TOP > 国内特許検索 > 簡易呈色分析方法及びそれに用いる分析具 > 明細書

明細書 :簡易呈色分析方法及びそれに用いる分析具

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-132787 (P2019-132787A)
公開日 令和元年8月8日(2019.8.8)
発明の名称または考案の名称 簡易呈色分析方法及びそれに用いる分析具
国際特許分類 G01N  31/02        (2006.01)
G01N  21/78        (2006.01)
B01J  20/10        (2006.01)
B01J  20/28        (2006.01)
FI G01N 31/02
G01N 21/78 Z
B01J 20/10 D
B01J 20/28 Z
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2018-016946 (P2018-016946)
出願日 平成30年2月2日(2018.2.2)
発明者または考案者 【氏名】倉光 英樹
【氏名】田口 茂
【氏名】岡崎 琢也
出願人 【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100114074、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 嘉一
審査請求 未請求
テーマコード 2G042
2G054
4G066
Fターム 2G042AA01
2G042BC07
2G042BC08
2G042BD08
2G042BE05
2G042CB03
2G042DA01
2G042FA11
2G042FA19
2G054AA02
2G054AB07
2G054BA04
2G054BB02
2G054BB08
2G054CA06
2G054CA10
2G054CA20
2G054CA30
2G054CD03
2G054CE02
2G054CE10
2G054EA04
2G054EA06
2G054FA06
2G054FB07
2G054GB01
2G054GB04
2G054GB05
2G054GE01
2G054GE05
2G054JA11
4G066AA22B
4G066AB13D
4G066AB21D
4G066BA09
4G066BA36
4G066BA38
4G066BA41
4G066CA10
4G066CA25
4G066CA27
4G066CA41
4G066CA46
4G066DA07
要約 【課題】有色成分を簡便に濃縮でき、少量の試料で高感度に測定できる簡易呈色分析方法の提供を目的とする。
【解決手段】分析の対象となる溶液に、発色剤と、沈降性又は浮上性の選択性吸着剤とを、同時に又は順次加えることを特徴とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
分析の対象となる溶液に、発色剤と、沈降性又は浮上性の選択性吸着剤とを、同時に又は順次加えることを特徴とする簡易呈色分析方法。
【請求項2】
前記選択性吸着剤は、微粒子からなることを特徴とする請求項1記載の簡易呈色分析方法。
【請求項3】
前記選択性吸着剤は、シリカゲルからなることを特徴とする請求項1又は2記載の簡易呈色分析方法。
【請求項4】
前記溶液に発色剤を加える際に、前処理又は/及び後処理するステップを有することを請求項1~3のいずれかに記載の簡易呈色分析方法。
【請求項5】
前記選択性吸着剤は、界面活性剤にて修飾されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の簡易呈色分析方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかの簡易呈色分析方法に用いるための分析具であって、
透視性及び可撓性を有する容器からなり、前記容器の内部は通液性の仕切壁にて複数の試料室に仕切られていることを特徴とする分析具。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、分析対象とする成分を試薬にて呈色させることで、その濃度を目視又は機器によって測定できる簡易分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶液中の目的成分の濃度を簡易的に目視等で測定する方法としては、目的成分と反応し発色する呈色試薬を試料に加え、その発色の色調変化の程度で分析する比色分析法が公知である。
しかし、目的成分の濃度が低い場合には発色する色調の変化が小さく、高感度で測定するのが困難である。
【0003】
そこで本出願人は、これまでにホルムアルデヒドを対象としたものであるが、呈色した試料水をメンブランフィルターを用いて濾過濃縮し、このメンブランフィルターに定着した色調に基づく測定方法を提案している(特許文献1)。
また特許文献2には、試料中のマンガンを疎水的なイオン会合体にし、これを濾過膜に化学的に吸着捕集することで低濃度のマンガンを現場で定量できる技術が開示されている。
【0004】
しかし、これらの測定方法は試薬にて発色させた有色成分をイオン会合体に変換するステップ、及びメンブランフィルター等で分離濃縮するステップ等が必要であった。
そこで、少量の試料であってもより簡単な操作で高感度に濃度測定できないか検討した結果、本発明に至った。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特許第4769940号公報
【特許文献2】特開2012-47714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、有色成分を簡便に濃縮でき、少量の試料で高感度に測定できる簡易呈色分析方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る簡易呈色分析方法は、分析の対象となる溶液に、発色剤と、沈降性又は浮上性の選択性吸着剤とを、同時に又は順次加えることを特徴とする。
ここで沈降性又は浮上性の選択性吸着剤とは、分析試料となる溶液に加えると、溶液よりも比重が大きく沈降する吸着剤又は溶液よりも比重が小さく、溶液の上部に浮上する吸着剤をいう。
このように試料の溶液に加えると沈降する吸着剤や浮上する吸着剤を用いると、呈色試薬により発色した目的成分が吸着剤に吸着濃縮された状態で沈降又は浮上するので、その吸着剤に定着した色調の濃淡変化が大きく表れ、目的成分の濃度測定を高感度に行うことができる。
【0008】
この場合に、発色剤による目的成分の発色と吸着剤による吸着濃縮が同時に行われてもよく、発色剤(呈色試薬)で目的成分を発色させた後に吸着剤に吸着させてもよい。
また、溶液に発色剤を加える前に中間生成物を生成させる等の前処理するステップや、発色後に吸着剤に吸着しやすいように後処理するステップを有してもよい。
【0009】
本発明において、選択性吸着剤は微粒子であるのが好ましい。
微粒子にすることで比表面積が増大し、吸着濃縮効果が向上する。
本発明に用いられる沈降性の吸着剤としては特に限定はないが、例えばシリカゲル等の微粒子が例として挙げられる。
また、イオン交換樹脂等の粒子でもよい。
浮上性の吸着剤としては、中空のビーズ等、浮上性の粒子を用いることができる。
【0010】
シリカゲルの微粒子は、各種粒径分布のものが市販されている。
粒度分布として、45~75μm,75~105μm,63~212μm,45~105μm等のものを用いることができる。
シリカゲルの微粒子は表面がマイナスの電荷を帯びているので、陽イオン性の有色成分を吸着するのに適している。
また、シリカゲルの表面を長鎖アルキル陽イオン等の界面活性剤で修飾すると、陰イオンや中性の有色成分を吸着させることもできる。
【0011】
本発明の濃度測定に用いる呈色分析用の容器(分析具)は、外部から色調の濃淡が識別できるものであれば制限がない。
発色や吸着等のステップが2段以上に分かれている場合には、本発明に係る簡易呈色分析方法に用いるための分析具であって、透視性及び可撓性を有する容器からなり、前記容器の内部は通液性の仕切壁にて複数の試料室に仕切られているものが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る簡易呈色分析方法を用いた目的成分の濃度測定にあっては、目的成分を発色させると同時又は発色後に吸着剤に吸着濃縮させ沈降又は浮上させることにより、吸着剤が集積し定着した色調の濃淡比較が容易となる。
これにより現地で少量の試料を用いて、簡便に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】呈色(発色)と吸着が同時進行し、シリカゲルが沈降する説明図である。
【図2】Fe2+イオンを呈色分析した例を示す。
【図3】シリカゲルの粒度分布S:45~75μm,S:63~212μmのものを用いたFe2+濃度と吸着量変化のグラフを示す。
【図4】分析試料中の腐食物質の影響を調査した結果を示す。
【図5】ホルムアルデヒドの濃度測定例を示す。
【図6】酵素法によりリン酸イオンの濃度を測定した例を示す。
【図7】シリカゲルの表面を陽イオン界面活性剤で修飾した場合の測定原理の説明図である。
【図8】シリカゲルの表面をCTAB(臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム)で修飾した例を示す。
【図9】CTAB修飾したシリカゲルを用いたNi2+イオンの分析例(中性分子又は陰イオン)を示す。
【図10】CTAB修飾したシリカゲルを用いたZn2+イオンの分析例(陰イオン錯体)を示す。
【図11】CTAB修飾したシリカゲルを用いたNi2+イオンの分析例(陰イオン錯体)を示す。
【図12】CTAB修飾したシリカゲルを用いたZn2+イオンの分析例(無電荷錯体)を示す。
【図13】CTAB修飾したシリカゲルを用いたMn2+イオンの分析例(陰イオン)を示す。
【図14】NOイオンの分析例(発色後の後処理)を示す。
【図15】大腸菌の検出例を示す。
【図16】シリカゲルを塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム[通称:Zephiramine(Zeph)]で修飾した例を示す。
【図17】Zeph修飾シリカゲルを用いたMn2+イオンの分析例を示す。
【図18】陰イオン交換樹脂を用いたNi2+イオンの分析例を示す。
【図19】一室からなる分析具の例を示す。
【図20】A,Bの二室からなる分析具の例を示す。
【図21】ホルムアルデヒドとMBTHとの反応の説明図である。
【図22】本発明に係る分析具を用いたホルムアルデヒドの測定例を示す。
【図23】浮上性の中空ガラス粒子を用いた例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る簡易呈色分析方法を用いた濃度測定法を、具体例を挙げて以下説明する。
図1に測定(分析)の原理を示す。
シリカゲルは多孔性のSiOであり、表面は[SiO]からなるマイナスの電荷を帯びている。
例えばFe2+イオンを含む水溶液にphen(フェナントロリン)を加えると、疎水性の有色フェナントロリン錯陽イオンが生成され、シリカゲルの表面に選択的に吸着捕集される。
これにより発色した錯体がシリカゲルに吸着されると同時に沈降するので、容器の底部に集積したシリカゲルの色調の濃淡を例えば、予めFe2+イオン濃度と対応させた標準色列表に照らし合せて濃度を読みとることができる。
その実施例を図2に示す。
Fe2+イオンの濃度が1ppm以下であっても、3分間以下の所要時間で測定できた。
この場合に、図19に示したような一室の吸い込み式の分析具を用いると現地での測定が容易になる。
分析具は透視性及び可撓性を有する。

【0015】
Fe2+イオンの濃度測定に対するシリカゲルの微粒子のサイズの影響を調査した結果を図3のグラフに示す。
図3のグラフ中、Sは粒度分布45~75μmのものであり、Sは同粒度分布63~212μmのものである。
いずれの場合もFe2+イオンの初期濃度に対する吸着量の変化は、ほぼ同じであった。

【0016】
次に、シリカゲルの吸着の選択性について調査した結果を図4に示す。
Fe(phen)2+錯体が0.5ppm含まれる水溶液に腐植物質を25ppm,100ppm加えると、錯体の色調が全く判別できなかったが、シリカゲルを加え、沈着させることで色調の判別が可能であり、(f)に示すように腐植物質はシリカゲルに全く吸着していなかった。
このことから、シリカゲルは、この有色錯体を選択的に吸着していることが確認できた。

【0017】
ホルムアルデヒドの分析例を図5に示す。
ホルムアルデヒドに3-メチル-2-ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)を加えると、図21に示すように中間生成物(アジン)を経由して、発色生成物が得られる。
この反応の流れを図21に示し、このような2段のステップによる分析に適した分析具の構造例を図20に示す。
透明なチューブ状の容器の内部に通液性を有する仕切壁(多孔板)を設けることで、A,Bの2つの試料室を有するようにした。
図20はFe2+の分析例であるが、図22に雨水中のホルムアルデヒドを分析した例を示す。
このような分析具は、複数の反応ステップを有する分析に好適である。

【0018】
図6に、PO3-イオンを酵素反応により得られた、4-アミノアンチピリン誘導体をシリカゲルに吸着させた例を示す。
この場合に、酵素反応に約5分間要したものの、シリカゲルへの吸着は速やかであり、0.16ppm以下のリン酸態リンの目視分析ができた。

【0019】
これまでは、シリカゲルに陽イオンを吸着させる例を示したが、陰イオンや中性分子を吸着及び沈降させる場合の原理を図7に示す。
シリカゲルの微粒子の表面を界面活性剤にて修飾すると、プラスの電荷の場やイオン対による中性の場を形成することができる。
例えば、図8にシリカゲルの表面にCTAB(臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム)を修飾合成する例を示す。
界面活性剤修飾シリカゲルは化学結合法よりも簡便に製作でき、特に有用である。
この、修飾シリカゲルCTAB(SiO)を用いて、Ni2+イオンを分析した例を図9に示す。
Ni2+イオンにPAR[4-(2-ピリジルアゾ)レソルシノール]を発色剤として加え、中性又は陰イオン性の錯体を生成させるとともに、CTAB(SiO)に吸着させた。
これにより、1ppm以下のNi2+イオンの分析が可能であった。
図10は、Zn2+に5-Br-PAPS{2-(5-ブロモ-2-ピリジルアゾ)-5-[N-n-プロピル-N-(3-スルホプロピル)アミノ]フェノールニナトリウム塩}を加え、陰イオン錯体を形成し、CTAB(SiO)に沈着させた例を示す。
図11は、Ni2+イオンを陰イオンに錯体にし、分析した例を示す。
図12は、Zn2+イオンにPAN[1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール]を加え、無電荷錯体にして分析した例を示す。
図13は、Mn2+イオンを酸化剤にて発色させることで分析した例を示す。
図14は、NOイオンの分析例を示す。
この場合に、酸性溶液で生成したアゾ色素は、シリカゲルに殆ど吸着されなかったが、pHを中性に調整することで吸着及び分析ができた。
図15は、大腸菌に対して酵素によってインジゴ系色素を形成させ、分析した例を示す。
このように、シリカゲルを界面活性剤で修飾することで、陰イオン,中性分子も分析できることが明らかになった。

【0020】
次に図16は、シリカゲルをZephiramineで表面修飾した例を示し、図17にMn2+イオンを分析した例を示す。
Zeph(SiO)もCTAB(SiO)と同様に選択吸着性を示した。

【0021】
図18は、陰イオン交換樹脂を用いてNi2+イオンを分析した例を示す。
このように、陰イオン交換樹脂の吸着性と沈降性を利用することでも分析に使用できることが明らかになった。

【0022】
次に図23に浮上性を有する中空ビーズとして中空のガラス粒子の表面をCTABで修飾した例を示す。
このように本発明は浮上性の吸着剤を用いてもよいことが明らかになった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22