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明細書 :プロピレン製造方法及びプロピレン製造装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-160165 (P2017-160165A)
公開日 平成29年9月14日(2017.9.14)
発明の名称または考案の名称 プロピレン製造方法及びプロピレン製造装置
国際特許分類 C07C   1/207       (2006.01)
C07C  11/06        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 1/207
C07C 11/06
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2016-046806 (P2016-046806)
出願日 平成28年3月10日(2016.3.10)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 発行者名:化学工学会 粒子流体プロセス部会 流動層分科会、刊行物名:第21回流動化・粒子プロセッシングシンポジウム 第10回反応装置・プロセスシンポジウム講演論文集 第92~95頁、発行年月日:平成27年12月10日 発行者名:化学工学会 粒子流体プロセス部会 流動層分科会、刊行物名:第21回流動化・粒子プロセッシングシンポジウム 第10回反応装置・プロセスシンポジウム講演論文集に付属のCD-ROM FB21-Proceedings.pdfの第104~107頁、発行年月日:平成27年12月10日 主催者名:化学工学会 粒子・流体プロセス部会(流動層分科会)、集会名:第21回流動化・粒子プロセッシングシンポジウム 第10回反応装置・プロセスシンポジウム、開催日:平成27年12月11日
発明者または考案者 【氏名】筒井 俊雄
【氏名】五島 崇
【氏名】磯田 悠美
出願人 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100168114、【弁理士】、【氏名又は名称】山中 生太
【識別番号】100133592、【弁理士】、【氏名又は名称】山口 浩一
【識別番号】100162259、【弁理士】、【氏名又は名称】末富 孝典
審査請求 未請求
テーマコード 4H006
4H039
Fターム 4H006AA02
4H006AA04
4H006AC26
4H006BA71
4H006BA85
4H006BC10
4H006BC19
4H006BD84
4H006DA12
4H006DA25
4H006DA46
4H039CA22
4H039CG10
4H039CG30
要約 【課題】より実用性の高いプロピレン製造方法及びプロピレン製造装置を提供する。
【解決手段】プロピレン製造方法は、Si/Al原子比が140を超えるアルミノシリケートを触媒として酪酸をプロピレンに転換する転換ステップを含む。前記アルミノシリケートの細孔の大きさが、8員環より大きく12員環より小さいこととしてもよい。前記アルミノシリケートは、構造コードがMFIのZSM-5であることとしてもよい。前記アルミノシリケートは、Si/Al原子比が500以上1100以下のZSM-5であることとしてもよい。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
Si/Al原子比が140を超えるアルミノシリケートを触媒として酪酸をプロピレンに転換する転換ステップを含む、プロピレン製造方法。
【請求項2】
前記アルミノシリケートの細孔の大きさが、
8員環より大きく12員環より小さい、
請求項1に記載のプロピレン製造方法。
【請求項3】
前記アルミノシリケートは、
構造コードがMFIのZSM-5である、
請求項1又は2に記載のプロピレン製造方法。
【請求項4】
前記アルミノシリケートは、
Si/Al原子比が500以上1100以下のZSM-5である、
請求項1から3のいずれか一項に記載のプロピレン製造方法。
【請求項5】
前記転換ステップにおける前記アルミノシリケートと酪酸との反応温度は、
450℃以上600℃未満である、
請求項1から4のいずれか一項に記載のプロピレン製造方法。
【請求項6】
前記転換ステップにおける前記アルミノシリケートと酪酸との接触時間は、
0.5秒以上1.5秒以下である、
請求項1から5のいずれか一項に記載のプロピレン製造方法。
【請求項7】
Si/Al原子比が140を超えるアルミノシリケートを担持する反応器と、
前記反応器に酪酸を供給する供給部と、
前記反応器における前記アルミノシリケートと前記酪酸との反応温度を制御する温度制御部と、
を備えるプロピレン製造装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレン製造方法及びプロピレン製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アジア諸国を中心とした急速な経済発展を背景に、エチレン、プロピレン及びブテン等の低級オレフィン並びにベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素等の基礎化学原料の需要が高まっている。基礎化学原料として重要な低級オレフィンは、ナフサを熱分解することで製造されてきた。
【0003】
ナフサの原料である原油の供給力は相対的に低下しつつあるうえ、大気中の二酸化炭素削減の世界的動向から、原油に代わる原料からの低級オレフィンの製造方法が模索されている。さらに、近年では、エチレンの製造方法として天然ガス又はシェールガスに含まれるエタンを熱分解する方法が主流になってきている。エタンの熱分解では、プロピレン及びブテンが生成しないため、特に需要の大きいプロピレンの原油に依存しない新たな製造方法が求められている。
【0004】
非特許文献1には、酪酸(ブタン酸ともいう)を原料とした各種ゼオライトを触媒とする転化反応によって、プロピレンが得られることが開示されている。酪酸はサトウキビからの製糖における副産物である廃糖蜜から得ることもできる。このため、酪酸の転化反応によるプロピレンの製造で、再生可能資源であるバイオマスを有効に利用できる。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】Keisuke Ikeda、外5名、「Investigation on the conversion of butyric acid as an intermediate from biomass into propylene with zeolite」、2014年、International Journal of Biomass and Renewables、3(1)、p.15-18
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1では、リンを含むシリコアルミノフォスフェート(SAPO)-11をゼオライトとして使用した場合に、プロピレン収率を最も収率よく得られることが示されている。しかし、SAPO-11は、触媒製造コストが高いことに加え、反応に伴う触媒劣化が早いため、実用性が高くないといった不都合がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、より実用性の高いプロピレン製造方法及びプロピレン製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係るプロピレン製造方法は、
Si/Al原子比が140を超えるアルミノシリケートを触媒として酪酸をプロピレンに転換する転換ステップを含む。
【0009】
この場合、前記アルミノシリケートの細孔の大きさが、
8員環より大きく12員環より小さい、
こととしてもよい。
【0010】
また、前記アルミノシリケートは、
構造コードがMFIのZSM-5である、
こととしてもよい。
【0011】
また、前記アルミノシリケートは、
Si/Al原子比が500以上1100以下のZSM-5である、
こととしてもよい。
【0012】
また、前記転換ステップにおける前記アルミノシリケートと酪酸との反応温度は、
450℃以上600℃未満である、
こととしてもよい。
【0013】
また、前記転換ステップにおける前記アルミノシリケートと酪酸との接触時間は、
0.5秒以上1.5秒以下である、
こととしてもよい。
【0014】
本発明の第2の観点に係るプロピレン製造装置は、
Si/Al原子比が140を超えるアルミノシリケートを担持する反応器と、
前記反応器に酪酸を供給する供給部と、
前記反応器における前記アルミノシリケートと前記酪酸との反応温度を制御する温度制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、より実用性の高いプロピレン製造方法及びプロピレン製造装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態に係るプロピレン製造装置の構成を示す図である。
【図2】実施例に係る触媒反応装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施の形態および図面によって限定されるものではない。

【0018】
(実施の形態)
まず、実施の形態について説明する。本実施の形態に係るプロピレン製造方法は、アルミノシリケートを触媒として酪酸をプロピレンに転換する転換ステップを含む。

【0019】
転換ステップで用いる触媒であるアルミノシリケートとしては、Si/Al原子比が140を超えるアルミノシリケートが好ましい。アルミノシリケートのSi/Al原子比は、140を超えていれば特に限定されないが、好ましくは200以上1500以下、400以上1300以下、600以上1200以下である。より好ましくは、アルミノシリケートのSi/Al原子比は、650以上1100以下、さらに好ましくは700以上1000以下である。好適には、アルミノシリケートのSi/Al原子比は、750又は1000である。転換ステップで用いるアルミノシリケートとして、具体的には、構造コードがMFIのZSM-5が挙げられる。好ましくは、アルミノシリケートは、Si/Al原子比が500以上1100以下のZSM-5である。

【0020】
また、転換ステップで用いるアルミノシリケートは、h-ピーク酸量が0.105mmol/g未満であってもよい。好ましくは、アルミノシリケートのh-ピーク酸量は、0.001mmol/g以上0.105mmol/g未満、0.003mmol/g以上0.1mmol/g未満、0.005mmol/g以上0.09mmol/g未満、0.005mmol/g以上0.05mmol/g未満、又は0.005mmol/g以上0.02mmol/g未満である。アルミノシリケートのh-ピーク酸量は、好適には、0.005mmol/g以上0.015mmol/g未満、特に好適には、0.006mmol/g~0.014mmol/gである。

【0021】
アルミノシリケートのh-ピーク酸量は、公知の方法で測定できる。アルミノシリケートのh-ピーク酸量を測定する方法としては、例えば、昇温離脱法(Temperature-Programmed Desorption、以下「TPD」ともいう)が挙げられる。TPDにおけるプローブ塩基としてアンモニアを用いるNH-TPDでは、アンモニアをアルミノシリケートに吸着させ、温度を連続的に上昇させることによって脱離するアンモニアの量及び脱離温度を測定すればよい。例えば、NH-TPDで得られたTPD曲線をガウス分布により2つのピークに分け、NHの脱離温度が高いピークをh-ピーク酸量として測定できる。

【0022】
好ましくは、アルミノシリケートの細孔(主要細孔)の大きさが、8員環より大きく12員環より小さい。アルミノシリケートは、一般にケイ素(Si)またはアルミニウム(Al)のいずれかである原子Mに4つの酸素が配位する四面体が連結した骨格構造で特徴づけられる結晶物質である。アルミノシリケートの構造は、特定の大きさの分子を内部に包接することができる空間である細孔を有している。この細孔の入口は原子Mと酸素原子とが交互に結合した環を形成しており、その環の酸素原子数がN個であるときN員環と呼ぶ。複数の細孔径をもつアルミノシリケートの場合、その中で最も大きな径を持つ細孔を代表の環構造とする。例えば、アルミノシリケートの細孔の構造が10員環であるZSM-5の場合、細孔入口の大きさは、5.1~5.5Å又は5.3~5.6Åである。

【0023】
転換ステップにおけるアルミノシリケートと酪酸との反応温度は、酪酸の転化反応が進行する温度であれば特に限定されない。反応温度は、例えば、400℃以上700℃以下、好ましくは450℃以上600℃未満である。反応温度は、好適には、500℃である。

【0024】
転換ステップにおけるアルミノシリケートと酪酸との接触時間は、使用するアルミノシリケート及び反応温度に応じて、原料転化率が100%になる接触時間に設定するのが好ましい。反応温度を500℃にした場合、接触時間は、例えば、0.1秒以上1.5秒以下、好ましくは0.5秒以上1.5秒以下、特に好ましくは、0.7秒~1.0秒以下である。

【0025】
次に、本実施の形態に係るプロピレンの製造方法に好適なプロピレン製造装置の一例を説明する。図1は、プロピレン製造装置100の機能ブロックを示す。プロピレン製造装置100は、反応器1と、供給部2と、電気炉3と、冷却トラップ4と、気体容器5と、を備える。

【0026】
反応器1は、Si/Al原子比が140を超えるアルミノシリケートを担持する。例えば、反応器1は、アルミノシリケートが充填された管である。アルミノシリケートを充填し、管の両端の開口部からシリカウール等を充填することで、アルミノシリケートを管内に固定してもよい。管の内径及び長さは、反応規模に応じて任意に調整すればよい。

【0027】
供給部2は、フィードポンプ21と、キャリアガスボンベ22と、を備える。フィードポンプ21は、内部に酪酸溶液を貯留する。酪酸溶液の濃度は特に限定されないが、例えば30~70重量%、40~60重量%、又は45~55重量%である。キャリアガスボンベ22は、キャリアガスとして、例えば窒素ガスを保持する。フィードポンプ21及びキャリアガスボンベ22は、反応器1に管を介して接続されている。酪酸溶液は、フィードポンプ21によって管内を輸送され、キャリアガスボンベ22から供給される窒素ガスと混合される。窒素ガスと混合された酪酸は、反応器1に供給される。

【0028】
温度制御部としての電気炉3は、反応器1におけるアルミノシリケートと酪酸との反応温度を制御する。例えば、電気炉3は、反応器1の外周を包囲することで、反応器1内の温度を制御する。反応器1内の温度を一定に保つため、電気炉3の頂部と底部に、管の外周面と電気炉3との間の隙間に断熱材を配設してもよい。

【0029】
反応器1の出口から排出された未反応物及び生成物等は、冷却トラップ4に導入される。冷却トラップ4は、例えば、水槽の水に浸かった2個の容器内で未反応物及び生成物等を冷却して回収する。

【0030】
冷却トラップ4を通過した生成物を含む気体は、気体容器5に集められる。気体容器5に集められた気体には生成物としてプロピレンが含まれる。気体中のプロピレンは、公知の方法で分離精製できる。

【0031】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るプロピレン製造方法によれば、高い選択率で酪酸からプロピレンを製造することができる。アルミノシリケートは、SAPO-11よりも安価で、工業触媒として広く利用されているため、本製造方法の実用性は高い。

【0032】
また、工業規模での触媒反応は、多量のコークが生成するため流動層反応器が用いられることが多い。しかし、本製造方法によれば、下記実施例に示すようにコークの生成が抑制されるため、固定層反応器でも製造が可能である。

【0033】
また、本製造方法によれば、酪酸からプロピレンを製造できる。酪酸は廃糖蜜から得ることができるため、原油資源を消費することなくプロピレンを製造でき、さらには、製造したプロピレンを用いて高品質ガソリン又は化成品を製造することができる。

【0034】
なお、プロピレン製造装置100において、供給部2は、反応器1におけるアルミノシリケートと酪酸との接触時間を制御する接触時間制御部を備えてもよい。例えば、接触時間制御部は、キャリアガスの供給速度を制御することで接触時間を制御できる。この際、接触時間制御部は、キャリアガスの供給速度を測定し、供給速度を制御するようにしてもよい。接触時間制御部が、原料転化率が100%になるように接触時間を制御することで、さらに効率よくプロピレンを製造できる。
【実施例】
【0035】
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0036】
図2は、本実施例で用いた固定層型触媒反応装置を示す。内径8mm、長さ500mmのSUS316製の配管を反応器とした。反応器外周に、任意の温度に設定できる電気炉を配置した。所定量の触媒を反応器内に充填し、シリカウールによって触媒を反応器内に固定した。反応器内の温度を一定に保つため、電気炉の頂部と底部における反応器と電気炉との間の隙間に断熱材を設置した。
【実施例】
【0037】
反応器の上端に酪酸水溶液をシリンジポンプで供給し、キャリアガスとしての窒素ガスと混合した。フィードメーターで流速を測定することで触媒への原料供給の速度を調整した。反応器の出口を、水槽内の水に浸かった2個の冷却トラップに接続した。冷却トラップ各々によって、液状生成物及び未転化の酪酸を回収した。ガス生成物は、ガスバッグに回収した。
【実施例】
【0038】
回収された液状生成物はガスクロマトグラフィー-水素炎イオン化検出器(Gas Chromatography-Flame Ionization Detector、GC-FID)及びガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)で分析した。なお、GC-FIDのガスクロマトグラフとしてヒューレットパッカード6890を使用した。GC-MSのガスクロマトグラフとしてアジレント・テクノロジー7890Aを使用した。
【実施例】
【0039】
GC-FIDの分析結果に基づいて、以下のように液状生成物の各成分の収率を求めた。含酸素化合物のピークをトルエンのピークと比較した値を含酸素物補正値とし、次の式でピーク面積からエリア補正値を求めた。
【実施例】
【0040】
ピーク面積[Area]×含酸素物補正値=エリア補正値[Area] (式1)
【実施例】
【0041】
続いて、エリア補正値と内部標準としての2-プロパノールのピーク面積とから内部標準との比を求めた。
【実施例】
【0042】
エリア補正値[Area]/内部標準のピーク面積[Area]=内部標準との比 (式2)
【実施例】
【0043】
次の式で内部標準との比及び内部標準投入量から生成物の量を求めた。
【実施例】
【0044】
内部標準との比×内部標準投入量[Cmol]=生成物[Cmol] (式3)
【実施例】
【0045】
さらに、生成物の量と原料供給量とから生成物の収率を求めた。
【実施例】
【0046】
生成物[Cmol]/原料供給量[Cmol]×100=生成物[C%] (式4)
【実施例】
【0047】
なお、液状生成物の各成分はGC/MSで同定した。
【実施例】
【0048】
一方、コールドトラップにより回収されるガス状生成物はガスクロマトグラフィー-熱伝導度検出器(GC-Thermal Conductivity Detector、GC-TCD)及びGC-FIDで分析した。なお、GC-TCDのガスクロマトグラフとしてGC-8A(島津製作所製)を使用した。触媒に付着したコークの炭素量は全有機体炭素計TOC-V(島津製作所製)で分析した。
【実施例】
【0049】
GC-TCD及びGC-FIDの分析結果に基づいて、以下のようにガス生成物の各成分の収率を求めた。標準ガスにて分析した値をファクターとし、次の式でピーク面積から生成物のモル%を求めた。
【実施例】
【0050】
ピーク面積[Area]×ファクター[mol%/Area]=生成物[mol%] (式5)
【実施例】
【0051】
求めた生成物のモル%と回収したガスの体積とに基づいて、次の式で生成物の物質量を求めた。
【実施例】
【0052】
生成物[mol%]×回収ガス体積[ml]/22400[ml]×273.15[K]/(273.15+分析時外気温)[K]/100=生成物[mol] (式6)
【実施例】
【0053】
次に、次式で物質量を生成物の炭素量に換算した。
【実施例】
【0054】
生成物[mol]×各生成物の炭素数=生成物[Cmol] (式7)
【実施例】
【0055】
最後に、生成物の炭素量と原料供給量とから生成物の収率を求めた。
【実施例】
【0056】
生成物[Cmol]/原料供給量[Cmol]×100=生成物[C%] (式8)
【実施例】
【0057】
以下、上述の固定層型触媒反応装置及び分析方法を用いて検討した。
【実施例】
【0058】
(Si/Al原子比がプロピレン収率に及ぼす影響の検討)
触媒としてSi/Al原子比が異なるZSM-5を用いた実施例1~5及びSAPO-11を用いた比較例における反応条件を表1に示す。
【実施例】
【0059】
【表1】
JP2017160165A_000003t.gif
【実施例】
【0060】
表2は、実施例1~5及び比較例1における各生成物の収率及び転化率を示す。Si/Al原子比が750のZSM-5を用いた実施例4及びSi/Al原子比が1000のZSM-5を用いた実施例5のプロピレンの収率が、比較例1と同程度に高いことが示された。実施例4、5は、比較例1よりも触媒に付着したコークが少なかった。
【実施例】
【0061】
【表2】
JP2017160165A_000004t.gif
【実施例】
【0062】
(主要細孔の大きさがプロピレン収率に及ぼす影響の検討)
次に、触媒の主要細孔の大きさがプロピレンの収率に及ぼす影響を調べた。主要細孔の構造が10員環であるZSM-5を触媒として用いた実施例4と比較するため、主要細孔の構造が12員環であるBetaを触媒として用いた実施例6及び8員環であるSAPO-34を触媒として用いた比較例2を表3に示す条件で行った。
【実施例】
【0063】
【表3】
JP2017160165A_000005t.gif
【実施例】
【0064】
表4は、実施例4、6及び比較例2における各生成物の収率及び転化率を示す。主要細孔の構造が10員環であるZSM-5を触媒として用いた実施例4におけるプロピレンの収率は、主要細孔の構造が12員環である実施例6及び主要細孔の構造が8員環である比較例2よりも、顕著に高かった。
【実施例】
【0065】
【表4】
JP2017160165A_000006t.gif
【実施例】
【0066】
(反応温度がプロピレン収率に及ぼす影響の検討)
ZSM-5を触媒として用いた場合の反応温度がプロピレンの収率に及ぼす影響を調べた。反応条件を表5に示す。実施例4-1、4-2及び4-3の反応温度をそれぞれ400℃、450℃及び500℃とした。
【実施例】
【0067】
【表5】
JP2017160165A_000007t.gif
【実施例】
【0068】
実施例4-1、4-2及び4-3における各生成物の収率及び転化率を表6に示す。反応温度が450℃の実施例4-2及び反応温度が500℃の実施例4-3が、反応温度400℃の実施例4-1よりもプロピレンの収率が高いことが示された。
【実施例】
【0069】
【表6】
JP2017160165A_000008t.gif
【実施例】
【0070】
(接触時間がプロピレン収率に及ぼす影響の検討)
ZSM-5を触媒として用いた場合の触媒と酪酸との接触時間がプロピレンの収率に及ぼす影響を調べた。接触時間を0.87秒とした実施例4-3との比較のために、実施例4-4及び4-5の接触時間をそれぞれ0.34秒及び1.20秒とした。詳細な反応条件を表7に示す。
【実施例】
【0071】
【表7】
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【実施例】
【0072】
実施例4-3、4-4及び4-5における各生成物の収率及び転化率を表8に示す。接触時間が0.87秒の実施例4-3及び接触時間が1.20秒の実施例4-5は、接触時間が0.34秒の実施例4-4よりもプロピレンの収率が高かった。
【実施例】
【0073】
【表8】
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【実施例】
【0074】
上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内およびそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、プロピレンの製造に好適である。
【符号の説明】
【0076】
1 反応器
2 供給部
3 電気炉
4 冷却トラップ
5 気体容器
21 フィードポンプ
22 キャリアガスボンベ
100 プロピレン製造装置
図面
【図1】
0
【図2】
1