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明細書 :コア-シェル型高分子微粒子、粒子分散液及び前記微粒子の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-111776 (P2018-111776A)
公開日 平成30年7月19日(2018.7.19)
発明の名称または考案の名称 コア-シェル型高分子微粒子、粒子分散液及び前記微粒子の製造方法
国際特許分類 C08F   2/22        (2006.01)
FI C08F 2/22
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 20
出願番号 特願2017-003278 (P2017-003278)
出願日 平成29年1月12日(2017.1.12)
発明者または考案者 【氏名】杉原 伸治
【氏名】西浦 崇雄
【氏名】藤浦 健斗
出願人 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
【識別番号】000157603
【氏名又は名称】丸善石油化学株式会社
個別代理人の代理人 【識別番号】110000084、【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
【識別番号】100077562、【弁理士】、【氏名又は名称】高野 登志雄
【識別番号】100096736、【弁理士】、【氏名又は名称】中嶋 俊夫
【識別番号】100117156、【弁理士】、【氏名又は名称】村田 正樹
【識別番号】100111028、【弁理士】、【氏名又は名称】山本 博人
審査請求 未請求
テーマコード 4J011
Fターム 4J011AA08
4J011KA27
4J011KB08
4J011KB14
4J011KB22
4J011KB29
要約 【課題】界面活性剤や高分子アゾ開始剤を使用しない方法で製造可能であり、水性媒体に対し良好な分散性を示し、且つ分散剤や金属保護安定剤、金属吸着剤等として有用な、シェル部とコア部とからなるコア-シェル型高分子微粒子を提供すること。
【解決手段】親水性ビニルエーテル重合体(a)を含むシェル部と疎水性重合体(b)を含むコア部とからなるコア-シェル型高分子微粒子。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
親水性ビニルエーテル重合体(a)を含むシェル部と疎水性重合体(b)を含むコア部とからなるコア-シェル型高分子微粒子。
【請求項2】
前記シェル部が、前記親水性ビニルエーテル重合体(a)から構成され、且つ前記コア部が、前記疎水性重合体(b)から構成されるものである請求項1に記載の微粒子。
【請求項3】
前記親水性ビニルエーテル重合体(a)が、下記式(1)
【化1】
JP2018111776A_000007t.gif
[式(1)中、R1は、炭素数1~5のアルカンジイル基を示し、R2は、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示し、nは1~10の整数である。]
で表されるものである請求項1又は2に記載の微粒子。
【請求項4】
前記疎水性重合体(b)を構成する単量体が、オレフィン、ビニル芳香族化合物、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体、及び飽和脂肪族カルボン酸のビニルエステルから選ばれる1種又は2種以上の単量体である請求項1~3のいずれか1項に記載の微粒子。
【請求項5】
平均粒子径が100~2000nmである請求項1~4のいずれか1項に記載の微粒子。
【請求項6】
前記親水性ビニルエーテル重合体(a)及び前記疎水性重合体(b)が、線状重合体である請求項1~5のいずれか1項に記載の微粒子。
【請求項7】
親水性ビニルエーテル重合体と疎水性単量体とを水性媒体中で乳化重合させて得られるものである、請求項1~6のいずれか1項に記載の微粒子。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の微粒子が分散している粒子分散液。
【請求項9】
親水性ビニルエーテル重合体と疎水性単量体とを水性媒体中で乳化重合させる重合工程を含む、コア-シェル型高分子微粒子の製造方法。
【請求項10】
前記重合工程を、界面活性剤非存在下で行うものである、請求項9に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、コア-シェル型高分子微粒子、粒子分散液及び前記微粒子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高分子微粒子は、優れた分散性を示すことが知られており、塗料や接着剤、化粧品等の分散剤として用いられている。中でもコア-シェル型の高分子微粒子は、粒子のコア部(中心部)とシェル部(表面部)を形成する高分子量体の種類が異なるため、高分子量体の種類をそれぞれ選定することで、コア部とシェル部の化学的特性を変えることができる。その特性により、上記用途に加えて、診断薬やドラッグデリバリーシステム等の医療用途への応用も検討されている。
【0003】
一般に、高分子微粒子の製造法としては、分散重合や懸濁重合、乳化重合が知られている(特許文献1、特許文献2)。これらの重合法では微粒子の分散性を保つために、界面活性剤が使用されていたが、界面活性剤を使用した場合は、反応液や微粒子を廃棄する際に、反応液に含まれる界面活性剤や微粒子に残存した界面活性剤が環境へ悪影響を及ぼすおそれがある。
そのため、非特許文献1に記載の技術では、界面活性剤の代わりにコモノマーを添加することで微粒子の凝集を抑制しているが、このようにコア成分とシェル成分の他に第三成分であるコモノマーを添加した場合、コモノマー由来の化学構造によって微粒子の化学的特性が所望の特性とは別のものとなり、目的とする機能に影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
また、特許文献3には、界面活性剤を使用せずにコア-シェル型高分子微粒子を製造する方法として、PEG系高分子アゾ開始剤及び疎水性ビニル系モノマーを乳化重合させる方法が記載されている。
しかしながら、上記のコア-シェル型高分子微粒子は、PEG系高分子アゾ開始剤を多量に用いて合成されたものであるため、微粒子中に高分子アゾ開始剤の分解生成物が多く残存している。アゾ開始剤の分解生成物は毒性が強いため、この微粒子は、用途によっては使用が制限される。
また、上記のコア-シェル型高分子微粒子は、シェル部を構成するものがPEG系高分子アゾ開始剤に限られていることから、シェル部の化学的特性を所望の特性に変化させることが困難という問題もある。また、工業的に製造する場合、開始剤使用量の増大はコスト面や原料調達の際に問題となる。
【0005】
また、非特許文献2に記載の技術では、一般的に多用されている親水性ポリビニルアルコール(PVA)を、シェル部を誘導する重合体として使用し、これを分散剤として作用させ、酢酸ビニルやメタクリル酸メチルを乳化重合させる手法でコア-シェル型微粒子を合成している。
しかしながら、ポリビニルアルコールの粒子が重合中に微粒子を被覆してしまうため、上記手法によって得られた微粒子は、100nm以上の微粒子(一次粒子)とはならない。また、PVAが分子間で会合する影響で、凝集やこれによる粒子サイズの増大(二次粒子の発生)が生じ、粒子径分布が広くなり、分散安定性や機能の発現に問題がある。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2008-274045号公報
【特許文献2】特許第5586885号公報
【特許文献3】特開2006-257139号公報
【特許文献4】特許第5936184号公報
【0007】

【非特許文献1】Soft Matter, 2007, 3, 1003-1013
【非特許文献2】日本ゴム協会誌,2006, 79, 67-72
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、ビニルエーテル重合体は、熱刺激応答性や生体適合性を示すことが知られ、樹脂改質剤や金属保護安定剤、金属吸着剤、医療用途への応用が期待されるものである。
ビニルエーテル化合物の重合法は数多く検討されてきたが、親水性ビニルエーテル、特に水酸基含有ビニルエーテル(特許文献4)やポリエーテル構造含有ビニルエーテルのラジカル重合法は、近年新たに見出されたものであり、この技術を利用した応用研究は非常に少ない。
【0009】
本発明の課題は、界面活性剤や高分子アゾ開始剤を使用しない方法で製造可能であり、水性媒体に対し良好な分散性を示し、且つ分散剤や金属保護安定剤、金属吸着剤等として有用な、シェル部とコア部とからなるコア-シェル型高分子微粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、親水性ビニルエーテル重合体(a)を含むシェル部と疎水性重合体(b)を含むコア部とからなるコア-シェル型高分子微粒子が、界面活性剤や高分子アゾ開始剤を使用しない方法で製造可能であり、水性媒体に対し良好な分散性を示し、且つ分散剤や金属保護安定剤、金属吸着剤等として有用であることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、以下の<1>~<10>を提供するものである。
<1> 親水性ビニルエーテル重合体(a)を含むシェル部と疎水性重合体(b)を含むコア部とからなるコア-シェル型高分子微粒子(以下、「本発明の微粒子」とも称する)。
<2> 前記シェル部が、前記親水性ビニルエーテル重合体(a)から構成され、且つ前記コア部が、前記疎水性重合体(b)から構成されるものである前記<1>に記載の微粒子。
<3> 前記親水性ビニルエーテル重合体(a)が、下記式(1)
【0012】
【化1】
JP2018111776A_000002t.gif

【0013】
[式(1)中、R1は、炭素数1~5のアルカンジイル基を示し、R2は、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示し、nは1~10の整数である。]
で表されるものである前記<1>又は<2>に記載の微粒子。
【0014】
<4> 前記疎水性重合体(b)を構成する単量体が、オレフィン、ビニル芳香族化合物、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体、及び飽和脂肪族カルボン酸のビニルエステルから選ばれる1種又は2種以上の単量体である前記<1>~<3>のいずれかに記載の微粒子。
<5> 平均粒子径が100~2000nmである前記<1>~<4>のいずれかに記載の微粒子。
<6> 前記親水性ビニルエーテル重合体(a)及び前記疎水性重合体(b)が、線状重合体である前記<1>~<5>のいずれかに記載の微粒子。
<7> 親水性ビニルエーテル重合体と疎水性単量体とを水性媒体中で乳化重合させて得られるものである、前記<1>~<6>のいずれかに記載の微粒子。
【0015】
<8> 前記<1>~<7>のいずれかに記載の微粒子が分散している粒子分散液(以下、「本発明の粒子分散液」とも称する)。
【0016】
<9> 親水性ビニルエーテル重合体と疎水性単量体とを水性媒体中で乳化重合させる重合工程を含む、コア-シェル型高分子微粒子の製造方法(以下、「本発明の微粒子製造方法」とも称する)。
<10> 前記重合工程を、界面活性剤非存在下で行うものである、前記<9>に記載の方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明の微粒子は、界面活性剤や高分子アゾ開始剤を使用しない方法で製造可能であり、水性媒体に対し良好な分散性を示し、且つ分散剤や金属保護安定剤、金属吸着剤等として有用である。
また、本発明の微粒子製造方法によれば、界面活性剤や高分子アゾ開始剤を使用しない場合でも、水性媒体に対し良好な分散性を示し、且つ分散剤や金属保護安定剤、金属吸着剤等として有用なコア-シェル型高分子微粒子を、簡便かつ工業的に有利に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1~5で得られた微粒子のDLSデータを示す図である。
【図2】実施例6で得られた微粒子のSEM像及びTEM像を示す図である。
【図3】実施例6で得られた微粒子のIRスペクトルを示す図である。
【図4】実施例6で得られた微粒子の1H NMRスペクトルを示す図である。
【図5】実施例6~9で得られた微粒子のDLSデータを示す図である。
【図6】実施例10で得られた微粒子のSEM像及びTEM像を示す図である。
【図7】実施例11で得られた微粒子のTEM像を示す図である。
【図8】実施例12で得られた微粒子のSEM像及びTEM像を示す図である。
【図9】実施例10で得られた微粒子のIRスペクトルを示す図である。
【図10】実施例11で得られた微粒子のIRスペクトルを示す図である。
【図11】実施例12で得られた微粒子のIRスペクトルを示す図である。
【図12】実施例10~12で得られた微粒子のDLSデータを示す図である。
【図13】実施例10~12で得られた微粒子の1H NMRスペクトルを示す図である。
【図14】実施例13で得られた微粒子のDLSデータを示す図である。
【図15】実施例13で得られた微粒子のSEM像を示す図である。
【図16】試験例1で測定したDLSデータを示す図である。
【図17】試験例2で測定した紫外可視吸収スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔高分子微粒子〕
本発明の微粒子は、親水性ビニルエーテル重合体(a)を含むシェル部と疎水性重合体(b)を含むコア部とからなるコア-シェル型高分子微粒子である。まず、本発明の微粒子について詳細に説明する。

【0020】
本発明の微粒子において、シェル部は、コア部表面の一部又は全部を覆うようにして設けられている。本発明の微粒子としては、低毒性、多機能性の観点から、シェル部が親水性ビニルエーテル重合体(a)から構成され、且つコア部が疎水性重合体(b)から構成されるものが好ましい。

【0021】
親水性ビニルエーテル重合体(a)としては、下記式(1)で表されるものが好ましい。

【0022】
【化2】
JP2018111776A_000003t.gif

【0023】
[式(1)中、R1は、炭素数1~5のアルカンジイル基を示し、R2は、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示し、nは1~10の整数である。]

【0024】
式(1)中、R1で示されるアルカンジイル基の炭素数は、好ましくは2~4であり、より好ましくは2又は3であり、特に好ましくは2である。アルカンジイル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、具体的には、メタン-1,1-ジイル基、エタン-1,1-ジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基等が挙げられる。
2で示されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1又は2である。アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
nは1~10の整数であるが、1~6の整数が好ましく、1~4の整数がより好ましく、1~3の整数が特に好ましい。なお、nが2~10の整数の場合、n個のR1は同一であっても異なっていてもよい。

【0025】
親水性ビニルエーテル重合体(a)を構成する単量体としては、単官能性ビニルエーテル化合物が好ましい。
上記単量体としては、具体的には、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、2-メトキシエチルビニルエーテル、2-エトキシエチルビニルエーテル、2-(2-メトキシエトキシ)エチルビニルエーテル、2-(2-エトキシエトキシ)エチルビニルエーテル、2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチルビニルエーテル、2-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルビニルエーテル、2-(2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルビニルエーテル等が挙げられる。
親水性ビニルエーテル重合体(a)は、上記単量体より選ばれる1種の単独重合体でも2種以上を含む共重合体でもよい。なお、親水性ビニルエーテル重合体(a)が共重合体の場合、当該共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体のいずれでもよい。

【0026】
親水性ビニルエーテル重合体(a)の数平均分子量は、好ましくは2500~100000、より好ましくは5000~75000である。また、分子量分布は、好ましくは1.0~5.0、より好ましくは1.1~3.0である。
なお、本明細書における数平均分子量、分子量分布は、GPC等により測定することができる。

【0027】
疎水性重合体(b)は、水との親和性が低い重合体であればよい。
疎水性重合体(b)を構成する単量体としては、ラジカル重合性を有する疎水性単量体が好ましく、疎水性の単官能重合性化合物がより好ましい。
上記単量体としては、例えば、オレフィン、ビニル芳香族化合物、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体、飽和脂肪族カルボン酸のビニルエステル等が挙げられる。これら単量体の中では、ビニル芳香族化合物、(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリルアミド誘導体、及び飽和脂肪族カルボン酸のビニルエステルから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
疎水性重合体(b)は、上記単量体より選ばれる1種の単独重合体でも2種以上を含む共重合体でもよい。なお、疎水性重合体(b)が共重合体の場合、当該共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体のいずれでもよい。

【0028】
上記オレフィンとしては、炭素数6~14のオレフィンが好ましい。また、オレフィンは鎖状オレフィンでも環状オレフィンでもよい。オレフィンとしては、具体的には、ヘキセン、オクテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ビニルシクロヘキセン等が挙げられる。

【0029】
上記ビニル芳香族化合物としては、下記式(2)で表される化合物が好ましい。

【0030】
【化3】
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【0031】
[式(2)中、環Qは、芳香環を示し、R3は、水素原子又はメチル基を示し、R4は、アルキル基、アルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示し、pは0~4の整数である。]

【0032】
式(2)中、環Qとしては、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環がより好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
式(2)中、R4で示されるアルキル基の炭素数としては、1~4が好ましく、1又は2がより好ましい。また、当該アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
また、R4で示されるアルコキシ基の炭素数としては、1~4が好ましく、1又は2がより好ましい。また、当該アルコキシ基は、直鎖状でも分岐状でもよく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
また、R4で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
また、pは0~4の整数であるが、0又は1が好ましい。なお、pが2~4の整数の場合、p個のR4は同一であっても異なっていてもよい。

【0033】
ビニル芳香族化合物としては、具体的には、スチレン、α-メチルスチレン、t-ブチルスチレン(o、m、p体)、t-ブトキシスチレン(o、m、p体)、ヒドロキシスチレン(o、m、p体)、ビニルナフタレン等が挙げられる。

【0034】
上記(メタ)アクリル酸誘導体としては、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルがより好ましく、下記式(3)で表される化合物が特に好ましい。

【0035】
【化4】
JP2018111776A_000005t.gif

【0036】
[式(3)中、R5は水素原子又はメチル基を示し、R6は、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。]

【0037】
6で示されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~8、より好ましくは1~6、特に好ましくは1~4である。当該アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。

【0038】
(メタ)アクリル酸誘導体としては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。

【0039】
上記(メタ)アクリルアミド誘導体としては、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドが好ましく、N-C1-10アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジC1-10アルキル(メタ)アクリルアミドがより好ましい。
N-C1-10アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジC1-10アルキル(メタ)アクリルアミドにおけるアルキル基としては、R6で示されるアルキル基と同様のものが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド誘導体としては、具体的には、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。

【0040】
上記飽和脂肪族カルボン酸のビニルエステルとしては、下記式(4)で表される化合物が好ましい。

【0041】
【化5】
JP2018111776A_000006t.gif

【0042】
[式(4)中、R7は、炭素数1~14の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。]

【0043】
7で示されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~12、より好ましくは1~8、更に好ましくは1~4、特に好ましくは1又は2である。当該アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
飽和脂肪族カルボン酸のビニルエステルとしては、具体的には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ラウリル酸ビニル等が挙げられる。

【0044】
疎水性重合体(b)の数平均分子量は、好ましくは2500~250000、より好ましくは8500~130000である。また、分子量分布は、好ましくは1.0~5.0、より好ましくは1.1~3.5である。

【0045】
本発明の微粒子に含まれる親水性ビニルエーテル重合体(a)、疎水性重合体(b)は、線状重合体であるのが好ましい。線状重合体とは、線状の分子構造をもつ重合体をいい、長い直鎖状の主鎖とそれに結合した比較的短い側鎖とから構成される構造をもつ重合体を含む概念である。
また、親水性ビニルエーテル重合体(a)、疎水性重合体(b)は、ノニオン性重合体であるのが好ましい。
また、本発明の微粒子は、親水性ビニルエーテル重合体(a)と疎水性重合体(b)との一部又は全部が化学結合したものが好ましく、親水性ビニルエーテル重合体(a)の末端と疎水性重合体(b)の末端とが化学結合したものがより好ましい。

【0046】
また、本発明の微粒子の平均粒子径は、コア部の化学的特性の発現性の観点から、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上、更に好ましくは250nm以上、特に好ましくは300nm以上であり、また、経時的な分散安定性の観点から、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1500nm以下である。
粒子径分布(PDI)は、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、特に好ましくは0.02以上であり、また、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.7以下である。
変動係数(CV)は、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、特に好ましくは2.5%以上であり、また、好ましくは7%以下、より好ましくは6%以下、特に好ましくは5.5%以下である。
本明細書において、平均粒子径は、動的光散乱法で測定される体積平均粒子径を意味し、平均粒子径、粒子径分布(PDI)及び変動係数(CV)は、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。

【0047】
親水性ビニルエーテル重合体(a)の含有量は、本発明の微粒子全質量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、特に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下、特に好ましくは80質量%以下である。
疎水性重合体(b)の含有量は、本発明の微粒子全質量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、特に好ましくは85質量%以下である。
親水性ビニルエーテル重合体(a)と疎水性重合体(b)との含有質量比〔(a):(b)〕は、所望の粒子径や用途に応じて適宜選択すればよいが、分散性の観点からは、10:1~1:10の範囲が好ましく、7.5:1~1:7.5の範囲がより好ましく、5:1~1:5の範囲が特に好ましい。
なお、親水性ビニルエーテル重合体(a)、疎水性重合体(b)の含有量は、微粒子含有液を3000rpm程度の回転速度で遠心分離した後、その上澄み液に存在する非微粒子成分を1H NMR分析することにより測定することができる。

【0048】
そして、本発明の微粒子は、界面活性剤や高分子アゾ開始剤を使用しない方法で製造可能であり、水性媒体に対し良好な分散性を示し、且つ分散剤や金属保護安定剤、金属吸着剤等として有用である。また、ラジカル重合開始剤(例えば高分子アゾ開始剤等のアゾ系開始剤)の分解生成物が発生しない系で製造可能であり、本発明の微粒子には、上記分解生成物や界面活性剤が付着・残存していない微粒子が包含される。
また、本発明の微粒子は、所望の性能や用途に応じて、シェル部を親水性ビニルエーテル重合体(a)から、コア部を疎水性重合体(b)から、それぞれ幅広く選定可能であり、塗料や接着剤、化粧品、金属等の分散剤、樹脂改質剤、金属保護安定剤、金属吸着・回収剤、診断薬(ラテックス診断薬等)、ドラッグデリバリーシステム等の用途に応用可能である。上記金属としては、ルテニウム、オスミウム等の第8族金属;ロジウム、イリジウム等の第9族金属;ニッケル、パラジウム、白金等の第10族金属、銀、金等の第11族金属;これらのイオンが挙げられ、0価の金属でもよい。また、HAuCl4等の金属化合物やそのイオンであってもよい。これらの中でも、本発明の微粒子は、第11族金属や第11族金属化合物、それらのイオンの分散、保護安定化、吸着に適する。なお、金属の保護安定化とは、分散媒中で金属を安定に分散させることをいう。

【0049】
〔微粒子の製造方法〕
次に、本発明の微粒子製造方法について詳細に説明する。
本発明のコア-シェル型高分子微粒子の製造方法は、親水性ビニルエーテル重合体と疎水性単量体とを水性媒体中で乳化重合させる重合工程を含むことを特徴とするものである。本発明の微粒子製造方法により、本発明の微粒子を製造できる。

【0050】
上記乳化重合の手法としては、具体的には、親水性ビニルエーテル重合体、疎水性単量体、水性媒体及びラジカル重合開始剤を容器中に含有せしめ重合反応を行う手法が挙げられる。このようなラジカル重合開始剤を用いる手法の場合、親水性ビニルエーテル重合体末端の水素原子等がラジカル重合開始剤で引き抜かれて活性点が発生し、その活性点から疎水性重合体(b)が生成する。

【0051】
親水性ビニルエーテル重合体としては、親水性ビニルエーテル重合体(a)として挙げたものと同様のものが挙げられるが、本発明の微粒子製造方法で用いる親水性ビニルエーテル重合体としては、片末端又は両末端が水素原子のものが好ましい。
親水性ビニルエーテル重合体の使用量は、親水性ビニルエーテル重合体と疎水性単量体との合計100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、特に好ましくは15質量部以上であり、また、好ましくは95質量部以下、より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは85質量部以下、特に好ましくは80質量部以下である。
なお、親水性ビニルエーテル重合体の合成は公知の方法を用いることができる。例えば、特許5936184号公報に記載の方法が挙げられる。

【0052】
疎水性単量体としては、疎水性重合体(b)を構成する単量体として挙げたものと同様のものが挙げられる。
疎水性単量体の使用量は、親水性ビニルエーテル重合体と疎水性単量体との合計100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上、特に好ましくは20質量部以上であり、また、好ましくは95質量部以下、より好ましくは90質量部以下、特に好ましくは85質量部以下である。
なお、親水性ビニルエーテル重合体と疎水性単量体との合計使用量は、重合性化合物(なお、この重合性化合物は、重合体及び非重合体を含む。)全量に対して、90~100質量%が好ましく、95~100質量%がより好ましく、99~100質量%が特に好ましい。

【0053】
上記ラジカル重合開始剤は特に限定されないが、熱によりラジカルを発生する水溶性重合開始剤が好ましい。また、低毒性等の観点から、高分子アゾ開始剤以外の開始剤が好ましく、非重合体のラジカル重合開始剤、非重合性のラジカル重合開始剤がより好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレート、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)等のアゾ系重合開始剤;クメンハイドロパーオキサイド、ジt-ブチルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシアセテート等の有機過酸化物が挙げられる。ラジカル重合開始剤は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上記ラジカル重合開始剤は、親水性ビニルエーテル重合体末端の水素原子等の引き抜きに使用され、上記ラジカル重合開始剤を用いた場合、得られる微粒子に開始剤の分解生成物が付着・残存しない。
ラジカル重合開始剤の使用量は、疎水性単量体100質量部に対して、好ましくは0.01~50質量部であり、より好ましくは0.1~10質量部であり、更に好ましくは0.5~5質量部であり、特に好ましくは0.5~2.5質量部である。本発明の微粒子製造方法によれば、このようにラジカル重合開始剤が低濃度の場合でも、本発明の微粒子を効率よく得ることができる。

【0054】
上記水性媒体としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等の1価アルコール系溶媒;エチレングリコール等の多価アルコール系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、混合溶媒の場合は、水性媒体全体積に対して水を50%(v/v)以上とすることが好ましい。
これら水性媒体の中では、水、水と1価アルコール系溶媒、多価アルコール系溶媒及びアミド系溶媒から選ばれる1種又は2種以上との混合溶媒が好ましく、水がより好ましい。
水性媒体の使用量は、所望の粒子径や用途に応じて適宜選択すればよいが、親水性ビニルエーテル重合体と疎水性単量体との合計100質量部に対して、好ましくは100~3000質量部、より好ましくは200~2500質量部である。

【0055】
また、重合工程において、各成分の使用割合は、重合反応液100質量部中、親水性ビニルエーテル重合体と疎水性単量体との合計を5~30質量部、ラジカル重合開始剤を0.1~3質量部、水性媒体を70~90質量部とすることが好ましい。
また、重合工程は、環境負荷を軽減する観点から、界面活性剤非存在下で行うのが好ましい。

【0056】
また、重合工程の反応温度は、好ましくは20~100℃であり、より好ましくは40~80℃である。
重合工程の反応時間は、試薬の種類、量、反応温度によって異なるが、好ましくは2~50時間であり、より好ましくは3~30時間である。
また、重合工程は撹拌して行うのが好ましい。撹拌速度は重合反応液に大きなせん断力を与えるため可能な限り速い方が好ましい。例えば、シュレンク管中で撹拌子によって撹拌する場合は600rpm以上が好ましい。

【0057】
そして、本発明の微粒子製造方法によれば、界面活性剤や高分子アゾ開始剤を使用しない場合でも、水性媒体に対し良好な分散性を示し、且つ分散剤や金属保護安定剤、金属吸着剤等として有用なコア-シェル型高分子微粒子を、簡便かつ工業的に有利に製造できる。

【0058】
〔粒子分散液〕
本発明の粒子分散液は、本発明の微粒子が分散しているものである。
分散媒としては、上記重合工程で使用される水性媒体と同様のものが好ましい。微粒子の濃度は、粒子分散液全量に対して、0.01~30質量%が好ましく、1~25質量%がより好ましく、5~20質量%が特に好ましい。
また、本発明の粒子分散液は、本発明の微粒子とともに金属が分散したものであってもよい。当該金属としては、ルテニウム、オスミウム等の第8族金属;ロジウム、イリジウム等の第9族金属;ニッケル、パラジウム、白金等の第10族金属、銀、金等の第11族金属;これらのイオンが挙げられ、0価の金属でもよい。また、HAuCl4等の金属化合物やそのイオンであってもよい。これらの中では、第11族金属や第11族金属化合物、それらのイオンが好ましい。
【実施例】
【0059】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における測定は、次の測定方法に従った。
【実施例】
【0060】
<走査型電子顕微鏡(SEM)測定>
SEM測定は、日立ハイテクノロジー社製S-2600Hを用い、カーボンテープを接着したアルミ試料台へサンプル(微粒子の水分散液)を投入し十分に風乾させた後に、金を蒸着して行った。
【実施例】
【0061】
<透過型電子顕微鏡(TEM)測定>
TEM測定は、JEOL社製JEM2100(Gatan ORIUS SC200D CCDカメラ付属)を用い、200kVの加速電圧にて行った。また、グロー放電により表面を親水処理したカーボンコート銅グリッド(応研商事社 ELS-C10)上に微粒子の水分散液5μLを滴下し、余分な分散液を除いた後、EMステイナー(日新EM社)にてネガティブ染色し、得られたグリッドを乾燥したものを、サンプルとして用いて測定した。
【実施例】
【0062】
<動的光散乱(DLS)による粒子径測定>
DLSによる粒子径測定は、Malvern社製Zetasizer Nano-ZSPを用い、173°の散乱角で行った。測定データはZeta Software Ver.7.02にてキュムラント法で解析し、粒子径(Dh)と粒子径分布(PDI)を算出した。また、得られた平均粒子径は9回以上の測定で得られた結果であり、その粒子径測定結果の標準偏差から変動係数(CV)を算出した。
【実施例】
【0063】
<IR測定>
IR測定は、Varian社製FTS-3000を用いて行った。また、微粒子を3000rpmで30分間遠心分離した後、沈降物を乾燥したものをサンプルとして用いて、KBr錠剤法(実施例6、10、12)又はCaF2へのキャスト法(実施例11)で測定を行った。
【実施例】
【0064】
1H NMR測定>
1H NMR測定は、JEOL社製JNM-ECX500を用いて行った。また、微粒子を3000rpmで30分間遠心分離した後、沈降物を重水中に分散させたものをサンプルとして用いて測定した(実施例6、10~12)。
【実施例】
【0065】
<実施例1 コア部がポリ酢酸ビニル、シェル部がポリ(2-ヒドロキシエチルビニルエーテル)のコア-シェル型高分子微粒子の作製>
シュレンク管に、撹拌子と、既知の手法で合成したポリ(2-ヒドロキシエチルビニルエーテル)(以下、「PHEVE」と記載し、実施例1~12では、DMF+10mM LiBrを溶離液として用いたGPCで、数平均分子量が36500、分子量分布が1.97と測定されたポリマーを使用した)0.2g(2-ヒドロキシエチルビニルエーテル単量体換算で2.3mmol)と、酢酸ビニル(以下、「VAc」と記載する)1.0g(11.6mmol)と、イオン交換水5.0g(280mmol)と、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)製「V-50」、以下、「AIBA」と記載する)10mg(0.04mmol、酢酸ビニル単量体100質量部に対して1質量部)とを入れ、凍結脱気を3回行った後、60℃、600rpmで24時間加熱しながら撹拌した。重合後、シュレンク管内に空気を導入し、冷却することにより重合を停止させることで、コア部がポリ酢酸ビニル、シェル部がPHEVEのコア-シェル型高分子微粒子を得た。
DLSによる粒子径測定により得られた微粒子の粒子径(Dh)は696nm、粒子径分布(PDI)は0.20、変動係数(CV)は2.7%であった。
【実施例】
【0066】
<実施例2>
VAcの使用量を0.5gに、AIBAの使用量を5mgに、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様の手順によりコア-シェル型高分子微粒子を合成した。
得られた微粒子の粒子径(Dh)は831nm、粒子径分布(PDI)は0.15、変動係数(CV)は3.0%であった。
【実施例】
【0067】
<実施例3>
VAcの使用量を0.25gに、AIBAの使用量を2.5mgに、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様の手順によりコア-シェル型高分子微粒子を合成した。
得られた微粒子の粒子径(Dh)は702nm、粒子径分布(PDI)は0.21、変動係数(CV)は3.1%であった。
【実施例】
【0068】
<実施例4>
PHEVEの使用量を0.1gに、VAcの使用量を0.5gに、AIBAの使用量を5mgに、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様の手順によりコア-シェル型高分子微粒子を合成した。
得られた微粒子の粒子径(Dh)は1021nm、粒子径分布(PDI)は0.18、変動係数(CV)は2.9%であった。
【実施例】
【0069】
<実施例5>
PHEVEの使用量を0.05gに、VAcの使用量を0.25gに、AIBAの使用量を2.5mgに、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様の手順によりコア-シェル型高分子微粒子を合成した。
得られた微粒子の粒子径(Dh)は725nm、粒子径分布(PDI)は0.02、変動係数(CV)は2.8%であった。
【実施例】
【0070】
実施例1~5のDLSデータを図1に示す。
【実施例】
【0071】
<実施例6>
PHEVEの使用量を0.05gに、VAcの使用量を0.2gに、AIBAの使用量を2mgに、イオン交換水の使用量を4.75gに、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様の手順によりコア-シェル型高分子微粒子を合成した。
得られた微粒子の粒子径(Dh)は666nm、粒子径分布(PDI)は0.16、変動係数(CV)は3.2%であった。
【実施例】
【0072】
実施例6で得られた微粒子のSEM像・TEM像を図2に、IRスペクトルを図3に、1H NMRスペクトルを図4に、それぞれ示す。
IRスペクトル(図3)では、3500cm-1付近にPHEVEの水酸基由来の吸収が観測され、1700cm-1付近にポリ酢酸ビニルのカルボニル基由来の吸収が観測された。このように、微粒子中にPHEVEとポリ酢酸ビニルが存在していることが確認された。
1H NMRスペクトル(図4)では、ポリ酢酸ビニル由来のシグナルは観測されず、PHEVE由来のシグナルのみが観測された(3.5ppm付近)。NMRシグナルは核の運動性に影響されるため、重水中で運動性の良いPHEVEのみが観測され、運動性が悪いポリ酢酸ビニルは観測されなかった。この結果とIRスペクトルの結果、SEM・TEMの画像から、実施例6で得られた微粒子が、水中ではポリ酢酸ビニルをコア部とし、PHEVEをシェル部とするコア-シェル構造であることが確認された。
【実施例】
【0073】
<実施例7>
PHEVEの使用量を0.1gに、VAcの使用量を0.15gに、AIBAの使用量を2mgに、イオン交換水の使用量を4.75gに、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様の手順によりコア-シェル型高分子微粒子を合成した。
得られた微粒子の粒子径(Dh)は857nm、粒子径分布(PDI)は0.17、変動係数(CV)は3.1%であった。
【実施例】
【0074】
<実施例8>
PHEVEの使用量を0.15gに、VAcの使用量を0.1gに、AIBAの使用量を2mgに、イオン交換水の使用量を4.75gに、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様の手順によりコア-シェル型高分子微粒子を合成した。
得られた微粒子の粒子径(Dh)は1387nm、粒子径分布(PDI)は0.18、変動係数(CV)は3.1%であった。
【実施例】
【0075】
<実施例9>
PHEVEの使用量を0.2gに、VAcの使用量を0.05gに、AIBAの使用量を2mgに、イオン交換水の使用量を4.75gに、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様の手順によりコア-シェル型高分子微粒子を合成した。
得られた微粒子の粒子径(Dh)は299nm、粒子径分布(PDI)は0.16、変動係数(CV)は5.4%であった。
【実施例】
【0076】
実施例6~9のDLSデータを図5に示す。
【実施例】
【0077】
<実施例10 コア部がポリスチレン、シェル部がPHEVEのコア-シェル型高分子微粒子の作製>
短シュレンク管に、撹拌子と、既知の手法で合成したPHEVE0.05g(2-ヒドロキシエチルビニルエーテル単量体換算で0.6mmol)と、スチレン0.2g(1.9mmol)と、イオン交換水4.75g(260mmol)と、AIBA2mg(0.007mmol、スチレン単量体100質量部に対して1質量部)とを入れ、凍結脱気を3回行った後、60℃、600rpmで24時間加熱しながら撹拌した。重合後、シュレンク管内に空気を導入し、冷却することにより重合を停止させることで、コア部がポリスチレン、シェル部がPHEVEのコア-シェル型高分子微粒子を得た。
DLSによる粒子径測定により得られた微粒子の粒子径(Dh)は567nm、粒子径分布(PDI)は0.22、変動係数(CV)は3.5%であった。
【実施例】
【0078】
<実施例11 コア部がポリアクリル酸エチル、シェル部がPHEVEのコア-シェル型高分子微粒子の作製>
スチレンをアクリル酸エチル0.2g(2.0mmol)に変更した以外は実施例10と同様の手順によりコア-シェル型高分子微粒子を合成した。
得られた微粒子の粒子径(Dh)は546nm、粒子径分布(PDI)は0.02、変動係数(CV)は3.6%であった。
【実施例】
【0079】
<実施例12 コア部がポリメタクリル酸メチル、シェル部がPHEVEのコア-シェル型高分子微粒子の作製>
スチレンをメタクリル酸メチル0.2g(2.0mmol)に変更した以外は実施例10と同様の手順によりコア-シェル型高分子微粒子を合成した。
得られた微粒子の粒子径(Dh)は697nm、粒子径分布(PDI)は0.69、変動係数(CV)は3.1%であった。
【実施例】
【0080】
実施例10~12で得られた微粒子のSEM像・TEM像を図6~8に(実施例11はTEM像のみ)、IRスペクトルを図9~11に、DLSデータを図12に、1H NMRスペクトルを図13に、それぞれ示す。
IRスペクトル(図9~11)では、実施例10~12のいずれのスペクトルにおいても3500cm-1付近にPHEVEの水酸基由来の吸収が観測された。また、実施例11と12のスペクトルでは1700cm-1付近にポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチルのカルボニル基由来の吸収が観測され、微粒子中にPHEVEとポリアクリル酸エチル又はポリメタクリル酸メチルが存在していることが確認された。
1H NMRスペクトル(図13)では、実施例10~12のいずれのスペクトルにおいてもコア部を構成する重合体由来のシグナルは観測されず、PHEVE由来のシグナルのみが観測された。NMRシグナルは核の運動性に影響されるため、重水中で運動性の良いPHEVEが観測され、運動性が悪いポリスチレン、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチルはほとんど観測されなかった。この結果とIRスペクトルの結果、SEM・TEMの画像から、実施例10~12で得られた微粒子が、ポリスチレン、ポリアクリル酸エチル又はポリメタクリル酸メチルをコア部とし、PHEVEをシェル部とするコア-シェル構造であることが確認された。
【実施例】
【0081】
<実施例13 コア部がポリスチレン、シェル部がポリ(2-メトキシエチル(ビニル)エーテル)のコア-シェル型高分子微粒子の作製>
短シュレンク管に、撹拌子と、既知の手法で合成したポリ(2-メトキシエチル(ビニル)エーテル)(以下、「PMOVE」と記載し、DMF+10mM LiBrを溶離液として用いたGPCで数平均分子量が11500、分子量分布が1.49と測定されたポリマーを使用した)0.05g(2-メトキシエチル(ビニル)エーテル単量体換算で0.5mmol)と、スチレン0.2g(1.9mmol)と、イオン交換水4.75g(260mmol)と、AIBA2mg(0.007mmol、スチレン単量体100質量部に対して1質量部)とを入れ、凍結脱気を3回行った後、60℃、600rpmで24時間加熱しながら撹拌した。重合後、シュレンク管内に空気を導入し、冷却することにより重合を停止させることで、コア部がポリスチレン、シェル部がPMOVEのコア-シェル型高分子微粒子を得た。
DLSによる粒子径測定により得られた微粒子の粒子径(Dh)は445nm、粒子径分布(PDI)は0.21、変動係数(CV)は3.9%であった。
実施例13で得られた微粒子のDLSデータを図14に、SEM像を図15に、それぞれ示す。
【実施例】
【0082】
<試験例1 分散安定性確認試験>
実施例6で得られた微粒子と水を混合して、1.0質量%水分散液を調製した。また同様にして、実施例10で得られた微粒子の分散液、実施例13で得られた微粒子の分散液を調製した。
次いで、各分散液(乳化液)を室温にて放置し、放置開始から120日経過後に各分散液の状態を目視にて確認したところ、いずれの分散液についても微粒子が沈殿することなく分散(乳化)したままの状態であった。
また、合成直後(放置開始前)の各微粒子、及び放置開始から120日経過後の各分散液の微粒子についてDLS測定を行い、粒子径分布を比較したところ、120日経過しても粒子径分布に大きな変化はなかった。DLSデータ(散乱強度データ)を図16に示す。
【実施例】
【0083】
<試験例2>
実施例13で得られた微粒子と水を混合して、実施例13で得られた微粒子の0.05質量%水分散液を調製し、紫外可視分光計(JASCO V-550)にて紫外・可視分光スペクトルを測定した(図17:b 微粒子)。
次いで、上記水分散液5gに1000ppm金標準液(和光純薬工業(株)製)を0.097mL加え、約5分間攪拌し、紫外可視分光計(JASCO V-550)にて紫外・可視分光スペクトルを測定した(図17:HAuCl4+微粒子)。図17に示すとおり、このスペクトルの313nmの吸収から、微粒子に金の化合物のイオン(HAuCl4)が取り込まれたことがわかった。
また、上記金の化合物のイオンを水素化ホウ素ナトリウムで直接還元したところ、分散液全体が薄赤褐色に呈色し、0価の金が直接ナノ分散したことがわかった。また、還元後の微粒子についても紫外可視分光計(JASCO V-550)にて紫外・可視分光スペクトルを測定した(図17:a Au(0)を分散した微粒子)。図17中のAu(0)を分散した微粒子(a)と微粒子(b)との差吸光度(a-b)に示される518nmの吸収からも、0価の金の分散を確認することができた。
試験例2の結果から、実施例13で得られた微粒子が、金属イオンの分散剤、金属の保護安定剤、金属吸着剤等として有用なことがわかる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
6
【図8】
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【図9】
8
【図10】
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【図11】
10
【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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