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明細書 :水中推進装置および水中探査装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-062275 (P2018-062275A)
公開日 平成30年4月19日(2018.4.19)
発明の名称または考案の名称 水中推進装置および水中探査装置
国際特許分類 B63H  21/17        (2006.01)
B63C  11/48        (2006.01)
B63H  23/34        (2006.01)
FI B63H 21/17
B63C 11/48 D
B63H 23/34 A
B63H 23/34 B
請求項の数または発明の数 12
出願形態 OL
全頁数 17
出願番号 特願2016-201978 (P2016-201978)
出願日 平成28年10月13日(2016.10.13)
発明者または考案者 【氏名】近 藤 逸 人
【氏名】中 根 健 志
出願人 【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
【識別番号】516307736
【氏名又は名称】中根 健志
個別代理人の代理人 【識別番号】100091982、【弁理士】、【氏名又は名称】永井 浩之
【識別番号】100091487、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 行孝
【識別番号】100082991、【弁理士】、【氏名又は名称】佐藤 泰和
【識別番号】100105153、【弁理士】、【氏名又は名称】朝倉 悟
【識別番号】100152205、【弁理士】、【氏名又は名称】吉田 昌司
審査請求 未請求
要約 【課題】小型化、軽量化および低コスト化を図ることが可能な水中推進装置および水中探査装置を提供する。
【解決手段】水中推進装置1は、水中探査装置の本体部に取り付けられ、本体部に推力を付与する水中推進装置であって、プロペラシャフト11と、プロペラシャフト11の先端部に設けられた複数枚のプロペラ翼12とを有するプロペラ10と、このプロペラ10を回転駆動する複数の駆動部20と、を備える。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
水中探査装置の本体部に取り付けられ、前記本体部に推力を付与する水中推進装置であって、
プロペラシャフトと、前記プロペラシャフトの先端部に設けられた複数枚のプロペラ翼とを有するプロペラと、
前記プロペラを回転駆動する複数の駆動部と、
を備えることを特徴とする水中推進装置。
【請求項2】
前記各駆動部は、前記プロペラシャフトの外周部に機械的に接続された回転部と、前記回転部を回転させる電動機とを有することを特徴とする請求項1に記載の水中推進装置。
【請求項3】
前記各駆動部は、前記電動機を収容する容器を有することを特徴とする請求項2に記載の水中推進装置。
【請求項4】
前記回転部は、前記水中推進装置の使用状態において水中に暴露されることを特徴とする請求項2に記載の水中推進装置。
【請求項5】
前記プロペラシャフトが挿入され、前記プロペラシャフトを回転自在に支持する筒状の支持軸部をさらに備え、
前記回転部は、前記プロペラシャフトの周面に突設された円板部に機械的に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の水中推進装置。
【請求項6】
前記プロペラシャフトは筒状であり、
前記プロペラシャフトに挿入され、前記プロペラシャフトを回転自在に支持する支持軸部をさらに備え、
前記回転部は、前記プロペラシャフトの周面に突設された円板部に機械的に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の水中推進装置。
【請求項7】
前記プロペラシャフトは、同軸回転可能に構成された複数のシャフト構成部材を有し、前記各シャフト構成部材の先端部には少なくとも1枚のプロペラ翼が設けられ、
前記各駆動部は、各々に対応する前記シャフト構成部材を回転駆動することを特徴とする請求項2に記載の水中推進装置。
【請求項8】
前記プロペラシャフトは、筒状に形成された第1のシャフト構成部材と、前記第1のシャフト構成部材に挿通された第2のシャフト構成部材とを有することを特徴とする請求項7に記載の水中推進装置。
【請求項9】
前記第1および第2のシャフト構成部材は、前記回転部に機械的に接続される円板部を有することを特徴とする請求項8に記載の水中推進装置。
【請求項10】
前記プロペラシャフトは、永久磁石を有し、
前記各駆動部は、前記永久磁石に隣接するように設けられたコイルを有し、前記プロペラシャフトの長手方向に並設されていることを特徴とする請求項1に記載の水中推進装置。
【請求項11】
本体部と、
前記本体部の後尾部に取り付けられた請求項1~10のいずれかに記載の水中推進装置と、
を備えることを特徴とする水中探査装置。
【請求項12】
前記複数の駆動部を収容するカバー部をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の水中探査装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、水中推進装置、より詳しくは、プロペラ推進方式の水中推進装置、および、当該水中推進装置を利用して水中を航行する水中探査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自律型無人潜水機(Autonomous Underwater Vehicle:AUV)や遠隔操作無人探査機(Remotely Operated Vehicle)等の水中探査装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この水中探査装置は、自律的に水中を航行し、搭載された種々のセンサにより、海洋生態系の観察や海底探査等を行う。水中探査装置では、同じ速度で長時間、水中で動き続けられることが重要である。
【0003】
一般的に、プロペラ式の推進装置では、 薄くて長いプロペラ翼を有するプロペラを比較的ゆっくりと回転させることで、流体力学的に推進効率が向上する。したがって、小さなプロペラを高速で回転させるよりも、大きなプロペラをゆっくり回転させることが推進効率の観点から好ましい。
【0004】
従来の水中探査装置用の水中推進装置では、特許文献1に記載のように、出力が大きい一つの電動機でプロペラを回転させる。また、電動機は、使用状態において水中に暴露されるため、耐水性および耐圧性が要求される。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2009-96396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来、水中推進装置に用いられる電動機には、高出力だけでなく、耐水性および耐圧性も要求されるため、水中推進装置が高コストになってしまうという問題があった。さらに、大型で重い高出力の電動機を使用するため、水中推進装置のサイズおよび重量が大きくなるという問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、小型化、軽量化および低コスト化を図ることが可能な水中推進装置および水中探査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る水中推進装置は、
水中探査装置の本体部に取り付けられ、前記本体部に推力を付与する水中推進装置であって、
プロペラシャフトと、前記プロペラシャフトの先端部に設けられた複数枚のプロペラ翼とを有するプロペラと、
前記プロペラを回転駆動する複数の駆動部と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記水中推進装置において、
前記各駆動部は、前記プロペラシャフトの外周部に機械的に接続された回転部と、前記回転部を回転させる電動機とを有してもよい。
【0010】
また、前記水中推進装置において、
前記各駆動部は、前記電動機を収容する容器を有してもよい。
【0011】
また、前記水中推進装置において、
前記回転部は、前記水中推進装置の使用状態において水中に暴露されるようにしてもよい。
【0012】
また、前記水中推進装置において、
前記プロペラシャフトが挿入され、前記プロペラシャフトを回転自在に支持する筒状の支持軸部をさらに備え、
前記回転部は、前記プロペラシャフトの周面に突設された円板部に機械的に接続されるようにしてもよい。
【0013】
また、前記水中推進装置において、
前記プロペラシャフトは筒状であり、
前記プロペラシャフトに挿入され、前記プロペラシャフトを回転自在に支持する支持軸部をさらに備え、
前記回転部は、前記プロペラシャフトの周面に突設された円板部に機械的に接続されるようにしてもよい。
【0014】
また、前記水中推進装置において、
前記プロペラシャフトは、同軸回転可能に構成された複数のシャフト構成部材を有し、前記各シャフト構成部材の先端部には少なくとも1枚のプロペラ翼が設けられるようにしてもよい。
【0015】
前記各駆動部は、各々に対応する前記シャフト構成部材を回転駆動する
また、前記水中推進装置において、
前記プロペラシャフトは、筒状に形成された第1のシャフト構成部材と、前記第1のシャフト構成部材に挿通された第2のシャフト構成部材とを有してもよい。
【0016】
また、前記水中推進装置において、
前記第1および第2のシャフト構成部材は、前記回転部に機械的に接続される円板部を有してもよい。
【0017】
また、前記水中推進装置において、
前記プロペラシャフトは、永久磁石を有し、
前記各駆動部は、前記永久磁石に隣接するように設けられたコイルを有し、前記プロペラシャフトの長手方向に並設されているようにしてもよい。
【0018】
本発明に係る水中探査装置は、
本体部と、
前記本体部の後尾部に取り付けられた本発明に係る水中推進装置と、
を備えることを特徴とする。
【0019】
また、前記水中探査装置において、
前記複数の駆動部を収容するカバー部をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、小型化、軽量化および低コスト化を図ることが可能な水中推進装置および水中探査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態に係る水中探査装置の全体図である。
【図2】第1の実施形態に係る水中推進装置の分解斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る水中推進装置の一部断面図である。
【図4】図3のA-A線に沿う断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る水中推進装置の電気回路を示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る水中推進装置の一部断面図である。
【図7】図6のA-A線に沿う断面図である。
【図8】第3の実施形態に係る水中推進装置の一部断面図である。
【図9】第4の実施形態に係る水中推進装置の一部断面図である。
【図10】第4の実施形態の変形例1に係る水中推進装置の一部断面図である。
【図11】第4の実施形態の変形例2に係る水中推進装置の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付す。

【0023】
(水中探査装置)
図1を参照して、実施形態に係る水中探査装置130について説明する。水中探査装置130は、水中を自律的に航行し、海底等の探査を行う自律型無人潜水機(AUV)である。なお、本発明に係る水中探査装置は、AUVに限定されず、例えば、遠隔操作により水中を航行する遠隔操作無人探査機(ROV)でもよい。

【0024】
図1に示すように、水中探査装置130は、魚雷形状の本体部131と、水中推進装置1とを備えている。水中推進装置1は、本体部131の後尾部131aに取り付けられており、本体部131に推力を付与する。本体部131のサイズは、例えば、全長約4.5m、直径約60cmである。なお、本体部131内部は水で満たされている。上記の水中探査装置130は均圧型であるが、本発明に係る水中探査装置はこれに限られるものではなく、耐圧型であってもよい。

【0025】
本体部131の形状は、魚雷形状に限らず、例えば、円筒形状、卵形状、直方体形状、角柱形状、円錐形状もしくは角錐形状等の形状、またはそれらの形状の任意の組み合わせの形状であってもよい。

【0026】
また、図1に示すように、水中探査装置130は、後尾部131aに取り付けられたカバー部150をさらに備えている。このカバー部150は、先細の筒状であり、駆動部20(後述)を収容する。カバー部150は、水中探査装置130の流体抵抗を減らすように、本体部131と滑らかに繋がる形状を有する。なお、図1では、プロペラ翼12は、カバー部150から露出しているが、カバー部150内に収容されてもよい。

【0027】
なお、カバー部150に吸水口151が設けられてもよい。これにより、水中探査装置130が水中を航行する際にカバー部150内部に水が取り込まれ、水中推進装置1を効率良く冷却することができる。

【0028】
本体部131の内部には、観測目的や観測対象に応じた各種のセンサ・測定装置、制御部139およびバッテリシステム140等が収容される。

【0029】
センサ・測定装置として、ドップラ式速度計(Doppler Velocity Log:DVL)135、ジャイロコンパス136、深度計(図示していない)が設けられている。なお、ジャイロコンパス136の代わりに、姿勢方位センサまたは慣性航法装置が設けられてもよい。また、図1に示すように、本体部131の先頭部分に、マルチビームソーナー(Multi-beam sonar)134が設けられてもよい。

【0030】
通信装置として、本体部131に、音波通信トランスデューサ137および無線通信アンテナ138を設けてもよい。無線通信アンテナ138として、GPS信号を受信することが可能なものを用いてもよい。

【0031】
図1に示すように、本体部131の先頭部分に、水中探査装置130の引き上げの際に使用するホイストリング(hoist ring)141を設けてもよい。また、本体部131の中央上部に、ホイスト(Top-middle hoist point)142を設けてもよい。

【0032】
本体部131の外面には、後述のパワーケーブル45および制御ケーブル46と接続するための防水コネクタ(図示せず)が設けられている。

【0033】
また、本体部131の後部には、図1に示すように、X舵(昇降舵、方向舵)143が設けられている。

【0034】
制御部139は、コンピュータ等の電子システムを含み、各種センサ・測定装置を制御する。この制御部139は水中推進装置1の制御も行う。

【0035】
バッテリシステム140は、バッテリと、当該バッテリを管理するためのバッテリ管理ユニット(Battery Management Unit:BMU)とを有する。バッテリは、例えば、二次電池(リチウムイオン電池等)または燃料電池である。バッテリが供給する電力により、水中推進装置1のほか、上記の各種センサ、測定装置、通信装置および制御部等が動作する。

【0036】
次に、水中推進装置に係る第1~第4の実施形態について説明する。

【0037】
(第1の実施形態)
図2~図5を参照して、第1の実施形態に係る水中推進装置1について説明する。

【0038】
第1の実施形態に係る水中推進装置1は、プロペラ10と、このプロペラ10を回転駆動する複数の駆動部20と、プロペラ10を回転自在に支持する支持軸部30と、制御基板41や各種ケーブル等を収納する収納ボックス40とを備えている。

【0039】
プロペラ10は、プロペラシャフト11と、このプロペラシャフト11の先端部に設けられた複数枚のプロペラ翼12とを有する。プロペラ10は、例えば金属(アルミニウム、ステンレスなど)からなる。

【0040】
なお、本実施形態では、プロペラ翼12の数は4枚であるが、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、プロペラ10は固定ピッチプロペラであるが、他の種類のプロペラ(例えば二重反転プロペラ、可変ピッチプロペラ)であってもよい。

【0041】
また、図2~図4に示すように、プロペラシャフト11の周面には円板部13が突設されている。この円板部13の回転軸はプロペラシャフト11の回転軸と同じである。本実施形態では、円板部13は、外周に凹凸が設けられており、歯車として構成されている。

【0042】
各駆動部20は、プロペラシャフト11に機械的に接続された回転部21と、回転部21を回転させる電動機22と、電動機22を収容する容器23とを有する。駆動部20は、回転部21を介してプロペラ10を回転駆動する。

【0043】
回転部21は、電動機22の回転軸22aに接続されており、電動機22により回転される。本実施形態では、回転部21は、外周に凹凸が設けられた歯車として構成されている。なお、回転部21は、遊星歯車機構等の変速機構を含んでもよい。また、回転部21は、防錆等の観点から、樹脂(例えば、塩化ビニール)製であることが好ましい。

【0044】
回転部21は、プロペラシャフト11の外周部に機械的に接続されている。本実施形態では、回転部21は、円板部13と歯合することで、プロペラシャフト11に機械的に接続されている。なお、回転部21とプロペラシャフト11は、ベルト機構またはチェーン機構により機械的に接続されてもよいし、あるいは、回転部21および円板部13の各々の外周にゴム等の摩擦材を設けることにより機械的に接続されてもよい。

【0045】
図3に示すように、回転部21は、水中推進装置1の使用状態において、水中に暴露される。これにより、プロペラシャフト11と回転部21の接続部分を効率的に冷却することができるとともに、水を潤滑剤として利用することができる。また、回転部21を収容する容器が不要であるため、水中推進装置1の小型化および低コスト化を図ることができる。

【0046】
複数の電動機22は、各々の容器23内に収容されている。容器23内に収容された電動機22は、ネジ等により収納ボックス40に固定されている。

【0047】
複数の電動機22が回転部21を同じ回転速度で回転させ、それによりプロペラ10は回転駆動される。図4に示すように、各電動機22は、プロペラシャフト11の外周に配置されている。好ましくは、各電動機22はプロペラシャフト11に対して対称に配置される。

【0048】
電動機22は、本体部131内のバッテリから供給される直流電力で動作する直流モータである。図5に示すように、各電動機22は、パワーケーブル45を介して、本体部131のバッテリから電力が供給される。各電動機22は、制御基板41からの制御信号により制御される。制御基板41は、制御ケーブル46により本体部131の制御部139に接続されている。パワーケーブル45と制御ケーブル46は一本のケーブルにまとめられてもよい。

【0049】
なお、電動機22は、直流モータに限定されず、例えば、交流モータあるいはエアモータであってもよい。交流モータの場合、バッテリの直流電力をインバータ(図示せず)により変換した交流電力が電動機22に供給される。

【0050】
複数の電動機22の出力はそれぞれ、ほぼ等しい。例えば、プロペラ10を回すのに1kWの出力が必要とされる場合、本実施形態では4個の電動機を使用するので、電動機22として出力が約250Wのものを使用する。このように水中推進装置1では、複数の電動機22間で負荷分散が図られ、各電動機22の出力は抑制される。このため、比較的小型で安価な電動機を用いることができる。

【0051】
なお、本実施形態では、4個の電動機22によりプロペラ10を回転させるが、電動機の数はこれに限らず、2個、3個または5個以上であってもよい。

【0052】
容器23は、電動機22を収容する均圧容器であり、内部が絶縁油で満たされている。なお、浅海用の場合は容器23として耐圧容器を用いてもよい。前述のように電動機22として比較的小型のものが使用可能であるため、容器23も小型のものを使用することが可能となる。これにより、容器23として安価なものを使用することができる。

【0053】
支持軸部30は、プロペラシャフト11を回転自在に支持する。図3に示すように、支持軸部30は筒状の部材であって、プロペラシャフト11が支持軸部30に挿入される。

【0054】
プロペラシャフト11と支持軸部30の間には、プロペラシャフト11を軸支する軸受け部33が設けられている。この軸受け部33は、防錆や割れ防止の観点から、樹脂製(例えばテフロン(登録商標))であることが好ましい。その他、軸受け部33はセラミック製であってもよい。

【0055】
支持軸部30の周面には貫通孔(図示せず)が設けられている。このため、使用状態では、左右の軸受け部33と、プロペラシャフト11と、支持軸部30とで画成される空間が周囲の水で満たされる。これにより、支持軸部30とプロペラシャフト11との接続部分等を効率的に冷却することができるとともに、水を潤滑剤として利用することができる。

【0056】
また、図2および図3に示すように、支持軸部30にはフランジ部31および32が設けられている。支持軸部30およびフランジ部31,32は、一体的に形成されており、金属製(例えばアルミ製、ステンレス製、チタン製)である。

【0057】
フランジ部31は収納ボックス40を固定するためのものであり、フランジ部32は水中推進装置1を本体部131に固定するためのものである。図1に示すように、フランジ部31および32には、孔31aおよび32aがそれぞれ設けられている。孔31aには、収納ボックス40を固定するためのネジ(図示せず)が挿通される。孔32aには、水中推進装置1を本体部131の後尾部131aに固定するためのネジ(図示せず)が挿通される。

【0058】
収納ボックス40は、図2および図3に示すように、中心孔が設けられた環状の容器であり、フランジ部31に固定されている。収納ボックス40の中心孔に支持軸部30が挿通される。収納ボックス40には、電動機22を制御するための制御基板41、および各種ケーブル(電力供給線、通信線など)が収納される。

【0059】
上記のように、水中推進装置1では、複数の駆動部20により一つのプロペラ10を回転駆動する。換言すれば、水中推進装置1では、複数の駆動部20間で負荷分散を行う。このため、各駆動部20の電動機22として、小型軽量で安価なものを使用することができる。また、電動機22の小型化に合わせて、電動機22を収容する容器23も小型化できるとともに、安価なものを使用することができるようになる。よって、本実施形態によれば、水中推進装置の小型化、軽量化および低コスト化を図ることができる。

【0060】
さらに、水中推進装置1では複数の駆動部20で一つのプロペラ10を回転駆動するため、例えば一個の電動機22が故障しても、残りの電動機22により推力がなくなってしまうことを回避することができる。よって、本実施形態によれば、水中推進装置の耐久性および信頼性を向上させることができる。

【0061】
また、水中推進装置1を用いることで、水中探査装置130の小型化、軽量化および低コスト化を図ることができるともに、耐久性および信頼性を向上させることができる。

【0062】
(第2の実施形態)
次に、図6および図7を参照して、第2の実施形態に係る水中推進装置1Aについて説明する。第1の実施形態との相違点の一つは、プロペラシャフトの構成である。第1の実施形態ではプロペラシャフトは中実の棒状部材であったが、第2の実施形態では、プロペラシャフトが筒状に形成されており、支持軸部がプロペラシャフトに挿入される。以下、第1の実施形態との相違点を中心に第2の実施形態について説明する。

【0063】
第2の実施形態に係る水中推進装置1Aは、プロペラ10Aと、このプロペラ10Aを回転駆動する複数の駆動部20と、プロペラ10Aを回転自在に支持する支持軸部30Aと、収納ボックス40とを備えている。

【0064】
プロペラ10Aは、筒状のプロペラシャフト11Aと、このプロペラシャフト11Aの先端部に設けられた複数枚のプロペラ翼12とを有する。

【0065】
また、図6および図7に示すように、プロペラシャフト11Aの周面には、円板部13Aが突設されている。円板部13Aの回転軸はプロペラシャフト11Aの回転軸と同じである。本実施形態では、円板部13Aは、外周に凹凸が設けられており、歯車として構成されている。

【0066】
支持軸部30Aは、プロペラシャフト11Aを回転自在に支持する。支持軸部30Aは、図6に示すように、中実の棒状部材であって、筒状のプロペラシャフト11Aに挿入されている。

【0067】
プロペラシャフト11Aの周面には貫通孔(図示せず)が設けられている。このため、使用状態では、左右の軸受け部33と、プロペラシャフト11Aと、支持軸部30Aとで画成される空間が周囲の水で満たされる。これにより、プロペラシャフト11Aと軸受け部33の接続部分等を効率的に冷却することができるとともに、水を潤滑剤として利用することができる。

【0068】
回転部21は、プロペラシャフト11Aの外周部に機械的に接続されている。本実施形態では、回転部21は、外周に凹凸が設けられた歯車として構成されている。回転部21は、円板部13Aと歯合することで、プロペラシャフト11Aに機械的に接続される。なお、回転部21とプロペラシャフト11Aは、ベルト機構またはチェーン機構により機械的に接続されてもよいし、あるいは、回転部21および円板部13Aの各々の外周にゴム等の摩擦材を設けることにより機械的に接続されてもよい。

【0069】
複数の電動機22が各々の回転部21を回転させ、それによりプロペラ10Aは回転駆動される。なお、図7に示すように、各電動機22は、プロペラシャフト11Aの外周に配置されている。

【0070】
上記のように、水中推進装置1Aでは、複数の駆動部20により一つのプロペラ10Aを回転駆動する。このため、第1の実施形態と同様に、水中推進装置の小型化、軽量化および低コスト化を図ることができるとともに、水中推進装置の耐久性および信頼性を向上させることができる。

【0071】
(第3の実施形態)
次に、図8を参照して、第3の実施形態に係る水中推進装置1Bについて説明する。第1および第2の実施形態との相違点の一つは、プロペラシャフトの構成である。第1および第2の実施形態では、プロペラシャフトが一つの部材から構成されていたが、第3の実施形態では、プロペラシャフトが、同軸回転可能に構成された複数のシャフト構成部材から構成される。以下、第1および第2の実施形態との相違点を中心に第3の実施形態について説明する。

【0072】
第3の実施形態に係る水中推進装置1Bは、プロペラ10Bと、このプロペラ10Bを回転駆動する複数の駆動部20と、プロペラ10Bを回転自在に支持する支持軸部30と、収納ボックス40とを備えている。なお、図8では、支持軸部30および収納ボックス40は省略している。

【0073】
回転部21は、プロペラシャフト11Bの外周部に機械的に接続されている。本実施形態では、回転部21は、外周に凹凸が設けられた歯車として構成されている。回転部21は、後述の円板部17または18と歯合することで、プロペラシャフト11Bに機械的に接続される。なお、回転部21とプロペラシャフト11Bは、ベルト機構またはチェーン機構により機械的に接続されてもよいし、あるいは、回転部21および円板部17(または18)の各々の外周にゴム等の摩擦材を設けることにより機械的に接続されてもよい。

【0074】
プロペラ10Bは、プロペラシャフト11Bと、このプロペラシャフト11Bの先端部に設けられた複数枚のプロペラ翼12とを有する。

【0075】
プロペラシャフト11Bは、同軸回転可能に構成されたシャフト構成部材15(第1のシャフト構成部材)およびシャフト構成部材16(第2のシャフト構成部材)を有する。本実施形態では、シャフト構成部材15は筒状部材であり、シャフト構成部材16は中実の棒状部材である。そして、シャフト構成部材16が筒状のシャフト構成部材15に挿通されている。シャフト構成部材15とシャフト構成部材16の間には、軸受け部34が設けられている。

【0076】
シャフト構成部材15および16は、それぞれ、回転部21に機械的に接続される円板部17および18を有する。円板部17および18の回転軸は、プロペラシャフト11Bの回転軸と同じである。本実施形態では、円板部17および18は、外周に凹凸が設けられており、歯車として構成されている。

【0077】
シャフト構成部材15の周面には貫通孔(図示せず)が設けられていてもよい。この場合、使用状態では、シャフト構成部材15とシャフト構成部材16との間の空間が周囲の水で満たされる。これにより、シャフト構成部材15とシャフト構成部材16との接続部分等を効率的に冷却することができるとともに、水を潤滑剤として利用することができる。

【0078】
シャフト構成部材15および16の先端部には、それぞれ1枚のプロペラ翼12が設けられている。なお、各シャフト構成部材に2枚以上のプロペラ翼を設けてもよい。すなわち、シャフト構成部材の先端部には少なくとも1枚のプロペラ翼が設けられる。

【0079】
図8では、シャフト構成部材15に設けられたプロペラ翼12と、シャフト構成部材16に設けられたプロペラ翼12とで、プロペラシャフト11Bの軸方向位置(すなわち、取り付け位置)が異なっている。これに限らず、各プロペラ翼12の軸方向位置を揃えてもよい。例えば、筒状のシャフト構成部材15の先端部に切り欠きを設け、この切り欠きにシャフト構成部材16のプロペラ翼12の付け根部分を収容することで各プロペラ翼12の軸方向位置を同じにすることができる。

【0080】
なお、シャフト構成部材の数は2つに限らず、3つ以上であってもよい。すなわち、3つ以上のシャフト構成部材が同軸回転可能に組み合わされてプロペラシャフトを構成してもよい。

【0081】
各電動機22は、プロペラシャフト11Bの外周に配置されている。複数の電動機22が各々の回転部21を回転させ、それによりプロペラ10B(シャフト構成部材15および16)は回転駆動される。

【0082】
より詳しくは、各駆動部20は、各々に対応するシャフト構成部材15,16を回転駆動する。すなわち、図8においてプロペラシャフト11Bの上側にある駆動部20の電動機22は、シャフト構成部材16を回転駆動する。プロペラシャフト11Bの下側にある駆動部20の電動機22は、シャフト構成部材15を回転駆動する。これによりプロペラ10Bは回転駆動される。各プロペラ翼12の回転速度が同じになるように、円板部17,18の直径等を考慮して、各電動機22の回転速度を制御する。

【0083】
なお、ホールセンサまたはレゾルバ等で電動機22の角度を検出することで、プロペラ翼12間の角度を制御してもよい。プロペラ翼12が2枚の場合は、プロペラ翼12間の角度が180°になるように電動機22を制御してもよい。また、プロペラ翼12が4枚の場合は、プロペラ翼12間の角度が90°になるように電動機22を制御してもよい。

【0084】
上記のように、水中推進装置1Bでは、複数の駆動部20が、各々に対応づけられたシャフト構成部材を回転させることで、プロペラ10Bを回転駆動する。このため、第1および第2の実施形態と同様に、水中推進装置の小型化、軽量化および低コスト化を図ることができるとともに、水中推進装置の耐久性および信頼性を向上させることができる。

【0085】
(第4の実施形態)
次に、図9を参照して、第4の実施形態に係る水中推進装置1Cについて説明する。第1~第3の実施形態との相違点の一つは、プロペラシャフトと駆動部が機械的に接続されていない点である。第4の実施形態では、永久磁石が設けられたプロペラシャフトが、ダイレクトドライブ方式の電動機における回転子のように直接駆動される。以下、第1~第3の実施形態との相違点を中心に第4の実施形態について説明する。

【0086】
第4の実施形態に係る水中推進装置1Cは、プロペラ10Cと、このプロペラ10Cを回転駆動する複数の駆動部60と、プロペラ10Cを回転自在に支持する支持軸部30と、収納ボックス40とを備えている。なお、図9では、支持軸部30および収納ボックス40は省略している。

【0087】
プロペラ10Cは、プロペラシャフト11Cと、このプロペラシャフト11Cの先端部に設けられた複数枚のプロペラ翼12とを有する。プロペラシャフト11Cは、永久磁石50を有する。この永久磁石50は、図9に示すように、プロペラシャフト11Cの周面を覆う円筒状の磁石である。

【0088】
各駆動部60は、永久磁石50に隣接するように設けられたコイルを有する。より詳しくは、各駆動部60は、図9に示すように、プロペラシャフト11Cを囲繞するように設けられた環状のコイルを有する。これらのコイルに半導体スイッチにより生成された所定波形の電流を流すことで、プロペラシャフト11Cが回転駆動される。すなわち、本実施形態では、駆動部60が固定子として、プロペラシャフト11Cが回転子として機能するブラシレスモータが構成されるといえる。

【0089】
なお、各駆動部60のコイルは均圧容器に収容される。この場合、容器内を絶縁油で満たすか、ポッティング剤で封止する。また、浅海用の場合は、耐圧容器を用いてもよい。

【0090】
図9に示すように、各駆動部60は、プロペラシャフト11Cの長手方向に並設されている。これにより、駆動部60のコイルの径を抑制しつつ所定の出力を得ることができる。その結果、水中推進装置1Cが本体部131に取り付けられた際に水中探査装置130の径が水中推進装置の部分で大きくなることを防止し、水中探査装置130の流体抵抗を小さくすることができる。

【0091】
複数の駆動部60がプロペラシャフト11Cを直接回転させ、それによりプロペラ10Cは回転駆動される。

【0092】
上記のように、水中推進装置1Cでは、複数の駆動部60により一つのプロペラ10Cを回転駆動する。このため、第4の実施形態によれば、第1~第3の実施形態と同様に、水中推進装置の小型化、軽量化および低コスト化を図ることができるとともに、水中推進装置の耐久性および信頼性を向上させることができる。さらに、第4の実施形態によれば、水中推進装置の静音性やメンテナンス性を向上させることができる。

【0093】
以下、第4の実施形態の変形例1および2について説明する。いずれの変形例の場合も、第4の実施形態の上記効果を奏する。

【0094】
<変形例1>
本変形例に係る水中推進装置1Cでは、図10に示すように、プロペラシャフト11Cに傘部19が設けられている。そして、永久磁石50は、プロペラシャフト11Cの周面ではなく、傘部19の内周面に設けられている。

【0095】
<変形例2>
本変形例に係る水中推進装置1Cでは、図11に示すように、プロペラシャフト11Cに複数の円板部14が長手方向に沿って設けられている。各円板部14には、永久磁石50が設けられている。そして、駆動部60が円板部14に相対するように配置されている。なお、永久磁石50は環状のものであってもよいし、あるいは、扇形等の形状を有する複数の磁石を円板部14に設けてもよい。

【0096】
上記変形例1および2のような構成によっても、複数の駆動部60がプロペラシャフト11Cを直接回転させて、プロペラ10Cを回転駆動することが可能である。その他、第2の実施形態で説明したプロペラシャフト11Aのように、支持軸部に回転自在に設けられた筒状のプロペラシャフトがダイレクトドライブ方式により回転駆動されるようにしてもよい。

【0097】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0098】
1,1A,1B,1C 水中推進装置
10,10A,10B,10C プロペラ
11,11A,11B,11C プロペラシャフト
12 プロペラ翼
13,13A,14 円板部
15,16 シャフト構成部材
17,18 円板部
19 傘部
20,60 駆動部
21 回転部
22 電動機
23 容器
30,30A 支持軸部
31,32 フランジ部
31a,32a 孔
33,34 軸受け部
40 収納ボックス
41 制御基板
45 パワーケーブル
46 制御ケーブル
50 永久磁石
130 水中探査装置
131 本体部
134 マルチビームソーナー
135 ドップラ式速度計(DVL)
136 ジャイロコンパス
137 音波通信トランスデューサ
138 無線通信アンテナ
139 制御部
140 バッテリシステム
141,42 ホイストリング
143 X舵
150 カバー部
151 吸水口
B バッテリ
C 中心軸
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10