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明細書 :距離測定装置及び距離測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-059789 (P2018-059789A)
公開日 平成30年4月12日(2018.4.12)
発明の名称または考案の名称 距離測定装置及び距離測定方法
国際特許分類 G01S  17/36        (2006.01)
G01S   7/491       (2006.01)
G01C   3/06        (2006.01)
FI G01S 17/36
G01S 7/491
G01C 3/06 120Q
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 8
出願番号 特願2016-196922 (P2016-196922)
出願日 平成28年10月5日(2016.10.5)
発明者または考案者 【氏名】田中 洋介
出願人 【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100090398、【弁理士】、【氏名又は名称】大渕 美千栄
【識別番号】100090387、【弁理士】、【氏名又は名称】布施 行夫
審査請求 未請求
テーマコード 2F112
5J084
Fターム 2F112AD01
2F112BA03
2F112BA06
2F112CA12
2F112DA40
2F112EA03
5J084AA05
5J084AD02
5J084BA03
5J084BA36
5J084BA43
5J084BB04
5J084BB24
5J084CA07
5J084CA08
5J084CA27
5J084CA33
5J084CA48
5J084EA04
5J084EA07
要約 【課題】簡素な構成で広範囲の測定を高精度に行うことが可能な距離測定装置等を提供すること。
【解決手段】距離測定装置は、強度変調されたレーザー光を発生する光発生部と、測定対象で反射した戻り光を、レーザー光の変調周波数と同一の変調周波数で強度変調する強度変調器と、光発生部及び強度変調器に変調信号を出力する信号発生器と、強度変調器で強度変調された戻り光を検出する光検出器と、信号発生器を制御し、光検出器からの検出信号に基づき測定対象までの距離を算出する制御部とを含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
強度変調されたレーザー光を発生する光発生部と、
測定対象で反射した戻り光を、前記レーザー光の変調周波数と同一の変調周波数で強度変調する強度変調器と、
前記光発生部及び前記強度変調器に変調信号を出力する信号発生器と、
前記強度変調器で強度変調された戻り光を検出する光検出器と、
前記信号発生器を制御し、前記光検出器からの検出信号に基づき前記測定対象までの距離を算出する制御部とを含む、距離測定装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記光検出器のカットオフ周波数は、前記変調周波数よりも低い、距離測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2において
前記制御部は、
前記変調周波数を掃引したときの前記検出信号の変化に基づいて前記測定対象までの距離を算出する、距離測定装置。
【請求項4】
強度変調されたレーザー光を光発生部により発生する光発生ステップと、
測定対象で反射した戻り光を、強度変調器により前記レーザー光の変調周波数と同一の変調周波数で強度変調する強度変調ステップと、
前記強度変調器で強度変調された戻り光を光検出器により検出する光検出ステップと、
前記光検出器からの検出信号に基づき前記測定対象までの距離を算出する制御ステップとを含む、距離測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、距離測定装置及び距離測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、強度変調されたレーザー光を測定対象に向けて出射し、測定対象からの反射光と基準信号との強度相関をとって距離を測定する手法が知られている(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】松本弘一、「高精度測距技術」、光学、vol.23、no.3、pp.170-175、1994
【0004】

【特許文献1】特開2007-205949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
強度変調されたレーザー光を用いた距離測定法では、原理的には広範囲の測定を高精度に行うことができる。しかしながら、非特許文献1に開示された、測定対象からの戻り光を光検出器で電気信号に変換し、基準となる電気信号(参照信号)との強度相関をとる手法では、相関器(位相計)の帯域によって受信できる信号の帯域が制限されるため、1台の装置で広範囲の測定を行うことは困難であった。また、特許文献1に開示された、戻り光と基準となる光信号との強度相関を受光素子の非線形応答でとる手法では、受信できる信号の帯域が極めて広く、広範囲の測定が可能である。しかしながら、この手法では、非線形応答を引き起こすために、光増幅器を用いて光パワーを増幅させる必要があり、また、基準光との干渉雑音を防ぐために、2台の光源を用いる必要があった。
【0006】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡素な構成で広範囲の測定を高精度に行うことが可能な距離測定装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、強度変調されたレーザー光を発生する光発生部と、測定対象で反射した戻り光を、前記レーザー光の変調周波数と同一の変調周波数で強度変調する強度変調器と、前記光発生部及び前記強度変調器に変調信号を出力する信号発生器と、前記強度変調器で強度変調された戻り光を検出する光検出器と、前記信号発生器を制御し、前記光検出器からの検出信号に基づき前記測定対象までの距離を算出する制御部とを含む、距離測定装置に関する。
【0008】
また、本発明は、強度変調されたレーザー光を光発生部により発生する光発生ステップと、測定対象で反射した戻り光を、強度変調器により前記レーザー光の変調周波数と同一の変調周波数で強度変調する強度変調ステップと、前記強度変調器で強度変調された戻り光を光検出器により検出する光検出ステップと、前記光検出器からの検出信号に基づき前記測定対象までの距離を算出する制御ステップとを含む、距離測定方法に関する。
【0009】
本発明によれば、戻り光を光源(レーザー光)の変調周波数と同一の変調周波数で強度
変調し、強度変調された戻り光の検出信号に基づき距離を算出することで、簡素な構成で広範囲の測定を高精度に行うことができる。
【0010】
(2)また本発明に係る距離測定装置及び距離測定方法では、前記光検出器としてカットオフ周波数が前記変調周波数よりも低い光検出器を用いてもよい。
【0011】
本発明によれば、検出信号に別途信号処理を施すことを要せず、簡素な構成で強度変調された戻り光の高周波成分を除去することができる。
【0012】
(3)また本発明に係る距離測定装置及び距離測定方法では、前記制御部は(前記制御ステップでは)、前記変調周波数を掃引したときの前記検出信号の変化に基づいて前記測定対象までの距離を算出してもよい。
【0013】
本発明によれば、簡素な構成で広範囲にわたる複数の反射点までの距離を精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る距離測定装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】変調周波数と検出信号の強度との関係を示す図である。
【図3】他の実施形態に係る距離測定装置の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。

【0016】
1.構成
図1は、本実施形態に係る距離測定装置の構成を模式的に示す図である。距離測定装置1は、光発生部として機能するレーザー光源10と、強度変調器20と、信号発生器30と、光検出器40と、演算処理部(プロセッサー)及び記憶部を有する制御部50とを含む。

【0017】
レーザー光源10は、変調周波数fで強度変調されたレーザー光を発生する。レーザー光源10から出射されたレーザー光はレンズ11で平行光となり、ハーフミラー12を透過して測定対象Tに至る。測定対象Tで反射した戻り光(測定対象Tからの反射光)は、ハーフミラー12で反射され、強度変調器20に入射する。

【0018】
強度変調器20は、測定対象Tで反射した戻り光を、変調周波数f(レーザー光源10の変調周波数と同一の変調周波数)で強度変調する。

【0019】
信号発生器30は、制御部50からの制御信号に基づき、レーザー光源10及び強度変調器20に変調周波数fの変調信号を出力する。

【0020】
光検出器40は、強度変調器20で強度変調された戻り光を検出する。光検出器40からの検出信号(電気信号)は、図示しないAD変換器によりデジタルデータに変換され、制御部50に出力される。ここで、光検出器40のカットオフ周波数は変調周波数fよりも低く、光検出器40は、強度変調された戻り光の直流成分のみを検出する。

【0021】
制御部50は、信号発生器30を制御し、また、光検出器40からの検出信号(AD変換器の出力信号)に基づいて測定対象Tまでの距離Lを算出する。制御部50は、信号発
生器30を制御して変調周波数fを一定の周波数間隔で離散的に掃引(例えば、数十MHz~数GHzまで、数十kHzのステップで掃引)し、変調周波数fを掃引したときの検出信号の変化に基づいて距離Lを算出してもよい(第1の手法)。また、制御部50は、信号発生器30を制御してレーザー光源10又は強度変調器20のいずれか一方に出力する変調信号の位相を掃引し、当該変調信号の位相を掃引したときの検出信号の変化に基づいて距離Lを算出してもよい(第2の手法)。

【0022】
2.本実施形態の手法
レーザー光源10からのレーザー光は周波数fで強度変調されている。強度変調されたレーザー光の強度Iは、以下の式(1)で表される。

【0023】
【数1】
JP2018059789A_000003t.gif
ここで、α、aは定数であり、tは時間である。

【0024】
測定対象Tで反射した戻り光は、強度変調器20において再び周波数fで強度変調される。強度変調された戻り光の強度I’は、以下の式(2)で表される。

【0025】
【数2】
JP2018059789A_000004t.gif
ここで、β、bは定数であり、θは初期位相であり、Lは、所与の基準位置から測定対象Tまでの距離であり、nは周囲(光が伝播する媒質)の屈折率であり、cは光速である。

【0026】
強度変調された戻り光を、帯域の狭い(カットオフ周波数が変調周波数fよりも低い)光検出器40で検出すると、高周波成分(式(2)の3行目におけるtを含む項)が除去され、直流成分のみが得られる。光検出器40で得られる検出信号の強度Sは、以下の式(3)で表される。

【0027】
【数3】
JP2018059789A_000005t.gif
ここで、γは定数である。

【0028】
本実施形態の第1の手法では、変調周波数fを掃引したときの検出信号の変化に基づき距離Lを算出する。変調周波数fを掃引すると、図2に示すように、検出信号の強度Sは、周波数掃引幅c/2nLを周期として正弦波状に変化する(反射点が1点の場合)。この周期の逆数から距離Lを直ちに求めることができる。実際には、周波数の掃引に応じて周期的に変化する検出信号をフーリエ変換することで距離Lを算出する。第1の手法
では、検出信号の周波数スペクトルから、レーザー光の伝播経路上に半透明の反射体等があった場合も含め、全ての反射点までの距離Lを算出することができる。

【0029】
本実施形態の第2の手法では、レーザー光源10又は強度変調器20のいずれか一方に出力する変調信号の位相を掃引したときの検出信号の変化に基づき距離Lを算出する。変調信号の位相を掃引すると検出信号の強度は正弦波状に変化する。変調信号の位相が0であるときの検出信号の位相をΔΦ(f)とすると、距離Lは、以下の式(4)で表される。

【0030】
【数4】
JP2018059789A_000006t.gif
ここで、kは整数である。変調周波数fが高く、強度変調されたレーザー光の1周期分の波長が測定距離に比べて小さい場合、空間分解能は向上するが、kが0以外の整数となり、測定値に波長の整数倍の不定性が生じる。そこで、まず、低い変調周波数fm,l(1周期分の波長が測定距離よりも大きくなる変調周波数)によってk=0のときについて低分解能で距離L(fm,l)を測定する。その上で、高い変調周波数fm,h(1周期分の波長が測定距離よりも小さくなる変調周波数)によって測定を行い、変調信号の位相が0であるときの検出信号の位相ΔΦ(fm,h)を求めるとともに、以下の式(5)によりkを求める。

【0031】
【数5】
JP2018059789A_000007t.gif
ここで、FL[x]は、xを超えない最大の整数を与える関数である。式(5)で得られたkを式(4)に代入すると、高い変調周波数fにより距離Lを求めることができる。第2の手法では、高い変調周波数fを用いることができるため、空間分解能を向上することができる。また、限られた範囲の位相掃引を行うだけで距離を測定することができるため、測定時間を短縮することができる。

【0032】
本実施形態の手法によれば、強度変調器20(光変調器)を用いて、戻り光をレーザー光源10の変調周波数と同一の周波数で強度変調し、強度変調された戻り光を帯域の狭い(従って安価な)光検出器40で検出するだけで、強度相関をとることができる。光を強度変調する強度変調器の帯域は極めて広く、また、光損失は小さいため、光増幅器や複数台の光源を用いることなく簡素な構成で広範囲にわたる正確な距離測定を行うことができる。

【0033】
なお、実際の測定では、まず、レーザー光源10からのレーザー光を直接(ハーフミラー12から先の往復の光路がない状態で)強度変調器20に入射させ、このときに式(3)により算出される距離をLとし、Lを基準値とする。その上で、ハーフミラー12から先の往復の光路がある状態で測定を行い、このときに式(3)により算出される距離をLとし、Lと基準値Lとの差(L-L)を、測定対象Tまでの距離Lとして求める。

【0034】
3.変形例
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及
び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

【0035】
例えば、上記実施形態では、変調信号をレーザー光源10に出力してレーザー光を変調する直接変調方式を採用した場合について説明したが、光発生部をレーザー光源と変調器とで構成し、変調信号を当該変調器に出力してレーザー光を変調する外部変調方式を採用することもできる。

【0036】
また、上記実施形態では、帯域の狭い光検出器40を用いて、強度変調された戻り光の高周波成分を除去する(直流成分のみを検出する)構成について説明したが、光検出器からの検出信号をフィルタ(例えば、ローパスフィルタ)に入力させることで、強度変調された戻り光の高周波成分を除去するように構成してもよい。また、制御部50において光検出器からの検出信号(デジタルデータ)を信号処理することで、強度変調された戻り光の高周波成分を除去するように構成してもよい。

【0037】
また、上記実施形態では、変調信号の周波数或いは位相を掃引する構成について説明したが、変調信号の周波数或いは位相を掃引することに代えて、変調信号を位相変調するように構成してもよい。図3は、変調信号を位相変調する場合の距離測定装置の構成を模式的に示す図である。なお、図3において、図1の構成と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。図3に示す距離測定装置1は、位相変調器60とフィルタ70とを更に含む。位相変調器60は、信号発生器30から強度変調器20に出力される変調信号を位相Φで位相変調する。変調信号の基本周波数をf、変調周波数をf、振幅をVとすると、位相変調された変調信号Sは、Vcos(2πft+Φcos2πft)で表される。なお、信号発生器30が発生する変調信号は、Vcos(2πft)で表される。

【0038】
このとき、光検出器40で得られる検出信号の強度Sは、以下の式(6)で表される。

【0039】
【数6】
JP2018059789A_000008t.gif
ここで、J、Jはベッセル関数であり、式(6)の2行目はベッセル関数による展開式(周波数f成分及び周波数2f成分を抜粋)を示している。この実施形態では、検出信号の周波数f成分と周波数2f成分の振幅をフィルタ70(ロックインアンプ)を用いて測定し、制御部50において、両者の比を算出し、算出した比から距離Lを算出する。検出信号の周波数f成分の振幅と周波数2f成分の振幅の比をRとすると、比Rは、以下の式(7)で表され、距離Lは、以下の式(8)で表される。

【0040】
【数7】
JP2018059789A_000009t.gif
この実施形態によれば、測定対象までの凡その距離が既知である場合に、変調信号の周波数や位相の掃引を行うことなく、距離Lを測定することができる。変調信号の基本周波数fは、例えば数MHz~数GHzの範囲で設定し、変調周波数fは、例えば数百kHz~数MHzの範囲で設定する。例えば、位相Φを0.5rad、基本周波数fを910MHz、変調周波数fを62kHzとした場合、凡そ1~3mmの範囲で距離Lを測定することができる。また、基本周波数fを低くすれば、より長い距離を測定することができる。例えば、上記の条件で基本周波数fを910kHzとした場合、凡そ1~3mの範囲で距離Lを測定することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…距離測定装置、10…レーザー光源、11…レンズ、12…ハーフミラー、20…強度変調器、30…信号発生器、40…光検出器、50…制御部、60…位相変調器、70…フィルタ、T…測定対象
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2