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明細書 :エナジーハーベスティングによる発光デバイス

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-068401 (P2018-068401A)
公開日 平成30年5月10日(2018.5.10)
発明の名称または考案の名称 エナジーハーベスティングによる発光デバイス
国際特許分類 A61N   5/06        (2006.01)
H02J   7/00        (2006.01)
FI A61N 5/06 Z
H02J 7/00 303A
請求項の数または発明の数 15
出願形態 OL
全頁数 18
出願番号 特願2016-208459 (P2016-208459)
出願日 平成28年10月25日(2016.10.25)
発明者または考案者 【氏名】徳田 崇
【氏名】太田 淳
【氏名】笹川 清隆
【氏名】野田 俊彦
【氏名】竹原 宏明
出願人 【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000822、【氏名又は名称】特許業務法人グローバル知財
審査請求 未請求
テーマコード 4C082
5G503
Fターム 4C082PA03
4C082PC04
4C082PE10
4C082PG16
4C082PJ30
5G503AA08
5G503BA01
5G503BB01
要約 【課題】光エネルギーを電力源とするエナジーハーベスティング技術で収穫された電力を用いて、生体内で刺激光を発生し得る発光デバイスを提供する。
【解決手段】発光デバイス1は、受光した光エネルギーから電力を収穫するエナジーハーベストデバイス(フォトダイオード3)と、収穫した電力を蓄電する蓄電手段(キャパシタ6)と、蓄電した電力を用いて、受光した光エネルギーより大きい光エネルギーの光を、間欠的に発光する発光手段(LED部7a,7b)を備える。発光デバイス1が、体内埋め込み型マイクロチップに実装され、生体外部から生体を透過する赤外光を受光し、生体内で刺激光(青色光など)を発光することにより、オプトジェネティクス用生体内光刺激デバイスを実現する。
【選択図】図18
特許請求の範囲 【請求項1】
受光した光エネルギーから電力を収穫するエナジーハーベストデバイスと、
収穫した電力を蓄電する蓄電手段と、
蓄電した電力を用いて、受光した光エネルギーより大きい光エネルギーの光を、間欠的に発光する発光手段、を備えたことを特徴とする発光デバイス。
【請求項2】
前記発光手段で発光する光の波長は、
前記エナジーハーベストデバイスで受光する光の波長よりも短波長である、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記発光手段で発光する光は、紫外光、青色光又は緑色光であり、
前記エナジーハーベストデバイスで受光する光は、赤色光又は赤外光である、
或は、
前記発光手段で発光する光は、紫外光、青色光又は可視光であり、
前記エナジーハーベストデバイスで受光する光は、赤外光である、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記エナジーハーベストデバイスが受光する光の波長と異なる波長の光を、制御信号光として受光する受光手段を更に備え、
受光した制御信号光から得られる制御信号により、前記発光手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記エナジーハーベストデバイスが受光する光の波長と同一波長の偏光を、制御信号光として受光する受光手段を更に備え、
受光した制御信号光から得られる制御信号により、前記発光手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記エナジーハーベストデバイスが受光する光と同一波長または異なる波長の光強度を時間に依存して変化させた変調光を、制御信号光として受光する受光手段を更に備え、
受光した制御信号光から得られる制御信号により、前記発光手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記エナジーハーベストデバイスは、実装用基板の表面上に複数のフォトダイオードが直列に接続されて集積化された集積回路チップであり、
前記蓄電手段としてキャパシタと、前記発光手段として平面実装タイプの発光ダイオードとが、前記実装用基板の片面、両面又は側面に実装された、
ことを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の発光デバイス。
【請求項8】
計測対象をセンシングする計測センサを更に備え、
前記エナジーハーベストデバイスは、環境光を含む可視光または赤外光を受光して電力を収穫し、
前記蓄電手段は、前記計測センサに間欠的に電力を供給し、
前記計測センサの出力値によって、前記発光手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の発光デバイス。
【請求項9】
上記間欠的に発光は、以下の機能を有する電源電圧判定手段により行われることを特徴とする請求項1~8の何れかに記載の発光デバイス:
1)前記蓄電手段の電圧レベルが第1の閾値電圧に達すると、前記発光手段に対して動作電圧を供給する機能、
2)前記蓄電手段の電圧レベルが第2の閾値電圧まで下がると、前記発光手段に対して動作電圧を供給することを止め、前記蓄電手段に蓄電させる機能。
【請求項10】
上記間欠的に発光は、第1及び第2の電源電圧判定手段と、第2の蓄電手段とにより行われ、
第1の電源電圧判定手段は、
前記蓄電手段の電圧レベルが第1の閾値電圧に達すると、間欠駆動対象の前記発光手段に対して動作電圧を供給および第2の蓄電手段に蓄電する機能と、
前記蓄電手段の電圧レベルが第2の閾値電圧まで下がると、前記発光手段に対して動作電圧を供給および第2の蓄電手段に蓄電することを止め、前記蓄電手段に蓄電させる機能、
を有し、
第2の電源電圧判定手段は、
第2の蓄電手段の電圧レベルが第3の閾値電圧に達すると、継続駆動対象の負荷回路に対して動作電圧を供給する機能と、
第2の蓄電手段の電圧レベルが第4の閾値電圧まで下がると、前記負荷回路に対して動作電圧を供給することを止め、第2の蓄電手段に蓄電させる機能、
を有する、
ことを特徴とする請求項1~8の何れかに記載の発光デバイス。
【請求項11】
上記の第1の電源電圧判定手段は、
前記蓄電手段の電圧レベルが第1の閾値電圧に達すると、制御信号をON状態に、
前記蓄電手段の電圧レベルが第2の閾値電圧まで下がると、制御信号をOFF状態にすることによるパルス信号を出力する機能を、更に有し、
前記バルス信号を前記発光手段の制御信号として用いる、
ことを特徴とする請求項10に記載の発光デバイス。
【請求項12】
上記の第2の蓄電手段の蓄電容量は、前記蓄電手段の蓄電容量より大きく、
上記の第1乃至第4の閾値電圧は、
第1の閾値電圧 > 第2の閾値電圧 > 第3の閾値電圧 > 第4の閾値電圧
の関係を満たす、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の発光デバイス。
【請求項13】
上記の第1乃至第4の閾値電圧レベルを生成するバイアス電圧供給手段は、
複数のフォトダイオードが直列接続された電圧源と、該電圧源に直列接続されたダイオードと、前記電圧源と前記ダイオードの直列接続に対して並列接続されたキャパシタと、から成る、
ことを特徴とする請求項10~12の何れかに記載の発光デバイス。
【請求項14】
請求項3の発光デバイスが、体内埋め込み型マイクロチップに実装され、
生体外部から生体を透過する赤外光を受光し、生体内で紫外光乃至青色光を発光する、
ことを特徴とするオプトジェネティクス用生体内光刺激デバイス。
【請求項15】
請求項1~7の何れかの発光デバイスを、画素としてパネル状に並設し、
前記エナジーハーベストデバイスが受光できる光が、外部から照射されると、照射位置に配置された発光デバイスの前記発光手段が可視光を発光する、
ことを特徴とするパネル型デバイス。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光エネルギーを電力源とするエナジーハーベスティング技術で収穫された電力を用いて、受光した光エネルギーより大きい光エネルギーの光を、間欠的に発光する発光デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子デバイスを動作させるための電力を、周囲の光や熱、震動などから得られる弱い電力を、蓄積や最適化の仕組みによって得る技術が広く研究されており、エナジーハーベスティング技術と総称されている。エナジーハーベスティングは、太陽光や周囲の照明光、振動、熱などのエネルギーを採取して電力を得る技術であり、周囲の使用されずに捨てられている僅かなエネルギーを拾い集めて使用する。エナジーハーベスティングは、発電の仕組みと動作原理の違いによって、幾つかに分類されるが、その中で、太陽光や白熱灯、蛍光灯、LED(発光ダイオード)等の照明からの光エネルギーを採取して電力を得て、得られた電力を蓄積し、充分に電力が蓄積されたら負荷デバイスを一定時間動作させるという光発電の仕組みがある。
【0003】
エナジーハーベスティングに関する技術として、例えば、周囲環境のエネルギー源からエネルギーを採取するエナジーハーベストデバイスから、電力を蓄積する蓄電デバイスや負荷デバイスへのエネルギー伝送の効率を改善する回路構造や方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
この他、エナジーハーベスティング技術で収穫された電力を用いて情報を送受信する通信システムが知られている(例えば、特許文献2を参照。)。また、圧電体を利用して振動エネルギーを電気エネルギーに変換するエナジーハーベストデバイスで、蓄電部に効率よく蓄電できるデバイスが知られている(例えば、特許文献3を参照。)。
【0004】
一方、生体埋め込みエレクトロニクスデバイスやIoT(Internet of Things)デバイスにおいては、極めて小さいサイズで、エネルギーを外部から受信して、駆動電力を供給する必要がある。しかしながら、従来から知られた電磁波による電力供給の場合、アンテナサイズ(巻数)が発生電圧に結びつくので、超小型には向かず、また昇圧の仕組みが必要であるといった問題があった。なお、光による電力供給(例えば、太陽電池)の場合、電流が小さくなることを許容できれば小型でも高い電圧を得やすいことが知られている。
生体埋め込みエレクトロニクスデバイスやIoTデバイスは、通常、間欠駆動であり、上記の太陽電池の特性である昇圧不要とエネルギー蓄積の仕組みと相性が良い。
特に、生体埋め込みエレクトロニクスデバイスは、オプトジェネティクス(光遺伝学)の分野、すなわち、遺伝子改変による生体細胞への光反応性を付与技術の分野に有用であり、生体内部を刺激するため、生体内で刺激光である青色光や紫外光を発生させる発光デバイスのニーズが高い。しかしながら、バイオ技術としてのオプトジェネティクスの発展に、生体内で刺激光を発生させる発光デバイスの技術が追いついていないのが現状である。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特許第5921447号公報
【特許文献2】特開2014-220630号公報
【特許文献3】特開2013-102639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の如く、生体内で刺激光を発生させる発光デバイスの技術が求められている。しかしながら、従来から知られた電磁波による電力供給の場合、アンテナのために超小型化に不向きで、昇圧の仕組みが必要であるといった問題がある。
かかる状況に鑑みて、本発明は、光エネルギーを電力源とするエナジーハーベスティング技術で収穫された電力を用いて、生体内で刺激光を発生し得る発光デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、光エネルギーを採取するエナジーハーベスティング技術によって駆動する負荷デバイスが、光発生機能を備える場合において、時間をかけて光エネルギーを採取し蓄積することにより、採取する光エネルギーよりもエネルギーが大きい光を発生できることを知見し、低エネルギーの環境光(太陽光や照明光)から、光子エネルギーが高い、短波長の光を発生できる、すなわち、入力光の波長を変換して短波長の出力光にできる発光デバイスを完成した。
【0008】
すなわち、本発明の発光デバイスは、受光した光エネルギーから電力を収穫するエナジーハーベストデバイスと、収穫した電力を蓄電する蓄電手段と、蓄電した電力を用いて、受光した光エネルギーより大きい光エネルギーの光を、間欠的に発光する発光手段、を備える構成である。本発明の発光デバイスでは、間欠で強い発光を得るので認知可能で、生体刺激に使用することができる。具体的に、蓄電手段としては、キャパシタが好適に用いられ、発光手段としては、発光ダイオード(LED)が好適に用いられる。本発明の発光デバイスによれば、受光した光エネルギーより大きく、受光した光の波長と異なる波長の光を発光する波長変換デバイスや、間欠的に発光するパルス発光デバイスを実現することができる。すなわち、本発明の発光デバイスによれば、光を別波長の光パルスに変換できることになる。
【0009】
本発明の発光デバイスにおいて、発光手段で発光する光の波長は、エナジーハーベストデバイスで受光する光の波長よりも短波長であることが好ましい。受光する光の波長よりも短波長の光エネルギーは、受光した光エネルギーより大きい。
【0010】
本発明の発光デバイスにおいて、発光手段で発光する光は、紫外光、青色光又は緑色光であり、エナジーハーベストデバイスで受光する光は、赤色光又は赤外光であることが好ましい。紫外光、青色光又は緑色光は、生体細胞にとって刺激光になる。赤色光や生体透過能を有する赤外光の光エネルギーを、エナジーハーベスティング技術で収穫し蓄電し、蓄電された電力を用いて、生体内で刺激光を発生する。
本発明の発光デバイスにおいて、発光手段で発光する光は、紫外光、青色光又は可視光であり、エナジーハーベストデバイスで受光する光は、赤外光であっても構わない。生体透過能を有する赤外光の光エネルギーを、エナジーハーベスティング技術で収穫し蓄電し、蓄電された電力を用いて、生体内で刺激光や可視光を発生できる。
【0011】
本発明の発光デバイスにおいて、エナジーハーベストデバイスが受光する光の波長と異なる波長の光を、制御信号光として受光する受光手段を更に備え、受光した制御信号光から得られる制御信号により、発光手段を制御することが好ましい。
一方の波長でベースとなる電力を供給し、もう一方の波長によって制御を行うのである。
【0012】
本発明の発光デバイスにおいて、エナジーハーベストデバイスが受光する光の波長と同一波長の偏光を、制御信号光として受光する受光手段を更に備え、受光した制御信号光から得られる制御信号により、発光手段を制御することでもよい。
偏光を利用することにより、同一波長の光を多重化し、あるいは分離して、2つの光ビームとして利用することができる。
【0013】
本発明の発光デバイスにおいて、エナジーハーベストデバイスが受光する光と同一波長または異なる波長の光強度を時間に依存して変化させた変調光を、制御信号光として受光する受光手段を更に備え、受光した制御信号光から得られる制御信号により、発光手段を制御することでもよい。
光の強度を変調することにより、電力と同時に制御信号を供給することが可能である。また、光の強度を変調することにより、複雑な制御信号を送ることができる。
【0014】
本発明の発光デバイスにおけるエナジーハーベストデバイスは、具体的には、実装用基板の表面上に複数のフォトダイオードが直列に接続されて集積化された集積回路チップであり、蓄電手段としてキャパシタと、発光手段として平面実装タイプの発光ダイオードが、実装用基板の片面、両面又は側面に実装される。
実装用基板の両面に実装されるケースとは、例えば1ミリ四方以下のサイズの小さな集積回路チップの裏面にキャパシタ、集積回路チップの表面に平面実装タイプの発光ダイオードが実装される。複数のフォトダイオードが、赤外領域の光(赤外線)を受光し電気信号に変換するもので、発光ダイオードが可視光を発光する場合は、この発光デバイスによって、赤外線駆動型光ビーコンデバイスを実現できる。
【0015】
本発明の発光デバイスは、計測対象をセンシングする計測センサを更に備え、エナジーハーベストデバイスは、環境光を含む可視光または赤外光を受光して電力を収穫し、蓄電手段は、計測センサに間欠的に電力を供給し、計測センサの出力値によって、発光手段を制御することでもよい。
温度や湿度、照度、音などの環境データを計測対象とし、センシングする計測センサが、本発明の発光デバイスに搭載される。エナジーハーベストデバイスによって、環境光を含む可視光または赤外光を受光して電力を収穫し蓄電する。蓄電手段は、計測センサに間欠的に電力を供給し、計測センサが環境データを計測する。計測センサの出力値によって、発光手段の発光を制御することにより、無電源で無線式の環境センサを実現できる。
例えば、環境光で駆動した場合、光出力型のデータ送信の時間間隔によって、環境光強度のセンサとして利用することができる。また、温度センサを搭載することによって、デバイスの温度を外部機器(例えば、エアコンなど)から監視することができる。
【0016】
本発明の発光デバイスにおいて、間欠的に発光するとは、下記1),2)の機能を有する電源電圧判定手段により行われることが好ましい。
1)蓄電手段の電圧レベルが第1の閾値電圧に達すると、発光手段に対して動作電圧を供給する機能
2)蓄電手段の電圧レベルが第2の閾値電圧まで下がると、発光手段に対して動作電圧を供給することを止め、蓄電手段に蓄電させる機能
例えば、上記1)の機能は、蓄電手段としてのキャパシタの電圧レベルが第1の閾値電圧に達すると、電力供給スイッチをONし、発光手段に対して動作電圧を供給することで実現できる。また、上記2)の機能は、キャパシタの電圧レベルが第2の閾値電圧まで下がると、電力供給スイッチをOFFして、再びキャパシタに電荷を貯蓄することで実現できる。
ここで、電源電圧判定手段を実現する回路としては、自己電源の電位の変化に対して出力状態が ヒステリシスを持って変化するシュミットトリガ(Schmitt trigger)を好適に用いることができる。
【0017】
本発明の発光デバイスにおいて、間欠的に発光するとは、下記の第1及び第2の電源電圧判定手段と、第2の蓄電手段とにより行われることが好ましい。
ここで、第1の電源電圧判定手段は、蓄電手段の電圧レベルが第1の閾値電圧に達すると、間欠駆動対象の発光手段に対して動作電圧を供給および第2の蓄電手段に蓄電する機能と、蓄電手段の電圧レベルが第2の閾値電圧まで下がると、発光手段に対して動作電圧を供給および第2の蓄電手段に蓄電することを止め、蓄電手段に蓄電させる機能を有する。また、第2の電源電圧判定手段は、第2の蓄電手段の電圧レベルが第3の閾値電圧に達すると、継続駆動対象の負荷回路に対して動作電圧を供給する機能と、第2の蓄電手段の電圧レベルが第4の閾値電圧まで下がると、継続駆動対象の負荷回路に対して動作電圧を供給することを止め、第2の蓄電手段に蓄電させる機能を有する。
第1及び第2の電源電圧判定手段と、第2の蓄電手段を備え、電源電圧判定手段を2段構成にすることにより、前段の第1の電源電圧判定手段から供給されるパルス電圧が、間欠駆動対象の発光手段に供給され、電力を消費する動作の頻度を適応的に調節することができる。また、後段の第2の電源電圧判定手段から供給される電圧が、継続駆動対象の負荷回路に供給され、内部状態の保持回路などの低消費電力の連続動作を可能とする。すなわち、電源電圧判定手段を2段構成にすることにより、低消費電力の連続動作(内部状態保持など)と、電力を消費する間欠動作(発光、送信、計測処理など)の組み合わせを実現することができる。
【0018】
また、本発明の発光デバイスにおいて、第1の電源電圧判定手段は、蓄電手段の電圧レベルが第1の閾値電圧に達すると、制御信号をON状態に、そして、蓄電手段の電圧レベルが第2の閾値電圧まで下がると、制御信号をOFF状態にすることによるパルス信号を出力する機能を、更に有し、バルス信号を発光手段の制御信号として用いる。
前段の第1の電源電圧判定手段から出力されるON信号を、発光手段の制御パルス(クロックなど)として供給できる。例えば、発光手段は、制御パルスが供給された際に、電力を消費する動作モードとなり、供給されていない場合には状態保持のみなどの電力を消費しない状態に移行するように設計することができる。
【0019】
本発明の発光デバイスにおいて、第2の蓄電手段の蓄電容量は、蓄電手段の蓄電容量より大きく、第1乃至第4の閾値電圧は、
第1の閾値電圧 > 第2の閾値電圧 > 第3の閾値電圧 > 第4の閾値電圧
の関係を満たすことがより好ましい。
比較的に大きな電力を必要とする間欠駆動対象の発光手段を駆動すると、光で得られるエネルギーでは必要な電力がまかなうことが困難である。そのため、継続駆動対象の負荷回路の動作が不安定になる前に、間欠駆動対象の発光手段の動作を停止するのが好ましく、継続駆動対象の負荷回路の安定動作を維持しながら、次回、間欠駆動対象の発光手段を駆動するための充電を始めるのが合理的である。したがって、間欠駆動対象の発光手段に対して動作電圧を供給するのを停止する電圧レベルである第2の閾値電圧は、継続駆動対象の負荷回路に対して動作電圧を供給する電圧レベルである第3の閾値電圧よりも大きくする。
【0020】
本発明の発光デバイスにおいて、第1乃至第4の閾値電圧レベルを生成するバイアス電圧供給手段は、具体的には、複数のフォトダイオードが直列接続された電圧源と、電圧源に直列接続されたダイオードと、電圧源とダイオードの直列接続に対して並列接続されたキャパシタと、から構成される。
電圧源に直列接続されたダイオードを1個加えることにより、バイアス電圧供給手段の電圧の最大値は少し低下するが、電圧源の電圧が下がった際の電圧下降を限定することができる。
【0021】
本発明のオプトジェネティクス用生体内光刺激デバイスは、上述の発光デバイスが体内埋め込み型マイクロチップに実装され、生体外部から生体を透過する赤外光を受光し、生体内で紫外光乃至青色光を発光する。
生体が反応せず、かつ、生体透過性がよい長波長の赤外光によって、デバイスに電力を供給し、生体内で刺激光(短波長の紫外光~青色光)を発生することにより、生体の深部を刺激することができる。これにより、完全なワイヤレス状態で、生体内での刺激光発生デバイスを実現する。電力蓄積のメカニズムにより、刺激光より弱いパワーの赤外線で動作させることができる。本発明のオプトジェネティクス用生体内光刺激デバイスは、デバイスサイズが極めて小さく、例えば、1ミリ 角のデバイスを実現できる。
【0022】
本発明のパネル型デバイスは、上述の発光デバイスを、画素としてパネル状に並設し、エナジーハーベストデバイスが受光できる光が、外部から照射されると、照射位置に配置された発光デバイスの発光手段が可視光を発光するものである。
本発明のパネル型デバイスによれば、電源レスでワイヤレスのディスプレイやスクリーンを実現する。薄膜トランジスタ(TFT)や有機薄膜の技術にも、本発明のパネル型デバイスを適用できる。例えば、赤外レーザをレーザポインタデバイスによりスクリーンに照射するとその点だけが可視光で光るようなパネル型デバイスを無電源で実現することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の発光デバイスによれば、光エネルギーを電力源とするエナジーハーベスティング技術で収穫された電力を用いて、生体内で刺激光を発生できるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1の発光デバイスの構成図
【図2】エナジーハーベストデバイスと蓄電手段の機能説明図
【図3】逆流防止ダイオードの機能説明図
【図4】実施例2の発光デバイスの構成図
【図5】電源電圧判定部及びスイッチ部の機能説明図
【図6】電源電圧判定部の回路構成図
【図7】キャパシタ電圧と出力電圧との相関図
【図8】電源電圧判定部及びスイッチ部の動作特性図
【図9】照射光量による出力電圧のパルス周波数との相関図
【図10】光エネルギーの蓄積とパルス信号の説明図
【図11】発光デバイスの構造説明図
【図12】複数の光を活用し発光デバイスを制御する方法の説明図
【図13】電源電圧判定部及びスイッチ部の2段構成に関する説明図
【図14】2段構成の電源電圧判定部及びスイッチ部の機能説明図(実施例3)
【図15】2段構成の電源電圧判定部及びスイッチ部の機能説明図(実施例4)
【図16】実施例5の発光デバイスの構造説明図1
【図17】実施例5の発光デバイスの構造説明図2
【図18】実施例5の発光デバイスの機能説明図
【図19】発光デバイスの応用例の説明図(実施例6)

【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【実施例1】
【0026】
図1を参照して、発光デバイスの一実施形態の構成を説明する。発光デバイスは、受光した光エネルギーから電力を収穫するエナジーハーベストデバイス2と、収穫した電力を蓄電する蓄電手段5と、蓄電した電力を用いて、受光した光エネルギーより大きい光エネルギーの光を、間欠的に発光する発光手段7を備える。
エナジーハーベストデバイス2は、フォトダイオード(PD)を複数直列したものを用いる。フォトダイオード(PD)は、太陽電池と同等のもので、1段につき開放電圧として最大約0.4Vの電圧が得られる。例えば、フォトダイオード(PD)を10個直列することで、4Vの電圧が得られる。蓄電手段5は、収穫した電力を蓄電するのに十分な大きさの容量のキャパシタCを用いる。
【0027】
図2のグラフは、受光時間とキャパシタ電位の相関を示している。フォトダイオード(PD)の開放電圧×直列個数が最大電圧となり、明るいときは受光時間が短い時間で、キャパシタ電位が最大電圧に達する。一方、暗いときは受光時間が長い時間をかけて、キャパシタ電位が最大電圧に達することになる。すなわち、キャパシタCに電荷がたまるスピード(電位が上がるスピード)は、照射光量に依存(反比例)する。また、最大電圧は、照射光量に対し依存性が低く、長い時間をかければキャパシタ電位が上がる。この特性を利用した長時間のエネルギー蓄積による動作が可能である。
【0028】
図3を参照して、逆流防止ダイオード4の機能について説明する。図3のグラフは、エナジーハーベストデバイス2の電圧源Vinと、キャパシタCの電位Vとの相関を示している。図3のグラフに示すように、逆流防止ダイオード4を、1個、エナジーハーベストデバイス2に対して直列に入れることにより、ダイオードの閾値程度、電圧の最大値は少し下がるが、電圧源の電圧が下がった際の電圧下降を限定することができる。
【0029】
図1に示すように、実施例1の発光デバイスは、直列接続されたフォトダイオードによって、受光した光エネルギー(電力)を、キャパシタCに蓄電する。その際、逆流防止ダイオード4により、直列接続フォトダイオードの電圧が下がった際の電圧下降を限定する。そして、蓄電した電力を用いて、LED部で、受光した光エネルギーより大きい光エネルギーの光を、間欠的に発光する。
【実施例2】
【0030】
図4を参照して、発光デバイスの他の実施形態の構成を説明する。実施例2の発光デバイスは、受光した光エネルギーから電力を収穫するエナジーハーベストデバイス2と、収穫した電力を蓄電する蓄電手段5と、発光手段7と、キャパシタCの電圧Vを判定して、発光手段7に間欠的に電力を供給する電源電圧判定部及びスイッチ部8を備える。
図5に示すように、電源電圧判定部及びスイッチ部8は、電源電圧検出回路21と、バイアス電圧供給回路22と、電力供給スイッチ23から構成される。電源電圧検出回路21は、キャパシタCの電圧レベルが第1の閾値電圧(VTH)に達すると、発光手段7に対して動作電圧を供給する。また、キャパシタCの電圧レベルが第2の閾値電圧(VTL)まで下がると、発光手段7に対して動作電圧を供給することを止め、キャパシタCに蓄電させる。
【0031】
つまり、発電源となるエナジーハーベストデバイスのフォトダイオード(太陽電池)からの電荷をキャパシタCに貯蓄し、電圧レベルが閾値電圧VTHに達すると電源電圧判定回路21が電力供給スイッチ23(図中の回路構成例はCMONスイッチ)をONし、発光手段7を動作させる。また、電力が発光手段7に供給され、キャパシタCの電圧レベルが閾値電圧VTLまで下がると、電源電圧判定回路21が電力供給スイッチ23をOFFして、再びキャパシタCに電荷を貯蓄する。すなわち、キャパシタCの電圧を判定し、一定電圧以上でキャパシタCを発光手段7のLED部に接続し、一定電圧以下で遮断する。LED部は、キャパシタCによって駆動されるものであり、電源電圧判定部及びスイッチ部8によって、起動時の電圧が低い状態でも正常なスイッチ動作を実現することができる。
【0032】
バイアス電圧供給回路22は、キャパシタCの電圧より高い電圧を安定して、発光手段7のLED部に供給するため、光エネルギーのエナジーハーベストデバイス2の主電源から独立したバイアス電圧源とする。そのため、バイアス電圧源は、エナジーハーベストデバイス2とは別個独立した専用の小型発電源とする。バイアス電圧源は、エナジーハーベストデバイス2と同一種のフォトダイオードを利用できる。バイアス電圧源として、フォトダイオードを用いることにより、限られた面積に実装可能で、電力を消費しないといった高い利点がある。
【0033】
図6は、電源電圧判定部の回路構成を示している。電源電圧判定回路21は、バイアス電圧供給回路22で生成されたバイアス電位(Vbp,Vbn)と、キャパシタ電位Vinを入力する。バイアス電位(Vbp,Vbn)は、閾値電圧(VTH,VTL)の大小に密接に関係する。バイアス電位(Vbp,Vbn)は、発光デバイスの起動時には、キャパシタ電位Vinより高くなる。これにより、キャパシタCに蓄電された電力が不十分で、キャパシタ電位Vinが低い領域を含め、正しく判定を行え、キャパシタCに蓄電された電力が不十分な場合に確実にLOWを出力する。
図6に示す電源電圧判定回路21は、シュミットトリガ回路の構成であり、キャパシタ電位Vinの変化に対して、電力供給スイッチ23への制御信号SWOUTの出力状態がヒステリシスを持って変化する。
【0034】
図6の回路では、トランジスタMn1のソース電位(GND)とゲート電位(Vbn)の電位は、常に一定である。そのため、ドレイン電位(トランジスタMp1とトランジスタMn1の中間点の電位)にかかわらず、流せる電流の上限は概ね定まっている。一方、トランジスタMp1では、ソース電位(Vin)が変動し、トランジスタMp1が流せる電流は、Vin-Vbpの電位差の大小に依存する。この電位差がトランジスタMp1としての閾値を越えると電流を流せるようになり、Vinの増大と共にその流せる電流量は増加する。すなわち、コンダクタンスが増加することになる。
【0035】
最初は、トランジスタMn1の方が、トランジスタMp1よりも流せる電流量が大きい、すなわちコンダクタンスが大きいため、中間電位はトランジスタMn1のソース電位(GND)側に引き寄せられていく。しかし、Vin-Vbpの電位差が大きくなると、トランジスタMp1のコンダクタンスが相対的に大きくなって、中間電位がVin側に引き寄せられるようになり、スイッチ信号(SWout)が反転してON状態になる。これが閾値電圧VTHである。
一旦、スイッチ信号(SWout)がON状態になると、トランジスタMp5のゲート電位にGND電位が供給されるため、導通状態となる。トランジスタMp1に加えて、トランジスタMp4も、Vin-Vbpの電位差の大小に依存して定まるコンダクタンスを提供する。トランジスタMp1とトランジスタMp4は、並列接続であり、それらの合成コンダクタンスは大きくなる(並列抵抗が小さくなる)。そのため、中間電位をVinに引き寄せる力がより強くなる。
【0036】
スイッチ信号(SWout)の状態を反転させるために、Vinを下げていっても、先ほどの閾値電圧VTHでは、トランジスタMp4とトランジスタMp5の経路があるために、合成コンダクタンスがスイッチ信号(SWout)のOFF状態からON状態になる時より、大きく中間電位をVinに引き寄せた状態が維持される。そのため、更にVinを下げないと、トランジスタMp1とトランジスタMp4との合成コンダクタンスが、トランジスタMn1の固定されたコンダクタンスを下回らない。このため、電圧を上げていったときの反転閾値VTHよりも、電圧を下げていったときの反転閾値VTLの方が小さくなる。
【0037】
図7は、電源電圧判定回路21におけるキャパシタ電圧Vinと出力電圧VOUTとの相関グラフを示している。キャパシタ電圧Vin(グラフ中の点線)は、エナジーハーベストデバイスによって、キャパシタCに電荷が蓄積されていくにつれて電位が上昇していき、閾値電圧(VTH)に達すると、キャパシタCから電荷が放電され、電位が下降し、閾値電圧(VTL)まで下降すると、再びキャパシタCに電荷が蓄積され電位が上昇する。キャパシタ電圧Vinは、これらの上昇・下降を繰り返す。一方、出力電圧VOUTは、キャパシタCから電荷が放電されるタイミングで電力供給スイッチ23がONされ、電位が閾値電圧(VTH)になり、キャパシタCから電荷が放電されると共に電位が下降し、閾値電圧(VTL)まで下降すると電力供給スイッチ23がOFFされ、電位が0になる。
これにより、負荷であるLED部が必要とする電圧が得られるまで電荷をためてから、動作させることができる。また、得られる電力の範囲でLED部の駆動間隔が自動調整される。
なお、1回の電力供給スイッチのON/OFFによるパルスで供給できる電荷が決まっているので、その電圧、電流の条件下で動作を完結できるような負荷のLED部を選定する必要がある。
【0038】
図8は、電源電圧判定部及びスイッチ部の動作特性を示している。直列接続されたフォトダイオード(PD)の開放電圧は、指数関数で飽和する形になり、逆方向電流より大きな光電流が得られる条件下なら、時間をかければキャパシタCの電位が上がる。逆流防止ダイオードにより、キャパシタCからフォトダイオード(PD)へ逆方向の電流が流れるのを防止することで、効率よくキャパシタCの電位を上昇させる。
図8に示すように、照度が大きい場合は、キャパシタCの電位が速く上昇するので、出力電圧VOUTのパルスの頻度が多くなり、これによりLED部の動作頻度は高くなる。また、照度が小さい場合は、キャパシタCの電位が遅く上昇するので、出力電圧VOUTのパルスの頻度が少なくなり、これによりLED部の動作頻度は低くなる。つまり、パワーが必要となるLED部でも、低頻度であれば動作させることが可能になる。
実装した場合、電圧が低めになることを見越して、多めのフォトダイオード(PD)を直列接続して、エナジーハーベストデバイスとして設計するのがよい。なお、電磁波送電の場合、電界が弱いとアンテナ電圧も比例して低くなるので、本発明の発光デバイスのような動作は困難である。
【0039】
図9は、照射光量による出力電圧のパルス周波数との相関グラフを示している。グラフでは、横軸を照射光量とし、縦軸を出力電圧VOUTのパルス周波数としている。照度が小さい場合は、上述の如く、キャパシタCの電位が遅く上昇するので、パルス周波数は低いが、照度が大きい場合は、キャパシタCの電位が速く上昇するので、パルス周波数は高くなる。
【0040】
ここで、発光デバイスのエナジーハーベストデバイスのフォトダイオードに受光させる光の強度を時間に依存して変化させることで、電力と同時に制御信号を供給することが可能になる。
図10に示すように、発光デバイスのキャパシタCの電化蓄積は、光の累積強度に比例し、光の累積強度の時間的変化は、キャパシタCに蓄えられるエネルギー量の時間的変化と一致する。このキャパシタCの電位の時間的変化は、制御信号として利用することができる。
【0041】
図11は、発光デバイスの構造の一例を示している。集積回路基板上には、エナジーハーベストデバイスを構成するフォトダイオード(PD)3が複数直列され搭載されている。また、集積回路基板の中央には、LED光用開口9が設けられている。そして、集積回路基板の裏面にはキャパシタ6が積層され、集積回路基板の表面には発光手段7として平面実装型LEDが積層されている。集積回路基板のサイズとしては、1辺1mm以下で実装が可能である。
フォトダイオード(PD)3で受光した光エネルギーの電力を、キャパシタ6に蓄電し、平面実装LEDが、蓄電した電力を用いて、受光した光エネルギーより大きい光エネルギーのLED光10を間欠的に発光する。
【0042】
図12を参照して、複数の光を活用し発光デバイスを制御する2つの方法について説明する。
1つの方法は、異なる波長の2つの光を照射し、発光デバイス1に電力と同時に制御信号を供給するものである(図12(1)を参照)。もう1つの方法は、1つの波長で偏光が異なる2つの光を照射し、発光デバイス1に電力と同時に制御信号を供給するものである(図12(2)を参照)。図12(1)では、一方の波長でベースとなる電力を供給し、もう一方の波長によって制御を行う。図12(2)では、同一波長の光を、偏光を利用することで多重化と分離化を行って、2つの光ビームとして利用する。
特定の波長を選択する機能は、各種の光学フィルタを搭載することによって容易に実現することができる。図12(1)において、制御を行う第2の波長の光は、単に駆動のきっかけ(トリガ)として利用することも可能である。また、上述のように、光の強度を変調することで、複雑な制御信号を送ることもできる。発光デバイスの自律動作だけでなく、外部トリガをきっかけとする動作を実現できる。
【実施例3】
【0043】
次に、図13を参照して、電源電圧判定部及びスイッチ部8の1段構成と2段構成の違いについて説明する。1段構成では、電力供給スイッチが切れるとLED部7への電源供給は完全に停止される。1段構成では、1回の電源パルスで完結する動作を、得られる電力に合わせて、動作頻度を調節することができる。
一方、2段構成では、後述するように、1段目から供給されるパルスが、電力を消費する動作の頻度を適応的に調節することができる。
1段構成と2段構成の何れにおいても、自動的に、得られる電力が消費電力になるような動作が生じさせる。
【0044】
図14を参照して、2段構成の機能について詳細に説明する。
電源電圧判定部及びスイッチ部を2段直列(8a,8b)とすることで、低消費電力の連続動作(内部状態保持など)と、電力を消費する間欠動作(発光、送信、計測処理など)の組み合わせを実現することができる。
ここで、想定する動作では、第1の閾値電圧(Von1)と第2の閾値電圧(Voff1)は、間欠駆動対象の負荷回路を駆動するためのスイッチとなっており、比較的大きな電力を要する動作(LEDの発光や、センサの駆動など)に用いる。第1の閾値電圧(Von1)は、動作し始めの電圧で、第2の閾値電圧(Voff1)は動作停止(電力供給の停止)電圧である。光から得られる電力は、この2つの閾値電圧の間で駆動される間欠駆動対象の負荷回路で必要とされる電力より小さいことが想定されるため、光による発電では追いつかず、容量に貯めた電荷を吐き出しながら動作する。したがって、第1の閾値電圧(Von1)に達したら放電が始まって、第2の閾値電圧(Voff1)まで放電して、間欠駆動対象の負荷回路への供給をストップして充電を始めることになる。そのため、間欠駆動対象の負荷回路では、第1の閾値電圧(Von1)>第2の閾値電圧(Voff1)が成立する。
【0045】
一方で、光で得られるエネルギーより小さいエネルギーで動作可能な継続駆動対象の負荷回路を駆動することを想定する。継続駆動対象の負荷回路は、メモリやレジスタなど内部状態の保持回路が挙げられる。継続駆動対象の負荷回路があることにより、間欠駆動対象の負荷回路の状態情報と組み合わせて、シーケンシャルな動作を実現できる。
継続駆動対象の負荷回路は、第3の閾値電圧(Von2)で動作を開始し、光が十分に来ていれば、継続駆動対象の負荷回路を起動してもそのまま充電が進む(但し、充電速度は遅くなる。)。そして、光が減って、継続駆動対象の負荷回路すら動かせなくなった場合のために、動作停止するための閾値が、第4の閾値電圧(Voff2)である。第4の閾値電圧(Voff2)の電圧レベルは、実際のところ、光がなくなって全体動作が停止する場合に相当する。
継続駆動対象の負荷回路は、小さな電力消費で動作するが、一般に起動時に電力を余分に消費するため、充電して第3の閾値電圧(Von2)を越えて、負荷回路が起動したときには少し電圧がドロップする可能性がある。 そのため、無事に負荷回路を起動し、定常状態に落ち着かせる余裕を確保するため、負荷回路の起動をつかさどる第3の閾値電圧(Von2)を、停止をつかさどる第4の閾値電圧(Voff2)より大きくするほうが合理的である。
【0046】
比較的に大きな電力を必要とする間欠駆動対象の負荷回路を駆動すると、光で得られるエネルギーでは必要な電力がまかなうことが困難である。そのため、継続駆動対象の負荷回路の動作が不安定になる前に、間欠駆動対象の負荷回路の動作を停止するのが好ましく、継続駆動対象の負荷回路の安定動作を維持しながら、次回、間欠駆動対象の負荷回路を駆動するための充電を始めるのが合理的である。したがって、間欠駆動対象の負荷回路に対して動作電圧を供給するのを停止する電圧レベルである第2の閾値電圧(Voff1)は、継続駆動対象の負荷回路に対して動作電圧を供給する電圧レベルである第3の閾値電圧(Von2)よりも大きくする。
【0047】
つまり、1段目と2段目のキャパシタ容量をそれぞれC,Cとし、1段目と2段目のON電圧をそれぞれVon1,Von2、1段目と2段目のOFF電圧をそれぞれVoff1,VOff2とすると、原則として、C<C,かつ、Von1>Voff1>Von2>Voff2となるように設計する。そして、1段目のON信号(SWout)を、LED部7の制御パルス(クロック等)として供給する。これにより、LED部7は、制御パルスが供給された際に電力を消費する動作モードとなり、供給されていない場合には状態保持のみなど、電力をあまり消費しない低消費電力モードに移行するように設計できる。
発光デバイスを光出力型ビーコンデバイスとして用いる場合は、1つの制御パルスで、LED部を1回動作(点灯)させることで、複数のパルスにわたってID(識別信号)を出力できる。その間、レジスタ値などは低消費電力モードで保持する。
【0048】
図14の示すグラフでは、横軸に時間、縦軸に電源電圧と制御パルス信号を示している。
まず、エナジーハーベストデバイスのフォトダイオード3が受光し、キャパシタCの充電を始めるとキャパシタCの電位Vが上昇する。1段目の電源電圧判定部及びスイッチ部8aにより、電位VがVON1からVOFF1に下降する間、Vへの電力供給、LED部7への制御パルス信号供給を行う。負荷であるLED部7が動作停止している間、キャパシタCに充電を行う。
1段目の電源電圧判定部及びスイッチ部8bにより、キャパシタCの電位VがVON2まで到達すると、LED部7に電源供給を開始し、LED部7を駆動する。制御パルス信号は、LED部を駆動させるトリガとして使用する。キャパシタCの電位Vが、VON2とVOFF2の間にある期間(VOFF2<V<VON2)、LED部7に電源を供給する。キャパシタCの電位Vが、VOFF2より下に下降するまで、LED部7に電源を供給する。キャパシタCの電位Vが、VOFF2より下に下降すれば、LED部7への電源供給を停止する。
【実施例4】
【0049】
実施例4では、2段構成の電源電圧判定部及びスイッチ部において、1段目をバイパスするバイパススイッチ11が設けられた発光デバイスについて、図15を参照して説明する。
図15のグラフに示すように、バイパススイッチ11が設けられることにより、キャパシタCとキャパシタCは、エナジーハーベストデバイスのフォトダイオード3に対して、並列に接続された形となる。これにより、フォトダイオード3が受光し、キャパシタCとCは同時に同じように充電が行われ、キャパシタCとCの電位(VとV)は同時に同じように上昇する。
これにより、実施例3の2段構成の電源電圧判定部及びスイッチ部の場合と比べ、キャパシタCの充電開始を早め、キャパシタCの電位Vが1段目のON電圧に達するまでは、キャパシタCの電位Vを同様に充電することができる。
【実施例5】
【0050】
実施例5では、発光デバイスを波長変換デバイスとして利用できることについて説明する。
図16と図17は、実施例6の発光デバイスの構造の一例を示している。図16に示すように、集積回路基板上には、エナジーハーベストデバイスを構成するフォトダイオード3が複数直列され搭載され、集積回路基板の裏面にキャパシタ6が積層され、集積回路基板の表面に平面実装型LED部(7a,7b)が積層される。集積回路基板のサイズは、1辺Lが1mm以下である。フォトダイオード3は、赤外線を受光し、赤外光のエネルギーの電力をキャパシタ6に蓄電する。LED部(7a,7b)はそれぞれが異なる波長域の可視光を発光する。例えば、青色光と緑色光である。発光デバイス1は、赤外線駆動型の可視光ビーコンとして利用できる。すなわち、赤外線の光を可視光に変換する波長変換デバイスとして活用できることになる。
更に、図17に示すように、集積回路基板の表面の空きスペースに、紫外線を吸収する平面実装型フォトダイオード(3a,3b)が積層されると、発光デバイスは、紫外線駆動型の可視光ビーコンとして利用できる。
【0051】
図18を参照して、波長変換を行う発光デバイス1の機能について説明する。生体内部30に発光デバイス1を埋め込み、体外から赤外光照射用LED31で赤外光を照射する。赤外光は、生体内を透過するが、その際に細胞を刺激しない。発光デバイス1のフォトダイオード3で赤外光を受け、LED部7aで青色光を生体内部30で発生させる。すなわち、発光デバイス1は、赤外光を青色光に変換する波長変換機能を果たす。生体が反応しない長波長の赤外光によって電力を供給し、生体内で刺激光である短波長の青色光を発生することで、生体の深部を刺激する。
発光デバイス1では、時間をかけて赤外光のエネルギーをキャパシタ6に蓄積を行うため、既存の生体内波長変換技術である二光子吸収などと異なり、大量のエネルギーを投入する必要がないといった利点がある。発光デバイス1では、LED部7bで赤外光を発光できる。この赤外光を変調して発光させることにより、データ信号として利用することができる。赤外光は、生体内を透過し、携帯端末装置32で受信される。赤外光の変調データから、データ信号を復元し、携帯端末装置32にデータを表示することも可能である。
バイオ分野、特に医療分野で、今後重要な技術となるオプトジェネティクスにおいて、新しいソリューションを提供することができる。
【実施例6】
【0052】
図19を参照して、発光デバイスの他の応用例を説明する。発光デバイスを、画素としてパネル状に並設する。発光デバイスに搭載されたエナジーハーベストデバイスが受光できる光が、外部から照射されると、照射位置に配置された発光デバイスの発光手段が可視光を発光することにより、電源レスでワイヤレスのディスプレイやスクリーンを実現することができる。
例えば、赤外線レーザビームを照射すると、その点だけが可視光で発光するスクリーン40を無電源で実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の発光デバイスは、バイオサイエンス分野や医療分野におけるオプトジェネティクス向けの生体内光刺激に有用である。
【符号の説明】
【0054】
1,発光デバイス
2 エナジーハーベストデバイス
3,3a,3b フォトダイオード
4 逆流防止ダイオード
5 蓄電手段
6 キャパシタ
7 発光手段(LED部)
7a,7b LED部
8,8a,8b 電源電圧判定部及びスイッチ部
9 LED光用開口
10 LED光
11 バイパススイッチ
21 電源電圧検出回路
22 バイアス電圧供給回路
23 電力供給スイッチ
30 生体内部
31 赤外光照射用LED
32 携帯端末装置
40 スクリーン
,C キャパシタ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18