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明細書 :計測装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年5月31日(2018.5.31)
発明の名称または考案の名称 計測装置
国際特許分類 G01N  21/27        (2006.01)
G02B  21/06        (2006.01)
G02B   5/18        (2006.01)
G02B  27/42        (2006.01)
G01B  11/00        (2006.01)
FI G01N 21/27 A
G02B 21/06
G02B 5/18
G02B 27/42
G01B 11/00 A
国際予備審査の請求
全頁数 51
出願番号 特願2017-526246 (P2017-526246)
国際出願番号 PCT/JP2016/066636
国際公開番号 WO2017/002535
国際出願日 平成28年6月3日(2016.6.3)
国際公開日 平成29年1月5日(2017.1.5)
優先権出願番号 2015130249
優先日 平成27年6月29日(2015.6.29)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】安井 武史
【氏名】岩田 哲郎
【氏名】水谷 康弘
【氏名】南川 丈夫
【氏名】謝 宜達
【氏名】長谷 栄治
【氏名】山本 裕紹
出願人 【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100139686、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 史朗
【識別番号】100188558、【弁理士】、【氏名又は名称】飯田 雅人
【識別番号】100175824、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 淳一
審査請求 未請求
テーマコード 2F065
2G059
2H052
2H249
Fターム 2F065AA60
2F065BB05
2F065BB22
2F065BB23
2F065CC16
2F065FF52
2F065GG04
2F065GG12
2F065GG23
2F065HH15
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL02
2F065LL30
2F065LL42
2F065LL46
2F065LL51
2F065NN05
2F065QQ16
2G059AA05
2G059EE01
2G059EE02
2G059EE10
2G059EE11
2G059FF02
2G059FF03
2G059GG01
2G059GG08
2G059GG10
2G059JJ05
2G059JJ06
2G059JJ11
2G059JJ17
2G059JJ22
2G059JJ30
2G059KK04
2H052AA08
2H052AB01
2H052AB14
2H052AB24
2H052AC04
2H052AC05
2H052AC11
2H052AC14
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2H052AC18
2H052AC26
2H052AC27
2H052AC34
2H052AD03
2H052AF02
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2H052AF14
2H249AA06
2H249AA12
2H249AA50
2H249AA55
2H249AA58
2H249AA64
2H249AA65
要約 互いに異なる周波数で分布しているスペクトルを二以上含む離散スペクトル光(LA)を発する点光源(12)と、離散スペクトル光をスペクトル毎に互いに異なる方向に分散させる分散部(14)と、スペクトルを試料(S)の互いに異なる位置(p1,…,pn)にそれぞれ集光させる第一集光部(15)と、試料の互いに異なる位置から透過又は反射したそれぞれのスペクトルを空間的に重ね合わせる重ね合わせ部(19)と、試料の情報を含む離散スペクトル光(LB)を、分散部によって分散されたスペクトルの試料上の集光位置と共役な位置(P3)に集光させて空間フィルタリングする空間フィルタリング光学系(18)と、試料の情報を含む離散スペクトル光から、試料の情報を含むモード分解スペクトルを取得する検出部(20)と、を備えている。
特許請求の範囲 【請求項1】
互いに異なる周波数で分布しているスペクトルを二以上含む離散スペクトル光を発する点光源と、
前記点光源から発せられた前記離散スペクトル光を前記スペクトル毎に互いに異なる方向に分散させる分散部と、
前記分散部によって分散された前記スペクトルを試料の互いに異なる位置にそれぞれ集光させる集光部と、
前記集光部によって集光された前記スペクトルが、前記試料の互いに異なる位置から透過又は反射したそれぞれのスペクトルを空間的に重ね合わせる重ね合わせ部と、
前記重ね合わせ部によって重ね合わされた前記試料の情報を含む離散スペクトル光を、前記分散部によって分散された前記スペクトルの前記試料上の集光位置と共役な位置に集光させて空間フィルタリングする空間フィルタリング光学系と、
前記空間フィルタリング光学系で空間フィルタリングされた前記試料の情報を含む離散スペクトル光から、前記試料の情報を含むモード分解スペクトルを取得する検出部と、
を備えていることを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記点光源は、前記離散スペクトル光として、周波数軸で周波数の位置が隣り合う前記スペクトルの周波数の間隔である第一隣接周波数間隔が互いに一致している第一の光周波数コムスペクトルを発する第一のコム光源であることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記周波数軸で周波数の位置が隣り合う前記スペクトルの周波数の間隔が前記第一隣接周波数間隔とは異なる第二隣接周波数間隔であり、且つ前記第二隣接周波数間隔が互いに一致している第二の光周波数コムスペクトルを発する第二のコム光源を備え、
前記検出部は、前記第一の光周波数コムスペクトルと前記第二の光周波数コムスペクトルとを干渉させて生じる干渉スペクトルに基づいて前記モード分解スペクトルを取得することを特徴とする請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記分散部は、入射する光を波長分散する分散素子を備え、
前記点光源から発せられた前記離散スペクトル光を前記分散素子によって前記スペクトル毎に異なる方向に波長分散させ、
前記重ね合わせ部は、前記試料を透過した前記試料の情報を含むスペクトルを空間的に重ね合わせることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の計測装置。
【請求項5】
前記分散部及び前記重ね合わせ部は入射する光を波長分散する一つの分散素子を共有し、
前記点光源から発せられた前記離散スペクトル光を前記一つの分散素子によって前記スペクトル毎に異なる方向に分散させ、且つ前記試料から反射した前記試料の情報を含むスペクトルを空間的に重ね合わせることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の計測装置。
【請求項6】
前記分散素子は、
前記離散スペクトル光を前記スペクトル毎に異なる第一の方向に波長分散させる第一の分散素子と、
前記第一の分散素子によって波長分散された前記離散スペクトル光を前記第一の方向に交差する第二の方向に波長分散させる第二の分散素子と、を備えていることを特徴とする請求項4に記載の計測装置。
【請求項7】
前記分散素子は、回折格子で構成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の計測装置。
【請求項8】
前記離散スペクトル光の中心波長、前記隣り合うスペクトルの周波数の間隔、前記分散部の分散性能、前記集光部に用いられるレンズの開口数及び前記離散スペクトル光の隣り合う前記スペクトルの周波数の間隔がそれぞれ、前記集光部によって前記試料の互いに異なる位置にそれぞれ集光させた前記スペクトルのスポット同士の中心間隔が前記スペクトルのスポットの直径以上となるように設定されていることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載の計測装置。
【請求項9】
前記離散スペクトル光の中心波長、前記隣り合うスペクトルの周波数の間隔、前記試料と前記重ね合わせ部との間に配置されるレンズの開口数及び前記重ね合わせ部の分解能がそれぞれ、前記試料の互いに異なる位置にそれぞれ集光させた前記スペクトルのスポットが前記レンズによって前記重ね合わせ部の所定の位置で空間的に重ね合わされるように設定されていることを特徴とする請求項8に記載の計測装置。
【請求項10】
前記離散スペクトル光の複数の前記スペクトルを前記試料の互いに異なる位置にそれぞれ集光させてなる2次元スポット群を、該2次元スポット群をなす複数のスポットの中心から隣り合う前記スポット同士の間隔よりも小さい寸法で離れた位置にそれぞれのスポットの中心が配置される2次元スポット群を複数生成するスペクトルスポット複製部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項9の何れか一項に記載の計測装置。
【請求項11】
前記試料の互いに異なる位置にそれぞれ集光させた前記スペクトルの2次元スポット群に対してデコンボリュージョン処理を施すデコンボリュージョン処理部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項10の何れか一項に記載の計測装置。
【請求項12】
前記第一の光周波数コムスペクトルの位相とは異なる第三の光周波数コムスペクトルを発する第三のコム光源を備え、
前記検出部は、前記第一の光周波数コムスペクトルと前記第三の光周波数コムスペクトルとを干渉させて得られる位相差に基づいてモード分解位相スペクトルを取得することを特徴とする請求項1から請求項11の何れか一項に記載の計測装置。
【請求項13】
前記第三の光周波数コムスペクトルの前記スペクトルの周波数の間隔が前記第一隣接周波数間隔とは異なる第二隣接周波数間隔であり、且つ前記第二隣接周波数間隔が互いに一致し、
前記検出部は、前記第一の光周波数コムスペクトルと前記第三の光周波数コムスペクトルとを干渉させて生じる干渉スペクトルに基づいて前記モード分解位相スペクトルを取得することを特徴とする請求項12に記載の計測装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置に関する。本願は、2015年6月29日に、日本に出願された特願2015-130249号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、高解像度のイメージングを可能とする光学顕微鏡として、共焦点光学系を備えた顕微鏡(以下、共焦点顕微鏡とする)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
通常の光学顕微鏡では試料の所定範囲を均一に照射するのに対し、共焦点光学系では点光源から発せられた照射光が対物レンズによって試料の一点に集光される。照射光としては、単色性及び直進性に優れているレーザー光が用いられる。また、共焦点光学系では、対物レンズの焦点位置と共役な位置にピンホールを配置することで、試料で焦点が合った位置の透過光又は反射光(あるいは、蛍光、ラマン散乱光等)のみがピンホールを通過して検出される。
このように共焦点光学系では、先ず照射光が試料の一点に集光され、試料の焦点位置の透過光又は反射光はピンホールを通過するのに対し、焦点位置以外からの光はピンホールでカットされる。従って、通常の光学顕微鏡に比べて、焦点に隣接する横方向からの迷光の影響を受けず、コントラストが向上する。さらに、照射光の焦点位置のみの情報が検出されるので、3次元の空間分解能を有する。
【0004】
上記のように鮮明な3次元画像を形成可能とする共焦点顕微鏡は、例えば蛍光タンパク質を用いた生命機能解析等のバイオ分野をはじめ、広い分野で用いられている。また、高い分解能や定量性を有する点から、将来においても共焦点顕微鏡の重要性は増していくと考えられる。
【0005】
上記のように優れた特徴を有する一方で、共焦点顕微鏡では焦点位置の点情報しか得られない。そのため、試料面内の2次元情報を画像化するには、点光源から発せられた照射光の焦点位置を試料内部で相対的に走査させる必要がある。このように照射光の焦点位置を試料に対して相対的に走査することを可能とする走査装置として、例えばガルバノミラーが知られている。ところが、これらの走査装置を用いたとしても、広範囲の高速な走査には時間がかかってしまう。
【0006】
上記の事情に対処する技術として、例えば特許文献2には、焦点走査ユニットを検査対象(試料)の前後に設けた透過式共焦点顕微鏡が開示されている。この走査ユニットは、光源からの光の角度を振り、対物レンズを介して、検査対象における焦点位置を走査させる回転多面体鏡を備えている。また、試料の前後に設けられた第一及び第二の走査ユニットのそれぞれの回転多面体鏡は同期して動作可能とされている。このような構成によって、検査対象を走査して検査対象から透過した光は、第二の走査ユニットの受光素子に正確に入射する。従って、上記の透過式共焦点顕微鏡では、高速機械走査が可能な回転多面体鏡を用いることにより、透過光を用いた検査や測定を高速で行うことができる。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2012-103379号公報
【特許文献2】特開2014-206608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の共焦点顕微鏡であっても、光源からの光を所定領域内で機械的に走査させる必要があり、高い精度を保ちつつ、試料の情報を取得するには時間がかかるという問題がある。また、所定領域の拡大に伴い、試料の情報を取得するための所要時間が長くなってしまう。生命機能解析等のバイオ分野では細胞を生きたまま観察することもあり、共焦点顕微鏡、及び共焦点光学系を備えた測定装置に対して、より一層の高速化と高精度化が強く望まれている。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、高い精度を保ちつつ、機械的走査を必要とすることなく、試料の情報を高速取得可能な計測装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の計測装置は、互いに異なる周波数で分布しているスペクトルを二以上含む離散スペクトル光を発する点光源と、前記点光源から発せられた前記離散スペクトル光を前記スペクトル毎に互いに異なる方向に波長分散させる分散部と、前記分散部によって波長分散された前記スペクトルを試料の互いに異なる位置にそれぞれ集光させる集光部と、前記集光部によって集光された前記スペクトルが、前記試料の互いに異なる位置から透過又は反射したそれぞれのスペクトルを空間的に重ね合わせる重ね合わせ部と、前記重ね合わせ部によって重ね合わされた前記試料の情報を含む離散スペクトル光を、前記分散部によって波長分散された前記スペクトルの前記試料上の集光位置と共役な位置に集光させ空間フィルタリングにより共焦点効果を得る空間フィルタリング光学系と、前記空間フィルタリング光学系で空間フィルタリングされた前記試料の情報を含む離散スペクトル光から、モード分解スペクトルを取得する検出部と、を備えていることを特徴とする。
本明細書において、「モード分解スペクトル」とは、離散スペクトル光から個別に分離され得るスペクトルのことを示す。本発明に係る計測装置は、強度(振幅の2乗)のモード分解スペクトル(以下、モード分解強度スペクトルとする)のみを取得することができる。また、検出部の構成を適宜変更することで、本発明に係る計測装置は、振幅と位相のモード分解スペクトル(以下、モード分解振幅スペクトル及びモード分解位相スペクトル)とを取得することができる。なお、以下では、モード分解強度スペクトル、モード分解振幅スペクトル、モード分解位相スペクトルを区別する必要のない場合には、単に「モード分解スペクトル」と記載することがある。
【0011】
上記の構成によれば、離散スペクトル光に二以上含まれるスペクトルが、分散部への離散スペクトル光の一回の照射で互いに異なる方向に波長分散され、試料の互いに異なる位置に集光する。従って、互いに独立しているスペクトルを試料に二以上同時に集光させることができる。本明細書において、「独立している」とは、互いに異なる周波数で分布することで、他のスペクトルに対して独自に試料の情報を含むことができることを示す。ゆえに、二以上のスペクトルのそれぞれに当該スペクトルの集光位置の試料の情報が付加される。このように試料のイメージ情報が付加されたモード分解スペクトルを空間フィルタリング光学系によって空間フィルタリングし、共焦点効果を付与した後、検出部によって検出することができる。
【0012】
上記の計測装置では、前記点光源が、前記離散スペクトル光として、周波数軸で周波数の位置が隣り合う前記スペクトルの周波数の間隔である第一隣接周波数間隔が互いに一致している第一の光周波数コムスペクトルを発する第一のコム光源であってもよい。
【0013】
上記の構成では、第一隣接周波数間隔に応じた間隔、且つ一定の間隔をあけて、二以上のスペクトルが試料の互いに異なる位置に集光する。従って、試料の所定範囲の情報を当該範囲内で等間隔に同時取得することができる。
【0014】
また、上記の計測装置は、前記周波数軸で周波数の位置が隣り合う前記スペクトルの周波数の間隔が前記第一隣接周波数間隔とは異なる第二隣接周波数間隔であり、且つ前記第二隣接周波数間隔が互いに一致している第二の光周波数コムスペクトルを発する第二のコム光源を備え、前記検出部は、前記第一の光周波数コムスペクトルと前記第二の光周波数コムスペクトルとを干渉させて生じる干渉信号(干渉スペクトルもしくはインターフェログラム)に基づいて前記モード分解スペクトルを取得してもよい(デュアル光コム分光法)。この場合、干渉スペクトルは第一の光周波数コムスペクトルが周波数ダウンスケーリングされてなる第一及び第二の光周波数コムスペクトルの光ビートスペクトルである。また、デュアル光コム分光法を用いると、モード分解振幅スペクトル以外に、モード分解位相スペクトルも取得できる。
【0015】
また、上記の計測装置では、前記分散部が、入射する光を波長毎に空間分離する分散素子を備え、前記点光源から発せられた前記離散スペクトル光を前記分散素子によって前記スペクトル毎に異なる方向に波長分散させ、前記重ね合わせ部は、前記試料を透過した前記試料の情報を含むスペクトルを空間的に重ね合わせてもよい。
一方、前記分散部及び前記重ね合わせ部は入射する光を波長分散する一つの分散素子を共有し、前記点光源から発せられた前記離散スペクトル光を前記一つの分散素子によって前記スペクトル毎に異なる方向に分散させ、且つ前記試料から反射した前記試料の情報を含むスペクトルを空間的に重ね合わせてもよい。
【0016】
上記の構成では、分散素子に離散スペクトル光が一回照射されれば、個々のスペクトルが当該スペクトルの光周波数(波長)に依存する分散角で波長分散される。即ち、互いに異なる光周波数で分布し、且つ二以上のスペクトルを、同時に、互いに異なる方向に向けて分散させることができる。
また、上記の構成では、試料を透過し、重ね合わせ部によって空間的に重ね合され、且つ試料の情報を含む離散スペクトル光を検出することができる。
また、試料から反射し、同様に重ね合わせ部によって空間的に重ね合されてなる、試料の情報を含む離散スペクトル光を検出することもできる。
【0017】
また、上記の計測装置では、前記分散素子は、前記離散スペクトル光を前記スペクトル毎に異なる第一の方向に波長分散させる第一の分散素子と、前記第一の分散素子によって波長分散された前記離散スペクトル光を前記第一の方向に交差する第二の方向に波長分散させる第二の分散素子と、を備えていてもよい。
前記分散素子は、回折格子で構成されていてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、離散スペクトル光が一回照射されれば、第一の分散素子によって個々のスペクトルが当該スペクトルの光周波数(即ち、波長)及び第一の分散素子のピッチや入射角等に依存する分散性能によって決まる分散角で第一の方向に波長分散される。続いて、第一の分散素子では分離できなかった個々のスペクトルが、第二の分散素子によって、当該スペクトルの光周波数(即ち、波長)及び第二の分散素子のピッチや入射角等に依存する分散性能によって決まる分散角で第二の方向に波長分散される。即ち、互いに異なる光周波数で分布し、且つ二以上のスペクトルを、同時に、第一及び第二の分散素子を用いて2段階で、互いに異なる方向に向けて分散させることができる。第一及び第二の分散素子として回折格子を用いれば、回折格子の分散性能を適切に調節することで、このような二以上のスペクトルを所望の間隔をあけて互いに異なる方向に向けて2次元的に分散させることができる。
【0019】
また、上記の計測装置では、前記離散スペクトル光の中心波長、前記隣り合うスペクトルの周波数の間隔、前記分散部の分散性能、前記集光部に用いられるレンズの開口数、及び、前記離散スペクトル光の隣り合う前記スペクトルの周波数の間隔がそれぞれ、前記集光部によって前記試料の互いに異なる位置にそれぞれ集光させた前記スペクトルのスポット同士の中心間隔が前記スペクトルのスポットの直径以上となるように設定されていてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、光周波数コム・モードの2次元スポット群が離散的且つ高密度に試料上に形成される。このような2次元スポット群が試料に形成されることで、2次元スポット群の隣接したスポット(即ち、画素)間のクロストークが抑制され、離散スペクトル光の中心波長、分散部の分散性能、集光部に用いられるレンズの開口数及び離散スペクトル光の隣り合うスペクトルの周波数の間隔が上述のように設定されていない場合に比べて、よりボケの無い画像がモード分解スペクトルから得られる。
【0021】
また、上記の計測装置では、前記離散スペクトル光の中心波長、前記隣り合うスペクトルの周波数の間隔、前記試料と前記重ね合わせ部との間に配置されるレンズの開口数、及び、前記重ね合わせ部の分散性能がそれぞれ、前記試料の互いに異なる位置にそれぞれ集光させた前記スペクトルのスポットが前記レンズによって前記重ね合わせ部の所定の位置で空間的に重ね合わされるように設定されていてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、離散スペクトル光の中心波長、隣り合うスペクトルの周波数の間隔、重ね合わせ部に用いられるレンズの開口数及び空間フィルタリング光学系の分解能が上述のように設定されていない場合に比べて、試料の互いに異なる位置にそれぞれ集光させた2次元スポット群から、スペクトルのスポット同士の中心間隔に合わせて、試料の互いに異なる位置からの情報の欠損等なく、より高精度な画像がモード分解スペクトルから得られる。
【0023】
また、上記の計測装置では、前記試料の互いに異なる位置にそれぞれ集光させた前記スペクトルの2次元スポット群に対してデコンボリュージョン処理を施すデコンボリュージョン処理部を備えていてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、デコンボリュージョン処理部でデコンボリュージョン処理がなされるので、集光部等のボケ特性から生じるスペクトルの2次元スポット群の画像ボケ(即ち、スポット光の拡がり)が軽減される。
【0025】
また、上記の計測装置では、前記第一の光周波数コムスペクトルの位相とは異なる第三の光周波数コムスペクトルを発する第三のコム光源を備え、前記検出部は、前記第一の光周波数コムスペクトルと前記第三の光周波数コムスペクトルとを干渉させて得られる位相差に基づいて前記モード分解位相スペクトルを取得してもよい。
さらに、前記第三の光周波数コムスペクトルの前記スペクトルの周波数の間隔が前記第一隣接周波数間隔とは異なる第二隣接周波数間隔であり、且つ前記第二隣接周波数間隔が互いに一致し、前記検出部は、前記第一の光周波数コムスペクトルと前記第三の光周波数コムスペクトルとを干渉させて生じる干渉スペクトルに基づいて前記モード分解位相スペクトルを取得してもよい。
【0026】
上記の構成によれば、第三のコム光源を備えることで、試料の互いに異なる位置における共焦点ボリューム内の位相情報が得られ、共焦点特性によって決まる深さ分解能(共焦点深さ分解能)よりも、更に高精度な深さ分解能で情報取得がなされるので、共焦点特性のみの場合に比べて、試料の厚み方向の情報をより高精度に取得することができる。
また、デュアル光コム分光法を採用した場合に、第二のコム光源を第三のコム光源としても共有することで、第二のコム光源と第三のコム光源とを個別に設けた構成に比べて装置を単純化することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の計測装置では、離散スペクトル光の機械的走査を行うことなく、離散スペクトル光の一回の照射で、互いに独立しているスペクトルを二以上同時に集光させ、試料に二以上の焦点を同時形成することができる。また、空間フィルタリング光学系によって試料上のスペクトルの焦点位置以外からの光をカットし、モード分解スペクトルから試料の情報を含むスペクトルのみを二以上同時に検出することで、共焦点効果による高コントラストかつ3次元空間分解の鮮明な情報を得ることができる。さらに、モード分解位相スペクトルを利用することにより、共焦点深さ分解能を大きく上回る深さ分解能を得ることができる。
従って、本発明によれば、高い精度を保ちつつ、試料の情報を高速に取得可能な計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を適用した第一実施形態の計測装置の模式図である。
【図2】本発明における離散スペクトル光について説明するための模式図である。
【図3】本発明の第一実施形態の計測装置における離散スペクトル光源の第一構成例を示す概略図である。
【図4】本発明の第一実施形態の計測装置における離散スペクトル光源の第二構成例を示す概略図である。
【図5】本発明の第一実施形態の計測装置における離散スペクトル光源の第三構成例を示す概略図である。
【図6】本発明の第一実施形態の計測装置における離散スペクトル光源の第四構成例を示す概略図である。
【図7】本発明の第一実施形態の計測装置における検出光学系の第一構成例を示す概略図である。
【図8】本発明の第一実施形態の計測装置における検出光学系の第二構成例を示す概略図である。
【図9】本発明の第一実施形態の計測装置における検出光学系の第三構成例を示す概略図である。
【図10】本発明の第一実施形態の計測装置における空間フィルタリング部、分散部、第一集光部、第二集光部及び重ね合わせ部における光の操作を説明するための模式図である。
【図11】本発明を適用した第二実施形態の計測装置の模式図である。
【図12】本発明を適用した第二実施形態の計測装置における干渉スペクトルの発生過程を説明するための模式図である。
【図13】本発明を適用した第三実施形態の計測装置の模式図である。
【図14】本発明を適用した第四実施形態の計測装置の模式図である。
【図15】本発明を適用した第五実施形態の計測装置の模式図である。
【図16】本発明の第一実施形態から第五実施形態の計測装置に適用可能な分散部の光学系の第一構成例を示す概略図である。
【図17】本発明の第一実施形態から第五実施形態の計測装置における離散スペクトル光のスペクトルの2次元スポット群の複製について説明するための模式図である。
【図18】本発明の第一実施形態から第五実施形態の計測装置における試料の位相イメージの取得について説明するための模式図である。
【図19】実施例1の光学系の模式図である。
【図20】実施例1で用いたテストチャートである。
【図21】実施例1で用いたテストチャートのライン間隔を示す図である。
【図22】実施例1で測定したテストチャートの範囲R1に関する反射率の波長依存性を示すグラフである。
【図23】実施例1で測定したテストチャートの範囲R2に関する反射率の波長依存性を示すグラフである。
【図24】実施例1で測定したテストチャートの範囲R3に関する反射率の波長依存性を示すグラフである。
【図25】実施例1で測定したテストチャートの一部を示すデータである。
【図26】実施例2の共焦点顕微ラインイメージング装置の模式図である。
【図27】実施例2の共焦点顕微ラインイメージング装置の一部を示す上面図及び側面図である。
【図28】実施例2で空間フィルタリング光学系におけるピンホールによる深さ分解能の限定効果を示すグラフである。
【図29】実施例2で測定したテストチャートの範囲R5に関するデータであり、図26に示す共焦点顕微ラインイメージング装置においてピンホールを配置した場合のデータを示す。
【図30】実施例2で測定したテストチャートの範囲R5に関するデータであり、図26に示す共焦点顕微ラインイメージング装置においてピンホールを配置しない場合のデータを示す。
【図31】実施例3の共焦点顕微ラインイメージング装置の模式図である。
【図32】実施例3で取得したモード分解スペクトルである。
【図33】実施例3で取得したモード分解スペクトルであり、図32の部分拡大図である。
【図34】実施例3で測定したテストチャートの範囲R6に関するデータである。
【図35】実施例4の共焦点顕微イメージング装置の模式図である。
【図36】実施例4で取得したモード分解スペクトルである。
【図37】実施例4で取得したモード分解スペクトルであり、図36の部分拡大図である。
【図38】実施例4で取得したテストチャートのグループ4要素1の2次元共焦点顕微イメージ(反射)であり、測定位置が光周波数コムスペクトルの集光位置である場合のイメージである。
【図39】実施例4で近赤外光カメラを用いて取得したテストチャートのグループ4要素1の透過イメージである。
【図40】実施例4で取得したテストチャートのグループ4要素1の2次元共焦点顕微イメージであり、測定位置が光周波数コムスペクトルの集光位置から+10μm移動した位置である場合のイメージである。
【図41】実施例4で取得したテストチャートのグループ3要素1の2次元共焦点顕微イメージ(反射振幅イメージ)である。
【図42】実施例4で取得したテストチャートのグループ3要素1の2次元共焦点顕微イメージ(反射位相イメージ)である。
【図43】実施例4で近赤外光カメラを用いて取得したテストチャートのグループ3要素1の透過イメージである。
【図44】実施例4(CLM)及びデジタルホログラフィー(DH)によって取得したテストチャート反射コート有りと無しの部位における高さプロファイルの比較である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を適用した計測装置の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、及び厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更できる。

【0030】
(第一実施形態)
始めに、本発明を適用した計測装置の第一実施形態を図1から図10に基づいて説明する。図1は第一実施形態の計測装置10Aの模式図である。

【0031】
[計測装置10Aの構成]
図1に示すように、計測装置10Aは細胞等の試料Sの情報を取得可能な計測装置であり、点光源12と、分散部14と、第一集光部(集光部)15と、第二集光部17と、重ね合わせ部19と、空間フィルタリング光学系18と、検出部20と、を備えている。

【0032】
点光源12は、離散スペクトル光源(第一のコム光源)22と、集光レンズ24と、を備えている。
離散スペクトル光源22は、離散スペクトル光LAを発する光源である。

【0033】
図2は離散スペクトル光LAについて説明するための模式図である。図2に示すように、離散スペクトル光LAは互いに異なる周波数で分布しているスペクトルMAを二以上含んでいる。このような離散スペクトル光LAとしては、光周波数コムスペクトル(第一の光周波数コムスペクトル)LX0が挙げられる。光周波数コムスペクトルLX0は、例えば周波数軸(図2に示すf軸)上で互いに周波数間隔frをあけて分布するスペクトルMAを二以上含んでいる。以降では、スペクトルMAの数をnとする。言い換えれば、周波数軸で周波数の位置が隣り合うスペクトルMA,MAの周波数の間隔が周波数間隔frである。周波数特性で見ると、n個のスペクトルMAがキャリア・エンベロープ・オフセット周波数f0(以下、オフセット周波数f0と記載する)、及び所定の光強度|E(f)|の分布を有するスペクトル・エンベロープNAを備え、周波数軸上に分布している。
光周波数コムスペクトルLX0の時間特性を見ると、パルスΦ1,Φ2,…,Φmが複数分布している。隣接したパルスΦ1,Φ2,…,Φmの間の互いに中心の時間間隔が1/frである。複数のパルスΦ1,Φ2,…,Φmの光搬送波電界CAは、複数のスペクトルMAを逆フーリエ変換して得られる時間分布を有する。複数のパルスΦ1,Φ2,…,Φnのパルス包絡線WAはスペクトル・エンベロープNAを逆フーリエ変換して得られる時間分布を有する。

【0034】
キャリア・エンベロープ・オフセット周波数f0と、キャリア・エンベロープ・オフセット周波数f0を有するスペクトルMAに対する順番を決めれば、所定の順番のスペクトルMAの周波数が決まる。例えば、オフセット周波数f0を有するスペクトルMAに対してn番目のスペクトルMAの周波数νnは、下記の(1)式のように決められる。

【0035】
【数1】
JP2017002535A1_000003t.gif

【0036】
光周波数コムスペクトルLX0では、周波数間隔fr及びオフセット周波数f0が周波数標準器を基準に安定化されてスペクトルMAの周波数が周波数軸上で殆ど変化せず、固定されている。「周波数軸上で変化せず」とは、複数のスペクトルMAの互いに異なるモードが位相同期され、スペクトルMAの周波数が周波数標準器に位相同期することで達成され得る程度に、周波数軸上で変化しない状態を示す。

【0037】
離散スペクトル光源22としては、上記説明した光周波数コムスペクトルLX0を発することが可能な公知のコム光源を用いることができる。
以下では、離散スペクトル光源22の構成例について説明する。各例において公知の構成要素については、その詳細な説明を省略する。
なお、離散スペクトル光源22の構成は下記の各例に限定されるものではない。

【0038】
図3は離散スペクトル光源22の第一構成例であるコム光源22Aの概略図である。図3に示すように、コム光源22Aはモード同期ファイバレーザー77と、増幅器78と、を備えている。モード同期ファイバレーザー77は励起用半導体レーザー82と、光アイソレータ87Aを備えた光ファイバ80Gと、光カプラ84Aと、イッテルビウム(Yb)等のドープファイバ86Aを備えた光ファイバ80Aと、光ファイバ80B,80Cと、光アイソレータ85Aと、を備えている。増幅器78は光ファイバ80B,80Cの間に配置された光カプラ84Dを介してモード同期ファイバレーザー77に接続されている。増幅器78は、光カプラ84Dの出力側に接続された光ファイバ80Dと、光アイソレータ85Bと、励起用半導体レーザー83と、光アイソレータ87Bを備えた光ファイバ80Fと、光カプラ84Cと、イッテルビウム(Yb)等のドープファイバ86Bを備えた光ファイバ80Hと、光アイソレータ85Cと、を備えている。

【0039】
図3に示す構成では、モード同期ファイバレーザー77から周波数安定度の高いパルスが光アイソレータ85Aから光カプラ84Aに向かって発振される。発振されたパルスの一部が光カプラ84Dから取り出され、一部のパルスは光ファイバ80D内を進み、増幅器78でその強度を増幅させる。一方、残りのパルスは光ファイバ80C内を進み、モード同期ファイバレーザー77の内部をループする。このような動作原理によって、光アイソレータ85Cから、高出力の光周波数コムスペクトルLX0が出射される。

【0040】
図4は離散スペクトル光源22の第二構成例であるコム光源22Bの概略図である。図4に示すように、コム光源22Bは光変調器90と、マイクロ波発振器93と、を備えている。光変調器90は所定距離だけ離間させて配置された鏡92A,92Bと、二枚の鏡92A,92Bの間に配置された電気光学結晶94から構成されている。電気光学結晶94には、例えばニオブ酸リチウム(LiNbO)が用いられている。

【0041】
図4に示す構成では、光変調器90に入射した単一スペクトル光はマイクロ波発振器93によって外部位相変調される。一方、電気光学結晶94が上記のように二枚の鏡92A,92Bからなるファブリ・ペロー共振器内に配置されていることで深い変調がかけられ、約1000本以上のスペクトルMAが発生する。スペクトルMAの周波数間隔frはマイクロ波発振器93の変調周波数に一致する。また、光変調器90はパッシブな構成要素で構成されているため、周波数軸上で非常に安定したスペクトルMAを二以上含む光周波数コムスペクトルLX0が発生する。スペクトル・エンベロープNAの中心周波数は、不図示の入力光源で決定される。

【0042】
図5は離散スペクトル光源22の第三構成例であるコム光源22Cの概略図である。図5に示すように、コム光源22Cは導波路型のマッハツェンダ変調器(MZM)型超平坦光コム発生器(MZ-FCG)95を備えている。MZ-FCG95には、入力導波路96Aと、二つの分岐導波路96B,96Cと、出力導波路96Dと、が形成されている。二つの分岐導波路96B,96Cのそれぞれには、高周波(RF)信号と位相変調信号を入力可能とする導波路が結合されている。

【0043】
図5に示す構成では、RF信号が所定の条件で二つの分岐導波路96B,96Cに入力されると、単一スペクトルから分岐導波路96B,96Cのそれぞれで二つの光周波数コムスペクトルが発生する。二つの分岐導波路96B,96Cの結合位置において、二つの光周波数コムスペクトルは互いにそれぞれの光強度のアンバランスを補い合う。従って、スペクトル・エンベロープNAの平坦性に優れた光周波数コムスペクトルLX0が発生し、出力導波路96Dから取り出される。

【0044】
図6は離散スペクトル光源22の第四構成例であるコム光源22Dの概略図である。コム光源22Dはコム光源22CのMZ-FCG95を用いた広帯域コム/超短パルス光源である。図6に示すように、コム光源22Dは、励起用半導体レーザー98と、偏波コントローラ(PC)99と、MZM100と、シングルモードファイバ(SMF)108と、エルビウム添加ファイバ増幅器109と、分散フラット・分散減少ファイバ(DF-DDF)110と、を備えている。
図6に示す構成では、MZ-FCG95によって発生した光コム信号は標準的なSMF108に入力された後にDF-DDFに入力することで、約20THzに及ぶ光周波数コムスペクトルLX0が発生する。

【0045】
上記説明したコム光源22Aから22Dに例示される離散スペクトル光源22の出射方向には、図1に示すように、集光レンズ24が配置されている。集光レンズ24は離散スペクトル光源22から発せられた離散スペクトル光LAを集光位置P1に集光させる光学素子である。従って、集光レンズ24の各種パラメータは、スペクトルMAの周波数ν及び集光レンズ24の位置と集光位置P1との距離等を勘案して設定され、特に限定されない。

【0046】
なお、例えば集光レンズ24のように、点光源12の光学系においてレンズが用いられている場合は、図示しないが、レンズをミラーに替えて点光源12を構成してもよい。レンズに替えてミラーを用いることによって、離散スペクトル光源22から発せられた光周波数コムスペクトルLX0の各スペクトルMAの周波数に対してレンズの色収差の影響が及ぶことを避けることができる。

【0047】
光軸X上において、点光源12の前方にはピンホール26及びコリメートレンズ28がこの順で配置されている。
ピンホール26は所定の大きさ及び形状の開口を有する。光軸X方向において、ピンホール26の開口は集光位置P1に位置している。この開口の大きさ及び形状は、スペクトルMAの周波数と、試料Sの情報を取得するための所望の分解能等を勘案して設定され、特に限定されない。
コリメートレンズ28は集光位置P1から発散された離散スペクトル光LAをコリメートする光学素子である。従って、コリメートレンズ28の各種パラメータは、スペクトルMAの周波数及び集光位置P1とコリメートレンズ28の位置との距離等を勘案して設定され、特に限定されない。
なお、ピンホール26、集光レンズ24及びコリメートレンズ28は、集光位置P1において離散スペクトル光LAを少なくとも任意の一方向に集光できれば、他の構成に置き換えられる。例えば、これらの構成に替えて、シリンドリカルレンズ及びスリットの組合せを用いてもよく、ピンホール26に替えて符号化パターンを用いてもよい。

【0048】
分散部14は、光軸X方向においてコリメートレンズ28と第一集光部15との間に配置され、離散スペクトル光LAをスペクトルMA毎に互いに異なる方向に波長分散させるための構成である。第一実施形態の分散部14は分散素子32を備えている。図1では、分散素子32として、回折格子を用いた場合を示している。分散素子32は、分散面32aに直交する軸J1を光軸Xに対して角度θ0だけ傾斜させた姿勢で配置されている。分散素子32は角度θ0で入射した光をスペクトルMA毎に、n個のスペクトルMAの周波数に応じた角度θ1,θ2,…,θnで1次元的、2次元的又は3次元的に波長分散させる機能を有する。このような機能を有する分散素子32としては、例えば回折格子、プリズム、Virtual Imaged Phased Array(VIPA:登録商標)、計算機ホログラム(Computer Generated Hologram:CGH)等が挙げられる。分散素子32として回折格子やプリズムを用いる場合は、図1に示すように、分散ビームが1次元的に(即ち、ライン状に)波長分散される。回折格子のピッチは、スペクトルMAが入射する角度θ0、スペクトルMAの周波数及び試料Sの情報を取得するための所望の分解能等を勘案して、公知のグレーティング方程式に基づいて設定され、特に限定されない。分散素子32としてVIPA(第一の分散素子)と回折格子(第二の分散素子)とを組み合わせて用いる場合は、分散ビームが2次元的に(平面状に)波長分散される。分散素子32としてCGHを用いる場合は、CGHにレンズ特性を持たせることでスペクトル毎に集光位置の深さを変えることができる。

【0049】
第一集光部15は、光軸X方向において分散部14と試料Sとの間に配置され、分散部14によって波長分散されたスペクトルMAを試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnにそれぞれ集光させるための構成である。第一集光部15はリレーレンズ34,36と、対物レンズ38と、を備えている。リレーレンズ34,36は、分散素子32のビーム出射状態を、対物レンズの入射瞳(点P4)に転送するために用いられている。リレーレンズ34は複数のスペクトルMAを光軸Xに直交する方向(即ち、図1に示す矢印D2方向又は矢印D3方向)にそれぞれ異なる位置で集光させる。リレーレンズ36は集光後に発散した複数のスペクトルMAをコリメートすると共に、共通して対物レンズの入射瞳である点P4を通過させ、対物レンズ38に入射させる。対物レンズ38は、点P4のビーム入射角度に依存して異なる位置に焦点を形成するが、スペクトルMA毎に入射角度が異なるので、入射した点P4からのスペクトルMAをスペクトルMA毎に、試料Sの矢印D2又はD3方向に異なる位置で集光させる。
なお、第一集光部15は分散部14によって分散されたスペクトルMAを試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnにそれぞれ集光させることができれば、上記の構成に限定されない。

【0050】
試料Sは、光軸X方向において第一集光部15と第二集光部17との間に配置されている。試料Sは、例えば細胞等のように、スペクトルMAを透過させ、且つスペクトルMAに振幅や位相の変調等によってその情報を付加し得る物体であればよく、特に制限されない。

【0051】
第二集光部17は、光軸X方向において試料Sと重ね合わせ部19との間に配置され、対物レンズ39と、リレーレンズ35,37と、を備えている。リレーレンズ35,37は、対物レンズの入射瞳(点P5)のビーム出射状態を、分散素子33に転送するために用いられている。これらの構成要素はそれぞれ、対物レンズ38と、リレーレンズ34,36と、に対応している。即ち、第二集光部17は、光軸X方向において試料Sに対し、第一集光部15を折り返してなる構成である。対物レンズ39は互いに異なる位置p1,p2,…,pnから透過した透過したそれぞれのスペクトル(以下、透過スペクトルとする)をコリメートすると共に、共通して点P5を通過させ、リレーレンズ37に入射させる。リレーレンズ37は点P5を通過した複数の透過スペクトルを光軸Xに直交する方向(即ち、図1に示す矢印D2方向又は矢印D3方向)にそれぞれ異なる位置で集光させる。リレーレンズ35は集光後に発散した複数の透過スペクトルをコリメートする。
なお、第二集光部17は上記構成に限定されず、省略可能である。

【0052】
重ね合わせ部19は、光軸X方向において第二集光部17と空間フィルタリング光学系18との間に配置され、互いに異なる位置p1,p2,…,pnからの透過スペクトルを空間的に重ね合わせるための構成である。第一実施形態の重ね合わせ部19は分散素子33を備えている。分散素子33は、波長分散面33aに直交する軸J2を光軸Xに対して角度θ0だけ傾斜させた姿勢で配置されている。分散素子33はn個のスペクトルMAの周波数に応じた角度θ1,θ2,…,θnで入射した光を共通の角度θ0で同時に波長分散させる機能を有する。共通の角度θ0で同時に波長分散することで、n個のスペクトルMAは光軸X上に重ねられる。このような機能を有する分散素子33としては、例えば回折格子、プリズム、VIPA、CGH等が挙げられる。分散素子33は、分散素子32と同様の性能を有することが好ましい。

【0053】
空間フィルタリング光学系18は、光軸X方向において重ね合わせ部19と検出部20との間に配置され、スペクトルMAの試料S上で集光された位置p1,p2,…,pnのそれぞれと共役な位置P3に集光させるための構成である。空間フィルタリング光学系18は集光レンズ40と、ピンホール42と、コリメートレンズ44と、を備え、これらの構成要素が光軸X方向の後方側から前述の順で配置されている。

【0054】
集光レンズ40は光軸X上で入射する透過スペクトルをスペクトルMAの試料S上での焦点に共役な位置P3(以下、単に焦点に共役な位置P3と記載する場合がある)に集光させる。従って、集光レンズ40の各種パラメータは、スペクトルMAの周波数及び集光レンズ40の位置と、焦点に共役な位置P3との距離等を勘案して設定され、特に限定されない。
ピンホール42は所定の大きさ及び形状の開口を有する。光軸X方向において、ピンホール42の開口は焦点に共役な位置P3に位置している。この開口の大きさ及び形状は、スペクトルMAの周波数と、集光レンズ40の集光性能等を勘案して設定され、特に限定されない。ピンホール42は位置p1,p2,…,pnからの透過スペクトルを開口から通過させる。
コリメートレンズ44は焦点に共役な位置P3から発散された透過スペクトルをコリメートする光学素子である。従って、コリメートレンズ44の各種パラメータは、スペクトルMAの周波数及び焦点に共役な位置P3とコリメートレンズ44の位置との距離等を勘案して設定され、特に限定されない。

【0055】
検出部20は、光軸X方向において計測装置10Aの最後方に配置されている。検出部20は、空間フィルタリング光学系18で空間フィルタリングされ、且つ試料Sの情報を含む離散スペクトル光LBから、試料Sの情報を含むモード分解スペクトルを取得するための構成である。
検出部20としては、離散スペクトル光LBからモード分解スペクトルを取得することが可能な公知の検出光学系46又は分光装置を用いることができる。ここで、検出光学系46の構成例について説明する。各例において公知の構成要素については、その詳細な説明を省略する。
なお、検出光学系46の構成は下記の各例に限定されるものではない。

【0056】
図7は検出光学系46の第一構成例である光学系46Aの概略図である。図7に示すように、光学系46Aはシリンドリカルレンズ48と、VIPA50と、球面レンズ52と、回折格子54と、を備えている。VIPA50は、薄いガラス板50bの片面に半透過膜(図示略)を形成し、他面に反射膜50rで構成され、エタロンによる鋭い波長分散特性を有している。そして、VIPAを可動させることによって波長分散角度を変化させる。

【0057】
図7に示す構成では、先ず、シリンドリカルレンズ48によって図7に示す矢印x方向に沿ってライン集光された光が、VIPA50によって矢印y方向(第一の方向)に分散される。また、分散された光の分散角度は、光軸に対して角度αの範囲内で、その光の周波数、VIPA50の厚さ、ならびに入射角度に起因する角度となる。VIPA50で分散された光は、球面レンズ52によって当該光毎に光軸に対して平行な方向に偏向され、回折格子54に入射する。回折格子54の格子の延在方向は矢印y方向に平行する方向であるため、回折格子54から反射した光は、反射と同時に前記一方向に直交する方向(図7に示す矢印x方向(第二の方向))に回折し、これによって周波数毎に分散される。従って、矢印D1方向及び矢印D3方向に複数のモード分解スペクトルが2次元展開され、個々のモード分解強度スペクトルの2次元空間分布がイメージングデバイス等によって検出される。2次元展開されたモード分解スペクトルの分布について、矢印D1方向の散在する帯域d1、及び矢印D3方向のピッチd2はVIPA50のFree Spectrum Range(FSR)及び回折格子54の格子ピッチに依存する。また、矢印D1方向のピッチd3はVIPA50に入射する光のスペクトルの周波数間隔(即ち、本実施形態では周波数間隔fr)に依存する。

【0058】
図8は検出光学系46の第二構成例である光学系46Bの概略図である。図8に示すように、光学系46Bは入射スリット120と、反射凹面鏡121,123と、回折格子122と、出力スリット124と、を備えた分散型分光計である。

【0059】
図8に示す構成では、入射スリット120の開口から入射した光が反射凹面鏡121でコリメートされ、回折格子122に入射する。回折格子122の格子の延在方向は所定の方向(図8の紙面を貫通する方向)であるため、回折格子122から反射した光は、反射と同時に所定の方向に回折し、これによって周波数毎に互いに異なる方向へ分散される。
続いて、周波数毎に分散された光は、反射凹面鏡123で出力スリット124に照射され、出力スリット124の開口の位置にある光が取り出される。出力スリット124が矢印D10方向に走査されることで、回折格子122で分散されたモード分解スペクトルが周波数毎に検出される。もしくは、出力スリット124を固定した状態で、回折格子122を回転させることによって、同様のモード分解強度スペクトルが検出される。

【0060】
図9は検出光学系46の第三構成例である光学系46Cの概略図である。図9に示すように、光学系46Cはミラー127と、ビームスプリッタ128と、直角(プリズム)ミラー129,130と、検出器131と、フーリエ変換部132と、を備えたマイケルソン干渉計型フーリエ変換分光光学系である。

【0061】
図9に示す構成では、先ず、一方の直角ミラー129を光軸に平行する矢印D12方向に動かし、直角ミラー129,130のそれぞれから反射した光の干渉波形を検出器131で検出する。続いて、その干渉波形をフーリエ変換部132においてフーリエ変換することにより、周波数(波長)毎のモード分解強度スペクトルが検出される。

【0062】
[計測装置10Aを用いた計測]
次いで、図1に示す計測装置10Aを用いた計測の原理について説明する。
点光源12の離散スペクトル光源22から発せられた離散スペクトル光LAは、集光位置P1で集光すると共に、ピンホール26の開口を通過する。集光位置P1から発散した離散スペクトル光LAは、コリメートレンズ28でコリメートされ、分散部14の分散素子32に入射する。

【0063】
軸J1に対して共通の角度θ0をなし、分散素子32に入射した離散スペクトル光LAの二以上(ここでは、n個とする)のスペクトルMAは、スペクトルMA毎に、その周波数に応じた角度θ1,θ2,…,θnで同時に分散する。即ち、スペクトルMA毎に互いに異なる方向に同時に分散する。
続いて、スペクトル毎に異なる角度θ1,θ2,…,θnで分散されたn個のスペクトルMAは、第一集光部15に入射し、リレーレンズ34によってスペクトル毎に集光され、リレーレンズ36によって位置P4に向けてコリメートされる。位置P4を通ったn個のスペクトルMAは、対物レンズ38によって試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnにそれぞれ、同時に集光される。

【0064】
試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnに同時集光したn個のスペクトルMAには、位置p1,p2,…,pnの試料Sに関する情報が付加される。このように、離散スペクトル光LAの一回の照射で、試料Sにn個のスペクトルMAからなる測定用の照射スポットが同時に形成される。また、試料Sの情報が互いに独立しているn個のスペクトルMAのそれぞれに付加される。

【0065】
試料Sの情報を含む離散スペクトル光LBは、互いに異なる位置p1,p2,…,pnから透過し、第二集光部17に入射する。第二集光部17の対物レンズ39によって、離散スペクトル光LBのスペクトル(以下、透過スペクトルとする)はそれぞれ、コリメートされると共に、共通して点P5を通過する。n個の透過スペクトルはリレーレンズ37に入射し、リレーレンズ37によって光軸Xに直交する方向(即ち、図1に示す矢印D2又はD3方向)にそれぞれ異なる位置で集光される。そして、集光後に発散した複数の透過スペクトルはリレーレンズ35によって、コリメートされると共に、重ね合わせ部19に向かって偏向される。

【0066】
互いに異なる位置p1,p2,…,pnからの透過スペクトルは、重ね合わせ部19の分散素子33に対し、n個の透過スペクトルの各周波数に応じた角度θ1,θ2,…,θnで入射する。そして、分散素子33によって軸J2に対して共通の角度θ0で同時に波長分散し、光軸X上で空間的に且つ同時に重ねられる。

【0067】
空間的に重ね合され、且つ試料Sの情報を含むn個の透過スペクトルは空間フィルタリング光学系18に入射し、集光レンズ40で共役な位置P3に集光され、ピンホール42の開口を通過する。n個の透過スペクトル以外の光やスペクトルはピンホール42でカットされる。ピンホール42の開口を通過したn個の透過スペクトルがコリメートレンズ44でコリメートされ、検出部20に入射する。

【0068】
検出部20では、試料Sの情報を含む離散スペクトル光LB(即ち、上記の透過スペクトル)から、試料Sの情報を含むn個のモード分解スペクトルが取得される。n個のモード分解スペクトルが検出光学系46、又はその他の構成等によって、試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnに応じて1次元、2次元又は3次元的に配置されれば、モード分解スペクトルに含まれている試料Sの情報が見易くなる。このような方法によらず、離散スペクトル光LBからn個のモード分解スペクトルが取得されれば、試料Sの計測が完了する。

【0069】
[計測装置10Aの作用効果]
次いで、第一実施形態の計測装置10Aの作用効果について、図10を参照して説明する。図10は、上記説明した点光源12、分散部14、第一集光部15、第二集光部17、重ね合わせ部19及び空間フィルタリング光学系18で行われる光の操作(反射配置)を説明するための模式図である。
図10に示すように、上記説明した計測装置10Aによれば、空間フィルタリング光学系18を含む点光源12から出射された、周波数軸上で互いに独立しているスペクトルMAを二以上含む離散スペクトル光LAを分散部14に入射させると、スペクトルMA毎に、互いに異なる方向に分散される。これにより、離散スペクトル光LAを走査せずに、離散スペクトル光LAに含まれるn個のスペクトルMAを二以上同時に多次元変換して、多次元平面にマッピングすることができる。図10には、n個のスペクトルMAがそれぞれの周波数(波長)に応じて2次元平面変換がなされた状態を例示している。

【0070】
分散された複数のスペクトルs1,s2,…,snはそれぞれ、第一集光部15によって試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnのそれぞれに同時集光する。即ち、離散スペクトル光LAの一回の照射(1ショット)で複数のスペクトルMAを試料Sの互いに異なる位置に集光させることができる。また、連続スペクトル光を用いた場合とは異なり、複数のスペクトルMAは互いに独立しているため、n個のスペクトルMAの集光位置p1,p2,…,pnで、試料Sの情報を同時且つ並列に、n個のスペクトルMAに、それぞれ付加することができる。従って、n個のスペクトルの集光位置p1,p2,…,pnを試料Sの計測対象の範囲に合わせれば、その計測範囲の試料Sの情報を非機械的に高速取得することができる。

【0071】
また、第一実施形態の計測装置10Aによれば、試料Sの情報が付加された離散スペクトル光LBが第二集光部17及び重ね合わせ部19によって空間的に重ね合され、空間フィルタリング光学系18によって空間フィルタリングされる。これにより、重ね合わせ部19からは、n個のスペクトルMAのそれぞれに試料Sの情報が付加され、n個のモード分解スペクトルMA2が生成されると共に、スペクトル・エンベロープNAがスペクトル・エンベロープNA2に変化する。そして、空間フィルタリング光学系18のピンホール42の開口は、スペクトルMAが集光する位置p1,p2,…,pnに対して共役な位置P3に配置されている。従って、試料Sでの位置p1,p2,…,pn以外から透過した光、又はその他の迷光、散乱光等をピンホール42によってカットし、検出部20には計測対象である離散スペクトル光LBを検出することができる。
以上のように、第一実施形態の計測装置10Aによれば、高い精度を保ちつつ、試料Sの情報を高速に取得することができる。

【0072】
また、第一実施形態の計測装置10Aによれば、n個のスペクトルMAの周波数間隔が互いに一致し、第一隣接周波数間隔fr1とすることもできる。その場合、n個のスペクトルMAが試料Sの互いに異なる位置で、且つ第一隣接周波数間隔fr1に応じた一定の間隔をあけて集光する。従って、試料Sの計測範囲内の情報を等間隔に取得することができる。

【0073】
また、第一実施形態の計測装置10Aによれば、試料Sを透過し、重ね合わせ部19によって空間的に重ね合されてなる離散スペクトル光LBを検出することができる。

【0074】
上述の作用効果を奏する計測装置10Aでは、従来の共焦点顕微鏡に比べて高速性と高分解能性が大幅に向上し、離散スペクトル光LAの1ショットで高いコントラストの鮮明な情報を取得することができる。必要に応じて蛍光プローブ等と併用することで、従来の共焦点顕微鏡や共焦点光学系を備えた装置等では困難とされていた、例えば生きたままの細胞内部の分子の動きを直接観察することも可能になる。その結果、生命機能解析等のバイオ分野に関する新たな知見を取得することができると考えられる。

【0075】
(第二実施形態)
図11は本発明を適用した第二実施形態の計測装置10Bの模式図である。なお、図11に示す第二実施形態の計測装置10Bの構成要素において、図1に示す第一実施形態の計測装置10Aの構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。

【0076】
[計測装置10Bの構成]
図11に示すように、計測装置10Bは、計測装置10Aの構成要素に加えて、ハーフミラー55と、離散スペクトル光源(第二のコム光源)60と、を備えている。
ハーフミラー55は、光軸X方向において、検出部20の検出光学系46とコリメートレンズ44との間に配置されている。ハーフミラー55のミラー面は光軸Xに対して所定の角度で傾斜している。

【0077】
離散スペクトル光源60は、離散スペクトル光LCを発する光源である。離散スペクトル光LCは互いに異なる周波数で分布しているスペクトルMA2を二以上含んでいる(図12参照)。このような離散スペクトル光LCとしては、光周波数コムスペクトル(第二の光周波数コムスペクトル)LX2が挙げられる。
離散スペクトル光源60は、離散スペクトル光LCを所定の角度でハーフミラー55に入射させるように配置されている。図11には、光軸X方向におけるハーフミラー55の中心の位置から矢印D1方向とは反対方向に進んだ位置に配置された離散スペクトル光源60を例示している。

【0078】
図12は、試料Sの情報を含む離散スペクトル光LBと離散スペクトル光源60から発せられた離散スペクトル光LCとの干渉スペクトルの発生過程(即ち、デュアル光コム分光法)を説明するための模式図である。
図12に示すように、試料Sの情報を含む離散スペクトル光LBに関しては、光領域の周波数軸で周波数の位置が隣り合うモード分解スペクトルMA1,MA1の周波数の間隔が第一隣接周波数間隔fr1である。第一隣接周波数間隔fr1は互いに一致している。
一方、離散スペクトル光LCに関しては、光領域の周波数軸で周波数の位置が隣り合うモード分解スペクトルMA2,MA2の周波数の間隔が、第一隣接周波数間隔fr1とは異なる第二隣接周波数間隔fr2である。第二隣接周波数間隔fr2も互いに一致している。
即ち、離散スペクトル光LB,LCはそれぞれ、周波数軸で等間隔に分布するn個のスペクトルMA1,MA2のそれぞれを備えると共に、第一隣接周波数間隔fr1と第二隣接周波数間隔fr2とを互いに異ならせている。

【0079】
[計測装置10Bを用いた計測]
次いで、図11に示す計測装置10Bを用いた計測の原理について説明する。なお、ピンホール42の開口を通過した離散スペクトル光LBがコリメートレンズ44でコリメートされるまでは、計測装置10Bを用いた計測の原理は、計測装置10Aを用いた計測の原理と同様であるため、その説明を省略する。

【0080】
コリメートレンズ44でコリメートされた離散スペクトル光LBは、ハーフミラー55で離散スペクトル光源60から発せられた離散スペクトル光LCと多周波ヘテロダイン干渉(即ち、デュアル光コム分光法)によって干渉する。図12に示すように、第二実施形態では、離散スペクトル光LBが光周波数コムスペクトルLX0に試料Sの情報が付加されてなる光周波数コムスペクトルLX1であり、離散スペクトル光LCが光周波数コムスペクトルLX2である。光周波数コムスペクトルLX1,LX2の干渉スペクトルLZは、電磁波領域の周波数軸で周波数の位置が隣り合うスペクトルMB,MBの周波数の間隔が、Δfr(=fr2-fr1)となる。
検出光学系46には、干渉スペクトルLZが入射すると共に、例えばRFスペクトラムアナライザで干渉スペクトルLZを直接計測し、元の光領域の周波数スケールに変換する。あるいは、干渉波形の時間変化(インターフェログラム)をデジタイザで取得し、それをフーリエ変換することにより、干渉スペクトルLZを得ることもできる。このようにして、干渉スペクトルLZに基づいてモード分解振幅スペクトル及びモード分解位相スペクトルが得られる。

【0081】
[計測装置10Bの作用効果]
第二実施形態の計測装置10Bによれば、第一実施形態の計測装置10Aと同様の作用効果が得られる。
また、第二実施形態の計測装置10Bでは、上記説明したデュアル光コム分光法を採用している。光周波数コムスペクトルLX1,LX2の各モードは一般に広く用いられている市販の分光器では分解能が不足して分解できないことが多い。しかしながら、第2実施形態の計測装置10Bのようにデュアル光コム分光法を適用することで、多周波ヘテロダイン干渉によって、光周波数コムスペクトルLX1を電磁波領域の干渉スペクトルLZにダウンスケーリングすることができる。
このようにデュアル光コム分光法に基づけば、分光器フリーで高分解能、高確度、広帯域且つ高速に、モード分解振幅スペクトル及びモード分解位相スペクトルを取得することができる。

【0082】
(第三実施形態)
図13は本発明を適用した第三実施形態の計測装置10Cの模式図である。なお、図13に示す第三実施形態の計測装置10Cの構成要素において、図1に示す第一実施形態の計測装置10Aの構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。

【0083】
[計測装置10Cの構成]
図13に示すように、計測装置10Cは、透過式の計測装置10Aの構成を反射式の構成に変更したものである。
計測装置10Cは、点光源12と、ハーフミラー30と、分散部14と、第三集光部(集光部)16と、重ね合わせ部19と、空間フィルタリング光学系18と、検出部20と、を備えている。

【0084】
計測装置10Cにおいても、光軸X上において、点光源12の前方にはピンホール26及びコリメートレンズ28がこの順で配置されている。コリメートレンズ28から出射された離散スペクトル光LAはハーフミラー30に入射する。ハーフミラー30は、離散スペクトル光LAを分散素子32の軸線J3に対して角度θ0で入射させる。

【0085】
分散素子32は、分散部14と、重ね合わせ部19の両方を兼ねている。第三集光部16は、分散素子32によってスペクトル毎に異なる方向に分散されたスペクトルMAを試料Sの異なる位置p1,p2,…,pnに集光させる。また、分散素子32は試料Sの異なる位置p1,p2,…,pnから反射したスペクトル(以下、反射スペクトルとする)を空間的に重ね合わせる。そして、離散スペクトル光LAが進んだ方向と反対方向に反射スペクトルを出射する。
試料Sは照射されたn個のスペクトルMAを反射する物体であってもよく、着色等が施されることで反射性を有していてもよい。また、光軸X方向において試料Sの後方(即ち、試料Sの矢印D1方向の裏側)に反射板等が設置されていてもよい。

【0086】
[計測装置10Cを用いた計測]
次いで、図13に示す計測装置10Cを用いた計測の原理について説明する。なお、点光源12から発せられた離散スペクトル光LAがピンホール26を通った後に、コリメートレンズ28でコリメートされるまでは、計測装置10Aを用いた計測の原理と同様であるため、その説明を省略する。

【0087】
コリメートされた離散スペクトル光LAはハーフミラー30によって直角にその進路を変更され、分散部14の分散素子32に入射する。
分散素子32によって、スペクトル毎に異なる角度θ1,θ2,…,θnで波長分散されたn個のスペクトルMAは、第三集光部16に入射し、リレーレンズ34によってスペクトル毎に集光され、リレーレンズ36によって位置P7に向けてコリメートされる。位置P7を通ったn個のスペクトルMAは、対物レンズ38によって試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnにそれぞれ、同時に集光される。

【0088】
試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnに同時集光したn個のスペクトルMAには、位置p1,p2,…,pnの試料Sに関する情報が付加される。
試料Sの情報を含む離散スペクトル光LBは、互いに異なる位置p1,p2,…,pnから反射し、再び第三集光部16に入射する。第三集光部16の対物レンズ38によって、離散スペクトル光LBの反射スペクトルはそれぞれ、コリメートされると共に、共通して点P7を通過する。n個の反射スペクトルはリレーレンズ36に入射し、リレーレンズ36によって光軸Xに直交する方向(即ち、図1に示す矢印D2又はD3方向)にそれぞれ異なる位置で集光される。そして、集光後に発散した複数の反射スペクトルはリレーレンズ34によって、コリメートされると共に、重ね合わせ部19の分散素子32に向かって偏向される。

【0089】
互いに異なる位置p1,p2,…,pnからの反射スペクトルは、重ね合わせ部19の分散素子32に対し、n個の反射スペクトルの各周波数に応じた角度θ1,θ2,…,θnで入射する。そして、分散素子32によって軸J2に対して共通の角度θ0で同時に波長分散し、光軸X上で空間的に且つ同時に重ねられる。

【0090】
空間的に重ね合され、且つ試料Sの情報を含むn個の反射スペクトルは、ハーフミラー30を透過し、直進して空間フィルタリング光学系18に入射する。そして、集光レンズ40で共役な位置P3に集光され、ピンホール42の開口を通過する。n個の反射スペクトル以外の光やスペクトルはピンホール42でカットされる。ピンホール42の開口を通過したn個の反射スペクトルがコリメートレンズ44でコリメートされ、検出部20に入射する。

【0091】
検出部20では、試料Sの情報を含む離散スペクトル光LB(即ち、上記の反射スペクトル)から、試料Sの情報を含むn個のモード分解スペクトルが取得される。n個のモード分解スペクトルが検出光学系46、又はその他の構成等によって、試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnに応じて1次元、2次元又は3次元的に配置されれば、モード分解スペクトルに含まれている試料Sの情報が見易くなる。このような方法によらず、離散スペクトル光LBからn個のモード分解スペクトルが取得されれば、試料Sの計測が完了する。

【0092】
[計測装置10Cの作用効果]
第三実施形態の計測装置10Cによれば、第一実施形態の計測装置10Aと同様の作用効果が得られる。
また、第三実施形態の計測装置10Cによれば、試料Sから反射し、同様に重ね合わせ部19によっても空間的に重ね合されてなる、試料Sの情報を含む離散スペクトル光LBを検出することができる。
さらに、第三実施形態の計測装置10Cによれば、計測装置10Aでの第一及び第二集光部15,17を共通の構成である第三集光部16とし、個別の分散部14及び重ね合わせ部19を共通の構成である分散素子32で構成する。従って、計測装置10Cの小型化を図ることができる。

【0093】
(第四実施形態)

【0094】
図14は第四実施形態の計測装置10Dの概略図である。なお、図14に示す第四実施形態の計測装置10Dの構成要素において、図13に示す第三実施形態の計測装置10Cの構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。

【0095】
反射式の計測装置10Cについても、図14に示すように、デュアル光コム分光法を採用することができる。

【0096】
[計測装置10Dの構成]
図14に示すように、計測装置10Dは、計測装置10Cの構成要素に加えて、ハーフミラー55と、離散スペクトル光源(第二のコム光源)60と、を備えている。
離散スペクトル光源60は、離散スペクトル光LCを所定の角度でハーフミラー55に入射させるように配置されている。図14には、光軸X方向におけるハーフミラー55の中心の位置から矢印D1方向とは反対方向に進んだ位置に配置された離散スペクトル光源60を例示している。

【0097】
[計測装置10Dを用いた計測]
次いで、図14に示す計測装置10Dを用いた計測の原理について説明する。なお、ピンホール42の開口を通過した離散スペクトル光LBがコリメートレンズ44でコリメートされるまでは、計測装置10Dを用いた計測の原理は、計測装置10Cを用いた計測の原理と同様であるため、その説明を省略する。

【0098】
コリメートレンズ44でコリメートされた離散スペクトル光LBは、ハーフミラー55で離散スペクトル光源60から発せられた離散スペクトル光LCと多周波ヘテロダイン干渉によって干渉する。デュアル光コム分光法を採用した計測装置10Bと同様に、光周波数コムスペクトルLX1,LX2の干渉スペクトルLZは、電磁波領域の周波数軸で周波数の位置が隣り合うスペクトルMB,MBの周波数の間隔が、Δfr(=fr2-fr1)となる。
検出光学系46には、干渉スペクトルLZが入射すると共に、例えばRFスペクトラムアナライザで干渉スペクトルLZを直接計測し、元の光領域の周波数スケールに変換する。あるいは、干渉波形の時間変化(インターフェログラム)をデジタイザで取得し、それをフーリエ変換することにより、干渉スペクトルLZを得ることもできる。このようにして、干渉スペクトルLZに基づいてモード分解振幅スペクトル及びモード分解位相スペクトルが得られる。

【0099】
[計測装置10Dの作用効果]
第四実施形態の計測装置10Dによれば、第三実施形態の計測装置10Cと同様の作用効果が得られる。
また、第四実施形態の計測装置10Dでは、デュアル光コム分光法を採用していることで、多周波ヘテロダイン干渉によって、光周波数コムスペクトルLX1を電磁波領域の干渉スペクトルLZにダウンスケーリングすることができる。
このようにデュアル光コム分光法に基づけば、分光器フリーで高分解能、高確度、広帯域且つ高速に、モード分解振幅スペクトル及びモード分解位相スペクトルを取得することができる。

【0100】
(第五実施形態)
図15は本発明を適用した第五実施形態の計測装置10Eの模式図である。なお、図15に示す第五実施形態の計測装置10Eの構成要素において、図1に示す第一実施形態の計測装置10Aの構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。

【0101】
[計測装置10Eの構成]
図15に示すように、計測装置10Eは、透過式の計測装置10Aの集光レンズ24、ピンホール26、コリメートレンズ28をそれぞれ、シリンドリカルレンズ174、スリット176、シリンドリカルレンズ178に変更し、集光レンズ40、ピンホール42、コリメートレンズ44をそれぞれ、シリンドリカルレンズ180、スリット182、シリンドリカルレンズ184に変更したものである。シリンドリカルレンズ174,178,180,184は、矢印D1方向のみに曲面を有し、入射した光を同方向において集光させる、又はコリメートするとともに、矢印D5方向においては曲面を有さず、入射した光にレンズ作用しない。スリット176,182の矢印D1方向の寸法は、ピンホール26,42の同方向の寸法と同等とされている。また、スリット176,182の矢印D5方向(即ち、図15の紙面に直交する方向)の寸法は、シリンドリカルレンズ174,178の同方向の寸法と同等とされている。

【0102】
[計測装置10Eを用いた計測]
次いで、図15に示す計測装置10Eを用いた計測の原理について説明する。
計測装置10Eにおいて、離散スペクトル光LAは、矢印D1方向において、シリンドリカルレンズ174によってライン集光され、線光源とされる。線状に集光した離散スペクトル光LAは、スリット176を通り、シリンドリカルレンズ178によって矢印D1方向においてコリメートされる。

【0103】
シリンドリカルレンズ178を通った離散スペクトル光LAは、例えば回折格子のような1次元波長分散素子(分散素子)32に入射する。この1次元波長分散素子32では、スリット176の軸線と直交する方向(即ち、図15の紙面に平行な面内)において、入射した離散スペクトル光LAがθ1からθnの角度で分散される。1次元波長分散素子32の波長分散能は、複数のスペクトルMA同士の周波数間隔や角度θ0,θ1,…,θn等を考慮して、試料Sにて、矢印D2又はD3方向での所望の集光間隔が達成されるように設定すればよい。
その後、1次元波長分散素子32によって波長分散された離散スペクトル光LAの二以上のスペクトルMAが第一集光部15によって試料Sにおいて波長成分毎にD5方向(即ち、図15の紙面に垂直な方向)に沿ってそれぞれライン集光される。第二集光部17によって1次元波長分散素子(分散素子)33に入射するまでは、計測装置10Eを用いた計測の原理は、計測装置10Aを用いた計測の原理と同様であるため、詳しい説明を省略する。計測装置10Eを用いた計測では、試料Sの矢印D2又はD3方向において波長毎に互いに異なる位置で、矢印D5方向に一定の長さを有する線状の集光パターンが形成される。

【0104】
試料Sの情報を含む線状の離散スペクトルLBは、矢印D2又はD3方向において互いに異なる位置p1,p2,…,pnから透過し、第二集光部17によって重ね合わせ部19の1次元波長分散素子33に角度θ1,θ2,…,θnで入射し、軸J2に対して共通に角度θ0で同時に波長分散し、光軸X上で重ね合される。
空間的に且つ同時に重ね合されたn個の透過スペクトルは、矢印D1方向において、シリンドリカルレンズ180によってライン集光され、スリット182を通り、シリンドリカルレンズ184によってコリメートされ、検出部20に入射する。
なお、矢印D5方向においては、離散スペクトル光源22から発せられた離散スペクトル光LAの寸法及びコリメートされた状態が保持される。

【0105】
検出部20では、離散スペクトル光LBをシリンドリカルレンズ188でD5方向と平行な方向にライン集光し、集光ラインの各位置におけるモード分解スペクトル、すなわち分光ラインイメージが取得される。例えば、CCDやCMOS等の二次元センサを検出器とし、スリット190を介して入射可能なマルチチャネル分光器192を用いることができる。

【0106】
[計測装置10Eの作用効果]
第五実施形態の計測装置10Eによれば、第一実施形態の計測装置10Aと同様の作用効果が得られる。
また、第五実施形態の計測装置10Eによれば、試料Sにて、二以上のスペクトルMA毎に異なる位置に線状の集光パターンを形成することによって、二次元的に試料Sを照射することができる。このような線状パターンの離散スペクトル光LBをスリット入射可能なマルチチャネル分光器192で検出することで、分光ラインイメージとして計測結果を得ることができ、分散素子32,33として回折格子等の1次元波長分散素子を用いても2次元イメージを取得することができる。

【0107】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。

【0108】
例えば、離散スペクトル光源22は二以上のスペクトルMAを含む離散スペクトル光LAを発することができれば、公知のコム光源等に限定されない。離散スペクトル光源22は単一スペクトルを発する光源を複数組み合わせて構成されていてもよい。
また、例えば試料Sの互いに離間した二箇所の特定範囲を計測する場合には、その離間距離に応じた周波数間隔frを有する二つのスペクトルMAを用いればよい。その場合、二つのスペクトルMAのそれぞれを単一スペクトルとして発するレーザー光源を二台用意し、これらのレーザー光源からの単一スペクトルをフォトミキシングしてもよい。
また、本発明に係る計測装置では、第一集光部15においてスペクトルMAを2次元的に、互いに異なる位置p1,p2,…,pnにそれぞれ集光させれば、離散スペクトル光LAの1ショットで、2次元の同時計測を行うことができる。そして、図1に示すように、第一集光部15においてスペクトルMAを1次元的に、言い換えれば一つのライン上の互いに異なる位置に、それぞれ集光させれば、離散スペクトル光LAの1ショットで、ライン上の同時計測を行うことができる。即ち、第一集光部15においてスペクトルMAをk次元的に、互いに異なる位置にそれぞれ集光させれば、本発明に係る計測装置をk次元イメージングに適用することができる。

【0109】
なお、本発明の計測装置における共焦点効果は、離散スペクトル光LBに替えて連続スペクトル光を備えた計測装置(図示略)においても発揮され得る。即ち、連続スペクトル光を発する点光源と、分散部と、集光部と、空間フィルタリング光学系と、検出部と、を備えた計測装置においても、共焦点効果が得られる。この種の計測装置では、分散部は点光源から発せられた連続スペクトル光を所定の方向に波長分散させる。集光部は、分散部によって波長分散された前記連続スペクトルを試料の所定の位置に集光させる。空間フィルタリング光学系は試料から透過又は反射され、且つ試料の情報を含む連続スペクトル光を、分散部によって分散された連続スペクトルの試料上の集光位置と共役な位置に集光させて空間フィルタリングする。そして、検出部は、空間フィルタリング光学系で空間フィルタリングされた試料の情報を含む連続スペクトル光から、試料の情報を取得する。
但し、上記の計測装置では、試料の所定の位置に連続焦点群が形成されるとともに、本発明の計測装置に比べれば精度が低下し、本発明の計測装置よりも低解像度の情報を取得することとなる。

【0110】
また、例えば、上述の第一実施形態から第五実施形態までの各計測装置10A,10B,10C,10D,10Eにおいて、離散スペクトル光LAの中心波長λ0、分散部14の分解能、対物レンズ38の開口数及び離散スペクトル光LA(光周波数コムスペクトルLX0,LX1,LX2)の隣り合うスペクトルMA,MAの周波数間隔frを、第一集光部15によって試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnにそれぞれ集光させたスペクトルMAのスポット同士の中心間隔(即ち、位置p1,p2,…,pn同士の距離)がスペクトルMAのスポットの直径以上となるように設定することが好ましい。このように離散スペクトル光LAの中心波長λ0、分散部14の分解能、対物レンズ38の開口数及び離散スペクトル光LA(光周波数コムスペクトルLX0,LX1,LX2)の隣り合うスペクトルMA,MA(又はスペクトルMB,MB)の周波数間隔frを最適化することで、試料S上に形成される光周波数コム・モードの2次元スポット群が離散的且つ高密度に空間分布する。このように、さらに、離散的且つ高密度に空間分布した2次元スポット群を試料Sの集光エリア上の各画素に対応する位置に集光させることで、画素間のクロストークを抑制することができ、モード分解スペクトル、すなわち共焦点画像をより高精度に取得することができる。

【0111】
また、上述の第一実施形態から第五実施形態までの各計測装置10A,10B,10C,10D,10Eにおいて、離散スペクトル光LAの中心波長λ0、隣り合うスペクトルMA,MAの周波数間隔fr、第二光学系17に用いられるレンズ35,35,37の開口数及び重ね合わせ部19の分解能がそれぞれ、試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnにそれぞれ集光させたスペクトルMAのスポットが第二光学系17によって重ね合わせ部19の所定の位置で空間的に重ね合わされるように設定されていることが好ましい。
これにより、離散スペクトル光LAの中心波長λ0、隣り合うスペクトルMA,MAの周波数の間隔Δfr、第二光学系17に用いられるレンズ35,35,37の開口数及び重ね合わせ部19の分解能が上述のように設定されていない場合に比べて、試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnにそれぞれ集光させた2次元スポット群から、スペクトルMA,MAのスポット同士の中心間隔に合わせて、試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnからの情報の欠損や重複させること等なく、より高精度なモード分解スペクトルを得ることができる。

【0112】
第一実施形態から第五実施形態までの各計測装置10A,10B,10C,10D,10Eの分散部14の分散素子32としてVIPAのみを用いた場合は、VIPAによって多重バンドパス・フィルタリングが行われ、試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnのそれぞれにVIPAのFree Spectrum Range(FSR)に相当する間隔で周波数軸上の周波数の位置が互いに異なる光が多重された1次元スポット群が形成される。

【0113】
第一実施形態から第五実施形態までの各計測装置10A,10B,10C,10D,10Eの分散部14の分散素子32としてVIPA(第一の分散素子)50と回折格子(第二の分散素子)54とを組み合わせて用いることができる。図7に示す光学系46Aを参照し、図16に示す光学系からなる分散部14Aを採用することができる。

【0114】
図16に示す構成では、先ず、シリンドリカルレンズ48によって矢印x方向に沿ってライン集光された光が、VIPA50によって矢印y方向に分散される。この際、VIPA50のみでは、矢印y方向に沿った個々の空間位置では、複数のスペクトルMAのスポットが空間的に重畳されている。これらのスポット状のスペクトルMAが矢印y方向に散在する帯域d1は、VIPA50のFSRに相当する。また、矢印y方向における複数のスペクトルMA群の間隔d3は、複数のスペクトルMAの周波数間隔frに相当する。複数のスペクトルMAのスポットの直径は、VIPA50のFSRとフィネス(FSRの約100分の1)に依存する。

【0115】
VIPA50によって矢印y方向に分散された光は、回折格子54によって、反射と同時に矢印x方向に回折し、周波数毎に分散される。従って、空間的に重畳されていたスペクトルMAのスポットは矢印x方向に分散され、結果として複数のスペクトルMAは、矢印D1方向及び矢印D3方向に複数のモード分解スペクトルが2次元展開される。この際、2次元展開されたモード分解スペクトルの分布について、スポット状のスペクトルMAが矢印x方向に散在する帯域d4は、最も波長の短いスペクトルMAのスポットsp1と最も波長の長いスペクトルMAのスポットsp2との光周波数差(即ち、波長差)Δνに相当する。また、矢印x方向における複数のスペクトルMAのピッチd2は、VIPA50のFSRに相当する。

【0116】
例えば、市販されている各種光源、光学部品等の性能を勘案し、具体的な数値例として離散スペクトル光LA(光周波数コムスペクトルLX0,LX1,LX2)の中心光周波数ν0を194THz(中心波長λ0は1.55μm)、離散スペクトル光LAの周波数軸上で隣り合うスペクトルMAの周波数間隔frを250MHz、最も波長の短いスペクトルMAのスポットsp1と最も波長の長いスペクトルMAのスポットsp2との光周波数差Δνを900GHz、VIPA50のFSRとフィネスを15GHzと100、と想定する。対物レンズの回折限界及び回折格子の分散性能によるスペクトルMAのスポットの拡がりを無視し、上述の各パラメータを空間上の距離に換算すると、スポット状のスペクトルMAが矢印y方向に散在する帯域d1は、約100μmとなる。矢印y方向における複数のスペクトルMA群の間隔d3は、1.67μmとなる。スポット状のスペクトルMAが矢印x方向に散在する帯域d4は、600μmとなる。矢印x方向における複数のスペクトルMAのピッチd2は、10μmとなる。複数のスペクトルMAのスポットの直径は、矢印x方向で0.1μmとなり、矢印y方向で1μmとなる。従って、上述の数値例を採用した分散部14A及び計測装置10Aでは、矢印x方向において全幅600μmに亘り、10μmの間隔で60点、矢印y方向において全幅100μmに亘り、1.67μmの間隔で60点のスポット状のスペクトルMAが2次元展開され、散在し、試料Sに同時に照射可能となる。各スペクトルMAの焦点における回折限界は、以下の(2)式によって表される。

【0117】
【数2】
JP2017002535A1_000004t.gif

【0118】
なお、上述の(2)式におけるNAは、第一集光部15の対物レンズ38の開口数を示す。

【0119】
実際のスペクトルMAの2次元スポット群の各スポット径は、対物レンズ38の回折限界及び回折格子の分散性能によって制限されるが、上述のように各パラメータ同士の相互関係をふまえて各パラメータを適宜調節することにより、試料Sに細かい間隔の2次元スポット群からなる互いに独立した光コム・モードの光を照射し、モード分解振幅スペクトルやモード分解位相スペクトルの分布を調べることで、回折限界に近いμmオーダーの間隔で散在する2次元スポット群の照射位置の試料Sの光学情報を瞬時に取得することができる。

【0120】
また、上述の第一実施形態から第五実施形態までの各計測装置10A,10B,10C,10D,10Eにおいては、離散スペクトル光LA(光周波数コムスペクトルLX0,LX1,LX2)の複数のスペクトルMAを試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnにそれぞれ集光させてなる2次元スポット群を、該2次元スポット群をなす複数のスポットの中心から隣り合うスポット同士の間隔よりも小さい寸法で離れた位置にそれぞれのスポットの中心が配置された2次元スポット群を複数生成するスペクトルスポット複製部を備えていてもよい。スペクトルスポット複製部を備える計測装置は、離散スペクトル光LAを周波数走査し、複数のスペクトルMAの隣り合うスポット同士の間の隙間を新たに生成された2次元スポット群で補間する。従って、スペクトルスポット複製部を備える計測装置は、スペクトルスポット複製部を備えていない場合に比べて解像度をより向上させることができる。

【0121】
また、例えば、離散スペクトル光源22において、光周波数コムスペクトルLX0の周波数軸(図2に示すf軸)上で隣り合うスペクトルMA,MAの周波数間隔frを変化させることにより、試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnにそれぞれ集光させてなる2次元スポット群の複数のスポットの中心から離れた位置にそれぞれのスポットの中心が配置された2次元スポット群(以下、複製2次元スポット群とする)を複数生成することができる。このように2次元スポット群を複製すると、図17に示すように、試料Sにおける測定位置の画素を重畳することができるといえる。そして、スペクトルMA,MAの周波数間隔frを適当に調整した計測装置は、調整しない場合に比べて、元の2次元スポット群と複製2次元スポット群との対応するスポット同士の間隔を元の2次元スポット群において隣り合うスポット同士の間隔よりも小さい寸法にすることができる。

【0122】
また、例えば、上述の第一実施形態から第五実施形態までの各計測装置10A,10B,10C,10D,10Eは、試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnにそれぞれ集光させたスペクトルMAの2次元スポット群に対してデコンボリュージョン処理を施すデコンボリュージョン処理部を備えていてもよい。デコンボリュージョン処理部を備える計測装置は、スペクトルMAの2次元スポット群をサンプルに照射させた際に、第一集光部15及び第二集光部17等の光学系のボケ特性から生じるスペクトルMAの2次元スポット群の画像ボケを解消することができる。具体的には、検出部20等で観測されるスペクトルMAの2次元スポット群の画像には、畳み込み積分により光学系の点像分布関数(Point spread hunction:PSF)がのっているので、PSFを用いた逆演算を行うことにより、デコンボリュージョン処理がなされる。検出器20には、このようなデコンボリュージョン処理を行う演算装置等のデコンボリュージョン処理部が設けられていてもよい。
デコンボリュージョン処理部を備える計測装置は、デコンボリュージョン処理部を備えていない場合に比べて、画素間のクロストークをより抑制することができ、モード分解スペクトル、すなわち共焦点画像をさらに高精度に取得することができる。

【0123】
また、例えば、上述の第一実施形態から第五実施形態までの各計測装置10A,10B,10C,10D,10Eでは、光周波数コムスペクトル(第一の光周波数コムスペクトル)LX0のスペクトルMAの位相とは異なる第三の光周波数コムスペクトルを発する第三のコム光源(図示略)を備えていてもよい。また、検出部20は、光周波数コムスペクトルLX0と前述の第三の光周波数コムスペクトルとを干渉させて得られる位相差に基づいてモード分解位相スペクトルを取得してもよい。

【0124】
第三のコム光源を備えない計測装置では、図18に示すように、試料S上の集光位置のスペクトルMAのスポット径を有し、共焦点顕微鏡の測定原理に基づき、共焦点深さ分解能Δz全体が積算された光学情報(即ち、共焦点ボリューム)を取得できる。一方、上述のように第三のコム光源を備えた計測装置では、共焦点深さ分解能Δzが波長オーダーとなるように設定すると、第一の光周波数コムスペクトルのスペクトルと第三の光周波数コムスペクトルのスペクトルとの位相差によって取得したモード分解位相スペクトルから、共焦点深さ分解能Δzの範囲内を更に高精度に分割した位相イメージを取得することが可能となる。従って、第三のコム光源を備えた計測装置は、第三のコム光源を備えていない場合に比べて、試料Sの互いに異なる位置p1,p2,…,pnが存在する仮想面上の振幅イメージに加えて仮想面に直交する矢印D1方向の共焦点深さ分解能Δzの範囲にわたって試料Sの位相イメージを取得し、試料Sの厚み方向の情報をより高精度に得ることができる。

【0125】
また、デュアル光コム分光法を採用した計測装置10B,10Dでは、第二のコム光源が第三のコム光源を兼ねていても構わない。即ち、第二のコム光源は、周波数軸で周波数の位置が隣り合うスペクトルの位相が光周波数コムスペクトルLX0のスペクトルMAの位相とは異なる第三の光周波数コムスペクトルを発する光源であってもよい。このような構成によれば、計測装置全体の省スペース化を図りつつ、試料Sの振幅イメージと位相イメージとを取得することができる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明を適用した計測装置によれば、高い精度を保ちつつ、高コントラストの鮮明な情報を超高速で得ることができ、工業用の共焦点レーザー顕微鏡や細胞観察用顕微鏡への応用が可能になる。従って、本発明を適用した計測装置は、生命機能解析等を行うバイオ分野をはじめ、医療分野、計測分野等の広い分野で利用することができる。また、本発明を適用した計測装置については、高解像イメージングを必要とする分野への展開が期待される。さらに、本発明を適用した計測装置では、これまで独立に利用されてきた共焦点顕微鏡と位相差顕微鏡を統合できるので、数十nmから数mm以上に渡る極めて広い深さダイナミックレンジの3次元イメージを取得できる。
【実施例】
【0127】
次いで、本発明を適用した各実施形態の計測装置10Aから10Eの効果を裏付けるために行った実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0128】
(実施例1)
二以上のスペクトルMAを1次元的に波長分散させた後、ライン状に集光させ、原理確認計測を行った。図19に示すように、光コム61(製造元:イムラアメリカインク、中心波長:780nm、周波数安定化制御なし)からレーザー光を出射させた。この光コムを半波長板62に通し、回折格子66に入射させた。回折格子66の格子ピッチは2000ライン/mmとした。回折格子66と球面レンズ68(焦点距離f1)との間、及び球面レンズ68と指標Tとの間隔は、共に焦点距離f1とした。この光学系において、フーリエ面FPはターゲットの光照射面に位置しており、ライン状に集光されている。指標Tから反射した光は、再び回折格子66に入射され、ハーフミラー64で折り返し、集光レンズ72でマルチモード光ファイバ74に入射させた。マルチモード光ファイバ74に入射された光のスペクトル波形は、光スペクトラムアナライザ等の光検出器76によって取得した。光検出器76のスペクトル分解能は、モード分解スペクトルを取得するには不十分であるが、光コムのスペクトル・エンベロープNAは取得可能であるので、スペクトル・エンベロープNAに基づいて原理確認を行った。また、焦点距離f1は150mmとした。なお、図19の「FP」はフーリエ面を示す。
【0129】
計測対象物の指標Tとして、一般に分解能の測定等で広く使われているテストチャート(USAF-1951)を用意した。指標Tの平面図を図20に示す。テストチャートの各グループの要素と線幅を図21に示す。
指標Tの所定の範囲R1,R2,R3のそれぞれにおける反射率依存性(スキャンの位置)の測定結果を図22、図23、図24にそれぞれ示す。図22、図23、図24の全てにおいて、テストチャートのラインを分解できていることがわかる。なお、範囲R4についてはテストチャートのラインを分解できなかった。
【0130】
次いで、図19に示す光学系において、球面レンズ68を対物レンズ(図示略)に変更し、光コムスペクトルの波形からラインイメージを取得後(図22、図23、図24参照)、ラインイメージと直交する方向に指標Tを移動させた。このようなラインイメージの取得と指標Tの移動とを繰り返すことによって、指標Tのテストチャートにおけるグループ4の要素番号2から6の2次元の顕微イメージを取得した。取得した顕微イメージを図25に示す。図25に示す「波長軸」(即ち、光周波数軸)では、スペクトルの取得範囲を10nm、サンプリング間隔を0.01nmとし、1000点から構成されるスペクトル波形から顕微イメージを構成した。図25に示す「サンプルの移動方向」では、指標Tの移動範囲を232μm、移動ステップを1μm/stepとし、232stepのデータから顕微イメージを構成した。
図25を見ると、グループ4の要素番号2から6の2次元の顕微イメージを正確に取得できていることがわかる。
【0131】
(実施例2)
次いで、図26に示す共焦点顕微ラインイメージング装置150を用意した。なお、図26に示す共焦点顕微ラインイメージング装置150の構成要素において、図15に示す光学系の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0132】
共焦点顕微ラインイメージング装置150では、指標T側のライン集光位置FPと、検出側の集光位置P52が共役の関係になっている。また、回折格子66とリレーレンズ69A(焦点距離:f2),69B(焦点距離:f2)と対物レンズ70(焦点距離:f3)との配置を図27に示す。図27の上段は共焦点顕微ラインイメージング装置150の上方から見た場合の図であり、図27の下段は共焦点顕微ラインイメージング装置150の側方から見た場合の図である。回折格子66における回折位置とリレーレンズ69Aとの間隔は、焦点距離f2とした。リレーレンズ69A,69Bの間隔は、焦点距離f2の2倍とした。
【0133】
図28は、サンプル位置を光軸方向に変化させていった場合の検出信号強度を示している。図28に示すように、「ピンホールなし」の場合(即ち、共焦点顕微ラインイメージング装置150においてピンホール144を配置しない場合)、サンプル位置とする0.0mmの「深さ位置」から例えば±100μmの位置でも高い規格化光強度が得られ、サンプル位置が焦点からズレても信号が検出されており、深さ分解能を有していないことがわかる。
一方、「ピンホールあり」の場合(即ち、共焦点顕微ラインイメージング装置150においてピンホール144を配置した場合)、信号は焦点から±15μmの範囲内でしか検出されておらず、20μmの深さ分解能を有していることがわかる。即ち、規格化光強度の半値幅ωは20μmであった。
【0134】
次いで、図26に示す共焦点顕微ラインイメージング装置150において、光コムのエンベロープ・スペクトルの波形からラインイメージを取得後、ラインイメージと直交する方向(即ち、矢印D30方向)に指標Tを移動させた。そして、ラインイメージの取得と指標Tの移動とを繰り返すことによって、図20に示す指標Tのテストチャートにおける所定の範囲R5の2次元の顕微イメージを取得した。取得した顕微イメージを図29及び図30に示す。図29は「ピンホールあり」の場合であり、図30は「ピンホールなし」の場合である。また、図29及び図30のそれぞれには、サンプル位置とする「深さ位置0μm」での2次元の顕微イメージと、「深さ位置0μm」から光軸方向(即ち、図26に示す矢印D30方向に直交する方向)に100μm移動した位置での2次元の顕微イメージと、を並べて示す。各々の顕微イメージの「波長軸」(即ち、周波数軸)では、エンベロープ・スペクトルの取得範囲を10nm、サンプリング間隔を0.01nmとし、1000点のエンベロープ・スペクトルから顕微イメージを構成した。各々の顕微イメージの「サンプルの移動方向」では、指標Tの移動範囲を100μm、移動ステップを1μm/stepとし、100stepのデータから顕微イメージを構成した。
【0135】
図29を見ると、「ピンホールあり」の場合には、「深さ位置0μm」で指標Tの範囲R5通りの2次元イメージが得られ、「深さ位置0μm」から100μm移動すると当該2次元イメージが消失した。これらの結果から、ピンホール144を配置した共焦点顕微ラインイメージング装置150では、深さ分解能が高く、離散スペクトル光LAから2次元の共焦点顕微イメージを正確に取得できていることがわかる。
一方、図30を見ると、「ピンホールなし」の場合には、「深さ位置0μm」で指標Tの範囲R5通りの2次元イメージが得られるものの、本来では範囲R5通りの2次元イメージが得られない「深さ位置0μm」から100μm移動した位置においても範囲R5通りの2次元イメージが取得された。これらの結果から、共焦点顕微ラインイメージング装置150においてピンホール144を配置しない場合では、深さ分解能が低下し、離散スペクトル光LAから2次元の共焦点顕微イメージを正確に取得するのは困難であることがわかる。
【0136】
(実施例3)
次いで、図31に示すように、デュアル光コム分光法を採用した共焦点顕微ラインイメージング装置152を用意した。なお、図31に示す共焦点顕微ラインイメージング装置152の構成要素において、図26に示す共焦点顕微ラインイメージング装置150の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0137】
共焦点顕微ラインイメージング装置152は、共焦点顕微ラインイメージング装置150の構成要素に加えて、コム光源102と、ハーフミラー148と、を備えている。
また、共焦点顕微ラインイメージング装置152では安定化制御されていない光コム61に替えてルビジウム周波数標準に位相同期したコム光源101を用い、デュアル光コム分光法を採用し、コム光源101は第一のコム光源であるのに対し、コム光源102は第二のコム光源としている。従って、第2実施形態でも説明したように、コム光源102から発せられる離散スペクトル光LCに含まれる複数のスペクトルの第二隣接周波数間隔fr2は、コム光源101から発せられる離散スペクトル光LBに含まれる複数のスペクトルの第一隣接周波数間隔fr1とは異なる。
ハーフミラー148は二つのコリメートレンズ145A,145Bの間に配置されている。ハーフミラー148のミラー面は光軸に対して所定の角度で傾斜している。
【0138】
コム光源102は、発した離散スペクトル光LCを所定の角度でハーフミラー148に入射させるように配置されている。このような配置によって、ピンホール144を通過したレーザー光は、コリメートレンズ145Aでコリメートされる。その後、ハーフミラー148によって、指標Tから反射されたレーザー光とコム光源102から発せられたレーザー光(即ち、離散スペクトル光LC)とが空間的に重ね合される。そこで、二つのレーザー光の干渉信号を光検出器76で検出することで、インターフェログラムの繰り返し信号(即ち、インターフェログラム列)が得られる。実施例3では、当該繰り返し信号をフーリエ変換することによって、モード分解スペクトルを取得した。
【0139】
図32は、共焦点顕微ラインイメージング装置152で取得したモード分解振幅スペクトルを示している。図33は、図32に示すモード分解振幅スペクトルの部分拡大図である。
図33を見ると、複数のモード分解振幅スペクトルのそれぞれが、指標Tの情報を含む離散スペクトル光から個別に分離され得る状態で、高コントラストを有して取得されていることがわかる。また、図32を見ると、モード分解振幅スペクトルには凹凸があり、指標Tの情報が反映されていることがわかる。
【0140】
次いで、図31に示す共焦点顕微ラインイメージング装置152において、光コムのエンベロープ・スペクトルの波形からラインイメージを取得後、ラインイメージと直交する方向(即ち、矢印D30方向)に指標Tを移動させた。そして、ラインイメージの取得と指標Tの移動とを繰り返すことによって、図20に示す指標Tのテストチャートにおける所定の範囲R6の2次元の顕微イメージを「深さ位置0μm」および「深さ位置+120μm」で取得した。取得した顕微イメージを図34に示す。顕微イメージの「光周波数軸」(即ち、波長軸)では、エンベロープ・スペクトルの取得範囲を1.5THz、サンプリング間隔を250MHzとし、5000点のエンベロープ・スペクトルから顕微イメージを構成した。各々の顕微イメージに示す「サンプルの移動方向」では、指標Tの移動範囲を150μm、移動ステップを1μm/stepとし、150stepのデータから顕微イメージを構成した。
【0141】
図34を見ると、「深さ位置0μm」では、指標Tの範囲R6通りの2次元イメージが得られた。一方、「深さ位置+120μm」では、当該2次元イメージが消失した。従って、デュアル光コム分光法を採用し、ピンホール144を配置した共焦点顕微ラインイメージング装置152では、離散スペクトル光LAから2次元の共焦点顕微イメージを正確に取得できていることがわかる。
【0142】
(実施例4)
次いで、図35に示すように、スペクトルの2次元スポット群を用いた共焦点顕微イメージング装置160を用意した。なお、図35に示す共焦点顕微イメージング装置160の構成要素において、各実施形態の計測装置10A,10B,10C,10D,10E(特に、計測装置10D)及びその構成要素や図26に示す共焦点顕微ラインイメージング装置150の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0143】
共焦点顕微イメージング装置160は、離散スペクトル光源22と、ビームスプリッタ30と、分散部14と、第三集光部(集光部)16と、重ね合わせ部19と、空間フィルタリング光学系18と、検出部20に加えて、ハーフミラー30と、離散スペクトル光源(第二のコム光源)60と、を備えている。検出器20はデュアル光コム分光器であり、いわゆる離散スペクトル光源60を内蔵している。
【0144】
実施例4では、離散スペクトル光源22の離散スペクトル光LA(光周波数コムスペクトルLX0,LX1,LX2)の中心波長λ0を1.55μm、離散スペクトル光LAの周波数軸上で隣り合うスペクトルMAの周波数間隔frを250MHz、最も波長の短いスペクトルMAのスポットsp1と最も波長の長いスペクトルMAのスポットsp2との光周波数差Δνを900GHz、VIPA50のFSRを15GHz、回折格子54のピッチを2000溝/mm、ピンホール42の直径を50μmとした。
【0145】
共焦点顕微イメージング装置160では、離散スペクトル光源22から発せられた離散スペクトルLAは、ハーフミラー30を透過し、シリンドリカルレンズ48によって図35に示す矢印x方向に沿ってライン集光される。続いて、VIPA50によって前記一方向に直交する方向に分散される。VIPA50で分散された光は、近接した回折格子54に入射する。回折格子54の格子の延在方向は矢印y方向に平行する方向であるため、回折格子54で反射した光は、反射と同時に前記一方向に直交する方向に回折し、これによって周波数毎に分散される。従って、矢印D1方向及び矢印D3方向に複数のモード分解スペクトルが2次元展開される。
続いて、スペクトル毎に異なる角度で分散された複数のスペクトルMAは、第三集光部16に入射し、リレーレンズ34,36を通過した後、対物レンズ38によって試料Sの互いに異なる位置にそれぞれ、同時に集光される。
【0146】
試料Sの互いに異なる位置に同時集光した複数のスペクトルMAには、試料Sに関する情報が付加される。試料Sの情報を含む離散スペクトル光LBは、試料Sの互いに異なる位置から反射し、第三集光部16に入射すると共に、第三集光部16によって適宜集光又は拡散されて第三集光部16を通過し、重ね合わせ部19に導入される。
複数の反射スペクトルは、重ね合わせ部19の回折格子54に対し、複数の反射スペクトルの各周波数に応じた角度で入射する。そして、複数の反射スペクトルは、回折格子54に対して共通の角度で同時に波長分散し、光軸上で空間的に且つ同時に重ねられる。空間的に重ねられた複数の反射スペクトルは、ビームスプリッタ30で反射し、ミラー31によって折り返され、空間フィルタリング光学系18に入射する。
【0147】
試料Sの情報を含み、空間フィルタリング光学系18に入射した反射スペクトルは、集光レンズ40で共役な位置に集光され、ピンホール42の開口を通過する。試料Sの情報を含む反射スペクトル以外の光やスペクトルはピンホール42でカットされる。ピンホール42の開口を通過した反射スペクトルがコリメートレンズ44でコリメートされ、検出部20に入射する。
【0148】
検出部20では、試料Sの情報を含む離散スペクトル光LBから、試料Sの情報を含むモード分解スペクトルが取得される。複数のモード分解振幅スペクトル及びモード分解位相スペクトルが試料Sの互いに異なる位置に応じて2次元的に配置されることで、振幅イメージや位相イメージ等の所望の情報に変換し、試料Sの計測が完了する。
【0149】
次いで、上述した共焦点顕微イメージング装置160において、図20に示す指標Tのテストチャートのグループ4、要素1の2次元の顕微イメージを深さ位置0μmで取得した。取得したモード分解スペクトルを図36,図37に示し、顕微反射イメージを図38に示す。顕微イメージの取得範囲は580μm×100μmとし、58pixels×60pixelsの顕微イメージを構成した。図36,図37に示すように、膨大なスペクトルの光コム・モード数を実現し、膨大なピクセル数の情報を一括して取得することができていることを意味している。
【0150】
また、図38に示す顕微イメージの測定領域にあたる図20に示す指標Tのテストチャートのグループ4、要素1の透過イメージを近赤外光カメラ(Goldeye P-008 SWIR (NIR-300),製造元:Allied Vision Technologies社)で撮影したものを図39に示す。図38と図39を比較すると、相対比率の差はあるが、離散スペクトル光LAから2次元の共焦点顕微イメージを正確に取得できていることがわかる。また、反射イメージと透過イメージとの関係から、イメージコントラストが反転している様子を確認した。
なお、図20に示す指標Tのテストチャートにおけるグループ4、要素1の2次元の反射イメージを「深さ位置+10μm」で取得した顕微イメージを図40に示す。図40に示すように、「深さ位置+10μm」では、当該2次元顕微イメージが消失した。従って、共焦点顕微イメージング装置160では、離散スペクトル光LAから2次元の共焦点顕微イメージをμmオーダーの間隔で正確に取得できていることがわかる。
【0151】
さらに、共焦点顕微イメージング装置160を用いて、テストターゲットのグループ3、要素1について測定した際の反射光のモード分解振幅スペクトルに加え、モード分解位相スペクトルを取得した。顕微イメージの取得範囲は830μm×100μmとし、83pixels×60pixelsの顕微イメージを構成した。取得したテストターゲットのグループ3、要素1の振幅イメージを図41に示し、位相イメージを図42に示す。また、比較のため、テストチャートのグループ4、要素1の透過イメージを上述の近赤外光カメラで撮影したものを図43に示す。
【0152】
図41及び図43に示すように、振幅イメージと近赤外光カメラとのイメージの比較から、振幅イメージの領域が近赤外光カメラを用いて取得したイメージの破線で囲った領域のものであり、反射イメージと透過イメージとの関係から、イメージコントラストが反転している様子を確認した。一方、図42に示すように、位相イメージは、振幅イメージと比べると低コントラストになっている。これは、振幅イメージが検知対象物Sの反射率を反映しているのに対し、位相イメージが検知対象物Sの深さ情報を反映しているからである。そこで、テストターゲットの反射コートが設けられている部分(図41に示す振幅イメージの白い部分)と反射コートが設けられていない部分(図41に示す振幅イメージの黒い部分)との位相差から実寸の段差を算出したところ、72nmとなった。デジタルホログラフィーを用いて、テストターゲットの反射コートが設けられている部分と設けられていない部分との段差を計測したところ、75nmとなった。従って、本発明を適用した共焦点顕微イメージング装置160を用いた測定値とデジタルホログラフィーによる測定値とが精度良く一致していることを確認した。また、各々の測定方法で取得した水平方向の深さプロファイルを比較した結果、図44に示すように、こちらも共焦点顕微イメージング装置160を用いた測定値(図44のグラフに示すCLM)とデジタルホログラフィーによる測定値(図44のグラフに示すDH)とが良く一致していることが分かる。上述の測定結果から、本発明を適用した計測装置では、位相イメージングによって、共焦点分解能(数μm前後)を大きく超える深さ分解能が得られるといえる。
【0153】
上記の実施例1から実施例4で示したように、本発明によれば、深さ分解能を有して、互いに独立した複数のモード分解スペクトルから同時に情報が得られ、高い精度を保ちつつ、試料の情報を高速に取得することができる。
【符号の説明】
【0154】
10A,10B,10C,10D…計測装置
14…分散部
15…第一集光部(集光部)
16…第三集光部(集光部)
19…重ね合わせ部
18…空間フィルタリング光学系
20…検出部
22…点光源(第一のコム光源)
32,33…分散素子
60…第二のコム光源
LA…離散スペクトル光
LB…試料の情報を含む離散スペクトル光
p1,p2,…,pn…試料の互いに異なる位置、試料上の集光位置
P3…共役な位置
S…試料
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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