TOP > 国内特許検索 > 水中推進装置および水中探査装置 > 明細書

明細書 :水中推進装置および水中探査装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-062276 (P2018-062276A)
公開日 平成30年4月19日(2018.4.19)
発明の名称または考案の名称 水中推進装置および水中探査装置
国際特許分類 B63H  23/34        (2006.01)
B63C  11/48        (2006.01)
B63H  21/17        (2006.01)
FI B63H 23/34 A
B63C 11/48 D
B63H 21/17
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2016-201984 (P2016-201984)
出願日 平成28年10月13日(2016.10.13)
発明者または考案者 【氏名】近 藤 逸 人
【氏名】中 根 健 志
出願人 【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
【識別番号】516307736
【氏名又は名称】中根 健志
個別代理人の代理人 【識別番号】100091982、【弁理士】、【氏名又は名称】永井 浩之
【識別番号】100091487、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 行孝
【識別番号】100082991、【弁理士】、【氏名又は名称】佐藤 泰和
【識別番号】100105153、【弁理士】、【氏名又は名称】朝倉 悟
【識別番号】100152205、【弁理士】、【氏名又は名称】吉田 昌司
審査請求 未請求
要約 【課題】ワイヤーを曳航する水中探査装置の姿勢制御を容易に行うことが可能な水中推進装置および水中探査装置を提供する。
【解決手段】水中推進装置1は、水中探査装置の本体部に推力を付与する水中推進装置1であって、プロペラシャフト11およびこのプロペラシャフト11の先端部に設けられたプロペラ翼12を有するプロペラ10と、プロペラ10を回転駆動する駆動部20と、プロペラ10を回転自在に支持する支持軸部30と、を備え、支持軸部30またはプロペラシャフト11には、その中心軸Cを含むように長手方向に設けられたワイヤー挿通孔CHであって、水中探査装置により曳航されるワイヤーを挿通可能なワイヤー挿通孔CHが設けられている。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
水中探査装置の本体部に取り付けられ、前記本体部に推力を付与する水中推進装置であって、
プロペラシャフトと、前記プロペラシャフトの先端部に設けられたプロペラ翼とを有するプロペラと、
前記プロペラを回転駆動する駆動部と、
前記プロペラを回転自在に支持する支持軸部と、を備え、
前記支持軸部または前記プロペラシャフトには、その中心軸を含むように長手方向に設けられたワイヤー挿通孔であって、前記水中探査装置により曳航されるワイヤーを挿通可能なワイヤー挿通孔が設けられていることを特徴とする水中推進装置。
【請求項2】
前記プロペラシャフトは筒状であり、前記支持軸部が前記プロペラシャフトに挿入され、
前記支持軸部に前記ワイヤー挿通孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の水中推進装置。
【請求項3】
前記支持軸部は筒状であり、前記プロペラシャフトが前記支持軸部に挿入され、
前記プロペラシャフトに前記ワイヤー挿通孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の水中推進装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記プロペラシャフトの外周に配置され、前記プロペラシャフトに機械的に接続された電動機により、前記プロペラを回転駆動することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の水中推進装置。
【請求項5】
前記プロペラシャフトは、永久磁石を有し、
前記駆動部は、前記永久磁石に隣接するように設けられたコイルを有しており、前記コイルに通電することにより前記プロペラを回転駆動することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の水中推進装置。
【請求項6】
前記ワイヤーには、少なくとも一つのセンサが取り付けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の水中推進装置。
【請求項7】
本体部と、
前記本体部の後尾部に取り付けられた請求項1~6のいずれかに記載の水中推進装置と、
を備えることを特徴とする水中探査装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、水中推進装置、より詳しくは、プロペラ推進方式の水中推進装置、および、当該水中推進装置を利用して水中を航行する水中探査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自律型無人潜水機(Autonomous Underwater Vehicle:AUV)等の水中探査装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この水中探査装置は水中を航行し、搭載された種々のセンサにより、海洋生態系の観察や海底探査等を行う。より詳しくは、水中探査装置の胴体には、センサが設けられたワイヤーが取り付けられる。そして、水中探査装置は、このワイヤーを曳航しながら、センサから得られた情報を収集する。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2009-96396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、水中探査装置の胴体に取り付けられワイヤーによってプロペラの中心から外れた部分に大きな力が加わる場合がある。このような場合、水中探査装置に回転モーメントが発生し、舵を切ったときの応答が予期したものと異なるものになるため、水中探査装置の姿勢制御が困難になるという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、ワイヤーを曳航する水中探査装置の姿勢制御を容易に行うことが可能な水中推進装置および水中探査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る水中推進装置は、
水中探査装置の本体部に取り付けられ、前記本体部に推力を付与する水中推進装置であって、
プロペラシャフトと、前記プロペラシャフトの先端部に設けられたプロペラ翼とを有するプロペラと、
前記プロペラを回転駆動する駆動部と、
前記プロペラを回転自在に支持する支持軸部と、を備え、
前記支持軸部または前記プロペラシャフトには、その中心軸を含むように長手方向に設けられたワイヤー挿通孔であって、前記水中探査装置により曳航されるワイヤーを挿通可能なワイヤー挿通孔が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、前記水中推進装置において、
前記プロペラシャフトは筒状であり、前記支持軸部が前記プロペラシャフトに挿入され、
前記支持軸部に前記ワイヤー挿通孔が設けられているようにしてもよい。
【0008】
また、前記水中推進装置において、
前記支持軸部は筒状であり、前記プロペラシャフトが前記支持軸部に挿入され、
前記プロペラシャフトに前記ワイヤー挿通孔が設けられているようにしてもよい。
【0009】
また、前記水中推進装置において、
前記駆動部は、前記プロペラシャフトの外周に配置され、前記プロペラシャフトに機械的に接続された電動機により、前記プロペラを回転駆動するようにしてもよい。
【0010】
また、前記水中推進装置において、
前記プロペラシャフトは、永久磁石を有し、
前記駆動部は、前記永久磁石に隣接するように設けられたコイルを有しており、前記コイルに通電することにより前記プロペラを回転駆動するようにしてもよい。
【0011】
また、前記水中推進装置において、
前記ワイヤーには、少なくとも一つのセンサが取り付けられているようにしてもよい。
【0012】
本発明に係る水中探査装置は、
本体部と、
前記本体部の後尾部に取り付けられた本発明に係る水中推進装置と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、支持軸部またはプロペラシャフトには、その中心軸を含むように長手方向に設けられたワイヤー挿通孔であって、水中探査装置により曳航されるワイヤーを挿通可能なワイヤー挿通孔が設けられている。これにより、ワイヤー挿通孔に挿通されたワイヤーは、プロペラの中心から水中探査装置の後方に伸びるようにして曳航されることとなる。このため、水中探査装置に回転モーメントが発生することを抑制し、水中探査装置の姿勢制御を行い易くすることができる。
【0014】
よって、本発明によれば、ワイヤーを曳航する水中探査装置の姿勢制御を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る水中探査装置の全体図である。
【図2】第1の実施形態に係る水中推進装置の一部断面図である。
【図3】図2のA-A線に沿う断面図である。
【図4】第2の実施形態に係る水中推進装置の一部断面図である。
【図5】図5のA-A線に沿う断面図である。
【図6】ダイレクトドライブ方式による水中推進装置の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付す。

【0017】
(水中探査装置)
図1を参照して、実施形態に係る水中探査装置130について説明する。水中探査装置130は、本実施形態では、水中を自律的に航行し、海底等の探査を行う自律型無人潜水機(AUV)である。なお、本発明に係る水中探査装置は、AUVに限らず、遠隔操作により水中を航行する遠隔操作無人探査機(Remotely Operated Vehicle:ROV)であってもよい。

【0018】
図1に示すように、水中探査装置130は、魚雷形状の本体部131と、水中推進装置1とを備えている。水中推進装置1は、本体部131の後尾部131aに取り付けられており、水中探査装置130の本体部131に推力を付与する。本体部131のサイズは、例えば、全長約4.5m、直径約60cmである。なお、本体部131内部は水で満たされている。

【0019】
本体部131の形状は、魚雷形状に限らず、例えば、円筒形状、卵形状、直方体形状、角柱形状、円錐形状もしくは角錐形状等の形状、またはそれらの形状の任意の組み合わせの形状であってもよい。

【0020】
また、図1に示すように、水中探査装置130は、後尾部131aに取り付けられたカバー部150をさらに備えている。このカバー部150は、切頭円錐状であり、プロペラ10を駆動する駆動部20(後述)等を収容する。カバー部150は、水中探査装置130の流体抵抗を減らすように、図1に示す通り、本体部131と滑らかに繋がる形状を有する。

【0021】
本体部131の内部には、観測目的や観測対象に応じた各種のセンサ・測定装置、制御部139およびバッテリシステム140等が収容される。なお、制御部139およびバッテリシステム140等を一つの耐圧容器内にまとめて収容することにより、水の浸入しない耐圧式の本体部131を構成してもよい。

【0022】
センサ・測定装置として、ドップラ式速度計(Doppler Velocity Log:DVL)135、ジャイロコンパス136、深度計(図示せず)が設けられている。なお、ジャイロコンパス136の代わりに、姿勢方位センサまたは慣性航法装置が設けられてもよい。また、図1に示すように、本体部131の先頭部分に、マルチビームソーナー(Multi-beam sonar)134が設けられてもよい。

【0023】
通信装置として、本体部131に、音波通信トランスデューサ137および無線通信アンテナ138を設けてもよい。無線通信アンテナ138として、GPS信号を受信することが可能なものを用いてもよい。

【0024】
図1に示すように、本体部131の先頭部分に、水中探査装置130の引き上げの際に使用するホイストリング(hoist ring)141を設けてもよい。また、本体部131の中央上部に、ホイスト(Top-middle hoist point)142を設けてもよい。

【0025】
また、本体部131の後部には、図1に示すように、X舵(昇降舵、方向舵)143が設けられている。

【0026】
制御部139は、コンピュータ等の電子システムを含み、各種センサ・測定装置を制御する。この制御部139は水中推進装置1の制御も行う。

【0027】
バッテリシステム140は、バッテリと、当該バッテリを管理するためのバッテリ管理ユニット(Battery Management Unit:BMU)とを有する。バッテリは、例えば、二次電池(リチウムイオン電池等)または燃料電池である。バッテリが供給する電力により、水中推進装置1のほか、上記の各種センサ、測定装置、通信装置および制御部等が動作する。

【0028】
図1に示すように、水中推進装置1のプロペラ10の中心から、センサ161が取り付けられたワイヤー160が伸びている。このワイヤー160は、水中推進装置1のワイヤー挿通孔CH(図2参照)に挿通され、一端が本体部131に固定され、他端が開放されている。より詳しくは、ワイヤー160の一端は、本体部131の後尾部131aに設けられた水中コネクタ(図示せず)に接続される。ワイヤー160の材質や構造は特に限定されない。例えば、ワイヤー160は、金属線等の導電性材料から構成されてもよいし、可撓性樹脂等の絶縁性材料から構成されてもよいし、あるいは、ケーブルのように導電性材料と絶縁性材料を組み合わせて構成されてもよい。ワイヤー160は、ケブラー編組などを組み込んでワイヤー強度を向上させたものでもよい。

【0029】
なお、ワイヤー160には、センサ161と本体部131の制御部139等との間で通信を行うための光ファイバ等の通信ケーブルや電源供給等の電線が設けられてもよい。これにより、センサ161は本体部131のバッテリから電源の供給を受けたり、本体部131内の各種装置と通信を行うことができる。なお、センサ161がスタンドアローンの場合、ワイヤー160の端部は本体部131に単に固定されるだけでもよい。

【0030】
ワイヤー160に設けられるセンサ161は、1つに限らず、図1に示すように、複数であってもよい。センサ161は、例えば海底探査用のハイドロフォンであるが、観測目的や観測対象に応じてその他のセンサないし測定装置であってもよい。また、複数の異なる種類のセンサがワイヤー160に設けられてもよい。

【0031】
次に、水中推進装置に係る第1および第2の実施形態について説明する。

【0032】
(第1の実施形態)
図2および図3を参照して、第1の実施形態に係る水中推進装置1について説明する。

【0033】
第1の実施形態に係る水中推進装置1は、図2に示すように、プロペラ10と、このプロペラ10を回転駆動する駆動部20と、プロペラ10を回転自在に支持する支持軸部30と、駆動部20の電動機を制御する制御基板や各種ケーブル等を収納する収納ボックス40とを備えている。

【0034】
プロペラ10は、プロペラシャフト11と、このプロペラシャフト11の先端部に設けられたプロペラ翼12とを有する。プロペラ10は、例えば金属(アルミニウム、ステンレス、チタンなど)からなる。なお、プロペラ10は、金属製に限られず、樹脂製でもよい。また、プロペラ10は、グラスファイバーもしくはカーボンファイバーなどで強化された樹脂製であってもよい。

【0035】
なお、プロペラ翼12の数は例えば2~4枚であるが、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、プロペラ10は固定ピッチプロペラであるが、他の種類のプロペラ(例えば二重反転プロペラ、可変ピッチプロペラ)であってもよい。

【0036】
図2および図3に示すように、プロペラシャフト11の周面には円板部13が突設されている。この円板部13の回転軸はプロペラシャフト11の回転軸と同じである。本実施形態では、円板部13は、外周に凹凸が設けられており、歯車として構成されている。

【0037】
駆動部20は、プロペラシャフト11の外周に配置されている。この駆動部20は、プロペラシャフト11に機械的に接続された回転部21と、回転部21を回転させる電動機22と、電動機22を収容する容器23とを有する。駆動部20は、プロペラシャフト11に機械的に接続された電動機22により、プロペラ10を回転駆動する。

【0038】
回転部21は、電動機22の回転軸22aに接続されており、電動機22により回転される。本実施形態では、回転部21は、外周に凹凸が設けられた歯車として構成されている。なお、回転部21は、遊星歯車機構等の変速機構を含んでもよい。また、回転部21は、防錆等の観点から、樹脂(例えば、塩化ビニール、ポリアセタール(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等)製であることが好ましい。

【0039】
回転部21は、プロペラシャフト11の外周部に機械的に接続されている。本実施形態では、図3に示すように、回転部21は、円板部13と歯合することで、プロペラシャフト11に機械的に接続されている。なお、回転部21とプロペラシャフト11は、ベルト機構またはチェーン機構により機械的に接続されてもよいし、あるいは、回転部21および円板部13の各々の外周にゴム等の摩擦材を設けることにより機械的に接続されてもよい。

【0040】
図2に示すように、回転部21は、水中推進装置1の使用状態において、水中に暴露される。これにより、プロペラシャフト11と回転部21の接続部分を効率的に冷却することができるとともに、水を潤滑剤として利用することができる。また、回転部21を収容する容器が不要であるため、水中推進装置1の小型化および低コスト化を図ることができる。

【0041】
電動機22は、回転部21を介してプロペラシャフト11に機械的に接続されている。この電動機22は、容器23内に収容されている。容器23内に収容された電動機22は、ネジ等により収納ボックス40に固定されている。

【0042】
電動機22は、本体部131内のバッテリから供給される直流電力で動作する直流モータである。なお、電動機22は、直流モータに限定されず、例えば、交流モータ、エアモータ、オイルモータであってもよい。交流モータの場合、バッテリの直流電力をインバータ(図示せず)により変換した交流電力が電動機22に供給される。

【0043】
容器23は、電動機22を収容する均圧容器であり、内部が絶縁油で満たされている。なお、浅海用の場合は容器23として耐圧容器を用いてもよい。

【0044】
支持軸部30は、プロペラシャフト11を回転自在に支持する。支持軸部30は、図2に示すように、筒状のプロペラシャフト11に挿入されている。

【0045】
第1の実施形態では、図2および図3に示すように、支持軸部30は、ワイヤー挿通孔CHを有する中空シャフトとして構成されている。より詳しくは、支持軸部30には、その中心軸Cを含むように長手方向に設けられたワイヤー挿通孔CHが設けられている。このワイヤー挿通孔CHは、水中探査装置130により曳航されるワイヤー160を挿通可能な挿通孔である。

【0046】
プロペラシャフト11と支持軸部30の間には、プロペラシャフト11を軸支する軸受け部33が設けられている。この軸受け部33は、防錆や割れ防止の観点から、樹脂製(例えばテフロン(登録商標))であることが好ましい。その他、軸受け部33はセラミック製であってもよい。

【0047】
なお、プロペラシャフト11の周面には貫通孔(図示せず)が設けられていてもよい。このため、使用状態では、左右の軸受け部33と、プロペラシャフト11と、支持軸部30とで画成される空間が周囲の水で満たされる。これにより、プロペラシャフト11と軸受け部33の接続部分等を効率的に冷却することができるとともに、水を潤滑剤として利用することができる。

【0048】
また、図2に示すように、支持軸部30にはフランジ部31および32が設けられている。支持軸部30およびフランジ部31,32は、一体的に形成されており、金属製(例えばアルミ製、ステンレス製、チタン製)である。

【0049】
フランジ部31は収納ボックス40を固定するためのものであり、フランジ部32は水中推進装置1を本体部131に固定するためのものである。フランジ部31および32には、固定用孔(図示せず)が設けられている。フランジ部31の固定用孔には、収納ボックス40を固定するためのネジ(図示せず)が挿通される。フランジ部32の固定用孔には、水中推進装置1を本体部131の後尾部131aに固定するためのネジ(図示せず)が挿通される。

【0050】
収納ボックス40は、図2および図3に示すように、中心孔が設けられた環状の容器である。収納ボックス40は、その中心孔に支持軸部30が挿通され、フランジ部31に固定されている。収納ボックス40には、電動機22を制御するための制御基板および各種ケーブル(電力供給線、通信線など)が収納される。

【0051】
上記のように、第1の実施形態に係る水中推進装置1では、支持軸部30にワイヤー挿通孔CHが設けられている。これにより、ワイヤー挿通孔CHに挿通されたワイヤー160は、プロペラシャフト11の先端から水中探査装置130の後方に伸びるようにして曳航されることとなる。このようにプロペラ10の中心からワイヤー160を引っ張ることで、水中探査装置130に回転モーメントが発生することを抑制し、水中探査装置130の姿勢制御を行い易くすることができる。

【0052】
よって、第1の実施形態に係る水中推進装置1を用いることにより、ワイヤーを曳航する水中探査装置130の姿勢制御を容易に行うことができるようになる。

【0053】
さらに、水中探査装置130がワイヤー160を曳航する際、プロペラ10の中心後方に中心軸Cに沿ってセンサ161が配置される。このため、水中探査装置130の胴体が発生させる伴流(ウェイク)がセンサ161に与える影響を低減することができる。

【0054】
(第2の実施形態)
次に、図4および図5を参照して、第2の実施形態に係る水中推進装置1Aについて説明する。第1の実施形態との相違点の一つは、プロペラシャフトおよび支持軸部の構成である。第1の実施形態では支持軸部にワイヤー挿通孔が設けられたが、第2の実施形態ではプロペラシャフトにワイヤー挿通孔が設けられる。以下、第1の実施形態との相違点を中心に第2の実施形態について説明する。

【0055】
第2の実施形態に係る水中推進装置1Aは、プロペラ10Aと、このプロペラ10Aを回転駆動する駆動部20と、プロペラ10Aを回転自在に支持する支持軸部30Aと、収納ボックス40とを備えている。

【0056】
プロペラ10Aは、中空シャフトとして構成されたプロペラシャフト11Aと、このプロペラシャフト11Aの先端部に設けられたプロペラ翼12とを有する。プロペラシャフト11Aには、図4および図5に示すように、プロペラシャフト11Aの中心軸Cを含むように長手方向に設けられたワイヤー挿通孔CHが設けられている。

【0057】
また、図4および図5に示すように、プロペラシャフト11Aの周面には円板部13Aが突設されている。この円板部13Aの回転軸はプロペラシャフト11Aの回転軸と同じである。本実施形態では、円板部13Aは、外周に凹凸が設けられており、歯車として構成されている。

【0058】
駆動部20は、回転部21を介してプロペラ10Aを回転駆動する。回転部21は、円板部13Aと歯合することで、プロペラシャフト11Aに機械的に接続されている。なお、回転部21とプロペラシャフト11Aは、ベルト機構またはチェーン機構により機械的に接続されてもよいし、あるいは、回転部21および円板部13Aの各々の外周にゴム等の摩擦材を設けることにより機械的に接続されてもよい。

【0059】
支持軸部30Aは、プロペラシャフト11Aを回転自在に支持する。図4に示すように、支持軸部30Aは筒状の部材であって、プロペラシャフト11Aが支持軸部30に挿入される。また、第1の実施形態と同様に、支持軸部30Aには、フランジ部31および32が設けられている。

【0060】
なお、支持軸部30の周面には貫通孔(図示せず)が設けられていてもよい。このため、使用状態では、左右の軸受け部33と、プロペラシャフト11Aと、支持軸部30Aとで画成される空間が周囲の水で満たされる。これにより、支持軸部30Aとプロペラシャフト11Aとの接続部分等を効率的に冷却することができるとともに、水を潤滑剤として利用することができる。

【0061】
上記のように、第2の実施形態に係る水中推進装置1Aでは、プロペラシャフト11Aにワイヤー挿通孔CHが設けられている。これにより、プロペラ10Aの中心からワイヤー160を引っ張るようになることから、第1の実施形態と同様に、水中探査装置130に回転モーメントが発生することを抑制し、水中探査装置130の姿勢制御を行い易くすることができる。

【0062】
よって、第2の実施形態に係る水中推進装置1Aを用いることにより、ワイヤーを曳航する水中探査装置130の姿勢制御を容易に行うことができるようになる。

【0063】
さらに、第1の実施形態と同様に、水中探査装置130の胴体が発生させる伴流がセンサ161に与える影響を低減することができる。

【0064】
なお、上記第2の実施形態の説明では、駆動部20は、プロペラシャフト11Aに機械的に接続された電動機22によりプロペラ10Aを回転駆動するものであったが、本発明はこれに限られない。すなわち、ダイレクトドライブ方式により、プロペラ10Aが回転駆動されるようにしてもよい。これについて図6を参照して詳しく説明する。なお、図6は、水中推進装置1Aの先端側部分のみ示し、支持軸部30A等を省略している。

【0065】
図6に示すように、プロペラシャフト11Aは、永久磁石50を有する。この永久磁石50は、例えば、プロペラシャフト11Aの周面を覆う円筒状の磁石である。そして、駆動部60は、永久磁石50に隣接するように設けられたコイルを有する。より詳しくは、駆動部60は、図6に示すように、プロペラシャフト11Aを囲繞するように設けられた環状のコイルを有する。そして、駆動部60は、半導体スイッチにより生成された所定波形の電流をコイルに流すことで、プロペラシャフト11Aを回転駆動する。すなわち、駆動部60およびプロペラシャフト11Aにより、プロペラシャフトを回転軸とするブラシレスモータが構成される。

【0066】
なお、駆動部60のコイルは均圧容器に収容される。この場合、容器内を絶縁油で満たすか、ポッティング剤で封止する。また、浅海用の場合は、耐圧容器を用いてもよい。

【0067】
また、第1の実施形態のプロペラシャフト11についてダイレクトドライブ方式を適用することも可能である。この場合、プロペラシャフト11に永久磁石を設け、プロペラシャフト11の周囲に設けられたコイルによりプロペラシャフト11を回転駆動する。

【0068】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1,1A 水中推進装置
10,10A プロペラ
11,11A プロペラシャフト
12 プロペラ翼
13,13A 円板部
20,60 駆動部
21 回転部
22 電動機
23 容器
30,30A 支持軸部
31,32 フランジ部
33 軸受け部
40 収納ボックス
50 永久磁石
130 水中探査装置
131 本体部
134 マルチビームソーナー
135 ドップラ式速度計(DVL)
136 ジャイロコンパス
137 音波通信トランスデューサ
138 無線通信アンテナ
139 制御部
140 バッテリシステム
141,42 ホイストリング
150 カバー部
160 ワイヤー
161 センサ
C 中心軸
CH ワイヤー挿通孔
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5