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明細書 :連続乳化装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-195769 (P2019-195769A)
公開日 令和元年11月14日(2019.11.14)
発明の名称または考案の名称 連続乳化装置
国際特許分類 B01F  11/02        (2006.01)
B01F   3/08        (2006.01)
B01F  15/02        (2006.01)
FI B01F 11/02
B01F 3/08 A
B01F 15/02 A
B01F 15/02 C
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2018-090823 (P2018-090823)
出願日 平成30年5月9日(2018.5.9)
発明者または考案者 【氏名】酒井 俊郎
出願人 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
審査請求 未請求
テーマコード 4G035
4G036
4G037
Fターム 4G035AB40
4G035AE13
4G036AB22
4G036AB25
4G037AA01
4G037AA02
4G037AA11
4G037EA10
要約 【課題】水と油を連続的に供給しながら効率的にエマルション化する連続乳化装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る連続乳化装置は、バス型の超音波照射機10と、超音波照射機10のバス12の底部に設けられた超音波発生部にセットされる流通セル20と、水と油の被処理液を連続的に流通セル20に送入するとともに処理後の被処理液を流通セル20から送出させる送液手段50とを備える。流通セル20は、流通セル20の底面が、超音波発生部の平面領域内に含まれるように設けられている。
【選択図】図7
特許請求の範囲 【請求項1】
バス型の超音波照射機と、
該超音波照射機のバスの底部に設けられた超音波発生部にセットされる流通セルと、
水と油の被処理液を連続的に前記流通セルに送入するとともに処理後の被処理液を前記流通セルから送出させる送液手段とを備えることを特徴とする水と油の連続乳化装置。
【請求項2】
前記流通セルは、該流通セルの底面が、前記超音波発生部の平面領域内に含まれるように設けられていることを特徴とする請求項1記載の連続乳化装置。
【請求項3】
前記流通セルの側面の底部側に被処理液の流入側の配管が接続され、上部側に送出側の配管が接続されていることを特徴とする請求項1または2記載の連続乳化装置。
【請求項4】
前記流通セルは、外形が円柱体状に形成された中空体として形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項記載の連続乳化装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項記載の連続乳化装置が、直列に複数個、相互に連通して接続され、水と油の被処理液が各々の連続乳化装置を順次、段階的に経由してエマルション化されることを特徴とする連続乳化装置。





発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は連続乳化装置に関し、より詳細には分散媒と分散質とを連続的に流しながら超音波を作用させてエマルションを作製する連続乳化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エマルションは、化粧品、食品、医薬品等に広く用いられている。たとえば、牛乳は脂肪(油)の微細な滴が水中に分散したエマルション(O/W)の代表例であり、油滴が水中で分散して油と水が共存している。油滴が水の中で分散する理由は、牛乳に存在するカゼインなどの乳化剤(界面活性物質)が油滴を覆い、油滴を安定化させているからである。
これに対し、バターやマーガリンは、水滴が油の中に分散したエマルション(W/O)の例であり、モノグリセリドや大豆レシチンといった乳化剤(界面活性物質)の作用により、油中での水滴の分散が維持されている。
このように、エマルションは、乳化剤(界面活性物質)の助けを借りて、油滴が水中で分散したり、水滴が油中で分散したりしたものである。
【0003】
このように乳化製品の基本構成は水と油(油脂、エステル油、流動パラフィン、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油、極性油等)であり、通常は水と油は混じり合わず二相に分離した状態である。したがって、一般的には、界面活性剤などの両親倍性物質を使用し、ホモミキサー、ホモジナイザーなどの物理的手法と組み合わせて油と水とを混合することにより乳化し、乳化製品として提供している。
【0004】
一方、近年、乳化製品のニーズの多様化により界面活性剤の使用量を低減するだけではなく、界面活性剤を一切使用しない乳化製品が求められるようになってきた。本発明者は、界面活性剤を使用せずに乳化する方法について提案した(特許文献1、2)。特許文献1は界面活性作用を有しない水溶性添加剤を用いてエマルションの分散を安定化させるもの、特許文献2は油滴がゲル化されて水中に分散したエマルションを調製した例である。界面活性剤を使わずに超音波を利用してエマルションを作製する方法には超音波ホーンを利用する方法もある(特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2016-165716号公報
【特許文献2】特開2015-38176号公報
【特許文献3】特開2018-008240号公報
【特許文献4】特開2015-38176号公報
【特許文献2】特開2007-83160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した界面活性剤を使わずにエマルションを作製する方法として、本発明者はローター式ホモジナイザーまたは超音波式ホモイジナイザー、もしくはこれらを併用する方法を利用してきた。しかしながらこれらの従来方法は容器にバッチ式の処理であるたけ、エマルションの生産効率が低いという課題があった。
本発明は、水と油を連続的に供給しながら超音波を利用してエマルションを作製することを可能にする連続乳化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る水と油の連続乳化装置は、バス型の超音波照射機と、該超音波照射機のバスの底部に設けられた超音波発生部にセットされる流通セルと、水と油の被処理液を連続的に前記流通セルに送入するとともに処理後の被処理液を前記流通セルから送出させる送液手段とを備えることを特徴とする。
また、前記流通セルは、該流通セルの底面が、前記超音波発生部の平面領域内に含まれるように設けられていることにより、流通セル内を通過する被処理液に効果的に超音波が作用し、エマルション化を促進させることができる。
また、前記流通セルの側面の底部側に被処理液の流入側の配管が接続され、上部側に送出側の配管が接続されていることにより、流通セル内における被処理液の滞留時間を確保し、被処理液に対して効果的に超音波を作用させることができる。
また、前記流通セルは、外形が円柱体状に形成された中空体として形成されていることが好ましい。
また、前記連続乳化装置が、直列に複数個、相互に連通して接続され、水と油の被処理液が各々の連続乳化装置を順次、段階的に経由してエマルション化されることにより、さらに効率的に水と油をエマルション化することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る連続乳化装置によれば、水と油を連続的に供給しながらエマルション化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】4種の乳化装置を使用して乳化した状態を示す写真である。
【図2】容器内の混合液の濁度を測定した結果を示すグラフである。
【図3】エマルション中の油滴の粒子径の推移を示すグラフである。
【図4】乳化処理後のエマルションの経過状態を示す写真である。
【図5】処理後のエマルションを静置した状態でエマルション濁度を測定したグラフである。
【図6】水と油とからエマルションを作製した他の例のエマルションの安定性を示す写真である。
【図7】連続乳化装置の構成を示す説明図である。
【図8】流通セルを超音波照射装置のバスにセットした状態を示す写真である。
【図9】ローター式ホモジナイザーによる予備処理によって得られたエマルションの粒子径分布を示すグラフである。
【図10】連続乳化装置にエマルション(被処理液)を通したときの各回の油滴の粒子径の分布を示すラフである。
【図11】各回の油滴のメジアン径を示すグラフである。
【図12】異なる流速を設定して5回連続乳化したときの各回の油滴径の測定結果を示すグラフである。
【図13】連続乳化処理を5回行った後の油滴径を、流速ごとに示すグラフである。
【図14】連続乳化処理とバッチ式処理によって作成したエマルションを静置して、その経過状態を示す写真である。
【図15】エマルションの濁度を測定した経過を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(バッチ式乳化装置による処理例)
本発明に係る連続乳化装置について説明する前に、超音波を利用するバッチ式処理による乳化装置を使用して水と油からエマルションを作製した例について説明する。以下では、4種類の乳化装置を利用してエマルションを作製し、乳化装置の乳化性能(乳化に要する時間、最小平均油滴径)、エマルションの分散安定性を評価した実験について説明する。

【0011】
実験に使用した乳化装置は、以下の4種である。
乳化装置I:バス型超音波ホモジナイザー 周波数28kHz 出力300W
乳化装置II:ホーン型超音波ホモジナイザー 周波数19.5kHz 出力600W
乳化装置III:ローター式ホモジナイザー 15000rpm
乳化装置IV:超音波洗浄機 周波数42kHz 出力26W
エマルションを調製する被処理液は、分散質としてドデカンを用い、分散媒を純水とし、処理量250mL(ドデカンの濃度0.4vol%)を処理対象とした。この被処理液を三角フラスコに入れ、それぞれの乳化装置を用いて乳化した。
バス型超音波ホモジナイザーを用いる超音波処理は、バス内に所定量の水を入れ、バスの底部の超音波発生部の上に、被処理液(水と油)を入れた三角フラスコをのせ、超音波を照射することによって行う。

【0012】
図1は、4種の乳化装置を使用して乳化した状態を時間経過とともに示す写真である。
乳化装置I、II、IIIについては、0.5分経過時に、すでに混合液が白濁しはじめ、エマルション化が進んでいるのに対して、乳化装置IVについては、0.5分経過後、1分経過後でも透明であり、15分経過時でも白濁の程度は他の乳化装置と比べて劣っている。

【0013】
図2は、図1の実験において、容器内の混合液の濁度を測定した結果を示すグラフである。乳化装置I、II、IIIについては、0.5分程度の短時間のうちに濁度が大きく上昇し、その後は、濁度が大きくは変化していない。一方、乳化装置IVについては、濁度が上昇する度合いが他の乳化装置と比べてゆるやかであり、15分経過時の濁度も他の乳化装置とくらべて大きく劣っている。
エマルションの濁度が90%まで上昇するまでに要した時間は次の通りである。
乳化装置I:5分
乳化装置II:3分
乳化装置III:1分
乳化装置IV:未到達
この実験結果は、エマルションの濁度から判断すると、乳化装置II、乳化装置IIIが有効であるといえる。

【0014】
図3は乳化処理にともなってエマルション中の油滴(ドデカン)の粒子径がどのように変化するかを測定した結果を示す。エマルション中で油滴の粒子径は一定の分布をなす。図3は油滴の粒子径の分布から算出したメジアン径を示す。各乳化装置について、乳化処理により到達した最小粒子径と最小粒子径に到達するまでの時間を下記に示す。
乳化装置I:最小粒子径 0.3μm 到達時間10分
乳化装置II:最小粒子径 1.1μm 到達時間1分
乳化装置III:最小粒子径 6.2μm 到達時間10分
乳化装置IV:最小粒子径 4.3μm 到達時間5分
油滴の粒子径についての測定結果は、乳化装置Iでは、時間経過とともに徐々に粒子径が小さくなり、4種の乳化装置のうち油滴の粒子径が最も小さくなった。一方、エマルションの濁度が90%に到達するまでの時間が乳化装置Iよりも短時間であった乳化装置III(ローター式ホモジナイザー)では、乳化装置Iと比べて粒子径が小さくない。

【0015】
図4は、乳化装置を用いて15分間乳化処理した後の処理液を試験管に入れて7日間静置したときのエマルションの状態を示す写真である。乳化装置IVを用いて処理したエマルションは1日経過した時点で透明状態に変化しているのに対し、乳化装置Iで処理したエマルションは7日経過した時点でも白濁状態が残っている。

【0016】
図5は処理後のエマルションを静置した状態で濁度を測定したグラフである。乳化処理直後の濁度から濁度が50%まで低下するまでの日数は下記のとおりである。
乳化装置I:濁度が50%になるまで 4日
乳化装置II:濁度が50%になるまで 4日
乳化装置III:濁度が50%になるまで 1日
乳化装置IV:濁度が50%になるまで 1日
図4、5に示す測定結果は、乳化装置I、乳化装置IIを用いて乳化処理したエマルションは、他の乳化装置を使用した場合と比較して分散安定性に優れることを示す。これらの乳化装置を用いると、界面活性剤をまったく使用することなく安定的なエマルションが得られる。とくに乳化装置Iを用いて得られるエマルションは、粒子径が0.3μmの油滴が水中に分散したものとなり、微細な油滴がエマルション中に分散することで、エマルションが安定化したものと考えられる。

【0017】
図6は水と油とからエマルションを作製する他の例を示したもので、ドデカン以外の、ツバキ油、アルガン油、大豆油、オリーブ油、ひまし油、ココナツ油を使用してエマルションを作製した例である。乳化に使用した乳化装置は上述した乳化装置 Iである。いずれも、油の濃度は0.4vol%である。
図6は上記油についてエマルションを作製した後、40日経過後までのエマルションの経過状態を示している。図6に示す実験結果は、上述したいずれの油についても、エマルションを調製して40日経過後でもエマルションの分散性が保持されており、これらの油については、超音波処理により界面活性剤を使わずにきわめて分散性の高いエマルションが得られることを示す。

【0018】
(連続乳化装置による処理例)
次に、本発明に係る連続乳化装置を用いてエマルションを調製した例について説明する。
図7に本発明に係る連続乳化装置の構成例を示す。図7に示す連続乳化装置はバス型の超音波照射機10と、超音波照射機10のバス12内にセットする、被処理液(水と油)の流通セル20とを備える。流通セル20は配管21を介して被処理液を供給する供給側の貯留部30に連通し、配管22を介して、流通セル20から送出される被処理液を収容する貯留部40と連通する。貯留部30と流通セル20とを連通する配管21の中途には、貯留部30から流通セル20に被処理液を供給し、流通セル20から貯留部40に被処理液を送出する送液手段としてポンプ50が設けられる。ポンプ50は供給用の貯留部30から収容側の貯留部40に被処理液を送液する作用を備えるもので、その配置位置及び配置数が図示例の構成に限定されるものではない。

【0019】
流通セル20は超音波照射機10のバス12の底部の中央部で、超音波発振素子が内の蔵されている超音波発生部の直上位置にセットされる。実験で使用した超音波照射機は上述した乳化装置Iと同一のものである。この超音波照射機のバスの大きさは、縦300mm、横300mm、高さ200mmであり、バスの底部に平面寸法が縦90mm、横90mmの超音波発生部が設けられている。

【0020】
実験では、流通セル20として、内部が中空で上蓋と下蓋を備える密封形状の外観が円柱状のガラス容器を使用した。この流通セル20は上面の中央部に円形に陥没した陥没部20aが設けられたものである。陥没部20aの底部は流通セル20の底面(下面)からは離間し、流通セル20の底面の全面が、超音波発生部による超音波作用を受けることができるようになっている。
流通セル20を設計する場合は、流通セル20の底面の全面が超音波照射機10の超音波発生部の平面領域内に含まれるように設定するのがよい。流通セル20の底部の全面が超音波発生部に対向するように配置することにより、流通セル20内を流通する被処理液に効果的に超音波を作用させることができる。

【0021】
なお、流通セルの形態は図7に示した、上部に陥没部20aが設けられた円柱体状の中空体としたものに限るものではなく、単なる外形が円柱体状で中空体として形成されたものであってもよい。また、外形が円柱体状で中空体として形成した場合に、円柱体の直径と高さとを比べた場合、直径よりも高さを高く設定することもできるし、直径よりも高さを低く設定することもできる。また、高さが直径の1/10以下程度といったように、きわめて低く設定した薄型の流通セルとすることもできる。

【0022】
図7に示す連続乳化装置では流通セル20の外面で底部に近い位置に被処理液を流入させる配管21を接続し、配管21を接続した位置とは反対側の流通セル20の外面で流通セル20の上部に近い位置に送出用の配管22を接続した。このように配管21、22を接続することにより、流通セル20の底部に近い側から被処理液液が流通セル20に送入し、超音波の作用を受けながら、徐々に、流通セル20の上部側へ移動し、流通セル20内で滞留する時間を確保しながら超音波の作用を受けることができる。
図8は、流通セルを超音波照射装置のバスにセットした状態を示す写真である。

【0023】
図7に示す連続乳化装置を用いて、前述したバッチ式の処理によりエマルションを作製した例と同様にエマルションを作製し、連続乳化装置による乳化性能と作製したエマルションの分散安定性を評価する実験を行った。
なお、流通セル20を用いた連続乳化処理では、ローター式ホモジナイザーを使用してあらかじめ予備乳化処理を行い、予備乳化処理したエマルションを図7の連続乳化装置で使用する被処理液とした。
ローター式ホモジナイザーを用いる予備乳化は、15000rpmで7分間処理したものである。処理液は、ドデカン:1.0mL、水:250mLからなる。図9に、ローター式ホモジナイザーによる予備処理によって得られたエマルションの油滴の粒子径分布を示す。ドデカンの粒子のメジアン径は約10μmである。

【0024】
図10は、予備乳化したエマルション(被処理液)を複数回(5回)、繰り返して流通セル20に通し、各回の超音波処理ごとにエマルション中の油滴の粒子径分布を測定した結果を示すグラフである。各回の処理時における流速は1.21mLs-1である。なお、超音波処理は所定の流速で供給側の貯留槽30から被処理液の全量を流通セル20に供給し、流通セル20を通過した被処理液の全量を収納側の貯留槽40に送り込む操作を1パスとし、この操作を5回、繰り返して行った。
図11は各回の処理後に測定した油滴のメジアン径を示す。

【0025】
図10、11に示す測定結果は、連続的に被処理液を供給する超音波処理のパスを繰り返していくと、油滴径が徐々に小さくなること、5回目の送液処理を経過したところで油滴のメジアン径が処理開始時の10μmから0.3μmにまで減少したことを示す。この5回目の油滴径は前述したバッチ式処理による乳化装置Iを用いて得られた油滴径と同一である。
本実験結果は、流通セル20に連続的に被処理液を供給しながら超音波を照射する処理方法(連続乳化処理)によって、バッチ式処理と同等の性状(油滴径)を有するエマルションが得られることを示している。

【0026】
図12、13は、流通セル20に送液する被処理液の流速を変えたときに、エマルションの油滴径がどのように変化するかを調べた結果を示す。
図12は異なる流速を設定して繰り返し(5回)乳化処理を行い、各回ごとに、油滴径がどのように変化するか測定した結果を示す。図13は、連続乳化処理を5回行った後の油滴径を、流速ごとに示したものである。
図12、13に示す測定結果は、流速が速い場合には、流速が遅い場合と比較して送液後の油滴の粒子径が大きくなることを示す。これは流速が速いと流通セル20に被処理液が滞留している時間が短くなり、超音波の作用を受ける時間が短くなることで超音波による乳化作用が減退するためと考えられる。したがって、連続乳化処理の場合には、被処理液の流速を的確に設定して、効果的かつ効率的な連続乳化を可能にする必要がある。

【0027】
図14、15は連続乳化処理による場合とバッチ式処理によりエマルションを作製した場合について、エマルションの分散安定性を比較して示したものである。
図14は、連続乳化処理とバッチ式処理によって作成したエマルションを静置して、エマルションの状態を経過観察したもの、図15はエマルションの濁度を経過測定した結果を示す。
図15のグラフで濁度が初期状態から50%まで減少した日数を比較すると、連続乳化処理では5日、バッチ式処理では4日となり、連続乳化処理の場合もバッチ式処理による場合と同等のエマルション分散安定性が得られたことを示す。

【0028】
上記実験結果は、バス型の超音波装置を使用し、バスに流通セルをセットして流通セルに水と油からなる被処理液を連続的に流しながら超音波を作用させる方法を利用することでエマルション化が可能であることを示す。上記実験例ではローター式ホモジナイザーを用いて予備乳化を行っているが、必ずしも予備乳化は必須ではない。ただし、ローター式ホモジナイザーによる予備乳化処理を連続乳化処理の前工程に組み込んでも、分散安定性の高いエマルションを生産する生産工程としては負担となるものではない。
また、上記実験例では、供給側の貯留部30から流通セル20を介して収容側の貯留部40へ被処理液を全量送液する操作を1回のパスとして、複数回パス操作を行ったが、この方法とは別に、流通セルを備える連続乳化装置を、複数台、直列に連通させた多段構成の連続乳化装置とし、各連続乳化装置を連続して被処理液を通過させる設定とすることで、多段の連続乳化処理を一連の操作として行うことができる。
【符号の説明】
【0029】
10 超音波照射機
12 バス
20 流通セル
20a 陥没部
21、22 配管
30 貯留部
40 貯留部
50 ポンプ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14