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明細書 :結球野菜の収穫機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-148879 (P2018-148879A)
公開日 平成30年9月27日(2018.9.27)
発明の名称または考案の名称 結球野菜の収穫機
国際特許分類 A01D  45/26        (2006.01)
FI A01D 45/26
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 20
出願番号 特願2018-041592 (P2018-041592)
出願日 平成30年3月8日(2018.3.8)
優先権出願番号 2017046608
優先日 平成29年3月10日(2017.3.10)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】千田 有一
【氏名】田村 正好
【氏名】吉村 達也
【氏名】岡宮 裕
【氏名】西澤 武司
【氏名】高橋 良政
【氏名】上原 和彦
【氏名】臼井 拓海
【氏名】伏木 理郎
出願人 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001726、【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2B075
Fターム 2B075AA03
2B075GA01
2B075GA06
要約 【課題】食用部分や圃場を覆うマルチシートを切断してしまうことを防止して、商品として出荷する場合の最適な位置において一度で正確に切断することが可能な結球野菜の収穫機を提供する。
【解決手段】本発明に係る結球野菜の収穫機1は、動力源2を備えて走行可能な車体4と、先端部にV字状に開口する開口部31aを有すると共に開口部31a内に架け渡されたカッター刃37を有する板状で、圃場に接地させて摺動させる摺動ヘラ31と、接地させた圃場の地表形状に応じて摺動ヘラ31が変位可能なように支持機構32を介して摺動ヘラ31が取り付けられる支持部56と、支持部56を上下方向に移動可能に車体4に固定する支持部移動機構9と、支持部56に対する摺動ヘラ31の変位量を検出する変位センサ48と、変位センサ48により検出された変位量に基づいて支持部移動機構9による支持部56の移動量を制御する制御部3とを備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
動力源を備えて走行可能な車体と、
先端部にV字状に開口する開口部を有すると共に前記開口部内に架け渡されたカッター刃を有する板状で、圃場に接地させて摺動させる摺動ヘラと、
接地させた圃場の地表形状に応じて前記摺動ヘラが変位可能なように支持機構を介して前記摺動ヘラが取り付けられる支持部と、
前記支持部を上下方向に移動可能に前記車体に固定する支持部移動機構と、
前記支持部に対する前記摺動ヘラの変位量を検出する変位センサと、
前記変位センサにより検出された前記変位量に基づいて前記支持部移動機構による前記支持部の移動量を制御する制御部と、を備えること
を特徴とする結球野菜の収穫機。
【請求項2】
前記支持機構は、前記支持部に支持された支持板と、前記摺動ヘラの先端部が上下に回動する方向に前記摺動ヘラを回動可能に支持するサポート軸と、前記サポート軸を支持する軸支部と、前記軸支部を上下方向に移動可能に支持するシャフト部と、前記支持板に対して前記摺動ヘラを上方に付勢する第1付勢部材と、を有していること
を特徴とする請求項1記載の結球野菜の収穫機。
【請求項3】
前記変位センサは、前記支持板に対する前記摺動ヘラの離隔距離を測定するレーザー測長センサ、超音波センサ、もしくは近接センサであること
を特徴とする請求項2記載の結球野菜の収穫機。
【請求項4】
前記支持機構は、前記支持部に支持されたシャフト支持部と、前記摺動ヘラの先端部が上下に回動する方向に前記摺動ヘラを回動可能に支持するサポート軸と、前記サポート軸を支持する揺動アームと、前記シャフト支持部に回動可能に支持されて前記揺動アームが固定されたシャフトと、前記シャフト支持部に対して前記摺動ヘラを上方に付勢する第2付勢部材と、を有していること
を特徴とする請求項1記載の結球野菜の収穫機。
【請求項5】
前記変位センサは、前記シャフト支持部に対する前記シャフトの回動角度を測定するロータリーエンコーダ、もしくはリニアポテンショメータであること
を特徴とする請求項4記載の結球野菜の収穫機。
【請求項6】
前記支持機構は、前記摺動ヘラを前記サポート軸の軸線方向にスライド移動可能に支持するスライド機構と、スライド移動した際に元の位置へ復帰させる付勢力を生じさせる第3付勢部材と、をさらに有していること
を特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載の結球野菜の収穫機。
【請求項7】
前記摺動ヘラは、前記開口部の両側のそれぞれの位置に、後端部が保持部に固定され、前端部が前記摺動ヘラの先端部から前記車体の進行方向前方であって且つ前記摺動ヘラの下面よりも下方へ延びる棒状であって前記前端部を圃場に接地させる掻き上げ部を有していること
を特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の結球野菜の収穫機。
【請求項8】
前記保持部は、前記掻き上げ部の前記前端部が上下に回動する方向に前記掻き上げ部を回動可能に支持する上下動軸と、前記掻き上げ部の前記前端部が左右に回動する方向に前記掻き上げ部を回動可能に支持する左右動軸と、を有していること
を特徴とする請求項7記載の結球野菜の収穫機。
【請求項9】
前記カッター刃は、上下に密着する主カッター刃と副カッター刃とをそれぞれの刃先の挟角が所定角度をなすように配置させた構成を有していること
を特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の結球野菜の収穫機。
【請求項10】
前記摺動ヘラに固定されて、前記カッター刃の両端を支持する台座と、
前記カッター刃と前記台座との間の位置に、選択的に取付けおよび取外し可能に設けられる複数種類の厚みを有するスペーサと、をさらに備えること
を特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の結球野菜の収穫機。
【請求項11】
前記台座は、それぞれ前記カッター刃の長手方向に往復動可能に設けられるスライダーを有し、
前記カッター刃は、両端がそれぞれの前記スライダーに直接もしくは前記スペーサを介して固定されており、
前記スライダーの一方が、該スライダーを往復動させるカム機構に連結されていること
を特徴とする請求項10記載の結球野菜の収穫機。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、レタス、白菜等の結球野菜の収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、キャベツ、レタス、白菜等の結球野菜の出荷割合は増加傾向にある。特に、キャベツ、レタスは手作業による収穫作業が一般的であるが、これらの野菜は重量物であること等によって大変な重労働となっている。また、農業人口、雇用人口とも減少傾向にあり、機械による省力化が早急に確立されることが期待されている。
【0003】
ここで、結球野菜としてキャベツを収穫対象とする収穫機については、従来より種々の技術が提案されている。一例として、圃場に植栽されているキャベツに対して、根部を掘り取り刃によって切断して掘り取り、左右一対のスクリューコンベアを回転駆動させて、キャベツを両側から挟持するようにして回転させて引き抜き、搬送部で搬送しながら押えベルトで上方から押えた状態とし、切断刃によってあらためて根部の所定位置で切断を行う収穫機等がある(特許文献1:特開平6-046645号公報)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平6-046645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に例示される結球野菜の収穫機は、キャベツを収穫対象として開発された装置である。同文献1中には結球野菜としてキャベツ以外にも、レタス、白菜が例示されている。しかしながら、本願発明者が鋭意研究した結果、キャベツを前提とする収穫機を、特にレタスの収穫に用いようとすると様々な課題が生じることが明らかになった。
【0006】
より詳しくは、キャベツと比較して、レタスの茎は地表に出る部分が短いという特性を有している。すなわち、茎切りを行う位置に関して、極めて正確性を要求されることが、機械化つまり上記に例示される従来の収穫機による収穫が困難となる要因の一つであった。加えて、レタス栽培では、畝の保温・保湿が必要であると共にレタスへの土の付着を極力抑える必要があることから、畝をマルチシートで覆って栽培することが一般的である。ここで、畝におけるマルチシートの上面は、土の粒度、湿り気等に起因する硬さの違いや、植付後の風雨の影響等によって、当初のほぼ平らな状態から、収穫時には凹凸のある状態となってしまう。このことが、収穫機による収穫が一層困難となる要因となっていた。本願発明者は、従来の収穫機によってレタスの収穫を行おうとすると、理想的な茎の切断位置よりも上の食用部分まで切断してしまうケースや、逆に、不要となる茎の部分を長く残して切断してしまうケース、あるいはマルチシートを切断してしまうケース等の不具合が多発することを究明した。なお、白菜に関しても、レタスと同様に茎切りを行う位置に関して極めて正確性を要求されるという課題を有している。
【0007】
さらに、レタスに関しては、キャベツと比較して葉が柔らかいため傷み易く、また、傷んだ箇所が褐色に変色する(以下、「褐変」と称する)という特性を有している。そのため、葉が傷んで、褐変することによって商品価値が著しく低下してしまうという課題が生じ易い。したがって、従来の収穫機の方式のように、土中において根部を掘り取り刃によって切断して、左右一対のスクリューコンベアを回転駆動させて両側から挟持するようにして回転させて引き抜き、搬送部で搬送しながら押えベルトで上方から押えて根部を所定位置で切断するといった装置では、スクリューコンベア、押えベルト等との接触によって葉が傷んで褐変してしまうため、商品価値を低下させずにレタスを収穫することは困難である。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、圃場に植栽されている状態のレタス、白菜等の結球野菜に対して茎切りを行う際に、食用部分や圃場を覆うマルチシートを切断してしまうことを防止して、商品として出荷する場合の最適な位置において一度で正確に切断することが可能な結球野菜の収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
本発明に係る結球野菜の収穫機は、動力源を備えて走行可能な車体と、先端部にV字状に開口する開口部を有すると共に前記開口部内に架け渡されたカッター刃を有する板状で、圃場に接地させて摺動させる摺動ヘラと、接地させた圃場の地表形状に応じて前記摺動ヘラが変位可能なように支持機構を介して前記摺動ヘラが取り付けられる支持部と、前記支持部を上下方向に移動可能に前記車体に固定する支持部移動機構と、前記支持部に対する前記摺動ヘラの変位量を検出する変位センサと、前記変位センサにより検出された前記変位量に基づいて前記支持部移動機構による前記支持部の移動量を制御する制御部と、を備えることを要件とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、圃場に植栽されている状態のレタス、白菜等の結球野菜に対して茎切りを行う際に、食用部分や圃場を覆うマルチシートを切断してしまうことを防止でき、商品として出荷する場合の最適な位置において一度で正確に切断することが可能な結球野菜の収穫機が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る結球野菜の収穫機の例を示す概略図(側面図)である。
【図2】図1の結球野菜の収穫機の切断ユニットの例を示す概略図である。
【図3】図1の結球野菜の収穫機における摺動ヘラ、および支持機構の作用を説明するための説明図(側面図)である。
【図4】図1の結球野菜の収穫機における摺動ヘラ、および支持機構の作用を説明するための説明図(平面図)である。
【図5】図1の結球野菜の収穫機の支持部移動機構、およびスロープ調整機構の例を示す概略図(斜視図)である。
【図6】図1の結球野菜の収穫機における摺動ヘラ、支持機構、および変位センサの作用に基づく制御方法を説明するための説明図(側面図)である。
【図7】図1の結球野菜の収穫機の掻き上げ部の例を示す概略図である。
【図8】図1の結球野菜の収穫機の掻き上げ部の保持部の例を示す概略図(斜視図)である。
【図9】図1の結球野菜の収穫機の搬送コンベアの例を示す概略図(平面図)である。
【図10】図1の結球野菜の収穫機における制御ブロック図である。
【図11】結球野菜が栽培される畝の断面形状の例を示す概略図である。
【図12】本発明の第二の実施形態に係る結球野菜の収穫機の支持機構の例を示す概略図(側面図)である。
【図13】図1の結球野菜の収穫機のカッター刃およびその周辺構造の他の例を示す概略図である。
【図14】図1の結球野菜の収穫機のカッター刃およびその周辺構造の他の例を示す概略図である。
【図15】図1の結球野菜の収穫機のカッター刃およびその周辺構造の他の例を示す概略図である。
【図16】図15に示すカム機構の作用を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第一の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第一の実施形態について詳しく説明する。図1は、本発明の実施形態に係る結球野菜の収穫機1の例を示す側面図(概略図)である。なお、説明の便宜上、図中において矢印により結球野菜の収穫機1の前後、左右、および上下方向を示している。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。

【0014】
この結球野菜の収穫機1は、圃場で栽培される結球野菜を茎切りして収穫する装置である。特に、キャベツの収穫を前提として開発された従来の装置の課題を解決し、特にレタス、白菜の収穫を好適に行うことができる装置である。

【0015】
前述の通り、キャベツと比較してレタス(白菜も同様)の茎は地表に出る部分が短いため、茎切りを行う位置に関して極めて正確性を要求されるという点が最も大きな課題の一つであった。これに対して、本願発明者は、地表面の位置を正確にセンシングすることができれば、レタスの茎切りを正確に行うことができると考えた。しかし、研究を進めるにつれて、レタスは地表に出る茎の部分が短いことに加え、外葉に覆われて茎の部分が見えないために、地表面の位置をセンシングして、茎切りを行う方法の困難性に直面した。

【0016】
そこで、さらなる研究を進めることによって、地表面に接地しながら摺動させる部材(後述の摺動ヘラ)に刃(後述のカッター刃)を設けて、地表面との接触力を一定にする構成とすることで、正確に茎切りを行う装置を案出するに至った。以下、具体的な機構について詳しく説明する。

【0017】
装置構成の概要として、図1に示すように、結球野菜の収穫機1は、車体4と、車体4の下部に設けられた走行用の左右一対のクローラ5、5と、ミッション(不図示)等を介してクローラ5、5を駆動する動力源(エンジン)2と、走行方向、走行速度の操作を行う運転操作部8と、エンジン2・クローラ5の走行制御や、後述するその他機構の駆動制御等を行う制御部3を備えている。

【0018】
また、車体4の前方下部に、圃場において植栽されている状態の結球野菜の茎切りを行う切断ユニット6が設けられている。さらに、車体4の中央下部の切断ユニット6に隣接する位置に、茎切りを行った結球野菜を取り込んで挟持しながら後方へ搬送する搬送コンベア7が設けられている。

【0019】
先ず、切断ユニット6について説明する。ここで、図2(a)に切断ユニット6の斜視図(概略図)を示し、図2(b)に切断ユニット6のサポート軸39(後述)周辺の構成を示す正面断面図(概略図)を示す。当該切断ユニット6は、車体4に設けられる支持部56によって支持されている(なお本実施形態においては、搬送コンベア7のフレーム(不図示)に支持された固定板42、支持板43を介して支持されている)。また、切断ユニット6は、先端部にV字状に開口する開口部31aを有すると共に開口部31a内に架け渡されたカッター刃37を有する板状で、圃場に接地させて車体の移動に伴って摺動させる摺動ヘラ31を備えて構成されている。なお、本実施形態における摺動ヘラ31は左右対称に配置された一対の部材を用いて固定板38で連結する構成としているが、これに限定されるものではなく、一体の部材を用いて構成してもよい(不図示)。

【0020】
この構成によれば、車体4を前方に走行させて、摺動ヘラ31を圃場(一例として圃場に設けられる畝)の地表面上を摺動させながら、圃場に植栽されている結球野菜を順次、開口部31a内に入れ、カッター刃37を茎に当てて茎切りを行うことができ、連続的に収穫することができる。なお、カッター刃37は、鋼、ステンレス合金等を用いて形成されている。

【0021】
ここで、カッター刃37およびその周辺構造に関する第一例について説明する。図2に示すように、カッター刃37は、それぞれが車体4の進行方向に対して刃先を斜めに向けて配置され、且つ、平面視においてそれぞれの刃先が交差する主カッター刃37Aと副カッター刃37Bとを備えて構成されている。この主カッター刃37Aと副カッター刃37Bとは、上下方向に隙間無く密着すると共に、主カッター刃37Aの刃先と副カッター刃37Bの刃先との成す挟角が所定の角度(一例として、60[°]~120[°]程度)をなすように配置されている。

【0022】
仮に、主カッター刃37Aのみを設ける構成とした場合には、主カッター刃37Aの刃先と、摺動ヘラ31の開口部31aの内縁部との間に、茎切りの際に発生する切れカスが挟まって切断性能が低下してしまう課題が生じ得る。しかし、上記のように主カッター刃37Aと副カッター刃37Bとを配置する構成によって、切れカスを切断・除去することができる。

【0023】
次に、カッター刃37およびその周辺構造に関する第二例について説明する。図13に示すように、摺動ヘラ31に固定されてカッター刃37の両端を支持する台座64、および、カッター刃37と台座64との間の位置に選択的に取付けおよび取外し可能に設けられる複数種類の厚みを有するスペーサ66(66a、66b、66c、・・・)を備えて構成されている。なお、車体4の進行方向に対して刃先を斜めに向けて配置された一枚のカッター刃37を備える例としているが、前述の第一例のように複数のカッター刃を備える例に適用することも可能である(不図示)。

【0024】
ここで、結球野菜は、植付状態や生育状態等により、地表に出る茎の長さが様々となる。したがって、不要な茎の部分はできる限り短くなるように切断し、一方、食用部分まで切り落とさないようにするためには、茎の長さに応じてカッター刃37の高さを可変に設定できることが好ましい。

【0025】
この点、異なる厚みに形成された複数種類のスペーサ66を準備しておき、茎の長さに応じて、適切な厚みのスペーサ66を選択的にカッター刃37と台座64の間に取付けることによって、摺動ヘラ31に対するカッター刃37の高さ(すなわち、地表面からの高さとなる)を適切に設定することができる。これにより、適切な位置で茎の切断を行うことが可能となる。

【0026】
なお、スペーサ66は、一例として、金属材料もしくは樹脂材料を用いて板状(ブロック状)に形成されており、例えば、1[mm]~21[mm]の範囲で、厚みが2[mm]ずつ相違する10種類程度用意しておくことで、カッター刃37の設定高さを微調整することが可能となる。ただし、厚みや種類はこれに限定されるものではない。

【0027】
ここで、変形例として、図14に示すように、台座64の前方の位置(開口部31a側の位置)に、補助プレート68を設ける構成としてもよい。当該補助プレート68は、後端側(台座64側)の高さが、カッター刃37を所定位置に固定した際の刃先37aの高さよりも高くなるように形成され、且つ、先端側(開口部31a側)において、後端から先端に向かう方向に徐々に高さが低くなる傾斜面が形成された構成となっている。これによれば、結球野菜を順次、開口部31a内に入れて、茎を切断する際に、外葉が補助プレート68の上を通過して、カッター刃37の刃先37aよりも高い位置まですくい上げられるため、外葉と共にその内側の食用部分まで切断してしまうことの防止が可能となる。

【0028】
なお、補助プレート68に関しても、異なる厚みに形成された複数種類を準備しておき、カッター刃37の刃先37aの高さに応じて、適切な厚みの補助プレート68を選択的に摺動ヘラ31上に取付ける構成としてもよい。

【0029】
次に、カッター刃37およびその周辺構造に関する第三例について説明する。図15に示すように、カッター刃37の両端を支持する台座64は、それぞれカッター刃37の長手方向(図15中矢印A方向)と同方向に往復動可能に設けられるスライダー64a、64bを有している。ここで、カッター刃37は、一端がスライダー64aに、他端がスライダー64bにそれぞれ固定されていると共に、スライダーの一方(ここでは、64a)が、当該スライダー64aを往復動させるカム機構70に連結されている。なお、第二例に係るスペーサ66を、カッター刃37とスライダー64a、64bとの間に着脱可能に設ける構成としてもよく、さらに、補助プレート68を設ける構成としてもよい(いずれも不図示)。

【0030】
ここで、結球野菜は、茎の切断位置が地表から離れる程、切断の際にカッター刃37に押される力(切断負荷)が大きくなり、結球野菜が斜めに倒れ易くなるため、茎を斜めに切断してしまう問題が発生し易い。

【0031】
この点、上記の構成によれば、カッター刃37を長手方向に往復動(揺動)させながら茎の切断を行うことができ、上記の切断負荷を軽減させることが可能となる。これにより、茎を斜めに切断してしまう問題の解決を図ることが可能となる。

【0032】
なお、カム機構70は、一例として、軸心Cから偏心した位置に偏心ピン74aを有し、モータ72により回転される回転軸74、および、当該偏心ピン74aが内部を摺動可能に係合される係合溝76aを有し、回転軸74の回転に伴う偏心ピン74aの移動(変位)に応じて従動(往復動)する従動部76を備えて構成されている。したがって、図16(a)~(d)の順に示すように、回転軸74を回転駆動させることより、従動部76が往復動する作用が得られるため、当該カム機構70(ここでは、従動部76)に連結されたスライダー64aを介してカッター刃37を往復動(揺動)させることが可能となる。このとき、スライダー64bもカッター刃37と共に往復動(揺動)する。なお、カム機構は上記の構成に限定されるものではない。

【0033】
一方、摺動ヘラ31は、支持部56に支持された支持板43の先端部に取り付けられている。本実施形態における摺動ヘラ31の固定構造としては、摺動させる圃場の地表形状に応じて、すなわち地表面の凹凸に沿って変位することを可能とする支持機構32を支持部56(支持板43)との間に介在させて固定している。

【0034】
ここで、摺動ヘラ31を支持する支持機構32の構成について詳しく説明する。図2(a)、図2(b)に示すように、本実施形態に係る支持機構32は、摺動ヘラ31の先端部が上下に回動する方向に摺動ヘラ31を回動可能に支持するサポート軸39と、当該サポート軸39を支持する軸支部47とを有している。また、軸支部47を上下方向に移動可能に支持するシャフト部45を有している。さらに、支持板43に対して摺動ヘラ31を上方に付勢する第1付勢部材41を有している。

【0035】
本実施形態におけるシャフト部45は、支持板43に設けられたフランジ付きリニアブッシュ44を介して、支持板43を挿通して摺動可能に配設されると共に、シャフト部45の下端に軸支部47が固定され、上端にシャフト固定板46が固定された構成となっている。これによって、シャフト部45は上下方向に移動可能となっている。

【0036】
また、本実施形態における第1付勢部材41は、一端が支持板43に連結され、他端が支持板43の下方に配置される軸支部47に連結されたコイルバネであって、これを引張りバネとして用いることで上記の付勢力を生じさせている。なお、他端は、シャフト部45もしくはサポート軸39に連結する構造(上下動、回動等を許容する連結構造)としても同様の作用を得ることが可能である(不図示)。また、第1付勢部材41は、コイルバネに限定されるものではなく、板バネ、空気バネ、回転バネ(直線方向成分を利用)等の他のバネ構造であってもよい。

【0037】
上記の支持機構32の構成によれば、圃場に接地させて摺動させる摺動ヘラ31を、圃場の地表形状に応じて(地表面の凹凸に沿って)変位させる機構を実現できる。より具体的には、地表面の比較的大きな凹凸(上下の勾配等)の例として、図3(a)に示すように、圃場の地表面が上り傾斜である場合には、サポート軸39の軸心を中心として、摺動ヘラ31の先端部が支持部56(支持板43)に対して上方に回動する方向に変位する。併せて、前進によりサポート軸39を支持する軸支部47が上昇していくため、摺動ヘラ31が支持部56(支持板43)に対して上方に変位(直線移動)する。これとは逆に、図3(b)に示すように、圃場の地表面が下り傾斜である場合には、サポート軸39の軸心を中心として、摺動ヘラ31の先端部が支持部56(支持板43)に対して下方に回動する方向に変位する。併せて、前進によりサポート軸39を支持する軸支部47が下降していくため、摺動ヘラ31が支持部56(支持板43)に対して下方に変位(直線移動)する。ここで、図3(a)、図3(b)においては、図を解り易くするために後述の掻き上げ部33、保持部36等の図示を省略している(図6、図12において同様)。

【0038】
このように、本実施形態における支持機構32によれば、圃場(畝)の地表形状がうねっている場合等であっても、地表形状に倣いながら摺動ヘラ31を摺動させることができる。

【0039】
なお、茎切りを高精度に行うためには、摺動ヘラ31が、圃場(畝)の地表面に常に一定の荷重で押えつけられていることが重要となる。つまり、摺動ヘラ31が地表面から離れない限り、食用部分まで切り落としてしまうことは無いからである。しかし、摺動ヘラ31およびカッター刃37等を備える切断ユニット6の自重そのままの荷重で、圃場の畝を覆うマルチシートの表面(上面)を押えつけたのでは重すぎて、マルチシートへの引っ掛かりが生じ易くなる。その結果、走行不能やマルチシートの切断といった不具合を招いてしまう。これに対して、本実施形態においては、第1付勢部材41によって摺動ヘラ31を上方に付勢することによって、摺動ヘラ31、つまり切断ユニット6がマルチシートに印加する荷重を軽減し、最適な所定荷重となるように調整を行うことができる。ちなみに、キャベツの栽培においては、通常、マルチシートは用いられないため、特に、レタスの栽培における課題の一つであると言える。

【0040】
ところで、図4に示すように、車体4が前進していく過程で、摺動ヘラ31に対して、圃場(畝)に植栽されているレタスの茎Rの位置関係は必ずしも畝の中心にあるとは限らない。この点、摺動ヘラ31は先端部にV字状の開口部31aを備えているため、車体4が前進する際に、茎Rが開口部31aの内縁に当接して中心位置方向へ押されるように移動する。したがって、左右方向における中心位置からの多少の位置ずれであれば、茎Rの位置を移動させながらカッター刃37へと誘導することができる。しかし、位置ずれの量が大きい場合には、開口部31aの内縁における傾斜のみでは茎Rの位置を移動させてカッター刃37へと誘導することが困難となる課題が生じ得る。

【0041】
この課題に対して、本実施形態における支持機構32は、図2(b)に示すように、摺動ヘラ31をサポート軸39の軸線方向にスライド移動可能に支持するスライド機構35と、スライド移動した際に元の位置へ復帰させる付勢力を生じさせる第3付勢部材40とを備えて構成されている。一例として、第3付勢部材40はコイルバネを圧縮バネとして用いているが、これに限定されるものではない。

【0042】
この構成によれば、摺動ヘラ31がサポート軸39の軸線方向に、つまり左右方向にスライド移動が可能となる。したがって結球野菜が畝の左右方向における中心位置からずれて植栽されていても、摺動ヘラ31の開口部31aの内縁が茎に当接することで、その反力によって摺動ヘラ31の中心が結球野菜の茎の中心に近づく方向に当該摺動ヘラ31を移動させる作用が得られるため、カッター刃37によって茎切りを行うことが可能となる。

【0043】
ここで、摺動ヘラ31を圃場(畝)の地表面に常に一定の荷重で押えつける作用を得るためには、第1付勢部材41の付勢力が作用した状態で摺動ヘラ31が支持されている支持部56(支持板43)と、当該摺動ヘラ31との離隔距離Lが一定となるように制御すればよい。これを実現するための構成および制御方法について以下に説明する。

【0044】
先ず、支持部56(支持板43)が、上下方向の移動を可能とする支持部移動機構9によって、車体4に支持される構成を備えている。ここで、上下方向の移動とは、完全な上下方向(鉛直方向)のみの移動に限定されるものではなく、上下方向の移動成分が発生する所定角度の傾斜方向移動も含む趣旨である。

【0045】
この構成によれば、支持部移動機構9によって、支持部56(支持板43)を上下方向に移動させることができる。したがって、摺動ヘラ31(具体的には摺動ヘラ31におけるサポート軸39との係合部位)が上下方向に移動した場合に、支持部移動機構9によって、支持部56(支持板43)を上下方向に移動させることによって、支持部56(支持板43)に対する摺動ヘラ31の離隔距離Lを一定に保つことができる。

【0046】
一例として、本実施形態に係る支持部移動機構9は、図5に示すように、電動モータ12によって回転駆動されるボールネジ13と、LMガイドを介してボールネジ13に螺合された上下動ベース10とを備えている。これによれば、電動モータ12を駆動することによって、上下動ベース10を上下方向に移動させることができる。その結果、上下動ベース10によって支持されている支持部56つまり摺動ヘラ31を上下方向に移動させることができる。

【0047】
このとき、支持部56(支持板43)を上下方向に移動させる制御方法の例を以下に示す。

【0048】
本実施形態においては、支持部56(支持板43)に対する摺動ヘラ31の変位量を検出する変位センサ48を備えてフィードバック制御が行われる。より詳しくは、図10のブロック図に示すように、制御部3は、変位センサ48により検出された摺動ヘラ31の変位量に対して、目標値と比較演算を行い、支持部移動機構9の電動モータ12に駆動信号(モータトルク指令値)を出力する。これによって、支持部移動機構9が駆動されて、支持部56(支持板43)の移動量が適切に制御(調整)される。なお、支持部移動機構9の上下方向の位置はリニアポテンショメータ34によって検出される。

【0049】
本実施形態における変位センサ48の一例として、支持部56(支持板43)に対する摺動ヘラ31の離隔距離Lを測定するレーザー測長センサが用いられている。例えば、レーザー測長センサ48は、シャフト固定板46に取り付けられているが、レーザー測長センサ48が軸支部47に取り付けられる構成としてもよい(不図示)。なお、変位センサ48の他の例として、上記の離隔距離Lを測定する公知の超音波センサ、近接センサを用いる構成としてもよい(不図示)。

【0050】
これによれば、レーザー測長センサ48から射出されるレーザー光を支持板43の上面に当て、当該レーザー測長センサ48と支持板43との距離を計測すれば、支持板43に対する摺動ヘラ31の離隔距離を計測できる。すなわち、摺動する圃場の地表形状の変化に応じて摺動ヘラ31(具体的には摺動ヘラ31におけるサポート軸39との係合部位)が上下方向に移動した量を検知することができる。

【0051】
具体的な制御の例として、図6に示すように、通常、支持板43はシャフト固定板46と軸支部47との中間位置に設定されている。その状態で、例えば、圃場の地表面(畝面)が走行途中でh1上昇すると、摺動ヘラ31が上昇することとなる。このとき、レーザー測長センサ48と支持板43との距離が、LからL+h1へと増大する。したがって、制御部3は、上記のLからL+h1へ増大した変位量を即座に捉えて、支持部移動機構9(ここでは電動モータ12)に対して前述の制御を行い、支持部56(支持板43)を上方に移動させることによって、支持部56(支持板43)に対する摺動ヘラ31の離隔距離Lを一定に保つことが可能となる。また、逆に、圃場の地表面(畝の畝面)が走行途中でh2下降すると、摺動ヘラ31が下降することとなる。このとき、レーザー測長センサ48と支持板43との距離が、LからL-h2へと減少する。したがって、制御部3は、上記のLからL-h2へ減少した変位量を即座に捉えて、支持部移動機構9(ここでは電動モータ12)に対して前述の制御を行い、支持部56(支持板43)を下方に移動させることによって、支持部56(支持板43)に対する摺動ヘラ31の離隔距離Lを一定に保つことが可能となる。

【0052】
このように、摺動ヘラ31が圃場の地表面(畝面)上を摺動する際に、地表形状の凹凸等によって上下方向において移動した場合であっても、上記の制御によって、支持部56(支持板43)に対する摺動ヘラ31の離隔距離Lを一定に保つことが可能となる。したがって、摺動ヘラ31を、圃場(畝)の地表面に常に一定の荷重で押えつける構成が実現できるため、結球野菜の食用部分まで切り落としてしまうことの防止や、摺動ヘラ31のマルチシートへの引っ掛かりの防止が可能となる。

【0053】
なお、本実施形態においては、地表面の比較的小さな凹凸(土粒、土塊による突起等)に起因する微小変動に対して、次のような制御を行っている。具体的には、レーザー測長センサ48において計測した支持板43との距離Lの値にフィルタリングをかけることによって緩やかなフィードバック信号に変換して、支持部移動機構9(ここでは電動モータ12)を駆動し、支持部56(支持板43)つまり摺動ヘラ31の移動量制御を行っている。これによれば、支持部移動機構9において高速の応答機構を設ける必要がないため、装置の簡素化とコスト低減を図ることができる。またこのとき、地表から摺動ヘラ31に印加される微小変動は、第1付勢部材41が即応して変形することによって吸収されるという作用効果が得られる。

【0054】
ところで、図11に示すように、通常、畝(図11中において符号Gで示す)の断面形状は、両肩において多少の勾配θ1、θ2がついている。特に、平畝は勾配が顕著である。このような畝形状に倣いながら摺動ヘラ31を摺動させるために、本実施形態においては、車体4に揺動ユニット54を備える構成としている。

【0055】
一例として、図5に示すように、揺動ユニット54は、収穫機1の進行方向と平行の中心軸を有して回転可能に設けられた揺動軸54aを備えており、この揺動軸54aに支持部移動機構9が連結されている。これによって、揺動軸54aを中心に支持部移動機構9(すなわちこれに支持される摺動ヘラ31)を揺動させることが可能となる。したがって、両肩に勾配がついている畝形状であっても、その地表面に倣いながら摺動ヘラ31を摺動させることが可能となる。

【0056】
以上の構成によって、摺動ヘラ31に固定されたカッター刃37による結球野菜の茎の切断を、高精度に行うことが可能となった。しかし、さらに研究を進めたところ、摺動ヘラ31が地表面を摺動して結球部の下部に入り込むときに、外葉が地表面に横たわっていると当該外葉が摺動ヘラ31に絡み易く、切断精度を低下させたり、葉を傷めたりしてしまう課題が明らかとなった。

【0057】
本実施形態においては、以下の特徴的な構成を備えることによって、当該課題の解決を可能としている。

【0058】
具体的には、摺動ヘラ31は、開口部31aの両側のそれぞれの位置に、棒状であって後端部が保持部36に固定され、前端部が圃場に接地される一対の掻き上げ部33、33を有する構成となっている(図2(a)等参照)。当該掻き上げ部33は、前端部が摺動ヘラ31の先端部から車体4の進行方向前方であって且つ摺動ヘラ31の下面よりも下方へ延びる形状に形成されている。

【0059】
これによれば、摺動ヘラ31よりも掻き上げ部33を先導させながら接地させることができる。このとき前端部で、圃場(畝)の上に横たわった外葉をすくい、前端部から後端部に掛けて、外葉を順次掻き上げる(持ち上げる)ことができるため、摺動ヘラ31への絡みつきを防止することができる。

【0060】
ここで、図7(a)、図7(b)は、掻き上げ部33と圃場(畝)との位置関係の例を示している(図7(a)、図7(b)中において圃場(畝)を符号Gで示し、畝の表面を覆うマルチシートを符号Mで示す)。掻き上げ部33は畝の側面に軽く触れながら前進していくが、畝の左右方向幅が多少大きくなったときに、掻き上げ部33は外側に押し広げられる負荷がかかる。一方、畝の上下方向高さが多少高くなったときに、掻き上げ部33は上方に押し上げられる負荷がかかる。したがって、いずれの場合も、走行の抵抗となり、また、マルチシートを破断させる原因となる。

【0061】
これに対して、掻き上げ部33の後端部を保持する保持部36に揺動機構を持たせる構成としている。より具体的には、図8に示すように、保持部36は、前端部が上下に回動する方向に掻き上げ部33を回動可能に支持する上下動軸36aと、前端部が左右に回動する方向に掻き上げ部33を回動可能に支持する左右動軸36bと、を有して構成されている。これによれば、車体4の走行中に、畝の左右方向幅および上下方向高さに変化が生じた場合であっても、掻き上げ部33(特に前端部)をその変化に応じて左右動、上下動させながら接地させて先導させることができる。したがって、上記の課題の解決を図ることが可能となる。なお、符号52、53は、それぞれ、掻き上げ部33が左右動、上下動した際に、所定位置に戻るように付勢する付勢部材であって、一例として、コイルバネが用いられている。

【0062】
次に、搬送コンベア7について説明する。図9に示すように、搬送コンベア7は左右二つの無端ベルト25、25を備え、それぞれを反対方向に周回動させることによって二つの無端ベルト25、25の間に切断ユニット6で茎切りを行った結球野菜(結球部)を挟持させながら後方に搬送させる構成となっている(図9中において当該結球野菜を符号Bで示す)。当該無端ベルト25を周回動させる機構として、駆動モータ26、駆動ローラ27、および従動ローラ28を有している。

【0063】
ここで、無端ベルト25には、スポンジゴム等を用いて角柱(台形柱)状に形成された弾性体29が設けられている。この弾性体29により挟持する構成によって、キャベツよりも葉が軟らかいレタス等の結球野菜を搬送する際の損傷を防止することができる。なお、本実施形態においては、無端ベルト25にリベット固定された金属製(例えばアルミニウム合金等)もしくは樹脂製の固定プレート30を設けて、この固定プレート30に弾性体29を接着して固定する構造としている。これによって、周回動時における無端ベルト25からの弾性体29の剥がれを防止している。

【0064】
また、搬送コンベア7は、収穫する結球野菜の大きさに応じて、無端ベルト25、25同士の間隔調整を行う機構を備えている。本実施形態においては、調整ハンドル20を左右いずれかの回転方向に回すことで左右同軸ネジ21を回転させ、ネジブロック22および揺動ベース23を介してコンベア支持アーム24を左右に伸縮させて、無端ベルト25、25同士の間隔を変える機構となっている(図5参照)。

【0065】
さらに、搬送コンベア7は、搬送の角度(スロープ角度)の調整を行うスロープ調整機構11を備えている。本実施形態においては、電動モータ14の回転をボールネジ15およびLMガイド16を介して揺動ベース17を上下動させ、先端に取り付けられたカムフォロアーアーム18を上下動させることによって、ユニット支持シャフトの支点19を中心として搬送コンベア7の搬送の角度(スロープ角度)を調整する機構となっている。

【0066】
(第二の実施形態)
続いて、本発明の第二の実施形態に係る結球野菜の収穫機1について説明する。本実施形態に係る結球野菜の収穫機1は、前述の第一の実施形態と基本的な構成は同様であるが、特に、摺動ヘラ31を支持部56に取り付ける支持機構の構成、および支持部56に対する摺動ヘラ31の変位量を検出する変位センサの構成において相違点を有する。以下、当該相違点を中心に本実施形態について説明する。

【0067】
本実施形態に係る支持機構32(32B)の概略図を図12に示す(図12(a)は斜視図であり、図12(b)側面図である)。摺動ヘラ31は、支持機構32(32B)を介して支持部56に取り付けられている。支持機構32(32B)は、搬送コンベア7のフレーム(不図示)を介して支持部56に支持されているシャフト支持部60と、摺動ヘラ31の先端部が上下に回動する方向に摺動ヘラ31を回動可能に支持するサポート軸39と、サポート軸39を支持する揺動アーム62と、シャフト支持部60に回動可能に支持されて揺動アーム62が固定されたシャフト58と、を有している。

【0068】
さらに、揺動アーム62を、シャフト支持部60に対して上方へ回動する方向に付勢する第2付勢部材50を有している。すなわち、第2付勢部材50は、摺動ヘラ31を支持部56(シャフト支持部60)に対して上方へ付勢する作用をなす。なお、本実施形態における第2付勢部材50は、一端がシャフト支持部60に連結され、他端が揺動アーム62に連結されたコイルバネであって、これを引張りバネとして用いることで上記の付勢力を生じさせている。ただし、第2付勢部材50は、コイルバネに限定されるものではなく、回転バネ等の他のバネ構造であってもよい。

【0069】
この支持機構32(32B)の構成によれば、前述の第一の実施形態における支持機構32(32A)と同様に、圃場に接地させて摺動させる摺動ヘラ31を、圃場の地表形状に応じて(地表面の凹凸に沿って)上下方向に移動させる機構を実現できる。

【0070】
ここで、摺動ヘラ31を圃場(畝)の地表面に常に一定の荷重で押えつける作用を得るためには、第2付勢部材50の付勢力が作用した状態で摺動ヘラ31を支持する揺動アーム62を、支持部56(シャフト支持部60)に対して、所定の回動角度に保つように制御すればよい。

【0071】
本実施形態における変位センサ49の一例として、支持部56(シャフト支持部60)に対するシャフト58の回動角度を測定するロータリーエンコーダが用いられている。当該回動角度を測定することによって、揺動アーム62の回動量すなわち摺動ヘラ31の変位量(上下方向の移動量)を算出することができる。このとき、摺動ヘラ31の変位量に基づいて制御部3が制御を行う際のブロック図は図10と同様である。なお、変位センサ49の他の例として、上記の回動角度を測定する公知のリニアポテンショメータを用いる構成としてもよい(不図示)。

【0072】
具体的な制御の例として、摺動ヘラ31(具体的には摺動ヘラ31におけるサポート軸39との係合部位)が上昇すると、揺動アーム62が上方に揺動してシャフト58が回動する。このとき、制御部3は、その変位量(回動角度)を変位センサ49によって即座に捉えて、支持部移動機構9(ここでは電動モータ12)に対して前述の制御を行い、支持部56(シャフト支持部60)を上方に移動させることによって、揺動アーム62の支持部56(シャフト支持部60)に対する回動角度を所定の角度に保つことが可能となる。また、逆に、摺動ヘラ31(具体的には摺動ヘラ31におけるサポート軸39との係合部位)が下降すると、揺動アーム62が下方に揺動してシャフト58が回動する。このとき、制御部3は、その変位量(回動角度)を変位センサ49によって即座に捉えて、支持部移動機構9(ここでは電動モータ12)に対して前述の制御を行い、支持部56(シャフト支持部60)を下方に移動させることによって、揺動アーム62の支持部56(シャフト支持部60)に対する回動角度を所定の角度に保つことが可能となる。

【0073】
このように、本実施形態に係る支持機構32(32B)および変位センサ49の構成によっても、第一の実施形態と同様の効果を得ることができる。

【0074】
以上、説明した通り、本発明に係る結球野菜の収穫機によれば、摺動ヘラを圃場(畝)の地表面との接触力が一定となるように摺動させながら、圃場に植栽されている結球野菜を順次、開口部内に入れて、カッター刃を茎に当てて茎切りを行い、連続的に収穫することができる。

【0075】
また、摺動ヘラが圃場の地表面(畝の畝面)上を摺動させる際に、地表形状の凹凸によって前後方向において傾斜した状態となっても、摺動ヘラを水平姿勢に保つ制御を行う構成を備えているため、カッター刃で茎を斜めに切断してしまうことがない。

【0076】
また、圃場(畝)に植栽されているレタスの茎が畝の中心に無い場合でも摺動ヘラを左右方向にスライド移動させることができ、さらに、外葉が横たわっている場合でも外葉を掻き上げることができるため、確実に茎切りを行うことができる。

【0077】
このように、本発明によれば、キャベツの収穫を前提として開発された従来の収穫機では十分に対応することができなかった結球野菜、特にレタスの収穫に対して、葉を傷めることなく、好適に収穫を行うことができる簡素な機構の収穫機を実現することが可能となる。特に、レタスの収穫の際に、食用部分や圃場を覆うマルチシートを切断してしまうことを防止でき、商品として出荷する場合の最適な位置において一度で正確に切断することができる点で極めて顕著な効果を奏するものである。

【0078】
なお、本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。特に、結球野菜としてレタスを想定しているが、レタスと同様の課題が生じ得る白菜等にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 結球野菜の収穫機
2 動力源(エンジン)
3 制御部
4 車体
5 クローラ
6 切断ユニット
7 搬送コンベア
8 運転操作部
9 支持部移動機構
11 スロープ調整機構
25 無端ベルト
29 弾性体
31 摺動ヘラ
31a 開口部
32、32A、32B 支持機構
33 掻き上げ部
35 スライド機構
36 保持部
37 カッター刃
39 サポート軸
40 第3付勢部材
41 第1付勢部材
43 支持板
45 シャフト部
46 シャフト固定板
47 軸支部
48、49 変位センサ
50 第2付勢部材
54 揺動ユニット
56 支持部
58 シャフト
60 シャフト支持部
62 揺動アーム
64 台座
66、66a、66b、66c スペーサ
70 カム機構
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15