【非特許文献1】田隅三生編著:「赤外分光測定法-基礎と最新手法」、エス・ティ・ジャパン(2012) 【非特許文献2】服部 覚、”顕微赤外分光法の活用”東亞合成グループ研究年報48 TREND 第10号 48-50(2007) 【非特許文献3】宮下 喜好、 混合物系の ATR-IRスペクトルとスペクトル歪み緩和 第18回高分子分析討論会(2013) 【非特許文献4】T. Hoshino, M. Itoh, T. Yatagai, “Antireflective grating in the resonance domain for displays”, Applied Optics, Vol.46, pp. 648-656, 2007 【非特許文献5】T. Hoshino, S. Banerjee, M. Itoh, and T. Yatagai, “Diffraction pattern of triangular grating in the resonance domain”, J. Opt. Soc. Am. A, Vol.26, No 3, pp.715-722, 2009 【非特許文献6】T. Hoshino, T. Yatagai, and M. Itoh, “Precise and rapid distance measurements by scatterometry”, Opt. Express, Vol.20, pp.3954-3966, 2012 【非特許文献7】T. Hoshino and M. Itoh, “Cross-sectional shape evaluation of a particle by scatterometry”, Optics Communications, Vol.359, No 15, 240-244, 2016 【非特許文献8】T. Hoshino, T. Yatagai, and M. Itoh, “Optical Memory Model of the Human Brain” Chapter 7. In: Spatial, Long-and Short-Term Memory: Functions,Differences and Effects of Injury. Nova Science Publishers, Inc. (2016) 【非特許文献9】松尾 保孝、「光散乱を利用した単一微粒子吸収分光法に関する研究」 博士論文、北海道大学,(2001) 【非特許文献10】P.J.Flatau,B.Draine,Discrete-dipole approximation for scattering calculations, J. Opt.Soc.Am.A11(1994)1491-1499 【非特許文献11】A.Macke,M.I.Mishchenko,K.Muinonen,B.E.Carlson, Scattering of light by large nonspherical particles : ray-tracing approximation versus t-matrix method, Opt.Lett. 20 (1995) 1934-1936. 【非特許文献12】G. Eshel,G.J.Levy,U.Mingelgrin,M.J.Singer,Critical evaluation of the use of laser diffraction for particle-size distribution analysis, SoilSci.S Soc.Am.J.68 (2004)736-743. 【非特許文献13】Hoshino, Tetsuya, Toyohiko Yatagai, and Masahide Itoh. "Precise and rapid distance measurements by scatterometry." Optics Express 20.4 (2012): 3954 【非特許文献14】A. Braun, et al., Advantages of soft X-ray absorption over TEM-EELS for solid carbon studies-a comparative study on diesel soot with EELS and NEXAFS, Carbon, 43.1, (2005), pp. 117. 【非特許文献15】桜井健次編 "X 線反射率法入門" 講談社 (2009) 【非特許文献16】Hoshino, Masato, and Sadao Aoki. "Laboratory-scale soft X-ray imaging microtomography using Wolter mirror optics." Applied physics express 1.6 (2008): 067005. 【非特許文献17】Hoshino, Masato, and Sadao Aoki. "Laser plasma soft x-ray microscope with Wolter mirrors for observation of biological specimens in air." Japanese journal of applied physics 45.2R (2006): 989. 【非特許文献18】Marchesini, Stefano, et al. "X-ray image reconstruction from a diffraction pattern alone." Physical Review B 68.14 (2003): 140101. 【非特許文献19】Oroguchi, Tomotaka, and Masayoshi Nakasako. "Three-dimensional structure determination protocol for noncrystalline biomolecules using x-ray free-electron laser diffraction imaging." Physical Review E 87.2 (2013): 022712. 【非特許文献20】包赤軍、北川博之、鈴木功 全国大会講演論文集 51.4(1995)231-232 【非特許文献21】古賀 崇嗣、「L1空間に基づくクラスタリングアルゴリズム」 修士論文、筑波大学(2002) 【非特許文献22】Andrews, David L. Structured light and its applications: An introduction to phase-structured beams and nanoscale optical forces. Academic Press, 2011. 【非特許文献23】HUANG, FU MIN, et al. "Focusing of light by a nanohole array." Applied physics letters 90.9 (2007). 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0018】 特定の微粒子のみにレーザー光を照射して形状を計測するためには、光が照射されている微粒子を同定する必要がある。もう一つの課題は、形状の計測である。従来、粒子形状を把握するためには、レンズによる結像が行われていたが、共鳴領域においては、回折効果が大きいため、結像による正確な形状計測が期待できない。 【0019】 本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、単純な光学系であって、多数の微粒子の形状およびサイズを推定することを可能とする、光計測システムおよび光計測方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0020】 上記課題を解決する上で、次の(1)~(5)の問題が存在する。 (1)粒子と集光位置の関係把握: 光散乱のシミュレーションと実験を比較するには、粒子とレンズによる集光位置との関係を把握する必要がある。 (2)3次元形状の計測: 基板の上に乗った粒子の粒径が10波長より小さい場合、散乱パターンだけから、当該粒子の形状を計測することは難しい。 (3)特定の粒子の同定: 多数の粒子から特定の粒子を同定し、しかも、その粒子の形状と吸収スペクトルを計測する方法がない。 (4)形状計測と吸収スペクトルの光軸合わせ: 従来のように、形状計測を行ったのちに、吸収スペクトルを別の光軸で計測すると、光軸合わせに多大な時間を要する。 (5)多数粒子のスペクトルの解析・分類: 一つ一つ帰属と分類をしていては膨大な時間がかかる。自動化する方法がない。 【0021】 本発明者は、鋭意検討を重ね、これらの問題について次のように対応すればよいことを明らかにした。 【0022】 (1)粒子と集光位置の関係把握について: 粒子の形状にあまり関わりなく、集光位置が粒子の手前にあるか、中にあるか判断できることが、実験およびシミュレーションから分かった。散乱光角度分布のコントラストおよび散乱強度は、集光位置が、入射光側から見て粒子の少し手前にあるときに最大になる。この結果、集光点の位置の計測と、散乱光角度分布の計測とを、同じレンズ・試料位置でできることが分かった。集光位置を決定できれば、シミュレーションで散乱光角度分布を計算し、実験データと対応させることで、粒子形状の情報が得られる。粒子の散乱光角度分布を観測して、そのコントラストおよび散乱強度を解析しながら、集光位置を精密に制御できるシステムを構築すればよい。 【0023】 (2)3次元形状の計測について: スリットとアイリス絞り等を用いて集光スポットの形状を変えると同時に、粒子への入射角度を変えることで、様々な角度から見た微粒子の断面情報を得ることができる。そして、この情報を統合することにより、微粒子の形状およびサイズを計測できることが分かった。したがって、特定の粒子に対し、所定の集光形状で様々な角度から光が照射されるように、制御するシステムを構築すればよい。 【0024】 (3)特定の粒子の同定について: 粒子への入射角度を45°変えると回転中心軸の精度が高くても、集光位置が10μm程度はずれてしまう。このはずれを補正するために、複数のマーカーを基準とすることで、集光位置を調整することができる。粒子への集光時に、マーカーを同時に観測できるように、一部の光を集光点から外せるシステムを構築すればよい。 【0025】 より詳細には、次の通りである。 [1]支持台に載置された微粒子に光を照射して、前記微粒子に関する情報を取得する光計測システムであって、レーザー光源と、前記レーザー光源を用いて前記微粒子に照射するレーザー光の集光スポットの形状を、線状となるように調整するレーザー光集光スポット形状調整手段と、前記レーザー光の集光スポットを、前記微粒子の位置に合うように調整するレーザー光集光スポット位置調整手段と、前記レーザー光の光軸と直交する軸を中心に、前記微粒子と前記集光スポットとを相対的に回転させて、前記微粒子に対する前記レーザー光の入射角度を調整するレーザー光入射角度調整手段と、前記微粒子から散乱される散乱光を利用して、前記微粒子の投影像を表示する微粒子投影像表示手段と、を備えていることを特徴とする光計測システム。 [2]さらに、前記レーザー光入射角度調整手段で調整された各入射角度で得られた前記微粒子の投影像の形状の情報を組み合わせて、前記微粒子の3次元形状を推定する微粒子形状推定手段を備えていることを特徴とする[1]に記載の光計測システム。 [3]さらに、白色光源と、前記白色光源を用いて微粒子に照射する白色光の集光スポットのサイズを、調整する白色光集光スポットサイズ調整手段と、前記白色光の集光スポットを、前記微粒子の位置に合うように調整する白色光集光スポット位置調整手段と、 前記微粒子から散乱される散乱光の強度の波長分布から、前記微粒子の吸収スペクトルを計測する微粒子吸収スペクトル計測手段と、を備えていることを特徴とする[1]または[2]のいずれかに記載の光計測システム。 [4]支持台に載置された微粒子に光を照射して、前記微粒子に関する情報を取得する光計測方法であって、レーザー光源を用いて前記微粒子に照射するレーザー光の集光スポットの形状を、線状となるように調整するレーザー光集光スポット形状調整ステップと、前記レーザー光の集光スポットを、前記微粒子の位置に合うように調整するレーザー光集光スポット位置調整ステップと、前記レーザー光の光軸と直交する軸を中心に前記微粒子と前記集光スポットとを相対的に回転させて、前記微粒子に対する前記レーザー光の入射角度を調整するレーザー光入射角度調整ステップと、前記微粒子から散乱される散乱光を利用して、前記微粒子の投影像を表示する微粒子投影像表示ステップと、を有していることを特徴とする光計測方法。 [5]前記レーザー光入射角度調整ステップで調整された各入射角度に対応して前記微粒子投影像表示ステップで表示される投影像の形状の情報を組み合わせて、前記微粒子の3次元形状・サイズを推定する微粒子形状・サイズ推定ステップを有することを特徴とする[4]に記載の光計測方法。 [6]前記微粒子の3次元形状・サイズを推定する前または推定した後に、白色光源を用いて前記微粒子に照射する白色光の集光スポットのサイズを、調整する白色光集光スポットサイズ調整ステップと、前記白色光の集光スポットが前記微粒子の位置に合うように調整する白色光集光スポット位置調整ステップと、前記微粒子から散乱される散乱光の強度の波長分布から、前記微粒子の吸収スペクトルを計測する微粒子吸収スペクトル計測ステップと、を有することを特徴とする[4]または[5]のいずれかに記載の光計測方法。 [7]前記集光素子と前記微粒子との距離、および、前記光軸と前記微粒子との距離を、レーザ光源の波長λに対して、0.0010λ以上100λ以下の範囲で調整することを特徴とする[4]~[6]のいずれか一つに記載の光計測方法。 [8]前記微粒子の3次元形状・サイズと前記波長分布の情報から、前記波長分布の前記断面形状依存性を抽出し、前記波長分布に対して、前記3次元形状・サイズに依存しないものとなるように校正を行うことを特徴とする[6]または[7]のいずれかに記載の光計測方法。 [9]前記微粒子の吸収スペクトルを特定の波長範囲ごとに区切り、各波長範囲における前記吸収スペクトルのピークの有無を符号化したシグニチャファイルを作成し、既知の成分を有する微粒子の吸収スペクトルにおいて、得られているシグニチャファイルと照合することにより、前記微粒子の成分を同定することを特徴とする[6]~[8]のいずれか一つに記載の光計測方法。 [10]前記微粒子の吸収スペクトルのピークの波長または波数を、前記シグニチャファイルと照合することにより、前記微粒子の成分を同定することを特徴とする[9]に記載の光計測方法。 【発明の効果】 【0026】 本発明の光計測システムは、単純な光学系であるが、回折限界の制約がないため、従来より10倍以上の精度で、微粒子(光散乱体)の形状およびサイズを計測することができる。 【図面の簡単な説明】 【0027】 【図1】本発明の一実施形態に係る光計測システムの概略構成図である。 【図2】本発明の一実施形態に係る光計測システムの概略構成図である。 【図3】本発明の一実施形態に係る光計測システムのスライドガラス上における粒子の位置を示す図である。 【図4】(a)~(f)本発明の実施例1に係る光計測システムにおける微粒子の散乱パターンを示す図である。 【図5】(a)~(f)本発明の実施例1に係る光計測システムにおける微粒子の散乱パターンを示す図である。 【図6】(a)~(f)本発明の実施例1に係る光計測システムにおける微粒子の散乱パターンを示す図である。 【図7】(a)~(f)本発明の実施例1に係る光計測システムにおける微粒子の散乱パターンを示す図である。 【図8】(a)~(f)本発明の実施例1に係る光計測システムにおける微粒子の散乱パターンを示す図である。 【図9】本発明の実施例1に係る光計測システムのスライドガラス上における粒子の位置を示す図である。 【図10】(a)~(f)本発明の実施例1に係る光計測システムにおける微粒子の散乱パターンを示す図である。 【図11】(a)~(d)本発明の実施例1に係る光計測システムにおける微粒子の散乱パターンを示す図である。 【図12】(a)~(f)本発明の実施例1に係る光計測システムにおける微粒子の散乱パターンを示す図である。 【図13】(a)~(d)本発明の実施例1に係る光計測システムにおける微粒子の散乱パターンを示す図である。 【図14】(a)~(e)本発明の実施例1に係る光計測システムにおける微粒子の散乱パターンを示す図である。 【図15】本発明の実施例1に係る光計測システムによる微粒子の散乱パターンについて、シミュレーションを行う際の概略構成図である。 【図16】本発明の実施例1に係る光計測システムによる微粒子の散乱パターンについて、シミュレーションを行う際の概略構成図である。 【図17】本発明の実施例1に係る光計測システムを用いて散乱させた、微粒子の散乱パターンについてのシミュレーション結果を示すグラフである。 【図18】本発明の実施例1に係る光計測システムを用いて散乱させた、微粒子の散乱パターンについてのシミュレーション結果を示すグラフである。 【図19】本発明の実施例1に係る光計測システムを用いて散乱させた、微粒子の散乱パターンについてのシミュレーション結果を示すグラフである。 【図20】本発明の実施例1に係る光計測システムを用いて散乱させた、微粒子の散乱パターンについてのシミュレーション結果を示すグラフである。 【図21】(a)~(d)本発明の実施例1に係る光計測システムにおける微粒子の散乱パターンを示す図である。(e)散乱パターンから推定される微粒子の概形図である。 【図22】(a)~(d)本発明の実施例1に係る光計測システムにおける微粒子の散乱パターンを示す図である。 【図23】(a)~(d)本発明の実施例1に係る光計測システムにおける微粒子の散乱パターンを示す図である。(e)散乱パターンから推定される微粒子の概形図である。 【図24】本発明の実施例1に係る光計測システムにおける微粒子について、光学顕微鏡で観察して得た概形図である。 【図25】本発明の実施例2に係る光計測システムにおける微粒子の吸収スペクトルを示すグラフである。 【図26】本発明の実施例2に係る光計測システムによる微粒子の散乱パターンについて、シミュレーションを行う際の概略構成図である。 【図27】本発明の実施例2に係る光計測システムにおける微粒子の吸収スペクトルを示すグラフである。 【図28】本発明の実施例2に係る光計測システムにおける微粒子の消光係数の波長依存性を示すグラフである。 【図29】本発明の比較例1に係る光計測システムにおける微粒子の吸収スペクトルを示すグラフである。 【図30】本発明の比較例2に係る光計測システムにおける微粒子の吸収スペクトルを示すグラフである。 【図31】本発明の比較例3に係る光計測システムによる微粒子の散乱パターンについて、シミュレーションを行う際の概略構成図である。 【図32】本発明の比較例3に係る光計測システムにおける微粒子の吸収スペクトルを示すグラフである。 【図33】本発明の実施例3に係る光計測システムにおける微粒子の吸収スペクトルについて、自動分類する方法を説明する図である。 【図34】本発明の実施例3に係る光計測システムにおける微粒子の吸収スペクトルについて、自動分類する方法を説明する図である。 【図35】本発明の実施例3に係る光計測システムにおける微粒子の吸収スペクトルについて、自動分類する方法を説明する図である。 【発明を実施するための形態】 【0028】 以下、本発明を適用した実施形態である光計測システムおよび光計測方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。