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明細書 :慢性骨髄性白血病治療剤及び該治療剤をスクリーニングする方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-146297 (P2017-146297A)
公開日 平成29年8月24日(2017.8.24)
発明の名称または考案の名称 慢性骨髄性白血病治療剤及び該治療剤をスクリーニングする方法
国際特許分類 G01N  33/49        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  35/02        (2006.01)
A61P  35/04        (2006.01)
A61P  19/00        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61K  45/00        (2006.01)
A61K  31/439       (2006.01)
A61K  31/506       (2006.01)
A61K  31/7048      (2006.01)
A61K  35/618       (2015.01)
A61K  36/185       (2006.01)
G01N  33/15        (2006.01)
G01N  33/50        (2006.01)
C12Q   1/02        (2006.01)
FI G01N 33/49 ZNAA
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 35/04
A61P 19/00
A61P 43/00 111
A61K 45/00
A61K 31/439
A61K 31/506
A61K 31/7048
A61K 35/618
A61K 36/185
G01N 33/15 Z
G01N 33/50 Z
C12Q 1/02
請求項の数または発明の数 12
出願形態 OL
全頁数 25
出願番号 特願2017-014930 (P2017-014930)
出願日 平成29年1月31日(2017.1.31)
優先権出願番号 2016025365
優先日 平成28年2月12日(2016.2.12)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】向田 直史
【氏名】馬場 智久
出願人 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100088904、【弁理士】、【氏名又は名称】庄司 隆
【識別番号】100124453、【弁理士】、【氏名又は名称】資延 由利子
【識別番号】100135208、【弁理士】、【氏名又は名称】大杉 卓也
【識別番号】100152319、【弁理士】、【氏名又は名称】曽我 亜紀
審査請求 未請求
テーマコード 2G045
4B063
4C084
4C086
4C087
4C088
Fターム 2G045AA29
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2G045CB13
2G045FA37
2G045FB02
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4C088ZB26
4C088ZB27
4C088ZC42
要約 【課題】CML初期段階における正常な造血プロセスを白血病性プロセスに変換する機構を解明して、新たな慢性骨髄性白血病治療剤又は骨転移治療剤となりうる標的物質を見出すことを課題とした。
【解決手段】CMLの初期段階における症状および病態を有するモデル動物を使用して、正常な造血プロセスを白血病性プロセスに変換する機構では、CML骨髄環境下において、好塩基球がCCL3を発現し、さらにCCL3は正常造血幹細胞に対するLICの優性増殖を促進することによって、慢性骨髄性白血病が発症することを見出した。さらに、好塩基球を減少させるなど、好塩基球の機能を直接的又は間接的に阻害することにより、慢性骨髄性白血病の発症又は骨転移を抑制することができることも確認した。これにより、好塩基球を標的物質とする新規な慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤のスクリーニング方法、並びに、新規な慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤を完成した。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
好塩基球若しくは好塩基球改変体の作用又は発現を阻害する試験化合物を選択することを特徴とする慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤のスクリーニング方法。

【請求項2】
以下の工程を含む請求項1に記載のスクリーニング方法:
(1)試験化合物を、放射線非照射のヒト以外の動物でありかつBCR-ABL融合遺伝子が導入されている造血幹細胞が髄腔に移植された慢性骨髄性白血病モデル動物の骨髄に、投与する工程、及び
(2)該骨髄中の好塩基球の発現量を測定する工程。

【請求項3】
前記慢性骨髄性白血病は初期段階の慢性骨髄性白血病である、請求項1又は2に記載のスクリーニング方法。

【請求項4】
前記ヒト以外の動物が免疫不全マウスまたは免疫不全ラットである、請求項1~3のいずれか一に記載のスクリーニング方法。

【請求項5】
前記造血幹細胞がモデル動物と同種の動物由来の造血幹細胞である、請求項1~4のいずれか一に記載のスクリーニング方法。

【請求項6】
前記髄腔が脛骨または大腿骨の骨髄の髄腔である、請求項1~5のいずれか一に記載のスクリーニング方法。

【請求項7】
自己の正常造血幹細胞と移植された細胞が前記髄腔内に共存している、請求項1~6のいずれか一に記載のスクリーニング方法。

【請求項8】
好塩基球若しくは好塩基球改変体の作用又は発現を阻害する化合物又は抽出物を含む慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤。

【請求項9】
前記骨転移は乳癌による骨転移である、請求項8に記載の治療剤又は予防剤。

【請求項10】
前記化合物がCCR5阻害剤である、請求項8又は9に記載の治療剤又は予防剤。

【請求項11】
前記化合物がマラビロクである、請求項8~10のいずれか1に記載の治療剤又は予防剤。

【請求項12】
前記化合物又は抽出物が、ビクリビロク、バイカリン・フラボノイド、Trigonostema xyphophylloides抽出物(TXE)、又はVatica astrotricha抽出物である請求項8~10のいずれか1に記載の治療剤又は予防剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性骨髄性白血病治療剤及び該治療剤をスクリーニングする方法に関し、より詳細には、慢性骨髄性白血病の初期段階の症状が誘導された非ヒト慢性骨髄性白血病モデル動物において、該白血病に関与する好塩基球を標的としたスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(慢性骨髄性白血病)
慢性骨髄性白血病(以下、「CML」と称する場合もある)は、造血幹細胞(以下、「HSC」と称する場合もある)の悪性腫瘍化から生じる骨髄増殖性腫瘍である。わが国における慢性骨髄性白血病の頻度は10万人に1~2人と比較的まれで、成人における白血病全体の約20%を占める。
慢性骨髄性白血病の発症する原因は、明確には解明されていないが、慢性期、移行期および急性期(急性転化期)の3段階に分けられる(非特許文献1)。慢性期は無症状であり、病気の進行とともに、血液中の白血球数と血小板数が増加し、その後、次第に貧血になる。さらに、白血球数が増加するに従って、全身の倦怠感や、腹部の膨満感などの症状が現れる。90%以上のCML症例は、フィラデルフィア染色体の存在と関係している。この染色体は、染色体9と22の間の相互転座から生じて、BCR-ABL融合遺伝子を形成する(非特許文献2)。この遺伝子がCMLの病原であり(非特許文献3)、骨髄中のBCR-ABL融合遺伝子産物(活性化型チロシンキナーゼ)を発現した白血病幹細胞{leukemia initiating cells(LICs)}の存在が、CMLの慢性期の開始に深く関わっている(非特許文献4)。
【0003】
BCR遺伝子のブレークポイントクラスタ領域は、BCR-ABL融合タンパク質をコードしている。BCR-ABL融合タンパク質は、造血幹細胞(HSC)をLIC に転換させることができる恒常的チロシンキナーゼ活性を示す。LICは、異種白血病細胞を次々と病理学的に生じさせることができる(非特許文献3、4)。造血に必須の部位は、骨髄(BM)の限られた領域内にある。CMLの開始プロセスの間に、少数のBCR-ABL-発現LICは、多数の正常な造血性細胞と共存する。正確なメカニズムは不明であるが、LICは、その後、正常なHSCを圧倒し、造血系全体で優勢となり、正常な造血のプロセスを白血病性プロセスに変換する。
更に、CML患者は、頻繁に骨髄及び末梢血(PB)中に好塩基球増多症を示し、それは、急性期においてより明白になる(非特許文献5、6)。しかしながら、慢性骨髄性白血病進行における好塩基球様白血病細胞の病因的役割はほとんど知られていない。
【0004】
CCL3(Chemokine (C-C motif) ligand 3)は、MIP-1α(Macrophage inflammatory protein-1α)としても知られており、CCケモカインファミリーに属する。生体内BCR-ABL発現誘導によって、骨髄中でCCL3の異常な発現が生じることが報告されている(非特許文献7)。さらに、CCL3媒介シグナルは、Ablタンパク質のキナーゼ活性に応じて、正常なHSCおよび白血病幹細胞のin vitro増殖を、異なった方法で、制御することができることが報告されている(非特許文献8、9)。これらの報告は、CML発症の初期プロセスでの正常HSCと白血病幹細胞との間の相互作用に、CCL3が潜在的に関与していることを示唆している(非特許文献7)。
しかし、CCL3の正確な役割は、適切な実験モデル動物がないため不明であった。
【0005】
本発明者らは、以前、非放射線照射マウスへの少数のLICの直接注入後にCML様疾患を発症できることを示した。このモデルにおいて、白血病細胞由来CCL3発現が優先的に正常なHSPC(造血幹細胞・前駆細胞)に作用すること、及びこの作用が最終的に骨髄中のLICの支配的な増殖をもたらし得ることを示した。
しかしながら、CCL3の細胞性ソース及び該作用の基礎となるメカニズムは不明であった(非特許文献10、特許文献1)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特許公開公報2014—140336
【0007】

【非特許文献1】Lahaye, T., et al. Response and resistance in300 patients with BCR-ABL-positiveleukemias treated with imatinib in a singlecenter: a 4.5-year follow-up. Cancer103, 1659-1669 (2005).
【非特許文献2】Bartram, C.R., et al. Translocation of c-ab1oncogene correlates with the presence of a Philadelphia chromosome in chronicmyelocytic leukaemia. Nature 306,277-280 (1983).
【非特許文献3】Sawyers, C.L. Chronic myeloid leukemia. NEngl J Med 340, 1330-1340 (1999).
【非特許文献4】Koschmieder, S., et al. Inducible chronicphase of myeloid leukemia with expansion of hematopoietic stem cells in atransgenic model of BCR-ABL leukemogenesis. Blood 105, 324-334 (2005).
【非特許文献5】Cerny-Reiterer S, Ghanim V, Hoermann G, etal. Identification of basophils as a major source of hepatocyte growth factorin chronic myeloid leukemia: a novel mechanism of BCR-ABL1-independent diseaseprogression. Neoplasia. 2012;14(7):572-584.
【非特許文献6】Theologides A. Unfavorable signs in patientswith chronic myelocytic leukemia. Ann Intern Med. 1972;76(1):95-99.
【非特許文献7】Zhang, B., et al. Altered microenvironmentalregulation of leukemic and normal stem cells in chronic myelogenous leukemia.Cancer Cell 21, 577-592.
【非特許文献8】Eaves, C.J., Cashman, J.D., Wolpe, S.D. &Eaves, A.C. Unresponsiveness of primitive chronic myeloid leukemia cells tomacrophage inflammatory protein 1 alpha, an inhibitor of primitive normalhematopoietic cells. Proc Natl Acad Sci U S A 90, 12015-12019 (1993).
【非特許文献9】Wark, G., et al. Abl protein kinase abrogatesthe response of multipotent haemopoietic cells to the growth inhibitormacrophage inflammatory protein-1 alpha. Oncogene 16, 1319-1324 (1998).
【非特許文献10】Baba T, Naka K, Morishita S, Komatsu N,Hirao A, Mukaida N.MIP-1alpha/CCL3-mediated maintenance of leukemia-initiating cells in theinitiation process of chronic myeloid leukemia. J ExpMed.2013;210(12):2661-2673.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、CML初期段階における正常な造血プロセスを白血病性プロセスに変換する機構を解明して、新たな慢性骨髄性白血病治療剤となりうる標的物質を見出すことを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために、CMLの初期段階における症状および病態を有するモデル動物を使用して、正常な造血プロセスを白血病性プロセスに変換する機構では、CML骨髄環境下において、好塩基球がCCL3を発現し、さらにCCL3は正常造血幹細胞に対するLICの優性増殖を促進することによって、慢性骨髄性白血病が発症することを見出した。さらに、好塩基球を減少させるなど、好塩基球の機能を直接的又は間接的に阻害することにより、慢性骨髄性白血病の発症を抑制することができることも確認した。
これにより、好塩基球を標的物質とする新規な慢性骨髄性白血病の治療剤又は予防剤のスクリーニング方法、並びに、新規な慢性骨髄性白血病の治療剤又は予防剤を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は以下からなる。
1.好塩基球若しくは好塩基球改変体の作用又は発現を阻害する試験化合物を選択することを特徴とする慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤のスクリーニング方法。
2.以下の工程を含む前項1に記載のスクリーニング方法:
(1)試験化合物を、放射線非照射のヒト以外の動物でありかつBCR-ABL融合遺伝子が導入されている造血幹細胞が髄腔に移植された慢性骨髄性白血病モデル動物の骨髄に、投与する工程、及び
(2)該骨髄中の好塩基球の発現量を測定する工程。
3.前記慢性骨髄性白血病は初期段階の慢性骨髄性白血病である、前項1又は2に記載のスクリーニング方法。
4.前記ヒト以外の動物が免疫不全マウスまたは免疫不全ラットである、前項1~3のいずれか一に記載のスクリーニング方法。
5.前記造血幹細胞がモデル動物と同種の動物由来の造血幹細胞である、前項1~4のいずれか一に記載のスクリーニング方法。
6.前記髄腔が脛骨または大腿骨の骨髄の髄腔である、前項1~5のいずれか一に記載のスクリーニング方法。
7.自己の正常造血幹細胞と移植された細胞が前記髄腔内に共存している、前項1~6のいずれか一に記載のスクリーニング方法。
8.好塩基球若しくは好塩基球改変体の作用又は発現を阻害する化合物又は抽出物を含む慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤。
9.前記骨転移は乳癌による骨転移である、前項8に記載の治療剤又は予防剤。
10.前記化合物がCCR5阻害剤である、前項8又は9に記載の治療剤又は予防剤。
11.前記化合物がマラビロクである、前項8~10のいずれか1に記載の治療剤又は予防剤。
12.前記化合物又は抽出物が、ビクリビロク、バイカリン・フラボノイド、Trigonostema xyphophylloides抽出物(TXE)、又はVatica astrotricha抽出物である前項8~10のいずれか1に記載の治療剤又は予防剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、新規な知見「CML骨髄環境下において、好塩基球がCCL3を発現し、さらにCCL3は正常造血幹細胞に対するLICの優性増殖を促進することによって、慢性骨髄性白血病が発症すること」を基にして、新規な慢性骨髄性白血病の治療剤又は予防剤のスクリーニング方法並びに新規な慢性骨髄性白血病の治療剤又は予防剤を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】マウス骨髄中の制限された前駆細胞タイプによる恒常的なCCL3発現。(A)全骨髄(BM)細胞は、非処理マウスの脛骨から採取した。ラットIgG2aは、図で示されるアイソタイプコントロールとして使用した。MPO(図なし)、CD16/32(図なし)、又はCD34(図なし)の発現は、全骨髄細胞又はlineagelowCCL3発現細胞中で確認した。なお、3回の独立した実験からの代表的な結果を示す。(B)CCL3及びc-kit発現は、lineagelowCD34MPO細胞中で確認した(R1及びR2)。c-kithigh及びc-kitlow領域中のCCL3細胞の割合を示す。ラットIgG2aは、アイソタイプコントロールとして使用した。3回の独立した実験からの代表的な結果を示す。(C)非処理マウスの大腿骨及び脛骨から採取された全骨髄細胞(1×10)並びに初代骨髄キメラマウスの大腿骨及び脛骨から採取された全骨髄細胞(1×10)を、それぞれ、半致死線量照射レシピエントマウスに静脈内注射して、初代及び2代目骨髄キメラを樹立した。移植8週間後、lineagelowCD34MPO細胞中のCCL3c-kit細胞の割合は、非処理骨髄細胞中の割合と比較した。データは、4回の独立した実験から得た平均値±標準偏差を表す。*は、P<0.05、N.S.は、ダネットの検定による有意差がないことを示す。
【図2】骨髄中のCCL3の主要な産生細胞としての好塩基球。(A)大腿骨及び脛骨の骨髄由来HPCを、2 Gy照射CD45.1コンジェニックマウスの右脛骨の骨髄腔に注入した。CD45.2MPOlineagelow細胞(R1及びR2)上でのc-kit及びCCL3の発現を確認した。CD45.2MPOドナー由来骨髄細胞及びc-kitlowCCL3細胞の割合は、それぞれ、上側及び下側の図中に示した。3回の独立した実験からの代表的な結果を示す。(B)lineagelowCD16/32high c-kitlow細胞及びlineagelowCD16/32high c-kithigh GMPは、FACSAria Cell Sorterを用いて、大腿骨及び脛骨の骨髄から単離した。得られた細胞は、ライト-ギムザ染色溶液で染色し、3回の独立した実験による代表的な結果を、10 μmのスケールバーと共に示す。CCL3発現量は、定量PCR解析を用いて確認した。3回の独立した実験により平均値±標準偏差を得た。テューキー=クレイマーの検定における、*は、P<0.05を示す。(C)移植8週間後の非処理マウス又はキメラマウスの脛骨の骨髄中のc-kitlowCD49bFcεR1細胞(R1とR2)におけるCCL3発現。ラットIgG2aは、アイソタイプコントロールとして使用した。4回の独立した実験からの代表的な結果を示す。(D)脛骨の骨髄及び末梢血(PB)中のCD200R3FcεR1CD34FSChigh(BaP1)、CD34FSClow(BaP2)及びCD34lowFSClow細胞(Ba)中のCCL3発現。ラットIgG2aはアイソタイプコントロールとして使用した。3回の独立した実験からの代表的な結果を示す。各集団中のCCL3の中間蛍光強度(MFI)は、末梢血のBa中のMFIと比較した。**は、P<0.01、N.S.は、ダネットの検定による有意差がないことを示す。
【図3】CCL3-/-ドナー細胞骨髄移植後の過度な造血再構成。CD45.2野生型又はCCL3-/-マウスの大腿骨及び脛骨から採取された合計1×10骨髄細胞を、半致死線量照射CD45.1コンジェニックマウスに静脈内注射して、初代骨髄キメラを樹立した。全骨髄細胞は、移植8週間後に初代骨髄キメラマウスから採取し、続いて2回目骨髄移植に使用した。(A)末梢血中の、TCR-β chainT細胞を除くドナー由来全WBC、CD19B細胞及びLy6G顆粒細胞の数。非処理野生型及びCCL3-/-マウスの末梢血中の各細胞数は、棒グラフによって示す。データは、4~6回の独立した実験から得た平均値±標準偏差を表す。(B)ドナー由来CD34KLSHSC及びCD34KLSMPPの数は、移植8週間後に非処理マウス及び各骨髄キメラの脛骨の骨髄中で測定した。データは、4回の独立した実験からの平均値±標準偏差を表す。(C)野生型ドナー細胞移植2週間後の非処理マウス及び骨髄キメラマウスの脛骨の骨髄中のKLS細胞におけるKi67及びCD34発現。CD34及びCD34領域中のKi67high細胞の割合を示す。4回の独立した実験からの代表的な結果を示す。(D)骨髄移植後の各時点でのKLS細胞中のKi67細胞の割合。データは、4回の実験から得た平均値±標準偏差を表す。(A、B及びD)*はP<0.05、**はP<0.01、N.S.はマン・ホイットニーのU検定による有意差がないことを示す。
【図4】好塩基球由来CCL3によるHSPC増殖の抑制。(A)KLS細胞は、CD45.1コンジェニックマウスの大腿骨及び脛骨の骨髄から単離し、 CFSEで標識された。そして、CD45.2野生型マウス又はCCL3-/-マウス由来好塩基球(Ba)有り又は無しで共培養した。好塩基球媒介性増殖抑制値は、4日目に測定した。好塩基球媒介性増殖抑制値は、次の定式を用いて計算した:増殖抑制 =(MFI(Ba有り)-MFI(Ba無し))/(MFI(前培養)-MFI(Ba無し))×100。3回の独立した実験から得た代表的な結果と平均値±標準偏差は、それぞれ、左側と右側の図に示す。*は、独立スチューデントのt検定によるP<0.05を示す。(B)CD45.2誘導型好塩基球欠損モデル(MCPT8-DTR)マウス由来全骨髄細胞を、半致死線量照射CD45.1コンジェニックマウスに静脈内注射して、骨髄キメラを樹立した。活性型ジフテリア毒素(DT)(400 ng/マウス)を、表示した各時点で静脈注射した。同分量の不活性型ジフテリア毒素(mutant DT)(Glu52)は、同様の方法でコントロールとして注射した。(C)骨髄移植24日後の脛骨の骨髄中のCD34KLS及びCD150CD48KLSHSCの数。データは4回の独立した実験から得た平均値±標準偏差を表す。*は、マン・ホイットニーのU検定によるP<0.05を示す。(D)末梢血中の、TCR-β chainT細胞を除くドナー由来全WBC、CD19B細胞及びLy6G顆粒細胞の数。平均値±標準偏差は、11匹のDT処理マウス(黒丸)又は8匹のmutant DT(Glu52)処理マウス(白丸)から計算した。*はP<0.05、**はP<0.01、N.S.はマン・ホイットニーのU検定による有意差がないことを示す。
【図5】CML 骨髄中のCCL3発現好塩基球様白血病細胞の増殖。(A) CD45.1コンジェニックマウス由来LICは、CMLモデルに使用した。CD45.2レシピエント由来正常KLS細胞中のKi67+細胞の割合は、脛骨の骨髄中で測定した。データは、4回の独立した実験から得た平均値±標準偏差で表す。*はP<0.05、N.S.はダネットの検定による有意差がないことを示す。(B)野生型ドナー由来LICは、CMLモデルに使用した。好塩基球表現型マーカーの発現は、移植2~3週間後の脛骨の骨髄中のBCR-ABL(GFP)CCL3正常細胞(R1)又はGFPCCL3白血病細胞(R2)上で測定した。3回の独立した実験からの代表的な結果を示す。(C)移植3週間後にCMLマウスから採取した正常な脛骨の骨髄細胞又はGFP骨髄白血病細胞中のLy6G又はFcεR1細胞の割合。データは4回の独立した実験から得た平均値±標準偏差を表す。*はP<0.05、N.S.はマン・ホイットニーのU検定による有意差がないことを示す。(D)移植3週間後の脛骨の骨髄及び末梢血中のGFP白血病細胞上のLy6G及びFcεR1の発現。4匹の個々の動物中から得た代表的な結果をGFP白血病細胞中のLy6GFcεR1細胞の割合とともに示す。
【図6】骨髄及びCML発症におけるLICの維持に対する好塩基球様白血病細胞の影響。(A)MCPT8-DTRドナー由来LICを、CMLモデルに使用した。DT(400 ng/マウス)を、表示した各時点で静脈内注射した。コントロールとして、同分量のmutant DT(Glu52)を、同様の方法で注射した。末梢血中のWBCの数(B)、脾臓(SP)重量(C)、及び脛骨の骨髄中のGFPKLSLICの数(D)を測定した。各丸は、それぞれ個々のマウスを表す(n=6)。**は、マン・ホイットニーのU検定によるP<0.01を示す。(E)DT又はmutant DT(Glu52)を、表示した各時点で注入した。WBCの数を、骨髄移植2週間後から毎週測定した。白血病ではない生存率を測定した(n=12)。死亡したマウス、又はWBC数が15,000/μlに達したマウスを白血病と診断した。*は、対数順位検定によるP<0.05を示す。
【図7】CCR5(C-C chemokine receptor type 5)受容体アンタゴニスト(CCR5阻害剤)であるMVC(マラビロク)によるCML発症の予防。野生型のドナー由来LICは、CMLモデルに供した。(A)MVC又はVehicleを30mg/kg体重の服用量で、LIC移植1~21日後に一日おきに経口胃管栄養により投与した。骨髄移植2週間後から、WBCの数を毎週測定した。白血病ではない生存率を測定した(MVCはn=6、コントロールはn=10)。死亡したマウス、又はWBC数が15,000/μlに達したマウスを白血病と診断した。*は、対数順位検定によるP<0.05を示す。末梢血中のWBCの数(B)、SP重量(C)、脛骨の骨髄中のGFPKLSLICの割合(D)を測定した(C及びD、3週間)。各丸は、個々のマウスを表す(MVCはn=6、コントロールはn=5)。**はP<0.01、N.S.はマン・ホイットニーのU検定による有意差がないことを示す。
【図8】CCL3発現細胞のインビトロでの分化。実施例1に記載した通り、大腿骨及び脛骨の骨髄由来HPCを培養した。c-kit及びCCL3の発現は、lineagelowCD34MPO細胞(R1)中で確認した。c-kithigh及びc-kitlow領域中のCCL3細胞の割合を示す。3回の独立した実験から得た代表的な結果を示す。
【図9】成熟T細胞の放射線照射耐性。1000万個の全骨髄細胞は、CD45.2野生型マウスの大腿骨及び脛骨から採取し、半致死線量照射CD45.1コンジェニックマウスに静脈内注射して、骨髄キメラを樹立した。(A)CD45.1レシピエント由来細胞上のTCR-βchain発現は、移植8週間後に末梢血中で測定した。CD45.1CD45.2レシピエント由来細胞及びTCR-βchainT細胞の割合は、中央及び右側図中でそれぞれ示す。5回の独立した実験から得た代表的な結果を示す。(B)末梢血中のTCR-βchainT細胞及び胸腺中のTCR-βchainmedium未成熟T細胞上のCD45.1及びCD45.2発現は、移植8週間後に測定した。CD45.1CD45.2レシピエント由来細胞及びCD45.1CD45.2ドナー由来細胞の割合を示す。5回(末梢血)又は3回(胸腺)の独立した実験から得た代表的な結果を示す。
【図10】CCL3-/-マウス由来骨髄細胞移植直後の長期的な過度の造血再構成。1000万個の全骨髄細胞をCD45.2CCL3-/-マウスの大腿骨及び脛骨から採取し、半致死線量照射CD45.1コンジェニックマウスに静脈内注射して、骨髄キメラを樹立した。末梢血中のTCR-βchainT細胞を除くドナー由来全WBCの数(A)又は脛骨の骨髄中のドナー由来CD34KLSHSCの数(B)を測定した。Aに関し、データは、3回の独立した実験から平均値±標準偏差を表す。Bに関し、各丸は、個々のマウスを表す(8週間後はn=4、20週間はn=3)。N.S.は、独立スチューデントのt検定による有意差がないことを示す。
【図11】CCR1-/-及びCCR5-/-ドナー由来骨髄細胞の移植後による高い造血再構成能力。CD45.2野生型、CCR1-/-、又はCCR5-/-マウスの大腿骨及び脛骨から採取した500万個の全骨髄細胞を、同数のCD45.1競合的骨髄細胞と混合し、続いて、半致死線量照射CD45.1/CD45.2異型遺伝子マウスに静脈内注射して、初代骨髄キメラを樹立した。全骨髄細胞は、移植8週間後に初代骨髄キメラから採取し、続いて、CD45.1/CD45.2異型遺伝子レシピエントマウスにおける一連の骨髄移植に使用した。(A)CD45.2CD45.1ドナー由来のTCR-βchainT細胞を除く全WBC又はLy6G顆粒細胞のキメラ現象を、末梢血中で測定した。データは、5~6回の独立した実験から得た平均値±標準偏差を表す。(B)CD45.2CD45.1ドナー由来KLS細胞のキメラ現象を、移植8週間後に脛骨の骨髄中で測定した。データは、5~6回の独立した実験から得た平均値±標準偏差を表す。(A及びB)*はP<0.05、**はP<0.01、N.S.はマン・ホイットニーのU検定による有意差がないことを示す。
【図12】CCR5-/-ドナー由来細胞の骨髄移植後の高レベルのキメラ現象の長期的な持続。CD45.2野生型マウス(白丸)又はCCR5-/-マウス(黒丸)の大腿骨及び脛骨から採取した合計5×10 個の骨髄細胞を、同数のCD45.1競合的骨髄細胞と混合し、続いて、半致死線量照射CD45.1/CD45.2異型遺伝子マウスに静脈内注射して、骨髄キメラを樹立した。TCR-βchainT細胞を除くCD45.2CD45.1ドナー由来全WBCのキメラ現象は、末梢血中で測定した。データは、6回(移植20週間後まで)及び3回(40週間後)の独立した実験から得た平均値±標準偏差を表す。40週間後の* は、独立スチューデントのt検定によるP<0.05を示す。
【図13】CCR1-/-及びCCR5-/- c-kit HPCの末梢血への動員阻止の機能不全。CCR1-/-及びCCR5-/-CD45.2c-kitHPCの割合は、骨髄のキメラマウスの末梢血中で測定した(参照:図11)。Ly6Gc-kit細胞(R1)中のCD45.1CD45.2及びCD45.1CD45.2細胞の割合を示す。5~6回の独立した実験から得た代表的な結果を示す。
【図14】インビトロの好塩基球分化プロセス。全骨髄細胞は、10%FBS及び10 ng/ml IL-3補充S-clone培地中で10日間培養した。培地の半分は、3日ごとに新鮮な培地と取り替えた。好塩基球は、CD49b MACSビーズ(Miltenyi Biotec)を用いて更に濃縮した。分化した好塩基球中のCCL3発現を測定した。濃縮前後の分化好塩基球及びマスト細胞の割合を示す。
【図15】MCPT8-DTRマウス中のCCL3発現好塩基球の個体内での選択的減少。(A)DT(400 ng/マウス)を、MCPT8-DTRマウスに静脈注射した。末梢血(白丸)及び脛骨の骨髄(黒丸)中の好塩基球の数。データは、3回の独立した実験から得た平均値±標準偏差を表す。(B)DT又はmutant DT(Glu52)を、MCPT8-DTRマウスに静脈注射した。CCL3とCD200R3の発現は、注入3日後に脛骨の骨髄中で測定した。CCL3CD200R3細胞の割合を示す。3回の独立した実験から得た代表的な結果を示す。
【図16】マウスCMLモデル中の骨髄内LICのTKI耐性。野生型ドナー由来LICをCMLモデルに使用した。(A)ダサニチブ(10mg/kg体重)を、LIC移植7~20日後に経口胃管栄養により毎日投与した。WBCの数は、2週間後、3週間後及びダサニチブ投与の停止4日後に測定した。各丸はそれぞれ個々のマウスを表す(n=5)。(B)図7の説明に記載の通り、マラビロク又はVehicleを投与した。BCR-ABL(GFP)の発現は、LIC移植3週間後にlineagelowc-kitSca-1細胞(R1とR2)中で測定した。GFP細胞の割合を示す。5~6回の独立した実験から得た代表的な結果を示す。
【図17】マラビロク処理による脾腫の減衰。LIC移植(図7の説明に記載した)3週間後にCMLマウスから採取したレシピエントSP(脾臓)の肉眼での外観。スケールバーは、10 mmを示す。
【図18】マラビロク投与による脛骨内腫瘍形成の抑制。(A)実験の概要。4T1.3細胞をマウス脛骨内に注入(injection to tibial bone)した日(Day0)の2日後、4日後及び6日後にマラビロクを経口投与し、7日後に脛骨を回収(collect bone)した。(B)脛骨パラフィン包埋組織切片における抗pan-cytokeratin抗体を用いた免疫染色。マラビロクを投与したマウス(MVC)及びコントロールマウス(Control)の脛骨の骨髄腔の染色結果を示す。スケールバーは、200 μmを示す。(C)骨髄腔全体の面積に対する抗pan-cytokeratin抗体陽性染色の割合(陽性率;%)の算出結果。データは4回の独立した実験から得た平均値±標準偏差で表す。※はp<0.05を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本発明の対象)
本発明の慢性骨髄性白血病の治療剤又は予防剤のスクリーニング方法(以後、「本発明のスクリーニング方法」と略する場合がある)は、下記実施例により、「CML骨髄環境下において、好塩基球がCCL3を発現し、さらにCCL3は正常造血幹細胞に対するLICの優性増殖を促進することによって、慢性骨髄性白血病が発症すること」を見出したことを利用している。
加えて、CCR5阻害剤であるマラビロクは、慢性骨髄性白血病モデル動物の骨髄中のLICを劇的に減少させ、そして、CML発症を阻止したことを確認している。
骨髄は、造血作用により、組織・器官に通じた血管が豊富に存在する。そして、各組織・器官の癌(肺癌、乳癌、前立腺癌等)細胞が該血管を通じて骨髄に移動・定着して、骨転移が起る。本発明のスクリーニング方法は、好塩基球の機能を直接的又は間接的に阻害する化合物を選択する。該化合物は、骨髄内のLICの優性増殖を抑えることにより、慢性骨髄性白血病の治療剤又は予防剤となるだけでなく、骨髄に移動した癌細胞の骨髄内での優性増殖を抑制することで転移の治療剤又は予防剤にもなる。従って、本発明のスクリーニング方法を用いて、好塩基球若しくは好塩基球改変体の作用又は発現を阻害する物質を同定することにより、新たな作用機序を持つ慢性骨髄性白血病治療剤及び/又は慢性骨髄性白血病の予防剤に加え、骨転移の治療剤又は予防剤を開発することができる。

【0014】
(好塩基球)
本発明のスクリーニング方法で使用する「好塩基球」は、慢性骨髄性白血病モデル動物由来に限定されず、試験管内の培養下で生成されたものを含む。
また、「好塩基球改変体」とは、好塩基球と同等の機能を有し、かつ好塩基球との構造を比較して、アミノ酸配列に1~50、1~30、1~10、又は1~3個のアミノ酸が置換、欠失、付加、または挿入等がされている構造を意味する。
加えて、本発明の「好塩基球改変体遺伝子」は、該遺伝子によってコードされるタンパク質が好塩基球と同等の機能を有する遺伝子配列を意味する。

【0015】
一般的にアミノ酸配列に置換、欠失、付加、または挿入等の変異を導入する手段は自体公知であり、例えばウルマー(Ulmer)の技術(Science, 219, 666-671 (1983))を利用することができる。このような変異の導入において、タンパク質の基本的な性質(物性、機能または免疫学的活性等)を変化させないという観点から、例えば、同族アミノ酸(極性アミノ酸、非極性アミノ酸、疎水性アミノ酸、親水性アミノ酸、陽性荷電アミノ酸、陰性荷電アミノ酸および芳香族アミノ酸等)の間での相互置換は容易に想定される。さらに、これら利用できるタンパク質は、その構成アミノ基またはカルボキシル基等を、例えばアミド化修飾する等、機能の著しい変更を伴わない程度に改変が可能である。

【0016】
(好塩基球の作用を阻害)
本発明の「好塩基球の作用を阻害」とは、好塩基球の有する機能(特に、CCL3などの生理活性物質の産生機能)を直接的又は間接的に喪失、低下させることを意味する。なお、「好塩基球改変体の作用を阻害」も上記と同様な意味である。

【0017】
(好塩基球の発現を阻害)
本発明の「好塩基球の発現を阻害」とは、好塩基球遺伝子が好塩基球タンパク質に翻訳されるいずれかの段階を阻害することを意味する。なお、「好塩基球改変体の発現を阻害」も上記と同様な意味である。

【0018】
(本発明のスクリーニング方法)
本発明のスクリーニング方法を、以下に例示する。しかしながら、好塩基球若しくは好塩基球改変体の作用又は発現を阻害する試験化合物を選択することができれば特には限定されない。
なお、本発明の「試験化合物の選択」とは、試験化合物が慢性骨髄性白血病の治療剤又は予防剤、さらには骨転移の治療剤又は予防剤として利用できるかを確認することである。すなわち、本発明のスクリーニング方法で得られた慢性骨髄性白血病の治療剤又は予防剤の試験化合物(又は、骨転移の治療剤又は予防剤の試験化合物)は、さらに動物実験等で実用性を確認することができる。

【0019】
本発明では、以下の工程を含むスクリーニング方法を例示することができる。
(1)試験化合物を、放射線非照射のヒト以外の動物でありかつBCR-ABL融合遺伝子が導入されている造血幹細胞が髄腔に移植された慢性骨髄性白血病モデル動物の骨髄に、投与する工程。
(2)骨髄中の好塩基球の発現量を測定する工程。

【0020】
なお、好塩基球遺伝子若しくは好塩基球改変体遺伝子又は、好塩基球若しくは好塩基球改変体の発現量を測定する方法としては、以下の方法が例示されるが、特に限定されない。なお、発現量とは、例えば、コントロールと比較しての増減を意味する。
1)RT-PCR法
2)免疫ブロット法
3)SAGE
4)抗好塩基球抗体を使用した免疫沈降法
5)プルダウン法
6)ELISA
7)ウエスタンブロット
8)ハイブリダイゼーション
9)フローサイトメトリー
10)比重遠心法
11)細胞浮遊液の染色標本
12)病理組織の染色標本
より詳しくは、フローサイトメトリーを使用する場合には、骨髄中の細胞から好塩基球選択マーカーCD200R3及びFcεR1により好塩基球を分離する。そして、骨髄中の全細胞に対する好塩基球の割合を測定する。

【0021】
(試験化合物)
本発明で用いる「試験化合物」としては任意の物質を使用することができる。試験化合物の種類は特に限定されず、公知の治療剤(特に、CCR5阻害剤)、個々の低分子合成化合物(特にsiRNA)、天然物抽出物中に存在する化合物、合成ペプチドでもよい。
あるいは、試験化合物は、化合物ライブラリー、ファージディスプレーライブラリーもしくはコンビナトリアルライブラリーでもよい。試験化合物は、好ましくは低分子化合物であり、低分子化合物の化合物ライブラリーが好ましい。化合物ライブラリーの構築は当業者に公知であり、また市販の化合物ライブラリーを使用することもできる。

【0022】
(CMLモデル動物)
本発明のスクリーニングに使用する「CMLモデル動物」は、BCR-ABL融合遺伝子が導入されている造血幹細胞が、放射線非照射のヒト以外の動物の髄腔に移植されている。
本発明のCMLモデル動物の作製方法は、造血幹細胞に、BCR-ABL融合遺伝子を導入する工程、および、得られたBCR-ABL融合遺伝子導入済造血幹細胞を放射線非照射のヒト以外の動物の髄腔に移植する工程を含む。

【0023】
本発明のCMLモデル動物は、ヒトCML発症初期段階の症状、骨髄状態、細胞状態を再現し、自然発症の白血病と類似した白血病過程、特に、発症初期段階を有する。このモデルを使用することにより、下記の実施例で示したように、正常な造血プロセスを白血病性プロセスに変換する機構では、CML骨髄環境下において、好塩基球がCCL3を発現し、さらにCCL3は正常造血幹細胞に対するLICの優性増殖を促進することによって、慢性骨髄性白血病が発症することを見出すことができた。
さらに、慢性骨髄性白血病の薬剤となる試験化合物を本発明のCMLモデル動物に投与すれば、従来の慢性骨髄性白血病の薬剤とは異なり、ヒトCML発症初期段階に効果のある薬剤をスクリーニングすることができる。

【0024】
(動物)
ヒト以外の動物は、哺乳動物が好ましい。野生型(WT)動物、所望の遺伝子が欠損した動物、免疫不全動物等が挙げられる。好ましくは、免疫不全動物である。また、哺乳動物の中では、マウスまたはラットが好ましい。免疫不全マウスまたは免疫不全ラットがさらに好ましい。免疫不全のマウスやラットは、数種類開発されているが、胸腺を欠損しているヌードマウスまたはヌードラットが最も好ましく用いられる。

【0025】
(放射線非照射)
従来、レシピエント動物は放射線照射により全身の免疫系が破壊されていた。しかし、本発明では、免疫系を破壊するような放射線の照射がされていないレシピエント動物を用いる。本発明のモデル動物は、放射線照射されないことにより、レシピエントの骨髄内部には、正常な造血幹細胞が存在している。さらに、BCR-ABL融合遺伝子が導入されている造血幹細胞を骨髄に移植することにより、正常な造血幹細胞とBCR-ABL融合遺伝子が導入されている造血幹細胞が髄腔内で共存し、ヒトのCML発症初期段階の骨髄内の状態と同様の状態になる。

【0026】
(髄腔移植)
BCR-ABL融合遺伝子が導入されている造血幹細胞は、ヒト以外の動物の髄腔に移植する。髄腔は、骨髄の内腔である。本発明のスクリーニング方法では、注射器またはその他の道具にて、BCR-ABL融合遺伝子が導入されている造血幹細胞を、髄腔内に直接又は間接的に移植する。移植される骨髄の場所は、限定されず、移植可能であればどこでもよい。移植が容易な骨髄の髄腔は、脛骨または大腿骨の骨髄の髄腔である。また、複数回移植してもよい。マウスであれば、3~9週齢、好ましくは、4~8週齢、より好ましくは5~7週齢のマウスに移植する。

【0027】
(BCR-ABL融合遺伝子導入造血幹細胞)
BCR-ABL融合遺伝子を導入する造血幹細胞は、レシピエントの動物とは別のまたは同一の動物の骨髄から得ることができる。採取した骨髄から既知の造血幹細胞の分子マーカーを用いて造血幹細胞を選択して得ることができる。たとえば、c-kitlineageSca-1(KLS)の細胞を選択することができる。前記造血幹細胞は、モデル動物と同種の動物由来であることが好ましい。モデル動物と同種の動物であって、野生型の動物由来であることが、さらに好ましい。

【0028】
(BCR-ABL融合遺伝子)
本発明で用いるBCR-ABL融合遺伝子は、9と22番染色体の相互転座の結果生じるBCR遺伝子とABL遺伝子が融合した遺伝子である。発現タンパク質がチロシンキナーゼ活性を有しCMLの原因となる遺伝子であれば、特に限定されない。例えば、文献Proc. Natl. Acad. Sci. USA Vol. 83,pp.9768-9772, December 1986に記載の遺伝子配列が挙げられる。この配列の、一部欠失、置換、付加された配列も含まれる。これら一部欠失、置換、付加された配列は、好ましくは、上記配列と70%以上、好ましくは、80%以上、さらに好ましくは、90%以上、より好ましくは95%以上の相同性を有する。

【0029】
(BCR-ABL融合遺伝子の導入)
BCR-ABL融合遺伝子の造血幹細胞への導入は、既知の方法により導入することが可能である。例えば、BCR-ABL融合遺伝子をウイルスベクターに挿入し、造血幹細胞に導入することができる。ウイルスベクターは既知のベクターを用いることができる。例えば、レトロウイルスベクター、サイトメガロウイルスベクターが挙げられ、好ましくは、MSCVベクターを用いることができる。また、遺伝子導入後の解析のために検出マーカーをコードする遺伝子を付加しておくことができる。例えば、蛍光物質であるGFPをコードする遺伝子を付加することができる。

【0030】
(移植細胞数)
BCR-ABL融合遺伝子が導入されている造血幹細胞の移植細胞数は、適宜調整することができる。モデル動物がマウスの場合は、1マウスあたり、50~10000個、好ましくは、100~1000個、さらに好ましくは、200~800個、最も好ましくは、400~500個移植する。モデル動物がラットの場合は、1ラットあたり、1マウスあたりと同数の移植細胞数、2倍の移植数又は3倍の移植数で良い。

【0031】
(使用時期)
本発明のCMLモデル動物をCML発症の初期段階のモデル動物として使用するときには、移植後1~5週間、好ましくは移植後2~4週間での使用が望ましい。

【0032】
(移植後の症状)
BCR-ABL融合遺伝子が導入されている造血幹細胞の移植細胞数は、上記に記載の通りわずかであり、この少量の造血幹細胞が、骨髄中でレシピエント自身の多数の正常の造血細胞およびドナーからの多数の正常な造血細胞と共存する。移植後、2~3週間で、著しい白血球増加と脾臓の腫大を呈するCML様疾患を発症する。このように、このCMLモデル動物は、特にCML発症の初期段階で、骨髄中の正常造血細胞と白血病幹細胞の間の相互作用を明らかにするために、非常に有用である。
さらに、このCMLモデルで、右の脛骨の骨髄の髄腔へ直接移植した後、白血病幹細胞は、自発的に移動して、反対側の左の脛骨の骨髄の髄腔においても増殖した。加えて、CML患者において観察されるような、脾臓および肝臓において骨髄外造血が同様に再現された。このように、このCMLモデル動物は、移植部位である始原部位から他の造血器官(例えば脾臓および肝臓)まで白血病幹細胞の浸潤を調べるためにも有用である。

【0033】
(慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤)
下記の実施例により、CCR5阻害剤(特に、マラビロク)が慢性骨髄性白血病又は骨転移(特に、乳癌による骨転移)の治療剤又は予防剤の有効成分として有効であることを確認している。
よって、本発明の慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤は、有効成分として、CCR5阻害剤、特に、マラビロクを含有する。
加えて、本発明の慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤と公知の慢性骨髄性白血病の治療剤(例、チロシンキナーゼ阻害剤、特に、ダサチニブ)又は骨転移治療剤を組み合わせて、慢性骨髄性白血病又は骨転移の患者に投与しても良い。

【0034】
(CCR5阻害剤)
本発明の慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤の有効成分として利用できるCCR5阻害剤は、マラビロク{UK-427857 4,4-Difluoro-N-{(1S)-3-[3-(3-isopropyl- 5-methyl-4H-1,2,4-triazol-4-yl)- 8-azabicyclo[3.2.1]oct-8-yl]-1- phenylpropyl}cyclohexanecarboxamide)}、ビクリビロク{1-[(4,6-dimethyl-5-pyrimidinyl)carbonyl]- 4-[4-[2-methoxy-1(R)-4-(trifluoromethyl)phenyl]ethyl-3(S)-methyl-1-piperazinyl]- 4-methylpiperidine}、バイカリン・フラボノイド、Trigonostema xyphophylloides抽出物(TXE)、Vatica astrotricha抽出物等を挙げることができるが、特にマラビロクが好ましい。

【0035】
(マラビロク)
マラビロクは、HIV感染症のHAART療法に用いられるCCR5阻害剤として市販されている。通常、成人にはマラビロクとして1回300mgを1日2回経口投与する。

【0036】
本発明の慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤は、有効成分として好塩基球遺伝子のmRNAに特異的にハイブリダイズするアンチセンス核酸を含有する。
本発明の慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤は、有効成分として好塩基球遺伝子のmRNAを特異的に切断するリボザイムを含有する。
本発明の慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤は、有効成分として好塩基球を不活性化する抗体を含有する。

【0037】
予防または治療等の目的に応じて、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、腸溶剤、液剤、注射剤(液剤、懸濁剤)または遺伝子療法に用いる形態などの各種の形態に、常法にしたがって調製することができる。本発明の慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療又は予防剤は、通常は1種または複数の医薬用担体を用いて医薬組成物として製造することが好ましい。

【0038】
本発明の慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療又は予防剤の投与量または摂取量については、本発明の効果が得られるものであれば特に限定されるものではなく、含有される成分の有効性、投与形態、投与経路、疾患の種類、対象の性質(体重、年齢、病状および他の医薬の使用の有無等)、および担当医師の判断等に応じて適宜選択される。本発明の慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤は、1日1~数回に分けて投与または摂取することができ、数日または数週間に1回の割合で間欠的に投与または摂取してもよい。

【0039】
以下に示す実施例によって、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例は、金沢大学動物実験規定及びヘルシンキ宣言に従って行なわれた。さらに、順天堂大学の倫理委員会(登録番号IRB#969)によって承認されている。
【実施例1】
【0040】
(材料及び方法)
実施例で使用した材料及び方法は、以下の通りである。
【実施例1】
【0041】
(マウス)
特定病原体フリーの5~6週齢オスBALB/c及び無胸腺のBALB/c-nuマウスは、Charles River Japanから購入し、それぞれ、野生型及びヌードマウスとして使用した。CD45.1 BALB/cコンジェニックマウス及びCCL3-/-マウスは、Jackson Laboratoriesから得た。CCR1-/-及びCCR5-/-マウスは、それぞれ、Dr. Philip M. Murphy(National Institute of Allergy and Infectious Diseases, National Institutes of Health, USA)及び松島綱治博士(東京大学)によって提供された。これらの遺伝子欠損マウスは、8世代以上のBALB/Cマウスと交配して得た。MCPT8-DTRマウス{mMCP-8遺伝子プロモーター/エンハンサー領域にDTR(ジフテリア毒素受容体)遺伝子を連結したトランスジェニックマウスであり、好塩基球にのみDTRが発現している。その結果、ジフテリア毒素を投与すると、好塩基球が選択的に除去される}は、公知の方法(参照:J Clin Invest. 2010;120(8):2867-2875.)により得た。マウスは、特定病原体フリー条件の下で飼育した。
【実施例1】
【0042】
(抗体)
以下のラット抗マウスモノクローナル抗体を使用した。
抗CD4(RM4-5;TONBO Biosciences)、抗CD8(53-6.7;TONBO Biosciences)、抗CD16/32(2.4G2;BD Biosciences)、抗CD11b(M1/70;TONBO Biosciences)、抗CD19(1D3;TONBO Biosciences)、抗CD34(RAM34;eBioscience)、抗CD45.1(A20;TONBO Biosciences)、抗CD45.2(104;TONBO Biosciences)、抗CD45R/B220(RA3-6B2;TONBO Biosciences)、抗CD48(HN48-1;eBioscience)、抗CD49b(DX5;BioLegend)、抗CD117/c-kit(ACK2;TONBO Biosciences)、抗CD150/SLAM(TC15-12F12.2;BioLegend)、抗CD200R3(Ba13;BioLegend)、抗FcεR1(MAR-1;eBioscience)、抗Ki67(SolA15;eBioscience)、抗-Ly-6A/E/Sca-1(D7;eBioscience)、抗-Ly-6G/Gr-1(RB6-8C5;TONBO Biosciences)、抗Ly6G(1A8;TONBO Biosciences)、抗MIP1-α/CCL3(39624;R & D Systems)、及び抗-TER-119(TER-119;TONBO Biosciences)。
マウス系統Ab cocktail setは、BD Biosciencesから購入した。マウスミエロペルオキシダーゼ(MPO)への交叉反応性を備えたマウス抗ラットMPOモノクローナル抗体(2D4)は、Abcamから購入した。アルメニアンハムスター抗マウスTCR-β鎖(H57-597)は、TONBO Biosciencesから購入した。個々のラットモノクローナル抗体のためのアイソタイプが一致したコントロールIgG及びコントロールのマウスIgGは、BD Biosciencesから購入した。
【実施例1】
【0043】
{造血前駆細胞(HPC)及びc-kitlineageSca-1(KLS)骨髄細胞の調製}
全骨髄細胞は、Histopaque-1083試薬(Sigma-Aldrich)を使用した密度勾配遠心により分離した。その後、lineageマーカー(CD4、CD8、CD11b、Gr-1、B220及びTER-119)c-kit細胞及びlineageマーカーc-kitSca-1細胞は、それぞれ、FACSAria Cell Sorter(BD Biosciences)を使用してソートし、HPC及びKLS骨髄細胞として使用した。
【実施例1】
【0044】
(KLS細胞増殖の好塩基球媒介性抑制)
CD45.1KLS骨髄細胞は、5 μMカルボキシフルオセイン二酢酸(CFSE、Life Technologies)で標識した。続いて、それらを、1%ウシ血清アルブミン(BSA)、100 ng/ml幹細胞因子(SCF)、100 ng/mlトロンボポイエチン(TPO)、及び10 ng/ml IL-3(全てPeproTechより)補充S-clone培地中で、インビトロで分化させたCD45.2野生型又はCCL3-/-好塩基球(図14)の存在下又は非存在下で4日間培養した。CD45.1c-kithigh細胞におけるCFSEの中間蛍光強度(MFI)は、培養前後で測定した。
【実施例1】
【0045】
(骨髄キメラの作製)
合計1×10骨髄細胞を、5.5Gy X照射レシピエントマウスに静脈内注射した。いくつかの実施例では、2×10 HPCを、2Gy X照射レシピエントマウスの右脛骨の骨髄腔に注入した。
【実施例1】
【0046】
(CMLモデルの作製)
野生型又はMCPT8-DTRマウスの骨髄から精製されたKLS細胞に、公知の方法{参照:Nature.2010;463(7281):676-680}によりMSCV-BCR-ABL-ires-GFPを有するレトロウイルスを感染させて、LICを得た。30 μl量のLIC(30,000個のKLS細胞に含まれる400~500個のBCR-ABL細胞)を、続いて29 G needle-conjugated insulin syringe(Terumo)で脛骨に注入した。いくつかの実施例では、各図の説明で詳述される通り、ジフテリア毒素(DT、Sigma-Aldrich)、mutant DT(Sigma-Aldrich)、マラビロク(maraviroc;MVC、GlaxoSmithKline)又はダサニチブ(dasatinib、Bristol-Myers)を投与した。
【実施例1】
【0047】
(RNA単離、cDNA合成、及び定量リアルタイムPCR)
全RNAは、RNeasy Mini kit(QIAGEN)を用いて細胞から抽出し、その後、SuperScript III First-Strand Synthesis(Life Technologies)を用いて逆転写した。定量リアルタイムPCRは、Fast SYBR Green Master Mix(Life Technologies)、及びGAPDH遺伝子(センス: 5′- GCG GCA CGT CAG ATC CA-3′ 配列番号1; アンチセンス: 5′- CAT GGC CTT CCG TGT TTC CTA-3′ 配列番号2)及びCCL3遺伝子(センス: 5′- GCT GAC AAG CTC ACC CTC TGT-3′ 配列番号3; アンチセンス: 5′-GGC AGT GGT GGA GAC CTT CA-3′ 配列番号4)の特異的プライマーセットを用いたLife Technologies ViiA7 Real-time PCR system上で行った。CCL3遺伝子の相対的発現は、GAPDH遺伝子のCt値を用いて、ΔΔCt法により分析した。
【実施例1】
【0048】
(フローサイトメトリー)
単離された白血球は、様々な組み合わせの蛍光色素標識抗体で染色した。細胞内のCCL3及びMPO染色のために、白血球は、0.1%のGolgiStop reagent(BD Biosciences)補充無血清S-Clone SF-03培地(Sanko Junyaku)中で4時間培養した。
次に、細胞内のCCL3及びMPOは、PE標識抗CCL3 抗体及びビオチン標識抗MPO 抗体で染色し、続いて、Intracellular Cytokine Staining Starter Kit(BD Biosciences)を用いて、それぞれ、APC及びAPC-Cy7標識ストレプトアビジンと共に培養した。核内のKi67は、Foxp3/Transcription Factor Buffer Set(eBioscience)を用いて、ビオチン標識抗Ki67抗体及びAPC標識ストレプトアビジンで連続して染色した。各分子の発現は、FACSCantoII(BD Biosciences)を使用して決定し、さらにFlowJo software(Tree Star)で分析した。
【実施例1】
【0049】
{CML患者の骨髄生検材料でのIn situハイブリダイゼーション(IHC)評価}
骨髄生検サンプルは、治療前に順天堂大学病院で診断されたCML患者から得た。本実施例のために、4 μm切片は、パラフィン包埋組織から調製し、正電荷付与スライドガラスに置いた。mRNAの二重染色は、キットに添付の指示書に従って、QuantiGene ViewRNA ISHkit(Panomics)を用いて行った。脱パラフィン組織サンプルは、前処理溶液で培養し、続いてプロテアーゼ処理した。ヒトCCL3-及びエクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(ENPP)3-特異的プローブは、Panomics/Affymetrixにより設計/合成された。プローブセット及び増幅分子は、オリゴヌクレオチドの各ペアにハイブリダイズした。非結合プローブを洗浄により除去した後、サンプルは、沈殿を形成するfast red substrate及びfast blue substrateを分解するために、アルカリフォスファターゼで培養した。標的mRNAのイメージは、DP21 microscopic camera(オリンパス)を用いて得た。
【実施例1】
【0050】
(統計分析)
データは、各図の説明において示された方法を用いて統計的に分析した。p<0.05は、統計的に有意であると判断した。
【実施例2】
【0051】
(脊髄前駆細胞による恒常的CCL3産生の確認)
本発明者らは、BCR-ABL lineagec-kit未成熟白血病細胞及びより少ない程度でBCR-ABL lineagec-kit非白血病細胞は、CML発症マウスの骨髄中でCCL3を発現していることを以前報告した(参照:非特許文献10)。
本実施例では、正常なマウス骨髄中でCCL3発現を調べた。CCL3発現は、非処理の正常な骨髄(参照:図1A)中のlineagelow細胞中で一貫して検出された。これらのCCL3発現細胞は、骨髄細胞の機能的なマーカーであるMPO、造血前駆細胞マーカーであるCD34及びCD16/32の発現を有する未熟顆粒球系細胞の表現型を示し、SCF受容体であるc-kit(図1B)を発現しなかった。更に、CCL3は、骨髄移植後の同様の細胞集団においても検出された(図1C)。
【実施例3】
【0052】
(好塩基球がCCL3の主要な産生細胞であるかの確認)
最初に、CCL3を発現している骨髄前駆細胞の特徴を確認するために、インビトロ及びインビボでHPCから骨髄前駆細胞への分化を誘導した。両方の条件の下で、HPCは、骨髄細胞へ分化し、付随的にlineagelowc-kitlowCCL3細胞を生じさせた(図2A及び図8)。骨髄細胞の中で、CCL3は、新鮮分離されたlineagelowCD16/32highc-kitlow細胞集団において豊富かつ選択的に検出された。lineagelowCD16/32highc-kitlow細胞集団は、分葉核及び細胞質好塩基球顆粒を有し、lineagelowCD16/32highc-kithigh顆粒細胞マクロファージ前駆(GMP)細胞より小さかった(図2B)。さらに、c-kitlowFcεR1CD49b好塩基球は、非処理マウス及び骨髄キメラの骨髄中でCCL3を恒常的に発現した(図2C)。
これらの結果は、好塩基球がCCL3を発現できることを示す。骨髄中の好塩基球は、好塩基球選択マーカーCD200R3及びFcεR1を発現し、次の3つのサブセットに分類することができた:CD34high forward scatter(FSC)high始原前駆細胞、CD34highFSClow前駆細胞及びCD34lowFSClow成熟細胞集団(mature population cell)(図2D)。CCL3発現は、好塩基球前駆細胞において明らかであったが、好塩基球の成熟につれて減少した(図2D)。
以上により、骨髄中の好塩基球(好塩基球-lineage細胞)は、恒常的にCCL3を発現していることを確認した。
【実施例4】
【0053】
(骨髄移植誘導造血再構成間のHSPCの一過性増殖に対するネガティブ調節因子としての骨髄内CCL3の役割の確認)
非処理の野生型及びCCL3-/-マウス間では、造血性細胞集団において、いかなる差異も観察できなかった。この造血性細胞集団には、末梢血中の全白血球(WBC)、B細胞、及び顆粒細胞(図3A)、及び骨髄中のHSC及び多能性前駆細胞(MPP)が含まれる(図3B)。次に、ストレス下において造血におけるCCL3の役割を調べるために、骨髄移植を行った。骨髄移植前処理として、レシピエントマウスを、5.5Gyで全身照射した。照射量は、レシピエントマウスの損傷を低減するために、ドナー由来造血細胞との交換に必要とされる十分かつ最少量であった。これらの条件の下で、CD45.1レシピエント由来細胞の約10%(大部分はTCR-βchainT細胞)は、末梢血に残った(図9A)。しかしながら、CD45.1レシピエント由来細胞は、胸腺において分化したTCR-βchainmedium未成熟T細胞中で観察できなかった(図9B)。したがって、これらの条件下では、造血系は、末梢血中の成熟したT細胞を除いて、ドナー由来細胞とほとんど置き換わった。よって、T細胞数の計数は、その後の骨髄キメラを使用した実施例において、造血再構成を決定するために除外した。ドナー細胞がCCL3-/-マウス由来であった場合、ドナー由来全細胞、B細胞及び顆粒細胞は、非処理マウス及び野生型由来骨髄細胞を移植されたマウスと比較して、末梢血中で過剰に再構成された(図3A)。同様に、HSCとMPPは、野生型ドナーから移植された骨髄細胞よりもCCL3-/-ドナーから移植された骨髄細胞中でより効率的に再構成された(図3B)。CCL3-/-ドナー細胞と共に再構成された骨髄中で、ドナー由来の末梢血中の全WBC及び骨髄中のHSCの不自然な増加は、最初の骨髄移植後20週でさえも持続した(図10)。
さらに、CCL3-/-ドナー細胞の野生型ドナー細胞と比較してより高い造血再構成能力は、第2回目の骨髄移植でも観察された(図3A及び3B)。野生型骨髄細胞移植2週間後、ドナー由来KLS細胞中のKi67発現は、一過的に増強され(図3C)、その後、ベースラインレベル以下に減少した(図3D)。一方、Ki67恒常的発現は、CCL3-/-キメラ中で持続した(図3D)。本発明者らを含むいくつかのグループは、CCL3受容体CCR1及びCCR5が正常なHSPC上で発現することを報告している。競合的骨髄移植解析は、ドナー細胞中のCCR1又はCCR5の除去が、連続する骨髄移植後にWBCと骨髄KLS細胞のより高度なキメラ現象を引き起こすことを確認した(図11A 及び11B)。
加えて、末梢血中のドナー由来WBC割合の増加は、CCR5-/-ドナー由来細胞の最初の骨髄移植後の40週まで明らかであった(図12)。本発明者らは、以前に、CCL3の骨髄内注入は骨髄から末梢血中へのc-kitHPCの動員を誘導できることを確認している(参照:非特許文献10)。しかし、競合的骨髄キメラマウスの末梢血中のCCR1-/-又はCCR5-/-HPCのどちらの動員過程においても欠陥は確認できなかった(図13)。
以上により、これらの結果は、内因的に産生されたCCL3が骨髄中のHSPCの増殖を主として制御できるが、それらの動員は制御しないことを示す。
【実施例5】
【0054】
(HSPC増殖のネガティブ制御因子としての好塩基球由来CCL3の役割)
骨髄中の好塩基球のCCL3発現能力に関し、好塩基球由来CCL3のHSPCに対する影響を確認した。CD49bc-kitlowFcεR1好塩基球は、インビトロで生成し(図14)、HSPCとの共培養に使用した。KLSHSPC増殖は、野生型由来好塩基球存在下で著しく減少したが、CCL3-/-マウス由来好塩基球存在下では減少しなかった(図4A)。MCPT8-DTRマウスへのDTの投与は、骨髄中のCCL3発現好塩基球の数と共に、末梢血と骨髄中の好塩基球数を選択的に減らした(図15)。一方、mutant DT(Glu52)の投与は、好塩基球を減らさなかった。インビボでの好塩基球の機能を調べるために、野生型マウスに、骨髄移植のためのドナー細胞としてMCPT8-DTRマウス由来骨髄細胞を移植し、骨髄移植後にDT又はmutant DTを静脈内に投与した(図4B)。DT処理は、mutant DT処理と比較して、骨髄キメラマウス中の好塩基球を低減し、骨髄中でドナー由来CD34KLS及びCD150CD48KLSHSCを最終的に増加させた(図4C)。さらに、DTは、mutant DTと比較して、末梢血中のドナー由来全細胞、B細胞及び顆粒細胞の再構成を過剰にし(図4D)、CCL3-/-ドナー由来細胞の骨髄移植の結果に類似した(図3)。
したがって、骨髄中の好塩基球は、CCL3依存的にHSPC増殖をネガティブに制御できることを確認した。
【実施例6】
【0055】
(CML発症の重大な要因としての好塩基球様白血病細胞の役割)
本発明者らは、以前に、「BCR-ABL-変換されたLICの非照射マウスの骨髄腔への直接注入がCML発症の初期における正常な造血系及び白血病細胞間の相互作用を正確に表すこと、そして、このモデルを使用して、内因的に産生されたCCL3が骨髄中のLICの維持を促進するためにCCR1又はCCR5発現非白血病HSPCに作用していること」、を示した(参照:非特許文献10)。
本実施例では、このモデルにおいて、骨髄移植中での結果と同様に(図3D)、Ki67発現が骨髄中のレシピエント由来正常KLS細胞中で一過的に増強された(図5A)ことを確認した。HSPCの増殖を抑制する好塩基球由来CCL3の能力を考慮すると、この結果は、Ki67発現のこの一過的な増加におけるCCL3の関与を示している。実際、CML発症の間、CCL3発現BCR-ABL正常造血性細胞(図5B)と類似した表現型を示すCD49bFcεR1CD200R3c-kitlowである好塩基球様白血病細胞が、CCL3を発現し、なおかつ末梢血中ではなく骨髄中で増殖した(図5C及び5D)。これらの結果と一致して、CCL3発現は、CML患者の骨髄生検材料中のENPP3好塩基球様細胞中で主として確認できた。好塩基球様白血病細胞のCML病態生理学における役割を確認するために、MCPT8-DTRドナー由来LICを、非照射ヌードマウス中に移植した。続いて、該非照射ヌードマウスは、選択的に好塩基球様白血病細胞を低減するために、DT処理した(図6A)。DT処理は、末梢血 WBCの数(図6B)、脾臓(SP)重量(図6C)、及び骨髄 LICの数(図6D)の増加を低下させた。更に、持続したDT処理は、CML発症を著しく遅らせた(図6E)。
これらの結果は、骨髄中の好塩基球様白血病細胞が、CML 骨髄中でLICの優勢な増殖促進させるCCL3の主要な産生細胞であることを示した。
【実施例7】
【0056】
(CMLに対する有力な予防薬としてのCCR5阻害剤であるマラビロクの作用)
非照射CMLモデル中において、LIC移植1週間後からの毎日のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるダサチニブ処理は、CML様白血球増加を低減させたが(図16A)、多数のLICが、骨髄中で残存した(図16B)。さらに、ダサチニブ処理の停止は、白血球増加の進行を急速に誘導した(図16A)。
上記結果をCMLに対する治療剤として利用できるかを確認するために、このCMLモデルに強力なCCR5拮抗作用を有する抗HIV薬であるマラビロクを投与した。マラビロクは、LIC注入直後に投与した場合、骨髄中のLICの消失と共に(図7D及び16B)、低下した白血球増加及び脾腫重量減少に示される通り(図7B、7C及び図17)、劇的にCML発症を防いだ(図7A)。
【実施例8】
【0057】
(骨転移に対する有力な予防薬としてのCCR5阻害剤であるマラビロクの作用)
CCR5阻害剤であるマラビロクを投与すると、骨転移が抑制されるかを調べた。概要を図18Aに示す。
骨転移を高頻度で起こすマウス乳癌細胞株4T1.3細胞(本発明者らが、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 JCRB細胞バンクから入手した4T1細胞株を、マウスに接種して骨に転移する細胞を選択し、樹立した細胞株)を、HBSS(Hanks’ Balanced Salt Solution)に5×10細胞の濃度で懸濁した。該細胞懸濁液20 μLをCD45.2BALB/cマウス脛骨内に注入した。
注入2日後、4日後、6日後に、30 mg/kg体重のマラビロクを経口投与した。コントロールとして、各日にマラビロクの代わりに1匹あたり0.1 mLの滅菌水を投与した。
注入7日後に脛骨を回収し、脱灰液{Ion-Exchange Decal Unit;I.E.D Unit(バイオケアメディカル)}中に浸漬し、室温で一晩脱灰した。脱灰後、パラフィン包埋組織切片を作製した。
一次抗体として腫瘍マーカーである抗pan-cytokeratin抗体(BioLegend)を用い、二次抗体としてM.O.M ImmPress Peroxidase Polymer kit(VECTOR LABORATORIES)とImmPACT DAB Substrate(VECTOR LABORATORIES)を用いた免疫染色にて、骨髄腔全体の面積に対する腫瘍細胞の陽性率を算出した。免疫染色の画像取得及び陽性染色の検出は、メーカーの指示に従い、B2-710オールインワン蛍光顕微鏡(キーエンス)を使用して行った。
免疫染色の結果、マラビロクを投与した場合、コントロールと比較して、陽性染色された面積が顕著に小さいことが確認できた(図18B)。骨髄腔全体の面積に対する陽性率を算出した結果、コントロールでは、骨髄腔全体の面積に対する陽性率は約32.34%であったのに対し、マラビロクを投与した場合、骨髄腔全体の面積に対する陽性率は約1.91%であった(図18C)。すなわち、マラビロクを投与した場合、腫瘍形成を約17分の1に抑制した。
以上より、マラビロクの投与は、骨髄中の癌細胞の定着及び腫瘍形成を抑制し、骨転移を抑制できることが明らかになった。よって、CCR5阻害剤であるマラビロクは、癌細胞の骨髄内での増殖を抑制する、骨転移の有力な治療剤・予防剤となることが確認できた。
【実施例8】
【0058】
(総括)
以上の本実施例1~8より、以下の点を確認した。
(1)CCL3は、選択的に好塩基球で発現している。さらに、骨髄中の好塩基球は、炎症刺激なしでCCL3を発現する。それゆえに、CCL3は、通常の生理的条件下と同様に、骨髄中の恒常性ケモカインとして機能する。
(2)骨髄中の好塩基球は、CCL3依存的にHSPC増殖をネガティブに制御できる。すなわち、好塩基球の作用又は発現を阻害する化合物は、HSPCの増殖が抑制されている慢性骨髄性白血病の治療剤又は予防剤の有効成分となり得る。
(3)本実施例のCMLモデルにより、好塩基球様白血病細胞は、CCL3の発現を増幅する。そして、CCL3は、骨髄中のLICを増幅させ、そして、CML発症を促進する。より詳しくは、好塩基球様白血病細胞由来のCCL3は、正常な造血と白血病プロセス間の相互作用に重要な役割を果し、CML骨髄環境下での正常造血幹細胞に対するLICの優性増殖を促進する。
(4)本実施例のCMLモデルにより、マラビロクは骨髄中のLICを劇的に減少させ、そして、CML発症を阻止した。一方、CML標準治療剤であるダサチニブは、末梢血中の白血病細胞の数を減少することはできたが、本モデルの骨髄中のLICを減少させることはできなかった。加えて、ダサチニブ投与中止によりすべてのマウスが白血病に屈した。すなわち、マラビロクは、CML標準治療剤であるダサチニブと比較して、CMLのLICに対して、特に慢性白血病初期においてはより有効である。
(5)LICは、チロシンキナーゼ阻害剤に対して抵抗性があることが知られている。そこで、CCR5阻害剤(例、マラビロク)とCML標準治療剤(例、チロシンキナーゼ阻害剤、特に、ダサチニブ)の併用投与は、従来のCML標準治療と比較して、優れている。
(6)本実施例において、マラビロクは、骨髄中の腫瘍形成を抑制し、さらに、乳癌による骨転移を抑制した。CCR5阻害剤(例、マラビロク)の投与は、骨転移の治療・予防に有効である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本願発明のCMLモデル動物は、慢性骨髄性白血病の研究に利用することにより、新規治療方法、新規薬剤の開発に利用することができる。また、白血病治療剤候補のスクリーニングに用いることができる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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