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明細書 :遠心抽出器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-030066 (P2018-030066A)
公開日 平成30年3月1日(2018.3.1)
発明の名称または考案の名称 遠心抽出器
国際特許分類 B01D  11/04        (2006.01)
FI B01D 11/04 103
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2016-162747 (P2016-162747)
出願日 平成28年8月23日(2016.8.23)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 日本原子力学会2016年春の年会予稿集3F11「遠心抽出器のスラッジ耐性に関する検討(7)スラッジ洗浄ノズルの適用による性能向上効果」坂本 淳志、佐野 雄一、竹内 正行、伊藤 和之、関田 智、坂本 幸生、阿久津 浩一、平成28年3月10日 〔刊行物等〕 日本原子力学会「2016年春の年会」3月28日F会場3F11「遠心抽出器のスラッジ耐性に関する検討(7)スラッジ洗浄ノズルの適用による性能向上効果」坂本 淳志、佐野 雄一、竹内 正行、伊藤 和之、関田 智、坂本 幸生、阿久津 浩一、平成28年3月28日
発明者または考案者 【氏名】坂本 淳志
【氏名】大畠 史一
【氏名】竹内 正行
出願人 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100139114、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 貞嗣
【識別番号】100139103、【弁理士】、【氏名又は名称】小山 卓志
【識別番号】100119220、【弁理士】、【氏名又は名称】片寄 武彦
【識別番号】100091971、【弁理士】、【氏名又は名称】米澤 明
【識別番号】100094787、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 健二
【識別番号】100095120、【弁理士】、【氏名又は名称】内田 亘彦
【識別番号】100092495、【弁理士】、【氏名又は名称】蛭川 昌信
【識別番号】100088041、【弁理士】、【氏名又は名称】阿部 龍吉
審査請求 未請求
テーマコード 4D056
Fターム 4D056BA09
4D056CA06
4D056CA18
4D056CA36
4D056CA37
4D056CA40
要約 【課題】スラッジの洗浄に用いる洗浄液の量を抑制することができ、スラッジの洗浄時間も低減することが可能な遠心抽出器を提供する。
【解決手段】本発明に係る遠心抽出器1は、ハウジング10と、回転軸によって前記ハウジング内に吊り下げられると共に、前記回転軸35の回転に伴い回転するロータ9と、前記回転軸35芯に設けられる軸部流路11と、前記ロータ9内に設けられ、前記軸部流路11と連通するロータ部流路12と、前記ロータ部流路12と連通するノズル20と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
ハウジングと、
回転軸によって前記ハウジング内に吊り下げられると共に、前記回転軸の回転に伴い回転するロータと、
前記回転軸芯に設けられる軸部流路と、
前記ロータ内に設けられ、前記軸部流路と連通するロータ部流路と、
前記ロータ部流路と連通するノズルと、を有することを特徴とする遠心抽出器。
【請求項2】
前記ロータから延出する延長棹と、
前記延長棹内に設けられ、前記ロータ部流路と連通する延長棹部流路と、
前記延長棹部流路と連通するノズルと、を有することを特徴とする請求項1に記載の遠心抽出器。
【請求項3】
前記延長棹部流路が連通するノズルを複数有することを特徴とする請求項2に記載の遠心抽出器。
【請求項4】
ハウジングと、
回転軸によって前記ハウジング内に吊り下げられると共に、前記回転軸の回転に伴い回転するロータと、
前記回転軸芯に設けられる軸部流路と、
前記ロータ内に設けられ、前記軸部流路と連通するロータ部流路と、
前記ロータから延出する延長棹と、
前記延長棹内に設けられ、前記ロータ部流路と連通する延長棹部流路と、
前記延長棹部流路と連通するノズルと、を有することを特徴とする遠心抽出器。
【請求項5】
前記回転軸に配される第1ギアと、
前記第1ギアと噛合する第2ギアと、
前記第2ギアに回転駆動力を付与するモータと、を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の遠心抽出器。
【請求項6】
前記回転軸の端部に配されるロータリージョイントを有し、
前記ロータリージョイント内の流路と前記軸部流路とが連通することを特徴とする請求項5に記載の遠心抽出器。
【請求項7】
前記ノズルが前記ロータに対して固着されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の遠心抽出器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、食品、石油化学、樹脂といった様々な化学工業分野において行われている液々抽出、油水分離などに用いられる遠心抽出器に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心抽出器は、強い攪拌能力と高い分離能力を有し、例えば、使用済燃料再処理を含めた様々な化学工業分野において使用される。
【0003】
このような遠心抽出器として、例えば、特許文献1(特開2004-69351号公報)には、ハウジング内でロータが回転自在に支持されており、水相と有機相とがロータ外周に供給されてハウジングとロータとの間で混合され、混合相がロータ内部に吸引されてロータ内部の遠心力場で水相と有機相の2相に分離され、分離された各相が対応するコレクタへ排出される構造の遠心抽出器において、ロータ中心に空洞部を設け、その空洞部を利用して中性子吸収体を設置したことを特徴とするものが開示されている。

【特許文献1】特開2004-69351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の遠心抽出器において、高い分離能力は、高速で回転するロータに起因するものであったが、処理液の条件によっては、ロータ内に加わる強力な遠心力により、ロータ内にスラッジが堆積する可能性がある。図10は従来の遠心抽出器1の模式的断面図である。図10に示すように、遠心抽出器1のロータ9の内周面には、スラッジSが堆積する可能性がある。
【0005】
ロータ9におけるスラッジSの堆積状況によっては、相分離性能が低下する可能性があるとともに、最終的には流路が閉塞することで運転ができなくなる。
【0006】
そこで、ロータ9に堆積したスラッジSを除去するための洗浄を行う必要があるが、スラッジSの洗浄には、大量の洗浄液が必要であると共に、洗浄時間も長くかかる、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような問題点を解決するために、本発明に係る遠心抽出器は、ハウジングと、回転軸によって前記ハウジング内に吊り下げられると共に、前記回転軸の回転に伴い回転するロータと、前記回転軸芯に設けられる軸部流路と、前記ロータ内に設けられ、前記軸部流路と連通するロータ部流路と、前記ロータ部流路と連通するノズルと、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る遠心抽出器は、前記ロータから延出する延長棹と、前記延長棹内に設けられ、前記ロータ部流路と連通する延長棹部流路と、前記延長棹部流路と連通するノズルと、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る遠心抽出器は、前記延長棹部流路が連通するノズルを複数有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る遠心抽出器は、ハウジングと、回転軸によって前記ハウジング内に吊り下げられると共に、前記回転軸の回転に伴い回転するロータと、前記回転軸芯に設けられる軸部流路と、前記ロータ内に設けられ、前記軸部流路と連通するロータ部流路と、前記ロータから延出する延長棹と、前記延長棹内に設けられ、前記ロータ部流路と連通する延長棹部流路と、前記延長棹部流路と連通するノズルと、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る遠心抽出器は、前記回転軸に配される第1ギアと、前記第1ギアと噛合する第2ギアと、前記第2ギアに回転駆動力を付与するモータと、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る遠心抽出器は、前記回転軸の端部に配されるロータリージョイントを有し、前記ロータリージョイント内の流路と前記軸部流路とが連通することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る遠心抽出器は、前記ノズルが前記ロータに対して固着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る遠心抽出器は、回転軸芯に設けられる軸部流路と、ロータ内に設けられ、軸部流路と連通するロータ部流路と、ロータ部流路と連通するノズルと、を有しており、このような本発明に係る遠心抽出器によれば、スラッジの洗浄に用いる洗浄液の量を抑制することができるようになると共に、スラッジの洗浄時間も低減することが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る遠心抽出器においては、軸部流路やロータ部流路などの洗浄液の流路は、ノズルより鉛直上方に設けられた構造となっているために、処理液が前記流路に進入していく確率が非常に低いために、前記流路の耐久性が確保されると共に、前記流路の維持・管理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る遠心抽出器1の模式的断面図であり、遠心抽出器1の分離抽出機能を説明する図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る遠心抽出器1の模式的断面図であり、遠心抽出器1の洗浄機能を説明する図である。
【図3】洗浄時間と洗浄率との関係を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る遠心抽出器1の模式的断面図であり、遠心抽出器1の洗浄機能を説明する図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る遠心抽出器1の模式的断面図であり、遠心抽出器1の洗浄機能を説明する図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る遠心抽出器1の模式的断面図であり、遠心抽出器1の洗浄機能を説明する図である。
【図7】滞留法の概略を説明する図である。
【図8】試験データの評価法の概略を説明する図である。
【図9】試験結果を示す図である。
【図10】従来の遠心抽出器1の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る遠心抽出器1の模式的断面図であり、遠心抽出器1の分離抽出機能を説明する図である。このような遠心抽出器1は、ピューレックス法において、使用済み核燃料を硝酸に溶解し、硝酸酸性水溶液中に溶存しているU(ウラン)やPu(プルトニウム)を溶媒抽出操作で分離して回収する際に用いることを想定しているが、本発明に係る遠心抽出器1は、このような用途に限らず、医薬品、食品、石油化学、樹脂といった様々な化学工業分野に適用することができる。

【0018】
本発明に係る遠心抽出器1は、図示するようにハウジング10内に収容されたロータ9の軸心部には、その長さ方向に延びる回転軸35が設けられている。さらに、この回転軸35の上端部はロータ9の上部を貫通してハウジング10上部に設けられたモータ30にギア類を介して連結されている。

【0019】
図示するロータ9は、ロータ9の軸心部から延びる棹部材(不図示)によって互いに連結されるようになっている。また、ロータ9は、回転軸35によって吊り下げられると共に、回転軸35の回転に伴い回転するようになっている。

【0020】
より具体的には、回転軸35はベアリング45などからなる軸受け部40を介してハウジング10の軸心部に支持されており、ロータ9をハウジング10内に中空に吊り下げるように支持しながらその軸部を回転軸として回転させるようになっている。

【0021】
このロータ9の周囲にはロータ9を囲繞するように円筒状の空間をした混合槽55が形成されており、さらにこの混合槽55には、有機溶媒と抽出剤(主としてTBP:リン酸トリブチル)を供給する有機相供給管51と、TRU元素を含む硝酸酸性水溶液を供給する水相供給管52が接続されている。

【0022】
また、ロータ9の底部中央にはこの混合槽55内の処理液体をロータ9内に流入するための流入孔57が形成されていると共に、ロータ9の上部中央にはロータ9内の液体の一部(重物質)を流出するための水相流出孔60が形成されている。また、この水相流出孔60は、ロータ9上部に延びた回転軸35の一部を囲繞するように形成されたドーナツ空間状の水相流出路63に連通されており、水相流出孔60からでた液体(重物質)をこの水相流出路63を通過させて水相排出管65からハウジング10の外部へ流出させるようになっている。

【0023】
また、ロータ9内上部には、回転軸35の上部を囲繞するようにリング状に区画された分離流路74が形成されており、ロータ9内の軸心部付近にある処理液体の一部(軽物質)を回転軸35近傍の分離孔72から分離して供給するようになっている。また、この分離流路74の外周部にはロータ9の側面を貫通して外部に臨む有機相流出孔80が形成されており、分離流路74内に流入してきた液体(軽物質)をロータ9外へ流出するようになっている。さらに、この有機相流出孔80の周囲には水相流出路63と同様にドーナツ空間状をした有機相流出路83が形成されており、有機相流出孔80から流出した液体を有機相排出管85からハウジング10の外へ排出するようになっている。

【0024】
軸受け部40から上方に延出している回転軸35には第1ギア21が配されている。また、モータ30の回転出力軸であるモータ軸25には第2ギア22が配されており、第1ギア21と第2ギア22とが噛合するようになっている。モータ軸25が回転駆動されると、第2ギア22と噛み合っている第1ギア21が回転し、これに伴い、回転軸35がロータ9を回転するようになっている。

【0025】
図10に示す従来の遠心抽出器1においては、回転軸35の上方にモータ30が設けられており、モータ30がギア類を介することなく回転軸35を直接回転駆動するようになっていた。これに対して、本発明に係る遠心抽出器1は、ギアを設けることで、モータ30を、回転軸35の上方の空間からずらして、回転軸35の上方のスペースを確保するようにしている。

【0026】
本発明に係る遠心抽出器1は、上記のようなスペースを確保することで、ハウジング10内に洗浄液を導入するための構成を配するようにしている。より具体的には、回転軸35の端部には、ロータリージョイント7を設けるようにして、当該ロータリージョイント7に対して、洗浄液供給管5から洗浄液を供給するようにしている。

【0027】
回転軸35の回転軸芯には軸部流路11が設けられている。また、ロータ9内にはロータ部流路12が設けられている。さらに、ロータ9はノズル20が設けられている。

【0028】
軸部流路11はロータリージョイント7の流路と連通し、また、ロータ部流路12は先の軸部流路11と連通し、ノズル20はロータ部流路12と連通している。したがって、洗浄液供給管5から供給される洗浄液は、洗浄液供給管5→ロータリージョイント7→軸部流路11→ロータ部流路12→ノズル20の順の流路で、ノズル20から洗浄液を噴射することができるようになっている。

【0029】
なお、本実施形態では、ノズル20がロータ9に対して固着され、ロータ9の回転に伴い、ノズル20も連れ回りするように構成されているが、ノズル20とロータ9とを固着しないようにも構成することができる。

【0030】
また、回転軸35の上方のスペースを確保するために、本実施形態では回転駆動力の伝達機構としてギア類を用いるようにしたが、回転駆動力の伝達機構としてベルトやプーリを用いるようにしてもよい。また、回転駆動力の伝達機構を採用することができず、回転軸35の上方のスペースを確保することができないような場合には、モータ30として中空モータを用いれば、モータ軸25と回転軸35とを直結しつつも、軸部流路11に洗浄液を供給するような構成とすることができる。

【0031】
図2は本発明の第1実施形態に係る遠心抽出器1の模式的断面図であり、遠心抽出器1の洗浄機能を説明する図である。図2に示すように、処理液体を遠心抽出処理した後には、スラッジSがロータ9に堆積する。このスラッジSを除去するためにノズル20から洗浄液を噴射する。

【0032】
従来のノズル20が設けられていない遠心抽出器1においては洗浄操作1回当たり40%の洗浄率(試験終了後回収した全てのスラッジのうち洗浄液中に含まれるスラッジ割合)が得られていたが、ノズル20を採用した本発明に係る遠心抽出器1によれば、洗浄操作1回当たり60%の洗浄率を得ることができるようになった。当該洗浄操作には、洗浄液を遠心抽出器1に供給し、これを遠心抽出器1から排出させて、スラッジを含む洗浄液を回収する一連の操作が含まれる。

【0033】
図3は洗浄時間と洗浄率との関係を示す図である。スラッジSをほぼ100%洗浄するのに必要な洗浄時間、並びに洗浄液量については、洗浄のためのノズル20のない従来の遠心抽出器1に比べて、洗浄時間が約1/4、洗浄液量が約1/5程度まで低減させることが可能であった。ここで、洗浄時間は、前記洗浄操作の実施回数(1回目のみ1時間、2回目以降は5分)の合計によって算出している。また、洗浄液量は実際に使用した洗浄液の総量としている。なお、前記洗浄操作1回当たりに使用する洗浄液量は、約1.5L一定としている。

【0034】
本発明に係る遠心抽出器1は、回転軸35芯に設けられる軸部流路11と、ロータ内に設けられ、軸部流路11と連通するロータ部流路12と、ロータ部流路12と連通するノズル20と、を有しており、このような本発明に係る遠心抽出器1によれば、スラッジSの洗浄に用いる洗浄液の量を抑制することができるようになると共に、スラッジの洗浄時間も低減することが可能となる。

【0035】
また、本発明に係る遠心抽出器1においては、軸部流路11やロータ部流路などの洗浄液の流路は、ノズル20より鉛直上方に設けられた構造となっているために、処理液が前記流路に進入していく確率が非常に低いために、前記流路の耐久性が確保されると共に、前記流路の維持・管理が容易となる。

【0036】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図4は本発明の第2実施形態に係る遠心抽出器1の模式的断面図であり、遠心抽出器1の洗浄機能を説明する図である。

【0037】
第2実施形態に係る遠心抽出器1においては、ロータ9の下方に延長棹15を設けるようにしている。延長棹15内には延長棹部流路16が設けられており、この延長棹部流路16はロータ部流路12と連通している。また、延長棹15の下端側にはノズル20が設けられており、ノズル20は延長棹部流路16と連通している。このように第2実施形態に係る遠心抽出器1では、ロータ9の上段部、及び、ロータ9の中段部の2箇所にノズル20が設けられ、これらにより、ロータ9の内面側に堆積したスラッジSを洗浄することができるようになっている。

【0038】
第2実施形態に係る遠心抽出器1では、洗浄液供給管5から供給される洗浄液は、洗浄液供給管5→ロータリージョイント7→軸部流路11→ロータ部流路12→上段側のノズル20→延長棹部流路16→中段側のノズル20の順の流路で、2つのノズル20から洗浄液を噴射することができるようになっている。

【0039】
このような第2実施形態によっても、先の実施形態と同様の効果を享受することができる。

【0040】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図5は本発明の第3実施形態に係る遠心抽出器1の模式的断面図であり、遠心抽出器1の洗浄機能を説明する図である。

【0041】
第2実施形態に係る遠心抽出器1では、延長棹15の延長棹部流路16と連通するノズル20は1つだけであったが、第3実施形態に係る遠心抽出器1では、延長棹15の延長棹部流路16と連通するノズル20を複数設けている。

【0042】
第3実施形態に係る遠心抽出器1では、ロータ9の鉛直方向にわたって、計4つのノズル20が配され、これらにより、ロータ9の内面側に堆積したスラッジSを洗浄することができるようになっている。

【0043】
このような第3実施形態によっても、先の実施形態と同様の効果を享受することができる。

【0044】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図6は本発明の第4実施形態に係る遠心抽出器1の模式的断面図であり、遠心抽出器1の洗浄機能を説明する図である。

【0045】
第4実施形態に係る遠心抽出器1は、ロータ部流路12と連通するノズル20は設けず、延長棹部流路16と連通するノズル20を設けるようにしたものである。したがって、第4実施形態に係る遠心抽出器1では、延長棹15の下端側に設けた1つのノズル20によって、ロータ9の内面側に堆積したスラッジSを洗浄する。

【0046】
このような第4実施形態によっても、先の実施形態と同様の効果を享受することができる。

【0047】
次に、従来の遠心抽出器1と、実施形態1乃至実施形態4の遠心抽出器1との比較検討結果について説明する。
●遠心抽出器1の試験装置構成について
比較検討において、いずれの遠心抽出器1としても、ロータ内径φ80mmのものを用い、従来の遠心抽出器1と、実施形態1乃至実施形態4の遠心抽出器1の5種類の試験装置を製作した。ノズル20からの洗浄液の吐出圧力は、基本的には0.3 MPa程度とした。
●供給液について
比較検討における試験液の組成等、基本的な条件は以下の通りとした。
a)堆積運転時供給液
堆積運転には、模擬スラッジSとしてアルミナ(メディアン径0.73 μm)を15 g/Lとした上で、分散剤として、カルボン酸型高分子界面活性剤(ポイズ521、花王製)を重量割合5%で純水中に加えた。
b)洗浄運転時供給液
洗浄運転においては、洗浄液として純水を用いた。
●スラッジ堆積処理について
スラッジ洗浄試験の前準備として、アルミナを含む供給液を遠心抽出器1で処理し、ロータ9内壁にスラッジSの堆積層を形成させた。スラッジSの初期堆積率は、ロータ内径φ80 mmの遠心抽出器で処理流量が85 %程度まで低下するスラッジ堆積率30 %を基本とした。ここでスラッジ堆積率はロータ9内の最大堆積量に対する割合として定義される。ロータ9の回転数及び供給液の流量は、限界粒子径が0.72 μmとなる3500 min-1、44 L/hとした。
●洗浄運転について
洗浄運転は洗浄効果が確認されている『滞留法』を一連の洗浄操作に組み入れた。図7は滞留法の概略を説明する図である。具体的には、図7に示すように、ハウジング10内に洗浄液を一定量供給し、内壁に掛かる遠心力を、スラッジの再堆積が生じない一定の値(1G:150 min-1)として1時間の洗浄運転を行った。

【0048】
洗浄液の供給方法は、比較のため実施した滞留法のみの条件を除き、洗浄ノズルを使用する条件ではいずれもノズル20から洗浄液をロータ9内に供給した。

【0049】
洗浄液の回収方法は、これまでに最も洗浄効果の現れているハウジング横側の排出ドレイン(不図示)を用いる「水平抜出方式」を採用した。
●手順について
ア) 試験装置
模擬スラッジ(アルミナ)を15 g/Lの濃度で純水に混濁させて供給液を調製した。また、凝集防止のため分散剤をアルミナ重量に対して5%の割合で添加した。試験開始前に供給液の濁度測定と粒度分布測定を行い、所定の濃度と粒度分布に相当することを確認した。
イ) スラッジ堆積処理
3500 min-1でロータ9を回転させた上で、上記供給液を1時間供給し、30 %の初期堆積率に相当する量のスラッジをロータ9内に堆積させた。スラッジ堆積処理では、約15分間隔で単位時間当たりの排出液量を測定し、目標流量から外れた場合にはポンプ出力を調整して所定の流量(=44 L/h)とした。
ウ) 洗浄運転
各ノズル20(滞留法のみ(従来例)の場合は水相供給管52)より、洗浄液をオーバーフローラインまで供給した後、ロータ回転数150 min-1にて滞留法による洗浄操作を1時間実施した。洗浄液供給時の流量は滞留法のみの場合、堆積運転時と同様の44 L/hとした。各ノズル20を用いた試験では、それぞれ0.3 MPaの吐出圧で洗浄液を供給した。
エ) 抜き出し
上記ウ)にて得られた洗浄液は、いずれも水平抜出方式により回収した。
●試験データの評価について
図8は試験データの評価法の概略を説明する図である。上記の手順にて回収した洗浄液中のスラッジに加えて、(1)ロータ内、(2)ロータ上部、(3)ボトム内からそれぞれ残留したスラッジを回収した。それぞれスラッジを回収した箇所を図8に示す。回収したスラッジ濃度と液量から液中のスラッジ含有量を求め、その合計量から洗浄率及び残留率を求めた。洗浄率については洗浄液中に含まれるスラッジの割合とし、その他(1)ロータ内、(2)ロータ上部、(3)ボトム内については残留率として評価した。
● 結果と検討
試験結果を図9に示す。第1実施形態に関してはロータ上部のみを狙った構造であることから、ノズル20使用によるロータ内の残留率低下には直接寄与しないが、これが生み出す二次的な洗浄液の流れによってロータ内の堆積スラッジが洗浄され、ロータ内の残留率の低下(洗浄率の上昇)に繋がっていると考えられる
第2実施形態、及び第3実施形態に関しては、第1実施形態よりもノズル20の吹出口が多い構造であるが、洗浄率自体は第1実施形態と同程度であった。ただし、第1実施形態に比べて第2実施形態ではボトム部の残留率が若干低下し、第3実施形態ではボトム部の残留率が増加した。なお、第3実施形態に関しては、ロータ上部の残留率が増加しているが、これは第3実施形態のノズル吹出口が多くなるために、吐出圧の上昇には洗浄液流量の増加が必要であり、結果として洗浄液の供給時間が短くなったためと考えられる。

【0050】
第1実施形態と第4実施形態の洗浄性能を比較すると、第1実施形態は従来例での洗浄率よりも20%向上したものの、第4実施形態ではある程度の効果しか得ることはできなかった。

【0051】
なお、ロータ9内のノズル20がロータとともに回転する条件では、ロータ回転の有無による洗浄性能の向上は認められなかった。さらには、吐出圧の変更も確認したが、一定(0.1 MPa以上)の吐出圧であれば洗浄効果は同様であった。このように、ノズル構造の違いによる洗浄効果の向上が認められないことから、第1実施形態をベースとした構造に関しては、メンテナンス等を考慮し、よりシンプルな構造を有する第1実施形態が最有望であると考えられる。

【0052】
以上、本発明に係る遠心抽出器は、回転軸芯に設けられる軸部流路と、ロータ内に設けられ、軸部流路と連通するロータ部流路と、ロータ部流路と連通するノズルと、を有しており、このような本発明に係る遠心抽出器によれば、スラッジの洗浄に用いる洗浄液の量を抑制することができるようになると共に、スラッジの洗浄時間も低減することが可能となる。

【0053】
また、本発明に係る遠心抽出器においては、軸部流路やロータ部流路などの洗浄液の流路は、ノズルより鉛直上方に設けられた構造となっているために、処理液が前記流路に進入していく確率が非常に低いために、前記流路の耐久性が確保されると共に、前記流路の維持・管理が容易となる。
【符号の説明】
【0054】
1・・・遠心抽出器
5・・・洗浄液供給管
7・・・ロータリージョイント
9・・・ロータ
10・・・ハウジング
11・・・軸部流路
12・・・ロータ部流路
15・・・延長棹
16・・・延長棹部流路
20・・・ノズル
21・・・第1ギア
22・・・第2ギア
25・・・モータ軸
30・・・モータ
35・・・回転軸
40・・・軸受け部
45・・・ベアリング
51・・・有機相供給管
52・・・水相供給管
55・・・混合槽
57・・・流入孔
60・・・水相流出孔
63・・・水相流出路
65・・・水相排出管
72・・・分離孔
74・・・分離流路
80・・・有機相流出孔
83・・・有機相流出路
85・・・有機相排出管
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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