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明細書 :共重合体および共重合体の製造方法、ならびに前記共重合体を含有するメッキ助剤、ポリエチレン系樹脂の成形品

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-080329 (P2018-080329A)
公開日 平成30年5月24日(2018.5.24)
発明の名称または考案の名称 共重合体および共重合体の製造方法、ならびに前記共重合体を含有するメッキ助剤、ポリエチレン系樹脂の成形品
国際特許分類 C08F 220/00        (2006.01)
C08F 216/12        (2006.01)
C08F 218/00        (2006.01)
C08F 212/12        (2006.01)
C08J   7/04        (2006.01)
C23C  18/30        (2006.01)
C23C  18/20        (2006.01)
FI C08F 220/00
C08F 216/12
C08F 218/00
C08F 212/12
C08J 7/04 CESE
C23C 18/30
C23C 18/20 Z
請求項の数または発明の数 15
出願形態 OL
全頁数 20
出願番号 特願2017-213035 (P2017-213035)
出願日 平成29年11月2日(2017.11.2)
新規性喪失の例外の表示 新規性喪失の例外適用申請有り
優先権出願番号 2016216577
優先日 平成28年11月4日(2016.11.4)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】八尾 滋
【氏名】中野 涼子
【氏名】内野 智仁
出願人 【識別番号】598015084
【氏名又は名称】学校法人福岡大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100099508、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 久
【識別番号】100182567、【弁理士】、【氏名又は名称】遠坂 啓太
【識別番号】100197642、【弁理士】、【氏名又は名称】南瀬 透
審査請求 未請求
テーマコード 4F006
4J100
4K022
Fターム 4F006AA12
4F006AB24
4F006BA01
4F006CA04
4F006CA08
4J100AB01Q
4J100AB04P
4J100AE02P
4J100AE05P
4J100AE09Q
4J100AG02P
4J100AG05P
4J100AG08Q
4J100AL04P
4J100AL05P
4J100AL08Q
4J100AM17P
4J100AM19P
4J100AM21Q
4J100BA03Q
4J100BA05Q
4J100BA06Q
4J100BA08Q
4J100BA30Q
4J100BA31Q
4J100BC54Q
4J100BD04Q
4J100CA04
4J100CA25
4J100CA31
4J100DA01
4J100DA04
4J100FA03
4J100FA19
4J100FA28
4J100FA30
4J100FA35
4J100FA43
4J100HA61
4J100HC28
4J100HC44
4J100HG01
4J100JA15
4J100JA43
4K022AA19
4K022BA08
4K022CA06
4K022CA09
4K022DA01
要約 【課題】
従来、メッキ処理が困難と言われていたポリエチレン系樹脂等の成形品にメッキ処理するための技術として、メッキ助剤用の共重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】
メッキ助剤用の共重合体の製造方法であって、前記メッキ助剤用の共重合体が、第1のモノマー(A)と、第2のモノマー(B)との共重合体であり、前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、前記モノマー(B)が、その側鎖に金属吸着能を付与するための構造を有するモノマーである共重合体の製造方法。
【選択図】 図4
特許請求の範囲 【請求項1】
メッキ助剤用の共重合体の製造方法であって、前記メッキ助剤用の共重合体が、第1のモノマー(A)と、第2のモノマー(B)との共重合体であり、
前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、
前記モノマー(B)が、その側鎖に金属吸着能を付与するための構造を有するモノマーである共重合体の製造方法。
【請求項2】
前記モノマー(B)の側鎖が、アミン構造またはキレートとなる構造を有することで金属吸着能を有するモノマーである請求項1記載の共重合体の製造方法。
【請求項3】
前記モノマー(B)が、3級アミンの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである請求項1記載の共重合体の製造方法。
【請求項4】
前記モノマー(B)が、オキシラニル基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである請求項1記載の共重合体の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の共重合体の製造方法により得られた共重合体の前記モノマー(B)由来のオキシラニル基に、3級アミンを有する化合物を反応させることで、オキシラニル基の一部を3級アミンの側鎖とすることを特徴とする共重合体の製造方法。
【請求項6】
メッキ助剤用の共重合体の製造方法であって、前記メッキ助剤用の共重合体が、第1のモノマー(A)と、第2のモノマー(B)との共重合体であり、
前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、
前記モノマー(B)が、その側鎖にオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである共重合体の製造方法。
【請求項7】
前記共重合体が、前記モノマー(A)が重合した部分であるモノマー(A)由来重合ブロックと、前記モノマー(B)が重合した部分であるモノマー(B)由来重合ブロックとを有するブロック共重合体であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の共重合体の製造方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の共重合体の製造方法により製造された共重合体を溶媒に分散させメッキ助剤液を調製する助剤液調製工程と、
前記メッキ助剤液に、樹脂成形品を接触させて前記樹脂成形品の表層に前記共重合体の層を設ける表層修飾工程と、
前記共重合体の層が設けられた樹脂成形品を、ナノ金属分散液に接触させて前記共重合体層にナノ金属層を設ける表層触媒化工程と、
前記ナノ金属層が設けられた樹脂成形品を、無電解メッキ処理することで、前記ナノ金属層を介して樹脂成形品にメッキ処理層を設けるメッキ処理工程と
を有することを特徴とする樹脂成形品のメッキ処理方法。
【請求項9】
前記樹脂成型品が、ポリエチレン系樹脂の成形品であることを特徴とする請求項8記載のメッキ処理方法。
【請求項10】
前記ポリエチレン系樹脂の成形品が、LDPEを含有する樹脂により成形された成形品であることを特徴とする請求項9記載のメッキ処理方法。
【請求項11】
第1のモノマー(A)由来の構造と、第2のモノマー(B)由来の構造とを有するメッキ助剤用の共重合体であって、
前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、
前記モノマー(B)が、金属吸着能を付与するための側鎖を有し、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである共重合体。
【請求項12】
前記モノマー(B)由来の構造が金属吸着能を有する請求項11記載の共重合体。
【請求項13】
第1のモノマー(A)由来の構造と、第2のモノマー(B)由来の構造とを有するメッキ助剤用の共重合体であって、
前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、
前記モノマー(B)が、その側鎖にオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである共重合体。
【請求項14】
請求項11~13のいずれかに記載の共重合体を含有するメッキ助剤。
【請求項15】
請求項11~13のいずれかに記載の共重合体を含有する層と、メッキ層とを有するポリエチレン系樹脂の成形品。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、共重合体および共重合体の製造方法に関する。また、その共重合体を含有するメッキ助剤、そのメッキ助剤を用いたメッキ方法に関する。これらは、ポリエチレン系樹脂等のメッキに適した技術である。また、本発明は共重合体を含有する層とメッキ層とを有するポリエチレン系樹脂の成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン(PE)は、廉価で、疎水性や耐薬品性に優れていることなどから、容器や包装材等に広く利用されている樹脂である。一方で、ポリエチレンは、表面特性の改質が難しく、本来備えている性質の範囲にその用途が制限されていた。
【0003】
本発明者らは、ポリエチレンの表面特性を改質し、例えば親水性や接着性を付与することができる、側鎖結晶性ブロック共重合体(SCCBC:Side Chain Crystalline Block Copolymer)を利用する技術を提供してきた。例えば、本発明者らは、長鎖アルカン基を保有し側鎖結晶性を示すモノマーと溶媒親和性を示すモノマーを用いたブロック共重合体である、SCCBCを用いた表面修飾材料を開示している(特許文献1)。
【0004】
一方、プラスチック樹脂へのメッキは、製品の外観を高級化させたり、耐熱性、耐擦過性、耐衝撃性、耐候性などの機械的性質を向上させるために従来から広く行われている。これらの従来のメッキは、ABS樹脂、ナイロン(ポリアミド)樹脂などに行われるものだった。これは、プラスチック樹脂等にメッキを行うためには、プラスチック樹脂にメッキが密着するための表面状態を形成する表面処理があるためであり、その表面処理に適した樹脂が限られていたためである。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2015-229725号公報
【0006】

【非特許文献1】X. P. ZOU, E. T. KANG*, and K. G. NEOH ,“PE Adhesion Enhancement of Evaporated Copper on HDPE Surface Modified by Plasma Polymerization of Glycidyl Methacrylate.”, POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE, OCTOBER 2001, Vol. 41, No. 10
【非特許文献2】JU-SHIK KONG, DONG-JIN LEE, HAN-DO KIM ,“PE SurfaceModification of Low-DensityPolyethylene (LDPE)”, Journal of Applied Polymer Science, Vol. 82, 1677-1690 (2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プラスチック樹脂へのメッキについては、金属光沢調の種々の製品を作るためや、プリント配線板のように金属メッキ層の金属としての特徴と、基盤のプラスチックとしての特徴とを活用するためのように、様々な用途が期待される。しかし、ポリエチレンへのメッキについては、ABS樹脂等へのメッキを行う技術を転用することが難しく、プラズマ照射などによるエッチングを施しメッキ処理を行う手法等が検討(例えば、非特許文献1~2)されているが、十分には実用化や市販化に至っていない。
【0008】
これは、ポリエチレンが強酸・強アルカリに耐性を有するため、その表面が粗化されにくくメッキに適した状態に改質しにくいことによるものと考えられている。さらには、ポリエチレンは極性構造を持たないことからもメッキを行いにくい。プラズマ照射などを行うなどの手法でメッキができる可能性が示唆されることもあるが、ポリエチレン系樹脂成形品全体への影響も大きく採用しにくかったり、成形品の形態によっては表面改質される場所を調整しにくかったり、メッキができても表面状態が不均一なため部分的なメッキとなったり均質性が低いものであった。
【0009】
係る状況下、本発明者らは、SCCBCの技術を応用し、ポリエチレン系樹脂の成形品との接着性に優れた構造と金属吸着能を有する構造とを有するSCCBCをポリエチレン系樹脂の成形品の表層に設けることで、この層を介してメッキすることで、ポリエチレン系樹脂の成形品にメッキ層を設けやすくなることを見出した。すなわち、本発明の目的は、ポリエチレン系樹脂等の成形品にメッキ処理するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> メッキ助剤用の共重合体の製造方法であって、前記メッキ助剤用の共重合体が、第1のモノマー(A)と、第2のモノマー(B)との共重合体であり、
前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、
前記モノマー(B)が、その側鎖に金属吸着能を付与するための構造を有するモノマーである共重合体の製造方法。
<2> 前記モノマー(B)の側鎖が、アミン構造またはキレートとなる構造を有することで金属吸着能を有するモノマーである前記<1>記載の共重合体の製造方法。
<3> 前記モノマー(B)が、3級アミンの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである前記<1>記載の共重合体の製造方法。
<4> 前記モノマー(B)が、オキシラニル基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである前記<1>記載の共重合体の製造方法。
<5> 前記<4>記載の共重合体の製造方法により得られた共重合体の前記モノマー(B)由来のオキシラニル基に、3級アミンを有する化合物を反応させることで、オキシラニル基の一部を3級アミンの側鎖とする共重合体の製造方法。
<6> メッキ助剤用の共重合体の製造方法であって、前記メッキ助剤用の共重合体が、第1のモノマー(A)と、第2のモノマー(B)との共重合体であり、
前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、
前記モノマー(B)が、その側鎖にオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである共重合体の製造方法。
【0012】
<7> 前記共重合体が、前記モノマー(A)が重合した部分であるモノマー(A)由来重合ブロックと、前記モノマー(B)が重合した部分であるモノマー(B)由来重合ブロックとを有するブロック共重合体である前記<1>~<6>のいずれかに記載の共重合体の製造方法。
<8> 前記<1>~<7>のいずれかに記載の共重合体の製造方法により製造された共重合体を溶媒に分散させメッキ助剤液を調製する助剤液調製工程と、
前記メッキ助剤液に、樹脂成形品を接触させて前記樹脂成形品の表層に前記共重合体の層を設ける表層修飾工程と、
前記共重合体の層が設けられた樹脂成形品を、ナノ金属分散液に接触させて前記共重合体層にナノ金属層を設ける表層触媒化工程と、
前記ナノ金属層が設けられた樹脂成形品を、無電解メッキ処理することで、前記ナノ金属層を介して樹脂成形品にメッキ処理層を設けるメッキ処理工程とを有する樹脂成形品のメッキ処理方法。
<9> 前記樹脂成型品が、ポリエチレン系樹脂の成形品である前記<8>記載のメッキ処理方法。
<10> 前記ポリエチレン系樹脂の成形品が、LDPEを含有する樹脂により成形された成形品である前記<9>記載のメッキ処理方法。
【0013】
<11> 第1のモノマー(A)由来の構造と、第2のモノマー(B)由来の構造とを有するメッキ助剤用の共重合体であって、
前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、
前記モノマー(B)が、金属吸着能を付与するための側鎖を有し、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである共重合体。
<12> 前記モノマー(B)由来の構造が金属吸着能を有する前記<11>記載の共重合体。
<13> 第1のモノマー(A)由来の構造と、第2のモノマー(B)由来の構造とを有するメッキ助剤用の共重合体であって、
前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、
前記モノマー(B)が、その側鎖にオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーある共重合体。
<14> 前記<11>~<13>のいずれかに記載の共重合体を含有するメッキ助剤。
<15> 前記<11>~<13>のいずれかに記載の共重合体を含有する層と、メッキ層とを有するポリエチレン系樹脂の成形品。
【発明の効果】
【0014】
本発明のメッキ方法によれば、ポリエチレン系樹脂の成形品のような従来メッキ処理が困難と言われていた樹脂成形品にメッキ処理を行うことができる。また、本発明はこのメッキ処理に適したメッキ助剤等を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る共重合体の製造例を説明するための反応式である。
【図2】本発明に係る共重合体のIRスペクトルを示す図である。
【図3】本発明に係る共重合体を用いて表面修飾および表層触媒化したときのIRスペクトルを示す図である。
【図4】本発明によりメッキ処理したフィルムの外観を示す図である。
【図5】本発明に係るメッキ処理フィルムのXRD分析結果を示す図である。
【図6】本発明に係るメッキ処理フィルムのSEM観察像を示す図である。
【図7】本発明によるメッキ処理前後の多孔質膜の外観を示す図である。
【図8】実施例4に係るメッキ処理の結果を示す写真である。
【図9】実施例5に係るメッキ処理の結果を示す写真である。
【図10】実施例6に係るメッキ処理の結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。

【0017】
本発明の共重合体の製造方法は、メッキ助剤用の共重合体の製造方法であって、前記メッキ助剤用の共重合体が、第1のモノマー(A)と、第2のモノマー(B)との共重合体であり、前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、前記モノマー(B)が、その側鎖に金属吸着能を付与するためのモノマーである共重合体の製造方法に関する。

【0018】
また、本発明の共重合体は、第1のモノマー(A)由来の構造と、第2のモノマー(B)由来の構造とを有するメッキ助剤用の共重合体であって、前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、前記モノマー(B)が、金属吸着能を付与するための側鎖を有し、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーに関する。なお、本願において、本発明の共重合体は、本発明の共重合体の製造方法により製造することができる。

【0019】
[第1のモノマー(A)]
本発明に係る共重合体の製造方法は、ポリエチレンに代表されるようなメッキ対象の樹脂との接着性が優れたSCCBCを得るために第1のモノマー(A)を選択して用いる。そして本発明の共重合体は、このモノマー(A)由来の構造単位を有する。

【0020】
この第1のモノマー(A)として、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーを用いる。この側鎖の炭素数や構造に応じて、ポリエチレン系樹脂の成形品との接着性を調整することができる。なお、ここで、本願において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタアクリレートの両者を意味する。同様に、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミドおよびメタアクリルアミドの両者を意味する。

【0021】
その側鎖として、アルカン鎖を有するものを用いるとき、その炭素数は8以上であることが好ましい。なお、このアルカン鎖は直鎖状のアルカン鎖であることが好ましい。一方、その上限は、共重合体として重合することができ、ポリエチレンとの接着性を維持することができる範囲で適宜設定することができる。具体的な上限としては、現実的には50以下が好ましく、40以下がより好ましく、30以下がさらに好ましい。アルカン鎖が大きすぎると共重合体として適当な立体構造がとれなかったり、重合条件の設定が難しくなったりする場合がある。

【0022】
このような側鎖を有する具体的なモノマーとしては、側鎖が、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ステアリル基、ドコシル基およびベヘニル基からなる群から選択されるいずれかのアルキル基を有する(メタ)アクリレートがあげられる。これらのモノマーは、本発明の共重合体の重合反応条件の設定が行いやすく、また、これらのモノマーを用いた共重合体は優れた撥水性を付与しやすい。

【0023】
本発明の共重合体に用いられるモノマー(A)は、前述したアルカン鎖の側鎖を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン、置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである。これらの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン、置換スチレンといった構造が、共重合体としてのモノマー(A)由来の構造の主鎖を形成する。

【0024】
[第2のモノマー(B)]
本発明に係る共重合体の製造方法は、メッキを行ったときメッキ助剤に用いたSCCBCを介してそのメッキ層が形成されやすいように第2のモノマー(B)を選択して用いる。そして本発明の共重合体は、このモノマー(B)由来の構造単位を有する。

【0025】
前記モノマー(B)は、その側鎖に金属吸着能を付与するためのモノマーである。ここで「金属吸着能」とは、分子構造に極性基を有するために金属や金属イオンと吸着特性を示したり、金属や金属イオンと化学結合したり、錯形成しやすい分子構造が共重合体内に設けられ、その構造が被処理物(ポリエチレン樹脂の成形品等)の表層に配置されることで金属や金属イオンが担持され吸着・保持される性質を有することをいう。具体的な金属吸着能を示す分子構造としては、アミンや、キレート等があげられ、これらの構造が側鎖になるような共重合体の主鎖構造を有する化合物が、モノマー(B)として使用することができる。または、モノマー(A)と、モノマー(B)との共重合体を形成させた後、そのモノマー(B)の側鎖を金属吸着構造(前述したアミンやキレート等)に改質することができるものを用いることもできる。この改質は、重合直後のモノマー(B)由来の側鎖としては反応性基となり、その反応性基と反応して金属吸着能を有する側鎖となる化合物を反応させて、金属吸着能を有することもできる。また、キレートを側鎖とするとき、いわゆるキレート樹脂の側鎖構造を利用できる。キレート樹脂は官能基の構造により金属元素との錯形成能が調整でき、この錯形成により金属吸着することができる。たとえば、イミノ二酢酸(IDA)基、低分子ポリアミン基、アミノリン酸基、イソチオニウム基、ジチオカルバミン酸基、グルカミン基等の種々の官能基をもつキレート樹脂の構造となるように、モノマー(B)を選択して利用することができる。

【0026】
この前記モノマー(B)を具体的に例示すると、3級アミンを有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーが好ましいモノマーとしてあげられる。このモノマーは、3級アミンが共重合体の側鎖となり金属吸着能を発揮する。さらに、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかは、共重合体の主鎖を形成する。

【0027】
または、この前記モノマー(B)として、オキシラニル基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーが好ましいモノマーとしてあげられる。
これらのモノマーを用いて得られる共重合体は、側鎖にオキシラニル基を有するものとなる。この側鎖のオキシラニル基を反応性基として、イミノ二酢酸を反応させると、側鎖に、イミノ二酢酸由来の3級アミンの構造を有するものとなり、金属吸着能を有するものとなる。(図1参照)

【0028】
また、本発明は、メッキ助剤用の共重合体の製造方法であって、前記メッキ助剤用の共重合体が、第1のモノマー(A)と、第2のモノマー(B)との共重合体であり、前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、前記モノマー(B)が、その側鎖にオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである共重合体の製造方法とすることができる。また、このモノマー(A)と、モノマー(B)として側鎖にオキシアルキレン基を有するモノマーを用いた共重合体とすることができる。このような共重合体をメッキ助剤として用いることで、非常に優れた樹脂成形品に対するメッキ接着性を奏することができる。

【0029】
この第1のモノマー(A)は前述したものを同様に用いることができる。そして第2のモノマー(B)として、その側鎖にオキシアルキレン基を有するモノマーを用いるものである。ここで、オキシアルキレン基とは、一般式-(Cn2nO)-で表される基である。この一般式において、nは1~10までの整数であることが好ましい。例えば、nが1のとき、オキシメチレン、nが2の時オキシエチレンと呼ばれる。これらのオキシアルキレン基が複数つながることで、ポリオキシアルキレン基と呼ばれる。これらのオキシアルキレン基や、ポリオキシアルキレン基を有するモノマーを第2のモノマー(B)として用いて共重合体を作成しメッキ助剤として利用することで、優れたメッキ接着性を奏することができる。ポリオキシアルキレン基を側鎖に有するモノマーとしては、例えば、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート(CH2=CH(CO)O(CH2—CH2—O—)225)、ポリエチレングリコール-モノアクリレート(CH2=CH(CO)O(CH2—CH2—O—)nH)(n=2~10)、メトキシ-ポリエチレングリコール-アクリレート(CH2=CH(CO)O(CH2—CH2—O—)nCH3)(n=2~9)などが挙げられる。より具体的には、ポリ(エチレングリコール)モノアクリレート(Poly(ethylene glycol) monoacrylate(PGMA))などがあげられる。

【0030】
本発明の共重合体は、前述したモノマー(A)と、モノマー(B)との共重合体である。本発明の共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、トリブロック共重合体等のいずれであってもよいが、好ましくは、ブロック共重合体である。また、本発明の共重合体を製造する方法においても、前記共重合体が、前記モノマー(A)が重合した部分であるモノマー(A)由来重合ブロックと、前記モノマー(B)が重合した部分であるモノマー(B)由来重合ブロックとが、それぞれのブロックを形成しながら結合しているブロック共重合体となるように製造することが好ましい。ブロック共重合体とすることで、モノマー(A)の構造ユニットと、モノマー(B)の構造ユニットとのそれぞれの機能が十分に発揮されやすくなる。モノマー(A)とモノマー(B)との共重合体は、各種リビング重合法(ラジカル、アニオン、カチオン)等の公知の技術により重合することが可能である。リビングラジカル重合法としては、NMP法やATRP法、RAFT法などを用いることができる。

【0031】
例えば、メッキ対象となるポリエチレン系樹脂成形品と化学結合する側鎖を有するモノマー(A)を選択する工程でモノマー(A)を選択する。また、メッキ助剤としての金属吸着能を付与するために第2のモノマー(B)を選択する工程でモノマー(B)を選択する。そして、ここで選択されたモノマー(A)を重合溶媒に開始剤と共に混合してモノマー(A)混合溶液を調製するモノマー(A)混合溶液調製工程を行う。次に、この混合溶液調製工程で調製されたモノマー(A)混合溶液を、適当な重合温度(例えば約90~120℃)で、リアクター内で適宜撹拌しながら、窒素雰囲気等の下でリビングラジカル重合等の開始剤の重合機構に基づくモノマー(A)重合工程を行い、モノマー(A)ブロック重合体を得る。さらに、このモノマー(A)ブロック重合体を混合させている溶液に、別途選択されているモノマー(B)を混合して、溶液中のラジカル等によってさらにモノマー(B)を重合させるモノマー(B)重合工程を行う。これにより、モノマー(A)由来ブロックとモノマー(B)由来ブロックを有するブロック共重合体を得ることができる。モノマー(A)とモノマー(B)との重合を行う順序は、重合させようとするモノマー種や分子量、それぞれの重合条件等に応じて変更してもよい。

【0032】
本発明の共重合体において、第1のモノマー(A)由来の構造に対応する分子量(g/mol)と、第2のモノマー(B)由来の構造に対応する分子量(g/mol)とは、それぞれ500以上であることが好ましい。第1のモノマー(A)由来の構造に対応する分子量が500以上であることで、基材となるポリエチレン系樹脂に、より強固に接着することができる。第1のモノマー(A)由来の構造に対応する分子量は、1,000以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましい。

【0033】
また、第2のモノマー(B)由来の構造に対応する分子量が500以上であることで、より金属吸着能を付与するための構造を十分に有する共重合体とすることができる。第2のモノマー(B)由来の構造に対応する分子量は、1,000以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましい。共重合体は、第1のモノマー(A)及び第2のモノマー(B)からなるものであってもよいし、本発明の目的を損なわない範囲でさらにその他のモノマーを含んでいてもよい。なお、これらの分子量は、GPCにより得られる結果から、ポリスチレン換算で求めることができる値「Mw:重量平均分子量」である。また、モノマー(B)由来の構造は溶媒に溶けにくいことから分子量を測定しにくい場合がある。そのような場合には、元素分析、IR、NMRなどの手法により各々の分子量を算出することができる。

【0034】
本発明の共重合体の一例として、下記化学式(I)で表されるポリマーが挙げられる。これは、モノマー(A)として、ベヘニルアクリレート(BHA:側鎖のアルカン鎖が、炭素数22の直鎖状のアルカン基である。)を重合させ、その後、モノマー(B)としてメタクリル酸2-(tert-ブチルアミノ)エチル(2-(tert-Butylamino)ethyl methacrylate:TBAEMA)を用いて共重合させたブロック共重合体である。これは、いわゆるAB型のブロック共重合体である。この共重合体は、モノマー(A)であるBHA由来の構造によりポリエチレン系樹脂成形品への接着性を示すブロック共重合体部を有し、一方で、モノマー(B)であるTBAEMA由来のアミン基構造により、ポリエチレン系樹脂成形品等の基材(被処理物)に金属吸着能を付与することができる。なお、化学式(I)において、nは2~1,000であることが好ましく、mは2~1,000程度であることが好ましい。このnは、より安定してポリエチレン系樹脂の成形品と結合させるためには5以上や、10以上とすることがより好ましい。一方、このmは金属吸着能の程度に応じて選択され、より安定した改質効果を得るためには5以上や、10以上とすることがより好ましい。これらのnおよびmは、それぞれの効果が十分に得られる範囲で、それぞれ800以下や、500以下としてもよい。

【0035】
【化1】
JP2018080329A_000003t.gif

【0036】
本発明の共重合体は、メッキ助剤に用いられる。ここで本発明の共重合体を利用するメッキは、本発明の共重合体のモノマー(A)由来の構造が安定して接着する基材を対象とするメッキを行う。特に、一般的にメッキ処理が難しいとされているポリエチレン系樹脂成形品を対象とするが、このような成形品はそのものが非導電性素材である。このような非導電性素材に対するメッキ方法としては自己触媒型の無電解メッキが代表的な手法であり、場合によってはさらに電気メッキも行われることがある。無電解メッキで行われる典型的なメッキとしてはニッケルメッキや、銅メッキがあげられる。

【0037】
これらのメッキを一連に行う代表的な方法としては、
(工程1)本発明の共重合体の製造方法により製造された共重合体を溶媒に分散させメッキ助剤液を調製する助剤液調製工程、
(工程2)前記メッキ助剤液に、樹脂成形品を接触させて前記樹脂成形品の表層に前記共重合体の層を設ける表層修飾工程、
(工程3)前記共重合体の層が設けられた樹脂成形品を、ナノ金属分散液に接触させて前記共重合体層にナノ金属層を設ける表層触媒化工程、
(工程4)前記ナノ金属層が設けられた樹脂成形品を、無電解メッキ処理することで、前記ナノ金属層を介して樹脂成形品にメッキ処理層を設けるメッキ処理工程、
前記(工程1)~(工程4)の工程を有することを特徴とする樹脂成形品のメッキ処理方法とすることができる。

【0038】
本発明の共重合体は前述したようなメッキを行うためのメッキ助剤に用いられる。このメッキ助剤とは、ポリエチレン系樹脂成形品のメッキ場所となる任意の場所に、本発明の共重合体の層を設けやすいように調製されたものである。例えば、最も活用しやすい液状とするときは、本発明の共重合体は、適宜本発明の共重合体が分散や溶解可能な溶媒等に混合させ、メッキ助剤液等にされる。このために、(工程1)の本発明の共重合体の製造方法により製造された共重合体を溶媒に分散させメッキ助剤液を調製する助剤液調製工程を行う。

【0039】
この溶媒としては、共重合体の具体的な構造にもよるが、酢酸ブチル等が好適に使用される。また、そのときの濃度も、ポリエチレン系樹脂成形品全体への塗工性を高めるときは低濃度で低粘性のものとして塗工したり、特定の部位に部分的に塗工する場合、高粘度の流動性が低い状態で使用することもできる。

【0040】
次に、一部前述したようにメッキ助剤はポリエチレン系樹脂成形品に塗工して用いられる。例えば、液状のものを用いるときは、(2)前記メッキ助剤液に、樹脂成形品を接触させてポリエチレン系樹脂の表層に前記共重合体の層を設ける表層修飾工程とする。この樹脂成形品との接触は、SCCBCの分散液中に浸漬させたり、任意の位置に刷毛やスプレー、コーター等の塗工手段で塗工したりといった方法で接触させる。そして、分散液中の溶媒は乾燥処理を行う等で除去することで、ポリエチレン系樹脂成形品の表層に共重合体の層を設けることが一般的である。

【0041】
前記した工程で、前記共重合体の層が設けられた樹脂成形品を得ることができるため、この層を利用して、無電解メッキ等の技術を適用してメッキ層を得ることができる。代表的な工程としては、まず、前述した(3)ナノ金属分散液に接触させて前記共重合体層にナノ金属層を設ける表層触媒化工程を行う。そのあと、さらに、(4)前記ナノ金属層が設けられた樹脂成形品を、無電解メッキ処理することで、前記ナノ金属層を介して樹脂成形品にメッキ処理層を設けるメッキ処理工程を行う。これにより、ポリエチレン系樹脂の成形品の表層に安定したメッキ層を設けることができる。

【0042】
このような本発明の共重合体やメッキ助剤等を用いて、本発明は、共重合体の層と、メッキ層とを有するポリエチレン系樹脂の成形品とすることもできる。このメッキ層を有する成形品は、前述した製造方法により得られることからも、ポリエチレン系樹脂、共重合体の層、メッキ層の順に配置された構成となる。また、この成形品であることは、各層を剥離しながら分析したり、切断面の成分分析を行うなどの手法で確認することができる。

【0043】
本発明は、ポリエチレン系樹脂の成形品全般に適用できる。ここで、ポリエチレン系樹脂の成形品とは、エチレンを重合することで得られるメチレンが連続する主鎖構造を有する樹脂(ポリマー)を含有する成形品を指す。一般にポリエチレン系樹脂の成形品としては、ポリエチレン構造のみの樹脂の濃度が高い成形品から、ポリエチレンに他の構造を共重合させたポリエチレン系樹脂を用いた成形品や、これらの樹脂に、適宜、ポリエチレン以外のポリオレフィン等の樹脂や成形助剤、顔料、紫外線吸収剤等の機能性付与剤を含有させ、一部不純物等が含まれた状態の混合物を用いた成形品等が用いられている。本発明においては、本発明により改質することができる範囲で、これらのポリエチレン系樹脂の成形品を改質対象となる基材として選択することができる。また、適宜その状態や構造等に応じて、モノマー(A)やモノマー(B)、本発明に係る共重合体を塗工するための溶剤等を選択して、様々なポリエチレン系樹脂の成形品に適した改質を行うことができる。また、成形品の成形形態としては、特に限定されず、例えば、シート、板、繊維、多孔質材料などの成形体が挙げられる。成形体の表層にあたる表面のみではなく、さらに孔内など、その内部にも浸透させて多孔質材料の全体を改質することができる。このポリエチレン系樹脂としては、特にLDPEを主とする(例えば、50重量%以上含有)ものを用いることで、非常にメッキの安定性に優れたものを製造することができる。

【0044】
本発明により得られるメッキされた成形品は、メッキ層の金属種の特性を表層に有するものとなる。これは、構造物としてメッキされた樹脂成形品の従来の用途にも利用できるし、そのメッキ層の特性を利用した用途の拡大も期待される。また、このとき、その形状等は、各種構造物から、シート、フィルム、繊維状と、ポリエチレン系樹脂をベースとしていることからも、その成形品としての多様性を利用した種々の形状とすることができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
<評価項目>
[IRスペクトル]
Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光分析装置「Spectrum two(登録商標)」を用いて、測定した。
[XRD]
島津製作所製 X線回折装置「XRD-6100」を用いて測定した。
[SEM]
日本電子株式会社性 走査電子顕微鏡「JSM-6060」を用いて測定した。
【実施例】
【0047】
<重合体の製造>
[原料]
[モノマー(A)]
・モノマー(A-1-1):BHA
ベヘニルアクリレートを用いた。このモノマーは、炭素数22のアルカン鎖を側鎖に有するモノマーである。
【実施例】
【0048】
[モノマー(B)]
・モノマー(B-1-1):TBAEMA
メタクリル酸2-(tert-ブチルアミノ)エチル(2-(tert-Butylamino)ethyl methacrylate:TBAEMA)を用いた。このモノマーは、側鎖に3級アミンを有し、メタクリレート構造が、主鎖となるモノマーである。
【実施例】
【0049】
・モノマー(B-2-1):DEAEA
2-(Diethylamino) ethyl Acrylate
【実施例】
【0050】
・モノマー(B-2-2):DMAEA
2-(Dimethylamino) ethyl Acrylate
【実施例】
【0051】
・モノマー(B-3-1):PGMA
ポリ(エチレングリコール)モノアクリレート(Poly(ethylene glycol) monoacrylate)
【実施例】
【0052】
[重合開始剤] Bloc Builder MA No.33(アルケマ社製)
[ラジカル発生剤] アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)
[溶媒] 酢酸ブチル
【実施例】
【0053】
[基材]
[LDPEフィルム]“UBEスーパーポリエチレン UMERIT 4540F”(宇部興産製)
[HDPEフィルム]“EL-N-AN”(新神戸電機株式会社製製)
[多孔膜]“Mykrolis (0.1μm)”(Entegris社製)
【実施例】
【0054】
[UPE多孔膜(内径0.5μm)]“Mykrolis (0.5μm)”(Entegris社製)
[UPE多孔膜(内径(10nm))“Mykrolis (10nm)”(Entegris社製)
【実施例】
【0055】
[ナノパラジウム分散液] “ナノパラジウム分散液”(株式会社ルネッサンス・エナジー・リサーチ社社製)
[無電解銅メッキ浴]“OPCカッパーNCA”(奥野製薬工業株式会社製)
【実施例】
【0056】
[メッキ助剤用の共重合体の設計]
ポリエチレン系樹脂の成形品に、メッキするための助剤に用いる共重合体(1)の設計を試みた。まず、ポリエチレン系樹脂との接着性を得るために、炭素数22のアルカン鎖を側鎖として有するアクリレートである、BHA(モノマー(A-1-1))を選択した。次に、金属吸着能を有するモノマーとして3級アミンの側鎖を有するアクリレートである前記モノマー(B-1-1)を選択した。そして、ここで選択されたモノマーを用いて、ポリエチレン系樹脂の成形品に、メッキするための助剤に用いる共重合体(1)の製造を行った。
【実施例】
【0057】
[共重合体(1)の調製]
BHA6.7g、酢酸ブチル6.7g、開始剤0.385gを混合した溶液を、重合温度約105℃、リアクターの撹拌速度75rpm、窒素雰囲気下でリビングラジカル重合することにより、第1のモノマー(A)であるBHA(モノマー(A-1-1))のブロック重合体を製造した。さらに、これにより得られたBHAのブロック重合体の溶液に、第2のモノマー(B)であるTBAEMA(モノマー(B-1-1))を3.61g、酢酸ブチルを3.76g投入してモノマー(A-1-1)とモノマー(B-1-1)のブロック共重合体である共重合体(1)を得た。この共重合体(1)の構造式を式(I)として示す。なお、得られた共重合体(1)の分子量(Mw:重量平均分子量)を、GPCにより測定し、ポリスチレン換算にて求めた。モノマー(A-1-1)由来の構造は推算値として約5,000(g/mol)、モノマー(B-1-1)由来の構造が約6,000(g/mol)、Mw/Mnが1.1の共重合体であった。また、共重合体(1)のIR分析を行った結果を図2に示す。共重合体(1)(SCCBC)は、原料となるモノマーの双方由来のピークを有しており、共重合体となっていることを確認することができた。
【実施例】
【0058】
[共重合体(2)の調製]
前記共重合体(1)の調製においてTBAEMA(モノマー(B-1-1))に代え、DEAEA(モノマー(B-2-1))を用いて、前記共重合体(1)の調製に準じて、共重合体(2)の製造を行った。モノマー(A-1-1)由来の構造は推算値として約8,107(g/mol)、モノマー(B-2-1)由来の構造が約1,321(g/mol)の共重合体であった。また、共重合体(2)(SCCBC)も、IR分析の結果原料となるモノマーの双方由来のピークを有しており、共重合体となっていることを確認することができた。
【実施例】
【0059】
[共重合体(3)の調製]
前記共重合体(1)の調製においてTBAEMA(モノマー(B-1-1))に代え、DEAEA(モノマー(B-2-1))を用いて、前記共重合体(1)の調製に準じて、モノマー仕込み量を変更(BHA:6.7g、DEAEA:3.7g)し、共重合体(3)の製造を行った。モノマー(A-1-1)由来の構造は推算値として約8,000(g/mol)、モノマー(B-2-1)由来の構造が約2,000(g/mol)の共重合体であった。また、共重合体(3)(SCCBC)も、IR分析の結果原料となるモノマーの双方由来のピークを有しており、共重合体となっていることを確認することができた。共重合体(3)の一般式を以下に示す。この共重合体(3)や後述する共重合体(4)等は、低級アルキレン基(炭素数1~5程度のアルキレン、共重合体(3)等ではエチレン基)を介して側鎖となるアミンを有するアクリレートであり、アミンは低級アルキル基(エチル基やメチル基)であるモノマーを用いてそのモノマー由来の構造を有する。
【実施例】
【0060】
【化2】
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【実施例】
【0061】
[共重合体(4)の調製]
前記共重合体(1)の調製においてTBAEMA(モノマー(B-1-1))に代え、DMAEA(モノマー(B-2-2))を用いて、前記共重合体(1)の調製に準じて、モノマー仕込み量を変更(BHA:6.9g、DMAEA:3.5g)し、共重合体(4)の製造を行った。モノマー(A-1-1)由来の構造は推算値として約7,000(g/mol)、モノマー(B-2-2)由来の構造が約1,500(g/mol)の共重合体であった。また、共重合体(4)(SCCBC)も、IR分析の結果原料となるモノマーの双方由来のピークを有しており、共重合体となっていることを確認することができた。共重合体(4)の一般式を以下に示す。
【実施例】
【0062】
【化3】
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【実施例】
【0063】
[共重合体(5)の調製]
前記共重合体(1)の調製においてTBAEMA(モノマー(B-1-1))に代え、PGMA(モノマー(B-3-1))を用いて、前記共重合体(1)の調製に準じて、モノマー仕込み量を変更(BHA:4.8g、PGMA:22.4g)し、共重合体(5)の製造を行った。モノマー(A-1-1)由来の構造は推算値として約3,000(g/mol)、モノマー(B-3-1)由来の構造が約62,000(g/mol)の共重合体であった。また、共重合体(5)(SCCBC)も、IR分析の結果原料となるモノマーの双方由来のピークを有しており、共重合体となっていることを確認することができた。共重合体(5)の一般式を以下に示す。特に共重合体(5)はモノマー(B)由来の構造のブロックを、10,000以上や30,000以上のように分子量を大きいものとしやすく約6万を達成している。このモノマー(B)由来の構造がメッキ接着性に寄与しやすいと考えられ、この構造の分子量を大きいものとして製造しやすい点でもメッキ助剤用の共重合体として優れている。
【実施例】
【0064】
【化4】
JP2018080329A_000006t.gif
【実施例】
【0065】
[共重合体溶液(メッキ助剤溶液)の調製]
前述の方法で入手された共重合体を、酢酸ブチルを溶媒として、70℃にて混合撹拌することで溶解させて、共重合体溶液を調製した。
【実施例】
【0066】
[表面修飾工程(浸漬処理)]
基材(実施例1ではLDPEフィルム)をアセトンで洗浄して表面を清浄化させた後、前述の共重合体溶液に室温で5秒間浸漬させ、その後、常温で静置し自然乾燥させることで、表面修飾したLDPEフィルムを得た。この表面修飾したLDPEフィルムには、共重合体の層が表面に設けられている。
【実施例】
【0067】
[表層触媒化工程]
前述の表面修飾工程を行って得た表面修飾したLDPEフィルムを、35℃に調整したナノパラジウム分散液に3分間浸漬させた。その後、水洗し、35℃に調整した0.1N塩酸水溶液に10分間浸漬させた。これにより、表層を触媒化させたLDPEフィルムを得た。なお、後述する実施例2ではLDPEに代えHDPEフィルムを用いて同様に試験し、実施例3では多孔膜を用いて同様に試験した。
この例として、共重合体(1)を用いて表面修飾(PE+SCCBC)したものと、その後に表層触媒化したもの(PE+SCCBC+Pb)のIRスペクトルを評価した結果を図3に示す。3300cm-1や、1600cm-1付近にピークがみられることから、表層触媒化できたことが確認される。
【実施例】
【0068】
[メッキ処理工程]
前述の表層触媒化工程を行い、表層を触媒化させたLDPEフィルムを、35℃に調整した無電解銅メッキ浴に10分間浸漬させた。これにより、LDPEフィルムの表面にメッキ層を得た。
【実施例】
【0069】
[実施例1~3]
前記した共重合体を用いて、[共重合体溶液(メッキ助剤溶液)の調製]、[表面修飾工程(浸漬処理)]、[表層触媒化工程]、[メッキ処理工程]を行い、PE成形品のメッキ処理品を製造した。
具体的な共重合体や、溶液の濃度については、表1に示す。
【実施例】
【0070】
【表1】
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【実施例】
【0071】
[メッキ処理フィルムの外観]
実施例1により得られたメッキ処理フィルムの外観写真を図4に示す。このように、メッキ処理フィルムの表面は、銅の光沢が確認されるものだった。また、折り曲げ等してもメッキ層ははがれにくく安定したものだった。また、実施例2により得られたメッキ処理フィルムも、銅メッキされたものだった。ただし、HDPEフィルムを基材としているため実施例1よりも折り曲げ等を行ったときにやや安定性が低いものだった。
【実施例】
【0072】
[XRD評価結果]
実施例1により得られたメッキ処理フィルムのXRD分析結果(横軸は2θ)を図5に示す。メッキ処理フィルムには、42°付近に、Cu(1,1,1)のピークが確認され、XRDの試験結果からもメッキ層が得られていることを確認することができる。
【実施例】
【0073】
[断面SEM写真]
実施例1により得られたメッキ処理フィルムのSEMによる断面観察像を図6に示す。
【実施例】
【0074】
[メッキ処理多孔膜の外観]
実施例3により得たメッキ処理多孔膜の外観を図7に示す。図7の左側は、メッキ処理前の多孔膜であり、右側が実施例3のメッキ後の多孔膜である。多孔膜の全面が銅の色にメッキされていることが確認でき、多孔膜のメッキ品を得ることができ、水などの溶液がメッキ後の多孔膜を透過することから多孔性が保持されていることも確認できた。
【実施例】
【0075】
[実施例4~6]
前記した共重合体を用いて、[共重合体溶液(メッキ助剤溶液)の調製]、[表面修飾工程(浸漬処理)]、[表層触媒化工程]、[メッキ処理工程]を行い、PE成形品のメッキ処理品を製造した。
具体的な共重合体や、溶液の濃度については、表2に示す。実施例4~6については、LDPEフィルム、HDPEフィルム、UPE多孔膜(内径0.5μm)、UPE多孔膜(内径10nm)を基材としてメッキ試験を行った。
【実施例】
【0076】
【表2】
JP2018080329A_000008t.gif
【実施例】
【0077】
[メッキ処理フィルムの外観]
実施例4に係る共重合体(3)のBHA-DEAEA共重合体を用いたメッキ試験結果を図8に示す。また、実施例5に係る共重合体(4)のBHA-DMAEA共重合体を用いたメッキ試験結果を図9に示す。また、実施例6に係る共重合体(5)のBHA-PGMA共重合体を用いたメッキ試験結果を図10に示す。図8~10においては、左列から処理前の基材、表層触媒化工程後の状態(Pd触媒吸着後)、メッキ処理工程後の状態(Cuめっき後)の状態を示す。
【実施例】
【0078】
実施例4~6のいずれにおいても、基材にメッキ処理をすることができた。HDPEフィルムよりもLDPEフィルムの方がムラが少ないメッキ処理品を得ることができた。また、UPE多孔膜は内径10nmよりも内径0.5μmのもののほうが平滑性に優れたメッキ処理品を得ることができた。また、実施例6に示すように共重合体(5)のBHA-PGMA共重合体を用いたとき、最もムラが少なく、平滑性や均質性に優れたメッキ処理品を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、ポリエチレン系樹脂の成形品に安定したメッキ処理を行うことができる。これにより、従来、困難と言われてきたポリエチレン系樹脂の成形品のメッキ処理品が提供され、多分野の産業に利用することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
8
【図10】
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