状である。液体36は、シリコンオイル(Sigma Ardlich co.)を用いた。

【0095】
実験には、高速度カメラ(FASTCAM SA-X,Photron co.)と光源(LLUB White Led BACKLIGHT,Phlox co.)を用いた。撮影速度は25000fpsであった。

【0096】
なお、実験では、高速度カメラで液体ジェットMJが液面LS2の水平より突出開始したことが確認された時間をt=0msとする。t=0msからt=0.32msまで高速度カメラで確認されたジェット先端の変位の時間変化を直線近似し、その傾きをジェット速度Vjetとする。

【0097】
さらに、同様にt=0msからt=0.32msまで高速度カメラで確認された試験管14の変位の時間変化を直線近似し、その傾きを液体36に与える初期速度Uとする。

【0098】
実験は、表1に示すようにそれぞれの範囲内の粘度の液体36を試験管14内に入れて、細管16から射出される液体ジェットMJのジェット速度Vjetを測定した。上段は、液体36の粘度のみを変化させたものであり、その下3段は、液体36の粘度と共に第1~第3液位差l、l、lのいずれか一つを変化させたものである。

【0099】
【表1】
JP0006482658B2_000009t.gif

【0100】
1.ジェット速度Vjetと第1液位差lの関係
図5に増速率β(=Vjet/U)と第1液位差lとの関係を示す。白抜き丸は1mm/s、白抜き三角は10mm/s、白抜き四角は100mm/sの各粘度を示す。実験は同一条件下で5回行い、プロットに平均値を、エラーバーに標準偏差を用いた。以下、図6~図12で同様である。

【0101】
各粘度νにおいて、増速率βは、第1液位差lの増加に伴い増加している。また、式(7)より、増速率βと第1液位差lは、線形関係であると予想できる。そこで、線形フィッティングした結果を直線で示す。各粘度νで、直線により実験結果を良く表せることが確認できる。

【0102】
この結果を式(7)により整理し、ジェット速度Vjetと細管16内の液体36に与えられる初期速度Uとの関係を図6に示す。なお、細管16内の液体36に与える初期速度Uは、式(6)より算出する。各粘度νにおいて、ジェット速度Vjetは、細管16内の液体36に与える初期速度Uの増加に伴い増加している。ここで、式(7)で線形フィッティングした結果を図6に直線で示す。各粘度νで、式(7)により実験結果を良く表せることが確認できる。すなわち、実験結果は式(7)を満たし、上記モデルによって実験結果を説明できることが確認できた。

【0103】
なお、図5に示すように、試験管14に与えた初期速度Uに対して最大約12倍のジェット速度Vjetが確認された。これは、従来の装置(試験管14のみの装置)を用いた場合、初期速度Uに対するジェット速度が約1.7倍であることと比較して、大幅に増速したことになる。

【0104】
なお、表1における細管16の内径dが0.5mm、液体36の粘度νが10、100、500mm/sの場合についても、同様の実験条件で第1液位差lを変化させて、「(l/l)+1」と増速率βの関係を求めた。その結果を図18に示す。

【0105】
なお、図18では、白抜き三角は10mm/s、白抜き丸は100mm/s、白抜き四角は500mm/sの各粘度を示す。実験は同一条件下で5回行い、プロットに平均値を、エラーバーに標準偏差を用いた。黒塗り三角は、10mm/s、黒塗り丸は100mm/s、黒塗り四角は500mm/sの各粘度における計算値である。

【0106】
線形フィッティングした結果を直線で示す。各粘度νで、直線により実験結果、計算結果を良く表せることが確認できる。

【0107】
2.ジェット速度Vjetと第2液位差lの関係
図7に増速率βと第2液位差lとの関係を示す。ただし、実験条件がl=1mmでは、細管16内の圧力力積勾配∂P’/∂z’が遷移領域に含まれ、解析モデルが適用できなくなるため、実験条件から除外している。

【0108】
各粘度νにおいて、増速率βは、第2液位差lの増加に伴い減少している。ここで、式(7)より、増速率βと第2液位差lは、反比例関係であると予想できる。そこで、増速率βは、フィッティングパラメータA、Bを用いて式(8)で表される。

【0109】
【数8】
JP0006482658B2_000010t.gif

【0110】
式(8)を実験結果にフィッティングしたものを図7に示す。各粘度νで、式(8)により実験結果の傾向が良く表されている。したがって、増速率βと第2液位差lは、反比例関係である。

【0111】
この結果を式(7)により整理し、ジェット速度Vjetと細管16内の液体36に与える初期速度Uとの関係を図8に示す。各粘度νにおいて、ジェット速度Vjetは、細管16内の液体36に与える初期速度Uの増加に伴い増加している。ここで、式(7)でフィッティングした結果を図8に直線で示す。各粘度νで、式(7)により実験結果を良く表せることが確認できる。すなわち、実験結果は式(7)を満たし、モデルによって実験結果を説明できることが確認できた。

【0112】
なお、粘度ν=10mm/s、細管16内の液体36に与える初期速度U=8.25m/sにおいて、実験における最高速度であるジェット速度Vjet=14.3m/sを計測した。

【0113】
3.ジェット速度Vjetと第3液位差lの関係
図9に増速率βと第3液位差lとの関係を示す。各粘度νにおいて、増速率βは、第3液位差lが変化してもほぼ一定である。これは、モデルと整合する。

【0114】
ここで、この結果を式(7)により整理し、ジェット速度Vjetと細管16内の液体36に与える初期速度Uとの関係を図10に示す。各粘度νにおいて、ジェット速度Vjetは、細管16内の液体36に与える初期速度Uの増加に伴い増加している。ここで、式(7)でフィッティングした結果を図10に直線で示す。各粘度νで、式(7)により実験結果を良く表せることが確認できる。すなわち、実験結果は式(7)を満たし、モデルによって実験結果を説明できることが確認できた。

【0115】
4.ジェット速度Vjetと第1液位差l、第2液位差l、第3液位差lの関係
図11に図6、図8、図10の結果を全て示す。また、式(7)で実験結果をフィッティングした結果を図11に直線で示す。各粘度において、式(7)により実験結果の傾向が良く表されている。したがって、第1液位差l、第2液位差l、第3液位差lをそれぞれ変化させた場合でも、モデルによって実験結果を全て説明できる。

【0116】
5.ジェット速度Vjetと粘度νの関係
図12に、粘度1~1000mm/sの範囲の液体36のジェット速度Vjetと細管16内の液体36に与える初期速度Uとの関係を示す。図12では、黒塗り丸、黒塗り三角、黒塗り四角、黒塗りひし形がそれぞれ5、50、500、1000mm/sの粘度を示す。白抜き丸、白抜き三角、白抜き四角は、図5と同様である。なお、細管16内の液体36に与える初期速度Uは、式(6)より算出する。ここで、式(7)でフィッティングした結果を各線で示す。各粘度において、式(7)により実験結果の傾向が良く表されている。ジェット速度Vjetと細管16内の液体36に与える初期速度Uは、比例関係を保つ。したがって、実験結果は式(7)を満たす。

【0117】
なお、本実験において、図12に示すように、高粘度(1000mm/s)の液体36から先細形状のジェットが生成できることが確認された。

【0118】
一方、増速率βν(図12における線の傾斜角度)は粘度νが10mm/sを超えると減少している。粘度νと増速率βνとの関係について以下、考察する。

【0119】
図13に粘度νと増速率βνとの関係を示す。粘度νを無視した数値計算(著者:Peters, I. R., Tagawa, Y., Oudalov, N., van der Meer, D., Sun, C., Prosperetti, A., and Lohse, D.、論文タイトル:Highly focused supersonic microjets: numerical simulations、雑誌名:Journal of Fluid Mechanics, 719号, pp. 587-605,2013年1月掲載)によって得た増速率を図13に破線で示す。粘度1~10mm2/sの範囲で、実験結果より得られた増速率βνは、数値計算で得た増速率と良く一致している。したがって、粘度1~10mm2/sの範囲では、粘度νが増速率βνに与える影響は小さく、無視できると考えられる。

【0120】
一方、粘度50~1000mm/sの範囲では、増速率βνは粘度νの増加に伴い低下している。したがって、粘度50~1000mm/sの範囲では、粘度νは増速率βνの低下に寄与していると考えられる。

【0121】
(キャビテーション効果)
非特許文献4には、流体塊(直径d、高さl)の液面を凹面形状とした場合のジェット速度Vjetは、接触角θが一定であれば、式(9)に示すように、流体塊に与えられる初期速度Uのみに依存し、流体塊の直径d及び高さlに依存しないことが記載されている。

【0122】
【数9】
JP0006482658B2_000011t.gif

【0123】
また、図14に示すように、l≧50.0mmかつU=1.5m/s、2.0m/s、2.4m/sでは、ジェットが大幅に増速され、キャビテーションに関連する現象によって生じていると考えられることが記載されている。

【0124】
ここで、キャビテーションは、液体に大きな加速度が加わり、液中の局所圧力が液体36の蒸気圧以下になる場合に発生すると考えられることが記載されている。非圧縮性液体36を仮定し、時間スケールΔtの間に液体36の運動量が変化するとする。この運動量変化により、最も圧力が低下する位置は試験管の底面である。試験管の底面における圧力を考えると、運動量変化直後にキャビテーション気泡を発生しうるのは、大気圧Patm、液体36の蒸気圧Pv、液体36の密度ρを用いて、

【0125】
【数10】
JP0006482658B2_000012t.gif

【0126】
が満たされた場合であることが非特許文献4に記載されている。

【0127】
この条件(式(10))を満たすように、初期速度Uと液面高さl(l+l+l)の関係を用いて意図的にキャビテーションを発生させることにより、液体ジェットを増速させることを本発明に適用することが考えられる。

【0128】
(まとめ)
以上のように、本実施形態に係る液体ジェット射出装置10は、試験管14の内側に細管16を挿入し、細管16の液体36に対する接触角θを90度未満にすることによって細管16内部に形成された液面LS2を凹面形状とすることによって、メタルロッド46から撃力が試験管14に作用したとき液面LS2に流れが集束される。この結果、液面LS2の中心軸近辺から増速した先細形状の細長い液体ジェットMJが射出される。

【0129】
特に、細管16内の液面LS2と細管16外の液面LS1に第1液位差lをつける、ここでは、液面LS2を液面LS1よりも低く設定することによって、増速率βを増加させることができる。この結果、一定の撃力に対して高速な液体ジェットを射出できる。

【0130】
また、細管16内の液面LS2と細管16外の液面LS1との第1液位差lを変更することによって、増速率βを変化させてジェット速度Vjetを変化させることができる。すなわち、液体ジェット射出装置10のジェット速度Vjetを制御することができる。

【0131】
例えば、細管16内の液面LS2を細管16外の液面LS1よりも高くすることによって、初期速度Uに対してジェット速度Vjetを減速させることも可能であると考えられる。

【0132】
さらに、液体ジェット射出装置10は、液体36に撃力を付与するコイルガン18や液面LS1と液面LS2の第1液位差lを付けるためのシリンジポンプ20等の構成要素が少なく、装置構成が簡略化される。したがって、レーザ等を用いる装置と比較して操作性が高い。

【0133】
このように、増速率βの高い高速な液体ジェットMJを射出することによって、一定のエネルギを付与された液体36から高い割合で液体ジェットMJにエネルギを集約できる。すなわち、速い液体ジェットMJを射出できるため、高粘度液体(例えば1000mm/s)の粘性力によるエネルギ損失に打ち勝って高粘度液体が射出できる。

【0134】
なお、このような液体ジェット射出装置10は、インクジェットや無針注射器への利用が考えられる。

【0135】
例えば、インクジェットに適用する場合、液面LS2の中央部分から細長い液体ジェットMJを射出しているため、インクの目詰まり等を抑制できる。したがって、従来のインクジェットプリンタでは不可能であった粘度の高い顔料系のインクを吐出可能となる。また、細管16から細長い液体ジェットMJが吐出されるため、高精細な印字などが可能となる。

【0136】
一方、液体ジェット射出装置10は、高速な液体ジェットMJを吐出可能であると共に、そのジェット速度Vjetを制御可能なので、皮下や筋肉等の薬剤到達位置を制御でき、無針注射器への適用が考えられる。

【0137】
なお、液体ジェット射出装置10は、細管16の上端に接続管40が接続されているため、液体ジェットMJの被射出体の配置する場合には、例えば、接続管40に換えて被射出体が配置できるような空間を有する圧力調整室を設ければ良いと考えられる。

【0138】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る液体ジェット射出装置について図2を参照して説明する。第1実施形態と同様の構成要素については、同一の参照符号を付してその説明を省略する。なお、第1実施形態と異なる点のみを説明する。

【0139】
図2に示すように、液体ジェット射出装置100の細管16の上部は、大気開放されている。一方、試験管14は、接続管40によってシリンジポンプ20に接続されている。

【0140】
したがって、シリンジポンプ20を駆動して試験管14内の細管16外の気体部分を減圧することによって、細管16外の液面LS1を上昇させ、液面LS1と液面LS2の第1液位差lをつけることができる。

【0141】
このように、液体ジェット射出装置100は、第1実施形態に係る液体ジェット射出装置10と同様に、増速率βの高い細長い液体ジェットMJを細管16内の液面LS2から射出することができる。

【0142】
また、液体ジェット射出装置100は、試験管14の細管16外側をシリンジポンプ20と接続することによって、細管16の上端を大気開放しているため、細管16の上部に液体ジェットMJの被射出体を配置することが容易になるという特有の効果がある。

【0143】
なお、第1実施形態と同様にして、細管16外の液面LS1と細管16内の液面LS2に液位差を設け、メタルロッド46で撃力を試験管14に作用させることによって、細管16内の液体36(粘度1mm/s、図15の黒塗り丸参照)の初期速度Uと、液体ジェットMJのジェット速度Vjetとの関係を調べた。図15に示すように、この場合も、第1実施形態と同様に、比例関係があることが確認された。

【0144】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る液体ジェット射出装置について図16を参照して説明する。第1実施形態と同様の構成要素については、同一の参照符号を付してその説明を省略する。なお、第1実施形態と異なる点のみを説明する。

【0145】
図16に示すように、液体ジェット射出装置200は、細管16の内部に射出される液体36を配置し、試験管14の内部(細管16の外部)には伝達媒体として固体の一例であるゼラチン202を配置したものである。

【0146】
具体的には、細管16にゼラチン202が流入しないようにして試験管14の内部にゼラチン202を流入させ、試験管14内部の圧力を高めてゼラチン202を凝固させた後、後述する液体供給装置204から細管16内に液体36を供給するものである。したがって、液体供給装置204から細管16に供給する液体36の量を制御することにより、試験管14におけるゼラチン202の界面LS3(第1実施形態の液面LS1に相当するもの)と細管16内の液体36の液面LS2との第1界面差l’を設定することができる。

【0147】
ここで、第1実施形態の第1液位差l、第2液位差l、第3液位差lに対応して、ゼラチン202の界面LS3と細管16内の液面LS2との細管16の軸方向における位置の差を第1界面差l’細管16内の液面LS2と細管16の下端(試験管14の底面側の)面との細管16の軸方向における位置の差を第2界面差l’、試験管14の底面と細管16の下端面との細管16の軸方向における位置の差を第3界面差l’とする(図16参照)。

【0148】
なお、使用されるゼラチン202は、質量含水率が95%のものを使用している。

【0149】
細管16は、一端が試験管14の内部に挿入され、他端が大気開放されている。すなわち、凝固したゼラチン202を試験管14の内部に配置したため、第1実施形態のように液面LS1と液面LS2との第1界面差l’を設けるためのシリンジポンプ20等を不要としたものである。また、細管16の液体36が配置される位置には、液体供給装置204から液体36を供給する配管206が連通されている。

【0150】
なお、図16上では、液体ジェットMJの射出方向(細管16の開放端)は鉛直上方となっているが、これに限定されるものではない。すなわち、水平方向や鉛直下方の場合でも適用可能である。

【0151】
この液体ジェット射出装置200の作用について説明する。

【0152】
液体ジェット射出装置200は、第1実施形態に係る液体ジェット射出装置10と同様に、増速率βの高い細長い液体ジェットMJを細管16内の液面LS2から射出することができる。

【0153】
特に、液体ジェット射出装置200は、試験管14内に配置されたゼラチン202の含水率が95%であるため、ゼラチン202の音響インピーダンスと液体36の音響インピーダンスの差が小さい。したがって、試験管14内のゼラチン202と細管16内の液体36の界面におけるエネルギ伝達率の低下が抑制され、液体ジェットMJを良好に射出することができる。

【0154】
なお、使用されるゼラチン202は、液体36と音響インピーダンスが等しいものが最も好ましいが、多少ずれていても良い。ゼラチン202の音響インピーダンスが液体36の音響インピーダンスの少なくとも1.5倍程度までは、液体ジェット射出装置200から液体ジェットMJが射出されることが確認されている。

【0155】
なお、音響インピーダンスZは、媒質、ここではゼラチン202の密度ρと媒質中の音速cを用いて、Z=ρcで表される。したがって、本実施形態では、ゼラチン202の密度及び音速のカタログ値から音響インピーダンスを算出している。

【0156】
また、液体ジェット射出装置200では、試験管14に凝固したゼラチン202を配置しているため、マイクロジェットの射出方向を水平方向や鉛直方向下向きにした場合でも液体36が試験管14から流出することが防止される。さらに、細管16は十分に細いため、液体36の表面張力によって液面LS2が維持され、細管16からの液体の流出は防止される。したがって、液体ジェット射出装置200の設置方向が限定されず、液体ジェットMJをいずれの方向(例えば、水平方向や鉛直方向下向き)にも射出できる。

【0157】
なお、試験管14に液体36が配置されている場合には、試験管14の内径と細管16の外径の差を十分に小さくすれば、液体36の表面張力によって液面LS1が維持されると考えられる。しかしながら、試験管14の液体36に対する管壁の影響(粘性散逸によるエネルギー損失)が大きくなり、試験管14内の液体36の圧力力積勾配が小さくなるため、液体ジェットMJの増速率βが小さくなるおそれがある。これに対して、液体ジェット射出装置200では、試験管14内のゼラチン202が凝固しているため、試験管14の内径と細管16の外径の差を十分に大きくしても液体36が試験管14から流出するおそれがない。したがって、試験管14内のゼラチン202の圧力力積勾配を十分に大きくとることができ、増速率βの高い液体ジェットMJを良好に射出できる。

【0158】
さらに、ゼラチン202が凝固しているため、試験管14内部のゼラチン202の界面LS3の位置が一定となるため、細管16内の液体36の液面LS2の位置を設定するだけで第1界面差l’を設定することができる。すなわち、液体供給装置204から細管16に供給される液体量を制御するだけで第1界面差l’を設定することができる。したがって、細管16や試験管14に負圧や正圧を供給する機構が不要となり、液体ジェット射出装置200の構成が一層簡略化される。

【0159】
また、これに伴って細管16の試験管14側と反対側の端部が大気開放されることになり、被射出体の配置が容易になった。

【0160】
さらに、液体ジェット射出装置200では、試験管14内にゼラチン202を配置したため液体ジェットMJとして射出される液体36を細管16内にのみ配置すれば良い。すなわち、液体ジェットMJの射出に要する液体36の量を抑制することができる。特に、高価な液体36等を射出する場合に液体36の使用量を抑制できるメリットが大きい。

【0161】
さらに、液体ジェット射出装置200の使用する液体36を交換する場合、細管16の内部のみに液体36を配置しているので、細管16の内部の液体36を排出した後、別の液体を細管16の内部に供給するだけで良い。すなわち、試験管14の内部に配置したゼラチン202を交換しなくて良いので、交換液量が少量で済むというメリットがある。

【0162】
なお、本実施形態では、試験管14にゼラチン202が配置される例で説明したが、これに限定されるものではない。固体、すなわち流動しない物質で、音響インピーダンスが液体36の音響インピーダンスと上記条件を満たすものであれば、本実施形態に適用することができる。例えば、PDMS(ポリジメチルシロキサン)等が考えられる。

【0163】
また、液体ジェット射出装置200では、試験管14の全体にゼラチン202を配置したが、液体ジェットMJの射出方向に拘らず液体36の流出を防止するという観点からは、例えば界面LS3の付近のみゼラチン202の層を形成して液体36の流出を防止する構成でも良い。あるいは、試験管14の液面LS1(図1参照)の位置に蓋体を設けて液体36の流出を抑える構成も考えられる。

【0164】
さらに、液体ジェット射出装置200において液体ジェットMJの射出に使用する液体36の量を抑制するという観点からは、試験管14内(細管16の外部)に細管16内の液体36と異なる液体を配置することが考えられる。

【0165】
この場合には、異なる液体は、液体36と混合しないこと、液体36と化学反応を生じないことが必要である。

【0166】
また、液体ジェットMJの射出方向が鉛直下向きの場合でも試験管14から液体が流出しないためには、試験管14の内径と細管16の外径の差が小さい(液体の表面張力で流出防止できる)ことが必要である。

【0167】
さらに、第1界面差l’を設定するためには、試験管14と細管16に圧力差を作用させることが必要となる。なお、このように構成した場合には、液体36のみを交換することによって、異なる液体を射出することも可能になる。

【0168】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る液体ジェット射出装置について図19を参照して説明する。第2、第3実施形態と同様の構成要素については、同一の参照符号を付してその説明を省略する。なお、第3実施形態と異なる点のみを説明する。

【0169】
図19に示すように、液体ジェット射出装置300は、細管16の下端に膜体302を形成したものである。これにより、試験管14内において、細管16内と細管16外が分離されることになる。

【0170】
したがって、細管16内には、液体ジェットとして射出される液体36が配置されると共に、試験管14内において細管16外には液体36と異なる液体304(例えば、水)が配置される。この膜体302と液体304が、本開示の伝達媒体の一例である膜体と伝達液体に相当する。

【0171】
具体的には、液体供給装置204から細管16内に液体36を供給するものである。したがって、液体供給装置204から細管16に供給する液体36の量を制御することにより、試験管14における液体304の液面LS4(第1実施形態の液面LS1に相当するもの)と細管16内の液体36の液面LS2との第1液位差lを設定することができる。

【0172】
なお、膜体302に使用されるゼラチンは、質量含水率が95%のものを使用している。

【0173】
また、図19では、液体ジェットMJの射出方向(細管16の開放端)は鉛直上方となっているが、これに限定されるものではない。すなわち、水平方向や鉛直下方の場合でも適用可能である。

【0174】
この液体ジェット射出装置300の作用について説明する。

【0175】
液体ジェット射出装置300は、第2実施形態に係る液体ジェット射出装置10と同様に、増速率βの高い細長い液体ジェットMJを細管16内の液面LS2から射出することができる。

【0176】
特に、液体ジェット射出装置300は、細管16の下端に形成された膜体302で液体36と液体304を分離させているため、液体304から膜体302に圧力波が伝播されることにより、膜体302が変形して液体36に圧力波を効率的に伝播する。すなわち、試験管14内の液体304と膜体302の界面、及び膜体302と細管16内の液体36の界面におけるエネルギ伝達率の低下が抑制され、液体ジェットMJを良好に射出することができる。

【0177】
なお、膜体302は、特に材料を限定するものではない。

【0178】
また、細管16の下端に形成された膜体302の位置が固定されているため、試験管14において細管16外に配置される液体304の量を一定とすれば、細管16内の液体36の液面LS2の位置を設定するだけで第1界面差lを設定することができる。すなわち、液体供給装置204から細管16に供給される液体36の液体量を制御するだけで第1界面差lを設定することができる。したがって、細管16や試験管14に負圧や正圧を供給する機構が不要となり、液体ジェット射出装置300の構成が一層簡略化される。

【0179】
また、これに伴って細管16の試験管14側と反対側の端部が大気開放されることになり、被射出体の配置が容易になった。

【0180】
さらに、液体ジェット射出装置300では、細管16の下端に形成された膜体302が形成されているため、液体ジェットMJとして射出される液体36を細管16内にのみ配置すれば良い。すなわち、液体ジェットMJの射出に要する液体36の量を抑制することができる。特に、高価な液体36等を射出する場合に液体36の使用量を抑制できるメリットが大きい。

【0181】
さらに、液体ジェット射出装置300の使用する液体36を交換する場合、細管16の内部のみに液体36を配置しているので、細管16の内部の液体36を排出した後、別の液体を細管16の内部に供給するだけで良い。すなわち、試験管14の内部に配置した液体304を交換しなくて良いので、交換液量が少量で済むというメリットがある。

【0182】
また、液体ジェット射出装置300では、試験管14において細管16外に伝達媒体の一例として液体304を用いているため、試験管14等の容器形状に拘らず、試験管14の細管16外に伝達媒体の配置が容易になるというメリットもある。

【0183】
なお、本実施形態では、細管16の下端に膜体302が形成される例で説明したが、細管16の内部に膜体302が形成されていても良い。

【0184】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態に係る液体ジェット射出装置について図20を参照して説明する。第2、第4実施形態と同様の構成要素については、同一の参照符号を付してその説明を省略する。なお、第2実施形態、第4実施形態と異なる点のみを説明する。

【0185】
液体ジェット射出装置350は、第2実施形態の液体ジェット射出装置100と略同様の構成であるが、細管16の内部にゼラチンから形成された栓体352が配置されている点が異なる。これにより、試験管14内において、細管16において栓体352よりも試験管14の底部と反対側と試験管14の底部側が分離されることになる。したがって、細管16において栓体352よりも試験管14の底部と反対側に射出される液体36が配置され、細管16において栓体352よりも試験管14の底部側及び試験管14の内部で細管16外には液体36と異なる液体304が配置されている。

【0186】
なお、栓体352に使用されるゼラチンは、質量含水率が95%のものを使用している。また、栓体352は、液体36と液体304を分離させたまま、細管16の内部を軸方向に沿って上下に移動可能とされている。

【0187】
この液体ジェット射出装置350の作用について説明する。

【0188】
液体ジェット射出装置350は、第2実施形態に係る液体ジェット射出装置10と同様に、増速率βの高い細長い液体ジェットMJを細管16内の液面LS2から射出することができる。

【0189】
特に、液体ジェット射出装置350は、細管16の内部に配設された栓体352を構成するゼラチンの含水率が95%であるため、栓体352の音響インピーダンスと液体36、304の音響インピーダンスの差が小さい。したがって、試験管14内の液体304と栓体352の界面、及び栓体352と細管16内の液体36の界面におけるエネルギ伝達率の低下が抑制され、液体ジェットMJを良好に射出することができる。

【0190】
なお、栓体352に使用されるゼラチンは、液体36、304と音響インピーダンスが等しいものが最も好ましいが、多少ずれていても良い。ゼラチンの音響インピーダンスが液体36、304の音響インピーダンスの少なくとも1.5倍程度までは、液体ジェット射出装置350から液体ジェットMJが射出されることが確認されている。

【0191】
また、細管16の内部に配置された栓体352は細管16の軸方向に移動可能とされている。したがって、シリンジポンプ20を駆動することにより試験管14において細管16外の気体部分を加減圧することにより、細管16内の液体36の液面LS2と試験管14における細管16外の液体304の液面LS4を相対的に逆方向に移動させて、第1界面差lを設定することができる。すなわち、シリンジポンプ20を駆動するだけで、異なる液体36の液面LS2と液体304の液面LS4間に第1界面差lを設定することができる。したがって、液体ジェット射出装置350の構成が簡略化される。

【0192】
さらに、これに伴って細管16の試験管14側と反対側の端部が大気開放されることになり、被射出体の配置が容易になった。

【0193】
また、液体ジェット射出装置350では、細管16の内部に栓体352が配置されているため、液体ジェットMJとして射出される液体36を細管16内において栓体352よりも試験管14の底部と反対側にのみ配置すれば良い。すなわち、液体ジェットMJの射出に要する液体36の量を抑制することができる。特に、高価な液体36等を射出する場合に液体36の使用量を抑制できるメリットが大きい。

【0194】
さらに、液体ジェット射出装置350の使用する液体36を交換する場合、細管16の内部のみに液体36を配置しているので、細管16の内部の液体36を排出した後、別の液体を細管16の内部に供給するだけで良い。すなわち、試験管14の内部に配置した液体304を交換しなくて良いので、交換液量が少量で済むというメリットがある。

【0195】
また、液体ジェット射出装置350では、試験管14において細管16外に圧力波伝達媒体として液体304を用いているため、試験管14等の容器形状に拘らず、試験管14の細管16外に伝達媒体の配置が容易になるというメリットもある。

【0196】
なお、本実施形態では、細管16の内部にゼラチンからなる栓体352が形成される例で説明したが、これに限定されるものではない。固体、すなわち流動しない物質で、音響インピーダンスが液体36の音響インピーダンスと上記条件を満たすものであれば、本実施形態に適用することができる。例えば、PDMS(ポリジメチルシロキサン)等が考えられる。

【0197】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態に係る液体ジェット射出装置について図21を参照して説明する。第2実施形態と同様の構成要素については、同一の参照符号を付してその説明を省略する。なお、第2実施形態と異なる点のみを説明する。

【0198】
液体ジェット射出装置400は、図21に示すように、第2実施形態の液体ジェット射出装置100における発生機構として撃力付与機構の一例であるコイルガン18に換えて、レーザ照射機構の一例であるパルスレーザ照射装置402を試験管14の底部の側方に配置したものである。このパルスレーザ照射装置402は、集光レンズを内蔵しており、試験管14の内部で細管16の下方にパルスレーザを集光させて照射する装置である。

【0199】
この液体ジェット射出装置400の作用について説明する。

【0200】
図21に示すように、液体ジェット射出装置400において、試験管14の内部に液体36が注入され、シリンジポンプ20を操作して第1液面LS1と第2液面LS2に所定の液位差が設定されている。この状態で、パルスレーザ照射装置402から試験管14に向けてパルスレーザ404が照射される。

【0201】
パルスレーザ404は、試験管14の内部で細管16の下方において集光されることにより、液体36の内部に気泡406を発生させる。この気泡406の発生により、液体36に生じた圧力波が細管16の内部に伝播して、液面LS2から液体ジェットMJが射出される。

【0202】
このように液体ジェット射出装置400では、液体36に圧力波を発生させるために、試験管14に対してパルスレーザ404を集光させて照射すれば良いので、圧力波を発生させる度に試験管14が移動することがなく、装置が安定するというメリットがある。

【0203】
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態に係る液体ジェット射出装置について図22を参照して説明する。第2実施形態と同様の構成要素については、同一の参照符号を付してその説明を省略する。なお、第2実施形態と異なる点のみを説明する。

【0204】
液体ジェット射出装置500は、図22に示すように、第2実施形態の液体ジェット射出装置100における発生機構として撃力付与機構の一例であるコイルガン18に換えて、爆発機構の一例である爆発装置502を設けたものである。

【0205】
この爆発装置502は、試験管14の底部において、細管16の下方にゼラチンからなる膜体504で区画された爆発室506を備える。この爆発装置502には、さらに、この爆発室506に連通し、粉末である火薬を爆発室506に供給する火薬供給装置508と、爆発室506に設けられた火薬を爆発させるための雷管510と、爆発室506に設けられた図示しない排気孔とを備える。

【0206】
この液体ジェット射出装置500の作用について説明する。

【0207】
図22に示すように、液体ジェット射出装置500において、試験管14の内部に液体36が注入され、シリンジポンプ20を操作して第1液面LS1と第2液面LS2に所定の液位差が設定されている。この状態で、火薬供給装置508から爆発室506に粉末火薬が所定量供給されると共に、雷管510が駆動されることによって、爆発室506で爆発が生ずる。この爆発による衝撃波は、膜体504を介して液体36に伝播し、細管16内の液体36の液面LS2から液体ジェットMJが射出される。

【0208】
このように液体ジェット射出装置500では、液体36に圧力波を発生させるために、試験管14の底部の爆発室506で火薬を爆発させれば良いので、圧力波を発生させる度に試験管14が移動することがなく、装置が安定するというメリットがある。

【0209】
[第8実施形態]
本発明の第8実施形態に係る液体ジェット射出装置について図23を参照して説明する。第2実施形態と同様の構成要素については、同一の参照符号を付してその説明を省略する。なお、第2実施形態と異なる点のみを説明する。

【0210】
液体ジェット射出装置600は、図23に示すように、第2実施形態の液体ジェット射出装置100における発生機構として撃力付与機構の一例であるコイルガン18に換えて、超音波付与機構の一例である超音波発生装置602を設けたものである。

【0211】
この超音波発生装置602は、試験管14の底部側に配置されており、細管16の下端部側に超音波を照射するものである。

【0212】
この液体ジェット射出装置600の作用について説明する。

【0213】
図23に示すように、液体ジェット射出装置600において、試験管14の内部に液体36が注入され、第1液面LS1と第2液面LS2に所定の液位差が設定されている状態で、超音波発生装置602が駆動され、細管16の下端部に向けて超音波が照射される。この超音波が細管16内の液体36に伝播して、液面LS2で集束する。この結果、液面LS2から液体ジェットMJが射出される。

【0214】
このように液体ジェット射出装置600では、液体36に超音波照射するだけで良いので、圧力波を発生させる度に試験管14が移動することがなく、装置が安定するというメリットがある。

【0215】
[その他]
以上、第1~第8実施形態に係る液体ジェット射出装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。

【0216】
例えば、第1~第5実施形態では、撃力付与機構の一例としてコイルガン18を用いて説明したが、打撃によって撃力を容器である試験管14に付与できるものであれば、コイルガン18に限定されるものではない。例えば、試験管14を自由落下させることにより、試験管14に打撃による撃力を作用させることが考えられる。

【0217】
また、第1実施形態~第5実施形態では、発生機構として撃力付与機構を用いたものを開示したが、これを第6実施形態~第8実施形態に一例を示したレーザ照射機構や爆発機構や超音波付与機構と置換しても良い。ただし、レーザ照射機構に置換する場合には、容器である試験管14の細管16外に配置される伝達媒体が液体である必用があるため、第1、第2、第4、第5実施形態にのみ適用できる。

【0218】
第1、第2、第5~第8実施形態では、調整機構として細管16内の気体部分又は細管16外の気体部分を加減圧する細管内液面変位機構又は細管外界面変位機構の一例であるシリンジポンプ20を用いたものを開示したが、細管16外の液面LS1、LS4(界面LS3)と細管16内のLS2に第1液位差lを付与できるものであれば、シリンジポンプ20に限定されるものではない。例えば、試験管14の細管16外の部分をゴム栓等で密閉し、注射針をゴム栓に差し込むことにより、細管16外の気体部分を減圧することにより、細管16外の液面LS1、LS4と細管16内の液面LS2に第1液位差lを付与することが考えられる。また、気体部分を加減圧するのではなく、例えば、細管16または試験管14の細管16外の部分の液面を細管16の軸方向に変位する蓋体で押圧して、細管16外の液面LS1、LS4と細管16内の液面LS2に第1液位差lを付与することも考えられる。ただし、操作の容易性及び安全性の点から優れているものであることが望ましい。

【0219】
さらに、第3実施形態のように細管16外に配置された伝達媒体の一例がゼラチン202の場合や、第4実施形態のように細管16の下端に膜体302が形成されて細管16外の液体304の液量が初期状態から変化しないものは、細管16外の界面LS3、又は液面LS4が一定に保持されるため、細管16内に供給する液体36の液体量を調整する射出液体供給機構、例えば、液体供給装置204のようなものを調整機構として備えていれば良い。

【0220】
なお、第1~第8実施形態に係る液体ジェット射出装置では、試験管14、細管16を鉛直方向に配置して、鉛直上方に液体ジェットMJを射出する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、試験管14、細管16を水平方向に配置し、細管16内の液面LS2を細管16外の液面LS1よりも試験管14の底部側となるように構成する(液面LS1と液面LS2に第1液位差lを付与する)ことによって、水平方向に増速率の高い液体ジェットMJを射出することができる。なお、この場合には、試験管14内において、試験管14の内壁と細管16の外壁の距離と、細管16の内径dが十分に小さく、表面張力の作用によって液面LS1、LS2が試験管14の底部側と反対側に向かって凹んだ凹面形状に維持されることが必要である。例えば、シリコンオイルである液体36を使用時に、試験管14の内壁と細管16の外壁との距離が500μm以下で、細管16の内径dが1mm以下であれば、試験管14を鉛直方向から傾斜させても試験管14の底部側と反対側に向かって凹んだ凹面形状に液面LS1、LS2が維持されることが確認されている。

【0221】
また、第1~第5実施形態に係る液体ジェット射出装置では、試験管14の底部に撃力を付与する構成としたが、これに限定されるものではない。すなわち、細管16内の液面LS2よりも試験管14の底部側で試験管14の側面に撃力を付与する構成でも良い。ただし、撃力付与位置が試験管14の底部側の方が、一定の撃力から細管16内の液体36の加速度に変換される変換効率が高く、最も変換効率が高いのは、試験管14の底部に撃力を付与する場合である。

【0222】
さらに、第1~第5実施形態では、液体ジェットMJを射出するためにメタルロッド46を介して試験管14に撃力を付与する構成としたが、これに限定されるものではい。細管16内の液体36に短時間で大きな加速度を付与できる構成であれば良い。例えば、メタルロッド46の換わりにゴム材やウレタン材等の柔らかい物を試験管14に激突させることが考えられる。この場合には、ゴム材等と試験管14の接触時間が長くなるため、いわゆる「撃力(impulse force)」に該当しないが、細管16内の液体36に短時間(10-4s以下)で大きな加速度(100m/s以上)を付与することができれば、液面LS2から液体ジェットMJが射出可能である。

【0223】
また、第1~第8実施形態の液体ジェット射出装置では、1つの試験管に対して1つの細管を配置したもので説明したが、1つの試験管の内部に複数の細管を配置したものでも良い。この場合には、1つの試験管に対して撃力等を付与することにより、各細管から液体ジェットMJが射出される。すなわち、複数の液体ジェットMJを射出することができる。

【0224】
なお、本実施形態に係る液体ジェット射出装置を医療行為に適用する場合、例えば、無針注射器として用いる場合には、第3実施形態のように、細管16外に充填される伝達媒体としてゼラチン202を用いた液体ジェット射出装置において、発生機構として例えば、第6実施形態で示した粉末火薬を用いるタイプを組み合わせたものが考えられる。

【0225】
すなわち、薬液等を所定量の液体36を細管16内に配置して、液面LS2と界面LS3に第1界面差l’を設定し、爆発室506で粉末火薬を爆発させることにより、細管16から薬液である液体36を液体ジェットとして射出すればよい。この際、第1界面差l’を調整することによって、増速率βを調整して、薬液の到達位置、例えば、皮膚表面、皮膚組織内、皮膚下、筋肉等に変更することが可能である。

【0226】
また、細管16内にのみ薬液である液体36を配置するため、薬液を変更することが容易であり、無駄になる薬液量を低減することができる。

【0227】
なお、図16、図22では、試験管14等がスタンド12に支持されているが、無針注射器として使用される場合には、スタンド12無しで使用されると共に、液体ジェットの射出方向も医療行為を受けるものの姿勢に対応して任意に対応可能である。

【0228】
本開示は、容器の底部側に伝達媒体を配置すると共に、両端が開口され、一端が前記容器の伝達媒体内に挿入され、他端が伝達媒体外に配置された細管内に、少なくとも内面に対する接触角が90度未満である液状の薬剤を前記伝達媒体から圧力伝達可能となるように内部に配置する第1工程と、患者の薬剤到達部位に応じて前記細管内の前記薬剤の液面と前記容器内で細管外の前記伝達媒体の界面とを前記細管の軸方向に沿って位置を調整した状態で、前記容器内の前記伝達媒体に圧力波を発生させて前記細管内の前記薬剤の少なくとも一部が液体ジェットとして患者の皮膚表面に向かって射出する第2工程と、を備える薬剤投入方法を提供する。

【0229】
なお、2015年5月14日に出願された日本国特許出願2015-099054号及び2015年8月25日に出願された日本国特許出願2015-166119号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。

【0230】
[付記]
なお、本開示の第1態様は、液体が底部側に貯留された容器と、両端が開口され、一端が前記容器の液体内に挿入され、他端が液体外に配置されると共に、少なくとも内面に対する前記液体の接触角が90度未満とされた細管と、前記細管内の液面を前記容器内で細管外の液面よりも前記容器の底部側に位置させる液位差形成手段と、前記細管内の液体から液体マイクロジェットが射出されるように、前記細管内の液体に加速度を付与する加速度付与手段と、を備える液体マイクロジェット高速射出装置を提供する。

【0231】
また、本開示の第2態様は、前記加速度付与手段は、前記細管内の液面よりも前記容器の底部側で前記容器に撃力を付与する撃力付与手段である本開示の第1態様の液体マイクロジェット高速射出装置を提供する。

【0232】
さらに、本開示の第3態様は、前記液位差形成手段は、前記細管内の気体部分を加圧する加圧手段である本開示の第1又は第2態様の液体マイクロジェット高速射出装置を提供する。

【0233】
また、本開示の第4態様は、前記液位差形成手段は、前記容器内において前記細管外の気体部分を減圧する減圧手段である本開示の第1又は第2態様の液体マイクロジェット高速射出装置を提供する。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3A】
2
【図3B】
3
【図3C】
4
【図4A】
5
【図4B】
6
【図5】
7
【図6】
8
【図7】
9
【図8】
10
【図9】
11
【図10】
12
【図11】
13
【図12】
14
【図13】
15
【図14】
16
【図15】
17
【図16】
18
【図17A】
19
【図17B】
20
【図17C】
21
【図18】
22
【図19】
23
【図20】
24
【図21】
25
【図22】
26
【図23】
27