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明細書 :ポリマー、発光材料

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-043972 (P2019-043972A)
公開日 平成31年3月22日(2019.3.22)
発明の名称または考案の名称 ポリマー、発光材料
国際特許分類 C08F   8/36        (2006.01)
C09K  11/06        (2006.01)
C08F  12/30        (2006.01)
C08F  12/32        (2006.01)
FI C08F 8/36
C09K 11/06
C08F 12/30
C08F 12/32
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2017-164402 (P2017-164402)
出願日 平成29年8月29日(2017.8.29)
発明者または考案者 【氏名】生越 友樹
【氏名】土田 啓
【氏名】角田 貴洋
【氏名】山岸 忠明
【氏名】水野 元博
【氏名】小野 利和
【氏名】杉本 学
出願人 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100080159、【弁理士】、【氏名又は名称】渡辺 望稔
【識別番号】100090217、【弁理士】、【氏名又は名称】三和 晴子
【識別番号】100152984、【弁理士】、【氏名又は名称】伊東 秀明
審査請求 未請求
テーマコード 4J100
Fターム 4J100AB00P
4J100AB02P
4J100AB07P
4J100AQ26P
4J100BA56H
4J100BA56P
4J100BC43P
4J100CA01
4J100CA03
4J100CA31
4J100DA01
4J100HA61
4J100HB52
4J100HC27
4J100HE14
4J100JA32
要約 【課題】燐光を発する新規なポリマー、および、上記ポリマーを含む発光材料を提供する。
【解決手段】式(A1)で表される繰り返し単位を有し、
固体13C-NMRスペクトルにおいて130~145ppmの範囲に現れるピークの半値幅が3.0ppm以上である、ポリマー。
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式(A1)中、Rは水素原子またはアルキル基を表す。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
式(A1)で表される繰り返し単位を有し、
固体13C-NMRスペクトルにおいて130~145ppmの範囲に現れるピークの半値幅が3.0ppm以上である、ポリマー。
【化1】
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式(A1)中、Rは水素原子またはアルキル基を表す。
【請求項2】
前記式(A1)で表される繰り返し単位の含有量が、全繰り返し単位に対して、50モル%以上である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
式(B1)で表される繰り返し単位を有するポリマー。
【化2】
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式(B1)中、Rは水素原子またはアルキル基を表す。Arは、多環芳香族基を表す。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のポリマーを含む発光材料。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーおよび発光材料に関する。
【背景技術】
【0002】
発光材料として、燐光を発する化合物が知られている。例えば、特許文献1では、白金を含む錯体が開示されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2012-111853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、近年、燐光を発する新規な化合物の開発が望まれている。
本発明は、燐光を発する新規なポリマー、および、上記ポリマーを含む発光材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、以下の構成により上記目的を達成できることを見出した。
【0006】
(1) 後述する式(A1)で表される繰り返し単位を有し、
固体13C-NMRスペクトルにおいて130~145ppmの範囲に現れるピークの半値幅が3.0ppm以上である、ポリマー。
(2) 式(A1)で表される繰り返し単位の含有量が、全繰り返し単位に対して、50モル%以上である、(1)に記載のポリマー。
(3) 後述する式(B1)で表される繰り返し単位を有するポリマー。
(4) (1)~(3)のいずれかに記載のポリマーを含む発光材料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、燐光を発する新規なポリマー、および、上記ポリマーを含む発光材料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ポリマーが燐光を発する機構を説明するための図である。
【図2】ポリマーが燐光を発する機構を説明するための図である。
【図3】ピークの半値幅を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳述する。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。

【0010】
<第1態様>
本発明のポリマーの第1態様は、式(A1)で表される繰り返し単位を有し、固体13C-NMRスペクトルにおいて130~145ppmの範囲に現れるピークの半値幅が3.0ppm以上であるポリマー(以下、「特定ポリマー1」ともいう)である。

【0011】
【化1】
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【0012】
本発明者らは、式(A1)で表される繰り返し単位を有するポリマーの運動性を制御することにより、燐光を発する特性が得られることを知見するに至った。
以下では、まず、特定ポリマー1が燐光を発する機構について説明する。
特定ポリマー1の固体13C-NMRスペクトルにおいて130~145ppmの範囲に現れるピークとは、以下の構造式中の矢印で示される炭素原子(ベンゼン環中の主鎖部分と連結する炭素原子)に由来するピークである。

【0013】
【化2】
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【0014】
このピークの半値幅は特定ポリマー1の運動性の程度を表しており、半値幅が広いほど特定ポリマー1の分子レベルでの運動性が低くなる。
本発明者らは、上記ピークの半値幅を所定の値以上とすることにより、燐光特性が得られることを知見するに至った。上記ピークの半値幅を所定の値以上である場合、図1に示すように、特定ポリマー1中の式(A1)で表される繰り返し単位中のスルホン酸基同士が相互作用し、スルホン酸基が固定されて、分子の運動性が抑制されていると推測される。なお、図1においては、特定ポリマー1の一分子内中の隣接する繰り返し単位中のスルホン酸基同士の相互作用を示すが、特定ポリマー1の分子間でのスルホン酸基同士の相互作用も生じると考えられる。

【0015】
なお、本発明者らは、上記機構を検証するため、式(A1)で表される繰り返し単位が6つ連なったシンジオタクチックポリスチレンをモデル化合物として用いて、時間依存密度汎関数法にて励起一重項状態と励起三重項状態との間のエネルギー差を計算したところ、スルホン酸基同士が相互作用している態様において上記エネルギー差が0.26eVと算出された。この結果は、図1に示すような、スルホン酸基同士が相互作用している態様にておいても、励起一重項状態と励起三重項状態との間で項間交差が生じることを示唆している。つまり、上記ピークの半値幅が所定の値以上である特定ポリマー1においては、図1に示すような、スルホン酸基同士の相互作用が生じており、結果として燐光を発する特性が得られていると考えられる。

【0016】
なお、後段で詳述するように、特定ポリマー1を得る方法の一例としては、脱水処理を実施する方法が挙げられる。つまり、式(A1)で表される繰り返し単位を有するポリマー中の含水率を低減させると、スルホン酸基と水との間の相互作用が減り、代わりに、スルホン酸基同士の相互作用が増え、結果として、上述した所定の半値幅を有するピークを示す特定ポリマー1が得られる。
それに対して、式(A1)で表される繰り返し単位を有するポリマーの含水率が高い場合、図2に示すように、水とスルホン酸基とが相互作用(水素結合)するため、スルホン酸基同士の相互作用が生じにくい。そのため、ポリマーの運動性を抑制できず、上記ピークの半値幅が狭くなる。このようなポリマーにおいては、燐光も観察されない。この結果からも、特定ポリマー1においては、図1に示すような相互作用が生じていることが示唆される。

【0017】
以下、特定ポリマー1について詳述する。

【0018】
式(A1)中のRは、水素原子またはアルキル基を表す。なかでも、燐光の寿命がより長くなる点から、水素原子が好ましい。
アルキル基中の炭素数は特に制限されないが、1~3が好ましい。なかでも、アルキル基としては、メチル基が好ましい。

【0019】
式(A1)で表される繰り返し単位中におけるスルホン酸基の位置は特に制限されず、オルト位、メタ位、および、パラ位のいずれでよい。
なかでも、式(A1)で表される繰り返し単位の好適態様としては、スルホン酸基がパラ位に位置する繰り返し単位である、式(A1-1)で表される繰り返し単位が挙げられる。式(A1-1)中のRの定義は、上述した通りである。

【0020】
【化3】
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【0021】
特定ポリマー1中における式(A1)で表される繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、全繰り返し単位に対して、10モル%以上の場合が多く、燐光の寿命がより長くなる点から、50モル%以上が好ましく、70モル%以上が好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、100モル%が挙げられる。

【0022】
特定ポリマー1は、上記式(A1)で表される繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を含んでいてもよい。
特定ポリマー1は、式(A2)で表される繰り返し単位を有していてもよい。式(A2)中のRの定義は、上記式(A1)中のRの定義と同義である。

【0023】
【化4】
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【0024】
特定ポリマー1中における式(A2)で表される繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、全繰り返し単位に対して、90モル%以下の場合が多く、燐光の寿命がより長くなる点から、全繰り返し単位に対して、50モル%以下が好ましく、30モル%以下が好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。下限は特に制限されないが、0が挙げられる。

【0025】
なお、特定ポリマー1が式(A1)で表される繰り返し単位および式(A2)で表される繰り返し単位を有する場合、両者の配置位置は特に制限されず、ランダム状でも、ブロック状でもよい。

【0026】
特定ポリマー1中の立体規則性(タクチシティー)は特に制限されず、アタクチック、イソタクチック、および、シンジオタクチックのいずれでもよい。

【0027】
特定ポリマー1の固体13C-NMRスペクトルにおいて、130~145ppmの範囲に現れるピークの半値幅が3.0ppm以上である。なかでも、燐光の寿命がより長くなる点から、上記ピークの半値幅は、4.0ppm以上が好ましく、5.0ppm以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、7.5ppm以下が挙げられ、6.0ppm以下の場合が多い。
上記固体13C-NMRスペクトルは、以下の方法に従って得ることができる。
まず、測定サンプルは、4mmφのジルコニア製試料管に測定試料を詰めて作製する。
測定装置および測定方法は以下の通りである。
測定装置:JEOL ECA—300
測定法:CP/MAS法
測定周波数:74.175MHz
なお、上記CP/MAS法においては、交差分極(CP=Cross Polarization)、マジック角回転(MAS=Magic Angle Spinning)、および、広帯域双極子デカップリング(DD=Dipolar Decoupling)を併用する。
また、MASスピードは、5kHzである。スピニングサイドバンドの消去は、TOSS(Total Suppression of Sidebands)法を用いる。ケミカルシフトは、外部標準試料としてアダマンタンを用い、29.50ppmに合わせることでTMS(Tetramethylsilane)基準とする。
さらに、必要に応じて、波形分離処理を行い、ピークを分離する。波形分離処理の方法は、データ解析ソフトウェアOrigin2017を用いる。

【0028】
上記ピークの半値幅とは、図3に示すように、ピークの高さをHとしたとき、その半分の高さであるH1/2の位置におけるピークの幅Wを意図する。

【0029】
なかでも、燐光の寿命がより長くなる点から、特定ポリマー1の固体13C-NMRスペクトルにおいて120~130ppmの範囲に現れるピークの半値幅が4.0ppm以上であることが好ましい。上記半値幅は、4.5ppm以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、7.5ppm以下が挙げられ、6.0ppm以下の場合が多い。
上記ピークの半値幅は、上述した方法により測定できる。

【0030】
特定ポリマー1の重量平均分子量は特に制限されないが、燐光の寿命がより長くなる点から、1000以上が好ましく、10000以上がより好ましく、100000以上がさらに好ましく、1000000以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、10000000以下が挙げられる。
上記重量平均分子量は、GPC法などの公知に方法によって算出できる。

【0031】
特定ポリマー1の製造方法は特に制限されず、上記特性を示す特定ポリマー1が得られればいずれの方法でもよい。
好適な方法の一つしては、ポリスチレンに対してスルホン酸基を導入する処理を実施して、その後、得られた生成物に対して脱水処理を施す方法が挙げられる。

【0032】
ポリスチレンに対してスルホン酸基を導入する方法としては、公知の合成方法が適用できる。上記処理を実施することにより、式(A1)で表される繰り返し単位を有するポリマーが得られる。
脱水処理の方法は特に制限されず、生成物の種類(分子量、組成)によって最適な方法が選択されるが、例えば、減圧下にて加熱処理を実施する方法が挙げられる。
加熱処理の温度条件は特に制限されないが、75℃以上が好ましい。上限は特に制限されないが、特定ポリマー1の分解性を考慮して、200℃以下が好ましい。
加熱処理の時間条件は特に制限されないが、12時間以上が好ましい。上限は特に制限されないが、生産性を考慮して、100時間以下が好ましい。
減圧の条件は特に制限されないが、1.0×10Pa以下が好ましく、1.0×10Pa以下がより好ましく、1.0×10-1Pa以下がさらに好ましい。下限は特に制限されないが、真空ポンプなどの性能上、1.0×10-2Pa以上の場合が多い。

【0033】
上記では脱水処理の方法について詳述したが、上記以外の方法でもよい。

【0034】
<第2態様>
本発明のポリマーの第2態様は、式(B1)で表される繰り返し単位を有するポリマー(以下、「特定ポリマー2」ともいう)である。
上記特定ポリマー2が所定の燐光特性を有する理由としては、上述した特定ポリマー1と同様に、繰り返し単位中のスルホン酸基間の相互作用が関連している。

【0035】
【化5】
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【0036】
式(B1)中のRは、水素原子またはアルキル基を表す。なかでも、燐光の寿命がより長くなる点から、水素原子が好ましい。
アルキル基中の炭素数は特に制限されないが、1~3が好ましい。なかでも、アルキル基としては、メチル基が好ましい。

【0037】
式(B1)中、Arは、多環芳香族基を表す。
多環芳香族基とは、複数の環(環構造)からなる芳香族基である。多環芳香族基中において複数の環は縮環していても、縮環していなくてもよい。多環芳香族基が縮環していない基である場合、ビフェニル基のように複数の環が単結合で結合している。
多環芳香族基中に含まれる環数(環構造の数)は特に制限されないが、燐光の寿命がより長くなる点から、2~4が好ましく、2~3がより好ましい。

【0038】
多環芳香族基としては、例えば、多環芳香族炭化水素基および多環芳香族複素環基が挙げられる。
多環芳香族炭化水素基とは、2個以上の単環芳香族炭化水素環(ベンゼン環)を有する基である。なかでも、2個以上の単環芳香族炭化水素環同士が縮環した環からなる基(縮合環基)が好ましい。
多環芳香族炭化水素基としては、ナフタレン環基、アントラセン環基、フェナントレン環基、フルオレン環基、ピレン環基などの縮合環基、および、ビフェニル基など複数の単環芳香族炭化水素環が単結合で連結された基が挙げられる。

【0039】
多環芳香族複素環基とは、2個以上の環を有し、かつ、1個以上の単環芳香族複素環を有する基である。なかでも、1個以上の単環芳香族炭化水素環と1個以上の単環芳香族複素環とが縮環した環からなる基、または、2個以上の単環芳香族複素環が縮環した環からなる基であるのが好ましい。
多環芳香族複素環基としては、カルバゾール環基、アクリジン環基、ベンゾキノリン環基、フェナジン環基、フェナントリジン環基、フェナントロリン環基、カルボリン環基、サイクラジン環基、キンドリン環基、テペニジン環基、キニンドリン環基、トリフェノジチアジン環基などが挙げられる。

【0040】
特定ポリマー2中における式(B2)で表される繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、全繰り返し単位に対して、10モル%以上の場合が多く、燐光の寿命がより長くなる点から、全繰り返し単位に対して、50モル%以上が好ましく、70モル%以上が好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、100モル%が挙げられる。

【0041】
特定ポリマー2は、上記式(B2)で表される繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を含んでいてもよい。
特定ポリマー2は、式(B2)で表される繰り返し単位を有していてもよい。

【0042】
【化6】
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【0043】
特定ポリマー2中における式(B2)で表される繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、全繰り返し単位に対して、90モル%以下の場合が多く、燐光の寿命がより長くなる点から、全繰り返し単位に対して、50モル%以下が好ましく、30モル%以下が好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。下限は特に制限されないが、0が挙げられる。
なお、特定ポリマー2が式(B1)で表される繰り返し単位および式(B2)で表される繰り返し単位を有する場合、両者の配置位置は特に制限されず、ランダム状でも、ブロック状でもよい。

【0044】
特定ポリマー2中の立体規則性(タクチシティー)は特に制限されず、アタクチック、イソタクチック、および、シンジオタクチックのいずれでもよい。

【0045】
特定ポリマー2の重量平均分子量は特に制限されないが、燐光の寿命がより長くなる点から、1000以上が好ましく、10000以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、10000000以下が挙げられる。
上記重量平均分子量は、GPC法などの公知に方法によって算出できる。

【0046】
特定ポリマー2の製造方法は特に制限されず、いずれの方法でもよい。
好適な方法の一つしては、式(B2)で表される繰り返し単位を有するポリマーに対してスルホン酸基を導入する処理を実施する方法が挙げられる。

【0047】
なお、得られた特定ポリマー2に対しては、必要に応じて、脱水処理を実施してもよい。脱水処理の方法は特に制限されず、生成物の種類(分子量、組成)によって最適な方法が選択されるが、例えば、減圧下にて加熱処理を実施する方法が挙げられる。
加熱処理の温度条件は特に制限されないが、75℃以上が好ましい。上限は特に制限されないが、特定ポリマー2の分解性を考慮して、200℃以下が好ましい。
加熱処理の時間条件は特に制限されないが、12時間以上が好ましい。上限は特に制限されないが、生産性を考慮して、100時間以下が好ましい。
減圧の条件は特に制限されないが、1.0×10Pa以下が好ましく、1.0×10Pa以下がより好ましく、1.0×10-1Pa以下がさらに好ましい。下限は特に制限されないが、真空ポンプなどの性能上、1.0×10-2Pa以上の場合が多い。

【0048】
<用途>
特定ポリマー1および特定ポリマー2はいずれも燐光特性を有することから、発光材料として有効に用いることができる。
特定ポリマー1を含む発光材料および特定ポリマー2を含む発光材料は、例えば、有機EL表示装置などに適用できる。

【0049】
特に、特定ポリマー1および特定ポリマー2は水の影響によってその燐光特性が影響を受けるため、水分検出装置にて好適に適用できる。つまり、特定ポリマー1(または特定ポリマー2)を含む発光材料を有する水分検知部を有する水分検出装置においては、水分検出部を水分量が多いガスに所定時間曝すと、その影響によってスルホン酸基と水との相互作用が徐々に発生する。結果として、上記発光材料中の特定ポリマー1の運動性の上昇につながり、結果として燐光が観測されなくなる。上記機構により、ガス中の水分量を検出できる。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって、何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0051】
(合成例A)
ポリスチレン(重量平均分子量:1200)(1g)を1,2-ジクロロエタン(20ml)に加えて、ポリスチレンが溶解するまで溶液を50℃で撹拌し、溶液1を得た。
1,2-ジクロロエタン(16ml)に無水酢酸(7.5ml)を加えて、得られた溶液を0℃に冷却して、さらに硫酸(濃度:95~97%)(3.7mL)を加えて、アセチル硫酸を含む溶液2を得た。
次に、50℃に調整された溶液1に溶液2を加えて、得られた混合液を50℃で12時間撹拌した。撹拌終了後、混合液から溶媒を減圧除去し、得られた生成物を水に溶解させて、得られた水溶液を用いて透析処理を72時間実施した。透析終了後、水を減圧除去して、ポリマーA1を得た。
ポリマーA1のH-NMR測定の結果より、ポリマーA1中の式(A1-1)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、100モル%であった。
【実施例】
【0052】
使用したポリスチレンの種類およびスルホン酸基の導入量を調整して、表1に示すポリマーA2~9を合成した。
【実施例】
【0053】
上記で得られたポリマーA1~A9を、それぞれ、減圧下(6.7×10-2Pa)にて、80℃で12時間加熱乾燥した。次に、加熱乾燥処理が施されたポリマーA1~A9を用いて、上述した方法に従って固体13C-NMR測定を行ったところ、いずれのポリマーの固体13C-NMRスペクトルにおいても130~145ppmの範囲にピークが観察された。各ピークの半値幅の結果を、以下の基準に沿って評価し、表1の「半値幅」欄にまとめて示す。なお、ポリマーA1~A9の半値幅のうち最も高い値は、5.7ppm程度であった。例えば、ポリマーA1の半値幅は5.7ppm、ポリマーA2の半値幅は5.7ppm、ポリマーA6の半値幅は5.1ppm、ポリマーA7の半値幅は5.2ppmであった。
また、ポリマーA1~A9の固体13C-NMRスペクトルにおいて120~130ppmの範囲に現れるピークの半値幅は、4.0ppm以上であった。
A:半値幅が5.0ppm以上
B:半値幅が4.0ppm以上5.0ppm未満
C:半値幅が3.0ppm以上4.0ppm未満
D:半値幅が3.0ppm未満
【実施例】
【0054】
(燐光測定)
加熱乾燥処理が施されたポリマーA1~A9を用いて、燐光測定を行った。
測定は、分光蛍光光度計F-7000(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、室温下にて行った。燐光寿命は、40Hzの周波数を有する光学チョッパーを用いて測定した。励起光の波長は、350nmであった。
【実施例】
【0055】
表1中、「Mw」は使用したポリスチレンの重量平均分子量を表す。なお、各実施例において、原料のポリスチレンの「Mw」と、得られたポリマーA1~A9の「Mw」とは同程度であった。例えば、実施例1において、得られたポリマーA1のMwは、原料のポリスチレンのMwの値(1200)と同程度であった。
「半値幅」は、固体13C-NMRスペクトルにおいて130~145ppmの範囲に現れるピークの半値幅(ppm)を表す。
また、実施例1~7で使用したポリスチレンはアタクチックポリスチレンであり、実施例8で使用したポリスチレンはイソタクチックポリスチレンであり、実施例9で使用したポリスチレンはシンジオタクチックポリスチレンである。
また、比較例1で使用したポリマーとして、乾燥処理を施していないポリマーA6を使用した。さらに、比較例2としては、以下の化合物X(p-エチルベンゼンスルホン酸)を用いた。なお、比較例1で使用したポリマーの半値幅は、2.7ppmであった。
【実施例】
【0056】
【化7】
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【実施例】
【0057】
さらに、比較例1および2の「燐光寿命」欄の「-」は、燐光が観測されなかったことを意図する。
【実施例】
【0058】
【表1】
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【実施例】
【0059】
上記表1に示すように、本発明のポリマー(特定ポリマー1)においては、長寿命を有する燐光が観測された。
なかでも、実施例3~6の比較より、式(A1)で表される繰り返し単位の含有量が50モル%以上の場合、燐光の寿命がより長くなることが確認された。
また、実施例1、2、6および7の比較より、ポリマーの分子量が大きくなるにつれて、燐光の寿命がより長くなることが確認された。
一方、ピークの半値幅が所定の範囲外の比較例1においては、そもそも燐光が観察されなかった。
【実施例】
【0060】
また、上記実施例6で用いたポリマーA6を、室温(25℃)にて、飽和水蒸気の環境下に12時間曝した後、再度、燐光の測定を行ったところ、燐光は観測されなかった。なお、上記燐光が観測されなかったサンプルを用いて、固体13C-NMRスペクトル測定を行ったところ、130~145ppmの範囲に現れるピークの半値幅は3.0ppm未満であった。
上記燐光が観測されなかったサンプルを、再度、減圧下にて、80℃で12時間加熱乾燥した。次に、加熱乾燥処理が施されたサンプルを用いて、上述した方法に従って固体13C-NMRスペクトル測定を行ったところ、130~145ppmの範囲にピークが観察され、その半値幅が上記範囲内(3.0ppm以上)であった。なお、この得られたサンプルを用いて燐光測定を行ったところ、燐光が観測された。
【実施例】
【0061】
(合成例B1)
以下式で表される繰り返し単位からなるポリ(1-ビニルナフタレン)(数平均分子量:~100000)(0.3g)を1,2-ジクロロエタン(10ml)に加えて、ポリ(1-ビニルナフタレン)が溶解するまで溶液を50℃で撹拌し、溶液1を得た。
【実施例】
【0062】
【化8】
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【実施例】
【0063】
1,2-ジクロロエタン(3.4ml)に無水酢酸(1.5ml)を加えて、得られた溶液を0℃に冷却して、さらに硫酸(濃度:95~97%)(0.76mL)を加えて、アセチル硫酸を含む溶液2を得た。
次に、50℃に調整された溶液1に溶液2を加えて、得られた混合液を50℃で12時間撹拌した。撹拌終了後、混合液から溶媒を減圧除去し、得られた生成物を水に溶解させて、得られた水溶液を用いて透析処理を72時間実施した。透析終了後、水を減圧除去して、ポリマーB1を得た。
ポリマーB1のH-NMR測定の結果より、ポリマーB1中のArがナフタレン環基である式(B1)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、100モル%であった。
【実施例】
【0064】
(合成例B2)
以下式で表される繰り返し単位からなるポリ(N-ビニルカルバゾール)(重量平均分子量:1100000)(0.5g)を1,2-ジクロロエタン(20ml)に加えて、ポリ(N-ビニルカルバゾール)が溶解するまで溶液を50℃で撹拌し、溶液1を得た。
【実施例】
【0065】
【化9】
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【実施例】
【0066】
1,2-ジクロロエタン(4.5ml)に無水酢酸(2.0ml)を加えて、得られた溶液を0℃に冷却して、さらに硫酸(濃度:95~97%)(1.0mL)を加えて、アセチル硫酸を含む溶液2を得た。
次に、50℃に調整された溶液1に溶液2を加えて、得られた混合液を50℃で24時間撹拌した。撹拌終了後、混合液から溶媒を減圧除去し、得られた生成物を水に溶解させて、得られた水溶液を用いて透析処理を72時間実施した。透析終了後、水を減圧除去して、ポリマーB2を得た。
ポリマーB2のH-NMR測定の結果より、ポリマーB2中のArがカルバゾール環基である式(B1)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、100モル%であった。
【実施例】
【0067】
(合成例B3)
以下式で表される繰り返し単位からなるポリ(4-ビニルビフェニル)(重量平均分子量:115000)(0.5g)を1,2-ジクロロエタン(20ml)に加えて、ポリ(4-ビニルビフェニル)が溶解するまで溶液を50℃で撹拌し、溶液1を得た。
【実施例】
【0068】
【化10】
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【実施例】
【0069】
1,2-ジクロロエタン(4.9ml)に無水酢酸(2.2ml)を加えて、得られた溶液を0℃に冷却して、さらに硫酸(濃度:95~97%)(1.0mL)を加えて、アセチル硫酸を含む溶液2を得た。
次に、50℃に調整された溶液1に溶液2を加えて、得られた混合液を50℃で12時間撹拌した。撹拌終了後、混合液から溶媒を減圧除去し、得られた生成物を水に溶解させて、得られた水溶液を用いて透析処理を72時間実施した。透析終了後、水を減圧除去して、ポリマーB3を得た。
ポリマーB3のH-NMR測定の結果より、ポリマーB3中のArがビフェニル基である式(B1)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、100モル%であった。
【実施例】
【0070】
得られたポリマーB1~B3を、それぞれ、減圧下(6.7×10-2Pa)にて、80℃で12時間加熱乾燥した。
加熱乾燥処理後のポリマーB1~B3を用いて、上記(燐光測定)を実施したところ、それぞれ燐光が観察された。また、ポリマーB1の燐光の寿命は48msであり、ポリマーB2の燐光の寿命は164msであり、ポリマーB3の燐光の寿命は145msであった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2