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明細書 :細胞内移行性DNA及びそれを用いた目的分子の細胞内導入方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年7月5日(2018.7.5)
発明の名称または考案の名称 細胞内移行性DNA及びそれを用いた目的分子の細胞内導入方法
国際特許分類 C12N  15/11        (2006.01)
C12N  15/87        (2006.01)
C12Q   1/6813      (2018.01)
FI C12N 15/11 ZNAZ
C12N 15/87 Z
C12Q 1/6813 Z
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 31
出願番号 特願2017-540003 (P2017-540003)
国際出願番号 PCT/JP2016/077449
国際公開番号 WO2017/047750
国際出願日 平成28年9月16日(2016.9.16)
国際公開日 平成29年3月23日(2017.3.23)
優先権出願番号 2015185295
優先日 平成27年9月18日(2015.9.18)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG
発明者または考案者 【氏名】立花 亮
【氏名】田辺 利住
出願人 【識別番号】506122327
【氏名又は名称】公立大学法人大阪市立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110002572、【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4B063
Fターム 4B063QA01
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ01
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QS32
4B063QS34
要約 細胞内移行性DNA、該DNAと細胞内に導入しようとする目的分子とを含む組成物、該組成物を用いた目的分子を細胞内に導入する方法、並びに該DNAを含む、目的分子の細胞内導入剤及び細胞内導入用キットの提供。
以下の塩基配列: 5'-N1-N2-GG-N5-N6-N7-GGTGGT-N14-GGGG-N19-N20-G-N22-N23-TCG-N27-N28-N29-G-N31-AT-N34-N35-GTG-N39-N40-TCG-3'[ここで、N1は欠失しているか又はTであり、N2はGであるか又は欠失しており、N5はC又はTであり、N6はG又はCであり、N7はG又はTであり、N14はG又はCであり、N19はA又はGであり、N20はG又はAであり、N22は欠失しているか又はTであり、N23はT又はAであり、N27はG、T又はAであり、N28はT、A又はCであり、N29は欠失しているか又はTであり、N31はG又はAであり、N34はGであるか又は欠失しており、N35はC又はAであり、N39はG又はTであり、かつN40はG又はAである] (配列番号1)からなる細胞内移行領域を含む、細胞内移行性DNA。
特許請求の範囲 【請求項1】
以下の塩基配列:
5'-N1-N2-GG-N5-N6-N7-GGTGGT-N14-GGGG-N19-N20-G-N22-N23-TCG-N27-N28-N29-G-N31-AT-N34-N35-GTG-N39-N40-TCG-3'
[ここで、
N1は、欠失しているか又はTであり、
N2は、Gであるか又は欠失しており、
N5は、C又はTであり、
N6は、G又はCであり、
N7は、G又はTであり、
N14は、G又はCであり、
N19は、A又はGであり、
N20は、G又はAであり、
N22は、欠失しているか又はTであり、
N23は、T又はAであり、
N27は、G、T又はAであり、
N28は、T、A又はCであり、
N29は、欠失しているか又はTであり、
N31は、G又はAであり、
N34は、Gであるか又は欠失しており、
N35は、C又はAであり、
N39は、G又はTであり、かつ
N40は、G又はAである] (配列番号1)
からなる細胞内移行領域を含む、細胞内移行性DNA。
【請求項2】
前記塩基配列が、以下の(a)又は(b)である、請求項1に記載の細胞内移行性DNA。
(a) 5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGGTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号2)、
5'-GGTGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGTTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号3)、
5'-GGGCGGGGTGGTCGGGGGAGTTTCGGTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号4)、
5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGTATGGATGCGTGGATCG-3' (配列番号5)、
5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGATGGATCGTGGGTCG-3' (配列番号6)、
5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGGATCGGTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号7)、
5'-GGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGATGGATGAGTGGGTCG-3' (配列番号8)、
5'-GGGCCGGGTGGTGGGGGAGGTTCGGTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号9)、
5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGACGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号10)、
5'-TGGGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGGTGAATGCGTGTGTCG-3' (配列番号11)、及び
5'-GGGCGTGGTGGTGGGGGAGGTTCGGTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号12)
のいずれかに示される塩基配列
(b) 配列番号2~12のいずれかに示される塩基配列において、1若しくは2個の塩基が置換、欠失、挿入又は付加された塩基配列
【請求項3】
以下の塩基配列:
5'-N1-N2-GG-N5-N6-N7-GGTGGT-N14-GGGG-N19-N20-G-3'
[ここで、
N1は、欠失しているか又はTであり、
N2は、Gであるか又は欠失しており、
N5は、C又はTであり、
N6は、G又はCであり、
N7は、G又はTであり、
N14は、G又はCであり、
N19は、A又はGであり、かつ
N20は、G又はAである] (配列番号13)
を2個以上含む細胞内移行領域を含む、細胞内移行性DNA。
【請求項4】
前記塩基配列のそれぞれが、以下の(a)又は(b)である、請求項3に記載の細胞内移行性DNA。
(a) 5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号14)、
5'-GGTGGGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号15)、
5'-GGGCGGGGTGGTCGGGGGAG-3' (配列番号16)、
5'-GGCGGGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号17)、
5'-GGGCCGGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号18)、
5'-TGGGCGGGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号19)、及び
5'-GGGCGTGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号20)
のいずれかに示される塩基配列
(b) 配列番号14~20のいずれかに示される塩基配列において、1個の塩基が置換、欠失、挿入又は付加された塩基配列
【請求項5】
2個以上の細胞内移行性DNAが結合してなる、細胞内移行性DNAの多量体であって、該細胞内移行性DNAのそれぞれは、請求項1~4のいずれか一項に記載の細胞内移行性DNAから選択される、細胞内移行性DNA多量体。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の細胞内移行性DNA又は請求項5に記載の細胞内移行性DNA多量体を含む、目的分子の細胞内導入剤。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか一項に記載の細胞内移行性DNA又は請求項5に記載の細胞内移行性DNA多量体と、細胞内に導入しようとする目的分子とを含む、組成物。
【請求項8】
目的分子を細胞内に導入する方法であって、請求項7に記載の組成物を細胞と接触させることを含む、方法。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか一項に記載の細胞内移行性DNA又は請求項5に記載の細胞内移行性DNA多量体を含む、目的分子の細胞内導入用キット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞内移行性DNAに関する。本発明はまた、該DNAと細胞内に導入しようとする目的分子とを含む組成物、及び該組成物を用いた目的分子を細胞内に導入する方法に関する。さらに本発明は、該DNAを含む、目的分子の細胞内導入剤及び細胞内導入用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
核酸やペプチド若しくはタンパク質などの分子を細胞内に導入する技術は、それらの分子の機能の解明又は疾患の治療若しくは病因解明を含めた様々な目的のために重要である。しかし、一般に、タンパク質や核酸などの分子は親水性が高く、通常、細胞膜をほとんど透過しない。そのため、これらの分子を細胞内に導入する技術が多く開発されている。
【0003】
例えば、核酸を細胞内に導入する技術としては、電気的に細胞膜に穴を開け核酸を細胞内に取り込ませるエレクトロポレーション法、ガラス毛細管によって核酸を直接注入するマイクロインジェクション法、核酸を取り込んだリポソームを用いるリポフェクション法、レトロウイルスなどのウイルスを利用したウイルスベクター法などが挙げられる。しかし、エレクトロポレーション法及びマイクロインジェクション法は、細胞に物理的に穴を開けて核酸などを導入するため、細胞へのダメージが大きく、また、専用の装置を必要とする。エレクトロポレーション法ではまた、細胞に応じて導入条件の検討が必要となり、手間がかかる。リポフェクション法は、試薬の細胞への毒性が問題となり、また、費用も高い。ウイルスベクター法は、ベクターの調製に時間がかかり、また、目的以外の核酸やタンパク質なども導入される可能性があるという問題がある。すなわち、現在利用可能な技術には、導入効率、細胞毒性、費用、労力、安全性などの点で多くの課題が残されている。
【0004】
また近年急速に開発が進んでいる核酸医薬も、一般に生体内への導入が困難であり、効率的なドラッグデリバリーシステムの開発が必要である。
【0005】
細胞膜透過性ペプチド(CPP)と一般に称される細胞内へ移行する性質を有するペプチドを利用した、タンパク質や核酸などの分子の細胞内への導入方法も知られている。代表的な細胞膜透過性ペプチドとしては、HIV-1ウイルス由来のTat、及びショウジョウバエ由来のペネトラチンが挙げられる(特許文献1及び2)。
【0006】
同様に、細胞内に移行する性質を有するRNAが報告されている(非特許文献1及び特許文献3)。このRNAは、ランダム配列を含むRNAライブラリーから、細胞内に移行したRNAを選択し増幅するサイクルを複数回繰り返すことによって、細胞内移行性RNAのみを選別する方法(Cell SELEX法と称される)によって同定された。しかし、RNAは一般に分解されやすいため、この細胞内移行性RNAを用いて他の分子を細胞内に導入する技術を実用化するには、安定性などの多くの課題がある。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開平10-33186号公報(国際公開第94/04686号)
【特許文献2】特表2002-530059号公報(国際公開第00/29427号)
【特許文献3】国際公開第2008/124798号
【0008】

【非特許文献1】Magalhaes, M. et al., Mol. Ther., Vol. 20, No. 3, pp. 616-624, 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、細胞内移行性DNA、該DNAと細胞内に導入しようとする目的分子とを含む組成物、該組成物を用いた目的分子を細胞内に導入する方法、並びに該DNAを含む、目的分子の細胞内導入剤及び細胞内導入用キットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、細胞内移行能を有するDNAを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1] 以下の塩基配列:
5'-N1-N2-GG-N5-N6-N7-GGTGGT-N14-GGGG-N19-N20-G-N22-N23-TCG-N27-N28-N29-G-N31-AT-N34-N35-GTG-N39-N40-TCG-3'
[ここで、
N1は、欠失しているか又はTであり、
N2は、Gであるか又は欠失しており、
N5は、C又はTであり、
N6は、G又はCであり、
N7は、G又はTであり、
N14は、G又はCであり、
N19は、A又はGであり、
N20は、G又はAであり、
N22は、欠失しているか又はTであり、
N23は、T又はAであり、
N27は、G、T又はAであり、
N28は、T、A又はCであり、
N29は、欠失しているか又はTであり、
N31は、G又はAであり、
N34は、Gであるか又は欠失しており、
N35は、C又はAであり、
N39は、G又はTであり、かつ
N40は、G又はAである] (配列番号1)
からなる細胞内移行領域を含む、細胞内移行性DNA。
[2] 前記塩基配列が、以下の(a)又は(b)である、[1]に記載の細胞内移行性DNA。
(a) 5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGGTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号2)、
5'-GGTGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGTTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号3)、
5'-GGGCGGGGTGGTCGGGGGAGTTTCGGTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号4)、
5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGTATGGATGCGTGGATCG-3' (配列番号5)、
5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGATGGATCGTGGGTCG-3' (配列番号6)、
5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGGATCGGTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号7)、
5'-GGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGATGGATGAGTGGGTCG-3' (配列番号8)、
5'-GGGCCGGGTGGTGGGGGAGGTTCGGTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号9)、
5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGACGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号10)、
5'-TGGGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGGTGAATGCGTGTGTCG-3' (配列番号11)、及び
5'-GGGCGTGGTGGTGGGGGAGGTTCGGTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号12)
のいずれかに示される塩基配列
(b) 配列番号2~12のいずれかに示される塩基配列において、1若しくは2個の塩基が置換、欠失、挿入又は付加された塩基配列
[3] 以下の塩基配列:
5'-N1-N2-GG-N5-N6-N7-GGTGGT-N14-GGGG-N19-N20-G-3'
[ここで、
N1は、欠失しているか又はTであり、
N2は、Gであるか又は欠失しており、
N5は、C又はTであり、
N6は、G又はCであり、
N7は、G又はTであり、
N14は、G又はCであり、
N19は、A又はGであり、かつ
N20は、G又はAである] (配列番号13)
を2個以上含む細胞内移行領域を含む、細胞内移行性DNA。
[4] 前記塩基配列のそれぞれが、以下の(a)又は(b)である、[3]に記載の細胞内移行性DNA。
(a) 5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号14)、
5'-GGTGGGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号15)、
5'-GGGCGGGGTGGTCGGGGGAG-3' (配列番号16)、
5'-GGCGGGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号17)、
5'-GGGCCGGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号18)、
5'-TGGGCGGGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号19)、及び
5'-GGGCGTGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号20)
のいずれかに示される塩基配列
(b) 配列番号14~20のいずれかに示される塩基配列において、1個の塩基が置換、欠失、挿入又は付加された塩基配列
[5] 2個以上の細胞内移行性DNAが結合してなる、細胞内移行性DNAの多量体であって、該細胞内移行性DNAのそれぞれは、[1]~[4]のいずれかに記載の細胞内移行性DNAから選択される、細胞内移行性DNA多量体。
[6] [1]~[4]のいずれかに記載の細胞内移行性DNA又は[5]に記載の細胞内移行性DNA多量体を含む、目的分子の細胞内導入剤。
[7] [1]~[4]のいずれかに記載の細胞内移行性DNA又は[5]に記載の細胞内移行性DNA多量体と、細胞内に導入しようとする目的分子とを含む、組成物。
[8] 目的分子を細胞内に導入する方法であって、[7]に記載の組成物を細胞と接触させることを含む、方法。
[9] [1]~[4]のいずれかに記載の細胞内移行性DNA又は[5]に記載の細胞内移行性DNA多量体を含む、目的分子の細胞内導入用キット。
【0012】
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2015-185295号の開示内容を包含する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、細胞内移行性DNA、該DNAと細胞内に導入しようとする目的分子とを含む組成物、該組成物を用いた目的分子を細胞内に導入する方法、並びに該DNAを含む、目的分子の細胞内導入剤及び細胞内導入用キットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】細胞内移行性DNA多量体の例示的構造を示す模式図である。(A)は細胞内移行性DNAが足場鎖に直接的に結合しているユニットの構造を示し、(B)は細胞内移行性DNAが足場鎖に間接的に(アダプター鎖を介して)結合しているユニットの構造を示す。(C)及び(D)は、それぞれ、(A)及び(B)に示すユニットの三量体の構造を示す。
【図2】実施例2で使用した被験DNAの構造を示す模式図である。(A)は被験DNA単量体(QAp1単量体)の構造を示し、(B)は被験DNA三量体(一例としてQAp1三量体)の構造を示す。
【図3】QAp1単量体とインキュベートしたHepG2細胞(A)又は3T3-L1細胞(B)のフローサイトメトリー結果を示す図である。
【図4】QAp1単量体とインキュベートし、トリプシン及びDNase処理した3T3-L1細胞のフローサイトメトリー結果を示す図である。
【図5-1】QAp1三量体(A)、QAp3三量体(B)、QAp4三量体(C)、QAp7三量体(D)、QAp8三量体(E)又はQAp10三量体(F)とインキュベートしたHB2細胞のフローサイトメトリー結果を示す図である。
【図5-2】QAp11三量体(G)、QAp14三量体(H)、QAp15三量体(I)、QAp16三量体(J)又はQAp19三量体(K)とインキュベートしたHB2細胞のフローサイトメトリー結果を示す図である。
【図6】QAp1三量体とインキュベートしたHEK293T細胞(A)又はHW細胞(B)のフローサイトメトリー結果を示す図である。
【図7】QAp1三量体とインキュベートし、トリプシン及びDNase処理したHEK293T細胞(A)、HB2細胞(B)又はHW細胞(C)のフローサイトメトリー結果を示す図である。
【図8】QAp1A単量体(A)又はQAp1AA単量体(B)とインキュベートし、トリプシン及びDNase処理したMCF-7細胞のフローサイトメトリー結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
<細胞内移行性DNA>
本発明は、細胞内移行性DNAに関する。本明細書において、細胞内移行性DNAは、細胞内に移行する能力を有するDNAを意味する。

【0016】
本明細書において「細胞内移行性」又は「細胞内移行能」とは、細胞外部から、細胞の内部と外部とを隔てている細胞膜の内側へ移行し得ることを指す。細胞膜の内側は、細胞質ゾル、並びに例えば、エンドソーム及び小胞などを含めた細胞内の任意の区画を含む。移行の経路としては、特に限定されないが、輸送タンパク質を通した経路、並びにエンドサイトーシス、ファゴサイトーシス及びピノサイトーシスなどの経路がある。例えば、本発明の細胞内移行性DNAは、まず細胞表面へ結合し、その後、エンドサイトーシスによって細胞内へ取り込まれてもよい。

【0017】
DNAが細胞内移行能を有するかどうかは、当業者であれば適宜決定できる。例えば、蛍光物質と結合した被験DNAを細胞に添加し、インキュベーションした後に、細胞表面に結合しているDNAを分解し、その後、フローサイトメーターで細胞の蛍光強度を測定することによって決定できる。あるいは、例えば、蛍光物質と結合した被験DNAを細胞に添加し、インキュベーションした後に、共焦点レーザー顕微鏡で細胞内部の蛍光を観察することによって決定できる。例えば、蛍光物質(例えば、FITC)と結合した被験DNAを添加しインキュベートした細胞(例えば、HepG2細胞、HB2細胞、HW細胞又はHEK293T細胞)の蛍光強度をフローサイトメーターで測定したときに、蛍光物質と結合した対照DNAに比べて、細胞1個あたりの平均蛍光強度が大きい(例えば、1.2倍以上、1.3倍以上、1.4倍以上、1.5倍以上、1.6倍以上、1.7倍以上、1.8倍以上、1.9倍以上、2.0倍以上、2.1倍以上、2.2倍以上、2.3倍以上、2.4倍以上又は2.5倍以上大きい)場合及び/又は細胞カウント数がピークを示す蛍光強度の値が増加する場合、当該DNAは細胞内移行能を有すると判断し得る。対照DNAとしては、被験DNAを、それと相補的なDNAと結合(アニーリング)させた二本鎖DNA分子を使用し得る。

【0018】
本発明の細胞内移行性DNAは、細胞内移行領域を含む。本明細書において、細胞内移行領域は、該領域を含むDNAの細胞内移行能に関与する領域である。

【0019】
一実施形態において、本発明の細胞内移行性DNAは、
以下の塩基配列: 5'-N1-N2-GG-N5-N6-N7-GGTGGT-N14-GGGG-N19-N20-G-N22-N23-TCG-N27-N28-N29-G-N31-AT-N34-N35-GTG-N39-N40-TCG-3'
[ここで、N1は欠失しているか又はTであり、N2はGであるか又は欠失しており、N5はC又はTであり、N6はG又はCであり、N7はG又はTであり、N14はG又はCであり、N19はA又はGであり、N20はG又はAであり、N22は欠失しているか又はTであり、N23はT又はAであり、N27はG、T又はAであり、N28はT、A又はCであり、N29は欠失しているか又はTであり、N31はG又はAであり、N34はGであるか又は欠失しており、N35はC又はAであり、N39はG又はTであり、かつN40はG又はAである] (配列番号1)
からなる、細胞内移行領域を含み得る。該塩基配列は、好ましくは、5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGGTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号2)、5'-GGTGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGTTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号3)、5'-GGGCGGGGTGGTCGGGGGAGTTTCGGTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号4)、5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGTATGGATGCGTGGATCG-3' (配列番号5)、5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGATGGATCGTGGGTCG-3' (配列番号6)、5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGGATCGGTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号7)、5'-GGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGATGGATGAGTGGGTCG-3' (配列番号8)、5'-GGGCCGGGTGGTGGGGGAGGTTCGGTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号9)、5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGACGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号10)、5'-TGGGCGGGGTGGTGGGGGAGGTTCGGTGAATGCGTGTGTCG-3' (配列番号11)、及び5'-GGGCGTGGTGGTGGGGGAGGTTCGGTGGATGCGTGGGTCG-3' (配列番号12)のいずれかに示される塩基配列であってよい。あるいは、該塩基配列は、配列番号2~12のいずれかに示される塩基配列において、1若しくは2個の塩基が置換、欠失、挿入又は付加された塩基配列であってもよい。一般的に、所望の特性を有する核酸(例えば、特定の分子への結合能を有するアプタマーなど)を取得した場合、数個の塩基配列を置換、欠失、挿入又は付加することによって塩基配列を最適化することができる。このように、配列番号2~12のいずれかに示される塩基配列において、1若しくは2個の塩基が置換、欠失、挿入又は付加されたことによって最適化された塩基配列を含むDNAも、細胞内移行能を有することができる。

【0020】
別の実施形態において、本発明の細胞内移行性DNAは、
以下の塩基配列: 5'-N1-N2-GG-N5-N6-N7-GGTGGT-N14-GGGG-N19-N20-G-3'
[ここで、N1は欠失しているか又はTであり、N2はGであるか又は欠失しており、N5はC又はTであり、N6はG又はCであり、N7はG又はTであり、N14はG又はCであり、N19はA又はGであり、かつN20はG又はAである] (配列番号13)
を2個以上含む、細胞内移行領域を含み得る。該塩基配列のそれぞれは、好ましくは、5'-GGGCGGGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号14)、5'-GGTGGGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号15)、5'-GGGCGGGGTGGTCGGGGGAG-3' (配列番号16)、5'-GGCGGGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号17)、5'-GGGCCGGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号18)、5'-TGGGCGGGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号19)、及び5'-GGGCGTGGTGGTGGGGGAGG-3' (配列番号20)のいずれかに示される塩基配列であってよい。あるいは、該塩基配列のそれぞれは、配列番号14~20のいずれかに示される塩基配列において、1個の塩基が置換、欠失、挿入又は付加された塩基配列であってもよい。該2個以上の塩基配列は、例えば、2~10個、2~5個又は2~3個であってよい。該2個以上の塩基配列のそれぞれは、同じでも異なってもよい。例えば、細胞内移行領域が該塩基配列を2個含み、2個の塩基配列は、両者とも配列番号14に示される塩基配列であってもよいし、又は配列番号14に示される塩基配列と配列番号15に示される塩基配列であってもよい。細胞内移行領域に含まれる該塩基配列は、互いに隣接していてもよいし、又は、任意の他の、例えば1~10、1~5又は1~3塩基長の塩基配列(例えばT、TT、又はTTT)によって隔てられて存在してもよい。

【0021】
本発明の細胞内移行性DNAは、細胞内移行領域に加えて、任意の他の塩基配列を含んでよい。本発明の細胞内移行性DNAは、例えば、後述するDNAの多量体化に関与する塩基配列(多量体化領域)や、後述する目的分子との結合に関与する塩基配列を、例えばスペーサー配列(例えばT、TT、又はTTT)を介して、含んでよい。

【0022】
本発明の細胞内移行性DNAの長さは、特に限定されないが、38~400塩基長、38~300塩基長、39~200塩基長、39~100塩基長、又は39~50塩基長であってよい。

【0023】
本発明の細胞内移行性DNAは、本発明の特徴を損なわない範囲において、リン酸基、糖及び/又は塩基部分において、あるいは、3'末端及び/又は5'末端において、保護基、官能基若しくは置換基(例えば、メチル化、ハロゲン化)又は標識物質(例えば、32P、3H、14C、13Cなどの放射性同位体又はFITC、DIG若しくはビオチン)などで適宜修飾されていてもよい。また、本発明の細胞内移行性DNAは、DNAを構成するヌクレオチドにおけるリン酸基の酸素原子が硫黄原子で置換(ホスホロチオエート化)されていてもよい。

【0024】
本発明の細胞内移行性DNAは、当技術分野で周知の慣用法によって製造できる。例えば、手動又は自動の反応により、酵素的に又は化学合成によって製造することができる。DNA分子を化学合成する場合、メーカー(例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィック、グライナー・ジャパン、シグマアルドリッチなど)の受託製造サービスを利用してもよい。合成されたDNA分子は、例えば溶媒又は樹脂を用いる抽出、沈降、電気泳動又はクロマトグラフィーなどによって、混合物から精製してよい。

【0025】
<多量体>
本発明の細胞内移行性DNAは、2個以上が結合することにより多量体化されていてもよい。多量体に含まれる細胞内移行性DNAのそれぞれは、同じでも異なってもよい。本発明の細胞内移行性DNAが2個以上結合している多量体は、単一の細胞内移行性DNA(単量体)よりも細胞内移行能が高いため、好ましい。多量体において結合している本発明の細胞内移行性DNAの数は、特に限定されないが、2~5、2~4又は2~3個であってよい。例えば、多量体は、二量体又は三量体であってよい。

【0026】
多量体は、細胞内移行性DNA同士が直接結合したものであってもよいし、間接的に(例えば、リンカー分子を介して、又は本発明の細胞内移行性DNAに含まれる細胞内移行領域以外の任意の塩基配列(多量体化領域)に相補的な塩基配列を有する核酸鎖(アダプター鎖)を介して)結合されたものであってもよい。あるいは、多量体は、ビオチン-アビジン結合を利用して本発明の細胞内移行性DNA同士が結合されたものであってもよい(例えば、特開2010-158237号公報を参照のこと)。

【0027】
例えば、多量体は、各ユニットが本発明の細胞内移行性DNA及び足場鎖を含む、2個以上のユニットが結合することによって形成されてもよい。ユニットの例示的構造を図1Aに示す。足場鎖は、任意の核酸鎖であってよい。細胞内移行性DNAは、細胞内移行領域、及び多量体化に関与する多量体化領域を含み得る。多量体化領域は、相補的塩基対合を介して足場鎖と結合し得る。多量体化領域と足場鎖との結合は、直接的であってもよく(例えば図1Aに例示されるように)、又は間接的(例えば、アダプター鎖を介して)であってもよい(例えば図1Bに例示されるように)。2個以上のユニットは、足場鎖同士が結合することによって直接的に、又は間接的に(例えばT、TT、又はTTTなどのスペーサー配列を介して)結合し得る。例えば、図1Aに示されるユニットがスペーサー配列を介して3個結合した多量体である三量体の構造を図1Cに示す。また、図1Bに示されるユニットがスペーサー配列を介して3個結合した多量体である三量体の構造を図1Dに示す。

【0028】
本発明において、細胞内移行性DNAに含まれる細胞内移行領域は、一本鎖であることが好ましい。細胞内移行領域が、それに相補的又は実質的に相補的な塩基配列を含む核酸とアニーリングして二本鎖になると、本発明の細胞内移行性DNAが有する細胞内移行能が低下する又は無効になるからである。

【0029】
本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体は、それ自体が細胞内に移行し得るだけでなく、該DNA又は多量体と結合した他の分子を細胞内に移行させる性質を有する。したがって、本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体は、目的分子を細胞内に導入するための組成物、及び目的分子を細胞内に導入する方法、並びに目的分子の細胞内導入剤及び細胞内導入用キットにおいて有用である。

【0030】
<組成物>
本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体と、細胞内に導入しようとする目的分子とを含む、組成物も提供される。本発明の組成物は、目的分子をin vitro又はin vivoで細胞内に導入するために使用できる。本発明の組成物は、医薬組成物であってもよい。

【0031】
本明細書において、目的分子は、限定されないが、例えば、核酸、ペプチド若しくはタンパク質(例えば、ホルモン、成長因子、酵素、毒素、抗体若しくは抗体断片など)、脂質、糖、薬物(例えば、抗腫瘍薬など)並びにその他の合成若しくは天然化合物(例えば、FITC、ビオチン若しくはCy3などの標識物質)などを含む。目的分子は、アジド基及びアルキン基から選択される官能基を有していてもよい。目的分子は、好ましくは、細胞内移行性に乏しい核酸、ペプチド又はタンパク質であり得る。

【0032】
目的分子は、核酸であることがより好ましい。核酸としては、限定されないが、一本鎖又は二本鎖の、DNA、RNA、DNAとRNAのキメラ核酸などがある。目的分子として使用し得る核酸は、miRNA、siRNA、アンチセンス核酸、デコイ核酸、アプタマー、miRNA阻害剤又はギャップマー(gapmer)であり得る。あるいは、目的分子として使用し得る核酸は、発現カセットを含む二本鎖DNA(例えば、プラスミドDNA、若しくはプラスミドDNAを直鎖化した二本鎖DNAなど)であり得る。典型的には、発現カセットは、プロモーター配列と、それに作動可能に連結された遺伝子コード配列とを少なくとも含み得る。

【0033】
目的分子として使用し得る核酸の大きさは、限定されないが、例えばプラスミドDNAなどの高分子核酸の場合は、2,000~10,000塩基、2,000~8,000塩基又は2,000~5,000塩基などであってよい。目的分子として使用し得る核酸の大きさは、siRNAなどの低分子核酸の場合は、例えば5~1,000塩基、10~500塩基、10~300塩基、10~100塩基、又は20~30塩基などであってよい。

【0034】
本明細書において、細胞は、いずれの生物に由来するものであってもよいが、真核生物、例えば脊椎動物、例えば哺乳動物(例えばヒト、サル、ウシ、マウス、ラット)、鳥類、両生類、魚類など、植物、酵母などの微生物に由来する細胞であり得る。細胞は、癌細胞などの培養細胞株であっても、個体や組織から単離された初代培養細胞であってもよい。培養細胞株としては、HEK293T細胞、HeLa細胞、3T3-L1細胞、HepG2細胞、HB2細胞、HW細胞、MCF-7細胞が挙げられる。培養細胞株は、市販のトランスフェクション剤による遺伝子導入効率が低いHB2細胞及びHW細胞であってもよい。細胞は、多能性幹細胞(例えばES細胞及びiPS細胞)又は間葉系幹細胞などの幹細胞であってもよい。細胞は、肝細胞、腎細胞、子宮頸部細胞、脂肪前駆細胞、褐色脂肪前駆細胞、白色脂肪前駆細胞、又は乳腺細胞、あるいはこれらの細胞に由来する細胞であってもよい。また、細胞は、培養されている細胞若しくは単離された細胞だけでなく、組織内(好ましくは、生体外に取り出された)又は個体内の細胞であってもよい。

【0035】
本発明の組成物は、被験体に投与することによりin vivoで使用することも可能である。本明細書において、被験体は、真核生物、例えば前述の脊椎動物、植物などを含み得る。

【0036】
本発明の組成物において、目的分子は、細胞内移行性DNA又はその多量体と結合していても、していなくてもよい。組成物の投与時点で目的分子が細胞内移行性DNA又はその多量体と結合していなくても、投与後に目的分子が細胞内移行性DNA又はその多量体と混合されて、結合し、細胞内移行性DNAの作用により目的分子が細胞内に導入されることが可能である。

【0037】
本明細書において、目的分子と、本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体との結合は、目的分子が、細胞内移行性DNAの作用により細胞内へ導入され得る結合状態を保持できるものであれば、いずれの結合様式であってもよい。結合様式としては、共有結合、又は非共有結合、例えば水素結合、イオン結合、ファンデルワールス結合などが挙げられる。目的分子と、本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体との結合は、直接的であっても、又は間接的(例えば、リンカー分子若しくはスペーサー分子を介して、又は本発明の細胞内移行性DNAに含まれる細胞内移行領域以外の任意の塩基配列に相補的な塩基配列を有する核酸鎖(アダプター鎖)を介して)であってもよい。

【0038】
目的分子は、本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体のいずれの位置に結合してもよく、例えば、細胞内移行性DNAの5'側及び/又は3'側に結合してもよい。

【0039】
目的分子が一本鎖核酸である場合、該一本鎖核酸は、本発明の細胞内移行性DNAと同一の核酸鎖上に存在してもよい。目的分子が二本鎖核酸である場合、該二本鎖核酸の一本の鎖が、本発明の細胞内移行性DNAと同一の核酸鎖上に存在してもよい。

【0040】
本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体に結合する目的分子の数は、特に限定されないが、1つ以上、例えば1~5、1~4、1~3又は1~2個であり得る。本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体に結合する目的分子の数が2個以上である場合、それぞれの目的分子は同じでも異なってもよい。また、目的分子に結合する本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体の数は、特に限定されないが、1つ以上、例えば1~5、1~4、1~3又は1~2個であり得る。目的分子に結合する本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体の数が2個以上である場合、それぞれの細胞内移行性DNA又はその多量体は同じでも異なってもよい。

【0041】
組成物中の本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体と、目的分子との比率(モル比)は、特に限定されないが、1:10~10:1、1:5~5:1、又は1:2~2:1、例えば1:1であってよい。

【0042】
本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体が目的分子と結合している状態において、細胞内移行性DNAに含まれる細胞内移行領域は、一本鎖であることが好ましい。細胞内移行領域が、それに相補的又は実質的に相補的な塩基配列を含む核酸とアニーリングして二本鎖になると、本発明の細胞内移行性DNAが有する細胞内移行能が低下する又は無効になるからである。

【0043】
本発明の組成物は、本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体を、有効成分として、すなわち目的分子を細胞内に導入するためのキャリアとして含有する。本発明の組成物は、細胞内移行性DNA若しくはその多量体並びに細胞内に導入しようとする目的分子のみからなってもよいし、本発明の細胞内移行性DNAの作用を阻害しない限り、その他の溶媒、添加剤又は製薬上許容可能な担体などを適宜含有してもよい。例えば、本発明の組成物は、本発明の細胞内移行性DNAの適切な溶媒、例えば、水及び緩衝液(例えばリン酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液)などを含んでもよい。

【0044】
本発明の組成物に含まれる本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体の含有量は、当業者であれば、本発明の細胞内移行性DNAが目的分子を細胞内へ導入する効果を奏するように、適宜決定できる。

【0045】
本明細書において、製薬上許容可能な担体には、希釈剤又は賦形剤が含まれ、例えば、マルトース、マンニトール、ラクトース、キシロース、トレハロース、ソルビトール、ゼラチン、アラビアガム、グアーガム、トラガカント、エタノール、生理食塩水、リンゲル液などが挙げられる。

【0046】
本発明の組成物は、上記担体に加えて、必要に応じて安定化剤、緩衝剤、乳化剤、等張化剤、防腐剤などの添加剤を含んでもよい。安定化剤としては、例えば、アルブミン、ゼラチン、マンニトール、EDTAナトリウムなどが挙げられる。緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。乳化剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、糖類などが挙げられる。防腐剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノールなどが挙げられる。

【0047】
本発明の組成物は、有効成分である本発明の細胞内移行性DNAの作用を阻害しない限り、他の薬剤を含有することもできる。例えば、注射剤の場合であれば、抗生物質を所定量含有していてもよい。

【0048】
組成物の剤形としては、例えば、注射剤、点眼剤、クリーム剤、点鼻剤、軟膏剤、経粘膜剤、硬膏剤及び座剤などの非経口剤形又は液剤、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、舌下剤、トローチ剤などの経口剤形が挙げられるが、これらに限定されない。

【0049】
組成物を被験体に投与する場合、具体的な投与量は、個々の被験体に応じて、疾患の進行度若しくは重症度、全身の健康状態、年齢、体重、性別及び治療に対する耐性などに基づき、例えば医師の判断により決定される。

【0050】
本発明の組成物の投与は、全身投与又は局所投与(例えば、患部への直接投与)のいずれであってもよい。投与経路は、非経口又は経口のいずれであってもよく、例えば、腹腔内、静脈内、動脈内、肝臓内、膣内、筋肉内、骨髄内、髄腔内、経皮、皮下、皮内、鼻腔内、腸内、気管支内、肺臓内又は舌下などが挙げられる。

【0051】
また本発明の組成物は、例えば医師が決定した治療計画に基づいて、一定の時間間隔、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、6ヶ月又は1年などの間隔で、被験体に対して、1~数回又は数十回に分けて投与することができる。
本発明の組成物により、簡便に目的分子を細胞内へ導入することができる。

【0052】
<目的分子の細胞内導入方法>
本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体を用いた、目的分子を細胞内に導入する方法も提供される。本方法は、本発明の上記組成物を細胞と接触させる工程を含む。本発明の方法は、in vitro又はin vivoで実施できる。

【0053】
本発明の方法において、本発明の組成物の使用濃度は、特に限定されず、当業者であれば、本発明の細胞内移行性DNAが目的分子を細胞内へ導入する効果を奏するように、適宜決定できる。in vitroの場合、組成物を細胞と接触させる時間は、特に限定されず、30分~24時間の間で適宜設定してよいが、例えば1時間~2時間であってよい。in vitroの場合、組成物を細胞と接触させた後に、適宜細胞を培養してもよい。

【0054】
本発明の方法により、本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体と細胞内に導入しようとする目的分子とを含む組成物を、細胞と接触させるだけで、簡便に目的分子を細胞内へ導入することができる。

【0055】
<剤>
本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体を含む、目的分子の細胞内導入剤も提供される。本発明の剤は、目的分子をin vitro又はin vivoで細胞内へ導入するために使用できる。例えば本発明の剤は、実験用のトランスフェクション剤としてin vitroで使用できる。あるいは、本発明の剤は、医療目的で目的分子を生体へ送達するためにin vivoで使用できる。

【0056】
本発明の剤は、本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体を、有効成分として、すなわち目的分子を細胞内に導入するためのキャリアとして含有する。本発明の剤は、本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体のみからなってもよいし、本発明の細胞内移行性DNAの作用を阻害しない限り、その他の溶媒、添加剤又は製薬上許容可能な担体などを適宜含有してもよい。例えば、本発明の剤は、本発明の細胞内移行性DNAの適切な溶媒、例えば、水及び緩衝液(例えばリン酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液)などを含んでもよい。

【0057】
本発明の剤は、細胞内に導入しようとする目的分子を含んでもよい。目的分子は、剤に含まれる本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体と結合していても、していなくてもよい。

【0058】
本発明の剤に含まれる本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体の含有量は、当業者であれば、本発明の細胞内移行性DNAが目的分子を細胞内へ導入する効果を奏するように、適宜決定できる。
本発明の剤により、簡便に目的分子を細胞内へ導入することができる。

【0059】
<キット>
本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体を含む、目的分子の細胞内導入用キットも提供される。

【0060】
本発明のキットは、目的分子を細胞内へ導入する際に使用される細胞培養用培地、細胞培養容器、及び/又はプロトコールが記載された指示書などをさらに含んでよい。本発明のキットに含まれる各構成成分は、それぞれ別個に又は一部若しくは全ての構成成分を混合した状態で、適切な容器内に入れられ、全体が1つ又は複数にパッケージされる。本キットは、細胞内に導入しようとする目的分子をさらに含んでもよい。目的分子は、キットに含まれる、本発明の細胞内移行性DNA又はその多量体と結合していても、していなくてもよい。

【0061】
本発明のキットにより、簡便に目的分子を細胞内へ導入することができる。
【実施例】
【0062】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
(材料)
HEK293T細胞(ヒト胎児腎細胞)、HeLa細胞(ヒト子宮頚癌細胞)、HepG2細胞(ヒト肝癌細胞)、HW細胞(マウス白色脂肪前駆細胞)、HB2細胞(マウス褐色脂肪前駆細胞)、3T3-L1細胞(マウス脂肪前駆細胞)、及びMCF-7細胞(ヒト乳腺癌細胞)を実施例で使用した。これらの細胞は、国立研究開発法人理化学研究所バイオリソースセンター又は独立行政法人医薬基盤研究所JCRB細胞バンクなどから入手した。特に記述がない限り、細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS、CCB)、及び1%PSG(ペニシリン-ストレプトマイシン-グルタミン)含有D-MEM培地で、37℃/5%CO2加湿インキュベーター内で増殖させた。MCF-7細胞の細胞培養液に加えるFBSはシグマから入手した。
【実施例】
【0063】
本実施例で使用したDNAは、サーモフィッシャーサイエンティフィック社(旧ライフテクノロジーズ社)又はグライナー・ジャパン社に合成を依頼した。
【実施例】
【0064】
[実施例1]
Cell SELEX法による細胞内移行性DNAのスクリーニング
Cell SELEX法を用いて、一本鎖DNAライブラリーから細胞内移行性DNAをスクリーニングした。本実験で用いたCell SELEX法の概要を説明する。本方法では、ランダム配列を含む一本鎖DNAライブラリーから、細胞内に移行したDNAを選択し増幅するラウンドを複数回繰り返すことによって、細胞内移行性DNAのみを選別した。1つのラウンドは、
工程1: 細胞(及び第1ラウンドではスタートライブラリーDNA)の調製、
工程2: 細胞のDNAライブラリーとのインキュベーション、
工程3: トリプシン及びDNase処理による、細胞表面に結合したDNAの分解(本実施例において第1及び第2ラウンドでは工程3を行わなかった)、
工程4: オリゴDNAの細胞からの抽出、
工程5: 抽出したオリゴDNAのPCR増幅、及び
工程6: PCR産物からの目的一本鎖DNAの精製
を含む。第2ラウンド以降では、先行するラウンドで得られた一本鎖DNAをDNAライブラリーとして用いて、工程1~6を行った。第9ラウンドでは、工程5で得られたPCR産物をクローニングし、配列決定した。具体的な方法は、Magalhaes, M. et al., Mol. Ther., Vol. 20, No. 3, pp. 616-624, 2012に準じた。
【実施例】
【0065】
本実施例のCell SELEX法では、第1~第3ラウンドではHEK293T細胞、第4~第6ラウンドではHeLa細胞、及び第7~第9ラウンドでは3T3-L1細胞を使用した。普遍的にどの細胞内にも導入し得るDNAをスクリーニングするために、このように多種類の細胞を使用した。
各ラウンドでは、工程1~3の手順が異なり、工程4~6は共通する。以下に各ラウンドの手順を詳細に記載する。
【実施例】
【0066】
(第1ラウンド)
第1及び第2ラウンドはスタートライブラリーDNAから幅広く候補DNAを得るために、細胞内に移行したDNAだけでなく、細胞表面に結合したDNAも次のラウンドに使用した。そのため、第1及び第2ラウンドでは、トリプシン及びDNase処理を行わなかった。
【実施例】
【0067】
(1) スタートライブラリーDNAとして、39又は40塩基長の様々な塩基配列と、その両端に19又は21塩基長のプライマー領域とを含むオリゴDNAを含む、一本鎖DNAライブラリーを用いた。一本鎖DNAライブラリーの調製に用いた5種類のオリゴDNAを表1に示す。
【実施例】
【0068】
【表1】
JP2017047750A1_000002t.gif
【実施例】
【0069】
表1に示される5種類のオリゴDNA(100μM)各1.2μLを、クリーンベンチ内で1.5mL容チューブ中で血清含有D-MEM培地18μLと混合し、24μLのスタートライブラリーDNA溶液を調製した。該溶液は使用するまで冷蔵庫で保存した。
【実施例】
【0070】
(2) HEK293T細胞を24穴プレートにウェル1つあたり細胞2×105個で播種し、一晩培養した。HEK293T細胞は、培地などを全量交換すると剥離してしまうので、100μLを残すようにして操作を行った。培地をウェル1つあたり100μLの培地が残るように取り除き、新しい培地を376.7μL加え、細胞を10分間インキュベートした。
(3) 培地に、tRNA(40ng/μL)を3.3μL加え、30分間37℃でインキュベートした。
【実施例】
【0071】
(4) 培地に、スタートライブラリーDNA溶液24μLのうち20μLを加え、1時間37℃でインキュベートした。
(5) 培地を400μL取り除き、細胞を、滅菌ダルベッコPBS(D-PBS(-))(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4、1.47mM KH2PO4) 400μLで2回洗浄した。
(6) 細胞に、滅菌D-PBS(-)400μLを加え、残存する溶液全てを取り除いた。
【実施例】
【0072】
(7) 以下に記載のように、オリゴDNAの細胞からの抽出、抽出したオリゴDNAのPCR増幅、及びPCR産物からの目的一本鎖DNAの精製を行い、一本鎖DNA溶液を得た。
(オリゴDNAの細胞からの抽出)
オリゴDNAを、TRIzol(サーモフィッシャーサイエンティフィック)を用いて細胞から抽出した。抽出方法は全RNAの抽出法に準じて行った。具体的には、TRIzol 200μLを細胞に滴下し、数回ピペッティングを行った後、全サンプルを1.5mL容チューブに移した。室温で10分間静置後、サンプルにクロロホルムを40μL加え、15秒間ボルテックスで撹拌した。室温で2分30秒間静置後、サンプルを12000x g、4℃で15分間遠心分離した。サンプルの上清のみを回収し、新しい1.5mL容チューブに移し、イソプロパノールを100μL加えて混合物を得た。室温で10分間静置後、混合物を12000x g、4℃で10分間遠心分離した。上清を捨て、ペレットに75%エタノールを200μL加え、7500x g、4℃で5分間遠心分離した。上清を捨て、ペレットを10分間減圧乾燥した。MilliQ水10μLにペレットを溶解し、細胞から抽出したオリゴDNAを含む抽出画分を得た。
【実施例】
【0073】
(抽出したオリゴDNAのPCR増幅)
細胞から抽出したオリゴDNAを含む上記抽出画分は全RNAを含み、以降のPCR増幅を阻害するため、上記抽出画分をRNase処理し、その後、PCRを行った。具体的には、10x PCRバッファー 20μL、MilliQ水 157μL、RNase 1μL、及び抽出画分2μLの混合物を37℃で30分間インキュベートし、上記抽出画分をRNase処理した。上記混合物に、dNTP 16μL、FITC-KSプライマー(5'-FITC-CTCGAGGTCGACGGTATCG-3': 配列番号26) 2μL、ビオチン-ラムダgt10プライマー(5'-Biotin-AGCAAGTTCAGCCTGGTTAAG-3': 配列番号27) 2μL、及びPaq5000 DNAポリメラーゼ(アジレントテクノロジー) 1μLを加え(200μLスケール)、以下のPCR条件: 25サイクルの95℃ 20秒、50℃ 20秒、及び72℃ 5秒でPCR増幅を行い、PCR産物を得た。2%アガロースゲル電気泳動により、目的のDNAが増幅されたことを確認した。
【実施例】
【0074】
(PCR産物からの目的一本鎖DNAの精製)
上記PCR産物(二本鎖DNA)に含まれる、目的とする細胞内移行能を有するDNA鎖にはFITCが結合し、他方のDNA鎖(相補鎖)にはビオチンが結合している。ストレプトアビジンビーズに二本鎖DNAを固定し、アルカリ溶液で二本鎖DNAを一本鎖DNAに解離させることによって、ビオチンが結合した鎖のみがビーズ上に残り、もう一方の鎖は溶液中に単離する。この方法によって、上記PCR産物から、目的とする細胞内移行能を有する一本鎖DNAを精製した。
【実施例】
【0075】
具体的には、まず、PCR産物から磁気ビーズによって二本鎖DNAを単離した。Dynabeads(登録商標) MyOneTMStreptavidin C1(サーモフィッシャーサイエンティフィック)をボルテックスで30秒間懸濁し、40μLを1.5mL容チューブに移した。チューブに、1x Binding and Wash buffer (B&Wバッファー)を1mL加え、ボルテックスで30秒間懸濁した。チューブを、16-Position Magnetic Stand(サーモフィッシャーサイエンティフィック)に立てて30秒間静置させた後、上清を捨て、ビーズを洗浄した。ビーズをさらに2回洗浄した。チューブに、2x B&Wバッファー180μL及びPCR産物180μLを加えた。チューブを回転させながら室温で15分間インキュベートした。16-Position Magnetic Standに2分間チューブを立てて、上清を捨て、ビーズを洗浄した。ビーズをさらに3回洗浄して、二本鎖DNAが結合したビーズを得た。次に、ビーズに、50μLの0.2M NaOHを加え、ボルテックスし、室温で1時間インキュベートした。上清を新しいチューブに移し、目的一本鎖DNAを含む溶液を得た。
【実施例】
【0076】
次に、目的一本鎖DNAを含む溶液を、Sephadex G-50を用いてゲル濾過によって精製した。具体的には、1.5mL容チューブの底に針で穴をあけ、蒸留水で湿らせた綿を底の穴に詰めた。新しい1.5mL容チューブを、穴をあけたチューブの受け皿として差し込んだ。1.5mLのSephadex G-50を、穴をあけたチューブに入れ、チューブを800x g、室温で1分間遠心分離した。300μLのTEバッファー(10mM Tris-HCl、1mM EDTA pH 8.0)をチューブに入れ、チューブを800x g、室温で1分間遠心分離して、Sephadex G-50を洗浄した。Sephadex G-50をもう一度洗浄した。上記一本鎖DNAを含む溶液に2μLのOrange-Gを加え、Sephadex G-50ゲルの上にゆっくりと滴下した。チューブを800x g、室温で1分間遠心分離した。受け皿とした下のチューブを新しいチューブに取り換え、Sephadex G-50ゲルにTEバッファーを50μLゆっくり滴下し、800x g、室温で1分間遠心分離して、溶出液を回収した。下のチューブに回収された溶出液にOrange-Gが溶出するまで、TEバッファーの滴下と溶出液の回収を繰り返した。各溶出液のFITC(励起波長488nm、蛍光波長530nm)の蛍光強度を蛍光プレートリーダーで計測し、(蛍光強度の値)>1となる溶出液を混合して、目的一本鎖DNAを含む溶液を得た。
【実施例】
【0077】
続いて、エタノール沈殿によって目的一本鎖DNAを含む溶液をさらに精製した。標準的な手順にしたがってエタノール沈殿によって得られたペレットを、MilliQ水で所望の濃度になるように溶解させ、精製された目的一本鎖DNAを含む溶液を得た。
【実施例】
【0078】
(第2ラウンド)
(1) 第1ラウンドの(2)~(3)を同様に行った。
(2) 培地に、第1ラウンドで得た一本鎖DNA溶液を20μL加え、1時間37℃でインキュベートした。
(3) 第1ラウンドの(5)~(6)を同様に行った。
(4) 第1ラウンドに記載したように、オリゴDNAの細胞からの抽出、抽出したオリゴDNAのPCR増幅、及びPCR産物からの目的一本鎖DNAの精製を行い、一本鎖DNA溶液を得た。
【実施例】
【0079】
(第3ラウンド)
第3ラウンド以降は、細胞内に移行したDNAのみを得るため、DNAと細胞のインキュベーション後に、細胞をトリプシン及びDNaseで処理した。
(1) 第2ラウンドの(1)~(3)を同様に行った。
(2) 細胞に、トリプシンを170μL加え、3分間37℃でインキュベートした。
(3) 細胞に、D-MEM培地を750μL加え、細胞を含む溶液を1.5mL容チューブに移した。
(4) チューブを1000rpm、室温で3分間遠心分離した。
【実施例】
【0080】
(5) 上清を捨て、細胞にD-MEM培地を50μL加え、懸濁し、細胞懸濁液を得た。
(6) 細胞懸濁液にDNaseであるBenzonase(Merck Millipore)溶液を0.5μL加えた。
(7) 細胞懸濁液を30分間37℃でインキュベートした。
(8) 細胞懸濁液を1000rpm、室温で3分間遠心分離した。
(9) 上清を捨て、細胞に滅菌D-PBS(-)を100μL加え、1000rpm、室温で3分間遠心分離した。
(10) 上清を捨てた。
(11) 第1ラウンドに記載したように、オリゴDNAの細胞からの抽出、抽出したオリゴDNAのPCR増幅、及びPCR産物からの目的一本鎖DNAの精製を行い、一本鎖DNA溶液を得た。
【実施例】
【0081】
(第4及び第5ラウンド)
HEK293T細胞の代わりにHeLa細胞を使用したことを除いて、第3ラウンドと同様の操作を繰り返した。
【実施例】
【0082】
(第6ラウンド)
(1) HeLa細胞を細胞培養用25cm2フラスコでコンフルエントになるまで培養した。
(2) 5mM EDTAを含むD-PBS(-)1mLを(1)のフラスコに加え、3分間37℃でインキュベートした。
(3) 細胞に、D-MEM培地を5mL加え、15mL容チューブに移し、1000rpm、室温で3分間遠心分離した。
(4) 上清を捨て、細胞にD-MEM培地を4mL加え、懸濁した。
(5) 細胞数を血球計算盤で数えた。
【実施例】
【0083】
(6) 細胞4×106個を1.5mL容チューブに移した。
(7) チューブを1000rpm、室温で3分間遠心分離し、上清を捨て、細胞にD-MEM培地を100μL加え、懸濁し、細胞懸濁液を得た。
(8) 細胞懸濁液にtRNA(40ng/μL)を1μL加え、10分間37℃で転倒混和しながらインキュベートした。
(9) 細胞懸濁液に前ラウンドで得た一本鎖DNA溶液を20μL加え、1時間37℃でインキュベートした。
【実施例】
【0084】
(10) 細胞懸濁液を1000rpm、室温で3分間遠心分離し、上清を捨てた。
(11) 細胞に、1μLのBenzonaseを及び100μLのトリプシンの混合液を加え、3分間37℃でインキュベートした。
(12) 細胞に、D-MEM培地を500μL加え、1000rpm、室温で3分間遠心分離し、上清を捨てた。
(13) 細胞を滅菌D-PBS(-)400μLで2回洗浄し、滅菌D-PBS(-)を全て取り除いた。
(14) 第1ラウンドに記載したように、オリゴDNAの細胞からの抽出、抽出したオリゴDNAのPCR増幅、及びPCR産物からの目的一本鎖DNAの精製を行い、一本鎖DNA溶液を得た。
【実施例】
【0085】
(第7及び第8ラウンド)
HeLa細胞の代わりに3T3-L1細胞を使用したことを除いて、第6ラウンドと同様の操作を繰り返した。
【実施例】
【0086】
(第9ラウンド)
PCR増幅まで第8ラウンドと同様の操作を行い、得られたPCR産物を、標準的な手順によって、SmaI消化したpUC18ベクターにクローニングし、塩基配列を決定した。
【実施例】
【0087】
(結果)
Cell SELEX法によって得られた11種の塩基配列を表2に示す。各塩基配列を、QAp1、QAp3、QAp4、QAp7、QAp8、QAp10、QAp11、QAp14、QAp15、QAp16又はQAp19と名付けた。11種の塩基配列は非常によく類似していた。また、配列決定した19個の塩基配列のうち7個はQAp1配列であった。
【実施例】
【0088】
【表2】
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【実施例】
【0089】
[実施例2]
DNAの細胞内移行能の評価
FITCで蛍光標識したDNAとインキュベートした細胞の蛍光強度をフローサイトメーターで測定することによって、実施例1で同定された塩基配列を有するDNAの細胞内移行能を評価した。
(方法)
(1) 表3に示されるオリゴDNAをグライナー・ジャパン社に合成依頼した。これらのオリゴDNA(antiKS-QAp1、antiKS-QAp3、antiKS-QAp4、antiKS-QAp7、antiKS-QAp8、antiKS-QAp10、antiKS-QAp11、antiKS-QAp14、antiKS-QAp15、antiKS-QAp16、及びantiKS-QAp19)は、5'側にantiKS配列(斜体で示す)、続いてスペーサー配列(小文字で示す)、及び3'側に、実施例1で同定した各塩基配列(QAp1配列、QAp3配列、QAp4配列、QAp7配列、QAp8配列、QAp10配列、QAp11配列、QAp14配列、QAp15配列、QAp16配列若しくはQAp19配列)(大文字で示す)を有する。
【実施例】
【0090】
【表3】
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【実施例】
【0091】
単量体の調製: 表3に示されるオリゴDNA(antiKS-QAp1)に、FITCを5'末端に有するオリゴDNAであるFITC-KSプライマー(5'-FITC-CTCGAGGTCGACGGTATCG-3': 配列番号26)をアニーリングさせ、被験DNA単量体(QAp1単量体)とした。QAp1単量体の構造を図2Aに示す。具体的には、antiKS-QAp1(配列番号28)(50μM) 0.8μL、FITC-KSプライマー(配列番号26)(50μM) 0.8μL及びD-PBS(-) 18.4μLを混合し、95℃、80℃、70℃、60℃、55℃及び37℃で各5分の処理によってアニーリングさせ、被験DNA単量体(QAp1単量体)を調製し、4℃で保存した。
【実施例】
【0092】
また、QAp1単量体において、QAp1配列が、相補的なオリゴDNAであるantiQAp1(5'-CGACCCACGCATCCACCGAACCTCCCCCACCACCCCGCCC-3': 配列番号39)と二本鎖を形成している核酸を、対照DNA単量体として用いた。具体的には、antiKS-QAp1(配列番号28)(50μM) 0.8μL、antiQAp1(配列番号39)(50μM) 0.8μL、FITC-KSプライマー(配列番号26)(50μM) 0.8μL及びD-PBS(-) 17.6μLを混合し、95℃、80℃、70℃、60℃、55℃及び37℃で各5分の処理によってアニーリングさせ、対照DNA単量体を調製し、4℃で保存した。
【実施例】
【0093】
三量体の調製: 表3に示される各オリゴDNA(antiKS-QAp1、antiKS-QAp3、antiKS-QAp4、antiKS-QAp7、antiKS-QAp8、antiKS-QAp10、antiKS-QAp11、antiKS-QAp14、antiKS-QAp15、antiKS-QAp16、及びantiKS-QAp19)を、オリゴDNAであるbackboneM13Fx3(5'-TGTAAAACGACGGCCAGTTTGTAAAACGACGGCCAGTTTGTAAAACGACGGCCAGT-3': 配列番号40)、及びFITCを5'末端に有するオリゴDNAであるFITC-KS-antiM13F(5'-FITC-TCGAGGTCGACGGTATCGTACTGGCCGTCGTTTTACA-3': 配列番号41)とアニーリングさせ、被験DNA三量体とした(それぞれ、QAp1三量体、QAp3三量体、QAp4三量体、QAp7三量体、QAp8三量体、QAp10三量体、QAp11三量体、QAp14三量体、QAp15三量体、QAp16三量体又はQAp19三量体と称する)。被験DNA三量体(一例としてQAp1三量体)の構造を図2Bに示す。具体的には、表3に示される各オリゴDNA(50μM) 2.4μL、backboneM13Fx3(配列番号40)(50μM) 0.8μL、FITC-KS-antiM13F(配列番号41)(50μM) 2.4μL及びD-PBS(-) 14.4μLを混合し、95℃、80℃、70℃、60℃、55℃及び37℃で各5分の処理によってアニーリングさせ、被験DNA三量体を調製し、4℃で保存した。
【実施例】
【0094】
また、QAp1三量体において、QAp1配列が、相補的なオリゴDNAであるantiQAp1(配列番号39)と二本鎖を形成している核酸を、対照DNA三量体として用いた。具体的には、antiKS-QAp1(配列番号28)(50μM) 2.4μL、antiQAp1(配列番号39)(50μM) 2.4μL、backboneM13Fx3(配列番号40)(50μM) 0.8μL、FITC-KS-antiM13F(配列番号41)(50μM) 2.4μL及びD-PBS(-) 12μLを混合し、95℃、80℃、70℃、60℃、55℃及び37℃で各5分の処理によってアニーリングさせ、対照DNA三量体とした。
【実施例】
【0095】
(2) 25cm2細胞培養用フラスコ内の培地をアスピレーターで除き、細胞を滅菌D-PBS(-)1mLで洗浄した。
(3) 0.5mM EDTAを含むD-PBS(-)又はトリプシンを1mL入れて37℃で細胞が剥離するまでインキュベートした。
(4) 10%FBS及び1%PSG含有D-MEM培地を5mL加え、細胞を懸濁し、15mL容チューブに移した。
(5) チューブを1000rpm、室温で3分間遠心分離し、上清を捨てた。
(6) 細胞数が所望の数になるように血清含有培地又は血清不含培地で懸濁し、細胞懸濁液を得た。
【実施例】
【0096】
(7) 細胞懸濁液を1.5mL容チューブに80μlずつ分注した。
(8) 細胞懸濁液に、(1)で調製した被験DNA単量体若しくは三量体、又は対照DNA単量体若しくは三量体を加え、37℃で1時間インキュベートした。
(9) 1000rpm、室温で3分間遠心分離し、上清を捨てた。
(10) 細胞にトリプシンを100μL、及びBenzonase 25Uを加え、3分間37℃でインキュベートした後、細胞にD-MEM培地を500μL加え、1000rpm、室温で3分間遠心分離し、上清を捨てた。但し、この工程(トリプシン及びBenzonase(DNase)処理)は、「結果」の項で明記する場合にのみ実施した。
(11) 細胞に滅菌D-PBS(-)を500μL加え、細胞を懸濁した。
【実施例】
【0097】
(12) フローサイトメーターを用いて細胞の蛍光強度を測定した。細胞カウント数がピークを示す蛍光強度値が、被験DNA単量体において対照DNA単量体と比較して増加した場合、又は被験DNA三量体において対照DNA三量体と比較して増加した場合、被験DNA単量体又は三量体は細胞内移行能を有するとみなすことができる。また、平均蛍光強度の比率([被験DNA単量体とインキュベートした細胞の平均蛍光強度]/[対照DNA単量体とインキュベートした細胞の平均蛍光強度]又は[被験DNA三量体とインキュベートした細胞の平均蛍光強度]/[対照DNA三量体とインキュベートした細胞の平均蛍光強度])を計算した。この比率が1を越える場合、例えば1.5以上である場合、被験DNA単量体又は三量体は細胞内移行能を有するとみなすことができる。
【実施例】
【0098】
(単量体の結果)
QAp1単量体とインキュベートしたHepG2細胞において、対照と比較して、細胞カウント数がピークを示す蛍光強度値は増加した(図3A)(平均蛍光強度の比率7.2)。QAp1単量体とインキュベートした3T3-L1細胞においても、対照と比較して、細胞カウント数がピークを示す蛍光強度値は増加した(図3B)(平均蛍光強度の比率4.6)。したがって、QAp1単量体は、細胞内移行能を有し得ることが示された。
【実施例】
【0099】
図3に結果を示した実験では、細胞表面に結合したDNAに結合しているFITC蛍光も検出している可能性がある。そこで次に細胞表面に結合したDNAに結合しているFITC蛍光の影響を排除するため、細胞をトリプシン及びDNase処理してから蛍光強度を測定した。その結果、QAp1単量体とインキュベートした3T3-L1細胞において、対照と比較して、細胞カウント数がピークを示す蛍光強度値は依然として増加することが確認できた(図4)(平均蛍光強度の比率4.2)。よって、QAp1単量体は細胞内移行能を有することが示された。
以上の結果から、実施例1で同定された塩基配列を有するDNA単量体は、複数の細胞の細胞内に移行する能力を有することが示された。
【実施例】
【0100】
(三量体の結果)
QAp1三量体、QAp3三量体、QAp4三量体、QAp7三量体、QAp8三量体、QAp10三量体、QAp11三量体、QAp14三量体、QAp15三量体、QAp16三量体又はQAp19三量体のいずれとインキュベートしたHB2細胞においても、対照と比較して、細胞カウント数がピークを示す蛍光強度値は増加した(図5)(平均蛍光強度の比率: QAp1三量体 3.1、QAp3三量体 1.8、QAp4三量体 2.0、QAp7三量体 2.0、QAp8三量体 3.0、QAp10三量体 2.9、QAp11三量体 2.6、QAp14三量体 1.7、QAp15三量体 2.6、QAp16三量体 2.7及びQAp19三量体 1.8)。
【実施例】
【0101】
QAp1三量体を、さらにHEK293T細胞及びHW細胞とインキュベートしたところ、いずれの細胞においても、対照と比較して、細胞カウント数がピークを示す蛍光強度値は増加した(図6)(それぞれ、平均蛍光強度の比率2.5及び3.8)。
【実施例】
【0102】
以上のことから、QAp1三量体、QAp3三量体、QAp4三量体、QAp7三量体、QAp8三量体、QAp10三量体、QAp11三量体、QAp14三量体、QAp15三量体、QAp16三量体及びQAp19三量体は、細胞内移行能を有し得ることが示された。また、該DNA三量体は、市販のトランスフェクション剤による遺伝子導入効率が低いHW細胞及びHB2細胞においても細胞内移行し得ることが示された。
【実施例】
【0103】
図5及び6に結果を示した実験では、細胞表面に結合したDNAに結合しているFITC蛍光も検出している可能性がある。そこで次に細胞表面に結合したDNAに結合しているFITC蛍光の影響を排除するため、細胞をトリプシン及びDNase処理してから蛍光強度を測定した。その結果、QAp1三量体とインキュベートしたHEK293T細胞、HB2細胞及びHW細胞において、対照と比較して、細胞カウント数がピークを示す蛍光強度値は依然として増加することが確認できた(図7)(それぞれ、平均蛍光強度の比率2.8、2.1及び2.6)。よって、QAp1三量体は細胞内移行能を有することが示された。
以上の結果から、実施例1で同定された塩基配列を有するDNA三量体は、複数の細胞の細胞内に移行する能力を有することが示された。
【実施例】
【0104】
[実施例3]
さらなる細胞内移行能の評価
QAp1の一部の塩基配列(5'側半分)を1個又は2個含むDNAの細胞内移行能を評価した。
(方法)
本実施例に使用したオリゴDNAを表4に示す。これらのオリゴDNA(antiKS-QAp1-A及びantiKS-QAp1-AA)は、5'側にantiKS配列(斜体で示す)、続いてスペーサー配列(小文字で示す)、及び3'側に、実施例1で同定したQAp1の5'側半分の塩基配列(大文字で示す)を1個又は2個有する。
【実施例】
【0105】
【表4】
JP2017047750A1_000005t.gif
【実施例】
【0106】
表4に示されるオリゴDNAに、FITCを5'末端に有するFITC-KSプライマー(配列番号26)をアニーリングさせ、被験DNA単量体とした(それぞれ、QAp1A単量体又はQAp1AA単量体と称する)。具体的には、表4に示される各オリゴDNA(50μM) 0.8μL、FITC-KSプライマー(配列番号26)(50μM) 0.8μL及びD-PBS(-) 18.4μLを混合し、95℃、80℃、70℃、60℃、55℃及び37℃で各5分の処理によってアニーリングさせ、被験DNA単量体を調製し、4℃で保存した。
【実施例】
【0107】
また、FITC-KSプライマー(配列番号26)を対照DNAとして用いた。
【実施例】
【0108】
実施例2の(2)~(12)と同様の手順で、細胞を被験DNA単量体又は対照DNAとインキュベートし、フローサイトメーターを用いて細胞の蛍光強度を測定した。細胞カウント数がピークを示す蛍光強度値が、被験DNA単量体において対照DNAと比較して増加した場合、被験DNA単量体は細胞内移行能を有するとみなすことができる。また、平均蛍光強度の比率([被験DNA単量体とインキュベートした細胞の平均蛍光強度]/[対照DNAとインキュベートした細胞の平均蛍光強度])を計算した。この比率が1を越える場合、例えば1.5以上である場合、被験DNA単量体は細胞内移行能を有するとみなすことができる。
【実施例】
【0109】
(結果)
MCF-7細胞を各被験DNA単量体又は対照DNAとインキュベートし、細胞をトリプシン及びDNase処理し、フローサイトメーターで蛍光強度を測定したところ、QAp1A単量体とインキュベートしたMCF-7細胞において、対照と比較して、細胞カウント数がピークを示す蛍光強度値はほとんど増加しなかった(図8A)(平均蛍光強度の比率1.2)。よって、QAp1の5'側半分の塩基配列を1個だけ含むDNA単量体は細胞内移行能を有さないことが示された。一方、QAp1AA単量体とインキュベートしたMCF-7細胞において、対照と比較して、細胞カウント数がピークを示す蛍光強度値は増加した(図8B)(平均蛍光強度の比率2.4)。よって、QAp1の5'側半分の塩基配列を2個含むDNAは、細胞内移行能を有することが示された。
【実施例】
【0110】
以上のことから、実施例1で同定された塩基配列の5'側半分の塩基配列を2個含むDNAは、細胞内移行能を有することが示された。
【実施例】
【0111】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5-1】
4
【図5-2】
5
【図6】
6
【図7】
7
【図8】
8