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明細書 :抗体結合性ペプチド

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6363022号 (P6363022)
登録日 平成30年7月6日(2018.7.6)
発行日 平成30年7月25日(2018.7.25)
発明の名称または考案の名称 抗体結合性ペプチド
国際特許分類 C12N  15/70        (2006.01)
C07K   7/00        (2006.01)
C07K  14/00        (2006.01)
C07K  17/00        (2006.01)
C07K  19/00        (2006.01)
C12N   1/15        (2006.01)
C12N   1/19        (2006.01)
C12N   1/21        (2006.01)
C12N   5/10        (2006.01)
C12Q   1/70        (2006.01)
G01N  33/53        (2006.01)
FI C12N 15/70 ZNAZ
C07K 7/00
C07K 14/00
C07K 17/00
C07K 19/00
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/10
C12Q 1/70
G01N 33/53 N
請求項の数または発明の数 30
全頁数 49
出願番号 特願2014-558300 (P2014-558300)
出願日 平成25年12月25日(2013.12.25)
国際出願番号 PCT/JP2013/007583
国際公開番号 WO2014/115229
国際公開日 平成26年7月31日(2014.7.31)
優先権出願番号 2013013217
優先日 平成25年1月28日(2013.1.28)
優先権主張国 日本国(JP)
審判番号 不服 2018-002754(P2018-002754/J1)
審査請求日 平成27年7月14日(2015.7.14)
審判請求日 平成30年2月27日(2018.2.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者または考案者 【氏名】渡邊 秀樹
【氏名】本田 真也
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審理対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】230104019、【弁護士】、【氏名又は名称】大野 聖二
【識別番号】100117444、【弁理士】、【氏名又は名称】片山 健一
【識別番号】100119183、【弁理士】、【氏名又は名称】松任谷 優子
【識別番号】100149076、【弁理士】、【氏名又は名称】梅田 慎介
参考文献・文献 特開2009-112282(JP,A)
J Amer Chem Soc,2006,Vol.128,pp.2726-2732.
調査した分野 C12N15/00-90
JST7580/JSTPlus/JMEDPlus(JDream3)
PubMed
BIOSIS/CAPLUS/MEDLINE/WPIDS/REGISTRY(STN)
Uniprot/GeneSeq
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式1:
Y-D-P-x-T-G-T-W-R-S-x-[IL] (配列番号1) (1)
(式中、xは任意のアミノ酸残基を表す。 [ ]は[ ]内のアミノ酸残基のいずれか一つを表す。)
で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであるか、あるいは該アミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド。
【請求項2】
配列番号2~6:
YDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号2)
YDPGTGTWRSYLRFGGG (配列番号3)
YDPYTGTWRSSIWVLSG (配列番号4)
YDPGTGTWRSWLSFNVG (配列番号5)
YDPWTGTWRSFIWGGGG (配列番号6)
のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項3】
配列番号2~6のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が、付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド。
【請求項4】
配列番号7~9:
YDPRTGTWLLYASRLLG (配列番号7)
YDPVTGTWTSSIASWMG (配列番号8)
YDPRTGTWRRSSLSYSG (配列番号9)
のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項5】
下記式2:
R-[QRS]-x-x-[GS]-Y-D-P-R-T-G-T-W-R-S-S-I-A-Y-G-G (配列番号10) (2)
(式中、xは任意のアミノ酸残基を表す。[ ]は[ ]内のアミノ酸残基のいずれか一つを表す。)で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであるか、あるいは該アミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド。
【請求項6】
配列番号11~14:
GVVRQWSGYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号11)
AGSRRAHGYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号12)
ASVRSWSSYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号13)
SWRRRGSSYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号14)
のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項7】
配列番号11~14のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が、付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド。
【請求項8】
配列番号15~19、及び158~164:
TGRGRSARYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号15)
HWVNGRSGYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号16)
ERWITWSGYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号17)
GSVVRWRGYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号18)
GAVYRRSFYDPRTGTWRSSIAYRGG (配列番号19)
GVVRRWSGYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号158)
GVVRQAQSGYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号159)
GVVRQWAGYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号160)
GVVRQWSGYDPRTGTWASSIAYGGG (配列番号161)
GVVRQWSGYDPRTGTWRASIAYGGG (配列番号162)
GVVRQWSGYDPRTGTWRSAIAYGGG (配列番号163)
GVVRQWSGYDPRTGTWRSSAAYGGG (配列番号164)
のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項9】
下記式4:
D-A-A-W-H-L-G-E-L-V-W-A-T-Y-Y-D-P-E-T-G-T-W-x-P-D-W-x-x-M
(配列番号23) (4)
(式中、xは任意のアミノ酸残基を表す)
で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであるか、あるいは該アミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド。
【請求項10】
配列番号24~54:
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWQPDWLYMTTR (配列番号24)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWAPDWRLMQGQ (配列番号25)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWLPDWQTMAQK (配列番号26)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号27)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWQPDWRAMSGR (配列番号28)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWRPDWKWMSTH (配列番号29)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWKLMQRP (配列番号30)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWQPDWDIMAGH (配列番号31)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWLPDWDVMVRQ (配列番号32)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWVPDWERMKQH (配列番号33)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWSKMRPQ (配列番号34)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWRPDWAVMATP (配列番号35)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWKPDWRMMGVP (配列番号36)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWLPDWDYMSSK (配列番号37)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWMPDWDRMLRR (配列番号38)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWTPDWNAMSQR (配列番号39)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWQPDWKRMTSR (配列番号40)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWQPDWGRMNSK (配列番号41)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWAPDWNRMRDFNRSFREV (配列番号42)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWVPDWDAMSSR (配列番号43)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWIPDWTRMQTW (配列番号44)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWKPDWQRMKLH (配列番号45)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWLPDWSQMRPQ (配列番号46)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWLPDWDTMTPR (配列番号47)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWQPDWSVMKSL (配列番号48)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWVPDWDTMHAAINRSFREV (配列番号49)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWIPDWRAMSQF (配列番号50)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWLPDWNLMGQH (配列番号51)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWRPDWARMEPM (配列番号52)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWKPDWQVMSPVSNRSFREV (配列番号53)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWQPDWEIMRPF (配列番号54)
のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項11】
配列番号24~54のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が、付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド。
【請求項12】
配列番号55:
EAWHLGELVWATYYDPETGTWRPDWSRMSGR (配列番号55)
で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項13】
下記式5:
[RSG]-[AGV]-x-Y-D-P-E-T-G-T-W-Y-D-A-A-W-H-L-G-E-L-V-W-A-T-Y-Y-D-P-E-T-G-T-W-E-P-D-W-Q-R-M-L-G-Q (配列番号56) (5)
(式中、xは任意のアミノ酸残基を表す。[ ]は[ ]内のアミノ酸残基のいずれか一つを表す。)
で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであるか、あるいは該アミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド。
【請求項14】
配列番号57~72:
GPGISAFSPGRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号57)
VISLGSDRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号58)
IMSVDGSSARYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号59)
VDLRAHGGAVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号60)
WSRFSSRSVAYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号61)
GNPSDSASAWYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号62)
SNFVRSPSAWYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号63)
IPYGFPGRGEYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号64)
GPYNIPDSAVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号65)
WPLNAPSSAFYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号66)
VPPRFSSSAQYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号67)
FLVGLHAGAVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号68)
VVRVDHSSAVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号69)
WMEFYPGRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号70)
DGVGPGSRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号71)
FVSSLPNSAMYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号72)
のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項15】
配列番号57~72のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が、付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド。
【請求項16】
配列番号73~81、及び174~178:
GRAFSGSRRWYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWAPDWRLMQGQ (配列番号73)
VMATEVVRGVYDPETGTWYDATWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号74)
MMVRPPRLGVYDPEPGTWYDATWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号75)
ERHLVSDYLHYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号76)
FSDLDSFGVSYDPETGTWYDAAWHRGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号77)
LFDNKLKHASYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号78)
GSCKFSSSCHYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号79)
LIPPGGISPWYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号80)
LNDFLTPTAWYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWLPDWQTMAQK (配列番号81)
GPGISAFSPGRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEADWQRMLGQ (配列番号174)
GPGISAFSPGRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPAWQRMLGQ (配列番号175)
GPGISAFSPGRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDAQRMLGQ (配列番号176)
GPGISAFSPGRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQAMLGQ (配列番号177)
GPGISAFSPGRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRALGQ (配列番号178)
のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項17】
請求項1~16のいずれかのポリペプチドのアミノ末端あるいはカルボキシル末端あるいは両末端にタンパク質を結合した融合タンパク質であって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すタンパク質。
【請求項18】
配列番号82~119のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる、請求項17に記載のタンパク質。
【請求項19】
請求項1~18のいずれかに記載のポリペプチドあるいはタンパク質をコードする核酸。
【請求項20】
配列番号120~157、及び179~183のいずれかで表される塩基配列からなる、請求項19に記載の核酸。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の核酸を含有する組換えベクター。
【請求項22】
請求項21に記載の組換えベクターが導入された形質転換体。
【請求項23】
請求項19又は20に記載の核酸を含有する組換えファージ又は組換えウイルス。
【請求項24】
請求項1~16のポリペプチド、及び請求項17の融合タンパク質のいずれかに有機化合物あるいは無機化合物あるいは有機化合物と無機化合物の両方が結合した修飾ポリペプチド又は修飾タンパク質であって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド又はタンパク質。
【請求項25】
請求項1~16のいずれかに記載のポリペプチド、請求項17又は18に記載のタンパク質、又は請求項24に記載のポリペプチド若しくはタンパク質が、水不溶性の固相支持体に固定化されていることを特徴とする、固定化ポリペプチド又は固定化タンパク質。
【請求項26】
請求項1~16のいずれかに記載のポリペプチド、請求項17又は18に記載のタンパク質、請求項19又は20に記載の核酸、請求項21に記載の組換えベクター、請求項22に記載の形質転換体、請求項23に記載の組換えファージ又は組換えウイルス、請求項24に記載のポリペプチド又はタンパク質、及び請求項25に記載の固定化ポリペプチド又は固定化タンパク質からなる群より選択される少なくとも1つを含む、抗体、免疫グロブリンGあるいは免疫グロブリンGのFc領域を含有するタンパク質を検出、精製、固定化又は除去するためのキット。
【請求項27】
被検試料中の非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を検出するための方法であって、
(1) 被検試料を、請求項5~7のいずれかに記載のポリペプチド、前記ポリペプチドのアミノ末端あるいはカルボキシル末端あるいは両末端にタンパク質を結合した融合タンパク質であって、非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域に対する結合活性を示す融合タンパク質、前記ポリペプチドを提示する組換えファージ若しくは組換えウイルス、前記ポリペプチド又は前記融合タンパク質のいずれかに有機化合物あるいは無機化合物あるいは有機化合物と無機化合物の両方が結合した修飾ポリペプチド又は修飾タンパク質であって、非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド若しくはタンパク質、又は前記ポリペプチド、前記融合タンパク質、もしくは前記修飾ポリペプチド又は修飾タンパク質が、水不溶性の固相支持体に固定化されている固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と接触させる工程、及び
(2) 被検試料と、ポリペプチド、タンパク質組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質との間で結合が生じたか否かを判定する工程、
を含む方法。
【請求項28】
非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を精製するための方法であって、
(1) 非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を含む試料を請求項5~7のいずれかに記載のポリペプチド、前記ポリペプチドのアミノ末端あるいはカルボキシル末端あるいは両末端にタンパク質を結合した融合タンパク質であって、非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域に対する結合活性を示す融合タンパク質、前記ポリペプチドを提示する組換えファージ若しくは組換えウイルス、前記ポリペプチド又は前記融合タンパク質のいずれかに有機化合物あるいは無機化合物あるいは有機化合物と無機化合物の両方が結合した修飾ポリペプチド又は修飾タンパク質であって、非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド若しくはタンパク質、又は前記ポリペプチド、前記融合タンパク質、もしくは前記修飾ポリペプチド又は修飾タンパク質が、水不溶性の固相支持体に固定化されている固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と接触させて、非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を、ポリペプチド、タンパク質組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と結合させる工程、及び
(2) ポリペプチド、タンパク質組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と結合した非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を試料から回収する工程、
を含む方法。
【請求項29】
非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を除去するための方法であって、
(1) 非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を含む試料を請求項-5~7のいずれかに記載のポリペプチド、前記ポリペプチドのアミノ末端あるいはカルボキシル末端あるいは両末端にタンパク質を結合した融合タンパク質であって、非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域に対する結合活性を示す融合タンパク質、前記ポリペプチドを提示する組換えファージ若しくは組換えウイルス、前記ポリペプチド又は前記融合タンパク質のいずれかに有機化合物あるいは無機化合物あるいは有機化合物と無機化合物の両方が結合した修飾ポリペプチド又は修飾タンパク質であって、非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド若しくはタンパク質、又は前記ポリペプチド、前記融合タンパク質、もしくは前記修飾ポリペプチド又は修飾タンパク質が、水不溶性の固相支持体に固定化されている固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と接触させて、非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を、ポリペプチド、タンパク質組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と結合させる工程、及び
(2) ポリペプチド、タンパク質組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と結合した非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を試料から除去する工程、
を含む方法。
【請求項30】
還元的環境下において実施される、請求項27~29のいずれかに記載の方法。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すペプチド、及びそれを用いる抗体、免疫グロブリンGあるいは免疫グロブリンGのFc領域を含有するタンパク質の検出、精製、固定化又は除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モノクローナル抗体を治療用途に利用する、いわゆる抗体医薬品は、年間売り上げが300億ドルを超え、バイオ医薬品のなかで最大規模、医薬品産業全体の中でも最も急速な成長を遂げているセグメントである。現在まで、23種のフルサイズのモノクローナル抗体と三つの断片型モノクローナル抗体が上市され、その中のいくつかはすでに年間売上10億ドル超のブロックバスターとなっている。1995年から2007年までの間に治験が開始された医薬品候補のモノクローナル抗体は3倍以上に増加しており、その数はさらに伸び続けている(非特許文献1)。
【0003】
このような抗体医薬品市場の成長と拡大に伴って、抗体、免疫グロブリンGあるいは免疫グロブリンGのFc領域を含有するタンパク質(以下、抗体等とも表記する)に対して結合性を有する分子の創製、改良に関する研究開発が盛んに行われている。これは、このような分子が、抗体等の研究及び生産に有用であるからで、特に抗体医薬品製造の際の回収精製工程で用いられるアフィニティクロマトグラフィで大きな需要が見込まれるからである。また、抗体等の回収精製目的で現在多用されているブドウ球菌由来のプロテインAが安定性や製造コストの点で不十分と認識されていることもその理由である。現在、抗体等に結合する分子に関して様々なアプローチの研究開発が行われているが(非特許文献2)、そのうちのひとつが抗体結合性ペプチドの開発である。以下にそのいくつかを例示する。
【0004】
鈴木らは、7残基若しくは12残基の線状ペプチドを繊維状バクテリオファージM13に提示したファージライブラリを用い、ヒトIgGのFc領域に結合活性を有するポリペプチドを複数同定し、Fc領域に対する結合性の有無を酵素結合免疫吸着法 (ELISA) によって測定した (特許文献1)。彼らは同定した複数の配列から共通配列を抽出したペプチドを作製し、ヒトIgGに対する結合のほか、ウマ、ヒツジ、ウサギ、モルモット、ヤギ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、マウスに由来するIgGのFc領域に対する結合活性をELISAによって確認した。
【0005】
DeLanoらは、ジスルフィド結合によって環状化したXaai Cys Xaaj Cys Xaak (式中i j kはi+j+k=18をみたす整数) で表される環状ペプチドを繊維状バクテリオファージM13に提示したファージライブラリを用い、ヒトIgGに対する結合について黄色ブドウ球菌由来プロテインAと競合反応する20残基の環状ペプチドを複数取得した。彼らはさらに、これらのペプチドから共通配列を抽出した13残基の環状ペプチドFc-III (Asp Cys Ala Trp His Leu Gly Glu Leu Val Trp Cys Thr) (配列番号165)を作製し、プロテインAとの競合反応においてKi=100 nMの競合阻害能を示すことを見出した。IgGの抗原結合部位であるFab断片とFc-IIIを融合化することにより、ラビットを用いた実験においてin vivoでのFab半減期を改善できることを開示した (特許文献2、非特許文献3)。またDiasらは、この環状ペプチドFc-IIIにD体及びL体のPro残基を用いてさらなる環状化を導入したFcBP-2を作製し、IgGに対する結合性 (Fc-IIIの結合解離定数KD = 185 nM) をKD = 2 nMまで高めることに成功した (非特許文献4)。
【0006】
Fassinaらは、Lys残基による枝分かれ構造を有する (Arg Thr Xaa)4 Lys2 Lys Gly(配列番号166)で表される合成テトラポリペプチドライブラリをスクリーニングし、プロテインAと競合するペプチドTG19318を作製した (非特許文献5)。TG19318はラビットIgGに対してKD = 300 nMの結合性を有しており、さらにこれを固定化したアフィニティクロマトグラフィによって、ヒト、ウシ、ウマ、ブタ、マウス、ラット、ヤギ、ヒツジの血清中に含まれるIgGを精製できることを示した (非特許文献6)。
【0007】
Ehrlichらは、鈴木らの手法と同様に、7残基若しくは12残基の線状ペプチドを繊維状バクテリオファージM13に提示したファージライブラリを用い、ヒト型化IgGをペプシン消化して得られるpFc’断片に結合性を示すペプチドを単離した (非特許文献7)。
【0008】
Krookらは、10残基長の線状ペプチドを繊維状バクテリオファージM13に提示したファージライブラリを用い、ヒトIgGのFc領域に結合性を示すペプチドを作製した。彼らはELISAによってこのペプチドがヒト及びブタ由来のIgGに対して強い結合性を示すことを確認した (非特許文献8)。
【0009】
Verdolivaらは、Lys残基による枝分かれ構造とCys残基による環状化を導入した(Cys Xaa3)2 Lys Gly (配列番号167)によって表される合成ペプチドライブラリをマウスモノクローナルIgGに対してスクリーニングし、ヒンジ領域近傍に結合性を示すペプチドFcRMを作製した。彼らはさらにこのFcRMを固定化したアフィニティクロマトグラフィを構築し、マウス及びヒト由来IgGの精製を報告した (非特許文献9)。
【0010】
坂本らは、Cys Xaa7-10 Cysで表される環状ペプチドをT7バクテリオファージに提示したファージライブラリを用い、ヒトIgGのFc領域に結合性を示すペプチドを作製した (非特許文献10)。彼らが作製したペプチドは、Fc領域の天然型構造ではなく、酸処理によって生じた非天然型構造を認識する点において、これまで作製された上記のIgG結合性ペプチドと異なっている。伊藤らは、このペプチドを用いてヒト抗体医薬、免疫グロブリン製剤、IgG試薬に含まれる酸処理によって生じた非天然型構造の含有率を調査できることを開示した (特許文献3)。
【0011】
以上のように、複数の抗体結合性ペプチドが開発されているが、それらの分子多様性は十分とは言えない。なぜなら、上述の治療用途に加えて、抗体は産業の様々な領域で、様々な用途に利用されているので、抗体結合性分子に求められる分子特性は一様ではないからである。抗体等の検出、精製、固定化又は除去等の実施には、それぞれの利用状況に適する特性を有する抗体結合性分子が必要である。具体的には、抗体等のどの部位に結合するか、分子認識の特異性はどの程度か、親和性の強度はどの程度か、溶液条件の変化等で結合/解離を制御できるか、複数の動物種の抗体に結合するのか、あるいは特定の動物種の抗体のみに結合するのか、溶解性や安定性はどうか、大量生産可能か、など点において適切な特性を有する抗体結合性分子が必要である。さらにはペプチドの場合、非天然型アミノ酸残基を含むのか天然型アミノ酸残基のみで構成されるのか、化学構造は線状型か環状型か分岐型か、溶液中で安定な三次元構造を形成するのか、還元的環境下において利用可能か、なども適性判断の項目となる。
【0012】
通常、短鎖のポリペプチドは分子内ジスルフィド架橋など環状安定化によって高機能化を図るが、環状化には煩雑な化学反応が必要であり、また例えば、還元条件下などのジスルフィド架橋の形成が困難な条件下においては結合機能を発揮できない。ジスルフィド架橋形成が困難な還元条件として想定される状況例としては、(1) 細胞質内環境、(2) 標的となるIgG或いはFc領域のシステイン残基のチオール基を、化学修飾などを目的として遊離基にするために還元剤が添加された環境などが想定される。
【0013】
さらに、抗体医薬品市場の拡大に伴って、抗体分子を対象とした分離精製技術及び分析技術のさらなる高度化が近年強く望まれるようになってきている。
【0014】
分析技術に関しては、特に(1)糖鎖付加を含む各種の翻訳後修飾に伴う分子不均一性に関する分析技術、(2)抗体の立体構造の変化に伴う分子不均一性に関する分析技術、(3)会合体・凝集体形成に伴う分子不均一性に関する分析技術、の3つの開発が期待されている。(非特許文献11)。抗体分子は各種の物理的あるいは化学的ストレスによって、通常の天然型構造とは異なるalternatively folded state (AFS) と呼ばれる非天然型構造を形成することが報告されている。このような非天然型構造は、薬剤の効果の減少のみならず免疫原性の惹起による副作用の原因となるリスクが示唆されており、非天然型構造を持つ抗体の分析技術が求められている(非特許文献12)。
【0015】
タンパク質の分子形状あるいは立体構造を明らかにすることのできる分析技術としては、X線結晶構造解析、核磁気共鳴、電子顕微鏡、分析超遠心、等電点電気泳動、動的光散乱、円偏光二色性スペクトル、液体クロマトグラフィーなどが挙げられるが、原子レベル精度とスループットをともに満足する方法はない。例えば、原子レベル精度の立体構造情報を与えることのできるX線結晶構造解析や核磁気共鳴では数か月オーダーの解析時間を必要とする。また、数分で測定が完了できる動的光散乱や液体クロマトグラフィーでは分子の微細な変化や微量の混入が検出できない。このため、原子レベル精度とスループットを両立する簡便な技術が求められている。
【0016】
一方、分離精製技術としては、抗体に特異的な親和性を有する分子をリガンドとして用いるアフィニティクロマトグラフィー技術が今日不可欠である(非特許文献13)。現在、この用途のリガンドとしては、プロテインAやプロテインGなどの細菌由来の天然タンパク質が利用されている。これらのタンパク質は良好な抗体親和性を有しているが、安定性が低いことや、製造コストが高いことが欠点である。
【先行技術文献】
【0017】

【特許文献1】特開2004-187563号公報
【特許文献2】国際公開番号WO/2001/045746号明細書
【特許文献3】国際公開番号WO/2008/054030号明細書
【0018】

【非特許文献1】”Preclinical Development of Monoclonal Antibodies and Related Biologicals: Emerging technologies and new therapeutic candidates”, pp.16-20. Business Insights Ltd.(2010)
【非特許文献2】本田真也「抗体医薬品の精製プロセス─プロテインAアフィニティクロマトグラフィー」、『バイオ/抗体医薬品・後続品におけるCMC研究・申請と同等性確保』、p.149-172、サイエンス&テクノロジー (2011)
【非特許文献3】DeLano WL, Ultsch MH, de Vos AM and Wells JA. (2000) Convergent solutions to binding at a protein-protein interface. Science 287(5456) 1279-1283
【非特許文献4】Dias RL, Fasan R, Moehle K, Renard A, Obrecht D and Robinson JA. (2006) Protein ligand design: from phage display to synthetic protein epitope mimetics in human antibody Fc-binding peptidomimetics. J Am Chem Soc. 128(8) 2726-2732
【非特許文献5】Fassina G, Verdoliva A, Odierna MR, Ruvo M and Cassini G. (1996) Protein A mimetic peptide ligand for affinity purification of antibodies. J Mol. Recognit. 9(5-6) 564-569
【非特許文献6】Fassina G, Verdoliva A, Palombo G, Ruvo M and Cassani G. (1998) Immunoglobulin specificity of TG19318: a novel synthetic ligand for antibody affinity purification. J Mol Recognit. 11(1-6) 128-133
【非特許文献7】Ehrlich GK and Bailon P. (1998) Identification of peptides that bind to the constant region of a humanized IgG1 monoclonal antibody using phage display. J Mol Recognit. 11(1-6) 121-125
【非特許文献8】Krook M, Mosbach K, Ramstrom O. (1998) Novel peptides binding to the Fc-portion of immunoglobulins obtained from a combinatorial phage display peptide library. J Immunol Methods. 221(1-2) 151-157
【非特許文献9】Verdoliva A, Marasco D, De Capua A, Saporito A, Bellofiore P, Manfredi V, Fattorusso R, Pedone C and Ruvo M. (2005) A new ligand for immunoglobulin g subdomains by screening of a synthetic peptide library. Chembiochem. 6(7) 1242-1253
【非特許文献10】Sakamoto K, Ito Y, Hatanaka T, Soni PB, Mori T and Sugimura K. (2009) Discovery and characterization of a peptide motif that specifically recognizes a non-native conformation of human IgG induced by acidic pH conditions. J Biol Chem. 284(15) 9986-9993
【非特許文献11】Berkowitz SA, Engen JR, Mazzeo JR, Jones GB. (2012) Analytical tools for characterizing biopharmaceuticals and the implications for biosimilars. Nat Rev Drug Discov., 11(7), 527-540
【非特許文献12】Rosenberg AS. (2006) Effects of protein aggregates an immunologic perspective. AAPS J., 8(3), E501-507
【非特許文献13】本田真也ほか、「抗体医薬品の開発と市場」、シーエムシー出版 (2012)
【非特許文献14】Hober S, Nord K and Linhult M. (2007) Protein A chromatography for antibody purification. J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci. 848(1) 40-47
【非特許文献15】Kanno S, Yanagida Y, Haruyama T, Kobatake E and Aizawa M. (2000) Assembling of engineered IgG-binding protein on gold surface for highly oriented antibody immobilization. J Biotechnol. 76(2-3) 207-214
【非特許文献16】Buchner J, Renner M, Lilie H, Hinz HJ, Jaenicke R, Kiefhabel T and Rudolph R. (1991) Alternatively folded states of an immunoglobulin. Biochemistry. 30(28) 6922-6929
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【非特許文献19】タンパク質のフォールディング第2版 R.H. Pain シュプリンガー・フェアラーク
【非特許文献20】Kanmert D, Brorsson AC, Jonsson BH and Enander K. (2011) Thermal induction of an alternatively folded state in human IgG-Fc. hemistry. 50(6) 981-988
【非特許文献21】Luo Q, Joubert MK, Stevenson R, Ketchem RR, Narhi LO and Wypych J. Chemical modifications in therapeutic protein aggregates generated under different stress conditions. (2011) J. Biol. Chem. 2011 286(28) 25134-25144
【非特許文献22】Joubert MK, Hokom M, Eakin C, Zhou L, Deshpande M, Baker MP, Goletz TJ, Kerwin BA, Chirmule N, Narhi LO and Jawa V. (2012) Highly aggregated antibody therapeutics can enhance the in vitro innate and late-stage T-cell immune responses. J. Biol. Chem. 287(30) 25266-25279
【非特許文献23】Yoshitake S, Yamada Y, Ishikawa E and Masseyeff R. (1979) Conjugation of glucose oxidase from Aspergillus niger and rabbit antibodies using N-hydroxysuccinimide ester of N-(4-carboxycyclohexylmethyl)-maleimide. Eur. J. Biochem. 101(2) 395-399
【非特許文献24】大島泰郎、鈴木紘一、藤井義明、村松喬 ポストシークエンスタンパク質実験法3 東京化学同人
【非特許文献25】Brymora A, Valova VA and Robinson PJ. (2004) Protein-protein interactions identified by pull-down experiments and mass spectrometry. Curr Protoc Cell Biol. 17 Unit 17.5
【非特許文献26】Wittig I and Schagger H. (2009) Native electrophoretic techniques to identify protein-protein interactions. Proteomics. 9(23) 5214-23
【非特許文献27】Park SH and Raines RT. (2004) Fluorescence polarization assay to quantify protein-protein interactions. Methods Mol Biol. 261 161-166
【非特許文献28】Braisted AC and Wells JA. (1996) Minimizing a binding domain from protein A. Proc Natl Acad Sci USA. 93(12) 5688-5692
【非特許文献29】Watanabe H, Matsumaru H, Ooishi A, Feng Y, Odahara T, Suto K and Honda S. Optimizing pH response of affinity between protein G and IgG Fc: how electrostatic modulations affect protein-protein interactions. (2009) J Biol Chem. 284(18) 12373-12383
【非特許文献30】日本PDA製薬学会バイオウイルス委員会編 バイオ医薬ハンドブック じほう
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、免疫グロブリンGのFc領域に対し結合活性を有し、抗体、免疫グロブリンGあるいは免疫グロブリンGのFc領域を含有するタンパク質の検出、精製、固定化、又は除去に好適に使用可能な新規なポリペプチドを提供し、産業で利用可能な抗体結合性ポリペプチドの分子多様性を拡大することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ある特定のアミノ酸配列パターンを有する短いポリペプチドが、ヒトIgG抗体に対し高い結合活性を示すことを見出した。さらにこれらのポリペプチドは、ヒトIgG抗体との結合における解離速度が遅く、その結合をより保持しやすいことも示された。さらに、これらのポリペプチドの一部は、酸処理、還元処理によって得られたヒトIgG抗体の非天然型構造にのみ結合することが示された。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。なお、本明細書においては、「ペプチド」と「ポリペプチド」と「タンパク質」との用語は互換的に用いられる。
【0021】
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1] 下記式1:
Y-D-P-x-T-G-T-W-R-S-x-[IL] (配列番号1) (1)
(式中、xは任意のアミノ酸残基を表す。 [ ]は[ ]内のアミノ酸残基のいずれか一つを表す。)
で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであるか、あるいは該アミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド;
[2] 配列番号2~6:
YDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号2)
YDPGTGTWRSYLRFGGG (配列番号3)
YDPYTGTWRSSIWVLSG (配列番号4)
YDPGTGTWRSWLSFNVG (配列番号5)
YDPWTGTWRSFIWGGGG (配列番号6)
のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる、[1]に記載のポリペプチド;
[3] 配列番号2~6のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が、付加、削除、置換又は挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド;
[4] 配列番号7~9:
YDPRTGTWLLYASRLLG (配列番号7)
YDPVTGTWTSSIASWMG (配列番号8)
YDPRTGTWRRSSLSYSG (配列番号9)
のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる、[3]に記載のポリペプチド;
[5] 下記式2:
R-[QRS]-x-x-[GS]-Y-D-P-R-T-G-T-W-R-S-S-I-A-Y-G-G (配列番号10) (2)
(式中、xは任意のアミノ酸残基を表す。[ ]は[ ]内のアミノ酸残基のいずれか一つを表す。)で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであるか、あるいは該アミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド;
[6] 配列番号11~14:
GVVRQWSGYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号11)
AGSRRAHGYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号12)
ASVRSWSSYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号13)
SWRRRGSSYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号14)
のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる、[5]に記載のポリペプチド;
[7] 配列番号11~14のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が、付加、削除、置換又は挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド;
[8] 配列番号15~19、及び158~164:
TGRGRSARYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号15)
HWVNGRSGYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号16)
ERWITWSGYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号17)
GSVVRWRGYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号18)
GAVYRRSFYDPRTGTWRSSIAYRGG (配列番号19)
GVVRRWSGYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号158)
GVVRQAQSGYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号159)
GVVRQWAGYDPRTGTWRSSIAYGGG (配列番号160)
GVVRQWSGYDPRTGTWASSIAYGGG (配列番号161)
GVVRQWSGYDPRTGTWRASIAYGGG (配列番号162)
GVVRQWSGYDPRTGTWRSAIAYGGG (配列番号163)
GVVRQWSGYDPRTGTWRSSAAYGGG (配列番号164)
のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる、[7]に記載のポリペプチド;
[9] 下記式3:
G-V-V-R-Q-W-S-G-x-x-x-x-x-x-x-x-R-S-S-I-A-Y-G-G (配列番号20) (3)
(式中、xは任意のアミノ酸残基を表す)
で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであるか、あるいは該アミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド;
[10] 配列番号21:
GVVRQWSGGGGSGGGGRSSIAYGGG (配列番号21)
で表されるアミノ酸配列からなる、[9]に記載のポリペプチド;
[11] 配列番号22:
RSSIAYGGG (配列番号22)
で表されるアミノ酸配列からなる、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド;
[12] 下記式4:
D-A-A-W-H-L-G-E-L-V-W-A-T-Y-Y-D-P-E-T-G-T-W-x-P-D-W-x-x-M
(配列番号23) (4)
(式中、xは任意のアミノ酸残基を表す)
で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであるか、あるいは該アミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド;
[13] 配列番号24~54:
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWQPDWLYMTTR (配列番号24)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWAPDWRLMQGQ (配列番号25)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWLPDWQTMAQK (配列番号26)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号27)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWQPDWRAMSGR (配列番号28)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWRPDWKWMSTH (配列番号29)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWKLMQRP (配列番号30)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWQPDWDIMAGH (配列番号31)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWLPDWDVMVRQ (配列番号32)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWVPDWERMKQH (配列番号33)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWSKMRPQ (配列番号34)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWRPDWAVMATP (配列番号35)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWKPDWRMMGVP (配列番号36)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWLPDWDYMSSK (配列番号37)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWMPDWDRMLRR (配列番号38)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWTPDWNAMSQR (配列番号39)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWQPDWKRMTSR (配列番号40)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWQPDWGRMNSK (配列番号41)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWAPDWNRMRDFNRSFREV (配列番号42)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWVPDWDAMSSR (配列番号43)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWIPDWTRMQTW (配列番号44)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWKPDWQRMKLH (配列番号45)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWLPDWSQMRPQ (配列番号46)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWLPDWDTMTPR (配列番号47)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWQPDWSVMKSL (配列番号48)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWVPDWDTMHAAINRSFREV (配列番号49)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWIPDWRAMSQF (配列番号50)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWLPDWNLMGQH (配列番号51)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWRPDWARMEPM (配列番号52)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWKPDWQVMSPVSNRSFREV (配列番号53)
DAAWHLGELVWATYYDPETGTWQPDWEIMRPF (配列番号54)
のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる、[12]に記載のポリペプチド;
[14] 配列番号24~54のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が、付加、削除、置換又は挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド;
[15] 配列番号55:
EAWHLGELVWATYYDPETGTWRPDWSRMSGR (配列番号55)
で表されるアミノ酸配列からなる、[14]に記載のポリペプチド;
[16] 下記式5:
[RSG]-[AGV]-x-Y-D-P-E-T-G-T-W-Y-D-A-A-W-H-L-G-E-L-V-W-A-T-Y-Y-D-P-E-T-G-T-W-E-P-D-W-Q-R-M-L-G-Q (配列番号56) (5)
(式中、xは任意のアミノ酸残基を表す。[ ]は[ ]内のアミノ酸残基のいずれか一つを表す。)
で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであるか、あるいは該アミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド;
[17] 配列番号57~72:
GPGISAFSPGRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号57)
VISLGSDRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号58)
IMSVDGSSARYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号59)
VDLRAHGGAVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号60)
WSRFSSRSVAYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号61)
GNPSDSASAWYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号62)
SNFVRSPSAWYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号63)
IPYGFPGRGEYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号64)
GPYNIPDSAVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号65)
WPLNAPSSAFYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号66)
VPPRFSSSAQYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号67)
FLVGLHAGAVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号68)
VVRVDHSSAVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号69)
WMEFYPGRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号70)
DGVGPGSRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号71)
FVSSLPNSAMYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号72)
のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる、[16]に記載のポリペプチド;
[18] 配列番号57~72のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が、付加、削除、置換又は挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド;
[19] 配列番号73~81、及び174~178:
GRAFSGSRRWYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWAPDWRLMQGQ (配列番号73)
VMATEVVRGVYDPETGTWYDATWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号74)
MMVRPPRLGVYDPEPGTWYDATWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号75)
ERHLVSDYLHYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号76)
FSDLDSFGVSYDPETGTWYDAAWHRGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号77)
LFDNKLKHASYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号78)
GSCKFSSSCHYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号79)
LIPPGGISPWYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRMLGQ (配列番号80)
LNDFLTPTAWYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWLPDWQTMAQK (配列番号81)
GPGISAFSPGRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEADWQRMLGQ (配列番号174)
GPGISAFSPGRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPAWQRMLGQ (配列番号175)
GPGISAFSPGRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDAQRMLGQ (配列番号176)
GPGISAFSPGRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQAMLGQ (配列番号177)
GPGISAFSPGRGVYDPETGTWYDAAWHLGELVWATYYDPETGTWEPDWQRALGQ (配列番号178)
のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる、[18]に記載のポリペプチド;
[20] [1]、[3]、[5]、[7]、[9]、[12]、[14]、[16]、及び[18]のいずれかのポリペプチドのアミノ末端あるいはカルボキシル末端あるいは両末端に第2のポリペプチドを伸張した連結型ポリペプチドであって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド;
[21] 配列番号2~9、11~19、21、22、24~55、57~81、158~164、及び174~178のいずれかのポリペプチドのアミノ末端あるいはカルボキシル末端あるいは両末端に第2のポリペプチドを伸張した連結型ポリペプチドであることを特徴とする、[20]に記載のポリペプチド;
[22] [1]、[3]、[5]、[7]、[9]、[12]、[14]、[16]、及び[18]のいずれかのポリペプチドのアミノ末端あるいはカルボキシル末端あるいは両末端にタンパク質を結合した融合タンパク質であって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すタンパク質;
[23] 配列番号2~9、11~19、21、22、24~55、57~81、158~164、及び174~178のいずれかのポリペプチドのアミノ末端あるいはカルボキシル末端あるいは両末端にタンパク質を結合した融合タンパク質であることを特徴とする、[22]に記載のタンパク質;
[24] 配列番号82~119のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる、[22]に記載のタンパク質;
[25] [1]~[24]のいずれかに記載のポリペプチドあるいはタンパク質をコードする核酸;
[26] 配列番号120~157、及び179~183のいずれかで表される塩基配列からなる、[25]に記載の核酸;
[27] [25]又は[26]に記載の核酸を含有する組換えベクター;
[28] [27]に記載の組換えベクターが導入された形質転換体;
[29] [25]又は[26]に記載の核酸を含有する組換えファージ又は組換えウイルス;
[30] [1]、[3]、[5]、[7]、[9]、[12]、[14]、[16]、及び[18]のポリペプチド、[20]の連結型ポリペプチド、並びに[22]の融合タンパク質のいずれかに有機化合物あるいは無機化合物あるいは有機化合物と無機化合物の両方が結合した修飾ポリペプチド又は修飾タンパク質であって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド又はタンパク質;
[31] 配列番号2~9、11~19、21、22、24~55、57~81、158~164、及び174~178のポリペプチド、並びに配列番号82~119の融合タンパク質のいずれかに有機化合物あるいは無機化合物あるいは有機化合物と無機化合物の両方が結合した修飾ポリペプチド又は修飾タンパク質であって、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を示すポリペプチド又はタンパク質;
[32] [1]~[21]のいずれかに記載のポリペプチド、[22]~[24]のいずれかに記載のタンパク質、又は[30]~[31]のいずれかに記載のポリペプチド若しくはタンパク質が、水不溶性の固相支持体に固定化されていることを特徴とする、固定化ポリペプチド又は固定化タンパク質;
[33] [1]~[21]のいずれかに記載のポリペプチド、[22]~[24]のいずれかに記載のタンパク質、[25]~[26]のいずれかに記載の核酸、[27]に記載の組換えベクター、[28]に記載の形質転換体、[29]に記載の組換えファージ又は組換えウイルス、[30]~[31]のいずれかに記載のポリペプチド又はタンパク質、及び[32]に記載の固定化ポリペプチド又は固定化タンパク質からなる群より選択される少なくとも1つを含む、抗体、免疫グロブリンGあるいは免疫グロブリンGのFc領域を含有するタンパク質を検出、精製、固定化又は除去するためのキット;
[34] 被検試料中の非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を検出するための方法であって、
(1) 被検試料を、[1]~[21]のいずれかに記載のポリペプチド、[22]~[24]のいずれかに記載のタンパク質、[28]に記載の形質転換体、[29]に記載の組換えファージ若しくは組換えウイルス、[30]~[31]のいずれかに記載のポリペプチド若しくはタンパク質、又は[32]に記載の固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と接触させる工程、及び
(2) 被検試料と、ポリペプチド、タンパク質、形質転換体、組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質との間で結合が生じたか否かを判定する工程、
を含む方法;
[35] 非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を精製するための方法であって、
(1) 非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を含む試料を[1]~[21]のいずれかに記載のポリペプチド、[22]~[24]のいずれかに記載のタンパク質、[28]に記載の形質転換体、[29]に記載の組換えファージ若しくは組換えウイルス、[30]~[31]のいずれかに記載のポリペプチド若しくはタンパク質、又は[32]に記載の固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と接触させて、非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を、ポリペプチド、タンパク質、形質転換体、組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と結合させる工程、及び
(2) ポリペプチド、タンパク質、形質転換体、組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と結合した非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を試料から回収する工程、
を含む方法;
[36] 非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を除去するための方法であって、
(1) 非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を含む試料を[1]~[21]のいずれかに記載のポリペプチド、[22]~[24]のいずれかに記載のタンパク質、[28]に記載の形質転換体、[29]に記載の組換えファージ若しくは組換えウイルス、[30]~[31]のいずれかに記載のポリペプチド若しくはタンパク質、又は[32]に記載の固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と接触させて、非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を、ポリペプチド、タンパク質、形質転換体、組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と結合させる工程、及び
(2) ポリペプチド、タンパク質、形質転換体、組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と結合した非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を試料から除去する工程、
を含む方法;
[37] 還元的環境下において実施される、[34]~[36]のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明のポリペプチドは、ヒトIgG抗体に対し高い結合活性を示し、かつヒトIgG抗体との結合における解離速度が遅い。さらに、これらのポリペプチドの一部は、酸処理、還元処理によって得られたヒトIgG抗体の非天然型構造にのみ結合し、天然型のIgG抗体には結合しない。本発明のIgG結合性ポリペプチドを利用して、抗体免疫グロブリンG (IgG) 若しくはそのFc領域を付加した融合タンパク質の固定化、検出、精製、除去などが可能となる。
【0023】
配列番号10を共通アミノ酸配列として有するポリペプチド2A1 (配列番号11) は、通常のIgG結合性分子と異なり、天然型のIgGには全く結合を示さず、酸処理、還元処理などによって生じた非天然型の構造に特異的に結合する。この性質は、非天然型構造を有するIgGの固定化、検出、精製、除去に使用できる。後記実施例1の4)で示すように、ポリペプチド2A1は、還元条件下に曝された状態のFc領域に対しても結合活性を示す。さらに、後記実施例1の8)で示すように、ポリペプチド2A1は、高い熱失活耐性を示す。
【0024】
配列番号56を共通アミノ酸配列として有するポリペプチドp17 (配列番号57) は、Fc領域に対して結合解離定数KD = 1.6 nMで結合することができる。この値は線状のポリペプチドとしては極めて高い結合活性を示すものであり、一般に結合活性が線状より高い環状ペプチドと比較しても、既報の高結合活性化環状ペプチドFcBP-2 (KD = 2.2 nM)(Diasら、非特許文献4) を上回る、最上位に属する高結合活性を有している。こうした既存のIgG結合性タンパク質、IgG結合性ペプチドに比較して高い結合活性を有するポリペプチドは、IgGやFc領域融合タンパク質の固定化、検出、精製、除去に好適に使用できる。
【0025】
さらに、本発明のIgG結合性ポリペプチドは環状化による安定化に依存しないため、環状化に伴う煩雑な化学反応を必要とせず、また例えば、還元条件下などのジスルフィド架橋の形成が困難な条件下においても、結合機能の発現が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(A) 表面プラズモン共鳴による、2A1のヒトFc領域 (Jackson Immunoresearch社)に対する結合活性測定の結果を示す。センサーチップ上に固定化した2A1に対し、濃度600, 500, 400, 300, 200, 100 nMに希釈したそれぞれのヒトFc領域の結合曲線を表す。(B) 表面プラズモン共鳴による、2A1の天然型ヒトモノクローナルIgGに対する結合活性測定の結果を示す。センサーチップ上に固定化した2A1に対し、濃度600, 500, 400, 300, 200, 100 nMに希釈したそれぞれの天然型IgGの結合曲線を表す。(C) 表面プラズモン共鳴による、2A1の天然型ヒトFc領域に対する結合活性測定の結果を示す。センサーチップ上に固定化した2A1に対し、濃度600, 500, 400, 300, 200, 100 nMに希釈したそれぞれの天然型ヒトFc領域の結合曲線を表す。(D) 表面プラズモン共鳴による、2A1の酸変性型ヒトIgGに対する結合活性測定の結果を示す。センサーチップ上に固定化した2A1に対し、濃度250, 125 nMに希釈したそれぞれの酸変性型ヒトIgGの結合曲線を表す。(E) 表面プラズモン共鳴による、2A1の還元処理ヒトFc領域に対する結合活性測定の結果を示す。センサーチップ上に固定化した2A1に対し、濃度600, 400, 200 nMに希釈したそれぞれの還元処理ヒトFc領域の結合曲線を表す。(F) 表面プラズモン共鳴による、2A1のAFS型ヒトIgGに対する結合活性測定の結果を示す。センサーチップ上に固定化した2A1に対し、濃度25, 12.5, 2.5, 1.25 nMに希釈したそれぞれのAFS型ヒトIgGの結合曲線を表す。
【図2】表面プラズモン共鳴による、混入したAFS型IgGの検出結果を示す。濃度6.7μMの天然型IgGに、10, 5, 1, 0.1, 0.01, 0.001%の割合でAFS型IgGを混入したサンプルに対する結合曲線を表す。
【図3】サイズ排除クロマトグラフィーによる、混入したAFS型IgGの検出結果を示す。濃度6.7 Mの天然型IgGに、10, 5, 1, 0.1, 0.01, 0.001%の割合でAFS型IgGを混入したサンプルに対するクロマトグラムを表す。差し込み図は、多量体画分を拡大したものを表す。
【図4】(A) 表面プラズモン共鳴による、AFS型IgGの検出範囲に関する結果を示す。図2の結果から得られた結合レスポンスと混入したAFS型IgG濃度を両対数プロットした。(B) サイズ排除クロマトグラフィーによる、AFS型IgGの検出範囲に関する結果を示す。図3のクロマトグラムから得られたIgGの多量体画分と単量体画分のピーク面積を基に多量体画分の存在率を算出し、これと混入したAFS型IgG濃度を両対数プロットした。
【図5】p17_trx固定化カラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーによる精製の結果を示す。実線はヒトモノクローナルIgGのパパイン消化産物をカラムにアプライしたクロマトグラムを示し、破線は緩衝液のpHを示す。前半のピークは素通り画分、後半のピークは酸緩衝液による溶出画分に対応する。
【図6】p17_trx固定化カラムによるアフィニティークロマトグラフィーによって分画したサンプルの精製度をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって確認した結果を示す。分子量マーカー(レーン1)、図5のクロマトグラムにおける素通り画分(レーン2)、溶出画分(レーン3)、カラム前(レーン4)の泳動結果を示す。
【図7】p17_trx固定化カラムを用いたヒトIgGのアフィニティークロマトグラフィーによる精製の結果を示す。実線は、ヒトモノクローナルIgGをカラムにアプライし、pH勾配により溶出したクロマトグラムを示す。破線は緩衝液のpHを示す。
【図8】2A1ペプチド固定化樹脂を用いた結合特異性評価。非天然型Fc領域の存在 (Fc(+))・非存在下 (Fc(-)) での、サンプル溶液 (lysate) および溶出液 (elute) のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す。コントロールはFc領域のバンドを示す。
【図9】ポリペプチドp17全体構造のリボンモデル
【図10】ポリペプチドp17とFc IIIの構造重ね合わせ。
【図11】(A) Fc IIIとFc領域の複合体構造、(B) ポリペプチドp17とFc領域の複合体構造。
【図12】(A) C末端セグメントが形成するαヘリックス、(B) N末端セグメントが形成するループ構造。
【図13】(A) Pro46周辺の電子密度マップ、(B) Asp47周辺の電子密度マップ、(C) Arg50周辺の電子密度マップ、(D) Trp48, Met51周辺の電子密度マップ。

【0027】
本明細書は、本願の優先権の基礎である特願2013-13217号の明細書に記載された内容を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、免疫グロブリンG及びそのFc領域に対して結合活性を示すポリペプチドと、それを利用した免疫グロブリンG及びFc領域の検出、固定、精製又は除去方法に関する。

【0029】
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列の好適な形態の一つは、配列番号1で示されるY-D-P-x-T-G-T-W-R-S-x-[IL](式中、xは任意のアミノ酸残基を表す。[ ]は[ ]内のアミノ酸残基のいずれか一つを表す)を共通配列として含むポリペプチドである。より好ましくは、配列番号2~6で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。後記実施例1に示す配列番号7~9で表されるポリペプチドのように、本発明のポリペプチドは、この共通配列 (配列番号1) を基に、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性が損なわれない範囲で数個、例えば1~6個、好ましくは1~3個、より好ましくは1個又は2個のアミノ酸残基が付加、削除、置換又は挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。上記のアミノ酸配列を含むものであれば、ポリペプチド配列のアミノ酸残基数に制限は無い。後記実施例1の6)に示すように、該ポリペプチドをコードする核酸を用いて形質転換されることにより該ポリペプチドを表層に提示した組換えファージも免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有する。すなわち本発明は、上記アミノ酸配列を有するポリペプチド、これを含む融合タンパク質、これらポリペプチド又は融合タンパク質をコードする核酸を有する形質転換体を含む。

【0030】
また、更に別の好ましい様態としては、配列番号10で示されるR-[QRS]-x-x-[GS]-Y-D-P-R-T-G-T-W-R-S-S-I-A-Y-G-G(式中、xは任意のアミノ酸残基を表す。[ ]は[ ]内のアミノ酸残基のいずれか一つを表す)を共通配列として含むポリペプチド、より好ましくは、配列番号11~14で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。後記実施例1に示す配列番号15~21で示されるポリペプチドのように、本発明のポリペプチドは、この共通配列 (配列番号10) を基に、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性が損なわれない範囲で数個、例えば1~10個、好ましくは1~6個、より好ましくは1~3個のアミノ酸残基が付加、削除、置換又は挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。上記のアミノ酸配列を含むものであれば、ポリペプチド配列のアミノ酸残基数に制限は無い。後記実施例1の5)と6)に示すように、該ポリペプチドを付加した融合タンパク質、該ポリペプチドをコードする核酸を用いて形質転換されることにより該ポリペプチドを表層に提示した組換えファージも結合活性を有する。すなわち本発明は、上記アミノ酸配列を有するポリペプチド、これを含む融合タンパク質、これらポリペプチド又は融合タンパク質をコードする核酸を有する形質転換体を含む。

【0031】
また、更に別の好ましい様態としては、配列番号23で示されるD-A-A-W-H-L-G-E-L-V-W-A-T-Y-Y-D-P-E-T-G-T-W-x-P-D-W-x-x-M(式中、xは任意のアミノ酸残基を表す)を共通配列として含むポリペプチド、より好ましくは、配列番号24~54で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。後記実施例2に示す配列番号55のアミノ酸配列で示されるポリペプチドのように、本発明のポリペプチドは、この共通配列 (配列番号23) を基に、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性が損なわれない範囲で数個、例えば1~10個、好ましくは1~6個、より好ましくは1~3個のアミノ酸残基が付加、削除、置換又は挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。上記のアミノ酸配列を含むものであれば、ポリペプチド配列のアミノ酸残基数に制限は無い。後記実施例2の5)と6)に示すように、該ポリペプチドを付加した融合タンパク質、該ポリペプチドをコードする核酸を用いて形質転換されることにより該ポリペプチドを表層に提示した組換えファージも結合活性を有する。すなわち本発明は、上記アミノ酸配列を有するポリペプチド、融合タンパク質、これらポリペプチド及び/又は融合タンパク質をコードする核酸を有する形質転換体を含む。

【0032】
また、更に別の好ましい様態としては、配列番号56で示される[RSG]-[AGV]-x-Y-D-P-E-T-G-T-W-Y-D-A-A-W-H-L-G-E-L-V-W-A-T-Y-Y-D-P-E-T-G-T-W-E-P-D-W-Q-R-M-L-G-Q(式中、xは任意のアミノ酸残基を表す。[ ]は[ ]内のアミノ酸残基のいずれか一つを表す)を共通配列として含むポリペプチド、より好ましくは、配列番号57~72で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。後記実施例2に示す配列番号73~81のアミノ酸配列で示されるポリペプチドのように、本発明のポリペプチドは、この共通配列 (配列番号56) を基に、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性が損なわれない範囲で数個、例えば1~10個、好ましくは1~6個、より好ましくは1~3個のアミノ酸残基が付加、削除、置換又は挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。上記のアミノ酸配列を含むものであれば、ポリペプチド配列のアミノ酸残基数に制限は無い。後記実施例2の5)と6)に示すように、該ポリペプチドを付加した融合タンパク質、該ポリペプチドをコードする核酸を用いて形質転換されることにより該ポリペプチドを表層に提示した組換えファージも結合活性を有する。すなわち本発明は、Fc領域に結合活性を示す上記アミノ酸配列を有するポリペプチド、融合タンパク質、これらポリペプチド及び/又は融合タンパク質をコードする核酸を有する形質転換体を含む。

【0033】
さらに、本発明ポリペプチド及びタンパク質は標識されていてもよい。すなわち本発明は、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性が損なわれない範囲で、上記のポリペプチド又は融合タンパク質に対し、有機化合物あるいは無機化合物あるいは有機化合物と無機化合物の両方を結合させた修飾ポリペプチド又は修飾タンパク質を含む。上記有機化合物等を結合することで、下段に記す本発明の用途の一例である抗体、免疫グロブリンGあるいは免疫グロブリンGのFc領域を含有するタンパク質の固定化、精製、検出、除去を効果的に行うことができる。用いる有機化合物等としては、ビオチン、フルオレセイン等の蛍光性有機化合物、安定同位体、リン酸基、アシル基、アミド基、エステル基、エポキシ基、ポリエチレングリコール(PEG)、脂質、糖鎖、核酸、量子ドット等の蛍光性無機化合物、金コロイドなどが好適(Basle E, Joubert N, Pucheault M. Protein chemical modification on endogenous amino acids. Chem Biol. 2010, 17(3), 213-27.)であるが、技術的に適用可能な他のいかなる化合物も排除しない。

【0034】
本発明のポリペプチドの用途は、その分子が有する免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を利用する限りにおいて制限は無い。一般に、人工的に作製した免疫グロブリンG結合性ポリペプチド、あるいは微生物由来の免疫グロブリンG結合性タンパク質の用途として、抗体、免疫グロブリンGあるいは免疫グロブリンGのFc領域を含有するタンパク質の固定化、精製、検出、除去がある (非特許文献14、非特許文献15、特許文献1、特許文献3、非特許文献6、非特許文献9)。したがって、本発明のポリペプチドの用途として、上記免疫グロブリンG結合性分子を用いて実施されている用途を含む当業者に公知の用途の内、技術的に適用可能な全ての形態を含む。後記実施例では免疫グロブリンGの検出、精製、除去を挙げているが、これ以外の利用形態も排除しない。

【0035】
本発明のポリペプチドの内、配列番号10を共通アミノ酸配列として有するポリペプチドは、後記実施例1の7)に示すように非天然型構造を有する免疫グロブリンG及びFc領域に特異的な結合活性を示すことから、非天然型構造の免疫グロブリンG及びFc領域の固定化、精製、検出、除去に利用できる。本明細書において用いる場合、非天然型構造とは、酸処理、熱処理、変性剤処理、還元剤処理、せん断や撹拌などの物理的衝撃などによって生じる、天然型構造とは異なる構造群の総称である。

【0036】
ここで酸処理とは、限定するものではないが、好ましくはpH4.0以下、より好ましくはpH 1.5 ~ 2.0の条件下に曝露されることを意味する。例えば、免疫グロブリンGは、10 mM Glycine-HCl, 150 mM NaCl, pH2.0の緩衝液で処理することによって通常の天然型構造とは異なるAlternatively folded state (AFS) と呼ばれる非天然型構造を形成することが報告されている (非特許文献16、非特許文献17、非特許文献18)。

【0037】
また、一般にタンパク質は、酸処理によって生じることに加えて、他の化学的処理或いは物理的処理によっても立体構造の変性が生じることが知られている。最も一般的には、熱による変性、あるいは塩酸グアニジンなどの変性剤によって容易に立体構造の変性が生じることが知られており (非特許文献19)、例えば免疫グロブリンGのFc領域においては、75℃近辺で熱変性によるAFSの形成が報告されている(非特許文献20)。その他の化学的処理及び物理的処理として、還元剤処理、せん断や撹拌などの物理的衝撃が広く知られている。ここでの還元剤処理とは、分子内あるいは分子間のジスルフィド結合が部分的或いは全てにわたって開裂されている状態を指す。より具体的には、還元剤 (DTT、βメルカプトエタノール、2-メルカプトエチルアミンなど) の添加によってジスルフィド結合が開裂した状態を指す。後記実施例では50 mM の2-メルカプトエチルアミンによって90分処理することにより還元処理を施したが、還元条件を引き起こす試薬はこれに限定されるものではない。また、撹拌・せん断などの物理的衝撃とは、限定するものではないが、例えば免疫グロブリンG溶液を撹拌子を用いて700 rpmの速度で回転させることによってアミノ酸残基の酸化、タンパク質立体構造の変性、それによるタンパク質凝集を生じることが報告されている(非特許文献21、非特許文献22)。後記実施例1の7)では、酸及び/又は熱処理、還元処理、酸によるAFSの生成条件にて処理した免疫グロブリンG及びFc領域に対する結合活性測定の結果を示しているが、本発明のポリペプチドによって結合される非天然型構造の免疫グロブリンG及びFc領域の内、これ以外の非天然型構造も排除しない。

【0038】
本発明にしたがうポリペプチドの用途の一つとして、還元条件下などにおける免疫グロブリン及びFc領域の固定化、精製、検出、除去などが想定される。本発明の免疫グロブリンG結合性ポリペプチドはジスルフィド架橋による環状化、それによる機能化・安定化に依存しない。従って、ジスルフィド架橋の形成が困難な還元条件下においても結合機能の発現が可能である。ジスルフィド架橋の形成が困難である還元条件の想定される状況例としては、(1) 細胞質内環境、(2) 標的となる免疫グロブリンG或いはFc領域のシステイン残基のチオール基を、化学修飾などを目的として遊離基にするために還元剤が添加された環境などが想定される。後記実施例1の7)では、還元条件下として、還元剤2-メルカプトエチルアミン (Thermo Scientific Pierce) を用いてFc領域を処理し、キレート剤エチレンジアミン四酢酸の存在下でその還元条件を維持(非特許文献23)した状況下で実施したが、これ以外のジスルフィド非架橋条件も排除しない。

【0039】
本発明においては、ポリペプチドの合成方法、及び利用される形態に制限は無い。同定したポリペプチドの調製方法として、有機化学的に合成する方法や遺伝子組換えに基づく方法 (参照文献 寒川賢治、ペプチドと創薬 メディカルドゥ)、任意のタンパク質と連結した融合タンパク質の形態として発現させる方法 (参照文献 森山達哉、タンパク質精製と取り扱いのコツ 羊土社) など多数の合成方法が報告されており、アミノ酸配列の特定されたポリペプチドの調製は既存の合成技術の適用によって容易に行う事ができる。後記実施例では有機化学的な合成による調製、融合タンパク質としての細胞発現による調製、及び融合タンパク質のプロテアーゼ切断による目的ポリペプチドの調製、該ポリペプチドをコードする核酸を用いて形質転換されることにより該ポリペプチドを表層に提示した組換えファージの例を示しているが、上記技術を含む他の方法も排除しない。

【0040】
本発明は、本発明のポリペプチドを固定化した固相担体にも関する。ここで好適な固相担体の例としては、限定するものではないが、ポリスチレンやポリエステルなどの樹脂、デキストランやアガロースなどの生体高分子化合物、金属やガラスなどの無機材料が挙げられる。これらの固相担体の形状は、粒子、プレート、膜、チップ、試験管など任意の形状で良い。またそれら固相担体へのポリペプチドの固定化方法は、共有結合法、物理吸着法、イオン結合法、分子間相互作用法によって行うことができる。後記実施例では共有結合法による表面プラズモン共鳴測定装置のセンサーチップへの固定化、アフィニティークロマトグラフィーカラムとしての高分子粒子への固定化を挙げているが、上に述べる通り、これ以外の支持担体、固定化方法も排除しない。本発明のポリペプチド、及び融合タンパク質など該ポリペプチドを含む分子は、固相担体へ固定化することにより、免疫グロブリンG及びFc領域の固定化、精製、或いは除去として好適に使用できる。後記実施例では、ポリペプチドを含む融合タンパク質を固定化したカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーにより、免疫グロブリンGの精製、及び免疫グロブリンGをパパインによって酵素消化した産物からFc領域を除去・精製しFabを精製した実施例を記載するが、固相担体の形態、固定化方法はこれに限定されるものではなく、磁性粒子などの粒子類、フィルター膜など、当業者に公知なタンパク質精製方法に好適に適用できる。また、精製の対象とする分子は、免疫グロブリンGのほか、サイトカインや酵素など任意のタンパク質とFc領域を連結した融合タンパク質に適用することもできる。

【0041】
ポリペプチドの結合活性を測定する方法としては、酵素結合免疫吸着法 (ELISA)、表面プラズモン共鳴法 (SPR)、等温滴定型熱量計 (ITC)、水晶振動子マイクロバランス (QCM)、原子間力顕微鏡 (AFM)(以上、非特許文献24)、プルダウン法(非特許文献25)、電気泳動法(非特許文献26)、蛍光偏光度測定法(非特許文献27)などが挙げられる。後記実施例では酵素結合免疫吸着法、表面プラズモン共鳴法の例を示しているが、上記技術を含む他の方法も排除しない。

【0042】
本発明のポリペプチド及び融合タンパク質を用いて、試料中の非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を検出及び分離(精製または除去)することができる。

【0043】
被検試料中の非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を検出するための方法は、次の工程を含むことができる:
(1) 被検試料を、本発明のポリペプチド、タンパク質、形質転換体、組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と接触させる工程、及び
(2) 被検試料と、ポリペプチド、タンパク質、形質転換体、組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質との間で結合が生じたか否かを判定する工程。

【0044】
上記結合が生じたか否かを判定する工程に用いる方法としては、ELISA、SPR、ITC、QCM、AFM、プルダウン法、電気泳動法、蛍光偏光度測定法、蛍光共鳴エネルギー移動法(FRET)、カラムクロマトグラフィー、イムノクロマトグラフィー法などが挙げられる。後記実施例では表面プラズモン共鳴法の例を示しているが、上記技術を含む技術的に適用可能な他の方法も排除しない。

【0045】
非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を精製するための方法は、次の工程を含むことができる:
(1) 非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を含む試料を本発明のポリペプチド、タンパク質、形質転換体、組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と接触させて、非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を、ポリペプチド、タンパク質、形質転換体、組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と結合させる工程、及び
(2) ポリペプチド、タンパク質、形質転換体、組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と結合した非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を試料から回収する工程。

【0046】
上記試料から回収する工程に用いる方法としては、アフィニティクロマトグラフィー法、アフィニティビーズ法、アフィニティフィルター法、免疫沈降法などが挙げられる。後記実施例ではアフィニティクロマトグラフィー法の例を示しているが、上記技術を含む技術的に適用可能な他の方法も排除しない。

【0047】
非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を除去するための方法は、次の工程を含むことができる:
(1) 非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を含む試料を本発明のポリペプチド、タンパク質、形質転換体、組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と接触させて、非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を、ポリペプチド、タンパク質、形質転換体、組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と結合させる工程、及び
(2) ポリペプチド、タンパク質、形質転換体、組換えファージ若しくは組換えウイルス、又は固定化ポリペプチド若しくは固定化タンパク質と結合した非天然型立体構造を有する抗体、免疫グロブリンGあるいはFc領域含有タンパク質を試料から除去する工程。

【0048】
上記試料から除去する工程に用いる方法としては、アフィニティクロマトグラフィー法、アフィニティビーズ法、アフィニティフィルター法、免疫沈降法などが挙げられる。後記実施例ではアフィニティクロマトグラフィー法の例を示しているが、上記技術を含む技術的に適用可能な他の方法も排除しない。

【0049】
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例1】
【0050】
本実施例においては、まず、抗体結合活性を示す多数のポリペプチドのアミノ酸配列をどのように特定したかを記し、次いで、配列番号1のアミノ酸配列を共通配列として含む配列番号2~6のアミノ酸配列、及び配列番号10のアミノ酸配列を共通配列として含む配列番号11~14のアミノ酸配列、またこれらのアミノ酸配列に免疫グロブリンG (IgG) のFc領域への結合活性を失わない範囲で数個のアミノ酸置換が、付加、削除、置換又は挿入された配列番号7~9, 15~21、それらの一部である配列番号22のアミノ酸配列からなる合成ポリペプチド、あるいはこれらのアミノ酸配列を含む融合タンパク質、あるいはこれらのアミノ酸配列をコードする核酸によって形質転換された組換えファージの結合活性を測定した例を示す。
【実施例1】
【0051】
1) ポリペプチドライブラリの構築とヒトIgGの Fc領域に対する選択
抗体結合活性を示すポリペプチドのアミノ酸配列は、T7ファージを用いたファージ提示法によって特定した。
【実施例1】
【0052】
まず、Tyr - Asp - Pro - Xaa - Thr - Gly - Thr - Trp - (Xaa)8 - Gly (配列番号168)(ここでXaaは任意のアミノ酸残基を示す) のアミノ酸配列からなるポリペプチドを、Gly - Gly - Gly - Gly - Ser(配列番号169)のアミノ酸配列からなるリンカーを介してT7ファージの外殻タンパク質g10のC末端に提示したファージライブラリを、T7Select10-3 Cloning Kit (Novagen) を用いて構築した。構築に必要な手順は全て付属のT7Select(商標登録) System Manual (Novagen) に従った。
【実施例1】
【0053】
次いで、構築したT7ファージ提示ライブラリを用いて、標的物質であるヒトIgGのFc領域に結合したファージを選択した。まず、アビジン固定磁気ビーズとして用いた Streptavidin MagneSphere (商標登録) Paramagnetic Particles (Promega) 0.65 mlに、ビオチン標識したヒトIgGのFc領域 (Jackson Immunoresearch) を20μg混合し、アビジン-ビオチン結合を介してFc領域を磁気ビーズに固定化した。これにブロッキング剤SuperBlock(商標登録) T20 (TBS) Blocking Buffer (Thermo SCIENTIFIC) を1時間添加することでFc領域を固定した磁気ビーズをブロッキングした。これにT7ファージ提示ライブラリ溶液 1 ml (5×1012 plaque forming units) とFc領域固定磁気ビーズを1時間接触させることにより、Fc領域に結合活性を示すポリペプチド提示ファージをFc領域固定磁気ビーズに結合させた。次に、MagneSphere (商標登録) Technology Magnetic Separation Stand (Promega) を用いた磁気分離によりポリペプチド提示ファージとFc領域固定磁気ビーズとの複合体を回収した。回収した複合体にSuperBlock(商標登録) T20 (TBS) Blocking Buffer (Thermo SCIENTIFIC) を1 ml添加し、10分間混合して再度磁気分離によって上清を除去し、複合体を回収した。この洗浄操作を10回行った。洗浄後、磁気分離によって回収した複合体に1% (w/v) ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含むTBS-T緩衝液を1 ml添加して10分間混合し、Fc領域固定磁気ビーズから結合活性ポリペプチドを提示したファージを溶出した。溶出したファージを、200 ml LB培地にてO.D.600 = 1.0まで培養した大腸菌BLT5403株 (Novagen) に感染させ、4時間振とう培養した。培養液を5000×gで20分間の遠心分離により、増幅したファージを含む培地上清を回収した。この上清に対し、20 mlの5 M NaCl (和光純薬工業) と35 mlの50% ポリエチレングリコール (PEG) 8000 (Sigma-Aldrich) を添加し、4℃にて12時間撹拌した。これを14000×gで20分間の遠心分離にかけ、沈殿物を2 mlのTBS-T緩衝液 (50 mM Tris-HCl, 150 mM NaCl, 0.01% (w/v) Tween20(商標登録) pH 7.4) にて懸濁し、0.22μm径フィルターを用いたろ過操作によって凝集物を除去することで、T7ファージ溶液を得た。以上の「該ライブラリを標的物質であるヒトIgGのFc領域に接触させる工程、及びヒトIgGのFc領域と結合したファージを選択し回収する工程」を5回繰り返し、結合活性を示すポリペプチドを提示したファージを濃縮した。
【実施例1】
【0054】
2) ELISAによる結合活性試験及び配列解析による結合活性ポリペプチドの特定
続いて、濃縮したファージ集団から、結合活性を有する分子をELISAとDNA解析によって特定した例を示す。
【実施例1】
【0055】
実施例1の1)にて濃縮された、結合活性を示すポリペプチドを提示したファージの集団から、T7Select(商標登録) System Manual (Novagen) に従ってファージプラークを形成させ、この各々のプラークから単一のポリペプチドを提示したファージを単離した。96穴プレートとして用いたMICROTEST (商標登録) 96 (BECTON DICKINSON) に、LB培地でO.D.600 = 1.0まで培養した大腸菌BL5403株の培養液0.2 mlを投入し、プラークからそれぞれ単離した96種のファージを感染させ、37℃にて12時間静置することでファージを増幅した。これらファージを含む培養液10μlを90μlのTBS緩衝液(50 mM Tris-HCl, 150 mM NaCl, pH 7.4)に希釈し、これらをMEDISORP 96 wellマイクロプレート (Nunc) に1時間投入することでファージをプレートに物理吸着させた。上清を取り除き、SuperBlock(商標登録) T20 (TBS) Blocking Buffer (Thermo SCIENTIFIC) 150μlを1時間投入してプレート表面をブロッキングした後、TBS-T緩衝液にて3回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼ (HRP) 標識したFc領域 (Jackson Immunoresearch)(0.2μg/ml) を含むTBS-T緩衝液を100μl添加し1時間静置した。TBS-T緩衝液で3回洗浄後、ABTS One Component HRP Microwell Substrate (BioFX) を100μl投入し、結合性を発色反応として検出した。吸光度測定には、吸光マイクロプレートリーダーSunrise R (TECAN) を用い、415 nmの吸光度を測定した。結合活性の高い上位16種のファージについて、ポリペプチドをコードする領域のDNA配列をダイデオキシ法によりABI PRISM (商標登録) 3100 (Applied BioSystems) を用いて解析した結果、結合活性を有するポリペプチドとして、配列番号2~9で示されるアミノ酸配列を特定した。
【実施例1】
【0056】
3) ポリペプチド伸長ライブラリの構築とヒトIgG のFc領域に対する選択
実施例1の2)で特定された分子の高機能化を目的として、アミノ酸配列 (配列番号2) のN末端側に8残基長のランダム配列(Xaa)8を伸長したライブラリを用いた選択を行った。
【実施例1】
【0057】
まず、(Xaa)8 - Tyr - Asp - Pro - Arg - Thr - Gly - Thr - Trp - Arg - Ser - Ser - Ile - Ala - Tyr - Gly - Gly - Gly(配列番号170) (ここでXaaは任意のアミノ酸残基を示す) のアミノ酸配列からなるポリペプチドを、Gly - Gly - Gly - Gly - Ser(配列番号169)のアミノ酸配列からなるリンカーを介してT7ファージの外殻タンパク質g10のC末端に提示したファージライブラリを、T7Select10-3 Cloning Kit (Novagen) を用いて構築した。構築に必要な手順は全て付属のT7Select(商標登録) System Manual (Novagen) に従った。
【実施例1】
【0058】
このファージライブラリを用いて実施例1の1)と同様の手順に従い「Fc領域に接触及びこれと結合したファージを選択し回収する工程」を6回繰り返し、Fc領域に結合活性を示すポリペプチドを提示したファージを濃縮した。続いて実施例1の2)と同様の手順に従い、濃縮したファージ集団の中から結合活性を有する分子をELISAによって確認し、ダイデオキシ法によるDNA配列解析を行った。DNA配列解析の結果、アミノ酸配列の収束が確認された配列番号11~19で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを結合活性ポリペプチドとして特定した。
【実施例1】
【0059】
4) 本節においては、配列番号2, 11, 21, 22で示されるアミノ酸配列 (それぞれ、H6, 2A1, 2A1Gly, RSSと呼ぶ) からなるポリペプチドの結合活性を表面プラズモン共鳴法によって測定した例を示す。
【実施例1】
【0060】
有機化学的に合成したポリペプチドはbioSYNTHESISより購入した。表面プラズモン共鳴測定装置としてBiacore T100 (GE Healthcare) を用いた。Jackson Immunoresearch社製のヒトFc領域を、センサーチップCM5 (GE Healthcare) にAmine Coupling Kit (GE Healthcare) を用いたアミンカップリング法により固定化した。次いで、ポリペプチドをH6については50, 25, 12.5μM、2A1については100, 80, 60, 40, 20 nM、2A1Glyについては40, 30, 20, 10, 5μM、RSSについては200, 100, 50, 25, 12.5μMまでそれぞれHBS-T緩衝液 (10 mM HEPES, 150 mM NaCl, 0.05% Tween20 (商標登録), pH 7.4) にて希釈し、反応温度25℃で結合活性測定を行った。測定データはBiacore T00 Evaluation Software (GE Healthcare) にて処理し、H6, 2A1, 2A1Gly, RSSの結合活性は結合解離手数KDにしてそれぞれ7.9×10-5 (M), 2.2×10-8 (M), 2.3×10-5 (M), 1.1×10-4 (M)と算出された (表1A)。
【表1A】
JP0006363022B2_000002t.gif
【実施例1】
【0061】
5) 本節では、配列番号2, 11~13で示されるアミノ酸配列を含むチオレドキシン融合タンパク質を作製し、その結合活性を表面プラズモン共鳴法によって測定した例を示す。
【実施例1】
【0062】
アミノ酸配列2, 11~13のポリペプチドをコードするDNAをポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) によって増幅した。PCRはKOD DNAポリメラーゼ (TOYOBO) を用い、反応条件は添付のマニュアルに従った。増幅したDNAをEcoRIとHindIIIで消化し、pET-48b (Invitrogen) のEcoRI / HindIII 部位で消化した領域にそれぞれ導入することで、ポリペプチドをチオレドキシンのC末端に連結した融合タンパク質をコードするDNA (配列番号120~123) を含む発現ベクターを構築した (以下、これら同定したポリペプチドとチオレドキシンとの融合タンパク質を、H6_trx, 2A1_trx, 2A4_trx, 2F12_trx (配列番号82~85) と呼ぶ)。構築した発現ベクターを用いて大腸菌BL21 (DE3) 株 (Novagen) を形質転換した。これを200 ml の2×YT培地に継代し、O.D.600 = 0.8付近まで振とう培養し、終濃度1 mMのイソプロピル-β-チオガラクトピラノシド (IPTG) によって発現誘導を行い、37℃で12時間培養した。5000×gで20分間の遠心分離で菌体を回収し、20 mM Tris-HCl 500 mM NaCl pH 7.4からなる緩衝液によって懸濁した。菌体をアストラソン Model S3000 (和研薬) によって超音波破砕し、14000×gで20分間の遠心分離によって細胞内可溶性画分を回収した。この可溶性画分をNi Sepharose(商標登録) 6 Fast Flow (GE Healthcare)を用いた金属キレートアフィニティークロマトグラフィーによって精製し、目的のチオレドキシン融合タンパク質を調製した。
【実施例1】
【0063】
続いて、調製したチオレドキシン融合タンパク質の結合活性を表面プラズモン共鳴法によって測定した。測定装置として、Biacore T100 (GE Healthcare) を用いた。実施例1の4)と同様の手順に従い、Jackson Immunoresearch社製Fc領域をセンサーチップCM5 (GE Healthcare) にアミンカップリング法により固定化した。次いで、調製したチオレドキシン融合タンパク質 (H6_trx, 2A1_trx, 2A4_trx, 2F12_trx) をHBS-T緩衝液によって600, 500, 400, 300, 200, 100 nMにそれぞれ調整し、25℃で結合活性測定を行った。データはBiacore T00 Evaluation Software (GE Healthcare) にて処理した。H6_trx, 2A1_trx, 2A4_trx, 2F12_trxの結合解離定数KDはそれぞれ、1.8×10-7 (M), 4.2×10-8 (M), 2.0×10-7 (M), 6.8×10-8 (M)と算出された (表1B)。
【実施例1】
【0064】
【表1B】
JP0006363022B2_000003t.gif
【実施例1】
【0065】
6) 本節では、配列番号2~9, 11~19で示されるアミノ酸配列をコードする核酸によって形質転換された組換えファージの結合活性を酵素結合免疫吸着法 (ELISA) を用いて測定した例を示す。
【実施例1】
【0066】
配列番号2~9, 11~19のアミノ酸配列をコードするDNAをポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) によって増幅した。PCRはKOD DNAポリメラーゼ (TOYOBO) を用い、反応条件は添付のマニュアルに従った。増幅したDNAを制限酵素EcoRI及びHindIIIによって消化後、T7ファージゲノムDNA上のg10遺伝子3’末端に連結した。T7ファージゲノムDNAは、T7Select10-3 Cloning Kit (Novagen)に添付の試料を用い、反応条件と手順は付属のT7Select(商標登録) System Manualに従った。連結したT7ファージゲノムDNAを用い、T7Select Packaging Kit (Novagen) によってT7ファージの試験管内パッケージングを行った。反応条件はT7Select(商標登録) System Manual (Novagen) に従った。続いてT7Select(商標登録) System Manual (Novagen) に従ってファージプラークを形成させ、この各々のプラークから該ポリペプチドを提示した組換えファージを単離した。MICROTEST (商標登録) 96 (BECTON DICKINSON) に、LB培地でO.D.600 = 1.0まで培養した大腸菌BL5403株の培養液0.2 mlを投入し、プラークからそれぞれ単離した組換えファージを感染させ、37℃にて12時間静置することでファージを増幅した。これらファージを含む培養液10μlを90μlのTBS緩衝液(50 mM Tris-HCl, 150 mM NaCl, pH 7.4)に希釈し、測定サンプルとした。
【実施例1】
【0067】
測定サンプルをMEDISORP 96 wellマイクロプレート (Nunc) に1時間投入することでファージをプレートに物理吸着させた。上清を取り除き、SuperBlock(商標登録) T20 (TBS) Blocking Buffer (Thermo SCIENTIFIC) 150μlを1時間投入してプレート表面をブロッキングした後、TBS-T緩衝液 (50 mM Tris-HCl, 150 mM NaCl, 0.1% Tween20 (商標登録), pH 7.4) にて3回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼ (HRP) 標識したFc領域 (Jackson Immunoresearch)(0.2μg/ml) を含むTBS-T緩衝液を100μl添加し1時間静置した。TBS-T緩衝液で3回洗浄後、ABTS One Component HRP Microwell Substrate (BioFX) を100μl投入し、結合活性を発色反応として検出した。吸光度測定には、吸光マイクロプレートリーダーSunrise R (TECAN) を用い、415 nmの吸光度 (O.D.415) を測定した。対照実験として、非ファージ存在のTBS-T緩衝液をネガティブコントロールとして用いた。
【実施例1】
【0068】
配列番号2~9で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを提示した組換えファージ、及び配列番号11~19で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを提示した組換えファージについて、ELISAの結果を表2A、表2Bに示す。いずれの組換えファージもコントロールに対して有意な結合活性を示した。
【実施例1】
【0069】
【表2A】
JP0006363022B2_000004t.gif
【実施例1】
【0070】
【表2B】
JP0006363022B2_000005t.gif
【実施例1】
【0071】
7) 本節では、配列番号10で示されるアミノ酸配列の一例として、配列番号11のアミノ酸配列からなるポリペプチド (2A1と呼ぶ) が非天然型構造を有する免疫グロブリンG及びFc領域に特異的な結合活性を示すことを確認した例を記述する。本節では、前記「発明を実施するための最良の形態」で示した酸処理によるAlternatively folded state (AFS) などの非天然型構造の例として、酸処理、還元剤処理によって得られた非天然型構造の免疫グロブリンGあるいはFc領域に対する結合活性を測定し、これと天然型構造に対する結合活性と比較した。
【実施例1】
【0072】
非天然型構造に対する結合活性の評価には、表面プラズモン共鳴法を用いた。2A1をアミンカップリング法によりセンサーチップCM5に固定化し、以下に示す複数の条件下で処理したヒトIgGあるいはFc領域に対する結合活性を測定した。測定サンプルとして以下の物を用いた。(1) Jackson Immunoresearch社製ヒトFc領域、(2) 変性処理を施さない、天然型構造のヒトモノクローナルIgG、(3) (2)のIgGから調製したFc領域 (Fc領域は、IgGをPierce(登録商標)Fab Preparation Kit (Thermo SCIENTIFIC) に添付の使用書に従ってパパイン消化後、MabSelect SuRe (GE Healthcare) を用いたアフィニティークロマトグラフィー、HiTrap DEAE陰イオン交換クロマトグラフィー (GE Healthcare)、Superdex200 (GE Healthcare) を用いたゲルろ過クロマトグラフィーにより精製することで調製した)、(4) (2)のIgGを酸性緩衝液 (20 mM 酢酸ナトリウム pH 4.5) にて50℃で10日間処理した酸変性型IgG、(5) (3)のFc領域を50 mMの2-メルカプトエチルアミン (Thermo Scientific Pierce) によって37℃、90分の還元処理を施し、10 mMエチレンジアミン四酢酸の存在下でその還元条件を維持させたFc領域、(6) (2)のIgGを、AFSを取ることが知られている条件 (10 mM Gly-HCl, 150 mM NaCl, pH 2.0) にて処理したAFS型IgG。表面プラズモン共鳴試験の結果、2A1は(1)のJackson Immunoresearch社より購入したヒトFc領域 (図1A) には結合するものの、(2)の天然型構造のヒトIgG (図1B)、及びそれから生じる(3)のFc領域 (図1C) には結合を示さない。一方、(4)の酸変性型IgG (図1D)に対してはKD = 2.2×10-9 (M) で、(5)の還元処理を施したFc領域 (図1E) に対しては、KD = 1.0×10-7 (M) で、(6)のAFS型IgG (図1F) に対しては、KD = 5.0×10-10 (M) でそれぞれ結合した。以上の結果から、配列番号11のアミノ酸配列からなる2A1はFc領域の天然型構造を認識しているのではなく、様々な条件下で生じる非天然型構造を特異的に認識することが示された。
【実施例1】
【0073】
8) 本節では、配列番号11で示されるポリペプチド2A1の熱失活耐性を評価した例を示す。有機合成したポリペプチド2A1をHBS-T緩衝液 (10 mM HEPES, 150 mM NaCl, 0.05% Tween20 (商標登録), pH 7.4) にて27μMに希釈し、これを98℃、15分間加熱した。加熱処理と非加熱処理のサンプルをそれぞれHBS-T緩衝液によって100, 50, 25, 12.5 nMに希釈し、表面プラズモン共鳴によって結合活性を評価した。
【実施例1】
【0074】
表面プラズモン共鳴測定装置としてBiacore T100 (GE Healthcare) を用いた。非天然型構造を有するヒトFc領域は、天然型ヒトFc領域を酸緩衝液 (10 mM Gly-HCl, 150 mM NaCl, pH 2.0) に透析したものを用いた。この非天然型ヒトFc領域を、センサーチップCM5 (GE Healthcare) にAmine Coupling Kit (GE Healthcare) を用いたアミンカップリング法により固定化し、反応温度25℃で結合活性測定を行った。測定データはBiacore T00 Evaluation Software (GE Healthcare) にて処理した。加熱処理後及び非加熱処理のサンプルの結合活性は結合解離定数KDにしてそれぞれ2.0×10-8 (M), 2.2×10-8 (M)と算出された。結合レスポンスの総量も両者で同一であった。以上の結果は、ポリペプチド2A1の結合活性は加熱処理によっても不可逆的には損なわれないことを示しており、高い熱失活耐性を示すものである。
【実施例2】
【0075】
本実施例においては、まず、抗体結合活性を示す多数のポリペプチドのアミノ酸配列をどのように特定したかを記し、次いで、配列番号23のアミノ酸配列を共通配列として含む配列番号24~54のアミノ酸配列、及び配列番号56のアミノ酸配列を共通配列として含む配列番号57~72のアミノ酸配列、またこれらのアミノ酸配列にIgGのFc領域への結合活性が損なわれない範囲で数個のアミノ酸残基が、付加、削除、置換又は挿入された配列番号55, 73~81のアミノ酸配列からなるポリペプチド、あるいはこれらのアミノ酸配列を含む融合タンパク質、あるいはこれらのアミノ酸配列をコードする核酸によって形質転換された組換えファージの結合活性を測定した例を示す。
【実施例2】
【0076】
1) ポリペプチドライブラリの構築とヒトIgGのFc領域に対する選択
抗体結合活性を示すポリペプチドのアミノ酸配列は、T7ファージを用いたファージ提示法によって特定した。
【実施例2】
【0077】
まず、Asp - Ala - Ala - Trp - His - Leu - Gly - Glu - Leu - Val - Trp - Ala - Thr - Tyr - Tyr - Asp - Pro - Glu - Thr - Gly - Thr - Trp - (Xaa)10 (配列番号171) (ここでXaaは任意のアミノ酸残基を示す) のアミノ酸配列からなるポリペプチドを、Gly - Gly - Gly - Gly - Ser(配列番号169)のアミノ酸配列からなるリンカーを介してT7ファージの外殻タンパク質g10のC末端に提示したファージライブラリを、T7Select10-3 Cloning Kit (Novagen) を用いて構築した。構築に必要な手順は全て付属のT7Select(商標登録) System Manual (Novagen) に従った。
【実施例2】
【0078】
続いて構築したT7ファージ提示ライブラリを用いて、該ライブラリを標的物質であるヒトIgGのFc領域に接触させる工程、及びヒトIgGのFc領域と結合したファージを選択し回収する工程を示す。Fc領域の調製は、ヒトモノクローナル抗体IgGをPierce(登録商標)Fab Preparation Kit (Thermo SCIENTIFIC Pierce) に添付の使用書に従い、IgGをパパイン消化後、MabSelect SuRe (GE Healthcare) を用いたアフィニティークロマトグラフィー、HiTrap DEAE陰イオン交換クロマトグラフィー (GE Healthcare)、Superdex200 (GE Healthcare) を用いたゲルろ過クロマトグラフィーにより精製した。調製したFc領域を、D-Biotinoyl-ε-Aminocaproic Acid N-Hydroxysuccinimide Ester (Roche)を用いて添付使用書に従いアミノ基を介してビオチンを化学結合させた。続いて実施例1の1)及び2)と同様の手順に従い、該ライブラリをFc領域に接触及びこれと結合したファージを選択し回収する工程、結合活性を有するポリペプチドを提示したファージをELISAによって確認する工程、ダイデオキシ法によるDNA配列解析を行った。この結果、結合活性を示すポリペプチドとして、配列番号24~55で示されるアミノ酸配列を特定した。
【実施例2】
【0079】
2) ポリペプチド伸長ライブラリの構築とヒトIgGのFc領域に対する選択
実施例2の1)で特定された結合活性ポリペプチドの高機能化を目的として、それぞれ2種類のアミノ酸配列 (配列番号26或いは27) のN末端側を伸長したポリペプチドのファージ提示ライブラリを用いた選択を行った。まず、(Xaa)10 - Tyr - Asp - Pro - Glu - Thr - Gly - Thr - Trp - Tyr - Asp - Ala - Ala - Trp - His - Leu - Gly - Glu - Leu - Val - Trp - Ala - Thr - Tyr - Tyr - Asp - Pro - Glu - Thr - Gly - Thr - Trp - Leu - Pro - Asp - Trp - Gln - Thr - Met - Ala - Gln - Lys(配列番号172) 、或いは、 (Xaa)10 - Tyr - Asp - Pro - Glu - Thr - Gly - Thr - Trp - Tyr - Asp - Ala - Ala - Trp - His - Leu - Gly - Glu - Leu - Val - Trp - Ala - Thr - Tyr - Tyr - Asp - Pro - Glu - Thr - Gly - Thr - Trp - Glu - Pro - Asp - Trp - Gln - Arg - Met - Leu - Gly - Gln(配列番号173) (ここでXaaは任意のアミノ酸残基を示す) のアミノ酸配列からなるポリペプチドを、Gly - Gly - Gly - Gly - Ser(配列番号169)のアミノ酸配列からなるリンカーを介してT7ファージの外殻タンパク質g10のC末端に提示したファージライブラリを、T7Select1-1 Cloning Kit (Novagen) を用いて構築した。構築に必要な手順は全て付属のT7Select(商標登録) System Manual (Novagen) に従った。
【実施例2】
【0080】
構築したファージライブラリを用いて、「Fc領域に接触及びこれと結合したファージを選択し回収する工程」を実施例2の1)と同様の手順に従い、この工程を10回繰り返し行った。ELISAによる結合活性試験とDNA配列解析は実施例1の2) と同様の手順に従い、配列番号57~81からなるアミノ酸配列を結合活性ポリペプチドとして特定した。
【実施例2】
【0081】
3) 本節では、配列番号24~27のアミノ酸配列からなるポリペプチド (それぞれpep14, pep11, pep21, pep24と呼ぶ) の結合活性を表面プラズモン共鳴によって測定した例を示す。有機合成したポリペプチドはbioSYNTHESISより購入した。これをHBS-T緩衝液にて希釈し、500, 400, 300, 200, 100 nMに調整した。表面プラズモン共鳴試験にはBiacoreT100 (GE Healthcare) を用いた。センサーチップに固定化するFc領域は、ヒトモノクローナルIgGをPierce(登録商標)Fab Preparation Kit (Thermo SCIENTIFIC) に添付の使用書に従ってパパイン消化後、MabSelect SuRe (GE Healthcare) を用いたアフィニティークロマトグラフィー、HiTrap DEAE陰イオン交換クロマトグラフィー (GE Healthcare)、Superdex200 (GE Healthcare) を用いたゲルろ過クロマトグラフィーにより精製することで調製した。調製したFc領域をアミンカップリング法によってセンサーチップCM5 (GE Healthcare) に固定化した。調製した合成ペプチドを用いて結合活性測定を行い、結合解離定数を測定した。データ処理はBiacore T00 Evaluation Software (GE Healthcare) を用いて行い、pep14, pep11, pep21, pep24の結合解離定数KDはそれぞれ、1.2×10-7 (M), 5.1×10-7 (M), 1.0×10-7 (M), 2.2×10-7 (M)と算出された (表3A)。
【実施例2】
【0082】
【表3A】
JP0006363022B2_000006t.gif
【実施例2】
【0083】
4) 本節では、配列番号57のアミノ酸配列(p17と呼ぶ)からなるポリペプチドの結合活性を表面プラズモン共鳴によって測定した例を示す。ポリペプチドの調製は、配列番号86のアミノ酸配列からなるチオレドキシン融合タンパク質p17_trxをプロテアーゼ切断後、チオレドキシン部分を除去することで調製した。発現ベクターpET-48b (Novagen) によって産生されるチオレドキシン融合タンパク質は、そのアミノ酸配列中にHRV 3C プロテアーゼ切断部位を有するため、このプロテアーゼを用いてC末端に連結した目的のポリペプチドを得ることができる。
【実施例2】
【0084】
p17を含むチオレドキシン融合タンパク質 (配列番号86) をコードするDNA (配列番号124) をPCRによって合成し、このDNAを発現ベクター pET-48b (Novagen) に導入した。この発現ベクターを用い、実施例1の5)と同様の手順に従い、チオレドキシン融合タンパク質を調製した。チオレドキシン融合タンパク質 40 mgをHRV 3C Protease (Novagen) 100 Unitを用いて4℃で消化反応を行った。反応条件は付属マニュアルに従った。反応産物を6Mの塩酸グアニジン溶液に希釈し、Superdex Peptide 10/300 GL (GE Healthcare) を用いたゲルろ過クロマトグラフィー、次いでμRPC C2/C18 ST 4.6/100 (GE Healthcare) を用いた逆相クロマトグラフィーによって精製し、配列番号57のアミノ酸配列からなるポリペプチドp17を調製した。
【実施例2】
【0085】
次いで、調製したp17の結合活性を、表面プラズモン共鳴を用いて測定した。測定にはBiacore T100 (GE Healthcare) を用いた。p17をHBS-Tに希釈し、25, 12.5, 6.25, 3.13 nMに調整した。センサーチップCM5へのFc領域の固定化と結合活性測定は実施例2の3)と同様の手順に従った。解析の結果、p17はFc領域に対して結合解離定数KD = 1.6×10-9 (M) でFc領域に結合した (表3B)。
【実施例2】
【0086】
【表3B】
JP0006363022B2_000007t.gif
【実施例2】
【0087】
この値は線状のポリペプチドとしては極めて高い結合活性を示すものである。また、これまで汎用的に用いられてきたIgG結合性タンパク質プロテインAやプロテインGであっても、その各々のドメイン単独の結合活性はKDにしてそれぞれ1.0×10-8 (M)(非特許文献28)4.9×10-7 (M)(非特許文献29)程度である。さらに、一般に結合活性が線状より高い環状化ポリペプチドと比較しても、本発明のポリペプチドp17は、既報の高結合活性環状ペプチドFcBP-2 (KD = 2.2 nM)(非特許文献4)を上回る、最上位に属する高結合活性を有している。
【実施例2】
【0088】
5) 本節では、配列番号24, 26~33, 57~81で示されるアミノ酸配列を含むチオレドキシン融合タンパク質を作製し、その結合活性を表面プラズモン共鳴法を用いて測定した例を示す。
【実施例2】
【0089】
配列番号24, 26~33, 57~81のポリペプチドをコードするDNAをPCRによって増幅した。これらをEcoRIとHindIIIで消化し、pET-48b (Invitrogen) のEcoRI / HindIII 部位で消化した領域にそれぞれ導入することで、ポリペプチドをチオレドキシンのC末端に連結した融合タンパク質 (配列番号87~95, 86, 98, 99, 101, 102, 106~113, 116~118, 96, 97, 100, 103~105, 114, 115, 119) をコードするDNA (配列番号125~133, 124, 136, 137, 139, 140, 144~151, 154~156, 134, 135, 138, 141~143, 152, 153, 157) を含む発現ベクターを構築した。この発現ベクターを用い、実施例1の5)と同様の手順に従い、チオレドキシン融合タンパク質を調製した。
【実施例2】
【0090】
続いて、調製したチオレドキシン融合タンパク質の結合活性を表面プラズモン共鳴法によって測定した。測定装置として、Biacore T100 (GE Healthcare) を用いた。実施例2の3)と同様の手順に従いFc領域をセンサーチップCM5 (GE Healthcare) にアミンカップリング法により固定化した。次いで、調製したチオレドキシン融合タンパク質をHBS-T緩衝液によって600, 500, 400, 300, 200, 100 nMにそれぞれ調整し、25℃で結合活性測定を行った。データはBiacore T00 Evaluation Software (GE Healthcare) にて処理した。算出されたKDを表4に示す。
【実施例2】
【0091】
【表4A】
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【表4B】
JP0006363022B2_000009t.gif
【実施例2】
【0092】
6) 本節では、配列番号26, 27, 30~55, 57, 63~72, 79~81で示されるアミノ酸配列をコードする核酸によって形質転換された組換えファージの結合活性を酵素結合免疫吸着法 (ELISA) を用いて測定した例を示す。
【実施例2】
【0093】
配列番号26, 27, 30~55, 57, 63~72, 79~81のアミノ酸配列をコードするDNAをポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。PCRはKOD DNAポリメラーゼ (TOYOBO) を用い、反応条件は添付のマニュアルに従った。増幅したDNAを制限酵素EcoRI及びHindIIIによって消化後、T7ファージゲノムDNA上のg10遺伝子3’末端に連結した。T7ファージゲノムDNAは、T7Select10-3 Cloning Kit (Novagen)に添付の試料を用い、反応条件と手順は付属のT7Select(商標登録) System Manualに従った。連結したT7ファージゲノムDNAを用い、T7Select Packaging Kit (Novagen) によってT7ファージの試験管内パッケージングを行った。反応条件はT7Select(商標登録) System Manual (Novagen) に従った。続いてT7Select(商標登録) System Manual (Novagen) に従ってファージプラークを形成させ、この各々のプラークから該ポリペプチドを提示した組換えファージを単離した。MICROTEST (商標登録) 96 (BECTON DICKINSON) に、LB培地でO.D.600 = 1.0まで培養した大腸菌BL5403株の培養液0.2 mlを投入し、プラークからそれぞれ単離した組換えファージを感染させ、37℃にて12時間静置することでファージを増幅した。これらファージを含む培養液10μlを90μlのTBS緩衝液(50 mM Tris-HCl, 150 mM NaCl, pH 7.4)に希釈し、測定サンプルとした。
【実施例2】
【0094】
測定サンプルをMEDISORP 96 wellマイクロプレート (Nunc) に1時間投入することでファージをプレートに物理吸着させた。上清を取り除き、SuperBlock(商標登録) T20 (TBS) Blocking Buffer (Thermo SCIENTIFIC) 150μlを1時間投入してプレート表面をブロッキングした後、TBS-T緩衝液 (50 mM Tris-HCl, 150 mM NaCl, 0.1% Tween20 (商標登録), pH 7.4)にて3回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼ (HRP) 標識したFc領域 (Jackson Immunoresearch)(0.2μg/ml) を含むTBS-T緩衝液を100μl添加し1時間静置した。TBS-T緩衝液で3回洗浄後、ABTS One Component HRP Microwell Substrate (BioFX) を100μl投入し、結合活性を発色反応として検出した。吸光度測定には、吸光マイクロプレートリーダーSunrise R (TECAN) を用い、415 nmの吸光度 (O.D.415) を測定した。対照実験として、非ファージ存在のTBS-T緩衝液をネガティブコントロールとして用いた。
【実施例2】
【0095】
配列番号26, 27, 30~55で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを提示した組換えファージ、配列番号57, 63~72, 79~81で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを提示した組換えファージについて、ELISAの結果をそれぞれ表5A、表5Bに示す。いずれの組換えファージもコントロールに対して有意な結合活性を示した。
【実施例2】
【0096】
【表5A】
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【実施例2】
【0097】
【表5B】
JP0006363022B2_000011t.gif
【実施例3】
【0098】
本実施例においては、配列番号11で示される合成ペプチド2A1を用いることにより、天然型IgGサンプル中に微量混入した非天然型IgGを定量的に検出した例を示す。一般に抗体医薬品の品質管理工程においては、迅速かつ簡便な不均一性評価の一つとしてサイズ排除クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー技術が汎用される(非特許文献30)。本実施例では、汎用的な手法であるサイズ排除クロマトグラフィーと比較検討することで、本発明のポリペプチドを利用した検出技術の有用性を実証した。
【実施例3】
【0099】
非天然型IgGは、AFSを生じることが知られている10 mM Glycine-HCl, 150 mM NaCl, pH 2.0にヒトモノクローナル抗体を18時間透析することで得た。調製した非天然型IgGをTris-HCl (pH 8.0)によって中和後、HBS-T緩衝液に希釈した天然型IgG (6.7μM) に一定希釈率 (10, 5, 1, 0.1, 0.01, 0.001%) で非天然型IgGを混合し、これを測定サンプルとした。
【実施例3】
【0100】
続いて測定サンプルを表面プラズモン共鳴及びサイズ排除クロマトグラフィーを用いて解析し、非天然型IgGの検出感度について両者を比較した。表面プラズモン共鳴試験は実施例1の7)に記載の測定装置及びセンサーチップを用いた。
【実施例3】
【0101】
調製したサンプルの測定データをBicore T100 Evaluation Software (GE Healthcare) を用いて解析し、非天然型IgGの混入量を結合レスポンスとして定量した (図2)。サイズ排除クロマトグラフィーは、分析機器としてAKTA purifier (GE Healthcare) を用い、カラムはSuperdex 200 5/150 GL (GE Healthcare) を用いた。測定データはUNICORN version 4.12 (GE Healthcare) を用いて処理し、IgGの単量体画分及び多量体画分 (図3) として検出されるピーク面積を用いて非天然型IgGの混入量を定量した。
【実施例3】
【0102】
図4は、表面プラズモン共鳴法及びサイズ排除クロマトグラフィーによって得られたAFS型IgGの検出量を、AFS型IgGの濃度に対して両対数プロットしたグラフを比較したものである。サイズ排除クロマトグラフィーでは混入率0.1%まで有意な検出感度を示すことができるが、本発明のポリペプチドを用いた表面プラズモン共鳴による混入率測定では、ポリペプチドの高い結合活性によって非天然型IgGを高感度に検出できることから、0.01%の混入率においても十分な検出感度を示すことが明らかとなった。すなわち本実施例の結果は、非天然型IgG結合性ポリペプチドを用いることにより、例えば抗体医薬品などの天然型IgGに極微量混入した非天然型IgGを、既存手法に比べて精度良く検出できることを示すものである。
【実施例4】
【0103】
本実施例においては、IgG結合性ポリペプチドを融合したチオレドキシン融合タンパク質p17_trx (配列番号86) を固定化したアフィニティーカラムを作製し、これを用いてFc領域の除去・精製に適用した例、及びヒトIgGの精製に適用した例を示す。実施例2の4)に示す通り、本発明のポリペプチドはIgGのFc領域に対し結合解離定数にしてnMオーダーで結合し、既存のIgG結合性タンパク質、IgG結合性ポリペプチドに匹敵あるいはこれらを凌駕する結合活性を有している。この高い結合活性に基づき、Fc領域の選択的な除去、あるいはIgG精製に好適に使用できるアフィニティーカラムとして適用した。
【実施例4】
【0104】
(1) 本節では、Fc領域の除去が求められる事例として、IgGのパパイン消化産物からのFab領域の精製に適用した。チオレドキシン融合タンパク質の調製は、実施例2の5)と同様の手順に従った。調製したp17_trx (12 mg/ml) を用い、HiTrap NHS-activated HP (GE Healthcare) にアミノ基を介して固定化した。固定化条件・方法は添付のマニュアルに従い、固定化量は約10.8 mgと算出された。
【実施例4】
【0105】
続いてヒトモノクローナルIgGをパパインにより消化した。消化反応にはPierce Fab Preparation Kit (Thermo SCIENTIFIC) を用い、手順は付属のマニュアルに従った。調製したIgGパパイン消化産物をp17_trx固定化カラムによって精製した。クロマトグラフィー装置としてAKTA purifier (GE Healthcare) を用い、ランニング緩衝液 (50 mM Tris-HCl, 150 mM NaCl, pH 7.4) の存在下でパパイン消化産物をアプライし、溶出緩衝液 (100 mM Gly-HCl, pH 2.0) で溶出した。得られたクロマトグラムを図5に示す。前半のピークである素通り画分と、後半のピークである溶出画分をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって確認したところ (図6)、p17_trx固定化カラムの適用により、Fabと、Fc領域及び未反応のIgGが完全に分離されていることが明らかとなった。すなわち本実施例は、本発明によるIgG結合性ポリペプチドを用いたアフィニティークロマトグラフィーが、Fc領域の選択的除去にに好適に使用できることを示すものである。
【実施例4】
【0106】
(2) 本節では、p17_trx固定化カラムをヒトモノクローナルIgGの精製に適用した例を示す。前節で作製したカラムに、ランニング緩衝液 (50 mM Tris-HCl, 150 mM NaCl, pH 7.4) の存在下でヒトモノクローナルIgGをアプライし、50 mM クエン酸ナトリウム (pH 7.0) と0.5 M 酢酸 (pH 2.5) との混合によるpH勾配により、IgGを溶出した。得られたクロマトグラムを図7に示す。アプライしたIgGはカラムに捕捉され、pH 3.25付近の酸性条件下で溶出することができた。この結果は、本発明によるIgG結合性ポリペプチドをIgG精製に使用できるアフィニティーカラムに好適に使用できることを示するものである。
【実施例5】
【0107】
本節では、配列番号11で示されるポリペプチド2A1のアミノ酸配列に1アミノ酸残基変異を導入した変異体 (配列番号158~164)
の結合活性を表面プラズモン共鳴によって測定し、各アミノ酸残基が結合に与える影響について評価した例を示す。
【実施例5】
【0108】
有機化学的に合成した7種類の変異体ポリペプチド、2A1_Q5R (配列番号158)、2A1_W6A (配列番号159)、2A1_S7A (配列番号160)、2A1_R17A (配列番号161)、2A1_S18A (配列番号162)、2A1_S19A (配列番号163)、2A1_I20A (配列番号164) はbioSYNTHESISより購入した。表面プラズモン共鳴測定装置としてBiacore T100 (GE Healthcare) を用いた。非天然型構造を有するヒトFc領域は、天然型ヒトFc領域を酸緩衝液 (10 mM Gly-HCl, 150 mM NaCl, pH 2.0) に透析したものを用いた。この非天然型ヒトFc領域を、センサーチップCM5 (GE Healthcare) にAmine Coupling Kit (GE Healthcare) を用いたアミンカップリング法により固定化した。次いで、ポリペプチドをQ5Rについては62.5, 31.3, 15.6 nM、W6Aについては500, 250, 125 nM、S7Aについては1000, 500, 250 nM、R17Aについては500, 250, 125 nM、S18Aについては125, 62.5, 31.3 nM、S19Aについては1000, 500, 250 nM、I20Aについては500, 250, 125 nMまでそれぞれHBS-T緩衝液 (10 mM HEPES, 150 mM NaCl, 0.05% Tween20 (商標登録), pH 7.4) にて希釈し、反応温度25℃で結合活性測定を行った。
【実施例5】
【0109】
測定データをBiacore T00 Evaluation Software (GE Healthcare)にて処理し、Q5R, W6A, S7A, R17A, S18A, S19A, 及びI20Aのそれぞれの結合解離定数KDを算出した(表6)。この結果、5位のグルタミン残基をアルギニン残基に変異することで結合活性が2.5倍上昇することが判明した。また、アラニン残基への変異によって結合活性を大きく減少させるアミノ酸残基が同定され、それぞれ、6位のトリプトファン残基は約1/8、7位のセリン残基は約1/5、17位のアルギニン残基は約1/16、19位のセリン残基は約1/10、20位のイソロイシン残基は約1/50の結合活性低下が認められた。この結果は、これらの残基が結合活性の発現に大きく関与していることを示すものである。
【実施例5】
【0110】
【表6】
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【実施例6】
【0111】
本実施例においては、配列番号11で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド2A1の結合特異性を評価するため、夾雑タンパク質を含む溶液から標的のヒトIgGのFc領域を回収した例を示す。
【実施例6】
【0112】
0.5 mgのポリペプチド2A1を1.5 mlの炭酸ナトリウム緩衝液 (0.2 M NaHCO3, 0.5 M NaCl, pH 8.3) に溶解し、これを0.1 mlのNHS-activated Sepharose (登録商標) (GE Healthcare) にアミンカップリング法によって固定化した。固定化の手順は付属の添付文書に従った。固定化の反応率は42%であった。夾雑タンパク質を含む溶液は、1 mlのLB培地で培養した大腸菌BLT5403株を1 mlのTBS-T緩衝液 (50 mM Tris-HCl, 150 mM NaCl, 0.05% (w/v) Tween20 (登録商標), pH 7.4) に懸濁し、超音波破砕後、遠心によって得た上清を用いた。非天然型構造を有するヒトFc領域は、天然型ヒトFc領域をグリシン塩酸緩衝液 (10 mM Glycine-HCl, 150 mM NaCl, pH 2.0) に透析することで調製した。この非天然型Fc領域 5μg相当を、上記の大腸菌破砕液62 μlに添加し、これをTBS-T緩衝液で1 mlまで希釈した溶液を、結合特異性評価のサンプル溶液とした。比較試験のコントロール溶液として、非天然型Fc領域を含まない大腸菌破砕液を調製した。
【実施例6】
【0113】
調製したサンプル溶液と、2A1ペプチドを固定化したSepharoseを20分間混合した。その後、0.5 mlのTBS-T緩衝液を用いて5回洗浄し、0.2 mlの50 mM NaOHで溶出した。溶出液は、10 μlの3M 酢酸ナトリウム (pH 5.2) で中和した。溶出液及びサンプル溶液を、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって解析した (図8)。溶出液には、他の夾雑タンパク質に比べFc領域に相当するバンドのみが有意に存在した。この結果は、ポリペプチド2A1が多数の夾雑タンパク質の中から標的であるFc領域を特異的に認識することを示しており、本発明によって得た分子が、通常のタンパク質間相互作用に見られる高い標的特異性を有することを示すものである。
【実施例7】
【0114】
本実施例では、配列番号57からなるポリペプチドp17とヒトIgGのFc領域との複合体についてX線結晶構造解析を行い、その立体構造を決定した方法と結果を示す。
【実施例7】
【0115】
ポリペプチドp17の調製は、実施例2の4) と同様の手順に従った。ヒトIgGのFc領域の調製は、実施例2の1) と同様の手順に従った。ポリペプチドp17とFc領域の複合体を緩衝液 (20 mM Tris-HCl, 10% (v/v) ジメチルスルホキシド, pH 7.4) に透析し、限外ろ過によって10 mg/ml の濃度に濃縮した。結晶化の沈殿剤・緩衝液として、40% ポリエチレングリコール4000, 0.1 M クエン酸ナトリウム (pH 5.6), 0.2 M 酢酸アンモニウムを用い、シッティングドロップ式による蒸気拡散法によって結晶を得た。取得した結晶を用いて、高エネルギー加速器研究機構Photon Factory NW-12Aにて回折データを収集した。位相決定はサーチモデル (プロテイン・データ・バンク (PDB) code, 1DN2) を用いた分子置換法によって行った。CNS (非特許文献31 Brunger AT, Adams PD, Clore GM, DeLano WL, Gros P, Grosse-Kunstleve RW, Jiang JS, Kuszewski J, Nilges M, Pannu NS, Read RJ, Rice LM, Simonson T, and Warren GL. (1998) Crystallography & NMR system: A new software suite for macromolecular structure determination. Acta Crystallogr D Biol Crystallogr. 54, 905-921)、CCP4 suite (非特許文献32 Winn MD, Ballard CC, Cowtan KD, Dodson EJ, Emsley P, Evans PR, Keegan RM, Krissinel EB, Leslie AG, McCoy A, McNicholas SJ, Murshudov GN, Pannu NS, Potterton EA, Powell HR, Read RJ, Vagin A and Wilson KS. (2011) Overview of the CCP4 suite and current developments. Acta Crystallogr D Biol Crystallogr. 67, 235-242)、Coot (非特許文献33 Emsley P and Cowtan K. (2004) Coot: model-building tools for molecular graphics. Acta Crystallogr D Biol Crystallogr. 60, 2126-2132)により構造精密化を行い、分解能2.9Åで複合体の結晶構造を決定した。非対称単位中には、4つの複合体、すなわち、4つのFc領域と8つのp17分子が含まれていた。
【実施例7】
【0116】
ポリペプチドp17は、4本のβストランド、3つのβヘアピン、1つの短いαヘリックス、1本のループ構造から形成されていた (図9)。p17に含まれるFc-III Ala部分の構造は、鋳型としたFc IIIペプチドの立体構造 (PDB code, 1DN2) と、主鎖・側鎖の両面で高い構造相同性 (r.m.s.d. = 0.639Å) を示し (図10)、Fc領域への結合部位も同等の箇所を認識していた (図11)。このことは、本発明によるペプチドの高機能化は、本来の機能の特性を損なうことなく増強できることを示している。ライブラリに導入したシニョリン由来の領域は、シニョリンと同様にβヘアピンを形成しており、ランダムアミノ酸配列として伸長した領域を、Fc-III Alaの近傍へ配置する役割を担っていた。このことは、βヘアピンを形成する微小タンパク質の使用が、二つのセグメントを効果的に近接させる役割を担っていることを示している。ランダムアミノ酸配列として伸長した二つの領域は、それぞれ全く異なる立体構造を形成していた。C末端領域は短いαヘリックスを形成しており、ヘリックス表面から突き出た側鎖が、Fc-III Alaのアミノ酸残基と接触し、結合に有利なコンホメーションを支えていた (図12)。先行研究において、鋳型としたFc IIIペプチドのFc領域への結合では、Trp残基の配向性が重要であることが示唆されており (非特許文献3, 4)、Fc-III Alaにおいて相当するTrp33の芳香環残基を、αヘリックスに存在するMet51の側鎖が直接支えていた (図12)。一方、C末端領域と対照的に、N末端はループ構造を形成し、Fc-III Alaの土台にあたる、導入したシニョリン部分と接触することでこの土台を支えていた (図12)。これらの結果は、ランダムアミノ酸配列として導入されたセグメントは機能選択の結果それぞれの状況に適した立体構造を形成し、ポリペプチドの高機能化を実現したことを示している。
【実施例8】
【0117】
本実施例では、p17ポリペプチド (配列番号57) のC末端セグメントに存在するアミノ酸残基をアラニンに置換した変異体を作製し、結合活性を測定することで、該アミノ酸残基が結合活性に与える影響を評価するとともに、実施例7で得た立体構造情報と照らし合わせることでそれらアミノ酸残基の役割を詳細に解析した例を示す。
【実施例8】
【0118】
配列番号174~178で示されるアミノ酸配列をコードするDNA (配列番号179~183)を設計し、これらをPCRによって合成した。実施例2の4) と同様の手順に従い、チオレドキシン融合タンパク質の発現及びプロテアーゼ処理によって変異体ポリペプチドを調製し、以下の様に名づけた: p17_P46A (配列番号174), p17_D47A (配列番号175), p17_W48A (配列番号176), p17_R50A (配列番号177), p17_M51A (配列番号178)。
【実施例8】
【0119】
次いで、調製した5種類のポリペプチドの結合活性を、表面プラズモン共鳴を用いて解析した。測定にはBiacore T100 (GE Healthcare) を用いた。センサーチップCM5 (GE Healthcare) へのFc領域の固定化と結合活性解析は、実施例2の4) と同様の手順に従った。解析の結果得られた、各ポリペプチドの結合活性を表7に示す。アラニン置換を行った全ての変異体において結合活性の低下が確認され、これらの残基が結合活性に関与していることが示唆された。特に、p17_W48Aとp17_M51Aはアラニン置換の結果100倍以上の結合活性の低下を招いていた。
【表7】
JP0006363022B2_000013t.gif
【実施例8】
【0120】
次いで、アラニン置換を導入した部位について、構造的観点から考察した。Pro46の部位で、プロリン残基に特徴的な構造配向性によってポリペプチドの主鎖は方向を変えており、その先に生じるαヘリックスを適切な位置へと配向させる微調整の役割を担っている (図13A)。Asp47は、近傍のArg50と水素結合しており (図13B)、Pro46と同様にαヘリックスの配向を微調整している。αヘリックスに存在するArg50はその側鎖がAla24と接触することで、結合部位を形成する23~35位のβストランド間の架橋を補助していた (図13C)。同じくαヘリックスに存在するTrp48とMet51は、Met51を中心としてこれら疎水残基同士で接触しており、結合部位に存在するTrp33の芳香環を直接安定化していた (図13D)。先行研究 (非特許文献3, 4)において、このTrp33の芳香環側鎖の配向がFc領域への結合に大きく影響を与えることが示されている。また、上述の結合活性試験において、Met51におけるアラニン置換は100倍以上の結合親和性低下を招くことが判明している。これら二つの事実から、Met51の結合関与はTrp33の芳香環を支えることによって結合活性を高めていると考えられる。
【実施例8】
【0121】
以上の結果は、分子ライブラリ中に導入されたランダムアミノ酸配列が機能選択の結果、機能的・構造的に適したアミノ酸残基を採用し、効果的にポリペプチドを高機能化していることを結合機能解析、立体構造解析の両面から実験的に実証するものである。
【実施例8】
【0122】
本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、抗体を始めとするタンパク質の検出、精製、固定化又は除去に有用である。
【配列表フリ-テキスト】
【0124】
配列番号1:IgG結合ペプチド
配列番号2:IgG結合ペプチド、H6
配列番号3:IgG結合ペプチド、H3
配列番号4:IgG結合ペプチド、D5
配列番号5:IgG結合ペプチド、E7
配列番号6:IgG結合ペプチド、sC12
配列番号7:IgG結合ペプチド、G3
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配列番号120:オリゴDNA
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配列番号165:IgG結合ペプチド、Fc-III
配列番号166:IgG結合ペプチド
配列番号167:IgG結合ペプチド
配列番号168:IgG結合ペプチドライブラリ
配列番号169:グリシンリンカー
配列番号170:IgG結合ペプチドライブラリ
配列番号171:IgG結合ペプチドライブラリ
配列番号172:IgG結合ペプチドライブラリ
配列番号173:IgG結合ペプチドライブラリ
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配列番号179:オリゴDNA
配列番号180:オリゴDNA
配列番号181:オリゴDNA
配列番号182:オリゴDNA
配列番号183:オリゴDNA
図面
【図1(A)(B)】
0
【図1(C)(D)】
1
【図1(E)(F)】
2
【図2】
3
【図3】
4
【図4】
5
【図5】
6
【図6】
7
【図7】
8
【図8】
9
【図9】
10
【図10】
11
【図11】
12
【図12】
13
【図13】
14