特開昭63-248701(JP,A) 特表2012-512127(JP,A) CHEN, Y. et al.,International Journal of Hydrogen Energy,NL,2010年,Vol.35,pp.445-451 ZHANG, Y. et al.,Energy & Fuels,2008年,Vol.22,pp.1227-1232 Energy Conversion and Management,NL,2014年 5月22日,Vol.84,pp.664-670
【技術分野】 【0001】 本発明は、ヨウ化水素の分解反応における反応を促進するヨウ化水素分解触媒、及びこのようなヨウ化水素分解触媒を用いた水素製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 水を熱分解することによって水素を製造する方法として、IS(Iodine Sulfur)法が知られている(特許文献1参照)。IS法は、以下の3つの工程から構成されている。 I ブンゼン反応工程 ヨウ素、二酸化硫黄および水から硫酸水溶液およびヨウ化水素水溶液を生成する。 II ヨウ化水素濃縮分解工程 ブンゼン反応工程によって得られたヨウ化水素水溶液を濃縮した後に、ヨウ化水素を分解し、製品としての水素とブンゼン反応工程へ供給するヨウ素とを得る。 III 硫酸濃縮分解工程 ブンゼン反応装置によって得られた硫酸水溶液を濃縮した後に、硫酸を分解し、酸素とブンゼン反応工程へ供給する二酸化硫黄とを得る。この工程で得られる二酸化硫黄は、硫酸の分解により生成する三酸化硫黄をさらに分解することにより得られる。 【0003】 上記I~IIIの3つの工程はそれぞれが接続され、閉サイクルとされている。 【0004】 ブンゼン反応は発熱反応であるが、ヨウ化水素濃縮分解工程におけるヨウ化水素の分解反応、硫酸濃縮分解工程における硫酸の分解反応および硫酸の分解によって生成した三酸化硫黄の分解反応は吸熱反応とされる。したがって、IS法を実現する場合には、ヨウ化水素濃縮分解工程および硫酸濃縮分解工程に熱エネルギーを投入する。
【特許文献1】特開2004-107115号公報 【非特許文献1】P. Favuzza, C. Felici, L. Nardi, P. Tarquini, A. Tito, "Kinetics of hydrogen iodide decomposition over activated carbon catalysts in pellets",Applied Catalysis B: Environmental 105 (2011) 30-40 【非特許文献2】Xiangdong Lin, Yanwei Zhang, Zhihua Wang, Rui Wang, Junhu Zhou, Kefa Cen, "Hydrogen production by HI decomposition over nickel-ceria-zirconia catalysts via the sulfur-iodine thermochemical water-splitting cycle", Energy Conversion and Management 84 (2014) 664-670 【非特許文献3】Laijun Wang, Songzhi Hu, Daocai Li, Qi Han, Ping Zhang, Songzhe Chen, Jingming Xu, "Effects of the second metals on the active carbon supported Pt catalysts for HI decomposition in the iodine-sulfur cycle", International J. Hydrogen Energy 39 (2014) 14161 -14165 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 IS法においては、水素を生成するヨウ化水素の分解反応と、酸素を生成する三酸化硫黄分解反応はいずれも化学平衡により制約を受ける。特に、図7に示すようにヨウ化水素の分解反応では化学平衡の転化率が小さいため、プロセス内のHI、I2の循環量が多く、水素を製造する機器が大型化する。 【0006】 ヨウ化水素の分解反応を促進する目的で使用する触媒には、Ce系酸化物、Ni系触媒及び活性炭が主に提案されてきた(例えば、非特許文献1乃至非特許文献3など)が、Ce系酸化物及びNi系触媒の活性は必ずしも高くないため、これらの触媒のHI転化率が平衡転化率より低く、問題であった。 【0007】 また、ヨウ化水素の分解触媒として活性炭のみを用いた場合、生成したI2が触媒に吸着することで、触媒床の目詰まりが生じ易く、失活しやすいので、長期的な連続反応を行うことができず、定期的に再生しなければならない、という問題もあった。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記のような問題点を解決するために、本発明に係るヨウ化水素分解触媒は、ヨウ化水素をヨウ素と水素に分解する反応を促進するヨウ化水素分解触媒であって、金属または金属カチオン(以下、金属Mと略記)が添加された酸化セリウムと、白金とを担持した多孔質物質から構成され、前記金属MがCu、Tb、Pr、Fe、Y、La、 Ni、Mnからなる群から選択される少なくとも一種の金属又は複数の金属の組み合わせからなることを特徴とする。