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明細書 :筋力低下症および代謝性疾患の治療薬

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年6月28日(2018.6.28)
発明の名称または考案の名称 筋力低下症および代謝性疾患の治療薬
国際特許分類 A61K  45/00        (2006.01)
A61K  48/00        (2006.01)
A61K  31/7088      (2006.01)
A61K  31/713       (2006.01)
A61K  39/395       (2006.01)
A61P   3/00        (2006.01)
A61P  21/04        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
C12N  15/113       (2010.01)
FI A61K 45/00
A61K 48/00
A61K 31/7088
A61K 31/713
A61K 39/395 D
A61P 3/00
A61P 21/04
A61P 43/00 111
C12N 15/00 ZNAG
国際予備審査の請求
全頁数 31
出願番号 特願2017-538541 (P2017-538541)
国際出願番号 PCT/JP2016/076627
国際公開番号 WO2017/043630
国際出願日 平成28年9月9日(2016.9.9)
国際公開日 平成29年3月16日(2017.3.16)
優先権出願番号 2015179698
優先日 平成27年9月11日(2015.9.11)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG
発明者または考案者 【氏名】小野 悠介
出願人 【識別番号】504205521
【氏名又は名称】国立大学法人 長崎大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100080791、【弁理士】、【氏名又は名称】高島 一
【識別番号】100125070、【弁理士】、【氏名又は名称】土井 京子
【識別番号】100136629、【弁理士】、【氏名又は名称】鎌田 光宜
【識別番号】100121212、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 弥栄子
【識別番号】100174296、【弁理士】、【氏名又は名称】當麻 博文
【識別番号】100137729、【弁理士】、【氏名又は名称】赤井 厚子
【識別番号】100151301、【弁理士】、【氏名又は名称】戸崎 富哉
【識別番号】100199923、【弁理士】、【氏名又は名称】嶽小原 幸
審査請求 未請求
テーマコード 4C084
4C085
4C086
Fターム 4C084AA13
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA941
4C084ZC211
4C084ZC331
4C084ZC351
4C084ZC411
4C085AA13
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA94
4C086ZC21
4C086ZC33
4C086ZC35
4C086ZC41
要約 本発明は、ミュークリスタリン(CRYM)の阻害物質を有効成分として含有してなる筋力低下症(サルコペニア)または代謝性疾患の治療薬を提供する。該阻害物質としては、CRYMに対するアンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸、リボザイムまたはそれらの発現ベクター、およびアンタゴニスト抗体、ならびにCRYMの活性を阻害する低分子量化合物からなる群より選ばれる。
特許請求の範囲 【請求項1】
ミュークリスタリン(CRYM)の阻害物質を有効成分として含有してなる筋力低下症(サルコペニア)または代謝性疾患の治療薬。
【請求項2】
CRYM阻害物質がCRYMに対するアンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸、リボザイムまたはそれらの発現ベクター、およびアンタゴニスト抗体、ならびにCRYMの活性を阻害する低分子量化合物からなる群より選ばれるものである、請求項1に記載の治療薬。
【請求項3】
筋力低下症が原発性サルコペニア、身体活動性サルコペニア、疾患性サルコペニアまたは栄養性サルコペニアであり、代謝性疾患が前記サルコペニアに付随する代謝性疾患である、請求項1または2に記載の治療薬。
【請求項4】
代謝性疾患が糖代謝異常または脂質代謝異常である請求項1~3のいずれか1項に記載の治療薬。
【請求項5】
有効量のCRYM阻害物質をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、筋力低下症(サルコペニア)または代謝性疾患の治療方法。
【請求項6】
CRYM阻害物質がCRYMに対するアンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸、リボザイムまたはそれらの発現ベクター、およびアンタゴニスト抗体、ならびにCRYMの活性を阻害する低分子量化合物からなる群より選ばれるものである、請求項5に記載の治療方法。
【請求項7】
筋力低下症が原発性サルコペニア、身体活動性サルコペニア、疾患性サルコペニアおよび栄養性サルコペニアならびに代謝性疾患を伴う前記サルコペニアからなる群より選ばれる、請求項5または6に記載の治療方法。
【請求項8】
代謝性疾患が糖代謝異常または脂質代謝異常である請求項5~7のいずれか1項に記載の治療方法。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載の筋力低下症(サルコペニア)または代謝性疾患の治療薬を製造するための、CRYM阻害物質の使用。
【請求項10】
筋力低下症(サルコペニア)または代謝性疾患の治療に使用するための、CRYM阻害物質。
【請求項11】
筋力低下症(サルコペニア)または代謝性疾患の治療に使用するための、CRYMに対するアンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸、リボザイムまたはそれらの発現ベクター、およびアンタゴニスト抗体、ならびにCRYMの活性を阻害する低分子量化合物からなる群より選ばれるCRYM阻害物質。
【請求項12】
筋力低下症が原発性サルコペニア、身体活動性サルコペニア、疾患性サルコペニアまたは栄養性サルコペニアであり、代謝性疾患が前記サルコペニアに付随する代謝性疾患である、請求項10または11に記載のCRYM阻害物質。
【請求項13】
代謝性疾患が糖代謝異常または脂質代謝異常である請求項10~12のいずれか1項に記載のCRYM阻害物質。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、筋力低下症および代謝性疾患の治療薬に関し、μ-クリスタリン分子を標的とした筋力低下症および代謝性疾患の双方の治療薬に関する。
【背景技術】
【0002】
骨格筋は、人体における最大の組織であり、体重の40-50%を占める。骨格筋は、身体活動等の様々な刺激に応答して、収縮および代謝特性ならびに筋肉の大きさに容易に順応できる高度に可塑性の組織である。筋肉の可塑性がどのように調節されているかを理解することは、筋生物学および再生医療における核心となる課題であり、筋ジストロフィー、がん悪液質および加齢に伴うサルコペニアなどの筋肉疾患における筋肉維持不全に特に関連する(非特許文献1、2)。 骨格筋の特性は、同化または異化作用を有する循環するホルモンおよび成長因子により影響される可能性がある。甲状腺ホルモンは、正常な発達、細胞増殖および分化、熱産生、恒常性および代謝の調節などの生理学的機能の広範囲において重要な役割を有する(非特許文献3-5)。骨格筋において、甲状腺ホルモンは、速筋解糖型への変換に重要な役割を果たす(非特許文献4、6-8)。
【0003】
ミュークリスタリン(CRYM)は、カンガルーの眼のレンズで最初に発見され、トリヨードチロニン (T3)の細胞質から核への輸送を調節するNADPH依存性細胞質トリヨードチロニン (T3) 結合タンパク質としてキャラクタライズされた(非特許文献9-11)。CRYMは、甲状腺ホルモン受容体を含む二量体へのT3 結合を促進させることにより甲状腺ホルモン作用を正に調節し、これが次にゲノム上の甲状腺応答配列に結合して、核における甲状腺ホルモン応答遺伝子の発現を調節する。しかしながら、CRYM欠損マウスは、末梢のT3作用を変化させることなく正常の成長を呈する(非特許文献12)。
【0004】
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)は、常染色体優性疾患であり、罹患筋のユニークなパターンによって特徴付けられ、特に顔面および肩甲帯の筋肉量の低下の後に下肢の筋力低下を伴う(非特許文献13、14)。FSHD患者の筋肉において、CRYMの異常に高い発現が報告されている一方、いくつかの他のミオパシーおよび筋ジストロフィーにおいては、CRYM の感知されうるアップレギュレーションは観察されていない(非特許文献15)。別の研究では、 FSHD の筋肉に由来する筋芽細胞でCRYMタンパク質が高発現し、FSHD関連転写因子DUX4がCRYM発現を直接誘導することが示唆されている(非特許文献16)。 また、CRYMを分子マーカーとしてFSHDを診断する方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】US2009/0280517 A1
【0006】

【非特許文献1】Cohen, S., Nathan, J. A., and Goldberg, A. L. (2015) Nature reviews. Drug discovery 14, 58-74
【非特許文献2】Egerman, M. A., and Glass, D. J. (2014) Critical reviews in biochemistry and molecular biology 49, 59-68
【非特許文献3】Lee, J. W., Kim, N. H., and Milanesi, A. (2014) Journal of endocrinology, diabetes & obesity 2, 1046
【非特許文献4】Salvatore, D., Simonides, W. S., Dentice, M., Zavacki, A. M., and Larsen, P. R. (2014) Nature reviews. Endocrinology 10, 206-214
【非特許文献5】Mullur, R., Liu, Y. Y., and Brent, G. A. (2014) Physiological reviews 94, 355-382
【非特許文献6】Clement, K., Viguerie, N., Diehn, M., Alizadeh, A., Barbe, P., Thalamas, C., Storey, J. D., Brown, P. O., Barsh, G. S., and Langin, D. (2002) Genome research 12, 281-291
【非特許文献7】Nwoye, L., Mommaerts, W. F., Simpson, D. R., Seraydarian, K., and Marusich, M. (1982) The American journal of physiology 242, R401-408
【非特許文献8】Bahi, L., Garnier, A., Fortin, D., Serrurier, B., Veksler, V., Bigard, A. X., and Ventura-Clapier, R. (2005) J Cell Physiol 203, 589-598
【非特許文献9】Kim, R. Y., Gasser, R., and Wistow, G. J. (1992) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 89, 9292-9296
【非特許文献10】Vie, M. P., Evrard, C., Osty, J., Breton-Gilet, A., Blanchet, P., Pomerance, M., Rouget, P., Francon, J., and Blondeau, J. P. (1997) Mol Endocrinol 11, 1728-1736
【非特許文献11】Takeshige, K., Sekido, T., Kitahara, J., Ohkubo, Y., Hiwatashi, D., Ishii, H., Nishio, S., Takeda, T., Komatsu, M., and Suzuki, S. (2014) Endocrine journal 61, 561-570
【非特許文献12】Suzuki, S., Suzuki, N., Mori, J., Oshima, A., Usami, S., and Hashizume, K. (2007) Mol Endocrinol 21, 885-894
【非特許文献13】Tawil, R., van der Maarel, S. M., and Tapscott, S. J. (2014) Skeletal muscle 4, 12
【非特許文献14】Lek, A., Rahimov, F., Jones, P. L., and Kunkel, L. M. (2015) Trends in molecular medicine 21, 295-306
【非特許文献15】Reed, P. W., Corse, A. M., Porter, N. C., Flanigan, K. M., and Bloch, R. J. (2007) Experimental neurology 205, 583-586
【非特許文献16】Vanderplanck, C., Ansseau, E., Charron, S., Stricwant, N., Tassin, A., Laoudj-Chenivesse, D., Wilton, S.D., Coppee, F., and Belayew, A. (2011) PloS one 6, e26820
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、骨格筋の生理学的機能を解明し、特に筋力低下または代謝低下を伴う疾患の治療に貢献する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、マウスの骨格筋におけるCRYMの役割を調べた。CRYM欠損マウスは、速筋解糖型IIb線維の筋肥大を呈した。CRYM欠損マウスでは、筋力および高負荷の運動のパフォーマンスがアップレギュレートしていた。CRYMノックアウトまたはsiRNA媒介のノックダウンによるCRYMの機能阻害により、培養系のサテライト細胞由来の筋管において解糖収縮性が増加した。これらの変化は、少なくとも一部は甲状腺ホルモン作用を通じて調節された。まとめると、CRYMは、筋線維の代謝および収縮特性を調節する、筋肉の可塑性の極めて重要な調節因子であることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本願発明は、以下に示す通りである。
【0009】
〔1〕 ミュークリスタリン(CRYM)の阻害物質を有効成分として含有してなる筋力低下症(サルコペニア)または代謝性疾患の治療薬。
〔2〕 CRYM阻害物質がCRYMに対するアンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸、リボザイムまたはそれらの発現ベクター、およびアンタゴニスト抗体、ならびにCRYMの活性を阻害する低分子量化合物からなる群より選ばれるものである、〔1〕に記載の治療薬。
〔3〕 筋力低下症が原発性サルコペニア、身体活動性サルコペニア、疾患性サルコペニアまたは栄養性サルコペニアであり、代謝性疾患が前記サルコペニアに付随する代謝性疾患である、〔1〕または〔2〕に記載の治療薬。
〔4〕 代謝性疾患が糖代謝異常または脂質代謝異常である〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の治療薬。
〔5〕 有効量のCRYM阻害物質をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、筋力低下症(サルコペニア)または代謝性疾患の治療方法。
〔6〕 CRYM阻害物質がCRYMに対するアンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸、リボザイムまたはそれらの発現ベクター、およびアンタゴニスト抗体、ならびにCRYMの活性を阻害する低分子量化合物からなる群より選ばれるものである、〔5〕に記載の治療方法。
〔7〕 筋力低下症が原発性サルコペニア、身体活動性サルコペニア、疾患性サルコペニアおよび栄養性サルコペニアならびに代謝性疾患を伴う前記サルコペニアからなる群より選ばれる、〔5〕または〔6〕に記載の治療方法。
〔8〕 代謝性疾患が糖代謝異常または脂質代謝異常である〔5〕~〔7〕のいずれかに記載の治療方法。
〔9〕 〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の筋力低下症(サルコペニア)または代謝性疾患の治療薬を製造するための、CRYM阻害物質の使用。
〔10〕 筋力低下症(サルコペニア)または代謝性疾患の治療に使用するための、CRYM阻害物質。
〔11〕 筋力低下症(サルコペニア)または代謝性疾患の治療に使用するための、CRYMに対するアンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸、リボザイムまたはそれらの発現ベクター、およびアンタゴニスト抗体、ならびにCRYMの活性を阻害する低分子量化合物からなる群より選ばれるCRYM阻害物質。
〔12〕 筋力低下症が原発性サルコペニア、身体活動性サルコペニア、疾患性サルコペニアまたは栄養性サルコペニアであり、代謝性疾患が前記サルコペニアに付随する代謝性疾患である、〔10〕または〔11〕に記載のCRYM阻害物質。
〔13〕 代謝性疾患が糖代謝異常または脂質代謝異常である〔10〕~〔12〕のいずれかに記載のCRYM阻害物質。
【発明の効果】
【0010】
本発明の筋肉低下症または代謝性疾患の治療薬によると、骨格筋におけるCrymを標的として甲状腺ホルモン作用を調節することにより、代謝および筋力の低下を有意に抑制し、あるいは代謝を改善し、筋力(特にII型速筋)を増強させる作用を有し、特に、サルコペニアおよび/または糖代謝異常の治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】Crymは成体の骨格筋で発現していることを示す図である。(A) Q-PCR解析により成体マウスの身体全体にわたるCrym mRNAの発現プロファイルを示す(肩甲下筋、Scapula; 前脛骨筋、TA; 長趾伸筋、EDL) (n=3 マウス)。 (B)マウス EDL筋から単離したサテライト細胞をマイトジェン豊富培地 (GM)で6日間培養し、血清低下培地(DM)で3日間筋分化を誘導した。筋原性進行中の初代培養サテライト細胞におけるCrym 発現のQ-PCR解析 (上段、明視野; 下段、遺伝子発現レベル) (n=3 マウス)。データは平均 ±SEMを表わす。
【図2】Crym欠損マウスの筋力の増加および高速ランニング能を示す図である。(A) WTおよびCrym-/- マウスのTA筋におけるCrym タンパク質のイムノブロット解析。チューブリンを内部標準として使用した。(B)既報 (Suzuki, S., Suzuki, N., Mori, J., Oshima, A., Usami, S., and Hashizume, K. (2007) Mol Endocrinol 21, 885-89412) と同様に、Crym-/-マウスの全体重に関して自明な有害な影響は観察されなかった(WT, n=6; KO, n=6)。(C)Crym-/-マウスで筋肉重量を測定した (WT, n=6; KO, n=6)。(D)筋力の発生を測定する握力試験を、Crym-/-マウスで評価した(WT, n=10; KO, n=10; 6-8週齢)。(E)耐久力訓練能を測定するトレッドミルランニング試験の高速 (速度は2分毎に5 m/min増加する) (WT, n=10; KO, n=8)および低速 (速度は3分毎に1 m/min増加する) (WT, n=6; KO, n=6)での結果を示す。データは平均 ± SEMで表す; *p<0.05, 有意差はWTマウスと比較した。【図5】甲状腺ホルモン応答遺伝子はCrym-/-筋で増加することを示す図である。(A, B) Crym-/-筋における甲状腺ホルモン応答遺伝子 (UCP3およびPdk4)のQ-PCR解析。(A) Crym-/-マウスのTA筋(WT, n=6; KO, n=6)、および(B)Crym-/-サテライト細胞由来の筋管(WT, n=3; KO, n=3)におけるUCP3およびPdk4の遺伝子発現。(C) 甲状腺ホルモン作用を増加させるために、Crym-/-マウスへのT3の投与を2週間実施した。Q-PCR 解析によりTA筋 (WT, n=3; KO, n=3)におけるUCP3の遺伝子発現が示された。データは平均 ± SEMで表す; *p<0.05, 有意差はWTマウスと比較した。【0012】
本発明の治療薬は、ミュークリスタリンの阻害物質を有効成分として含有することを特徴とする。

【0013】
本発明においてミュークリスタリンとは、トリヨードチロニン (T3)の細胞質から核への輸送を調節するタンパク質をいい、NADPH依存性の細胞質T3結合タンパク質(CTBP)とも称する。本明細書においては、「CRYM」または「Crym」と省略する。

【0014】
CRYMをコードする遺伝子は、いかなる動物由来の塩基配列を有するものであってもよい。例えば、ヒトの治療薬の開発のためにはヒトCRYM遺伝子が好ましい。また、実験動物として利用しやすいマウスを用いる場合、マウスでの解析結果はヒトを始めとする他の哺乳動物での病態を反映することが十分期待できることから、マウスCRYM遺伝子を用いることも好ましい。本明細書においては、ヒトCRYM遺伝子は、Genbank Accession No. NM_001888.4で公表された塩基配列(配列番号1)を基準とする。また、マウスCRYM遺伝子は、Genbank Accession No. NM_016669.1で公表された塩基配列(配列番号3)を基準とする。また、ラットCRYM遺伝子は、Genbank Accession No. NM_053955.1で公表された塩基配列(配列番号5)を基準とする。また、サルCRYM遺伝子は、Genbank Accession No. NM_001266891.1で公表された塩基配列(アカゲザル:配列番号7)またはGenbank Accession No. NM_001287652.1で公表された塩基配列(カニクイザル:配列番号9)を基準とする。その他の動物由来のCRYMホモログは、HomoloGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/HomoloGene/)により同定することができる。具体的には、特定ヒト塩基配列をBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877, 1993、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)にかけて一致する(Scoreが最も高く、E-valueが0でかつIdentityが100%を示す)配列のアクセッション番号を取得する。そのアクセッション番号をUniGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/UniGene/)に入力して得られたUniGene Cluster ID(Hs.で示す番号)をHomoloGeneに入力する。結果として得られた他生物種遺伝子とヒト遺伝子との遺伝子ホモログの相関を示したリストから、特定の塩基配列で示されるヒト遺伝子に対応する遺伝子(ホモログ)として他生物種の遺伝子を選抜することができる。

【0015】
同様に、本発明においてヒトCRYMタンパク質は、Genbank Accession No. NP_001879.1で公表されたアミノ酸配列(配列番号2)を基準とする。また、マウスCRYMタンパク質は、Genbank Accession No. NP_057878.1で公表されたアミノ酸配列(配列番号4)を基準とする。また、ラットCRYMタンパク質は、Genbank Accession No. NP_446407.1で公表されたアミノ酸配列(配列番号6)を基準とする。また、サルCRYMタンパク質は、Genbank Accession No. NP_001253820.1で公表されたアミノ酸配列(アカゲザル:配列番号8)またはGenbank Accession No. NP_001274581.1で公表されたアミノ酸配列(カニクイザル:配列番号10)を基準とする。

【0016】
本発明においてCRYM阻害物質とは、CRYMの発現を阻害する物質およびCRYMの活性を阻害する物質の総称である。CRYMの活性を阻害する物質には、CRYMと相互作用して当該活性を阻害する物質の他、CRYMとT3との結合を阻害する物質なども含まれる。

【0017】
CRYMの発現を阻害する物質は、CRYM発現細胞におけるCRYMのmRNAまたはタンパク質の発現レベルを測定し、無添加のコントロールと比較して有意に発現レベルを低下させることを確認して選別することができる。CRYMの活性を阻害する物質は、CRYMとT3(標識したT3)を含む系に当該物質を加え、無添加のコントロールと比較して有意にCRYMとT3との結合を有意に低下させることを確認して選別することができる。

【0018】
CRYM阻害物質としては、具体的には、CRYMに対するアンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸もしくはリボザイムまたはそれらの発現ベクター、アンタゴニスト抗体およびCRYMに結合して活性を阻害する低分子量化合物からなる群より選ばれるものが例示される。これらは、天然の物質であっても人工的に合成された物質であってもよい。

【0019】
前記CRYMに対するアンチセンス核酸は、CRYMの転写産物(mRNAまたは初期転写産物)を発現する細胞の生理的条件下で該転写産物とハイブリダイズし得る塩基配列からなり、且つハイブリダイズした状態で該転写産物にコードされるポリペプチドの翻訳を阻害し得るポリヌクレオチドをいう。アンチセンス核酸の種類はDNAであってもRNAであってもよいし、あるいはDNA/RNAキメラであってもよい。アンチセンス核酸は、非修飾(天然型)のリン酸ジエステル結合を有するものであっても、分解酵素に安定なチオリン酸型(リン酸結合のP=OをP=Sに置換)や2’-O-メチル型等の化学修飾されたヌクレオチドであってもよい。アンチセンス核酸の設計に重要な他の要素として、水溶性および細胞膜透過性を高めること等が挙げられるが、これらはリポソームやマイクロスフェアを使用するなどの剤形の工夫によっても克服できる。アンチセンス核酸の長さは、CRYMの転写産物(例、配列番号1、3、5、7または9の塩基配列に対応するmRNA)と特異的にハイブリダイズし得る限り特に制限はなく、短いもので約6塩基程度、長いもので転写産物の全配列に相補的な配列を含むような配列であってもよい。合成の容易さや抗原性の問題等から、例えば約6塩基以上、好ましくは約15~約40塩基、より好ましくは約15塩基~約30塩基からなるオリゴヌクレオチドが例示される。さらに、アンチセンス核酸は、CRYMの転写産物とハイブリダイズして翻訳を阻害するだけでなく、二本鎖DNAと結合して三重鎖(トリプレックス)を形成し、mRNAへの転写を阻害し得るものであってもよい。

【0020】
本明細書において、「相補的である」とは、塩基配列間で約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、更に好ましくは約95%以上、最も好ましくは100%の相補性を有することをいう。本明細書における塩基配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;フィルタリング=ON;マッチスコア=1;ミスマッチスコア=-3)にて計算することができる。
アンチセンス核酸の相補性は必ずしも100%である必要はなく、生体内でCRYMのDNAまたはRNAと相補的に結合しうる程度でよい。

【0021】
前記RNAi誘導性核酸とは、細胞内に導入されることにより、RNA干渉を誘導し得るポリヌクレオチドをいい、好ましくはRNAまたはRNAとDNAのキメラ分子である。RNA干渉とは、mRNAと同一の塩基配列(またはその部分配列)を含む2本鎖構造のRNAが、当該mRNAの発現を抑制する効果をいう。このRNAi効果を得るには、例えば、少なくとも19の連続する標的mRNAと同一の塩基配列(またはその部分配列)を有する2本鎖構造のRNAを用いることが好ましい。ただし、CRYMの発現阻害作用を有していれば数塩基置換されているものであってもよく、19塩基長よりも短いRNAであってもよい。2本鎖構造は、センス鎖とアンチセンス鎖の異なるストランドで構成されていてもよいし、一つのRNAのステムループ構造によって与えられる2本鎖(shRNA)であってもよい。RNAi誘導性核酸としては、例えばsiRNA、miRNAなどが挙げられる。miRNAは、CRYM遺伝子の3’UTRを認識して、標的mRNAを不安定化するとともに翻訳抑制を行うことでCRYMの発現を抑制する。

【0022】
RNAi誘導性核酸は、転写抑制活性が強いという観点から、siRNAが好ましい。CRYMに対するsiRNAは、CRYMのmRNAの任意の部分を標的とすることができる。CRYMに対するsiRNA分子は、RNAi効果を誘導できる限り特に制限されないが、例えば18~27塩基長、好ましくは21~25塩基長である。CRYMに対するsiRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二重鎖である。具体的には、CRYMに対するsiRNAは、配列番号1、3、5、7または9の塩基配列に対応するmRNAにおける18~25個の連続する塩基配列を含むセンス鎖と、その相補配列を含むアンチセンス鎖からなるものである。CRYMに対するsiRNAは、センス鎖、アンチセンス鎖の一方または双方の5’末端または3’末端においてオーバーハングを有していてもよい。オーバーハングは、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の末端における1~数個(例、1、2または3個)の塩基の付加により形成されるものである。siRNAの設計方法は、当業者に公知であり、siRNAの様々な設計ソフトウエアまたはアルゴリズムを用いて、上記塩基配列から適切なsiRNAの塩基配列を選択することができる。

【0023】
前記「リボザイム」とは核酸を切断する酵素活性を有するRNAをいうが、最近では当該酵素活性部位の塩基配列を有するオリゴDNAも同様に核酸切断活性を有することが明らかになっているので、本明細書では配列特異的な核酸切断活性を有する限りDNAをも包含する概念として用いる。具体的には、リボザイムは、CRYMをコードするmRNAまたは初期転写産物を、コード領域の内部(初期転写産物の場合はイントロン部分を含む)で特異的に切断し得る。リボザイムとして最も汎用性の高いものとしては、ウイロイドやウイルソイド等の感染性RNAに見られるセルフスプライシングRNAがあり、ハンマーヘッド型やヘアピン型等が知られている。ハンマーヘッド型は約40塩基程度で酵素活性を発揮し、ハンマーヘッド構造をとる部分に隣接する両端の数塩基ずつ(合わせて約10塩基程度)をmRNAの所望の切断部位と相補的な配列にすることにより、標的mRNAのみを特異的に切断することが可能である。さらに、リボザイムを、それをコードするDNAを含む発現ベクターの形態で使用する場合には、転写産物の細胞質への移行を促進するために、tRNAを改変した配列をさらに連結したハイブリッドリボザイムとすることもできる(Nucleic Acids Res., 29(13): 2780-2788 (2001))。

【0024】
CRYM阻害物質は、発現ベクターとしても提供され得る。かかる発現ベクターは、CRYM阻害物質をコードするポリヌクレオチド、および当該ポリヌクレオチドに機能可能に連結されたプロモーターを含む。

【0025】
前記プロモーターは、その制御下にある発現対象の核酸の種類により適宜選択され得るが、例えば、polIIIプロモーター(例、tRNAプロモーター、U6プロモーター、H1プロモーター)、哺乳動物用プロモーター(例、CMVプロモーター、CAGプロモーター、SV40プロモーター)が挙げられる。

【0026】
本発明の発現ベクターはさらに、選択マーカー遺伝子(テトラサイクリン、アンピシリン、カナマイシン、ハイグロマイシン、ホスフィノスリシン等の薬剤に対する抵抗性を付与する遺伝子、栄養要求性変異を相補する遺伝子等)をさらに含んでいてもよい。

【0027】
本発明の発現ベクターのバックボーン(backbone)としては、ヒト等の哺乳動物細胞中でCRYM阻害物質を産生できるものであれば特に制限されないが、例えば、プラスミドベクター、ウイルスベクターが挙げられる。哺乳動物への投与に好適なベクターとしては、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンドビスウイルス、センダイウイルス等のウイルスベクターが挙げられる。なかでも、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス由来のウイルスベクターが好ましい。

【0028】
前記CRYMアンタゴニスト抗体とは、CRYMに特異的に結合する抗体であって、結合することによりCRYMの活性を阻害する抗体をいう。

【0029】
本明細書でいう「抗体」には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体等の天然型抗体、遺伝子組換技術を用いて製造され得るキメラ抗体、ヒト化抗体や一本鎖抗体、ヒト抗体産生トランスジェニック動物等を用いて製造され得るヒト抗体、ファージディスプレイによって作製された抗体およびこれらの結合性断片が含まれる。

【0030】
結合性断片とは、前述した抗体の一部分の領域を意味し、具体的には例えばF(ab')2、Fab'、Fab、Fv(variable fragment of antibody)、sFv、dsFv(disulphide stabilized Fv)、dAb(single domain antibody)等があげられる(Exp. Opin. Ther. Patents,Vol.6, No.5, p.441-456, 1996)。

【0031】
抗体のクラスは、特に限定されず、IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgE等のいずれのアイソタイプを有する抗体をも包含する。好ましくは、IgGまたはIgMであり、精製の容易性等を考慮するとより好ましくはIgGである。

【0032】
ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体は、既知の一般的な製造方法によって製造することができる。即ち、例えば、免疫原を、必要に応じてフロイントアジュバント(Freund's Adjuvant)とともに、哺乳動物、例えばポリクローナル抗体の場合、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ヤギ、ウマまたはウシ等、好ましくはマウス、ラット、ハムスター、モルモット、ヤギ、ウマまたはウサギに、モノクローナル抗体の場合、マウス、ラット、ハムスターに免疫する。

【0033】
ポリクローナル抗体は、具体的には下記のようにして製造することができる。即ち、免疫原をマウス、ラット、ハムスター、モルモット、ヤギ、ウマまたはウサギ、好ましくはヤギ、ウマまたはウサギ、より好ましくはウサギの皮下内、筋肉内、静脈内、フッドパット内あるいは腹腔内に1~数回注射することにより免疫感作を施す。通常、初回免疫から約1~14日毎に1~5回免疫を行って、最終免疫より約1~5日後に免疫感作された該哺乳動物から血清が取得される。

【0034】
血清をポリクローナル抗体として用いることも可能であるが、好ましくは、限外ろ過、硫安分画、ユーグロブリン沈澱法、カプロイン酸法、カプリル酸法、イオン交換クロマトグラフィー(DEAEまたはDE52等)、抗イムノグロブリンカラムもしくはプロテインA/Gカラム、免疫原を架橋させたカラム等を用いたアフィニティカラムクロマトグラフィーにより単離および/または精製される。

【0035】
モノクローナル抗体は、上記免疫感作動物から得た該抗体産生細胞と自己抗体産生能のない骨髄腫系細胞(ミエローマ細胞)からハイブリドーマを調製し、該ハイブリドーマをクローン化し、哺乳動物の免疫に用いた免疫原に対して特異的親和性を示すモノクローナル抗体を産生するクローンを選択することによって製造される。

【0036】
モノクローナル抗体は、具体的には下記のようにして製造することができる。即ち、免疫原を、マウス、ラットまたはハムスター(ヒト抗体産生トランスジェニックマウスのような他の動物由来の抗体を産生するように作出されたトランスジェニック動物を含む)の皮下内、筋肉内、静脈内、フッドパッド内もしくは腹腔内に1~数回注射するか、または移植することにより免疫感作を施す。通常、初回免疫から約1~14日毎に1~4回免疫を行って、最終免疫より約1~5日後に免疫感作された該哺乳動物から抗体産生細胞を取得する。

【0037】
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ(融合細胞)の調製は、ケーラーおよびミルシュタインらの方法(Nature, Vol.256, p.495-497, 1975)およびそれに準じる修飾方法に従って行うことができる。即ち、前述の如く免疫感作された哺乳動物から取得される脾臓、リンパ節、骨髄または扁桃等、好ましくは脾臓に含まれる抗体産生細胞と、好ましくはマウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギまたはヒト等の哺乳動物、より好ましくはマウス、ラットまたはヒト由来の自己抗体産生能のないミエローマ細胞との細胞融合により調製される。

【0038】
細胞融合に用いられるミエローマ細胞としては、例えばマウス由来ミエローマP3/X63-AG8.653(653;ATCC No.CRL1580)、P3/NSI/1-Ag4-1(NS-1)、P3/X63-Ag8.U1(P3U1)、SP2/0-Ag14(Sp2/0、Sp2)、PAI、F0またはBW5147、ラット由来ミエローマ210RCY3-Ag.2.3.、ヒト由来ミエローマU-266AR1、GM1500-6TG-A1-2、UC729-6、CEM-AGR、D1R11またはCEM-T15を使用することができる。

【0039】
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンのスクリーニングは、ハイブリドーマを、例えばマイクロタイタープレート中で培養し、増殖の見られたウェルの培養上清の前述の免疫感作で用いた免疫原に対する反応性を、例えばELISA等の酵素免疫測定法によって測定することにより行なうことができる。

【0040】
前記ハイブリドーマは、培地(例えば、10%牛胎仔血清を含むDMEM)を用いて培養し、その培養液の遠心上清をモノクローナル抗体溶液とすることができる。また、本ハイブリドーマを由来する動物の腹腔に注入することにより、腹水を生成させ、得られた腹水をモノクローナル抗体溶液とすることができる。モノクローナル抗体は、上述のポリクローナル抗体と同様に、単離および/または精製されることが好ましい。

【0041】
また、キメラ抗体は、例えば「実験医学(臨時増刊号), Vol.6, No.10, 1988」、特公平3-73280号公報等を、ヒト化抗体は、例えば特表平4-506458号公報、特開昭62-296890号公報等を、ヒト抗体は、例えば「Nature Genetics, Vol.15, p.146-156, 1997」、「Nature Genetics, Vol.7, p.13-21, 1994」、特表平4-504365号公報、国際出願公開WO94/25585号公報、「日経サイエンス、6月号、第40~第50頁、1995年」、「Nature, Vol.368, p.856-859, 1994」、特表平6-500233号公報等を参考にそれぞれ製造することができる。

【0042】
ファージディスプレイによる抗体作製は、抗体スクリーニング用に作製されたファージライブラリーから、例えば、バイオパニングにより抗原に親和性を有するファージを回収、濃縮することにより、Fab等の抗体等を容易に得ることができる。ファージディスプレイによる抗体作製については、「Nature, Vol.348, p.552-554, 1990」、「“Phage display a laboratory manual” In cold spring harbor laboratory press, 2001」、「Antibody Engineering - a Practical Approach, IRL Press, Oxford, 1996」を参照のこと。

【0043】
F(ab')2およびFab'は、イムノグロブリンを、蛋白分解酵素であるペプシンまたはパパインで処理することによりそれぞれ製造することができる。Fabは、Fab発現ファージライブラリーを上記ファージディスプレイによる抗体作製法と同様にスクリーニングすることにより、製造することができる。

【0044】
本発明において、CRYMの活性を阻害する低分子量化合物は、その塩またはその溶媒和物をも含む概念である。

【0045】
塩としては、薬理学的に許容し得る塩、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などがあげられる。

【0046】
無機酸との塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩があげられる。

【0047】
有機酸との塩の例としては、安息香酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩があげられる。

【0048】
塩基性アミノ酸との塩の例としては、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩があげられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩があげられる。

【0049】
溶媒和物としては、好ましくは水和物(例、一水和物、二水和物など)、エタノレートなどがあげられる。

【0050】
本発明の治療薬の対象とする疾患は、筋力低下症および代謝性疾患である。筋力低下症とは、骨格筋におけるCRYMの高発現に起因する筋疾患をいう。代謝性疾患とは、脂質代謝異常、糖代謝異常、タンパク代謝異常または核酸代謝異常をいう。
本発明においては、筋力低下症として、特にサルコペニアを治療対象とする。また、本発明において、代謝性疾患として、サルコペニアに付随する代謝性疾患を治療対象とする。本発明において、「治療」とは、発症後の治療のみならず疾患の予防をも含む概念である。

【0051】
本発明においてサルコペニアとは、進行性および全身性の骨格筋量および骨格筋力の低下を特徴とする症候群をいい、身体的な障害や生活の質の低下、および死などの有害な転帰のリスクを伴うものである(European Working Group on Sarcopenia in Old People: EWGSOPによる定義)。サルコペニアは、その原因により分類することができ、原発性サルコペニア、身体活動性サルコペニア、疾患性サルコペニアおよび栄養性サルコペニアを含む。原発性サルコペニアとは、加齢以外の原因がないサルコペニアをいい、加齢性サルコペニアともいう。身体活動性サルコペニアとは、ベッド上の安静、運動しない生活スタイル、廃用、無重力状態を原因とするものをいう。疾患性サルコペニアとは、高度な臓器障害(例、心臓、肺、肝臓、腎臓、脳)、炎症性疾患、悪性腫瘍、内分泌疾患を原因とするものをいう。栄養性サルコペニアとは、吸収不良、胃腸疾患、食欲不振をきたす薬物の使用、タンパク質摂取不足を原因とするものをいう。

【0052】
サルコペニアの診断基準(EWGSOP)は、筋肉量の低下を前提とした上で筋力または筋肉機能(身体動作など)のいずれかの低下を併せもつことである。筋肉量の測定には、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA法)またはインピーダンス法(BIA法)が推奨される。筋力の評価には握力測定が、筋肉機能の評価には歩行速度の測定が推奨される。

【0053】
本発明の治療薬の投与により、骨格筋において解糖酵素の発現が亢進されることから、代謝性疾患の中でも、糖代謝異常を対象とすることが好ましい。糖代謝異常は、脂質代謝異常にも関連するので、脂質代謝異常も対象とすることが好ましい。糖代謝異常としては、糖尿病が代表例としてあげられる。脂質代謝異常としては、高脂血症(脂質異常症)が代表例としてあげられる。

【0054】
本発明の治療薬は、患者に対して経口的または非経口的に投与することができ、投与形態としては、経口投与、局所投与、静脈内投与、経皮投与などが挙げられ、必要に応じて、製薬学的に許容され得る添加剤と共に、投与に適した剤型に製剤化される。経口投与に適した剤型としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などが挙げられ、非経口投与に適した剤型としては、例えば、注射剤、軟膏、ローション剤、クリーム剤、貼付剤などが挙げられる。これらは当該分野で汎用されている通常の技術を用い、調製することができる。本発明の治療薬は、上述の治療効果を奏する限りその投与経路および剤形は特に限定されないが、好ましい投与経路は局所投与であり、その剤形は注射剤、軟膏、ローション剤、クリーム剤または貼付剤である。
また、本発明の治療薬は、これらの製剤の他に臓器内インプラント用製剤やマイクロスフェア等のDDS(ドラッグデリバリーシステム)化された製剤にすることもできる。
また、本発明の治療薬を所望の組織(例えば、筋組織)に到達させるためには、筋肉内局所投与、皮下局所投与、皮膚への直接塗布、貼付等の局所投与に限らず、静脈内注射(点滴)、皮下投与等の全身性投与であってもよい。

【0055】
本発明の治療薬は、有効成分であるCRYM阻害物質の種類とその投与経路に応じて、薬学的に許容される担体を含んでいてもよい。当業者であればかかる状況に適切な担体を適宜選択することができる。選択可能な担体としては、例えば、ショ糖、デンプン、マンニット、ソルビット、乳糖、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の賦形剤;セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、ショ糖、デンプン等の結合剤;デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ナトリウム-グリコール-スターチ、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、エアロジル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム等の滑剤;安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等の保存剤;クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸等のpH調節剤;メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸アルミニウム等の懸濁剤;界面活性剤等の分散剤;水、生理食塩水、エタノール、プロピレングリコール等の溶解剤;グルコース、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の等張化剤;カカオ脂、ポリエチレングリコール、白灯油等のベースワックスなどがあげられるが、それらに限定されるものではない。また、これらの担体は単独の作用に限定されず、複数の作用を発揮する目的で使用することができる。

【0056】
例えば、本発明の治療薬を注射剤、軟膏、ローション剤、クリーム剤または貼付剤として用いる場合、安定剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエンなど)、溶解補助剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、マクロゴール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油など)、懸濁化剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、乳化剤(例えば、ポリビニルピロリドン、大豆レシチン、卵黄レシチン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80など)、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、グルタミン酸、イプシロンアミノカプロン酸など)、粘稠剤(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性セルロース誘導体、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、マクロゴールなど)、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル類、エデト酸ナトリウム、ホウ酸など)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ホウ酸、ブドウ糖、プロピレングリコールなど)、pH調整剤(例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、酢酸など)、清涼化剤(例えば、l-メントール、d-カンフル、d-ボルネオール、ハッカ油など)、軟膏基剤(例えば、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン、植物油(オリーブ油、椿油、落花生油など)など)などを添加剤として加えることができる。これら添加剤の添加量は、添加する添加剤の種類、用途などによって異なるが、添加剤の目的を達成し得る濃度を添加すればよい。

【0057】
本発明の治療薬は、アンチセンス核酸等の核酸をリポフェクション法を用いて製剤化することもできる。リポフェクション法には、通常ホスファチジルセリンからなるリポソームが用いられる。ホスファチジルセリンは陰電荷を有するため、ホスファチジルセリンの代用として、より安定したリポソームを作りやすいN-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリエチルアンモニウムクロライド(DOTMA)という陽イオン性脂質(商品名:トランスフェクタム、リポフェクトアミン)を用いることが好ましい。これらの陽イオン性脂質と陰電荷を持つ核酸との複合体を形成させると、全体として正に荷電しているリポソームが、負に荷電している細胞の表面に吸着し、細胞膜と融合できることで核酸を細胞内に導入することができる。

【0058】
本発明の治療薬に含まれる前記有効成分の割合は、所望の効果を奏することができる範囲で適宜設定することができるが、通常、0.01~100重量%であり、好ましくは0.1~99.9重量%、より好ましくは0.5~99.5重量%である。

【0059】
本発明の治療薬の投与量としては、有効成分の種類、投与対象の体重や年齢、症状などにより一概に規定されるものではないが、1回につき体重1kgあたり0.0001mgから1000mgの範囲で選ぶことが可能である。

【0060】
本発明の治療薬の投与対象としては、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ヒツジ、サル、ヒト等の哺乳動物があげられる。

【0061】
本発明の治療薬の投与回数は、特に限定されるものではないが、通常、1日当たり1~5回程度である。また、投与期間は、数日~1週間程度の短期服用であっても、数週間~数ヶ月程度の長期服用であってもよい。なお、相当程度の間隔を置いて前記疾患が再発した場合、本発明の治療薬の再度の投与が可能である。
【実施例】
【0062】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0063】
(抗体および試薬)
抗体および試薬は、以下の供給元から入手した。
マウス抗IIa型ミオシン重鎖(MyHC) (SC-71) 抗体およびマウス抗IIb型MyHC (BF-F3)抗体は、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen (Braunschweig, Germany)から入手した。
マウス抗μ-クリスタリン抗体は、 Santa Cruz Biotechnology (Santa Cruz, CA, USA)から購入した。
マウス抗チューブリン抗体、2-メルカプト-1-メチルイミダゾール (MMI)および 3,3’,5-トリヨード-L-チロニンナトリウム塩 (T3) は、Sigma-Aldrich (St. Louis, MO, USA)から購入した。
核染色用DAPI含有封入剤およびM.O.M. キットは、Vector Laboratories (Burlingame, CA, USA)から購入した。
【実施例】
【0064】
(動物)
動物実験は、長崎大学の動物保護と利用に関する委員会による審査と承認を受けた 。Crym-/- マウス系統 (Imai, H., Ohta, K., Yoshida, A., Suzuki, S., Hashizume, K., Usami, S., and Kikuchi, T. (2010) Investigative ophthalmology & visual science 51, 3554-3559)は、理研BRCにより提供された(RBRC04396)。 B6.129の遺伝背景を有するマウスを、週齢の一致する同腹仔対照として、6 - 13週齢で用いた。
【実施例】
【0065】
(動物への甲状腺機能亢進症および甲状腺機能低下症の誘発)
甲状腺機能亢進症は、T3 (5μg/ml)を含む飲水を2週間与えることによって誘発した。甲状腺機能低下症は、0.1% MMIを含む飲水を21日間与えることによって誘発した。
【実施例】
【0066】
(握力測定およびランニング試験)
最大四肢筋力は、握力計 (Columbus Instruments, Columbus, OH, USA)で測定した。10回の連続測定を3セット行い、前肢/後肢の握力を評価した。 実験の各セットにおける最大の力の平均値をデータ解析に用いた。
トレッドミルランニング試験を、15°の傾斜を有するMK-680 トレッドミル (Muromachi Kikai Co., Ltd., Tokyo, Japan)上で、初速10 m/minで10分間行った。
最初のランニング後10分間の休憩の後、高速ランニング試験では、2分毎に5 m/min速度を増加させた。低速ランニング試験では、3分毎に1 m/min速度を増加させた。
疲弊時点を、データ解析のための走行時間として用いた。
【実施例】
【0067】
(サテライト細胞の単離および培養)
既報(Ono, Y., Masuda, S., Nam, H. S., Benezra, R., Miyagoe-Suzuki, Y., and Takeda, S. (2012) Journal of cell science 125, 1309-1317)に従って、長趾伸筋(EDL)を単離し、タイプIコラゲナーゼで消化した。サテライト細胞を単離した筋線維から得て、成長培地(GM;GlutaMax DMEM、30% FBS、1%チキンエンブリオエキストラクト、10 ng/ml塩基性線維芽細胞増殖因子および1%ペニシリン-ストレプトマイシンを補足) 中で、37℃、5% CO2条件下で培養した。筋分化は、分化培地 (DM; GlutaMax DMEM、5%ウマ血清および1% ペニシリン-ストレプトマイシンを補足) 中、37℃、5% CO2条件下で誘導した。
【実施例】
【0068】
(siRNA のトランスフェクション)
siRNAのトランスフェクションは、既報に従って行った(Ono, Y., Urata, Y., Goto, S., Nakagawa, S., Humbert, P. O., Li, T. S., and Zammit, P. S. (2015) Cell reports 10, 1135-1148)。細胞を、6ウエルのプレートに播種し、30-40% のコンフルエンスでsiRNAのトランスフェクションを行った。二本鎖siRNA(Stealth siRNA; Life Technologies, Tokyo, Japan)をOptiMEM (Life Technologies)で希釈し、ウエル当たり10 pmol加え、製造業者の指示書に従って、OptiMEMで希釈したRNAiMAX (Life Technologies)とともにインキュベートした。 以下のsiRNA配列を用いた:
Crym siRNA-1: 5'-UCCAAGCUCAGCAAAGAUGUCAGCC-3'(センス鎖:配列番号11)
Crym siRNA-2: 5'-UAACUUGGUGGUGAGCGCAUCCUCA-3'(センス鎖:配列番号12)
Life Technologies社により選択された対照siRNA。
【実施例】
【0069】
(Q-PCR)
全RNAを、RNeasy Kit (Qiagen, Hilden, Germany)またはISOGEN II (Nippon Gene, Tokyo, Japan)をそれぞれ用いて、培養サテライト細胞または筋肉組織から抽出し、ReverTra Ace kitとgenomic DNA remover (Toyobo, Tokyo, Japan)を用いて、cDNAを調製した。THUNDERBIRD SYBR qPCR mixおよびCFX96 Touch real-time PCR detection system (Bio Rad, Tokyo, Japan)を用いて、Q-PCRを行った。
【実施例】
【0070】
【表1】
JP2017043630A1_000002t.gif
【実施例】
【0071】
(イムノブロッティング)
筋肉組織をRIPA緩衝液 (Thermo Fisher Scientific, Yokohama, Japan)に曝した後に、筋肉組織から全タンパク溶解液を得た。一次抗体をCanGetSignal(登録商標)溶液 A (Toyobo) で希釈し、4℃で一晩インキュベートした。次いで、セイヨウワサビペルオキシダーゼ (HRP)標識二次抗体をCanGetSignal(登録商標)溶液 B (Toyobo) で希釈し、室温で1時間インキュベートした。 HRP標識二次抗体を、化学発光およびデジタル発光イメージアナライザーLAS-4000 (GE Healthcare, Tokyo, Japan)で可視化した。
【実施例】
【0072】
(免疫染色)
筋肉組織の免疫組織化学を既報に従って行った(Ono, Y., Calhabeu, F., Morgan, J. E., Katagiri, T., Amthor, H., and Zammit, P. S. (2011) Cell Death Differ 18, 222-234)。凍結筋肉断面4%パラホルムアルデヒドで固定し、M.O.M. キット (Vector Laboratories) でブロックし、一次抗体とともに4℃で一晩インキュベートした。すべての免疫染色試料は、適切な種特異的Alexa Fluor 488 および/または568 蛍光標識二次抗体 (Life Technologies)を用いて可視化した。次いで、試料をOlympus IX83顕微鏡(Olympus, Tokyo, Japan)上で観察した。デジタル画像を取得し、DP80カメラおよびcellSensソフトウエア(Olympus)を用いて定量した。画像を全体的に最適化し、Adobe Photoshopを用いて図面に組み立てた。
【実施例】
【0073】
(統計学的解析)
有意差は、Studentのt-検定を用いて決定した。P < 0.05を統計学的に有意であると見なした。すべてのデータは、平均 ± 平均の標準誤差 (SEM)である。
【実施例】
【0074】
結果
成体マウスの骨格筋におけるCrymの高発現
身体全体にわたるCrym遺伝子の発現プロファイルを調べるために、野生型 (WT) マウス組織の Q-PCR解析を行った。 既に報告されているように(Kim, R. Y., Gasser, R., and Wistow, G. J. (1992) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 89, 9292-9296)、Crymは、脳および腎臓に高発現し、骨格筋に選択的に発現していた(図1A)。FSHD は、特定の筋肉領域、特に上肢の近位筋が侵されている(Lek, A., Rahimov, F., Jones, P. L., and Kunkel, L. M. (2015) Trends in molecular medicine 21, 295-306、Ciciliot, S., Rossi, A. C., Dyar, K. A., Blaauw, B., and Schiaffino, S. (2013) The international journal of biochemistry & cell biology 45, 2191-2199)。FSHD患者で優先的に侵されている上腕三頭筋および前脛骨筋 (TA)の筋肉では、Crymの異常発現は観察されなかった(Tawil, R., van der Maarel, S. M., and Tapscott, S. J. (2014) Skeletal muscle 4, 12) (図1A)。
インビトロでの筋原性進行中のCrym の発現パターンをさらに探索するために、骨格筋の組織に内在する幹細胞であるサテライト細胞を用いて、Q-PCR解析を行った。Q-PCRデータは、Crymの発現が、マイトジェン豊富培地(GM)で維持された増殖中の筋芽細胞と比較して、血清低下培地 (DM)で3日間誘導した筋分化中に高度にアップレギュレートされたことを示した(図1B)。
【実施例】
【0075】
Crym-/- マウスは筋力の増加および高い走運動能を示した
生体内での筋組織におけるCrymの発現は明確であったので、次に、Crymノックアウトマウス(Suzuki, S., Suzuki, N., Mori, J., Oshima, A., Usami, S., and Hashizume, K. (2007) Mol Endocrinol 21, 885-894)を用いて、骨格筋におけるCrymの生理学的機能を調べた。
イムノブロッティング解析により、WTマウスのTA筋でのCrymタンパク質は検出可能であったが、Crym欠損マウスでは検出不可能であることが確認された (図2A)。以前の研究と同様に(Suzuki, S., Suzuki, N., Mori, J., Oshima, A., Usami, S., and Hashizume, K. (2007) Mol Endocrinol 21, 885-894)、 Crymのホモ欠損(Crym-/-)はマウスにおいて自明な有害な発達または成長を生じないことも見出した (データ示さず)。WTマウスとCrym-/-マウスでは、身体および筋肉量に差がなかった (図2B、C)。 また、肝臓、白色脂肪組織、心臓、腎臓および脳を含む他の組織の重量にも有意差がないことを確認した (データ示さず)。興味深いことに、握力試験解析により、Crym-/-マウスにおいて四肢の筋力の発生がアップレギュレートされたことが解明された(図2D)。それに対応して、Crym-/-マウスは、高速ランニング試験において疲労耐性を示したが、低速の持久ランニング試験ではそうではなかった(図2E)。これらの結果は、マウスにおいてCrymの不活化が最大筋肉収縮を増加させ、高速ランニングパフォーマンスを増加させることを示唆する。
【実施例】
【0076】
Crymの不活化は解糖速単収縮筋形成を促進させる
Crym-/-マウスにおいては筋力がアップレギュレートしたので、次に、Crym-/-マウスの骨格筋の特性を評価した。免疫組織化学により、TA筋のIIb型線維の断面領域(CSA)は、線維型の組成の割合に変化はなかったが、WTマウスと比較して、Crym-/-マウスにおいて有意に増加していることが示された(図3A、 B)。免疫組織化学解析に対応して、IIb型(Myh4)遺伝子の発現は、Crym-/-マウス由来のTA筋においてアップレギュレートしていた(図3C)。
線維型の特性を決定するために、Crym-/-筋の代謝プロファイルを評価した。Q-PCR解析により、解糖酵素[乳酸脱水素酵素A (LDH)および筋型ホスホフルクトキナーゼ(Pfkm)]遺伝子がCrym-/- 骨格筋で高度に発現していることがわかった(図3D)。次に、これらの変化がサテライト細胞由来の筋管で観察されうるか否かをインビトロで試験した。サテライト細胞は、出生後の筋肉の成長ならびに成体における維持、修復/再生および肥大のための筋核の供給に重要な役割を果たす (Relaix, F., and Zammit, P. S. (2012) Development 139, 2845-2856、Blau, H. M., Cosgrove, B. D., and Ho, A. T. (2015) Nature medicine 21, 854-862)。既報に従って、EDLから単離されたサテライト細胞を培養し、DMによって分化を誘導させ、筋管を形成させた(Masuda, S., Hisamatsu, T., Seko, D., Urata, Y., Goto, S., Li, T. S., and Ono, Y. (2015) Physiological reports 3)。WTマウスとCrym-/-マウスとでは、増殖および筋原能に差がないことが観察された (データ示さず)。 Q-PCR解析により、解糖酵素もCrym-/-筋管(図3E)およびCrymに対するsiRNA をトランスフェクトした筋管(図3F)の両方で増加していることが示された。
同様に、Crymに対するsiRNA をサテライト細胞由来の筋管にトランスフェクトし、IIx型(Myh1)遺伝子およびIIa型(Myh2)遺伝子の発現について、インビトロで試験した。Q-PCR解析により、Myh1は増加したが、Myh2は減少したことから、速筋化が誘導されたと考えられる(図4)。
【実施例】
【0077】
甲状腺ホルモン応答遺伝子はCrym-/-筋でアップレギュレートされる
甲状腺ホルモンは、筋肉において速筋解糖型変換に関する遺伝子の発現を強力に誘導する (Salvatore, D., Simonides, W. S., Dentice, M., Zavacki, A. M., and Larsen, P.R. (2014) Nature reviews. Endocrinology 10, 206-214;Clement, K., Viguerie, N., Diehn, M., Alizadeh, A., Barbe, P., Thalamas, C., Storey, J. D., Brown, P. O., Barsh, G. S., and Langin, D. (2002) Genome research 12, 281-291;Nwoye, L., Mommaerts, W. F., Simpson, D. R., Seraydarian, K., and Marusich, M. (1982) The American journal of physiology 242, R401-408;Bahi, L., Garnier, A., Fortin, D., Serrurier, B., Veksler, V., Bigard, A. X., and Ventura-Clapier, R. (2005) J Cell Physiol 203, 589-598)。WTマウスと比較して、Crym-/-筋は速-単収縮解糖型線維に関する遺伝子の発現がより高いことが示されたので、次に、Crymの不活化が骨格筋における甲状腺ホルモン状態に影響するか否かを決定した。脱共役タンパク質-3 (UCP3)は、甲状腺ホルモンの標的遺伝子であり、その発現レベルは、筋肉において近位プロモーター領域の甲状腺ホルモン応答配列によって調節されている(Solanes, G., Pedraza, N., Calvo, V., Vidal-Puig, A., Lowell, B. B., and Villarroya, F. (2005) The Biochemical journal 386, 505-513;Gong, D. W., He, Y., Karas, M., and Reitman, M. (1997) The Journal of biological chemistry 272, 24129-24132)。
ピルビン酸脱水素酵素キナーゼ-4 (Pdk4)は、T3の主要な標的遺伝子である(Orfali, K.A., Fryer, L. G., Holness, M. J., and Sugden, M. C. (1995) Journal of molecular and cellular cardiology 27002C901-908)。UCP3およびPdk4の発現は、筋肉組織およびサテライト細胞由来のCrym-/-筋管でアップレギュレートすることを示した (図5A, B)。
甲状腺機能亢進症のCrym-/-筋に対する影響をさらに評価するために、T3 (5 μg/ml)を含む飲水を2週間与えることにより、甲状腺機能亢進状態を誘導した。T3での処置により、WT筋でのUCP3発現はアップレギュレートされたが、Crym-/-筋ではそうではなかった(図5C)。これらの結果は、甲状腺機能正常状態で、Crym-/-筋で甲状腺ホルモン作用が最大に増幅されることを示す。
【実施例】
【0078】
甲状腺ホルモン合成阻害はCrym欠損筋での表現型を救済する
甲状腺ホルモン阻害剤での処置が生体内でCrym不活化の筋肉に対する影響を救済するか否かを調べた。甲状腺ホルモン合成阻害を、甲状腺ホルモン合成酵素である甲状腺ペルオキシダーゼの強力な阻害剤であるMMIを0.1%含む飲水を21日間飲ませることにより誘導した。甲状腺ホルモン合成酵素の障害は、Crym-/-筋において甲状腺ホルモン応答遺伝子の発現を有意に低下させたが、 WTマウスは影響を受けなかった(図6A)。重要なことに、甲状腺ホルモン合成阻害は、Crym-/-マウスにおいて、上昇したIIb型亢進症 (図6B)、握力(図6C)および高速ランニングパフォーマンス(図6D)のすべての表現型を十分に救済した。総合すると、これらの結果は、Crymの欠損が筋肉における甲状腺ホルモン作用を亢進させることによって速筋解糖型の形成を促進させることを示唆する。
【実施例】
【0079】
考察
Crymは、有袋類の眼のレンズ、ならびに脳、腎臓および骨格筋を含む他の組織で発現している (Kim, R. Y., Gasser, R., and Wistow, G. J. (1992) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 89, 9292-9296)。Crym発現のアップレギュレーションは、FSHD筋肉においても報告されている(Reed, P. W., Corse, A. M., Porter, N. C., Flanigan, K. M., and Bloch, R. J. (2007) Experimental neurology 205, 583-586;Vanderplanck, C., Ansseau, E., Charron, S., Stricwant, N., Tassin, A., Laoudj-Chenivesse, D., Wilton, S.D., Coppee, F., and Belayew, A.(2011) PloS one 6, e26820)。最近の研究により、Crymは甲状腺ホルモン結合タンパク質として機能することが解明されたが、Crymの筋肉における生理学的役割は不明のままである。Crym遺伝子は骨格筋で高度に発現しているが、肝臓または脂肪組織などの他の代謝器官では低いレベルで発現していることが示された。このことは、Crymが身体全体にわたって甲状腺ホルモンのシグナル伝達の普遍的調節因子ではないことを示唆している。 遺伝子発現解析により、Crymの異常発現はFSHD患者の優先的に罹患した筋肉(三頭筋およびTA筋を含む)では観察されなかったことも明らかとなった(Tawil, R., van der Maarel, S. M., and Tapscott, S. J. (2014) Skeletal muscle 4, 12)。
【実施例】
【0080】
筋疾患においては、速筋線維と病理学的ジストロフィープロセスとの優先的な関連がある。以前の研究では、ジストロフィーマウスモデルにおいて最速IIb型線維に特異的な力の損失が報告されている(Sampaolesi, M., Torrente, Y., Innocenzi, A., Tonlorenzi, R., D'Antona, G., Pellegrino, M. A., Barresi, R., Bresolin, N., De Angelis, M. G., Campbell, K. P., Bottinelli, R., and Cossu, G. (2003) Science 301, 487-492;Denti, M. A., Rosa, A., D'Antona, G., Sthandier, O., De Angelis, F. G., Nicoletti, C., Allocca, M., Pansarasa, O., Parente, V., Musaro, A., Auricchio, A., Bottinelli, R., and Bozzoni, I. (2006) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 103, 3758-3763)。FSHD患者は、II型筋の力の発生および速筋-解糖から遅筋-酸化線維への変換の低下を示す(Celegato, B., Capitanio, D., Pescatori, M., Romualdi, C., Pacchioni, B., Cagnin, S., Vigano, A., Colantoni, L., Begum, S., Ricci, E., Wait, R., Lanfranchi, G., and Gelfi, C. (2006) Proteomics 6, 5303-5321)。最近の研究により、FSHD患者のII型筋線維は、健康な対照と比較して、有意に低下した力を発生することが解明された(Lassche, S., Stienen, G. J., Irving, T. C., van der Maarel, S. M., Voermans, N. C., Padberg, G. W., Granzier, H., van Engelen, B. G., and Ottenheijm, C. A. (2013) Neurology 80, 733-737)。II型線維の機能低下は、FSHDにおける筋肉衰弱の発生に役割を果たしていることを示唆する。
本発明者は、Crym欠損マウスが解糖速筋線維の有意な肥大を呈することを見出した。したがって、増加したCrym発現は、FSHD病理の発症に関与している可能性がある。しかしながら、本発明者は、筋肉の機能におけるCrymの機能獲得の効果を評価しなかった。Crym発現レベルとFSHD患者の疾患の重症度との相関関係をより一層理解するためには、Crymの過剰発現が筋肉の特性にどのような影響するのか、さらなる研究が必要である。
【実施例】
【0081】
甲状腺ホルモンは、身体全体にわたって 広範囲の生理学的機能に重要な役割を果たす(Salvatore, D., Simonides, W. S., Dentice, M., Zavacki, A. M., and Larsen, P. R. (2014) Nature reviews. Endocrinology 10, 206-214;Mullur, R., Liu, Y. Y., and Brent, G. A. (2014) Physiological reviews 94, 355-382)。骨格筋は、速筋解糖型変換に不可欠である甲状腺ホルモンの主要な標的である (Salvatore, D., Simonides, W. S., Dentice, M., Zavacki, A. M., and Larsen, P. R. (2014) Nature reviews. Endocrinology 10, 206-214;Nwoye, L., Mommaerts, W. F., Simpson, D. R., Seraydarian, K., and Marusich, M. (1982) The American journal of physiology 242, R401-408;Bahi, L., Garnier, A., Fortin, D., Serrurier, B., Veksler, V., Bigard, A. X., and Ventura-Clapier, R. (2005) J Cell Physiol 203, 589-598)。以前の研究により、CrymはT3の細胞質から核への輸送を調節し、甲状腺ホルモン受容体への結合の制御およびT3応答遺伝子の活性化に関与していることが明らかとなった(Suzuki, S., Mori, J., and Hashizume, K. (2007) Trends in endocrinology and metabolism: TEM 18, 286-289)。実際、Crymは甲状腺ホルモン作用の正の調節因子と考えられている (Takeshige, K., Sekido, T., Kitahara, J., Ohkubo, Y., Hiwatashi, D., Ishii, H., Nishio, S., Takeda, T., Komatsu, M., and Suzuki, S. (2014) Endocrine journal 61, 561-570)。
【実施例】
【0082】
しかしながら、Crymノックアウトマウスは、血清および組織におけるT3およびチロキシン(T4)のターンオーバーを加速させることを示すが、末梢T3作用に対して変化することなく正常の成長を示す(Suzuki, S., Suzuki, N., Mori, J., Oshima, A., Usami, S., and Hashizume, K. (2007) Mol Endocrinol 21, 885-894)。本発明者は、Crymの不活化が筋肉における甲状腺ホルモン作用をアップレギュレートすることを示した。重要なことに、Crym不活化筋肉におけるこのアップレギュレートされた甲状腺ホルモンのシグナル伝達は、甲状腺ホルモンの産生を阻害することにより救済された。
【実施例】
【0083】
これらの知見は、Crymが骨格筋において甲状腺ホルモン作用の負の制御因子として機能することを意味する。したがって、低下したCrymは T3を核に移行させ、甲状腺ホルモン受容体に結合させて甲状腺ホルモン応答遺伝子の発現を促進させることが推測される。野生型マウスの筋肉において甲状腺ホルモン標的遺伝子の発現に対する甲状腺ホルモン合成の阻害効果を示すことができなかったことに注目することは重要である。これらの現象は、骨格筋において、細胞は細胞質に正常にT4とT3を貯蔵し、抗甲状腺剤で誘導した甲状腺機能低下はT4をT3に変換する2型ヨードチロニンセレン置換脱ヨード酵素 (Dio2)の活性をアップレギュレートするという以前の知見によって説明できる可能性がある (Marsili, A., Ramadan, W., Harney, J. W., Mulcahey, M., Castroneves, L. A., Goemann, I. M., Wajner, S. M., Huang, S. A., Zavacki, A. M., Maia, A. L., Dentice, M., Salvatore, D., Silva, J. E., and Larsen, P. R. (2010) Endocrinology 151, 5952-5960;Dentice, M., Ambrosio, R., Damiano, V., Sibilio, A., Luongo, C., Guardiola, O., Yennek, S., Zordan, P., Minchiotti, G., Colao, A., Marsili, A., Brunelli, S., Del Vecchio, L., Larsen, P. R., Tajbakhsh, S., and Salvatore, D. (2014) Cell metabolism 20, 1038-1048)。
【実施例】
【0084】
結論として、Crymの不活化が骨格筋の特性にどのように影響するかを調べた。非筋肉細胞においてCrymは甲状腺ホルモンシグナル伝達を媒介するにも関わらず、筋肉においてはCrymはT3作用の負の調節因子として作用するようにみえる。これらの知見は、Crymが細胞および組織型特異的様式で甲状腺ホルモンの状況を調節していることを示唆している。総合すると、Crymは、少なくとも一部は骨格筋における甲状腺ホルモン作用を調節することにより、代謝および収縮表現型を調節する、筋肉可塑性の極めて重要な調節因子である。
選択的にCrymを標的化することは、特にII型筋線維において、FSHDのみならず、有意な筋委縮が関与する加齢性サルコペニアに対する潜在的治療の代替案となりうる。最近の研究により、Crymはケチミン還元酵素としても機能することが報告されている (Hallen, A., Cooper, A. J., Jamie, J. F., Haynes, P. A., and Willows, R. D. (2011) Journal of neurochemistry 118, 379-387;Borel, F., Hachi, I., Palencia, A., Gaillard, M.C., and Ferrer, J. L. (2014) The FEBS journal 281, 1598-1612)。したがって、Crymは、甲状腺ホルモン非依存的様式でも筋肉の可塑性を調節するか不明のままである。Crymの生理学的および病理学的機能を明らかにするためには、さらなる研究が必要であろう。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の筋肉低下症または代謝性疾患の治療薬によると、骨格筋における筋力を増強させ、かつ代謝を改善するため、特にサルコペニアおよび糖代謝異常の治療に有用である。
本出願は、日本でされた特願2015-179698(出願日:2015年9月11日)を基礎としており、その内容はすべて本明細書に包含されるものとする。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
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【図6】
5