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明細書 :結球野菜の処理装置および処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-148880 (P2018-148880A)
公開日 平成30年9月27日(2018.9.27)
発明の名称または考案の名称 結球野菜の処理装置および処理方法
国際特許分類 A23N  15/00        (2006.01)
A01D  45/26        (2006.01)
FI A23N 15/00 Z
A01D 45/26
請求項の数または発明の数 19
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2018-041594 (P2018-041594)
出願日 平成30年3月8日(2018.3.8)
優先権出願番号 2017046610
優先日 平成29年3月10日(2017.3.10)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】千田 有一
【氏名】高橋 良政
【氏名】北村 嘉邦
【氏名】岡宮 裕
【氏名】田村 正好
【氏名】西澤 武司
【氏名】上原 和彦
【氏名】淺岡 龍徳
出願人 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001726、【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2B075
4B061
Fターム 2B075AA10
2B075AB10
2B075GA06
4B061AA01
4B061BA03
4B061BB20
要約 【課題】圃場に植栽されているレタス等の結球野菜の収穫を行う際に、作業のタクトタイムを増大させることなく、茎を切断した直後の切断部において乳管から滲出する液体を停止させることによって、切断部における褐変の発生を防止することが可能な結球野菜の処理装置および処理方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る結球野菜の処理装置1は、結球野菜の茎を切断した直後の切断部において乳管から滲出する液体を停止させる処理を行う結球野菜の処理装置であって、動力源2を備えて走行可能な車体4と、前記車体4に設けられて、前記切断部の前記液体を除去する除液部20と、前記車体4に設けられて、前記液体が除去された前記切断部を加熱する加熱部10と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
結球野菜の茎を切断した直後の切断部において乳管から滲出する液体を停止させる処理を行う結球野菜の処理装置であって、
動力源を備えて走行可能な車体と、
前記車体に設けられて、前記切断部の前記液体を除去する除液部と、
前記車体に設けられて、前記液体が除去された前記切断部を加熱する加熱部と、を備えること
を特徴とする結球野菜の処理装置。
【請求項2】
前記車体に設けられて、前記切断部に風を吹きつける送風部をさらに備えること
を特徴とする請求項1記載の結球野菜の処理装置。
【請求項3】
前記送風部は、高静圧ファンを有していること
を特徴とする請求項2記載の結球野菜の処理装置。
【請求項4】
前記加熱部は、電熱ヒータもしくは前記動力源の排熱により昇温されるヒータプレートを有していること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の結球野菜の処理装置。
【請求項5】
前記加熱部は、前記ヒータプレートの側面を囲む配置で設けられる断熱材を有していること
を特徴とする請求項4記載の結球野菜の処理装置。
【請求項6】
前記断熱材は、鉛直方向の下部位置に、前記ヒータプレートの側面に対向する内側と、反対側の外側とを貫通して設けられる水抜き穴を有していること
を特徴とする請求項5記載の結球野菜の処理装置。
【請求項7】
前記断熱材は、上面の位置が、前記ヒータプレートの上面の位置よりも高い位置となるように構成されていること
を特徴とする請求項5または請求項6記載の結球野菜の処理装置。
【請求項8】
前記断熱材は、複数の層状部材が鉛直方向に積層された構成を有し、最上段の前記層状部材と、最上段の下の段の前記層状部材と、の間に着脱可能な間隔調整シムを有していること
を特徴とする請求項5または請求項6記載の結球野菜の処理装置。
【請求項9】
前記断熱材は、上段の前記層状部材と、最上段の下の段の前記層状部材と、の間に前記間隔調整シムを取付けた状態において、上面の位置が、前記ヒータプレートの上面の位置よりも高い位置となるように構成され、且つ、上段の前記層状部材と、最上段の下の段の前記層状部材と、の間に前記間隔調整シムを取付けていない状態において、上面の位置が、前記ヒータプレートの上面の位置よりも低い位置となるように構成されていること
を特徴とする請求項8記載の結球野菜の処理装置。
【請求項10】
前記加熱部は、前記ヒータプレートの表面を清掃するヒータクリーナを有していること
を特徴とする請求項4~9のいずれか一項に記載の結球野菜の処理装置。
【請求項11】
前記加熱部は、加熱された水が貯留されて前記切断部を浸漬させる温水槽を有していること
を特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の結球野菜の処理装置。
【請求項12】
前記除液部は、前記切断部に水をかけ流す送水機構を有していること
を特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の結球野菜の処理装置。
【請求項13】
前記除液部は、吸液性の材料により前記切断部の前記液体を吸収する吸液機構を有していること
を特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の結球野菜の処理装置。
【請求項14】
結球野菜の茎を切断した直後の切断部において乳管から滲出する液体を停止させる処理を行う結球野菜の処理方法であって、
前記切断部の前記液体を除去する除液工程と、
前記除液工程の後に、前記切断部を加熱する加熱工程と、を備えること
を特徴とする結球野菜の処理方法。
【請求項15】
前記除液工程の後で、前記加熱工程の前に、前記切断部に風を吹きつける送風工程を備えること
を特徴とする請求項14記載の結球野菜の処理方法。
【請求項16】
前記加熱工程は、電熱ヒータもしくは動力源の排熱により昇温されるヒータプレートに前記切断部を当接させることにより加熱する工程であること
を特徴とする請求項14または請求項15記載の結球野菜の処理方法。
【請求項17】
前記加熱工程は、加熱された水が貯留された温水槽に前記切断部を浸漬させることにより加熱する工程であること
を特徴とする請求項14または請求項15記載の結球野菜の処理方法。
【請求項18】
前記除液工程は、前記切断部に水をかけ流すことにより前記液体を除去する工程であること
を特徴とする請求項14~17のいずれか一項に記載の結球野菜の処理方法。
【請求項19】
前記除液工程は、吸液性の材料を前記切断部に当接させることにより前記液体を除去する工程であること
を特徴とする請求項14~18のいずれか一項に記載の結球野菜の処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、レタス等の結球野菜の処理装置および処理方法に関し、さらに詳細には、結球野菜の茎を切断した直後の切断部において乳管から滲出する液体を停止させる処理を行う結球野菜の処理装置および処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、キャベツ、レタス、白菜等の結球野菜の出荷割合は増加傾向にある。しかし、特にレタスに関しては収穫作業の機械化に様々な課題があり、手作業による収穫作業が一般的となっている。
【0003】
ここで、特にレタスの特性として、収穫作業の際、茎を切断した直後の切断部において篩部にある乳管から乳液状の液体(以下、単に「液体」と称する場合がある)が滲出する現象が起こる。当該液体は、乳管で合成され且つ貯蔵され、乳管の中で常時ある程度の圧力がかけられている状態にあると考えられている。また、ラテックスの一種であるラクチュコピクリン等を含んでおり、微粒子が溶解している訳ではないが、懸濁した状態が持続するものである。そのため、滲出した時点では乳白色の乳液状であるが、時間経過と共に酸化されて褐色となり、粘度も増加する性質を有している。したがって、切断部に滲出する液体をそのまま放置すると、切断部が褐色に変化(以下、「褐変」と称する)してしまい、また、当該液体が葉に付着すると、当該葉にも変色が残ってしまう。ちなみに、当該液体の滲出現象は、レタスの品種や天候等により変化するものの、概ね、切断後の数秒から30秒程度経過した時点で滲出し始め、数分間程度継続する。なお、レタスの乳管の持つ圧力が大気圧と同じになった時点で滲出が停止する。
【0004】
一般市場においては、切断部の褐変の程度がレタスの鮮度指標として捉えられているため、褐変の程度が大きいレタスは商品価値が著しく低下してしまうこととなる。したがって、収穫後のレタスにおける褐変の発生を如何に防止するかが課題とされてきた。前述の通り、レタスに関しては手作業による収穫が一般的であるため、従来は、茎切りを行ったレタスを切断部を上向きにして地面に載置し、作業者が背負い式の噴霧器等で個々に水をかけることによって、切断部の液体を洗い流す方法等が採用されてきた。
【0005】
あるいは、機械化を試みた例として、出荷用の包装を行う包装装置に搬送するコンベア上に切断部を上向きにしてレタスを載置して、切断部に上方から接触させる吸収材を備えて切断部の液体を吸収することによって除去する処理装置等が開示されている(特許文献1:特開平10-113156号公報)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開平10-113156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に例示される結球野菜の処理装置は、収穫時における茎切りの直後に処理を行うものではなく、収穫後のレタスを出荷するための包装を行う際に、あらためて傷んだ葉を取り去ると共に茎を切断して、当該茎の切断部に滲出する液体を吸収材により除去するものである。したがって、茎を切断する作業を二度行わなければならないため、作業の労力、および、収穫したレタスを出荷するまでのタクトタイムのいずれもが増大してしまう課題が生じ得る。さらに、一旦吸収材に吸収された液体が後続搬送されるレタスに転写されてしまうことによって、除去が不十分となってしまう課題も生じ得る。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、圃場に植栽されているレタス等の結球野菜の収穫を行う際に、作業のタクトタイムを増大させることなく、茎を切断した直後の切断部において乳管から滲出する液体を停止させることによって、切断部における褐変の発生を防止することが可能な結球野菜の処理装置および処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
本発明に係る結球野菜の処理装置は、結球野菜の茎を切断した直後の切断部において乳管から滲出する液体を停止させる処理を行う結球野菜の処理装置であって、動力源を備えて走行可能な車体と、前記車体に設けられて、前記切断部の前記液体を除去する除液部と、前記車体に設けられて、前記液体が除去された前記切断部を加熱する加熱部と、を備えることを要件とする。
【0011】
また、本発明に係る結球野菜の処理方法は、結球野菜の茎を切断した直後の切断部において乳管から滲出する液体を停止させる処理を行う結球野菜の処理方法であって、前記切断部の前記液体を除去する除液工程と、前記除液工程の後に、前記切断部を加熱する加熱工程と、を備えることを要件とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、圃場に植栽されているレタス等の結球野菜の収穫を行う際に、作業のタクトタイムを増大させることなく、茎を切断した直後の切断部において乳管から滲出する液体を停止させることによって、切断部における褐変の発生を防止することが可能な結球野菜の処理装置および処理方法の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る結球野菜の処理装置の例を示す概略図である。
【図2】図1の結球野菜の処理装置の加熱部の例を示すブロック図である。
【図3】図1の結球野菜の処理装置の加熱部の例を示すブロック図である。
【図4】図1の結球野菜の処理装置の加熱部の例を示すブロック図である。
【図5】図1の結球野菜の処理装置の加熱部の例を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る結球野菜の処理方法の例を示すフローチャートである。
【図7】図1の結球野菜の処理装置のヒータクリーナの例を示す概略図である。
【図8】図1の結球野菜の処理装置の加熱部の例を示す概略図である。
【図9】図1の結球野菜の処理装置の加熱部の例を示す概略図である。
【図10】図9の加熱部の断熱材の例を示す概略図である。
【図11】図9の加熱部の断熱材の例を示す概略図である。
【図12】図9の加熱部の断熱材の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(結球野菜の処理装置)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本発明の実施形態に係る結球野菜の処理装置1の例を示す側面図(概略図)である。なお、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。

【0015】
この結球野菜の処理装置1は、レタス等に例示される結球野菜の茎を切断した後の切断部(結球部側の切断部であって、以下、単に「切断部」と称する場合がある)において乳管から滲出する液体を停止させる処理を行う装置である。

【0016】
前述の通り、結球野菜の切断部において、乳液を処理しないまま放置すると褐変現象で商品価値が下がってしまう。一般市場では、切断部の色合いによって、結球野菜の鮮度判断を行うことが常識とされているため、褐変のある出荷品では、商品価値が下がり収益性を上げることができない。

【0017】
この問題に対して、従来の対応は、切断部からの乳液停止を待って行う乳液の洗浄処理であった。より具体的には、刈取り担当の作業者が収穫を行った後、切断部からの乳液滲出が停止したことを見計って、乳液処理担当の作業者が噴霧器から水道水を切断部に噴霧することで乳液を洗浄する方法が一般的であった。すなわち、この乳液処理方法は、作業者の経験に基づいて乳液の滲出が停止する時間を判断し、切断部に溜まった乳液を洗い流すものであり、積極的に乳液を停止させる処理ではない。

【0018】
従来より、結球野菜の収穫作業全体の工程として、刈取り(前処理)の作業、乳液処理および箱詰め(後処理)の作業が並行して行われている。このとき、各担当の標準作業時間は定められていることが多く、刈取り開始から箱詰めまでの全体の作業時間として管理されることが通常である。すなわち、収穫作業の収穫速度(「タクトタイム」と称する)として、刈取りから箱詰めまでの総計時間を収穫個数で除した値で結球野菜1個当りの平均作業時間が表される。

【0019】
ここで、前述の通り、従来の工程では、乳液が停止するまで待ってから後処理の洗浄工程が行われていた。しかし、乳液の滲出は、結球野菜の品種、育成環境で変わるため乳液停止時間は一定しないものであった。しかし、今後、結球野菜の収穫機が実用化されれば、人手による収穫から、機械装置による収穫が可能となり、収穫作業の省力化とタクトタイムの向上を図ることができる。その一方で、前処理と後処理を連続して行うために、乳液が停止するまで待ってから後処理(洗浄工程)を行うこととすると、前処理(刈取り工程)の速度に追いつかず、タクトタイムを向上させることができない。

【0020】
この問題に対して、本願発明者は、先ず、収穫機上に、乳液停止待ちのバッファを設ける方法を考えた。しかし、その方法では、収穫機の装置規模が大きくなってしまうという問題が生じ得る。そこで、後処理に関して積極的に乳液停止処理を行うことにより解決を図る方法を案出するに至った。

【0021】
すなわち、本願発明者は、収穫速度が決められている作業環境において、収穫された結球野菜の乳液停止処理を行う処理装置を提案するものである。具体的な実施形態として、結球野菜の収穫機に設ける構成としてもよく、あるいは、収穫機と同時並行で運用されて乳液処理を行う収穫プロセス機器に設ける構成としてもよい。

【0022】
ここで、結球野菜を収穫する際の理想的な収穫速度(タクトタイム)は、2~3[秒/個]程度とされている。すなわち、その時間内で乳液停止処理を行わなければならない。切断部の乳液は、維管束帯の篩部にある乳管から滲出する。したがって、収穫速度に合せた短時間で乳液を停止させるには、乳液が乳管から滲出させないようにすることが必要となる。

【0023】
維管束帯は、結球野菜の成長過程で死んだ細胞が連続して管が構成される導管と、生細胞(蛋白質)で構成される篩管、乳管があることが知られている。そこで、本願発明者は、生細胞である乳管は、熱を加えれば変性するのではないかと考えた、すなわち、切断部にヒータ等で熱を加えることによって、乳管を閉じる(焼き潰す、または開口部を締める)ことができれば、切断部からの乳液の滲出を停止させることができるのではないかとの着想を得るに至った。ちなみに、熱を加えても導管は変性しにくいため、切断部から液体(乳液ではない水分)は滲出する。

【0024】
このような研究を踏まえて案出された本実施形態に係る結球野菜の処理装置1は、一例として、図1に示すように、車体4と、車体4の下部に設けられた走行用の左右一対のクローラ5、5と、ミッション(不図示)等を介してクローラ5、5を駆動する動力源(エンジン)2と、走行方向、走行速度の操作を行う運転操作部8と、エンジン2・クローラ5の走行制御や、後述するその他機構の制御等を行う制御部3を備えている。

【0025】
また、本実施形態に係る結球野菜の処理装置1に特徴的な構成として、茎切りされた結球野菜の切断部を加熱する加熱部10が車体4に設けられている。

【0026】
加熱部10の例として、結球野菜の切断部を加熱するヒータプレート10Aを備えて構成されている。これによれば、茎切り直後の結球野菜の切断部をヒータプレート10Aに押し当てて加熱することによって、乳管を閉じさせる作用を生じさせて、切断部からの液体(乳液)滲出を停止させる効果が得られる。

【0027】
ここで、ヒータプレート10Aは、金属材料を用いて昇温可能に構成された加熱面を備える部材である。ヒータプレート10Aを昇温させる昇温機構としては、発電機12で発生させる電気によって加熱する電熱ヒータ14を用いる構成(図2のブロック図参照)、もしくは車体4を走行させる動力源(エンジン)2の排熱を熱交換器16を介して利用する構成(図3のブロック図参照)、等を採用することができる。

【0028】
図8に、電熱ヒータ14を用いる場合のヒータプレート10Aの構成例を示す(図8(a)は平面図であり、図8(b)は正面図である)。なお、図中における符号10aで示す上面が加熱面となる。また、符号10cは必要に応じて温度センサを取付けるための取付け穴である。一般的に、レタスに例示される結球野菜の茎の直径は20~40[mm]程度であるため、加熱面となる上面10aは直径50~80[mm]程度に構成すればよい。このように、円柱型のヒータプレートを用いることによって、平面型のヒータプレートを用いる場合と比較して、加熱面の面積を小さくできるため、消費電力を30~50[%]程度低減できる効果が得られる。

【0029】
また、加熱部10は、ヒータプレート10Aの側面10bを取り囲む配置で設けられる断熱材50を備えて構成されている。これにより、放熱を抑制して加熱効率を高めることができる。本実施形態においては、断熱材50として、複数(例えば、三個)の層状部材50A、50B、50Cが鉛直方向に積層された構成を有している。ここで、層状部材50A、50B、50Cが積層された断熱材50を、ヒータプレート10Aの側面10bの周囲の所定位置に配設した状態の正面図を図9(a)に示す。また、各層状部材50A、50B、50Cの構成例を、それぞれ図10、11、12に示す(図10、11、12において、(a)は平面図であり、(b)は側面図である)。断熱効果を高めるために、ヒータプレート10Aの側面10bと断熱材50の内面との距離は、最接近部で1~2[mm]程度に設定している。この断熱材50(50A、50B、50C)を形成する材料は特に限定されないが、例えば、ジルコニアセラミック、炭化ケイ素、アルミナ等が断熱性能の点で好適に用いられる。

【0030】
なお、最下段となる層状部材50Cには、ヒータプレート10Aの側面10bに対向する内側(内壁部)と、反対側の外側(外壁部)とを貫通する水抜き穴50aを設ける構成が好適である。これにより、ヒータプレート10Aと断熱材50との間に液体が進入した場合にも、容易に排出させることができる。また、必要に応じて、層状部材50A、50Bにも、水抜き穴50bを設ける構成としてもよい。

【0031】
さらに、本実施形態に係る断熱材50は、最上段の層状部材50Aと、その下の段の層状部材50Bと、の間に着脱可能な間隔調整シム52が設けられている。これによれば、層状部材50Aと層状部材50Bとの間に間隔調整シム52を取付けた場合には、断熱材50の上面(ここでは、層状部材50Aの上面となる)の位置が、ヒータプレート10Aの上面10aの位置よりも鉛直方向で高い位置となるように構成することができる(図9(b)参照)。一方、層状部材50Aと層状部材50Bとの間に間隔調整シム52を取付けない場合には、断熱材50の上面(ここでは、層状部材50Aの上面となる)の位置が、ヒータプレート10Aの上面10aの位置よりも鉛直方向で低い位置となるように構成することができる(図9(a)参照)。なお、間隔調整シム52は、一例として、断熱材50と同じ材料を用いて円柱状に形成されているが、この構成に限定されるものではない。

【0032】
上記のように、断熱材50の上面が、ヒータプレート10Aの上面10aよりも高い位置となる構成にすれば、作業者が結球野菜の切断部を押し当てて加熱する作業を行う際に、ヒータプレート10A(上面10a)に触れづらくなるため、作業者が火傷してしまうことの防止、および、結球野菜の葉(外葉)が加熱されて傷んでしまうことの防止を図ることができる。

【0033】
一方、断熱材50の上面が、ヒータプレート10Aの上面10aよりも低い位置となる構成にすれば、作業者が結球野菜の切断部を押し当てて加熱する作業を行う際に、ヒータプレート10A(上面10a)に触れ易くなるため、切断部を押し当てて加熱する作業を容易且つ確実に行うことができる。この場合、不要な外葉を残した状態のまま作業を行えば、当該外葉が加熱されて傷んでしまったとしても商品価値が低下することはない。

【0034】
なお、変形例として、断熱材を上記の積層構造でなく、一体成型により形成してもよい(不図示)。

【0035】
上記のように、加熱部10がヒータプレート10Aを備える場合においては、ヒータプレート10Aの表面を清掃するヒータクリーナ40を備える構成とすることが好適である。ヒータプレート10Aには、連続して切断部が押し当てられることとなるため、ヒータプレート10A上に乳液が徐々に蓄積していき、後続の結球野菜の切断部に転写されてしまうおそれがある。しかし、ヒータクリーナ40を用いて、所定間隔でヒータプレート10Aの表面を清掃することによって、乳液の転写という問題を解消することが可能となる。

【0036】
ヒータクリーナ40の構成は、特に限定されるものではないが、乳液を拭取る拭取り式の構成の例として、図7(ここで図7(a)は平面図であり、図7(b)は側面図である)に示すように、電気モータ等の駆動源(不図示)によって駆動される駆動軸40aと、駆動軸40aによって回転駆動されるホルダ40bと、ホルダ40bの先端に固定されるクリーナ部40cとを備える構成が考えられる。これによれば、回転駆動されるクリーナ部40cをヒータプレート10Aの表面に押し当てて乳液を拭取ることによって当該表面の清掃を行うことが可能となる。ここで、クリーナ部40cには、不織布、樹脂スポンジ等を用いることができる。また、ヒータプレート10Aの表面の温度が概ね100[℃]を超える場合には、樹脂スポンジ等は融解するか焦げが発生し易いため、綿布製パッド、綿ネル製パッド等を用いる構成が好適である。なお、クリーナ部40cに水を含ませて使用してもよい。あるいは、ヒータクリーナの他の例として、水で乳液を洗い流す洗浄式の構成等としてもよい(不図示)。

【0037】
なお、断熱材50、間隔調整シム52、ヒータクリーナ40はいずれも任意の構成であり、省略することも可能である。

【0038】
あるいは、加熱部10の他の例として、加熱された水が貯留されて結球野菜の切断部を浸漬させる温水槽10Bを備える構成としてもよい。これによれば、茎切り直後の結球野菜の切断部を温水槽10Bの温水中に浸漬させることによって、乳管を閉じさせる作用を生じさせて、切断部からの液体(乳液)滲出を停止させる効果が得られる。この例の場合、加熱部10としてヒータプレートを用いないため、加熱部(ヒータプレート)が高温であることに起因して切断部が焦げてしまう課題の解決も図ることができる。

【0039】
なお、水を加熱させる加熱機構としては、発電機12で発生させる電気によって加熱する電熱ヒータ14を用いる構成(図4のブロック図参照)、もしくは車体を走行させる動力源(エンジン)の排熱を熱交換器16を介して利用する構成(図5のブロック図参照)、等を採用することができる。

【0040】
研究過程において、本願発明者らは、加熱部10としてヒータプレート10Aを使用し、当該ヒータプレート10Aを200~300[℃]まで昇温させて、収穫された結球野菜の切断部を2~3[秒]押し当てて、乳液停止処理を行う方法を試みた。しかし、この方法では、茎の切断部からの乳液の滲出を停止でき、且つ、その後の切断部の褐変を抑制できることが確認された一方で、切断部が焦げてしまう問題が生じ得ることが判った。

【0041】
ここで、商品としての結球野菜の仕向け先には、生食用途(スーパーマーケット等の一般市場向け)と加工用途(サンドイッチやカット野菜向け)がある。生食用と加工用では、切断部に求められる品質が異なる。より具体的には、生食用は、切断部における色合いが重要であり、褐変が無いことが求められる。一方、加工用は、切断部において、ひどい褐変が無いことが求められる。したがって、上記の処理方法によれば、乳液の停止によりひどい褐変は生じないものの、焼け焦げによる変色が生じる可能性があるため、生食用に用いられる結球野菜に対しては、十分な方法であるとは言い難い。

【0042】
上記の問題に対して、本実施形態に係る処理装置1においては、下記の特徴的な構成を備えることによって、その解決を図っている。

【0043】
より具体的には、上記の車体4に、さらに結球野菜の茎の切断部において乳管から滲出する液体(乳液)を除去する除液部20を設ける構成としている。

【0044】
除液部20の例として、切断部に水をかけ流す送水機構20Aを備えて構成されている。送水機構20Aは、タンク18に貯留された水を送水する蛇口、噴射ノズル等を有している。これによれば、茎切り直後の結球野菜の切断部に水をかけ流して洗浄する作用により、切断部の液体(乳液)を除去する効果が得られる。

【0045】
あるいは、除液部20の他の例として、切断部に滲出する液体(乳液)を吸収する吸液機構20Bを備える構成としてもよい。吸液機構20Bは、液体を吸収可能な吸液性の材料、例えば、樹脂スポンジ等を有している。これによれば、茎切り直後の結球野菜の切断部から滲出する液体(乳液)を吸収する作用により、切断部の液体(乳液)を除去する効果が得られる。

【0046】
ここで、除液部20が送水機構20Aを備える場合においては、茎の切断部に残る除液水、導管からの液体、葉部から滴ってくる除液水も加熱対象となってしまうため、加熱効率が低下してしまう問題が生じ得ることが判った。

【0047】
この問題に対し、本実施形態においては、送水機構20Aにより水をかけ流した後の茎の切断部に対して、風を吹きつける送風部30を備えることによって、その解決を図っている。これによれば、切断部をヒータプレート10Aに押し当てて加熱する前に、当該切断部および茎周辺の葉部に残っている除液水や導管から滲出した液体を送風部30による送風で吹き飛ばすことができるため、ヒータプレート10Aと切断部との密着性の向上、および加熱効率の向上を図ることができる。

【0048】
なお、送風部30には、高静圧ファン32を用いる構成が好適である。一般的な空冷ファンは、静音性と風量を得る傾向にあり静圧が高くはなく、茎の切断部に残る除液水や導管から滲出した液体を吹き飛ばす程の圧力は得られないためである。一例として、吹出し側に静翼付きの高静圧ファン32であって、取入れ側および吹出し側に、適宜、塵埃の混入や巻上げを防止するシュラウド34を設ける構成としている。

【0049】
(結球野菜の処理方法)
続いて、上記構成を用いて、収穫された結球野菜の乳液停止処理を行う処理方法の例について説明する(図6のフローチャート参照)。先ず、除液部20により、茎切り直後の結球野菜の切断部の液体(乳液)を除去する工程(除液工程)S2を行う。これによれば、茎切り直後の結球野菜の切断部から、当該切断部の褐変の原因となる液体(乳液)を除去する効果が得られる。ただし、切断部が焦げてしまっても良い場合等においては、除液工程S2を省略して、以降の工程(加熱工程S6等)を行うことも可能である。

【0050】
一例として、切断部の液体(乳液)を除去する工程(除液工程)S2は、送水機構20Aによって茎切り直後の結球野菜の切断部に1~2[秒]水をかける構成を備える。あるいは、他の例として、吸液機構20Bによって茎切り直後の結球野菜の切断部に吸液性の材料を1~2[秒]押し当てて吸収させる構成を備えてもよい。

【0051】
次いで、送風部30により、茎の切断部に対して風を吹きつけて、当該切断部や茎周辺の葉部に残っている除液水や導管から滲出した液体を吹き飛ばして除去する工程(送風工程)S4を行う。これによれば、以降の工程として加熱工程S6を実施する場合に、ヒータプレート10Aと切断部との密着性を高め、加熱効率を向上させることができる。ただし、除液工程S2を実施しない場合や、除液工程S2が送水機構20Aにより切断部に水をかけ流す構成を備えない場合等においては、送風工程S4を省略して、以降の工程(加熱工程S6等)を行うことも可能である。

【0052】
次いで、加熱部10により、茎の切断部を加熱する工程(加熱工程)S6を行う。これによれば、切断部からの乳液の滲出を停止でき、且つ、その後の切断部の褐変を抑制することができる。ただし、冬季の収穫環境において、気候が曇天で温度が概ね10[℃]程度以下であり、且つ、概ね2[m/秒]以上の風がある場合には、茎の切断部からの乳液滲出は少ないことが究明されており、例えば、このような環境下では、切断部の乾燥が早まる傾向にあるため、加熱工程S6を省略し得る場合も考えられる。

【0053】
一例として、茎の切断部を加熱する工程(加熱工程)S6は、150~200[℃]まで昇温させたヒータプレート10Aに、切断部を2~3[秒]押し当てる構成を備える。あるいは、他の例として、温水槽10Bに50~60[℃]の加熱した水を貯留させて、その貯留水の中に切断部を2~3[秒]浸漬させて加熱する構成を備えてもよい。

【0054】
ここで、加熱工程S6が、昇温させたヒータプレート10Aに切断部を押し当てる構成を備える場合においては、除液工程S2および送風工程S4を行って切断部の液体を除去したうえで、当該加熱工程S6を行う構成が好適である。その理由として、加熱部(ヒータプレート10A)を低い温度に設定することができるため、加熱部(ヒータプレート10A)が高温であることに起因して切断部が焦げてしまう課題の解決を図ることができ、また、加熱効率の向上も図ることができるからである。

【0055】
なお、本願発明者らの研究によって、加熱部(ヒータプレート10A)の昇温温度は、前述の150~200[℃]に限定されるものではなく、例えば70~80[℃]程度とした場合にも、切断部からの乳液の滲出を停止できることが確認された。この構成によれば、切断部の焦げ防止効果をより一層高めることが可能となる。

【0056】
次いで、送風部30により、茎の切断部を乾燥状態にする工程(乾燥工程)S8を行う。前述の通り、導管は熱を加えても変性しにくいため、切断部から液体(乳液ではない水分)が滲出し得るが、当該切断部において水分が多い場合には雑菌等が付着して繁殖し易くなる問題が生じ得る。しかし、当該乾燥工程S8を行うことによって、切断部を乾燥状態にすることができ、その問題の解決を図ることができる。ただし、加熱工程S6の場合と同様に、切断部の乾燥が早まる環境下にある場合等では、乾燥工程S8を省略してもよい。

【0057】
以上、説明した通り、本発明に係る結球野菜の処理装置、およびこれを用いた処理方法によれば、結球野菜の切断部から滲出する乳液を停止させることができる。したがって、切断部の褐変を防止して、商品価値の低下を防ぐことができる。特に、従来の処理方法と比較して、乳液が停止するまで待ってから後処理(洗浄工程)を行う必要がないため、収穫処理と乳液停止処理を同時並行による理想的なタクトタイムで実施することが可能となる。

【0058】
切断部に乳液を残さず、且つ、葉への付着も防止できるため、切断部、葉における褐変を防止することができる。したがって、特に切断部の色合いが新鮮さの判断指標となる生食用の結球野菜において、商品価値を低下させずに出荷を行うことができる。あるいは、加工用の結球野菜において、切断部における多少の焦げ付きが許容される場合には、除液工程を省略して一層タクトタイムを短縮する方法も適宜採用することができる。

【0059】
なお、本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。特に、結球野菜としてレタスを想定しているが、レタスと同様の課題が生じ得る結球野菜等にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 結球野菜の処理装置
2 動力源(エンジン)
3 制御部
4 車体
5 クローラ
8 運転操作部
10 加熱部
10A ヒータプレート
10B 温水槽
12 発電機
14 電熱ヒータ
16 熱交換器
18 タンク
20 除液部
20A 送水機構
20B 吸液機構
30 送風部
50 断熱材
40 ヒータクリーナ
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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