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明細書 :Ro52/TRIM21タンパク質に対する自己抗体が認識するエピトープおよびその利用

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-077194 (P2018-077194A)
公開日 平成30年5月17日(2018.5.17)
発明の名称または考案の名称 Ro52/TRIM21タンパク質に対する自己抗体が認識するエピトープおよびその利用
国際特許分類 G01N  33/53        (2006.01)
C07K  16/18        (2006.01)
A61K  39/395       (2006.01)
A61K  39/00        (2006.01)
A61P  37/04        (2006.01)
A61P  11/00        (2006.01)
A61P  29/00        (2006.01)
FI G01N 33/53 N
C07K 16/18 ZNA
A61K 39/395 N
A61K 39/00 H
A61P 37/04
A61P 11/00
A61P 29/00
請求項の数または発明の数 12
出願形態 OL
全頁数 17
出願番号 特願2016-220793 (P2016-220793)
出願日 平成28年11月11日(2016.11.11)
発明者または考案者 【氏名】奥村 麻衣子
【氏名】小澤 龍彦
【氏名】多喜 博文
【氏名】岸 裕幸
【氏名】戸邉 一之
【氏名】村口 篤
出願人 【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000109、【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
審査請求 未請求
テーマコード 4C085
4H045
Fターム 4C085AA03
4C085AA14
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG06
4H045AA11
4H045BA15
4H045BA16
4H045BA17
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
要約 【課題】間質性肺炎に関連する自己抗体のエピトープを特定する。また間質性肺炎の診断等のための有用な方法を提供する。
【解決手段】 対象における間質性肺炎の、診断、発症の予測、重症度の診断、および重症化の予測からなる群より選択される少なくとも一つのための方法であって、Ro52/TRIM21タンパク質に対する抗体が対象から得られた試料中に存在するかどうかを決定する工程を含む、方法を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
対象における間質性肺炎の、診断、発症の予測、重症度の診断、および重症化の予測からなる群より選択される少なくとも一つのための方法であって、Ro52/TRIM21タンパク質に対する抗体が対象から得られた試料中に存在するかどうかを決定する工程を含む、方法。
【請求項2】
対象が、自己免疫疾患の患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
自己免疫疾患が、膠原病である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
膠原病が、関節リウマチ、全身性強皮症、皮膚筋炎、多発性筋炎、混合性結合組織病からなる群より選択されるいずれかである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Ro52/TRIM21タンパク質に対する抗体が、Ro52/TRIM21タンパク質のC-Cドメインに対するものである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
Ro52/TRIM21タンパク質に対する抗体が、配列番号23のアミノ酸配列の全部、または少なくとも9アミノ酸長の一部からなるペプチドに対するものである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
Ro52/TRIM21タンパク質を認識可能な、ヒトモノクローナル抗体。
【請求項8】
Ro52/TRIM21タンパク質のC-Cドメインを認識可能である、請求項7に記載の抗体。
【請求項9】
配列番号23のアミノ酸配列の全部、または少なくとも9アミノ酸長の一部からなるペプチド。
【請求項10】
請求項9に記載のペプチドに対する、抗体。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか1項に記載された抗体またはペプチドを含む、間質性肺炎の検査キット。
【請求項12】
請求項7~10のいずれか1項に記載された抗体またはペプチドを含む、医薬組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、間質性肺炎の発症、その重症度の診断・予測に関する。本発明は、ライフサイエンス、および医療の分野で有用である。
【背景技術】
【0002】
間質性肺炎は肺の間質組織の線維化が起こる疾患の総称である。進行して炎症組織が線維化したものは肺線維症と呼ばれる。間質性肺炎は、薬剤性肺炎や放射性肺炎など、医原性原因によるもの、粉塵の吸入や過敏性肺炎など、職業・環境性因子によるもの、膠原病(全身の膠原線維にフィブリノイド変性を来し、その原因として自己免疫現象が考えられている疾患群)やサルコイドーシスなどの全身性疾患に付随して発病するものなど、その原因は様々であることが知られている。その他、背景となる疾患がなく、原因も特定できない特発性間質性肺炎がある。
【0003】
間質性肺炎の体外診断用医薬品として、1999年にKL-6が保険適用された。KL-6抗体は、II型肺胞上皮細胞上に発現するMUC1を認識する抗体である。すなわち、KL-6は、200 kDa以上の分子量をもつ巨大な糖タンパク質であるMUC1の一部と考えられている。血清KL-6値は、特発性肺線維症、膠原病関連間質性肺炎、過敏性肺炎、放射性肺炎などの間質性肺炎で高値を示し、健常者や細菌性肺炎、肺気腫などのその他の肺疾患ではほとんど上昇しない。
【0004】
一方、Ro52は、近年ではtripartite motif containing 21(TRIM21)とも表記されるが、分子量約52KDの細胞内タンパク質であり、Ring finger、B Box、Coiled Coil(C-C)、およびPRYSPRYRYの各ドメインを有する分子である。この分子に対する自己抗体は、シェーグレン症候群(SjS)、全身性エリテマトーデス(SLE)等の自己免疫疾患の患者の血清中に広く認められる。
【0005】
マウスにヒトのRo52タンパク質を免疫した後にハイブリドーマを作成し、ヒトRo52タンパク質に対するモノクローナル抗抗体を作成した報告がある(非特許文献1)。また、SjSやSLEの患者血清(ポリクローナル抗体)を用いたエピトープの検索が行われてきている(非特許文献2)。さらに抗Ro52抗体と自己免疫疾患との関係に関する報告(非特許文献3)、抗Ro52/TRIM21抗体が、膠原病の一つである強皮症患者における間質性肺炎の合併率と重症度に関連するという報告がある(非特許文献4)
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】Journal of Autoimmunity 22 (2004) 167-177
【非特許文献2】Journal of Autoimmunity 35 (2010) 256-264
【非特許文献3】Autoimmun Rev. 10(9):509-513, 2011
【非特許文献4】Arthritis research and Therapy 2012;14:R50
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これまでのRo52抗体と自己免疫疾患との関連についての報告では、抗原としてRo52タンパク質全体を用いていたため、患者血清中の様々な抗体が結合可能であり、有用な情報が得られなかった。間質性肺炎に関連する自己抗体のエピトープが特定できれば、間質性肺炎の発症メカニズムの研究や間質性肺炎の診断において有用であり、また間質性肺炎の発症の予測や、重症度の予測・診断への適用が期待できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、間質性肺炎を有する自己免疫疾患の患者血液から、本発明者らの所属する研究室で確立された方法(Immunospot-array assay on a chip、ISSAC法、Jin et al, Nature Medicine 2009;15:1088-1092)を用いて、抗Ro52/TRIM21抗体を産生するリンパ球を複数特定し、各々の抗体cDNAをクローニングし、複数の抗Ro52/TRIM21抗体をヒトモノクローナル抗体として得ることに成功した。そして、得られた抗体の多くがRo52/TRIM21タンパク質のC-Cドメインに結合することを明らかにし、さらに詳細なエピトープの解析を試みた。その結果、得られたモノクローナル抗体が認識するペプチドを特定し、さらに当該ペプチドに結合する自己抗体を有する患者群において間質性肺炎の発症率や重症度を比較することにより、本願発明を完成した。
【0009】
本願は、以下を提供する。
[1] 対象における間質性肺炎の、診断、発症の予測、重症度の診断、および重症化の予測からなる群より選択される少なくとも一つのための方法であって、Ro52/TRIM21タンパク質に対する抗体が対象から得られた試料中に存在するかどうかを決定する工程を含む、方法。
[2] 対象が、自己免疫疾患の患者である、1に記載の方法。
[3] 自己免疫疾患が、膠原病である、2に記載の方法。
[4] 膠原病が、関節リウマチ、全身性強皮症、皮膚筋炎、多発性筋炎、混合性結合組織病 (mixed connective tissue disease :MCTD)からなる群より選択されるいずれかである、3に記載の方法。
[5] Ro52/TRIM21タンパク質に対する抗体が、Ro52/TRIM21タンパク質のC-Cドメインに対するものである、1~5のいずれか1項に記載の方法。
[6] Ro52/TRIM21タンパク質に対する抗体が、配列番号23のアミノ酸配列の全部、または少なくとも9アミノ酸長の一部からなるペプチドに対するものである、1~5のいずれか1項に記載の方法。
[7] Ro52/TRIM21タンパク質を認識可能な、ヒトモノクローナル抗体。
[8] Ro52/TRIM21タンパク質のC-Cドメインを認識可能である、7に記載の抗体。
[9] 配列番号23のアミノ酸配列の全部、または少なくとも9アミノ酸長の一部からなるペプチド。
[10] 9に記載のペプチドに対する、抗体。
[11] 7~10のいずれか1項に記載された抗体またはペプチドを含む、間質性肺炎の検査キット。
[12] 7~10のいずれか1項に記載された抗体またはペプチドを含む、医薬組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、間質性肺炎に関連した、Ro52/TRIM21タンパク質に対する自己抗体が認識するエピトープが提供される。
本発明により、間質性肺炎の診断、発症の予測、および/または重症度の予測のための方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】グラフ:13種の抗Ro52抗体(20-61)を得たことを確認したELISAの結果。縦軸は吸光度(Abs, 405nm)。斜線バーは、リコンビナントRo52/TRIM21タンパク質(1μg/ml)、黒色バーはPBSを用いた結果である。ネガティブコントロールとして抗インフルエンザウイルス抗体(InfNP)、および健常人血清(Sera、HC)を、ポジティブコントロールとして血清抗Ro52抗体陽性患者の血清(Sera、Pt112-Pt150、抗体を取得した4名の間質性肺炎を有する皮膚筋炎患者の血清)を用いた。写真:ISAAC法における、マイクロチップ上で観察された抗Ro52抗体を発現しているリンパ球のスポット。
【図2】A:抗Ro52/TRIM21抗体のエピトープ検索において、Ro52/TRIM21タンパク質と調製した59種のペプチドとの整列。B:2種の抗Ro52抗体についてのC-Cドメインへの結合性を確認したELISAの結果。グラフの縦軸は吸光度(Abs, 450nm)。
【図3】13種の抗体の各々のRo52/TRIM21タンパク質に対する競合性をELISAで確認した結果(吸光度の値)。Ab100,112-26は他の10種のC-Cドメインと結合する抗体と競合するため結合性が弱くなった(吸光度の値が比較的低い。)。11種の抗体の中でも、特にAb100,112-26、Ab100,112-29、Ab150-8、Ab150-14、Ab55-37、Ab150-46、Ab150-60、Ab150-61において、それぞれがよく競合した。このことからこれらの抗体のRo52/TRIM21タンパク質における結合部位は近接していると考えられる。
【図4】Ro52/TRIM21タンパク質のアミノ酸配列。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明および明細書で「 - 」で範囲を表す場合は、特に記載した場合を除き、その範囲は両端の値を含む。疾患または状態に関連して「処置」というときは、特に記載した場合を除き、発症リスクの低減、予防、治療、および進行の抑制を含む。

【0013】
[抗Ro52/TRIM21抗体のエピトープ]
本発明は、間質性肺炎の患者の血清に存在するRo52/TRIM21タンパク質に対する自己抗体が認識するエピトープ、すなわち抗Ro52/TRIM21抗体が認識可能なペプチドを提供する。このようなペプチドは、具体的には、配列番号23のアミノ酸配列の全部、または一部からなるペプチドである。

【0014】
配列番号23のアミノ酸配列からなるペプチドは、ヒトRo52/TRIM21タンパク質のC-Cドメインの一部であり、抗Ro52/TRIM21抗体価強陽性である間質性肺炎を発症した皮膚筋炎患者の末梢血中の抗Ro52/TRIM21自己抗体を解析することにより、本発明者らにより初めて特定されたものである。

【0015】
配列番号23のアミノ酸配列の一部からなるペプチドの長さは、自己抗体により認識される限り、特に限定されないが、例えば少なくとも9アミノ酸長であればよく、10アミノ酸長、11アミノ酸長、12アミノ酸長、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長であってもよい。

【0016】
このようなペプチドは、当業者には周知の方法によって調製することができる。

【0017】
ペプチドは、後述するように、対象における間質性肺炎の、診断、発症の予測、重症度の診断、および重症化の予測からなる群より選択される少なくとも一つのための方法において、対象から得られた試料中に、Ro52/TRIM21タンパク質に対する抗体が存在するか否かを決定する際に、抗原として用いることができる。

【0018】
[Ro52/TRIM21タンパク質またはその一部に対する抗体]
本発明はRo52/TRIM21タンパク質を認識可能な、ヒトモノクローナル抗体を提供する。Ro52/TRIM21は、単にRo52、またはTRIM21(tripartite motif containing 21)と表記されることもある。Ro52/TRIM21タンパク質は、分子量約52KDの細胞内タンパク質であり、Ring finger、B Box、Coiled Coil(C-C)、およびPRYSPRYRYの各ドメインを有する。このタンパク質に対する自己抗体は、シェーグレン症候群(SjS)、全身性エリテマトーデス(SLE)等の自己免疫疾患の患者の血清中に広く認められる。

【0019】
ヒト抗体とは、ヒトから得た抗体、およびヒトから得た抗体と同じアミノ酸配列を有する抗体をいう。ヒトから得た抗体には、患者の血清から得た抗体、およびヒトリンパ球が産生した抗体が含まれる。ヒトから得た抗体と同じアミノ酸配列を有する抗体には、例えば、ヒトから得た抗体のcDNAをクローニングし、得られたcDNAを導入した継代培養可能な細胞が産生した抗体が含まれる。継代培養可能な細胞は、非ヒト細胞(例えば、非ヒト哺乳動物細胞、具体的にはマウス細胞、ラット細胞、ハムスター細胞等)であっても、ヒト細胞であってもよい。

【0020】
認識されるRo52/TRIM21タンパク質は、好ましくはヒト由来である。配列表には、配列番号60として、ヒトRo52/TRIM21タンパク質のアミノ酸配列を示した。

【0021】
前掲非特許文献1により、マウスにヒトのRo52/TRIM21タンパク質を免疫した後に、ハイブリドーマを作成してヒトのRo52/TRIM21タンパク質を認識可能なマウスモノクローナル抗体を作成したことが報告されている。しかしながら、Ro52/TRIM21タンパク質を認識可能なヒトモノクローナル抗体を提供するのは、本願が初めてである。マウス抗体をヒトに投与する場合、アナフィラキシー反応や効果の減弱が懸念される。本願によって提供されるRo52/TRIM21タンパク質を認識可能なヒトモノクローナル抗体は、このような懸念が少ない。この観点からは、対象における間質性肺炎の診断等のみならず、ヒトの疾患または状態の処置に応用する際にも有用だと考えられる。

【0022】
Ro52/TRIM21タンパク質を認識可能なヒトモノクローナル抗体は、好ましくは間質性肺炎患者のBリンパ球が産生する抗体、またはそれと同じアミノ酸配列を有する抗体である。このような抗体は、マウス等の実験動物を人工的に過剰の抗原で免疫して得られる抗体よりも、高親和性である可能性が高いからである。後述するように、ISSAC法を用いることにより、患者由来のリンパ球群から、目的の抗原に対する抗体を産生する細胞を特定し、抗体遺伝子をクローニングすることができる。

【0023】
Ro52/TRIM21タンパク質を認識可能なヒトモノクローナル抗体のRo52/TRIM21タンパク質における結合部位は、抗体が目的のために有用である限り、特に限定されないが、Ro52/TRIM21タンパク質のC-Cドメインに結合することが好ましい。本発明者らの検討によると、間質性肺炎の患者またはそのリスクの高い者の血清由来の抗Ro52/TRIM21抗体の多くがC-Cドメインに結合可能であり、抗C-Cドメイン自己抗体が間質性肺炎と何らかの関わりがあると考えられるからである。配列表には、配列番号61として、ヒトRo52/TRIM21タンパク質のC-Cドメインのアミノ酸配列(配列番号60のRo52/TRIM21タンパク質のアミノ酸配列において、130番-255番の部分に相当する。)を示した。

【0024】
Ro52/TRIM21タンパク質を認識可能なヒトモノクローナル抗体のRo52/TRIM21タンパク質における結合部位は、Ro52/TRIM21タンパク質のC-Cドメイン中の特定の部分、具体的には配列番号60において177番-192番のアミノ酸配列に相当する16アミノ酸長からなる部分の全部(本明細書においては、P23と称されることがある。)または一部からなる部分に結合することが好ましい。配列表には、配列番号23として、本発明者らが見出した、ヒトRo52/TRIM21タンパク質のC-Cドメインにおいて疾患と特に強く関連付けられる16アミノ酸長のアミノ酸配列(配列番号60において、177番-192番のアミノ酸配列に相当する。)を示した。配列番号23のアミノ酸配列の一部からなるペプチドの長さは、自己抗体により認識される限り、特に限定されないが、例えば少なくとも9アミノ酸長であってよく、10アミノ酸長、11アミノ酸長、12アミノ酸長、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長であってもよい。

【0025】
ある抗体が、Ro52/TRIM21タンパク質、そのC-Cドメイン、またはP23もしくはその一部を認識可能かどうかは、当業者であれば適切な免疫アッセイ、例えばELISAを企画し、評価することができる。

【0026】
ヒトモノクローナル抗体は、当業者であれば、従来法で製造することができる。従来法には、ハイブリドーマ法、大腸菌を用いるファージディスプレイ法、EBウイルス法等があり、必要に応じ、マウス抗体からヒト抗体へのヒト化、ファージディスプレイ法を用いての高活性化を、組み合わせることができる。

【0027】
ヒトモノクローナル抗体の製造のための好ましい方法の一つは、ISSAC(Immunospot-array assay on a chip)法を利用した方法である。ISSAC法であれば、頻度が高い抗原特異的リンパ球は勿論のこと、頻度の低い抗原特異的リンパ球であっても、簡便に目的の抗原に特異的なリンパ球を選択し、この選択された抗原特異的リンパ球から、抗体遺伝子を効率的にクローニングすることができるからである。

【0028】
ISSAC法は、基体の一方の主表面に複数のウェルを有し、ウェルは1つのリンパ球のみが入る大きさであるマイクロウェルアレイを用いて行うものである。マイクロウェルアレイを用いる方法に関しては、本発明者らの先の出願を参照することができる。この方法においては、B細胞が抗原を認識したときに産生される抗体の少なくとも一部と結合性を有する物質(結合性物質)として、抗原を用いることができる。そして抗原特異的抗体の有無の検出は、抗体と特異的に結合する物質を用いる場合と、結合性物質と特異的に結合する物質を用いる場合とがある。検出のための物質の典型例は、抗原である。同定されたB細胞は、キャピラリーにて回収し、抗体遺伝子の増幅に供する。

【0029】
特定された細胞は、増殖させてからPCR に供してもよいが、1個または数個の細胞を対象としてcDNAの増幅が行えるPCRの手法が種々知られており、本発明においてもそのような公知の手法を適用することができる。典型的には、まず回収した細胞を溶解し、γ、κおよびλ鎖のプライマーを用いた単一細胞5'-RACE法を用いてVHおよびVL断片をコードする抗体cDNAを増幅する。 次いで、これらの配列を、IgG1または軽鎖についての免疫グロブリン定常領域全体をコードするcDNAを含む発現ベクターに挿入する。そして、重鎖および軽鎖発現ベクターの両方で、抗体生産用の宿主細胞(例えば、293T細胞、Expi293F細胞、等)を、コトランスフェクションする。その際、市販のFreeStyleTM MAX 293T発現システム(Life Technologies)等を用いることができる。得られた形質転換細胞を培養して培養上清を回収し、抗体を精製する。抗体の精製には、市販のプロテインGカラムが使用できる。また、免疫グロブリン遺伝子レパートリーは、IMGT / V-Questツール(http://www.imgt.org/)を用いて分析できる。

【0030】
ISSAC法の詳細は、Jin et al, Nature Medicine 2009;15:1088-1092、特開2004-187676に記載されている。

【0031】
本発明はまた、配列番号23のアミノ酸配列の全部、または少なくとも9アミノ酸長の一部からなるペプチドに対する、抗体を提供する。ここでいう抗体は、ヒトモノクローナル抗体には限られず、ポリクローナル抗体であってもよく、マウス抗体であってもよい。このような抗体もまた、従来技術により製造することができる。

【0032】
本発明により提供される、Ro52/TRIM21タンパク質を認識可能なヒトモノクローナル抗体、および配列番号23のアミノ酸配列の全部、または少なくとも9アミノ酸長の一部からなるペプチドに対する抗体は、後述するように、対象における間質性肺炎の、診断、発症の予測、重症度の診断、および重症化の予測からなる群より選択される少なくとも一つのための方法において、対象から得られた試料中に、Ro52/TRIM21タンパク質に対する抗体が存在するか否かを決定する際に、抗原として用いることができる。

【0033】
[診断、発症の予測、重症度の診断、および重症化の予測]
本発明は、対象における間質性肺炎の、診断、発症の予測、重症度の診断、および重症化の予測からなる群より選択される少なくとも一つのための方法であって、Ro52/TRIM21タンパク質に対する抗体が対象から得られた試料中に存在するかどうかを決定する工程を含む方法を提供する。

【0034】
本発明者らの検討によると、血清抗Ro52/TRIM21抗体陽性である膠原病患者において、P23に結合する自己抗体を有する患者群(P23(+)群)と自己抗体を有さない(P23(-)群)それぞれの間質性肺炎の発症率には差がみられる。また、P23(+)群、P23(-)群それぞれのKL-6の陽性率(KL-6≧500U/mLを陽性とする)にも差がみられる。したがって、Ro52/TRIM21タンパク質に対する自己抗体が対象からの試料中に存在する場合、その対象を、間質性肺炎である、もしくは間質性肺炎を発症すると予測できる。またはその対象の間質性肺炎が重症である、もしくは間質性肺炎が重症化すると予測できる。

【0035】
診断等の対象は、健常人、間質性肺炎の発症のリスクがある人、間質性肺炎の患者が含まれる。間質性肺炎の発症のリスクがある人には、自己免疫疾患の患者、高齢者が含まれる。本発明の方法の適用が特に好ましい例の一つは、膠原病の患者である。膠原病は、病理形態学的に全身の膠原線維にフィブリノイド変性を来し、その原因として自己免疫現象が考えられている疾患群をいう。これには、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性硬化症(PSS)、皮膚筋炎(DM)、関節リウマチ(RA)、リウマチ熱(RF)、結節性多発性動脈炎(PN)、リウマチ性多発筋痛症、側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)、シェーグレン症候群、混合性結合組織病(MCTD)、重複症候群、アレルギー性肉芽腫性血管炎、ウェゲナー肉芽腫症が含まれる。膠原病のうち、本発明の適用が特に好ましいもは、関節リウマチ、全身性強皮症、皮膚筋炎、多発性筋炎、および混合性結合組織病である。

【0036】
対象からの試料の例として、末梢血の血清または血漿、尿、髄液、喀痰、病理組織、毛根、爪、口腔粘膜等が挙げられる。

【0037】
試料中にRo52/TRIM21タンパク質に対する抗体が含まれているか否かは、適切な抗原と結合する抗体が含まれているか否かを、従来技術の免疫アッセイ(例えば、ELISA等)を利用して評価することができる。抗原としては、Ro52/TRIM21タンパク質のC-Cドメインの全部または一部、P23の全部または少なくとも9アミノ酸長であるその一部を用いることができる。

【0038】
本発明の方法は、間質性肺炎の診断等のための他のマーカーを用いた方法と併用することができる。他のマーカーの例としてKL-6、SP-A、SP-Dを挙げることができる。これらは、特発性肺線維症(IPF)や非特異性間質性肺炎(NSIP)などの特発性間質性肺炎で高い率で陽性となり、病態のモニタリング、治療反応性の評価に有用とされている。別の例として、乳酸脱水素酵素(LDH)を挙げることができる。これも間質性肺炎において高値となることが知られている。

【0039】
[キット、医薬組成物]
本発明のペプチドおよび抗体は、間質性肺炎の検査のためのキットの構成要素として用いることができる。キットは、少なくとも抗原としての本発明のペプチドを含み、他に、コントロールとして用いるための本発明の抗体、対象から試料を採取するための器具、試料を保存するための容器、試料希釈液、免疫アッセイを行うための器具(例えばELISAのためのプレート)および試薬、免疫アッセイのためのインストラクションを記録した媒体(例えば、文書、CD)等を含んでいてもよい。また、キットには、キットの使用目的、例えば対象における間質性肺炎の、診断、発症の予測、重症度の診断、および重症化の予測からなる群より選択される少なくとも一つのためのキットである旨の表示がされていてもよい。

【0040】
本発明のペプチドおよび抗体は、医薬として許容し得る担体とともに、医薬組成物として用いることができる。医薬組成物は、間質性肺炎に関連した、検査、診断、または処置のためのものであり得る。

【0041】
医薬として許容される担体としては、有効成分であるペプチドまたは抗体の機能を損なわない限り特に限定されないが、例えば、賦形剤、溶剤(分散剤)、溶解補助剤、懸濁化剤、安定化剤、等張化剤、緩衝剤、pH調節剤、無痛化剤、保存剤、抗酸化剤等が挙げられる。賦形剤の好適な例としては、乳糖、白糖、D-マンニトール、D-ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。溶剤の好適な例としては、注射用水、生理的食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油などが挙げられる。溶解補助剤の好適な例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。懸濁化剤の好適な例としては、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子;ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。安定化剤の好適な例としては、ヒト血清アルブミン(HSA)、ピロ亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、メタ亜硫酸水素ナトリウムなどが挙げられる。等張化剤の好適な例としては、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトール、D-ソルビトール、ブドウ糖などが挙げられる。緩衝剤の好適な例としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。pH調節剤の好適な例としては、塩酸、水酸化ナトリウムなどの酸または塩基が上げられる。無痛化剤の好適な例としては、ベンジルアルコールなどが挙げられる。保存剤の好適な例としては、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。抗酸化剤の好適な例としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸塩などが挙げられる。

【0042】
医薬組成物の剤形は、特に限定されないが、検査のためには、各種の液体または固体の剤(例えば、乳剤、懸濁剤、液剤、顆粒剤、粉末剤等)としてもよく、対象への投与のためには、例えば注射剤(皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、動脈内注射剤を含む。)、点滴剤等の注入型製剤としてもよい。医薬組成物中の有効成分の含量は、剤形、投与量などにより異なるが、例えば約0.1-100重量%とすることができる。医薬組成物は、従来法により製造することができる。

【0043】
以下、本発明を実施例により説明する。
【実施例】
【0044】
[ペプチド23の同定]
4名の抗Ro52/TRIM21抗体価強陽性である、間質性肺炎を発症した皮膚筋炎患者4名の末梢血リンパ球より、ISAAC (Immunospot-array assay on a chip) 法(Jin et al, Nature Medicine 2009;15:1088-1092)を用いて、Ro52/TRIM21タンパク質に結合する抗体を産生するリンパ球を特定し、抗体cDNAをクローニングし、遺伝子導入により抗体産生細胞を得て、ヒトモノクローナル抗体を13種類作製した。得られた抗体の名称を下表にまとめた。なお、表中、「100, 112」は、100番の患者と112番の患者のリンパ球を混合したものから抗体を得たという趣旨である。100番と112番からは、単独ではISAAC法を行うのに十分なリンパ球数を確保できなかったため、混合してISSAC法に供した。
【実施例】
【0045】
【表1】
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【実施例】
【0046】
また、作製した13種の抗体が、Ro52/TRIM21タンパク質のC-Cドメインに結合するか否かを確認したところ、11種類(26、29、37、8、14、15、42、44、45、46、60)がRo52/TRIM21タンパク質のC-Cドメインに結合することが明らかになった。
【実施例】
【0047】
そこで我々はモノクローナル抗体での解析でさらに詳細なエピトープが同定できると考え、下表に示したように、16アミノ酸長ずつ、計59個のRo52/TRIM21タンパク質のペプチドライブラリーを作製し、解析した。
【実施例】
【0048】
【表2】
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【実施例】
【0049】
その結果、2種類の抗体(Ab55-37、およびAb150-61)がC-Cドメインに属する1個のペプチド(ペプチド23, P23)に結合することが明らかとなった。また、このP23以外にこれらのモノクローナル抗体と結合性を示すペプチドは同定されなかった。
【実施例】
【0050】
[抗Ro52/TRIM21抗体の各々の結合部位の相同性解析]
C-Cドメインに結合する11種の抗体(うち2抗体がP23と結合する抗体)のRo52/TRIM21タンパク質内での結合部位の相同性を確認するため、抗原としてリコンビナントRo52/TRIM21タンパク質(Prospec-Tany TechnoGene社のRo52/SS-A, Human, Recombinant、商品コード:PRO-328)を用い、異なる2抗体を競合させてELISAを行い、これらの抗体の結合部位に相同性があるかどうかを確認した。
【実施例】
【0051】
ELISAではmaxisorp plate を使用し、リコンビナントRo52/TRIM21タンパク質(0.275μg/mL/well)を抗原として使用した。ブロッキング液は3%BSA/PBST(1x)を用い、一次抗体は1種のモノクローナル抗Ro52抗体(10μg/mL)を1時間反応させた後にPBSTで洗浄し、二次抗体は一次抗体とは別のモノクローナル抗Ro52抗体をペルオキシダーゼ標識したもの(100μg/mL)を1時間反応させた。各抗体につき、抗原であるRo52/TRIM21タンパク質をそれぞれ3wellずつ使用した。検出はTMBを用いて450nmでAbsを測定した。
【実施例】
【0052】
<ELISAのプロトコール>
1. Maxisorp plate に5μg/mL/wellのリコンビナントRo52/TRIM21タンパク質を50μL添加し、4℃で一晩静置し、ペプチドをウェルにコートした。
2. ペプチドが入った液を除去後、PBST(1%Tween20入りPBS)で2回ウェルを洗浄した。
3. 3% BSA/PBSTを350μLずつウェルに添加し、室温で1時間静置し、ブロッキングを行った。
4. 3% BSA/PBSTを除去後、PBSTで2回ウェルを洗浄した。
5. 1μg/mLに調整したモノクローナル抗Ro52抗体を50 μLずつウェルに添加し、室温で1時間静置した。
6. 5.の抗体を除去後、PBSTで2回ウェルを洗浄した。
7. 1μg/mLに調整した、5.とは異なるモノクローナル抗Ro52抗体をペルオキシダーゼ標識したものを50μLずつウェルに添加し、室温で1時間静置した。
8. 7.の抗体を除去後、PBSTで2回ウェルを洗浄した。
9. TMB solutionを50μLずつウェルに添加し、30分静置した。
10. Stop solutionを50μLずつウウェルに添加し、450nmの吸収を測定した。
【実施例】
【0053】
結果は下表に示したように、C-Cドメインで結合する11種の各抗体のうち異なる2抗体を競合させると吸光度(Abs)が低下したことから、各々の抗体が競合して結合性が減弱したと考える。これは、各々の抗体のRo52/TRIM21内での結合部位が近いために競合していると考えられる。このことから、P23と結合しない他の9抗体もP23付近で結合する可能性が示唆された。
【実施例】
【0054】
[抗Ro52/TRIM21抗体強陽性患者の血清とP23と結合性の解析]
ペプチド23(P23)に結合する自己抗体を有する患者群(P23(+)群)と抗体を有さない(P23(-)群)で、間質性肺炎の発症率や重症度を比較した。
【実施例】
【0055】
血清は、ユーロライン検査(筋炎・強皮症)で血清中の抗Ro52抗体が強陽性(3+)と判定された皮膚筋炎、強皮症等の膠原病患者の血清を用いた。ELISAではmaxisorp plateを使用し、P23(RIHAEFVQQKNFLVEE 配列番号23)、および陰性コントロールとしてHIVペプチド(RYLRDQQLL 配列番号62)を抗原として使用した。ブロッキング液は3%BSA/PBST(1x)を用い、一次抗体は患者血清(x200希釈)、二次抗体はアルカリフォスファターゼ標識抗ヒトIgGFc (α-hIgGFc-ALP, x1000希釈)を用いた。各血清検体につき、P23とHIVペプチドをそれぞれ3wellずつ使用した。検出はpNNで行い405nmでAbsを測定した。
【実施例】
【0056】
<ELISAのプロトコール>
1. Maxisorp plate に5μg/mL/wellのP23(RIHAEFVQQKNFLVEE 配列番号23)、あるいは5μg/mL/wellのHIVペプチド(RYLRDQQLL 配列番号62)を50μL添加し、4℃で一晩静置し、ペプチドをウェルにコートした。
2. ペプチドが入った液を除去後、PBST(1%Tween20入りPBS)で2回ウェルを洗浄した。
3. 3% BSA/PBSTを350μLずつウェルに添加し、室温で1時間静置し、ブロッキングを行った。
4. 3% BSA/PBSTを除去後、PBSTで2回ウェルを洗浄した。
5. 200倍希釈した患者血清を50μLずつウェルに添加し、室温で1時間静置した。
6. 患者血清を除去後、PBSTで2回ウェルを洗浄した。
7. アルカリフォスファターゼ標識抗ヒトIgGFc(1000倍希釈)を50μLずつウェルに添加し、室温で1時間静置した。
8. アルカリフォスファターゼ標識抗ヒトIgGFcを除去後、PBSTで2回ウェルを洗浄した。
9. アルカリフォスファターゼ基質をバッファーに1 mg/mLになるように溶解し、50μLずつウェルに添加した。
10. 室温で30分静置し、405nmの吸収を測定した。
【実施例】
【0057】
P23のAbsの平均値が、[(HIVペプチドへのAbsの平均値)+(HIVペプチドのAbsの標準偏差×3]より大きくなった場合にP23と結合したと判定した。このELISAで3回中3回ともP23との結合がみられた患者をP23(+)群、3回ともP23との結合をみられなかった患者をP23(-)群とした。また3回のうち1回または2回陰性となった患者は対象外とした。
【実施例】
【0058】
1) ペプチド23(P23)を用いた患者血清中の自己抗体の結合と間質性肺炎(IP)の発症率の比較
ユーロライン検査で血清抗Ro52抗体陽性の皮膚筋炎、強皮症等の膠原病患者のうち、P23(+)群、P23(-)群それぞれの間質性肺炎(IP)の発症率をFisher検定で比較したところ、両群の間に有意差がみられた(p=0.008)。
【実施例】
【0059】
【表3】
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【実施例】
【0060】
2) P23を用いた患者血清中の自己抗体の結合と間質性肺炎の重症度の比較
上記2群につき、間質性肺炎の重症度の指標として汎用されているKL-6の値について、KL-6の測定歴のある患者を対象にしてその2群について比較した。
【実施例】
【0061】
対象となる患者はP23(+)群34名、P23(-)群36名であり、それぞれのKL-6の陽性率(KL-6≧500U/mLを陽性とする)をFisher検定で比較したところ、両群の間に有意差がみられた(p=0.001)。
【実施例】
【0062】
【表4】
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【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のペプチドおよびそれに対する抗体は、間質性肺炎を発症するか否かの予測およびその重症度等を予測する検査キットへの応用が期待できる。
【配列表フリ-テキスト】
【0064】
SEQ ID NOs.:1-59 Ro52/TRIM21タンパク質のC-Cドメインに由来するペプチドのアミノ酸配列
SEQ ID NO.:60 Ro52/TRIM21タンパク質のアミノ酸配列
SEQ ID NO.:61 Ro52/TRIM21タンパク質のC-Cドメインのアミノ酸配列
SEQ ID NO.:62 HIV由来のペプチドのアミノ酸配列
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3