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明細書 :新規化合物及びその合成方法並びに元素分離回収剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-027919 (P2018-027919A)
公開日 平成30年2月22日(2018.2.22)
発明の名称または考案の名称 新規化合物及びその合成方法並びに元素分離回収剤
国際特許分類 C07C  55/06        (2006.01)
G21F   9/12        (2006.01)
B01J  20/26        (2006.01)
C02F   1/28        (2006.01)
B01J  20/30        (2006.01)
C07C  51/41        (2006.01)
C07F   5/00        (2006.01)
FI C07C 55/06 CSP
G21F 9/12 501A
B01J 20/26 C
C02F 1/28 A
B01J 20/30
C07C 51/41
C07F 5/00 D
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2016-161059 (P2016-161059)
出願日 平成28年8月19日(2016.8.19)
新規性喪失の例外の表示 申請有り
発明者または考案者 【氏名】南川 卓也
【氏名】マシュー・ロザインスキー
【氏名】スチュワート・デーブ
【氏名】カツォリディス・アレックス
出願人 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
個別代理人の代理人 【識別番号】110001922、【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4D624
4G066
4H006
4H048
Fターム 4D624AA04
4D624AA05
4D624AB10
4D624AB15
4D624BA17
4D624BB01
4D624BC04
4D624CA06
4D624DA07
4D624DB03
4D624DB20
4G066AA32A
4G066AA37A
4G066AA51A
4G066AB07A
4G066AC11B
4G066CA12
4G066CA45
4G066DA08
4G066FA03
4G066FA05
4G066FA21
4G066FA34
4G066GA11
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB80
4H006AB82
4H006AC90
4H006BS70
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB80
4H048AB82
4H048AC90
4H048VA20
4H048VA70
4H048VB10
要約 【課題】特定の元素を取り込むための細孔の大きさを精度よく制御でき、なおかつ必要に応じて細孔に取り込んだ特定の元素を放出可能な新規化合物を提供すること。
【解決手段】 以下の分子式で表される新規化合物。
(NH4)[Ln(C2O4)2(H2O)]
ここで、Ln = Y, Sm, Eu, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu
微細なイオン半径変化を示すランタノイドイオンを配位高分子の構成要素として利用することで、配位高分子の細孔の大きさを微調整することができる。
【選択図】図4
特許請求の範囲 【請求項1】
以下の分子式で表される新規化合物。
(NH4)[Ln(C2O4)2(H2O)]
ここで、Ln = Y, Sm, Eu, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu
【請求項2】
請求項1に記載の新規化合物の前記Lnを特定した元素分離回収剤。
【請求項3】
請求項2に記載の元素分離回収剤において、前記LnがTbであることを特徴とするストロンチウム分離回収用の元素分離回収剤。
【請求項4】
請求項2に記載の元素分離回収剤において、前記LnがYbであることを特徴とするセシウム分離回収用の元素分離回収剤。
【請求項5】
以下の反応を利用した新規化合物の合成方法。
(式8)
JP2018027919A_000007t.gif
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、配位高分子のサイズを精密に制御可能な高秩序細孔を含む、新規化合物及びその合成方法並びに元素分離回収剤に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ストロンチウムやセシウムと言った放射性元素は、一般にゼオライトやプルシアンブルー等の細孔を持った材料で分離できることが知られている(特許文献1及び2)。そして一般に、放射性物質に汚染された水すなわち放射性廃液は、放射性元素を粒状ゼオライトに吸着させるなどの処理を行い、放射性元素による汚染度を低くした後、その処理水を海などに放出している。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2016-80486
【特許文献2】特開2016-70781
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ゼオライトやプルシアンブルーのような細孔性材料は非常に強固な構造を持っており、細孔の大きさも一定であることから、廃液(放射性廃液、一般産業廃液など)などから特定の元素のみを効率的に分離回収することは非常に困難であった。また、このような細孔性材料では、廃液から一度分離した元素を、これら細孔性材料から取り出すことが非常に困難であることから、分離元素を再利用することができなかった。
【0005】
また、例えば、従来から使用されているゼオライトでは、セシウムを取り込んだ使用済みゼオライトそのものが放射性廃棄物となるため、放射性廃棄物の量が増大するという問題もあった。
【0006】
本発明の目的は、特定の元素を取り込むための細孔の大きさを精度よく制御でき、なおかつ必要に応じて細孔に取り込んだ特定の元素を放出可能な、新規化合物及びその合成方法並びに元素分離回収剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る新規化合物は、以下の一般式から成る。
(NH4)[Ln(C2O4)2(H2O)]
ここで、Ln = Y, Sm, Eu, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu
【0008】
上述の新規化合物はランタノイド金属Lnを適切に選択することによって、ランタノイド収縮の大きさを簡単に制御できるので、例えば、上述のような廃液から特定の元素を効率良く分離回収できる。したがって、この新規化合物の用途として、一つには特定の元素を分離回収するための元素分離回収剤としての利用が考えられる。
【0009】
(1)上述の用途に使用される元素分離回収剤は、具体的には、配位高分子から成り、配位高分子の合成に使うイオンを選択することで元素分離回収剤の細孔サイズを0.1Å以下で精密に制御できるような構造を備える。このような精密な細孔サイズ制御はこれまでの材料では不可能であった。細孔サイズを精密制御することで、どのような金属イオンをどのような環境から分離するかの目的に応じて、細孔サイズを構成することが可能となり、サイズの比較的大きなイオン中から小さなイオンを取り出す場合など、その状況に応じて、最適なイオン分離剤を構成することが可能となる。この結果、例えば通常のゼオライトで困難な海水中からのストロンチウム分離が、この配位高分子を利用し特定の細孔を作ることで可能となった。
【0010】
(2)配位高分子の構造はゼオライトやプルシアンブルーより溶液の変化に柔軟に応答するため、pH4程度の酸性条件下で、一度取り込んだイオンを放出可能である。これにより、ゼオライトやプルシアンブルー等と同等に特定元素を元素分離回収剤中に分離できるだけでなく、特定元素を回収することが可能である。例えばこの手法により、放射性セシウムやストロンチウムならば、単離、回収することで放射線源や熱源等のRI利用の道が開ける。また使用済みの配位高分子は、もう一度合成反応により、もとの配位高分子に戻すことが可能であり、放射性元素を吸着したゼオライトのような廃棄物が発生しない。この元素分離回収剤は、放射性元素を廃液などから分離し回収することができるので、放射性廃棄物を大量に増やすことがないという利点も有する。
【0011】
また、本発明の一つの観点によれば、上述の構成を備えた新規化合物は、以下の反応を利用して合成される。
【式1】
【0012】
JP2018027919A_000003t.gif
【発明の効果】
【0013】
本発明の新規化合物は、特定の元素を取り込むための細孔の大きさを精度よく制御できるので、例えば元素分離回収剤として用いた場合、通常のゼオライトで困難な海水中からのストロンチウム分離が、この配位高分子を利用し特定の細孔サイズを作ることで可能となる。
【0014】
また、本発明の新規化合物では、必要に応じて細孔に取り込んだ特定の元素を放出することができるので、元素分離回収剤として用いることにより、放射性セシウムやストロンチウムなどを単離、回収することができる。さらにまた使用済みの配位高分子すなわち元素分離回収剤は、もう一度合成反応により、もとの配位高分子に戻すことができるので、放射性元素を吸着したゼオライトのように余分な廃棄物が発生させることがなく、放射性廃棄物を大量に増やすこともない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】配位高分子における金属と配位子の関係を説明するための模式図。
【図2】ランタノイド収縮を説明するための模式図。
【図3】細孔サイズとイオンサイズの関係を説明するための模式図。
【図4】元素分離回収剤の構造を説明する単結晶X線構造解析の結果を示す図。
【図5】吸着剤と対象イオンによる分配定数Kdの比較を表す図。
【図6】(a) Sr2+と(b) Ba2+イオン吸着と吸着剤追加時間の関係を示すグラフ。
【図7】海水からの(a)Sr2+と(b)Ba2+イオン吸着と吸着剤追加時間の関係を示すグラフ。
【図8】人工海水マリンアートMarine Art SF-1の成分表を示す図。
【図9】バリウム取り込みに関するlog(Kd) とランタノイドイオンの関係を示すグラフ。
【図10】バリウムとストロンチウムに対する親和性の変化と中心金属の関係を示すグラフ。
【図11】セシウムの取り込み、取り出し及び再生反応時の粉末X線パターン変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
初めに、図1及び図2を参照して、元素分離回収剤として利用可能な新規化合物の合成方法について説明する。上述した、本発明に係る新規化合物の合成は以下の反応で行う。

【0017】
JP2018027919A_000004t.gif

【0018】
上記の式2に示すように、ジメチルシュウ酸及び塩化テルビウム・6水和物を塩化アンモニウム含有水溶液に浸し、130 ℃ で 24 時間加熱した後に、得られた無色のブロック状結晶をろ過、洗浄することで、本発明に係る新規化合物が得られた。

【0019】
図1は、本発明に係る新規化合物すなわち配位高分子における金属と配位子の関係を説明するための模式図である。上記の配位高分子は、図1に示されるような配位子と金属の自律凝集反応によって合成される。この反応時の金属と配位子の間に出来た、ジャングルジムの隙間のような部分が細孔となる。配位高分子は、一般に単結晶として得られるため、高秩序にサイズ制御された細孔を作る。また、図1から示唆される通り、配位高分子の細孔は、配位子と金属の大きさで制御することが可能である。通常この細孔の大きさを制御するには、配位子の長さを数Å単位で変化させる方法が一般的であるが、本発明では、金属イオンの大きさを微細に変化させることで、より微細に細孔の大きさを制御している。

【0020】
図2は、ランタノイド収縮を説明するための模式図である。本発明で合成した配位高分子を構成するランタノイドイオン(Sm, Eu, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu) は、図2に模式的に示される「ランタノイド収縮」と言われる現象に従い、原子番号が大きくなるほど、イオン半径が小さくなることが知られている。これを利用し、Sm、Eu等の比較的原子番号が小さな金属では、細孔が比較的大きく、Yb, Lu等の原子番号が大きい元素では、細孔が小さくなる。なお、「ランタノイド収縮」による、イオンの直径は通常SmからLuまで10種類の金属で、0.2-0.3Å程度の変化量であり、この微細な変化が、細孔サイズの微細な調整を可能にしている。

【0021】
次に、図3を参照して、合成された新規化合物を元素分離回収剤として使用して、特定の金属を選択的に回収する方法について説明する。

【0022】
図3は、従来のゼオライトやプルシアンブルー等の細孔性材料が、セシウムやストロンチウムを分離できる原理を説明するための模式図である。図3から理解されるように、従来の細孔性材料で分離できるイオンは、そのイオンサイズがゼオライトやプルシアンブルー等の細孔性材料の細孔サイズと適合しているものに限られる。紙面右下に示される金属のようにイオンサイズが細孔サイズよりも小さなものは、分離されず、また、紙面左上に示される金属のようにイオンサイズが細孔サイズよりも大きいものも分離されない。

【0023】
すなわち、細孔の大きさに見合ったイオンだけが分離される。実際に元素ごとのイオン半径の違いは、非常に微細なため、0.1Å以上細孔の大きさを変えてしまえば、特定の金属のイオンだけを認識することが困難となる。本発明においては、この微細なイオン半径の違いを認識するために、微細なイオン半径変化を示すランタノイドイオンを配位高分子の構成要素として利用することで、配位高分子の細孔の大きさを微調整し、0.1Å以下の細孔サイズ調整を可能にして、特定のイオンだけを分離する。

【0024】
一例として、通常のゼオライトで困難な海水中からのストロンチウム分離が、この配位高分子を利用し特定の細孔を作ることで可能となる。また、このような知見により、サイズの比較的大きなイオン中から小さなイオンを取り出す場合など、その状況に応じて、最適なイオン分離剤を選択することが可能となる。

【0025】
次に、回収した金属を元素分離回収剤から分離する方法について説明する。
以下に示すスキームにより、元素を中性状態で分離し、酸性条件にすることで配位高分子から元素を分離回収し、配位高分子そのものは、Ln2(C2O4)3となるが、これに配位子とアンモニウム塩を添加し、合成反応で元の配位高分子((NH4)[Ln(C2O4)2(H2O)])に戻す。このような一連の処理により、元素を分離回収しながら、元の配位高分子を再生することが出来る。

【0026】
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【0027】
<実施例1> 元素分離回収剤 (NH4)[Tb(C2O4)2(H2O) ]の合成
図4は、本発明の一実施例に係る元素分離回収剤の構造を説明する単結晶X線構造解析の結果を示す図である。図中、(A)は結晶学的パラメータを示す表で、(B)は構造図である。

【0028】
図4に示された元素分離回収剤(NH4)[Tb(C2O4)2(H2O)は、次のようにして合成される。ジメチルシュウ酸(Dimethyloxalate) (3.0 g), 塩化テルビウム・6水和物 (3.0 g), 塩化アンモニウム (6.0 g) 及び水 (50 ml) を130 ℃ で 24 時間加熱し、得られた無色のブロック状結晶をろ過し、水 (5 ml × 3), エタノール (5 ml × 3), 及びアセトン(5 ml × 3) で洗浄して乾燥することで得た。収量: 2.58 g 、収率87 % (テルビウム換算)。 元素分析 C4H6NO9Tb: C, 12.95 (12.78); H, 1.63 (1.70); N, 3.78 (3.52).

【0029】
<実施例2> 純水中でのストロンチウム及びバリウムの取り込み
図5及び図6を参照しながら、ストロンチウム及びバリウムの取り込み試験の結果について説明する。図5は吸着剤と対象イオンによる分配係数Kdの比較表である。また、図6の(a)は、Srの吸着と反応時間の関係を示すグラフで、(b)はBaの吸着と反応時間の関係を示すグラフである。

【0030】
(NH4)[Tb(C2O4)2(H2O) ] (20 mg) をストロンチウム162 ppm 又はバリウム200 ppmを含む溶液に加え、500rpmで10分間撹拌したのち、溶液をろ過して溶液中のストロンチウム及びバリウムの濃度を測定し、それぞれの分配係数Kdを測定した。 この結果、(NH4)[Tb(C2O4)2(H2O) ] のストロンチウム及びバリウムに対する分配係数はそれぞれ、3.1 × 104 、1.4 × 105 ml /gとなった。このストロンチウムに対する分配係数Kdは、ストロンチウムの除染に特に有効とされるゼオライト類と同程度の値であることが示された(図5)。また吸着挙動の試験結果を示す図6から、10分で溶液中の99%以上のイオンが除去可能であり、この吸着剤である元素分離回収剤は、ゼオライトなどに比べて非常に速い吸着速度があり、効率よく特定のイオンを分離できる材料であることがわかった。

【0031】
なお、分配係数Kdは次のようにして求めた。

【0032】
JP2018027919A_000006t.gif

【0033】
ここで、Ciは溶液中のイオンの初期濃度(ppm)、Ceは平衡時の溶液中のイオン濃度(ppm)、Vは溶液の量(2ml)、Mは吸着材である元素分離回収剤((NH4)[Tb(C2O4)2(H2O)])の量 (0.02g)である。

【0034】
<実施例3> 海水中からのイオン分離
(NH4)[Tb(C2O4)2(H2O)] (20 mg) をストロンチウム200 ppm、バリウム200 ppmを加えた人工海水マリンアートMarine Art SF-1 (Osaka Yakken, Osaka, Japan)(図8の表を参照)を含む溶液に加え、500rpmで10分間撹拌し、溶液をろ過して溶液中のストロンチウム及びバリウムの濃度を測定した。その結果、(NH4)[Tb(C2O4)2(H2O)]のストロンチウム及びバリウムに対する分配係数はそれぞれ、8.2 ×103 と 2.5 ×103 以上(ml/g)となった。海水中でのストロンチウムに対する分配係数は、福島における吸着剤探索において、1000(ml/g)前後と報告されていることから1,2、これまでに報告されている吸着材と比較してもとても高い値であることが明らかとなった。また、海水のような他のイオンが多い環境から目的元素を分離できることから、元素選択的に分離する能力の高い分離剤であることが示された(図7参照)。

【0035】
<実施例4> ランタノイドイオンを変えることによるイオン選択的取り込み
(NH4)[Ln(C2O4)2(H2O)] (20 mg) をストロンチウム20 ppm 又はバリウム20 ppmを含む溶液に加え、500rpmで10分間撹拌し、溶液をろ過して溶液中のストロンチウム及びバリウムの濃度を測定し、金属元素が変化した場合の分配係数の対数(log(Kd))を求めた結果を、それぞれ図9に示す。log(Kd)が高い中心金属において、よりその金属の捕集能力が高いことを示している。

【0036】
バリウムとストロンチウムに対する親和性を比較するため、図10にLog(Kd(Ba))とLog(Kd(Sr))の差を示す。ここで、logKdは、対象元素が取り込まれる場合の自由エネルギー差を表す化学的に意味のある値である。この結果、細孔の大きさが大きいものほど、全体にBaに親和性が高く、小さいものは全体にSrに親和性が高く、TbとErの中間にあるランタノイドでは、バリウムとストロンチウムの取り込みに差が出ない。この結果は、BaがSrよりイオンサイズが大きいことから、バリウムがストロンチウムより細孔の大きな配位高分子で取り込みが起こりやすいことを示している。また、中心金属がTbの時には特にバリウムに親和性が特に高く、中心金属がErやTmの時には特にSrに親和性が特に高い。この結果から、それぞれの金属のイオン半径に適した細孔サイズの材料が存在することを証明し、それを見出すことに成功した。

【0037】
<実施例5> 配位高分子からの放射性元素取り出し
(1)(NH4)[Yb(C2O4)2(H2O)] (100mg) を、10ml の塩化セシウム溶液(セシウム濃度1000ppm)に4時間浸漬し(298K, pH 7 ±1)、溶液中のセシウム濃度が61%減少していることを確認した。このとき、粉末X線パターンの変化は、図11のa)からb)に変化し、粉末X線パターンの変化が小さく、化学物質の構造とその変化状態変化の少なさから、主に以下のような反応でセシウムが取り込まれたと考えられる。

【0038】
(NH4)[Yb(C2O4)2(H2O)] + CsCl → Cs[Yb(C2O4)2(H2O)] + NH4Cl

【0039】
(2)次に、この粉末をろ過し、10ml の純水に懸濁させ、自動滴定装置で溶液のpHを4に保つように0.001NHClを添加すると、取り込んだセシウムのうち、95%のセシウムを溶液中に取り出すことに成功した。このとき、粉末X線パターンの変化は、図11のb)からc)に変化し、c)の粉末X線パターンは、Yb2(C2O4)3・n(H2O)のため、以下のような酸分解でセシウムが取り出される。

【0040】
2(Cs[Yb(C2O4)2(H2O)]) + HCl → Yb2(C2O4)3 + 2Cs+ + H(C2O4)- + Cl-

【0041】
(3)次に、この粉末をろ過し、Yb2(C2O4)3・n(H2O)にジメチルシュウ酸及び塩化アンモニウムを添加し、130 ℃ で 24 時間加熱することで、粉末X線パターンは、図11のc)からd)に変化し、d)の粉末X線パターンは、(NH4)[Yb(C2O4)2(H2O)]のため、以下のような反応で、もとの配位高分子が再合成される。

【0042】
Yb2(C2O4)3 + (CH3)2(C2O4) + NH4Cl →(NH4)[Yb(C2O4)2(H2O)] + 2CH3OH

【0043】
以上のような反応で、この配位高分子はセシウムを取り込み、取り出し及び使用後の配位高分子の再生が可能であることが示された。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10