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明細書 :画像投影装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-139103 (P2019-139103A)
公開日 令和元年8月22日(2019.8.22)
発明の名称または考案の名称 画像投影装置
国際特許分類 G02B  27/02        (2006.01)
H04N   5/64        (2006.01)
FI G02B 27/02 Z
H04N 5/64 511A
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2018-023317 (P2018-023317)
出願日 平成30年2月13日(2018.2.13)
発明者または考案者 【氏名】山田 祥治
【氏名】勝山 俊夫
出願人 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
審査請求 未請求
テーマコード 2H199
Fターム 2H199CA04
2H199CA07
2H199CA28
2H199CA32
2H199CA34
2H199CA46
2H199CA48
2H199CA74
2H199CA96
要約 【課題】画像の走査範囲中の画像形成用光ビームの領域の減少を回避する。
【解決手段】画像投影装置(1)は、走査ミラー(3)から眼前反射系(4)へ向う検出光ビーム(10)と画像光ビーム(9)との少なくとも一方の進路を、検出光ビーム(10)と画像光ビーム(9)とが互いに離れる方向に変更するプリズム(5)を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
画像を形成するための画像光ビームと、前記画像を視認するユーザの眼の状態を検出するための検出光ビームとを出射する光源と、
前記光源からの画像光ビームおよび検出光ビームを反射して走査するミラーと、
前記ミラーからの画像光ビームを前記ユーザの眼の第1表面領域に収束させて網膜に投射し、前記ミラーからの検出光ビームを前記第1表面領域と異なる第2表面領域に投射するための投射部材と、
前記ミラーから前記投射部材へ向う前記検出光ビームと前記画像光ビームとの少なくとも一方の進路を、前記検出光ビームと前記画像光ビームとが互いに離れる方向に変更する進路変更部材とを備えることを特徴とする画像投影装置。
【請求項2】
前記画像光ビームと前記検出光ビームとは、ガウシアンビームであり、
前記進路変更部材が、前記ガウシアンビームのビームウェストの前後におけるレーリー長の範囲に対応する位置に配置される請求項1に記載の画像投影装置。
【請求項3】
前記検出光ビームが前記ユーザの眼の第2表面領域で反射した反射光を検出する光検出器と、
前記光検出器による前記反射光の検出結果に基づいて、前記画像光ビームの前記第1表面領域の収束位置を調整する制御部とをさらに備える請求項1に記載の画像投影装置。
【請求項4】
前記投射部材が、前記画像光ビームを前記第1表面領域に向けて反射し且つ前記検出光ビームを前記第2表面領域に向けて反射するために前記ユーザの眼の前に配置された反射面を有する請求項1に記載の画像投影装置。
【請求項5】
前記ミラーからの検出光ビームのビーム直径を縮小するビーム縮小部材をさらに備える請求項1に記載の画像投影装置。
【請求項6】
前記光源が、前記ユーザにより視認される画像の走査範囲内に対応する期間において前記画像光ビームを出射し、前記画像の走査範囲外に対応する期間において前記検出光ビームを出射する請求項1に記載の画像投影装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、瞳孔位置検出機能を有する網膜走査型の画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの身体(顔)に装着されて、ユーザに画像を表示する装置(例えばヘッドマウントディスプレイ)として、マクスウェル視を利用し、ユーザの網膜に画像を直接投影する画像投影装置が知られている。
【0003】
また、ユーザの眼に照射された光の反射光を利用して、瞳孔の位置検出を行う機能を備
えた画像投影装置も知られている(特許文献1~3)。
【0004】
特許文献1に記載の構成は、ビデオカメラでユーザの眼を撮像し画像処理することによって瞳孔位置の中心を検出する。
【0005】
また、特許文献2に記載の構成は、赤外光ビームでユーザの眼を走査し、その反射光の変化に基づいて瞳孔位置の中心を算出する。
【0006】
そして、特許文献3に記載の構成では、ユーザにより視認される画像の走査範囲内に対応する期間において光ビームを画像形成用として光源が出射し、画像の走査範囲外に対応する期間において光ビームを瞳孔位置検出用として光源が出射する。そして、ユーザの網膜に画像を直接投影するための眼前反射系に、曲率が異なる第1領域と第2領域とが形成される。第1領域がユーザの瞳孔に向かって画像形成用光ビームを反射し、第2領域が瞳孔の周辺に向かって瞳孔位置検出用光ビームを反射するように眼前反射系が構成される。そうすると、瞳孔の周辺により反射された瞳孔位置検出用光ビームの変化に基づいて瞳孔位置の中心を算出することができる。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特許第6175945号明細書(2017年07月21日登録)
【特許文献2】特許第4608996号明細書(2010年10月22日登録)
【特許文献3】特開2017-9986号公報(2017年01月12日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の構成は、瞳孔位置を検出するだけのためにビデオカメラを搭載する必要があるため、画像投影装置の構成が複雑になるという問題がある。そして、ヘッドマウントディスプレイでは極めて短時間で瞳孔位置を求める必要があるにもかかわらず、画像情報から瞳孔位置の中心を検出するために追加の演算を行う必要があるという問題がある。
【0009】
また、上記特許文献2の構成は、ユーザの網膜に画像を直接投影するためには本来不要な赤外光ビームの光学系一式が必要となるため、画像投影装置の構成が複雑になるという問題がある。
【0010】
上記特許文献3の構成は、赤外光ビームの光学系一式を必要とせずに瞳孔位置の中心を算出することができる。
【0011】
しかしながら、上記特許文献3の構成は以下の問題を有する。
【0012】
即ち、眼前反射系に入射する手前で光ビーム直径は大きくなるので、隣接する画素に対応する光ビーム同士はオーバーラップする。このため、瞳孔位置検出用光ビームの領域と画像形成用光ビームの領域との間に、このオーバーラップを回避するための間隙を設ける必要がある。その結果、画像形成用光ビームの領域が減少するという問題がある。
【0013】
本発明の一態様は、画像の走査範囲中の画像形成用光ビームの領域の減少を回避しつつ、計測用非可視光を付加せずに瞳孔位置検出が可能な画像投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像投影装置は、画像を形成するための画像光ビームと、前記画像を視認するユーザの眼の状態を検出するための検出光ビームとを出射する光源と、前記光源からの画像光ビームおよび検出光ビームを反射して走査するミラーと、前記ミラーからの画像光ビームを前記ユーザの眼の第1表面領域に収束させて網膜に投射し、前記ミラーからの検出光ビームを前記第1表面領域と異なる第2表面領域に投射するための投射部材と、前記ミラーから前記投射部材へ向う前記検出光ビームと前記画像光ビームとの少なくとも一方の進路を、前記検出光ビームと前記画像光ビームとが互いに離れる方向に変更する進路変更部材とを備えることを特徴とする。
【0015】
この特徴により、ミラーから投射部材へ向う検出光ビームと画像光ビームとの少なくとも一方の進路が、検出光ビームと画像光ビームとが互いに離れる方向に変更される。このため、検出光ビームと画像光ビームとのオーバーラップが回避され、瞳孔位置検出用光ビームの領域と画像形成用光ビームの領域との間に間隙を設ける必要が消滅する。この結果、画像の走査範囲中の画像形成用光ビームの領域の減少を回避しつつ、計測用非可視光を付加せずに瞳孔位置検出が可能な画像投影装置を提供することができる。
【0016】
本発明の一態様に係る画像投影装置では、前記画像光ビームと前記検出光ビームとは、ガウシアンビームであり、前記進路変更部材が、前記ガウシアンビームのビームウェストの前後におけるレーリー長の範囲に対応する位置に配置されることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、画像光ビームと検出光ビームとのビーム径が小さくなる位置で、検出光ビームと画像光ビームとの少なくとも一方の進路が変更され、画像形成用光ビームの領域のデッドスペースを顕著に低減することができる。
【0018】
本発明の一態様に係る画像投影装置では、前記検出光ビームが前記ユーザの眼の第2表面領域で反射した反射光を検出する光検出器と、前記光検出器による前記反射光の検出結果に基づいて、前記画像光ビームの前記第1表面領域の収束位置を調整する制御部とをさらに備えることが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、画像光ビームをユーザの眼の瞳孔位置の変化に追従させることができる。
【0020】
本発明の一態様に係る画像投影装置では、前記投射部材が、前記画像光ビームを前記第1表面領域に向けて反射し且つ前記検出光ビームを前記第2表面領域に向けて反射するために前記ユーザの眼の前に配置された反射面を有することが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、計測用非可視光を付加せずに検出光ビームにより瞳孔位置検出が可能になる。
【0022】
本発明の一態様に係る画像投影装置では、前記ミラーからの検出光ビームのビーム直径を縮小するビーム縮小部材をさらに備えることが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、眼球の第2表面領域上の検出光ビームの直径を小さくすることができ、瞳孔位置の検出精度を向上させることができる。
【0024】
本発明の一態様に係る画像投影装置では、前記光源が、前記ユーザにより視認される画像の走査範囲内に対応する期間において前記画像光ビームを出射し、前記画像の走査範囲外に対応する期間において前記検出光ビームを出射することが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、計測用非可視光を付加せずに検出光ビームにより瞳孔位置検出が可能になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様によれば、画像の走査範囲中の画像形成用光ビームの領域の減少を回避しつつ、計測用非可視光を付加せずに瞳孔位置検出が可能な画像投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態に係る画像投影装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記画像投影装置の構成を模式的に示す図である。
【図3】(a)は上記画像投影装置に設けられた走査ミラーの振動、上記画像投影装置に設けられた合波光源部から出射された画像光ビームおよび検出光ビームを説明するための図であり、(b)は上記走査ミラーが(a)の点Aから点Bまで振動した場合における画像光ビームおよび検出光ビームの合波光源部からの出射タイミングを説明するための波形図である。
【図4】上記画像光ビームおよび検出光ビームの眼球への投射位置を説明するための図である。
【図5】上記画像光ビームのビームウェストの前後におけるレーリー長の範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。

【0029】
(画像投影装置1の構成)
図1は実施形態に係る画像投影装置1の構成を示すブロック図である。図2は画像投影装置1の構成を模式的に示す図である。

【0030】
画像投影装置1は光学エンジンモジュール17を備える。光学エンジンモジュール17に合波光源部2(光源)が設けられる。合波光源部2は、画像投影装置1のユーザの眼球12(眼)の網膜13に画像を形成するための画像光ビーム9と、この画像を視認するユーザの眼球12の状態を検出するための検出光ビーム10とを出射する。

【0031】
光学エンジンモジュール17に走査ミラー3(ミラー)が設けられる。走査ミラー3は、合波光源部2からの画像光ビーム9および検出光ビーム10を振動しながら反射して走査する。

【0032】
画像投影装置1は眼前反射系4(投射部材)を備える。眼前反射系4は、例えば凹面鏡により構成され、走査ミラー3からの画像光ビーム9をユーザの眼球12の瞳孔に対応する第1表面領域14に収束させて網膜13に投射し、走査ミラー3からの検出光ビーム10を第1表面領域14の周りの第2表面領域15に投射する。

【0033】
画像投影装置1にはプリズム5(進路変更部材)が設けられる。プリズム5は、走査ミラー3から眼前反射系4へ向う検出光ビーム10と画像光ビーム9との少なくとも一方の進路を、検出光ビーム10と画像光ビーム9とが互いに離れる方向に変更する。図1に示す例では、検出光ビーム10の進路を変更する例を示している。

【0034】
画像光ビーム9と検出光ビーム10とは、ガウシアンビームである。プリズム5は、ガウシアンビームのビームウェストの前後におけるレーリー長の範囲に対応する位置に配置される。

【0035】
画像投影装置1は反射光検出器6(光検出器)を備える。反射光検出器6は、検出光ビーム10がユーザの眼球12の第2表面領域15で反射した反射光を検出する。

【0036】
光学エンジンモジュール17に制御部7が設けられる。制御部7は、反射光検出器6による反射光の検出結果に基づいて、画像光ビーム9の第1表面領域14の収束位置を調整する。

【0037】
眼前反射系4は、画像光ビーム9を第1表面領域14に向けて反射し且つ検出光ビーム10を第2表面領域15に向けて反射するためにユーザの眼球12の前に配置された反射面18を有する。

【0038】
画像投影装置1はビーム縮小部材8を備える。ビーム縮小部材8は、プリズム5に設けられ、走査ミラー3からの検出光ビーム10のビーム直径を縮小する。

【0039】
合波光源部2は、ユーザにより視認される画像の走査範囲内に対応する期間において画像光ビーム9を出射し、この画像の走査範囲外に対応する期間において検出光ビーム10を出射する。

【0040】
本実施形態に係る画像投影装置1の主要光学系の配置は、以下のステップ(1)およびステップ(2)のようにして決定される。

【0041】
(ステップ(1))
まず、走査ミラー3により走査された画像光ビーム9(群)が、瞳孔中心P4に集束するために、以下の条件を満足するように、主要光学系の配置とミラー焦点距離とが決定される。

【0042】
瞳孔中心P4と眼前ミラー反射点P3との間の距離L34および、眼前ミラー反射点P3と走査ミラー中心点P1との間の距離L13、眼前反射系4の焦点距離Fが、下記(式1)を満足する。

【0043】
1/L34+1/L13=1/F (式1)
(ステップ(2))
そして、所望の距離に虚像を表示するためには、結像点P2と眼前ミラー反射点P3との間の距離L23および、眼前ミラー反射点P3と虚像点P5との間の距離L35は、次の(式2)を満足する必要がある。虚像点P5は、眼前ミラー反射点P3と瞳孔中心P4との間の画像光ビーム9を眼球12から離れる方向に延長したときの収束点である。

【0044】
1/L23=1/F+1/L35 (式2)
虚像表示位置(例えば、眼前1mあるいは無限大(∞)の遠方)を虚像点P5で与えれば、L23、従って結像点P2の位置が決まる(眼前反射系4の焦点距離Fはステップ(1)で決まっているため)。L35>>Fであるから、距離L23は焦点距離Fよりわずかに小さな値となる。

【0045】
(式1)と(式2)とを比較すれば明らかなように、距離L23は距離L13より必ず小さくなる。即ち、結像点P2は、眼前ミラー反射点P3と走査ミラー中心点P1との間に存在する。

【0046】
結像点P2では、1本の画像光ビーム9の形状が収束する。一方、瞳孔中心P4では、複数本の画像光ビーム9が一点に収束する。

【0047】
図3(a)は画像投影装置1に設けられた走査ミラー3の振動、画像投影装置1に設けられた合波光源部2から出射された画像光ビーム9および検出光ビーム10を説明するための図であり、(b)は走査ミラー3が(a)の点Aから点Bまで振動した場合における画像光ビーム9および検出光ビーム10の合波光源部2からの出射タイミングを説明するための波形図である。

【0048】
ここで、画像光ビーム9と検出光ビーム10とについて説明する。走査ミラー3によって画像光ビーム9を走査して網膜13に画像を投影する方法として、画像の左上から右下まで光ビームを高速に走査して画像を表示する方法(例えばラスタースキャン)がある。図3(a)に示すように、走査ミラー3は、画像光ビーム9を走査するために、網膜13に投影する画像の範囲(図3(a)の破線範囲)よりも大きく、水平方向(第1方向)と垂直方向(第1方向に交差する第2方向)とに振動する。走査ミラー3の振動を50の符号を付して示している。

【0049】
走査ミラー3が大きく振れた箇所で画像光ビーム9を走査して網膜13に画像を投影する場合、画像の歪みが大きくなることから、画像光ビーム9は、走査ミラー3の振れが小さい箇所で走査される。一方、検出光ビーム10は、走査ミラー3の振動50のうち、画像光ビーム9が走査されないタイミングで、走査ミラー3に入射する。言い換えると、合波光源部2は、走査ミラー3の振動50において、網膜13に投影する画像の範囲に相当する期間では画像光ビーム9を走査ミラー3に出射し、画像の範囲外の期間において検出光ビーム10を走査ミラー3に出射する。

【0050】
なお、検出光ビーム10の光強度は、画像光ビーム9と同じであってもよいし、異なっていてもよい。検出光ビーム10の光強度は、反射光検出器6で反射光が検出できる程度の光強度であればよい。

【0051】
走査ミラー3には、1又は複数の検出光ビーム10が入射される。図3(a)及び図3(b)では、6つの検出光ビーム10が走査ミラー3に入射される場合を例に示している。検出光ビーム10は、単一波長の光ビームでよく、網膜13に投影する画像の1画素又は数画素相当の光ビームでよい。なお、図3(a)では、画像光ビーム9は矩形状に走査される場合を例に示しているが、この場合に限られず、台形状に走査される場合など、その他の場合でもよい。

【0052】
図4に示すように、検出光ビーム10は、画像光ビーム9が瞳孔19の中心近傍を通過して網膜13に投射される場合に、虹彩20に投射される。

【0053】
プリズム5が、検出光ビーム10の進路を、画像光ビーム9から離れる方向に変更するため、画像光ビーム9が瞳孔19を通過して網膜13に投射されつつ、検出光ビーム10が虹彩20に投射されることが可能となる。

【0054】
また、画像光ビーム9と検出光ビーム10とは、走査ミラー3の振動に対して所定のタイミングで合波光源部2から出射される。すなわち、画像光ビーム9と検出光ビーム10との相対的な出射タイミングは固定されている。このため、画像光ビーム9と検出光ビーム10とは、相対的な位置関係が固定されて、眼球12に投射される。また、図3(a)に示すように、複数の検出光ビーム10は、走査ミラー3の振動50の異なる位置で反射された光であることから、虹彩20の異なる位置に異なる時間(異なるタイミング)で投射される。すなわち、複数の検出光ビーム10は、虹彩20の異なる位置に順々に投射される。

【0055】
図5は画像光ビーム9のビームウェストの前後におけるレーリー長の範囲を示す図である。

【0056】
画像光ビーム9と検出光ビーム10とは、ガウシアンビームである。図5に示すように、ガウシアンビームのビームウェスト21(光ビームが最も細くなる位置)の直径を2ω、拡がり全角を2θとすると、

【0057】
【数1】
JP2019139103A_000003t.gif

【0058】
となる。
ここで、λ:光波長 z :レーリー長、
である。

【0059】
プリズム5は、ガウシアンビームのビームウェスト21の前後におけるレーリー長zの範囲に対応する位置に配置されることが好ましい。

【0060】
(画像投影装置1の動作)
上記のように構成された画像投影装置1は以下のように動作する。

【0061】
まず、合波光源部2が、ユーザにより視認される画像の走査範囲内に対応する期間において画像光ビーム(群)9を出射し、前記画像の走査範囲外に対応する期間において検出光ビーム(群)10を出射する。そして、合波光源部2からの画像光ビーム(群)9および検出光ビーム(群)10を、振動する走査ミラー3が反射して走査する。

【0062】
次に、振動する走査ミラー3により反射されて走査された画像光ビーム9のそれぞれは、プリズム5の画像光走査範囲23を直進して透過し、眼前反射系4に形成された反射面18上の眼前ミラー反射点P3で反射されて瞳孔中心P4に収束し、網膜13にそれぞれ投射される。

【0063】
一方、振動する走査ミラー3により反射されて走査された検出光ビーム10のそれぞれは、プリズム5の画像光走査範囲23の外側に入射してプリズム5により屈折し、画像光ビーム9から離れる方向に進路が変更される。そして、プリズム5により進路が変更された検出光ビーム10のそれぞれは、眼前反射系4の反射面18により反射されてユーザの眼球12の第2表面領域15を走査する。この第2表面領域15は、瞳孔の外に位置しており、虹彩20の領域であることが好ましい。

【0064】
このように、走査ミラー3から眼前反射系4へ向う検出光ビーム10の進路が画像光ビーム9から離れる方向に変更される。このため、検出光ビーム10の領域と画像光ビーム9の領域との間にオーバーラップが生じない。従って、検出光ビーム10の領域と画像光ビーム9の領域との間にオーバーラップを回避するための間隙を設ける必要が消滅する。この結果、画像光ビーム9の領域の減少が回避される。

【0065】
さらに、プリズム5に加えてビーム縮小部材8を設けると、眼球12の第2表面領域15上の検出光ビーム10の直径を小さくすることができる。このため、瞳孔位置の検出精度を向上させることができる。

【0066】
本実施形態によれば、プリズム5を設ける結像面16では、画素ごとの光ビーム(画像光ビーム9、検出光ビーム10)にオーバーラップは無く、オーバーラップを回避するための間隙を設ける必要が消滅する。この結果、画像光ビーム9の領域の減少が回避される。

【0067】
また、眼前反射系4を画像光ビーム9用の領域と検出光ビーム10用の領域とに曲率を異ならせて分割する必要がないので、眼前反射系4の構成が簡素になる。

【0068】
本実施形態では、付加的な計測用非可視光(例えば、赤外光)が不要で、画像用可視光を用いた瞳孔位置検出が可能な網膜走査型ディスプレイにおいて、瞳孔検出のために犠牲となる走査振幅領域を最小とすることができる。

【0069】
また、ユーザの瞳孔の移動に光ビームを追従させるときに、眼前反射系の瞳孔位置検出用光ビームの領域に画像形成用光ビームが入射することを回避するために、眼前反射系を移動させる必要があるという問題がある。

【0070】
この眼前反射系の移動を不要とするためには、動的光学系を設けて煩雑な移動調整を行うことが必要となり、画像投影装置の構成が複雑になるという問題がある。

【0071】
本実施形態では、眼前反射系4を画像光ビーム9用の領域と検出光ビーム10用の領域とに曲率を異ならせて分割する必要がないので、上記問題が発生せず、瞳孔位置追従時の光学系の煩雑な調節を不要とすることが可能である。

【0072】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 画像投影装置
2 合波光源部(光源)
3 走査ミラー(ミラー)
4 眼前反射系(投射部材)
5 プリズム(進路変更部材)
6 反射光検出器(光検出器)
7 制御部
8 ビーム縮小部材
9 画像光ビーム
10 検出光ビーム
12 眼球(眼)
13 網膜
14 第1表面領域
15 第2表面領域
16 結像面
17 光学エンジンモジュール
18 反射面
P1 走査ミラー中心点
P2 結像点
P3 眼前ミラー反射点
P4 瞳孔中心
P5 虚像点
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4