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明細書 :AMPA受容体に特異的に結合する新規化合物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6425817号 (P6425817)
登録日 平成30年11月2日(2018.11.2)
発行日 平成30年11月21日(2018.11.21)
発明の名称または考案の名称 AMPA受容体に特異的に結合する新規化合物
国際特許分類 C07C 323/49        (2006.01)
C07C 319/20        (2006.01)
A61K  51/00        (2006.01)
C07B  59/00        (2006.01)
A61K 101/00        (2006.01)
FI C07C 323/49 CSP
C07C 319/20
A61K 51/00 200
C07B 59/00
A61K 101:00
請求項の数または発明の数 22
全頁数 41
出願番号 特願2017-527464 (P2017-527464)
出願日 平成28年7月5日(2016.7.5)
国際出願番号 PCT/JP2016/069896
国際公開番号 WO2017/006931
国際公開日 平成29年1月12日(2017.1.12)
優先権出願番号 2015135124
優先日 平成27年7月6日(2015.7.6)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成30年3月1日(2018.3.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505155528
【氏名又は名称】公立大学法人横浜市立大学
発明者または考案者 【氏名】高橋 琢哉
【氏名】宮崎 智之
【氏名】須原 哲也
【氏名】樋口 真人
【氏名】張 明栄
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100131705、【弁理士】、【氏名又は名称】新山 雄一
審査官 【審査官】三上 晶子
参考文献・文献 国際公開第96/025926(WO,A1)
Gao, M. et al.,Synthesis of carbon-11 and fluorine-18 labeled N-acetyl-1-aryl-6,7-dimethoxy-1,2,3,4-tetrahydroisoquinoline derivatives as new potential PET AMPA receptor ligands,Bioorg. Med. Chem. Lett.,2006年 4月15日,vol.16, no.8,p.2229-2233
Arstad, E. et al.,Closing in on the AMPA receptor: synthesis and evaluation of 2-acetyl-1-(4'-chlorophenyl)-6-methoxy-7-[11C]methoxy-1,2,3,4-tetrahydro-isoquinoline as a potential PET tracer,Bioorg. Med. Chem.,2006年 7月15日,vol.14, no.14,p.4712-4717
調査した分野 C07C 323/00 - 323/67
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物:
【化1】
JP0006425817B2_000045t.gif
(式中、
A及びZは、それぞれ独立に、CO、SO又はSOであり;
X及びYは、それぞれ独立に、S又はOであり;
、R及びRは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
は、アルキル、アルケニル、又はアルキニルであり;
は、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
nは、0~4の整数である。)。
【請求項2】
A及びZは、それぞれ独立に、CO又はSOである、請求項1記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
【請求項3】
AがSOであり、かつZがCOである、請求項1又は2記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
【請求項4】
XがSであり、かつYがOである、請求項1~3のいずれか一項記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
【請求項5】
がアルキルである、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
【請求項6】
がアルキル又はハロである、請求項1~5のいずれか一項記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
【請求項7】
及びRのうちの一方が水素であり、他方がアルキルである、請求項1~6のいずれか一項記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
【請求項8】
がハロである、請求項1~7のいずれか一項記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
【請求項9】
前記ハロがフルオロである、請求項8記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
【請求項10】
nが2である、請求項1~9のいずれか一項記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
【請求項11】
式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物:
【化2】
JP0006425817B2_000046t.gif
(式中、
A及びZは、それぞれ独立に、CO、SO又はSOであり;
X及びYは、それぞれ独立に、S又はOであり;
、R及びRは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
は、アルキル、アルケニル、又はアルキニルであり;
は、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
nは、0~4の整数であり;
1個又はそれ以上の原子が該原子の放射性同位体である)。
【請求項12】
前記放射性同位体が、11C又は18Fである、請求項11記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
【請求項13】
放射性同位体を含む基がRである、請求項12記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
【請求項14】
放射性同位体を含む基がRである、請求項12記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
【請求項15】
放射性同位体を含む基がR及びRの少なくとも一方である、請求項12記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
【請求項16】
生体内の脳内のα-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾール-プロピオン酸(AMPA)受容体をイメージングするために用いられる組成物であって、
式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物:
【化3】
JP0006425817B2_000047t.gif
(式中、
A及びZは、それぞれ独立に、CO、SO又はSOであり;
X及びYは、それぞれ独立に、S又はOであり;
、R、及びは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
は、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり;
は、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
nは、0~4の整数であり;
1個又はそれ以上の原子が該原子の放射性同位体である)を含む、組成物。
【請求項17】
分子イメージング用である、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
生体内の脳内のα-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾール-プロピオン酸(AMPA)受容体をイメージングするために用いられる組成物であって、
式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物:
【化4】
JP0006425817B2_000048t.gif
(式中、
A及びZは、それぞれ独立に、CO、SO又はSOであり;
X及びYは、それぞれ独立に、S又はOであり;
、R、及びは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
はアルキル、アルケニル又はアルキニルであり;
は、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
nは、0~4の整数である。)を含む、前記組成物。
【請求項19】
式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の製造方法であって:
【化5】
JP0006425817B2_000049t.gif
(式中、
A及びZは、それぞれ独立に、CO、SO又はSOであり;
X及びYは、それぞれ独立に、S又はOであり;
、R及びRは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
は、アルキル、アルケニル、又はアルキニルであり;
は、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
nは、0~4の整数である。);
式(II)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物:
【化6】
JP0006425817B2_000050t.gif
(式中、A、X、Y、Z、R、R、R、R、及びnは、上記で定義したものと同じである。)を、X-R(式中、Rは上記で定義したものと同じであり、Xはハロゲンである。)と反応させることを含む、前記製造方法。
【請求項20】
前記Rが、[11C]アルキルである、請求項19記載の製造方法。
【請求項21】
前記式(I)及び式(II)中のR及びRが、いずれも水素である、請求項19又は20記載の製造方法。
【請求項22】
生体内の脳内のα-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾール-5-プロピオン酸(AMPA)受容体のイメージング方法であって、
式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物:
【化7】
JP0006425817B2_000051t.gif
(式中、
A及びZは、それぞれ独立に、CO、SO又はSOであり;
X及びYは、それぞれ独立に、S又はOであり;
、R、及びは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
は、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり;
は、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
nは、0~4の整数であり;
1個又はそれ以上の原子が該原子の放射性同位体である)
を投与された被験体の生体内の脳から発せられる放射線を検出する工程を含む、前記方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、AMPA(α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾール-プロピオン酸)受容体に特異的に結合する新規化合物、その医薬として許容し得る塩、及びその溶媒和物、並びに、それらの化合物を含む組成物、それらの化合物の製造方法、及びそれらの化合物を製造するための中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
AMPA受容体は中神経系に広く分布し、学習、記憶、神経変性、及び細胞死などに関与することが知られている。近年、AMPA受容体を標的とした、精神・神経疾患の治療に関する研究が進められている(特許文献1~3)。AMPA受容体とこれらの疾患との関係を調査するためには、脳内におけるAMPA受容体の発現量及び分布を評価することが求められる。しかしながら、これらのAMPA受容体の発現量等を調査するために、現時点においては死後脳を用いなければならないこと、及び健常者との比較ができないことといった様々な問題があった。
【0003】
分子イメージング法、例えば、ポジトロン断層撮影法(PET)は、生体内の分子の挙動をインビボで可視化することができる方法である。生体内のAMPA受容体の挙動をインビボで可視化するために、これまでに、幾つかの分子プローブが合成されている(非特許文献1~3)。しかしながら、従来の分子プローブは、AMPA受容体への特異的結合が不十分であったり、プローブの脳移行性が低かったりする理由により、これらをAMPA受容体のインビボイメージングに使用することは困難であった。したがって、AMPA受容体に特異的に結合し、高い脳内集積を示す新たな化合物の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2012‐207021号公報
【特許文献2】特開2010‐202525号公報
【特許文献3】特表2006‐525292号公報<nplcit num="1"> <text>Gao M et al., Synthesis of carbon-11 and fluorine-18 labeled N-acetyl-1-aryl-6,7-dimethoxy-1,2,3,4-tetrahydroisoquinoline derivatives as new potential PET AMPA receptor ligands., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2006 Apr 15;16(8):2229-33.</text></nplcit><nplcit num="2"> <text>Langstrom B et al., Endogenous compounds labeled with radionuclides of short half-life-some perspectives., J. Labelled Comp. Radiopharm. 2013 Mar-Apr; 56(3-4): 251-62.</text></nplcit><nplcit num="3"> <text>Arstad E. et al., Closing in on the AMPA receptor: synthesis and evaluation of 2-acetyl-1-(4'-chlorophenyl)-6-methoxy-7-[11C]methoxy-1,2,3,4-tetrahydro- isoquinoline as a potential PET tracer., Bioorg. Med. Chem. 2006 Jul 15;14(14):4712-7.</text></nplcit>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、AMPA受容体に特異的に結合し、かつ脳移行性の高い新規化合物を提供することを目的とする。特に、本発明は、AMPA受容体をインビボでイメージングするための新規化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究の結果、AMPA受容体に特異的に結合することができる高い新規化合物を合成することに成功した。さらに、本発明者らは、結晶構造解析による2-[2,6-ジフルオロ-4-({2-[(フェニルスルホニル)アミノ]エチル}チオ)フェノキシ]アセトアミドとAMPA受容体との相互作用部位に関する知見(Biochemistry 2010年、第49巻、第2843-2850頁)を基に、化合物の両末端にスルホンアミド部位(-SON-)及びアミド基(-CON-)を備え、AMPA受容体への結合活性を損なうことなく、スルホンアミド基の窒素原子に置換基を付加することができ、これにより化合物の脳集積性が向上することを見出した。したがって、本発明により提供されるものは、下記式(I)で表される化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物である。
【化1】
JP0006425817B2_000002t.gif
(式中、
A及びZは、それぞれ独立に、CO、SO又はSO2であり;
X及びYは、それぞれ独立に、S又はOであり;
R1~R4は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
R5は、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
nは、0~4の整数である。)。
一実施態様において、式(I)の化合物中、1個又はそれ以上の原子が該原子の放射性同位体である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の化合物はAMPA受容体に特異的に結合することができ、かつ脳移行性が極めて高い。特に、本発明の化合物は、分子プローブ、例えば、PETプローブとして使用することができ、生体内のAMPA受容体をインビボでイメージングすることができる。また、本発明の化合物は、合成が容易であり、且つ高収率で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】各種化合物の海馬組織への集積率を示すグラフである。
【図2】PEPA又はK-2の投与後の、AMPA電流の基準値に対する比を示すグラフである。
【図3】K-2ないしビヒクルを生体投与した際のAMPA受容体量の変化を示すグラフである。左図:細胞膜表面に提示されたAMPA受容体の量、右図:AMPA受容体の総量。
【図4】放射性標識化K-2を用いたラットのインビボPET画像である。左図:ビヒクルを投与したラット、右図:0.5mg/kgの非放射性標識化K-2でブロッキングしたラット。
【図5】ラットの海馬及び脳幹におけるK-2の時間放射能曲線(TAC)を示す。(a)ビヒクル投与後の海馬、(b)ブロッキング後の海馬、(c)ビヒクル投与後の脳幹、及び(d)ブロッキング後の脳幹。グラフ中、(c)の線と(d)の線とは重複している。
【図6】低濃度(0.05mg/kg)の非放射性標識化K-2でブロッキングしたラットのインビボPET画像である。
【図7】脳幹を対照とした特異的結合のTACを示す。
【図8】放射性標識化K-2のインビボでの特異性を定量化したグラフである。左:線条体、右:海馬。黒色:ビヒクル投与したラット、灰色:ブロッキングしたラット。
【図9】各脳領域におけるAMPA受容体の発現総量の比較を示すグラフである。
【図10】各脳領域におけるAMPA受容体の生化学的発現量とPET画像値(%SUV)の相関を示すグラフである。
【図11】両側線条体にshRNAを投与したラットのインビボPET画像である。同一個体の左線条体にはGluA1~3に対するshRNA(AMPA受容体のタンパク質を発現できなくするRNA)を、右線条体にはスクランブルRNA(特に効果を持たないRNA)を発現させている。
【図12】両側線条体にshRNAを投与したラットでのshRNA側およびスクランブル側のPET画像値の比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1.定義)
用語「アルキル」とは、脂肪族飽和炭化水素の水素原子1個が失われて生じる1価の基を意味する。アルキルは、例えば、1~15個(C1-C15)の炭素原子、典型的には、1~10個(C1-C10)、1~8個(C1-C8)、1~6個(C1-C6)、1~5個(C1-C5)、1~4個(C1-C4)、1~3個(C1-C3)、1~2個(C1-C2)、又は2~6個(C2-C6)の炭素原子を有する。アルキルは、直鎖若しくは分枝状であってもよい。アルキルの例を挙げると、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-3-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、及びヘキシルなどがある。アルキルは、さらに適当な置換基によって置換されてもよい。用語「アルキル」は、放射性同位体を含むアルキル、例えば[11C]アルキルを含み得る。

【0010】
用語「アルケニル」とは、少なくとも1つの二重結合を持つ脂肪族不飽和炭化水素基を意味する。アルケニルは、例えば、2~15個(C2-C15)の炭素原子、典型的には、2~10個(C2-C10)、2~8個(C2-C8)、2~6個(C2-C6)、2~5個(C2-C5)、2~4個(C2-C4)、2~3個(C2-C3)、3~6個(C3-C6)、3~8個(C3-C8)、4~6個(C4-C6)、4~7個(C4-C7)、又は4~8個(C4-C8)の炭素原子を有する。アルケニルは、直鎖若しくは分枝状であってもよい。アルケニルの例を挙げると、限定されないが、具体的には、ビニル(-CH=CH2)、アリル(-CH2CH=CH2)、-CH=CH(CH3)、-CH=C(CH3)2、-C(CH3)=CH2、-C(CH3)=CH(CH3)、-C(CH2CH3)=CH2、1,3-ブタジエニル(-CH=CH-CH=CH2)、及びヘプタ-1,6-ジエン-4-イル(-CH2-(CH2CH=CH2)2)などがある。アルケニルは、さらに適当な置換基によって置換されてもよい。用語「アルケニル」は、放射性同位体を含むアルケニル、例えば[11C]アルケニルを含み得る。

【0011】
用語「アルキニル」とは、少なくとも1つの三重結合を持つ脂肪族不飽和炭化水素基を意味する。アルキニルは、例えば、2~15個(C2-C15)の炭素原子、典型的には、2~10個(C2-C10)、2~8個(C2-C8)、2~6個(C2-C6)、2~5個(C2-C5)、2~4個(C2-C4)、2~3個(C2-C3)、3~6個(C3-C6)、3~8個(C3-C8)、4~6個(C4-C6)、4~7個(C4-C7)、又は4~8個(C4-C8)の炭素原子を有する。アルキニルは、直鎖若しくは分枝状であってもよい。アルキニルの例を挙げると、限定されないが、エチニル(-C≡CH)、-C≡CH(CH3)、-C≡C(CH2CH3)、-CH2C≡CH、-CH2C≡C(CH3)、及び-CH2C≡C(CH2CH3)などがある。アルキニルは、さらに適当な置換基によって置換されてもよい。用語「アルキニル」は、放射性同位体を含むアルキニル、例えば[11C]アルキニルを含み得る。

【0012】
用語「[11C]アルキル」は、アルキルを構成する炭素のうちの1つ以上が11Cであるアルキルを意味する。同様に、用語「[11C]アルケニル」及び用語「[11C]アルキニル」は、それぞれ、アルケニルを構成する炭素のうちの1つ以上が11Cであるアルケニル、及びアルキニルを構成する炭素のうちの1つ以上が11Cであるアルキニルを意味する。

【0013】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、フルオロ(-F)、クロロ(-Cl)、ブロモ(-Br)、及びヨード(-I)を意味する。

【0014】
用語「医薬として許容し得る塩」とは、哺乳動物、特にヒトに対して有害でない塩を指す。医薬として許容し得る塩は、無機酸若しくは無機塩基、又は有機酸若しくは有機塩基を含む、無毒性の酸又は塩基を用いて形成することができる。医薬として許容し得る塩の例を挙げると、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛などから形成される金属塩、又はリジン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)及びプロカインなどから形成される有機塩などがある。また、医薬として許容し得る塩は、酸付加塩及び塩基付加塩を包含する。

【0015】
用語「溶媒和物」とは、本発明化合物に対する1つ又は複数の溶媒分子の会合により形成される含溶媒化合物を意味する。溶媒和物は、例えば、一溶媒和物、二溶媒和物、三溶媒和物、及び四溶媒和物を含む。また、溶媒和物は、水和物を含む。

【0016】
(2.化合物及び放射性標識化化合物)
本発明は、下記式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を提供する。
【化2】
JP0006425817B2_000003t.gif

【0017】
式中、A及びZは、それぞれ独立に、CO、SO又はSO2であり、これらの基であれば、AMPA受容体との間に相互作用を示すことが期待される。これらの中でも好ましくは、A及びZは、それぞれ独立に、CO又はSO2であり、より好ましくは、AがSO2であり、かつZがCOである。
X及びYは、それぞれ独立に、S又はOであり、好ましくは、XがSであり、かつYがOである。
R1~R4は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロである。一実施態様において、R1~R4の全てが水素となることはない、すなわち、R1~R4の少なくとも1つは水素以外である。一実施態様において、R2はアルキルである。他の実施態様において、R1はアルキル又はハロである。R1は、オルト位、メタ位、又はパラ位のいずれかに存在することができる。好ましくは、R1は、パラ位に存在する。さらに他の実施態様において、R3及びR4のうちの一方が、水素であり、他方がアルキルである。
R5は、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロである。好ましくは、R5は、ハロであり、特に好ましくは、フルオロである。さらに好ましくは、R5は、Y基に対して両方のオルト位(すなわち、X基に対して両方のメタ位)に存在する。
nは、0~4の整数である。好ましくは、nは2である。

【0018】
さらに他の実施態様において、式(I)の化合物における各置換基の組み合わせとしては、AがSOであり、ZがCOであり、XがSであり、YがOであり、Rがアルキルであり、Rが水素、アルキル又はハロであり、Rがアルキル又はハロである場合、Rはパラ位に存在し、R及びRのうち一方が水素であり、他方がアルキルであり、R5は、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり、nは、0~4の整数である組み合わせが好ましい。

【0019】
さらに他の実施態様において、式(I)の化合物における各置換基の組み合わせとしては、AがSOであり、ZがCOであり、XがSであり、YがOであり、Rがアルキルであり、Rが水素、アルキル又はハロであり、Rがアルキル又はハロである場合、Rはパラ位に存在し、R及びRのうち一方が、水素であり、他方がアルキルであり、Rがハロ、特にフルオロであって、RはY基に対して両方のオルト位(すなわち、X基に対して両方のメタ位)に存在し、nが2である組み合わせが好ましい。

【0020】
さらに他の実施態様において、式(I)の化合物における各置換基の組み合わせとしては、AがSOであり、ZがCOであり、XがSであり、YがOであり、Rがアルキルであり、Rが水素、アルキル又はハロであり、Rがアルキル又はハロである場合、Rはパラ位に存在し、R及びRが共に水素であり、R5は、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり、nは、0~4の整数である組み合わせが好ましい。

【0021】
一実施態様において、式(I)の化合物から、放射性同位体を含まない2-[2,6-ジフルオロ-4-({2-[(フェニルスルホニル)アミノ]エチル}チオ)フェノキシ]アセトアミド(PEPA)、4-[2-(4-クロロフェニルスルホニルアミノ)エチルチオ]-2,6-ジフルオロフェノキシアセトアミド、N,N-ジメチル-4-[2-(4-クロロフェニルスルホニルアミノ)エチルチオ]-2,6-ジフルオロフェノキシアセトアミド、4-[2-(4-クロロフェニルスルホニルアミノ)エチルチオ]-2-フルオロフェノキシアセトアミド、N,N-ジメチル-4-[2-(4-クロロフェニルスルホニルアミノ)エチルチオ]-2-フルオロフェノキシアセトアミド、N,N-ジメチル-4-[2-(フェニルスルホニルアミノ)エチルチオ]-2,6-ジフルオロフェノキシアセトアミド、4-[2-(フェニルスルホニルアミノ)エチルチオ]-2-フルオロフェノキシアセトアミド、及びN,N-ジメチル-4-[2-(フェニルスルホニルアミノ)エチルチオ]-2-フルオロフェノキシアセトアミドは除かれる。

【0022】
式(I)の化合物の具体的な例を挙げると、以下の化合物がある:
【表1】
JP0006425817B2_000004t.gif

【0023】
一実施態様において、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、該化合物を構成する1個又はそれ以上の原子が該原子の放射性同位体であり、すなわち、下記式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物:
【化3】
JP0006425817B2_000005t.gif
(式中、
A及びZは、それぞれ独立に、CO、SO又はSO2であり;
X及びYは、それぞれ独立に、S又はOであり;
R1~R4は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
R5は、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
nは、0~4の整数であり;
1個又はそれ以上の原子が該原子の放射性同位体である。)である。

【0024】
式(I)の化合物において、放射性同位体は、15O、13N、11C、及び18Fなどからなる群から選択されるが、特に限定されない。半減期の観点から、放射性同位体は、11C又は18Fが好ましい。

【0025】
好ましくは、R1~R4の1、2、3又は4個、好ましくは、1個が、放射性同位体を含む基(例えば、[11C]アルキル(好ましくは11CH3)、[11C]アルケニル、又は[11C]アルキニル、或いは、18F)である。

【0026】
式(I)の化合物として、AがSOであり、ZがCOであり、XがSであり、YがOであり、Rがアルキルであり、Rが水素、アルキル又はハロであり、Rがアルキル又はハロである場合、Rはパラ位に存在し、R及びRのうち一方が、水素であり、他方がアルキルであり、Rがハロ、特にフルオロであって、RはY基に対して両方のオルト位(すなわち、X基に対して両方のメタ位)に存在し、nが2であって、R1~R4の1個が、放射性同位体を含む基(例えば、[11C]アルキル(好ましくは11CH3)、[11C]アルケニル、又は[11C]アルキニル、或いは、18F)が好ましい。
さらに他の実施態様において、式(I)の化合物として、AがSOであり、ZがCOであり、XがSであり、YがOであり、Rがアルキルであり、Rが水素、アルキル又はハロであり、Rがアルキル又はハロである場合、Rはパラ位に存在し、R及びRのうち一方が、水素であり、他方がアルキルであり、Rがハロ、特にフルオロであって、RはY基に対して両方のオルト位(すなわち、X基に対して両方のメタ位)に存在し、nが2であって、R~Rの1個が、放射性同位体を含む基(例えば、[11C]アルキル(好ましくは11CH3)、[11C]アルケニル、又は[11C]アルキニル、或いは、18F)がより好ましい。

【0027】
放射性同位体を含む化合物の具体的な例を挙げると、以下の化合物がある:
【表2】
JP0006425817B2_000006t.gif

【0028】
(3.製造方法及び中間体)
(合成例1)
R2がアルキル、アルケニル又はアルキニルである式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、例えば、下記式(II)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物:
【化4】
JP0006425817B2_000007t.gif
(式中、A、X、Y、Z、R1、R3、R4、R5、及びnは、式(I)の化合物において定義したものと同じである。)を、X1-R2(式中、R2はアルキル、アルケニル又はアルキニルであり、X1はハロゲンである。)と反応させることにより製造することができる。一実施態様において、式(I)及び式(II)中のR3及びR4はいずれも水素である。一実施態様において、R2は、[11C]アルキル、[11C]アルケニル、又は[11C]アルキニルであり、好ましくは、R2は、[11C]アルキル、特に、11CH3である。一実施態様において、X1はIである。式(II)の化合物の具体例をあげると、2-[2,6-ジフルオロ-4-({2-[(フェニルスルホニル)アミノ]エチル}チオ)フェノキシ]アセトアミド(PEPA)がある。

【0029】
該反応は、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン又はジメチルスルホキシドなどの極性非プロトン性溶媒中で行うことができる。また、該反応は、NaOHなどの塩基を用いて、塩基性条件下で行うことが好ましい。反応温度は、室温~還流温度、特に、60~100℃が好ましく、より好ましくは80℃である。反応時間は、1分~10分、特に5分である。

【0030】
PETプローブは、通常、放射性同位体の短い半減期のため、短い時間でかつ高収率で製造しなければならない。該反応は、短い時間で定量的に進行するため、PETプローブの製造に適している。

【0031】
本発明者らは、式(II)の化合物とX1-R2との反応が、式(II)の化合物のA基に隣接するNH基で定量的に起こることを見出した。したがって、たとえR3及びR4が水素であったとしても、保護基を使用せずに該NH基のみをN-R2基に変換することができる。

【0032】
式(II)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、R2がアルキル、アルケニル又はアルキニルである式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を製造するための中間体として使用することができる。また、式(II)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、R2が[11C]アルキル、[11C]アルケニル、又は[11C]アルキニルである放射性標識された式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を製造するための中間体として使用することができる。

【0033】
(合成例2)
R1がアルキル、アルケニル、又はアルキニルである式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、例えば、下記式(III)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物:
【化5】
JP0006425817B2_000008t.gif
(式中、A、X、Y、Z、R2、R3、R4、R5、及びnは、上記で定義したものと同じであり、Raは、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、又はアルキニルである。)を、X1-R1(式中、R1は、上記で定義したものと同じであり、X1はハロゲンである。)と反応させることにより製造することができる。一実施態様において、Raは、全てn-ブチルである。一実施態様において、R1は、[11C]アルキル、[11C]アルケニル、又は[11C]アルキニルであり、好ましくは、R1は、[11C]アルキル、特に、11CH3である。一実施態様において、X1はIである。

【0034】
式(III)の化合物の具体例は、下記である。
【表3】
JP0006425817B2_000009t.gif

【0035】
該反応は、パラジウム触媒、ホスフィンリガンド、炭酸塩及びハロゲン化銅の存在下で行うことができる。該パラジウム触媒は、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどがある。また、該ホスフィンリガンドは、例えば、トリ(o-トリル)ホスフィン又は(ジ-tert-ブチル)メチルホスフィンなどがある。該炭酸塩は、K2CO3などがある。該ハロゲン化銅は、CuClなどがある。該反応は、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン又はジメチルスルホキシドなどの極性非プロトン性溶媒中で行うことができる。反応温度は、室温~還流温度、特に、60~100℃が好ましく、より好ましくは80℃である。反応時間は、1分~10分、特に5分である。

【0036】
PETプローブは、通常、放射性同位体の短い半減期のため、短い時間でかつ高収率で製造しなければならない。該反応は、短い時間で定量的に進行するため、PETプローブの製造に適している。

【0037】
式(III)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、R1がアルキル、アルケニル、又はアルキニルである式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を製造するための中間体として使用することができる。また、式(III)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、R1が[11C]アルキル、[11C]アルケニル、又は[11C]アルキニルである放射性標識された式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を製造するための中間体として使用することができる。

【0038】
式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、下記実施例に示す方法によっても製造することができる。

【0039】
(4.使用)
式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、AMPA受容体に特異的に結合することができる。したがって、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、AMPA受容体のイメージングに使用することができる。特に、該化合物は、分子プローブ、例えば、PETプローブとして使用することができる。

【0040】
イメージングは、分子イメージング、例えば、ポジトロン断層撮影法(Positron Emission Tomography, PET)、多光子イメージング法、二光子イメージング法、近赤外蛍光イメージング法、オートラジオグラフィー、及び単一光子放射断層撮影法(Single photon emission computed tomography, SPECT)などを含む。好ましくは、イメージングは、PETイメージングである。

【0041】
本発明は、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む、AMPA受容体をイメージングするための組成物を提供する。該組成物は、医薬として許容し得る担体を含むことができる。医薬として許容し得る担体は、特に制限されないが、例えば、滅菌水、食塩水、生理食塩水又はリン酸緩衝食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張性デキストロース注射液、無菌水注射液、デキストロース、及び乳酸リンゲル注射液などがある。

【0042】
該組成物における、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物、及び医薬として許容し得る担体の含有量は、特に制限はなく、これらは、使用される化合物の種類;投与される哺乳動物の年齢、体重、健康状態、性別及び食事内容;投与の回数、及び投与経路;治療期間;同時に使用される他の薬剤など、様々な要因により決定される。式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の含有量は、AMPA受容体をイメージングすることができる量であれば特に制限されない。該組成物は、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を、投与できるように調製されることが好ましい。医薬として許容し得る担体の含有量は、例えば、該組成物の1~99重量%の量とすることができる。

【0043】
また、本発明は、AMPA受容体のイメージングにおける使用のための式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を提供する。さらに、本発明は、AMPA受容体をイメージングするための薬剤の製造における、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。

【0044】
さらに、本発明は、有効量の式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を、哺乳動物に投与することを含む、AMPA受容体をイメージングするための方法を提供する。哺乳動物は、例えば、ラット、マウス、モルモット、又はハムスターなどを含む。投与方法は、特に制限されないが、例えば、非経口投与、静脈内投与、又は腹腔内投与がある。好ましくは、静脈内投与である。投与量は、AMPA受容体をイメージングすることができる量であれば特に制限されない。

【0045】
さらに、本発明は、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む、AMPA受容体をイメージングするためのキットを提供する。また、本発明は、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を製造するための中間体、例えば、式(II)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物;及び/或いは式(III)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む、AMPA受容体をイメージングするためのキットを提供する。該キットは、さらに、該化合物の投与量、投与方法、使用方法、保管方法、及び/又はAMPA受容体をイメージングするための方法を指示する指示書を含むことができる。該キットは、さらに、放射性標識化用試薬、例えば、ハロゲン化[11C]アルキル、ハロゲン化[11C]アルケニル、又はハロゲン化[11C]アルキニルなどを含むことができる。
さらに、本発明は、式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を投与された被験体の脳から発せられる放射線を検出する工程を有する、AMPA受容体のイメージング方法を提供する。
【実施例】
【0046】
(5.実施例)
以下に実施例を記載する。下記実施例は、請求の範囲に関する理解を深めるために記載しているものであり、請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0047】
(実施例1)
(K-1及びK-2の合成)
下記スキームに従って、2-[2,6-ジフルオロ-4-({2-[(フェニルスルホニル)アミノ]エチル}チオ)フェノキシ]アセトアミド(K-1,PEPA)及び{4-[2-(ベンゼンスルホニル-メチル-アミノ)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}-アセトアミド(K-2)を合成した。
各化合物の1H NMRスペクトルは、TMSを内部標準として使用し、Bruker Avance III 400 MHz又はVarian Mercury plus-300 MHzで記録した。
【化6】
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【実施例】
【0048】
工程(i):(2,6-ジフルオロ-フェノキシ)-酢酸メチルエステル(2)の合成
【化7】
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2,6-ジフルオロ-フェノール(1) (5.00 g, 38.5 mmol)のアセトン溶液(75 mL)に、K2CO3 (8.40 g, 60.7 mmol)を加え、10分後、反応溶液にブロモ酢酸メチル(5.80 g, 38.5 mmol)を加えた。該反応溶液を室温で一晩撹拌した。反応終了後に、該反応混合液を濃塩酸(20 mL)と氷水(200 ml)の混合液に注ぎ、EtOAc(100 mL × 3)で抽出し、有機層を水(50 mL × 3)及びブライン(100 mL × 2)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した。その後、真空下で濃縮し、化合物(2)を黄色オイルとして得た(7.50 g, 97%)。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 3.78 (s, 3H), 4.74 (s, 2H), 6.86-6.99 (m, 3H).
【実施例】
【0049】
工程(ii):(4-クロロスルホニル-2,6-ジフルオロ-フェノキシ)-酢酸メチルエステル(3)の合成
【化8】
JP0006425817B2_000012t.gif
(2,6-ジフルオロ-フェノキシ)-酢酸メチルエステル(2) (5.00 g, 24.7 mmol)のDCM溶液に、クロロスルホン酸(17.2 g, 24.7 mmol)を、氷浴下、滴下して加え、反応溶液を45℃に加熱し、1.5時間、撹拌した。反応終了後に、該反応混合液を50 mLの氷水でクエンチし、有機層を分離し、かつ水(300 mL × 3)で洗浄した。Na2SO4で乾燥させ、濾過し、その後、真空下で濃縮することにより、化合物(3)を黄色オイルとして得た(5.50 g, 74%)。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 3.81 (s, 3H), 4.96 (s, 2H), 7.61 (s, 1H), 7.64 (s, 1H).
【実施例】
【0050】
工程(iii):(2,6-ジフルオロ-4-メルカプト-フェノキシ)-酢酸メチルエステル(4)の合成
【化9】
JP0006425817B2_000013t.gif
(4-クロロスルホニル-2,6-ジフルオロ-フェノキシ)-酢酸メチルエステル(3) (5.50 g, 18.3 mmol)、SnCl2 (14.5 g, 64.2 mmol)、及びメタノール(50 mL)の混合液に、濃塩酸(25 mL)を滴下して加えた。反応混合液を還流温度に加熱し、2時間、撹拌した。冷却後に、該反応混合液を氷水(100 mL)に注ぎ、DCM (100 mL × 3)で抽出した。有機層を水(100 mL × 3)及びブライン(100 mL × 2)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、その後、真空下で濃縮することにより、化合物(4)を黄色オイルとして得た(3.30 g, 77%)。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 3.52 (s, 1H), 3.77 (s, 3H), 4.71 (s, 2H), 6.83 (s, 1H), 6.86 (s, 1H).
【実施例】
【0051】
工程(iv):[4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-エチルスルファニル)-2,6-ジフルオロ-フェノキシ]-酢酸メチルエステル(5)の合成
【化10】
JP0006425817B2_000014t.gif
(2,6-ジフルオロ-4-メルカプト-フェノキシ)-酢酸メチルエステル(4) (1.10 g, 4.7 mmol)、炭酸カリウム(778 mg, 5.6 mmol)、及びアセトン(15 mL)の混合液を、N2下、室温で20分間、撹拌した。該反応溶液に、N-(2-ブロモ-エチル)-ベンゼンスルホンアミド(9) (1.30 g, 4.90 mmol)を加え、該反応溶液を、室温で一晩撹拌した。反応終了後に、該反応溶液を30 mLの2N HClに注ぎ、EtOAc (50 mL × 3)で抽出した。有機層を水(50 mL × 3)及びブライン(100 mL × 2)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、その後、真空下で濃縮することにより、残渣を得た。該残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EA = 10/1 to 3/1, v/v)により精製し、化合物(5)を黄色オイルとして得た(1.60 g, 84%)。
1HNMR (300 MHz, CDCl3): δ 2.95 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 3.12 (q, J = 6.3 Hz, 2H), 3.78 (s, 3H), 4.72 (s, 2H), 5.20 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 6.76-6.83 (m, 2H), 7.47-7.60 (m, 3H), 7.82-7.84 (m, 2H).
【実施例】
【0052】
工程(v):{4-[2-(ベンゼンスルホニル-メチル-アミノ)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}-酢酸メチルエステル(6)の合成
【化11】
JP0006425817B2_000015t.gif
[4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-エチルスルファニル)-2,6-ジフルオロ-フェノキシ]-酢酸メチルエステル(5) (300 mg, 0.72 mmol)及びK2CO3 (397 mg, 2.88mmol)の10 mL DMF混合液に、0℃でMeI (255 mg, 1.80 mmol)を加えた。その後、反応溶液を、室温で1時間、撹拌した。反応終了後に、該反応溶液を、20 mlの水で希釈し、EtOAc (30 mL × 3)で抽出した。有機層を水(30 mL × 3)及びブライン(20 mL × 2)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、その後、真空下で濃縮することにより、化合物(6)を黄色オイルとして得た(285 mg, 92%)。
1HNMR (300 MHz, CDCl3): δ 2.81 (s, 3H), 3.04-3.09 (m, 2H), 3.19-3.24 (m, 2H), 3.79 (s, 3H), 4.74 (s, 2H), 6.90-6.94 (m, 2H), 7.50-7.60 (m, 3H), 7.74-7.77 (m, 2H).
【実施例】
【0053】
工程(vi):{4-[2-(ベンゼンスルホニル-メチル-アミノ)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}-アセトアミド(K-2)の合成
【化12】
JP0006425817B2_000016t.gif
{4-[2-(ベンゼンスルホニル-メチル-アミノ)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}-酢酸メチルエステル(6) (40.0 mg, 0.09 mmol)及び13 mLの4N MeOH/NH3の混合液を、室温で18時間、撹拌した。反応終了後に、該反応混合液を真空下で濃縮することにより、残渣を得た。該残渣を分取HPLCにより精製して、化合物(K-2)を白色固体として得た(22.0 mg, 57%)。
1HNMR (300 MHz, CDCl3): δ 2.82 (s, 3H), 3.08-3.13 (m, 2H), 3.20-3.26 (m, 2H), 4.58 (s, 2H), 6.93-6.99 (m, 2H), 7.50-7.63 (m, 3H), 7.75-7.78 (m, 2H).
【実施例】
【0054】
工程(vii):2-[2,6-ジフルオロ-4-({2-[(フェニルスルホニル)アミノ]エチル}チオ)フェノキシ]アセトアミド(K-1)の合成
【化13】
JP0006425817B2_000017t.gif
[4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-エチルスルファニル)-2,6-ジフルオロ-フェノキシ]-酢酸メチルエステル(5) (200 mg, 0.48 mmol)及び10 mLの4N MeOH/NH3の混合液を、室温で18時間、撹拌した。反応終了後に、該反応混合液を真空下で濃縮することにより、残渣を得た。該残渣を分取HPLCにより精製して、化合物K-1を白色固体として得た(110 mg, 57%)。
1HNMR (300 MHz, CDCl3 + D2O): δ 2.97-3.02 (m, 2H), 3.11-3.16 (m, 2H), 4.56 (s, 2H), 6.82-6.90 (m, 2H), 7.48-7.61 (m, 3H), 7.82-7.87 (m, 2H).
【実施例】
【0055】
工程(viii):N-(2-ブロモ-エチル)-ベンゼンスルホンアミド(9)の合成
【化14】
JP0006425817B2_000018t.gif
ベンゼンスルホニルクロリド(7) (3.00 g, 17.0 mmol)及び2-ブロモエチルアミンヒドロブロミド(8) (3.80 g, 18.7 mmol)のDCM (30 mL)溶液に、氷浴下で、DIPEA (4.80 g, 37.4 mmol)を加えた。その後、反応溶液を、同じ温度で1.5時間、撹拌した。反応終了後に、該反応溶液を20 mLの水で希釈し、EtOAc (30 mL × 3)で抽出した。有機層を水(30 mL × 3)及びブライン(20 mL × 2)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、その後、真空下で濃縮することにより、化合物(9)を白色固体として得た(4.40 g, 98%)。
1HNMR (300 MHz, CDCl3): δ 3.36-3.39 (m, 4H), 5.09 (s, 1H), 7.50-7.63 (s, 3H), 7.87-7.89 (s, 2H).
【実施例】
【0056】
(実施例2)
(M-1、M-2及びM-3の合成)
下記スキームに従って、2-[4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-エチルスルファニル)-2,6-ジフルオロ-フェノキシ]-N-メチル-アセトアミド(M-1)、2-{2,6-ジフルオロ-4-[2-(4-フルオロ-ベンゼンスルホニルアミノ)-エチルスルファニル]-フェノキシ}-アセトアミド(M-2)、及び2-{2,6-ジフルオロ-4-[2-(4-メチル-ベンゼンスルホニルアミノ)-エチルスルファニル]-フェノキシ}-アセトアミド(M-3)を合成した。
各化合物の1H NMRスペクトルは、TMSを内部標準として使用し、Varian Mercury plus-400 MHzで記録した。LCMSは、下記のものを使用した:Agilent 1200A, カラム: C18; カラムサイズ: 4.6 * 50分; 移動相: B(ACN), A(0.05%NH3の水); 勾配(B%):実施例に示すとおり。
【化15】
JP0006425817B2_000019t.gif
【実施例】
【0057】
工程(i):3,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-ベンゼンスルホニルクロリド(10)の合成
【化16】
JP0006425817B2_000020t.gif
化合物(1) (5.0 g)のDCM (50 mL)溶液に、クロロスルホン酸(15 mL)を滴下して加えた。反応混合液を、25℃で1時間、撹拌した。TLC (石油エーテル/ EtOAc: 20/1)は、反応が完了したことを示した。その後、該溶液をクラッシュアイスに注いだ。有機層を分離し、セライトを通して濾過した。濾液を乾燥させ、真空下で留去して、化合物(10)を黄色オイルとして得た:5 g (57%)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 6.30 (s, 1H), 7.66-7.68 (m, 2H).
【実施例】
【0058】
工程(ii):2,6-ジフルオロ-4-メルカプト-フェノール(11)の合成
【化17】
JP0006425817B2_000021t.gif
トリフェニルホスフィン(3.4 g, 13.1 mmol)及びDMF (0.1 mL)のDCM (3 mL)溶液に、窒素下0℃で、化合物(10) (1.0 g, 4.3 mmol)のDCM (4 mL)溶液を滴下して加えた。反応混合液を、25℃で2時間、撹拌した。その後、該混合液に、1N HClを加えてpH=3に調整し、EAで抽出した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して、粗化合物(11)を黄色オイルとして得た。
【実施例】
【0059】
工程(iii):2-[2-(3,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-フェニルスルファニル)-エチル]-イソインドール-1,3-ジオン(12)の合成
【化18】
JP0006425817B2_000022t.gif
粗化合物(11) (14 g, 86 mmol)のDMF (100 mL)溶液に、2-(2-ブロモ-エチル)-イソインドール-1,3-ジオン(13.2g, 51.8 mmol)及びK2CO3 (23.8 g, 172.4 mmol)を加えた。混合液を、25℃で一晩、撹拌した。その後、該混合液に、1N HClを加えてpH=3に調整し、EAで抽出した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して、化合物(12)を黄色固体として得た(8 g, 27%)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO_d6): δ 3.20-3.23 (t, 2H), 3.75-3.79 (t, 2H), 7.08-7.10 (d, 2H), 7.84 (s, 4H).
【実施例】
【0060】
工程(iv):{4-[2-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}-酢酸エチルエステル(13)の合成
【化19】
JP0006425817B2_000023t.gif
化合物(12) (5.0 g, 15 mmol)をDMF (30 mL)に溶解した溶液に、3-ブロモ-プロピオン酸エチルエステル(2.5g, 15 mmol)及びK2CO3 (3.0 g, 22.5 mmol)を加えた。混合液を、25℃で一晩、撹拌した。その後、該混合液をEAで抽出した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して、化合物(13)を白色固体として得た(6 g, 97%)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.21-1.24 (t, 3H), 3.11-3.14 (t, 2H), 3.84-3.88 (t, 2H), 4.18-4.20 (d, 2H), 4.61 (s, 2H), 6.91-6.94 (d, 2H), 7.66-7.68 (m, 2H), 7.77-7.79 (m, 2H).
【実施例】
【0061】
工程(v):2-{4-[2-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}-N-メチル-アセトアミド(14)の合成
【化20】
JP0006425817B2_000024t.gif
化合物(13) (0.5 g, 1.2 mmol)のメチルアミンアルコール溶液(10 mL)を、100℃で30分間、撹拌した。その後、混合液を濃縮し、粗化合物(14)を黄色オイルとして得た(1 g)。
【実施例】
【0062】
工程(vi):2-[4-(2-アミノ-エチルスルファニル)-2,6-ジフルオロ-フェノキシ]-N-メチル-アセトアミド(15)の合成
【化21】
JP0006425817B2_000025t.gif
ヒドラジン水和物(0.25 g, 5 mmol)を、粗化合物(14) (1 g, 2.5 mmol)のEtOH (10 mL)溶液に、90℃で加えた。溶液を90℃に加熱し、30分間撹拌し、その後、室温に冷却した。生成物を濾過し、EtOHで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗化合物(15)を黄色オイルとして得た(0.5 g)。
【実施例】
【0063】
工程(vii):2-[4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-エチルスルファニル)-2,6-ジフルオロ-フェノキシ]-N-メチル-アセトアミド(M-1)の合成
【化22】
JP0006425817B2_000026t.gif
ベンゼンスルホニルクロリド(0.4g, 2.2 mmol)及びトリエチルアミン(0.2 g, 2.2 mmol)を、粗化合物(15) (0.5 g, 1.8 mmol)のDCM (10 mL)溶液に加えた。その後、混合液を、25℃で1時間、撹拌し、EAで抽出した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、化合物(M-1)を白色固体として得た(20 mg)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO_d6): δ 2.65-2.66 (d, 3H), 2.91-2.94 (t, 2H), 2.01-3.04 (t, 2H), 4.50 (s, 2H), 7.10-7.12 (d, 2H), 7.57-7.65 (m, 3H), 7.76-7.78 (d, 2H), 7.92-7.95 (t, 1H), 8.05 (s, 1H).
MS: m/z 417(M+1)+
LCMS [移動相: 90% 水(0.1% NH4OH)及び10% CH3CNから5% 水(0.1% NH4OH)及び95% CH3CN、6.0分、最終的にこれらの条件下0.5分] 純度97.4%, Rt = 3.341分; MS Calcd.: 416; MS Found: 417 ([M+1]+).
【実施例】
【0064】
工程(viii):2-{4-[2-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}-アセトアミド(16)の合成
【化23】
JP0006425817B2_000027t.gif
化合物(13) (5.0 g, 11.8 mmol)のNH3/EtOH(100 mL)溶液を、25℃で2時間、撹拌した。その後、該溶液を濃縮し、粗化合物(16)を黄色オイルとして得た(6.0 g)。
【実施例】
【0065】
工程(ix):2-[4-(2-アミノ-エチルスルファニル)-2,6-ジフルオロ-フェノキシ]-アセトアミド(17)の合成
【化24】
JP0006425817B2_000028t.gif
ヒドラジン水和物(1.5 g, 30 mmol)を、粗化合物(16) (6.0 g, 15.3 mmol)のEtOH (50 mL)溶液に、90℃で加えた。溶液を90℃に加熱し、30分間撹拌し、その後、室温に冷却した。生成物を濾過し、EtOHで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗化合物(17)を黄色オイルとして得た(4.0 g)。
【実施例】
【0066】
工程(x):2-{2,6-ジフルオロ-4-[2-(4-フルオロ-ベンゼンスルホニルアミノ)-エチルスルファニル]-フェノキシ}-アセトアミド(M-2)の合成
【化25】
JP0006425817B2_000029t.gif
4-フルオロ-ベンゼンスルホニルクロリド(0.4g, 2.3 mmol)及びトリエチルアミン(0.2 g, 2.2 mmol)を、粗化合物17 (0.5 g, 1.9 mmol)のDMF (10 mL)溶液に加えた。その後、混合液を、25℃で1時間、撹拌し、EAで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、化合物(M-2)を白色固体として得た(20 mg)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO_d6): δ 2.92-2.95 (t, 2H), 3.01-3.04 (t, 2H), 4.45 (s, 2H), 7.09-7.11 (d, 2H), 7.40-7.44 (m, 3H), 7.47 (s, 1H), 7.81-7.85 (m, 2H), 7.95-7.98 (t, 1H).
MS: m/z 421(M+1)+
LCMS [移動相: 90% 水(0.1% NH4OH)及び10% CH3CNから5% 水(0.1% NH4OH)及び95% CH3CN、6分、最終的にこれらの条件下0.5分] 純度95.1%, Rt = 3.284分; MS Calcd.: 420; MS Found: 421 ([M+1]+).
【実施例】
【0067】
工程(xi):2-{2,6-ジフルオロ-4-[2-(4-メチル-ベンゼンスルホニルアミノ)-エチルスルファニル]-フェノキシ}-アセトアミド(M-3)の合成
【化26】
JP0006425817B2_000030t.gif
4-メチル-ベンゼンスルホニルクロリド(0.5g, 2.3 mmol)及びトリエチルアミン(0.2 g, 2.2 mmol)を、粗化合物(17) (0.5 g, 1.9 mmol)のDMF (10 mL)溶液に加えた。その後、混合液を、25℃で1時間、撹拌し、EAで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、化合物(M-3)を白色固体として得た(20 mg)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO_d6): δ 2.38 (s, 3H), 2.88-2.91 (t, 2H), 2.99-3.02 (t, 2H), 4.49 (s, 2H), 7.08-7.10 (d, 2H), 7.37-7.48 (m, 4H), 7.64-7.66 (d, 2H), 7.81-7.84 (t, 1H).
MS: m/z 417(M+1)+
LCMS [移動相: 90% 水(0.1% NH4OH)及び10% CH3CNから5% 水(0.1% NH4OH)及び95% CH3CN、6.0分、最終的にこれらの条件下0.5分] 純度96.6%, Rt = 3.365分; MS Calcd.: 416; MS Found: 417 ([M+1]+).
【実施例】
【0068】
(実施例3)
(M-3preの合成)
下記スキームに従って、2-(2,6-ジフルオロ-4-((2-(4-(トリブチルスタンニル)フェニルスルホンアミド)エチル)チオ)フェノキシ)アセトアミド(M-3pre)を合成した。
各化合物の1H NMRスペクトルは、TMSを内部標準として使用し、Bruker Avance III 400 MHz及びBruker Fourier 300 MHzで記録した。LCMSは、下記のものを使用した:四重極質量分析計、Agilent LC/MSD 1200シリーズ(カラム: ODS 2000 (50 × 4.6 mm, 5 μm) ES (+)又は(-)イオン化モードで操作; T = 30℃; 流速 = 1.5 mL/分; 検出波長: 254 nm。
【化27】
JP0006425817B2_000031t.gif
【実施例】
【0069】
工程(i):エチル 2-(2,6-ジフルオロフェノキシ)アセテート(19)の合成
【化28】
JP0006425817B2_000032t.gif
化合物(1) (39.0 g, 0.30 mol)、K2CO3 (62.0 g, 0.45 mol)、化合物(18) (50.1 g, 0.30 mol)、及びアセトン(200 mL)の混合液を、約16時間、室温で撹拌した。反応混合液を3% HClに注ぎ、酢酸エチル(90 mL × 3)で抽出した。合わせた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE : EA = 10 : 1)で精製し、化合物(19)を得た(57 g, 87%)。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 1.19 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 4.17 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 4.82 (s, 2H), 7.06-7.13 (m, 3H).
【実施例】
【0070】
工程(ii):エチル 2-(4-(クロロスルホニル)-2,6-ジフルオロフェノキシ)アセテート(20)の合成
【化29】
JP0006425817B2_000033t.gif
化合物(19) (50 g, 0.23 mol)のDCM (180 mL)溶液に、35℃で、ClSO3H (106 mL, 1.38 mol)を加えた。反応混合液を、還流温度に加熱し、約1.5時間、撹拌した。その後、氷に注いだ。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、化合物20を得た(37 g, 50%)。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 1.18 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 4.16 (q, J = 6.9 Hz, 2H), 4.83 (s, 2H), 7.18-7.21 (m, 2H).
【実施例】
【0071】
工程(iii):メチル 2-(2,6-ジフルオロ-4-メルカプトフェノキシ)アセテート(21)の合成
【化30】
JP0006425817B2_000034t.gif
化合物(20) (25.0 g, 0.08 mol)、SnCl2 (63.3 g, 0.28 mol)、濃HCl (46.6 mL, 0.56 mol)、及びMeOH (333 mL)の混合液を、還流温度に加熱し、約1.5時間、撹拌した。その後、反応混合液を氷に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を12% HClで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE : EA = 2 : 1)で精製し、化合物(21)を得た(14 g, 75%)。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 3.52 (s, 1H), 3.79 (s, 3H), 4.72 (s, 2H), 6.88 (d, J = 6.3 Hz, 2H).
【実施例】
【0072】
工程(iv):4-ブロモ-N-(2-ブロモエチル)ベンゼンスルホンアミド(24)の合成
【化31】
JP0006425817B2_000035t.gif
化合物(23) (1.35 g, 11.0 mmol)を、化合物(22) (2.54 g, 10.0 mmol)のDCM (40 mL)溶液に加え、続いて、TEA (1.52 g, 15.0 mmol)を加えた。その後、反応混合液を、室温で約3時間撹拌し、水で希釈した。該溶液をDCM (80 mL × 3)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE : EA = 5 : 1)で精製し、化合物(24)を得た(2.45 g, 72%)。
1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 3.12-3.16 (m, 2H), 3.43 (t, J = 3.6 Hz, 2H), 7.69-7.73 (m, 2H), 7.79-7.82 (m, 2H), 8.13 (t, J = 3.9 Hz, 1H).
【実施例】
【0073】
工程(v):メチル 2-(4-((2-(4-ブロモフェニルスルホンアミド)エチル)チオ)-2,6-ジフルオロフェノキシ)アセテート(25)の合成
【化32】
JP0006425817B2_000036t.gif
化合物(21) (1.25 g, 5.36 mmol)、K2CO3 (905 mg, 6.55 mmol)、化合物(24) (1.88 g, 5.50 mmol)、及びアセトン(50 mL)の混合液を、約16時間、室温で撹拌した。反応混合液を3% HClに注ぎ、酢酸エチル(90 mL × 3)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE : EA = 5 : 1)で精製し、化合物(25)を得た(2 g, 76%)。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 2.94-2.98 (m, 2H), 3.08-3.14 (m, 2H), 3.77 (s, 3H), 4.73 (s, 2H), 5.33 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 6.78-6.84 (m, 2H), 7.61-7.70 (m, 4H).
【実施例】
【0074】
工程(vi):2-(4-((2-(4-ブロモフェニルスルホンアミド)エチル)チオ)-2,6-ジフルオロフェノキシ)アセトアミド(26)の合成
【化33】
JP0006425817B2_000037t.gif
化合物(25) (3.00 g, 6.06 mmol)及び2M NH3/MeOH (150 mL, 300 mmol)の混合液を、約16時間、室温で撹拌した。得られた沈殿物を濾過により回収し、化合物(26)を得た(2.3 g, 80%)。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 2.93-2.96 (m, 2H), 3.00-3.03 (m, 2H), 4.48 (s, 2H), 7.10 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.40-7.45 (m, 2H), 7.70 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.80 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.01 (br s, 1H).
【実施例】
【0075】
工程(vii):2-(2,6-ジフルオロ-4-((2-(4-(トリブチルスタンニル)フェニルスルホンアミド)エチル)チオ)フェノキシ)アセトアミド(M-3pre)の合成
【化34】
JP0006425817B2_000038t.gif
化合物(26) (670 mg, 1.39 mmol)のキシレン(50 mL)溶液に、ビス(トリブチルスズ) (0.87 mL, 1.81 mmol)及びPd(PPh3)4 (40 mg)を加えた。反応混合液を、N2下、120℃で約1時間、撹拌した。その後、該反応混合液を、真空下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE : EA = 3 : 1)で精製して、化合物(M-3pre)を黄色オイルとして得た(180 mg, 18%)。
1H NMR (CD3OD, 300 MHz): δ 0.94 (t, J = 7.2 Hz, 9H), 1.12-1.17 (m, 5H), 1.29-1.39 (m, 8H), 1.52-1.60 (m, 5H), 2.98-3.06 (m, 4H), 4.55 (s, 2H), 7.01 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.68 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.77 (d, J = 8.1 Hz, 2H); LCMS [移動相: 30% 水(0.02% NH4OAc)及び70% CH3CNから5% 水(0.02% NH4OAc)及び95% CH3CN、6分、最終的にこれらの条件下0.5分] 純度>95%, Rt = 4.259分; MS Calcd.: 692; MS Found: 693 ([M+H]+).
【実施例】
【0076】
(実施例4)
(放射性標識化K-2の合成)
放射性標識化K-2を下記のように合成した。
【化35】
JP0006425817B2_000039t.gif
PEPA 1 mg (ca 2.5μmol)をDMF(0.3 mL)に溶解し、0.5N-NaOH aq (7μL)を添加、混合し、ホットセル内の反応容器へ仕込んだ。常法により[11C]ヨウ化メチルを捕集後、80℃で5分間、反応させた。室温付近まで冷却し、500μlのLC溶媒(CH3CN:H2O=1:1)で希釈し、LC分離を行った。カラムにCapcellPak UG-80(10X250)(資生堂、日本)を用い、流速5.0 ml/分で分離を行い、検出はUV 254nmとRIを用いて行った。約8分付近のRIピーク部分を分取し、Tween 80 (最終濃度0.8%)及び2.5 mgアスコルビン酸添加下で、エバポレーターを用いて濃縮した。残渣を2.5 ml生理食塩水を加えて溶解した。
【実施例】
【0077】
HPLCを用いて、放射性標識化K-2と非標識K-2との比較を行った。HPLC分析は、カラムにCapcellPak UG-80(4.6X250)(資生堂、日本)を用い、流速1.0 ml/分で展開し、検出はUV 254 nmとRIを用いて行った。非標識K-2(UV検出)と放射性標識化K-2(RI検出)は、保持時間8分のところで同一のピークを示した。これは、2つが同一物質であり、放射性標識化K-2が製造できたことを示している。
【実施例】
【0078】
反応させたヨウ化メチルは、100% PEPAのスルホンアミドに結合することがわかり、放射性標識化K-2の合成は、極めて簡素であり、かつ高い収率を示すことがわかった。
【実施例】
【0079】
(実施例5)
(放射性標識化M-3の合成)
1mLのガラスバイアルに、Pd2(dba)3 (1.74 mg)、塩化第一銅 (1.7 mg)、炭酸カリウム (2.25 mg)を計り取り、その混合物に、P(o-tol)3 (1.7 mg)のDMF (300μL)溶液を窒素雰囲気下で加えた。室温下で約5分程度撹拌してから、本溶液を標識用反応容器に移した。[11C]CH3Iを冷却下で捕集し、放射能が飽和した後に、原料のトリブチルスズ体(preM-3) (1.6mg)のDMF溶液 (300μL)を加え、80℃で約5分間反応させた。反応混合物をPTFEフィルターを通して固形物を除去してからHPLC分離を行い、約7分付近のRIピーク部分を分取、濃縮、調剤化した。
Pd2(dba)3:トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム
P(o-tolyl)3:トリ(o-トリル)ホスフィン
【実施例】
【0080】
(実施例6)
(生物学的実施例)
(AMPA受容体結合化合物の調製及び投与)
LC-MS/MS実験において、合成したすべての化合物を、100% DMSOに2.5 mMの濃度となるように溶解し、投与直前に生理食塩水で希釈し(PEPA (1.2 pmol/g)、M-1 (12 pmol/g)、K-2 (12 pmol/g)、M-3 (60 pmol/g)、及びM-2 (240 pmol/g))、経静脈的に投与した。電気生理学実験においては、PEPA及びK-2を、100% DMSOに150 mMの濃度となるように溶解し、実験直前に還流液であるACSFで150μMの濃度となるよう希釈して使用した。生化学実験及びPETのブロッキング実験では、K-2を50% DMSOに2.5 mM及び25 mMの濃度となるように溶解し、1μl/体重(g)の投与量にて、それぞれ0.5 mg/kg及び5 mg/kgとなるようにラットに経静脈的に投与した。
【実施例】
【0081】
(実験動物)
すべての動物実験は、横浜市立大学及び放射線医学総合研究所の動物実験委員会の審議及び承認を受けた。
ラットは、6~10週齢のオス成体Sprague-Dawleyラット(SDラット)(チャールズリバー、日本)を使用した。
【実施例】
【0082】
LC-MS/MS実験及び生化学実験は、イソフルランの吸入でラットを入眠させた後、専用の気化器を用いて1.5%の濃度で麻酔を維持して行った。化合物を、1μl/体重(g)の投与量となるよう調整した。ラットの頚部を切開し、頚静脈を露出させた後、化合物を、直視下で頚静脈よりインシュリンシリンジ(テルモ、日本)を用いて投与した。化合物の投与後、ラットを麻酔下で15分間維持し、その後、脳を摘出した。LC-MS/MS実験においては、摘出した全脳からBrain matrix(ASI instruments、アメリカ)を使用し、海馬領域を、前後2mmの厚さで回収し、組織重量を計測した後、1.5 mlのコニカルチューブに入れた。生化学実験においては、摘出した全脳からビブラトーム(VT1000;Leica、ドイツ)を使用して、海馬を含む厚さ400μmの急性脳切片を作成した。
【実施例】
【0083】
(LC-MS/MS実験)
測定条件の事前検討として、海馬組織を用いて化合物ごとに最適な希釈溶媒及び希釈倍率を決定した(表4)。
【表4】
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【実施例】
【0084】
サンプル回収後、コニカルチューブに事前検討した溶媒を既定量加えた。ホモジナイザーペッスルを用いて懸濁し、ハンディーソニケーター(UR-20P;トミー精工、日本)を用いて十分に破砕した。その後、ボルテックスし、それぞれ既定された条件下で遠心の後、上清を回収した。上清は、LC-MS/MSでの測定直前に既定の倍率で希釈した。海馬組織に含まれる化合物の濃度は、液体クロマトグラフィー及び四重極質量分析装置(UPLC-MS/MS、Aquity UPLC I-Classシステム、Xevo TQ-S、日本waters社、日本)を用いて測定した。UPLCでは2.1 mm i.d.×100 mm 1.8 μmのカラム(HSS T3、日本Waters、日本)を使用し、化合物ごとの移動相条件を事前検討し(表5)、その条件下で化合物の濃度を測定した。
【実施例】
【0085】
【表5】
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【実施例】
【0086】
質量分析において、化合物ごとにあらかじめ高濃度化合物を用いてMSメソッドを作成し(表6)、そのプロトコールに則って親イオンから娘イオンに分解を行い、MRM方式を用いて化合物の濃度を測定した。また、濃度測定に使用する検量線は、6~10週齢の薬剤非投与ラットをイソフルラン麻酔下に断頭して回収した海馬組織に、既知の濃度で各化合物を加えて作成したものを用いた。
【実施例】
【0087】
【表6】
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【実施例】
【0088】
(化合物の組織集積率の計算)
化合物ごとに測定条件の最適化を行った結果、生体への投与量や測定時の希釈倍率が異なることがわかった。従って、投与した化合物の何%が海馬に集積したかを示すため、以下の計算式を用いて、%ID/g(percentage injected dose per gram tissue)を算出した:
%ID/g = 測定値(pM)×希釈倍率×10/化合物の投与濃度(pmol/g)×体重(g)/組織重量(mg)

AMPA受容体に結合することが分かっている化合物5種類をラットに尾静脈から投与し、投与15分後に海馬組織を回収し、そこに蓄積する化合物濃度を測定ところ、PEPAの集積が最も高かった。この結果から、PEPAが最も血中から脳への移行率が高いことが示唆された。(図1)。
PEPAのメチル付与体であるK-2が、自身の結合領域以外の受容体に対して結合する能力を60の標的受容体に対して網羅的に調べた。その結果、他に結合しうる受容体はなく、PEPAの特異性が高いことが示唆された。
【表7】
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【実施例】
【0089】
(電気生理学実験)
7~8週齢の雄性SDラットを使用した。イソフルランによる麻酔下で断頭し、ビブラトーム(VT1000;Leica、ドイツ)を使用して、海馬を含む厚さ400μmの急性脳切片を作成した。該切片を、ACSF中で、60分間室温で静置した後、全細胞記録法によりAMPA電流を計測した。ACSFを3 ml/分の速度で還流する条件下で、100μM ピクロトキシン及び100μM DL-APVを投与して、AMPA電流のみを単離して計測した。
【実施例】
【0090】
記録電極は、CA1における錐体細胞に置き、刺激電極は、記録細胞から100~200μm離れたシャッファー線維上に置いた。全細胞記録は、細胞膜を-80 mVに電位固定して行い、30秒に一度の頻度で100マイクロ秒の刺激を加えて行った。5分間基底状態のAMPA電流を記録し、その後15分間PEPA又はK-2を加えたACSFで還流を行い、その後、PEPA又はK-2を含まない還流液下で30分間、AMPA電流を記録した。
【実施例】
【0091】
脳切片の静置時及び還流時は、常時ACSFを、95% O2/5% CO2で飽和させて使用した。ACSFの組成は、以下の通りである;119 mM NaCl, 2.5 mM KCl, 2.5 mM CaCl2, 1.5 mM MgSO4, 26 mM NaHCO3, 1 mM NaH2PO4。記録電極は、ガラス管(GD-1.5;成茂科学器械研究所、日本)を用いて先端抵抗が3-5MOhmとなるように作製し使用した。記録電極内充填液の組成は以下の通りである;115 mM CsMeSO4, 20 mM CsCl, 10 mM HEPES, 2.5 mM MgCl2, 4 mM Na2ATP, 0.4 mM Na3GTP, 10mM Na-ホスホクレアチニン(Na-phosphocreatinine), 0.6 mM EGTA。結果は、5分間の基底状態におけるAMPA電流の平均値を1として換算し、薬剤投与後30分間の記録のうち、最後の10分間のAMPA電流の平均値で示した。
【実施例】
【0092】
(生物学的実験)
海馬膜表面分画-7~8週齢の雄性SDラットを使用した。イソフルランによる麻酔下でK-2又は50% DMSOを経静脈的に投与し、15分後に断頭を行った。ビブラトームを使用して海馬を含む厚さ400μmの急性脳切片を作成し、該切片を60分間室温のACSFで静置した。続いて、膜表面タンパク質をビオチン化させるため、急性脳切片から海馬切片のみを摘出し、該切片を、2.0 mg/mlのビオチン(EZ Link Sulfo-NHS-Biotin;Thermo Scientific、アメリカ)を含んだACSF内で、45分間、4℃でゆっくりと撹拌した。ビオチン化後、該切片を1 mlの氷冷TBS, pH7.5で5回リンスし、150μlのホモジナイゼーションバッファー(Homogenization buffer) (150 mM NaCl, 0.5 mM EDTA, 0.1 mM EGTA, 1 mM HEPES, 20% Triton X100)内でペッスルにより懸濁した。さらに150μlのホモジナイゼーションバッファーを加え、ハンディーソニケーターを用いて超音波破砕した。その後、14,000×gで15分間、4℃で遠心分離を行い、上清(~300μl)を回収した。タンパク定量により上清のタンパク質濃度の均一化を行った後、50μlの上清を10μlの6×サンプルバッファーと混合し、100℃で5分間加熱して総タンパク質分画(total fraction)を回収した。また、ビオチン化された表面タンパク質を免疫沈降するため、150μlの残った上清を150μlのNeutrAvidinアガロース樹脂(Thermo Scientific、アメリカ)と混合し、16時間4℃で撹拌した。その後、2,000×g、1分間4℃で遠心を行い、上清を捨て、残ったビーズを1000μlのIPバファーで5回リンスした。続いて150μlの2×サンプルバッファーを加え、5分間加熱後、上清を回収し、膜タンパク質分画(surface fraction)を得た。
【実施例】
【0093】
定量的ウエスタンブロット-総タンパク質分画及び膜タンパク質分画を、ポリアクリルアミドゲル(Mini-PROTEAN TGX precast Gel;Bio-rad、アメリカ)で電気泳動後、PVDFメンブレンに転写した。メンブレンは、ブロッキング剤(Perfectblock;Mobitec、アメリカ) / TBS-T (137 mM NaCl, 2.68 mM KCl, 25 mM Tris, 0.1% Triton-X, PH7.6)で作製したブロッキング溶液で、1時間処置した。1次抗体は、Pan AMPA抗体/GluA2/3/4ウサギ抗体(1:1000、cell signaling technology、アメリカ)と、細胞内分画が膜タンパク質分画に混入していないことを確かめるため、GAPDH抗体(1:1000、cell signaling technology)とを用いて、ブロッキング溶液に1:1000で希釈し、1及び3時間、室温でそれぞれを反応させた。その後、TBS-Tで10分間、3回洗浄した後、抗ウサギ2次抗体(1:1000;Jackson ImmunoResearch、アメリカ)と1時間、室温で反応させた。続いて、TBS-Tで10分間の洗浄を3回行い、amersham ECL (GEヘルスケア・ジャパン、日本)を用いて、ケミルミ撮像装置(LAS4000mini;GE)でバンドを検出した。得られたバンドのシグナル強度を、Multi Gauge V3.0 (FUJIFILM、日本)によって定量解析した。
【実施例】
【0094】
(ラットを用いたインビボPET撮像)
PET撮像は、microPET(Focus 220;Siemens Medical Solution)を用いて行った。
ラットを用いたPET撮像実験:イソフルラン(DSファーマ アニマルヘルス、日本)でラットを入眠させた後、1.5%のイソフルラン濃度(空気 2 L/分)で麻酔を維持し、尾静脈より24Gサーフロー留置針(テルモ、日本)で静脈路を確保した。ラットをPET撮像台に固定した後、撮像の前に位置確認のための放射撮像を行った。その後、50% DMSO又は50% DMSOに溶解したK-2を経静脈的に投与し、その3分後に、放射性標識したK-2(約4 MBq)を投与した。PET撮像中は、体温をフィードバック型加温盤(BWT-100A;バイオリサーチセンター、日本)を用いて37±0.5℃に維持した。撮像後、静脈路を抜去し、イソフルラン投与を中止した後に、ラットをPET撮像台より外し、ホームケージに戻した。ラットは、撮像後1週間、撮像した部屋にて飼育し、その後、通常のラット集団飼育室に戻した。
【実施例】
【0095】
加算(Summation)画像を構成するとともに、0.5mm ハニング(Hanning)フィルターで裏写りを取り除いてダイナミック画像を再構成した。再構成画像は、PMOD画像分析ソフトウェア(PMOD technologies)を用いて、線条体、海馬、小脳、脳幹などの複数の領域を含むVOIsを、鋳型MRI画像上に作成したものと統合して解析した。定量に用いた算出値は%SUV(% of standardized uptake value)であり、以下の式で求めた;
%SUV = VOIで囲われた各組織の放射線量(MBq)/投与した放射線量(MBq)×体重(g)
【実施例】
【0096】
(実験結果)
(AMPA受容体認識化合物の特性評価)
合成した化合物のAMPA受容体への結合特性を評価するため、電気生理学及び生化学的手法を用いて解析を行った。成体ラットから作製した急性海馬切片を用いて、PEPAの15分間投与によりAMPA電流が有意に増加することを確認した(2.4±0.13、4動物からn=4;p=0.01 vs 基準)。また、K-2を用いて同様の実験を行い、K-2もAMPA電流が有意に増加することを確認した(1.7±0.22、4動物からn=5;p=0.01 vs 基準)(図2)。
【実施例】
【0097】
次にこのAMPA電流の増加がどういったメカニズムによるものかを生化学的に検討した。K-2を生体に投与したラットから海馬を含む脳切片を作成し、ビオチン化法により細胞膜表面に提示されたAMPA受容体を定量した。その結果、5 mg/kgのK-2の投与によりAMPA受容体の膜表面への移行が促進された(136%±14、5動物からn=5;p=0.05 vs 50% DMSO)。その一方で、同じ動物においてAMPA受容体の総量には変化を認めなかった(図3)。以上の結果より、K-2は急性的にAMPA受容体の表面提示量を増加させることがわかった。
【実施例】
【0098】
(AMPA受容体認識化合物K-2を用いたラットでのPET撮像)
K-2がAMPA受容体に対する結合を示すことが明らかとなったため、続いて、放射性標識化K-2をラットに投与し、インビボでのPET撮像を行った。その結果、ラットにおいて放射性標識化K-2は、極めて高い脳内への取り込みを示し、海馬、線条体、及び小脳を含む組織学的にAMPA受容体が多く存在することが知られている領域に特異的に集積された(図4左及び図5中(a))。
【実施例】
【0099】
次にK-2集積の特異性を検討するため、放射性標識化K-2の投与3分前に、非放射性標識化K-2を投与するブロッキング実験を行った。0.5 mg/kgの非放射性標識化K-2の前投与により、放射性標識化K-2の特異的集積は消失し、K-2がインビボにおいてAMPA受容体に対して特異的に結合することが明らかとなった(図4右及び図5中(b))。
【実施例】
【0100】
また、0.05 mg/kgの非放射性標識化K-2の前投与は、0.5 mg/kgのK-2の前投与に比して特異的結合の消失程度が少ないことから、ブロッキングにおける濃度依存性が示され、飽和的結合を示唆する結果となった(図6)。脳幹は、ブロッキングにより取り込みが変化しないため、この領域にはAMPA受容体の発現が少ないことがわかる(図5中(c)及び(d))。従って、脳幹を参照部位として海馬における放射性標識化K-2の取り込みの比を算出すると、放射性標識化K-2の投与後20~60分において高い特異的結合を示すことがわかった(図7)。特異的結合を、Logan Plot法により数値化した(図8)。非放射性標識化K-2を用いたブロッキング(図8中の灰色)によりBPnd (estimated binding potential)は有意に低下した。また特異的結合を示す値(図8中の黒色)は、生化学的にAMPA受容体の組織発現総量を調べた値(図9)と高い相関を示しており、放射性標識K-2を用いたインビボPET撮像は、AMPA受容体の分布を反映していることが明らかとなった。また、各脳領域におけるAMPA受容体の生化学的発現量(粗分画)と同領域におけるPET画像値は高い相関を示す(図10)。
【実施例】
【0101】
shRNAは特定のタンパク質の発現を特異的に抑制できる。AMPA受容体(GluA1~3)の発現抑制が可能なshRNAを、レンチウイルスを用いて左側線条体に発現させ、非機能shRNAであるスクランブルRNAを右側線条体に発現させた。結果、インビボPET画像ではshRNA側において放射性標識K-2の取り込み低下を認めた(図11)。また実施7匹におけるPET画像値の低下は約30%であった(図12)。この結果より、放射性標識K-2は生体内でAMPA受容体に対する高い特異性を示した。
【実施例】
【0102】
(略号の説明)
ACSF:人工脳脊髄液
AMPA:α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾール-プロピオン酸
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
DCM:ジクロロメタン
EA:酢酸エチル
PE:石油エーテル
PEPA:2-[2,6-ジフルオロ-4-({2-[(フェニルスルホニル)アミノ]エチル}チオ)フェノキシ]アセトアミド
PET:ポジトロン断層撮影法
TEA:テトラエチルアンモニウム
TMS:テトラメチルシラン
1-BCP:1-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イルカルボニル)-ピペリジン(1-(1,3-benzodioxol-5-ylcarbonyl)-piperidine)
SYM2206:(±)-4-(4-アミノフェニル)-1,2-ジヒドロ-1-メチル-2-プロピルカルボモイル-6,7-メチレンジオキシフタラジン((±)-4-(4-Aminophenyl)-1,2-dihydro-1-methyl-2-propylcarbamoyl-6,7-methylenedioxyphthalazine)
GYKI:4-(8-メチル-9H-[1,3]ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-5-イル)アニリン(4-(8-methyl-9H-[1,3]dioxolo[4,5-h][2,3]benzodiazepin-5-yl)aniline)
CX546:2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-7-イル-(1-ピぺリジル)メタノン(2,3-dihydro-1,4-benzodioxin-7-yl-(1-piperidyl)methanone)

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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【図12】
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