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明細書 :新規な複素環含有アミノ酸化合物及びその用途

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6347396号 (P6347396)
登録日 平成30年6月8日(2018.6.8)
発行日 平成30年6月27日(2018.6.27)
発明の名称または考案の名称 新規な複素環含有アミノ酸化合物及びその用途
国際特許分類 C07D 207/16        (2006.01)
C07D 211/60        (2006.01)
A01N  43/36        (2006.01)
A01N  43/40        (2006.01)
A01N  55/02        (2006.01)
A01P  21/00        (2006.01)
C05C  11/00        (2006.01)
C05D   9/02        (2006.01)
A01G   7/06        (2006.01)
C07F  15/02        (2006.01)
FI C07D 207/16 CSP
C07D 211/60
A01N 43/36 B
A01N 43/40 101P
A01N 55/02
A01P 21/00
C05C 11/00
C05D 9/02
A01G 7/06 A
C07F 15/02
請求項の数または発明の数 11
全頁数 23
出願番号 特願2017-550268 (P2017-550268)
出願日 平成28年11月1日(2016.11.1)
国際出願番号 PCT/JP2016/082374
国際公開番号 WO2017/082111
国際公開日 平成29年5月18日(2017.5.18)
優先権出願番号 2015219537
優先日 平成27年11月9日(2015.11.9)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成29年10月31日(2017.10.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
【識別番号】000116655
【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社
発明者または考案者 【氏名】難波 康祐
【氏名】村田 佳子
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100094190、【弁理士】、【氏名又は名称】小島 清路
【識別番号】100151644、【弁理士】、【氏名又は名称】平岩 康幸
【識別番号】100151127、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 勝雅
審査官 【審査官】吉海 周
参考文献・文献 特開2001-316192(JP,A)
特開昭56-063952(JP,A)
特開昭54-128563(JP,A)
旧東ドイツ国経済特許第208609(DD,A1)
鈴木基史, 難波康祐,アルカリ土壌における新規合成ムギネ酸類縁体の効果,日本土壌肥料学会講演要旨集,2016年,Vol.62,p.59, 4-2-8,ISSN:0288-5840
渡辺広幸,ムギネ酸類の合成と活性の研究,HASEGAWA LETTER,2007年,No.23,p.34-39
BOUAZAOUI M'Barek et al.,Synthesis and Biological Activity of Nicotianamine and Analogues,Adv. Exp. Med. Biol.,2009年,Vol.611,p.555-557
NAMBA Kosuke et al.,Mugineic Acid Derivatives as Molecular Probes for the Mechanistic Elucidation of Iron Acquisition in,Angew. Chem. Int. Ed.,2010年,Vol.49,p.9956-9959
BOUAZAOUI M'barek,Efficient Synthesis of Nicotianamine and Non-Natural Analogues,Eur. J. Org. Chem.,2010年,Vol.2010, Iss.34,p.6609-6617
VON WIREN Nicolaus et al.,Nicotianamine Chelates Both FeIII and FeII. Implications for Metal Transport in Plants,Plant Physiol.,1999年,Vol.119,p.1107-1114
MORI Satoshi,Iron acquisition by plants,Curr. Opin. Plant Biol.,1999年,Vol.2,p.250-253
調査した分野 C07D
A01N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1):
[化1]
JP0006347396B2_000015t.gif(式中、R、R、R、R及びは、水素原子を示す。nは、1~3の整数を示す。)
で表される複素環含有アミノ酸化合物又はその塩。
【請求項2】
前記一般式(1)で表される複素環含有アミノ酸化合物が、一般式(1A):
[化2]
JP0006347396B2_000016t.gif(式中、R、R、R、R、R及びnは、前記と同じ。)
で表される化合物である、請求項1に記載の複素環含有アミノ酸化合物又はその塩。
【請求項3】
nが1である、請求項1又は2に記載の複素環含有アミノ酸化合物又はその塩。
【請求項4】
nがである、請求項1又は2に記載の複素環含有アミノ酸化合物又はその塩。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の複素環含有アミノ酸化合物又はその塩、及び金属を含有する錯体。
【請求項6】
前記金属が、鉄である、請求項5に記載の錯体。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の複素環含有アミノ酸化合物又はその塩、及び金属化合物を含有する混合物。
【請求項8】
前記金属化合物が、鉄化合物である、請求項7に記載の混合物。
【請求項9】
肥料用又は植物成長調整剤用である、請求項7又は8に記載の混合物。
【請求項10】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の複素環含有アミノ酸化合物又はその塩、請求項5又は6に記載の錯体、或いは請求項7乃至9の何れか一項に記載の混合物を含有する肥料。
【請求項11】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の複素環含有アミノ酸化合物又はその塩、請求項5又は6に記載の錯体、或いは請求項7乃至9の何れか一項に記載の混合物を含有する植物成長調整剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な複素環含有アミノ酸化合物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
植物の生長及び機能の維持には種々の微量金属元素が関与しており、これらの微量金属元素が欠乏すると植物は正常に生育することができない。例えば、鉄は呼吸、光合成、DNA合成等に必要な元素であり、特にクロロフィルの生合成に必須な酵素の活性中心金属であるため、鉄が欠乏すると葉が黄色化するクロロシス(鉄欠乏黄白化症)を引き起こす。
【0003】
一方、農耕に適さないとされる不良土壌は全世界の陸地の約67%を占めており、その半分がアルカリ性の不良土壌である。このようなアルカリ性土壌では、鉄が水に不溶な3価の水酸化第二鉄(Fe(OH)3)の形で存在するため、植物は根からこの鉄を十分に吸収できずに鉄欠乏症となってしまうことが問題となっている。
【0004】
これに対して、オオムギ、イネ、ムギ、トウモロコシ等のイネ科植物は、下記式(A):
【0005】
【化1】
JP0006347396B2_000002t.gif

【0006】
で表されるムギネ酸、又は式(B):
【0007】
【化2】
JP0006347396B2_000003t.gif

【0008】
で表される2’-デオキシムギネ酸(DMA)と呼ばれるキレート剤を根から分泌し、該キレート剤が鉄と錯体を形成させることにより鉄を溶かし、このムギネ酸類-鉄錯体が特異なトランスポーターを介して植物体内に取り込まれることが知られている(非特許文献1)。
【0009】
これにより他の植物に比べて、アルカリ性土壌から鉄イオンを効率良く吸収できるが、一般にムギネ酸類の分泌能は低く、例えば、イネ、トウモロコシ等のように、アルカリ性土壌では生育できないイネ科植物も多く存在する。
【0010】
そこで、本発明者らはアルカリ性の不良土壌でも農耕を可能にするため、肥料として供給可能な鉄取り込み能を有するキレート剤の開発を目指している。
【0011】
これまでに、本発明者らはムギネ酸類の実用的合成法を確立し(特許文献1)、そして、このムギネ酸類がアルカリ性条件下でイネ科植物の生育に劇的に効果があることを確認している(非特許文献2)。
【0012】
しかしながら、ムギネ酸類は、出発原料として、高価なアゼチジン酸から合成するため、ムギネ酸類を肥料として供給するには依然として合成コストの問題があった。
【0013】
そこで、ムギネ酸類と同等の金属取り込み能を有し、かつ、ムギネ酸類より安価に製造できるキレート化合物が望まれている。
【先行技術文献】
【0014】

【特許文献1】特許第4117009号
【0015】

【非特許文献1】Proc. Japan. Acad., Ser. B, Vol. 54, 469-473 (1978)
【非特許文献2】Plant. J., 2015, 81, p.233-246
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、ムギネ酸類と同等の金属取り込み能を有し、かつ、ムギネ酸類よりも安価に製造できる新規な複素環含有アミノ酸化合物を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、新規な複素環含有アミノ酸化合物を含有する肥料又は植物成長調整剤を提供することをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者等は、上記課題に鑑みて、鋭意研究を行った。その結果、ムギネ酸類と同等の金属取り込み能を有し、かつ、ムギネ酸類よりも安価に製造できる新規な複素環含有アミノ酸化合物を見出した。かかる知見に基づき更に研究を行うことにより、本発明を完成するに至った。
【0019】
即ち、本発明は、以下の複素環含有アミノ酸化合物及びその用途を提供する。
【0020】
項1.一般式(1):
【0021】
【化3】
JP0006347396B2_000004t.gif

【0022】
(式中、R、R、及びRは、同一又は異なって、水素原子、又はカルボキシル基の保護基を示す。Rは、水素原子、又は水酸基の保護基を示す。Rは、水素原子、又はアミノ基の保護基を示す。nは、1~3の整数を示す。)
で表される複素環含有アミノ酸化合物又はその塩。
【0023】
項2.前記一般式(1)で表される複素環含有アミノ酸化合物が、
一般式(1A):
【0024】
【化4】
JP0006347396B2_000005t.gif

【0025】
(式中、R、R、R、R、R及びnは、前記と同じ。)
で表される化合物である、項1に記載の化合物又はその塩。
【0026】
項3.R、R、R、R及びRが、各々、水素原子である、項1又は2に記載の化合物又はその塩。
【0027】
項4.nが1である、項1~3の何れか一項に記載の化合物又はその塩。
【0028】
項5.項1~4の何れか一項に記載の化合物又はその塩、及び金属を含有する錯体。
【0029】
項6.前記金属が、鉄である、項5に記載の錯体。
【0030】
項7.項1~4の何れか一項に記載の化合物又はその塩、及び金属化合物を含有する混合物。
【0031】
項8.前記金属化合物が、鉄化合物である、項7に記載の混合物。
【0032】
項9.肥料用又は植物成長調整剤用である、項7又は8に記載の混合物。
【0033】
項10.項1~4の何れか一項に記載の化合物又はその塩、項5又は6に記載の金属錯体、或いは項7~9の何れか一項に記載の混合物を含有する肥料。
【0034】
項11.項1~4の何れか一項に記載の化合物又はその塩、項5又は6に記載の金属錯体、或いは項7~9の何れか一項に記載の混合物を含有する植物成長調整剤。
【0035】
項12.項1~4の何れか一項に記載の化合物又はその塩、項5又は6に記載の金属錯体、或いは項7~9の何れか一項に記載の混合物を含有する植物収穫量増加剤。
【0036】
項13.項1~4の何れか一項に記載の化合物又はその塩、項5又は6に記載の金属錯体、或いは項7~9の何れか一項に記載の混合物を、植物の栽培土壌に施肥することを特徴とする植物の栽培方法。
【発明の効果】
【0037】
本発明の新規な複素環含有アミノ酸化合物又はその塩は、ムギネ酸類と同等の金属取り込み能を有し、かつ、ムギネ酸類よりも安価に製造できる。
【0038】
また、本発明の新規な複素環含有アミノ酸化合物又はその塩は、肥料及び植物成長調整剤として用いることができ、アルカリ性土壌においても植物(イネ科植物等)の生育に大きな効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、試験例1の結果を示した図である。
【図2】図2は、試験例2の結果を示した図である。
【図3】図3は、試験例3において、播種後3週間目のイネの生育状態を示した写真である。
【図4】図4は、試験例3において、各試験液を用いて栽培した播種後3週間目のイネの生育を示した写真である。
【図5】図5は、試験例3において、各試験液を用いて栽培した播種後3週間目のイネの草丈を示したグラフである。
【図6】図6は、試験例3において、各試験液を用いて栽培した播種後3週間目のイネの葉のSPAD値を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の一般式(1)で表される複素環含有アミノ酸化合物又はその塩(以下、「本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)」又は「本発明の化合物(1)」という)、及びその用途について、以下詳細に説明する。

【0041】
本明細書中において、「含有」又は「含む」なる表現は、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。

【0042】
本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)
本明細書において、R、R及びRで表される「カルボキシル基の保護基」としては、特に制限はなく、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル等の炭素数1~6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基;ベンジル、p-ニトロベンジル、o-ニトロベンジル、m-ニトロベンジル、2,4-ジニトロベンジル、p-クロロベンジル、p-ブロモベンジル、p-メトキシベンジル等の置換基を有していてもよいアラルキル基;アセトキシメチル、アセトキシエチル、プロピオニルオキシメチル、n-ブチリルオキシメチル、iso-ブチリルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル等の炭素数1~6アルキルカルボニルオキシ-炭素数1~6アルキル基等が挙げられる。

【0043】
中でも、好ましいカルボキシル基の保護基としては炭素数1~6のアルキル基であり、より好ましくはエチル基又はtert-ブチル基であり、特に好ましくはエチル基である。

【0044】
本明細書において、「n-」はノルマル、「iso-」はイソ、「tert-」又は「t-」はターシャリー、「o-」はオルト、「m-」はメタ、「p-」はパラを意味している。

【0045】
本明細書において、Rで表される「水酸基の保護基」としては、特に制限はなく、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル等の炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキル基;ベンジル、p-ニトロベンジル、o-ニトロベンジル、m-ニトロベンジル、2,4-ジニトロベンジル、p-クロロベンジル、p-ブロモベンジル、p-メトキシベンジル等の1~5個の置換基を有していてもよいアラルキル基;トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル等のトリアルキルシリル基;テトラヒドロピラン-2-イル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル等のアセタール型保護基;tert-ブトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。

【0046】
中でも、好ましい水酸基の保護基としては炭素数1~6のアルキル基であり、より好ましくはエチル基又はtert-ブチル基であり、特に好ましくはtert-ブチル基である。

【0047】
本明細書において、Rで表される「アミノ基の保護基」としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル(Boc)等のハロゲンで置換されていてもよいアルコキシカルボニル基;ビニルオキシカルボニル等のアルケニルオキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、9-フルオレニルメトキシカルボニル等のアラルキルオキシカルボニル基;ベンジル、p-ニトロベンジル、o-ニトロベンジル、m-ニトロベンジル、2,4-ジニトロベンジル、p-クロロベンジル、p-ブロモベンジル、p-メトキシベンジル等の置換基を有していてもよいアラルキル基;ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル等のアシル基;p-トルエンスルホニル、ベンゼンスルホニル等のアリールスルホニル基;メタンスルホニル等のアルキルスルホニル基などが挙げられる。

【0048】
中でも、好ましいアミノ基の保護基としてはアルコキシカルボニル基又はアラルキルオキシカルボニル基であり、より好ましくはBoc又はCbzである。

【0049】
nは、1~3の整数である。具体的に、nが1、2又は3である場合の化合物は、下記化合物(1-1)、化合物(1-2)、又は化合物(1-3)である。

【0050】
【化5】
JP0006347396B2_000006t.gif

【0051】
好ましくはnが1又は2の化合物であり、より好ましくはnが1の化合物である。

【0052】
一般式(1)で表される複素環含有アミノ酸化合物の塩としては、農業上許容されるものであればあらゆる種類の塩が含まれる。このような塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;ジメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。

【0053】
本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)のうち、好ましい化合物としては、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、又は炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基;Rは、水素原子、又は炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基;及びRは、水素原子、又は炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である化合物又はその塩である。

【0054】
より好ましい化合物としては、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、エチル基又はt-ブチル基;Rは、水素原子、又はt-ブチル基;及びRは、水素原子である化合物又はその塩である。

【0055】
さらに好ましい化合物としては、R、及びRは、同一又は異なって、水素原子、又はエチル基;Rは、同一又は異なって、水素原子、又はt-ブチル基;Rは、水素原子、又はt-ブチル基;及びRは、水素原子である化合物又はその塩である。

【0056】
特に好ましい化合物としては、R、R、R、R、及びRは、各々、水素原子である化合物又はその塩である。

【0057】
なお、例えば、R、R、R、R、及びRが、各々水素原子である一般式(1B-1):

【0058】
【化6】
JP0006347396B2_000007t.gif

【0059】
(式中、nは1~3の整数を示す。)
で表される化合物は、下記化合物(1B-2):

【0060】
【化7】
JP0006347396B2_000008t.gif

【0061】
(式中、nは1~3の整数を示す。)
で表される化合物で示すこともできる。

【0062】
本発明の化合物(1)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体等の異性体を有する場合には、いずれか一方の異性体も、異性体の混合物も化合物(1)に包含される。例えば、本発明の化合物(1)に光学異性体が存在する場合には、ラセミ体から分割された光学異性体も化合物(1)に包含される。これらの異性体は、公知の合成手法、分離手法(濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶等)によりそれぞれを単品として得ることができる。

【0063】
本発明の化合物(1)として、好ましい光学異性体は、一般式(1A):

【0064】
【化8】
JP0006347396B2_000009t.gif

【0065】
(式中、R、R、R、R、R及びnは、前記と同じ。)
で表される化合物又はその塩である。

【0066】
一般式(1A)で表される化合物のうち、好ましくはR、R、R、R及びRが各々水素原子であり、nが1又は2(好ましくは1)である化合物である。

【0067】
本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)及び金属を含有する錯体
本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)は、金属と錯体を形成することができる。本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)及び金属を含有する錯体(以下、「本発明の錯体」ということもある)は、例えば、本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)と後述する金属化合物とを、適当な溶媒(例えば、水、緩衝液等)に溶解することによって製造できる。

【0068】
本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)は上述した化合物(1)と同じである。

【0069】
金属としては、植物体内で必要な金属であれば特に制限はなく、例えば、マグネシウム(苦土、Mg)、カルシウム(Ca)等の多量要素;鉄(Fe)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)等の微量要素等が挙げられる。中でも、好ましい金属としては、銅又は鉄であり、より好ましくは鉄である。これら金属は、通常、金属イオン(1価、2価、3価等の金属イオン)の状態で存在しているが、0価の金属の状態で錯体を形成することもある。金属は、1種単独又は2種以上併用して含有することができる。

【0070】
金属の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。中でも、金属の含有量としては、通常、化合物(1)に対して、0.1~100mol%であり、好ましくは100mol%である。

【0071】
本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)及び金属を含有する混合物
上記本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)は、さらに金属化合物を含有し、混合物とすることができる。本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)及び金属を含有する混合物(以下、「本発明の混合物」ということもある)は、例えば、固体の本発明化合物(1)と固体の金属化合物を単に混合することで製造できる。

【0072】
本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)は上述した化合物(1)と同じである。

【0073】
混合する金属化合物としては、植物体内で必要な金属を含む化合物であれば特に制限はなく、例えば、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、鉄化合物、マンガン化合物、ホウ素化合物、亜鉛化合物、モリブデン化合物、銅化合物等が挙げられる。

【0074】
マグネシウム化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。

【0075】
カルシウム化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム等が挙げられる。

【0076】
鉄化合物としては、例えば、硫酸鉄、硝酸鉄、酸化鉄(Fe)、塩化第二鉄(FeCl)、又はこれらの水和物等が挙げられる。

【0077】
マンガン化合物としては、例えば、二酸化マンガン、硫酸マンガン五水和物、塩化マンガン四水和物等が挙げられる。

【0078】
ホウ素化合物としては、例えば、四ホウ酸ナトリウム10水和物、ホウ酸等が挙げられる。

【0079】
亜鉛化合物としては、例えば、硫酸亜鉛、亜鉛体等が挙げられる。

【0080】
モリブデン化合物としては、例えば、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸アンモニウム等が挙げられる。

【0081】
銅化合物としては、例えば、硫酸銅、銅等が挙げられる。

【0082】
中でも、好ましい金属化合物としては、銅又は鉄化合物であり、より好ましくは塩化第二鉄であり、特に好ましくは塩化第二鉄6水和物である。

【0083】
金属化合物は、1種単独又は2種以上併用して含有することができる。

【0084】
金属化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。中でも、金属化合物の含有量としては、通常、化合物(1)に対して、0.1~100mol%であり、好ましくは100mol%である。

【0085】
本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)の製造方法
本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)の製造方法は、以下の工程1~工程4を含む。

【0086】
【化9】
JP0006347396B2_000010t.gif

【0087】
(式中、R10、R20、及びR30は、同一又は異なって、カルボキシル基の保護基を示す。R40は、水酸基の保護基を示す。R50は、アミノ基の保護基を示す。Rは前記と同じ。)
ここで示される、カルボキシル基の保護基、水酸基の保護基、アミノ基の保護基は、前記のR、R、R、R、及びRで示されるそれぞれの保護基と同じ意味を示す。

【0088】
以下、各工程について説明する。

【0089】
(1)工程1
工程1は、一般式(5)で表される化合物(以下、化合物(5)という)のビニル基を酸化開裂させてアルデヒドとし、そのアルデヒドと一般式(6)で表される化合物(以下、化合物(6)という)とを反応(還元的アミノ化反応)させて、一般式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」という)を得る工程である。

【0090】
化合物(5)としては、例えば、アミノ基が保護基(R50)で保護されたアリルグリシンであり、例えば、Boc-L-アリルグリシン、Cbz-L-アリルグリシン、それらのカルボキシル基が保護基で保護された化合物等が挙げられる。

【0091】
化合物(5)は、市販品を用いることができ、又は市販品がない場合、例えば、Boc-L-アリルグリシン、Cbz-L-アリルグリシンは、市販のL-アリルグリシンから、PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS (T. W. Green; P. G. M. Wuts著)に記載の方法に準じて製造できる。

【0092】
化合物(6)としては、例えば、プロリン、ピペコリン酸、アゼピン-2α-カルボン酸等が挙げられる。

【0093】
工程1は、化合物(5)のビニル基を酸化開裂させてアルデヒドを得る工程、及び該アルデヒドを化合物(6)で還元的アミノ化反応させる工程を含む。

【0094】
化合物(5)と化合物(6)の使用割合は特に制限はなく、広い範囲から適宜選択できる。通常、化合物(5)1モルに対して、化合物(6)を1~5モル程度、好ましくは1~2モル程度使用する。

【0095】
酸化開裂工程の反応は酸化剤の存在下で行われる。該酸化剤としては、例えば、オゾン(O)、過マンガン酸塩、RuCl、OsO4-NaIO等が挙げられる。好ましい酸化剤としてはオゾンである。

【0096】
酸化剤の使用量としては、特に制限はない。

【0097】
オゾンを用いる酸化開裂反応は、例えば、化合物(5)を溶媒に溶解した溶液に、オゾンガスを吹き込むこと(バブリング)によって実施できる。

【0098】
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素系溶媒;酢酸エチル等の有機溶媒が挙げられる。好ましい溶媒としては、メタノールである。

【0099】
酸化開裂工程における反応温度としては、特に制限はなく、例えば、オゾンガスのバブリングは、約-100℃~-50℃の低温化で行われることが好ましい。

【0100】
酸化開裂工程における反応時間としては、特に制限はなく、例えば、オゾンガスのバブリングは、オゾンによる酸化開裂が終了してオゾンが溶液中で飽和されると溶液が青く着色することから、オゾンガスのバブリングは、溶液の色が青くなるまで行うことが好ましい。

【0101】
オゾンガスは、例えば、オゾンガス発生機等によって発生させることができる。オゾンガスのバブリング後は、過剰のオゾンを除去するため溶液の青色が消えるまで、溶液に、例えば、酸素、窒素、アルゴンガス等をバブリングすることが好ましい。これにより、アルデヒドを得る。

【0102】
次いで、該アルデヒドと化合物(4)との還元的アミノ化反応は、還元剤の存在下に行われる。還元的アミノ化反応は、酸化開裂反応に続きワンポットで実施することができる。或いは、酸化開裂反応後にアルデヒドを取得した後、別の反応系で実施することもできる。

【0103】
該還元剤としては、例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム等のホウ素化合物が挙げられる。好ましい還元剤としては、シアノ水素化ホウ素ナトリウムである。

【0104】
還元剤の使用量としては、特に制限はなく、広い範囲から適宜選択できる。通常、化合物(5)1モルに対して、還元剤を1~5モル程度、好ましくは1~2モル程度使用する。

【0105】
還元的アミノ化反応におけるpHは、通常約4~7であり、好ましくは約6~7である。

【0106】
還元的アミノ化反応の反応温度は特に限定されず、通常、冷却下、室温下及び加熱下のいずれでも反応が行われる。好ましくは、25℃~50℃程度の温度条件下に30分~24時間反応させるのがよい。

【0107】
工程1で得られる化合物(4)は、反応混合物を、例えば、冷却した後、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって粗反応生成物を分離し、カラムクロマトグラフィー、イオン交換樹脂、再結晶等の通常の精製操作によって、反応混合物から単離精製することができる。また、化合物(4)は単離精製することなく、次の反応に用いることもできる。

【0108】
(2)工程2
工程2は、化合物(4)のカルボキシル基を保護基(R10及びR20)で保護すると共に、アミノ基の保護基(R50)を脱保護することにより、一般式(3)で表される化合物(以下、「化合物(3)」という)又はその塩を得る工程である。

【0109】
カルボキシル基を保護基(R10及びR20)で保護する反応としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、化合物(4)とアルコールとの脱水縮合反応等が挙げられる。該反応に用いられるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、tert-ブタノール等が挙げられる。

【0110】
アミノ基の保護基(R50)の脱保護反応としては、特に制限はなく、例えば、文献記載の公知の方法[プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、T.W.Greene、John Wiley & Sons (1981) 参照]又はそれに準じる方法に従って、酸又は塩基を用いる脱保護方法、接触還元による脱保護方法等が挙げられる。

【0111】
酸としては、例えば、塩化水素(又は塩酸)、臭化水素(又は臭化水素酸)、フッ化水素(又はフッ化水素酸)、ヨウ化水素(又はヨウ化水素酸)、トリフルオロ酢酸、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、硫酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸;酸性イオン交換樹脂等が挙げられる。

【0112】
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の無機塩基;金属アルコキサイド類、有機アミン類、第四アンモニウム塩等の有機塩基;塩基性イオン交換樹脂等が挙げられる。

【0113】
酸又は塩基の使用量としては、特に制限はなく、化合物(4)1モルに対して、通常1~50モル、好ましくは1~30モルである。

【0114】
酸又は塩基を用いる脱保護の反応は、無溶媒又は溶媒中で行うことができる。溶媒を用いる場合、その溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に制限はなく、例えば、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール等);非プロトン性極性溶媒(例えば、アセトニトリル、DMF、DMSO等);ハロゲン化炭化水素系溶媒(例えば、DCM、DCE等);或いはこれらの混合溶媒等が挙げられる。

【0115】
例えば、化合物(4)のR50がBoc基等の場合、化合物(4)と塩酸/エタノール溶液とを反応させることにより、カルボキシル基を保護基で保護する反応及びアミノ基の保護基(R50)の脱保護反応を同時に行うことができる。該塩酸/エタノール溶液は、例えば、塩化アセチル(AcCl)を過剰量のエタノールに添加する方法、エタノールに塩酸ガスをバブリングする方法等により調製できる。

【0116】
塩化アセチルとエタノールとの割合としては、特に制限はなく、例えば、塩化アセチル1容量に対して、エタノール約20~50倍容量である。

【0117】
エタノールに塩酸ガスをバブリングする方法としては、予め秤量したエタノールと、塩酸ガスバブリング後のエタノールの重さを比べることによって、塩酸の溶解量を決めることができる。工程2の反応終了後、反応混合物を例えば減圧濃縮した後、これにトルエン等を加えて共沸蒸留により溶媒を留去させることができる。さらに、共沸蒸留後に例えば真空ポンプ等で吸引して乾燥させることができる。

【0118】
工程2の反応温度は特に限定されず、通常、冷却下、室温下及び加熱下のいずれでも反応が行われる。好ましくは、0℃~100℃程度の温度条件下に1~30時間反応させるのがよい。

【0119】
また、接触還元による脱保護方法としては、例えば、化合物(4)のR50が水素化分解される基の場合に適用できる。例えば、Pd、Pt、Ru、Rh等の遷移金属触媒による水素化分解を用いて行う方法;Pd-炭素、水酸化パラジウム-炭素(パールマン触媒)等の遷移金属を担持させた触媒による水素化分解を用いて行う方法;バーチ還元方法等が挙げられる。中でも、好ましい遷移金属触媒としては、Pd-炭素である。

【0120】
遷移金属触媒の使用量は、化合物(4)1モルに対して、通常0.01~5モル、好ましくは0.05~0.2モルである。

【0121】
接触還元による反応は、通常1~4気圧の水素雰囲気下で行われ、好ましくは1~2気圧である。

【0122】
該反応は通常溶媒中で実施される。その溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えば、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール等);エーテル系溶媒(例えば、THF、MTBE、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム等);エステル系溶媒(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル等);ハロゲン化炭化水素系溶媒(例えば、DCM、DCE等);水;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられる。好ましくは、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール等)である。

【0123】
接触還元による脱保護方法の反応温度は特に限定されず、通常、冷却下、室温下及び加熱下のいずれでも反応が行われる。好ましくは、室温~40℃程度の温度条件下に1~24時間反応させるのがよい。

【0124】
工程2で得られる化合物(3)は、反応混合物を、例えば、冷却した後、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって粗反応生成物を分離し、カラムクロマトグラフィー、イオン交換樹脂、再結晶等の通常の精製操作によって、反応混合物から単離精製することができる。また、化合物(3)は単離精製することなく、次の反応に用いることもできる。

【0125】
なお、得られた化合物(3)は遊離のアミノ基を有しているが、公知の方法を用いて、該アミノ基を塩酸、硫酸等の酸の塩に変換することもできる。

【0126】
(3)工程3
工程3は、化合物(3)と、一般式(2)で表されるアルデヒド化合物(以下、「アルデヒド化合物(2)」という)とを還元的アミノ化反応させることにより、一般式(1’)で表される化合物(以下、「化合物(1’)」という)を得る工程である。

【0127】
該工程3の反応は、通常溶媒中、上記工程1で記載した還元的アミノ化反応で用いられる還元剤の存在下で行うことができる。

【0128】
還元剤の使用量は、化合物(3)1モルに対して、通常0.5~10モル、好ましくは1~6モルである。

【0129】
アルデヒド化合物(2)は、例えば、Nishimaru, T et al. Peptide Science 2006, 42, 263-266.に記載の方法又は該記載の方法に準じて容易に製造できる。

【0130】
アルデヒド化合物(2)の使用量は、化合物(3)1モルに対して、通常少なくとも1モル、好ましくは1~5モル程度である。

【0131】
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等);非プロトン性極性溶媒(例えば、アセトニトリル、DMF、ジメチルスルホキシド等);又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。

【0132】
反応温度は特に限定されず、通常、冷却下、室温下及び加熱下のいずれでも反応が行われる。好ましくは、0℃~100℃程度の温度条件下に1~30時間反応させるのがよい。

【0133】
さらに、還元的アミノ化反応で得られた化合物の2級アミノ基を、必要に応じて、公知の方法を用いてアミノ基の保護基(R50)で保護してもよい。

【0134】
工程3で得られる化合物(1’)は、反応混合物を、例えば、冷却した後、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって粗反応生成物を分離し、カラムクロマトグラフィー、イオン交換樹脂、再結晶等の通常の精製操作によって、反応混合物から単離精製することができる。また、化合物(1’)は単離精製することなく、次の反応に用いることもできる。

【0135】
(4)工程4
工程4は、化合物(1’)におけるカルボキシル基の保護基(R10、R20、及びR30)、水酸基の保護基(R40)、及び必要に応じアミノ基の保護基(R50)を脱保護することにより、一般式(1B-1)で表される化合物(以下、「化合物(1B-1)」という)を得る工程である。

【0136】
工程4における脱保護の方法としては、上記工程2に記載した酸又は塩基を用いる脱保護方法、接触還元による脱保護方法、それらの組み合わせ等が挙げられる。これらの脱保護方法は、いずれも公知の方法を用いて実施することができる。

【0137】
例えば、保護基R10、R20、R30、R40、及びRの全てが、酸で脱保護できる保護基である場合には、酸を用いる脱保護方法を用いることができる。また、保護基R10、R20、R30、R40、及びRの全てが、塩基で脱保護できる保護基である場合には、塩基を用いる脱保護方法を用いることができる。保護基R10、R20、R30、R40、及びRが、塩基で脱保護できる保護基及び酸で脱保護できる保護基の両方を含む場合には、酸を用いる脱保護方法と塩基を用いる脱保護方法を組み合わせて実施することができる。

【0138】
具体的には、保護基R10及びR20がエチル基であり、R30及びR40がt-ブチル基であり、Rが水素原子である場合(実施例2を参照)、酸による処理と塩基による処理を組み合わせて脱保護することができる。酸としては、トリフルオロ酢酸等が挙げられ、塩基として水酸化ナトリウム(1N水酸化ナトリウム水溶液)等が挙げられる。酸及び塩基の処理の順番は特に限定なく、塩基処理の後、酸処理する方法、或いは、酸処理の後、塩基処理する方法のいずれでもよい。

【0139】
酸又は塩基を用いる脱保護方法は、通常、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、水;アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、t-ブタノール等);ハロゲン化炭化水素系溶媒(例えば、塩化メチレン(DCM)、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン(DCE)等);エーテル系溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、メチル-t-ブチルエーテル(MTBE)、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム等);酢酸エチル;ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等);酢酸;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられる。

【0140】
酸又は塩基の使用量としては、特に制限はなく、化合物(1’)1モルに対して、通常1~20モル、好ましくは1~10モルである。

【0141】
酸又は塩基を用いる脱保護方法においては、酸又は塩基自体が液体の場合は、溶媒の役割も担うことができる。そのため、酸又は塩基を過剰量加えることもできる。

【0142】
反応温度は特に限定されず、通常、冷却下、室温下及び加熱下のいずれでも反応が行われる。好ましくは、室温付近~85℃程度の温度条件下に30分~30時間反応させるのがよい。

【0143】
工程4で得られる化合物(1B-1)は、反応混合物を、例えば、冷却した後、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって粗反応生成物を分離し、カラムクロマトグラフィー、イオン交換樹脂、再結晶等の通常の精製操作によって、反応混合物から単離精製することができる。

【0144】
なお、本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)は、上記化合物(1’)及び化合物(1B-1)を包含する概念である。

【0145】
3.用途
上記本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)、本発明の錯体、及び本発明の混合物は、肥料、植物成長調整剤等の用途に用いることができる。

【0146】
植物成長調整剤という用語は、植物成長抑制剤(植物成長阻害剤)又は植物成長促進剤のいずれかを意味する。本明細書において、「植物成長調整剤」は「ホルモン」の意味も含まれている。

【0147】
本発明の肥料又は植物成長調整剤に含有する複素環含有アミノ酸化合物(1)は、一種を単独で使用でき、又は二種以上を併用できる。

【0148】
さらに、本発明の肥料又は植物成長調整剤は、上記本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1)、本発明の錯体、又は本発明の混合物の他に、公知の肥料、公知の植物成長調整剤、公知の植物ホルモン等を含有することができる。

【0149】
本発明の肥料又は植物成長調整剤は、流通、保管等の便宜及び保存安定性の観点から、粉体等の固体とするのが好ましい。使用時において、栽培方法に適した形態として使用すればよく、例えば、従来の土耕栽培法においては、粉体をそのまま栽培土壌に施肥し、養液土耕栽培法においては粉体を水に溶かして水溶液の形態で使用することができる。

【0150】
本発明において、作物とは、従来から栽培されている農園芸用植物を全て包含し、具体的には、例えば、イネ、ムギ、トウモロコシ等の稲科植物;野菜;果樹;花卉;観葉植物等を挙げることができる。
【実施例】
【0151】
以下、実施例及び比較例を示して、本発明の複素環含有アミノ酸化合物及びその製造方法について具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
【実施例】
【0152】
実施例及び参考例において以下の略語を使用することがある。
【実施例】
【0153】
Et:エチル基
Bu:ブチル基
MeOH:メタノール
EtOH:エタノール
NaBH3CN:シアノ水素化ホウ素ナトリウム
TLC:薄層クロマトグラフィー
CHCl3:クロロホルム
TFA:トリフルオロ酢酸
NH3:アンモニア
Boc:tert-ブトキシカルボキル基
M:モル濃度 mol/L
【実施例】
【0154】
参考例1:化合物(4a-1)の製造
【実施例】
【0155】
【化10】
JP0006347396B2_000011t.gif
【実施例】
【0156】
Boc-L-アリルグリシン(5a-1)(197 mg, 0.91 mmol) のメタノール溶液を-78℃に冷却し、溶液が青くなるまでオゾンガス(O3)をバブリングした。青色が消失するまでN2をバブリングしたのち、この溶液にL-プロリン(6a-1) (116 mg, 1.0 mmol)及びNaBH3CN (62.8 mmol, 1.0 mmol) を加え、室温で1時間撹拌した。反応の終了をTLCで確認したのち、この溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー (CHCl3:MeOH = 2:1→1:1) で精製することで、無色オイル状の化合物(4a-1)(326.2 mg, 0.91 mmol)を得た。
【実施例】
【0157】
化合物(4a-1):
1H NMR (400 MHz, CD3OD): d =4.08 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 3.86 (dd, J = 9.2, 5.6 Hz, 1H), 3.73 (ddd, J = 10.8, 7.2, 4.0 Hz, 1H), 3.48-3.38 (m, 1H), 3.18-3.05 (m, 2H), 2.47-2.37 (m, 1H), 2.25-2.03 (m, 4H), 2.00-1.88 (m,1H), 1.44 (s, 9H)
【実施例】
【0158】
実施例1:化合物(1a-1)の製造
【実施例】
【0159】
【化11】
JP0006347396B2_000012t.gif
【実施例】
【0160】
化合物(4a-1)(326.2 mg, 0.91 mmol)に対して、冷やした無水HCl/EtOH (塩化アセチル(2 mL)とエタノール(25 mL)とから調製したHCl/EtOH) を加え、室温で21時間撹拌した。反応の終了をTLCで確認したのち、この溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をトルエン共沸により脱水し、真空で数時間乾燥させた。得られた残渣のメタノール(15 mL)溶液に対して、アルデヒド化合物(2a-1)(635 mg, 2.76 mmol)及びNaBH3CN(180 mg, 2.86 mmol)を加え、室温で10時間撹拌した。TLCで反応の終了を確認したのち、この反応溶液に対して、飽和の炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)を加えた。この溶液を酢酸エチルで抽出し、集めた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。その後ろ過を行い、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル (2:1)→酢酸エチル)で精製し、無色オイル状の化合物(1a-1) (38.6 mg, 0.079 mmol, 9%) を得た。
【実施例】
【0161】
化合物(1a-1):
1H NMR (400 MHz, CD3OD): d = 4.17 (dq, J = 10.4, 3.2Hz, 4H), 4.02 (dd, J = 6.8, 4.8 Hz, 1H), 3.35 (t, J = 6.8 Hz, 1H), 3.20-3.11 (m, 2H), 2.83-2.76 (m, 1H), 2.72-2.65 (m, 1H), 2.60-2.47 (m, 2H), 2.37 (dd, J = 16.4, 8.4 Hz, 1H), 2.13 (m, 1H), 1.93-1.74 (m, 7H), 1.47 (s, 9H), 1.27 (dt, J = 7.6, 4.4 Hz, 6H), 1.18 (s, 9H)
【実施例】
【0162】
実施例2:化合物(1b-1)の製造
【実施例】
【0163】
【化12】
JP0006347396B2_000013t.gif
【実施例】
【0164】
化合物(1a-1) (38.6 mg, 0.079 mmol) のCH2Cl2 (0.6 mL) 溶液に対して、TFA (0.3 mL) を加え、室温で18時間撹拌した。反応の終了をTLCで確認したのち、この溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣に対して、1Mの水酸化ナトリウム水溶液 (0.42 mL) を加え、0℃で3時間撹拌したのち、反応溶液を室温に昇温しさらに18時間撹拌した。反応の終了をTLCで確認したのち、この溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をイオン交換樹脂 (商品名:Dowex 50W(登録商標)×8、メーカー名:ダウケミカル社製) (H2O→5% NH3) で精製することで、白色固体の化合物(1b-1)(27.5 mg, 99%)を得た。
【実施例】
【0165】
化合物(1b-1):
1H NMR (500 MHz, D2O): δ= 3.89 (dd, J = 8.0, 4.0 Hz, 1H), 2.97 (td, J = 8.0, 4.0 Hz, 1H), 2.90 (dt, J = 10.3, 8.0), 2.56 (td, J = 12.0, 5.7 Hz, 1H), 2.52 (td, J = 9.7, 5.7 Hz, 1H), 2.38 (td, J = 10.3, 5.7 Hz, 1H), 2.29 (td, J = 11.5, 4.6 Hz, 1H), 2.22 (q, J = 8.6 Hz, 1H), 1.99 (dtd, J = 12.0, 9.2, 2.9 Hz, 1H), 1.78-1.55 ppm (m, 7H)
【実施例】
【0166】
試験例1:ムギネ酸鉄錯体トランスポーターHvYS1を発現させたアフリカツメガエル卵母細胞における電気生理活性
pSP64Poly(A)ベクター(Promega社製)のXbaIとBamHIの制限酵素サイトにHvYS1 cDNA(DNA Data Bank of Japan: DDBJ accession No.AB214183)を挿入し、これを用いてAmbion社のmMESSAGE mMACHINE KitでcRNAを作製した。
【実施例】
【0167】
アフリカツメガエル成体メス(浜松生物教材株式会社から購入)の腹部を切開し、卵母細胞(Xenopus Oocytes)を摘出した。そして、collagenase typeIA(Sigma社製)を2 mg/mLとしたOR-2溶液(82.5 mM NaCl,2 mM KCl、1 mM MgCl、5 mM HEPES (pH 7.6))が入った遠沈管に卵母細胞を移し、室温で約2時間インキュベートした後、OR-2溶液で3回、さらにND-96溶液(96 mM NaCl,2 mM KCl、1 mM MgCl、1.8 mM CaCl,5 mM HEPES(pH 7.6))で3回洗浄した。cRNA 500 ng/μL,50 nLをデジタル式マイクロディスペンサー(Drummond SCIENTIFIC)で、アフリカツメガエルの卵母細胞に注入した。卵母細胞はND-96溶液中、17℃で72時間培養した。
【実施例】
【0168】
次に、HvYS1タンパク質の基質であるデオキシムギネ酸(DMA)の鉄錯体(試験液1)と本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1b-1)(プロリン-デオキシムギネ酸、Pro-DMA)の鉄錯体(試験液2)を、次のとおり各々作製した。DMA及びPro-DMAが各々200 mMになるように、10 mM MES/Tris (pH6.0) bufferに溶かし、塩化第二鉄(FeCl3-6H2O)100 mM水溶液を10 μLずつ混ぜて、さらにMES/TRIS Buffer (pH 6.0)113.3μL加えて、室温で2時間、暗室で攪拌して鉄錯体を各々調製した(7.5 mM)。各々の鉄錯体を14000rpmで15分間、遠心ろ過(メルク Ultra free-MC-GV (UFC30GVNB))し、反応基質とした。HvYS1を発現させた卵母細胞をND-96溶液で充たしたチャンバーにセットし、作製した各々の基質7.5 mMを10 μLかけて(最終濃度50 μM)電気生理活性を測定した。卵母細胞に2本の3M KClを充たした微小電極(内部抵抗0.5-2 MΩ)を差し込み、実験槽の電位を0 mVに固定したモードで、Axoclamp-2型二電極電位固定アンプ(アクソン社製)を用いて電位固定した。電流は1 kHzのローパスフィルター(-3dB,8ポールベッセル型フィルター/サイバー アンプ、アクソン社製)を通し、デジデータ1200型インターフェース(アクソン社製)を用いて10 kHzでサンプリングし、デジタル化して保存した。電位のプログラム、記録及び保存したデータの解析は、ORIGIN 6.1 software(Microcal Software)を用いた。固定電位-60 mVで測定した。その結果を図1に示した。なお、図1中の、DDWは超純水を同量injectionした卵母細胞(oocytes)でnegative controlを意味する。測定数は、DDWがn=3であり、HvYS1が n=4である。
【実施例】
【0169】
<試験結果>
本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1b-1)の鉄錯体[Pro-DMA-Fe(III)](試験液2)は、デオキシムギネ酸鉄錯体[DMA-Fe(III)](試験液1)と同様に輸送活性が認められた。この結果から、DMAと同様にPro-DMAが鉄イオンを植物体内に輸送する能力を有していることが分かった。
【実施例】
【0170】
これまでに、DMA-鉄錯体が植物体内に取り込まれるとアルカリ性条件下でもイネが著しく成長することが報告されている(非特許文献2)。したがって、試験例1の結果から、本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1b-1)の金属錯体[Pro-DMA-Fe(III)]は、鉄イオンが植物体内に取り込まれることから、肥料又は植物成長調整剤として優れた効果を示すものと考えられる。
【実施例】
【0171】
試験例2:ムギネ酸鉄錯体トランスポーターHvYS1を発現させた昆虫細胞におけるアイソトープ鉄錯体の取り込み活性
昆虫細胞Sf9(Invitrogen life technologies)に昆虫細胞発現システム(バキュロウイルス発現/Bac-to-Bac(登録商標) システム)(Invitrogen life technologies)を用いて、HvYS1-HISタグ付き遺伝子をpFast-Bacベクターに導入した。HvYS1-HIS導入ベクターとベクターのみのBacmidを各々作製し、SF900 II無血清培地(Invitrogen life technologies)に4%牛血清、ペニシリンーストレプトマイシン混合溶液(ナカライテスク)を加えた培地で培養した50ml (2x106 cells)に、Bacmid 2 mlを各々加えて、28度、120rpmで3日間培養した。細胞培養液の細胞数をカウントし、各々5ml(2x106 cells)になるように15 ml遠心チューブに分注した。
【実施例】
【0172】
次に、デオキシムギネ酸(DMA)のアイソトープ鉄錯体(試験液3)と本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1b-1)(プロリン-デオキシムギネ酸、Pro-DMA)のアイソトープ鉄錯体(試験液4)を、次のとおり各々作製した。DMA、及びPro-DMAが各々200 mMになるように、10 mM MES/Tris (pH6.0) bufferに溶かした。塩化第二鉄(FeCl3-6H2O) 180 mM、及び鉄のアイソトープFe-55 (NEZ043 Lot 031114B 37.0MBq (PerkinElmer))20.4 mM (cold 1/5) を各々22 μL ずつ混ぜて、total 100 mM鉄溶液を作製した。DMA、Pro-DMAを各々200mMと鉄100 mMを各々10 μLずつ混ぜて、MES/TRIS Buffer (pH 6.0) 113.3 μL加えて室温で2時間、暗室でローテーションして鉄錯体を各々作製した(7.5 mM)。作製した各々の鉄錯体を14000 rpmで15分間、遠心ろ過(メルク Ultra free-MC-GV (UFC30GVNB))し、反応基質とした。
【実施例】
【0173】
ベクターのみ又は HvYS1-HISを発現させたSf9細胞培養液、各々 5 mlを1700 x g 5 min 遠心して、上清をとり、沈殿の細胞に 1 ml のSf9用培地 を加えて、2 mLの遠心チューブに移し、Fe(III)錯体 7.5 mM を各々7 μL加えた (最終濃度 50 μM)。室温1時間軽く揺らしながら反応し、1700 x g 5 minで上清をとる。PBS 1.0 mlで3回洗浄後、最後によくPBSをとる。1M NaOHを300 μl、PBSを200 μl各々のチューブに加えて、ボルテックスで溶解した。カウンティングバイアル (WHEATON No986492)にカクテル(ULTIMA GOLD (登録商標) PerkinElmer)3 mlを入れ、そこに全量を移し、シンチレーションカウンターでカウントした。その結果を図2に示した。
【実施例】
【0174】
<試験結果>
本発明の複素環含有アミノ酸化合物(1b-1)の金属錯体[Pro-DMA-Fe(III)](試験液4)は、デオキシムギネ酸金属錯体[DMA-Fe(III)](試験液3)と比べてほぼ同様の輸送活性が認められた(図2)。
【実施例】
【0175】
この結果から、ムギネ酸鉄錯体トランスポーター1HvYS1はDMAと同様にPro-DMAの鉄錯体も輸送することがわかった。
【実施例】
【0176】
試験例3:イネの水耕栽培における生育試験
イネ種子(日本晴)を10%過酸化水素水で30分滅菌した後、十分に蒸留水(脱塩水)でリンスし、一晩、蒸留水中で室温インキュベートした。その後、底を切り落とした96 wellプレートに播種し、250 mlの蒸留水中で栽培を開始した。毎日蒸留水を交換し、TOMY CFH-415 growth chamber (a photoperiod of 16 h light, 8 h dark at 28℃, a light intensity of 5,700 lux)内で1週間栽培した。
【実施例】
【0177】
一方、下記表1に示す各成分が下記表1に示す最終濃度になるように蒸留水で希釈した。0.5 M K2HPO4及び0.5 M KH2PO4でpH 8.0になるように調整し、これを培地に添加して、最終濃度5 mMリン酸バッファーになるように、水耕培地試験液5~8を作製した。
【実施例】
【0178】
この4種類の試験液を各々3本ずつ、栽培管に100 ml入れて、イネの幼苗を1本ずつ2週間栽培した。試験液は2~3日ごとに交換した。播種後3週間目に、それぞれのイネの状態の写真を撮影し(図3及び4)、イネの草丈を測定した(図5)。また、各試験液を用いて栽培した播種後3週間目のイネの葉に対して、コニカミノルタ社のSPAD-502 Plusを用いて、SPAD値(図6)を測定した。なお、SPAD値とは、葉緑素含量を示す値である。
【実施例】
【0179】
【表1】
JP0006347396B2_000014t.gif
【実施例】
【0180】
<結果>
その結果、図3~6に示すように、本発明の化合物を含む試験液8[Pro-DMA-Fe](ProDMAFe+)は、試験液7[DMA-Fe](DMAFe+)と同程度にpH 8.0のアルカリ培地でもイネの生育がよかった。
【産業上の利用可能性】
【0181】
本発明の複素環含有アミノ酸化合物又はその塩は、肥料及び植物成長調整剤として用いることができる。特に、アルカリ性土壌においても植物(イネ科植物等)の生育に大きな効果を発揮する。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5