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明細書 :観察システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年6月7日(2018.6.7)
発明の名称または考案の名称 観察システム
国際特許分類 G02B  21/06        (2006.01)
G02B  21/36        (2006.01)
FI G02B 21/06
G02B 21/36
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 24
出願番号 特願2017-535578 (P2017-535578)
国際出願番号 PCT/JP2016/074265
国際公開番号 WO2017/030194
国際出願日 平成28年8月19日(2016.8.19)
国際公開日 平成29年2月23日(2017.2.23)
優先権出願番号 2015161758
優先日 平成27年8月19日(2015.8.19)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】臼杵 深
【氏名】▲高▼田 智裕
出願人 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100124800、【弁理士】、【氏名又は名称】諏澤 勇司
審査請求 未請求
テーマコード 2H052
Fターム 2H052AA00
2H052AB26
2H052AB29
2H052AC09
2H052AC27
2H052AC33
2H052AD16
2H052AF02
2H052AF25
要約 安価なシステムで、外乱が生じた場合であっても正しい高分解能画像を安定して得ることを目的とする。所定範囲のコヒーレント長を有する光源2と、光源2からの第1及び第2の光を観察対象物Sへ導く第1及び第2の光路3,4と、第1及び第2の光による第1の干渉縞を生成させる干渉縞生成部6と、第1及び第2の光の内の観察対象物Sによる第1及び第2の反射光による第2の干渉縞の光強度分布を測定する測定部12と、第2の干渉縞の光強度分布の変位量に基づき第1の干渉縞における位相のシフト量を算出する演算部13と、を備える。
特許請求の範囲 【請求項1】
所定範囲のコヒーレント長を有する光源と、
第1の光路長を有し、前記光源から発せられる光の一部である第1の光を前記光源から観察対象物へ導く第1の光路と、
第2の光路長を有し、前記光の残部である第2の光を前記光源から前記観察対象物へ導く第2の光路と、
前記第1の光及び前記第2の光を干渉させて前記観察対象物上に第1の干渉縞を生成させる干渉縞生成部と、
前記第1の光の内の前記観察対象物によって反射された第1の反射光と、前記第2の光の内の前記観察対象物によって反射された第2の反射光との干渉によって生成される第2の干渉縞の光強度分布を測定する測定部と、
前記測定部に接続された演算部と、
を備え、
前記演算部は、
前記第2の干渉縞における前記光強度分布の変位量に基づいて前記第1の干渉縞における位相のシフト量を算出する、
観察システム。
【請求項2】
前記第1の光路長又は前記第2の光路長を伸縮させる第1の光路長調整部と、
前記第1の干渉縞を呈する前記第1の光及び前記第2の光の内の前記観察対象物によって散乱された光の像分布を撮像する撮像部と、
第3の光路長を有し、前記第1の反射光を導く第3の光路と、
第4の光路長を有し、前記第2の反射光を導く第4の光路と、をさらに備え、
前記測定部は、前記第3の光路及び前記第4の光路の終端に設けられ、
前記演算部は、前記撮像部にも接続され、前記シフト量に応じた前記位相と、当該位相を有する前記第1の干渉縞に対応した前記像分布と、に基づいて前記観察対象物の形状分布を算出する、
請求項1記載の観察システム。
【請求項3】
前記演算部は、
互いに異なる少なくとも3つの前記位相と、これらの前記位相をそれぞれ有する少なくとも3つの前記第1の干渉縞に対応した少なくとも3つの前記像分布と、に基づいて前記観察対象物の形状分布を算出する、
請求項2記載の観察システム。
【請求項4】
前記測定部は、互いに異なる少なくとも3つの前記位相に対応する前記シフト量が前記演算部によって算出されるまで、前記光強度分布の測定を継続する、請求項3記載の観察システム。
【請求項5】
前記干渉縞生成部は、
前記第1の光路の終端に設けられ、前記第1の光を前記観察対象物上へ投光する第1の投光部と、
前記第3の光路の始端に設けられ、前記観察対象物を介して前記第1の投光部と対向する位置に配置され、前記第1の反射光を受光する第1の受光部と、
前記第2の光路の終端に設けられ、前記第2の光を前記観察対象物上へ投光する第2の投光部と、
前記第4の光路の始端に設けられ、前記観察対象物を介して前記第2の投光部と対向する位置に配置され、前記第2の反射光を受光する第2の受光部と、
を有する、
請求項2~4の何れか一項記載の観察システム。
【請求項6】
前記第1の投光部から前記第1の受光部へ前記第1の光が進行する第1の方向と、前記第2の投光部から前記第2の受光部へ前記第2の光が進行する第2の方向と、が前記観察対象物に対する平面視において略直交する、
請求項5記載の観察システム。
【請求項7】
前記第3の光路長又は前記第4の光路長を伸縮させる第2の光路長調整部を更に備える、
請求項2~6の何れか一項記載の観察システム。
【請求項8】
前記所定範囲のコヒーレント長は、レーザ光源のコヒーレント長より短い、
請求項1~7の何れか一項記載の観察システム。
【請求項9】
前記所定範囲のコヒーレント長は、1μm以上100μm以下である、
請求項1~8の何れか一項記載の観察システム。
【請求項10】
前記光源は、SLD光源又はLED光源である、
請求項1~9の何れか一項記載の観察システム。
【請求項11】
前記測定部は、ラインセンサである、
請求項1~10の何れか一項記載の観察システム。
【請求項12】
前記観察対象物から前記撮像部へ向かう軸線回りに回転可能に前記観察対象物を保持する回転台を更に備える、請求項2~7の何れか一項記載の観察システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、観察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学顕微鏡を用いて高い空間分解能を実現する顕微法として、変調照明顕微法(SIM:Structured Illumination Microscopy)が知られている。変調照明顕微法では、観察対象物について計測、外観検査等といった観察を行う場合、縞模様の光強度分布を有する光(変調照明)を観察対象物へ照射し、これにより引き起こされるモアレ効果によって、光学顕微鏡の回折限界よりも高い空間周波数の情報を低周波側にシフトさせる。そして、その情報を有する像分布を光学顕微鏡により取得し、その像分布に対して信号処理を行うことで高周波の情報を再現する。このようにして、変調照明顕微法を用い高分解能画像を得ることができる。
【0003】
変調照明顕微法を用いた観察システムとして、例えば非特許文献1には、レーザ光源と、レーザ光源から発せられるレーザ光の一部を観察対象物へ導く光路と、レーザ光の残部を観察対象物へ導く別の光路と、上記光路の光路長を伸縮させるステージと、を備える観察システムが開示されている。この観察システムでは、レーザ光の一部及び残部を干渉させて観察対象物上に干渉縞を生成させ、観察対象物により散乱された光を撮像し、撮像された像分布に基づいて観察対象物の形状分布を算出している。
【0004】
ところで、この観察システムは、互いに異なる位相を有する干渉縞を生成するために、ステージを動作させて各光路の光路長差を増減させる。しかしながら、この観察システムでは、光源としてコヒーレント長の長いレーザ光源を用いるため、干渉縞と、その位相が1波長シフトする毎に生成される干渉縞と、を外観上見分けることは困難である(波長毎の不確定性)。一方、観察対象物の形状分布を正しく算出するためには、干渉縞の位相のシフト量を精度良く検出する必要がある。そこで、この観察システムでは、ステージの駆動にピエゾアクチュエータを用いることで、ステージを微小な変位量で精密に駆動可能とし、干渉縞の位相を精度良く制御して当該位相のシフト量を精度良く検出している。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】臼杵深、高田智裕、三浦憲二郎、「2014年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集」、2014年、p.69-70
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、変調照明顕微法は、光学顕微鏡を用いた観察方法であることから、他の顕微法に比較して観察に要する時間が短く、且つ、非破壊での検査が可能であるという利点を有しているため、例えば工場の生産現場等においても実施されることが望まれている。しかしながら、生産現場等では、実験室等に比較して振動や温度変化といった外乱が生じ易い。このため、上記の観察システムでは、例えば振動により各光路の光路差が変動したり、温度変化により温度ドリフトが生じたりする場合がある。このような場合、干渉縞と観察対象物とが相対的に移動してしまい、波長毎の不確定性のために干渉縞の位相のシフト量を精度良く検出することが困難となり、その結果、正しい高分解能画像を安定して得ることが難しくなる。このような事情から、変調照明顕微法は、外乱の生じ難い実験室等における生物学分野の蛍光観察においてのみ実施されている。
【0007】
また、変調照明顕微鏡は、干渉縞の位相を精度良く検出するためにピエゾアクチュエータ等の高精度な位置決め機構を必要とするため、一般に高価であり、より安価に提供されることが望まれている。
【0008】
本発明の一形態は、上記課題に鑑みて為されたものであり、安価で、外乱が生じた場合であっても正しい高分解能画像を安定して得ることが可能な観察システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一側面の観察システムは、所定範囲のコヒーレント長を有する光源と、第1の光路長を有し、光源から発せられる光の一部である第1の光を光源から観察対象物へ導く第1の光路と、第2の光路長を有し、光の残部である第2の光を光源から観察対象物へ導く第2の光路と、第1の光及び第2の光を干渉させて観察対象物上に第1の干渉縞を生成させる干渉縞生成部と、第1の光の内の観察対象物によって反射された第1の反射光と、第2の光の内の観察対象物によって反射された第2の反射光との干渉によって生成される第2の干渉縞の光強度分布を測定する測定部と、測定部に接続された演算部と、を備え、演算部は、第2の干渉縞における光強度分布の変位量に基づいて第1の干渉縞における位相のシフト量を算出する。
【0010】
このような観察システムによれば、光源から観察対象物へ第1の光路によって導かれた第1の光、及び、光源から観察対象物へ第2の光路によって導かれた第2の光が干渉縞生成部によって干渉し第1の干渉縞が生成される。一方、第1の光の内の観察対象物によって反射された第1の反射光と、第2の光の内の観察対象物によって反射された第2の反射光とが干渉し第2の干渉縞が生成され、その第2の干渉縞の光強度分布が測定部によって測定される。光源は所定範囲のコヒーレント長を有するため、第2の干渉縞の光強度分布は、その包絡線に一つのピークを有している。第2の干渉縞の光強度分布の変位量は、包絡線のピークの変位量を測定することによって取得される。従って、第1の干渉縞の位相が1波長以上シフトした場合であっても、第1の干渉縞における波長毎の不確定性の影響を受けず、第2の干渉縞の光強度分布における包絡線のピークの変位量に基づいて第1の干渉縞の位相のシフト量を検出することができる。また、例えば振動や温度変化といった外乱が生じた場合であっても、第1の干渉縞の位相のシフト量を精度良く検出することができる。これにより、演算部は、観察対象物の形状分布を正しく算出できる。更に、この観察システムは、第1の干渉縞の位相のシフト量を精度良く検出するためにピエゾアクチュエータ等の高精度な位置決め機構を必要とせず、一例としてステッピングモータを利用したアクチュエータ等の比較的精度の低い位置決め機構を用いることが可能であるため、安価に提供される。以上により、安価なシステムによって、外乱が生じた場合であっても正しい高分解能画像を安定して得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一側面によれば、安価なシステムによって、外乱が生じた場合であっても正しい高分解能画像を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る観察システムを示す概略構成図である。
【図2】図1の干渉縞生成部を示す概略側面図である。
【図3】図1の干渉縞生成部を示す概略側面図である。
【図4】低コヒーレンス光による第1の干渉縞の形状特性を示す図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】測定部によって測定された光強度分布を示す図である。
【図7】周波数空間における顕微鏡の通過帯域を示す図である。
【図8】変調照明により周波数空間において3方向へ移動した通過帯域を示す図である。
【図9】観察対象物の一例を示す図である。
【図10】撮像部によって撮像された像分布を示す図である。
【図11】図10の像分布に対しフーリエ変換を行った画像を示す図である。
【図12】図11の画像に対し干渉系情報による周波数分離を行った画像を示す図である。
【図13】画像再構成を行った高分解能画像を示す図である。
【図14】従来の観察システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る観察システムの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。

【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る観察システムを示す概略構成図、図2及び図3は、図1の干渉縞生成部を示す概略側面図である。図1に示すように、観察システム1は、変調照明顕微法を用い、観察対象物Sの高分解能画像を得ることが可能な変調照明顕微鏡である。観察システム1は、光源2と、光源2から発せられる光を導く第1の光路3及び第2の光路4と、第2の光路4の途中に設けられた第1の光路長調整部5と、第1の光路3及び第2の光路4の終端に設けられた干渉縞生成部6と、観察対象物Sが載置される回転台7と、回転台に載置された観察対象物Sを撮像する撮像部8と、干渉縞生成部6から出力される光を導く第3の光路9及び第4の光路10と、第4の光路10の途中に設けられた第2の光路長調整部11と、第3の光路9及び第4の光路10の終端に設けられた測定部12と、撮像部8及び測定部12からの情報に基づき観察対象物Sの形状分布を算出する演算部13と、を備えている。

【0015】
光源2は、低コヒーレンス光源である。低コヒーレンス光源から発せられる光(低コヒーレンス光)は、例えばレーザ光に比較してスペクトル幅が広く、可干渉距離(コヒーレント長)が短い。すなわち、光源2は、長い(例えば、数十m程度)コヒーレント長を有するレーザ光源に比較して短い(例えば、1μm以上100μm以下)コヒーレント長を有する光源である。光源2は、例えばSLD(Super Luminescent Diode)光源、LED(Light EmittingDiode)光源等とすることができる。本実施形態では、光源2は、波長669nm、スペクトル半値全幅7nm、コヒーレント長32μmのSLDである。

【0016】
第1の光路3は、第1の光路長を有し、光源2から発せられる光の一部である第1の光を光源2から観察対象物Sへ導く光路である。第2の光路4は、第2の光路長を有し、光源2から発せられる光の残部である第2の光を光源2から観察対象物Sへ導く光路である。第1の光及び第2の光は、光源2から発せられ、光路上に設けられたビームスプリッタ20によって互いに分岐され、各々干渉縞生成部6に至る。第1の光及び第2の光は、光源2からビームスプリッタ20までの間においては、互いに区別なく同一の光路とされている。ここでは、第1の光はビームスプリッタ20を透過する光であり、第2の光はビームスプリッタ20により反射される光である。第1の光路3及び第2の光路4は、光源2からビームスプリッタ20までの間にコリメートレンズ21を備えている。これにより、第1の光路3及び第2の光路4を各々進行する第1の光及び第2の光は、コリメートレンズ21によって平行光とされる。

【0017】
第1の光路3には、ビームスプリッタ20の出射側に別のビームスプリッタ22が設けられている。第1の光路3は、ビームスプリッタ22の出射側に、ビームスプリッタ22により反射された光の光路3aを有する。これにより、第1の光路3を進行する第1の光は、ビームスプリッタ20を透過した後、ビームスプリッタ22により反射され、その後、干渉縞生成部6に入力される。

【0018】
第2の光路4を進行する第2の光は、ビームスプリッタ20の出射側で第1の光路長調整部5に到達し、第1の光路長調整部5にて折り返されて再びビームスプリッタ20に到達する。第2の光路4は、ビームスプリッタ20の折り返された光の出射側に、ビームスプリッタ20を透過した第2の光の光路4aを有する。これにより、第2の光路4を進行する第2の光は、ビームスプリッタ20により一度反射され、第1の光路長調整部5にて折り返された後、ビームスプリッタ20を透過し、その後、干渉縞生成部6に入力される。このように、第1の光及び第2の光は、何れもビームスプリッタを一度透過し、且つ、一度反射されるため、干渉縞生成部6に至るときには、互いに略同等の光強度となっている。

【0019】
第1の光路長調整部5は、ミラー23と、ミラー23を移動させるモジュレータ24と、を有している。第1の光路長調整部5は、第2の光路4を進行する第2の光をミラー23で反射させて折り返させると共に、モジュレータ24によりミラー23を移動させて第2の光路長を伸縮させる機構である。

【0020】
モジュレータ24は、ミラー23を第2の光路4に沿って往復移動させる。これにより、モジュレータ24は、ビームスプリッタ20とミラー23との間の距離を伸縮させ、その結果、第2の光路長を伸縮させる。モジュレータ24としては、ピエゾアクチュエータ等の極めて高精度に変位量を制御可能なモジュレータに限らず、ピエゾアクチュエータ等に比較して変位量の制御の精度が低いステッピングモータを利用したアクチュエータ等を用いることもできる。なお、モジュレータ24は、ステッピングモータを利用したアクチュエータ等に限定されず、ミラー23を第2の光路4に沿って移動可能な機構であればよい。

【0021】
回転台7は、観察対象物Sを保持するステージを含み、そのステージが水平面(図中のX-Y平面)内に位置するように配置されて構成される。回転台7は、観察対象物Sの観察しようとする面が上向きとなるように、観察対象物Sをステージ上に保持する。回転台7は、ステージを鉛直方向(図中のZ軸方向)の軸線A回りに回転可能とする。従って、ステージ上に載置された観察対象物Sは、ステージにより鉛直方向の軸線A回りに回転可能に保持される。なお、軸線Aは、必ずしも鉛直方向に限らず、観察対象物Sから撮像部8へ向かう方向であればよい。この場合、回転台7は、ステージが軸線Aに対する垂直平面上に位置し、観察対象物Sの観察しようとする面が撮像部8側を向くように配置されればよい。

【0022】
干渉縞生成部6は、第1の光及び第2の光を干渉させて観察対象物S上に第1の干渉縞を生成させる。干渉縞生成部6によって生成された第1の干渉縞が、観察システム1における変調照明(すなわち、光の干渉を用いた定在波照明)として利用される。図4は、低コヒーレンス光による第1の干渉縞の形状特性を示す図、図5は、図4の部分拡大図である。ここでは、光源2として低コヒーレンス光源を用いているため、第1の干渉縞は、低コヒーレンス光源のコヒーレント長程度の範囲(例えば、30μm程度の範囲)で生成されており(図4参照)、一定の周期で強度が変化している(図5参照)。干渉縞生成部6は、回転台7を取り囲むように配置された第1の投光部30、第1の受光部31、第2の投光部32及び第2の受光部33を有する。

【0023】
第1の投光部30は、第1の光路3の終端に設けられており、観察対象物Sに対し第1の光を斜め上方から投光する。第1の投光部30は、ミラー30a及びミラー30bを含み、略水平方向に進行する第1の光を、ミラー30aによって略鉛直方向の上方に反射させた後、ミラー30bによって斜め下方に反射させ、観察対象物Sに対し投光する。一例として、第1の投光部30は、観察対象物Sに対する入射角(すなわち、観察対象物Sに対して投光される第1の光の光路と、軸線Aと、のなす角度)が45degとなるように第1の光を投光する。なお、第1の光の入射角の下限は、対物レンズ34によって第1の光の光路が妨げられない範囲の最小の角度である。また、第1の投光部30は、ミラーを用いた構成に限定されず、例えば、第1の光路3を、光ファイバーによって屈曲させることによって、観察対象物Sに対し斜め上方から投光する構成としてもよい。

【0024】
第1の受光部31は、第3の光路9(詳しくは後述)の始端に設けられており、第1の光の内の観察対象物Sによって反射された第1の反射光を、観察対象物Sに対し斜め上方にて受光する。第1の受光部31は、観察対象物Sを介して第1の投光部30と対向する位置に配置されている。第1の受光部31は、ミラー31a及びミラー31bを含み、観察対象物Sから受光した第1の反射光を、ミラー31aによって略鉛直方向の下方に反射させた後、ミラー31bによって略水平方向に反射させ、第3の光路9へ出力する。なお、第1の受光部31は、ミラーを用いた構成に限定されず、例えば、観察対象物Sに対し斜め上方にて第1の反射光を受光し、光ファイバーによって屈曲させることによって、第3の光路9へ出力する構成としてもよい。

【0025】
第2の投光部32は、第2の光路4の終端に設けられており、観察対象物Sに対し第2の光を斜め上方から投光する。第2の投光部32は、ミラー32a及びミラー32bを含み、略水平方向に進行する第2の光を、ミラー32aによって略鉛直方向の上方に反射させた後、ミラー32bによって斜め下方に反射させ、観察対象物Sに対し投光する。一例として、第2の投光部32は、観察対象物Sに対する入射角(すなわち、観察対象物Sに対して投光される第2の光と、軸線Aと、のなす角度)が45degとなるように第2の光を投光する。なお、第2の光の入射角の下限は、対物レンズ34によって第2の光の光路が妨げられない範囲の最小の角度である。また、第2の投光部32は、ミラーを用いた構成に限定されず、例えば、第2の光路4を、光ファイバーによって屈曲させることによって、観察対象物Sに対し斜め上方から投光する構成としてもよい。

【0026】
第2の受光部33は、第4の光路10(詳しくは後述)の始端に設けられており、第2の光の内の観察対象物Sによって反射された第2の反射光を、観察対象物Sに対し斜め上方にて受光する。第2の受光部33は、観察対象物Sを介して第2の投光部32と対向する位置に配置されている。第2の受光部33は、ミラー33a及びミラー33bを含み、観察対象物Sから受光した第2の反射光を、ミラー33aによって略鉛直方向の下方に反射させた後、ミラー33bによって略水平方向に反射させ、第4の光路10へ出力する。なお、第2の受光部33は、ミラーを用いた構成に限定されず、例えば、観察対象物Sに対し斜め上方にて第2の反射光を受光し、光ファイバーによって屈曲させることによって、第4の光路10へ出力する構成としてもよい。

【0027】
干渉縞生成部6において、第1の投光部30から第1の受光部31へ第1の光が進行する第1の方向(図中のX軸方向)と、第2の投光部32から第2の受光部33へ第2の光が進行する第2の方向(図中のY軸方向)と、は観察対象物Sに対する平面視(図中のZ軸方向視)において略直交する。また、干渉縞生成部6において、各投光部及び各受光部に設けられたミラー30a,30b,31a,31b,32a,32b,33a,33bは可動とされ、観察対象物Sの最適な位置に第1の光及び第2の光を投光可能である。

【0028】
第1の投光部30及び第2の投光部32によって各々観察対象物S上に投光される第1の光及び第2の光は、観察対象物S上において第1の干渉縞を生成する。第1の光路3及び第2の光路4は、各々第1の光路長及び第2の光路長を有しており、第1の干渉縞は、これら第1の光路長及び第2の光路長の光路長差に応じて位相が異なる。従って、第1の光路長調整部5の動作によって第2の光路長が伸縮すると、第1の光路長及び第2の光路長の光路長差が伸縮し、第1の干渉縞の位相がシフトする。

【0029】
撮像部8は、第1の干渉縞を呈する第1の光及び第2の光の内の観察対象物Sによって散乱された光の像分布を撮像する。撮像部8は、回転台7のZ軸方向上方に配置され、観察対象物Sを上方から撮像する。撮像部8は、散乱光の像を拡大するための対物レンズ34及び光学顕微鏡35と、拡大された散乱光の像を像分布として検出する検出器36と、を備えている。対物レンズ34としては、例えば10倍(NA0.28)、20倍(NA0.28)、50倍(NA0.42)、100倍(NA0.55)等の対物レンズを好適に用いることができる。また、検出器36としては、例えばCCDカメラ等を用いることができる。

【0030】
第3の光路9は、第3の光路長を有し、第1の光の内の観察対象物Sによって反射された第1の反射光を測定部12へ導く光路である。第4の光路10は、第4の光路長を有し、第2の光の内の観察対象物Sによって反射された第2の反射光を測定部12へ導く光路である。

【0031】
第3の光路9には、その始端に第1の受光部31が設けられ、その出射側にビームスプリッタ26が設けられている。第3の光路9は、ビームスプリッタ26の出射側に、ビームスプリッタ26により反射された第1の反射光の光路9aを有する。また、第3の光路9には、ビームスプリッタ26の出射側に別のビームスプリッタ27が設けられている。第3の光路9は、ビームスプリッタ27の出射側に、ビームスプリッタ27を透過した第1の反射光の光路を有する。これにより、第3の光路9を進行する第1の反射光は、ビームスプリッタ26により反射された後、ビームスプリッタ27を透過し、その後、測定部12へ入力される。

【0032】
第4の光路10には、その始端に第2の受光部33が設けられ、その出射側にビームスプリッタ27が設けられている。第4の光路10は、ビームスプリッタ27の出射側に、ビームスプリッタ27を透過した第2の反射光の光路10aを有する。また、第4の光路10を進行する第2の反射光は、ビームスプリッタ27の出射側で第2の光路長調整部11に到達し、第2の光路長調整部11にて折り返されて再びビームスプリッタ27に到達する。第4の光路10は、ビームスプリッタ27の折り返された光の出射側に、ビームスプリッタ27により反射された第2の反射光の光路を有する。これにより、第4の光路10を進行する第2の反射光は、ビームスプリッタ27を一度透過し、第2の光路長調整部11にて折り返された後、ビームスプリッタ27にて反射され、その後、測定部12に入力される。このように、第1の反射光及び第2の反射光は、何れもビームスプリッタを一度透過し、且つ、一度反射されるため、測定部12に至るときには、互いに略同等の光強度となっている。

【0033】
第2の光路長調整部11は、可動式のミラー25を有している。第2の光路長調整部11は、第4の光路10を進行する第2の反射光をミラー25で反射させて折り返させると共に、ミラー25を移動させて第4の光路長を伸縮させる機構である。第2の光路長調整部11は、ミラー25を移動させることによりビームスプリッタ27とミラー25との間の距離を伸縮させ、その結果、第4の光路長を伸縮させる。なお、第2の光路長調整部11は、ミラー23の移動を手動で行う構成としてもよく、或いは、ステッピングモータを利用したアクチュエータ等を用いて電動で行う構成としてもよい。

【0034】
測定部12は、第3の光路9及び第4の光路10の終端に設けられ、第1の反射光及び第2の反射光の干渉によって生成される第2の干渉縞の光強度分布を測定する。測定部12は、本実施形態においては、第2の干渉縞の光強度分布を2次元的に測定可能なエリアセンサである。

【0035】
第2の干渉縞は、第1の光における光源2から測定部12までの光路長と、第2の光における光源2から測定部12までの光路長と、の光路差に応じて、光強度分布が位相方向(すなわち、各縞に直交する方向)に変位する。このため、第1の光における光源2から測定部12までの光路長と、第2の光における光源2から測定部12までの光路長と、の光路差に変化が生じた場合、その変化量は、第2の干渉縞の光強度分布の基準位置からの変位量に基づいて算出可能である。図6は、測定部によって測定された光強度分布を示す図である。図6では、第1の光路長調整部5により第2の光路長を伸縮させたときの第2の干渉縞の光強度分布の変位を示している。図6の(a)は、第2の光路長を任意の値(初期値)としたときの第2の干渉縞の光強度分布を示しており、図6の(b)は、第2の光路長が初期値から0.1μm変化するように第1の光路長調整部5を操作したときの第2の干渉縞の光強度分布を示しており、図6の(c)は、第2の光路長が初期値から0.2μm変化するように第1の光路長調整部5を操作したときの第2の干渉縞の光強度分布を示している。

【0036】
上述したように、第3の光路長及び第4の光路長が変化しない場合、第2の干渉縞の光強度分布の変位量に基づいて、第1の光路長及び第2の光路長の光路長差の変化量を算出可能である。また、第1の光路長及び第2の光路長の光路長差の変化量に応じて、第1の干渉縞の位相がシフトする。以上により、第2の干渉縞の光強度分布の変位量を測定することにより、第1の干渉縞の位相の正確なシフト量を得ることが可能である。

【0037】
演算部13は、撮像部8及び測定部12に接続され、撮像部8によって撮像された像分布と、測定部12によって測定された第2の干渉縞の光強度分布と、を取得する。そして、演算部13は、第2の干渉縞における光強度分布の変位量に基づいて第1の干渉縞における位相のシフト量を算出する。また、演算部13は、算出した第1の干渉縞における位相のシフト量に応じた位相と、当該位相を有する第1の干渉縞を呈する第1の光及び第2の光の内の観察対象物Sによって散乱された光の像分布と、に基づいて観察対象物Sの形状分布を算出する。

【0038】
具体的には、演算部13は、変調照明顕微法に基づき、観察対象物Sの形状分布を算出するために以下の処理を行う。図7は、周波数空間における顕微鏡の通過帯域を示す図、図8は、変調照明により周波数空間において3方向へ移動した通過帯域を示す図である。図7においてk及びkは周波数空間座標系であり、円の内側が顕微鏡で解像できる周波数であることを概念的に表している。図7の(a)は、空間周波数における顕微鏡の通過帯域を表し、原点からk離れた周波数まで解像できることを表している。図7の(b)は、変調照明による通過帯域の移動を表している。観察対象物Sに対し干渉縞生成部6によって生成された第1の干渉縞が照射されると、観察対象物Sによって散乱された光の像分布では、通過帯域が周波数空間座標系の原点からkだけ離れた位置に移動している。これにより、顕微鏡の分解能は、kの矢印正方向においてk+kに分解能が向上することとなる一方、kの矢印負方向においてk-kに分解能が低下することとなる。このように、第1の干渉縞として一方向の縞模様のみを用いた場合には、通過帯域が移動するのみであり全体として高分解能画像を得ることはできない。そこで、図8に示すように、観察システム1では、第1の干渉縞として複数方向(ここでは、3方向)の縞模様を用い、且つ、各々正負両方向に通過帯域を移動させている。これにより、周波数空間座標系における略全方向へ通過帯域が拡張され、顕微鏡の分解能が向上することとなる。

【0039】
ただし、このようにして得られる像分布は、モアレ効果により得られたモアレ信号であり、この像分布から直接高周波成分を得ることはできない。そこで、下記式(1)を解いて画像の再構成処理を行う。ここで、kは空間周波数、fは変調照明の空間周波数、θ,θ,θは変調照明の互いに異なる3つの位相であり、D(k)は結像帯域、OFT(k)は光学的伝達関数、S(k)は観察対象物帯域を表す。OFT(k)は、顕微鏡の対物レンズ34や光源波長等により定められる点像分布関数を、フーリエ変換により周波数空間で表したものである。下記式(1)によれば、観察対象物帯域を高周波側に±fだけ平行移動させた情報が得られる。下記式(1)は、S(k),S(k-f),S(k+f)の3つの未知数が含まれているため、3つの変調照明に対応した3つの像分布を取得することによりD(k),D(k),D(k)を得て、3つの方程式を連立させるものである。このようにして得られたS(k),S(k-f),S(k+f)を適切な重みづけを行い足し合わせることで、数値計算により高分解能画像が再構成される。以上より、変調照明顕微法を用いて高分解能画像を得るためには、第1の干渉縞(変調照明)の位相を正しく検出することが必要であることがわかる。
【数1】
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【0040】
上述したように、上記式(1)を解くためには、変調照明の互いに異なる3つの位相θ,θ,θが必要である。測定部12は、変調照明の互いに異なる3つの位相θ,θ,θに対応する第1の干渉縞のシフト量が、演算部13によって算出されるまで、光強度分布の測定を継続する(繰り返す)。これにより、例えば演算部13によって算出されたシフト量に応じた3つの位相θ,θ,θの内の複数が、互いに同じ位相であったときでも、上記式(1)を解くために必要となる互いに異なる3つの位相が揃うまで、測定部12は、光強度分布の測定を継続することとなる。

【0041】
続いて、観察システム1による観察対象物Sの観察結果の具体例を説明する。

【0042】
図9は、観察対象物Sの一例を示す図である。図9に示すように、観察対象物Sとして、二種のピッチを有するスクエアドット群を用いて観察を行った。この観察対象物Sは、平板上に周期的に突起を配列したものである。各突起は、図中のL1,L2等で示す一辺が0.2μmの立方体状を呈する。突起は、図中のL3で示すピッチが0.4μmであるドットペア(一対のドット)を形成しており、これらドットペアは、図中のL4,L5で示すピッチが2.2μmとなるように配列している。

【0043】
第1の光路長調整部5としては、ステッピングモータを利用したアクチュエータを用いた。このステッピングモータを利用したアクチュエータは、1パルス2μmであり、且つ、パルス分割可能である。ここでは、パルスを20分割して1パルス0.1μmとした。また、光源2の波長λを669nm、入射角θを45degとした。以上により、ステッピングモータを利用したアクチュエータが初期値から1パルス分(0.1μm)及び2パルス分(0.2μm)変化するように当該ステッピングモータを利用したアクチュエータを操作したとき、第1の干渉縞の位相のシフト量の操作値(指示値)は、それぞれ1.33rad、2.66radと算出された。一方、このとき第2の干渉縞の光強度分布の変位量に基づいて検出した第1の干渉縞の位相のシフト量は、それぞれ6.33rad、4.98radであった。このように、ステッピングモータを利用したアクチュエータの実際の移動量は、操作値とは異なっていることが確認された。

【0044】
画像再構成を行うためには、撮像部8により散乱光の像分布を撮像する際における第1の干渉縞の位相が分かればよい。しかし、第1の光路長調整部5の操作値に基づいて第1の干渉縞の位相の正しいシフト量を安定して算出するためには、第1の光路長及び第2の光路長を高精度に維持し、且つ、支持台等の振動といった外乱も排除する必要があることがわかる。

【0045】
一方、観察システム1では、散乱光の像分布を撮像する際における第1の干渉縞の位相を測定部12によって算出できる。このため、観察システム1では、撮像部8による散乱光の像分布の撮像と、測定部12による第2の干渉縞の光強度分布の測定と、が同期していれば、画像再構成を行うことができる。ここでいう「同期」とは、撮像部8による散乱光の像分布の撮像した時の第2の干渉縞の光強度分布を、測定部12によって測定することであり、例えば、撮像部8と測定部12の露光(シャッタ)タイミングを揃えるということである。

【0046】
従って、観察システム1では、第1の干渉縞の位相のシフト量を精度良く検出するためにピエゾアクチュエータ等の高精度な位置決め機構を必要とせず、また、振動や温度変化といった外乱の影響を排除し易い。以上により、観察システム1では、安価で、外乱が生じた場合であっても正しい高分解能画像を安定して得ることが可能となる。

【0047】
図10は、撮像部によって撮像された像分布を示す図である。図10は、光源2から発せられる低コヒーレンス光を、第1の光路3を進行する第1の光と、第2の光路4を進行する第2の光と、に分岐させ、干渉縞生成部6により観察対象物S上に第1の干渉縞を生成させ、第1の干渉縞を呈する第1の光及び第2の光の内の観察対象物Sによって散乱された光の像分布を撮像部8によって撮像したものである。図10の(a)は、第2の光路長を任意の値(初期値)としたとき(すなわち、図6の(a)の状態)の像分布である。図10の(b)は、第2の光路長が初期値から0.1μm変化するように第1の光路長調整部5を操作したとき(すなわち、図6の(b)の状態)の像分布である。図10の(c)は、第2の光路長が初期値から0.2μm変化するように第1の光路長調整部5を操作したとき(すなわち、図6の(c)の状態)の像分布である。なお、図10においてはモアレ効果によりドットが部分的に解像できるが、全体として分解能が向上したものではない。図11は、図10の像分布に対しフーリエ変換を行った画像を示す図である。図11の(a)~(c)は、それぞれ図10の(a)~(c)に対応する画像である。

【0048】
図12は、図11の画像に対し干渉系情報による周波数分離を行った画像を示す図である。すなわち、図12は、図11に示す像分布と、これらの像分布に対応する第2の干渉縞の光強度分布の変位量に基づいて算出された第1の干渉縞の位相と、から算出された周波数分離画像であり、上記式(1)におけるS(k),S(k-f),S(k+f)に対応する。図12の(a)~(c)は、それぞれ図11の(a)~(c)に対応する画像である。図12の画像は、図11の画像に比較して、図12の(b),(c)において高周波成分が分離されて明瞭に観察される一方で、原点付近の光強度は低下している。

【0049】
図13は、画像再構成を行った高分解能画像を示す図である。すなわち、図13の画像は、図12の(a),(b),(c)の画像を足し合わせ、逆フーリエ変換した画像である。図13の画像は、図9に示す観察対象物Sについて、L3で示す各ドットペアが正しく分離され、且つ、L4,L5で示すピッチについても正しく表されている。従って、正しい高分解能画像が得られたことがわかる。

【0050】
ここで、従来の観察システムについて説明する。図14は、従来の観察システムを示す概略構成図である。図14に示すように、従来の観察システムは、光源102として、コヒーレント長の長いレーザ光源を用いると共に、第2の光路4の光路長を伸縮させる光路長調整部105として、ピエゾアクチュエータ124により第2の光路4に沿ってミラー23を往復移動させる機構を用いている。

【0051】
このような従来の観察システムでは、第1の干渉縞の位相のシフト量を精度よく検出するために、光路長調整部137にピエゾアクチュエータ124を用いている。しかしながら、生産現場等では、実験室等に比較して振動や温度変化といった外乱が生じ易く、例えば振動により各光路の光路差が変動したり、温度変化により温度ドリフトが生じたりする場合がある。この場合、干渉縞と観察対象物とが相対的に移動してしまい、波長毎の不確定性のために干渉縞の位相のシフト量を精度良く検出することが困難となる。従って、従来の観察システムでは、正しい高分解能画像を安定して得ることが難しかった。

【0052】
なお、従来の観察システムは、干渉縞生成部106として、第1の光を観察対象物Sに投光する投光部130と、観察対象物Sを介して投光部130に対向する位置に配置され、第2の光を観察対象物Sに投光する投光部132と、を備えた機構を用いている。また、従来の観察システムは、観察システム1に対し、第1の光路3にミラー128及び第1の光路長を伸縮させる光路長調整部137が追加されると共に、第2の光路4にミラー129が追加されている。光路長調整部137は、ミラー138を移動させることにより第1の光路長を伸縮させる機構である。また、従来の観察システムは、回転台7の代わりに、観察対象物Sを固定して保持する固定台を備えている。

【0053】
本実施形態に係る観察システム1では、光源2から観察対象物Sへ第1の光路3によって導かれた第1の光、及び、光源2から観察対象物Sへ第2の光路4によって導かれた第2の光が干渉縞生成部6によって干渉し第1の干渉縞が生成される。そして、第1の干渉縞を呈する第1の光及び第2の光の内の観察対象物Sによって散乱された光の像分布が撮像部8によって撮像される。一方、第1の光の内の観察対象物Sによって反射され第3の光路9によって導かれた第1の反射光、及び、第2の光の内の観察対象物Sによって反射され第4の光路10によって導かれた第2の反射光が干渉し第2の干渉縞が生成される。そして、第2の干渉縞の光強度分布が測定部12によって測定される。ここで、第1の光路長調整部5により第2の光路長が伸縮されると、第1の干渉縞の位相がシフトすると共に第2の干渉縞の光強度分布が変位する。光源2は所定範囲のコヒーレント長を有するため、第2の干渉縞の光強度分布は、その包絡線に一つのピークを有している。第2の干渉縞の光強度分布の変位量は、包絡線のピークの変位量を測定することによって取得される。従って、第1の干渉縞の位相が1波長以上シフトした場合であっても、第1の干渉縞における波長毎の不確定性の影響を受けず、第2の干渉縞の光強度分布における包絡線のピークの変位量に基づいて第1の干渉縞の位相のシフト量を検出することができる。また、例えば振動や温度変化といった外乱が生じた場合であっても、第1の干渉縞の位相のシフト量を精度良く検出することができる。これにより、演算部13は、観察対象物Sの形状分布を正しく算出できる。更に、観察システム1は、第1の干渉縞の位相のシフト量を精度良く検出するためにピエゾアクチュエータ等の高精度な位置決め機構を必要とせず、一例としてステッピングモータを利用したアクチュエータ等の比較的精度の低い位置決め機構を用いることが可能であるため、安価に提供される。以上により、安価で、外乱が生じた場合であっても正しい高分解能画像を安定して得ることが可能となる。

【0054】
また、演算部13は、互いに異なる3つの位相と、これらの位相をそれぞれ有する3つの第1の干渉縞に対応した3つの像分布と、に基づいて観察対象物Sの形状分布を算出する。これにより、3つの位相及び像分布の情報によって上記式(1)を解くことが可能となる。その結果、周波数空間において、従来の光学顕微鏡で解像できる情報に加えて、観察対象物Sの帯域を第1の干渉縞の空間周波数分だけ高周波側に平行移動させた情報を取得できる。従って、演算部13は、観察対象物Sの形状分布を正しく算出可能となる。なお、第1の干渉縞の1周期は2πradであるため、互いに異なる3つの位相としては、例えば2πを3等分した0rad、2π/3rad、4π/3radとすることができる。上記式(1)を解く際の計算の安定化のためには、これら3つの位相同士の差が大きいほど良く、このため、互いに異なる3つの位相を0rad、2π/3rad、4π/3radとしたときに最も良く画像再構成を行うことが可能である。ただし、互いに異なる3つの位相は、必ずしも上記のように2πを3等分しなくてもよい。これら3つの位相の値によって、観察対象物Sの形状分布が正しく算出される(抽出される)度合いが異なる。

【0055】
また、測定部12は、互いに異なる少なくとも3つの位相に対応するシフト量が演算部13によって算出されるまで、光強度分布の測定を継続する。このため、演算部13によって第1の干渉縞のシフト量が複数回算出された場合において、各シフト量に応じた複数の位相が互いに同じ位相であったときでも、所定の連立方程式を解くために必要となる少なくとも3つの位相及び像分布の情報が不足することを防止することができる。従って、演算部13は、観察対象物Sの形状分布を正しく算出可能となる。

【0056】
また、干渉縞生成部6は、第1の光路3の終端に設けられ、第1の光を観察対象物S上へ投光する第1の投光部30と、第3の光路9の始端に設けられ、観察対象物Sを介して第1の投光部30と対向する位置に配置され、第1の反射光を受光する第1の受光部31と、第2の光路4の終端に設けられ、第2の光を観察対象物S上へ投光する第2の投光部32と、第4の光路10の始端に設けられ、観察対象物Sを介して第2の投光部32と対向する位置に配置され、第2の反射光を受光する第2の受光部33と、を有する。このため、第1の光及び第2の光を観察対象物S上の適切な位置に確実に照射できると共に、第1の反射光及び第2の反射光をそれぞれ第3の光路9及び第4の光路10へ確実に出力することができる。

【0057】
また、第1の投光部30から第1の受光部31へ第1の光が進行する第1の方向と、第2の投光部32から第2の受光部33へ第2の光が進行する第2の方向と、が観察対象物Sに対する平面視において略直交する。このため、第1の投光部30、第1の受光部31、第2の投光部32及び第2の受光部33を互いに干渉しない位置に配置可能であるため、干渉縞生成部6を簡素な構成とすることができる。

【0058】
また、第3の光路長又は第4の光路長を伸縮させる第2の光路長調整部11を更に備える。第2の干渉縞は、第1の光における光源2から測定部12までの光路長と、第2の光における光源2から測定部12までの光路長と、の光路差に応じて光強度分布が変位する。このため、第2の干渉縞は、光路長の調整により、その光強度分布の包絡線のピークが測定部12の測定レンジの中央に近づくようにされる必要がある。しかし、第2の干渉縞を測定部12の測定レンジに収めるには、第1の光路長調整部5による第2の光路長の伸縮だけでは第2の干渉縞の光強度分布の変位量が不十分である場合がある。そこで、第2の光路長調整部11により第4の光路長を伸縮させることで、第2の干渉縞を十分に変位させることができる。このように、観察を行う準備段階において、第2の干渉縞における光強度分布の包絡線のピークを測定部12の測定レンジの中央に近づける操作が容易となるため、操作性が向上する。

【0059】
また、所定範囲のコヒーレント長は、レーザ光源のコヒーレント長より短い。このため、第2の干渉縞の光強度分布における包絡線のピークの幅が十分に狭く、当該ピークの変位量を測定することが容易である。このため、第2の干渉縞の光強度分布の変位量を容易に取得できることから、第1の干渉縞の位相のシフト量を精度良く検出することが容易となる。

【0060】
また、所定範囲のコヒーレント長は、1μm以上100μm以下である。このため、第2の干渉縞の光強度分布における包絡線のピークの幅が十分に狭く、当該ピークの変位量を測定することが容易である。このため、第2の干渉縞の光強度分布の変位量を容易に取得できることから、第1の干渉縞の位相のシフト量を精度良く検出することが容易となる。

【0061】
また、光源2は、SLD光源である。このため、第2の干渉縞の光強度分布における包絡線のピークの幅が十分に狭く、当該ピークの変位量を測定することが容易である。このため、第2の干渉縞の光強度分布の変位量を容易に取得できることから、第1の干渉縞の位相のシフト量を精度良く検出することが容易となる。

【0062】
また、観察システム1は、観察対象物Sから撮像部8へ向かう軸線A回りに回転可能に観察対象物Sを保持する回転台7を備える。この観察システム1では、第1の干渉縞の位相をシフトさせる方向について、従来の光学顕微鏡に比較して観察対象物Sの形状分布をより高分解能で算出することが可能である。そこで、観察対象物Sと第1の干渉縞とを軸線A回りに相対回転させた複数の相対角度の状態において観察を行うことにより、軸線Aに垂直な各方向について、観察対象物Sの形状分布の正しい高分解能画像を安定して得ることが可能となる。ここで、上記構成とした場合、観察対象物Sと第1の干渉縞とを軸線A回りに相対回転させる操作が容易となるため、操作性が向上する。

【0063】
このように、観察システム1は、観察対象物Sへ照射する変調照明として低コヒーレンス光による第1の干渉縞を用いている。低コヒーレンス光による第1の干渉縞は、高コヒーレンス光による干渉縞に比較して、干渉縞が生成する範囲が狭い。このため、観察システム1によって広い範囲を観察するためには、第1の干渉縞を観察対象物S上でスキャンする必要がある。しかし、従来の観察システムにおいて用いられているピエゾアクチュエータはストロークが短いため、従来の観察システムでは広い範囲を観察することは困難である。また、ピエゾアクチュエータはストロークの速度が遅いため、従来の観察システムでは観察に長時間を要する。これに対し、観察システム1では、ピエゾアクチュエータに比較してストロークが長く、且つ、ストロークの速度が速いステッピングモータを利用したアクチュエータ等を用いることができる。このため、観察システム1では、従来の観察システムに比較して、容易に且つ短時間で広い範囲の観察をすることができる。

【0064】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、測定部12は、第2の干渉縞の光強度分布を、その位相方向に沿って1次元的に測定可能なラインセンサであってもよい。第2の干渉縞の光強度分布における包絡線のピークの変位量の測定においては、必ずしも第2の干渉縞を2次元的に測定する必要はなく、第2の干渉縞を、その位相方向に沿って1次元的に測定できればよい。従って、測定部12をラインセンサとすることが可能であり、この場合、第2の干渉縞における光強度分布の変位量に基づいて第1の干渉縞における位相のシフト量を算出する際に、演算部13における演算量を削減できる。また、測定部12は、撮像部8よりも高いフレームレートを必要とする。測定部12は、ラインセンサとされることによりフレームレートを高くし易いため、撮像部8よりも高いフレームレートを容易に実現することができる。

【0065】
また、上記実施形態では、第1の光路長調整部5は、第2の光路4の途中に設けられて第2の光路長を伸縮させているが、第1の光路3の途中に設けられて第1の光路長を伸縮させてもよい。

【0066】
また、上記実施形態では、第2の光路長調整部11は、第4の光路10の途中に設けられて第4の光路長を伸縮させているが、第3の光路9の途中に設けられて第3の光路長を伸縮させてもよい。

【0067】
ここで、本発明の他の側面の観察システムは、所定範囲のコヒーレント長を有する光源と、第1の光路長を有し、光源から発せられる光の一部である第1の光を光源から観察対象物へ導く第1の光路と、第2の光路長を有し、光の残部である第2の光を光源から観察対象物へ導く第2の光路と、第1の光路長又は第2の光路長を伸縮させる第1の光路長調整部と、第1の光及び第2の光を干渉させて観察対象物上に第1の干渉縞を生成させる干渉縞生成部と、第1の干渉縞を呈する第1の光及び第2の光の内の観察対象物によって散乱された光の像分布を撮像する撮像部と、第3の光路長を有し、第1の光の内の観察対象物によって反射された第1の反射光を導く第3の光路と、第4の光路長を有し、第2の光の内の観察対象物によって反射された第2の反射光を導く第4の光路と、第3の光路及び第4の光路の終端に設けられ、第1の反射光及び第2の反射光の干渉によって生成される第2の干渉縞の光強度分布を測定する測定部と、撮像部及び測定部に接続された演算部と、を備え、演算部は、第2の干渉縞における光強度分布の変位量に基づいて第1の干渉縞における位相のシフト量を算出し、シフト量に応じた位相と、当該位相を有する第1の干渉縞に対応した像分布と、に基づいて観察対象物の形状分布を算出する。

【0068】
このような観察システムによれば、光源から観察対象物へ第1の光路によって導かれた第1の光、及び、光源から観察対象物へ第2の光路によって導かれた第2の光が干渉縞生成部によって干渉し第1の干渉縞が生成される。そして、第1の干渉縞を呈する第1の光及び第2の光の内の観察対象物によって散乱された光の像分布が撮像部によって撮像される。一方、第1の光の内の観察対象物によって反射され第3の光路によって導かれた第1の反射光、及び、第2の光の内の観察対象物によって反射され第4の光路によって導かれた第2の反射光が干渉し第2の干渉縞が生成される。そして、第2の干渉縞の光強度分布が測定部によって測定される。ここで、第1の光路長調整部により第1の光路長又は第2の光路長が伸縮されると、第1の干渉縞の位相がシフトすると共に第2の干渉縞の光強度分布が変位する。光源は所定範囲のコヒーレント長を有するため、第2の干渉縞の光強度分布は、その包絡線に一つのピークを有している。第2の干渉縞の光強度分布の変位量は、包絡線のピークの変位量を測定することによって取得される。従って、第1の干渉縞の位相が1波長以上シフトした場合であっても、第1の干渉縞における波長毎の不確定性の影響を受けず、第2の干渉縞の光強度分布における包絡線のピークの変位量に基づいて第1の干渉縞の位相のシフト量を検出することができる。また、例えば振動や温度変化といった外乱が生じた場合であっても、第1の干渉縞の位相のシフト量を精度良く検出することができる。これにより、演算部は、観察対象物の形状分布を正しく算出できる。更に、この観察システムは、第1の干渉縞の位相のシフト量を精度良く検出するためにピエゾアクチュエータ等の高精度な位置決め機構を必要とせず、一例としてステッピングモータを利用したアクチュエータ等の比較的精度の低い位置決め機構を用いることが可能であるため、安価に提供される。以上により、安価なシステムによって、外乱が生じた場合であっても正しい高分解能画像を安定して得ることが可能となる。

【0069】
上記実施形態において、演算部は、互いに異なる少なくとも3つの位相と、これらの位相をそれぞれ有する少なくとも3つの第1の干渉縞に対応した少なくとも3つの像分布と、に基づいて観察対象物の形状分布を算出してもよい。これにより、少なくとも3つの位相及び像分布の情報によって所定の連立方程式を解くことが可能となる。その結果、周波数空間において、従来の光学顕微鏡で解像できる情報に加えて、観察対象物の帯域を第1の干渉縞の空間周波数分だけ高周波側に平行移動させた情報を取得できる。従って、演算部は、観察対象物の形状分布を正しく算出可能となる。

【0070】
また、測定部は、互いに異なる少なくとも3つの位相に対応するシフト量が演算部によって算出されるまで、光強度分布の測定を継続してもよい。この場合、演算部によって第1の干渉縞のシフト量が複数回算出された場合において、各シフト量に応じた複数の位相が互いに同じ位相であったときでも、所定の連立方程式を解くために必要となる少なくとも3つの位相及び像分布の情報が不足することを防止することができる。従って、演算部は、観察対象物の形状分布を正しく算出可能となる。

【0071】
また、干渉縞生成部は、第1の光路の終端に設けられ、第1の光を観察対象物上へ投光する第1の投光部と、第3の光路の始端に設けられ、観察対象物を介して第1の投光部と対向する位置に配置され、第1の反射光を受光する第1の受光部と、第2の光路の終端に設けられ、第2の光を観察対象物上へ投光する第2の投光部と、第4の光路の始端に設けられ、観察対象物を介して第2の投光部と対向する位置に配置され、第2の反射光を受光する第2の受光部と、を有してもよい。この場合、第1の光及び第2の光を観察対象物上の適切な位置に確実に照射できると共に、第1の反射光及び第2の反射光をそれぞれ第3の光路及び第4の光路へ確実に出力することができる。

【0072】
また、第1の投光部から第1の受光部へ第1の光が進行する第1の方向と、第2の投光部から第2の受光部へ第2の光が進行する第2の方向と、が観察対象物に対する平面視において略直交してもよい。この場合、第1の投光部、第1の受光部、第2の投光部及び第2の受光部を互いに干渉しない位置に配置可能であるため、干渉縞生成部を簡素な構成とすることができる。

【0073】
また、第3の光路長又は第4の光路長を伸縮させる第2の光路長調整部を更に備えてもよい。この場合、観察を行う準備段階において、第2の干渉縞における光強度分布の包絡線のピークを測定部の測定レンジの中央に近づける操作が容易となるため、操作性が向上する。

【0074】
また、所定範囲のコヒーレント長は、レーザ光源のコヒーレント長より短くてもよい。この場合、第2の干渉縞の光強度分布における包絡線のピークの幅が十分に狭いため、当該ピークの変位量を測定することが容易である。このため、第2の干渉縞の光強度分布の変位量を容易に取得できることから、第1の干渉縞の位相のシフト量を精度良く検出することが容易となる。

【0075】
また、所定範囲のコヒーレント長は、1μm以上100μm以下であってもよい。この場合、第2の干渉縞の光強度分布における包絡線のピークの幅が十分に狭いため、当該ピークの変位量を測定することが容易である。このため、第2の干渉縞の光強度分布の変位量を容易に取得できることから、第1の干渉縞の位相のシフト量を精度良く検出することが容易となる。

【0076】
また、前記光源は、SLD光源又はLED光源であってもよい。この場合、第2の干渉縞の光強度分布における包絡線のピークの幅が十分に狭いため、当該ピークの変位量を測定することが容易である。このため、第2の干渉縞の光強度分布の変位量を容易に取得できることから、第1の干渉縞の位相のシフト量を精度良く検出することが容易となる。

【0077】
また、測定部は、ラインセンサであってもよい。第2の干渉縞の光強度分布における包絡線のピークの変位量の測定においては、必ずしも第2の干渉縞を2次元的に測定する必要はなく、第2の干渉縞を、その位相方向に沿って1次元的に測定できればよい。すなわち、測定部としてラインセンサを用いることが可能である。この場合、第2の干渉縞における光強度分布の変位量に基づいて第1の干渉縞における位相のシフト量を算出する際に、演算部における演算量を削減できる。また、測定部は、撮像部よりも高いフレームレートを必要とする。測定部は、ラインセンサとされることによりフレームレートを高くし易いため、撮像部よりも高いフレームレートを容易に実現することができる。

【0078】
また、観察対象物から撮像部へ向かう軸線回りに回転可能に観察対象物を保持する回転台を更に備えてもよい。この観察システムでは、第1の干渉縞の位相をシフトさせる方向について、従来の光学顕微鏡に比較して観察対象物の形状分布をより高分解能で算出することが可能である。そこで、観察対象物と第1の干渉縞とを軸線回りに相対回転させた複数の相対角度の状態において観察を行うことにより、軸線に垂直な各方向について、観察対象物の形状分布の正しい高分解能画像を安定して得ることが可能となる。ここで、上記構成とした場合、観察対象物と第1の干渉縞とを軸線回りに相対回転させる操作が容易となるため、操作性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の一側面は、観察システムを使用用途とし、安価なシステムによって、外乱が生じた場合であっても正しい高分解能画像を安定して得ることができるものである。
【符号の説明】
【0080】
1…観察システム、2…光源、3…第1の光路、4…第2の光路、5…第1の光路長調整部、6…干渉縞生成部、7…回転台、8…撮像部、9…第3の光路、10…第4の光路、11…第2の光路長調整部、12…測定部、13…演算部、30…第1の投光部、31…第1の受光部、32…第2の投光部、33…第2の受光部、A…軸線、S…観察対象物。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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