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明細書 :麹菌菌体量の測定方法および測定用キットならびに麹菌菌体量を定量させるためのプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-077137 (P2018-077137A)
公開日 平成30年5月17日(2018.5.17)
発明の名称または考案の名称 麹菌菌体量の測定方法および測定用キットならびに麹菌菌体量を定量させるためのプログラム
国際特許分類 G01N  30/88        (2006.01)
G01N  30/90        (2006.01)
G01N  30/95        (2006.01)
G01N  30/86        (2006.01)
FI G01N 30/88 C
G01N 30/90
G01N 30/95 A
G01N 30/86 R
G01N 30/86 J
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2016-219040 (P2016-219040)
出願日 平成28年11月9日(2016.11.9)
発明者または考案者 【氏名】北垣 浩志
出願人 【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100099508、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 久
【識別番号】100182567、【弁理士】、【氏名又は名称】遠坂 啓太
【識別番号】100195327、【弁理士】、【氏名又は名称】森 博
【識別番号】100197642、【弁理士】、【氏名又は名称】南瀬 透
審査請求 未請求
要約 【課題】
麹のように麹菌を含有試料中で、麹菌自体の菌体量を測定可能な方法を提供する。また、麹菌菌体量を求めるための測定用キットを提供する。
【解決手段】
麹菌体含有試料中のグリコシルセラミド含有量を定量し麹菌菌体量相当量に換算することを特徴とする麹菌菌体量の測定方法。また、麹菌菌体相当量を求めるために、麹菌体含有試料中のグリコシルセラミドを定量するための麹菌菌体量の測定用キット。これらのグリコシルセラミド含有量の定量には、薄層クロマトグラフィーを用いることが好ましい。
【選択図】 図6
特許請求の範囲 【請求項1】
麹菌体含有試料中のグリコシルセラミド含有量を定量し麹菌菌体量に換算することを特徴とする麹菌菌体量の測定方法。
【請求項2】
前記グリコシルセラミド含有量の定量に薄層クロマトグラフィーを用いることを特徴とする請求項1記載の測定方法。
【請求項3】
前記グリコシルセラミド含有量の定量において、
麹菌含有試料と処理溶媒とを混合して脂質成分を含有する画分を得る第一の工程と、
前記第一の工程で得られた脂質成分を含有する画分を薄層クロマトグラフィーのプレートに展開する第二の工程と、
前記第二の工程で展開された薄層クロマトグラフィーのプレートに硫酸を接触させて呈色する第三の工程と、
前記第三の工程で呈色した画分からグリコシルセラミドに相当する画分を選択し前記麹菌含有試料中のグリコシルセラミド量を定量する第四の工程とを有する請求項1または2記載の測定方法。
【請求項4】
麹菌菌体量を求めるために、麹菌体含有試料中のグリコシルセラミドを定量するための麹菌菌体量の測定用キット。
【請求項5】
前記測定用キットが、薄層クロマトグラフィーのプレートおよびグリコシルセラミドの標準試料を含むことを特徴とする請求項4記載の麹菌菌体量の測定用キット。
【請求項6】
麹菌体含有試料と処理溶媒とを混合して得られる脂質成分を含有する麹菌含有試料由来の画分を、薄層クロマトグラフィーのプレートに展開した薄層クロマトグラフィーのプレートに硫酸を接触させて呈色させて、麹菌含有試料由来の画分が展開され呈色した測定用薄層クロマトグラフィーのプレートを撮像した測定用クロマトグラフィー像を得るステップと、
前記測定用クロマトグラフィー像の麹菌体含有試料画分を特定し、麹菌体含有試料画分の発色濃度を測定するステップと、
前記麹菌体含有試料画分の発色濃度を、基準換算式を用いて換算し、麹菌体含有試中の麹菌菌体量を定量するステップとを含むことを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
麹菌体含有試料と処理溶媒とを混合して得られる脂質成分を含有する麹菌含有試料由来の画分と、グリコシルセラミドの標準試料を含有する標準試料の画分とを、それぞれ薄層クロマトグラフィーのプレートに展開した薄層クロマトグラフィーのプレートに硫酸を接触させて呈色させた麹菌含有試料由来の画分と標準試料の画分とが展開され呈色した測定用薄層クロマトグラフィーのプレートを撮像した測定用クロマトグラフィー像を得るステップと、
前記測定用クロマトグラフィー像の標準試料画分を特定し、標準試料画分の発色濃度の測定を行い、測定結果から標準検量式を作成するステップと、
前記測定用クロマトグラフィー像の麹菌体含有試料画分を特定し、麹菌体含有試料画分の発色濃度を測定するステップと、
前記麹菌体含有試料画分の発色濃度を、前記標準検量式を用いて換算し、麹菌体含有試中の麹菌菌体量を定量するステップとを含むことを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、麹菌菌体量の測定方法に関する。また、その測定方法に用いることができる、麹菌菌体量の測定キット、および麹菌菌体量を定量させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
清酒、味噌、しょう油、みりん、泡盛、焼酎などの醸造工業で使用している麹をつくる麹カビ属の糸状菌を総称して麹菌あるいは麹カビという。麹菌には、アスペルギルス・オリゼー、アスペルギルス・タマリィ、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・ウサミなどがある。これらの麹は従来の発酵食品への利用のみでなく、近年、健康食品や機能性食品への利用も広がってきている。
【0003】
一方、菌等の微生物が関与する反応においては、その菌量(微生物量)も大きな因子となるため、それらの菌の研究段階や、それらを利用した発酵食品、健康食品等への適用時にも菌量を把握することが求められる。また、菌等の微生物を利用した健康食品等において、その有効性を示す指標としては菌数や菌量が用いられる傾向がある。例えば、乳酸菌を含む食品等においては、世界的にも、その乳酸菌の菌数を表示することが多くなってきている。
【0004】
麹菌の菌体量の測定方法としては、特許文献1が開示されている。この特許文献1は、麹菌体含有試料に細胞壁溶解酵素を作用させることにより遊離するN-アセチル-D-グルコサミンに、酸素の存在下でN-アシル-D-ヘキソサミンオキシダーゼを作用させてN-アセチル-D-グルコサミンを定量し、この定量値より麹菌体量を求めることを特徴とする麹菌体量の測定方法を開示するものである。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特許第3204480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
麹菌は、菌糸体を形成する子嚢菌類であり、単細胞としての把握が困難な菌である。このため、菌数の評価に用いられるような、コロニー法や計数法で、その菌数を測定することができない。また、麹菌を測定する場合、麹のように麹菌含有試料を測定対象とするが、このような麹菌含有試料においては、麹菌と、麹などの原料や成分となっているもの(例えば、米や米由来成分等)と、麹菌との区別が困難なため乾燥重量での測定も困難であり、さらにはこのような原料や成分等と区別できる測定手法であることも求められている。このような中、麹菌の量の把握には、特許文献1にあげられるようなグルコサミン相当量による菌量を測定・評価する方法が用いられていた。
【0007】
この特許文献1は、麹菌の細胞壁に含まれることが古くから知られていたグルコサミン(N-アセチルグルコサミン)を特定しようとするものである。この手法は、麹の他の原料や成分と区別することができ、麹菌自体の菌体量との相関も明確なことから、麹菌体量の指標として採用されることが多い。しかしながら、特許文献1記載の麹菌体量の測定方法は、特殊な酵素を用いて、煩雑な操作を行う必要があるため、汎用化しにくい技術であった。
【0008】
係る状況下、本願発明は、麹のように麹菌を含有試料中で、麹菌自体の菌体量を測定可能な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 麹菌体含有試料中のグリコシルセラミド含有量を定量し麹菌菌体量に換算することを特徴とする麹菌菌体量の測定方法。
<2> 前記グリコシルセラミド含有量の定量に薄層クロマトグラフィーを用いる前記<1>の測定方法。
<3> 前記グリコシルセラミド含有量の定量において、麹菌含有試料と処理溶媒とを混合して脂質成分を含有する画分を得る第一の工程と、前記第一の工程で得られた脂質成分を含有する画分を薄層クロマトグラフィーのプレートに展開する第二の工程と、前記第二の工程で展開された薄層クロマトグラフィーのプレートに硫酸を接触させて呈色する第三の工程と、前記第三の工程で呈色した画分からグリコシルセラミドに相当する画分を選択し前記麹菌含有試料中のグリコシルセラミド量を定量する第四の工程とを有する前記<1>または<2>記載の測定方法。
<4> 麹菌菌体を求めるために、麹菌体含有試料中のグリコシルセラミドを定量するための麹菌菌体量の測定用キット。
<5> 前記測定用キットが、薄層クロマトグラフィーのプレートおよびグリコシルセラミドの標準試料を含む前記<4>記載の麹菌菌体量の測定用キット。
<6> 麹菌体含有試料と処理溶媒とを混合して得られる脂質成分を含有する麹菌含有試料由来の画分を、薄層クロマトグラフィーのプレートに展開した薄層クロマトグラフィーのプレートに硫酸を接触させて呈色させて、麹菌含有試料由来の画分が展開され呈色した測定用薄層クロマトグラフィーのプレートを撮像した測定用クロマトグラフィー像を得るステップと、
前記測定用クロマトグラフィー像の麹菌体含有試料画分を特定し、麹菌体含有試料画分の発色濃度を測定するステップと、
前記麹菌体含有試料画分の発色濃度を、基準換算式を用いて換算し、麹菌体含有試中の麹菌菌体量を定量するステップとを含むことを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
<7> 麹菌体含有試料と処理溶媒とを混合して得られる脂質成分を含有する麹菌含有試料由来の画分と、グリコシルセラミドの標準試料を含有する標準試料の画分とを、それぞれ薄層クロマトグラフィーのプレートに展開した薄層クロマトグラフィーのプレートに硫酸を接触させて呈色させた麹菌含有試料由来の画分と標準試料の画分とが展開され呈色した測定用薄層クロマトグラフィーのプレートを撮像した測定用クロマトグラフィー像を得るステップと、
前記測定用クロマトグラフィー像の標準試料画分を特定し、標準試料画分の発色濃度の測定を行い、測定結果から標準検量式を作成するステップと、
前記測定用クロマトグラフィー像の麹菌体含有試料画分を特定し、麹菌体含有試料画分の発色濃度を測定するステップと、
前記麹菌体含有試料画分の発色濃度を、前記標準検量式を用いて換算し、麹菌体含有試中の麹菌菌体量を定量するステップとを含むことを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、麹菌含有試料中における麹菌の菌体量を比較的容易な操作で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の測定方法の工程の一形態を示す図である。
【図2】本発明を達成するためのシステムの一形態を示す図である。
【図3】本発明の第一のプログラムに係る一形態を示す図である。
【図4】本発明の第二のプログラムに係る一形態を示す図である。
【図5】麹菌体含有試料の画分を展開して呈色させたTLCを撮像した図である。
【図6】麹菌体含有試料のグルコシルセラミド含有量とグルコサミン含有量とを比較した図である。
【図7】麹菌体含有試料の画分を展開して呈色させたTLCを撮像した別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。

【0014】
本発明者らは、麹菌菌体量の評価方法を鋭意検討し、麹菌に含まれる成分等の分析の過程において、グリコシルセラミドの含有量が意外にも麹菌の菌体量と非常に高い相関性を有することを見出した。このグリコシルセラミドは、麹のような麹菌含有試料の原料(例:米、大豆、麦など)由来等で含まれる成分ではなく、麹菌が存在するときに特異的に生成され、麹菌含有試料に含まれる成分である。さらに、グリコシルセラミドの測定は、N-アセチルグルコサミンの測定等と比べると、一般的に容易な操作で測定し定量できる。しかし、グリコシルセラミドは、その含有量がN-アセチルグルコサミンよりもはるかに少なく、これまで定量指標としては着目されていなかった成分である。

【0015】
本発明の測定方法は、麹菌体含有試料中のグリコシルセラミド含有量を定量し麹菌菌体量に換算することを特徴とする麹菌菌体量の測定方法(以下、「本発明の麹菌菌体量の測定方法」または「本発明の麹菌菌体量の測定方法」と呼ぶ場合がある)に関する。このような測定を行うことで、従来菌体量の定量方法がほとんど提案されていなかった麹菌菌体量を、従来手法であるグルコサミン相当量を測定する方法よりも簡易に評価することができる。

【0016】
また、本発明は、麹菌菌体量を求めるために、麹菌体含有試料中のグリコシルセラミドを定量するための麹菌菌体量の測定用キットとすることができる。この測定用キットは、本発明の測定方法に適したキットであり、これがあることで麹菌菌体量の測定を通常の実験室等でも容易に行うことができる。この測定用キットは、TLC用薄層ゲルおよびグリコシルセラミドの標準試料を含むことが好ましい。また、さらには、適切な溶媒を混合して調製済の処理溶媒や、展開溶媒、硫酸(適宜、オルシノールを混合したオルシノール硫酸)などの本発明の測定方法に用いられるものをキットの一式として含むことがより好ましい。

【0017】
また、本発明は、麹菌体含有試料と処理溶媒とを混合して得られる脂質成分を含有する麹菌含有試料由来の画分を、薄層クロマトグラフィーのプレートに展開した薄層クロマトグラフィーのプレートに硫酸を接触させて呈色させて、麹菌含有試料由来の画分が展開され呈色した測定用薄層クロマトグラフィーのプレートを撮像した測定用クロマトグラフィー像を得るステップと、前記測定用クロマトグラフィー像の麹菌体含有試料画分を特定し、麹菌体含有試料画分の発色濃度を測定するステップと、前記麹菌体含有試料画分の発色濃度を、基準換算式を用いて換算し、麹菌体含有試中の麹菌菌体量を定量するステップとを含むことを、コンピュータに実行させるためのプログラムとすることができる(以下、「本発明の第一のプログラム」と呼ぶ場合がある)。本発明の第一のプログラムを用いることで、薄層クロマトグラフィーの結果の速やかな解析に適している。

【0018】
また、本発明は、麹菌体含有試料と処理溶媒とを混合して得られる脂質成分を含有する麹菌含有試料由来の画分と、グリコシルセラミドの標準試料を含有する標準試料の画分とを、それぞれ薄層クロマトグラフィーのプレートに展開した薄層クロマトグラフィーのプレートに硫酸を接触させて呈色させた麹菌含有試料由来の画分と標準試料の画分とが展開され呈色した測定用薄層クロマトグラフィーのプレートを撮像した測定用クロマトグラフィー像を得るステップと、前記測定用クロマトグラフィー像の標準試料画分を特定し、標準試料画分の発色濃度の測定を行い、測定結果から標準検量式を作成するステップと、前記測定用クロマトグラフィー像の麹菌体含有試料画分を特定し、麹菌体含有試料画分の発色濃度を測定するステップと、前記麹菌体含有試料画分の発色濃度を、前記標準検量式を用いて換算し、麹菌体含有試中の麹菌菌体量を定量するステップとを含むことを、コンピュータに実行させるためのプログラムとすることができる(以下、「本発明の第二のプログラム」と呼ぶ場合がある)。本発明の第二のプログラムは、本発明の第一のプログラムと同様に薄層クロマトグラフィーの結果の速やかな解析に適している。また、標準試料による標準検量式を、測定対象となる麹菌体含有試料の展開及び呈色を行った測定用薄層クロマトグラフィーのプレート内に同時に作成し、麹菌菌体量を定量するため、作業条件のばらつきの影響を考慮した換算ができ、より精度が高い定量を行うことができる。

【0019】
[麹菌体含有試料]
本発明の麹菌菌体量の測定は、麹菌体含有試料中に含まれる麹菌菌体量を測定する。麹菌体含有試料とは、麹そのものや、麹や麹菌を活用した健康食品や化粧品、麹菌の実験を行う培地などの麹菌の菌体を含有する試料である。これらの麹菌体含有試料の評価にあたっては麹菌の量を把握する指標やその手法が求められている。

【0020】
[グリコシルセラミド]
本発明の麹菌菌体量の測定には、グリコシルセラミドの含有量を測定する。グリコシルセラミド(glycosyl ceramide)とは、グルコシルセラミドやガラクトシルセラミド等の、糖が付加されたセラミド化合物である。グリコシルセラミドは、細胞膜の成分として含まれることがあるが、麹菌における位置づけとしては、近年になって麹菌にも含まれていることや、麹菌や麹を用いた発酵工程で重要な役割を果たしていること、麹を活用する機能性食品や化粧品等で有効成分とし機能している可能性があることが解明され始めているが、まだまだ未知の点が多いものである。

【0021】
[グリコシルセラミドの測定方法]
本発明の麹菌菌体量の測定においては、麹菌体含有試料中のグリコシルセラミドの含有量(グリコシルセラミド含有量)を定量する。このグリコシルセラミド含有量の定量方法としては、薄層クロマトグラフィーやELSD(蒸発型光散乱検出器)法、UV法、誘導体化法などがあげられる。これらの手法は、従来のグルコサミンを定量する手法よりも比較的容易にグリコシルセラミド量を測定することができる手法である。これらの中でも、簡便な測定手法を設定しやすい薄層クロマトグラフィーも採用することができる点で、本発明の麹菌菌体量の測定方法は優れている。

【0022】
[麹菌菌体量]
本発明の麹菌菌体量の測定方法においては、麹菌含有試料中のグリコシルセラミド含有量を定量し、麹菌菌体量に換算する。前述のように麹菌はその計数が困難な菌のため、標準法に準ずるものとしてN-アセチルグルコサミンを定量し、その量を麹菌菌体量の指標としていた。

【0023】
よって、本発明においては、本発明に採用するグリコシルセラミド含有量の定量方法と、N-アセチルグルコサミンを定量する方法との、相関性をあらかじめ評価し、その相関性に関する換算式などを設けておき、この換算式に当てはめて麹菌菌体量に相当する量の麹菌菌体量を測定することができる。または、本発明により定量するグリコシルセラミド量を、麹菌菌体量の値としてそのまま用いてもよい。

【0024】
[薄層クロマトグラフィー(TLC)]
本発明の測定にあたっては、グリコシルセラミド含有量の定量に薄層クロマトグラフィーを用いることが好ましい。この薄層としてはシリカゲルが好ましく用いられる。薄層クロマトグラフィーを用いる手法は、グリコシルセラミドの画分を得やすいように、展開するための前処理や、展開層の選択、展開時間等の展開条件の決定、グリコシルセラミドに対応するバンドの呈色方法の選択、呈色したバンドを標準サンプルと比較する評価を行うことでグリコシルセラミド量を定量することができる。

【0025】
本発明の測定にあたって、薄層クロマトグラフィーを用いて測定するときの代表的なフローを図1に示す。前処理工程S1は、麹菌含有試料と処理溶媒とを混合して脂質成分を含有する画分を得る工程(第一の工程)である。TLC展開工程S2は、前処理工程S1で得られた脂質成分を含有する画分を薄層クロマトグラフィーのプレートに展開する工程(第二の工程)である。呈色工程S3は、TLC展開工程S2で展開された薄層クロマトグラフィーのプレートに硫酸を接触させて呈色する工程(第三の工程)である。定量工程S4は、呈色工程S3で呈色した画分からグリコシルセラミドに相当する画分を選択し前記麹菌含有試料中のグリコシルセラミド量を定量する工程(第四の工程)である。

【0026】
(前処理工程S1:第一の工程)
より具体的な薄層クロマトグラフィーによるグリコシルセラミドの定量方法を説明する。まず、麹菌含有試料(麹)から処理溶媒を用いて脂質成分を含有する画分を得る第一の工程(前処理工程)を行う。この処理溶媒には、麹菌含有試料からグリコシルセラミドを含む脂質成分を抽出しやすいものが選択され、例えば、エタノールの水溶液や、クロロホルムとメタノールの混合溶媒などが用いられる。一般には、従来からTLCの処理溶媒として使用され知見が多く、抽出性が高いクロロホルムとメタノールの混合溶媒が用いられる場合が多い。一方、エタノール水溶液は、クロロホルム等と比べて毒性が低いことから使用環境の制限を受けにくい点で優れている。エタノール水溶液とする場合、エタノール濃度が50体積%以上であることが好ましく、80体積%以上であることが好ましい。これらの処理溶媒を用いて、麹菌含有試料から効率よく脂質成分を含有する画分を得ることができる。これにより、シリカゲルクロマトグラフィーに展開したときに優れた分離性で目的成分のバンドを得ることができる。

【0027】
(TLC展開工程S2:第二の工程)
次に、第一の工程で得られた脂質成分を含有する画分を薄層クロマトグラフィーのプレートに展開する第二の工程(展開工程)を行う。この薄層クロマトグラフィーのプレートは、シリカゲルやアルミナ、ポリアミドなどをガラス板上に薄く設けたものなどの種々の商品が市販されており、麹菌含有試料からグリコシルセラミドのバンドを得ることができるものを適宜選択して採用する。

【0028】
薄層クロマトグラフィーのプレートの展開層としての調整にあたっても、麹菌含有試料からグリコシルセラミドのバンドを得ることができる展開溶媒を適宜選択して採用することができる。例えば、クロロホルムとメタノール、酢酸、蒸留水などを混合した展開溶媒を用い、展開層を飽和させることができる。この展開溶媒を飽和させて展開層の準備を行い、所定の位置に、第一の工程で抽出された脂質成分を含有する画分をスポットして展開する。このとき、同時に検量式を求めるために複数の濃度で準備した標準品もスポットして展開することが好ましい。所定時間、試料や標準品を展開した後は、展開を止めるために乾燥等を行う。

【0029】
(呈色工程S3:第三の工程)
次に第二の工程で、試料や標準品が展開された薄層クロマトグラフィーのプレートに硫酸を接触させて呈色する第三の工程(呈色工程)を行う。この硫酸としてはオルシノール硫酸が汎用されている。硫酸は、糖質と反応し加熱されると発色(茶褐色)する。この発色を利用して、第二の工程で複数のバンドに分離されている画分を発色させる。これにより、どのような画分が存在するかを視覚や光学的分析手法で容易に測定することができる。

【0030】
(定量工程S4:第四の工程)
次に、第三の工程で呈色した画分からグリコシルセラミドに相当する画分を選択し前記麹菌含有試料中のグリコシルセラミド量を定量する第四の工程を行う。この工程では、まず、グリコシルセラミドに相当する画分の特定を行う。グリコシルセラミドに相当する画分であることを特定する手法としては、グリコシルセラミドの標準試料を準備し、測定対象の試料と同様に第二~三の工程を行い、その標準試料のグリコシルセラミドのバンドの位置と比較して特定する方法や、これに相当するバンドの位置をあらかじめ把握しておき比較して特定することで選択してもよい。

【0031】
さらに、そのグリコシルセラミドに相当する画分を選択して、グリコシルセラミド量を定量する。この定量を行う方法の例としては、前述したグリコシルセラミドの標準試料を用いて測定対象の試料と同様に第二~三の工程を行うにあたり、標準試料濃度を複数段階設定して、グリコシルセラミドのバンドの呈色状態を画像分析することで検量線を設けて、その検量線を検量式として、麹菌含有試料のグリコシルセラミドのバンドの呈色状態の画像分析結果とを比較して、定量することができる。

【0032】
本発明を達成するためのシステムを、図2~4に基づいてより詳しく説明する。図2は、本発明を達成するためのシステムに係る構成を示す図である。この図2に示す分析システム10は、麹菌含有試料由来の画分が展開され呈色した測定用クロマトグラフィーのプレート(呈色TLC1)を、カメラ2で撮像して測定用クロマトグラフィー像を得る。その撮像した像をメモリ3に保存し、メモリ3に別途保存されている換算式等を用いながら、適宜キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置6により画像の検索部分をより限定したり実験条件を入力するなどしながら、コンピュータ4で所定のステップを経て換算し、その換算結果は適宜表示部5に表示する。

【0033】
このカメラ2で撮像した呈色TLC1の測定用クロマトグラフィー像から、コンピュータ4、メモリ3を用いて、麹菌菌体含有量を求める工程をより詳述する。

【0034】
図3は、本発明の第一のプログラムに係る解析ステップS401のフローである。この解析ステップS401は、本発明の方法の第四の工程に相当するグリコシルセラミド量の定量を行い、かつ、麹菌菌体量も求めるものである。カメラ2を用いて、得られた測定用クロマトグラフィー像を基に、まず、測定用クロマトグラフィー像の麹菌体含有試料画分を特定するステップS411と、麹菌体含有試料画分の発色濃度を測定するステップS412とを行う、ステップS41により、麹菌体含有試料の発色濃度を求める。そして、この発色濃度を、メモリ3にあらかじめ保存されている基準換算式を用いて麹菌菌体量に換算し、麹菌体含有試中の麹菌菌体量を定量するステップS431を経て、麹菌菌体量が求められる。これらのステップを実行させるためのプログラムがメモリ3に保存されており、コンピュータ2で実行することにより解析が実施される。

【0035】
ここで、このステップS431では、基準換算式を準備して計算する。この基準換算式とは、麹菌体含有試料の発色濃度から、まずグリコシルセラミドとしての濃度を求めて、その後そのグリコシルセラミド量を、麹菌菌体量に換算するものとしてもよい。または、発色濃度から、直ちに麹菌菌体量を求める換算としてもよい。

【0036】
図4は、本発明の第二のプログラムに係る解析ステップS402のフローである。この解析ステップS402は、本発明の方法の第四の工程に相当するグリコシルセラミド量の定量を行い、かつ、麹菌菌体量も求めるものである。カメラ2を用いて、得られた測定用クロマトグラフィー像を基に、まず、測定用クロマトグラフィー像の麹菌体含有試料画分を特定するステップS411と、麹菌体含有試料画分の発色濃度を測定するステップS412とを行うステップS41により、麹菌体含有試料の発色濃度を求める。

【0037】
さらに、測定用クロマトグラフィー像の標準試料画分を特定するステップ421と、標準試料画分の発色濃度の測定を行うステップ422と、その測定結果からグリコシルセラミドの標準検量式を作成するステップ423とを有するステップ42を行い、標準検量式を得る。そして、麹菌体含有試料画分の発色濃度を、ステップ42で得た標準検量式を用いてグリコシルセラミド濃度に換算し、さらに、そのグリコシルセラミド濃度に基づいて麹菌体含有試中の麹菌菌体量を定量するステップS432を経て、麹菌菌体量が求められる。これらのステップを実行させるためのプログラムがメモリ3に保存されており、コンピュータ4で実行することにより解析が実施される。

【0038】
これらに係る本発明のためのシステムは、例えば図2に示すカメラ2およびコンピュータ4、メモリ3、表示部5、入力装置6とはそれぞれ異なる装置として構成してもよい。または、これらに相当する機能を有する多機能携帯端末(いわゆるスマートフォンなど)やそれと組み合わせた電気通信回線を通じて接続された装置を利用するような、アプリケーションソフトとして、第一のプログラムや第二のプログラムを実行させることで達成することもできる。

【0039】
[麹菌]
本発明により麹菌菌体量を測定する対象となる麹菌を例示すると、アスペルギルス属の麹菌としては、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソジャエ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・サイトイ(Aspergillus saitoi)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・ナカザキ(Aspergillus nakazawai)、アスペルギルス・ウサミ(Aspergillus usamii)、アスペルギルス・ルーチェンシス(Aspergillus luchensis)、アスペリギルス・ニガー(Aspergillus niger)などが挙げられる。

【0040】
また、本発明を適用できる麹菌は、アスペルギルス属に属する麹菌に限定されるものではなく、他の属、例えばRhizopus属に属する菌や、Monuscus属に属する菌およびPenicillium属に属する菌なども使用することができる。これらの属に属する菌を以下に例示する。

【0041】
リゾプス(Rhizopus)属に属する菌:リゾプス・オリゼー(Rhizopus oryzae)、リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)、リゾプス・ニヴェウス(Rhizopusniveus)、 リゾプス・ミクロスポラス(Rhizopus microspores)、リゾプス・ストロニファー (Rhizopus stolonifer)など、モナスカス(Monuscus)属に属する菌:モナスカス・アンカ(Monuscus anka)、モナスカス・パープレウス(Monuscus purpureus)、 モナスカス・ルーバー(Monuscusruber)、モナスカス・ピロサス(Monuscus pilosus)、 モナスカス・オーランチアクス(Monuscus aurantiacus)、モナスカス・カオリアン(Monuscus kaoliang)など、ペニシリウム(Penicillium)属に属する菌:ペニシリウム・カマンベルティ(Penicillium camemberti)、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)、ペニシリウム・グラウカム(Penicillium glaucum)、ペニシリウム・カゼイコラム(Penicillium caseicolum)など、本発明においては、これらの麹菌を1種単独や、又は複数種を含むものを定量することができる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明の測定用キット、および本発明のプログラムは、適宜、図2に示すような本発明に係るシステムの一部として利用して、以下の実施例に用いることができる。
【実施例】
【0043】
[評価項目]
1.グリコシルセラミドの測定
1.1 前処理工程
麹菌含有試料を、第一の処理溶媒としてクロロホルム・メタノール(体積比2:1)の混合溶媒に溶かして、超音波処理を行うことで、混合溶媒にグリコシルセラミドを含有する脂質成分を抽出した。
1.2 展開工程
前記脂質成分を抽出した溶液を、薄層シリカゲル(メルクミリポア社製シリカゲル60)にスポットした。同様に、グリコシルセラミドの準物質基準である「セレブロシド(Matreya Inc社製Cerebroside)」を1倍希釈、2倍希釈、4倍希釈、8倍希釈したものを薄層シリカゲルの他の列にスポットした。スポット後、溶液をより吸着させるために数分間乾燥させた。
次に、展開層(展開溶媒は、クロロホルム:メタノール:酢酸:蒸留水=20:3.5:2.3:0.7(体積比)に調製したものを用いた。)で30分間展開した。
1.3 呈色工程
TLC展開後、スフィンゴ糖脂質と反応して発色するオルシノール70%硫酸を噴霧し、100℃のオーブンで40分間処理した。これにより、セレブロシドのバンドと、麹菌含有試料のバンドが顕色する。
1.4 定量工程
前記呈色したTLCを撮像し画像解析を行った。まず、各画分のIR分析等の各種試験を行った従来知見を基に、それぞれのグリコシルセラミドに相当する画分を指定する。次に、その指定画分の呈色状態に関する発色濃度を、画像解析ソフト「image J」を用いて、その発色濃度を解析した。この発色濃度は、撮像した画像の各グリコシルセラミドに相当する画分のピクセル当たりの発色量に基づく分析を行うものである。
この発色量について、標準物質であるセレブロシド(およびその希釈試料)の濃度に基づく検量線を作成し、その検量線を用いて麹菌含有試料の発色量から、麹菌含有試料のグリコシルセラミド濃度を定量した。
【実施例】
【0044】
2.N-アセチルグルコサミン濃度の測定
【実施例】
【0045】
2.1 抽出工程
麹菌含有試料から、N-アセチルグルコサミンを含有する画分を得るために、タカラバイオ社 Yatalase(糸状菌細胞壁溶解酵素)を使用して、麹菌とグルコサミンとの共有結合を切り、グルコサミンを遊離させて抽出した。
100℃で1時間乾燥させた麹菌含有試料を試験管に2g秤量した。次に、前記乾燥試料2gに、50mMリン酸Buffer(pH7.0)を10ml加え、3000rpmで10分遠心分離した後、上清を除去して沈殿物を取り出す工程を3回繰り返して、沈殿物を得た。この沈殿物に50mMリン酸Buffer 10mLと、Yatalase 1mgを加えて、37℃で1時間振盪することで細胞壁を溶解させた。振盪後、3000rpmで10分遠心分離した後、N-アセチルグルコサミンが含有される上清を回収した。なお、このような酵素を用いた処理は、本発明による測定においては行う必要がない。
【実施例】
【0046】
2.2 吸光度測定試料の調整
測定試料167μLをマイクロピペットで試験管に量りとり、「ホウ酸カリウム溶液(potassium tetraborate solution)」を30μL加えて100℃で3分間加温した。その後、さらに「ジメチルアミンボラン(DMAB)の調整液」を1ml加えて37℃で20分間加温し、容器の周囲を流水に接触させて冷やした。なお、DMABの調整液は、DMAB10gを100mlの酢酸(12.5% vol/volの10N HClを含む)に溶かし、9倍希釈したものである。その後、吸光度測定器(島津(株)社製「UV1800」)にて、波長544nmにおける吸光度を測定した。
【実施例】
【0047】
2.3 検量線の作成
また、標準品としてN-Acetylglucosamine(0.12g/10mL)の30倍希釈液、90倍希釈液についても前述の吸光度測定試料の調整と同様に処理し、波長544nmで吸光度を測定した。この吸光度を基に、標準検量線を作成した。なお、この標準検量線は、本発明の第二のプログラムにおける標準検量線に相当するものとして逐次作成してもよく、検量線としての再現性をある程度確認したのち、基準換算式の一部として都度標準品の値を求めずに利用してもよい。
【実施例】
【0048】
2.4 N-アセチルグルコサミン濃度の評価
前記検量線の作成により得た検量線を検量式として用いて、前記抽出工程と吸光度測定試料の調整を経た測定試料における、N-アセチルグルコサミン濃度を評価した。
【実施例】
【0049】
[試料]
・米麹試料群(a)
麹菌含有試料として、実験室にて以下の工程で作製した米麹試料群(a)を使用した。
米40gを水で洗米し、水に80分間浸漬させた。次に、水から取り出した米を1時間蒸して、常温で冷ました後、黄麹菌14mgを植菌して、37℃の恒温槽で静置培養した。
24時間おきに切り返しを行いながら、植菌後24時間、48時間、72時間、96時間における麹菌含有試料(米麹試料群(a))を得た。
・米麹試料群(b)
前記米麹試料群(a)と同様の試験条件で、3週後に作成した試料を、米麹試料群(b)として使用した。
【実施例】
【0050】
[換算指標の作成]
(1) 米麹試料群(a)を用いて、前記1.に記載のグリコシルセラミド濃度の測定方法によるTLCの試験によるシリカゲルを図5に示す。また、これを解析することで、グリコシルセラミドの濃度を測定した。なお、図5において、24h、48h、72hとは、各資料の植菌後の経過時間を示し、10、30、50とは、各資料をスポットする前にクロロホルム・メタノール(体積比2:1)の混合溶媒を用いて希釈した希釈倍率を示す(例:10は、試料1:混合溶媒9で混合した10倍希釈液)。
(2) 前記(1)のグリコシルセラミド濃度の測定の一方で、米麹試料群(a)について、前記2.に記載のN-アセチルグルコサミン濃度の測定法により測定した。
(3) それぞれの定量方法で測定したグリコシルセラミド濃度と、N-アセチルグルコサミン濃度との比較結果を図6に示す。この比較の結果、グリコシルセラミド濃度は、N-アセチルグルコサミン濃度と極めて高い相関性(R2=0.9772)があることが確認された。
また、このように相関性が高いことから、グリコシルセラミド濃度から、従来の麹菌菌体量の指標であったN-アセチルグルコサミン濃度を換算することができる。
これより得られた換算式は、以下のものである。
換算式:[N-アセチルグルコサミン濃度](mg/麹菌体含有試料(g))=0.0318×[グリコシルセラミド濃度](μg/麹菌体含有試料(g))+0.09
なお、この換算式は、基準換算式の一部としてあらかじめ本発明の第一のプログラムに組み込んでおいて利用してもよい。この換算式を用いる場合、グリコシルセラミド濃度を求めることも必要となるため、発色濃度からグリコシルセラミド濃度を求める検量線も基準換算式の一部として準備したものを組み合わせて利用する。
【実施例】
【0051】
なお、図7は、前記1.に記載のグリコシルセラミド濃度の測定方法において、第一の処理溶媒(クロロホルム・メタノールの混合溶媒)に代えて、第二の処理溶媒としてメタノール水溶液を用いて同様の試験を行ったTLCを示すものである。図7において、エタノール水溶液の10%~100%の表記は、エタノールと水の混合溶媒におけるエタノールの濃度(体積%)を示すものである。図7では、エタノール濃度50体積%以上のとき発色を評価しやすく、80体積%以上のとき第一の処理溶媒(図中「クロメタ」と表記)相当の発色を示した。
【実施例】
【0052】
[実施例1]
米麹試料群(b)を用いて、前記1.グリコシルセラミドの測定に記載のTLCを用いたグリコシルセラミド濃度の測定方法によるシリカゲルを解析することで、グリコシルセラミドの濃度を測定した。評価結果を表1に示す。
このように、簡易に測定可能なグリコシルセラミド濃度の測定により、N-アセチルグルコサミン相当量を測定することができ、米麹試料群(b)の麹菌菌体量を的確に把握することができる。
【実施例】
【0053】
【表1】
JP2018077137A_000003t.gif

【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、麹菌を含有する麹等の麹菌菌体量を比較的容易な方法で速やかに把握することができ、産業上有用である。例えば、醸造工程で麹菌菌体量を把握した培養条件の設定をおこなったり、麹菌を含有する食品の適切かつ速やかな評価を行うことができる。
【符号の説明】
【0055】
1 呈色後TLCプレート
10 分析システム
2 カメラ
3 メモリ
4 コンピュータ
5 表示部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6